JP4767637B2 - 歯ブラシおよび歯ブラシパッケージ - Google Patents

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Description

本発明は、歯ブラシに関し、詳しくは、使用者の手の大きさに応じて最適な状態で把持できる歯ブラシに関する。
口腔内清掃具である歯ブラシにおいて、最も必要な品質である歯垢除去効果を高めるために、従来は直接歯牙表面と接触する植毛の形状を改良することが主に行われてきた。しかし、こうした植毛を植設された植毛部から延びる把持部(歯ブラシハンドル)の形状によっても、歯垢除去効果に大きく影響を及ぼすことが近年の研究で明らかとなってきた。
こうした歯ブラシの把持部は、使用者が直接手で操作する部分である為、その最適寸法は、使用者の手の大きさよって異なるはずである。しかし、使用者の手の大きさごとに把持部の寸法などの仕様を変えると、金型代がコストアップしてしまうために、手の大きさに応じて複数種類のハンドルを設計された例は少なく、例えば、特許文献1には、乳幼児向けの歯ブラシ把持部の形状が記載されている。また、特許文献2には、膨大部を設けた把持部の形状が記載されている。さらに、特許文献3、4には、使用者の腕や指が疲れにくい把持部の形状が記載されている。
実開昭60−146426号公報 特表平11−511998号公報 特開2002−85157号公報 特開2003−00347号公報
しかしながら、特許文献1に記載された歯ブラシは、乳幼児に対する持ちやすさを対象としたもので、大人が使用する歯ブラシの持ちやすさを改善するものではない。特許文献2に記載された歯ブラシは、把持部の幅に関する改良がなされているが、これらはウエスト部(括れた部分)を有するハンドルに関する発明であり、ウエスト部を有しない通常の把持部を持つ歯ブラシには適用できない。特許文献3、4に記載された歯ブラシでは、疲れにくい把持部断面の断面積や縦横幅の比率の検討はされているものの、把持部全体の形状の検討や、使用者の手の大きさに応じた把持部の形状に関する記述はない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、使用者の手の大きさに応じて、最適な歯垢除去能力が発揮でき、かつ把持しやすい歯ブラシを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明によれば、ブラシ毛が植設されたヘッド部と、前記ヘッド部から一方向に向けて細長く延びる把持部とからなる歯ブラシであって、前記把持部は、前記ヘッド部との境から前記一方向に向けて断面積が漸増するネック領域と、このネック領域に連なり、前記一方向に向けて略一定の断面積で延びる第1把持領域と、この第1把持領域に連なり、前記一方向に向けて、前記第1把持領域よりも小さく、かつ略一定の断面積で延び、体積が2.5〜4.5cmの範囲になるように形成される第2把持領域とからなることを特徴とする歯ブラシが提供される。前記歯ブラシは示指握り内径が38mm未満の範囲の使用者向けであればよい。前記第2把持領域は、前記一方向に向けてその長さが45〜75mmの範囲になるように形成されていればよい。
また、本発明によれば、ブラシ毛が植設されたヘッド部と、前記ヘッド部から一方向に向けて細長く延びる把持部とからなる歯ブラシであって、前記把持部は、前記ヘッド部との境から前記一方向に向けて断面積が漸増するネック領域と、このネック領域に連なり、前記一方向に向けて略一定の断面積で延びる第1把持領域と、この第1把持領域に連なり、前記一方向に向けて、前記第1把持領域よりも小さく、かつ略一定の断面積で延び、体積が4.5〜6.5cmの範囲になるように形成される第2把持領域とからなることを特徴とする歯ブラシが提供される。前記歯ブラシは示指握り内径が38〜41mmの範囲の使用者向けであればよい。前記第2把持領域は、前記一方向に向けてその長さが50〜80mmの範囲になるように形成されていればよい。
