JP4775605B2 - 非水電解液二次電池用電極板の製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池用電極板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池に用いられる電極板の製造方法に関するものである。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、高エネルギー密度、高電圧を有し、また充放電時におけるメモリ効果(完全に放電させる前に電池の充電を行なうと次第に電池容量が減少していく現象)が無いことから、携帯機器、及び大型機器など様々な分野で用いられている。また近年、電気自動車、ハイブリッド自動車そしてパワーツールなどの高出力特性が必要とされる分野における二次電池の使用が注目されている。
上記非水電解液二次電池は、正極、負極、セパレータ、及び有機電解液から構成される。そして上記正極及び負極としては、金属箔などの集電体表面に、電極活物質層形成溶液を塗布して成された電極活物質層を備えるものが一般に用いられている。
上記電極活物質層形成溶液は、放電可能な活物質、結着材、及び導電材(但し活物質が導電効果も発揮する場合には、導電材は省略される場合がある)、あるいはさらに、必要に応じてその他の材料を用い、有機溶媒中で混練及び/又は分散させて、スラリー状に調製される。そして電極活物質層形成溶液を集電体表面に塗布し、次いで乾燥して集電体上に塗膜を形成し、プレスすることにより電極活物質層を備える電極板を製造する方法が一般的である(例えば特許文献1段落[0019]乃至[0026]、特許文献2[請求項1]、段落[0051]乃至[0055])。
このとき、電極活物質層形成溶液に含有される活物質は、該溶液に分散する粒子状の化合物であって、集電体表面に塗布されただけでは該集電体表面に固着され難く、結着材を含まない電極活物質層形成溶液を集電体に塗布して乾燥して塗膜を形成しても、該塗膜は集電体から容易に剥離してしまう。すなわち、結着材を介して電極活物質が結着するとともに集電体表面に固着されて、電極活物質層が形成される。したがって結着材は実質的には必須の成分であった。
また電極活物質層における各活物質と集電体との電子伝導性を良好に確保し、電極活物質層自体の体積抵抗率を下げるために上記導電材が用いられている。
特開2006−310010号公報 特開2006−107750号公報
上述のとおり、近年、特に電気自動車、ハイブリッド自動車そしてパワーツールなどの高出力特性が必要とされる分野に向けて大容量の二次電池の開発が進められている。また携帯電話の比較的小型の装置に用いられる二次電池であっても、装置が多機能化される傾向にあるために、容量だけでなく高出力特性及び高速充放電特性についても期待されている。これに対し二次電池において高出力及び高速充放電を実現するためには、電池のインピーダンスを下げる必要がある。インピーダンスが高い電池では、高出力放電時及び高速充電時にその容量を充分に生かすことができないなどの問題があるからである。
二次電池のインピーダンスを下げるには、電極板のインピーダンスを下げることが効果的であり、これまでにも電極板に形成される電極活物質層を薄膜化し、電極面積を大きくする方法が知られている。また、リチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液は、一般的に水系電解液に比べて抵抗が高いことから、開発当初から鉛蓄電池などの他の電池に比べて、薄く広い面積の電極を使用し、かつ正極と負極との極板間距離を短くする形態が開発されている。
しかしながら、電極活物質層における活物質以外の成分の存在も勘案すると、層の厚みを薄くするにも限界があり、実質的には電極活物質層の厚みの下限は数十μm程度までであった。
本発明者は、電極活物質層の薄膜化を物理的に困難にしている要因の1つとして、電極活物質層中における結着材の存在に着目した。上述のとおり、これまで結着材は、実質的に電極活物質層の必須成分として用いられていたが、結着材の存在により電極活物質層の嵩が増し、物理的に電極活物質層の厚みが増加する結果となっていた。またさらに本発明者は、活物質間に結着材が存在することにより、イオン及び電子の移動距離が長くなってしまうという問題、および電極活物質層における電解液の浸透性が低くなり、且つ該電解液と活物質との接触面積が小さくなってしまうという問題があることを見出した。そしてこれらの問題を生じさせる結着材が、電極板の高出力化に対してマイナスの要因の1つとなっていることが推察された。
本発明は上記の実状に鑑みて成し遂げられたものであり、結着材を用いずとも、集電体表面に良好に活物質が固着し、剥離しがたい電極活物質層を備える集電体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、結着材を用いずに活物質同士を接合することにより該活物質を集電体表面に固着させる手段の1つとして、リチウム塩と適当な金属塩等が溶解される溶液を集電体表面に塗布して加熱することによって、該集電体表面上でリチウム遷移金属複合酸化物を生成することによれば、生成されたリチウム遷移金属複合酸化物同士が少なくとも部分的に接合し集電体表面に固着され、密着性の良好な塗膜を形成することができることを見出し、非水電解液二次電池用電極板の製造方法の発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)リチウム元素含有化合物と、遷移金属を含む金属元素含有化合物の1種あるいは2種以上とが少なくとも溶解される電極活物質層形成溶液を調製し、
上記電極活物質層形成溶液を集電体表面の少なくとも一部に塗布して塗膜を形成し、
次いで上記塗膜が形成された集電体に対して熱源を塗膜面側に設置して150℃以上の温度で加熱して該集電体表面上にリチウム遷移金属複合酸化物を生成することによって電極活物質層を形成することを特徴とする非水電解液二次電池用電極板の製造方法、
(2)上記電極活物質層形成液に、導電材が含有されていることを特徴とする上記(1)に記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法、
(3)厚みが、1μm以上である電極活物質層を形成することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法、
(4)厚みが、10μm以上である電極活物質層を形成することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法、
を要旨とするものである。
非水電解液二次電池用電極板の製造方法である本発明の製造方法は、従来のように活物質として粒子状のリチウム遷移金属複合酸化物をあらかじめ塗工液中に分散させ、これを集電体表面に塗布して乾燥させ、圧着させる方法とは異なり、リチウム塩と適当な金属塩などが含有された塗工液を集電体表面に塗布して加熱する方法が採用される。この方法によれば、活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物は集電体表面で生成されるが、このとき活物質同士は少なくとも部分的に互いに接合して集電体に固着されるため、結着材を使用することなく電極活物質層が形成される。
また本発明の製造方法により、集電体表面において生成されるリチウム遷移金属複合酸化物は非常に小さな粒子として形成されるため、電極活物質層の1重量単位当たりの表面積を増大させることができ、この結果、膜厚が薄くても、望ましい電気容量が確保されるという点でも優れている。
本発明の非水電解液二次電池用電極板断面の電子顕微鏡写真である。 実施例1における正極活物質層のX線回折装置(XRD)の結果を示すグラフである。
