JP4774528B2 - ハードウエアシミュレータ - Google Patents

ハードウエアシミュレータ Download PDF

Info

Publication number
JP4774528B2
JP4774528B2 JP2004089845A JP2004089845A JP4774528B2 JP 4774528 B2 JP4774528 B2 JP 4774528B2 JP 2004089845 A JP2004089845 A JP 2004089845A JP 2004089845 A JP2004089845 A JP 2004089845A JP 4774528 B2 JP4774528 B2 JP 4774528B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
circuit
end condition
value
simulation
distribution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004089845A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005275930A (ja
Inventor
哲也 真栄城
均 邊見
勝憲 下原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ATR Advanced Telecommunications Research Institute International
Original Assignee
ATR Advanced Telecommunications Research Institute International
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ATR Advanced Telecommunications Research Institute International filed Critical ATR Advanced Telecommunications Research Institute International
Priority to JP2004089845A priority Critical patent/JP4774528B2/ja
Publication of JP2005275930A publication Critical patent/JP2005275930A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4774528B2 publication Critical patent/JP4774528B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Description

本発明は、所定のハードウエアから構成され、シミュレーション対象物間の反応によるシミュレーション対象物の変化量をシミュレーションするハードウエアシミュレータに関するものである。
従来の化学反応シミュレーション方法としては、例えば、シミュレーションプログラムを計算機で実行することにより、有限温度及び有限時間を設定し、これら有限温度及び有限時間における分子動力学計算を行い、分子動力学計算により求められた励起状態を含む構造のすべてを用いて物質の全原子に働く力がすべて緩和される安定構造を複数求める処理等を行うものがある(特許文献1参照)。
このように、従来の化学反応シミュレーション方法では、微分方程式に代表されるような数学関数等を用いて汎用の計算機によりソフトウエア処理され、この場合、シミュレーションの終了条件を指定する方法としては、シミュレーション対象の現象が生じる実時間を指定する方法と、シミュレーション結果として満たすべき何らかの条件を指定する方法との2種類に大別することができる。
特開2002−260975号公報
しかしながら、シミュレーション対象の現象が生じる実時間を指定したのでは、実時間自体が長い場合にはシミュレーション結果を得るまでに長時間を要する。一方、シミュレーション結果として満たすべき何らかの条件を指定する場合は、シミュレーションの終了条件を満たしているか否かを判定する終了判定処理に長時間を要し、特に、シミュレーション終了条件が複数の条件の組み合わせである場合には、終了判定処理に要する計算時間が指数的に増加する。このことは、設定される終了条件の複雑さにはシミュレーションを実行する計算機の処理能力から課される上限が存在することを意味し、シミュレーション対象及び現象が複雑であればあるほど終了条件も複雑になる傾向があり、現実的にはシミュレーション可能な現象に上限が存在することになる。
また、計算機の処理速度を向上させるためにクラスタシステム等を導入して並列度を上げた場合でも、シミュレーション処理と終了判定処理とは同じ計算機で実行されるため、上記の問題に対する根本的な解決とはならない。さらに、シミュレーション終了条件が複数の条件の組み合わせである場合には、並列処理を行っても終了判定結果を収集して処理する必要があり、通信のオーバーヘッドが生じる。
このように、従来のソフトウエアによるシミュレーション方法では、終了判定処理に膨大な時間を要する場合があり、終了条件の複雑さによっては、終了判定処理に要する時間がシミュレーションに要する全時間の大半を占める場合もあり得る。また、シミュレーションの対象となる現象の複雑さとシミュレーションの終了条件とが比例する傾向にあるため、終了判定処理に要する時間からシミュレーション可能な現象の規模が制限される。
本発明の目的は、シミュレーション可能な現象の規模を過度に制限することなく、シミュレーションの終了判定を高速に実行することができるハードウエアシミュレータを提供することである。
本発明に係るハードウエアシミュレータは、所定のハードウエアから構成され、シミュレーション対象物間の反応によるシミュレーション対象物の変化量をシミュレーションするハードウエアシミュレータであって、シミュレーション対象物ごとに設けられ、当該シミュレーション対象物に関する値を演算する複数の演算素子と、前記シミュレーション対象物間の反応に応じて演算素子の値を変化させる反応回路と、前記シミュレーション対象物間の反応に応じて前記反応回路と前記演算素子との接続を切り換える切り換え回路と、シミュレーションの終了条件を記憶する終了条件記憶回路と、前記演算素子の値から決定されるシミュレーション結果が前記終了条件記憶回路に記憶されている終了条件を満たすか否かを判定する判定回路とを備え、前記終了条件記憶回路は、前記演算素子の時系列値から決定される終了条件を記憶し、前記演算素子ごとに設けられ、当該演算素子の時系列値を記憶時間に対応付けて記憶する時系列値記憶回路をさらに備え、前記判定回路は、前記演算素子の時系列値から決定されるシミュレーション結果が前記終了条件記憶回路に記憶されている終了条件を満たすか否かを判定する
本発明に係るハードウエアシミュレータでは、シミュレーション対象物ごとに当該シミュレーション対象物に関する値を演算する演算素子が設けられ、反応回路によりシミュレーション対象物間の反応に応じて演算素子の値が変化されることにより、シミュレーション対象物間の反応によるシミュレーション対象物の変化量がシミュレーションされ、演算素子の値から決定されるシミュレーション結果が終了条件記憶回路に記憶されているシミュレーションの終了条件を満たすか否かが判定回路により判定されるので、シミュレーション処理のみならず、終了判定処理をもハードウエアで行うことができ、シミュレーション可能な現象の規模を過度に制限することなく、シミュレーションの終了判定を高速に実行することができる。
この場合、演算素子の時系列値から決定されるシミュレーション結果が終了条件を満たすか否かを判定することができるので、演算素子の値の微分値、例えば、反応速度及び反応加速度等を終了条件として用いることができる。
前記終了条件記憶回路は、前記演算素子ごとに設けられ、当該演算素子の値から決定されるシミュレーション結果に対するシミュレーションの終了条件を記憶する個別終了条件記憶回路を含み、前記判定回路は、前記演算素子ごとに設けられ、当該演算素子の値から決定されるシミュレーション結果が当該演算素子に対して設けられている終了条件記憶回路に記憶されている終了条件を満たすか否かを判定する個別判定回路を含むことが好ましい。