また、本発明によれば、ブラシ毛が植設されたヘッド部と、前記ヘッド部から一方向に向けて延びる把持部とからなる歯ブラシであって、前記把持部は、前記ヘッド部との境から前記一方向に向けて断面積が漸増するネック領域と、このネック領域に連なり、前記一方向に向けて略一定の断面積で延びる第1把持領域と、この第1把持領域に連なり、前記一方向に向けて、前記第1把持領域よりも大きく、かつ略一定の断面積で延び、体積が10.5〜12.5cmの範囲になるように形成される第2把持領域とからなることを特徴とする歯ブラシが提供される。前記歯ブラシは示指握り内径が41mm以上の範囲の使用者向けであればよい。前記第2把持領域は、前記一方向に向けてその長さが55〜85mmの範囲になるように形成されていればよい。
これら第1把持領域は、前記一方向に向けてその長さが30〜50mmの範囲になるように形成されていればよい。
また、本発明によれば、ブラシ毛が植設されたヘッド部と、前記ヘッド部から一方向に向けて細長く延びる把持部とからなる歯ブラシを収納する歯ブラシパッケージであって、前記歯ブラシパッケージには前記把持部の体積が異なる数種類の歯ブラシのうちの1種類が選択的に収容され、前記歯ブラシパッケージの外面には、示指握り内径と収容した歯ブラシとの好適な把持容易性の関係が表示されていることを特徴とする歯ブラシパッケージが提供される。
本発明の歯ブラシによれば、第2把持領域の体積や断面形状を、使用者の手の大きさに合わせて最適化することより、把持部の下部を支える中指、薬指、小指と手の平で囲まれた部分にフィットしやすくなる。これにより、ブラッシング時に手の小さい人の前腕部や手部の筋負担を低減し、かつ歯垢を効率的に除去できるような把持部を形成することが可能になった。
また、第1把持領域の長さを30〜50mmの範囲に形成することによって、変曲部が使用者の中指における第1及び第2関節にひっかかることによって、親指と人差し指が自由に動きやすくなり、その結果、ヘッド部の方向性を定めるために把持部を挟み込んだり、回転させたりすることが容易にできるようになり、歯垢の除去を容易にすることが可能になる。
以下、本発明の歯ブラシの実施の形態について記載するにあたって、まず、本発明に重要な示指握り内径について説明する。示指握り内径とは、人間の手の大きさを示す1つの指標である。こうした人間の手の大きさに応じて歯ブラシの把持部形状を変更することにより、歯垢の除去特性を好ましく保つことを見出した。示指握り内径は、「独立行政法人 産業技術総合研究所 生命工学工業技術研究所」において刊行された「研究報告書:第二巻第一号(1994)p141 握り内径(示指)」の記載により定義されるものであり、本発明の特許請求の範囲、および明細書における「示指握り内径」という語句は、上記研究報告書に記載の定義によるものとする。
この示指握り内径とは、人間の手の親指の先端と人差指の先端とを接触させるように、指でO字型を作った際に、この親指と人差指とで形成されるO字型の内径である。こうした示指握り内径によって、複雑な形状の人間の手の大きさを比較できるように定義したものである。以下に記載する本発明の実施形態、実施例においては、示指握り内径に応じて、大人の手の大きさを次に示す3つに分類している。
1.「手が小さな人」: 示指握り内径38mm未満
2.「手が中程度の人」:示指握り内径38〜41mmの範囲
3.「手が大きな人」: 示指握り内径41mm以上
(手の大きさが小さい人向けの歯ブラシ)
図1は、本発明の歯ブラシの第1の実施形態を示す平面図である。この第1の実施形態に示す歯ブラシは、手の小さな人、即ち示指握り内径38mm未満の人に好適な歯ブラシである。歯ブラシ10は、多数の刷毛13が植設されたヘッド部(植毛部)11と、このヘッド部11から一方向Yに向かって細長く延びる把持部(グリップ部)12からなる。こうしたヘッド部11と把持部12とは、例えば樹脂の射出成形によって一体に形成される。
