JP4759723B2 - 胚性幹細胞から目的の細胞を得る方法 - Google Patents

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本発明は、胚性幹細胞から目的の細胞を分化誘導しかつ胚性幹細胞から分化した目的の細胞を含む細胞群から実質的に目的の細胞からなる細胞培養物を得る方法に関する。本発明は特に、胚性幹細胞から肝細胞を分化誘導しかつ胚性幹細胞から分化した肝細胞を含む細胞群から実質的に肝細胞からなる細胞培養物を得る方法、該方法に用いられる培地、及び該方法により得られた実質的に肝細胞からなる細胞培養物に関する。
胚性幹細胞は、ES細胞(embryonic stem cell)ともいわれ、外、中、又は内胚葉のいずれの細胞にも分化できる未分化状態の細胞である。再生医療への応用のために胚性幹細胞から特定の細胞を確実に分化誘導する方法の提供が切望されており、種々の研究が行われている(非特許文献1; 非特許文献2)。そのような方法の一例として、胚性幹細胞から神経細胞を分化誘導する方法が知られている(非特許文献3)。
胚性幹細胞からの肝細胞の分化誘導は、機能する肝細胞が極度に減少する肝不全等の疾患に対して細胞移植治療への応用が期待されている。胚性幹細胞から肝細胞を分化誘導する方法としては、例えば、非特許文献4; 非特許文献5; 非特許文献6; 非特許文献7に記載された方法が知られている。しかしながら、これらの方法では、目的の肝細胞とともに種々の異なる細胞が誘導されてしまい、純粋な肝細胞のみからなる細胞培養物を得ることができないという問題があった。種々の細胞を含む細胞培養物から肝細胞のみを分離することは困難であり、経済的にもマイナスであるところから、純粋な肝細胞のみからなる細胞培養物を簡便に、かつ再現性よく得ることができる方法の開発が求められていた。
Curr. Op. Cell Biol., 7, 862, 1995 Stem Cells, 19, 193, 2001 Biol. Reprod., 68, 1727, 2003 Stem Cells, 20, 146, 2002 Liver Transplantation, 9, 1094, 2003 Hepatology, 36, 22, 2002 FEBS Letters, 497, 15, 2001
本発明の課題は、胚性幹細胞から目的の細胞を分化誘導しかつ胚性幹細胞から分化した目的の細胞を含む細胞群から実質的に目的の細胞からなる細胞培養物を得る方法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の成分を実質的に含まない培地を用いることにより、胚性幹細胞から目的の細胞を再現性よく選択的に分化誘導し、かつ胚性幹細胞から分化した目的の細胞を含む細胞群から実質的に目的の細胞からなる細胞培養物を得ることができることを見出した。本発明はこの知見を基に完成されたものである。
すなわち、本発明は、胚性幹細胞から目的の細胞を分化誘導し、かつ胚性幹細胞から分化した目的の細胞を含む細胞群から実質的に目的の細胞からなる細胞培養物を得る方法であって、
(a)胚性幹細胞から胚様体を形成する工程、及び
(b)該胚様体を下記の培地:
・該培地は、目的の細胞の成育に必須である1以上の物質を実質的に含まない
・該物質は、目的の細胞に存在しかつ該細胞群に含まれる目的の細胞以外の細胞には存在しない代謝酵素の産物である
・該培地は、該代謝酵素が該産物を生成するための基質を含む
で培養する工程を含む方法を提供する。
また、本発明は、胚性幹細胞から分化した目的の細胞を含む細胞群から実質的に目的の細胞からなる細胞培養物を得る方法であって、該細胞群を、下記の培地:
・該培地は、目的の細胞の成育に必須である1以上の物質を実質的に含まない
・該物質は、目的の細胞に存在しかつ該細胞群に含まれる目的の細胞以外の細胞には存在しない代謝酵素の産物である
・該培地は、該代謝酵素が該産物を生成するための基質を含む
