しかし、省エネルギー効果の報告を希望する顧客が年々増える傾向にあり、しかもこれらの顧客が所有または管理するビルなどの営業日がまちまちである状況下においては、ある一定の月のデータを単位平均気温当たりの消費電力量を算出するに当たって対象外とすると、顧客ごとに省エネルギー効果の精度が著しく異なるだけでなくある顧客に対して報告される省エネルギー効果の精度が著しく低くなるおそれがある。また、このような休暇日数の多い8月などのデータだけでなく4月や10月などのデータを採用することも単位平均気温当たりの消費電力量の精度を低下させるおそれがある。なぜなら、例えば、空気調和機が冷暖両機能を有する場合、4月や10月などにおける冷房運転と暖房運転との混在比率が、その月の気温およびその空気調和機が設置される地域などによって比較的大きく変化する傾向があるからである(また、空気調和機が冷房機能および暖房機能のいずれかを有する場合は、空気調和機の運転時間が変化する傾向にある。)。
本発明の課題は、空気調和機の消費電力量を推定する精度をできるだけ高く維持することができる空気調和機の推定消費電力量算出装置および推定消費電力量算出プログラム、ならびに空気調和機の省エネルギー効率算出装置を提供することにある。
請求項1に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置は、除去手段と、算出手段とを備え、冷房機能および暖房機能の少なくとも一方を有する空気調和機が推定年の特定の所定長の期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出する。除去手段は、基準年に含まれる複数の所定長の期間から、所定の条件を満たす所定長の期間を除去する。算出手段は、基準年に含まれる除去手段において除去されていない所定長の期間の消費電力量および気温と、推定年の特定の所定長の期間の気温もしくは予測気温とを利用して、空気調和機が推定年の特定の所定長の期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出する。所定長の期間とは、複数の日数を含む期間である。所定の条件を満たす所定長の期間とは、その期間の休日日数が所定の日数を超えている期間である。
請求項2に係る空気調和機の推定消費電力量算出プログラムは、冷房機能および暖房機能の少なくとも一方を有する空気調和機が推定年の特定の所定長の期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出するプログラムであって、コンピュータに対して、除去ステップと、算出ステップとを実行させる。除去ステップは、基準年に含まれる複数の所定長の期間から、所定の条件を満たす所定長の期間を除去させる。算出ステップは、基準年に含まれる除去ステップにおいて除去されていない所定長の期間の消費電力量および気温と、推定年の特定の所定長の期間の気温もしくは予測気温を利用して、空気調和機が推定年の特定の所定長の期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出させる。所定長の期間とは、複数の日数を含む期間である。所定の条件を満たす所定長の期間とは、その期間の休日日数が所定の日数を超えている期間である。
請求項3に係る空気調和機の省エネルギー効率算出装置は、請求項1に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置が搭載された、またはその機能が組み込まれた装置であって、推定消費電力量算出手段と、消費電力量取得手段と、省エネルギー効率算出手段とを備える。推定消費電力量算出手段は、空気調和機の推定消費電力量算出装置またはその機能により、省エネルギー運転制御を行わなかった第1年を基準年とし、省エネルギー運転制御を行った第2年を推定年として、第2年において省エネルギー運転制御を行わなかったとする場合の特定の所定長の期間の推定消費電力量を算出する。消費電力量取得手段は、第2年の特定の所定長の期間において空気調和機が消費した消費電力量を取得する。省エネルギー効率算出手段は、推定消費電力量と第2年の特定の所定長の期間において空気調和機が消費した消費電力量とを用いて第2年の特定の所定長の期間における省エネルギー効率を算出する。
請求項4に係る空気調和機の省エネルギー効率算出装置は、請求項1に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置が搭載された、またはその機能が組み込まれた装置であって、第1推定消費電力量算出手段と、第2推定消費電力量算出手段と、省エネルギー効率算出手段とを備える。第1推定消費電力量算出手段は、空気調和機の推定消費電力量算出装置またはその機能により、省エネルギー運転制御を行わなかった第1年を基準年とし、省エネルギー運転制御を行うであろう第3年を推定年として、第3年の特定の所定長の期間において省エネルギー運転制御を行なわないとした場合の推定消費電力量を算出する。第2推定消費電力量算出手段は、空気調和機の推定消費電力量算出装置またはその機能により、省エネルギー運転制御を行った第2年を基準年とし、第3年を推定年として、第3年の特定の所定長の期間において省エネルギー運転制御を行うとした場合の推定消費電力量を算出する。省エネルギー効率算出手段は、第1推定消費電力量算出手段において算出された推定消費電力量と、第2推定消費電力量算出手段において算出された推定消費電力量とを用いて第3年の特定の所定長の期間における省エネルギー効率を算出する。
本発明に関連する技術1に記載の空気調和機の推定消費電力量算出装置は、冷房機能および暖房機能の少なくとも一方を有する空気調和機が推定年の特定の所定期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出する空気調和機の推定消費電力量算出装置であって、第1手段、第2手段、第3手段、および第4手段を備える。なお、ここにいう「所定期間」とは、1年における1または複数の月、週、日、時間、分または秒などである。第1手段は、基準年の複数の所定期間それぞれを冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかに決定する。第2手段は、基準年の複数の所定期間から、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報、空気調和機の運転情報、所定期間の気象情報、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報と空気調和機の運転情報との組合せ、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報と所定期間の気象情報との組合せのいずれかに基づいて決定される条件を満たす所定期間を除去する。なお、ここにいう「空気調和機の運転情報」とは、所定期間における空気調和機の運転時間、運転モードの頻度または運転スケジュールなどである。また、この「空気調和機の運転情報」は、空気調和機が冷房機能と暖房機能とを両方有する場合は所定期間における空気調和機の冷房運転の運転モードの頻度または運転時間と暖房運転の運転モードの頻度または運転時間との比などであってもよい。また、ここにいう「所定期間の気象情報」とは、所定期間の月平均気温などである。また、この「所定期間の気象情報」は、所定期間が月であった場合、その月において日の平均気温が所定の閾値を超過する割合などであってもよい。第3手段は、第2手段において除去されていない所定期間であって冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかである所定期間の消費電力量と平均気温とを用いて単位平均気温当たりの消費電力量を算出する。なお、この単位平均気温当たりの消費電力量は、消費電力量データと平均気温とを回帰分析などすれば算出することができる。第4手段は、単位平均気温当たりの消費電力量、基準年の特定の所定期間の消費電力量、基準年の特定の所定期間の平均気温、および推定年の特定の所定期間の平均気温もしくは予測平均気温を利用して空気調和機が推定年の特定の所定期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出する。