この場合、演算素子の値から決定されるシミュレーション結果ごとに終了条件を満たすか否かを判定することができるので、終了判定を並列的に行うことができ、より高速にシミュレーションの終了判定を実行することができる。
前記終了条件記憶回路は、前記演算素子の値から決定される分布を終了条件として記憶し、前記演算素子の値から当該値に関する分布を演算する分布演算回路をさらに備え、前記判定回路は、前記分布演算回路により演算された分布が前記終了条件記憶回路に記憶されている終了条件を満たすか否かを判定することが好ましい。
この場合、演算素子の値から決定された分布が終了条件を満たすか否かを判定することができるので、演算素子の個々の値だけでなく、複数の値から決定される分布を終了条件として用いることができる。
前記分布演算回路は、前記演算素子の値から分布を演算するときに使用する演算方式を指定する指定回路と、前記指定回路により指定された演算方式に従い、前記演算素子の値から当該値に関する分布を計算する分布計算回路とを含むことが好ましい。
この場合、分布計算回路で使用する演算方式を任意に選択することができるので、種々の分布を終了条件として用いることができる。
前記複数の演算素子の中から任意の演算素子の値を選択して前記判定回路へ出力する選択回路をさらに備えることが好ましい。
この場合、複数の演算素子のうち所定の演算素子の値から決定されるシミュレーション結果が終了条件を満たすか否かを判定することができるので、使用する演算素子の値を動的に切り換えることができるとともに、必要な値のみを用いてシミュレーションの終了判定をより高速に実行することができる。
前記演算素子の値、前記終了条件記憶回路に記憶されている終了条件及び前記判定回路の判定結果のうち少なくとも一の値を用いて前記終了条件記憶回路に記憶されている終了条件を更新する更新回路をさらに備えることが好ましい。
この場合、演算素子の値、終了条件記憶回路に記憶されている終了条件及び判定回路の判定結果の中から任意に選択した値を用いて終了条件を更新することができるので、動的に終了条件を種々の値に変更することができる。
本発明によれば、演算素子の値から決定されるシミュレーション結果が終了条件記憶回路に記憶されているシミュレーションの終了条件を満たすか否かが判定回路により判定されるので、シミュレーション処理のみならず、終了判定処理をもハードウエアで行うことができ、シミュレーション可能な現象の規模を過度に制限することなく、シミュレーションの終了判定を高速に実行することができる。
以下、本発明によるハードウエアシミュレータの一例として、生化学反応をシミュレーションし、シグナル伝達ネットワーク、遺伝子ネットワーク等の解明に好適に用いられる化学反応シミュレーション装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態によるハードウエアシミュレータの構成を示すブロック図である。図1に示すハードウエアシミュレータは、複数の乱数発生器R1〜Rn(nは任意の正数)、複数の酵素カウンタK1〜Kn、複数の絞り回路V1〜Vn、複数の反応実行回路H1〜Hn、複数の物質カウンタB1〜Bm(mは任意の正数)、接続切り換え回路SW、複数の終了条件判定部C1〜Cm及び終了条件検出ネットワーク回路SNを備える。
酵素カウンタK1〜Kn、絞り回路V1〜Vn及び反応実行回路H1〜Hnは、シミュレーションに使用される生化学反応ごとに設けられ、物質カウンタB1〜Bmは、シミュレーションに使用される物質ごとに設けられ、終了条件判定部C1〜Cmは、物質カウンタB1〜Bmごとに設けられる。
乱数発生器R1は、絞り回路V1の入力側に接続され、反応実行回路H1は、絞り回路V1の出力側に接続され、酵素カウンタK1は、絞り回路V1に接続される。他の乱数発生器、酵素カウンタ、絞り回路及び反応実行回路も上記と同様に接続される。
接続切り換え回路SWは、例えば、空間スイッチ等から構成され、複数の増加指令用の入力配線I1〜In及び減少指令用の入力配線D1〜Dnと、複数の増加指令用の出力配線i1〜im及び減少指令用の出力配線d1〜dmを含み、各配線がマトリックス状に配置されている。
反応実行回路H1は、接続切り換え回路SWの増加指令用の入力配線I1及び減少指令用の入力配線D1に接続され、他の反応実行回路も同様に接続される。物質カウンタB1は、接続切り換え回路SWの増加指令用の出力配線i1及び減少指令用の出力配線d1に接続され、他の物質カウンタも同様に接続される。また、接続切り換え回路SWにおいて図中に黒丸で示す各配線の交点NDには、時分割ゲート及び時分割ゲートのオン/オフを制御する保持メモリ等から構成されるスイッチ(図示省略)が配置されている。
接続切り換え回路SWは、各スイッチをオン/オフすることにより、増加指令用の入力配線I1〜Inと複数の増加指令用の出力配線i1〜imとの接続状態及び減少指令用の入力配線D1〜Dnと減少指令用の出力配線d1〜dmとの接続状態を制御し、各反応実行回路H1〜Hnが表す生化学反応の反応前の物質を表す物質カウンタ及び反応後の物質を表す物質カウンタと対応する反応実行回路とを接続する。なお、接続切り換え回路SWは、上記の空間スイッチに特に限定されず、反応実行回路と物質カウンタとの接続状態を切り換えることができるものであれば、他の接続切り換え回路を用いてもよい。
物質カウンタB1〜Bmは、例えば、バイナリカウンタ等から構成され、反応前の各物質の数、すなわち分子数又は原子数を初期カウント値として設定され、反応実行回路H1〜Hnの減少指令及び増加指令に応じて、そのカウント値を減少及び増加させる。なお、物質カウンタは、上記のバイナリカウンタに特に限定されず、シミュレーション対象物ごとに設けられ、当該シミュレーション対象物に関する値を演算する演算素子であれば、他のカウンタ等を用いてもよい。例えば、代謝経路におけるクエン酸回路のような生化学反応を状態遷移と捉え、状態遷移機械(有限状態オートマトン)を組み合わせて使用する場合、物質カウンタとしてジョンソンカウンタを用いることにより、コンパクトな回路により高速にシミュレーションすることができる。
乱数発生器R1は、生化学反応の反応速度を制御するための所定の乱数を、絞り回路V1を介して反応実行回路H1に出力する。乱数発生器としては、擬似乱数を発生させる擬似乱数発生回路、カオス的な乱数を発生させるカオス発生回路、熱雑音に基づく乱数を発生させる熱雑音発生回路等を用いることができる。
例えば、擬似乱数発生回路としては、線形フィードバックシフトレジスタを用いることによって、線形フィードバックシフトレジスタがL個のレジスタから構成されると、2L−1の長周期を有するが、ほぼランダムな乱数を発生させることができる。カオス発生回路としては、コンデンサと可変抵抗回路とで構成される閉ループにより不規則な信号を発生させる回路等を用いることによって、カオス的な振る舞いを行う不規則な乱数を発生させることができる。熱雑音発生回路としては、短周期のパルスを長周期のパルスによりラッチし、ラッチされた短周期のパルスのレベルを乱数として出力する回路等を用いることによって、ホワイトノイズによる周期性のない乱数を発生させることができる。
酵素カウンタK1は、反応実行回路H1が表す生化学反応に使用される酵素物質の数、すなわち酵素物質の分子数をそのカウント値として設定され、設定されたカウント値に応じて絞り回路V1の絞り量が調整される。なお、一般の化学反応の場合は、酵素カウンタが触媒カウンタに変更され、生細胞内で作られる蛋白性の生体触媒である酵素の代わりに、触媒物質の数がそのカウント値として設定される。また、触媒(酵素)を使用しない化学反応の場合、触媒(酵素)カウンタ及び絞り回路は不要となる。
具体的には、乱数発生器R1が乱数として“1”又は“0”のデータをランダムに発生し、酵素カウンタK1がそのカウント値に応じて“0”に対する“1”の頻度を調整して“1”又は“0”のデータを出力する。このとき、絞り回路V1は両データの論理積を取り、その結果を反応実行回路H1へ出力する。したがって、酵素カウンタK1のカウント値に応じて反応実行回路H1へ入力される“1”の頻度が調整される。
