JP4781535B2 - 自転車等のハブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に自転車に適するハブに関する。しかし、これが唯一の可能な使用法ではなく、この種のハブは、例えば、車椅子、(自転車)トレーラ、及び他の筋肉で駆動又は筋肉以外で駆動する車両及び装置にも使用することができる。しかし、単純にするため、以下では本発明をその自転車での仕様に関連して記述し、前記記述は決して使用法を制限するものと理解してはならない。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ハブは、自転車のフレームを車輪と接続する働きをする。通常、ハブは静止軸と、回転自在にこれに装着されたハブ体とを備え、ハブ体を車輪のリムに接続するために、ハブ体上にスポークを配置することができる。しかし今日では、前記スポーク以外に、リムと接続するためにプラスチックの支持部を三つ又は四つしか使用しない、又はカーボン・ディスクなどのディスクを使用する接続部の使用が増加している。
【0003】
このようなハブに対する需要は、特に高性能スポーツ用品の分野で非常に多いが、それのみに制限されるものではない。
一方で、自転車のハブは、例えば、オフロード走行中にマウンテンバイクに導入されるような強度の力を確実に受けねばならず、他方で、ハブは、いわゆるレーシングバイクなどに使用する場合に、可能な限り高速を達成できるため、可能な限り少ない重量を特徴とするとよい。
さらに、ハブは長期間にわたっても確実に機能しなければならない。
【0004】
プロ及びセミプロの自転車競技の分野では、使用する度に、又はほぼ使用する度に事前にこのようなハブを保守することが普通である。したがって、ハブは容易に外し、再度組み付けられることも必要である。
【0005】
この数年間、長期にわたる自転車ツアーや、自転車と手荷物だけで辺鄙な国々を探検したりすることの人気が高まっている。凸凹の大地やはっきりした道がない大地を長時間旅行することにより、また通常の摩耗や引裂きによりハブの部品は損傷、劣化又は摩滅を示すことがある。
【0006】
この場合は、ハブを修理し、摩耗したエレメントを交換することが必要となる。したがって、このようなハブのスペアパーツを容易かつ迅速に入手可能であることも必要である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明の課題は、上述した要件を満たし、信頼性の高い動作を提供しながら、容易な分解及びそれと同時に軽量であることも特徴とする自転車用ハブを提供することである。
【0008】
この課題は、請求項1、請求項2、請求項17及び請求項18の目的によって、本発明に従って解決される。
本発明の好適な実施形態は従属請求項記載の発明の要旨を構成しているものである。
本発明は、軽量で、高い作業確実性及び簡単に維持される耐久性を有する自転車用ハブを提供する。
【0009】
本発明によるハブは、ハブ軸及びそれと同心円上に配置された中空のハブ体を備え、これは、好適には、個々に釣り合った形状又は同一形状である少なくとも二つの転がり軸受によって前記ハブ軸に対して回転自在に装着される。前記転がり軸受のうち少なくとも二つは、相互に近接して配置される。前記少なくとも二つの近接して配置される転がり軸受は、本質的に狭い空間で相互に並んで配置される。
【0010】
本明細書において、狭い空間とは、近接して配置された転がり軸受の間の距離が、前記二つの転がり軸受のうち一方の軸方向の幅より小さいという意味である。二つの転がり軸受間の軸距離は、前記軸受のうち一方の軸方向幅の半分より小さいことが好ましく、前記距離は、前記転がり軸受のうち一方の軸方向幅の十分の一より小さいことが特に好ましい。二つの転がり軸受は、本質的に相互に突き当たるよう配置することが特に好ましい。
【0011】
本明細書において、本質的に相互に突き当てて配置するとは、両方の軸受が相互に突き当たることが好ましく、また、軸受の相互の接触がいかなる追加の措置によっても防止されないという意味である。
【0012】
軸受に使用する転がり軸受は転がり体を備え、各転がり軸受の転がり体は、相互に対して所定の距離に配置される。市販の転がり軸受を使用することが好ましい。
