JP4772998B2 - 半導体x線検出器の光導線性fetによって誘引されるオフセットの簡単な測定手段 - Google Patents
半導体x線検出器の光導線性fetによって誘引されるオフセットの簡単な測定手段 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的に医療診断用撮像システムに関し、特に、半導体検出器を用いた医療撮像システムの電界効果トランジスタ(FET)の光導電効果によって引き起こされる画像オフセットを補正する方法と装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
X線撮像器は長い間に渡って受け入れられてきた医療診断用ツールである。X線撮像システムは、一般的に、正確な診断を医者が行うために必要な情報をしばしば含む画像、例えば、胸部と頚部と脊髄と頭がいと腹部の画像を獲得するために利用される。一般的に、X線撮像システムにはX線源とX線センサーが含まれる。例えば、胸部のX線画像を取るときに、X線技師がX線センサーとX線源を適当な高さに位置付けたときに、患者はX線センサーに胸部を押しつけて立つ。X線源によって生成されるX線は患者の胸部を通過し、X線源によって生成され体の様々な部位で減衰するX線エネルギーをX線センサーが検出する。それに関連する制御システムは、X線センサーで検出されたX線エネルギーを受けて、それに対応する診断用画像をディスプレイに表示する。
【0003】
スクリーンによって、フィルムを感光させる光にX線を変換する従来のスクリーン/フィルムの構成をX線センサーが備えていてもよい。また、X線センサーは半導体デジタル画像検出器でもよい。デジタル検出器は、従来のスクリーン/フィルム構成よりかなり広い、一般的には、それより2,3倍広いダイナミックレンジを提供する。
【0004】
半導体デジタルX線検出器の一実施形態は、半導体FETのパネルとフォトダイオード備えてもよい。一般的に、パネルのFETとフォトダイオードは、行(スキャンライン)と列(データライン)に配列されている。FETコントローラは、複数のFETのオンオフの順番を制御する。一般的に、複数行のFETがオンとなる、即ち、アクティブにされる。複数のFETがオンになると、FETチャネルを作るための電荷がトランジスタのソースとドレインの両方からFETに引かれる。各FETのソースは1つのフォトダイオードに接続される。各FETのドレインは、データラインを介して読み出し電子回路に接続される。各フォトダイオードは光信号を積分して、検出器によって吸収されたX線量に比例するエネルギーを放出する。複数のFETのゲートはFETコントローラに接続される。FETコントローラによって、フォトダイオードのパネルから出される複数の信号を順番に読み出すことができる。読み出し電子回路は、フォトダイオードから出された信号を変換する。獲得システムでは、検出器のフォトダイオードから出され、読み出し電子回路によって変換されたエネルギーを用いて表示されるデジタル診断用画像の複数の画素をアクティブにする。一般的に、複数のFETとフォトダイオードのパネルは行毎にスキャンされる。デジタル診断用画像で対応する複数の画素は複数の行に渡ってアクティブにされる。
【0005】
X線検出器のFETは、フォトダイオードの充電/放電を制御するスイッチとして機能する。FETがオープンであるとき、それに関連するフォトダイオードが読み出し電子回路から分離され、X線露出中に放電する。FETがクローズすると、読み出し電子回路によってフォトダイオードは初期充電状態に再充電される。X線源からの吸収したX線に応答して、シンチレータによって光が放出される。フォトダイオードは放出光を検知して、部分的に放電する。従って、FETがオープンするとフォトダイオードはX線量を表す電荷を保持する。FETがクローズすると、フォトダイオードには所望の電圧がかかる。所望の電圧を再び設定するために調整された電荷量は、X線露出期間中にフォトダイオードによって積分されたX線量になる。
【0006】