で培養する工程を含む方法を提供する。
この発明の好ましい態様によれば、目的の細胞が肝細胞であり、該物質がL−アルギニン、L−チロシン、及びピルビン酸からなる群から選ばれる1以上の物質である上記いずれかの方法が提供される。この発明のさらに好ましい態様によれば、培地がさらにL−シスチンを実質的に含まない上記いずれかの方法;培地がさらにD−グルコースを実質的に含まない上記いずれかの方法;及び培地がL−プロリンを含む上記いずれかの方法が提供される。
別の観点からは、胚性幹細胞から目的の細胞を分化誘導し、かつ胚性幹細胞から分化した目的の細胞を含む細胞群から実質的に目的の細胞からなる細胞培養物を得るための培地である、下記の培地:
・該培地は、目的の細胞の成育に必須である1以上の物質を実質的に含まない
・該物質は、目的の細胞に存在しかつ該細胞群に含まれる目的の細胞以外の細胞には存在しない代謝酵素の産物である
・該培地は、該代謝酵素が該産物を生成するための基質を含む;及び、
胚性幹細胞から分化した目的の細胞を含む細胞群から実質的に目的の細胞からなる細胞培養物を得るための培地である、下記の培地:
・該培地は、目的の細胞の成育に必須である1以上の物質を実質的に含まない
・該物質は、目的の細胞に存在しかつ該細胞群に含まれる目的の細胞以外の細胞には存在しない代謝酵素の産物である
・該培地は、該代謝酵素が該産物を生成するための基質を含む
が提供される。
この発明の好ましい態様によれば、目的の細胞が肝細胞であり、該物質がL−アルギニン、L−チロシン、及びピルビン酸からなる群から選ばれる1以上の物質である上記いずれかの培地が提供される。この発明のさらに好ましい態様によれば、さらにL−シスチンを実質的に含まない上記いずれかの培地;さらにD−グルコースを実質的に含まない上記いずれかの培地;及びL−プロリンを含む上記いずれかの培地が提供される。
さらに別の観点からは、上記いずれかの方法により得られた実質的に肝細胞からなる細胞培養物;個体における肝組織を再生する方法であって、上記の細胞培養物を個体に投与する工程を含む方法;上記の細胞培養物を有効成分として含有する医薬;個体における肝組織を再生する方法であって、該医薬を個体に投与する工程を含む方法;上記の細胞培養物を用いる肝組織の再生方法;上記の細胞培養物を用いる肝炎、肝不全などの肝疾患の治療方法;肝組織の再生用医薬を製造するための上記の細胞培養物の使用;肝炎、肝不全などの肝疾患の治療用医薬を製造するための上記の細胞培養物の使用が提供される。
本発明の方法で用いる胚性幹細胞としては、ヒト胚性幹細胞のほか、マウス胚性幹細胞など哺乳類動物の胚性幹細胞を用いることができ、既に培養細胞として確立されている胚性幹細胞を用いることができる。肝疾患の患者から分離した体細胞の核を、卵子の核と入れ替えることによって作り出したクローン胚から取り出した胚性幹細胞を用いることも好ましい。
胚性幹細胞は通常用いられる方法のいずれの方法で調製してもよい。例えば、いわゆるフィーダー細胞を用いて調製してもよいが、調製、培養にあたっては白血病抑制因子(leukemia inhibitory facor, LIF)を含む培地を用いるのが好ましい。その際、アミノ酸類(L-アルギニン、L-チロシン及びL−シスチンを含んでもよい)、ビタミン類、糖類(D-グルコースを含んでもよい)、無機塩類、及び血清などを含んだ培地を用いることができ、例えばGlasgow Minimum Essential Medium (GMEM)培地等の通常の培地を用いることができる。胚性幹細胞は継代培養しておくことも好ましい。
胚性幹細胞は分化誘導の前に、常法により胚様体(Embyoid body)としておくことが好ましい。胚様体の形成には例えば、LIFを添加していないGMEM培地を用い、Curr. Op. Cell Biol., 7, 862, 1995等に記載されるhanging drop method等を用いることができる。培養は1×104細胞/ml〜1×105細胞/mlの濃度で4〜8日行えばよい。胚様体が形成されたか否かは、例えば肉眼及び顕微鏡下の観察で確認できる。hanging drop methodを用いた場合、胚様体はhanging dropの下端に球状の細胞塊として沈降するので、肉眼では微小な白色の球状の細胞塊の形成、顕微鏡下では球状の細胞塊の形成を確認することができる。
