[第1実施例]
図6は、本発明の第1実施例による液晶表示装置30の概略的な構成を示す。
図6を参照するに、液晶表示装置30はアクティブマトリクス駆動型液晶表示装置であり、多数の薄膜トランジスタ(TFT)および前記TFTに協働する透明画素電極を、先の図3(A)あるいは図4の電極層23Aに対応して担持するTFTガラス基板31Aと、前記TFT基板31A上に形成され、前記電極層23Bに対応する対向電極を担持する対向ガラス基板31Bとよりなり、前記基板31Aと31Bとの間には液晶層31が、シール部材31Cにより封入されている。図示の液晶表示装置では、前記透明画素電極を対応するTFTを介して選択的に駆動することにより、前記液晶層31中において前記選択された画素電極に対応して、液晶分子の配向を選択的に変化させる。さらに、前記ガラス基板31Aおよび31Bの外側には、ポラライザ31aおよびアナライザ31bが、直交ニコル状態で配設されている。また前記ガラス基板31Aおよび31Bの内側には、図示を省略したが前記液晶層31に接するように、図3(A)あるいは図4の分子配向膜25A,25Bに対応する分子配向膜が形成され、液晶分子の配向方向を非駆動状態において前記液晶層31の面に略垂直になるように規制する。
前記液晶層31としては、メルク社より市販されている負の誘電率異方性を有する液晶を使うことができ、また前記分子配向膜としてはJSR社より提供される垂直配向膜を使用することができる。典型的な例では、前記基板31Aおよび31Bは、前記液晶層31の厚さが約4μmになるように適当なスペーサを使って組み立てられる。
図7(A)は図6の液晶表示装置30の断面図を、図7(B)は前記TFTガラス基板31Aの一部を拡大して示す。
図7(A)を参照するに、TFT基板となる前記下側ガラス基板31A上には図示を省略したTFT31Tに電気的に接続されて前記画素電極34が形成されており、前記画素電極34は垂直分子配向膜35により覆われる。同様に前記上側ガラス基板31B上には一様な対向電極36が形成され、前記対向電極36は別の分子配向膜37により覆われる。また前記液晶層33は、前記分子配向膜36および37により接した状態で、前記基板31Aおよび31B間に挟持される。
図7(B)を参照するに、前記ガラス基板31A上には走査信号を供給される多数のパッド電極33Aおよびこれから延在する多数の走査電極33と、ビデオ信号を供給される多数のパッド電極32Aおよびこれから延在する多数の信号電極32とが、走査電極33の延在方向と信号電極32の延在方向とが略直交するように形成されており、前記走査電極33と前記信号電極32との交点には、TFT31Tが形成されている。さらに、前記基板31A上には、各々のTFT31Tに対応して透明画素電極34が形成されており、各々のTFT31Tは対応する走査電極33上の走査信号により選択され、対応する信号電極32上のビデオ信号により、協働するITO等の透明画素電極34を駆動する。
前記液晶表示装置30は、前記透明画素電極34に駆動電圧が印加されない非駆動状態においては液晶分子は前記液晶層31の面に対して略垂直に配向するため、前記ポラライザ31aおよびアナライザ31bの作用により表示は黒となるが、前記透明画素電極34に駆動電圧が印加された駆動状態では、前記液晶分子は略水平配向となるため白表示が得られる。
図7(A)において、前記ガラス基板31Aとポラライザ31aとの間、および/または前記ガラス基板31Bとアナライザ31bとの間に一または複数の位相補償膜を介在させてもよい。かかる位相補償膜は、例えば液晶層31の面内における屈折率nxおよびnyが、光波の進行方向への屈折率nzよりも大きい、光学的に1軸性の位相補償膜であってもよい。
図8は、前記基板31A上に形成される一つに画素電極34の構成を詳細に示す。
図8を参照するに、前記基板31A上には前記信号電極32と走査電極33とが交差して延在し、前記電極32と33との交点に対応して前記TFT31Tと、これに協働する画素電極34とが形成されているのがわかる。また、図8中には、前記走査電極33に平行に、補助容量電極Csが形成されている。
図8中、前記画素電極34は梨地で示してあるが、前記画素電極34は領域A〜Dに区画されており、各々の領域上には、白抜きで示した多数の微細なカットアウトパターン34Aが、先に説明した図4の構成に対応して、互いに平行に延在するように形成されている。
典型的な例では、前記微細カットアウトパターン34は3〜13μm、典型的な例では約3μmの幅を有し、3〜13μm、典型的な例では約3μmの間隔で、繰り返し形成される。前記微細カットアウトパターン34は、前記領域A〜Dの各々において、一つの領域における延在方向が他の領域における他の微細カットアウトパターン34の延在方向と交差するように形成されている。その際、これらの微細カットアウトパターンの延在方向は、前記領域A〜Dのいずれにおいても、図6に示したポラライザ31aの光吸収軸Aおよびアナライザ31bの光吸収軸Pのいずれに対しても斜交するような方向に設定される。
かかる構成の液晶表示装置30においては、前記TFT31Tが駆動され前記画素電極34に駆動電圧が印加された場合、前記液晶層31中の液晶分子は、図8に示したように前記微細カットアウトパターン34の延在方向に倒れるが、前記液晶分子の倒れる方向は前記領域A〜Dにおいて異なるため、液晶表示装置30は広い視野角特性を示す。
かかる本発明の液晶表示装置30の駆動状態においては、前記液晶分子は、前記微細カットアウトパターン34により形成されパターン34の延在方向に対して直交する方向に周期的に変化する電界の影響を受けて、前記微細カットアウトパターン34の延在方向に倒れるのであり、倒れる方向が他の液晶分子のチルトにより規制されるものではない。このため、液晶分子の配向の垂直配向状態から水平配向状態への、あるいはその逆の変化は速やかであり、液晶表示装置30の非駆動状態から駆動状態への、また駆動状態から非駆動状態への遷移は、中間調状態への遷移をも含め、非常に高速に生じる。例えば、前記液晶層31の厚さを4μm、前記カットアウトパターン34の幅および間隔を3ミクロンとした場合、非駆動状態(黒状態)から中間調状態(1/4階調)への遷移は従来のものより約20m秒短縮された70m秒の時間で生じ、また黒状態から白状態への遷移も、従来より2m秒短縮された18m秒の時間で生じることが確認された。
さらに図8の構成によれば、駆動状態において前記液晶分子の方向は前記パターン34Aにより規制されるため、他の液晶分子との相互作用によってツイスト角が変化することがなく、一様で高品質の表示を実現することができる。
図8のように、一つの画素電極34中に方位の異なった複数のドメインA〜Dを含む液晶表示装置では、図9に示すように液晶分子の配向方向がドメインAとこれに隣接するドメインBとの境界、あるいはドメインCとこれに隣接するドメインDとの境界において、約90°変化する。このためこれらの境界に対応して暗線が出現するのは避けられない。しかし、従来のように一つの突起パターンの両縁に沿って二本の暗線が出現することはなく、駆動状態の透過率は大幅に向上する。さらにドメインA〜Dの形成により、視野角も大幅に向上し、上下左右で160°の視野角が実現できた。また、透過率も従来の4.8%よりも2割向上した5.6%の値が得られた。
図8の構成においては、暗線はドメインAとドメインCとの境界、およびドメインBとドメインDとの境界にも発生するが、これらの境界は前記補助容量Csに接続される導体パターンで覆われるため、液晶表示装置の表示には影響が生じない。
本実施例の液晶表示装置30において、前記微細カットアウトパターン34Aの代わりに前記画素電極34上に、絶縁材料あるいは導電性材料により、微細凸パターンを同様な形状に形成してもよい。この場合には例えば絶縁材料としてはJSR社性のポジ型レジストPC403等のレジストパターンを使うことができ、約0.4μmの厚さに形成するのが好ましい。このように前記パターン34Aを絶縁材料により形成した場合には、透過率はさらに向上し、6.2%に達するのが確認された。前記パターン34Aを絶縁材料により形成する場合には、前記液晶表示装置30は図3(A)で説明した液晶表示装置20と同様な断面形状を有することになる。
さらに、本実施例の液晶表示装置30において、前記微細カットアウトパターン34Aの代わりに、同様な微細パターン34Aを前記画素電極34と同様な透明導電性材料により形成することも可能である。この場合には、前記画素電極34を形成する前の段階で、前記TFT31Tを形成する際に、前記TFT31Tの絶縁保護膜として使われるSiN膜をパターニングし、前記画素電極34の形成領域において前記パターン34Aに対応する微細パターンを形成しておく。さらに、このようにしてパターニングされたSiN膜上に前記画素電極34を構成するITO膜を堆積することにより、導電性の微細パターン34Aを形成することができる。この場合には約5.8%の透過率が得られる。
さらに、前記微細パターン34Aと同様な微細パターンを、前記対向基板31B上に前記画素電極34に対応して設けることも可能である。
[第2実施例]
次に、先の液晶表示装置20あるいは30の応答速度をさらに向上した、本発明の第2実施例による液晶表示装置について、説明する。
最初に、本実施例の原理について、図10を参照しながら説明する。
図10は、先の図3(A),(B)の構成を本実施例に拡張したもので、図10中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
先の図3(A),(B)の液晶表示装置20では、前記電極層23A,23Bの間に駆動電圧が印加された場合、液晶分子22Aの倒れる方向は前記構造パターン24の延在方向に規制されるが、前記延在方向のうち互いに180°異なった二つの方向のどちらに倒れるかについては自由度が残されており、このため遷移プロセスの初期において液晶分子22Aが前記二つの方向のどちらに倒れるかが決定されるまで時間がかかっていた。
そこで、本実施例においては前記図3(A)の液晶表示装置20において図10に示すように、前記周期的な微細構造パターン24の他に、ピッチがより大きく幅がより広い別の粗構造パターン27Aおよび27Bを、前記微細構造パターン24の延在方向とは別の方向に延在するように形成して液晶表示装置20Aを形成する。ただし図10中、前記液晶表示装置のその他の特徴は先の液晶表示装置20と同様であり、説明を省略する。
図10を参照するに、前記粗構造パターン27Aは前記基板21A上に形成され、前記粗構造パターン27Bは前記基板21B上に形成され、これらは前記電極層23Aおよび23Bに駆動電圧が印加された場合に前記液晶分子22Aの倒れる方向を、前記微細構造パターン24の延在方向上において規制する。前記粗構造パターン27Aおよび27Bは、典型的には図1(A),(B)の従来の液晶表示装置10の凸パターン13Aおよび13Bにそれぞれ対応し、同様な作用を生じる。すなわち、図10の構造は、図3(A)の微細構造パターン24を含む構造において図1(A)の凸パターン13A,13Bを形成した構造になっている。図10の構成では、前記微細構造パターン24の延在方向は前記粗構造パターン27Aおよび27Bの延在方向に直交し、図3(A),(B)あるいは図4の場合と同様に、ポラライザ26Aおよびアナライザ26Bの吸収軸に斜交するように設定されている。