[非水電解液二次電池用電極板]
本発明の非水電解液二次電池用電極板の製造方法により製造される非水電解液二次電池用電極板(以下、「本発明の非水電解液二次電池用電極板」あるいは「本発明の電極板」と言う場合がある)は、集電体と、該集電体表面に活物質同士が少なくとも部分的に接合することにより固着されて構成される電極活物質層を備える。以下に、本発明の非水電解液二次電池用電極板の形態について説明する。
本発明の非水電解液二次電池用電極板は、例えば、
(1)集電体の表面の少なくとも一部に、活物質から構成される電極活物質層を備える非水電解液二次電池用電極板であって、上記電極活物質層は、上記活物質同士が部分的に接合することにより、該活物質が連続的に存在してなる層構造によって形成され、且つ、電解液が浸透可能な空隙を有する多孔質の層であることを特徴とする非水電解液二次電池用電極板であってよく、
(2)上記電極活物質層を構成する活物質が、リチウム遷移金属複合酸化物であることを特徴とする上記(1)に記載の非水電解液二次電池用電極板であってよく、
(3)上記電極活物質層の膜厚が、300nm以上10μm以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の非水電解液二次電池用電極板であってよく、
(4)電子顕微鏡観察における実測値の算術平均において、上記空隙形成層を構成する活物質の平均最小粒径が、10nm以上100nm未満であり、且つ平均最大粒径が110nm以上900nm未満であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の非水電解液二次電池用電極板であってよく、
(5)1Cの放電レートで放電した際の放電容量維持率を100%としたときに、50C以上の放電レートにおいて放電容量維持率が50%以上であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の非水電解液二次電池用電極板であってよく、
(6)上記電極活物質層に導電材が含有されていることを特徴とする上記(1)乃至(5
)のいずれか1つに記載の非水電解液二次電池用電極板であってよい。
また、本発明の非水電解液二次電池用電極板を用いる非水電解液二次電池は、
(7)正極板と、負極板と、上記正極板と上記負極板との間に介在するセパレータと、非水溶媒を含む電解液とを備えた少なくとも備えた非水電解液二次電池であって、上記正極板及び上記負極板の少なくともいずれか一方が、上記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の非水電解液二次電池用電極板であることを特徴とする非水電解液二次電池であってよい。
本発明の非水電解液二次電池用電極板は、非常に高い出力特性を示すことができる。本発明の非水電解液二次電池液用電極板の高出力化を可能とした要因の少なくとも1つは、当該電極板における電極活物質層が、結着材の存在に依らず集電体表面に活物質が互いに接合することにより固着されているため、従来の電極活物質層に比べてイオン及び電子の移動距離が短縮化されたことによると思われる。
また本発明の電極板では、電極活物質層に実質的に結着材が含まれないため、300nm〜10μm程度まで電極活物質層を薄膜化することが可能である。しかも本発明にの電極板おける電極活物質層では結着材が存在しないことから、結着材が使用されている従来の電極活物質層と比較して、相対的に活物質の単位重量が増大しており、薄膜化によっても、良好な電気容量を維持することが可能である。
さらに、本発明の電極板における電極活物質層は、適度な空隙が存在することにより、電解液が良好に浸透し、且つ、イオンの挙動の弊害になりうる結着材が存在しないため、イオンがスムーズに移動可能であり、その結果、高出力充放電を可能とするものと思われる。また集電体と活物質間の電子の伝導もスムーズである
したがって、本発明の電極板における電極活物質層は、結着材だけでなく、導電材をも含まずに構成することができる。導電材がなくても、良好な導電性が保たれる上、導電材が排除された分、さらに電極活物質層中における相対的な活物質の単位重量が増大し、より高出力充放電化に優れた非水電解液二次電池用電極を提供することが可能である。
一方、本発明の電極板における電極活物質層には、活物質に加えて導電材を含有させることもでき、かかる態様の本発明では、実質的に活物質のみからなる電極活物質層よりも膜厚は厚くなるが、その分、活物質自体の量も増加させることができ、高出力化に加えて高容量化が図れる点で優れている。
そして、上記本発明の非水電解液二次電池用電極板を、正極板及び上記負極板の少なくともいずれか一方として用いる非水電解液二次電池であれば、非常に高い出力特性が示される。
(集電体)
本発明に用いられる集電体は、一般的に非水電解液二次電池用正極板の正極集電体として用いられるものであれば、特に限定されない。例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔、銅箔などの単体又は合金から形成されているもの、もしくはカーボンシート、カーボン板、及びカーボンテキスタイル等の高い導電性を有する箔ものが好ましく用いられる。
上記集電体の厚みは、一般に非水電解液二次電池用正極板または負極板の集電体として使用可能な厚みであれば特に限定されないが、10〜100μmであることが好ましく、15〜50μmであることがより好ましい。
(電極活物質層)
本発明の電極板における電極活物質層の特徴を説明するために、図1を示す。図1は、本発明の非水電解液二次電池用電極板における活物質層の様子を示すため、集電体面に垂直な方向で切断した電極板断面について、電子顕微鏡により倍率50,000倍で観察した際の写真である。図1に示すとおり、本発明の非水電解液二次電池用電極板1は、集電体2上に、活物質からなる電極活物質層3が形成されている。その電極活物質層3は、活物質同士が部分的に接合することにより、該活物質が連続的に存在してなる層構造によって形成され、且つ、電解液が浸透可能な空隙を複数有する多孔質の層として形成されている。
尚、電極活物質層に関し「電解液が浸透可能な空隙」とは、活物質同士が部分的に接合することにより、その周囲に形成される空隙であって、電子顕微鏡において50,000倍の倍率で観察した際に、肉眼において観察される程度の空隙を意味する。
本発明の電極板における電極活物質層3は、一般的に非水電解液二次電池用電極板において用いられる放電可能な活物質から構成される。上記活物質の例として、例えばLiCoO、LiMn、LiNiO、LiFeO、LiTiO、LiFePOなどのリチウム遷移金属複合酸化物などが挙げられる。
本発明の非水電解液二次電池用電極板は、非水電解液二次電池の正極板、負極板のいずれか一方として用いることができ、あるいは正極板及び負極板の両方に本発明の電極板を用いてもよい。特に、正極板としての使用は、多くの金属酸化物が適用できるという点で用途範囲が広く、さらに従来の負極と合わせて使用できるので好ましい。また、負極板としての使用は、密着性が優れるためにサイクル特性が良好になるという観点から好ましい。両極に用いた場合には、高速充放電が可能な上、サイクル特性が良好になる。
上述する本発明の電極板における電極活物質層は、結着材を介さず、活物質同士が接合し集電体表面に固着することにより塗膜形成されるため、従来の電極活物質層の厚みに比べて非常に薄く形成することができる。より具体的には、本発明の電極板における電極活物質層は、300nm以上、10μm以下の膜厚に形成することが可能である。ただし、上記記載は、本発明の電極板における電極活物質層を10μmを上回る厚みで形成することを除外する趣旨ではない。さらに容量を増大させたい場合には、適宜、電極活物質層の厚みを決定することができる。尚、本発明の電極板における電極活物質層を10μmを上回る厚みで形成する場合には、導電材を電極活物質層形成溶液に添加することが望ましい。
