JP4758056B2 - 注入バッグ及び注入システム - Google Patents

Description

【０００１】
（技術分野）
本発明は、注入バッグと注入システムに関する。より詳細には、本発明は、医学的に有効な物質を注入バッグに供給する際に漏れを高度に封止する注入バッグと注入システムに関する。
【０００２】
（発明の背景）
注入バッグは、人又は動物に液体及び医学的に有効な物質を静脈内に輸注するのに用いられる。このために、注入バッグは、例えばカニューレのような接続装置に液体を流すことが出来る少なくとも１つのアウトレットチャネル（出口路）を備えている。この注入バッグから体に投与する液体を調製する場合、医学的に有効な物質を、通常塩化ナトリウム溶液又はグルコース溶液である輸液を満たして予備密封した注入バックに供給するのが普通である。ある特定の場合に、医学的に有効な物質が、特異疾患の指標に応じて予め服用量が処方されている患者以外の人には有害であることがある。これは、長期間の接触による特殊な場合であり、長期間にわたって薬物を取扱い調製する医療関係者に生じ得ることがある。
【０００３】
例えば、サイトタキシン、抗生物質及び抗ウィルス薬を入れた注入バッグを調製する場合である。このために、安全キャビネット内での調製及び個人の防護装備の使用を要求する特別な指示がなされており、これらの防護手段及び装置を用いることなく取り扱うことが出来ないということである。原則として、上記の調製は、医学的に有効な物質を注入バッグの壁面に設けられたインレットチャネル（入口路）に接続した膜を通して注入することにより実施する。この形式で注入する場合、膜を貫通した貫通針を引き抜くときにしばしば漏れが生じる。貫通針は、粗雑なものが多く、漏れの多くは針を引抜く際に生じる。医学的に有効な物質のしずくがカニューレの先端から膜の穿孔を取り囲む領域に運ばれてそこで漏れが生じる。
【０００４】
（発明の要約）
したがって、本発明の目的は、注入バッグを準備する際に医学的に有効な物質に被爆する危険を減じることにある。第２の目的は、任意の場所で漏れを生じることなく準備ができ、準備に要する人員を削減でき、準備時間を短縮でき、処理上の利点を提供し、安全キャビネット形式の特別な周辺装置及び個人防護装置の必要を減じることを可能とする注入バッグを提供することにある。上記の目的は、注入バッグと注入システムにより達成される。この注入バッグは、１つの開口部を持つ一体構造の連通部材と接続して配置されたインレットチャネルを有し、前記開口部には第１の弾性膜が配置され、接続部材上の第２の弾性膜と接近可能であり、前記連通部材は、第２弾性膜を第１弾性膜に押圧保持し、第１弾性膜の表面に飛まつが生じるのを阻止し、バッグに注入後の漏れを防止する。
【０００５】
（好適な実施形態）
図１は、全体を１で示す注入バッグの側面図である。注入バッグ１は、好ましくは可撓材製の壁面３で囲まれた内部空間２を有している。本発明の１実施形態を図１に示す。前壁面３ａは、２つの対向側辺４と５、上辺６及び下辺７に沿って裏壁面３ｂと接続している。この接続は、溶接又はそれに替わる接着により達成されている。このように、内部空間２は、接合された辺縁４〜７により形成されている。しかしながら、本発明は、特定設計の注入バッグに限定されるのではなく、当業者には公知の任意の方法により製造できるものである。アウトレットチャネル（出口路）８とインレットチャネル（入口路）９は、バッグ１の１壁面を介し配設されている。これらのチャネルは、バッグの下辺７に接続するのが好ましく、又、アウトレットチャネル８とインレットチャネル９を安定させるためにその下辺７に沿って補強することが好ましい。本発明の１実施例の場合、これは、前壁面３ａと裏壁面３ｂの間に挿入固定されアウトレットチャネル８を形成するチューブ１０により達成される。このチューブは、使用時までチャネルを密封する手段を予め装備して取付けることができる。これらの密封手段は、当業者には公知の任意の形式のものであってよく、又、チューブ１０を設置後に密封してもよい。
【０００６】
さらに、インレットチャネル９は、連通部材１１の内部に形成されている。この連通部材は、注入バッグの両壁面と一体化されている。これは、この連通部材は両壁面に永久に固定されており、即ち、連通部材は両壁面と一体形成されるか、連通部材を溶接、接着又は他の永久接合によって固定していることを意味する。この連通部材１１は、第１の弾性膜１３を接近可能なように配置した開口部１２を有しており、接続部材上に配設された第２の弾性膜（図示せず）を上記第１弾性膜に押圧することができる。インレットチャネル９は、連通部材１１を通り延びている。膜１３は、液が、注入バッグの内部から周囲環境へ流れるのを阻止するシールを形成する。さらに、連通部材１１は、前記第２弾性膜を第１弾性膜に押圧保持する手段を有している。保持手段は、例えば、リセスに係合する弾性フィンガを持つスナップロックにより構成することが出来る。フィンガ又はリセスは、連通部材上に配設するか、又は、フィンガとリセスを連通部材と接続部材の両方に配設することが出来る。図３に示す好ましい実施例の場合、これらのフィンガは、開口部１２を取り囲んでおり、開口部の対称軸に沿って整列している。好適な実施形態によれば、前記保持手段は、前記接続部材上の対応する第２案内部材（図示せず）と相互に作用するように構成されている第１案内部材１４より成っている。さらに、この第１案内部材は、前記開口部の軸方向延伸部の一般面と角度を成すレスト面を有しており、前記接続部材は、回転によって前記連通部材に対し前記軸方向の延伸部に沿って移動する。