さらに図11も図10の構造を基本とした本実施例の原理を示す図であるが、図11の構成では、前記微細構造パターン24の延在方向を前記基板21A上の粗構造パターン27Aの両側で変化させており、視野角が拡張されている。図11の構造では、前記構造パターン24の延在方向が前記構造パターン27Aあるいは27Bの延在方向に斜交するため、前記ポラライザ26Aおよびアナライザ26Bは、吸収軸AおよびPが前記構造パターン27Aおよび27Bの延在方向に平行あるいは直交するように形成されている。
このように、図1(A)あるいは図1(B)の凸パターン13Aおよび13Bを本発明の微細構造パターン24と組み合わせることにより、液晶表示装置が非駆動状態から駆動状態に遷移にした場合の液晶分子の配向の変化を促進することができ、従って液晶表示装置の応答速度が向上する。
図12および図13は、本発明の発明者が、前記微細構造パターン24および粗構造パターン27A,27Bに対して最適な構造パラメータを求める実験で使ったテストパターン構造を示し、図12は前記基板21A上に前記粗構造パターン27Aを格子状に形成し、さらに前記粗構造パターン27Bを粗前記構造パターン27Aに対してずらして同様に格子状に形成した構造である。これに対し、図13は図12の構造において、前記基板21A上の微細構造パターン24が、前記基板21B上において前記粗構造パターン27B直下の領域には形成されないようにした構造である。前記基板21A上において前記格子状粗構造パターン27Bにより画成される領域は、さらに前記格子状粗構造パターン27Aにより4つのドメインに分割されており、各々のドメインに先の微細構造パターン24が、異なった方位で形成されている。
図14(A)〜図15(D)は、前記図12および図13のテストパターン構造について、本発明者が行った透過率の評価実験の結果を示す。
実験で使った液晶表示装置では、前記微細構造パターン24は図12あるいは図13の各ドメインにおいて幅が3μmのカットアウトパターンを3μm間隔で繰り返し配列することにより、先の実施例と同様に形成されており、さらに実験では前記格子状粗構造パターン27Aおよび27Bをいずれも幅が5μmのレジストパターン(LC200;シプレイ・ファーイースト社)により、様々な間隔および高さで形成してパネルの透過特性を、駆動状態、すなわち前記電極層23Aおよび23Bの間に5Vの駆動電圧を印加した状態において目視観察することにより評価した。
このうち図14(A)は前記粗構造パターン27Aおよび27Bを0.95μmの高さに形成した場合を、図14(B)は前記粗構造パターン27Aおよび27Bを0.75μmの高さに形成した場合を、図15(C)は前記粗構造パターン27Aおよび27Bを0.5μmの高さに形成した場合を、さらに図15(D)は前記粗構造パターン27Aおよび27Bを0.3μmの高さに形成した場合を示し、図14(A)〜15(D)中、左側は前記ポラライザ26Aおよびアナライザ26Bの配向方向を前記微細構造パターン24の延在方向に一致させた場合、すなわち前記液晶分子22Aのチルト方向に一致させた場合を、一方右側は前記ポラライザ26Aおよびアナライザ26Bの配向方向を、前記粗構造パターン27Aおよび27Bの延在方向に一致させた場合を示す。図14(A)〜図15(D)の右側および左側の各図において、右側の二つの図は図11のテストパターン構造に、左側の二つの図は図12のテストパターン構造に対応している。
図14(A)〜図15(D)の各図においては、前記粗構造パターン27Aおよび27Bの間隔が80μmに設定されているが、図14(A)〜図15(D)の結果は、前記粗構造パターン27Aおよび27Bの高さが不適当だと前記構造パターン24に沿って液晶分子の配向が不良となり、暗線が現れるのがわかる。ただし、図14(A)〜図15(D)の結果は、液晶層22としてメルク社の垂直配向液晶を、JSR社の垂直分子配向膜25A,25Bと組み合わせて使い、液晶層22の厚さを4μmとした場合のものである。
図14(A)〜図15(D)の結果を総合的に見ると、最も良好な表示品質、すなわち最も損失の少ない表示品質は、前記粗構造パターン27Aおよび27Bの高さが0.75μmあるいは0.5μmである図14(B)あるいは図15(C)の場合において得られているのがわかる。さらに図14(A)〜15(D)の各図において、図11の構造20Cと図12の構造20Dとを比較して見ると、図11の構造20Cの方が多少表示品質に優れており、透過率も4%程度高い。
また、このように透過率の優れた図12の構造20Cあるいは図13の構造20Dに対して応答速度を先に図1(A),(B)で説明した従来の液晶表示装置10のものと比較したところ、前記従来の液晶表示装置10において前記凸パターン13Aあるいは13B相互の間隙を20μmとした場合に黒状態(非駆動状態)から白状態(駆動状態)への遷移に要する時間が104m秒であったのに対し、前記本実施例では前記粗構造パターン27Aおよび27Bに微細構造パターン24を組み合わせた結果71m秒に減少しており、応答速度が大きく向上しているのが確認された。さらに前記構造20Cあるいは20Dにおいて、前記粗構造パターン27A,27Bの間隙を30μmとした場合、前記黒状態から白状態への遷移に要する時間が470m秒であったが、これは図1(A),(B)の液晶表示装置10において前記凸パターン13A,13Bを同様な間隙で配設した場合の応答時間である640m秒の値よりも大きく改善されている。
図16は、先に説明した原理に基づく、本発明の第2実施例による液晶表示装置40の構成を示す。ただし図16中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図16を参照するに、前記液晶表示装置40は前記ガラス基板31A上には先の図8のパターンと同一のパターンが、前記画素電極34として形成されており、前記画素電極34は図8と同様に梨地を付して示す。
本実施例では、さらに対向ガラス基板31B、すなわちいわゆるCF基板上に、幅が約5μmで高さが0.5〜0.75μmの格子状粗構造パターン41A,41Bを、前記画素電極34の中央において交差するように、前記走査電極方向および信号電極方向に、前記画素電極34の配列ピッチで繰り返し形成する。従って、図16の平面図においては、前記格子状粗構造パターン41Aおよび41Bは、前記ドメインA〜Dの区画に一致するように形成されている。一方、各々のドメインA〜Dにおいては、前記幅が3μmの微細構造パターン34Aが、図12あるいは図13の微細構造パターン24と同様に、3μmの間隙幅で、各ドメインA〜Dで異なり互いに45°の角度で交差するそれぞれの方位に延在するように形成されている。
前記粗構造パターン41A,41Bは、先の従来の液晶表示装置10の凸パターン13A,13Bと同様な凸型の断面形状を有し、例えば前記液晶表示装置40が対角15インチ型の1024×768画素に対応可能な液晶表示装置を構成する場合には、前記粗構造パターン41Aは297μmの間隔で、また前記粗構造パターン41Bは99μmの間隔で形成される。
なお、前記粗構造パターン41A,41Bは、レジストあるいは導体パターン等よりなる凸パターンに限定されるものではなく、電極層中のカットアウトパターン等、凹パターンであってもよい。
[第3実施例]
次に、先の液晶表示装置20あるいは30の応答速度をさらに向上した、本発明の第3実施例による液晶表示装置について、説明する。
最初に、本実施例の原理について、図17を参照しながら説明する。
図17は、本実施例において使う液晶表示装置の基板、例えば図3(A)のガラス基板21A上に形成される方向性パターン24Aの例を示す。
図17を参照するに、前記方向性パターン24Aは三角形状を有する絶縁性あるいは導電性のパターンであり、図3(A)の液晶表示装置20において前記周期的構造パターン24の代わりに形成された場合、図17中に等高線で示すように液晶層22中において電界を局所的に変形し、前記パターンの先端の方向に傾いた電界分布を形成する。
そこで、このような方向性パターンを前記液晶表示装置20中に前記構造パターン24の代わりに形成しておけば、前記電極層23A,23B間に駆動電圧を印加した場合に液晶分子22Aは前記方向性パターン24Aの形成する勾配に沿って、前記方向性パターン24Aの先端方向に傾斜することになる。
以下の表1は、前記液晶表示装置20においてかかる三角形状の方向性パターン24Aを前記構造パターン24の代わりに、レジストパターンにより様々な形状、すなわち全幅、全長および高さに形成し、液晶分子の配向を調べた結果を示す。ただし、表1中の数値はμm単位で示してある。
表1より、前記三角形パターン24Aの辺近傍においてのみ配向方向が異なる場合をも所望の配向状態が得られた場合に含めると、前記三角形パターン24Aの全幅、すなわち底辺の長さは10μm以下に設定するのが好ましいことがわかる。一方前記三角形パターン24Aの全長は、10〜30μmの範囲で良好な分子配向が実現されるが、前記全幅が7.5μmの場合には15μm以上、全幅が10μmの場合には30μm以上必要であることがわかる。前記三角形パターン24Aの幅が10μmを超えると、前記パターン24Aの先端方向以外の方向に配向する液晶分子の割合が増加するのが認められた。
勿論先の図4の場合と同様に、前記三角形状の方向性パターン24Aは前記電極層23A中に形成されたカットアウト等の凹パターンであってもよい。
このような方向性パターンは、図17に示した三角形状のパターン24Aに限定されるものではなく、図18に示す先端が切り落とされたあるいは丸められた三角形状のパターン24Bあるいは24Cであってもよく、さらに図19のような、二つの三角形パターンを互いに90°回転させて結合したようなパターン24D、あるいは図20のように二つの三角形パターンを相互に180°回転させて結合した菱形形状のパターン24Eにより実現することもできる。
特に図20の菱形形状のパターンでは、液晶分子は、パターンの中央に対して右側と左側とで逆方向に倒れる。
表1において、前記微細パターンを凸状構造物の代わりに電極パターン(スリット)で形成した場合、液晶分子のチルト方向は逆となるが、軸方向への配向度合いは電界の歪がより強いため、高さが0.8μmでの構造物形成時と同程度になる。
表2は、かかる菱形形状のパターン24Eにおいて、全長、全幅および高さを様々に変化させた場合の、液晶分子の配向を調べた結果を示す。ただし、表2中の数値はμm単位で示してある。
表2より、前記菱形パターン24Eの辺近傍においてのみ配向方向が異なる場合をも所望の配向状態が得られた場合に含めると、前記菱形パターン24Eの全幅は10μm以下に設定するのが好ましいことがわかる。一方前記菱形パターン24Eの全長は、20〜60μmの範囲で良好な分子配向が実現されるのがわかる。
表2においても、前記微細パターンを凸状構造物の代わりに電極パターン(スリット)で形成した場合、液晶分子のチルト方向は逆となるが、軸方向への配向度合いは電界の歪がより強いため、高さが0.8μmでの構造物形成時と同程度になる。