ヘッド部11に植設される刷毛13の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12などのポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、および、ポリフッ化ビニリデンなどのポリハロゲン化ビニル等の溶融紡糸できる素材が利用されるが、使用感、耐久性等の点で、ナイロンが好ましい。
ヘッド部11に植設される刷毛13は、植毛穴径面積に対する刷毛の断面積の合計の割合が65〜85%になるようにするとよい。これにより、刷毛とヘッド部11との摩擦抵抗を小さく保ち、毛抜けという現象が起きにくく、植毛時の衝撃による植毛穴周辺のクラックの発生が無く好ましい。なお、これら歯ブラシ10の刷毛13の植毛部仕様については、上述した範囲に限定されるものではなく、任意の穴径、穴数、穴配置であればよく、また、穴形状が、丸穴、四角穴、長方形穴、楕円のいずれでも良い。
植毛部のサイズとして長さが、15mmから24mmくらいの卵型、略4角型、楕円等でコンパクトな大きさが、丁寧に歯を磨くには適しており好ましい。また、刷毛13の長さ(毛丈け)については、6mmから12mmのものがよく利用され、大人用には、より好ましくは8mmから10mmの長さの刷毛が使用感も良好で広く利用されている。
さらに、刷毛13の太さとしては、5ミル(1ミルは1000分の1インチ)から14ミルのものが利用され、大人用には、より好ましくは8ミルから11ミル、子供用には、より好ましくは6ミルから8ミルの刷毛が使用感も良く、また耐久性に優れており広く利用されている。
ヘッド部11は、後述するネック領域12aが把持部12と平行のストレート形状ならば上方に傾いている方が奥歯まで刷掃しやすく、ネック領域12aが上方に傾いているストレート形状か、上方に湾曲している形状ならば、ネック領域12aの延長接線方向に接合されているほうが、奥歯や不揃いな口腔内が磨きやすい。こうしたヘッド部11の長さH1は20〜30mmになるように形成するのが好ましい。
把持部12は、ヘッド部11と同じ樹脂で、射出成形によって一体に形成されていればよい。また、硬質な樹脂の周囲にエラストマーなどの柔軟な樹脂を巻きつけた2色成形などであってもよい。ヘッド部11や把持部12の構成材料としては、例えば、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、セルロースプロピオネート樹脂(CP)、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、等の素材を単独又は、混合して利用されるが、成形性、コスト等の点で、ポリプロピレンが特に好ましい。
把持部12は、ヘッド部11から一方向Yに向けてその断面積が漸増するネック領域12aと、このネック領域12aに連なり、一方向Yに向けて略一定の断面積で延びる第1把持領域12bと、この第1把持領域12bに連なり、一方向Yに向けて、第1把持領域12bよりも小さく、かつ略一定の断面積で延びる第2把持領域12cとからなる。また、第1把持領域12bと第2把持領域12cとを繋ぐ部分は変曲部12dとされる。これらヘッド部11、ネック領域12a、第1把持領域12b、第2把持領域12cおよび変曲部12dは、一体に形成されている。
ネック領域12aは、把持部12と平行のストレート形状、上方に傾いているストレート形状、上方に湾曲している形状が刷掃のしやすさの点では良い。ネック領域12aの長さN1は、成人歯列の奥歯まで無理なく刷毛が届くように、40〜60mmに形成されるのが好ましい。
この手の小さな人向けの歯ブラシ10では、第1把持領域12bの長さA1が30〜50mmの範囲、好ましくは35〜45mmの範囲に形成されるとともに、第2把持領域12cの長さA2が45〜75mmの範囲に形成される。また、第1把持領域12bの断面(図1中のD1−D1断面参照)は、略円形とされ、直径R1が15mm程度に形成される。