多くの目的でX線画像を用いることができる。例えば、対象オブジェクトの内部欠陥を検出することができる。さらに、内部の構造、即ち、並びを確認することができる。さらに、画像は対象のオブジェクトの存在や不在を示すことができる。X線撮像から得られた情報には、医療と製造を含む多くの分野のアプリケーションがある。
【0007】
X線もしくはその他の方法を用いる撮像システムでは、画像品質は最も重要である。この点で、デジタルすなわち半導体画像検出器(「デジタルX線システム」)を利用するX線撮像システムは、ある特有の問題に直面する。デジタルX線画像の問題としては、画像アーチファクトや「ゴースト画像」やゆがみがデジタルX線画像に現れることがある。デジタルX線システムが直面する問題の原因の1つは、デジタルX線システムで使用される半導体デバイスの光導電特性がある。
【0008】
光導電度は、材料のエレクトロンの光学上(光)の励起による材料のエレクトロン伝導度の増加量である。光導電特性は、半導体X線検出器のスイッチとして使われるFETによって示される。理想的には、FETスイッチは電荷を蓄積し、フォトダイオードの電荷を計測する電子回路からフォトダイオードを分離する。光導電特性を示すFETは、FETのオープン時にシステムからフォトダイオードを完全に分離させるものではない。その結果、FETは読み出し電子回路に過剰の電荷を送ることになる。もし、FETが読み出し電子回路に過剰な電荷を送るなら、次にデジタル画像の画素をアクティブにするフォトダイオードから放電されるエネルギーが影響を受けることがある。FETの意図しない電荷リークによってアーチファクトが生成される、即ち、デジタルX線画像の各画素に非均一のオフセットが加えられることがあるため、画像の線アーチファクトが生成される。
【0009】
また、アモルファスシリコンから成るFETとその他の材料は、電荷保存と呼ばれる特性を示す。電荷保存は構造による現象であって、ある程度まで制御することができる。電荷保存は、FETに引き込まれて導電チャネルを形成する電荷の全てが、FETがオフにされたときに強制的に追い出されるとは限らない現象に対応する。FETがオフになった後でも時間の経過と共に保持電荷はFETからリークし、FETからリークした電荷によって、X線制御システムによってフォトダイオードから読み出された信号にオフセットが加えられる。
【0010】
電圧がFETのゲートに印加されて、X線検出器の複数の行が読み出されるとき、X線検出器のFETは電荷保持特性を示す。検出器の複数の行は、一般的に、所定の方法とシーケンスとタイムインターバルで読み出される。タイムインターバルはX線画像の完全なフレームの複数の読み出しオペレーション間で変化することがある。FETに関連するフォトダイオードの電荷が電荷測定部によって読み出された後にオープンになると、FETは電荷の一部を保持する。読み出しオペレーション間では、複数のFETによって保持される電荷がそれらのFETから電荷測定部にリークする。複数のFETからリークする電荷量は、時間の経過とともに指数関数的に下がる。全ての保持電荷がFETからリークする前に、次の読み出しオペレーションが始まる。その結果、各読み出しオペレーション中に電荷測定部は、前の読み出しオペレーション中に複数のFETによって蓄積された電荷量を測定する。また、現在の読み出しオペレーションでの現在のスキャンラインに先行するスキャンライン内でアクティブにされたFETによって蓄積された電荷量を電荷測定部が表示する。
【0011】
新しい読み出しオペレーションが始まるときに、複数のFETに残る電荷は初期保持電荷と呼ばれる。一データラインのFET等の多数のFETに蓄積された初期保持電荷が合わさってその列に対する電荷保持オフセットが形成される。 電荷保持オフセットは、X線検出器パネルの行の読み出しレートに基づいて変化する。読み出しオペレーション間のインターバルが長くなると、電荷が大きく減少する。パネルの複数の行が読み出されると、電荷保持オフセットが増えて、特定の定常値になる。電荷保持レートに対する定常値は、FETの電荷の減少レートの指数関数値に等しいレートでパネルの複数の行が読み出される点を示す。
【0012】
