JP4756880B2 - Pcr反応液の温度制御装置 - Google Patents

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本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応法を適用して、鋳型DNAから目的のDNA分子を増幅する工程中において、該連鎖反応に付随して温度変化させる、反応液の温度を制御する装置に関する。特には、ポリメラーゼ連鎖反応法を適用するDNA増幅方法によって、微量の遺伝子DNAを効率よく増幅する工程において、所望の温度サイクル条件に従って、DNAポリメラーゼ、鋳型DNA、プライマーDNA、及びdNTPを含む反応液の温度を急速に設定温度に移行することで、全工程に要する時間の短縮化を可能とする、PCR反応液の温度制御装置に関する。
微量なDNAを効率的に増幅する方法として、ポリメラーゼ連鎖反応法(polymerase chain reaction, PCR法) が知られている(特許文献1等を参照)。PCR法を適用するDNA分子の増幅方法においては、鋳型DNAとして、二本鎖DNA分子を用いて、先ず、該二本鎖DNA分子を熱変性(ディネーチャ)させて、一本鎖DNAに分離し、分離された各一本鎖DNAに対して、その3’末端部と相補的な塩基配列を有するプライマーをアニーリングさせ、次いで、DNAポリメラーゼを作用させて、前記プラーマーの3’末端に、鋳型の一本鎖DNAと相補的な塩基配列を有するDNA鎖の合成・延長(エクステンション)を行って、それぞれ、二本鎖DNA分子とすることで、DNA分子の増幅が進行する。このディネーチャ工程、アニーリング工程、エクステンション工程で構成される一連の反応(1サイクル)を、複数回繰り返すと、二種のPCRプラーマー(フォワード側プラーマーとリバース側プラーマー)に挟まれる塩基配列領域からなる二本鎖DNA分子が「ネズミ算」的に増幅される。
一般に、前記ディネーチャ工程、アニーリング工程、エクステンション工程で構成される一連の反応において、分離された各一本鎖DNAに対して、相補的な塩基配列を有するプライマーをアニーリングさせる際、目的外の「ミス・フィットを有する」塩基配列に対して、プライマーが誤って結合する可能性がある。次いで、エクステンション工程において、この「ミス・フィットを有する」塩基配列へ結合したプライマーからのDNA鎖の合成・延長を回避するため、アニーリング工程における「アニーリング温度」よりも、エクステンション工程における温度を有意に高く設定し、前記「ミス・フィットを有する」塩基配列へ結合したプライマーは、速やかに解離される条件を選択している。すなわち、エクステンション工程における反応温度は、鋳型の一本鎖DNA上の目的とする塩基配列に結合しているプラーマーは、解離することはないが、前記「ミス・フィットを有する」塩基配列へ結合したプライマーは、速やかに解離される温度領域に選択される。一方、ディネーチャ工程における「熱変性温度」は、互いに相補的な塩基配列を有するDNA鎖からなる二本鎖DNA分子が熱変性され、一本鎖DNAに分離される必要があり、少なくとも、前記エクステンション工程における「反応温度」よりも、有意に高く設定される。
従って、「ディネーチャ工程における熱変性温度」>「エクステンション工程における反応温度」>「アニーリング工程におけるアニーリング温度」の関係を満足し、かつ、前記目的の「有意な温度差」を有するように、各工程の温度条件を設定する。例えば、約94℃で二本鎖DNAを解離(ディネーチャ)させる工程、約55℃でプライマーを一本鎖DNAにアニーリングする工程、及び約72℃で耐熱性のDNAポリメラーゼを使用して、プラーマーの3’末端に相補鎖の延長(エクステンション)を行う工程を含む温度サイクルが利用される。PCR法では、前記温度条件に従って設定される、「ディネーチャ工程における熱変性温度」→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」→「エクステンション工程における反応温度」と反応液の温度を変更する間に、1サイクルの反応が進行し、かかる温度サイクルを所望の回数繰り返す。
前記エクステンション工程に要する反応時間は、相補的なDNA鎖の合成、延長を行うDNAポリメラーゼ酵素の酵素反応時間に依存している。そのため、かかる72℃程度の「エクステンション工程における反応温度」において、高い酵素活性を示し、且つ、高温に長時間曝される際に、酵素活性の劣化が少ない、耐熱性のDNAポリメラーゼの利用、改良がなされている。また、各工程における、反応液内における液温の均一化、ならびに、各工程中における温度変動を防止する試みが多くなされている。一方、各工程間には、「有意な温度差」が設定されており、その工程間における、反応液温度を変更する「昇温/降温」に要する時間を短縮して、DNAポリメラーゼ酵素が高温に曝される「実効的な延べ時間」を抑制する手法の開発も望まれている。例えば、「エクステンション工程における反応温度」→「ディネーチャ工程における熱変性温度」の昇温過程、あるいは、「ディネーチャ工程における熱変性温度」→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」の降温過程に不必要に時間を要すると、DNAポリメラーゼ酵素が85℃以上の高温に曝される時間が相対的に長くなってしまう。
加えて、各工程間における、反応液温度を変更する「昇温/降温」に要する時間、すなわち、過渡的な「待ち時間」の間にも、DNAポリメラーゼ酵素反応が進行する。仮に、プライマーが誤って、「ミス・フィットを有する」塩基配列へ結合した場合も、通常、「アニーリング工程におけるアニーリング温度」→「エクステンション工程における反応温度」へと昇温する間に、「ミス・フィットを有する」塩基配列に結合したプライマーの離脱がなされる。但し、例えば、「アニーリング工程におけるアニーリング温度」→「エクステンション工程における反応温度」の「昇温」に不必要に時間がかかると、「ミス・フィットを有する」塩基配列へ結合したプライマーが完全に解離しない間に、その3’末端に相補鎖の延長(エクステンション)が進行する可能性が増すことになる。仮に、このような3’末端に相補鎖の延長(エクステンション)が進行すると、かかる延長(エクステンション)部分は「完全フィット」しており、最早、「エクステンション工程における反応温度」では解離しないものとなる可能性がある。結果的に、PCR増幅産物中に、目的外の増幅物が混入する頻度を増す要因ともなる。
さらには、1サイクルの反応に要する時間を短縮し、所望の繰り返し回数の増幅反応をより短時間で終了させる上では、反応液温度を変更する「昇温/降温」に要する時間、すなわち、過渡的な「待ち時間」を削減することが必要となる。
米国特許第4,683,202号明細書
PCR反応による増幅過程では、「ディネーチャ工程」→「アニーリング工程」→「エクステンション工程」の1回の熱サイクルの間に、鋳型となる一本鎖DNAに対して、PCRプライマーをハイブリダイズさせ、このプライマーDNAの3’末端に鋳型DNAの塩基配列と相補的なDNA鎖の伸長を行う。その際、鋳型となっていた一本鎖DNAの総数に対する、伸長反応で作製された一本鎖DNAの総数の比率は、この熱サイクルにおける増幅率である。PCRプライマーは、反応液中に大量に添加されており、鋳型となる一本鎖DNAに対するPCRプライマーのハイブリダイズ効率は、熱サイクルの繰り返し回数が増加しても、実質的に変化しないが、相補的なDNA鎖の伸長を行うDNAポリメラーゼ酵素は、少量しか添加されてなく、熱サイクルを繰り返す間に、熱的に酵素活性の失活した酵素比率が増加すると、増幅率が低下していく。
具体的には、DNAポリメラーゼ酵素一分子が、「エクステンション工程」の間にDNA鎖の伸長を完了する反応回数自体には限界があり、酵素活性を維持するDNAポリメラーゼ酵素分子の数と、この酵素一分子当たりの反応回数上限との積(活性な酵素分子数)×(酵素一分子当たりの反応回数上限)が、1回の熱サイクルの間に新たに伸長可能なDNA鎖数の上限となっている。熱サイクルを繰り返す間に、熱的に酵素活性の失活した酵素比率が増加する、すなわち、活性な酵素分子数が減少すると、1回の熱サイクルの間に新たに伸長可能なDNA鎖数の上限:(活性な酵素分子数)×(酵素一分子当たりの反応回数上限)が低下していく。一方、熱サイクルの繰り返し回数が増すと、鋳型となる一本鎖DNAの総数は指数関数的に増加していくが、ある繰り返し回数以降、鋳型となる一本鎖DNAの総数が、(活性な酵素分子数)×(酵素一分子当たりの反応回数上限)を上回り、それ以降の熱サイクルでは、増幅率が急速に低下することになる。
PCR反応において、複数回の熱サイクルを繰り返す間に達成される「全体の増幅効率」の向上を図る上では、熱的に酵素活性の失活した酵素比率の増加を抑制することが大きな効果を示す。この酵素活性の熱的失活は、DNAポリメラーゼが高温状態に曝されている伸べ時間が増すとともに進行するので、熱的に酵素活性の失活した酵素比率の増加を抑制する上では、DNAポリメラーゼが高温状態に曝されている伸べ時間を抑制することが効果的である。