また、第2把持領域12cの断面(図1中のD2−D2断面参照)は、略楕円形とされ、長辺R2が10mm程度、短辺R3が8mm程度に形成される。こうした第2把持領域12cは、その体積が2.5〜4.5cmの範囲、好ましくは3〜4cmの範囲になるように形成される。また、変曲部12dは、第1把持領域12bと第2把持領域12cとの幅10mm程度の間で、第1把持領域12bに対する第2把持領域12cの断面幅の比率が0.8以下になるように曲率を変化させた部分である。
把持部12の各部分の形状を上述したような範囲に形成することによって、歯ブラシ10をパームグリップ(手のひらで把持部を包むように握る歯ブラシの一般的な握り方)で把持した際に、把持部12の操作性が格段に向上し、ブラッシング時の腕や手の筋肉の負担が大幅に減少し疲れにくい歯ブラシとなる。これは、第1把持領域12bの長さA1を30〜50mmの範囲に形成することによって、変曲部12dが使用者の中指における第1及び第2関節にひっかかることによって、親指と人差し指が自由に動きやすくなり、その結果、ヘッド部11の方向性を定めるために把持部12を挟み込んだり、回転させたりすることが容易にできるようになるからである。
本発明者らはこれらを検証するために、第1把持領域と第2把持領域との間に形成される変曲部の位置、すなわち第1把持領域12bの長さの異なる把持部を用いて、筋電図による持ちやすさの検討を行った結果、使用者の手の大きさにかかわらず、変曲部12dの位置、すなわち第1把持領域12bの長さを30〜50mmの範囲、好ましくは35〜45mmの範囲に設定することによって、ブラッシング時に使用者の前腕部や手部の筋負担を低減させることができることを立証した。
一方、把持部12の第2把持領域12cが長さA2を45〜75mmの範囲になり、かつ第2把持領域12cの体積が2.5〜4.5cmの範囲、好ましくは3〜4cmの範囲になるように形成することにより、手の小さい人、即ち示指握り内径38mm未満の使用者が、把持部12の下部を支える中指、薬指、小指と手の平で囲まれた部分にフィットしやすくなる。これにより、ブラッシング時に手の小さい人の前腕部や手部の筋負担を低減し、かつ歯垢を効率的に除去できるような把持部12を形成することが可能になった。
また、第2把持領域12cの断面(図1中のD2−D2断面参照)を略楕円形とし、その長辺R2が10mm程度、短辺R3が8mm程度になるように形成することによって、手の小さい人の手指を自然肢位とした時に、筋負担が最小となることが明らかになった。これにより、把持部12への手の小さい人のフィット性が高められ、ブラッシング中の把持部12のブレがなくなり、安定的にブラッシングでき、歯垢除去能力を高めることが可能になった。
(手の大きさが中程度の人向けの歯ブラシ)
図2は、本発明の歯ブラシの第2の実施形態を示す平面図である。この第2の実施形態に示す歯ブラシは、手の大きさが中程度の人、即ち示指握り内径38〜41mmの範囲の人に好適な歯ブラシである。なお、各部分の材質等、第1の実施形態と同様の構成は説明を略す。歯ブラシ20は、多数の刷毛23が植設されたヘッド部(植毛部)21と、このヘッド部21から一方向Yに向かって細長く延びる把持部(グリップ部)22からなる。こうしたヘッド部21と把持部22とは、例えば樹脂の射出成形によって一体に形成される。
把持部22は、ヘッド部21から一方向Yに向けてその断面積が漸増するネック領域22aと、このネック領域22aに連なり、一方向Yに向けて略一定の断面積で延びる第1把持領域22bと、この第1把持領域22bに連なり、一方向Yに向けて、第1把持領域22bよりも小さく、かつ略一定の断面積で延びる第2把持領域22cとからなる。また、第1把持領域22bと第2把持領域22cとを繋ぐ部分は変曲部22dとされる。これらヘッド部21、ネック領域22a、第1把持領域22b、第2把持領域22cおよび変曲部22dは、一体に形成されている。
ネック領域22aは、把持部22と平行のストレート形状、上方に傾いているストレート形状、上方に湾曲している形状が刷掃のしやすさの点では良い。ネック領域22aの長さN1は、成人歯列の奥歯まで無理なく刷毛が届くように、40〜60mmに形成されるのが好ましい。