図21は、前記液晶表示装置20において液晶層22の厚さを4μmとし、かかる菱形パターン24Eを、レジストパターンにより、全長が70μm、全幅が10μm、厚さが0.4μmになるように形成した場合の透過率と応答速度との関係を示す。ただし図21中では、駆動電圧を5.4Vとした場合の透過率を100%としている。また図21中には、図1(A),(B)の従来の垂直配向型液晶表示装置10において、前記凸パターン13A,13Bを幅が10ミクロン、高さが1.5μmのレジストパターンにより、間隙幅が30μmになるように形成し、その他の仕様は実験に使われた液晶表示装置20と同一とした場合の透過率と応答速度との関係を、比較のために示している。
図21を参照するに、本実施例による液晶表示装置では、同じ透過率の条件下にいて応答時間が、5.4Vよりも小さい駆動電圧が印加される中間調表示モードを含めて、実質的に短縮されているのがわかる。
図22は、先に図6〜8で説明した液晶表示装置30において、前記画素電極34上に図20の菱形パターン24Eを並べて形成した例を示す。ただし図22中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図22を参照するに、前記画素電極34は上下二つの領域ないしドメインに区画されており、上側のドメインではレジストパターン等よりなる菱形パターン24Eが前記走査電極33の延在方向に45°の角度で交差する第1の方向に、繰り返し形成されている。かかる菱形パターン24Eは、前記第1の方向に直交する第1の方向にも繰り返され、前記斜面部により誘起される電界の局所的な変形により、前記液晶層31に駆動電界が印加された場合に、液晶層31中の液晶分子のチルト方向を、前記菱形パターンの先端方向へと規制する。その結果、先に図21で説明したように、液晶表示装置の応答速度が大きく向上する。
なお、図20あるいは図22の菱形パターン24E、さらには図17〜19の三角形パターン24A〜24Dにおいて、前記斜辺部を図23に示すように階段状に形成することも可能である。かかる階段状のパターンは形成が容易で、従って液晶表示装置の製造歩留りが向上する。
[変形例1]
図24は、図22の構成の一変形例50Aを示す。
図24を参照するに、本変形例50Aでは、先の図22の構成において前記画素電極34上に形成された菱形パターン24Eの先端部を切り落とした、図18の三角形パターン24Bをベースに形成した菱形パターン24E’が形成されており、その結果対向するパターン24E’と24E’との間には、構造パターンの形成されない領域34Fが形成される。
本実施例では、前記菱形パターン24Eは液晶分子の配向方向が乱れやすい個所だけに形成されており、かかる構成によっても、液晶表示装置の透過率の向上と応答速度の向上を実現することができる。
[変形例2]
さらに、本実施例においては、前記図6〜8の液晶表示装置30において、応答速度をさらに向上させるべく、前記三角形状あるいは菱形形状のパターン24A〜24Eと同様な電界の局所的な変化を誘起する手段として、ネマチック液晶よりなる液晶層31中に、3次元液晶骨格を有する光硬化性組成物を導入するようにしてもよい。かかる光硬化性組成物を硬化させ光硬化物を形成する際に、液晶骨格が基板31Aに対して傾斜するように形成することにより、前記微細パターン34Aの延在方向に傾いた、図17で説明したのと同様な電界を形成することが可能である。かかる光硬化性組成物は、例えば図1(A),(B)に示す従来の液晶表示装置10において配向方向を規制するために使おうとすると、多量に導入しなければならず、その結果かえって液晶分子の配向を乱してしまう問題があったが、本発明の液晶表示装置30のように微細構造パターン34Aが液晶分子の配向方向を規制している構成の液晶表示装置では、わずかな添加量で望ましい配向規制効果が得られる。
そこで本変形例では、先の実施例1の液晶表示装置30において、前記液晶層31中に、前記液晶MJ96213の他に大日本インキ(株)製の液晶性モノアクリレートモノマーUCL−001−K1を添加し、5.0Vの駆動電圧を印加しながら紫外線を照射することにより前記モノマーを硬化させて液晶表示装置を形成する。このようにして形成された光硬化物はでは、3次元液晶骨格が、前記液晶表示装置の非駆動時に、液晶分子の配向方向と異なる方向に配向する。
図25は、このようにして得られた液晶表示装置について、駆動電圧を5.4Vとした場合の透過率と応答速度との関係を、図21の場合と同様に、図1(A),(B)の従来の液晶表示装置10の場合と比較して示す。
図25を参照するに、本変形例による液晶表示装置は、従来の液晶表示装置よりも応答時間が実質的に短縮されており、特に中間調領域において著しい改善が見られるのがわかる。
[第4実施例]
次に、先に説明した図16の液晶表示装置40と同様な、図3(A)の構造パターン24に図1(A),(B)の構造パターン13A,13Bを組み合わせた本発明の第4実施例による液晶表示装置について説明する。ただし、本実施例の液晶表示装置では、前記構造パターン24は図4のように電極層23A中に形成されたカットアウトパターンよりなり、また前記構造パターン13A,13Bのうち、前記基板11A上に形成される構造パターン13Aも、前記電極層23A中に形成されたカットアウトパターンにより形成されている。
図26(A),(B)は、図4の構造をベースとした、本実施例の原理を説明する図である。ただし図中、簡単のため基板21A,21B,液晶層22および液晶分子22A、さらに電極層23A,23Bのみを示し、ポラライザ26A,26Bおよび分子配向膜25A,25Bの図示は省略する。図26(A)は、前記電極層23A中に幅の広いギャップ23Gが、先の凸パターン13A,13Bに対応して大きな繰り返し周期で形成されている場合を、また図26(B)は、前記電極層23A中に微細なギャップ23gを、小さな繰り返し周期で形成した場合を示す。
図26(A)よりわかるように、前記電極層23A中に幅の広いギャップ23Gを形成した場合、ギャップ縁部の効果により前記液晶層22中における等電位面が局所的に変形され、その結果前記電極層23A,23B間に駆動電圧が印加されていない非駆動状態においても液晶層22中に液晶分子22Aが前記電極層23Aを構成する電極パターンの中央部に向って傾斜したプレチルト構造が得られる。そこで、このようなプレチルト構造が形成された液晶層22に前記電極層23Aと23Bとの間に駆動電圧を印加した場合、前記液晶分子22Aはそれぞれのプレチルト方向に速やかにチルトする。
一方図26(B)のように前記電極層23A中に繰り返し形成されるギャップ23gの大きさが小さく、しかもギャップ23gの繰り返し周期が小さい場合、非駆動状態においては図26Bの左半分に図示したように図26(A)と同様なプレチルトが生じるが、駆動状態において前記電極層23Aと電極層23Bとの間に駆動電圧が印加された場合には、右方向および左方向にチルトしようとする液晶分子が相互に干渉し、結局図26(B)の右半分に示したように、液晶分子は前記ギャップ23gの延在方向に倒れることになる。
図26(A)の状態では、前記液晶分子22Aのプレチルトにより、駆動電圧印加時に液晶分子22Aが右に倒れるか左に倒れるかは規制することができるものの、倒れた液晶分子が一方向に配列するようにまでは制御できないのに対し、図26(B)の構成を図26(A)に組み合われれば、前記液晶分子22Aが前記規制された右または左の方向に倒れる際に、倒れた液晶分子22Aが所望の特定の方向に配向するように液晶分子の配向を制御することが可能である。すなわち、本実施例は先に図10で説明した本発明の第2実施例において、構造パターン27Aの代わりに電極層23A中に形成されたカットアウトパターンを使い、同様に微細構造パターン24として、前記電極層23A中に形成された微細なカットアウトパターンを使う。
図27は、本実施例による液晶表示装置60の画素電極部分の構成を示す。ただし図27中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図27を参照するに、前記液晶表示装置60は先に図6,7で説明した液晶表示装置30と同様な全体構成を有するが、前記画素電極34の代わりに画素電極61を有する。
前記ガラス基板31B上には、先に図1(A),(B)で説明した凸パターン13Bに対応する、典型的には幅が3〜35μmで高さが1.2〜1.6μmのレジストパターンよりなる凸パターン61Aが、直角に屈曲しながらジグザグに繰り返し形成されており、また前記画素電極61中には、前記隣接する凸パターン61Aと61Aとの中間に、前記凸パターン61Aに対応したジグザグ形状のカットアウトパターン61Bが、4〜15μm程度の幅に形成されている。さらに、図27の構成では、前記画素電極61中に、前記カットアウトパターン61Bから側方に延在するように、幅が2〜5μm、好ましくは約3μmの微細カットアウトパターン61Cが、前記幅と同様な繰り返しピッチで、すなわち2〜5μm、好ましくは約3μmのピッチで繰り返し形成される。かかる微細カットアウトパターン61Cが形成される結果、前記画素電極61は、細長い櫛歯状パターン61Dの集合となる。図27の構成では、前記画素電極61は前記凸パターン61Aが右上から左下に延在する第1のドメインと、前記凸パターン61Aが左上から右下に延在する第2のドメインとより構成され、従って前記櫛歯状パターン61Dの延在方向も、前記第1のドメインと前記第2のドメインとで異なり、前記第1のドメインにおける櫛歯状パターン61Dの延在方向は、前記第2のドメインにおける櫛歯状パターン61Dの延在方向と直交する。
これらの櫛歯状パターン61Dは、全体として単一の画素電極61を形成する必要があり、そのためこれらの櫛歯状パターン61Dは、前記画素電極61の縁辺部61mにおいて、また前記上側基板31B上の前記凸パターン61A直下の領域において相互に連結されている。
さらに、図27の構成60では前記画素電極61中のカットアウトパターン61Bに沿って、前記ガラス基板31A上に直接に、すなわち前記画素電極61の下方に絶縁膜を隔てて形成され補助容量Csを形成する透明あるいは不透明コモン電極パターン61E’を延在させる。前記電極パターン61Eと61E’とは電気的に接続されているが、ここでは前記電極パターン61Eから画素内を斜めに延在する部分を前記符号61E’で示す。前記透明コモン電極パターン61Eは、前記対向ガラス基板31B上の対向電極と同電位に維持され、その結果前記幅の広いカットアウトパターン61Bによる分子配向作用をさらに増強することができる。ここで、前記電極パターン61E’は図27〜図29の構成においては、信号電極32と交差しているが、実際には交差する手前でパターン61E’を遮断するのが有効である。前記パターン61E’がそのまま延在すると信号電極32と短絡を生じる危険がある。いずれにせよ、このようにして前記パターン61E’を信号電極32の手前で止めた場合でも、優れた効果が得られる。
また、図27の構成60では、前記補助容量Csを形成する透明あるいは不透明コモン電極パターン61Eは、前記基板31A上を前記走査信号線33の延在方向に、図27中に丸で囲んだ領域を通過するように延在し、かかる領域における液晶分子の配向を安定化させる。