【0013】
本発明によるハブのさらなる実施形態では、ハブは中空のハブ軸、及び転がり軸受によってこれに対して回転自在に装着されたハブ体を備える。それぞれの場合に、転がり軸受は、以前の発明によるハブの実施形態と同様に、それぞれが相互に対して所定の距離に配置された転がり体を備える。さらに、このタイプのハブには、自転車のフレーム・ドロップアウトに挿入するよう意図された第一の直径区間を設ける。
【0014】
さらに、ハブ、特にハブ軸には第二の直径区間を配置し、これは本質的にハブ軸の中心区間に配置されて、内径及び外径を備え、前記第二の直径区間の内径は、前記第一の直径区間の外径と等しいか、それよりも大きい。
【0015】
本発明によるハブの別の実施形態では、ハブは中空のハブ軸を備え、これは従来のハブ軸と異なり、内径に対する外径の比率が小さい、あるいは肉厚が比較的薄くなるように形成される。この実施形態は、その上、ハブ軸に対してハブ体を担持するために転がり軸受を使用し、前記転がり軸受は、相互に対して所定の距離で配置された転がり体を備える。ハブの中央にある中心区間における中空ハブ軸の肉厚は、0.5mmと3mmの間、好適には、1mmと2.5mmの間、特に好適には、1.7mmと2.3mmの間であり、好適には、約2mmである。
【0016】
本発明によるハブは、多くの利点を有する。 それぞれの場合に相互に対して所定の距離に配置された複数の転がり体を備え、工業生産され、あるいは市販された転がり軸受を使用することにより、転がり軸受を使用し、それによって本発明のハブに高度に達成される信頼性及び耐久性を提供することができる。
【0017】
特に市販された工業生産の転がり軸受を使用することにより、摩耗した、又は不良の転がり軸受の交換が非常に単純になる。というのは、例えばDIN又はISO又は類似の規格により標準化された軸受を使用すると、このような軸受を短期間に世界中で入手可能だからである。したがって、転がり軸受の交換は、最寄りの自転車販売店又は自転車ディーラーの在庫に適正な軸受がない場合でも、最短の時間枠で実行することができる。
【0018】
二つの近接する、好適には直に隣接する転がり軸受、最も好適には相互に突き当たって配置された転がり軸受によってハブ軸に対してハブ体を担持すると、各軸受が受けるべき負荷が小さくなり、したがって必要な空間が小さくなることを特徴とする、より小さい外形寸法を有する転がり軸受を使用できるので、特に有利である。今日までに普通に実践されていたように一つだけを使用するのではなく、二つの転がり軸受を使用することにより、同じ程度の耐久性及び負荷容量を維持しながら、構造及び材料の体積を減少させることが可能である。
【0019】
自転車のフレーム・ドロップアウトに挿入するよう意図された第一の区間のハブの外径が、本質的にハブ軸の中心区間に配置される第二の直径区間の内径断面より大きい中空のハブ軸を有するハブは多くの利点を有する。
【0020】
従来の中空のハブ軸と異なり、本発明による中空のハブ軸は、特に大きい内径を備え、これによってハブ軸全体を特に薄く、あるいは肉薄に形成することができる。
【0021】
中空のハブ軸に関してさらなる他の実施形態では、転がり体を有する転がり軸受を同様に使用し、これによって各転がり軸受の転がり体を、相互に対して所定の距離で整列させる。
【0022】
ハブ軸の剛性及び安定性は、質量又は体積、あるいは使用する材料ばかりでなく、分布した幾何学的配置構成にも依存する。ハブの曲げ強さは、直径の増加とともに向上する。半径方向で外側にある方の区間は、過度に比例して曲げ強さに寄与する。したがって、本発明によるハブは、その大きい外径と薄い肉厚との組合せにより、少ない材料の使用量で、したがって少ない重量で高い曲げ強さが達成されるので、特に有利である。
【0023】
上述した形状全てのさらなる好適な実施形態も、以上で述べたような形状の一つ又は全てを使用できることに留意されたい。
【0024】
上述したような形状の一つ又は幾つかによる本発明のハブのさらなる好適な実施形態では、ハブは、さらに、回転子を備え、これには少なくとも一つ、好適には、最大で10個以上の歯車が配置され、少なくとも一つの転がり軸受によってハブ軸に対して回転自在に装着され、前記回転子と前記ハブ体との間に配置されたフリーホイール装置を備える。