ここでは、先ず、第1手段が、基準年の複数の所定期間それぞれを冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかに決定する。次に、第2手段が、基準年の複数の所定期間から、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報、空気調和機の運転情報、所定期間の気象情報、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報と空気調和機の運転情報との組合せ、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報と所定期間の気象情報との組合せのいずれかに基づいて決定される条件を満たす所定期間を除去する。なお、ここで、第2手段が第1手段の前に行われても本発明は成立することに留意されたい。続いて、第3手段が、第2手段において除去されていない所定期間であって冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかである所定期間の消費電力量と平均気温とを用いて単位平均気温当たりの消費電力量を算出する。そして、第4手段が、単位平均気温当たりの消費電力量、基準年の特定の所定期間の消費電力量、基準年の特定の所定期間の平均気温、および推定年の特定の所定期間の平均気温もしくは予測平均気温を利用して空気調和機が推定年の特定の所定期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出する。このため、この空気調和機の推定消費電力量算出装置は、条件を適切に設定することができれば、単位平均気温当たりの消費電力量を算出するのに不適切な所定期間を除去し、単位平均気温当たりの消費電力量を算出するのに適切な所定期間を採用することができる。したがって、空気調和機の消費電力量を推定するにおいて単位平均気温当たりの消費電力量の精度をできるだけ高く維持することができる。
本発明に関連する技術2に記載の空気調和機の推定消費電力量算出装置は、技術1に記載の空気調和機の推定消費電力量算出装置であって、第1手段は、基準年の複数の所定期間それぞれを空気調和機の運転情報に基づいて冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかに決定する。なお、ここにいう「空気調和機の運転情報」とは、所定期間における空気調和機の運転時間、運転モードの頻度または運転スケジュールなどである。また、この「空気調和機の運転情報」は、空気調和機が冷房機能と暖房機能とを両方有する場合は所定期間における空気調和機の冷房運転の運転モードの頻度または運転時間と暖房運転の運転モードの頻度または運転時間との比などであってもよい。
ここでは、第1手段が、基準年の複数の所定期間それぞれを空気調和機の運転情報に基づいて冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかに決定する。このため、より適切に基準年の複数の所定期間を冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかに決定することができる。
本発明に関連する技術3に記載の空気調和機の推定消費電力量算出装置は、技術1に記載の空気調和機の推定消費電力量算出装置であって、第1手段は、基準年の複数の所定期間それぞれを所定期間の気象情報に基づいて冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかに決定する。なお、ここにいう「所定期間の気象情報」とは、所定期間の月平均気温などである。また、この「所定期間の気象情報」は、所定期間が月であった場合、その月において日の平均気温が所定の閾値を超過する割合などであってもよい。
ここでは、第1手段が、基準年の複数の所定期間それぞれを所定期間の気象情報に基づいて冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかに決定する。このため、できるだけ適切に基準年の複数の所定期間を冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかに決定することができる。
本発明に関連する技術4に記載の空気調和機の推定消費電力量算出装置は、技術1から3のいずれかに記載の空気調和機の推定消費電力量算出装置であって、第2手段は、基準年の複数の所定期間から、休日日数が所定日数よりも大きい所定期間、冷房運転モード数/暖房運転モード数の値が所定範囲内にある所定期間、または平均気温が所定範囲内にある所定期間を除去する。
本発明に関連する技術5に記載の空気調和機の推定消費電力量算出装置は、技術1に記載の空気調和機の推定消費電力量算出装置であって、空気調和機は、冷房機能および暖房機能の両方を有する空気調和機である。そして、この空気調和機の推定消費電力量算出装置は、第5手段をさらに備える。第5手段は、推定年の特定の所定期間を冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかに決定する。また、第4手段は、基準年の特定の所定期間が冷房運転期間であり推定年の特定の所定期間が暖房運転期間である、または基準年の特定の所定期間が暖房運転期間であり推定年の特定の所定期間が冷房運転期間である場合に、基準年の特定の所定期間の平均気温および推定年の特定の所定期間の平均気温もしくは予測平均気温を利用して空気調和機が推定年の特定の所定期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出する方法を選択し、その方法に従って電力量を算出する。
ここでは、第5手段が、推定年の特定の所定期間を冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかに決定する。そして、第4手段が、基準年の特定の所定期間が冷房運転期間であり推定年の特定の所定期間が暖房運転期間である、または基準年の特定の所定期間が暖房運転期間であり推定年の特定の所定期間が冷房運転期間である場合に、基準年の特定の所定期間の平均気温および推定年の特定の所定期間の平均気温もしくは予測平均気温を利用して空気調和機が推定年の特定の所定期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出する方法を選択し、その方法に従って電力量を算出する。このため、基準年の特定の所定期間が冷房運転期間であり推定年の特定の所定期間が暖房運転期間である、または基準年の特定の所定期間が暖房運転期間であり推定年の特定の所定期間が冷房運転期間である場合においても、できるだけ適切に単位平均気温当たりの消費電力量を算出することができる。