【０００７】
図３は連通部材１１の一実施形態を示し、図２は連通部材１１の参考例を示している。図２の参考例の場合、連通部材１１は、軸方向に貫通したチャネル（通路）９を持つ略円筒体である。この円筒体は、注入バッグの両壁面と永久に一体化するように構成された第１部分１６を有している。さらに、この連通部材は、（図示しない）接続部材と接続するように構成された第２部分１７を有している。好適な参考例において、この第２部分の直径は、第１部分の直径より大きく、壁面と連通部材間の密封性を高めると共に連通部材を接続部材に対し容易に取扱えるようにしている。図２に示す参考例において、膜は、前記連通部材の第１端面１８の表面と接続して配設される。この膜は、当業者には公知の方法、例えば、チャネル９と同軸に設計加工された溝に嵌め込むことにより固定される。この設計により、連通部材は、連通部材の外側に同軸に設置される接続部材と適合する。図１及び３に示す実施形態の場合、膜は、開口部１２内に設置される。この実施形態では、連通部材は、開口部の内壁２０に対し同軸に設置される接続部材と適合する。このために、開口部１２は、円筒状のリセスとして設計され、前記案内部材を有している。この開口部は、チャネルの直径より大きい直径を持つのが好ましく、又、開口部１２の直径は、チャネル９の直径の少なくとも２倍であることが好ましい。さらに、図３による実施形態は、前記連通部材の第１端面１８に多数のフィンガを有している。これらのフィンガは、その端面から軸方向の外側に延伸している。本発明の好適な実施形態において、フィンガは、この面から離れる方向に斜角をつけ、連通部材に対し接続部材を中心に置くための接続部材用の円錐形案内面を実現することが出来る。
【０００８】
前記第１膜及び第２膜がこれらの膜間に正しい圧力が掛けられるとロックされることを保証するために、前記案内部材は、前記接続部材の一部分がエンドストッパに押圧されることにより前記膜方向への前記接続部材の移動を制限するためのエンドストッパを有する。
【０００９】
この文脈において、“正しい圧力”とは、前記第１膜と第２膜が共に膜の降伏点を越える圧力まで押圧された時に前記ロッキング手段が前記接続手段を前記連通部材にロックすることを意味する。これは、膜が互いに押圧される表面で、膜を通る他の任意横断面において同じ特性を有することを意味し、これは、液体が膜の接触面を通して押しだされないことを意味している。かような特性は、第１膜と第２膜が共に１５０ＫＰａを越える圧力まで押圧された時に得られる。好適な実施形態によれば、この降伏点は、接続部材を連通部材にロックするロッキング手段により、第１と第２の膜が接触してから、第２膜を第１膜に向かう方向に少なくとも１.４ｍｍ押圧した時に達成される。
【００１０】
接続部材とインレットチャネルを有する連通部材、連通部材の開口部から前記インレットチャネルを分離する第１弾性膜及び接続部材に配置した第２弾性膜を第１弾性膜に押圧保持する手段より成る流体を漏れなく移送するシステムにつき、十分なシーリングが実現できるまで２つの膜を互いに押圧するために超えなければならない締め付け力を測定する手段を用いて一連の試験を実施した。
【００１１】
これらの試験において、十分なシーリングは、２.９〜１１.１Ｎの範囲の圧縮により達成され、平均は７.６Ｎ、標準偏差は１.７Ｎであった。これは、好ましい範囲が、５.９Ｎ〜９.３Ｎの間であることを意味する。変形長は、１.４ｍｍと２.０ｍｍの間で測定され、好ましい値は、１.７ｍｍであった。膜の直径は、５ｍｍであり、膜の材質は、エラストマーの一種である。十分なシーリングが得られるより正確な測度は、膜が互いに接触する圧力である。好適な実施形態において、上記の力と膜の直径の場合、十分なシーリングが得られるのは接触圧が１５０ＫＰａを超える時である。この装置は、過度に大きい接触圧を掛けた場合に破損する危険があるので、接触圧は、出来る限り制限すべきである。同様な評価において、失敗のない十分なシーリングは、１１.１Ｎまでの接触力により得られ、これは、５６５ｋＰａに相当する。接触圧は、３００〜４７３ｋＰａの間であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
下記の添付図面を参照し本発明の実施形態につき詳細に説明する。
【図１】注入バッグを示す側面図である。
【図２】連通部材の参考例を示す図である。
【図３】連通部材の一実施例を示す図である。