より具体的には、熱サイクルを構成する「ディネーチャ工程」→「アニーリング工程」→「エクステンション工程」過程のうち、特に、80℃を超える高い温度の状態、すなわち、「ディネーチャ工程」とその前後の「昇温/降温」過程において、反応液温度が80℃を超えている時間を抑制することが先ず必要となる。その際、「ディネーチャ工程」の時間、すなわち、所定の「ディネーチャ工程における熱変性温度」に反応液を保持し、二本鎖DNAを解離して、鋳型となる一本鎖DNA分子とする時間は、鋳型DNAの塩基長に依存して、適宜設定され、任意に削減することは困難である。一方、その前後の「昇温/降温」過程において、反応液温度が80℃を超えている時間帯は、PCR反応において、必須なものでなく、反応液温度が80℃を超えている時間を抑制する目的からは、可能な限り削減することが望まれている。加えて、それ以外の必須でない時間、すなわち、「アニーリング工程」→「エクステンション工程」の降温過程に要する時間をも削減することも、少ないながら、更なる貢献が期待できる。
本発明は前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、PCR反応に際して、「ディネーチャ工程における熱変性温度」→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」→「エクステンション工程における反応温度」と反応液の温度を変更する熱サイクルにおいて、各工程間の「昇温/降温」操作に要する時間、すなわち、過渡的な「待ち時間」を大幅に短縮することが可能となる温度制御方式を採用する、PCR反応液の温度制御装置を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために、先ず、従来型のPCR反応液の温度制御装置を利用して、「ディネーチャ工程における熱変性温度」→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」→「エクステンション工程における反応温度」と反応液の温度を変更する熱サイクルを実施した際、各工程間の「昇温/降温」操作に要する時間、すなわち、過渡的な「待ち時間」を決定していた要因の解析を行った。
図1、図9を参照して、従来型のPCR反応液の温度制御装置において、熱サイクルを実施する際、各工程間の「昇温/降温」操作に要していた時間、すなわち、過渡的な「待ち時間」を決定していた要因に関して説明する。例えば、図1に示す、従来型のPCR反応液の温度制御装置は、そのハードウエア的構成として、生化学反応カートリッジ1とペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5を用いた加熱冷却器8とからなる装置構成を有している。PCR反応液は、生化学反応カートリッジ1における反応液チャンバ2内に、流路3より送入される。この反応液チャンバ2内において、PCR反応を行った後、PCR増幅産物を含む反応液は、流路4を介して、流出される。流路4を介して、反応液を流出する際には、不図示の手段、例えば、シリンジポンプ等により気体(例えば、空気)を流路3側から供給し、同時に、流路4側から反応液チャンバ2内の反応液を吸引する。
反応液チャンバ2内の反応液温度の制御は、生化学反応カートリッジ1の反応液チャンバ2直下に、該カートリッジ1の底面と接して配置されている加熱冷却器8を利用して行われる。図1の装置構成では、この加熱冷却器8として、外部への熱放出に利用される放熱器6を付設した、ペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5が使用されている。例えば、反応開始前、生化学反応カートリッジ1の反応液チャンバ2全体は、室温(例えば、20℃)とされており、開始前の状態では、加熱冷却器8のペルチェ・ユニット5は、生化学反応カートリッジ1の裏面とは、分離されているが、その後の「昇温/降温」がなされる各工程に移行する際、加熱冷却器8のペルチェ・ユニット5は、生化学反応カートリッジ1裏面の反応液チャンバ2の直下に、熱伝導による良好な熱量の授受が可能な緻密な接触がなされるように配置される。この生化学反応カートリッジ1と加熱冷却器8との接触は、図1中に記号Aで示す、加熱冷却器8の着脱操作によって行う。また、一連の温度サイクルが終了後、室温(例えば、20℃)へ降温された時点で、生化学反応カートリッジ1から加熱冷却器8は離脱される。生化学反応カートリッジ1裏面の反応液チャンバ2の直下に位置するペルチェ・ユニット5自体の温度をモニターするため、ペルチェ素子の表面付近に温度センサ7が内蔵されている。
一方、生化学反応カートリッジ1自体は、反応液チャンバ2の上面と底面との間に、実質的な温度差が生じないように、反応液チャンバ2の高さを低くし、全体的に小型化、薄型化が図られた構造が選択されている。そのため、反応液内部では、上下方向に熱対流が生じることはなく、カートリッジ1の底面を経由する熱伝導によって、反応液と加熱冷却器8との間で熱量の授受がなされる。多くの場合、反応液温度を直接測定する代わりに、反応液チャンバ2の上部内壁面の近傍に温度センサ(不図示)を付設し、反応液の温度をモニターする構成が採用される。
図8は、前記図1に示すハードウエア構成を有するPCR反応液の温度制御装置において、従来型の温度制御用プログラムを用いて、「ディネーチャ工程における熱変性温度」→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」→「エクステンション工程における反応温度」と反応液の温度を変更する熱サイクルを実施した際、加熱冷却器8のペルチェ・ユニット5の上表面温度Tsourceと、反応液温度Tの時間的推移の一例を示す。
図8−(a)に例示するように、反応開示前は、ペルチェ・ユニット5の温度設定を行う温度指令値90は、室温(例えば、20℃)に設定されており、ペルチェ・ユニット5の上表面温度Tsourceと、反応液温度Tとは、室温(例えば、20℃)で安定化されている。次いで、初回の熱サイクルが開示した時点で、ステップ状に、ペルチェ・ユニット5の温度指令値91を、「ディネーチャ工程における熱変性温度」の94℃に設定変更する。ペルチェ・ユニット5の上表面温度Tsourceは、この温度指令値91に従って、ステップ状に上昇し、速やかに94℃に達する。一方、反応液は、ペルチェ・ユニット5の上表面との温度差(Tsource−T)に比例する、カートリッジ1底面部の温度勾配(dT/dx)に基づき、熱伝導過程による熱流(dQ/dt)によって供給される熱量Qにより加熱され、反応液温度Tの上昇が進む。勿論、この熱流(dQ/dt)は、ほぼ、温度差(Tsource−T)に比例し、また、反応液温度Tの上昇率(dT/dt)は、単位時間当たりに供給される熱量(dQ/dt)に比例するため、上昇率(dT/dt)は、ほぼ、温度差(Tsource−T)に比例したものとなる。反応液温度Tが上昇するとともに、温度差(Tsource−T)は減少し、結果的に、熱伝導過程で供給される単位時間当たりの熱量(dQ/dt)も減少する。すなわち、図8−(b)に模式的に示すように、反応液温度Tの上昇率(dT/dt)は、急速に低下し、その際、反応液温度Tは、ある熱時定数τthermalを持つ指数関数的な温度推移21を示して、目標値94℃に達する。この時間幅の2/3程度が、「昇温」過程に費やされており、特に、反応液温度Tが、80℃を超えた後、目標値94℃に達するまでの時間は、この時間幅の1/3程度にもなっている。加えて、2回目の熱サイクルにおいて、「エクステンション工程における反応温度」→「ディネーチャ工程における熱変性温度」への「昇温」過程では、当初の温度差は、(94℃−72℃)と小さいが、反応液温度Tが、80℃を超えた後、目標値94℃に達するまでの時間は、初回の熱サイクルにおいて要する時間と同等となっている。以上の結果から、図8―(a)に例示するような、従来型の温度制御用プログラムを採用するPCR反応液の温度制御装置を用いた際には、「昇温/降温」操作における反応液温度Tの温度推移は、(Tsource−T)=(Tsource−T)t=0×exp[−t/τthermal]で近似できることを見出した。
この知見に基づき、本発明者は、熱サイクルにおける「昇温/降温」操作において、目的の反応液温度に到達し、安定化するまでの時間、つまり、「昇温/降温」操作に伴う「過渡的な(待ち)時間帯」を低減する手段を検討した結果、「昇温/降温」操作の段階では、ペルチェ・ユニット5の上表面温度Tsourceと反応液温度Tとの差(Tsource−T)を大きく設定すると、目標とする反応液温度Ttargetに到達するに要する時間を短縮でき、反応液温度Tが、目標とする反応液温度Ttargetに達した時点で、ペルチェ・ユニット5の上表面温度Tsourceを目標とする反応液温度Ttargetに設定し直すと、その後は、ペルチェ・ユニット5の上表面とカートリッジ1底面との間で授受される熱量Qは零となり、それ以降、反応液温度Tは、目標とする反応液温度Ttargetに安定化されることを見出した。すなわち、前述するように、熱サイクルにおける「昇温/降温」操作において、ペルチェ・ユニット5の上表面温度Tsourceと反応液温度Tとの差(Tsource−T)を、目標とする反応液温度Ttargetと反応液温度Tとの差(Ttarget−T)よりも大きくなるように、ペルチェ・ユニット5の温度設定を行う温度指令値を選択する温度制御用プログラムを用いるPCR反応液の温度制御装置とすることで、「昇温/降温」操作に伴う「過渡的な(待ち)時間帯」を大幅に低減することが可能となることを、本発明者は見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一形態にかかるPCR反応液の温度制御装置は、