本発明の電極板における電極活物質層3を構成する活物質の粒子の大きさは、特に限定されるものではないが、従来の電極活物質層を構成する一般的な活物質の粒径よりも小さいという特徴を有する。電極板の高出力化を図るためには、粒径が小さい方が好ましく、この観点から、電極活物質層3を構成する活物質のサイズは、電子顕微鏡観察結果を画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(株式会社マウンテック製、MAC VIEW)を用いて測定し、平均最小粒径が10nm以上100nm未満であり、平均最大粒径が110nm以上900nm未満であることが好ましく、平均最大粒径については110nm以上300nm未満であることがより好ましい。尚、後述する本発明の非水電解液二次電池用電極板の製造方法によれば、容易に、上述に示される非常に小さい粒径で電極活物質層3を構成することができる。
また、上述のとおり電極活物質層3を構成する活物質の粒径が小さいことによれば、上記電極活物質層の1重量単位当たりの表面積を、従来に比べて増大することができる。上記表面積は、活物質と電解液との接触面積と理解されるため、表面積を増大させることは、電極板の高出力化が促進されることを意味するため好ましい。
(その他の材料)
電極活物質層3は、上述する活物質のみから構成することが可能であるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、さらなる添加剤が含有されていてもよい。たとえば、本発明において導電材を使用することなく良好な導電性が確保されることは上述のとおりであるが、これは、本発明において導電材を使用することを除外する趣旨ではない。本発明の電極活物質層3には、適宜、導電材を含有させてもよい。導電材を添加した場合であっても、電極活物質層の厚みを10μm以下にすることができる。また導電材を添加するとともに、活物質の量も増やすことによって、電極活物質層3の厚みを、10μmを上回る厚みに形成してもよい。
上記導電材としては、通常、非水電解液二次電池用電極板に用いられるものを使用することができ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック等の炭素材料が例示される。導電材の平均一次粒径は20nm〜50nm程度であることが好ましい。上記平均一次粒径は、活物質の粒径を測定する方法と同様に、電子顕微鏡による実測から求められる算術平均により求められる。導電材を使用する場合には、特に電極活物質層3における空隙が、電解液が浸透可能な程度に維持されることに留意する必要がある。
また別の任意の添加剤として、集電体と活物質との密着性をさらに向上させるために、
活物質として機能しない金属酸化物を電極活物質層3に含有させてもよい。上記添加剤としての金属酸化物は、特に限定されるものではないが、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化マンガン等を挙げることができる。
(電極の出力評価方法)
本発明の非水電解液二次電池用電極板の出力性能は、放電容量維持率(%)を求めることにより評価することができる。より具体的には、活物質の有する放電容量(mAh/g)の理論値を1時間で放電終了となるよう放電レート1Cを設定し、設定された1Cの放電レートにおいて実際に測定された放電容量(mAh/g)を放電容量維持率100%とする。そしてさらに放電レートを高くしていった場合の放電容量(mAh/g)を測定し、以下の数1より放電容量維持率(%)を求めることができる。
本発明において、50%以上の放電容量維持率が50C以上の放電レートにおいて示されることが望ましい。さらに望ましくは、50%以上の放電容量維持率が100C以上の放電レートにおいて示されることが望ましい。ただし放電レートが2000C以上になると大電流に耐えうるシステムが必要となってしまうために望ましくない。
また別の観点から評価すれば、放電容量維持率が高い方が望ましく、放電レートが50Cである場合に、放電容量維持率が50%以上、あるいは80%以上、さらには100%の放電容量維持率が示されることが望ましい。
尚、上記放電容量は、三極式ビーカーセルにより電極自体の放電容量を測定することにより求められる。
[非水電解液二次電池用電極板の製造方法]
次に、本発明の非水電解液二次電池用電極板の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう)について説明する。本発明の製造方法は、活物質の前駆体となる化合物を溶媒に溶解することによって電極活物質層形成溶液を準備し、これを集電体表面に塗布した後、加熱することによって、集電体表面においてリチウム遷移金属複合酸化物などの活物質を生成して電極活物質層を形成し、非水電解液二次電池用電極板を製造するものである。このとき、上記電極活物質形成溶液には結着材が実質的に添加されず、集電体表面において活物質が生成される際に、該活物質同士が互いに接合するとともに集電体表面に密着することを利用して、集電体表面に活物質が固着された塗膜を形成するものである。以下に、さらに詳しく本発明の製造方法について説明する。
(活物質前駆体)
上記電極活物質層形成溶液は、集電体表面に生成される活物質を構成する金属を含有する金属元素含有化合物を活物質の前駆体として用い、これを溶媒に溶解させることによって調製することができる。上記金属元素含有化合物として、リチウム元素含有化合物と、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄またはチタンなどの遷移金属から選択されるいずれかの金属元素を含む金属元素含有化合物の1種あるいは2種以上とが用いられる。
上記金属元素含有化合物としては、リチウム元素あるいはコバルト等の他の金属元素の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、酢酸塩、リン酸塩、臭素酸塩等を挙げることができる。中でも、本発明においては、塩化物、硝酸塩、酢酸塩は汎用品として入手が容易なので、使用することが好ましい。とりわけ、硝酸塩は広範囲の種類の集電体に対して製膜性がよいので、好ましく使用される。
例えば、最終的に集電体上にLiCoOを生成するための活物質前駆体としては、Liからなる化合物、及びCoからなる化合物を主原料として組み合わせて用いることができ、さらに、必要に応じてその他の原料を組み合わせて用いることもできる。
上記Liからなる化合物としては、例えば、クエン酸リチウム四水和物、過塩素酸リチウム三水和物、酢酸リチウム二水和物、硝酸リチウム、及びりん酸リチウム等が挙げられ、また、Coからなる化合物としては、例えば、塩化コバルト(II)六水和物、蟻酸コバルト(II)二水和物、コバルト(III)アセチルアセトナート、コバルト(II)アセチルアセトナート二水和物、酢酸コバルト(II)四水和物、しゅう酸コバルト(II)二水和物、硝酸コバルト(II)六水和物、塩化コバルト(II)アンモニウム六水和物、亜硝酸コバルト(III)ナトリウム、及び硫酸コバルト(II)七水和物等が挙げられる。
主原料として用いるLiからなる化合物、及びCoからなる化合物の組み合わせ割合(Li:Co=X:1)は、特に限定されないが、1≦X<2であることが好ましく、1≦X≦1.2であることがより好ましい。
上記組み合わせ割合が、上記範囲外である場合には、所望の性能を有する正極板を効率良く製造することができない場合がある。
また例えば、最終的に集電体上に、最終的に集電体上にLiNiOを生成するための活物質前駆体としては、Liからなる化合物、及びNiからなる化合物を主原料として組み合わせて用いることができ、さらに、必要に応じてその他の原料を組み合わせて用いることもできる。