この手が中程度の人向けの歯ブラシ20では、第1把持領域22bの長さA1が30〜50mmの範囲、好ましくは35〜45mmの範囲に形成されるとともに、第2把持領域22cの長さA2が50〜80mmの範囲に形成される。また、第1把持領域22bの断面(図2中のD1−D1断面参照)は、略円形とされ、直径R1が15mm程度に形成される。
また、第2把持領域22cの断面(図2中のD2−D2断面参照)は、略楕円形とされ、長辺R2が12mm程度、短辺R3が10mm程度に形成される。こうした第2把持領域22cは、その体積が4.5〜6.5cmの範囲、好ましくは5〜6cmの範囲になるように形成される。また、変曲部22dは、第1把持領域22bと第2把持領域22cとの幅10mm程度の間で、第1把持領域22bに対する第2把持領域22cの断面幅の比率が0.8以下になるように曲率を変化させた部分である。
このように、把持部22の第2把持領域22cが長さA2が50〜80mmの範囲になり、かつ第2把持領域22cの体積が4.5〜6.5cmの範囲、好ましくは5〜6cmの範囲になるように形成することにより、手の大きさが中程度の人、即ち示指握り内径38〜41mmの範囲の使用者が、把持部22の下部を支える中指、薬指、小指と手の平で囲まれた部分にフィットしやすくなる。これにより、ブラッシング時に手の大きさが中程度の人の前腕部や手部の筋負担を低減し、かつ歯垢を効率的に除去できるような把持部22を形成することが可能になった。
また、第2把持領域22cの断面(図2中のD2−D2断面参照)を略楕円形とし、その長辺R2が12mm程度、短辺R3が10mm程度になるように形成することによって、手が中程度の人の手指を自然肢位とした時に、筋負担が最小となることが明らかになった。これにより、把持部22への手の大きさが中程度の人のフィット性が高められ、ブラッシング中の把持部22のブレがなくなり、安定的にブラッシングでき、歯垢除去能力を高めることが可能になった。
(手の大きさが大きい人向けの歯ブラシ)
図3は、本発明の歯ブラシの第3の実施形態を示す平面図である。この第3の実施形態に示す歯ブラシは、手の大きさが大きい人、即ち示指握り内径41mm以上の人に好適な歯ブラシである。なお、各部分の材質等、第1の実施形態と同様の構成は説明を略す。歯ブラシ30は、多数の刷毛33が植設されたヘッド部(植毛部)31と、このヘッド部31から一方向Yに向かって細長く延びる把持部(グリップ部)32からなる。こうしたヘッド部31と把持部32とは、例えば樹脂の射出成形によって一体に形成される。
把持部32は、ヘッド部31から一方向Yに向けてその断面積が漸増するネック領域32aと、このネック領域32aに連なり、一方向Yに向けて略一定の断面積で延びる第1把持領域32bと、この第1把持領域32bに連なり、一方向Yに向けて、第1把持領域32bよりも大きく、かつ略一定の断面積で延びる第2把持領域32cとからなる。また、第1把持領域32bと第2把持領域32cとを繋ぐ部分は変曲部32dとされる。これらヘッド部31、ネック領域32a、第1把持領域32b、第2把持領域32cおよび変曲部32dは、一体に形成されている。
ネック領域32aは、把持部32と平行のストレート形状、上方に傾いているストレート形状、上方に湾曲している形状が刷掃のしやすさの点では良い。ネック領域32aの長さN1は、成人歯列の奥歯まで無理なく刷毛が届くように、40〜60mmに形成されるのが好ましい。
この手が大きいの人向けの歯ブラシ30では、第1把持領域32bの長さA1が30〜50mmの範囲、好ましくは35〜45mmの範囲に形成されるとともに、第2把持領域32cの長さA2が55〜85mmの範囲に形成される。また、第1把持領域22bの断面(図3中のD1−D1断面参照)は、略円形とされ、直径R1が13mm程度に形成される。