反応実行回路H1は、データとして“1”が入力された場合、反応を実行させるため、増加指令用の入力配線I1にカウント値を1だけ増加させるための増加指令を出力するとともに、減少指令用の入力配線D1にカウント値を1だけ減少させるための減少指令を出力する。一方、反応実行回路H1は、データとして“0”が入力された場合、反応を行わないようにするため(不実行の状態)、増加指令及び減少指令を出力しない。
このとき、接続切り換え回路SWは、減少指令用の入力配線D1と、反応実行回路H1が表す生化学反応における反応前の物質の数、すなわち分子数又は原子数を表す物質カウンタに接続されている減少指令用の出力配線とを接続している。したがって、反応実行回路H1から出力される減少指令が反応前の物質に対して設けられた物質カウンタへ入力され、当該物質カウンタが自身のカウント値を1だけ減少させる。また、接続切り換え回路SWは、増加指令用の入力配線I1と、反応実行回路H1が表す生化学反応における反応後の物質の数、すなわち分子数又は原子数を表す物質カウンタに接続されている増加指令用の出力配線とを接続している。したがって、反応実行回路H1から出力される増加指令が反応後の物質に対して設けられた物質カウンタへ入力され、当該物質カウンタが自身のカウント値を1だけ増加させる。
他の乱数発生器、酵素カウンタ、絞り回路及び反応実行回路も、上記と同様に構成され、生化学反応に応じて上記と同様に動作する。なお、酵素カウンタに割り当てられる酵素の数が生化学反応等により増減する場合は、酵素カウンタも物質カウンタと同様に構成されて接続切り換え回路に接続され、対応する反応実行回路によりそのカウント値が増減される。
終了条件判定部C1は、所定の論理回路及びメモリ等から構成され、シミュレーション動作を終了させるための終了条件を予め記憶し、接続されている物質カウンタB1のカウント値から決定されるシミュレーション結果が記憶している終了条件を満たすか否かを判定し、比較結果を終了条件検出ネットワーク回路SNへ出力する。他の終了条件判定部も、上記と同様に構成され、上記と生化学反応に応じて同様に動作する。
終了条件検出ネットワーク回路SNは、所定の論理回路等から構成され、終了条件判定部C1〜Cmの比較結果を集計して最終的に終了条件を満たしているか否かの判断を行い、最終的に終了条件を満たしていると判断した場合、最終比較結果として反応実行回路H1〜Hnへ終了信号を出力し、反応実行回路H1〜Hnの動作を停止させてシミュレーションを終了させる。終了条件検出ネットワーク回路SNとして、例えば、平均経路長が短いというランダムネットワークの特徴とクラスター係数が大きいというレギュラーネットワークの特徴との双方を合わせ持つスモールワールドネットワークを用いることができるが、この例に特に限定されず、他のネットワークを用いてもよい。
図2は、図1に示す終了条件判定部C1の一例の構成を示すブロック図である。図2に示す終了条件判定部C1は、結果記憶部C11、終了指定値記憶部C12及び比較器C13を備える。結果記憶部C11は、演算結果として物質カウンタB1から出力されるカウント値を記憶する。終了指定値記憶部C12は、シミュレーションの終了条件となる終了指定値を記憶する。比較器C13は、結果記憶部C11に記憶されているカウント値と終了指定値記憶部C12に記憶されている終了指定値とが一致するか否かを判定し、比較結果を終了条件検出ネットワーク回路SNへ出力する。なお、比較器C13が物質カウンタB1から出力されるカウント値を終了指定値記憶部C12に記憶されている終了指定値と直接比較できる場合は、結果記憶部C11を省略してもよい。この点に関して以下の他の例も同様である。
本実施の形態において、物質カウンタB1〜Bmが演算素子の一例に相当し、反応実行回路H1〜Hn、乱数発生器R1〜Rn、酵素カウンタK1〜Kn、絞り回路V1〜Vn及び接続切り換え回路SWが反応回路の一例に相当し、終了指定値記憶部C12が終了条件記憶回路及び個別終了条件記憶回路の一例に相当し、比較器C13が判定回路及び個別判定回路の一例に相当する。
次に、上記のように構成されたハードウエアシミュレータの動作について説明する。まず、シミュレーションの対象となる物質、生化学反応及び酵素等に関する必要なデータを用いて、物質カウンタB1〜Bmに各物質の数を表すカウンタの初期値が設定されるとともに、酵素カウンタK1〜Knに各酵素の数を表すカウンタの初期値が設定される。次に、乱数発生器R1〜Rnは上記の乱数を発生させ、絞り回路V1〜Vnは、酵素カウンタK1〜Knの酵素の数に応じて乱数を補正する。反応実行回路H1〜Hnは、酵素数により補正された乱数の値に応じて反応が実行されるように、反応前の物質の分子数又は原子数を表す物質カウンタB1〜Bmのカウント値を1だけ減少させるとともに、反応後の物質の分子数又は原子数を表す物質カウンタB1〜Bmのカウント値を1だけ増加させる。
このようにして、各反応実行回路H1〜Hnが表す生化学反応の反応速度が反応実行回路H1〜Hnごとに調整され、各反応実行回路H1〜Hnが表す生化学反応の反応前後の物質に対応する物質カウンタB1〜Bmが対応する反応実行回路H1〜Hnに接続されるとともに、各反応実行回路H1〜Hnが表す生化学反応に応じて反応前後の物質に対応する物質カウンタB1〜Bmのカウント値が減少又は増加され、複数の生化学反応が並列的にシミュレーションされる。
このように、反応前後の各物質の量をカウント値、すなわち数(整数)として捉え、生化学反応による物質の変化量をシミュレーションしているので、物質カウンタB1〜Bmの数を増加するだけでシミュレーションに使用する物質の種類を増加させることができる。また、未知の生化学反応が新たにわかった場合、病体等によりある生化学反応が欠損している場合及び野生種のために生化学反応が通常と異なる場合でも、新たな生化学反応、欠損した生化学反応及び通常と異なる生化学反応に応じて接続切り換え回路SWにより反応実行回路H1〜Hnと物質カウンタB1〜Bmとの接続状態を変更等することにより容易に対処することができる。
また、上記のシミュレーション動作時に、物質カウンタB1〜Bmの値と各終了指定値記憶部C12に記憶されている終了指定値とが一致するか否かが各比較器C13により判定されるので、シミュレーション処理のみならず、終了判定処理をもハードウエア(専用の電気回路)で行うことができ、シミュレーション可能な現象の規模を過度に制限することなく、シミュレーションの終了判定を高速に且つ並列に実行することができる。
なお、本実施の形態では、すべての物質カウンタB1〜Bmに対して終了判定を行っているが、この例に特に限定されず、物質カウンタB1〜Bmの一部の物質カウンタのみに対して終了条件判定部を設けたり、後述する第3の実施の形態と同様に物質カウンタB1〜Bmと終了条件判定部との間等に入力選択回路を設けることにより、複数の物質カウンタB1〜Bmのうち一部の物質カウンタB1〜Bmの値から決定されるシミュレーション結果が終了条件を満たすか否かを判定するようにしてもよい。この場合、必要な値のみを用いてシミュレーションの終了判定をより高速に実行することができる。
ここで、終了条件としては、シミュレーションデータの絶対値(直接比較可能な値)、絶対値又は数学関数によって指定可能なシミュレーションデータの分布、シミュレーション結果の時系列データ(指定時の値や指定時間後の値)又は当該データを用いた演算結果等を用いることができる。
例えば、絶対値を用いた終了条件の例としては、物質Aと物質Bとが反応Cを行う場合に、物質Aの量(カウント値)が1000〜2000の範囲内であること、物質Aの量と物質Bの量との合計が3000以上であること、物質Aの量と物質Bの量との差(A−B及びB−Aの双方を含む)が1000以上であること等が該当する。
上記のような種々の終了条件を判定する場合、終了条件判定部C1として以下に説明する他の終了条件判定部を用いることができる。図3は、図1に示す終了条件判定部C1として使用可能な他の終了条件判定部C1aの構成を示すブロック図である。図3に示す終了条件判定部C1aと図2に示す終了条件判定部C1とで異なる点は、結果記憶部C11と比較器C13との間に演算回路C14が追加された点であり、その他の点は図2に示す終了条件判定部C1と同様であるので詳細な説明は省略する。
演算回路C14は、結果記憶部C11に記憶されている物質カウンタB1のカウント値に対して所定の演算を行い、カウント値から演算された演算値を比較器C13へ出力する。比較器C13は、演算回路C14から出力される演算値と終了指定値記憶部C12に記憶されている終了条件とが一致するか否かを判定し、比較結果を終了条件検出ネットワーク回路SNへ出力する。この場合、カウント値から演算される種々の演算値を終了条件として用いることができる。