Liからなる化合物としては、例えば、クエン酸リチウム四水和物、過塩素酸リチウム三水和物、酢酸リチウム二水和物、硝酸リチウム、及びりん酸リチウム等が挙げられ、また、Niからなる化合物としては、例えば、塩化ニッケル(II)六水和物、酢酸ニッケル(II)四水和物、過塩素酸ニッケル(II)六水和物、臭化ニッケル(II)三水和物、硝酸ニッケル(II)六水和物、ニッケル(II)アセチルアセトナート二水和物、次亜りん酸ニッケル(II)六水和物、及び硫酸ニッケル(II)六水和物等が挙げられる。
主原料として用いるLiからなる化合物、及びNiからなる化合物の組み合わせ割合(Li:Ni=X:1)は、特に限定されないが、1≦X<2であることが好ましく、1≦X≦1.2であることがより好ましい。
上記組み合わせ割合が、上記範囲外である場合には、所望の性能を有する正極板を効率良く製造することができない場合がある。
また例えば、最終的に集電体上にLiMnを生成するための活物質前駆体としては、Liからなる化合物、及びMnからなる化合物を主原料として組み合わせて用いることができ、さらに、必要に応じてその他の原料を組み合わせて用いることもできる。
Liからなる化合物としては、例えば、クエン酸リチウム四水和物、過塩素酸リチウム三水和物、酢酸リチウム二水和物、硝酸リチウム、及びりん酸リチウム等が挙げられ、また、Mnからなる化合物としては、例えば、酢酸マンガン(III)二水和物、硝酸マンガン(II)六水和物、硫酸マンガン(II)五水和物、しゅう酸マンガン(II)二水和物、及びマンガン(III)アセチルアセトナート等が挙げられる。
主原料として用いるLiからなる化合物、及びMnからなる化合物の組み合わせ割合(Li:Mn=X:1)は、特に限定されないが、0.5≦X<1であることが好ましく、0.5≦X≦0.6であることがより好ましい。
上記組み合わせ割合が、上記範囲外である場合には、所望の性能を有する正極板を効率良く製造することができない場合がある。
また例えば、最終的に集電体上にLiFeOを生成するための活物質前駆体としては、原料としては、Liからなる化合物、及びFeからなる化合物を主原料として組み合わせて用いることができ、さらに、必要に応じてその他の原料を組み合わせて用いることもできる。
Liからなる化合物としては、例えば、クエン酸リチウム四水和物、過塩素酸リチウム三水和物、酢酸リチウム二水和物、硝酸リチウム、及びりん酸リチウム等が挙げられ、また、Feからなる化合物としては、例えば、塩化鉄(II)四水和物、クエン酸鉄(III)、酢酸鉄(II)、しゅう酸鉄(II)二水和物、硝酸鉄(III)九水和物、乳酸鉄(II)三水和物、及び硫酸鉄(II)七水和物等が挙げられる。
主原料として用いるLiからなる化合物、及びFeからなる化合物の組み合わせ割合(Li:Fe=X:1)は、特に限定されないが、1≦X<2であることが好ましく、1≦X≦1.2であることがより好ましい。
上記組み合わせ割合が、上記範囲外である場合には、所望の性能を有する正極板を効率良く製造することができない場合がある。
また例えば、最終的に集電体上にLiTiOを生成するための活物質前駆体としては、Liからなる化合物、及びTiからなる化合物を主原料として組み合わせて用いることができ、さらに、必要に応じてその他の原料を組み合わせて用いることもできる。
Liからなる化合物としては、例えば、クエン酸リチウム四水和物、過塩素酸リチウム三水和物、酢酸リチウム二水和物、硝酸リチウム、及びりん酸リチウム等が挙げられ、また、Tiからなる化合物としては、例えば、四塩化チタン、及びチタンアセチルアセトナート等が挙げられる。
主原料として用いるLiからなる化合物、及びTiからなる化合物の組み合わせ割合(Li:Ti=X:1)は、特に限定されないが、1≦X<2であることが好ましく、1≦X≦1.2であることがより好ましい。
上記組み合わせ割合が、上記範囲外である場合には、所望の性能を有する正極板あるいは負極板を効率良く製造することができない場合がある。
上記リチウム元素含有化合物と、それ以外の金属元素含有化合物とを含む溶液中の、リチウム元素及びそれ以外の金属元素の濃度の合計は、0.01〜5mol/L、特に0.1〜2mol/Lが好ましい。上記濃度を0.01mol/L以上とすることにより、集電体と該集電体表面で生成される活物質とを良好に密着性させることができ、活物質の固着が図られる。また、上記濃度を、5mol/L以下とすることにより、上記電極活物質層形成溶液を集電体表面へ良好に塗布できる程度の良好な粘度を維持することができ、均一な塗膜を形成することができる。
(その他の添加剤)
また上記電極活物質層形成溶液には、上述する金属元素化合物以外にも、導電材あるいは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、その他の添加剤を添加してもよい。上記導電材及びその他の添加剤は、本発明の電極活物質層の説明において記載した内容と同様のものを用いることができる。
導電材を電極活物質層形成溶液に添加する場合には、集電体表面上において生成される活物質100重量部に対して、導電材の添加量を5重量部〜20重量部にすることが望ましい。尚、上述は、20重量を超えて導電材を添加することを除外する趣旨ではないが、本発明の電極板における電極活物質層は、20重量部以下の導電材の使用で充分に優れた導電性を発揮させることができるという趣旨である。
(溶媒)
上記リチウム元素含有化合物及びその他の金属を含有する金属元素化合物を溶解するために用いられる溶媒としては、上記リチウム元素含有化合物を含む上記金属元素含有化合物を溶解することができるものであれば、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等の総炭素数が5以下の低級アルコール、アセチルアセトン、ジアセチル、ベンゾイルアセトン等のジケトン類、アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル蟻酸エチル等のケトエステル類、トルエン、およびこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
次に、上述のとおり調製された電極活物質層形成溶液を、従来公知の塗布方法、例えば、印刷法、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレーコート等によって、集電体表面の任意の領域に塗布して塗膜を形成する。また、集電体表面が多孔質であったり
、凹凸が多数設けられていたり、三次元立体構造を有したりする場合には、上記方法以外に手動で塗布することも可能である。尚、本発明において使用する集電体は、必要に応じて、予めコロナ処理や酸素プラズマ処理等を行うことで、電極活物質層の製膜性をさらに改善することができるため好ましい。
上記電極活物層形成溶液の集電体への塗布量は、製造される電極板の用途等に応じて任意に決めることができるが、本発明の電極板における電極活物質層は、上述のとおり非常に薄く形成することが可能であるため、薄膜化を図りたい場合には、加熱後の電極活物質層が300nm〜10μm程度となるように薄く塗布してよい。以上の通り、基板に電極層形成用溶液を塗布することにより、活物質の前駆体である金属元素化合物が含有される電極活物質層形成用塗膜が形成される。
次いで、上記電極活物質層形成用の塗膜が表面に形成された集電体を加熱する。このとき溶液中に溶解している金属元素化合物の分解温度以上の温度で加熱することにより、集電体表面に活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物が生成される。しかも上記活物質は、結着材は実質的に使用されないが、互いに接合し集電体表面に固着されるため、集電体に対し密着性の良好な電極活物質層が得られる。本製造方法では、上記電極活物質層が適切に形成されるために、上記電極活物質層形成用の塗膜表面側に熱源を設置することを特徴とする。上記熱源の設置方法は特に限定されないが、熱源装置を電極活物質層形成用塗膜表面側に設置してもよいし、あるいは適切な温度に加温されたホットプレート上において、該ホットプレートの表面と電極活物質層形成用塗膜表面とが接する位置に設置することによって加熱してもよい。
上記加熱温度は用いられる金属元素化合物の種類によって異なるが、通常150℃〜800℃の温度範囲に加熱することにより良好に金属元素化合物の分解が行われ、活物質が生成される。上記加熱方法としては、特に限定されるものではないが、熱源装置として、例えば、ホットプレート、オーブン、加熱炉、赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、熱風送風機等のいずれかを使用するか、あるいは2以上を組み合わせて使用する方法を挙げることができる。用いられる集電体が平面状である場合には、ホットプレート等を使用することが好ましい。
あるいは、上述のとおり、集電体の塗膜表面側を加熱した後に、さらに、150℃〜800℃の温度範囲で集電体の両面側を加熱してもよい。上記両面側を加熱する場合には、熱源の設置される位置は、例えば、当該両面側に熱源装置を設置する態様、あるいは加熱炉などに電極活物質層形成用塗膜が積層形成された集電体を設置して、両面側を同様の環境で加熱する態様を含む。
[非水電解液二次電池]
非水電解液二次電池は、一般的には、正極板及び負極板間と、これらの間にポリエチレン製多孔質フィルムのようなセパレータが設けられて構成されており、これらが容器内に収納され、且つ容器内に非水電解液が充填された状態で密封されて製造される。
(電極板)
本発明の製造方法により製造される非水電解液二次電池用電極板を用いる非水電解液二次電池(以下、「本発明の非水電解液二次電池」ともいう)は、特に、正極板及び負極板の少なくとも一方が、上述する本発明の非水電解液二次電池用電極板(以下、単に「本発明の電極板」ともいう)を用いることを特徴とする。
特に、従来、負極板が炭素質材料より構成される場合には、これにあわせて正極板の導電性を上げるために正極板に導電材料を多量に添加することが一般的であったが、このために正極板の空隙率が低下し、電解液の浸透性が低下することにより電池の出力を増大させることが困難であった。しかしながら本発明の電極板は高出力可能な電極板であるので、これを正極板として用いた場合には、従来のように導電材を多量に用いることなく、あるいは導電材を全く用いることなく、良好な導電性及び高出力を可能とする。
また非水電解液二次電池では、負極板に用いられる負極活物質として、炭素質材料ではなく、金属リチウム及びその合金、スズ、シリコン、及びそれらの合金等、リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を用い、負極板を構成する態様も存在し、かかる態様の電池においては、本発明の電極板を負極として積極的に使用して、非水電解液二次電池を製造することができる。
また本発明の電極板を、正極板および負極板の両方に用いて非水電解液二次電池を構成することもできる。
尚、本発明の非水電解液二次電池において、正極または負極のいずれか一方において、
本発明の電極板を用いる場合には、他方の電極板は、非水電解液二次電池において使用される従来公知の電極板を適宜使用することができる。
従来公知の正極板としては、一般的には本発明の電極板において用いられる集電体と同様の集電体表面上の少なくとも一部に、リチウム遷移金属複合酸化物などの活物質粒子、導電材、結着材などが分散された溶液を塗布して、乾燥し、必要に応じてプレスすることにより形成されたものが使用される。
一方、従来公知の負極板としては、集電体として厚み5〜50μm程度の電解銅箔や圧延銅箔等の銅箔を用い、上記集電体表面の少なくとも一部に、負極板における電極活物質層形成溶液を塗布して、乾燥し、必要に応じてプレスすることにより形成されたものが使用される。上記負極板における電極活物質層形成溶液には、一般的に、天然グラファイト、人造グラファイト、アモルファス炭素、カーボンブラック、またはこれらの成分に異種元素を添加したもののような炭素質材料からなる活物質、あるいは、金属リチウム及びその合金、スズ、シリコン、及びそれらの合金等、リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料などの活物質、および結着材、必要に応じて導電材などの他の添加剤が分散混合されることが一般的である。
(非水電解液)
本発明に用いられる非水電解液は、一般的に、非水電解液二次電池用の非水電解液として用いられるものであれば、特に限定されないが、リチウム塩を有機溶媒に溶解させた非水電解液が好ましく用いられる。
上記リチウム塩の例としては、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF
、LiCl、及びLiBr等の無機リチウム塩;LiB(C、LiN(SO
CF、LiC(SOCF、LiOSOCF、LiOSO
LiOSO、LiOSO11、LiOSO13、及びLiO
SO15等の有機リチウム塩;等が代表的に挙げられる。
リチウム塩の溶解に用いられる有機溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、
環状エーテル類、及び鎖状エーテル類等が挙げられる。
上記環状エステル類としては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、及びγ−バレロラクトン等が挙げられる。
上記鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、及び酢酸アルキルエステル等が挙げられる。
上記環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオ・BR>Lソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、及び1,4−ジオキソラン等が挙げられる。
上記鎖状エーテル類としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、及びテトラエチレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。
上記正極板、負極板、セパレータ、非水電解液を用いて製造される電池の構造としては、従来公知の構造を適宜選択して用いることができる。例えば、正極板及び負極板を、ポリエチレン製多孔質フィルムのようなセパレータを介して渦巻状に巻き回して、電池容器内に収納する構造が挙げられる。また別の態様としては、所定の形状に切り出した正極板及び負極板をセパレータを介して積層して固定し、これを電池容器内に収納する構造を採用してもよい。いずれの構造においても、正極板及び負極板を電池容器内に収納後、正極板に取り付けられたリード線を外装容器に設けられた正極端子に接続し、一方、負極板に取り付けられたリード線を外装容器内に設けられた負極端子に接続し、さらに電池容器内に非水電化液を充填した後、密閉することによって非水電解液二次電池が製造される。
(実施例1)
活物質を生成する原料(溶質)としてLiNO[分子量:68.95]を6.9g、及びCo(NO・6HO[分子量:291.03]を29g用い、これらの原料をメタノール30gに加えて溶解させ、さらにポリエチレングリコール400を0.2g加え、エクセルオートホモジナイザー(株式会社日本精機製作所)で5000rpmの回転数で15分間混練することによって電極活物質層形成溶液を調製した。