本発明に関連する技術6に記載の空気調和機の推定消費電力量算出プログラムは、冷房機能および暖房機能の少なくとも一方を有する空気調和機が推定年の特定の所定期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出する空気調和機の推定消費電力量算出プログラムであって、コンピュータに対して、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、および第4ステップを実行させる。第1ステップでは、コンピュータに対して、基準年の複数の所定期間それぞれを冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかに決定させる。第2ステップでは、コンピュータに対して、基準年の複数の所定期間から、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報、空気調和機の運転情報、所定期間の気象情報、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報と空気調和機の運転情報との組合せ、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報と所定期間の気象情報との組合せのいずれかに基づいて決定される条件を満たす所定期間を除去させる。第3ステップでは、コンピュータに対して、第2ステップにおいて除去されていない所定期間であって冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかである所定期間の消費電力量と平均気温とを用いて単位平均気温当たりの消費電力量を算出させる。第4ステップでは、コンピュータに対して、単位平均気温当たりの消費電力量、基準年の特定の所定期間の消費電力量、基準年の特定の所定期間の平均気温、および推定年の特定の所定期間の平均気温もしくは予測平均気温が利用されて空気調和機が推定年の特定の所定期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出させる。
ここでは、このプログラムが実行されると、先ず、第1ステップで、基準年の複数の所定期間それぞれが冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかに決定される。次に、第2ステップで、基準年の複数の所定期間から、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報、空気調和機の運転情報、所定期間の気象情報、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報と空気調和機の運転情報との組合せ、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報と所定期間の気象情報との組合せのいずれかに基づいて決定される条件を満たす所定期間が除去される。なお、ここで、第2ステップの処理が第1ステップの処理の前に行われても本発明は成立することに留意されたい。続いて、第3ステップで、第2ステップにおいて除去されていない所定期間であって冷房運転期間および暖房運転期間のいずれかである所定期間の消費電力量と平均気温とを用いて単位平均気温当たりの消費電力量が算出される。そして、第4ステップで、単位平均気温当たりの消費電力量、基準年の特定の所定期間の消費電力量、基準年の特定の所定期間の平均気温、および推定年の特定の所定期間の平均気温もしくは予測平均気温が利用されて空気調和機が推定年の特定の所定期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量が算出される。このため、この空気調和機の推定消費電力量算出プログラムは、条件を適切に設定することができれば、単位平均気温当たりの消費電力量を算出するのに不適切な所定期間を除去し、単位平均気温当たりの消費電力量を算出するのに適切な所定期間を採用することができる。したがって、空気調和機の消費電力量を推定するにおいて単位平均気温当たりの消費電力量の精度をできるだけ高く維持することができる。
本発明に関連する技術7に記載の空気調和機の省エネルギー効率算出装置は、技術1から5のいずれかに記載の空気調和機の推定消費電力量算出装置が搭載された、またはその機能が組み込まれた空気調和機の省エネルギー効率算出装置であって、推定消費電力量算出手段、消費電力量取得手段、および省エネルギー効率算出手段を備える。推定消費電力量算出手段は、空気調和機の推定消費電力量算出装置またはその機能により、省エネルギー運転制御を行わなかった第1年の複数の所定期間の消費電力量と平均気温とを用いて単位平均気温当たりの消費電力量を算出し、単位平均気温当たりの消費電力量、第1年の特定の所定期間の消費電力量、第1年の特定の所定期間の平均気温、および省エネルギー運転制御を行った第2年の特定の所定期間の平均気温を利用して第2年において省エネルギー運転制御を行わなかったとする場合の特定の所定期間の推定消費電力量を算出する。消費電力量取得手段は、第2年の特定の所定期間において空気調和機が消費した消費電力量を取得する。省エネルギー効率算出手段は、推定消費電力量と第2年の特定の所定期間において空気調和機が消費した消費電力量とを用いて第2年の特定の所定期間における省エネルギー効率を算出する。
ここでは、先ず、推定消費電力量算出手段が、空気調和機の推定消費電力量算出装置またはその機能により、省エネルギー運転制御を行わなかった第1年の複数の所定期間の消費電力量と平均気温とを用いて単位平均気温当たりの消費電力量を算出し、単位平均気温当たりの消費電力量、第1年の特定の所定期間の消費電力量、第1年の特定の所定期間の平均気温、および省エネルギー運転制御を行った第2年の特定の所定期間の平均気温を利用して第2年において省エネルギー運転制御を行わなかったとする場合の特定の所定期間の推定消費電力量を算出する。次に、消費電力量取得手段が、第2年の特定の所定期間において空気調和機が消費した消費電力量を取得する。そして、省エネルギー効率算出手段が、推定消費電力量と第2年の特定の所定期間において空気調和機が消費した消費電力量とを用いて第2年の特定の所定期間における省エネルギー効率を算出する。このため、空気調和機の消費電力量を推定するにおいて単位平均気温当たりの消費電力量の精度をできるだけ高く維持することができる。しいては、第2年の特定の所定期間における省エネルギー効率を精度よく推定することができる。