【0025】
この実施形態は、これが、通常は、被動側の車輪であるので、特に自転車の後輪に使用される。しかし、最新の技術では、被動側が前輪である自転車も知られ、本発明によるハブのこの実施形態は、言うまでもなくこのような前輪にも適している。
【0026】
本発明によるこのようなハブを駆動側ハブ、あるいは後輪ハブとして使用すると、最新技術で知られているように転がり軸受を一つだけ使用するのではなく、二つの近接して配置された転がり軸受を使用するので、後輪の材料使用量又は構造的体積を減少させることができ、従って重量が節約されるので、多くの利点を有する。
【0027】
本発明による中空のハブ軸を使用すると、従来のハブと比較して重量を節約することもできる。
【0028】
前述したような全ての形状のさらなる好適な実施形態では、転がり軸受は、個々の転がり軸受の転がり体が保持されるか、所定の距離で配置される軸受保持器を備える。前記軸受保持器は、プラスチック又は金属で作成することが好ましい。
【0029】
さらなる好適な実施形態では、転がり軸受は追加的に内輪、又は外輪を備え、一つの内輪及び一つの外輪が特に好ましい。
【0030】
内輪及び外輪を有する転がり軸受を使用すると、一つ又は幾つかの転がり体が摩耗又は劣化した場合に、転がり軸受全体を簡単に交換できるので、特に有利である。
【0031】
従来の自転車のハブでは、ハブ軸の錐形区間が往々にして、転がり体の内側レース表面として働き、外側レース表面がハブ体に形成される。通常の摩耗及び引裂き、有効寿命の超過、又は異物又は埃の侵入により、転がり体が破壊され、従来のこのタイプのハブでは、ハブ軸及びハブ体の内側及び/又は外側レース表面にかじり又は他の損傷が発生して、その結果、ハブ全体が使用不可能になることがある。このような損傷は、内輪及び外輪を有する転がり軸受を使用すると回避される。
【0032】
本発明による自転車用ハブの好適な実施形態では、溝付き転がり軸受、又は針状ころ軸受を転がり軸受として使用し、これにより使用される軸受は、埃又は水に対するシールを備えることが好ましく、保守不要であることが特に好ましい。
【0033】
本発明によるハブの信頼性及び操作の容易性が特に高くなり、軸受の有効寿命が長くなるのは、特に、密封して保守不要の軸受を使用した場合であるので、このタイプの実施形態は特に有利である。
【0034】
最初に述べたような本発明のハブの実施形態によると、ハブ軸に対してハブ体を担持するために二つの近接する転がり軸受を使用する場合、釣り合った溝付き転がり軸受、特に構造的に同一の溝付き転がり軸受を使用することが特に好ましく、特に後輪ハブでは、ハブ体に対して回転子を支持するために針状ころ軸受も使用することができる。この場合、前記針状ころ軸受は、半径方向の全体的構造の高さ、したがって総重量を可能な限り少なく維持するよう、内輪又は外輪を一つのみ、又は針状リングを一つのみ備えることが好ましい。
【0035】
さらなる可能な実施形態に関する限り、特に軸受の形状に関して、本出願と同じ日付でドイツ特許庁に出願され、フリーホイール・ハブについて記載した同じ出願人の並行出願(代理人ファイル番号4571P197)を参照されたい。その記述、図及び内容全体は、本出願の開示に組み込まれる。
【0036】
本発明によるハブのさらなる好適な実施形態では、転がり軸受の少なくとも一つ、及び特にハブ体及び/又は回転子を支持する転がり軸受の一つが、浮動軸受として、特に軸方向に浮動する軸受として装着される。前記浮動軸受の取付け精度は、0.02mmと0.5mmの間、好適には、0.05mmと0.15mmの間、特に好適には、約0.1mmである。二つの近接する転がり軸受、又は溝付き玉軸受を、それぞれの場合に支持を提供するため使用する場合は、ハブ体を担持する二つの外側の転がり軸受は、浮動状態で装着された軸受であることが特に好ましいが、とくにそれに制限されない。
【0037】
さらに、軸受は、一方側にのみ軸方向に浮動する軸受として装着することも可能である。後輪ハブでは、被動側でないのはハブの側であることが好ましい。
【0038】