先に図26(A),(B)で説明したように、かかる構成の液晶表示装置60では、前記凸パターン61Aと前記幅の広いカットアウトパターン61B,さらに前記カットアウトパターン61Bに対応して形成されたコモン電極パターン61Eにより、前記液晶層中の液晶分子のチルトする向きが決定され、さらに前記微細カットアウトパターン61Cおよびこれに伴う櫛歯状電極パターン61Dにより、前記液晶分子のチルトする方向が規制される。その結果、前記液晶表示装置60は応答速度が向上し、また表示品質が向上する。特に液晶分子の配向方向安定性が改善され、急に表示画像が変化した場合でも、元の表示が残る等の現象を抑制できる。
図27において、前記○で囲んだ領域においては、前記微細カットアウトパターン61Cは前記対向ガラス基板31B上の凸パターン61A直下の領域を横切って延在しているが、かかる構成においても、所望の液晶分子の配向制御を実現することができる。また、前記凸パターン61Aは、対向電極上に形成されたカットアウトパターンであってもよい。
[変形例1]
図28は、図27の液晶表示装置60の一変形例による液晶表示装置60Aの構成を示す。
図28を参照するに、本変形例では、図27の前記微細カットアウトパターン61Cが、先に図17で説明した方向性を有する三角形状のカットアウトパターン61C’に置き換えられている。先にも説明したように、かかる方向性を有するパターンは方向性を有する電界分布を誘起するため、図28の液晶表示装置60では、前記凸パターン61Aおよびカットアウト61B、さらにコモン電極61Eによる、液晶分子の倒れる向きを規制する作用が増強され、その結果液晶表示装置の応答速度がさらに向上する。
[変形例2]
図29は、図27の液晶表示装置60に対してさらなる様々な変形を加えた液晶表示装置60Cを示す。
図29に示すように、図27の液晶表示装置60において、前記対向ガラス基板31B上に、前記櫛型電極61Dと同様な櫛型パターンを有する凸パターン61A’を、前記対向電極36と液晶層との間、あるいは前記対向基板31Bと対向電極36との間に位置するように形成してもよい。また液晶分子の配向が、前記凸パターン61あるいは61A’と前記カットアウトパターン61Bとにより十分に規制される場合には、図29中領域Aに示すように、前記画素電極61中に形成される微細カットアウトパターン61Cを形成せず、一様な電極としてもよい。さらに図29中、領域Bで示すように、前記微細カットアウトパターン61Cを部分的にのみ形成するようにしてもよい。また、図示は省略するが、前記凸パターン61Aあるいは61A’に代えて、前記ガラス基板31B上の対向電極36中に対応するカットアウトパターンを形成してもよい。
[第5実施例]
次に図28の液晶表示装置60Aの動作特性をさらに向上させた本発明の第5実施例について説明する。
図28の液晶表示装置60Aでは、前記画素電極61中にテーパ状微細カットアウトパターン61Cを形成することにより、高速の応答特性を実現したが、かかる構成では、前記画素電極61のうち、前記粗カットアウトパターン61Bの形成領域を除いた実質的に全面にかかるテーパ状微細カットアウトパターン61Cを形成する必要があるが、かかるテーパ状微細カットアウトパターン61Cの形成には高精度なフォトリソグラフィー工程が必要で、液晶表示装置の歩留りが低下しやすい問題が生じる。
これに対し、本発明の発明者は、前記画素電極61の代わりに、図30に示す帯状のITOパターン71Aから櫛型ITOパターン71Bを側方に周期的に延出させた画素電極構造71を形成し、かかる画素電極構造71を有する液晶表示装置70について、前記櫛型パターン71Bの長さBおよび前記帯状ITOパターン71Aの幅Aを様々に変化させながら、その表示特性を調べた。
図31は、前記液晶表示装置70の構成、特に画素電極構造71の構成を示す。
図31を参照するに、前記画素電極構造71は、各々が前記櫛型パターン71Bを有する複数の帯状ITOパターン71Aよりなり、前記複数の帯状ITOパターン71Aは図30に示す幅Bを片側に有し、図27あるいは28の構成におけるカットアウトパターン61Bに対応するギャップGにより相互に隔てられている。またこれらのITOパターン71Aは、ITOパターンよりなる接続部71C1,71C2および71C3により相互接続されて、前記TFT31Tに接続される。前記帯状ITOパターン71Aは、前記対向ガラス基板31B上に形成されるジグザグ凸パターン61A(図27または28参照)に対応して、ジグザグ形状に形成されている。
以下の表3は、図31の液晶表示装置70において、図30のパラメータAおよびBを様々に変化させた場合の表示特性を示す。ただし表3の実験は、先の実施例と同様に液晶31としてメルク社製の液晶を、JSR社製垂直分子配向膜と組み合わせて使った場合について行い、液晶層33の厚さは4μmとしている。また前記画素電極構造71において、前記櫛型パターン71Bは3.5μmの幅Wを有し、6μm周期で繰り返されるものとした。
表3を参照するに、前記画素電極71中において前記櫛型パターン71Bの長さBが、前記櫛型パターン71Bと帯状ITOパターン71Aの全体幅の65%以上になると中間調表示モードにおいてむらが発生し、このことから、前記櫛型パターン71Bの全体幅A+Bに対する割合は、65%以下とするのが好ましいことがわかる。一方、前記櫛型パターン71Bの長さBが全体幅の35%以下になると応答特性改善効果が弱くなり、このことから、前記櫛型パターン71Bの前記全体幅に対する割合は、35%以上とするのがより好ましいことがわかる。前記中間調表示モード時における表示むらの発生は、櫛型パターン71Bのパターニング時の0.2〜0.3μm程度のばらつきの影響が、このような中間調表示モードにおいて強まるためと考えられる。
図32(A)は、図31の液晶表示装置70において、前記櫛型パターン幅Wを様々に変化させた場合の透過率および応答速度の変化を示す。ただし、図32(A)の結果は、図30の電極71において前記帯状電極71Aの幅Aを11μm、前記櫛型パターン71Bの長さBを15μm、さらに前記櫛型パターン71Bの繰り返し周期を6μmとした場合についてのものである。
図32(A)を参照するに、応答時間については前記パターン幅Wが0である場合には単なる帯状電極71Aのみの効果しか現れないが、前記パターン幅Wが1.5μmを超えたあたりから急激に応答速度が向上し、3.5μmを超えると徐々に応答速度が低下するのがわかる。一方光透過率について見ると、前記パターン幅Wが3.5μmをあたりから低下が始まり、4.5μm前後からさらに急激に低下するが、これは図32(B)に示すように本来なら白で示す方向に配向が規制されるはずの液晶分子が黒で示すように乱れ始め、その結果透過率が低下するものと考えられる。
図32(A)の結果は、前記櫛型パターン71Bの幅Wとしては、2.5〜4.5μmの範囲が最も好ましいことを示している。
図33は、図31の液晶表示装置70について、透過率と立ち上がり時間の関係を示す。ただし、図33の結果は、図30において前記帯状ITOパターン71Aの幅Aを11μm、前記櫛型パターン71Bの長さBを15μm、前記ギャップGの幅を8μm、前記櫛型パターン71Bの幅Wを3.5ミクロン、前記櫛型パターン71Bの繰り返し周期を6μmとした場合についてのもので、対向基板31B上には特に凸型パターン61Aを形成していない。また図33中には、先の図1(A),(B)の従来の液晶表示装置10の透過率および立ち上がり特性を示す。
図33を参照するに、本実施例の液晶表示装置70は特に中間調領域において立ち上がり時間が従来のものより大幅に減少していることがわかる。
図34は図33と同様な液晶表示装置70の透過率および立ち上がり特性を示すが、図34の場合には前記対向基板31B上に図27,28と同様な凸型パターン61Aを形成している。これを図34中、実施例2として示す。一方実施例1として示されているのは、図33に示した液晶表示装置70の特性である。
図34を参照するに、前記対向基板31B上に凸型パターン61Aを形成した方が、特に透過率が0%に近い領域において、応答速度が向上するのがわかる。
図35は、図34中の実施例1および2の液晶表示装置について、透過率を各階調ごとに比較して示す。ただし、図35においては、前記画素電極71に5.4Vの駆動電圧を印加した状態を256階調と定義している。
図35を参照するに、前記凸型パターン61Aを前記対向基板31B上に形成することにより、液晶表示装置70の透過率は大きく向上することがわかる。
なお、本実施例において、前記画素電極71としては、先の図30に示すパターン以外にも、図36(A)〜(C)に示す様々なパターンを使うことができる。
なお、本実施例においても、前記対向基板31B上のパターン61Aは、レジストパターン等の凸パターンに限定されるものではなく、前記対向電極36中に形成されたカットアウトパターンであってもよい。また、前記櫛型パターン71Bの繰り返し周期は、前記6μmに限定されるものではなく、2μm以上、15μm以下の範囲であれは、櫛型パターンの延在方向への効果的な液晶分子の配向規制を実現することができる。
[第6実施例]
次に、先の第1実施例で説明した液晶表示表示装置30における構造パターン、例えば図8の構造パターン34Aをレジストパターンにより形成する場合の液晶表示装置の製造方法を、図37(A)〜図45(U)を参照しながら説明する。
図37(A)を参照するに、前記ガラス基板31A上には前記走査電極33および補助容量電極Csを形成する導体膜81が一様に形成され、さらに前記導体膜81上に形成したい走査電極パターンおよび補助容量電極パターンにそれぞれ対応したレジストパターンR1およびR2を形成する。
次に図37(B)の工程において、前記レジストパターンR1およびR2をマスクに使いながら前記導体膜81をパターニングし、図37(C)の平面図に示すように、前記ガラス基板31A上に前記走査電極パターン33および補助電極パターンCsを形成する。図37(B)のパターニング工程の結果、走査電極33の先端部には電極パッド33Aが、また前記補助電極パターンCsの先端部には電極パッドCsAが形成されている。
次に図38(D)の工程において、前記図37(C)の構造上にゲート絶縁膜82、アモルファスシリコン膜83およびSiN膜84を順次堆積し、さらに前記TFT31Tのチャネル領域を覆うように、前記SiN膜84上にレジストパターンR3を形成する。
さらに図38(E)の工程において前記SiN膜84を前記レジストパターンR3をマスクにパターニングし、SiNチャネル保護膜84Aを前記TFT31Tのチャネル領域に対応して形成する。図38(F)は、このようにして形成された構造の平面図を示す。
次に図39(G)の工程において前記図38(F)の構造上にn+型アモルファスシリコン膜85および前記信号電極32を形成する導体膜86を順次堆積し、さらに前記導体膜86上に前記信号電極32に対応するレジストパターンR4および前記補助容量Csに対応するレジストパターンR5を形成する。前記レジストパターンR4はさらに前記TFT31Tのソース電極パターンおよびドレイン電極パターンに対応した形状を有し、前記レジストパターンR4,R5をマスクに前記層83,85,86をパターニングすることにより、図39(H)および図39(I)に示すように、前記TFT31Tのソース電極パターン86Sおよびドレイン電極パターン86Dが、前記TFT31Tを構成するチャネル層パターン83A、ソースパターン85S、およびドレインパターン85Dと共に形成される。一方前記補助容量領域では、前記補助容量電極Csと共にキャパシタを形成する対向電極パターンCs’が同時に形成されている。図39(I)は、このようにして形成された図39(H)の構造の平面図を示す。前記図39(H)のパターニング工程では、さらに前記導体層86のパターニングにより、前記信号電極32が、先端部のパッド電極32Aをも含めて形成されている。