本発明に関連する技術8に記載の空気調和機の省エネルギー効率算出装置は、技術1から5のいずれかに記載の空気調和機の推定消費電力量算出装置が搭載された、またはその機能が組み込まれた空気調和機の省エネルギー効率算出装置であって、第1推定消費電力量算出手段、第2推定消費電力量算出手段、および省エネルギー効率算出手段を備える。第1推定消費電力量算出手段は、空気調和機の推定消費電力量算出装置またはその機能により、省エネルギー運転制御を行わなかった第1年の複数の所定期間の消費電力量と平均気温とを用いて単位平均気温当たりの消費電力量を算出し、単位平均気温当たりの消費電力量、第1年の特定の所定期間の消費電力量、第1年の特定の所定期間の平均気温、および省エネルギー運転制御を行うであろう第3年の特定の所定期間の予測平均気温を利用して第3年の特定の所定期間において省エネルギー運転制御を行なわないとした場合の推定消費電力量を算出する。第2推定消費電力量算出手段は、空気調和機の推定消費電力量算出装置またはその機能により、省エネルギー運転制御を行った第2年の複数の所定期間の消費電力量と平均気温とを用いて単位平均気温当たりの消費電力量を算出し、単位平均気温当たりの消費電力量、第2年の特定の所定期間の消費電力量、第2年の特定の所定期間の平均気温、および第3年の特定の所定期間の予測平均気温を利用して第3年の特定の所定期間において省エネルギー運転制御を行うとした場合の推定消費電力量を算出する。省エネルギー効率算出手段は、第1推定消費電力量算出手段において算出された推定消費電力量と、第2推定消費電力量算出手段において算出された推定消費電力量とを用いて第3年の特定の所定期間における省エネルギー効率を算出する。
ここでは、先ず、第1推定消費電力量算出手段が、空気調和機の推定消費電力量算出装置またはその機能により、省エネルギー運転制御を行わなかった第1年の複数の所定期間の消費電力量と平均気温とを用いて単位平均気温当たりの消費電力量を算出し、単位平均気温当たりの消費電力量、第1年の特定の所定期間の消費電力量、第1年の特定の所定期間の平均気温、および省エネルギー運転制御を行うであろう第3年の特定の所定期間の予測平均気温を利用して第3年の特定の所定期間において省エネルギー運転制御を行なわないとした場合の推定消費電力量を算出する。次に、第2推定消費電力量算出手段が、空気調和機の推定消費電力量算出装置またはその機能により、省エネルギー運転制御を行った第2年の複数の所定期間の消費電力量と平均気温とを用いて単位平均気温当たりの消費電力量を算出し、単位平均気温当たりの消費電力量、第2年の特定の所定期間の消費電力量、第2年の特定の所定期間の平均気温、および第3年の特定の所定期間の予測平均気温を利用して第3年の特定の所定期間において省エネルギー運転制御を行うとした場合の推定消費電力量を算出する。そして、省エネルギー効率算出手段が、第1推定消費電力量算出手段において算出された推定消費電力量と、第2推定消費電力量算出手段において算出された推定消費電力量とを用いて第3年の特定の所定期間における省エネルギー効率を算出する。このため、空気調和機の消費電力量を推定するにおいて単位平均気温当たりの消費電力量の精度をできるだけ高く維持することができる。しいては、第3年の特定の所定期間における省エネルギー効率を精度よく推定することができる。
本発明に関連する技術9に記載の空気調和機の推定消費電力量算出装置は、複数の運転モードを有する空気調和機が推定年の特定の所定期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出する空気調和機の推定消費電力量算出装置であって、第1手段、第2手段、第3手段、および第4手段を備える。第1手段は、基準年の複数の所定期間それぞれを、いずれかの運転モードに対応する運転期間に決定する。第2手段は、基準年の複数の所定期間から、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報、空気調和機の運転情報、所定期間の気象情報、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報と空気調和機の運転情報との組合せ、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報と所定期間の気象情報との組合せのいずれかに基づいて決定される条件を満たす所定期間を除去する。第3手段は、第2手段において除去されていない所定期間であっていずれかの運転モードに対応する運転期間である所定期間の消費電力量と平均気温とを用いて単位平均気温当たりの消費電力量を算出する。第4手段は、単位平均気温当たりの消費電力量、基準年の特定の所定期間の消費電力量、基準年の特定の所定期間の平均気温、および推定年の特定の所定期間の平均気温もしくは予測平均気温を利用して空気調和機が推定年の特定の所定期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出する。
ここでは、先ず、第1手段が、基準年の複数の所定期間それぞれを、いずれかの運転モードに対応する運転期間に決定する。次に、第2手段が、基準年の複数の所定期間から、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報、空気調和機の運転情報、所定期間の気象情報、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報と空気調和機の運転情報との組合せ、空気調和機が設置される建造物のカレンダー情報と所定期間の気象情報との組合せのいずれかに基づいて決定される条件を満たす所定期間を除去する。続いて、第3手段が、第2手段において除去されていない所定期間であっていずれかの運転モードに対応する運転期間である所定期間の消費電力量と平均気温とを用いて単位平均気温当たりの消費電力量を算出する。そして、第4手段が、単位平均気温当たりの消費電力量、基準年の特定の所定期間の消費電力量、基準年の特定の所定期間の平均気温、および推定年の特定の所定期間の平均気温もしくは予測平均気温を利用して空気調和機が推定年の特定の所定期間に消費したであろう、または消費するであろう電力量を算出する。このため、この空気調和機の推定消費電力量算出装置は、条件を適切に設定することができれば、単位平均気温当たりの消費電力量を算出するのに不適切な所定期間を除去し、単位平均気温当たりの消費電力量を算出するのに適切な所定期間を採用することができる。したがって、空気調和機の消費電力量を推定するにおいて単位平均気温当たりの消費電力量の精度をできるだけ高く維持することができる。
本発明によれば、消費電力量を算出するのに不適切な所定長の期間を除去し、消費電力量を算出するのに適切な所定長の期間を採用することができる。
<第1実施形態>
[第1実施形態に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置]
図3には、第1実施形態に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置の使用形態を示す。ここで、情報管理センター70に設置されている図番40のコンピュータが、本実施形態に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置に該当する。このコンピュータ40は、省エネルギー運転制御されている空気調和機10の省エネルギー効率ECを算出するためのものである。このコンピュータ40には、温度係数算出プログラム51および省エネルギー効率算出プログラム52がインストールされている。また、このコンピュータ40は、データベース55を保持している。温度係数算出プログラム51は、省エネルギー運転制御が行われていなかった年(ここでは、X年4月から(X+1)年3月までとする。以下、基準年という。)の毎月の消費電力量データと毎月の平均気温とを回帰分析することによりその単位平均気温当たりの月間消費電力量(以下、温度係数という。)を算出する。省エネルギー効率算出プログラム52は、温度係数算出プログラム51により得られる温度係数などを利用して、(X+1)年4月以降の任意の月の省エネルギー効率を算出する。なお、ここでは、省エネルギー効率を算出したい月の月間消費電力量Paは、あらかじめデータベース55に登録されている必要がある。