また、第2把持領域32cの断面(図3中のD2−D2断面参照)は、略楕円形とされ、長辺R2が16mm程度、短辺R3が15mm程度に形成される。こうした第2把持領域32cは、その体積が10.5〜12.5cmの範囲、好ましくは11〜12cmの範囲になるように形成される。また、変曲部32dは、第1把持領域32bと第2把持領域32cとの幅10mm程度の間で、第1把持領域32bに対する第2把持領域32cの断面幅の比率が1.2以上になるように曲率を変化させた部分である。
このように、把持部32の第2把持領域32cが長さA2が55〜85mmの範囲になり、かつ第2把持領域32cの体積が10.5〜12.5cmの範囲、好ましくは11〜12cmになるように形成することにより、手の大きさが大きいの人、即ち示指握り内径41mm以上の使用者が、把持部32の下部を支える中指、薬指、小指と手の平で囲まれた部分にフィットしやすくなる。これにより、ブラッシング時に手が大きいの人の前腕部や手部の筋負担を低減し、かつ歯垢を効率的に除去できるような把持部32を形成することが可能になった。
また、第2把持領域32cの断面(図3中のD2−D2断面参照)を略楕円形とし、その長辺R2が16mm程度、短辺R3が15mm程度になるように形成することによって、手が大きい人の手指を自然肢位とした時に、筋負担が最小となることが明らかになった。これにより、把持部32への手の大きい人のフィット性が高められ、ブラッシング中の把持部32のブレがなくなり、安定的にブラッシングでき、歯垢除去能力を高めることが可能になった。
図4は、本発明の歯ブラシパッケージを示す外観斜視図である。歯ブラシパッケージ50は、例えば外形が細長い矩形の箱体51と、この箱体51に収容される歯ブラシ52とからなる。歯ブラシ52は、上述した実施の形態1〜3に示すような、人の手の大きさの指標である示指握り内径に応じて形状を変えた把持部を有するものであればよい。
箱体51は、例えば表面が樹脂ラミネートされた紙で形成されていればよい。箱体51には、例えば収容物である歯ブラシ52が外部から視認できる透明フィルムを貼り付けた窓部53が形成され、上部には吊るして陳列するための吊下げ用タブ54が一体に形成されている。
箱体51の外面、例えば前面には、例えばサイズを3段階に分類した示指握り内径を示す3つの円など、示指握り内径表示55a〜55cが印刷されている。また、箱体51の外面には、示指握り内径を計るためのスケール56も印刷されている。そして、この箱体51に収容されている歯ブラシ51の手の大きさによる種類と、示指握り内径表示55a〜55cとを関係させる内容物の種類表示マーク57が印刷されている。
即ち、図4に示す歯ブラシパッケージ50では、箱体51に収容されている歯ブラシは、示指握り内径表示55cに相当する、手の大きい人用の歯ブラシであることを示している。このような歯ブラシパッケージの購入者は、販売店の陳列棚などで、手の親指の先端と人差指の先端とを接触させるように指でO字型を作って、この示指握り内径表示55a〜55cに重ねてみて、一番近いか合致する示指握り内径表示を見出すことで、購入者自身の示指握り内径による手のサイズの分類を容易に知ることができる。また、スケール56によっても示指握り内径を計ることができる。そして、購入者は、判明した示指握り内径による手のサイズに対応する最適な把持容易性を有する歯ブラシを選択購入することができるようになる。
なお、こうした示指握り内径表示55a〜55cやスケール56などの表示は、箱体51の前面に限らず、例えば箱体の背面や側面など、歯ブラシパッケージのデザインに応じて任意の位置に表示することができ、表示位置を限定されるものではない。
本発明者は、上述した歯ブラシの効果を検証した。まず、図1〜3に示す歯ブラシの第1把持領域について、使用者の筋負担が小さくなるような最適な長さを検証した。検証にあたっては、変曲部を挟んで第1把持領域と第2把持領域とから構成される把持部を用いてブラッシング時の筋電図を測定した。検証条件を以下に列記する。
1.被験者:手の小さい人 n=6 手の中程度人 n=7 手の大きい人 n=7
