まず、本発明の概要について説明する。
図1は、本発明が適用された情報管理システムによる処理の概念図であり、本発明におけるリライタブルメディアのライフサイクルを示す。
本発明は、媒体の個体を識別する手段と、媒体に書き込まれた情報を取得する手段とを用いて、その媒体、その媒体に表された情報に関連する電子情報、その媒体への書込み、及び媒体の状態が変更された時間を対応付けて管理する。本発明で管理される電子情報は、媒体に表された情報そのものの他、媒体に表された情報に関連する付加コンテンツを含む。
まず、一意に識別可能な識別子(媒体ID)が付与された媒体1が生成される。この媒体1は、表面に文字等が印刷及び消去可能である(1)。この媒体は、媒体を一意に識別することができる。例えば、この媒体には、デジタルペンによって認識可能なドットパターンが付された紙を用いることができる。また、読取装置によって識別子を読み出し可能な無線タグを用いることができる。また、紙に印刷された二次元バーコードを用いることができる。
さらに、媒体上に印刷された情報の印刷及び消去方法としては、ロイコ染料を用いて、加熱後の冷却スピードによって発色、消色を切り替える技術を用いることができる。また、加熱によって発色剤と色素との結合を切断し、消色剤と色素とを結合させることによって、発色から消色へ切り替える消えるインク(例えば、e−blue)を用いることができる。
本実施例では、媒体IDの取得手段としてデジタルペンを用いる。デジタルペンを用いた場合、デジタルペンで取得した媒体上のドットパターンの識別子(ドットパターンID)を媒体IDとすることができる。
その後、生成された媒体上に何らかの情報が印刷される。その際、媒体1(媒体ID)と媒体に印刷された内容と関連する電子情報(例えば、印刷元のファイル、付加コンテンツ)とがリンクされる(2)。情報が印刷された媒体1は、図2に示すように、例えば、ラベルとして商品2に貼付され、商品の識別に用いられる。
その後、流通過程で、デジタルペン14を用いて媒体に触れることによって媒体IDを取得し、取得した媒体IDに基づいてサーバに問い合わせ、リンクされている電子情報を取得する(3)。このとき、操作者が電子情報を取得する権限があるかを確認した後、電子情報を提供してもよい。操作者は取得した電子情報と、媒体上に印刷された情報を照合することによって、媒体に印刷された情報が真正であることを確認することができる。
さらに、デジタルペン14を用いて媒体上に情報を書き込むと、書き込まれた情報が電子情報に更新される(4)。情報の書込時も、操作者が電子情報を取得する権限があるかを確認した後、書き込まれた情報を電子情報に更新する。
さらに、媒体上に印刷された情報及び書き込まれた情報を消去すると、媒体は再利用可能な状態になる。その際、媒体IDと電子情報とのリンクを切断する(5)。情報が消去され、電子情報とのリンクが切断された媒体は、(2)において、再度、情報を印刷して使用することができる。
さらに、媒体が、多数回、書込及び消去されると、媒体上の情報がきれいに消去できなくなることから、媒体が廃棄される。その際、媒体が廃棄されたことが記憶される(6)。
すなわち、本発明では、媒体に印刷がされた時刻(2)から媒体から情報が消去された時刻(5)の間、媒体IDと媒体に表された情報に関係する電子情報がリンクされている。
換言すると、本発明の一実施の形態では、例えば、デジタルペン及びドットパターンのような媒体を識別する手段を用いて、媒体と媒体に表された情報に関係する電子情報とを対応付けて管理する。さらに、手書き情報取得手段を用いて、媒体と媒体へ書き込まれた情報とを対応付けて管理する。そして、媒体に情報が印刷されると、媒体と電子情報とがリンクする。また、媒体から情報が消去されると、媒体と電子情報とのリンクが解除される。
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図3は、第1の実施の形態の情報管理システムの構成を示すブロック図である。
第1の実施の形態の情報管理システムは、サーバ11、クライアント端末12、デジタルペン14、ネットワーク18及び位置情報サーバ19を備える。
サーバ11、クライアント端末12及び位置情報サーバ19は、ネットワーク18を介して互いに接続されている。クライアント端末12とデジタルペン14は、ブルートゥース、無線LAN、携帯電話システム又は赤外線等の無線によって接続される。また、USB(Universal Serial Bus)等のプロトコルを用い有線によって接続されてもよい。
サーバ11は、媒体に関する情報を管理し、媒体に関する情報をクライアント端末12に提供する。サーバ11は、計算部111、データ通信部112及びデータ管理部113を備える。計算部111は、CPU及びメモリを備える。CPUは、各種プログラムを呼び出して実行することによって、サーバ11で実行される処理に関する演算をする。
データ管理部113は、不揮発性の記憶媒体(例えば、磁気ディスクドライブ)で構成されており、計算部111で実行される各種プログラムを格納する。また、記憶部113は、タグID・オブジェクトID対応表21(図4参照)、オブジェクト情報22(図5参照)、印刷情報23(図6参照)、付加内容情報24(図7参照)、ユーザ情報25A等(図8参照)、履歴情報26(図9参照)及びストローク情報27(図11B参照)を格納する。
データ通信部112は、ネットワークインターフェースを含む。ネットワークインターフェースは、例えば、TCP/IPプロトコルを用いて通信可能なLANカードである。サーバ11は、ネットワークインターフェースによって、クライアント端末12等のネットワーク18に接続された機器と通信することができる。
クライアント端末12は、ユーザが使用するコンピュータ装置で、デジタルペン14から受信した情報をサーバ11に転送する。クライアント端末12には、印刷装置13が接続されている。
クライアント端末12は、計算部121、データ通信部122、ペン入力部(図示省略)、操作入力部(図示省略)及びデータ表示部(図示省略)を備える。計算部121は、CPU及びメモリを備える。CPUは、各種プログラムを呼び出して実行することによって、クライアント端末12で実行される処理に関する演算をする。
データ通信部122は、ネットワークインターフェースである。例えば、TCP/IPプロトコルを用いて通信可能なLANカードである。これによって、クライアント端末12はネットワーク18を介してサーバ11と通信することができる。