図4は、図1に示す終了条件判定部C1として使用可能な他の終了条件判定部C1bの構成を示すブロック図である。図4に示す終了条件判定部C1bと図2に示す終了条件判定部C1とで異なる点は、結果記憶部C11のカウント値、終了指定値記憶部C12の終了条件及び比較器C13の比較結果を用いて終了条件を演算する演算回路C14aが付加された点であり、その他の点は図2に示す終了条件判定部C1と同様であるので詳細な説明は省略する。
演算回路C14aは、結果記憶部C11に記憶されている物質カウンタB1のカウント値、終了指定値記憶部C12の終了指定値及び比較器C13の比較結果値の少なくとも一つを用いて、入れ替え又は加算、減算等の種々の演算を行い、演算値を新たな終了条件として終了指定値記憶部C12に記憶させる。比較器C13は、結果記憶部C11から出力される物質カウンタB1のカウント値と終了指定値記憶部C12に記憶されている現在の終了条件とが一致するか否かを判定し、比較結果を終了条件検出ネットワーク回路SNへ出力する。本例では、演算回路C14aが更新回路の一例に相当する。
この場合、結果記憶部C11に記憶されている物質カウンタB1のカウント値、終了指定値記憶部C12の終了指定値及び比較器C13の比較結果値の中から任意に選択した値を用いて終了条件を更新することができるので、動的に終了条件を種々の値に変更することができる。
図5は、図1に示す終了条件判定部C1として使用可能な他の終了条件判定部C1cの構成を示すブロック図である。図5に示す終了条件判定部C1cと図3に示す終了条件判定部C1aとで異なる点は、結果記憶部C11が複数の時系列結果記憶部C111〜C11k(kは任意の正数)に変更され、複数の時系列結果記憶部C111〜C11kの出力に対して所定の演算を行う演算回路C14bが付加された点であり、その他の点は図3に示す終了条件判定部C1aと同様であるので詳細な説明は省略する。
複数の時系列結果記憶部C111〜C11kは、物質カウンタB1のカウント値の時系列データとして記録時間に対応付けて当該記録時間のカウント値をそれぞれ記憶する。演算回路C14bは、複数の時系列結果記憶部C111〜C11kに記憶されている物質カウンタB1の時系列データに対して所定の演算を行い、時系列データから演算された演算値を比較器C13へ出力する。比較器C13は、演算回路C14bから出力される演算値と終了指定値記憶部C12に記憶されている終了指定値とが一致するか否かを判定し、比較結果を終了条件検出ネットワーク回路SNへ出力する。本例では、時系列結果記憶部C111〜C11kが時系列値記憶回路の一例に相当する。
例えば、演算回路C14bは、差分Q(t)−Q(t−1)(ここで、Q(t)は時間tにおける物質の量、Q(t−1)は時間tより1つ前の時間t−1における物質の量)により算出される反応速度、差分の差分P(t)−P(t−1)(ここで、P(t)=Q(t)−Q(t−1)、P(t−1)=Q(t−1)−Q(t−2))により算出される反応加速度等を演算する。この場合、数学関数を用いた終了条件として、反応速度が500〜700であること、反応加速度が100以上であること等を用いることができる。このように、本例では、物質カウンタB1〜Bmの時系列データから決定されるシミュレーション結果が終了条件を満たすか否かを判定することができるので、反応速度及び反応加速度等の微分値を終了条件として用いることができる。
図6は、図1に示す終了条件判定部C1として使用可能な他の終了条件判定部C1dの構成を示すブロック図である。図6に示す終了条件判定部C1dと図5に示す終了条件判定部C1cとで異なる点は、複数の時系列結果記憶部C111〜C11kの出力から演算回路C14cへの入力を選択する入力選択回路C15が付加された点であり、その他の点は図5に示す終了条件判定部C1cと同様であるので詳細な説明は省略する。
入力選択回路C15は、複数の時系列結果記憶部C111〜C11kの時系列データの中から外部からの選択信号等に応じて所定の時系列データを選択して演算回路C14cへ出力する。演算回路C14cは、入力される時系列データに対して所定の演算を行い、演算値を比較器C13へ出力する。比較器C13は、演算回路C14cから出力される演算値と終了指定値記憶部C12に記憶されている終了指定値とが一致するか否かを判定し、比較結果を終了条件検出ネットワーク回路SNへ出力する。本例では、入力選択回路C15が選択回路の一例に相当する。
この場合、複数の時系列結果記憶部C111〜C11kのうち所定の時系列結果記憶部の時系列データから演算されるシミュレーション結果が終了条件を満たすか否かを判定することができるので、使用する時系列データを動的に切り換えることができるとともに、必要な時系列データのみを用いてシミュレーションの終了判定をより高速に実行することができる。
図7は、図1に示す終了条件判定部C1として使用可能な他の終了条件判定部C1eの構成を示すブロック図である。図7に示す終了条件判定部C1eと図5に示す終了条件判定部C1cとで異なる点は、演算回路C14bが複数の時系列結果記憶部C111〜C11kの出力の分布を計算する分布計算回路C16に変更されるとともに、終了指定値記憶部C12が終了指定分布記憶部C17に変更された点であり、その他の点は図5に示す終了条件判定部C1cと同様であるので詳細な説明は省略する。
分布計算回路C16は、複数の時系列結果記憶部C111〜C11kに記憶されている物質カウンタB1の時系列データの分布を演算し、演算した分布を比較器C13へ出力する。終了指定分布記憶部C17は、シミュレーションの終了条件となる終了指定分布を記憶する。比較器C13は、分布計算回路C16から出力される分布と終了指定分布記憶部C17に記憶されている終了指定分布とが一致するか否かを判定し、比較結果を終了条件検出ネットワーク回路SNへ出力する。本例では、分布計算回路C16が分布演算回路の一例に相当し、終了指定分布記憶部C17が終了条件記憶回路及び個別終了条件記憶回路の一例に相当する。
この場合、時系列データから演算された分布が終了条件を満たすか否かを判定することができるので、時系列データの個々の演算値だけでなく、複数の時系列データから決定される分布を終了条件として用いることができる。
図8は、図1に示す終了条件判定部C1として使用可能な他の終了条件判定部C1fの構成を示すブロック図である。図8に示す終了条件判定部C1fと図6に示す終了条件判定部C1dとで異なる点は、演算回路C14cが分布計算回路C16に変更された点であり、その他の点は図6に示す終了条件判定部C1dと同様であるので詳細な説明は省略する。
分布計算回路C16は、入力選択回路C15により選択された時系列データ分布を演算し、演算した分布を比較器C13へ出力する。比較器C13は、分布計算回路C16から出力される分布と終了指定分布記憶部C17に記憶されている終了指定分布とが一致するか否かを判定し、比較結果を終了条件検出ネットワーク回路SNへ出力する。
この場合、複数の時系列結果記憶部C111〜C11kのうち所定の時系列結果記憶部の時系列データから演算される分布が終了条件を満たすか否かを判定することができるので、所定の時系列データから演算される分布を終了条件として用いることができ、また、使用する時系列データを動的に切り換えることができるとともに、必要な時系列データのみを用いてシミュレーションの終了判定をより高速に実行することができる。
図9は、図1に示す終了条件判定部C1として使用可能な他の終了条件判定部C1gの構成を示すブロック図である。図9に示す終了条件判定部C1gと図7に示す終了条件判定部C1eとで異なる点は、演算回路C14dが付加され、分布計算回路C16が演算回路C14dの演算値の分布を求める点であり、その他の点は図7に示す終了条件判定部C1eと同様であるので詳細な説明は省略する。
演算回路C14dは、複数の時系列結果記憶部C111〜C11kに記憶されている物質カウンタB1の時系列データに対して所定の演算を行い、時系列データから演算された演算値を分布計算回路C16へ出力する。分布計算回路C16は、演算回路C14dから出力される演算値の分布を計算し、計算した分布を比較器C13へ出力する。比較器C13は、分布計算回路C16から出力される分布と終了指定分布記憶部C17に記憶されている終了指定分布とが一致するか否かを判定し、比較結果を終了条件検出ネットワーク回路SNへ出力する。
