JP4777698B2 - 針用糸通し器 - Google Patents
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Description
また、特許文献1の糸通し器以外の針穴の向きの矯正手段としては、例えば、針挿入孔の形状が針を挿入する方向に従って細くなるように形成し、針挿入孔に針を挿入したときに、細形状である針の頭部側を針挿入孔の向きに一致させた状態で挿入させるようにし、これにより糸通し孔と針穴を連通させた状態とすることで糸通しできるようにしたものがある。
針穴の位置がずれると、この針穴位置と糸係止部材の摺動位置が合わなくなり、針穴に糸通しできなくなることがあった。
また、針挿入孔の形状を針を挿入する方向に従って細くした糸通し器の場合にも、挿入した針の太さによって針穴の上下方向にずれが生じたり、或は、例えば、小さい針穴の針を挿入したときに針穴と糸通し孔との挿通位置が合わないなどの問題が生じていた。
このように、これらの糸通し器は、針の径や種類が異なる場合には糸通しすることができず、これらに対応させるためには、例えば、細径針用と太径針用からなる2種類の糸通し機構を設ける必要があった。この場合、糸通し器全体が大型化したり、内部構造が複雑になるという問題があり、また、この糸通し器を用いて糸通しする際には、あらかじめ針の種類や径などの違いを確認してから該当する針挿入穴に挿入する必要があり、誤った針挿入穴に針をセットした場合、糸通しができなくなるばかりか、糸通し器本体が壊れるおそれもあった。
従って、特許文献2の糸通し器は、プッシャの先端側を針の長手方向に変位させることで異なる高さの針穴に挿入し、径の異なる針の糸通しに対応できるとはしているものの、実際には、正しい針穴の向きで挿着できないことがあった。このように、針挿入針に挿着できる径のサイズは、内部の構造上限られたものとなり、糸通しできる針の種類は狭い範囲に限られていた。このため、結果的に、細径針から太径針までの糸通しをカバーするためには、上記と同様に大径用と細径用の糸通し機構を別々に設けるか、或は、別の糸通し器を用意する必要が生じていた。
また、内部機構が複雑化することがないためコストを抑えることもでき、小型化も可能な針用糸通し器である。
図1、図2において、本発明の針用糸通し器を分解した状態を示しており、図中1a(又は1b)は、糸通し器の器体1を構成する一対のハウジングのうちの1つである。
分割ハウジング1a、1bは、合成樹脂、例えばポリアセタール等の熱可塑性樹脂等で形成し、載置面側に向けてテーパ状に形成し、この載置面側を針挿入側よりも大きくすることで作業机等の載置面上に置いた際に安定するようにしている。
一方、細径針A2を針挿入穴に挿入すると、この細径針A2の扁平状の頭部H2は細径針用装着溝9よりも小さいため、細径針A2は太径針用装着溝7から細径針用装着溝9まで下がり、この細径針用装着溝9に収まる。
このように、太径針用装着溝7は本実施形態においては太径針A1挿着用の溝であり、太径針A1の針穴O1の向きを調整可能に設けている。また、この太径針用装着溝7の下部に設けた細径針用装着溝9は細径針A2挿着用の溝であり、細径針A2の針穴O2の向きを制御可能に設けている。太径針用装着溝7は、最も太い部類の針を挿入可能な大きさに形成し、一方、細径針用装着溝9は、最も細い部類の針を挿入可能な細さに形成するのが望ましい。
針挿入筒3の内側面には、分割面に沿って針挿入穴5(4)の開口部から底部近傍の糸通し穴6付近まで、針挿入穴5(4)に連通する図示しないスリットを設けている。
操作部材10は合成樹脂等で成形され、その内側には弾性を有する合成樹脂等で成形したストッパ片31を装着している。このストッパ片31は、図14、図15に示すように、長尺状の板バネ部31aと、この板バネ部31aの先端側にカム部材30の係止面30cの上端面側から係止可能に一部を切り欠いて形成したストッパ部31bを設けている。 操作部材10を押圧すると、ストッパ部31bが係止面30cに係止した状態を保つため、操作部材10と後述のカム部材30は一体となって下方に移動する。