ペン入力部は、無線(例えば、ブルートゥース、無線LAN)又は有線(例えば、USB)によってデジタルペン14と接続され、デジタルペン14が取得した座標等の情報を収集する。なお、ペン入力部は、データ通信部122と同じインターフェースであってもよい。
操作入力部は、例えば、キーボードであり、ユーザによって情報が入力される。データ表示部は、例えば、液晶ディスプレイであり、サーバ11から取得した媒体に関する情報を表示する。
印刷装置13は、クライアント端末12からの指示によって、媒体に所定のドットパターンを含む情報を印刷する。この情報が印刷された媒体は、図2に示すように、商品に貼付するラベルとして使用される。
デジタルペン14は、通常のペンと同様に、紙媒体に文字、図形等を記入することができる。また、デジタルペン14は、先端に小型カメラを備え、紙に印刷されたドットパターンの画像情報を取得する。また、デジタルペン14は、予め設定されたペンIDを保持する。また、デジタルペン14は、無線又は有線によってクライアント端末12と接続する通信インターフェースを備える。
例えば、図10に示すように、デジタルペン14は、書類に印刷されたドットパターン情報を取得する。このドットパターン情報からドットパターン空間における座標を計算することができる。そして、位置情報サーバ19を参照することによって、デジタルペン14が取得したドットパターン情報から紙面上の座標を特定することができる。
なお、デジタルペン14は、クライアント端末12を介さず、携帯電話システム又は無線LANシステムを介して、特定した絶対座標、ドットパターンを取得した時刻及びペンIDを、直接サーバ11に送信することもできる。
位置情報サーバ19は、CPU、メモリ、記憶装置等を備えたコンピュータ装置であり、デジタルペン14によって計算されたドットパターン空間の絶対座標と、紙面上の座標とを対応づけたデータベースを保持しており、紙面上のドットパターンに基づいて、紙面上の座標を提供する。
図4は、第1の実施の形態のタグID・オブジェクトID対応表21の構成図である。
タグID・オブジェクトID対応表21は、媒体と媒体に表された情報との関係、及び、媒体の状態を記憶する情報で、サーバ11のデータ管理部112に格納されている。タグID・オブジェクトID対応表21は、タグID211及び使用オブジェクトID212を含む。
タグID211は、媒体の一意な識別子である。使用オブジェクトID212は、媒体に表された情報の一意な識別子である。オブジェクトIDで識別される情報の属性は、オブジェクト情報22に記録されている。オブジェクトIDを用いると、媒体の表面に印刷された情報が特定できる他、媒体の表面に印刷された情報に関連する付加内容(図7参照)も特定することができる。
また、使用オブジェクトID212には、媒体の状態(「廃棄」、「未使用」)も記憶される。
すなわち、使用オブジェクトID212が「廃棄」であれば、このタグIDの媒体は物理的に廃棄されている。よって、同じタグIDを持つ媒体を新たに作成することによって、このタグIDを再び使用することができる。本実施の形態では、媒体が破棄されてもタグIDを削除しないが、破棄されたタグIDのデータを削除してもよい。
また、使用オブジェクトID212が「未使用」であれば、このタグは存在しているのが、使用されていない。具体的には、媒体が作成されて一度も使用されていない場合、又は、過去に使用されたが、情報が消去されることによって、使用オブジェクトIDが消去された場合である。
タグID・オブジェクトID対応表21に表されたタグID211と使用オブジェクトID212とによって、媒体と媒体に表された情報との関係が分かる。そして、タグID211と使用オブジェクトID212とは、同時には1対1の関係にある。すなわち、同じタグIDを保有する媒体は複数は存在せず、同じオブジェクトIDと関連付けられるタグは、同時に一つしか存在しない。
そして、媒体の表面に情報が印刷されることによって、タグID211とオブジェクトID212とがリンクされる。また、印刷された情報が媒体から消去されることによって、また、情報が印刷された媒体が廃棄されることによって、タグID211とオブジェクトID212とのリンクが解除される。
よって、後述する読出処理(図13)、書込処理(図14)及び消去処理(図15)において、タグID211からオブジェクトID212を特定して、他の情報(オブジェクト情報22(図5)、印刷情報23(図6)、付加内容情報24(図7)、ユーザ情報25(図8)、履歴情報26(図9)及びストローク情報27(図11B))を探すので、タグID・オブジェクトID対応表21においてタグID211及び使用オブジェクトID212がリンクされていなければ、これらの情報を探すことができない。タグID・オブジェクトID対応表21は、現時刻における、タグID211と使用オブジェクトID212とのリンク関係を保持する。よって、既に、タグIDと使用オブジェクトIDとのリンクが解除されていれば、後述するオブジェクト情報22を参照して、これらの情報を探す必要がある。
図5は、第1の実施の形態のオブジェクト情報22の構成図である。
オブジェクト情報22は、オブジェクトの属性を記憶する情報で、サーバ11のデータ管理部112に格納されている。オブジェクト情報22は、オブジェクトID220、タグID221、開始日時222、終了日時223、作成ユーザID224A、読出ユーザID224B、書込ユーザID224C、印刷ID225、付加内容ID226、ストロークID227及び履歴ID228を含む。
オブジェクトID220は、媒体に表された情報の一意な識別子である。タグID221は、当該オブジェクトIDで識別される情報が表された媒体の一意な識別子である。オブジェクトID220とタグID221には、タグID・オブジェクトID対応表21に記録された使用オブジェクトID212とタグID211のペアと同じペアが記録される。
開始日時222は、当該オブジェクトIDで識別される情報が媒体に印刷された日時である。終了日時223は、当該オブジェクトIDで識別される情報が媒体から消去された日時である。すなわち、開始日時222から終了日時223の間が、当該オブジェクトIDで識別される情報が媒体に表されている有効期間である。
作成ユーザID224Aは、当該オブジェクトIDで識別される情報を媒体に印刷したユーザの一意な識別子である。読出ユーザID224Bは、当該オブジェクトIDで識別される情報に関連する情報(付加内容等)を読むことが許されているユーザの一意な識別子である。書込ユーザID224Cは、当該オブジェクトIDで識別される情報の変更が許されているユーザの一意な識別子である。なお、この例では、読出ユーザID224B及び書込ユーザID224Cには、複数のユーザが登録されており、ユーザIDによって各処理に対する権限が異なる。
印刷ID225は、媒体の表面に印刷された情報の一意な識別子であり、印刷情報23(図6参照)へのリンクである。印刷ID225は、媒体に情報が上書き印刷される(印刷された情報を消去せずに更に情報を印刷する)と、記録される印刷IDが増加する。
付加内容ID226は、媒体の表面に印刷された情報に付随する付加内容の一意な識別子であり、付加内容情報24(図7参照)へのリンクである。
ストロークID227は、媒体の表面に手書きによって書き込まれた情報(ストロークセット)の一意な識別子であり、ストローク情報27(図11B参照)へのリンクである。ストロークID227は、媒体上に情報が書き込まれると、記録されるストロークIDが増加する。
ストロークセットは、一纏まりの線(ストローク)の集合であり、例えば、文字認識におけるレイアウト解析を用いて求められる。レイアウト解析では、線が記入された時間及び/又は線同士の位置関係に基づいて、一纏まりの線を特定し、ストロークセットを求める。すなわち、近い時間及び近い位置に記入されたストロークは一つのストロークセットを構成する。
履歴ID228は、当該オブジェクトIDで識別される情報が操作された履歴を示す履歴情報28(図9参照)へのリンクである。
図6は、第1の実施の形態の印刷情報23の構成図である。
印刷情報23は、媒体に印刷された内容に関する情報で、サーバ11のデータ管理部112に格納されている。印刷情報23は、印刷ID230、印刷日時231、印刷ユーザID232及び印刷内容233を含む。
印刷ID230は、媒体への印刷処理毎に定められる一意な識別子である。印刷日時231は、媒体への情報の印刷日時である。印刷ユーザID232は、当該媒体へ情報を印刷した者の一意の識別子である。印刷内容233は、当該媒体に印刷された内容の一意な識別子であり、印刷された電子データのファイル名である。
図7は、第1の実施の形態の付加内容情報24の構成図である。
付加内容情報24は、媒体に表された情報に付随する付加内容に関する情報で、サーバ11のデータ管理部112に格納されている。付加内容情報24は、付加内容ID240、付加日時241、付加ユーザID242及び付加データ243を含む。
付加内容ID240は、付加内容の一意な識別子である。付加日時241は、当該内容が付加された日時である。付加ユーザID242は、当該内容を付加した者の一意の識別子である。
付加データ243は、媒体に表された情報に付加された内容である。付加データは243は、媒体に印刷されていない内容であっても、媒体に印刷された内容と重複するものでもよい。
図8Aから図8Cは、第1の実施の形態のユーザ情報の構成図である。
ユーザ情報25A(図8A)は、本実施の形態の情報管理システムを使用するユーザに関する情報で、サーバ11のデータ管理部112に格納されている。ユーザ情報25Aは、ユーザID250A、ユーザ名251A、印刷装置ID252A及びペンID253Aを含む。
ユーザID250Aは、当該ユーザの一意な識別子である。ユーザ名251Aは、当該ユーザの氏名(又は、会社名)である。印刷装置ID252Aは、当該ユーザが使用する印刷装置13の一意な識別子である。ペンID253Aは、当該ユーザが保有するデジタルペン14の一意な識別子である。印刷装置ID252A及びペンID253Aは、複数が登録されてもよい。
以上では、ユーザ情報25Aについて説明したが、他のユーザ情報25B(図8B)及びユーザ情報25C(図8C)についても同様お項目によって構成され、サーバ11のデータ管理部112に格納されている。
本明細書では、3ユーザのユーザ情報25A、25B及び25Cを示す。例えば、”U0000123”で識別されるユーザは、媒体に情報を印刷した(ラベルを作成した)商品の生産者である。また、”U0000456”で識別されるユーザは、商品の流通業者である。また、”U0000789”で識別されるユーザは、商品の消費者である。
このとき、オブジェクト情報22を参照すると、ユーザ”U0000123”は、作成ユーザであることから、媒体に情報を印刷した(ラベルを作成した)者であることが分かる。また、ユーザ”U0000123”は、読出ユーザでありかつ書込ユーザであることから、付加内容の読出権限及び情報の書込権限を有する。
一方、ユーザ”U0000456”は、読出ユーザであるが、書込ユーザではないことから、付加内容の読出権限を有し、媒体への情報の書込及び付加内容の更新権限を有さない。さらに、ユーザ”U0000789”は、読出ユーザでありかつ書込ユーザであることから、付加内容の読出権限及び情報の書込権限を有する。
このように、ユーザ毎に読み出し、書き込みの権限を制限することによって、流通過程での情報の改変を防止することができる。すなわち、媒体に表示された情報が改変されていたとしても、ユーザは、媒体に表された情報に関連する電子情報を取得して、媒体に表示された情報を照合することによって、媒体に表された情報が真正であるかを確認することができる。
図9は、第1の実施の形態の履歴情報26の構成図である。
履歴情報26は、本実施の形態の媒体に対してなされた操作に関する情報で、媒体に何らかの操作がなされると生成される。履歴情報26は、サーバ11のデータ管理部112に格納されており、履歴ID260、操作日時261、操作ユーザID262、操作タグID263、操作オブジェクトID264、操作種類265、操作ID266及び操作結果267を含む。
履歴ID260は、操作の一意な識別子である。操作日時261は、この操作が成された日時である。操作ユーザID262は、この操作をしたユーザの一意な識別子である。
操作タグID263は、この操作の対象となった媒体の一意な識別子である。操作オブジェクトID264は、この操作の対象となった媒体に表された情報の一意な識別子である。
操作種類265は、この操作の種類を示す。操作種類265には、「印刷」、「読出」、「書込」、「消去」及び「廃棄」がある。「印刷」は、印刷処理(図12)が実行されると記録される。「読出」は、読出処理(図13)が実行されると記録される。「書込」は、書込処理(図14)が実行されると記録される。「消去」は、消去処理(図15)が実行されると記録される。
操作ID266は、この操作において使用された情報である。図9に示した例では、
印刷ID"I0054213"で特定される印刷がされ、さらに、"H0099875"で特定される付加内容が印刷に伴って生成されたことが記録される。なお、操作種類265が「書込」の場合は、操作ID266に、ストローク情報27が記録される。
操作結果267は、この操作の結果を示し、「成功」又は「失敗」が記録される。
図10は、第1の実施の形態のデジタルペン14による媒体上の座標取得の説明図である。
デジタルペン14は、CPU、メモリ、通信インターフェース、カメラ141、電池及び筆圧センサを備える。また、デジタルペン14は、インク又は黒鉛によって媒体上に文字、記号等を筆記可能なペン先を備える。
デジタルペン14は、位置検出用のドット203が印刷された媒体(紙)20と共に用いられる。ここで、用紙20の一部201を拡大して、ドット203を説明する。用紙20には、複数の小さなドット203が印刷されている。このドット203は、仮想的な格子線の交点(基準点)202から上下左右にずれた位置に印刷されている。
紙に文字、図形がデジタルペン14で記入されると、記入された文字等は紙に視認可能に残る。デジタルペン14は、筆圧センサによってペン先が紙に接したことを検出すると、カメラ141によって紙上に印刷されたドット203を撮影する。デジタルペン14は、例えば、6×6個のドット203を含む領域を撮影する。
デジタルペン14は、撮影した各ドットパターンのズレ方の組み合わせから、当該ドットパターンが存在する絶対座標を演算する。この絶対座標は、広大な平面領域における当該ドットパターンが存在する座標である。この広大な平面領域は、ドットパターンが重複しないように配置できる全領域である。
デジタルペン14は、演算された絶対座標を、デジタルペンインターフェース13を介して、クライアント端末12に送信する。クライアント端末12は、デジタルペン14から送信された絶対座標を位置情報サーバ19に送信する。位置情報サーバ19は、デジタルペン14から送信された絶対座標に基づいて、前記広大な平面領域中の該紙の位置(ドットパターンID)と、ある一枚の紙における座標(相対座標)とを特定し、特定したドットパターンID及び相対座標をサーバ11に送信する。
このようにして、サーバ11は、デジタルペン14が撮影したドットパターンから、ドットパターンID及び相対座標を取得する。
デジタルペン14が、ペン先が接した位置の情報を周期的(例えば、一定時間毎)に取得することによって、ペン先の動きが分かる。そして、デジタルペン14は、撮影したドットパターンに対応する絶対座標、当該ドットパターンの撮影時刻及びペンIDをクライアント端末12に送信する。
サーバ11は、デジタルペン14によって演算された絶対座標に基づいて、位置情報サーバ19から相対座標を取得する。サーバ11は、取得した相対座標及びドットパターンが撮影された時刻から、ペン先の軌跡(ストローク情報)を生成する。
なお、位置情報サーバ19を別に設けることなく、サーバ11に含めてもよい。
また、デジタルペン14は、ドットパターンID及び相対座標を特定するために、位置情報サーバ19を用いなくてもよい。例えば、紙に印刷された識別番号、紙に印刷されたバーコード、又は、紙に埋め込まれたICタグによって用紙を特定してもよい。さらに、タブレットを用いて用紙上の位置(相対座標)を特定することができる。なお、ICタグ等を用いる用紙の特定又はタブレットを用いる用紙上の位置の特定のいずれかと、位置情報サーバ19による絶対座標の特定を組み合わせてもよい。このようにすると、情報管理システムがドットパターンID及び相対座標を特定する処理を軽減できる。
図11Aは、第1の実施の形態のストロークセットの一例を示す。
ストロークセットは、デジタルペン14によって記入された記号「レ」751を示す。本実施の形態では、図に示すように、左上を原点とし、横方向をX軸とし、縦方向をY軸として、ストロークの位置が定められる。前述したように、ストロークセットは、一纏まりの線(ストローク)の集合であり、線が記入された時間及び/又は線同士の位置関係に基づいて特定される。
図11Bは、第1の実施の形態のサーバ11に格納されるストローク情報27の構成図である。
ストローク情報27は、ストロークセット情報27A及び27B、及びストローク座標情報27Cを含む。
ストロークセット情報27Aは、ストロークID270、書込ユーザID271、書込ペンID272、入力開始日時273、サンプリング点数274及びポインタ275を含む。
ストロークID270は、当該ストロークの一意な識別子である。ペンID272は、当該ストロークを記入したデジタルペン14の一意な識別子である。
入力開始日時273は、当該ストロークセットの記入を始めた日時である。サンプリング点数274は、当該ストロークに含まれる点の数である。デジタルペン14は周期的にペン先の位置を取得しており、このストロークの最初から最後までに取得した点の数が記録される。ポインタ275は、ストローク座標情報27Cに対するポインタである。
ストローク座標情報27Cは、X座標276、Y座標277及び差分時間278を含む。
X座標276は、図11Aに示すX軸方向の相対座標であり、例えば、ミリメートルを単位として表す。Y座標277は、図11Aに示すY軸方向の相対座標であり、例えば、ミリメートルを単位として表す。差分時間278は、デジタルペン14によって当該相対座標が取得された時刻を表す。なお、差分時間278には、入力開始日時273からの経過時間が記録されている。
次に、本発明の実施の形態の情報管理システムの処理を説明する。
図12は、第1の実施の形態のタグの印刷処理のフローチャートである。
まず、ユーザは、クライアント端末12を操作して、媒体に情報を印刷する指示を入力する。このとき、ユーザは、デジタルペン14を用いて媒体に触れさせることによって、情報の表面に印刷されたドットパターンを読み取って、情報を印刷する媒体を指定する。デジタルペン14は読み取ったドットパターンをクライアント端末12に送る。
クライアント端末12は、クライアント端末12を操作したユーザのID及びデジタルペン14が取得したドットパターンを含む印刷指示をサーバ11に送信する。
サーバ11は、クライアント端末12から印刷指示を受信すると、受信した印刷指示に含まれるユーザIDを取得し、受信した印刷指示に含まれるドットパターンIDからタグIDを取得する(S101)。このとき、デジタルペン14が、新品の媒体で、媒体上に何も印刷されていなければ、デジタルペン14は媒体からドットパターンを取得できない。デジタルペン14がドットパターンを取得できないときは、サーバ11は、新たなタグIDを生成する。
サーバ11は、デジタルペン14がドットパターンを取得したか否かによって印刷される媒体が未使用であるか否かを判定する。さらに、サーバ11は、タグID・オブジェクトID対応表21を参照して、取得したタグIDの媒体(印刷される媒体)の状態が「未使用」であるか否かを判定する(S102)。
判定の結果、媒体が未使用であれば、この媒体に印刷が可能なので、この媒体に印刷されるオブジェクト情報22、印刷情報23及び付加内容情報24を生成し(S103)、ステップS104に進む。
ステップS104では、サーバ11は、印刷情報23の印刷内容233を参照して、印刷される内容を記録するファイルを特定し、印刷装置13に印刷命令を送信する。そして、印刷装置13は、印刷命令を受信すると、媒体に指定された情報を印刷する(S104)。
その後、サーバ11は、操作種類265に「印刷」が記録された履歴情報26を作成する。操作ID266には、ステップS104で生成された印刷情報23の印刷ID230が記録される(S105)。
一方、ステップS102において、使用オブジェクトID212が「未使用」でなければ、タグID211に対応するオブジェクトID211を用いてオブジェクト情報22を参照し、ステップS101で取得したユーザIDが書込ユーザID244Cに含まれるか否かを判定する(S106)。
その結果、印刷を指示したユーザの識別子が書込ユーザID224Cに含まれれば、そのユーザは媒体に表示される情報を変更する権限があるので、オブジェクト情報22の印刷ID225及び付加内容ID226を追加する(S107)。その後、ステップS104に進み、印刷装置13に印刷命令が送信される。
一方、ステップS106において、印刷を指示したユーザの識別子が書込ユーザID244Cに含まれていなければ、そのユーザは媒体に表示される情報を変更する権限がないので、クライアント端末12に権限なしを通知する。クライアント端末12は、付加内容の読出権限がない通知を受信すると、付加内容の読み出し権限がないことをデータ表示部に表示する。なお、デジタルペン14を振動させる、及び/又は、デジタルペン14から警告音を出すことによって、読出権限がないことをユーザに通知してもよい(S108)。その後、ステップS105に進み、履歴情報26が作成される。
なお、ステップS102において、使用オブジェクトID212が「廃棄」であれば、印刷しようとする媒体は存在すべきものではないので、エラーとして、処理を中止すればよい。
図13は、第1の実施の形態のタグの読出処理のフローチャートである。
まず、ユーザは、クライアント端末12を操作して、媒体の表面に表された情報に関係する付加内容を読み出す指示を入力する。このとき、ユーザは、デジタルペン14を用いて媒体に触れることによって、情報の表面に印刷されたドットパターンを読み取って、情報を読み出す媒体を指定する。デジタルペン14は読み取ったドットパターンをクライアント端末12に送る。
クライアント端末12は、クライアント端末12を操作したユーザのID及びデジタルペン14が取得したドットパターンを含む付加内容の読出指示をサーバ11に送信する。
サーバ11は、クライアント端末12から付加内容の読出指示を受信すると、受信した読出指示に含まれるユーザIDを取得し、受信した読出指示に含まれるドットパターンIDからタグIDを取得する(S111)。
サーバ11は、取得したタグIDを用いてタグID・オブジェクトID対応表21を参照し、タグID211に対応するオブジェクトID212を特定する。そして サーバ11は、特定されたオブジェクトIDを用いてオブジェクト情報22を参照し、ステップS111で取得したユーザIDが読出ユーザID244Bに含まれるか否かを判定する(S112)。
その結果、読み出しを指示したユーザの識別子が読出ユーザID244Bに含まれれば、そのユーザは付加内容を読み出す権限があるので、印刷ID225から印刷情報23を特定し、印刷内容233を読み出す。さらに、付加内容ID226から付加内容情報24を特定し、付加データ243を読み出す。さらに、ストロークID227からストローク情報を特定し、ストローク情報27を読み出す。さらに、オブジェクトIDを用いて履歴情報26を検索し、この媒体の履歴情報26を読み出す(S113)。
そして、読み出された印刷内容、付加データ、ストローク情報及び履歴情報をクライアント端末12に送信する。クライアント端末12は、印刷内容、付加データ、ストローク情報及び履歴情報を受信すると、受信したデータをデータ表示部に表示する(S114)。
なお、クライアント端末12は、印刷内容、付加データ、ストローク情報及び履歴情報を表示するものとしたが、これらの一部の情報のみを表示するものでもよい。
このとき、印刷内容及びストローク情報は媒体のイメージに重畳させて表示される。ユーザは、媒体の表面に表された情報とクライアント端末12に表示された情報とを比較することによって、媒体に表された情報が真正であるかを確認することができる。さらに、ユーザは、媒体に表された情報に関連する詳細な情報(付加データ)を見ることができる。
一方、ステップS112において、読み出しを指示したユーザの識別子が読出ユーザID244Bに含まれていなければ、そのユーザは付加内容を読み出す権限がないので、クライアント端末12に権限なしを通知する。クライアント端末12は、付加内容の読出権限がない通知を受信すると、付加内容の読み出し権限がないことをデータ表示部に表示する。なお、デジタルペン14を振動させる、及び/又は、デジタルペン14から警告音を出すことによって、読出権限がないことをユーザに通知してもよい(S115)
その後、サーバ11は、操作種類265に「読出」が記録された履歴情報26を作成する(S116)。なお、読出権限がなく、付加内容が読み出せなかった場合は、操作結果267に「失敗」が記録された履歴情報26が生成される。
なお、図13に示した読出処理は、タグIDと使用オブジェクトIDとのリンクが有効な場合であるが、情報が媒体から消去され、タグIDと使用オブジェクトIDとのリンクが解除された場合には、図13に示す読出処理では、媒体に表示されていた情報及び媒体に表示されていた情報に関連する情報を読み出すことができない。
この場合、ユーザは、タグIDと検索対象時刻を指定する。サーバ11は、オブジェクト情報22を参照して、指定されたタグIDがタグID221と同一で、かつ指定された時刻が開始日時222及び終了日時223の間に含まれるオブジェクトID220を抽出する。そして、前述したステップS113と同様に、印刷情報23、付加内容情報24、ストローク情報27及び履歴情報26を読み出す。
このとき、ユーザが指定した検索対象時刻に該当のオブジェクトIDが存在しなければ、「該当する結果なし」をユーザに通知する。
図14は、第1の実施の形態のタグの書込処理のフローチャートである。
まず、ユーザは、デジタルペン14を用いて、媒体の表面に文字等の情報を書き込む。デジタルペン14が媒体に触れると、デジタルペン14は情報の表面に印刷されたドットパターンを読み取って、文字が書き込まれる媒体を特定する。さらに、デジタルペン14は、ユーザが媒体に書き込んだ文字等のストロークを取得する。
クライアント端末12は、クライアント端末12を操作したユーザのID、デジタルペン14が取得したドットパターン及びデジタルペン14が取得したストローク情報の書込通知をサーバ11に送信する。
サーバ11は、クライアント端末12から書込通知を受信すると、受信した書込通知に含まれるユーザIDを取得し、受信した書込通知に含まれるドットパターンIDからタグIDを取得する(S121)。
サーバ11は、取得したタグIDを用いてタグID・オブジェクトID対応表21を参照し、タグID211に対応するオブジェクトID212を特定する。そして サーバ11は、特定されたオブジェクトIDを用いてオブジェクト情報22を参照し、ステップS121で取得したユーザIDが書込ユーザID224Cに含まれるか否かを判定する(S122)。
その結果、書き込みをしたユーザの識別子が書込ユーザID224Cに含まれれば、そのユーザは媒体に表示される情報を変更する権限があるので、デジタルペン14が取得したストロークのストローク情報27を生成し、生成されたストロークセット情報の識別子をストロークID227に記録する(S123)。このとき、必要であれば、書き込まれた情報に関する付加内容情報24を追加してもよい。
このとき追加される付加情報には、媒体が貼付された商品移管する課金情報が含まれていてもよい。すなわち、ユーザが、媒体状の所定の箇所に(チェックマークやサインを)記入することによって、ユーザに対する課金の承認を求める。そして、所定箇所への記入によって、ユーザに金銭の支払い義務を発生させる。
一方、ステップS122において、書き込みをしたユーザの識別子が書込ユーザID224Cに含まれていなければ、そのユーザは媒体に表示される情報を変更する権限がないので、クライアント端末12に権限なしを通知する。クライアント端末12は、書込権限がない通知を受信すると、文字等を書き込む権限がないことをデータ表示部に表示する。なお、デジタルペン14を振動させる、及び/又は、デジタルペン14から警告音を出すことによって、読出権限がないことをユーザに通知してもよい(S124)。
その後、サーバ11は、操作種類265に「書込」が記録された履歴情報26を作成する(S125)。なお、書込権限がなかった場合は、操作結果267に「失敗」が記録された履歴情報26が生成される。
図15は、第1の実施の形態のタグの消去処理のフローチャートである。
まず、ユーザは、クライアント端末12を操作して、媒体の表面に表された情報を消去する指示を入力する。このとき、ユーザは、デジタルペン14を用いて媒体に触れることによって、情報の表面に印刷されたドットパターンを読み取って、消去する媒体を指定する。デジタルペン14は読み取ったドットパターンをクライアント端末12に送る。
クライアント端末12は、クライアント端末12を操作したユーザのID及びデジタルペン14が取得したドットパターンを含む消去指示をサーバ11に送信する。
サーバ11は、クライアント端末12から消去指示を受信すると、受信した消去指示に含まれるユーザIDを取得し、受信した消去指示に含まれるドットパターンIDからタグIDを取得する(S131)。
サーバ11は、取得したタグIDを用いてタグID・オブジェクトID対応表21を参照し、タグID211に対応するオブジェクトID211を特定する。そして サーバ11は、特定されたオブジェクトIDを用いてオブジェクト情報22を参照し、ステップS131で取得したユーザIDが書込ユーザID244Cに含まれるか否かを判定する(S132)。
その結果、読み出しを指示したユーザの識別子が書込ユーザID244Cに含まれれば、そのユーザは媒体に表示される情報を変更する権限があるので、媒体の表面に表された情報を消去することができる。よって、タグIDからオブジェクト情報22を特定し、終了日時223を記録する。さらに、タグID・オブジェクトID対応表21の使用オブジェクトID212を「未使用」に変更する(S133)。その後、印刷装置13によって、媒体の表面に表された情報を消去する。前述したように本実施の形態で使用される媒体は、加熱後の冷却スピードによって、媒体の表面に文字を表示したり消去したりすることができる。
一方、ステップS132において、読み出しを指示したユーザの識別子が書込読出ユーザID244Cに含まれていなければ、そのユーザは媒体に表示される情報を変更する権限がないので、媒体の表面に表された情報を消去する権限がないことを、クライアント端末12に通知する。クライアント端末12は、消去する権限がない通知を受信すると、媒体の表面に表された情報を消去する権限がないことをデータ表示部に表示する。なお、デジタルペン14を振動させる、及び/又は、デジタルペン14から警告音を出すことによって、読出権限がないことをユーザに通知してもよい(S135)
その後、サーバ11は、操作種類265に「消去」が記録された履歴情報26を作成する(S116)。なお、消去権限がなく、情報が消せなかった場合は、操作結果267に「失敗」が記録された履歴情報26が生成される。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態では、媒体と媒体に関係する電子情報とを対応付けて管理することができる。すなわち、媒体に情報が印刷されると、タグIDと使用オブジェクトIDとがリンクする。また、情報が媒体から消去されると、タグIDと使用オブジェクトIDとのリンクが解除される。よって、媒体と媒体に関係する電子情報とを対応付けて管理することができる。
また、媒体に印刷された情報とサーバに保持された電子情報とを比較することによって、現在媒体に表されている情報が真正であるかを確認することができる。
さらに、媒体への情報の書込時にユーザの権限を確認するので、権限のないユーザによって電子情報が改変されることがない。
ここで、サーバ11とクライアント端末15とのデータ通信方法について説明する。
サーバ11とクライアント端末15とは、ネットワーク18を介してデータ通信をする。ネットワーク18は、本来は、セキュリティの観点から、専用回線を利用することが望ましい。しかし、コスト等を考慮して、インターネット等の一般に開放されたネットワークを利用する場合がある。そのため、インターネット等の一般に開放されたネットワークを利用した場合でも、セキュアなデータ通信ができることが望ましい。そのためのデータ通信手段として、共通鍵を用いた暗号通信手段と、公開鍵及び秘密鍵を用いた公開鍵/秘密鍵暗号通信手段との二つの手段を説明する。
共通鍵の暗号通信手段は、データの送信元と受信先とで、それぞれ同じ共通の鍵で、データを暗号化/復号化する方法である。このため、通信の準備として、サーバ11及びクライアント端末15で、事前に、図19に示した処理を行っておく必要がある。
まず、サーバ11で共通鍵を作成する(S161)。その後、作成した共通鍵を各クライアント端末15に配布する(S162〜S164)。この共通鍵の配布方法は、例えばサーバ11側で共通鍵情報をフレキシブルディスク(FD)やコンパクトディクス(CD)などの記録媒体に複製し、共通鍵情報が記録された媒体から各クライアント端末15に共通鍵を複製する方法がある。
この共通鍵を利用した、サーバ11からクライアント端末15へのデータ送信、及びクライアント端末15からサーバ11へのデータ送信では、送信元で共通鍵を利用して暗号化し、受信先で共通鍵を利用して復号する。これによって、セキュアなデータ通信をすることができる。暗号化のアルゴリズムとしては、DES(Data Encryption Standard)など公知の暗号化方式を利用することができる。
ただし、共通鍵の場合、共通鍵が漏洩すると、サーバ11とクライアント端末15との間の全てのデータ通信を傍受されてしまう恐れがある。そのため、他の暗号通信手段として、公開鍵及び秘密鍵を用いた暗号通信手段を適用した場合を以下に説明する。
本実施例での公開鍵及び秘密鍵を用いた暗号通信手段は、データの送信元ではデータ受信先の公開鍵でデータを暗号化し、データの受信先でデータ受信先の秘密鍵で復号する方法である。このため、通信の準備として、サーバ11及びクライアント端末15で、事前に、図20に示した処理を行っておく必要がある。
まず、サーバ11及びクライアント端末15で、それぞれ、秘密鍵及び公開鍵を作成する(S171、S172)。次に、サーバ11の公開鍵をクライアント端末15に配布する(S173〜S175)。この公開鍵の配布方法は、先に共通鍵で述べたように、鍵を媒体に複製する方法の他、サーバ公開鍵の情報をネットワーク18を介しそのまま送信してもよい。
次に、クライアント端末15の公開鍵をサーバに配布する(S176〜S178)。この公開鍵の配布の方法は、先にサーバの公開鍵で述べたいずれの方法でもよい。また、先に受け取ったサーバ11の公開鍵を利用して、クライアント端末15の公開鍵のデータを暗号化し、暗号化された公開鍵をネットワーク18を介してサーバ11に送信してもよい。暗号化のアルゴリズムは、RSA等一般的な公開鍵及び秘密鍵を用いた暗号化方式を利用することができる。
サーバ11と各クライアント端末15との公開鍵の交換によって、サーバ11からクライアント端末15へ転送されるデータは、クライアント端末の公開鍵で暗号化され、クライアント端末の秘密鍵で復号化される。一方、クライアント端末15からサーバ11へ転送されるデータは、サーバの公開鍵で暗号化され、サーバの秘密鍵で復号化される。これによってセキュアなデータ通信をすることができる。
なお、サーバ11の公開鍵配布(S173〜S175)とクライアント端末15の公開鍵配布(S176〜S178)とは逆の順序でも構わない。
前述した二つの暗号化手段のいずれかを用いることによって、本発明に関するデータをセキュアに送信することができる。
最後に、オブジェクトへのタグの取り付け、タグからのデータの読み取り及びタグへのデータの書き込み等の、オブジェクトに関する一連の手続きを検索する処理について、図21を用いて説明する。
最初に、ユーザが検索対象のオブジェクトを指定し、オブジェクトIDを取得する(S181)。オブジェクトにタグが貼り付いていれば、タグID・オブジェクトID対応表21を参照して、貼り付けられているタグのIDからオブジェクトID212を取得する。なお、オブジェクトとタグとのリンクが既に解除されている場合は、ユーザがオブジェクトIDを直接指定する、又は、ユーザがタグIDと検索対象時刻を指定し、オブジェクト情報22を参照して、指定された情報からオブジェクトID220を取得する。
次に、オブジェクトIDに該当するオブジェクト情報22を探し、探し出されたオブジェクト情報22の内容を読み出す(S182)。さらに、履歴情報26の操作オブジェクトID263を参照して、オブジェクトIDに該当する履歴情報26を探し、探し出された履歴情報26の内容を読み出す(S183)。
最後に読み出されたオブジェクト情報22及び履歴情報26をユーザに提示する(S184)。このオブジェクト手続き検索処理によって、着目するオブジェクトに対する一連の操作の履歴を取得することができる。よって、オブジェクトのトレーサビリティを実現することができる。
(第2実施形態)
図16は、第2の実施の形態の情報管理システムのブロック図である。
第2の実施の形態の情報管理システムは、ネットワーク18と接続されているオンラインのクライアント端末12の他、ネットワーク18と接続されていないローカルのクライアント端末15が設けられている点で、前述した第1の実施の形態の情報管理システムと異なる。なお、第1の実施の形態と同じ構成は同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第2の実施の形態の情報管理システムは、サーバ11、クライアント端末12及び15、デジタルペン14、ネットワーク18及び位置情報サーバ19を備える。
サーバ11、クライアント端末12及び位置情報サーバ19は、ネットワーク18を介して互いに接続されている。ローカルのクライアント端末15は、通常はネットワーク18に接続されていない。
すなわち、オンラインのクライアント端末12は、常時サーバ11と通信できる。一方、ローカルのクライアント端末15は、通常はサーバ11と通信できないが、必要に応じてネットワーク18に接続され、サーバ11と通信できる。
クライアント端末15とデジタルペン14は、ブルートゥース、無線LAN、携帯電話システム又は赤外線等の無線によって接続される。また、USB(Universal Serial Bus)等のプロトコルを用い有線によって接続されてもよい。
クライアント端末15は、計算部151、データ通信部152、データ管理部153、ペン入力部(図示省略)、操作入力部(図示省略)及びデータ表示部(図示省略)を備える。計算部151は、CPU及びメモリを備える。CPUは、各種プログラムを呼び出して実行することによって、クライアント端末15で実行される処理に関する演算をする。
データ通信部152は、ネットワークインターフェースである。例えば、TCP/IPプロトコルを用いて通信可能なLANカードである。これによって、クライアント端末15は、ネットワーク18と接続されたときにサーバ11と通信することができる。
データ管理部153は、不揮発性の記憶媒体(例えば、磁気ディスクドライブ)で構成されており、計算部151で実行される各種プログラムを格納する。また、記憶部153は、タグID・オブジェクトID対応表21(図4)、オブジェクト情報22(図5)、印刷情報23(図6)、付加内容情報24(図7)、ユーザ情報25A等(図8)、履歴情報26(図9)及びストローク情報27(図11B)を格納する。これらのクライアント端末15に格納されるタグID・オブジェクトID対応表21、オブジェクト情報22、印刷情報23、付加内容情報24、履歴情報26及びストローク情報27は、クライアント端末15がサーバ11と接続されていない状態では、サーバ11に保持される各情報と整合していない。
すなわち、ローカルなクライアント端末15で何らかの操作がされた場合に、クライアント端末15は、オブジェクトIDを独自のルールに従って生成する。よって、同じタグIDに異なるオブジェクトIDが関連付けられることがある。
ペン入力部は、無線(例えば、ブルートゥース、無線LAN)又は有線(例えば、USB)によってデジタルペン14と接続され、デジタルペン14が取得した座標等の情報を収集する。なお、ペン入力部は、データ通信部152と同じインターフェースであってもよい。
操作入力部は、例えば、キーボードであり、ユーザによって情報が入力される。データ表示部は、例えば、液晶ディスプレイであり、サーバ11から取得した媒体に関する情報を表示する。
図16には、1台のオンラインのクライアント端末12及び1台のローカルのクライアント端末15を図示したが、各クライアント端末が複数設けられてもよい。すなわち、複数のローカルのクライアント端末15によって構成されたセグメントが、ネットワーク18に接続されるかを切り替えられるようにしてもよい。
ローカルなクライアント端末15は、通常はネットワーク18に接続されていないので、サーバ11と通信ができない。よって、媒体に対する操作がされるときに、サーバ11と協働することなく、新たなオブジェクトIDが生成されるので、同じタグIDに、サーバ11と異なるオブジェクトIDがリンクされることがある。すなわち、ローカルなクライアント端末15は、サーバ11に問い合わせないと、グローバルなオブジェクトIDが取得できない。
このため、クライアント端末15がネットワーク18に接続されたときに、タグIDとオブジェクトIDとのリンクが重複する問題が生じる。そこで、クライアント端末15がネットワーク18に接続されたときに、オブジェクトIDを変換する必要がある。
図17は、第2の実施の形態のオフラインデータ変換処理のフローチャートである。
オフラインデータ変換処理は、ローカルなクライアント端末15がネットワーク18に接続され、サーバ11と通信するときに、サーバ11で実行される。
サーバ11は、ローカルなクライアント端末15の接続を検出すると、ローカルなクライアント端末15に蓄積された情報を取得する(S141)。そして、クライアント端末15から取得した情報に、ローカルなオブジェクトIDが存在するか否かを判定する(S142)。このため、ローカルなクライアント端末15とサーバ11とは、異なる体系でオブジェクトIDを生成するとよい。
クライアント端末15から取得した情報にローカルなオブジェクトIDが存在していなければ、クライアント端末15から取得した情報中のローカルなオブジェクトIDは全て変換が終了したので、このオフラインデータ変換処理を終了する。
一方、クライアント端末15から取得した情報にローカルなオブジェクトIDが存在していれば、未変換のオブジェクトIDに関する情報を取得する(S143)。そして、グローバルなオブジェクトIDを検索して、ローカルなオブジェクトIDをグローバルなオブジェクトIDに変換する(S144)。
その後、クライアント端末15に保持された各種情報を、サーバ11に複製する(S145)。
図18は、第2の実施の形態のオフラインデータ変換処理の詳細なフローチャートであり、図17のステップS143からS145の処理の詳細を示す。
クライアント端末15に保持されたオブジェクト情報22を参照して、ローカルなオブジェクトID212に対応するタグID211を特定する(S156)。また、クライアント端末15に保持された履歴情報26を参照して、ローカルなオブジェクトID264の操作日時261を取得する(S157)。
一方、サーバ11に保持されたオブジェクト情報22を参照して、クライアント端末15で特定されたタグIDを用いてオブジェクトID212を特定する。そして、特定されたオブジェクトIDを用いて、オブジェクト情報22を参照して、開始日時222及び終了日時223を取得する(S151)。
その後、ローカルなクライアント端末15から取得した操作日時261と、サーバ11に保持されている開始日時222及び終了日時223を比較する(S152)。そして、操作日時261が、同じタグIDの開始日時222及び終了日時223の間であれば、ローカルなオブジェクトIDとサーバ11に保持されているグローバルなオブジェクトIDは同じオブジェクトに対するものであると判定する(S153)。
オブジェクトIDが対応すると判定されたら、サーバ11に保持されたオブジェクト情報22を、クライアント端末15に保持されたオブジェクト情報22に複製する(S154)。これによって、ローカルなオブジェクトIDがグローバルなオブジェクトIDに変換される。
その後、クライアント端末15に保持された印刷情報23、付加内容情報24、履歴情報26及びストローク情報27を、サーバ11に保持された各情報に複製する(S155)。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態では、クライアント端末15がサーバ11と常時接続されていないシステムでも、媒体と媒体に関係する電子情報を適切に管理することができる。また、クライアント端末15がサーバ11に接続されたときに、媒体に印刷された情報の識別子(オブジェクトID)を変換するので、クライアント端末15が単独で動作して生成した電子情報も、サーバ11に統合することができる。