[第1実施形態に係る推定消費電力量算出装置40の使用形態]
図3に示すように、コンピュータ40は、ネットワーク60を介してビル80の管理室90に設置されるステーション20およびコンピュータ30に接続される。このステーション20は、空気調和機10に接続される。なお、この空気調和機10は、1台の室外機12に複数の室内機11が接続されるマルチ式空気調和機である。また、この空気調和機10は、冷暖両機能を有している。
ところで、このステーション20は、(X+1)年4月以降、空気調和機10の省エネルギー運転制御を行っている。また、このステーション20は、15分間隔で空気調和機10から空気調和機の運転情報(運転モード情報、室内機が設置される部屋の温度、故障を予知するために必要な情報、および消費電力量データなど。)などを受信している。なお、このような情報は、ビル80の管理人などが空気調和機10を監視するために用いられている。さらに、このステーション20は、これらの情報を、情報管理センター70に設置されるコンピュータ40に15分間隔で送信している。そして、情報管理センター70に設置されるコンピュータ40は、これらの情報をデータベース55に蓄積する。なお、これらの情報は、情報管理センター70を運用する事業者により様々に加工されて、空気調和機10の運用状況報告書などの作成に役立てられる。そして、この運用状況報告書は、ビル80のオーナーなどに提出される。また、管理室90に設置されるコンピュータ30は、このビル80のカレンダー情報を保持している。このカレンダー情報には、このビル80の運休日などがスケジュールされている。なお、情報管理センター70に設置されるコンピュータ40は、このカレンダー情報をダウンロードすることができる。なお、ここでは、コンピュータ40は、すでにこのカレンダー情報をダウンロードし、データベース55に保持しているものとする。また、図4には、このデータベース55に蓄積される情報の例を示す。なお、ここで、月平均気温データは、気象情報提供者などから入手しておく必要がある。
[温度係数算出プログラム51]
図5、図6および図7には、コンピュータ40にインストールされる温度係数算出プログラム51の処理の流れを表すフローチャートを示す。
(1)温度係数を算出するためのデータを取捨選択する流れ
図5および図6には、温度係数を算出するためのデータを取捨選択する流れを表すフローチャートを示す。
図5および図6において、ステップS11からステップS19までの処理は、X年4月から(X+1)年3月まで1月間単位でループされる。ステップS11では、コンピュータ40が、基準年のある月(以下、基準月という。)Mbの休日日数HDをカウントする。ステップS12では、コンピュータ40が、その基準月Mbの休日日数HDが13日以下であるかを確認する。ステップS12の確認の結果、その基準月Mbの休日日数HDが13日以下であれば、ステップS13に移る。ステップS12の確認の結果、その基準月Mbの休日日数HDが13日よりも大きければ、図6の外部結合子2に移る。ステップS13では、コンピュータ40が、その基準月Mbにおける冷房運転モード数Nbcをカウントする。ステップS14では、コンピュータ40が、その基準月Mbにおける暖房運転モード数Nbwをカウントする。ステップS15では、コンピュータ40が、冷房運転モード数Nbcを暖房運転モード数Nbwで除した値をCRとする。ステップS16では、コンピュータ40が、CRの値に基づいて判断を行う。ステップS16の判断の結果、CRが0.3以上の場合は、ステップS17に移る。ステップS16の判断の結果、CRが0.7以上の場合は、ステップS18に移る。ステップS16の判断の結果、CRが0.3よりも大きく且つ0.7未満である場合は、ステップS19に移る。ステップS17では、コンピュータ40が、その基準月Mbを暖房運転月WMと決定する。ステップS18では、コンピュータ40が、その基準月を冷房運転月CMと決定する。ステップS19では、コンピュータ40が、その基準月Mbを対象外と決定する。
(2)温度係数を算出する流れ
図7には、温度係数を算出する流れを表すフローチャートを示す。
図7において、ステップS31では、コンピュータ40が、冷房運転月CMとされた基準月Mbの平均気温Tbと月間消費電力量Pbとを回帰分析して冷房温度係数TScを算出する。ステップS32では、コンピュータ40が、暖房運転月WMとされた基準月Mbの平均気温Tbと月間消費電力量Pbとを回帰分析して暖房温度係数TSwを算出する。
[省エネルギー効率算出プログラム52]
図8および図9には、コンピュータ40にインストールされる省エネルギー効率算出プログラム52の処理の流れを表すフローチャートを示す。
図8および図9において、ステップS41では、省エネルギー効率ECを算出する月(以下、推定月という。)Meが入力される。ステップS42では、空気調和機10の機種IDと物件IDとが入力される(これらは、計算に必要な種々のデータをデータベース55から取得するために用いられる。)。ステップS43では、イベントが発生される。ルーチンR70では、コンピュータ40が、推定月Meおよび基準年の対応する月(以下、対応基準月という。)Mdを冷房運転月CMとするか暖房運転月WMとするかを決定する。ステップS44では、コンピュータ40が、推定月Meの値と対応基準月Mdの値とに基づいて判断を行う。ステップS44の判断の結果、推定月Meが冷房運転月CMであって且つ対応基準月Mdが冷房運転月CMである場合は、ステップS46に移る。ステップS44の判断の結果、推定月Meが冷房運転月CMであって且つ対応基準月Mdが暖房運転月WMである場合、または推定月Meが暖房運転月WMであって且つ対応基準月Mdが冷房運転月CMである場合は、ステップS45に移る。ステップS44の判断の結果、推定月Meが暖房運転月WMであって且つ対応基準月Mdが暖房運転月WMである場合は、ステップS49に移る。ステップS45では、コンピュータ40が、推定月Meの月平均気温Teの値、対応基準月Mdの月平均気温Tdの値および冷暖境界温度T0の値に基づいて判断を行う。なお、この冷暖境界温度T0とは、冷房運転時の温度係数TScと暖房運転時の温度係数TSwとを使い分けるための境界温度である。4月や10月などの季節の変わり目において、空気調和機10は、日ごとの状況に応じて冷房運転をされたり暖房運転をされたりすることがある。このような状況にある場合に、どちらか一方の温度係数(冷房運転時の温度係数または暖房運転時の温度係数)を用いると推定精度が極めて悪くなることが心配される。このため、ここでは、冷暖境界温度T0を導入してできるだけ推定精度を維持できるように配慮している。