この場合、時系列データから演算された演算値の分布が終了条件を満たすか否かを判定することができるので、時系列データの個々の演算値だけでなく、複数の時系列データに対して種々の演算を行った演算値の分布を終了条件として用いることができる。
図10は、図1に示すハードウエアシミュレータによるシミュレーションの例を説明するための模式図である。図10に示す例は、glucose(グルコース)を分解する代謝過程であるGlycolysis(解糖)を示しており、hexokinase(ヘキソキナーゼ)が酵素となり、glucose及びATP(アデノシン三リン酸)からglucose6P(グルコース−6−リン酸)、ADP(アデノシン二リン酸)及びH+ が生成される。
この例では、まず、乱数発生器Rから所定の乱数が絞り回路Vへ入力される。このとき、酵素カウンタKには、hexokinaseの分子数がそのカウント値として設定され、hexokinaseの分子数に応じて絞り回路Vの出力が絞られ、乱数発生器Rの乱数及びhexokinaseの分子数に応じて反応実行回路HによるGlycolysisの実行及び不実行が制御される。
反応実行回路Hは、反応前の物質であるglucose及びATPの分子数を表す物質カウンタBa,Bbと、反応後の物質であるglucose6P、ADP及びH+ の分子数又は原子数を表す物質カウンタBc,Bd,Beとに接続切り換え回路(図示省略)により接続されている。
反応実行回路Hは、絞り回路Vを介して出力されるデータが“1”、すなわち反応を実行する場合、物質カウンタBa,Bbにそのカウント値を1だけ減少するように指示するとともに、物質カウンタBc,Bd,Beにそのカウント値を1だけ増加するように指示し、物質カウンタBa,Bbは、1だけカウント値を減少させ、物質カウンタBc,Bd,Beは、1だけカウント値を増加させる。
このようにして、図1に示すハードウエアシミュレータを用い、hexokinaseを酵素としてglucose及びATPからglucose6P、ADP及びH+ を生成するGlycolysisによる各物質の変化量をシミュレーションすることができる。
その後、物質カウンタBa〜Beのカウンタ値と記憶されている終了値A〜Eとが一致するか否かが終了条件判定部Ca〜Ceによりそれぞれ判定され、最終的に、終了条件検出ネットワーク回路Sにより終了条件判定部Ca〜Ceの比較結果を集計して最終終了条件を満たしているか否かの判断が行われ、最終終了条件を満たしていると判断された場合、反応実行回路Hの動作が停止され、シミュレーションが終了される。
次に、細胞内の各物質の濃度勾配を考慮して細胞内の生化学反応をシミュレーションする場合について説明する。図11は、細胞内の各物質の濃度勾配を考慮して細胞内の生化学反応をシミュレーションする方法を説明するための模式図である。
図11に示すように、細胞内の生化学反応をシミュレーションする場合、一つの細胞を複数のセルCEに空間分割し、セルCEごとに物質の量を保持させ、セルラーオートマトンにより各物質の濃度勾配をシミュレーションする。すなわち、対象とするセル内の各物質の濃度(量)と近傍の6個のセル内の物質の濃度(量)とからセル間での各物質の拡散をシミュレーションする。
例えば、隣接する2つのセルC1,C2に、濃度の異なる物質1、物質2及び物質3がそれぞれ含まれている場合、セルC1,C2間では、濃度の高い方から低い方へ各物質が拡散し、このセル間での拡散を以下のようにしてシミュレーションすることができる。
図12は、図11に示す2つのセルにおける物質の拡散をシミュレーションする場合のハードウエアシミュレータの構成を示すブロック図である。図12に示すハードウエアシミュレータは、セルC1用のハードウエアシミュレータCB1、セルC2用のハードウエアシミュレータCB2及び拡散回路KCを備える。
図12に示すハードウエアシミュレータCB1内の物質カウンタB1〜B3の各カウント値は、セルC1内の物質1〜物質3の分子数又は原子数を表し、ハードウエアシミュレータCB2内の物質カウンタB1’〜B3’の各カウント値は、セルC2内の物質1〜物質3の分子数又は原子数を表し、各物質カウンタB1〜B3,B1’〜B3’は、拡散回路KCを介して接続されている。
拡散回路KCは、物質カウンタB1〜B3,B1’〜B3’のカウント値、すなわち各物質の分子数又は原子数に応じて各物質が拡散するように、物質カウンタB1〜B3,B1’〜B3’のカウント値を制御する。例えば、物質カウンタB1のカウント値が物質カウンタB1’のカウント値より大きい場合、平衡状態になるまで、所定の拡散速度に従い、物質カウンタB1のカウント値を順次減少させるとともに、これに対応させて物質カウンタB1’のカウント値を順次増加させる。
なお、図12では、セルC1,C2用のハードウエアシミュレータCB1,CB2において物質カウンタB1〜B3、B1’〜B3’及び終了条件判定部C1〜C3、C1’〜C3’のみを図示しているが、各ハードウエアシミュレータCB1,CB2も、図1に示すハードウエアシミュレータと同様に構成され、乱数発生器、酵素カウンタ、絞り回路、反応実行回路、接続切り換え回路及び終了条件検出ネットワーク回路(図示省略)を有している。したがって、ハードウエアシミュレータCB1,CB2も、図1に示すハードウエアシミュレータと同様に動作し、各セルC1,C2ごとに内部の生化学反応がシミュレーションされ、終了条件を満たした場合にその動作が停止される。
上記のように、細胞を複数のセルに分割し、セルごとに生化学反応による物質の変化量をシミュレーションするとともに、隣接するセル間での各物質の拡散をシミュレーションすることにより、細胞内の各物質の濃度勾配を考慮して細胞内の物質の変化量をシミュレーションすることができ、終了条件を満たした場合にシミュレーションを終了させることができる。
次に、多細胞の生化学反応をシミュレーションする場合について説明する。図13は、多細胞の生化学反応をシミュレーションする方法を説明するための概略図である。図13に示すように、図11と同様に各細胞を複数のセルCE(図中のハッチングのないセル)に分割するとともに、細胞間に存在する細胞壁を複数の細胞壁セルWC(図中のハッチングを施したセル)に分割する。この場合、各細胞内では、図11及び図12を用いて説明した細胞内のシミュレーションと同様に生化学反応がシミュレーションされる。
また、細胞壁を表す細胞壁セルWCの部分は、例えば、拡散が起こらない、すなわち細胞間で物質が拡散しないものとしてシミュレーションを行ってもよく、また、細胞壁でもある程度の拡散が行われるとして、細胞内の細胞セルと同様に拡散回路を用いて拡散をシミュレーションしてもよい。
上記のように、各細胞を複数のセルに分割するとともに、細胞壁を複数の細胞壁セルに分割し、セルごとに生化学反応による物質の変化量をシミュレーションするとともに、細胞内で隣接するセル間の各物質の拡散等をシミュレーションすることにより、多細胞についても、その生化学反応を同様にシミュレーションし、終了条件を満たした場合にシミュレーションを終了させることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態によるハードウエアシミュレータについて説明する。図14は、本発明の第2の実施の形態によるハードウエアシミュレータの構成を示すブロック図である。図14に示すハードウエアシミュレータと図1に示すハードウエアシミュレータとで異なる点は、複数の終了条件判定部C1〜Cm及び終了条件検出ネットワーク回路SNに代えて複数の結果記憶部M1〜Mm、分布関数選択回路KC、分布計算回路BC、比較器CM及び終了指定分布記憶部FBが付加された点であり、その他の点は図1に示すハードウエアシミュレータと同様であるので詳細な説明は省略する。