オフセットとX線の画像の両方に対するフレーム間の時間が一致する場合は、電荷保持効果が最終画像から取り除かれる。検出器を読み出す通常のプロセスでは、「露出(exposed) 」スキャンの結果値から「暗(dark)」スキャンの結果値を単純に減算することによって、保持された電荷の効果が最小となる。「暗」スキャンは、X線を用いない読み出しである。「暗」スキャンでは、X線検出器のパネル上のFETを単純にアクティブにする。従って、「暗」スキャンは、X線検出器を読むためにアクティブにされたFETによって示される電荷保持特性を求めるものである。所望のオブジェクトの実際の「露出」スキャン結果から「暗」スキャン結果を減算することによって、電荷保持効果を無くすことができる。
【0013】
X線露出中に同様な現象が発生する。これによって、FET光導電特性の結果としてFET内に電荷が生成される。露出の終わりに複数のFETがオフになるときに、電荷保持の場合と同様に、さらに電荷がリークしてリード信号に加えられる。しかしながら、そのさらなる電荷を除去することができない。何故ならば、FET光導電特性によってもたらされた電荷は、X線検出器に衝突するX線に関係するからである。従って、FETの光導電特性によってもたらされた電荷については予測不可能であり、即ち、X線が送られない「暗」画像では再現不可能である。光導電するFETの数とFETによって導電される電荷量は、各FETの個々の特性だけでなく、X線露出量と撮像されるオブジェクトに依存する。複数の行(スキャンライン)と列(データライン)に沿って半導体X線検出器が構成されるので、FETの過剰な電荷によって、基本的な構造をもつ画像アーチファクト、即ち、「暗」画像と「露出」画像を対比させても補正できないオフセットが発生する。
【0014】
光導電度は電荷保持度ほど制御可能ではない。第1に、X線検出器内の1つのFETがオンになって読み出されるときに、同じ電圧を用いてFETは常にオンとなる。光導電効果を利用して、FETをオンにする「量」は所定のFETに達する光の輝度によって決まる。X線検出器の複数のFETの全てに対して幅広い輝度範囲で、FETに達する光を変化させることができる。第2に、(各FETの光の輝度に依存する)光導電度によって各FETがどのくらい強く影響を受けるのかという点に関係なく、全てのFETが同時に影響を受ける。読み出しによって起こされる電荷保持によって、一度に所定の列の中の1つのFETだけが刺激を受ける。従って、光導電度の予測が非常に難しく、単純に画像を減算する方法では補正できない。
【0015】
上述したように、デジタル画像検出器の特性には固有の変動がある。多くの医療診断用撮像システムでは一貫性があり正確な画像の品質(そして、特に画像の解像度)を提供する必要があるが、過去には、そのような一貫性を提供するオートメーション化された技術はなかった。
【0016】
従って、半導体X線検出器の電界効果トランジスタの光導電効果によって発生するオフセットを補正する方法と装置が必要である。
【0017】
【発明の概要】
本発明の好適な実施形態は、半導体X線検出器の電界効果トランジスタ(FET)の光導電効果によって発生したオフセットを補正する方法と装置を提供する。その方法と装置では、X線検出器に実際に存在する行(スキャンライン)の数の倍を読み出す。X線検出器の「実際の」スキャンラインを操作する間に、その追加行が読み出される。FETの光導電性によって生じた「信号」を測定するために、その追加行の示値を使うことができる。好適な実施形態では、奇数番号のスキャンラインのときに「実際の」行を読み出すことができ、また、偶数番号のスキャンラインを使って、FETの光導電性によって生じた信号を測定することができる。光導電性FETによって生じたオフセットを補正するために、偶数行信号を先行する奇数行信号から減算し得る。光導電性FETによって生じたオフセットの補正は、通常のオフセット補正後に行ってもよい。実際には、FETの光導電性に基づく実際の信号の寄与度を各行の各列で独立に測定することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に基づいて用いられる医療診断用撮像システム100の好適な実施形態を示す。医療診断用撮像システム100には複数のサブシステムが含まれる。例示するだけの目的で、医療診断用撮像システムをX線システムとして説明する。医療診断用撮像システム100には、X線検出器110とX線検出器スキャン領域115とX線源120とシンチレータ125と患者130等のサブシステムが含まれる。また、医療診断用撮像システム100には、画像獲得調整モジュール140と画像調整モジュール150が含まれる。