浮動軸受として軸受を装着しない場合、ハブ体、回転子又はハブ軸に軸受を圧入する間に、装着した状態で維持される(わずかな)歪みが生じることがある。特に後輪ハブでは、個々の軸受が歪むと、回転子がわずかな角度のずれを呈することがあり、これはチェーンの変位につながる。したがって、ハブ中心から最も遠位側に位置する本発明のハブの軸受は、浮動軸受として装着することが好ましい。
【0039】
好適には、ハブ軸は、本質的に円筒形の形状で、その外面が二つの環状又は半円錐形のボスを備えることができ、これは各々がハブ中心から逸れた方向の側部に止め部を有することが好ましい。前記後者の止め部は、ハブ軸に対してハブの左側及び右側で転がり軸受を軸方向に固定する働きをする。
【0040】
本発明によるハブのさらなる実施形態は、同じ出願人により1997年7月22日にドイツ特許庁に出願されたドイツ特許出願第19731451.1号又は1998年10月15日にドイツ特許庁に出願されたドイツ特許出願第19847673.6号に記載されたような特徴を含む。したがって、前記出願の内容は、本出願の開示に組み込まれる。
【0041】
本発明によるハブは、埃又は水及び他の汚染物質がハブ体の内部に侵入するのを防止するため、密封手段を備えることが好ましい。
【0042】
後輪ハブとしての実施形態では、回転子とハブ軸の間に少なくとも一つのさらなる密封手段を、回転子とハブ体との間に一つを配置することが好ましい。この密封手段の特殊な形状は、上述したドイツ特許第19731451.1号又はドイツ特許第19847673.6号に記載の記載の通り、又は同じ出願人が本出願と同じ日付でドイツ特許庁に出願した出願(代理人ファイル番号4571P197)の記載の通りに実現することが好ましい。
【0043】
前記密封手段のうち少なくとも一つのラビリンス・シールの下流に、エラストマ・シールを配置することが好ましい。
【0044】
このようなタイプの密封手段の実施形態は、特に二つの、特に異なる密封要素を直列に配置した場合に、極めて高い密封効果が達成されるので、特に有利である。
【0045】
本発明によるハブのさらなる好適な実施形態では、ハブは、本質的に工具を使用せずに手作業で分解することができる。さらに、回転子は、同様に、本質的に工具を必要とせず手作業で除去、あるいは外すことができる。
【0046】
このタイプの形状は、特に高性能スポーツ車ではハブの頻繁なクリーニング及び保守が必要であるので、特に有利である。本発明によるハブは、容易に外され、ラチェット・フリーホイールを使用している場合はラチェット爪、又は玉軸受の玉など、不可欠な部品が外す間でもハブから落下しないよう構成することが好ましい。
【0047】
ハブ軸の少なくとも一方端、好適には、両端に、特に簡単に外せるよう、ハブ軸にねじ込むか、ハブ上に滑らせることができる右側又は左側アダプタ・リングを個々に配置する。
【0048】
本発明によるハブを駆動ハブ、又は後輪ハブとして使用すると、フリーホイール装置が、本質的にハブ軸と同心円上に配置した二つの歯車リングを備えることができ、これにより各々の場合で前記歯車リングが歯付き表面を有する。
【0049】
前記二つの歯車リングの歯付き表面は、プレテンション装置によって相互に押しつけられ、少なくとも一方の歯車リング又は両方の歯車リングが浮動歯車リングのままであり、従ってハブ軸の中心線に対して直角に通る面に対して、少なくとも一つの歯車リングを傾斜させることが可能である。
【0050】
この種のフリーホイール装置は、既に、同じ出願人の上述したドイツ特許出願第19847673.6号又はドイツ特許出願第19731451.1号に記載されている。したがって、本明細書ではそれについて詳述しない。
【0051】
後輪に使用する本発明のハブのさらなる好適な実施形態では、フリーホイール装置は、少なくとも一つ、好適には、二つ、三つ又は四つのラチェット爪を備え、これはラチェット担持装置の周辺に沿って対称に配置することが好ましく、回転子のトルクをハブ体に伝達するため、回転子の内周面の窪み、溝又は網目と係合することが好ましい。
【0052】