結果記憶部M1〜Mmは、物質カウンタB1〜Bmから出力されるカウント値をそれぞれ記憶する。分布関数選択回路KCは、分布計算回路BCが分布計算に使用する分布関数を選択する。分布計算回路BCは、予め複数の分布関数を記憶しており、分布関数選択回路KCにより選択された分布関数を用いて結果記憶部M1〜Mmに記憶されているカウント値の分布を算出し、比較器CMへ出力する。終了指定分布記憶部FBは、シミュレーションの終了条件となる終了指定分布を記憶する。比較器CMは、分布計算回路BCから出力されるカウント値の分布と終了指定分布記憶部FBに記憶されている終了指定分布とが一致するか否かを判定し、分布が一致していると判断した場合、比較結果として反応実行回路H1〜Hnへ終了信号を出力し、反応実行回路H1〜Hnの動作を停止させてシミュレーションを終了させる。
本実施の形態において、終了指定分布記憶部FBが終了条件記憶回路の一例に相当し、比較器CMが判定回路の一例に相当し、結果記憶部M1〜Mm、分布関数選択回路KC、分布計算回路BCが分布演算回路の一例に相当し、分布関数選択回路KCが指定回路の一例に相当し、分布計算回路BCが分布計算回路の一例に相当し、その他は第1の実施の形態と同様である。
上記の動作により、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を奏するともに、物質カウンタB1〜Bmのカウント値から算出された分布が終了指定分布を満たすか否かを判定することができるので、物質カウンタB1〜Bmの個々のカウント値だけでなく、複数のカウント値から決定される分布を終了条件として用いることができる。また、分布計算回路BCで使用する演算方式を任意に選択することができるので、種々の分布を終了条件として用いることができる。
次に、本発明の第3の実施の形態によるハードウエアシミュレータについて説明する。図15は、本発明の第3の実施の形態によるハードウエアシミュレータの構成を示すブロック図である。図15に示すハードウエアシミュレータと図14示すハードウエアシミュレータとで異なる点は、入力選択回路ISが付加された点であり、その他の点は図14に示すハードウエアシミュレータと同様であるので詳細な説明は省略する。
入力選択回路ISは、結果記憶部M1〜Mmに記憶されている物質カウンタB1〜Bmのカウント値の中から外部からの選択信号等に応じて所定のカウント値を選択して分布計算回路BCへ出力する。分布計算回路BCは、分布関数選択回路KCにより選択された分布関数を用いて入力選択回路ISにより選択された結果記憶部M1〜Mmに記憶されているカウント値の分布を算出し、比較器CMへ出力する。比較器CMは、分布計算回路BCから出力されるカウント値の分布と終了指定分布記憶部FBに記憶されている終了指定分布とが一致するか否かを判定し、分布が一致していると判断した場合、比較結果として反応実行回路H1〜Hnへ終了信号を出力し、反応実行回路H1〜Hnの動作を停止させてシミュレーションを終了させる。本実施の形態において、入力選択回路ISが選択回路の一例に相当し、その他は第2の実施の形態と同様である。
上記の動作により、本実施の形態では、第2の実施の形態と同様の効果を奏するとともに、複数の物質カウンタB1〜Bmのうち所定の物質カウンタB1〜Bmのカウント値から演算される分布が終了指定分布を満たすか否かを判定することができるので、使用する物質カウンタB1〜Bmのカウント値を動的に切り換えることができるとともに、必要なカウント値のみを用いてシミュレーションの終了判定をより高速に実行することができる。
次に、本発明の第4の実施の形態によるハードウエアシミュレータについて説明する。図16は、本発明の第4の実施の形態によるハードウエアシミュレータの構成を示すブロック図である。図16に示すハードウエアシミュレータと図14示すハードウエアシミュレータとで異なる点は、分布計算回路BCの分布、終了指定分布記憶部FBの終了指定分布及び比較器CMの比較結果を用いて終了指定分布を演算する演算回路CCが付加された点であり、その他の点は図14に示すハードウエアシミュレータと同様であるので詳細な説明は省略する。
演算回路CCは、分布計算回路BCにより算出された分布、終了指定分布記憶部FBの終了指定分布及び比較器CMの比較結果値の少なくとも一つを用いて所定の演算を行い、演算値を新たな終了指定分布として終了指定分布記憶部FBに記憶させる。比較器CMは、分布計算回路BCから出力されるカウント値の分布と終了指定分布記憶部FBに記憶されている終了指定分布とが一致するか否かを判定し、分布が一致していると判断した場合、比較結果として反応実行回路H1〜Hnへ終了信号を出力し、反応実行回路H1〜Hnの動作を停止させてシミュレーションを終了させる。本実施の形態において、演算回路CCが更新回路の一例に相当し、その他は第2の実施の形態と同様である。
上記の動作により、本実施の形態では、第2の実施の形態と同様の効果を奏するとともに、分布計算回路BCにより算出された分布、終了指定分布記憶部FBの終了条件及び比較器CMの比較結果の中から任意に選択した値を用いて終了条件を更新することができるので、終了条件を種々の値に変更することができる。
なお、上記の各実施の形態は、任意に組み合わせることができ、その場合、組み合わせた各実施の形態の効果を奏することができ、例えば、図14乃至図16に示す結果記憶部M1〜Mmに代えて図5に示す時系列結果記憶部C111〜C11kを用いる等の種々の変更が可能である。
また、本発明が適用可能なハードウエアシミュレータは、上記の例に特に限定されず、所定のハードウエアから構成され、シミュレーション対象物間の反応によるシミュレーション対象物の変化量をシミュレーションするハードウエアシミュレータであれば、種々の分野に適用可能である。例えば、脳細胞及び神経回路網等の生物シミュレーション、遺伝子進化及び生物の個体進化シミュレーション、渡り鳥の移動等に関する生態系シミュレーション、移動物に関する交通システムシミュレーション、避難シミュレーション、数値流体シミュレーション、気象シミュレーション、ロジスティクスシミュレーション、電力供給シミュレーション、都市計画等に関する都市シミュレーション、企業間取引及び株式・先物取引等に関する経済システムシミュレーション、経営シミュレーション、電気回路及び集積回路等の電磁シミュレーション、半導体及び材料の電子レベルシミュレーションに適用することができる。
本発明の第1の実施の形態によるハードウエアシミュレータの構成を示すブロック図である。 図1に示す終了条件判定部の一例の構成を示すブロック図である。 図1に示す終了条件判定部として使用可能な他の終了条件判定部の構成を示すブロック図である。 図1に示す終了条件判定部として使用可能な他の終了条件判定部の構成を示すブロック図である。 図1に示す終了条件判定部として使用可能な他の終了条件判定部の構成を示すブロック図である。 図1に示す終了条件判定部として使用可能な他の終了条件判定部の構成を示すブロック図である。 図1に示す終了条件判定部として使用可能な他の終了条件判定部の構成を示すブロック図である。 図1に示す終了条件判定部として使用可能な他の終了条件判定部の構成を示すブロック図である。 図1に示す終了条件判定部として使用可能な他の終了条件判定部の構成を示すブロック図である。 図1に示すハードウエアシミュレータによるシミュレーションの例を説明するための模式図である。 細胞内の各物質の濃度勾配を考慮して細胞内の生化学反応をシミュレーションする方法を説明するための模式図である。 図11に示す2つのセルにおける物質の拡散をシミュレーションする場合のハードウエアシミュレータの構成を示すブロック図である。 多細胞の生化学反応をシミュレーションする方法を説明するための概略図である。 本発明の第2の実施の形態によるハードウエアシミュレータの構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態によるハードウエアシミュレータの構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態によるハードウエアシミュレータの構成を示すブロック図である。
符号の説明
R1〜Rn 乱数発生器
K1〜Kn 酵素カウンタ
V1〜Vn 絞り回路
H1〜Hn 反応実行回路
B1〜Bm 物質カウンタ
SW 接続切り換え回路
C1〜Cm,C1a〜C1g 終了条件判定部
SN 終了条件検出ネットワーク回路
C11,M1〜Mm 結果記憶部
C12 終了指定値記憶部
C13,CM 比較器
C14,C14a〜C14d,CC 演算回路
C15,IS 入力選択回路
C16,BC 分布計算回路
C111〜C11k 時系列結果記憶部
KC 分布関数選択回路
FB 終了指定分布記憶部