また、この冷暖境界温度は、対応基準月Mdが冷房運転月CMかつ推定月Mpが暖房運転月WMである場合、または対応基準月Mdが暖房運転月WMかつ推定月Mpが冷房運転月CMである場合において、対応基準月Mdの月平均気温Tdと推定月Mpの月平均気温Tpとの間に入るように設定されるのが好ましい。しかし、冷暖境界温度T0が適切な値に設定されないことも考えられる。このような場合は、冷暖境界温度T0が対応基準月Mdの月平均気温Tdとなるか、推定月Mpの月平均気温Tpとなるようにしておくべきである。ステップS45の判断の結果、推定月Meの月平均気温Teが冷暖境界温度T0よりも大きく且つ対応基準月Mdの月平均気温Tdが冷暖境界温度T0よりも大きい場合は、ステップS46に移る。ステップS45の判断の結果、推定月Meの月平均気温Teが冷暖境界温度T0よりも大きく且つ対応基準月Mdの月平均気温Tdが冷暖境界温度T0よりも小さい場合は、ステップS47に移る。ステップS45の判断の結果、推定月Meの月平均気温Teが冷暖境界温度T0よりも小さく且つ対応基準月Mdの月平均気温Tdが冷暖境界温度T0よりも大きい場合は、ステップS48に移る。ステップS45の判断の結果、推定月Meの月平均気温Teが冷暖境界温度T0よりも小さく且つ対応基準月Mdの月平均気温Tdが冷暖境界温度T0よりも小さい場合は、ステップS49に移る。ステップS46では、コンピュータ40が、式11に従って推定月Meに省エネルギー運転制御が行われなかったとした場合の空気調和機10の消費電力量Peを算出する。なお、ここで、Pdとは、対応基準月Mdに実際に消費された電力量である。ステップS47では、コンピュータ40が、式12に従って推定月Meに省エネルギー運転制御が行われなかったとした場合の空気調和機10の消費電力量Peを算出する。ステップS48では、コンピュータ40が、式13に従って推定月Meに省エネルギー運転制御が行われなかったとした場合の空気調和機10の消費電力量Peを算出する。ステップS49では、コンピュータ40が、式14に従って推定月Meに省エネルギー運転制御が行われなかったとした場合の空気調和機10の消費電力量Peを算出する。そして、ステップS50では、コンピュータ40が、式15に従って推定月Meにおける省エネルギー効率ECを算出する。なお、ここで、Paとは、推定月Mpの消費電力量実績値である。この値は、あらかじめデータベース55に記憶されている。
(冷暖房運転月の決定ルーチンR70の処理の流れ)
図10には、冷暖房運転月の決定ルーチンR10の処理の流れを表すフローチャートを示す。
図10において、ステップS71では、コンピュータ40が、推定月Meにおける冷房運転モード数Necをカウントする。ステップS72では、コンピュータ40が、推定月Meにおける暖房運転モード数Newをカウントする。ステップS73では、コンピュータ40が、冷房運転モード数Necが暖房運転モード数Newよりも大きいかを確認する。ステップS73の確認の結果、冷房運転モード数Necが暖房運転モード数Newよりも大きい場合は、ステップS74に移る。ステップS73の確認の結果、冷房運転モード数Necが暖房運転モード数New以下である場合は、ステップS75に移る。ステップS74では、コンピュータ40が、推定月Meを冷房運転月CMに決定する。ステップS75では、コンピュータ40が、推定月Meを暖房運転月WMに決定する。ステップS76では、コンピュータ40が、対応基準月Mdにおける冷房運転モード数Ndcをカウントする。ステップS77では、コンピュータ40が、対応基準月Mdにおける暖房運転モード数Ndwをカウントする。ステップS78では、コンピュータ40が、冷房運転モード数Ndcが暖房運転モード数Ndwよりも大きいかを確認する。ステップS78の確認の結果、冷房運転モード数Ndcが暖房運転モード数Ndwよりも大きい場合は、ステップS79に移る。ステップS78の確認の結果、対応基準月Mdにおける冷房運転モード数Ndcが対応基準月Mdにおける暖房運転モード数Ndw以下である場合は、ステップS80に移る。ステップS79では、コンピュータ40が、その対応基準月Mdを冷房運転月CMに決定する。ステップS80では、コンピュータ40が、その対応基準月Mdを暖房運転月WMに決定する。
[第1実施形態に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置40の特徴]
(1)
本実施の形態に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置40は、基準月Mdにおける冷房運転モード数Nbcと暖房運転モード数Nbwとの比に基づいてその基準月Mdを冷房運転月CMまたは暖房運転月WMに決定することができる。
(2)本実施の形態に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置40は、基準月Mbのうち温度係数TSc,TSwの算出に不適切なものがあればそれを除去する。したがって、空気調和機10の月間消費電力量Peを推定するにおいて温度係数TSc,TSwの精度をできるだけ高く維持することができる。しいては、推定月Meにおける省エネルギー効率ECを精度よく推定することができる。
<第1実施形態の変形例>
(1)
第1実施形態に係る温度係数算出プログラム51では、基準月Mbにおける休日日数HD、ならびに基準月Mbにおける冷房運転モード数Nbcと暖房運転モード数Nbwとの比を利用して温度係数TSc,TSwの算出に不適切な基準月Mbを除去し、冷暖房運転月CM,WMを決定したが、これに代えて、基準月Mbにおける冷房運転時間と暖房運転時間との比を利用して温度係数TSc,TSwの算出に不適切な基準月Mbを除去し、冷暖房運転月CM,WMを決定してもよい。また、基準月Mbにおける休日日数HDのみを利用して温度係数TSc,TSwの算出に不適切な基準月Mbを除去し、冷暖房運転月CM,WMを決定してもよい。
(2)
第1実施形態に係る冷暖房運転月の決定ルーチンR70では、推定年Meおよび対応基準月Mdにおける冷房運転モード数Nec,Ndcおよび暖房運転モード数New,Ndwを利用して冷暖房運転月CM,WMを決定したが、これに代えて、推定年Meおよび対応基準月Mdにおける冷房運転時間および暖房運転時間を利用して冷暖房運転月CM,WMを決定してもよい。
<第2実施形態>
[第2実施形態に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置]
図11には、第2実施形態に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置の使用形態を示す。ここで、情報管理センター70に設置されている図番40aのコンピュータが、本実施形態に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置に該当する。このコンピュータ40は、省エネルギー運転制御される予定の空気調和機の予測省エネルギー効率ECを算出するためのものである。このコンピュータ40aには、温度係数算出プログラム51aおよび省エネルギー効率算出プログラム52aがインストールされている。また、このコンピュータ40aは、データベース55aを保持している。温度係数算出プログラム51aは、省エネルギー運転制御が行われていなかった年(ここでは、X年4月から(X+1)年3月までとする。以下、第1基準年という。)の毎月の消費電力量データと毎月の平均気温とを回帰分析することによりその単位平均気温当たりの月間消費電力量(以下、温度係数という。)を算出する。また、この温度係数算出プログラム51aは、省エネルギー運転制御が行われた年(ここでは、(X+1)年4月から(X+2)年3月までとする。以下、第2基準年という。)の毎月の消費電力量データと毎月の平均気温とを回帰分析することによりその温度係数を算出する。省エネルギー効率算出プログラム52aは、温度係数算出プログラム51aにより得られる温度係数などを利用して、未来の任意の月の省エネルギー効率を算出する。