【0019】
患者130は医療診断用撮像システム100に位置付けられる。一つの模範的なシステムでは、X線源120は患者130の下に位置付けられる。X線検出器110は患者130の上に位置付けられる。シンチレータ125はX線検出器110と患者130の間に位置付けられる。X線は、X線源120から患者130を通過してシンチレータ125に送られる。シンチレータ125は、X線源120から患者130に送られたX線に対応する光を放出する。放出光は、X線検出器110とX線検出器のスキャン領域115に送られる。
【0020】
図3は、X線検出器110内の半導体X線検出器のスキャン領域115の好適な実施形態を示す。X線検出器のスキャン領域115は、X線画像内の画素に対応する複数のセル310を備えて成る。セル310を複数の列(データライン)320と複数の行(スキャンライン)330で配列することができる。セル310内の複数の画素は行330毎にアクティブにされる。複数の画素がアクティブにされ、複数の行330の複数の画素からの信号が複数の列320から読み出されて変換され、患者130の所望のデジタルX線画像が生成される。
【0021】
図5は、X線検出器110内の半導体X線検出器のスキャン領域115の好適な実施形態の下位レベルの図を示す。X線検出器のスキャン領域115は、フォトダイオード520と電界効果トランジスタ(FET)530を備える複数のセル510を備えて成る。リード線540によって、複数のセル510が画像獲得調整モジュール140に接続される。
【0022】
画像獲得調整モジュール140は、X線検出器のスキャン領域115からX線画像を獲得する。好適な実施形態では、画像獲得調整モジュール140は、X線検出器のスキャン領域115内に存在する「実際の」行330をスキャンして、その行330からデータを獲得する。複数のFETに伝導させることによって「実際の」行330からデータを獲得する。「スキャンされる」次のライン、即ち、「偶数」スキャンによって、データライン320を再び評価して、FETの光導電度から電荷のリーク量を求める。複数のFETを伝導させることなく、「偶数」スキャンによってデータが得られる。次のスキャンでは、「奇数」スキャン、即ち、別の「実際の」行330が読み出される。X線検出器のスキャン領域115からデータが読み出されるまで、奇数/偶数スキャンプロセスは続く。
【0023】
X線検出器のスキャン領域115の複数のセル310,510からのリード線540から信号を受け取ることによって、画像獲得調整モジュール140はX線検出器のスキャン領域115からX線画像を獲得することができる。リード線540からの信号をフォトダイオード520に蓄積された電荷によって生成することができる。フォトダイオード520に蓄積された電荷は、フォトダイオード520による光の吸収から得られる。シンチレータ125によるX線エネルギーの吸収に対応して、シンチレータ125はフォトダイオード520の真上に光を放出する。FET530によって、フォトダイオード520に蓄積された電荷は信号としてリード線540を通る。画像獲得調整モジュール140によってFET530をアクティブにすることができる。画像獲得調整モジュール140で獲得された信号には、FET530の光導電効果と電荷保持特性から生じたオフセットが含まれることがある。
【0024】
画像調整モジュール150は、画像獲得調整モジュール140から獲得された画像を受け取る。画像調整モジュール150は、X線検出器110によって画像に生じたオフセットを補正する。X線検出器110内のFET(電解効果トランジスタ)の電荷保持特性や光導電特性からX線画像にオフセットが生じることがある。好適な実施形態では、FETでの保持電荷によって引き起こされる電荷のリークが存在する「暗」画像を減算することによって、FET530の電荷保持オフセットを除去することができる。好適な実施形態では、画像調整モジュール150は、X線検出器のスキャン領域115の各行330間でスキャンされる追加行を用いて、X線画像のFET光導電効果から生じたオフセットを補正することができる。