ハブ体及び/又はハブ軸は金属で作成することが好ましく、特にアルミニウムなどの軽金属又は軽金属合金から作成することが好ましい。回転子は、同様に金属から作成し、アルミニウム合金から、特に応力負荷が高い場合は鋼鉄から作成することが好ましい。
【0053】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のさらなる利点、特徴及び可能な用途について、実施形態に関して、図面を参照しながら説明する。
【0054】
特に前輪用に設計された本発明のハブ3aの第一の実施形態について、図1及び図2に関して説明する。ハブ3aは、ハブ軸4a及びハブ体1aを備える。
(図1の配列による)ハブ3aの左側には、ハブ軸3aに対してハブ体を回転自在に担持するため、二つの構造的に等しい溝付き玉軸受2が直に隣接して配置される。
【0055】
ハブ中心のより内側に配置された玉軸受2は、ハブ体1aの左端にある止め部36によって、及びより大きい直径を有するハブ37の区域にあるハブ軸の止め部35によって右側に固定される。
【0056】
上記の前記玉軸受2の左側に配置された玉軸受2は、取付精度が約0.1mmで軸方向に浮動する状態で装着された軸受である。玉軸受2は、保守不要であるように設計され、埃及び水に対するシールを備える。これは市販され、高級又は最高級の標準化された軸受であり、非常に多様な数の軸受目的のために工業生産されているので、往々にして工業用軸受とも呼ばれる。
【0057】
玉軸受2の左側、つまりハブ中心から遠い方で、左側アダプタ・リング13をハブ軸4aの端部上に滑動させ、前記リングは、本質的に回転対称になるよう設計される。前記アダプタ・リングは、外側で、ハブのこの側のハブ体を終了させる。V字形の断面を有する環状シールを、ハブ中心に面する側に位置する円筒形の端区間で、アダプタ・リングの外面に配置する。二つのシール壁の間にあるV字形の開口は、本質的に半径方向外側に面する。
【0058】
V字形のシール18を、左側アダプタ・リング13とハブ体1aの左端区間との間に配置する。側部をハブ中心に面して配置されたシール18のシール壁が、ハブ体1aの左端区間にある周辺溝と滑動接触し、したがって外側から進入する埃又は水が玉軸受2の軸受区間に到達することができない。
【0059】
シール18の第二のシール壁の半径方向は、ハブ体1aより前で終了し、したがって軸方向に延在する小さいスロットは、シール18の第一のシール壁と左端区間のハブ体1aとの間で半径方向を維持し、ある種の上流のラビリンス・シールを形成する。
【0060】
可撓性材料で作成したOリング16を受けるため、右端区間でアダプタ・リング13の内周表面に周方向の溝を設ける。前記Oリング16は、左アダプタ・リング13に対してハブ軸4aを密封し、左アダプタ・リング13が軸方向に変位しないよう、追加的に固定する。
【0061】
本発明によるハブ3aの両側は、本質的に対称形に形成される。右手側には、左アダプタ・リング13と構造的に等しい右アダプタ・リング12を配置する。同じ方法で、ハブ軸4aに対してハブ体を回転自在に担持するため、ハブ軸4aの右手区間に二つの等しい玉軸受2を配置する。
【0062】
ハブ中心に向かって位置合わせされ、ハブ4aの右手側にある玉軸受2の内側レース表面を有する内輪は、ハブ軸4aの軸方向ボスの区間にある止め部35によって軸方向に支持され、前記玉軸受の外側レース表面を有する外輪は、ハブ体1aの止め部38によってハブ中心に向かって軸方向に支持される。
【0063】
本発明によるハブ軸4aの内径41は約12mmであり、個々のアダプタ・リングの端区間にある左、又は右アダプタ・リング12、13の外径38より大きく、前記アダプタ・リングは、ハブをフレーム又はフォーク内でそれぞれ維持するため、自転車のフレーム・ドロップアウトに挿入するよう設けられる。
【0064】
図2は、図1による実施形態の本発明のハブ軸4aを通る断面図を示す。ハブ軸4aは、本質的に円筒形に形成され、区間、又は右又は左端区間付近に配置され、直径が大きくなり、ハブ中心から逸れた方向の側で突然に減少する止め部35を有するカラー37を備える。
【0065】
本発明によるハブ軸の内径41は12mmであり、直径は最小で少なくとも11.8mmでよいが、最大で12mmを超えてはならない。外径42は15mmであり、玉軸受が配置される端区間の公差は15μm未満である。ハブ軸4aの最大直径43は、前輪ハブでは17.5mm、後輪ハブでは18.5mmである。