DNAポリメラーゼ、鋳型DNA、プライマーDNA及びdNTPを含む反応液を、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに従って、該反応液温度Tを周期的に変化させ、PCR反応による増幅を行う際に使用されるPCR反応液の温度制御装置であって、
該反応液の温度制御装置は、
前記温度サイクルの過程として、各工程における反応液温度を、Tdenature>Textension≧Tannealingと選択する条件において、
前記反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、前記反応液を保持する液収納部材と、その液収納部材の外部に接して設けられる加熱冷却部とを備え、反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は前記液収納部材を介する熱伝導過程によって行う機構を有し、
前記熱交換機構において熱供給源、熱吸収源として機能する加熱冷却部における、液収納部材の外部と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceを制御するための加熱冷却部温度設定機構と、
該温度サイクル過程における加熱冷却部温度Tsourceの設定条件を規定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムとを備え、
前記温度サイクルの過程として、該反応液温度Tを
「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureに保持する「ディネーチャ工程」、
denature→Tannealingへと変化させる「降温工程」、
「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealingに保持する「アニーリング工程」、
annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」、
「エクステンション工程における反応温度」Textensionに保持する「エクステンション工程」
extension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」の6つの工程に区分した上、
各工程における、前記加熱冷却部温度Tsourceの設定値を、
「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1
「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4
「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2
「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5
「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3
「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6、と定義する際、
1=Tdenature、T2=Tannealing、T3=Textensionであり、
4 2 、T5≧T3、T6≧T1の範囲であって、
少なくとも、T4 2 、T5≠T3、T6≠T1のいずれか一つの条件を満足する値に設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムが選択されている
ことを特徴とするPCR反応液の温度制御装置である。
また、本発明の第二形態にかかるPCR反応液の温度制御装置は、
DNAポリメラーゼ、鋳型DNA、プライマーDNA及びdNTPを含む反応液を、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに従って、該反応液温度Tを周期的に変化させ、PCR反応による増幅を行う際に使用されるPCR反応液の温度制御装置であって、
該反応液の温度制御装置は、
前記温度サイクルの過程として、各工程における反応液温度を、Tdenature>Textension≧Tannealingと選択する条件において、
前記反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、温度サイクルの間、前記反応液が所定の流速で移動する流路と、その流路の構成部材の外部に接して、流路に沿って設けられる加熱冷却部とを備え、流路内を移動する反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は前記流路の構成部材を介する熱伝導過程によって行う機構を有し、
前記熱交換機構において熱供給源、熱吸収源として機能する加熱冷却部における、流路の構成部材の外部と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceを制御するための加熱冷却部温度設定機構と、
該温度サイクル過程の間に反応液が移動する流路に沿った、各流路部分に設ける加熱冷却部温度Tsourceの設定条件を規定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムとを備え、
前記温度サイクルの過程として、該反応液温度Tを
「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureに保持する「ディネーチャ工程」、
denature→Tannealingへと変化させる「降温工程」、
「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealingに保持する「アニーリング工程」、
annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」、
「エクステンション工程における反応温度」Textensionに保持する「エクステンション工程」
extension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」の6つの工程に区分した上、
各工程において、反応液が移動する各流路部分に設ける前記加熱冷却部温度Tsourceの設定値を、
「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1
「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4
「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2
「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5
「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3
「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6、と定義する際、
1=Tdenature、T2=Tannealing、T3=Textensionであり、
4 2 、T5≧T3、T6≧T1の範囲であって、
少なくとも、T4 2 、T5≠T3、T6≠T1のいずれか一つの条件を満足する値に設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムが選択されている
ことを特徴とするPCR反応液の温度制御装置である。
同時に、本発明は、上述するPCR反応液の温度制御装置が好適に適用可能なPCR反応液の温度制御方法の発明をも提供しており、
すなわち、本発明にかかるPCR反応液の温度制御方法は、
DNAポリメラーゼ、鋳型DNA、プライマーDNA及びdNTPを含む反応液を、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに従って、該反応液温度Tを周期的に変化させ、PCR反応による増幅を行う際に使用されるPCR反応液の温度制御方法であって、
該反応液の温度制御方法は、
前記温度サイクルの過程として、各工程における反応液温度を、Tdenature>Textension≧Tannealingと選択する条件において、
前記反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、前記反応液を保持する容器と、その容器の外部に接して設けられる加熱冷却部とを備え、反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は前記容器を介する熱伝導過程によって行う温度制御方式を用いて、