【0025】
図2は、本発明の医療診断用撮像システムで生じたオフセットを補正する一実施形態のフロー図200を示す。工程210では、画像獲得調整モジュール140は、X線検出器のスキャン領域115から「暗」画像を獲得する。「暗」画像は、X線を用いずに読み出すことによって得られる。「暗」画像を得るためのスキャンによって、X線検出器のスキャン領域115内のFET530がアクティブにされ、FET530からの保持電荷リーク量が測定される。従って、X線検出器のスキャン領域115を読み出すためにアクティブとなったFET530によって生じた電荷保持オフセットを確認するために、「暗」画像を用いることができる。
【0026】
工程220では、画像獲得調整モジュール140はX線検出器のスキャン領域115からX線画像を獲得する。半導体X線検出器110を構成するFET530の電荷保持特性と光導電効果等の原因で生じる過剰な電荷によって画像はオフセットされる。画像獲得調整モジュール140は、X線検出器のスキャン領域115内のセル510からのリード線540を用いて、X線検出器のスキャン領域115からX線画像を行毎に読み出す。好適な実施形態の画像獲得調整モジュール140は、X線検出器のスキャン領域115に存在する「実際の」行330をスキャンして、その行330から露出データを獲得する。「実際の」スキャン中には、FETは導電可能である。スキャンされる次のライン、即ち、「偶数」スキャンによって、データライン320を再評価して、FETを導電させることなくFETの光導電度からオフセットを求めることができる。次のスキャン、即ち、「偶数」スキャンでは、「実際の」行330が読まれる。奇数/偶数スキャンプロセスは、X線検出器のスキャン領域115が読まれるまで続く。図4は、インターリーブ式スキャンプロセスを示す。
【0027】
図4は、工程220で画像獲得調整モジュール140によって実行されるスキャンプロセスを示す。タイミング図410は、医療診断用撮像システムで実行される伝統的なスキャン方法を示す。各タイムスライス412では、行ストローブ416がアクティブにされる。タイムスライス412では、行ストローブ416は、X線検出器のスキャン領域115内の各行330に対してアクティブになる。タイムスライス412では、画像獲得調整モジュール140は行ストローブ416がアクティブとなる行330を読み出す。
【0028】
タイミング図420は、本発明で用いられる医療診断用撮像システム100内の画像獲得調整モジュール140の好適な実施形態で実行されるスキャン方法を示す。第2のタイムスライス422毎に、X線検出器のスキャン領域115の実際の各行330に対して行ストローブ426はアクティブとなる。タイムスライス422では、画像獲得調整モジュール140は、行ストローブ426がアクティブにされた行330を読み出す。この行スキャンはデータ獲得スキャンであって、行330の各セル310,510の露出データが得られる。露出データは、関連のセル310,510で受け取ったX線量、即ち、露出量である。画像獲得調整モジュール140は、各セル310,510での露出データを得るが、この各セルは、デジタル画像ディスプレイ上の対応画素の輝度を求めるために用いられる。各タイムスライス424では、新しい行ストローブ426はアクティブにされない。タイムスライス424では、画像獲得調整モジュール140は現在の行330を再度読み出し、タイムスライス424でデータライン320上に存在する (光導電性電荷保持量を含む)電荷保持量を効果的に測定することができる。この行スキャンによって、行330の各セル310,510の光導電性オフセットデータが得られる。
【0029】