Claims (6)

  1. 所定のハードウエアから構成され、シミュレーション対象物間の反応によるシミュレーション対象物の変化量をシミュレーションするハードウエアシミュレータであって、
    シミュレーション対象物ごとに設けられ、当該シミュレーション対象物に関する値を演算する複数の演算素子と、
    前記シミュレーション対象物間の反応に応じて演算素子の値を変化させる反応回路と、
    前記シミュレーション対象物間の反応に応じて前記反応回路と前記演算素子との接続を切り換える切り換え回路と、
    シミュレーションの終了条件を記憶する終了条件記憶回路と、
    前記演算素子の値から決定されるシミュレーション結果が前記終了条件記憶回路に記憶されている終了条件を満たすか否かを判定する判定回路とを備え
    前記終了条件記憶回路は、前記演算素子の時系列値から決定される終了条件を記憶し、
    前記演算素子ごとに設けられ、当該演算素子の時系列値を記憶時間に対応付けて記憶する時系列値記憶回路をさらに備え、
    前記判定回路は、前記演算素子の時系列値から決定されるシミュレーション結果が前記終了条件記憶回路に記憶されている終了条件を満たすか否かを判定することを特徴とするハードウエアシミュレータ。
  2. 前記終了条件記憶回路は、前記演算素子ごとに設けられ、当該演算素子の値から決定されるシミュレーション結果に対するシミュレーションの終了条件を記憶する個別終了条件記憶回路を含み、
    前記判定回路は、前記演算素子ごとに設けられ、当該演算素子の値から決定されるシミュレーション結果が当該演算素子に対して設けられている終了条件記憶回路に記憶されている終了条件を満たすか否かを判定する個別判定回路を含むことを特徴とする請求項記載のハードウエアシミュレータ。
  3. 前記終了条件記憶回路は、前記演算素子の値から決定される分布を終了条件として記憶し、
    前記演算素子の値から当該値に関する分布を演算する分布演算回路をさらに備え、
    前記判定回路は、前記分布演算回路により演算された分布が前記終了条件記憶回路に記憶されている終了条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項記載のハードウエアシミュレータ。
  4. 前記分布演算回路は、
    前記演算素子の値から分布を演算するときに使用する演算方式を指定する指定回路と、
    前記指定回路により指定された演算方式に従い、前記演算素子の値から当該値に関する分布を計算する分布計算回路とを含むことを特徴とする請求項記載のハードウエアシミュレータ。
  5. 前記複数の演算素子の中から任意の演算素子の値を選択して前記判定回路へ出力する選択回路をさらに備えることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のハードウエアシミュレータ。
  6. 前記演算素子の値、前記終了条件記憶回路に記憶されている終了条件及び前記判定回路の判定結果のうち少なくとも一の値を用いて前記終了条件記憶回路に記憶されている終了条件を更新する更新回路をさらに備えることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のハードウエアシミュレータ。
JP2004089845A 2004-03-25 2004-03-25 ハードウエアシミュレータ Expired - Fee Related JP4774528B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004089845A JP4774528B2 (ja) 2004-03-25 2004-03-25 ハードウエアシミュレータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004089845A JP4774528B2 (ja) 2004-03-25 2004-03-25 ハードウエアシミュレータ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005275930A JP2005275930A (ja) 2005-10-06
JP4774528B2 true JP4774528B2 (ja) 2011-09-14