[第2実施形態に係る推定消費電力量算出装置の使用形態]
図11に示すように、コンピュータ40aは、ネットワーク60aを介して気象情報配信センター110に設置されるWebサーバ100に接続される。このコンピュータ40aは、気象情報配信センターにあるWebサーバから必要に応じて気象情報をダウンロードすることができる。なお、ここでは、コンピュータ40aは、すでにX年4月から(X+2)年3月までの気象情報(月平均気温を含む。)および未来の気象予報情報(月平均気温を含む。)をダウンロードし、データベース55aに保持しているものとする。
ところで、このコンピュータ40aを利用して省エネルギー効率を求めるためには、ビル80の管理室90に設置されるステーション20から必要な情報を回収する必要がある。ここでは、サービスエンジニア120が、その情報の回収を行う。なお、ここで回収する必要がある情報とは、X年4月から(X+2)年3月までの月間消費電力量データおよびビル80のスケジュール情報(ビル80の営業日などを含む。)などである。なお、このステーション20は、空気調和機10の省エネルギー運転制御を行っている。この空気調和機10は、1台の室外機12に複数の室内機11が接続されるマルチ式空気調和機である。また、この空気調和機10は、冷暖両機能を有している。なお、このステーション20は、空気調和機10から運転情報を受信しそれを記憶する。このような情報は、ビル80の管理人が空気調和機10を監視するために用いられている。
[温度係数算出プログラム51a]
図12、図13および図14には、コンピュータ40aにインストールされる温度係数算出プログラム51aの処理の流れを表すフローチャートを示す。
(1)温度係数を算出するためのデータを取捨選択する流れ
図12および図13には、温度係数を算出するためのデータを取捨選択する流れを表すフローチャートを示す。なお、S101からS106までの処理は、第1基準年について行われた後に第2基準年についても行われる。
図12および図13において、ステップS101からステップS106までの処理は、X年4月から(X+1)年3月(第2基準年の場合は、(X+1)年4月から(X+2)年3月まで)1月間単位でループされる。ステップS101では、コンピュータ40aが、第1基準年の月(以下、第1基準月という。)Mb1の休日日数HDをカウントする。ステップS102では、コンピュータ40aが、その第1基準月Mb1の休日日数HDが13日以下であるかを確認する。ステップS12の確認の結果、その第1基準月Mb1の休日日数HDが13日以下であれば、ステップS103に移る。ステップS102の確認の結果、その第1基準月Mb1の休日日数HDが13日よりも大きければ、図13の外部結合子5に移る。ステップS103では、コンピュータ40aが、その第1基準月Mb1における月平均気温Tb1の値に基づいて判断を行う。ステップS103においてその第1基準月Mb1における月平均気温Tb1が摂氏15度以下の場合は、ステップS104に移る。ステップS103においてその第1基準月Mb1における月平均気温Tb1が摂氏25度以上の場合は、ステップS105に移る。ステップS103においてその第1基準月Mb1における月平均気温Tb1が摂氏15度よりも大きく且つ摂氏25度未満である場合は、ステップS106に移る。ステップS104では、コンピュータ40aが、その第1基準月Mb1を暖房運転月WMと決定する。ステップS105では、コンピュータ40aが、その第1基準月Mb1を冷房運転月CMと決定する。ステップS106では、コンピュータ40aが、その第1基準月Mb1を対象外と決定する。
なお、第2基準年についてステップS101からステップS106までの処理が行われる場合は、「第1基準月Mb1」は「第2基準月Mb2」と、「月平均気温Tb1」は「月平均気温Tb2」と読み替えるものとする。
(2)温度係数を算出する流れ
図14には、温度係数を算出する流れを表すフローチャートを示す。
図14において、ステップS111では、コンピュータ40aが、第1基準年の冷房運転月CMの月平均気温Tb1と月間消費電力量Pb1とを回帰分析して冷房温度係数TSc1を算出する。ステップS112では、コンピュータ40aが、第1基準年の暖房運転月WMの月平均気温Tb1と月間消費電力量Pb1とを回帰分析して暖房温度係数TSw1を算出する。ステップS113では、コンピュータ40aが、第2基準年の冷房運転月CMの月平均気温Tb2と月間消費電力量Pb2とを回帰分析して冷房温度係数TSc2を算出する。ステップS114では、コンピュータ40aが、第2基準年の暖房運転月WMの月平均気温Tb2と月間消費電力量Pb2とを回帰分析して暖房温度係数TSw2を算出する。
[省エネルギー効率算出プログラム52a]
図15、図16および図17には、コンピュータ40aにインストールされる省エネルギー効率算出プログラム52aの処理の流れを表すフローチャートを示す。なお、R150からS129までの処理は、第1基準年Mb1について行われた後に第2基準年Mb2についても行われる。
図15、図16および図17において、ステップS121では、予測省エネルギー効率ECを予測したい月(以下、予測月という。)Mpが入力される。ステップS122では、空気調和機10の機種IDと物件IDとが入力される。ステップS123では、イベントが発生される。ルーチンR150では、コンピュータ40aが、予測月Mpおよび第1基準年の対応する月(以下、対応第1基準月という。)Md1を冷房運転月CMとするか暖房運転月WMとするかを決定する。ステップS124では、コンピュータ40aが、予測月Mpの値と対応第1基準月Md1の値とに基づいて判断を行う。ステップS124において予測月Mpが冷房運転月CMであって且つ対応第1基準月Md1が冷房運転月CMである場合は、ステップS126に移る。ステップS124において予測月Mpが冷房運転月CMであって且つ対応第1基準月Md1が暖房運転月WMである場合、または予測月Mpが暖房運転月WMであって且つ対応第1基準月Md1が冷房運転月CMである場合は、ステップS125に移る。ステップS124において予測月Mpが暖房運転月WMであって且つ対応第1基準月Md1が暖房運転月WMである場合は、ステップS129に移る。ステップS125では、コンピュータ40aが、予測月Mpの月平均気温Tpの値、対応第1基準月Md1の月平均気温Td1の値および冷暖境界温度T0の値に基づいて判断を行う。なお、この冷暖境界温度T0とは、冷房運転時の温度係数TSc1と暖房運転時の温度係数TSw1とを使い分けるための境界温度である。4月や10月などの季節の変わり目において、空気調和機10は、日ごとの状況に応じて冷房運転をされたり暖房運転をされたりすることがある。このような状況にある場合に、どちらか一方の温度係数(冷房運転時の温度係数TSc1または暖房運転時の温度係数TSw1)を用いると推定精度が極めて悪くなることが心配される。このため、ここでは、冷暖境界温度T0を導入してできるだけ推定精度を維持できるように配慮している。また、この冷暖境界温度T0は、対応第1基準月Md1が冷房運転月CMかつ推定月Mpが暖房運転月WMである場合、または対応第1基準月Md1が暖房運転月WMかつ推定月Mpが冷房運転月CMである場合において、対応第1基準月Md1の月平均気温Td1と推定月Mpの月平均気温Tpとの間に入るように設定されるのが好ましい。しかし、冷暖境界温度T0が適切な値に設定されないことも考えられる。このような場合は、冷暖境界温度T0が対応第1基準月Md1の月平均気温Td1となるか、推定月Mpの月平均気温Tpとなるようにしておくべきである。ステップS125において予測月Mpの月平均気温Tpが冷暖境界温度T0よりも大きく且つ対応第1基準月Md1の月平均気温Td1が冷暖境界温度T0よりも大きい場合は、ステップS126に移る。ステップS125において予測月Mpの月平均気温Tpが冷暖境界温度T0よりも大きく且つ対応第1基準月Md1の月平均気温Td1が冷暖境界温度T0よりも小さい場合は、ステップS127に移る。ステップS125において予測月Mpの月平均気温Tpが冷暖境界温度T0よりも小さく且つ対応第1基準月Md1の月平均気温Td1が冷暖境界温度T0よりも大きい場合は、ステップS128に移る。ステップS125において予測月Mpの月平均気温Tpが冷暖境界温度T0よりも小さく且つ対応第1基準月Md1の月平均気温Td1が冷暖境界温度T0よりも小さい場合は、ステップS129に移る。ステップS126では、コンピュータ40aが、式11に従って予測月Mpに省エネルギー運転制御が行われないとする場合の空気調和機10の消費電力量Pp1を算出する。なお、ここで、Pd1とは、対応第1基準月Md1に実際に消費された電力量である。ステップS127では、コンピュータ40aが、式12に従って予測月Mpに省エネルギー運転制御が行われないとする場合の空気調和機10の消費電力量Pp1を算出する。ステップS128では、コンピュータ40aが、式13に従って予測月Mpに省エネルギー運転制御が行われないとする場合の空気調和機10の消費電力量Pp1を算出する。ステップS129では、コンピュータ40aが、式14に従って予測月Mpに省エネルギー運転制御が行われないとする場合の空気調和機10の消費電力量Pp1を算出する。
なお、次にルーチンR150からステップS129までの処理が行われる場合は、「対応第1基準月Md1」は「対応第2基準月Md2」と、「月平均気温Td1」は「月平均気温Td2」と、「予測月Mpに省エネルギー運転制御が行われないとする場合の空気調和機10の消費電力量Pp1」は、「予測月Mpに省エネルギー運転制御が行われるとする場合の空気調和機10の消費電力量Pp2」と読み替えるものとする。
そして、ステップS130では、コンピュータ40aが、式15に従って予測月Mpにおける予測省エネルギー効率ECを算出する。
(冷暖房運転月の決定ルーチンR150の処理の流れ)
図17には、冷暖房運転月の決定ルーチンR150の処理の流れを表すフローチャートを示す。なお、ステップS151からS160までの処理は、対応第1基準月Md1について行われた後に対応第2基準月Md2についても行われる。
図17において、ステップS151では、コンピュータ40aが、予測月Mpにおいて日平均気温が摂氏20度未満である日数Debをカウントする。ステップS152では、コンピュータ40aが、予測月Mpにおいて日平均気温が摂氏20度以上である日数Deoをカウントする。ステップS153では、コンピュータ40aが、摂氏20度未満である日数Debが摂氏20度以上である日数Deoよりも小さいかを確認する。ステップS153の確認の結果、摂氏20度未満である日数Debが摂氏20度以上である日数Deoよりも小さい場合は、ステップS154に移る。ステップS153の確認の結果、摂氏20度未満である日数Debが摂氏20度以上である日数Deo以上である場合は、ステップS155に移る。ステップS154では、コンピュータ40aが、予測月Mpを冷房運転月CMに決定する。ステップS155では、コンピュータ40aが、予測月Mpを暖房運転月WMに決定する。ステップS156では、コンピュータ40aが、対応第1基準月Md1において日平均気温が摂氏20度未満である日数Ddbをカウントする。ステップS157では、コンピュータ40aが、対応第1基準月Md1において日平均気温が摂氏20度以上である日数Ddoをカウントする。ステップS158では、コンピュータ40aが、摂氏20度未満である日数Ddbが摂氏20度以上である日数Ddoよりも小さいかを確認する。ステップS158の確認の結果、摂氏20度未満である日数Ddbが摂氏20度以上である日数Ddoよりも小さい場合は、ステップS159に移る。ステップS158の確認の結果、摂氏20度未満である日数Ddbが摂氏20度以上である日数Ddo以上である場合は、ステップS160に移る。ステップS159では、コンピュータ40aが、その対応第1基準月Md1を冷房運転月CMに決定する。ステップS160では、コンピュータ40aが、その対応第1基準月Md1を暖房運転月WMに決定する。
なお、対応第2基準年についてステップS151からステップS160までの処理が行われる場合は、「対応第1基準年Md1」は「対応第2基準年Md2」と読み替えるものとする。
[第2実施形態に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置の特徴]
(1)
本実施の形態に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置40aは、第1基準月Md1または第2基準月Md2の月平均気温Td1,Td2に基づいてその第1基準月Md1または第2基準月Md2を冷房運転月CMまたは暖房運転月WMに決定することができる。
(2)
本実施の形態に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置40aは、第1基準月Md1および第2基準月Md2のうち温度係数TSc1,TSc2,TSw1,TSw2の算出に不適切なものがあればそれを除去する。したがって、空気調和機10の月間消費電力量Pp1,Pp2を推定する方法において温度係数TSc1,TSc2,TSw1,TSw2の精度をできるだけ高く維持することができる。しいては、予測月Mpにおける省エネルギー効率を精度よく推定することができる。
(3)
本実施の形態に係る空気調和機の推定消費電力量算出装置40aは、省エネルギー運転制御を行っていない第1基準年Mb1の月間消費電力量Pb1および月平均気温Tb1ならびに省エネルギー運転制御を行った第2基準年の月間消費電力量Pb2および月平均気温Tb2を利用して、将来に予測される予測省エネルギー効率ECを算出することができる。
<第2実施形態の変形例>
第2実施形態に係る冷暖房運転月の決定ルーチンR150では、予測年Mpおよび対応第1基準月Md1および対応第2基準月Md2における日平均気温を利用して冷暖房運転月を決定したが、これに代えて、推定年Me、ならびに対応第1基準月Md1および対応第2基準月Md2における月平均気温Te,Td1,Td2を利用して冷暖房運転月CM,WMを決定してもよい。