次に図40(J)の工程において、前記図39(H)の構造上に保護膜87が一様に堆積され、さらに前記保護膜87上に、レジストパターンR6が、前記ソース電極パターン86Sおよび前記補助容量対向電極パターンCs’にそれぞれ対応したレジスト開口部RA,RBを有するように形成される。
次に図40(K)の工程において前記保護膜87を前記レジストパターンR6をマスクにパターニングし、前記保護膜87中に前記レジスト開口部RA,RBにそれぞれ対応してコンタクトホール87Aおよび87Bを形成する。また同時に図40(L)に示すように、前記電極パッド部33Aにおいて、前記保護膜87中に前記パッド部33Aを露出する開口部87A’が形成され、さらに図40(M)に示すように、前記パッド電極部32Aにおいても前記保護膜87中に前記パッド電極CsAを露出するコンタクトホール87B’が形成されている。図41(N)は、このようにして得られた構造の平面図を示す。
次に図42(O)の工程において図41(N)の構造上に一様にITO膜88を前記コンタクトホール87Aおよび87Bにおいてそれぞれ前記ソース領域86Sおよび前記補助容量対向電極Cs’にコンタクトするように堆積し、さらに前記ITO膜88上に、形成したい画素電極34に対応したレジストパターンR7を形成する。図42(P)の工程で、前記ITO膜88を前記レジストパターンR7をマスクにパターニングすることにより、前記透明画素電極34が形成される。
同時に、図42(Q),(R)に示すように、前記電極パッド33Aおよび32AにおいてもITOコンタクトパッド88A,88Bが、それぞれコンタクトホール87A’および87B’において前記電極パッド33Aおよび32Aにコンタクトするように形成される。
図43(S)は、このようにして得られた基板31Aの平面図を示す。
次に、本実施例においては、図44(T)の工程において図43(S)の構造の全面に一様にレジスト膜を塗布し、露光・現像処理を行うことにより、先に図8で説明した微細構造パターン34Aに対応する微細な分枝を有する構造パターン34Xを、レジストパターンの形で形成し、前記液晶表示装置30に対応した液晶表示装置80が得られる。
かかる構造パターン34Xでは、先に説明した液晶分子の配向方向の効果的な規制を行うためには微細な分枝の各々は6μm以下の幅を有する必要があるが、このような微細なレジストパターン34Xは、例えば前記レジスト膜をシプレイ社製のレジストSC−1811の粘度を調整することにより600〜800nm、好ましくは約700nmの厚さに形成する。このように前記一様なレジスト膜の厚さを約700nmとすることにより、露光・現像工程の後においても前記レジストパターンとして100〜700nmの厚さ、好ましくは600〜700nmの厚さを維持することが可能になる。その際、現像時における分枝先端部における膜厚の減少を抑制するため露光にはgh線ステッパを使い、通常は露光しきい値の2倍以上に設定される露光ドーズをしきい値の1.5倍程度に設定していわゆるアンダー露光を行うのが好ましい。
かかる露光・現像工程の後、前記レジストパターン34Xに対して表層部をアッシング・除去し、レジストパターン34Xの厚さを約300nmとする。かかるアッシング工程は、例えば反応性プラズマエッチング装置を使い、30.0Paの圧力下、600WのプラズマパワーでO2を400SCCMの流量で供給しながら行えばよい。
かかるアッシング工程の後、前記レジストパターン34Xに対して熱硬化処理を、最初は140°C以下、好ましくは約130°Cの温度において開始し、徐々にあるいは段階的に温度を上昇させて実行し、最終的には140°C〜270°Cの間、好ましくは200°Cの最高温度で10分間以上加熱硬化させる。このようにすることにより、前記微細な分枝を有するレジストパターン34Xを、分枝の幅が6μm以下であっても、その形状を損なうことなく硬化させることができる。
また、かかる工程により、図45に示したような、先端部が尖った分枝を有するレジストパターン34Yを形成することもできる。さらに、本実施例によれば、先の図22あるいは24で説明した微細レジストパターン24Eあるは24E’を形成することもできる。図45の構成は、先に説明した図22の液晶表示装置50におおよそ対応している。
なお、本実施例においては、前記レジスト膜として様々なポリイミド系樹脂、あるいは、ノボラック系樹脂、あるいはアクリル系樹脂を使うことができる。
[第7実施例]
次に、本発明の第7実施例による液晶表示装置90の構成を説明する。
本実施例の液晶表示装置90では、先の図44のパターン34Xあるいは図45のパターン34Yにおいて、個々の分枝の厚さを先端部に向って減少させる。
図46(A),(B)は本実施例の原理を示す。
図46(A),(B)を参照するに、図示の液晶表示装置90は図1(A),(B)の液晶表示装置10を基本に構成されており、凸型パターン13Aを形成されたガラス基板11Aと凸型パターン13Bを形成されたガラス基板11Bとの間に液晶層12を保持する構成を有するが、前記凸型パターン13Aからは、側方に先端が尖った方向性を有する微細パターン13aが、図22の微細パターン24Eあるいは図24の微細パターン24E’と同様に延出している。
その際、図46(B)の断面図に示すように、前記微細パターン13aは幅のみならず、その高さ、ないし厚さも前記先端方向に向って減少させ、その結果対向する一対の微細パターン13aにより、互いに向かい合った斜面が画成される。かかる微細パターン13aの対向部に対応して前記上側凸パターン13Bを形成することにより、液晶層12中の液晶分子はプレチルトが与えられ、その結果前記液晶層12に駆動電界が印加されると、前記液晶分子は速やかに略水平方向の配向状態にチルトする。その際、前記微細パターン13aは互いに微細な、典型的には数μmの周期で繰り返し形成されているため、チルトする液晶分子の方向は、先の実施例で説明したように、前記微細パターン13aの延在方向に規制される。
かかる斜面を有する微細パターン13aは、例えば図47に示す露光マスクを使ってポジ型レジストを露光することにより形成できる。
典型的な例では、前記ガラス基板13A上の画素電極を覆うように例えばシプレイ社製のポジ型レジストS1808を0.1〜3μmの厚さ、典型的には約1.5μmの厚さにスピンコーティングする。
次に図47の露光マスクを使って前記レジスト膜を紫外光により露光し、現像・リンス・およびベークの各工程を行う。かかる工程の結果、図46(A),(B)に示すように前記凸パターン13Aを、微細凸パターン13aが側方に延在するように形成することができる。
図48は、このようにして形成された液晶表示装置90の動作をシミュレートした結果を示す。図48中、右側が本発明による場合で、前記微細パターン13aを設けた場合を、左側は従来の場合で前記微細パターン13aを設けなかった場合についてのものである。図48は様々に設定された所定のコントラスト比に到達するまでの時間を示すが、本発明の例では、前記傾斜微細パターン13aを設けた結果、前記凸パターン13A近傍における立ち上がり時間が大きく減少していることがわかる。
以下の表4は、印加電圧を2.5Vおよび3.0Vとした場合の、90%透過率が達成されるまでの時間を、図1(A),(B)の従来の液晶表示装置と図46(A),(B)の本実施例による液晶表示装置と比較して示す。
表4は、前記微細構造パターン13aの応答時間短縮に対する寄与を明瞭に示している。
なお、本実施例においては、前記微細構造パターン13aが傾斜しているため、パターン13aの先端が尖っている必要は必ずしもなく、例えば図49(A)に示す一様な幅を有するパターン13a’あるいは図49(B)に示す幅が先端に向って増大するパターン13a”であっても、同様な効果を得ることができる。
[第8実施例]
図50は、本発明の第8実施例による液晶表示装置100の構成を示す。
ただし図50の液晶表示装置100は先に説明した液晶表示装置30の構成をベースとしており、従って図50中、先に説明した部分には対応する参照符号を付し、説明を省略する。
図50を参照するに、前記画素電極34上には、先に図17で説明したパターン24Aと同様な多数の方向性パターン101Aが、共通の方位で、行方向にはWGの間隔で、また列方向にはHGの間隔で、行列状に形成されている。
図51は、前記方向性パターン101Aの一例を示す。
図51を参照するに、前記方向性パターン101Aは幅がW、高さがHの楔形状を有し、底部に幅がSWで高さがSHのカットアウト部が形成されている。かかる方向性パターン101Aは前記画素電極34中に形成されたレジストパターンであっても、また前記画素電極34中に形成されたカットアウトパターンであってもよい。一例では、前記幅Wは8μm、前記幅SWは4μm、前記高さHは30ミクロン、前記高さSHは5〜20μmであり、かかるパターン101Aが前記画素電極34上に、間隔WGを2μm、間隔HGを0μmとして繰り返し配列される。
かかる方向性パターン101Aを形成することにより、前記液晶層31中の液晶分子は、先に説明したように前記方向性パターン101Aにより規定される方向に配向を規制され、その結果、前記液晶層31に駆動電界が印加された場合に速やかにチルトし、九層状態への遷移が高速で生じる。
図52は図50の液晶表示装置において、前記画素電極34中にドメインAおよびドメインBを区画し、前記ドメインAおよび前記ドメインBで前記方向性パターン101Aの配向方向を矢印で示すように異ならせた構成を示す。かかる構成によれば、液晶表示装置の視野角特性を向上させることができる。
図53は、図50の液晶表示装置において、前記画素電極34中にドメインA〜Dを先の図16の構成と同様に区画し、各ドメインA〜Dにおいて、前記方向性パターン101Aの方向を矢印で示すように異ならせた構成を示す。かかる構成によれば、液晶表示装置の視野角特性をさらに向上させることができる。
図54は、図52の構成の液晶表示装置において、前記ドメインAとドメインBとの境界に、レジストパターンあるいはカットアウトパターンよりなる構造パターン102を、前記図1(A),(B)の液晶表示装置10における凸パターン13Aと同様に形成した例を示す。
かかる構成によれば、前記方向性パターン101Aによる矢印方向への液晶分子の配向規制が、前記構造パターン102により、さらに強化される。
図55は、図53の構成の液晶表示装置において、前記ドメインA〜Dの境界に格子状のレジストパターンあるいはカットアウトパターンよりなる構造パターン102Bを形成した例を示す。
かかる格子状パターン102Bを形成することにより、前記方向性パターン101Aによる矢印方向への液晶分子の配向規制が、さらに強化される。
図56は、前記方向性パターン101Aの一変形例による方向性パターン101Bの構成を示す。