そして、集電体として厚さ15μmのアルミ板を準備し、最終的に得られる電極活物質層の厚みが1μmとなる量で、当該集電体の一面側に上記にて調製した電極活物質層形成溶液をミヤバーで塗布して電極活物質層形成用塗膜を形成した。
次に、表面に電極活物質層形成用塗膜が形成された集電体を、400℃に加熱したホットプレートに、電極活物質形成用塗膜が形成された側からゆっくり近づけて接触させ、10分間保持した。続けて常温の状態の電気炉内に設置し、目的の温度である600℃まで5時間かけて昇温させ、その後600℃を保って1時間加熱して電気炉内から取り出し、集電体上に正極活物質層として適切な電極活物質層が積層された本発明の非水電解液二次電池用電極板を得た。そして上記電極板を所定の大きさ(縦2cm×横2cm)に裁断し、実施例1とした。尚、上記加熱は、電極活物質形成用塗膜が形成された側を加熱するためにホットプレート(アズワン社製)と、その後に集電体の両面側から加熱するために電気炉としてマッフル炉(デンケン社製、P90)を使用した。
<密着性試験>
実施例1について、以下のとおり密着性試験を実施し、集電体に対し電極活物質層の剥離性について測定し、以下のとおり評価した。
セロテープ(登録商標)(ニチバン社製、CT−15)を、上記電極活物質層表面に貼り、次いで剥がしとった際、セロテープ側に電極活物質層の転写量が30%未満であった場合に○、30%以上〜90%未満であった場合に△、90〜100%であった場合に×とした。なお、%はセロテープに締める転写された膜の面積を示す。
上述で得られた、実施例1を室温になるまで放置した後、走査型電子顕微鏡(SEM)、及びX線回折装置(XRD)を用いて50,000倍の倍率で、集電体面に対し垂直方向に切断した断面を観察したところ、集電体表面上に、電極活物質層として1μmの膜厚であって粒子状のLiCoOからなる層が成膜されており、且つ、LiCoOが互いに部分的に接合するとともにその周囲に空隙が形成されていることが確認された。また上記電子顕微鏡観察により得られた電子顕微鏡写真により、電極活物質層を構成する粒子の粒径を、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(株式会社マウンテック製、MAC VIEW)を用いて粒子20点を測定し、平均最小粒径として粒径の小さい順番に5点、平均最大粒径として粒径の大きい順番に5点、のそれぞれついて算術平均を求めたところ、平均最小粒径が24nm、平均最大粒径が120nmであった。尚、図2に実施例1の電極活物質層のX線回折測定結果を表すグラフを示す。図2に示すように、本発明の電極活物質層は、LiCoOで構成されていることを確認した。尚、以下に示す実施例2乃至6における粒子状の電極活物質についても、同様にX線回折測定によりその存在を確認したが、グラフについては図示省略する。
<三極式ビーカーセルの作製>
エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)混合溶媒(体積比=1:1)に、溶質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を加えて、当該溶質であるLiPFの濃度が、1mol/Lとなるように濃度調整して、非水電解液を調製した。
正極板として上述のとおり作製した実施例1(縦2cm×横2cm、含有される正極活物質の重量:1.0mg/4cm)を作用極として用い、対極板及び参照極板としてニッケルメッシュ上に金属リチウム箔を圧着した金属リチウム板、電解液として上記にて作製した非水電解液を用い、各電極板(正極板、対極板、参照極板)には、予めスポット溶接機を用いてリード線(ニッケル線)を取り付けた後、三極式ビーカーセルを組み立て、これを実施例試験セル1とした。そして実施例試験セル1を下記充放電試験に供した。
<充放電試験>
上述のとおり作成した三極式ビーカーセルである実施例試験セル1において、作用極の放電試験を実施するために、まず実施例試験セル1の下記充電試験のとおり満充電させた。
充電試験:
実施例試験セル1を、25℃の環境下で、電圧が4.2Vに達するまで定電流(52μA)で定電流充電し、当該電圧が4.2Vに達した後は、電圧が4.2Vを上回らないように、当該電流(放電レート:1C)が5%以下となるまで減らしていき、定電圧で充電を行ない、満充電させた後、10分間休止させた。尚、ここで、上記「1C」とは、上記三極式ビーカーセルを用いて定電流放電して、1時間で放電終了となる電流値(放電終止電圧に達する電流値)のことを意味する。また上記定電流は、実施例試験セル1における作用極において、活物質であるコバルト酸リチウムの理論放電量130mAh/gが1時間で放電されるよう設定された。
放電試験:
その後、満充電された実施例試験セル1を、25℃の環境下で、電圧が4.2V(満充電電圧)から3.0V(放電終止電圧)になるまで、定電流(52μA)(放電レート:1C)で定電流放電し、縦軸にセル電圧(V)、横軸に放電時間(h)をとり、放電曲線を作成し、作用極(実施例1である正極用電極板)の放電容量(mAh)を求め、当該作用極の単位重量当たりの放電容量(mAh/g)に換算した。
続いて、上述のとおり実施した定電流(52μA)(放電レート:1C、放電終了時間:1時間)での定電流放電試験を基準として、20倍の定電流(1.04mA)(放電レート:20C、放電終了時間:3分)、50倍の定電流(2.60mA)(放電レート:50C、放電終了時間:1.2分)、100倍の定電流(5.20mA)(放電レート:100C、放電終了時間:0.6分)においても、同様にして各々定電流放電試験を行ない、各放電レートにおける作用極の放電容量(mAh)を求め、これより単位重量当たりの放電容量(mAh/g)を換算した。
<放電容量維持率(%)の算出>
作用極の出力特性(放電レート特性)を評価するため、上述のとおり得られた各放電レートにおける単位重量当たりの各放電容量(mAh/g)を用い、上述で示した数1により放電容量維持率(%)を求めた。尚、上記放電試験により得られた単位重量当たりの放電容量(mAh/g)及び放電容量維持率(%)は、いずれも表1にまとめて示す。
(比較例1)
正極活物質の原料として平均粒径10μmのLiCoO粉末80重量部、導電剤としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)10重量部、及び結着材としてPVDF(クレハ社製、KF#1100)10重量部に、有機溶媒であるNMP(三菱化学社製)を加えて、分散させ、固形分濃度が55重量%となるようにエクセルオートホモジナイザー(株式会社日本精機製作所)で5000rpmの回転数で15分間攪拌して、スラリー状の正極活物質層用塗工組成物を調製した。そして上記にて調製した正極活物質用塗工組成物を、正極集電体として用いる厚さ15μmのアルミ箔上に、乾燥後の正極活物質層用塗工組成物の塗工量が50g/mとなるように塗布し、オーブンを用いて、120℃の空気雰囲気下で20分乾燥させて、集電体表面上に正極用の電極活物質層を形成した。さらに、形成された電極活物質層の塗工密度が2.0g/cm(正極活物質層の厚さ:25μm)となるように、ロールプレス機を用いてプレスした後、所定の大きさ(2cm×2cm)に裁断し、120℃にて12時間、真空乾燥させて、非水電解液二次電池正極用の電極板を作製し、これを比較例1とした。比較例1について、実施例1と同様に密着性試験を行った結果、密着性評価は△であった。
<三極式ビーカーセルの作製>
上述のとおり作製された比較例1を作用極に用いた以外は、実施例試験セル1と同様に三極式ビーカーセルを組み立て、これを比較例試験セル1とした。
<充電試験及び放電試験>