工程230では、画像調整モジュール150は、X線画像データを画像獲得調整モジュール140から受け取る。画像には、画像スキャンの実際の行間でインターリーブされたオフセット補正行が含まれる。画像調整モジュール150は、行と列に基づいて画素毎に画像を分析する。工程240では、画像調整モジュール150は画像の画素410に対する画像データ値を計算する。好適な実施形態では、奇数行信号から実際の画素の示度(露出データ値(ED))を取り込み、その奇数行信号から偶数行信号画素の示度(光導電性オフセットデータ値(PC))を減算することによって、画像データ(ID)が計算される。また、画像調整モジュール150は、「暗」画像から取り込まれた画素に対する電荷保持オフセットデータ値(CR)を減算する。(また、暗画像は保持電荷以外にオフセットも含むことがある。)また、タイミングと保持電荷の低下を調和させるために、「暗」画像には、「偶数」行と「奇数」行のスキャンが含まれる。X線検出器のスキャン領域115から取り込まれた実際の示度から校正値を減算することによって、画像調整モジュール150は、光導電度と電荷保持のオフセットの補正を行って、実際の画素値(Idi,j =ED2i-1,j−CR2i-1,j−(PC2i,j−CR2i,j)を求めることができる。この計算では、iは画像の行330のインデクスを示し、jは画像の列320のインデクスを示す。画像には「実際の」行と「ファントムの」補正行の両方があるのでインデックス2iが使われる。従って、実際の行数の倍の数が画素補正計算に使われる。第1のCR値CR2i-1,jは露出画像からの電荷保持オフセットデータ値を示す。第2のCR値CR2i,jは、「暗」画像の「ファントムの」行からの電荷保持オフセットデータ値を示す。デジタル表示を行うために、その結果として得られた画像の各画素の画像データ値を用いることができる。
【0030】
別の好適な実施形態では、2つの光導電性電荷リーク量の平均をとることによって、デジタルX線画像の光導電性オフセットデータ値を計算することができる。工程240では、画像調整モジュール150は、注目の奇数行の前後の両方の偶数行からのオフセットデータ値の平均値を求めることによって、一画素に対する画像データ値を計算することができる。奇数行からの露出データ値から、注目の奇数行の前後の両方の偶数行からの示値の平均値を減算して、画像の実際の画素値を求めることができる。
【0031】
従って、本発明は、半導体X線検出器での深刻な劣化の問題に対して非常に簡単な解決法を提供するものである。半導体X線検出器の複数の光導電性FETから生じるオフセットの測定と補正を行う方法と装置は、新しい医療診断用撮像システム設計を改善でき、また、オフセット補正によって既存の医療診断用撮像システムを維持することができる。本発明は簡単に利用できるものであって、既存の検出器のハードウエアの変更は必ずしも必要ではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関して用いられた一般的な医療診断用撮像システムの好適な実施形態を示す概略構成図である。
【図2】半導体X線検出器の電界効果トランジスタ(FET)の光導電効果によって生じたオフセットを補正する好適な実施形態のフロー図である。
【図3】半導体X線検出器の好適な実施形態を示す略図である。
【図4】本発明の好適な実施形態の画像獲得方法を示す波形図である。
【図5】半導体X線検出器の好適な実施形態を示す概略回路図である。
【符号の説明】
310 セル
320 列(データライン)
330 行(スキャンライン)
510 セル
520 フォトダイオード
530 電界効果トランジスタ(FET)
Claims (12)
- 医療診断用撮像システム(100)内の検出器(110)によって獲得される医療診断用画像を生成する方法であって、
行と列に配置された複数の検出器セル(310)を備える検出器(110)をエネルギー源(120)に露出させて、露出画像を形成する工程と、
前記検出器(110)の行ストローブ(416)をアクティブにして、前記検出器(110)の第1の行において患者(130)の露出画像の少なくとも一部を示す第1のデータセットを測定する工程と、
前記検出器(110)の行ストローブ(416)をアクティブにせずに、前記検出器(110)の第1の行に隣接する第2の行において前記第1のデータセットとは異なるタイムスライスにおいて前記検出器(110)のエネルギー特性を示す第2のデータセットを測定する工程と、