Family

ID=35175524

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004089845A Expired - Fee Related JP4774528B2 (ja) 2004-03-25 2004-03-25 ハードウエアシミュレータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4774528B2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003180400A (ja) * 2001-12-20 2003-07-02 Japan Science & Technology Corp 代謝回路情報処理方法、代謝回路情報処理装置、プログラム、および、記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005275930A (ja) 2005-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Panagant et al. Truss topology, shape and sizing optimization by fully stressed design based on hybrid grey wolf optimization and adaptive differential evolution
Schaffter et al. GeneNetWeaver: in silico benchmark generation and performance profiling of network inference methods
Zhu et al. Robust stability analysis of Markov jump standard genetic regulatory networks with mixed time delays and uncertainties
Marsland et al. The Community Simulator: A Python package for microbial ecology
Brown et al. Deep reinforcement learning for engineering design through topology optimization of elementally discretized design domains
Aponte et al. mpdcm: A toolbox for massively parallel dynamic causal modeling
JP2022092297A (ja) 設計支援装置、設計支援方法及び設計支援プログラム
Kashtan et al. An analytically solvable model for rapid evolution of modular structure
Qin et al. Area and power optimization for Fixed Polarity Reed–Muller logic circuits based on Multi-strategy Multi-objective Artificial Bee Colony algorithm
JP4774528B2 (ja) ハードウエアシミュレータ
JP4761285B2 (ja) ハードウエアシミュレータ
Reggiani et al. New advances in spatial network modelling: Towards evolutionary algorithms
Fisher et al. Executable biology
JP4780544B2 (ja) ハードウエアシミュレータ
US20210173978A1 (en) Optimization device, optimization device control method, and computer-readable recording medium recording optimization device control program
Székely et al. A higher-order numerical framework for stochastic simulation of chemical reaction systems
JP4774529B2 (ja) ハードウエアシミュレータ
JP4761286B2 (ja) ハードウエアシミュレータ
JP4803782B2 (ja) ハードウエアシミュレータ
JP2002126497A (ja) 化学反応シミュレーション装置および化学反応シミュレーション方法
JP4369783B2 (ja) ハードウエアシミュレータ
JP4761287B2 (ja) ハードウエアシミュレータ
Knabe et al. Genetic algorithms and their application to in silico evolution of genetic regulatory networks
Fontanarrosa Automated Generation of Dynamic Models for Genetic Regulatory Networks
Akgül et al. An Activity Factor List for Energy Consumption of SRAM-based CIM Architectures

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100302

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100419

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110524

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110606

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140708

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees