JP4769164B2 - 工作機械および気液分離装置 - Google Patents
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Description
これらいずれの方式の気液分離装置も、オイル等の液体を分離した後の空気は、加工室の外に排出され、工作機械外部の大気に解放されることとなる。
ところがこのため、気液分離装置の構造自体や、消火器と連動させて切換弁を確実に作動させるための制御が複雑となってしまう。
気液分離装置の送風機が、加工室内の気液混合流体を加工室内で強制循環させることによって液体を分離するので、原理的に気液混合流体が加工室から外部に排出されることがない。つまり、従来のように気液混合流体から液体が分離されず微量の液体粒子を含んだままでも工作機械外部に放散してしまう方式とは異なり、流体を繰り返し加工室で循環させることにより従来の気液分離装置に較べてより確実に液体を分離することが可能となる。またこれにより、液体粒子を微量含んだ流体が工作機械外部に放出されることがないため、工作機械外部の作業環境がより良好となる。
また、セパレータの流路は、渦状に形成されており、気液混合流体がこの渦状の流路を外側から中心に向かって流れる。気液混合流体が流路に沿って移動するに従って、液体は徐々に凝集するが、中心に向かうにつれて渦状の流路の円弧半径が小さくなるため、気液混合流体の旋回半径が小さくなり、流速が速くなる。したがって、気液混合流体に含まれる液体がより高速で流路の内面に衝突、接触したり、液体の粒子同士がより高速で衝突するため、液体がより凝集、結合し分離しやすくなる。よって流路の後半部分において液体粒子の含有量が少なくなった気液混合流体からも良好に液体を分離することが可能となり、気液分離性能が向上する。
気液分離装置が、加工室内の気液混合流体を加工室内で強制循環させることによって液体を分離するので、原理的に気液混合流体が加工室から外部に排出されることがない。つまり、従来のように気液混合流体から液体が分離されず微量の液体粒子を含んだままでも工作機械外部に放散してしまう方式とは異なり、流体を繰り返し加工室で循環させることにより従来の粒子を微量含んだ流体が工作機械外部に放出されることがないため、工作機械外部の作業環境がより良好となる。
この実施の形態によれば、気液混合流体は、渦状の流路を外側から中心に向かって流れる。ここで、気液混合流体が流路に沿って移動するに従って液体は徐々に凝集するが、流路の横断面の面積が外側から中心に向けて次第に小さくなっているので、中心側に向かうにつれて流体が圧縮される。これにより、渦状の流路によって流速が速くなったことによる気液分離性能の向上に加えて流体の圧縮によっても、液体の含有率が少なくなった気液混合流体から良好に液体を分離できるから、気液分離効率が良好となる。
ここで、渦状の流路の横断面とは、流路内の流体の進行方向に直行する面をいう。
気液分離装置が、加工室内の気液混合流体を加工室内で強制循環させることによって液体を分離するので、原理的に気液混合流体が加工室から外部に排出されることがない。つまり、従来のように気液混合流体から液体が分離されず微量の液体粒子を含んだままでも工作機械外部に放散してしまう方式とは異なり、流体を繰り返し加工室で循環させることにより従来の粒子を微量含んだ流体が工作機械外部に放出されることがないため、工作機械外部の作業環境がより良好となる。
この実施の形態によれば、流路が略円弧状に湾曲して、放射線状に形成されているので、中心側から外側に向けて流れる気液混合流体が、流路の壁にぶつかりやすくなる。したがって、気液分離混合流体から液体をより効率よく分離することができる。
この他の実施の形態によれば、流路に、壁が設けられているので、中心側から外側への流体の流れが、壁によって分断され、流路内での流体の流れがより複雑となる。したがって、気液混合流体が、流路を通るにしたがって、気液混合流体が流路の壁に衝突したり、液体粒子同士が衝突する機会が多くなり、より確実かつ効率的に液体を分離することができる。
このさらに他の実施の形態によれば、送風機がセパレータに対して下流側に配置されているので、送風機に到達する流体はセパレータによって液体がほぼ除去された状態となる。したがって、送風機で凝集される液体の量を最小限に抑制することができ、従来電動ファンの遠心力によって液体を凝集する構造の気液分離装置と比較して、送風機の清掃などのメンテナンスが簡単になる。
この別の実施の形態によれば、送風機がセパレータに対して上流側に配置されているので、気液混合流体を送風機でより強力に吸引することが可能となる。したがって、より多くの流体をセパレータに導入することが可能となるから、加工室内の気液分離効率が向上する。
この発明によれば、気液分離装置が冷却手段を備えているので、気液混合流体が冷却手段によって冷却され、液体が凝集しやすくなる。よって気液分離効率が向上する。また、冷却手段により、加工室内の気液混合流体の温度が低下するから、気液混合流体が熱膨張によって加工室の外部に漏れるのが抑制され、加工室の外部の作業環境がより向上する。
この他の実施の形態によれば、気液分離装置が収集手段を更に有するので、分離手段から排出された流体が収集手段によって収集され、流体排出口から加工室内に排出される。ここで、流体排出口は、流体導入口から所定距離隔てられた位置に配置されているので、排出された流体を分離手段が再び吸い込むのが防止される。したがって、加工室内の、液体が分離されるべき気液混合流体を効率よく分離手段に導入することができ、気液分離性能を良好に維持できる。
また、セパレータの流路は、渦状に形成されており、気液混合流体がこの渦状の流路を外側から中心に向かって流れる。気液混合流体が流路に沿って移動するに従って、液体は徐々に凝集するが、中心に向かうにつれて渦状の流路の円弧半径が小さくなるため、気液混合流体の旋回半径が小さくなり、流速が速くなる。したがって、気液混合流体に含まれる液体がより高速で流路の内面に衝突、接触したり、液体の粒子同士がより高速で衝突するため、液体がより凝集、結合し分離しやすくなる。よって流路の後半部分において液体粒子の含有量が少なくなった気液混合流体からも良好に液体を分離することが可能となり、気液分離性能が向上する。
気液分離装置が、加工室内の気液混合流体を加工室内で循環させることによって液体を分離するので、原理的に気液混合流体が加工室から外部に排出されることがない。つまり、従来のように気液混合流体から液体が分離されず微量の液体粒子を含んだままでも工作機械外部に放散してしまう方式とは異なり、流体を繰り返し加工室で循環させることにより従来の気液分離装置に較べてより確実に液体を分離することが可能となる。またこれにより、液体粒子を微量含んだ流体が工作機械外部に放出されることがないため、工作機械外部の作業環境がより良好となる。
そして、気液分離装置がフィルター(濾過器)などを使用しないため、目詰まりを起こして分離効果が悪くなったりすることがない。したがって、フィルターの清掃等も不要となり、気液分離装置がメンテナンスフリーとなる。
気液分離装置が、加工室内の気液混合流体を加工室内で強制循環させることによって液体を分離するので、原理的に気液混合流体が加工室から外部に排出されることがない。つまり、従来のように気液混合流体から液体が分離されず微量の液体粒子を含んだままでも工作機械外部に放散してしまう方式とは異なり、流体を繰り返し加工室で循環させることにより従来の粒子を微量含んだ流体が工作機械外部に放出されることがないため、工作機械外部の作業環境がより良好となる。
そして、気液分離装置がフィルター(濾過器)などを使用しないため、目詰まりを起こして分離効果が悪くなったりすることがない。したがって、フィルターの清掃等も不要となり、気液分離装置がメンテナンスフリーとなる。
本発明の第一実施形態について図1から図3を参照して、以下に説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る工作機械1の全体図、図2は、本発明の第一実施形態に係る気液分離装置20の側断面図、図3は、図2のA-A平断面図である。
図1に示すように、工作機械1は、ベース11上に設けられた加工室12と、加工室12内に発生する油性切削液による油煙等のオイルミストや、水溶性切削液による水蒸気などの液体を含む気体(気液混合流体)から液体を分離する気液分離装置20とを備える。
材料の加工中には、摩擦により材料及び刃が高温となるため、これらを冷却するために常に油性切削液や水溶性切削液等の液体が供給される。このとき、加工室12の内部は、加工中の熱によって油性切削液や水溶性切削液が蒸発しまたは飛散して、オイルミストや水蒸気などの霧状のミスト(液体粒子)が充満することとなる。
ベース11には、加工室12内での発火に備えて消火器15が取り付けられている。消火器15は、ガス状の消化剤を収納しており、加工室12の内部に連通している。消火器15は、工作機械1が過熱や火災を感知した場合に、消化剤を加工室12の内部に自動的に噴霧するように構成されている。
流体導入口21は、分離手段30に連結された気液混合流体導入管23の端面に形成され、加工室12内の流体は、流体導入口21から気液混合流体導入管23を通って分離手段30に導入される。
送風機31は、回転軸33に固定された複数の羽根34を有し、送風機31の保護蓋として機能するカバー35に覆われている。回転軸33は、カバー35の中央部を貫通し、カバー35の外部においてモータ36と連結している。カバー35の外縁にはフランジ部37が形成され、このフランジ部37がセパレータ40との連結部分となっている。この送風機31は、セパレータ40と流体排出口22との間に配置されており、つまり気液分離装置20の中での流体の流れに関して、送風機31はセパレータ40に対して下流側に設けられている。
ここで、壁41は、内周側の壁41との距離が外側から中心に向かって次第に狭くなるように配置されており、したがって、流路42の横断面の面積は、外側から中心に向かって次第に小さくなる。ここで、流路42の横断面とは、流体の進行方向に直交する面をいい、流路42の横断面の面積とは、当該直交する面において上面部材40A、底面部材40B、および壁41で囲まれた領域の面積をいう。
壁41の中心側の端部は孔43の外周に連結しており、これにより、流路42の中心側の端部は孔43と連通している。一方、壁41の外側の端部、つまり流路42の外側の端部は、流体導入口21の気液混合流体導入管23に連結している。
また、セパレータ40の上面部材40Aは、壁41の外周縁よりも大きな円盤状に形成されており、したがって外縁部40Dが壁41よりも突出している。この外縁部40Dは、カバー35の取付部になると同時に、工作機械1への取付部ともなっている。つまり、カバー35のフランジ部37が外縁部40Dにねじ止めなどされることによりカバー35および送風機31が外縁部40Dに固定される。また、フランジ部37および外縁部40Dが加工室12の上面のカバー12Aにねじ止めなどされることにより、気液分離装置20が加工室12に固定される。すなわち、気液分離装置20は、新規の工作機械1にも、使用中の既存の工作機械1にも装着可能な構造となっている。
このような固定構造により、気液分離装置20が工作機械1に取り付けられた状態では、セパレータ40は、加工室12内部に配置され、送風機31は加工室12より外側(上側)に突出した位置に配置される。
ここで、流体導入口21と流体排出口22とは、気液混合流体を加工室12の内部で強制循環させ、凝集、接触、分離しやすくするため、互いに離れた位置に配置されており、本実施形態では約180°の角度を有して配置されている。
工作機械1の材料の加工中には、材料及び刃の冷却のため油性切削液または水溶性切削液が供給されるが、加工による熱で油性切削液または水溶性切削液が蒸発してミスト状となるため、加工室12内には油性切削液または水溶性切削液のミストが混合した気液混合流体が充満する。気液分離装置20のモータ36を駆動して送風機31を回転させると、送風機31の吸引力によって加工室12内の気液混合流体が流体導入口21から気液混合流体導入管23を通ってセパレータ40に吸引される。気液混合流体は、セパレータ40に導入されると、渦状の流路42に沿って外側から中心に渦状に旋回して移動する。
ここで、気液混合流体が流路42を通過するに従って液体が分離されるため、流路42の中心に向かうにしたがって次第に液体粒子の含有量は少なくなる。しかしながら、流路42の円弧半径は中心に向かうに従って小さくなるため、流路42を通過する気液混合流体の流速も速くなる。これにより、流路42の壁41に衝突する速度や、液体の粒子同士が衝突する速度も上昇するため、液体が液滴化しやすくなり、液体粒子の含有量が少ない気液混合流体からも液体が分離される。
ドレイン44に流れた液滴は、工作機械1の下方に設けられた液面内部47(図1)に戻り、油性切削液や水溶性切削液として再び使用される。
液体が十分に分離された流体は、流体排出口22を通って排出されガイドプレート45によって気液分離装置20から離間する方向に案内されながら加工室12内に還元される。
なお、例えば加工室12内で発火が感知された場合には、消火器15が作動して消火剤が加工室12内に噴霧される。このとき、気液分離装置20の流体排出口22は加工室12内に開口しているので、消火剤が加工室12の外部に排出されることはない。
(1)気液分離装置20の流体導入口21および流体排出口22を別々に設け、これらが両方とも加工室12に開口しているので、気液分離装置20に吸入された流体は、加工室12に再び還元される。したがって、気液分離装置20によって加工室12内において気液混合流体を強制的に循環させて液体を凝集させることができる。液体が混合された気液混合流体を加工室12の外部に排出せず加工室12内で繰り返し気液分離を行うから、高い気液分離効率を得ることができる。
また、従来の気液分離装置では、分離しきれない微量の液体粒子を含む流体は加工室外部に排出されるのに対し、本実施形態の気液分離装置20は、気液分離装置20からの流体が加工室12に還元される。したがって、原理的に微量の液体粒子も加工室12の外部に排出されることがないから、工作機械1の外部の作業環境を向上させることができる。
さらに、例えば加工室12内の発火により消火剤が噴霧された場合にも、消火剤が加工室12の外部に排出されないので、良好な消火効果を得ることができる。そして、流体排出口22が加工室12に開口しているから、従来とは異なり消化剤の外部への流出を防ぐために流体排出口を切換弁などで封鎖する必要がなく、気液分離装置20の構造を簡単にすることができる。これにより、切換弁の制御も不要となるから、気液分離装置20の制御も簡単にすることができ、製造コストを削減することができる。
セパレータ40の流路42が、平面的に(二次元で)渦状に形成されているので、省スペース化を促進できる。
また、流路42の横断面の面積が、外側から中心に向かって次第に小さくなっているから、内部を流れる気液混合流体を圧縮することができる。したがって、気液混合流体中の液体の粒子の衝突機会が減少するのを防止でき、液体の粒子の壁41への衝突、冷却による凝集を促進することができるから、これによってもさらに気液分離性能を高めることができる。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態は、第一実施形態における気液分離装置20の送風機31およびセパレータ40の配置が第一実施形態と異なる他は、第一実施形態とほぼ同様の構成を備える。
図4は、本発明の第二実施形態に係る気液分離装置20の側断面図を示す。
第二実施形態では、気液分離装置20の送風機31は、セパレータ40に対して上流側に配置されている。
孔51Aの外周側には、加工室12内の気液混合流体を流体導入口21に案内し、気液分離装置20から排出される流体を再び直接吸入しないように、環状の導入ガイド52が取り付けられている。導入ガイド52の外縁は、加工室12の斜め下方に向かって折り曲げられた形状となっており、その外縁が斜め下方に向かって突出するように取り付けられている。
円筒部54の中央部には、孔54Aが形成されており、セパレータ40によって液体が分離された流体は、この孔54Aからセパレータ40の外部に排出される。
この固定構造により、気液分離装置20が加工室12に固定される。
仕切り部材53においてカバー35と円筒部54との間の部分には、円弧状の長孔53Bが複数箇所(本実施形態では二カ所)形成されており、これにより、カバー35内部の空間と加工室12とが連通している。したがって、この長孔53Bが、気液分離装置20から液体が分離された後の流体を加工室12に排出する流体排出口22となっている。
このような第二実施形態の構造により、送風機31は、加工室12の内側に配置されるが、セパレータ40およびカバー35は加工室12の外側に突出して配置されることとなる。
気液混合流体は、送風機31によって孔53Aを通ってセパレータ40に送られる。セパレータ40では、気液混合流体が外側から中心に向かって流路42を通るうちに、気液混合流体中の液体が凝集し、流体から分離する。
液体が分離された流体は、孔54Aから排出され、カバー35の内部を通って、流体排出口22から排出され、加工室12内に再び還元される。ここで、流体排出口22の近傍には、外周部51Bが配置されているため、流体排出口22からの流体は、外周部51Bに沿って気液分離装置20の下方外側に向かって排出される。
(6)送風機31がセパレータ40に対して上流側に配置されているので、送風機31による流体の吸入量を大きくすることができる。これにより、気液分離装置20の気液分離能力を向上させることができる。また、加工室12内で気液混合流体を強制循環させる手段としても、流体の排出量を大きく取ることができるから、気液分離能力を向上させることができる。
反対に、所定の気液分離能力を得るために必要なモータ36の能力や送風機31の寸法を小さくすることができるから、気液分離装置20の小型化を促進できる。
次に、本発明の第三実施形態について説明する。第三実施形態は、第一実施形態における気液分離装置20に冷却手段が設けられた他は、第一実施形態とほぼ同様の構成を備える。
図5は、本発明の第三実施形態に係る気液分離装置20の側断面図を示す。第三実施形態の気液分離装置20は、内部に導入された気液混合流体を冷却する冷却手段60を備えている。
(7)気液分離装置20に冷却手段60が設けられているから、気液分離装置20の内部の流体を冷却することにより、液体の凝集、凝縮を促進させることができる。
また、冷却された流体が加工室12に還元されるので、加工室12内部の流体の温度も下降し、加工室12のカバー12Aの内壁での液体の凝集、凝縮も促進させることができる。さらに、冷却手段60により、加工室12内部の流体の温度も下降するから、加工室12の内部の流体が熱膨張によって加工室12の外部へ流出するのを防止できる。
次に、本発明の第四実施形態について説明する。第四実施形態は、第二実施形態における気液分離装置20に冷却手段が設けられた他は、第二実施形態とほぼ同様の構成を備える。
図6は、本発明の第四実施形態に係る気液分離装置20の側断面図を示す。第四実施形態の気液分離装置20は、内部に導入された気液混合流体を冷却する冷却手段60を備えている。
このような構造の第四実施形態では、第一冷却手段64が、セパレータ40に導入された流体から吸熱して流体を冷却する。また、第二冷却手段65が、カバー35内部を流通する流体から吸熱して流体を冷却する。冷却された流体は流体排出口22から再び加工室12に還元される。
次に、本発明の第五実施形態について説明する。第五実施形態の気液分離装置は、第一実施形態の気液分離装置の分離手段の構成が異なるものである。
図7は、本発明の第五実施形態に係る気液分離装置80の側断面図を示す。また、図8は、気液分離装置80の底面図を示す。さらに、図9は、気液分離装置80の平面図を示す。これらの図7から図9に示すように、本発明の第五実施形態に係る気液分離装置80の分離手段82は、モータ36の回転軸33に取り付けられた送風機84と、送風機84の外側に配置されるセパレータ86と、を備える。
セパレータ86は、図8に示すように、送風機84の外周に設けられた多数の壁88と、壁88の外側に配置されたメッシュ90とを備えている。
壁88は、送風機84と同心上に、中心側から外側に向かって、径方向に対して斜めに、放射線状に形成されている。これらの壁88は、外側に向かって凸状に湾曲し、壁88の間に、気液混合流体が通る略円弧状に湾曲した流路89を形成している。また、壁88の内側の始点は、一つおきに、送風機84の外縁に隣接した位置と、その位置から径方向外方に所定距離隔てた位置とに設定されている。このような設定により、壁88は、長い壁と短い壁が交互に配置されることとなり、流路89の入口近辺は、隣り合う長い壁の間によって比較的大きな空間が形成される。この空間により、送風機82によって導入された気液混合流体が流路89に導入されやすくなっている。
なお、メッシュ90の粗さは、送風機84の送風能力や、必要な気液分離性能等を考慮して任意に設定できる。また、メッシュ90の粗さは、各層で異なるものを使用してもよく、また、同じ粗さの金網を任意の層数巻いてもよい。したがって、例えば、分離装置82を通る流体の風量が比較的小さい場合には、60mesh/inch2の粗さの金網を三重に巻いてもよい。
セパレータ86で液体が分離された流体は、複数の流路89から出ると、収集手段92によって一つに集められ、流体排出口22から排出され、加工室12に還元される。なお、流体排出口22は、流体導入口21から離れた位置にあるので、流体排出口22から排出された流体が直接流体導入口21から再び導入されるのが抑制される。
(8)流路89が、中心側から外側に向かって、径方向に対して傾斜するように、放射線状に形成されているので、気液混合流体が壁88に押しつけられながら進むから、流路89内で液体を良好に分離することができる。また、流路89が略円弧状に湾曲しているので、気液混合流体がより一層壁88に押しつけられやすくなるから、気液混合流体から液体を確実に分離することができる。これにより、気液分離性能を向上させることができる。
次に、本発明の第六実施形態について説明する。第六実施形態の気液分離装置102は、第五実施形態の気液分離装置80のセパレータ86の構成が異なるものである。
図10には、本発明の第六実施形態に係る気液分離装置102の平面図が示されている。この図10に示すように、気液分離装置102のセパレータ103は、壁104,105を有している。壁104は、第五実施形態の壁88と同様に、送風機84の中心側から外側に向かって、径方向に対して角度を有して円弧状に湾曲した放射線状に配置されている。壁104は、送風機84の外側から、メッシュ90の内側まで、連続した一つの壁に形成されている。
このような構成により、壁104の間に、気液混合流体が通る流路106が形成される。ここで、壁105は、送風機84の外側からメッシュ90の内側まで連続して形成されていないので、壁104の間の流路106内に壁105が形成されることとなる。したがって、壁105は、流路106を流れる流体の流れを分断する。また、一つの壁105と、その壁105の外側に位置する壁105は、内側の壁105の円弧延長線上からずれた位置に配置されている。これらの配置により、壁104の間の流路106は、短い壁105によって迷路状に形成される。
(11)壁105が短く形成され、流路106が壁105によって迷路状に形成されるので、流路106を流れる流体の流れが壁105によって分断され、気液混合流体の壁104,105への衝突を促進することができる。したがって、気液分離性能をより一層向上させることができる。
次に、本発明の第七実施形態について説明する。第七実施形態の気液分離装置108は、第五実施形態の気液分離装置80のセパレータ86および冷却手段93の構成が異なる。
図11は、本発明の第七実施形態に係る気液分離装置108の側断面図を示し、図12は、本発明の第七実施形態に係る気液分離装置108の底面図を示し、図13には、本発明の第七実施形態に係る気液分離装置108の平面図を示す。これらの図11,12,13に示すように、気液分離装置108の分離手段110は、第五実施形態と同様の構成の送風機84を備えている。分離手段110のセパレータ112は、送風機84の外周に設けられ、送風機84の中心側から外側に向かって、径方向に対して斜めに且つ円弧状に延びる複数の壁114を有する。壁114の間には、気液混合流体が通る流路116が形成される。なお、壁114は、第五実施形態の壁88とは異なり、全て同じ長さおよび形状に形成されている。また、本実施形態では、第五実施形態のセパレータ86とは異なり、壁の外側にメッシュが設けられていない。
このような第七実施形態では、冷却手段118は、フィン98による放熱、および羽根94による空気の流通に加えて、ペルチェ素子120による吸熱を行う。
(12)冷却手段118が、ペルチェ素子120を備えているので、分離手段110の上面の熱を吸熱することができる。これにより、よりセパレータ112内の気液混合流体、または液体が分離された流体をより一層効率的に冷却することができる。よって、セパレータ112内での気液分離を促進することができ、気液分離性能を向上させることができる。
セパレータの流路は、外側から中心に向かって渦状に形成されていたが、これに限らず、例えば中心から外側に向かう渦状であってもよい。
また、セパレータの流路は、外側から中心に向かって横断面の面積が次第に小さくなるように形成されていたが、これに限らず、例えば外側から中心まで横断面の面積が一定となるような渦状に形成されていてもよい。この場合でも、気液混合流体が渦状の流路を流通するうちに液体の粒子が衝突、結合することで液体が凝集されて分離される。
さらに、セパレータの流路は、渦状に形成されていたが、これに限らず気液混合流体中の液体粒子が衝突して凝集、結合できるような形状の流路であればその形状は任意である。
収集手段は、セパレータから排出された流体を一つに集める構成のものに限らず、例えば二箇所以上に集めて、それぞれの流体排出口から排出するような構成となっていてもよい。また、流体排出口は、排出された流体が、流体導入口に再び直接導入されることを防止できる程度に、流体導入口と離れて配置されていればよい。したがって、流体排出口の開口向き、開口面積、開口位置等は、気液分離装置の仕様に応じて適宜設定することができる。
図13は、本発明の変形例に係る気液分離装置20の一部側断面図を示す。送風機70は、カバー35の内部に取り付けられたモータ固定子71と、モータ固定子71に対して回転可能に設けられたモータ回転子72と、モータ回転子72に固定された複数の羽根73とを備える。モータ固定子72に電流を流すことで、モータ回転子72および羽根73を回転させて、流体を吸引、排出できる。
このような構造の送風機70であれば、モータ固定子71およびモータ回転子72をカバー35内に収納できるので、送風機70の小型化を促進できる。
気液分離装置は、工作機械の加工室の上面内側に取り付けられるものに限らず、例えば加工室の側面内側に取り付けられていてもよい。
気液分離装置は、送風機およびセパレータを有する分離手段を備えたものに限らない。すなわち、気液分離装置は、工作機械の加工室内の流体を強制的に循環させる構造であればよく、例えば気液分離装置が、加工室内で気液混合流体を送風する送風機を備えていてもよい。この場合には、送風機が加工室内の気液混合流体を送風して加工室内で循環させるので、加工室の内壁に液体が凝集して気液分離が行える。
12 加工室
20,80 気液分離装置
21 流体導入口
22 流体排出口
30,82,110 分離手段
31,70,84 送風機
92 収集手段
40,86,103,112 セパレータ
105 壁
42,89,106,116 流路
60,93,118 冷却手段
Claims (10)
- 加工室内の気液混合流体から液体を分離する気液分離装置を有する工作機械であって、
前記気液分離装置は、前記加工室内に開口し、前記加工室から前記気液混合流体を導入する流体導入口と、気液混合流体から液体を分離する分離手段と、液体が分離された流体を排出する流体排出口とを備え、
前記分離手段は、導入された前記気液混合流体から液体を分離するセパレータと、該セパレータに気液混合流体を導入する送風機と、前記気液混合流体を冷却する冷却手段と、を有し、
前記セパレータは、渦状に形成された流路を有し、前記気液混合流体が前記流路内を外側から中心に向けて流れるように構成され、
前記流体排出口は、液体が分離された流体が前記加工室内に還元されるように、前記加工室内に開口しており、
前記冷却手段は、前記送風機を駆動するモータの駆動によって回転する羽根と、前記セパレータの外面に設けられるとともに前記モータの回転軸を中心とする径方向に対して、角度を有して放射線状に延びる複数のフィンと、を有する、
ことを特徴とする工作機械。 - 渦状の前記流路の横断面の面積は、外側から中心に向けて次第に小さくなっており、前記気液混合流体は、前記送風機によって渦状の前記流路の外側から中心に向けて流れるように導入される、
ことを特徴とする請求項1に記載の工作機械。 - 加工室内の気液混合流体から液体を分離する気液分離装置を有する工作機械であって、 前記気液分離装置は、前記加工室内に開口し、前記加工室から前記気液混合流体を導入する流体導入口と、気液混合流体から液体を分離する分離手段と、液体が分離された流体を排出する流体排出口とを備え、
前記分離手段は、導入された前記気液混合流体から液体を分離するセパレータと、該セパレータに気液混合流体を導入する送風機と、前記気液混合流体を冷却する冷却手段と、を有し、
前記セパレータは、径方向に対して傾斜した流路を有し、前記気液混合流体が、前記流路内を中心側から外側に向けて流れるように構成され、
前記流体排出口は、液体が分離された流体が前記加工室内に還元されるように、前記加工室内に開口しており、
前記冷却手段は、前記送風機を駆動するモータの駆動によって回転する羽根と、前記セパレータの外面に設けられるとともに前記モータの回転軸を中心とする径方向に対して、角度を有して放射線状に延びる複数のフィンと、を有する、
ことを特徴とする工作機械。 - 前記流路は、略円弧状に湾曲した放射線状に形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の工作機械。
- 前記流路には、内部を流れる流体の流れを分断する壁が設けられている、ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の工作機械。
- 前記送風機は、前記セパレータに対して下流側に配置されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の工作機械。
- 前記送風機は、前記セパレータに対して上流側に配置されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の工作機械。
- 前記分離手段から排出された流体を収集する収集手段を更に有し、
前記流体排出口は、前記流体導入口から所定距離隔てられた位置に配置され、前記収集手段で収集された流体を前記加工室内に排出する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の工作機械。 - 工作機械の加工室内の気液混合流体から液体を分離する気液分離装置であって、
前記加工室内に開口し、前記加工室から前記気液混合流体を導入する流体導入口と、気液混合流体から液体を分離する分離手段と、液体が分離された流体を排出する流体排出口とを備え、
前記分離手段は、導入された前記気液混合流体から液体を分離するセパレータと、該セパレータに気液混合流体を導入する送風機と、前記気液混合流体を冷却する冷却手段と、を有し、
前記セパレータは、渦状に形成された流路を有し、前記気液混合流体が前記流路内を外側から中心に向けて流れるように構成され、
前記流体排出口は、液体が分離された流体が前記加工室内に還元されるように、前記加工室内に開口しており、
前記冷却手段は、前記送風機を駆動するモータの駆動によって回転する羽根と、前記セパレータの外面に設けられるとともに前記モータの回転軸を中心とする径方向に対して、角度を有して放射線状に延びる複数のフィンと、を有する、
ことを特徴とする気液分離装置。 - 工作機械の加工室内の気液混合流体から液体を分離する気液分離装置であって、
前記加工室内に開口し、前記加工室から前記気液混合流体を導入する流体導入口と、気液混合流体から液体を分離する分離手段と、液体が分離された流体を排出する流体排出口とを備え、
前記分離手段は、導入された前記気液混合流体から液体を分離するセパレータと、該セパレータに気液混合流体を導入する送風機と、前記気液混合流体を冷却する冷却手段と、を有し、
前記セパレータは、径方向に対して傾斜した流路を有し、前記気液混合流体が、前記流路内を中心側から外側に向けて流れるように構成され、
前記流体排出口は、液体が分離された流体が前記加工室内に還元されるように、前記加工室内に開口しており、
前記冷却手段は、前記送風機を駆動するモータの駆動によって回転する羽根と、前記セパレータの外面に設けられるとともに前記モータの回転軸を中心とする径方向に対して、角度を有して放射線状に延びる複数のフィンと、を有する、
ことを特徴とする気液分離装置。
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