前記熱交換機構において熱供給源、熱吸収源として機能する加熱冷却部における、容器の外部と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceを制御するための加熱冷却部温度設定機構と、
該温度サイクル過程における加熱冷却部温度Tsourceの設定条件を規定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムとを使用して、
前記温度サイクルの過程として、該反応液温度Tを
「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureに保持する「ディネーチャ工程」、
denature→Tannealingへと変化させる「降温工程」、
「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealingに保持する「アニーリング工程」、
annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」、
「エクステンション工程における反応温度」Textensionに保持する「エクステンション工程」
extension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」の6つの工程に区分した上、
各工程における、前記加熱冷却部温度Tsourceの設定値を、
「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1
「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4
「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2
「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5
「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3
「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6、と定義する際、
1=Tdenature、T2=Tannealing、T3=Textensionであり、
4 2 、T5≧T3、T6≧T1の範囲であって、
少なくとも、T4 2 、T5≠T3、T6≠T1のいずれか一つの条件を満足する値に設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムを選択して、反応液の温度制御を行う
ことを特徴とするPCR反応液の温度制御方法である。
本発明にかかるPCR反応液の温度制御装置では、「ディネーチャ工程における熱変性温度」→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」→「エクステンション工程における反応温度」と反応液の温度を変更する熱サイクルにおいて、各工程間の「昇温/降温」操作に要する時間、すなわち、過渡的な「待ち時間」を大幅に短縮することが可能となる。すなわち、「ディネーチャ工程」、「アニーリング工程」、「エクステンション工程」において、所望の反応液温度に保持される必須な時間を確保した上で、各工程間の「昇温/降温」操作に要する時間を削減でき、1回の熱サイクルに要する合計時間を最小限とできる。その結果、所望回数の熱サイクルを完了するまでの、PCR反応の所要時間が短縮され、効率的な増幅反応を実施することが容易となる。例えば、「ディネーチャ工程」の時間、ならびに、その前後の「昇温/降温」操作に要する時間の間、DNAポリメラーゼ酵素は高温状態に曝され、熱サイクルの繰り返し回数が増すとともに、熱的に酵素活性が失活した酵素比率が増加し、増幅効率の低下の主要な原因となるが、本発明にかかるPCR反応液の温度制御装置を利用すると、前記熱的に酵素活性が失活した酵素比率の増加を抑制する効果が得られる。
以下に、本発明をより詳しく説明する。
本発明にかかるPCR反応液の温度制御装置は、反応液温度Tの制御における加熱冷却手段として、所定の温度Tsourceに設定されている加熱冷却部を熱供給源、熱吸収源として採用し、この加熱冷却部と反応液との間の熱の授受は、両者間の温度差(温度勾配)に因る熱伝導過程を利用している。そのため、PCR反応において、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルにおいて、反応液温度Tを一定に保持する「ディネーチャ工程」、「アニーリング工程」、「エクステンション工程」では、加熱冷却部温度Tsourceをそれぞれ、T1=Tdenature、T2=Tannealing、T2=Textensionに維持する構成としている。一方、各工程間において、反応液温度Tを変更する「昇温/降温」操作の工程;Tdenature→Tannealingへと変化させる「降温工程」、Tannealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」、Textension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」の際、加熱冷却部温度Tsourceをそれぞれ、T4≦T2(Tannealing)、T5≧T3(Textension)、T6≧T1(Tdenature)の範囲に設定、維持することで、この「昇温/降温」操作に要する時間の短縮を図っている。
具体的には、Textension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」における、加熱冷却部温度TsourceをT6>T1(Tdenature)と設定すると、反応液温度Tの時間的推移は、(T6−T)=(T6−Textension)×exp[−t/τthermal]と近似的に表され、T=Tdenatureに達するまでに要する時間は、「第一の昇温工程」における加熱冷却部温度TsourceをT6=T1(Tdenature)と設定する従来の手法と比較し、有意に低減される。次いで、反応液温度Tが、Tdenatureに達した時点で、加熱冷却部温度TsourceをT6から、T1=Tdenatureへと変更すると、その後は、反応液温度Tは、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureに保持される状態となる。本発明は、この手段を利用することで、熱サイクルにおいて、各工程間の「昇温/降温」操作に要する時間、すなわち、過渡的な「待ち時間」を大幅に短縮することの可能な温度制御方式に対応する、加熱冷却部温度Tsourceを設定するための、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムを装備する温度制御装置を構成している。
本発明にかかるPCR反応液の温度制御装置においては、反応液温度Tの制御における加熱冷却手段として、所定の温度Tsourceに設定されている加熱冷却部を熱供給源、熱吸収源として採用し、この加熱冷却部と反応液との間の熱の授受は、両者間の温度差(温度勾配)に因る熱伝導過程を利用している限り、様々な形態の反応液温度Tを制御するための熱交換機構を有するハードウエア構成に適用できる。
前述する熱交換機構の相違によって、本発明にかかるPCR反応液の温度制御装置の主要な形態として、下記する二種の形態を挙げることができる。
すなわち、本発明の第一形態にかかるPCR反応液の温度制御装置は、
DNAポリメラーゼ、鋳型DNA、プライマーDNA及びdNTPを含む反応液を、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに従って、該反応液温度Tを周期的に変化させ、PCR反応による増幅を行う際に使用されるPCR反応液の温度制御装置であって、
該反応液の温度制御装置は、
前記温度サイクルの過程として、各工程における反応液温度を、Tdenature>Textension≧Tannealingと選択する条件において、
前記反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、前記反応液を保持する液収納部材と、その液収納部材の外部に接して設けられる加熱冷却部とを備え、反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は前記液収納部材を介する熱伝導過程によって行う機構を有し、
前記熱交換機構において熱供給源、熱吸収源として機能する加熱冷却部における、液収納部材の外部と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceを制御するための加熱冷却部温度設定機構と、
該温度サイクル過程における加熱冷却部温度Tsourceの設定条件を規定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムとを備え、
前記温度サイクルの過程として、該反応液温度Tを
「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureに保持する「ディネーチャ工程」、