図56を参照するに、前記方向性パターン101Bは幅がWで高さがHの逆T字型パターンよりなり、幅がWで高さがSHの底部と、前記底部から上方に突出する幅がSWの突出部とよりなる。
典型的な例では、前記幅Wは5〜8μm、前記高さHは10〜30μm、前記突出部の幅SWは2〜3μm、前記底部の高さSHは3〜5μmに設定され、これらの方向性パターン101Aは図50の構成において前記画素電極34上に、間隔HGを2μm、間隔WGを2μmで配列される。
図57は、前記方向性パターン101Aあるいは101Bの代わりに使うことのできる様々な方向性パターンの例を示す。
これらの方向性パターンは一般に線対称な形状を有し、さらに回転対称性を欠く図形よりなる。先にも説明したように、これらの方向性パターンは前記画素電極34上に形成したレジストパターンであっても、また前記画素電極34中に形成されたカットアウトパターンであってもよい。
図58(A),(B)は、かかる方向性パターンを前記画素電極34上に方向性をもって配列することにより、所望の液晶分子の配向規制を実現する構成を示す。
図58(A)では、正三角形上のパターンが十字型に、しかも十字の腕の先端方向に方位を合わせて配列されており、かかるパターンの集合により、所望の液晶分子の配向規制を行う。この場合、前記正三角形パターン自体は回転対称性を有するため方向性パターンではないが、かかる非方向性パターンを集合させることにより、所望の効果を実現することができる。
これに対し、図58(B)では、二等辺三角形状の多数の方向性パターンを、中心に対して回転対称性をもって配列した例を示す。かかる構成においても、所望の液晶分子の配向規制を行うことができる。
前記図51の方向性パターン101Aは、図50に示すように画素電極31上に格子状に配列する際に、図59に示すように互い違いに配列してもよい。
また、必要に応じて、図60に示すように同心円状あるいは渦巻状に配列することも可能である。
[第9実施例]
図61(A),(B)は、本発明の第9実施例による液晶表示装置110の構成を示す、それぞれ断面図および平面図である。ただし図61(A)の断面は、図61(B)中、線A−A’に沿った断面図である。
図61(A)を参照するに、前記液晶表示装置110では画素電極112Aを担持するガラス基板111Aと対向電極112Bを担持するガラス基板111Bとの間に液晶層113を挟持する構成を有し、前記画素電極112A上には格子状に凸パターン114Aが、また前記対向電極112B上には格子状に凸パターン114Bが形成されている。
前記格子状パターン114A上には、前記パターン114Aを構成する格子の交点に対応して、図61(A)および(B)に示すように斜面を形成する局在パターン114aが形成されており、同様に前記格子状パターン114B上には、前記パターン114Bを構成する格子の交点に対応して、斜面を形成する局在パターン114bが形成されている。
さらに前記ガラス基板111A上には前記格子状パターン114Aを覆うように垂直分子配向膜115Aが、また前記ガラス基板111B上には前記格子状パターン114Bを覆うように垂直分子配向膜115Bが形成され、前記垂直分子配向膜115Aおよび115Bは前記液晶層113に接触し、前記液晶層113中の液晶分子を前記液晶表示装置110の非駆動状態において、前記液晶層113に略垂直な方向に配向させる。さらに前記ガラス基板111Aの外側にはポラライザ115Aが、また前記ガラス基板111Bの外側にはアナライザ115Bが、クロスニコル状態で形成されている。図61(B)中には、前記ポラライザ115Aとアナライザ115Bの吸収軸の方向がそれぞれ示されている。
かかる液晶表示装置110では、前記液晶層113中の液晶分子は、前記格子状パターン114Aおよび114Bのみならず、前記局在パターン113aおよび113bが形成する斜面によっても、先に図3(A),(B)で説明したと同様にプレチルト角を与えられ、その結果前記電極115Aと115Bとの間に駆動電界が印加された場合、前記液晶分子はプレチルトの効果により速やかに倒れ、前記液晶表示装置110の動作速度が向上する。
図62は前記液晶表示装置110の駆動状態における液晶層113中の液晶分子113Aの配向を示す。
図62を参照するに、前記ポラライザ116Aおよびアナライザ116Bの光吸収軸の方向を前記格子状パターン114A,114Bの延在方向に一致するように設定することで、前記格子状パターン114Aおよび114B直上においては図9の場合と同様に単一の暗線が発生するものの、パターン114Aあるいは114Bの両側において二重の暗線の発生がなく、先に図2で説明した、かかる二重暗線の発生およびこれに伴う透過率の低下の問題が回避される。
次に図61(A),(B)の液晶表示装置110の製造工程を、図63(A)〜(D)を参照しながら説明する。
図61(A)を参照するに、前記基板111A上には前記画素電極112Aを覆うように、典型的にはシプレイファーイースト社製のポジ型レジストS1808よりなるレジスト膜114が形成され、90°Cで20分間のプリベークの後これをマスクM1を使って露光し、さらに例えばシプレイファーイースト社製の現像液MF319等の現像液を使って現像することにより、図61(B)に示すように前記格子状パターン114Aが形成される。図61(B)の工程では、前記格子状パターン114は、さらに120°Cで40分間のポストベークを行い、さらに200°Cで40分間のポストベークを行う。
次に図63(C)の工程において、前記局在パターン114aを構成するレジスト膜114’が前記基板111A上に、前記格子状パターン114Aを覆うように形成され、さらにこれをマスクM2を使って露光・現像することにより、図63(D)に示すように、前記格子状パターン114Aの格子の交差部分に対応して、前記局在パターン114aが形成される。前記局在パターン114aは、典型的には一辺が45μm、前記格子状パターン114A上における高さが0.3μmになるように形成される。一方、前記格子状パターン114A自体の幅は、例えば5μmとされる。
図63(D)の工程では、さらに前記格子状パターン114Aおよび局在パターン114aを覆うように、例えばJSR社製の垂直配向膜JALS684が、前記分子配向膜115Aとして形成される。
前記基板111B上の格子状パターン114Bおよび局在パターン114bも、同様にして形成することができる。
前記格子状パターン114Aおよび114Bは、前記基板111Aおよび111Bが組み合わされて前記液晶表示装置110が形成される際、液晶層113の面方向に20μm離間するような位置関係で形成される。
図64は、前記図61(B)の構成において、前記局在パターン114aおよび114bの代わりに、前記格子状パターン114Aおよび114Bの延在方向に対して45°の角度で延在する突出部を有する局在パターン114cおよび114dを形成した場合を示す。
図64の構成によれば、前記格子状パターン114A,114Bによるプレチルト効果が直接には及ばない前記格子状パターン114Aと114Bとの中間の領域においても、液晶分子中に望ましいプレチルトを形成することができる。
これに対し図65は、前記図61(B)の構成において、前記局在パターン114aおよび114bの代わりに、前記格子状パターン114Aおよび114Bの延在方向に延在する突出部を有する局在パターン114eおよび114fを形成した場合を示す。
図65の構成によれば、前記格子状パターン114A,114Bによるプレチルト効果を前記局在パターン114eおよび114fによりさらに増強することができる。
さらに図66は、前記図64の構成と図65の構成を結合した構成を有し、前記格子状パターン114Aの交点に局在パターン114gが、また格子状パターン114Bの交点に局在パターン114hが形成されている。また図67は、前記図64の構成の上に図65の構成を重ねた構造を有し、従って前記局在パターン114c上に局在パターン114eが、また局在パターン114d上に局在パターン114fが形成される。
図67の構成では、特に局在パターン114eおよび114fの傾斜を急にすることができ、液晶分子のプレチルト効果を高めることができる。
なお、図61〜67の構成は、先に説明した実施例のいずれに対しても組み合わせることができ、液晶表示装置の動作速度を向上させるのに寄与する。
以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の要旨内において様々な変形・変更が可能である。
(付記)
(付記1) 第1の基板と、
前記第1の基板に対向する第2の基板と、
前記第1および第2の基板の間に封入された液晶層と、
前記第1の基板上に形成された第1の電極と、
前記第2の基板上に形成された第2の電極と、
前記第1の基板上に、前記第1の電極を覆うように形成された第1の分子配向膜と、
前記第2の基板上に、前記第2の電極を覆うように形成された第2の分子配向膜と、
前記第1の基板の外側に配設された第1の偏光板と、
前記第2の基板の外側に、前記第1の偏光板に対してクロスニコル状態で配設された第2の偏光板とよりなり、
前記第1の分子配向膜と前記第2の分子配向膜とは、前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電圧が印加されていない非駆動状態において、前記液晶層中の液晶分子を前記基板の面に対して略垂直方向に配向させ、
前記第1の基板上には、前記液晶層の面に平行な第1の方向に延在し前記液晶層の面に平行で前記第1の方向に直角な第2の方向に対して周期的に変化する構造パターンが形成されており、前記構造パターンは、前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電圧が印加された駆動状態において、前記第2の方向に対して周期的に変化する電界を形成し、
前記液晶分子は、前記駆動状態において、実質的に前記第1の方向にチルトすることを特徴とする液晶表示装置。
(付記2) 前記構造パターンは、前記第1の電極上に各々前記第1の方向に延在するように形成され、前記第2の方向に繰り返される複数のパターンよりなることを特徴とする付記1記載の液晶表示装置。
(付記3) 前記複数のパターンの各々は、絶縁材料よりなる凸パターンであることを特徴とする付記2記載の液晶表示装置。
(付記4) 前記複数のパターンの各々は、導電性材料よりなる凸パターンであることを特徴とする付記2記載の液晶表示装置。
(付記5) 前記複数のパターンの各々は、前記第1の電極中に形成された凹パターンであることを特徴とする付記2記載の液晶表示装置。
(付記6) 前記構造パターンは、前記第1の電極上に各々前記第1の方向に延在するように形成され、前記第2の方向に繰り返される複数のパターンよりなり、前記複数のパターンの各々は、前記第1の方向上少なくとも一方の向きを指向する方向性を有することを特徴とする付記1〜5のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記7) 前記複数のパターンの各々は、略三角形状を有し、頂点が前記方向性を指向することを特徴とする付記6記載の液晶表示装置。