糸係止片14は、針穴Oの横幅よりも薄い金属板によって鎌状に形成し、その先端部位を針穴Oの縦幅よりも細くなるようにして、この糸係止片14の回動軌跡に合わせた略円弧状に形成している。糸係止片14は、例えば、ステンレス鋼板を材料として形成すればよいが、これ以外の材料であってもよく、例えば、形状記憶合金によって形成するようにすれば、強い力が加わって変形した場合でも自然に元の形状に戻り、内部機構の故障などを防ぐことができる。
糸係止片14の先端面15側は、図13に示すように略U字形を呈し、この先端側は、下片15aが上片15aより突出するように形成し、糸Bをこの先端面15に係止したときには、この糸Bが上片15aと下片15bとの間の溝状部位に埋まるように配置して、糸係止片14先端が角度θを有する略斜め形状を呈するようにしている。
リンク部材33は、突設して形成した突状軸部33aを押圧部30aに形成した図示しない挿通穴に挿通させながら分割ハウジング1a、1bに設けた図示しない挿入穴に挿入して回動自在に軸支し、下部に設けた係止突部33bを押圧部30aの底面側に係止している。この状態で突状軸部33aの外周側にトーションスプリング34を装着することにより、リンク部材33の係止突部33bをカム部材30の押圧部30aに対して弾発させた状態で係止し、カム部材30とリンク部材33を一体に動作可能に設けている。カム部材30やリンク部材33は、例えば、ポリアセタール樹脂により形成している。
カム部材30の下端には、このカム部材30が上方向に弾発付勢するようにハウジング1a、1bとの間にコイルスプリング12を設けており、通常時においては、カム部材30は上昇付勢しているので、これに伴って作動部材11,11を内側に回動した状態を維持している。
カム部材30と操作部材10は、それぞれコイルスプリング12、コイルバネ32によって独立した状態で上方に弾発付勢しているが、通常時は、カム部材30の係止面30cにおいてストッパ片31のストッパ部31bに係止しているため、操作部材10とカム部材30とは一体の状態で上方に押し上げられている。
また、図1、図2のように、刃21を必要に応じてハウジング1a、1bの上部に設けるようにし、この刃21の切断面側に略L字状の溝状部位を形成すれば、この溝状部位内に糸Bを案内して刃21により糸を安全に切ることができる。
23は器体1の下面側に装着したマグネットであり、このマグネット23により、落下した針を磁着して拾ったり未使用時に針を磁着することができ、作業性が向上する。
また、針Aを挿入する部位として、縦穴を有する針と丸穴を有する針を挿入可能な針挿入部である針挿入穴4、5を個別に配置している。
図9に示すように、糸Bを太径針A1に糸通しする場合には、針挿入穴4、5に太径針A1の針穴O1を下にして挿入すると、この太径針A1は、ガイド16によって太径針用装着溝7まで案内される。このとき、針穴O1が糸通し穴6に対して直交する方向を向いている場合であっても、太径針A1の扁平状の頭部H1部分がガイド16に案内されて回転し、扁平状に形成した太径針用装着溝7に対して修正された状態で適切な向きに進入するため、針穴O1の向きを気にする必要なく針を挿入できる。
頭部H1の扁平部分の幅は、細径針用の細径針用装着溝9の幅よりも大きいため、太径針A1は細径針用装着溝9まで進入することがなく、この太径針A1の頭部H1は、太径針用装着溝7に確実に挿着された状態で維持され、このとき、針穴O1は糸通し穴6と連通した状態となる。
次いで、細径針A2の頭部H2が細径針用装着溝9よりも小さい場合には、この頭部H2は太径針用装着溝7まで進入してからガイド部17によって案内されて扁平状の細径針用装着溝9まで進入し、この細径針用装着溝9に挿着された状態となる。このとき、針穴O2の向きが適切な状態に修正され、細径針A2の針穴は、図10のように糸通し穴6と連通した状態となる。
以上のように、針A1、A2、A3の太い針から細い針までの何れの太さの針であっても、針穴O1、O2、O3を糸通し穴6とそれぞれ連通させることができ、図5に示すように、糸係止片14が摺動するときの標準点(糸係止片14が摺動したとき糸Bを係止する位置)Pが各針穴O1、O2、O3内に位置するため、後述のように糸係止片14によって確実に糸通しできる。また、本例においては、細径針A1、太径針A2、中間径針A3を挿着する場合について説明したが、細径針A1から太径針A3までの間のあらゆる径に対応できることは勿論であり、例えば、細径針用装着溝9の下部に細径針A2より細い針用の形態案内部13を設けるようにした場合、極細径の針を挿入した場合でも、確実にこの針を案内することができる。
一方、図10に示した細径針A2に対して糸通しする際には、図5のように針穴O3が標準点Pに対して上下に狭くなり、操作部材10を押圧した当初は針穴O2に対して糸係止片14の下片15b側のみが挿入し、上片15aは図11のように細径針A2の側面側に接触した状態となる。しかし、この状態から操作部材10を押圧すると、糸Bを係止した状態の糸係止片14の先端面15側は角度θの略斜め形状となっているため、糸Bが針A2との接触部位において緩衝しながら、図12のように針A2を上方に持ち上げて糸係止片14を針穴O2に通すことができる。
上記においては、糸係止片14が細径針A2の端部に接触するまでの動作と、これ以降の糸通し時の動作に分けて説明したが、上片15aが円弧面であることによって、糸係止片14が細径針A2を持ち上げる動作は極めて滑らかに行われるため、実際の糸通し作業時には違和感を感じることなく太径針A1の場合と同様にスムーズに糸通しすることができる。
更に、糸係止片14が摺動すると、図8のように、この押し上げられた糸Bの一方側は、糸係止片14の一側面に密接しながら摺動し、また、糸Bの他方側は、糸係止片14の上面側に分かれた状態で針穴Oに入るので、針穴Oの幅が狭い場合でも容易に糸Bを針穴Oに挿入させることができ、糸がほつれたりするのを防ぐこともできる。
このような状態でさらに押圧力を加えようとした場合には、操作部材10からカム部材30に押圧力が加わり、このカム部材30からリンク部材33に押圧力が伝達する際に、この押圧力はトーションスプリング34によって緩和されるため、糸係止片14側に更に強い力が加わることがない。また、ストッパ片31のストッパ部31bとカム部材30の係止面30cとの接触面に押圧力が加わっているため、カム部材30が押圧可能な最下位付近まで到達すると、ストッパ片31に設けた斜面部31cが本体の突部1dに接触し、斜面部31cが突部1dに沿って摺動して板バネ部31aが弾発力に抗して反り、係止面30cとストッパ部31bとの係止が外れる。
この場合、両方の針挿入筒3、3に針を挿入した状態で、どちらか一方側の糸通しが困難な状態であっても、上記の作用は同様に働き、押圧力が緩和されて糸係止片14と針に押圧力が加わり続けることがない。
4、5 針挿入穴
7 太径針用装着溝
9 細径針用装着溝
10 操作部材
14 糸係止片
A 針
B 糸
O 針穴
Claims (2)
- 器体に針への糸通し操作をするための操作部材と、この操作部材と連動する糸係止部を備えた針用糸通し器において、前記器体に設けた筒形状の針挿入穴の下方部位に扁平状の頭部を有する太径針を挿入する太径針用装着溝を横断面からみて扁平形状に形成し、前記太径針用装着溝の下部に扁平状の頭部を有する細径針を挿入する細径針用装着溝を横断面からみて扁平形状に形成し、前記針挿入穴と前記太径針用装着溝の上部との間にすり鉢状のガイド部を設け、前記太径針用装着溝の下部と前記細径針用装着溝の上部との間にすり鉢状のガイド部をそれぞれ設けて挿入した針の向きを正常位置に修正すると共に、前記糸係止部の先端には、針穴と交差する方向に作動して糸を針穴に糸通しする糸係止片を設け、この糸係止片で前記太径針用装着溝又は細径針用装着溝に位置する針の針穴の一部を係止して当該針を持ち上げて正常位置に制御するようにしたことを特徴とする針用糸通し器。
- 前記器体の下面側にマグネットを装着した請求項1記載の針用糸通し器。
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