Claims (6)

1. 複数の柔軟な壁面（３）で囲まれた内部空間（２）と、前記壁面（３）の１つを介して前記内部空間（２）と連通するように配置された少なくとも１つのアウトレットチャネル（８）と、前記内部空間（２）に連通するように前記壁面（３）に配置された１つのインレットチャネル（９）と、該インレットチャネル（９）と共に前記壁面（３）に一体的に設けられた連通部材（１１）とを有する注入バッグ（１）において、
   前記連通部材（１１）は、前記インレットチャネル（９）に続けて設けられ、前記注入バッグ（１）の内容物に表面が接して配置された第１弾性膜（１３）と、
   所定の接続部材に配置された第２弾性膜を前記第１弾性膜（１３）に接触可能とすると共に、前記第２弾性膜を前記第１弾性膜（１３）に押圧保持する保持手段とを有し、
   前記連通部材（１１）は、前記注入バッグ（１）の外部に向けて開口した開口部（１２）を有し、
   前記インレットチャネル（９）は、前記開口部（１２）を前記注入バッグ（１）の内部空間に接続しており、
   前記第１弾性膜（１３）は、前記開口部（１２）内に、前記接続部材の前記第２弾性膜と接触可能に配置され、
   前記保持手段は、前記接続部材を案内して前記連通部材（１１）にロックするためのロッキング手段（１４）で構成され、
   前記ロッキング手段（１４）は、前記開口部（１２）の軸方向の延伸部の一般面と角度を成すレスト面より形成され、前記接続部材が前記連通部材（１１）に対して回転することにより前記軸方向の延伸部に沿って移動し、前記第１弾性膜（１３）と前記第２弾性膜とを１５０ｋＰａを越える圧力まで互いに押圧させた時に、前記接続部材を前記連通部材（１１）にロックすることを特徴とする注入バッグ。
2. 前記ロッキング手段（１４）は、エンドストッパを有し、
   前記接続部材の一部が前記エンドストッパに押圧されることにより、該接続部材の前記第１弾性膜（１３）方向への移動を制限することを特徴とする請求項１に記載の注入バッグ。
3. 前記ロッキング手段（１４）は、前記接続部材を前記連通部材（１１）にロックする弾性ロッキング部材より成ることを特徴とする請求項１に記載の注入バッグ。
4. 複数の柔軟な壁面（３）で囲まれた内部空間（２）と、前記壁面（３）の１つを介して前記内部空間（２）と連通するように配置された少なくとも１つのアウトレットチャネル（８）と、前記内部空間（２）に連通するように前記壁面（３）に配置された１つのインレットチャネル（９）と、該インレットチャネル（９）と共に前記壁面（３）に一体的に設けられた連通部材（１１）とを有する注入バッグ（１）と、
   該注入バック（１）と接続される接続部材とを備えた注入システムにおいて、
   前記連通部材（１１）は、前記インレットチャネル（９）に続けて設けられ、前記注入バッグ（１）の内容物に表面が接して配置された第１弾性膜（１３）と、
   前記接続部材に配置された第２弾性膜を前記第１弾性膜（１３）に接触可能とすると共に、前記第２弾性膜を前記第１弾性膜（１３）に押圧保持する保持手段とを有し、
   前記連通部材（１１）は、前記注入バッグ（１）の外部に向けて開口した開口部（１２）を有し、
   前記インレットチャネル（９）は、前記開口部（１２）を前記注入バッグ（１）の内部空間に接続しており、
   前記第１弾性膜（１３）は、前記開口部（１２）内に、前記接続部材の前記第２弾性膜と接触可能に配置され、
   前記保持手段は、前記接続部材を案内して前記連通部材（１１）にロックするためのロッキング手段（１４）で構成され、
   前記ロッキング手段（１４）は、前記開口部（１２）の軸方向の延伸部の一般面と角度を成すレスト面より形成され、前記接続部材が前記連通部材（１１）に対して回転することにより前記軸方向の延伸部に沿って移動し、前記第１弾性膜（１３）と前記第２弾性膜とを１５０ｋＰａを越える圧力まで互いに押圧させた時に、前記接続部材を前記連通部材（１１）にロックすることを特徴とする注入システム。
5. 前記ロッキング手段（１４）は、エンドストッパを有し、
   前記接続部材の一部が前記エンドストッパに押圧されることにより、該接続部材の前記第１弾性膜（１３）方向への移動を制限することを特徴とする請求項４に記載の注入システム。
6. 前記ロッキング手段（１４）は、前記接続部材を前記連通部材（１１）にロックする弾性ロッキング部材より成ることを特徴とする請求項４に記載の注入システム。

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