2.把持部形状: 断面円形の第1把持領域と第2把持領域を滑らかな曲面(変曲部)でつないた把持部とした。第1把持領域の断面直径は15mm、第2把持領域の断面直径は12.5mmとし、把持部全体で110mmの長さとした。そして、第1把持領域が3種類の長さのものを作成した。
本発明品:第1把持領域の長さ40mm
比較例1:第1把持領域の長さ70mm
比較例2:第1把持領域の長さ85mm
3.被験筋:尺側手根屈筋
4.刷掃部位および時間:口腔内4部位(図5参照)、各5秒間
5.把持部の持ち方:パームグリップ
6.刷掃方法:スクラブ法
7.刷掃圧:歯ブラシのネック部に歪ゲージを貼り付け、被験者がブラッシング時に刷掃圧をリアルタイムでモニターに表示できるシステムを採用し、被験者はモニターを見ながら刷掃圧を200〜300gとなるように統制した。
8.解析:測定した筋電位を被験者ごとに標準化し、把持部変曲点位置を独立変数、標準化筋電位を従属変数とする一元配置図分散分析を行った。
以上のような条件での実施例1の検証結果を表1に示す。
Figure 0004767637
表1に示す結果から、把持部の第1把持領域の長さを40mmにした本発明例が最も使用者の筋負担が小さくなる形状であることが確認された。
次に、実施例2として、図1〜3に示す歯ブラシの第2把持領域について、使用者の筋負担が小さくなるような最適な断面形状を検証した。検証にあたっては、変曲部を挟んで第1把持領域と第2把持領域とから構成される把持部を用いてブラッシング時の筋電図を測定した。検証条件を以下に列記する。
1.被験者:手の小さい人 n=6 手の中程度人 n=7 手の大きい人 n=7
2.把持部形状: 断面円形の第1把持領域と第2把持領域を滑らかな曲面(変曲部)でつないた把持部とした。第1把持領域は断面円形とし、その断面直径は、手が小さい人および手が中程度の人は15mm、手が大きな人は12.5mmとした。また第1把持領域の長さは40mmとした。そして、第2把持領域の断面形状を図6に示すような各形状に形成したサンプルを用意した。
3.被験筋、刷掃部位および時間、持ち方、刷掃方法、刷掃圧は実施例1に準じた。
4.解析:ブラッシング時の3筋の筋電位を測定し、被験者、筋肉ごとに標準化をおこない、把持部断面長さを独立変数、標準化筋電位を従属変数とする2次回帰分析を行い、有意な2次回帰曲線が得られた場合に、回帰曲線より筋負担が最小となる把持部幅を算出した。
以上のような条件での実施例2の検証結果に関し、手の小さい被験者において、2次回帰分析で有意な2次回帰線が得られた2筋の解析結果例を図7に示す
次に、実施例3として、図1〜3に示す歯ブラシの第1把持領域について、使用者の筋負担が小さくなるような最適な長さを実施例1とは別に検証した。検証にあたっては、変曲部を挟んで第1把持領域と第2把持領域とから構成される把持部を用いてブラッシング時の筋電図を測定した。検証条件を以下に列記する。
1.被験者:手の小さい人 n=6 手の中程度人 n=7 手の大きい人 n=7
2.把持部形状: 断面円形の第1把持領域と第2把持領域を滑らかな曲面(変曲部)でつないた把持部とした。第1把持領域の断面直径は15mm、第2把持領域の断面直径は12.5mmとし、把持部全体で110mmの長さとした。そして、第1把持領域が7種類の長さのものを作成した。
本発明品1:第1把持領域の長さ35mm
本発明品2:第1把持領域の長さ40mm
本発明品3:第1把持領域の長さ45mm
比較例1:第1把持領域の長さ25mm
比較例2:第1把持領域の長さ55mm
比較例3:第1把持領域の長さ70mm
比較例4:第1把持領域の長さ85mm
3.被験筋:尺側手根屈筋
4.刷掃部位および時間:口腔内4部位(図5参照)、各5秒間
5.把持部の持ち方:パームグリップ
6.刷掃方法:スクラブ法
7.刷掃圧:歯ブラシのネック部に歪ゲージを貼り付け、被験者がブラッシング時に刷掃圧をリアルタイムでモニターに表示できるシステムを採用し、被験者はモニターを見ながら刷掃圧を200〜300gとなるように統制した。