【0066】
次に、本発明による後輪ハブ4bについて、図3及び図4に関連して説明する。
ハブ3bはハブ軸4b、ハブ体1b、フリーホイール装置6、8及び回転子5を備える。
【0067】
自身上に圧入又は配置されたローレット・ディスク17を有する右アダプタ・リング12が、ハブ3bを右側で終了させ、左側には左アダプタ・リング13が配置される。図1及び図2に関して本発明のハブ3aで既に述べたように、アダプタ・リング12、13はそれぞれ、シール18及びOリング16を備える。
【0068】
ハブ体1bは、ハブの左端区間に配置された溝付き玉軸受2によって、及びハブ体1bの右端区間に配置された二つの溝付き玉軸受30によって、ハブ軸4bに対して回転自在に装着される。
【0069】
フリーホイール装置は、ハブ軸4bに対して同心円上に配置された二つの歯車リング6を備え、前記歯車リングは、ばね8によって相互に押しつけられる。前記ばね8は、それと同時に、歯車リング6に浮動状態での支持を提供する働きもし、したがってこれがハブ軸の軸方向中心線に対して直角の面に対して傾斜できるようにする。
【0070】
それでも、前記歯車リングの一方のみを、歯車リングに浮動状態で装着することも可能である。浮動状態で装着される一つ又は二つの歯車リングを有するこのようなフリーホイール装置の形状及び機能的特徴に関する詳細な記述は、上述したドイツ特許出願第19847673.6号及び第19731451.1号で提供され、本明細書ではそれを参照する。特に、フリーホイール装置の詳細な形状については、ドイツ特許出願第19847673.6号の図1、図4a、図4b、図5a、図5b、図5cを参照し、したがって本明細書では同じことを繰り返さない。
【0071】
ハブ中心に向かって配置された歯車リング6は、好適には、硬化鋼で作成したハブ体1bにねじ込むねじ7によって囲まれる。
回転子は、二つの溝付き玉軸受2によってハブ軸に対して回転自在に装着され、これによりスペーサ・チューブ11を前記溝付き玉軸受2間に配置する。回転子の内周面は、中心区間に溝を備え、その中にロック・リング10を配置する。
【0072】
カバー・ディスク14を、右アダプタ・リング12と回転子の間に配置する。
水及び埃が前記ハブの内部に侵入するのを防止するため、ハブ中心に向かって配向された回転子5の端区間で、回転子5とハブ体1bとの間にシール9を配置する。
【0073】
本発明によるハブ軸4aの内径51は約12mmであり、左又は右のアダプタ・リング12、13の外径38より大きい。
【0074】
図4は、ハブ軸4bの断面図を示す。ハブ軸4bは、本質的に円筒形の形状であり、直径が拡大した二つの区間、あるいはカラー37を備える。
【0075】
ハブ軸4bの内径51は、ハブ軸4aの内径41に対応し、ハブ軸4bの外径52は、ハブ軸4aの外径42に対応する。肉厚54は3mmであり、ハブ軸4aの肉厚44と等しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による前輪用ハブの実施形態の断面図である。
【図2】 図1による実施形態のハブ軸を通る断面図である。
【図3】 本発明による後輪用ハブのさらなる実施形態の断面図である。
【図4】 図3による実施形態のハブ軸を通る断面図である。
【符号の説明】
1a,1b ハブ体
2 溝付き玉軸受
3a,3b ハブ
4a,4b ハブ軸
5 回転子
6 歯車リング
7 ねじ
8 ばね
9 シール
10 ロック・リング
11 スペーサ・チューブ
12,13 アダプタ・リング
14 カバー・ディスク
16 Oリング
17 ローレット・ディスク
18 シール
19 取付けディスク
30 溝付き玉軸受
35,36 止め部
37 ハブ(隆起)
37 カラー(リング)
38,41,42,43 直径
44 肉厚
51,52 直径
54 肉厚
Claims (22)