denature→Tannealingへと変化させる「降温工程」、
「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealingに保持する「アニーリング工程」、
annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」、
「エクステンション工程における反応温度」Textensionに保持する「エクステンション工程」
extension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」の6つの工程に区分した上、
各工程における、前記加熱冷却部温度Tsourceの設定値を、
「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1
「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4
「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2
「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5
「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3
「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6、と定義する際、
1=Tdenature、T2=Tannealing、T3=Textensionであり、
4 2 、T5≧T3、T6≧T1の範囲であって、
少なくとも、T4 2 、T5≠T3、T6≠T1のいずれか一つの条件を満足する値に設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムが選択されている
ことを特徴とするPCR反応液の温度制御装置である。この本発明の第一形態にかかるPCR反応液の温度制御装置においては、前記温度サイクル過程における加熱冷却部温度Tsourceの設定条件を規定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムでは、
1=Tdenature、T2=Tannealing、T3=Textensionであり、
少なくとも、T4 2 、T1>T5≧T3、T6>T1の範囲となるように設定する、温度制御プログラムを選択することがより好ましい。
なお、PCR反応においては、利用するプライマーの塩基配列、塩基長の選択によっては、「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealingと「エクステンション工程における反応温度」Textensionとを等しく設定することも可能であり、本発明の第一形態においても、かかるPCR反応条件に対応する温度制御プログラムを選択することも可能である。具体的には、
前記「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルにおいて、
extension=Tannealingと選択する際、
annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」の所要時間を零に選択し、
対応する「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2、「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3、ならびに、「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5を、
2=T3=Textension
5=T3=Textensionとそれぞれ設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムが選択されている装置構成を採用することができる。
また、本発明の第二形態にかかるPCR反応液の温度制御装置は、
DNAポリメラーゼ、鋳型DNA、プライマーDNA及びdNTPを含む反応液を、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに従って、該反応液温度Tを周期的に変化させ、PCR反応による増幅を行う際に使用されるPCR反応液の温度制御装置であって、
該反応液の温度制御装置は、
前記温度サイクルの過程として、各工程における反応液温度を、Tdenature>Textension≧Tannealingと選択する条件において、
前記反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、温度サイクルの間、前記反応液が所定の流速で移動する流路と、その流路の構成部材の外部に接して、流路に沿って設けられる加熱冷却部とを備え、流路内を移動する反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は前記流路の構成部材を介する熱伝導過程によって行う機構を有し、
前記熱交換機構において熱供給源、熱吸収源として機能する加熱冷却部における、流路の構成部材の外部と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceを制御するための加熱冷却部温度設定機構と、
該温度サイクル過程の間に反応液が移動する流路に沿った、各流路部分に設ける加熱冷却部温度Tsourceの設定条件を規定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムとを備え、
前記温度サイクルの過程として、該反応液温度Tを
「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureに保持する「ディネーチャ工程」、
denature→Tannealingへと変化させる「降温工程」、
「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealingに保持する「アニーリング工程」、
annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」、
「エクステンション工程における反応温度」Textensionに保持する「エクステンション工程」
extension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」の6つの工程に区分した上、
各工程において、反応液が移動する各流路部分に設ける前記加熱冷却部温度Tsourceの設定値を、
「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1
「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4
「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2
「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5
「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3
「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6、と定義する際、
1=Tdenature、T2=Tannealing、T3=Textensionであり、
4 2 、T5≧T3、T6≧T1の範囲であって、
少なくとも、T4 2 、T5≠T3、T6≠T1のいずれか一つの条件を満足する値に設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムが選択されている
ことを特徴とするPCR反応液の温度制御装置である。その際、本発明の第二形態にかかるPCR反応液の温度制御装置においても、前記温度サイクル過程における加熱冷却部温度Tsourceの設定条件を規定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムでは、
1=Tdenature、T2=Tannealing、T3=Textensionであり、
少なくとも、T4 2 、T1>T5≧T3、T6>T1の範囲となるように設定する、温度制御プログラムを選択することがより好ましい。
勿論、PCR反応においては、利用するプライマーの塩基配列、塩基長の選択によっては、「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealingと「エクステンション工程における反応温度」Textensionとを等しく設定することも可能であり、本発明の第二形態においても、かかるPCR反応条件に対応する温度制御プログラムを選択することも可能である。具体的には、
前記「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルにおいて、
extension=Tannealingと選択する際、
annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」の所要時間を零に選択し、
対応する「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2、「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3、ならびに、「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5を、
2=T3=Textension
5=T3=Textensionとそれぞれ設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムを選択することが望ましい。
本発明の第二の形態にかかるPCR反応液の温度制御装置では、前記温度サイクル過程の各工程に要する時間の間、加熱冷却部温度Tsourceの設定値がそれぞれT1、T4、T2、T5、T3、T6に設定されている各流路部分を反応液が順次通過し、流路沿って設けられている加熱冷却部と熱交換を行う。そのため、通常、
該温度サイクル過程の間に反応液が移動する流路は、
前記「ディネーチャ工程」、「降温工程」、「アニーリング工程」、「第二の昇温工程」、「エクステンション工程」、「第一の昇温工程」の6つに区分した工程に要する時間と、
流路沿って設ける加熱冷却部温度Tsourceの設定値;T1、T4、T2、T5、T3、T6を有する各流路部分を反応液が通過する上で要する時間とが対応するように、
各流路部分の流路距離を選択する構造とする。少なくとも、
前記各流路部分を反応液が通過する上で要する時間は、
各流路部分の流路距離と、該流路を移動する反応液の流速とを設定することで選択されている構成とする。
さらに、本発明にかかるPCR反応液の温度制御方法は、
DNAポリメラーゼ、鋳型DNA、プライマーDNA及びdNTPを含む反応液を、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに従って、該反応液温度Tを周期的に変化させ、PCR反応による増幅を行う際に使用されるPCR反応液の温度制御方法であって、
該反応液の温度制御方法は、
前記温度サイクルの過程として、各工程における反応液温度を、Tdenature>Textension≧Tannealingと選択する条件において、
前記反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、前記反応液を保持する容器と、その容器の外部に接して設けられる加熱冷却部とを備え、反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は前記容器を介する熱伝導過程によって行う温度制御方式を用いて、
前記熱交換機構において熱供給源、熱吸収源として機能する加熱冷却部における、容器の外部と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceを制御するための加熱冷却部温度設定機構と、
該温度サイクル過程における加熱冷却部温度Tsourceの設定条件を規定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムとを使用して、
前記温度サイクルの過程として、該反応液温度Tを
「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureに保持する「ディネーチャ工程」、
denature→Tannealingへと変化させる「降温工程」、
「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealingに保持する「アニーリング工程」、
annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」、
「エクステンション工程における反応温度」Textensionに保持する「エクステンション工程」
extension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」の6つの工程に区分した上、
各工程における、前記加熱冷却部温度Tsourceの設定値を、
「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1
「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4
「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2
「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5
「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3
「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6、と定義する際、
1=Tdenature、T2=Tannealing、T3=Textensionであり、
4 2 、T5≧T3、T6≧T1の範囲であって、
少なくとも、T4 2 、T5≠T3、T6≠T1のいずれか一つの条件を満足する値に設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムを選択して、反応液の温度制御を行う
ことを特徴とするPCR反応液の温度制御方法であるが、
かかるPCR反応液の温度制御方法を、本発明の第一形態にかかるPCR反応液の温度制御装置を利用して実施する際には、
前記反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、前記反応液を保持する容器と、その容器の外部に接して設けられる加熱冷却部とを備え、反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は前記容器を介する熱伝導過程によって行う温度制御方式は、
前記反応液を保持する容器として、前記反応液を保持する液収納部材を選択した上で、
前記反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、前記反応液を保持する液収納部材と、その液収納部材の外部に接して設けられる加熱冷却部とを備え、反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は前記液収納部材を介する熱伝導過程によって行う温度制御方式とする。また、かかるPCR反応液の温度制御方法を、本発明の第二形態にかかるPCR反応液の温度制御装置を利用して実施する際には、
前記反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、前記反応液を保持する容器と、その容器の外部に接して設けられる加熱冷却部とを備え、反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は前記容器を介する熱伝導過程によって行う温度制御方式は、
前記反応液を保持する容器として、温度サイクルの間、前記反応液が所定の流速で移動する流路を選択した上で、
前記反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、温度サイクルの間、前記反応液が所定の流速で移動する流路と、その流路の構成部材の外部に接して、流路に沿って設けられる加熱冷却部とを備え、流路内を移動する反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は前記流路の構成部材を介する熱伝導過程によって行う温度制御方式とする。
以下に、本発明における好適な形態を、さらに詳しく説明する。
本発明の第一の形態にかかるPCR反応液の温度制御装置では、反応液温度Tの制御における加熱冷却手段として、所定の温度Tsourceに設定されている加熱冷却部を熱供給源、熱吸収源として採用し、この加熱冷却部と反応液との間の熱の授受は、両者間の温度差(温度勾配)に因る熱伝導過程を利用する際、PCR反応液は、所定の形状の液溜めを有する容器内に収納した状態とする。すなわち、反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、反応液を保持する液収納部材と、その液収納部材の外部に接して設けられる加熱冷却部とを備え、反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は液収納部材を介する熱伝導過程によって行う機構を利用する。この液収納部材を介する熱伝導過程により授受される、単位時間当たりの熱量(dQ/dt)は、液収納部材と加熱冷却部との接触面積Sに比例するため、その接触面積Sを広くすることが望ましい。また、反応液温度Tと、所定の温度Tsourceに設定されている加熱冷却部表面との間の温度差;(Tsource−T)が同じである場合、前記熱伝導過程の熱流流路となる液収納部材の内部温度勾配(dT/dz)を大きくする上では、熱流流路となる液収納部材の厚さ(Tz)を可能な範囲で薄くすることが好ましい。さらに、反応液の液量V自体が同じ場合、この反応液内部に生じる温度分布を低減するため、前記熱伝導過程の熱流流路となる液収納部材からなる液溜めにおける、液厚さ(Tliquid)を可能な範囲で薄くすることが好ましい。例えば、液溜め部の形状は、底面は、液収納部材と加熱冷却部との接触面と相似的であり、その接触面積Sよりも狭い底面面積Sliquidとし、液厚さ(Tliquid)は、相対的に薄くする、偏平な形状とすることが望ましい。