本発明の方法に用いられる培地は、目的の細胞の成育に必須である1以上の物質を実質的に含まず;該物質は、目的の細胞に存在しかつ該細胞群に含まれる目的の細胞以外の細胞には存在しない代謝酵素の産物であり;及び、該培地は、該代謝酵素が該産物を生成するための基質を含む。該物質が目的の細胞以外の細胞に存在する代謝酵素の作用によって該基質以外の基質からも生成する場合には、本発明の方法に用いられる培地は、好ましくは、その該基質以外の基質を含まない。なお、本明細書において「代謝酵素」とは1つの代謝反応に関与する「代謝酵素群」を示すこともある。
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、目的の細胞に特異的な代謝酵素の基質を含み、該代謝酵素の産物を実質的に含まないこのような培地を用いることにより、目的の細胞に特異的な代謝酵素の作用を誘導し、目的の細胞に分化させると同時に目的外の細胞を死滅させることができるものと考えられる。従って、本発明に用いられる培地は、胚性幹細胞から分化した目的の細胞を含む細胞群から実質的に目的の細胞からなる細胞培養物を得るためにも有用である。
本発明の胚性幹細胞を肝細胞に分化誘導する方法に用いられる培地は、L−アルギニン、L−チロシン、L−シスチン、及びピルビン酸からなる群から選ばれる1以上の物質、好ましくは2以上の物質、特に好ましくは全てを含まない。また、好ましくは、上記培地はこれらの物質のほか、L−シスチン及び/又はD−グルコースを実質的に含まない。また、上記培地は好ましくはL-プロリンを含む。
L-アルギニン及びL-チロシンは必須アミノ酸であり、それぞれ肝臓においてL-オルニチンより尿素サイルクル、L-フェニルアラニンよりフェニルアラニンヒドロキシラーゼ複合体によって合成される。また、L-シスチンは、肝臓で特異的にL‐システインのスルフヒドリル基が酸化されてジスルフィド結合が形成されて、合成される。エネルギー代謝の過程において、D-グルコースはピルビン酸に分解されるが、肝臓では、D-グルコースだけではなく、D-ガラクトース及びグリセロールが、肝臓に特異的な代謝酵素によりピルビン酸に分解される。
本明細書において、「物質等を実質的に含まない」とは、物質等が、培地中に全く含まれていないか、または目的の細胞に特異的な代謝酵素の作用の誘導を阻害しない濃度以下で含まれていることを意味する。例えば、通常の分析方法で検出できる濃度以下であるとき、すなわちアミノ酸は1ng/l以下、D−グルコースは10ng/l 以下、およびピルビン酸は10ng/l以下であるときは、この意味に含まれる。
上記培地は、好ましくは、L−プロリンを含む。L−プロリンは、の培地中での濃度は 0.0012 g/l〜 1.1 g/l、好ましくは 0.02 g/l〜 0.06 g/l であればよい。上記培地はさらに、(1)アミノ酸類(2)ビタミン類、(3)糖類(好ましくはD-ガラクトース及び/又はグリセロールを含む)、(4)無機塩類を含んでもよい。さらに上記培地は、好ましくは、血清(ウシ、ブタ等)、増殖因子(インスリン、デキサメタゾンのような副腎皮質ホルモン剤等)、アポトーシス阻害剤(アプロチニン等)、還元剤(メルカプトエタノール等)を含んでもよい。なお、血清は、培地から除く必要のある成分を含有する可能性が高いので、好ましくは、透析を行って低分子物質を除去したものを用いる。
培地として、具体的には、例えば、Leibovitz's L-15培地を基にして、L-オルニチンを0.169g/l程度、L-プロリンを0.03g/l程度、グリセロールを0.365ml/l程度、D-ガラクトースを0.9g/l程度の濃度で、さらに仔牛血清を10%程度, インスリン10-9mol/l程度、デキサメサゾン10-9mol/l程度、アプロチニン50U/l程度、メルカプトエタノール5×10-6mol/l程度の濃度で含有する培地を用いることができる。
胚性幹細胞を肝細胞に分化誘導する本発明の方法において、培養は、好ましくは、前述の胚様体形成開始21日〜23日後から行うことができる。培養は、通常の培養条件、例えば5%CO2、35〜40℃で行うことができ、例えば、1〜2日好ましくは2日に一度培地を交換しながら30日から90日間、好ましくは60日間程度行えばよい。
本発明の方法により得られる細胞培養物には、目的の細胞以外の細胞が実質的に含まれておらず、目的の細胞を分離する工程を付加する必要がない。従って、例えば本発明の方法で得られた実質的に肝細胞からなる細胞培養物はそのまま肝組織の再生に用いることが可能である。該細胞培養物をヒト又はマウス等の個体に投与することにより、その個体の肝組織が再生し、その結果肝組織の機能が再生される。従って、本発明の方法で得られた細胞培養物は、例えば、劇症肝炎、部分肝切除術後、又は肝硬変の自然経過中に生じる肝不全などの肝疾患の移植治療を含む再生医療に用いることができる。本明細書において「投与する」という用語は、血中注射する等の意味のほか、肝臓組織に細胞培養物を直接移植する細胞移植等の意味を含む。
本明細書において「実質的に目的の細胞からなる」とは、目的の細胞とその他の細胞の数の比(目的の細胞:その他の細胞)が10:1以下、好ましくは100:1以下、さらに好ましくは1000:1以下であることをいう。
本発明の方法により実質的に肝細胞のみからなる細胞培養物が得られたことは、インドシアニングリーン(ICG)が肝細胞に特異的に取り込まれることを利用した方法(Stem Cells, 20, 146, 2002等参照)や、肝細胞に特異的な遺伝子の発現を検出する方法等により確認することができる。
本発明の方法により得られる実質的に肝細胞からなる細胞培養物は、劇症肝炎、部分肝切除術後、又は肝硬変の自然経過中に生じる肝不全などの肝疾患の治療のための医薬として用いることができる。本発明の方法により得られる細胞培養物を有効成分として含有する医薬は、薬理学的に許容される生理食塩水、添加剤、または培地等を含んでもよいが、血清、ウィルス等の不純物の混入のないのが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
A材料及び方法
(1)マウスES細胞の培養継代と胚様体の形成
129/Ola系マウス由来のES細胞、E14tg2a 及びそのOct3/4遺伝子座にブラストシジン耐性遺伝子を挿入し未分化ES細胞を選択可能なEB5を、10%仔牛血清、非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、0.1mM2-メルカプトエタノール及び1000U/ml、 LIFを含むGMEM培地に定法(5%Co2, 37(C)によって継代培養した。ES細胞からの胚様体の形成は以下のように行った。ES細胞を生理食塩水(PBS)で洗浄後、0.05%トリプシン 0.53mM EDTA処理、停止を行い、ピペッティングにて分散させた細胞を、1000個のES細胞を10%仔牛血清、非アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、0.1mM2-メルカプトエタノールを含むGMEM培地(以下ES media LIF(-)とする) 30(lに浮遊させ、培養皿の底に付着させ、天地を反転させ(以下hanging drop methodとする)、定法にて培養し、胚様体を形成させた。
(2) 胚様体からの肝細胞への分化
上記にて胚様体の形成開始2日後、反転させた培養皿を元に戻し、ES media LIF(-)を追加し、さらに定法にて培養した。培地は、ES media LIF(-)を2日ごとに交換した。EB作成開始21日、表1に示す組成の、アルギニン、チロシンを除いて、オルニチン、グリセロール、プロリン、インスリン、デキサメサゾン、アプロチニン、メルカプトエタノール、透析した仔牛血清を添加した培地(以下hepatocyte selection media, HSM)に変更し、2日に一度培地を交換して、肝細胞に分化させると同時に肝細胞を選択・分離した。
(3) ICGによる肝細胞の同定
ICGを培地に添加し15分間定法にて培養し、光学顕微鏡にて、ICGを取り込んで緑色を呈する肝細胞を確認した。
(4)肝細胞に特異的な遺伝子発現の確認
細胞よりRNAを抽出し、逆転写酵素にて相補的DNA(cDNA)を合成し、PCR法(RT-PCR法にて transthyretin(TTR), アルブミン(Alb)、alpha-feto protein(AFP)を増幅し、2.0%アガロースゲルにて電気泳動した。
(5)肝細胞の濃縮の確認
0.05%トリプシン 0.53mM EDTA処理、停止を行い、ピペッティングにて分散させた細胞を光学顕微鏡下に計測して、解析した。
B. 実験結果
(1) 胚様体から肝細胞への分化と濃縮の確認
HSMによる培養で肝細胞に分化することを、肝細胞に特異的に取り込まれるICGを培地に添加し、肝細胞が生存することを確認した。具体的には、HSMに変更後2ごとに培地を交換し、10日後、培地にICGを添加した。対照として、ES media LIF(-)にて培養し、比較検討した。図1には、ICG添加後の細胞の肉眼像を示す。HSMで培養した細胞塊はICGを取り込んでおり、肝細胞であることが示されている。なお、ES media LIF(-)で培養した細胞群でも、HSMとほぼ同様のICG陽性を呈している。
(2)EBから肝細胞への分化の確認
肝細胞に特異的な遺伝子の発現を検出して肝細胞への分化を確認した。HSMに培地を変更し、2日ごとに培地を交換して10日、RNAを抽出してRT-PCR法を行った結果を図2に示す。HSMで培養した細胞はTTR、Alb、AFPを発現しており、肝細胞であることが示された。なお、対照のES media LIF(-)で培養した細胞ではAlbの発現がみられず、肝細胞への分化が不十分であることが示された。なお、陰性対照とした水では、PCRでは増幅産物が得られなかった。また、ES細胞を、LIF を含む未分化な状態に保つ培地では、TTR, Alb, AFPともに増幅されず、未分化な状態であることが示された。
(3)肝細胞が濃縮されたことの確認
HSMにて肝細胞以外の細胞が死滅することを細胞数を計測して確認した。HSMに培地を変更して2日ごとに培地を交換した。細胞数は、HSMへ変更直前、変更後10日後に細胞数を計測した。図3は細胞数の変化を示す。HSMによる培養では、対照としたES media LIF(-)の1/6にまで細胞数が減少したことが示され、肝細胞以外の細胞が死滅し、肝細胞のみが濃縮され、分離されたことを示唆している。またHSMでは、細胞数が増加しているので、肝細胞への分化が促進されたものと考えられる。
本発明により、胚性幹細胞から目的の細胞を分化誘導しかつ胚性幹細胞から分化した目的の細胞を含む細胞群から実質的に目的の細胞からなる細胞培養物を得る方法が提供される。例えば、本発明の方法により得られる実質的に肝細胞からなる細胞培養物は、肝細胞以外の細胞を実質的に含まないため、そのまま個体に投与することにより肝組織の再生に用いることが可能である。
インドシアニン・グリーンが取り込まれる肝細胞を示す図である。 肝細胞に特異的な遺伝子の発現を検出した結果を示す図である。 肝細胞のみが生存し、他の細胞が死滅して、肝細胞のみが濃縮され、分離されたことを示す図である。

Claims (1)

  1. 胚性幹細胞から分化した肝細胞を含む胚様体から実質的に肝細胞からなる細胞培養物を得る方法であって、該肝細胞を含む胚様体を、下記の表1の組成の培地で培養する工程を含む方法




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