前記露出画像と、前記第1と第2のデータセット間の関係に基づき医療診断用画像を生成する工程と、を備える方法。 - 画像を獲得する検出器サブシステムであって、
オブジェクトを表すエネルギーに露出されたパネルであって、前記パネルは、エネルギーの複数の離散量を検出する行と列に配置された複数のセル(510)アレイから形成される、当該パネルと、
各々がセル(510)に蓄積されたエネルギー量を表している複数のデータセットを読むスキャナーとを備え、
前記パネルが前記エネルギーに露出されている時または露出された後に、前記スキャナーは前記パネルの行ストローブ(416)をアクティブにして、前記パネルの第1の行において第1のデータセットを読み、前記パネルの行ストローブ(416)をアクティブにせずに、前記パネルの第1の行に隣接する第2の行において前記第1のデータセットとは異なるタイムスライスにおいて前記パネルのエネルギー特性を示す第2のデータセットを読み、また、前記スキャナーは第1と第2のデータセットの間の関係に基づいて検出器の出力を生成する、検出器サブシステム。 - 前記セル(510)アレイは、前記エネルギーの複数の離散量を示す電荷を蓄積するフォトダイオード(520)アレイと、前記フォトダイオード(520)と前記スキャナーをスイッチ可能で接続する電界効果トランジスタ(530)アレイとを備える、請求項2のサブシステム。
- 前記第1と第2のデータセットは露出データセットと、電界効果トランジスタ(530)の光導電効果が含まれる補正データセットとを備える、請求項2または3のサブシステム。
- 前記露出データセットを得るために前記スキャナーは前記パネルの少なくとも一部から前記第1のデータセットを読み、同様に、前記補正データセットを得るために前記スキャナーは、前記第2のデータセットを前記パネルの少なくとも一部から読む、請求項2乃至4のいずれかに記載のサブシステム。
- 前記パネルの奇数行信号から露出データ値(ED)を取り込み、前記パネルの偶数行信号から光導電性オフセットデータ値(PC)を取り込み、前記露出データ値(ED)から前記光導電性オフセットデータ値(PC)を減算することによって、前記出力が計算される、請求項2乃至5のいずれかに記載のサブシステム。
- 患者(130)から生じたエネルギーパターンを検出する検出器(110)であって、検出されたエネルギー量を示す電荷を蓄積する行と列に配置された複数の離散的収集要素のアレイを備える、当該検出器(110)と、
前記収集要素に蓄積された電荷を計測する画像獲得調整モジュール(140)であって、前記検出器(110)の行ストローブ(416)をアクティブにして、前記検出器(110)の第1の行の前記収集要素をスキャンして第1のパスで前記エネルギーパターンを示す露出データを得ると共に、前記第1のパスと異なるタイムスライスの第2のパスで前記検出器(110)の行ストローブ(416)をアクティブにせずに、前記検出器(110)の第1の行に隣接する第2の行において前記検出器(110)のエネルギー特性を示す補正データを得る当該画像獲得調整モジュール(140)と、
を備える、医療診断用撮像システム(100)。 - 前記検出器(110)の前記エネルギー特性の効果を最小にする補正データを用いて前記露出データを補正する画像調整モジュール(150)を備える、請求項7のシステム。
- 前記検出器(110)は、前記収集要素と前記画像獲得調整モジュール140をスイッチ可能で接続する電界効果トランジスタ(530)アレイをさらに備え、
前記検出器(110)のエネルギー特性には、電界効果トランジスタ(530)の光導電効果が含まれる、請求項7のシステム。 - 前記収集要素はフォトダイオード(520)を備える、請求項7のシステム。
- 前記エネルギーパターンはX線エネルギーパターンである、請求項7のシステム。
- 露出データを得る前に暗画像が獲得され、前記画像調整モジュール(150)は、前記暗画像を前記露出データから減算する、請求項8のシステム。
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