- 自転車のハブであって、中空のハブ軸と、転がり軸受によって前記ハブ軸に対して回転自在に装着されたハブ体とを備え、前記転がり軸受がそれぞれ、相互に対してそれぞれ所定の距離に配置された転がり体を備え、前記ハブ軸が、自転車のフレーム・ドロップアウトに挿入するよう設けた第一の直径区間を備え、前記ハブ軸が、さらに、ハブ軸の中間部に配置された第二の直径区間を備え、前記第二の直径区間が外径及び内径を備え、前記第二の直径区間の内径が、前記第一の直径区間の外径と等しい、又はそれより大きく、
前記ハブ軸(4a;4b)の少なくとも一端にアダプタリング(12;13)が配設され、該アダプタリングが前記ハブ軸にOリングによって固定されており、
前記ハブ軸の前記第一の直径区間は、該ハブ軸における前記アダプタリングが設けられた端部においては前記アダプタリングによって提供されている
ことを特徴とするハブ。 - 請求項1記載のハブにおいて、少なくとも一つの前記アダプタリング(12;13)が前記ハブ軸(4a;4b)にねじ込むかハブ軸上に滑らせて取り付けられることを特徴とするハブ。
- 請求項1又は2記載のハブにおいて、軸受保持器を有する全転がり軸受の転がり体が、所定の距離で配置されることを特徴とするハブ。
- 請求項1ないし3の何れか一項記載のハブにおいて、前記転がり軸受が、溝付き玉軸受及び/又は針状ころ軸受であることを特徴とするハブ。
- 請求項4記載のハブにおいて、前記転がり軸受が埃及び/又は水に対するシールを備え、保守不要であることを特徴とするハブ。
- 請求項1ないし5の何れか一項記載のハブにおいて、前記転がり軸受の少なくとも一つが浮動軸受として装着されていることを特徴とするハブ。
- 請求項6記載のハブにおいて、前記ハブ体を担持する二つの外側の軸受が浮動軸受とされていることを特徴とするハブ。
- 請求項6又は7記載のハブにおいて、前記浮動軸受の取付け精度が0.02mmと0.5mmの間であることを特徴とするハブ。
- 請求項1ないし8の何れか一項記載のハブにおいて、前記ハブ軸が円筒形の形状であることを特徴とするハブ。
- 請求項9記載のハブにおいて、前記ハブ軸の外面が、前記転がり軸受の一つの直接突き当たる少なくとも一つの止め部を備えていることを特徴とするハブ。
- 請求項1ないし10の何れか一項記載のハブにおいて、前記ハブが、工具を使用せずに手作業で取り外し可能であることを特徴とするハブ。
- 請求項1ないし11の何れか一項記載のハブにおいて、自転車の後輪用であって、さらに、少なくとも一つの転がり軸受によって、前記ハブ軸に対して回転自在に装着された回転子と、前記回転子と前記ハブ体との間に配置されたフリーホイール装置とを有するハブ。
- 請求項12記載のハブにおいて、前記回転子が、工具を使用せずに手作業で除去又は抽出できることを特徴とするハブ。
- 請求項12又は13記載のハブにおいて、前記フリーホイール装置が、前記ハブ軸と同心円上に配置された二つの歯車リングを備え、その歯付き表面が、プレテンション装置によって相互に向かって押しつけられ、それによって一方又は両方の歯車リングが浮動歯車リングとして保持されることを特徴とするハブ。
- 請求項12ないし14の何れか一項記載のハブにおいて、前記フリーホイール装置が少なくとも一つのラチェット爪を備えることを特徴とするハブ。
- 請求項1ないし11の何れか一項記載のハブにおいて、前記ハブ軸と前記ハブ体との間に少なくとも一つの密封手段を配置することを特徴とするハブ。
- 請求項12ないし15の何れか一項記載のハブにおいて、前記ハブ軸と前記ハブ体との間に少なくとも一つの密封手段を配置することを特徴とするハブ。
- 請求項17記載のハブにおいて、前記回転子と前記ハブ体との間に少なくとも一つのさらなる密封手段を配置することを特徴とするハブ。
- 請求項16ないし18の何れか一項記載のハブにおいて、前記密封手段が、少なくとも一つのエラストマ密封要素を備えることを特徴とするハブ。
- 請求項16ないし18の何れか一項記載のハブにおいて、少なくとも一つの密封手段が少なくとも一つのラビリンス・シールを備えることを特徴とするハブ。
- 自転車用の車輪であって、請求項1ないし請求項20の何れか一項記載のハブを有する車輪。
- 請求項1ないし請求項20の何れか一項記載のハブを少なくとも一つ有する自転車。
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