図1は、前記の好適な条件に適合可能な、従来型の生化学反応カートリッジ1とペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5を用いた加熱冷却器8とからなる装置構成を選択している。図1では、反応液チャンバ2内の反応液温度Tを「昇温/降温」する際、熱供給源、吸熱源として利用する、ペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5を用いた加熱冷却器8の装置構成では、吸熱過程で蓄積される熱量の外部への熱放出に利用される放熱器6を付設した、ペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5が使用されている。かかる液収納部材に反応液を保持する形態の装置においては、PCR反応液は、生化学反応カートリッジ1における反応液チャンバ2内に、流路3より送入される。この反応液チャンバ2内において、PCR反応を行った後、PCR増幅産物を含む反応液は、流路4を介して、流出される。
このPCR反応においては、鋳型DNA、PCR用プライマーDNA、DNAポリメラーゼ、ならびに、DNA鎖の伸長に利用されるdNTPを所定の比率で予め混合した溶液が利用される。PCR反応では、例えば、フォワード・プライマーDNAとリバース・プライマーDNAとからなるPCR用プライマー対を利用して、「ディネーチャ工程」→「アニーリング工程」→「エクステンション工程」のサイクルを複数回繰り返し、前記PCR用プライマー対を両末端とする二本鎖DNA断片を増幅産物として調製する。
先ず、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureは、鋳型DNAが、二本鎖DNA分子である場合、少なくとも、二本鎖DNA分子である鋳型DNAを熱変性し、一対の一本鎖DNAとすることが可能な「熱変性温度」を選択する。同時に、得られる増幅産物;PCR用プライマー対を両末端とする二本鎖DNA断片も熱変性させ、一対の一本鎖DNA断片とすることが可能な「熱変性温度」を選択する。
但し、DNA鎖の伸長反応に利用されるDNAポリメラーゼは、耐熱性に優れるが、該酵素タンパク質の熱変性が引き起こされると、その酵素活性は、失活する。従って、このDNAポリメラーゼ酵素活性の失活を伴う、酵素タンパク質の熱変性が起こる温度に達しない範囲に、「ディネーチャ工程」の反応液温度Tdenatureを選択する必要がある。具体的には、DNAポリメラーゼの熱変性は、多くの場合、105℃を超えると加速度的に進行するため、このDNAポリメラーゼの耐熱性が保証される温度:105℃を超えない範囲に、「ディネーチャ工程」の反応液温度Tdenatureを選択する必要がある。また、反応液自体は、緩衝液成分を含む水溶液であり、含有されている緩衝成分に起因する沸点上昇に伴い、その沸点は、100℃を超えている。但し、反応液の沸点は、105℃を大きく超えることは極稀であり、沸騰状態に達することを回避する上では、反応液が、100℃を僅かに超える温度以上に加熱される事態を回避することが好ましい。
前記二本鎖DNA分子型の鋳型DNAと、PCR用プライマー対を両末端とする二本鎖DNA断片のうち、核酸長のより長い二本鎖DNAが熱変性し、一対の一本鎖DNAとすることが可能な「熱変性温度」は、その塩基配列、核酸長に依存するが、通常、90℃〜100℃の範囲に「ディネーチャ工程」の反応液温度Tdenatureを選択することが望ましい。
「アニーリング工程」の反応液温度Tannealingは、熱変性により得られる一本鎖DNAである鋳型DNAに対して、プライマーDNAがその相補的塩基配列部分に「完全フィット」ハイブリット体を形成するが、目的外の領域に「ミス・フィット」ハイブリット体を形成することを回避可能な温度とする。具体的には、プライマーDNAの塩基配列、塩基長に依存する、プライマーDNAの「メルティング温度」よりは低いが、数塩基の「ミス・フィット」を有する塩基配列に対する「ミス・フィット」ハイブリット体の「メルティング」が起こる温度よりは有意に高い温度範囲に、「アニーリング工程」の反応液温度Tannealingを選択する。
一方、「エクステンション工程」の反応液温度Textensionは、「アニーリング工程」の反応液温度Tannealingよりは高いが、一本鎖DNAである鋳型DNAに対して、プライマーDNAがその相補的塩基配列部分に形成している「完全フィット」ハイブリット体の「メルティング」は進行しない温度範囲に選択する必要がある。
プライマーDNAの塩基長は、鋳型DNAの塩基長より有意に小さいため、「完全フィット」ハイブリット体を形成している、プライマーDNAの「メルティング温度」は、二本鎖DNA分子型の鋳型DNAの「熱変性温度」よりも有意に低い。具体的には、プライマーDNAの「メルティング温度」は、通常、少なくとも、上記の90℃よりも低い温度となり、80℃を大きく超えない範囲となる。一方、数塩基の「ミス・フィット」を有する塩基配列に対する「ミス・フィット」ハイブリット体は、通常、45℃を超える温度になると、その「メルティング」が加速度的に進行する。従って、少なくとも、45℃〜80℃の範囲において、「アニーリング工程」の反応液温度Tannealingと、「エクステンション工程」の反応液温度Textensionとを、Textension≧Tannealingの条件を満足するように選択する。具体的には、「アニーリング工程」の反応液温度Tannealingは、45℃〜60℃の範囲に、「エクステンション工程」の反応液温度Textensionは、65℃〜80℃の範囲にそれぞれ選択することが望ましい。
PCR反応の一連の工程では、先ず、鋳型DNA、PCR用プライマーDNA、DNAポリメラーゼ、ならびに、DNA鎖の伸長に利用されるdNTPを所定の比率で予め混合した溶液(PCR反応液)を室温(例えば、20℃)で、生化学反応カートリッジ1の反応液チャンバ2内に流路3より送入する。次いで、反応液チャンバ2内の反応液温度Tを、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに従って、所定サイクル数の変化させて、増幅産物として、PCR用プライマー対を両末端とする二本鎖DNA断片を調製する。最終段の増幅反応が終了した時点で、「エクステンション工程における反応温度」Textensionから室温(例えば、20℃)へ降温した後、前記増幅産物を含むPCR反応液を、反応液チャンバ2から流路4を介して流出させ、回収する。
その温度サイクル過程における加熱冷却部温度Tsourceの設定条件を規定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムは、以下のように選択する。
この温度サイクルの過程は、該反応液温度Tを
denatureに保持する「ディネーチャ工程」、
denature→Tannealingへと変化させる「降温工程」、
annealingに保持する「アニーリング工程」、
annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」、
extensionに保持する「エクステンション工程」
extension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」の6つの工程に区分され、
各工程における、加熱冷却部温度Tsourceの設定値を、
「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1
「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4
「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2
「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5
「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3
「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6、と定義する際、
1=Tdenature、T2=Tannealing、T3=Textensionであり、
4 2 、T5≧T3、T6≧T1の範囲であって、
少なくとも、T4 2 、T5≠T3、T6≠T1のいずれか一つの条件を満足する値に設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムが選択される。