比較例試験セル1について、各放電レートにおける定電流を、定電流(1.2mA)(放電レート:1C、放電終了時間:1時間)、定電流(23.4mA)(放電レート:20C、放電終了時間:3分)、定電流(58.5mA)(放電レート:50C、放電終了時間:1.2分)、定電流(117.0mA)(放電レート:100C、放電終了時間:0.6分)としたこと以外は、実施例試験セル1と同様に充電試験及び放電試験を実施し、各放電レートにおける作用極の放電容量(mAh)を求め、これより単位重量当たりの放電容量(mAh/g)を換算した。また実施例試験セル1と同様に、数1を用いて、放電容量維持率(%)を求めた。結果については、表1にまとめて示す。
(実施例2)
活物質を生成する原料(溶質)としてLiNO[分子量:68.95]を6.9g、及びコバルト(II)アセチルアセトナート二水和物(関東化学社製)[分子量:293.18]を30g用いたこと以外は実施例1と同様に電極活物質層形成溶液を調製した。そして、ミヤバーの代わりにアプリケーター0.5milで塗布したこと以外は、実施例1と同様の方法及び条件で、電極活物質層形成用塗膜を形成し加熱して裁断し、本発明の非水電解液二次電池用の正極用の電極板を作製し、実施例2とした。実施例2について、実施例1と同様に密着性試験を行った結果、密着性評価は○であった。
上述で得られた、実施例2について室温になるまで放置し、実施例1と同様の方法で、集電体面に対し垂直方向に切断した断面を観察したところ、集電体表面上に、電極活物質層として1μmの膜厚であって粒子状のLiCoOからなる層が成膜されており、且つ、LiCoOが互いに部分的に接合するとともにその周囲に空隙が形成されていることが確認された。また実施例1と同様の方法で、電極活物質層を構成する粒子の粒径を求めたところ、平均最小粒径が22nm、平均最大粒径が130nmであった。
<充電試験及び放電試験>
実施例2(縦2cm×横2cm、含有される正極活物質の重量:0.9mg/4cm)を正極板である作用極として用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で三極式ビーカーセルを作製し、実施例試験セル2とした。そして実施例1と同様に充放電試験した。なお、実施例試験セル2の充放電試験における定電流は52μAであった。上記放電試験により得られた単位重量当たりの放電容量(mAh/g)及び放電容量維持率(%)は、いずれも表1にまとめて示す。
(実施例3)
活物質を生成する原料(溶質)としてLiNO[分子量:68.95]を3.3g、及びCo(NO・6HO[分子量:291.03]を10g用いたこと以外は実施例1と同様に電極活物質層形成溶液を調製した。そして、塗布量を最終的に得られる電極活物質層の厚みが300nmとなる量に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法及び条件で、電極活物質層形成用塗膜を形成し加熱して裁断し、本発明の非水電解液二次電池正極用の電極板を作製し、実施例3とした。実施例3について、実施例1と同様に密着性試験を行った結果、密着性評価は○であった。
上述で得られた、実施例3について室温になるまで放置し、実施例1と同様の方法で、集電体面に対し垂直方向に切断した断面を観察したところ、集電体表面上に、電極活物質層として300nmの膜厚であって粒子状のLiCoOからなる層が成膜されており、且つ、LiCoOが互いに部分的に接合するとともにその周囲に空隙が形成されていることが確認された。また実施例1と同様の方法で、電極活物質層を構成する粒子の粒径を求めたところ、平均最小粒径が30nm、平均最大粒径が140nmであった。
<充電試験及び放電試験>
実施例3(縦2cm×横2cm、含有される正極活物質の重量:0.35mg/4cm)を正極板である作用極として用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で三極式ビーカーセルを作製し、実施例試験セル3とした。そして実施例1と同様に充放電試験した。なお、実施例試験セル3の充放電試験における定電流は20μAであった。上記放電試験により得られた単位重量当たりの放電容量(mAh/g)及び放電容量維持率(%)は、いずれも表1にまとめて示す。
(実施例4)
活物質を生成する原料(溶質)としてLiNO[分子量:68.95];6.9g及びCo(NO・6HO[分子量:291.03];29gを用い、これらの原料をメタノール18gに加えて溶解させ、さらにポリエチレングリコール400;20gを加えたこと以外は実施例1と同様に電極活物質層形成溶液を調製した。そして、塗布量を最終的に得られる電極活物質層の厚みが10μmとなる量に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法及び条件で、電極活物質層形成用塗膜を形成し加熱して裁断し、本発明の非水電解液二次電池正極用の電極板を作製し、実施例4とした。実施例4について、実施例1と同様に密着性試験を行った結果、密着性評価は○であった。
上述で得られた、実施例4について室温になるまで放置し、実施例1と同様の方法で、集電体面に対し垂直方向に切断した断面を観察したところ、集電体表面上に、電極活物質層として10μmの膜厚であって粒子状のLiCoOからなる層が成膜されており、且つ、LiCoOが互いに部分的に接合するとともにその周囲に空隙が形成されていることが確認された。また実施例1と同様の方法で、電極活物質層を構成する粒子の粒径を求めたところ、平均最小粒径が98nm、平均最大粒径が250nmであった。
<充電試験及び放電試験>
実施例4(縦2cm×横2cm、含有される正極活物質の重量:7.15mg/4cm)を正極板である作用極として用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で三極式ビーカーセルを作製し、実施例試験セル4とした。そして実施例1と同様に充放電試験した。なお、実施例試験セル4の充放電試験における定電流は410μAであった。上記放電試験により得られた単位重量当たりの放電容量(mAh/g)及び放電容量維持率(%)は、いずれも表1にまとめて示す。
(実施例5)
活物質を生成する原料(溶質)としてLiNO[分子量:68.95]を6.9g、及びCo(NO・6HO[分子量:291.03]を29g用い、これらの原料をメタノール18gに加えて溶解させ、さらにポリエチレングリコール400を20gと、アセチレンブラック(電気化学工業社製 デンカブラック)を1.2g加えたこと以外は実施例1と同様に電極活物質層形成溶液を調製した。そして、塗布量を最終的に得られる電極活物質層の厚みが10μmとなる量に変更したこと、及び加熱条件を300℃に加熱したホットプレートに、電極活物質形成用塗膜が形成された側からゆっくり近づけて接触させ、10分間保持し、続けて150℃に加熱された電気炉内に設置し、目的の温度である550℃まで6時間かけて昇温させ、その後550℃を保って1時間加熱して電気炉内から取り出すよう変更した以外は、実施例1と同様の方法及び条件で、電極活物質層形成用塗膜を形成し加熱して裁断し、本発明の非水電解液二次電池正極用の電極板を作製し、実施例5とした。実施例5について、実施例1と同様に密着性試験を行った結果、密着性評価は○であった。
上述で得られた、実施例5について室温になるまで放置し、実施例1と同様の方法で、集電体面に対し垂直方向に切断した断面を観察したところ、集電体表面上に、電極活物質層として10μmの膜厚であって粒子状のLiCoOからなる層が成膜されており、且つ、LiCoOが互いに部分的に接合するとともにその周囲に空隙が形成されていることが確認された。また実施例1と同様の方法で、電極活物質層を構成する粒子の粒径を求めたところ、平均最小粒径が88nm、平均最大粒径が190nmであった。