8.解析:測定した筋電位を被験者ごとに標準化し、把持部変曲点位置を独立変数、標準化筋電位を従属変数とする一元配置図分散分析を行った。
以上のような条件での実施例3の検証結果を表2に示す。
Figure 0004767637
表2に示す結果から、把持部の第1把持領域の長さを40mmにした本発明例が、手の大きさが小さい人から大きな人までいずれの使用者も筋負担が小さくなる形状であることが確認された。
次に、実施例4として、把持部の第1把持領域の長さおよび断面形状、第2把持領域の断面形状と体積についていくつか変えて形成した歯ブラシについて、持ちやすさを検証した検証結果を表3に示しておく。
Figure 0004767637
図1は、本発明の歯ブラシの第1の実施形態をを示す平面図である。 図2は、本発明の歯ブラシの第2の実施形態をを示す平面図である。 図3は、本発明の歯ブラシの第3の実施形態をを示す平面図である。 図4は、本発明の歯ブラシパッケージの実施形態をを示す外観斜視図である。 図5は、本発明の検証に関する説明図である。 図6は、本発明の検証に関する説明図である。 図7は、本発明の検証結果を示すグラフである。
符号の説明
10,20,30 歯ブラシ
11 ヘッド部
12 把持部
12a,22a,32a ネック領域
12b,22b,32b 第1把持領域
12c,22c,32c 第2把持領域

Claims (8)

  1. ブラシ毛が植設されたヘッド部と、前記ヘッド部から一方向に向けて細長く延びる把持部とからなる歯ブラシであって、
    前記把持部は、前記ヘッド部との境から前記一方向に向けて断面積が漸増するネック領域と、このネック領域に連なり、前記一方向に向けて略一定の断面積で延びる第1把持領域と、この第1把持領域に滑らかな曲面を介して連なり、前記一方向に向けて、前記第1把持領域よりも小さく、かつ略一定の断面積で延び、体積が2.5〜4.5cmの範囲になるように形成される第2把持領域とからなることを特徴とする歯ブラシ。
  2. 前記歯ブラシは示指握り内径が38mm未満の範囲の使用者向けであることを特徴とする請求項1記載の歯ブラシ。
  3. 前記第2把持領域は、前記一方向に向けてその長さが45〜75mmの範囲になるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ。
  4. ブラシ毛が植設されたヘッド部と、前記ヘッド部から一方向に向けて細長く延びる把持部とからなる歯ブラシであって、
    前記把持部は、前記ヘッド部との境から前記一方向に向けて断面積が漸増するネック領域と、このネック領域に連なり、前記一方向に向けて略一定の断面積で延びる第1把持領域と、この第1把持領域に滑らかな曲面を介して連なり、前記一方向に向けて、前記第1把持領域よりも小さく、かつ略一定の断面積で延び、体積が4.5〜6.5cmの範囲になるように形成される第2把持領域とからなることを特徴とする歯ブラシ。
  5. 前記歯ブラシは示指握り内径が38〜41mmの範囲の使用者向けであることを特徴とする請求項4に記載の歯ブラシ。
  6. 前記第2把持領域は、前記一方向に向けてその長さが50〜80mmの範囲になるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の歯ブラシ。
  7. 前記第1把持領域は、前記一方向に向けてその長さが30〜50mmの範囲になるように形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の歯ブラシ。
  8. 請求項2又は5に記載の歯ブラシが、箱体に収容された歯ブラシパッケージであって、
    前記箱体の外面には、示指握り内径と収容した歯ブラシとの好適な把持容易性の関係が表示されていることを特徴とする歯ブラシパッケージ。
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