(付記8) 前記複数のパターンの各々は、合い対向する第1および第2の頂点を有する菱形形状を有し、前記第1の頂点が、前記第1の方向上、一方の向きを指向し、前記第2の頂点が、前記第2の方向上、逆方向の向きを指向ずることを特徴とする付記6記載の液晶表示装置。
(付記9) 前記方向性を有する複数のパターンの各々は、10μm以下の最大幅を有することを特徴とする付記6〜8のいずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記10) 前記方向性を有する複数のパターンの各々は、階段状の辺により画成されていることを特徴とする付記9〜9のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記11) 前記第1の電極は、前記第1の基板上に形成された複数の画素電極よりなり、前記複数の画素電極の各々は、複数のドメインに区画されており、前記構造パターンは前記複数のドメインの各々に、一つのドメインにおける前記第1の方向が、辺で隣接するドメイン中における前記第1の方向と90°の角度で交差するような関係で形成されることを特徴とする付記1〜10のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記12) 前記第1および第2の基板の少なくとも一方の上には、さらに前記構造パターンとは別の構造パターンが、前記第1の方向に交差するように、しかも前記構造パターンの前記第2の方向への繰り返し周期よりも実質的に大きい繰り返し周期で、前記第2の方向とは異なった方向に繰り返されるように形成されることを特徴とする付記1記載の液晶表示装置。
(付記13) 前記別の構造パターンは、前記構造パターンよりも大きい高さを有することを特徴とする付記12記載の液晶表示装置。
(付記14) 前記構造パターンは、各々前記第1の方向に延在し前記第2の方向に第1の周期で繰り返される複数の微細パターンよりなり、前記別の構造パターンは、前記第1の基板上に形成され前記第1の方向に対して交差する第3の方向に延在する第1の粗構造パターンと、前記第2の基板上に形成され前記第2の方向に交差する第4の方向に延在する第2の粗構造パターンとよりなり、前記第1の粗構造パターンは、前記第4の方向に、前記第1の周期よりも実質的に大きい周期で繰り返し形成され、前記第2の粗構造パターンは、前記第3の方向に、前記第1の周期よりも実質的に大きい周期で繰り返し形成されることを特徴とする付記12または13記載の液晶表示装置。
(付記15) 前記第1および第2の粗構造パターンの各々は、前記微細パターンよりも大きな幅を有することを特徴とする付記14記載の液晶表示装置。
(付記16) 前記第3の方向は、前記第1の方向に対して直交することを特徴とする付記14記載の液晶表示装置。
(付記17) 前記第3の方向は、前記第1の方向と45°の角度で交差することを特徴とする付記14記載の液晶表示装置。
(付記18) 前記構造パターンは、各々前記第1の方向に第1の幅で延在し前記第2の方向に第1の周期で繰り返される複数の微細パターンよりなり、前記別の構造パターンは、前記第1の基板上に、前記第1および第2の方向に斜交する第3の方向と前記第3の方向に直交する第4の方向に延在するように形成された第1の格子状パターンと、前記第2の基板上に、前記第3および第4の方向に延在するように、かつ前記第1の格子状パターンとずらした位置関係で形成された第2の格子状パターンとよりなり、前記第1および第2の格子状パターンは、前記第1の周期よりも大きいそれぞれの周期で繰り返されることを特徴とする付記16または17記載の液晶表示装置。
(付記19) 前記第1および第2の格子状パターンの各々は、前記微細パターンの幅よりも大きな幅を有することを特徴とする付記18記載の液晶表示装置。
(付記20) 前記第3の方向は前記第1の方向に対して45°の角度で交差することを特徴とする付記18または19記載の液晶表示装置。
(付記21) 前記第1の格子状パターンは、前記第1の基板上に前記第1の格子状パターンで区画された第1〜第4のドメインを画成し、前記微細パターンは、前記第1〜第4の各々のドメインに、前記第1の方向が、辺で隣接するドメインにおける前記第1の方向と90°の角度をなすように形成されることを特徴とする付記18〜20のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記22) 前記別の構造パターンは、凸パターンよりなることを特徴とする付記12〜21のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記23) 前記別の構造パターンは、凹パターンよりなることを特徴とする付記12〜21のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記24) 第1の基板と、
前記第1の基板に対向する第2の基板と、
前記第1および第2の基板の間に封入された液晶層と、
前記第1の基板上に形成された第1の電極と、
前記第2の基板上に形成された第2の電極と、
前記第1の基板上に、前記第1の電極を覆うように形成された第1の分子配向膜と、
前記第2の基板上に、前記第2の電極を覆うように形成された第2の分子配向膜と、
前記第1の基板の外側に配設された第1の偏光板と、
前記第2の基板の外側に、前記第1の偏光板に対してクロスニコル状態で配設された第2の偏光板とよりなり、
前記第1の分子配向膜と前記第2の分子配向膜とは、前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電圧が印加されていない非駆動状態において、前記液晶層中の液晶分子を前記液晶層の面に対して実質的に垂直方向に配向させ、
前記第1の電極は、前記液晶層の面に平行な第1の方向に延在する電極パターンを、前記液晶層の面に平行で前記第1の方向に直角な第2の方向に対して第1の幅の隙間を隔てて周期的に繰り返し配列した構成を有し、
前記第2の方向に繰り返し配列される前記電極パターンは、連結部により相互に連結されており、
前記第1の電極は、さらに前記第2の方向に延在するカットアウトパターンを、前記第1の幅よりも実質的に大きい第2の幅で形成されており、
前記液晶分子は、前記駆動状態において、実質的に前記第1の方向にチルトすることを特徴とする液晶表示装置。
(付記25) 前記電極パターンの各々は、前記第1の方向に隣接する対応した電極パターンと、前記カットアウトパターンにより隔てられていることを特徴とする付記24記載の液晶表示装置。
(付記26) さらに前記第2の基板上には、前記第2の方向に延在する粗パターンが、前記第1の基板に垂直な方向から見た場合に、前記電極パターンと交差するように形成されており、前記電極パターンは前記第2の方向に隣接する対応した電極パターンと、前記第1の基板に垂直な方向から見た場合に、前記粗パターン下の部分において、前記連結部の少なくとも一部が配置されることを特徴とする付記24または25記載の液晶表示装置。
(付記27) 前記パターンの少なくとも一部が、さらに前記画素電極開口部エッジに沿って相互に連結されていることを特徴とする付記24〜26のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記28) 前記電極パターンの各々は、前記第1の方向にテーパ形状を有することを特徴とする付記24〜27のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記29) 前記電極パターンの各々は、先端部に向って階段状に幅を狭める形状を有することを特徴とする付記24〜27のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記30) さらに前記第1の基板上には、前記第1の電極の下方に、前記第2の電極と同電位で前記カットアウトパターンに沿って延在する第3の電極パターンが形成されていることを特徴とする付記24〜29のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記31) 前記第1の電極上には第1および第2の領域が、前記第1の領域における前記第1の方向が、前記第2の領域における前記第1の方向と直交するような方位で画成されており、前記第3の電極は、前記第1の基板上を、前記第1の領域と前記第2の領域との境界に沿って延在することを特徴とする付記30記載の液晶表示装置。
(付記32) 前記粗パターンは、前記第2の基板上に形成された凸パターンよりなることを特徴とする付記26記載の液晶表示装置。
(付記33) 前記粗パターンは、前記第1の方向に、前記電極パターンの前記第2の方向への繰り返し周期と同じ、あるいは同等の周期で、前記第2の方向に繰り返されるパターンを有することを特徴とする付記26または32記載の液晶表示装置。
(付記34) 前記第1の電極は、前記電極パターンが繰り返される第1の領域と、一様な導電膜により覆われる第2の領域とを含むことを特徴とする付記24〜33のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記35) 前記接続部は、前記第2の方向に延在する、幅が実質的に一定な帯状パターンよりなり、前記電極パターンは、前記帯状パターンから側方に延出することを特徴とする付記24〜34のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記36) 前記電極パターンは、2μm以上、15μm以下の周期で、前記第2の方向に繰り返し形成されることを特徴とする付記35記載の液晶表示装置。
(付記37) 前記電極パターン領域は、前記帯状パターン領域に対して35〜65%の範囲の面積比を有することを特徴とする付記35または36記載の液晶表示装置。
(付記38) 前記帯状パターンは、前記第1の方向に約22μmの幅を有し、前記細長い電極パターンは、前記帯状パターンに接続する基部において3.5±1μmの幅を有し、前記第1の方向に約15±5μmの長さを有し、前記第1の方向において対向する電極パターンとの間に、約8μmのカットアウトパターンを形成することを特徴とする付記35〜37のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記39) 第1の基板と第2の基板との間に挟持される液晶層を有し、前記液晶層に駆動電界が印加されていない非駆動状態において前記液晶層中の液晶分子が前記液晶層の面に略垂直に配向し、前記液晶層に駆動電界が印加されている駆動状態において、前記液晶層中の液晶分子が前記液晶層に面に略平行に配向する液晶表示装置の製造方法において、
前記第1の基板上に画素電極パターンを形成する工程と、
前記画素電極パターン上に、レジスト膜を塗布する工程と、
前記レジスト膜を露光および現像し、複数の分枝が繰り返される形状を有するレジストパターンを、前記画素電極パターン上に形成する工程と、
前記レジストパターンに対してアッシング処理を行う工程と、
前記アッシング処理を行った前記レジストパターンを、熱硬化させる工程とよりなることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記40) 前記露光工程は、前記レジスト膜の露光しきい値量の2倍以下の露光量で前記レジスト膜を露光することを特徴とする付記39記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記41) 前記レジスト膜を塗布する工程は、前記レジスト膜を、前記アッシング工程の後で前記レジストパターンが100〜700nmの範囲の厚さを有するような厚さに形成する工程よりなることを特徴とする付記39または40記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記42) 前記レジスト膜を塗布する工程は、前記レジスト膜の粘度を、前記レジスト膜の厚さが600〜800nmになるように調整する工程を含むことを特徴とする付記39〜41のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記43) 前記熱硬化工程は、140°C以下の温度で開始し、270°C以下の熱硬化温度まで、温度を徐々に上昇させる工程を含むことを特徴とする付記39〜42のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置の製造方法。
(付記44) 第1の基板と、
前記第1の基板に対向する第2の基板と、
前記第1および第2の基板の間に封入された液晶層と、
前記第1の基板上に形成された第1の電極と、
前記第2の基板上に形成された第2の電極と、
前記第1の基板上に、前記第1の電極を覆うように形成された第1の分子配向膜と、
前記第2の基板上に、前記第2の電極を覆うように形成された第2の分子配向膜と、
前記第1の基板の外側に配設された第1の偏光板と、
前記第2の基板の外側に、前記第1の偏光板に対してクロスニコル状態で配設された第2の偏光板とよりなり、
前記第1の分子配向膜と前記第2の分子配向膜とは、前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電圧が印加されていない非駆動状態において、前記液晶層中の液晶分子を前記液晶層の面に対して実質的に垂直方向に配向させ、
前記第1の電極上には、前記液晶層の面に平行な第1の方向に延在する凸パターンを、前記液晶層の面に平行で前記第1の方向に交差する第2の方向に周期的に繰り返し配列した構造を形成されており、
前記液晶分子は、前記駆動状態において、実質的に前記第1の方向にチルトすることを特徴とする液晶表示装置。
(付記45) 前記凸パターンは、先端部に向って徐々に幅を狭めるテーパ形状を有することを特徴とする付記44記載の液晶表示装置。
(付記46) 前記凸パターンは、先端部に向って階段状に幅を狭める形状を有することを特徴とする付記44記載の液晶表示装置。
(付記47) 前記凸パターンは、先端部に向って高さを徐々に減少させる形状を有することを特徴とする付記44〜46のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記48) 前記第1の電極上には、さらに前記第2の方向に延在する別の凸パターンが形成されており、前記細長い凸パターンの各々は、前記別の凸パターンから側方に延出することを特徴とする付記44〜47のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記49) 前記別の凸パターンから第1の側方に延出する前記凸パターンに対して定義される前記第1の方向は、前記別の凸パターンから第2の側方に延出する前記凸パターンに対して定義される前記第1の方向と直交することを特徴とする付記44〜48のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記50) 前記第1の方向は、前記第2の方向と45°の角度で交差することを特徴とする付記49記載の液晶表示装置。
(付記51) 前記第1の方向は、前記第2の方向と直交することを特徴とする付記44〜48のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記52) 前記凸パターンの各々は、前記第2のパターンに直交する方向に延出することを特徴とする付記51記載の液晶表示装置。
(付記53) 前記第1の電極は、第1の領域と第2の領域とに区画され、前記第1の領域において前記別のパターンに対して定義される前記第2の方向は、前記第2の領域において前記別のパターンに対して定義される前記第2の方向と直交することを特徴とする付記52記載の液晶表示装置。
(付記54) 前記別の凸パターンは前記凸パターンよりも大きな幅を有することを特徴とする付記48〜53のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記55) 前記別の凸パターンは前記凸パターンよりも大きな高さを有することを特徴とする付記48〜54のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記56) 前記凸パターンはレジストパターンよりなることを特徴とする付記44〜55のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記57) 前記別の凸パターンはレジストパターンよりなることを特徴とする付記44〜56のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記58) 前記第2の電極上には、前記別の凸パターンに平行に、凸パターンが形成されていることを特徴とする付記44〜57のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記59) 付記44〜54のいずれか一項記載の液晶表示装置において、前記凸パターンをスリットパターンにより置き換えたことを特徴とする液晶表示装置。
(付記60) 第1の基板と、
前記第1の基板に対向する第2の基板と、
前記第1および第2の基板の間に封入された液晶層と、
前記第1の基板上に形成された第1の電極と、
前記第2の基板上に形成された第2の電極と、
前記第1の基板上に、前記第1の電極を覆うように形成された第1の分子配向膜と、
前記第2の基板上に、前記第2の電極を覆うように形成された第2の分子配向膜と、
前記第1の基板の外側に配設された第1の偏光板と、
前記第2の基板の外側に、前記第1の偏光板に対してクロスニコル状態で配設された第2の偏光板とよりなり、
前記第1の分子配向膜と前記第2の分子配向膜とは、前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電圧が印加されていない非駆動状態において、前記液晶層中の液晶分子を前記液晶層の面に対して実質的に垂直方向に配向させ、
前記第1の基板上には複数の方向性パターンが、共通の方位に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
(付記61) 前記方向性パターンは、線対称でかつ回転対称性を欠く形状を有することを特徴とする付記60記載の液晶表示装置。
(付記62) 前記方向性パターンは、前記第1の電極上に形成された凸パターンよりなることを特徴とする付記60または61記載の液晶表示装置。
(付記63) 前記方向性パターンは、前記第1の電極中に形成されたカットアウトパターンよりなることを特徴とする付記60または61記載の液晶表示装置。
(付記64) 前記方向性パターンは、前記第1の電極上に行列状に、繰り返し配向されることを特徴とする付記59〜63のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記65) 前記方向性パターンは、複数のパターン要素の集合によりなることを特徴とする付記59〜64のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記66) 前記液晶層中において、前記液晶分子は駆動状態において前記方向性パターンの指向する方向にチルトすることを特徴とする付記59〜65のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記67) 第1の基板と、
前記第1の基板に対向する第2の基板と、
前記第1および第2の基板の間に封入された液晶層と、
前記第1の基板上に形成された第1の電極と、
前記第2の基板上に形成された第2の電極と、
前記第1の基板上に、前記第1の電極を覆うように形成された第1の分子配向膜と、
前記第2の基板上に、前記第2の電極を覆うように形成された第2の分子配向膜と、
前記第1の基板の外側に配設された第1の偏光板と、
前記第2の基板の外側に、前記第1の偏光板に対してクロスニコル状態で配設された第2の偏光板とよりなり、
前記第1の分子配向膜と前記第2の分子配向膜とは、前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電圧が印加されていない非駆動状態において、前記液晶層中の液晶分子を前記液晶層の面に対して実質的に垂直方向に配向させ、
前記第1の基板上には第1の格子状パターンが形成されており、
前記第2の基板上には第2の格子状パターンが、前記第1の格子状パターンから、前記液晶層の面内においてずらした位置関係で形成されており、
前記第1の格子状パターンの交点には、斜面を有する第1の局在パターンが形成されており
前記第2の格子状パターンの交点には、斜面を有する第2の局在パターンが形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
(付記68) 前記第1および第2の局在パターンは、前記液晶層の面に垂直な方向から見た場合に四角形状を有することを特徴とする付記67記載の液晶表示装置。
(付記69) 前記第1および第2の局在パターンは、前記液晶層の面に垂直な方向から見た場合に腕を前記格子状パターンの延在方向に対して斜めに延出する十字形状を有することを特徴とする付記67記載の液晶表示装置。
(付記70) 前記第1および第2の局在パターンは、前記液晶層の面に垂直な方向から見た場合に腕を前記格子状パターンの延在方向に延出する十字形状を有することを特徴とする付記67記載の液晶表示装置。
(付記71) 前記第1および第2の局在パターンは、前記液晶層の面に垂直な方向から見た場合に前記格子状パターンの延在方向に対して斜めに延出する腕と前記格子状パターンの延在方向に延出する腕とを有する星型形状を有することを特徴とする付記67記載の液晶表示装置。
(付記72) 前記星型形状は、腕を前記格子状パターンの延在方向に延出する第1の十字パターンと、腕を前記格子状パターンの延在方向に斜めに延出する第2の十字パターンとを重ねた構成を有することを特徴とする付記67記載の液晶表示装置。
(付記73) 前記液晶層はネマチック液晶と、3次元的な液晶骨格を有する光硬化性組成物の光硬化物とよりなり、前記液晶分子と前記光硬化物の液晶骨格とは、前記非駆動状態において異なる方向に配向していることを特徴とする付記1〜72のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。
(付記74) 前記第1の基板上には、前記複数の画素電極の各々に対応して、前記画素電極を駆動する薄膜トランジスタが形成されることを特徴とする付記1〜73のうち、いずれか一項記載の液晶表示装置。