<充電試験及び放電試験>
実施例5(縦2cm×横2cm、含有される正極活物質の重量:6.9mg/4cm)を正極板である作用極として用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で三極式ビーカーセルを作製し、実施例試験セル5とした。そして実施例1と同様に充放電試験した。なお、実施例試験セル5の充放電試験における定電流は390μAであった。上記放電試験により得られた単位重量当たりの放電容量(mAh/g)及び放電容量維持率(%)は、いずれも表1にまとめて示す。
(実施例6)
活物質を生成する原料(溶質)としてTiCl[分子量:189.68]を10.5g、及びLiNO[分子量:68.95]を3.06g用い、これらの原料にメタノール36gを加え、さらにポリエチレングリコール400を42g加えたこと以外は実施例1と同様に電極活物質層形成溶液を調製した。
そして、塗布量を最終的に得られる電極活物質層の厚みが700nmとなる量に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法及び条件で、電極活物質層形成用塗膜を形成し加熱して裁断し、本発明の非水電解液二次電池負極用の電極板を作製し、実施例6とした。実施例6について、実施例1と同様に密着性試験を行った結果、密着性評価は○であった。
上述で得られた、実施例6について室温になるまで放置し、実施例1と同様の方法で、集電体面に対し垂直方向に切断した断面を観察したところ、集電体表面上に、電極活物質層として700μmの膜厚であって粒子状のLiTi12からなる層が成膜されており、且つ、LiTi12が互いに部分的に接合するとともにその周囲に空隙が形成されていることが確認された。また実施例1と同様の方法で、電極活物質層を構成する粒子の粒径を求めたところ、平均最小粒径が11nm、平均最大粒径が110nmであった。
<充電試験及び放電試験>
作用極に、上記負極板として作製した実施例6(縦2cm×横2cm、含有される正極活物質の重量:0.7mg/4cm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で三極式ビーカーセルを作製し、実施例試験セル6を得た。そして実施例1と同様に充放電試験を実施した。より具体的には、25℃の環境下で、電圧が1.3に達するまで定電流(54μA)で定電流充電し、当該電圧が1.3Vに達した後は、電圧が1.3Vを下回らないように、当該電流(放電レート:1C)が5%以下となるまで減らしていき、定電圧で充電を行ない、満充電させた後、10分間休止させた。また上記定電流は、実施例試験セル6における作用極において、活物質であるチタン酸リチウムの理論放電量170mAh/gが1時間で放電されるよう設定された。その後、満充電された実施例試験セル6を、25℃の環境下で、電圧が1.3V(満充電電圧)から2.0V(放電終止電圧)になるまで、定電流(54μA)(放電レート:1C)で定電流放電し、縦軸にセル電圧(V)、横軸に放電時間(h)をとり、放電曲線を作成し、作用極(実施例6である負極用電極板)の放電容量(mAh)を求め、当該作用極の単位重量当たりの放電容量(mAh/g)に換算した。上記放電試験により得られた単位重量当たりの放電容量(mAh/g)及び放電容量維持率(%)は、いずれも表1にまとめて示す。
(実施例7)
実施例1の正極用電極板と、実施例6の負極用電極板を組み合わせ、実施例1と同様の手順で三極式ビーカーセルを作製し、下記の通り充放電試験を実施した。なお、充放電試験における定電流は52μAであった。上記放電試験により得られた単位重量当たりの放電容量(mAh/g)及び放電容量維持率(%)は、いずれも表1にまとめて示す。
<充電試験および放電試験>
実施例試験セル7を、25℃の環境下で、電圧が3.3Vに達するまで定電流(52μA)で定電流充電し、当該電圧が3.3Vに達した後は、電圧が3.3Vを上回らないように、当該電流(放電レート:1C)が5%以下となるまで減らしていき、定電圧で充電を行ない、満充電させた後、10分間休止させた。
その後、満充電された実施例試験セル7を、25℃の環境下で、電圧が3.3V(満充電電圧)から1.0V(放電終止電圧)になるまで、定電流(52μA)(放電レート:1C)で定電流放電し、縦軸にセル電圧(V)、横軸に放電時間(h)をとり、放電曲線を作成し、作用極(実施例1である正極用電極板)の放電容量(mAh)を求め、当該作用極の単位重量当たりの放電容量(mAh/g)に換算した。
(比較例2)
結着材としてPVDF(クレハ社製、KF#1100)を7重量部としたこと以外は、
比較例1と同様に正極用の電極板を作製して比較例試験セル2を作製し、評価した。放電容量維持率(%)などの評価結果については、表1にまとめて示す。
(比較例3)
結着材としてPVDF(クレハ社製、KF#1100)を0重量部としたこと以外は、
比較例1と同様に実験した。しかし結着材が添加されていないために電極活物質層が集電体に密着せず、三極式ビーカーセルの試験を実施することができなかった。
以上より、実施例1乃至6及び比較例1及び2は、放電レートが1Cの場合には、その放電容量維持率は100%を示したが、放電レートを上げると、比較例1及び2における放電容量維持率の低下が著しく、充放電性能が低いことが示された。
一方、実施例1乃至6は、放電レートを上げても、高い放電容量維持率が示され、本発明において確かに充放電性能が向上していることが確認された。
また、結着材の添加量が異なる比較例1と比較例2では、結着材の添加量が少ない比較例2の充放電性能の方が高く、結着材の存在が、電極の充放電性能に直接的に関係していることが示された。
また正極板として作製した実施例1と、負極板として作製した実施例6とを用いてセルを組み、その充放電性能を確認した実施例7においても、同様に充放電性能が高いことが確認され、本発明の電極を用いた非水電解液二次電池の充放電性能が高いことが示された。即ち、実施例7の結果は、対極として用いた実施例6の負極のレート特性が金属リチウムと同程度に高いため、作用極における本発明の実施例1の性能が良好に評価されたものといえる。したがって、実施例7では、実施例1及び実施例6のいずれもの性能が示され、これらを用いた非水電解液二次電池の充放電性能が高いことが示された。
1 非水電解液二次電池液用電極板
2 集電体
3 電極活物質層

Claims (4)

  1. リチウム元素含有化合物と、遷移金属を含む金属元素含有化合物の1種あるいは2種以上とが少なくとも溶解される電極活物質層形成溶液を調製し、
    上記電極活物質層形成溶液を集電体表面の少なくとも一部に塗布して塗膜を形成し、
    次いで上記塗膜が形成された集電体に対して熱源を塗膜面側に設置して150℃以上の温度で加熱して該集電体表面上にリチウム遷移金属複合酸化物を生成することによって電極活物質層を形成することを特徴とする非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
  2. 上記電極活物質層形成液に、導電材が含有されていることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
  3. 厚みが、1μm以上である電極活物質層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
  4. 厚みが、10μm以上である電極活物質層を形成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の非水電解液二次電池用電極板の製造方法。
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