加えて、PCR反応を開始する際、PCR反応液を室温(例えば、20℃)で、生化学反応カートリッジ1の反応液チャンバ2内に流路3より送入した後、反応液温度Tを、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureへと上昇させる「初回の昇温工程」と、合計n回の熱サイクルを終えた後、反応液温度Tを「エクステンション工程における反応温度」Textensionから室温(例えば、20℃)へと降下させる「最終 降温工程」が付加され、PCR反応全体の反応液温度の制御過程が構成される。その際、「初回の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T7は、前記「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6と等しくすることが好ましい。一方、「最終 降温工程」における温度Tsourceの設定値は、室温(例えば、20℃)とする。
仮に、PCR反応液温度Tが「第一の昇温過程」における温度Tsourceの設定値T6に達した際にも、DNAポリメラーゼ酵素活性の失活を伴う、酵素タンパク質の熱変性が起こる温度に達しない範囲に、T6を選択することが望ましい。具体的には、前記「第一の昇温過程」における温度Tsourceの設定値T6は、105℃≧T6>Tdenatureを満足するように選択することが好ましい。また、「初回の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T7も、105℃≧T7>Tdenatureを満足するように選択することが好ましい。
一方、PCR反応液温度Tが、仮に「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5に達した際にも、一本鎖DNAである鋳型DNAに対して、プライマーDNAがその相補的塩基配列部分に形成している「完全フィット」ハイブリット体の「メルティング」は進行しない温度範囲に、T5を選択する必要がある。具体的には、前記「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5は、85℃≧T5>Textensionを満足するように選択することが好ましい。
加えて、PCR反応液温度Tが、仮に「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4に達した際にも、数塩基の「ミス・フィット」を有する塩基配列に対する「ミス・フィット」ハイブリット体の形成は抑制される温度範囲に、T4を選択することが望ましい。具体的には、「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4は、45℃≦T4<Tannealingを満足するように選択することが好ましい。
なお、PCR反応においては、利用するプライマーの塩基配列、塩基長の選択によっては、「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealingと「エクステンション工程における反応温度」Textensionとを等しく設定することも可能であり、かかるPCR反応条件に対応する温度制御プログラムを選択することも可能である。具体的には、
前記「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルにおいて、
extension=Tannealingと選択する際は、Tannealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」は設ける必要はない。換言するならば、上記の6つの工程に区分される、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムにおいて、
annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」の所要時間を零に選択し、
対応する「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2、「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3、ならびに、「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5を、
2=T3=Textension
5=T3=Textensionとそれぞれ設定する形態とすることもできる。
例えば、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature=94℃、「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing=55℃、「エクステンション工程における反応温度」Textension=72℃の温度サイクル条件を設定した際、その設定に対応させて、各温度サイクルにおける「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1は、T1=Tdenature=94℃、「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2は、T2=Tannealing=55℃、「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3は、T3=Textension=72℃と選択する。その際、例えば、「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6を、T6=105℃、「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4を、T4=45℃、「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5を、T5=80℃と、さらに、「初回の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T7を、T7=T6=105℃、それぞれ選択すると好適である。勿論、「最終 降温工程」における温度Tsourceの設定値は、室温(例えば、20℃)とする。
図2に、前記加熱冷却部温度Tsourceの設定条件を規定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムと、その温度制御プログラムに因って、得られるPCR反応液温度Tの時間的推移を示すダイアグラム図として、対比させて示す。図2−(a)には、温度制御プログラムと、該プログラムの加熱冷却部温度指令値により設定・制御される、ペルチェ・ユニット5の表面近傍温度の時間的推移とが示され、図2−(b)には、反応液チャンバ2内のPCR反応液温度Tの時間的推移が示される。
かかる温度制御プログラムにおいて、各温度サイクルにおける「ディネーチャ工程」の保持時間t1(tdenature)は、反応液温度Tが、T=T1±1℃=(94℃±1℃)の範囲に保持される時間、「アニーリング工程」の保持時間t2(tannealing)は、反応液温度Tが、T=T2±1℃=(55℃±1℃)の範囲に保持される時間、「エクステンション工程」の保持時間t3(textension)は、反応液温度Tが、T=T3±1℃=(72℃±1℃)の範囲に保持される時間として、それぞれ定義される。
一方、「第一の昇温工程」における反応液温度Tの温度推移24は、(T6−T)=(T6−Textension)×exp[−t/τthermal]と近似的に表され、T=T1±1℃=(94℃±1℃)に達するまでに要する時間を、「第一の昇温工程」の保持時間t6として設定する。同じく、「初回の昇温工程」における反応液温度Tの温度推移21は、(T7−T)=(T7−Textension)×exp[−t/τthermal]と近似的に表され、T=T1±1℃=(94℃±1℃)に達するまでに要する時間を、「初回の昇温工程」の保持時間t7として設定する。また、「降温工程」における反応液温度Tの温度推移22は、(T−T4)=(Tdenature−T4)×exp[−t/τthermal]と近似的に表され、T=T2±1℃=(55℃±1℃)に達するまでに要する時間を、「降温工程」の保持時間t5として設定する。「第二の昇温工程」における反応液温度Tの温度推移23は、(T5−T)=(T5−Tannealing)×exp[−t/τthermal]と近似的に表され、T=T3±1℃=(72℃±1℃)に達するまでに要する時間を、「第二の昇温工程」の保持時間t5として設定する。
なお、これら「昇温/降温工程」における保持時間は、対象となる反応液温度Tの制御における加熱冷却機構のハードウエア的な装置構成において、PCR反応液と等価な比熱、熱伝導率を示す緩衝液を利用して、対応する加熱冷却部温度Tsourceの設定値をステップ状に変化させ、液収納部材からなる液溜め中に満たされた該緩衝液の液温度が温度Tsourceの設定値に達する、その時間的推移を実測した結果に基づき決定することができる。例えば、様々な温度Tsource設定値のステップ状変化[(Tsource−T)t=0]において実測される液温度の時間的推移を、(Tsource−T)=(Tsource−T)t=0×exp[−t/τthermal]の近似式に基づき解析して、かかる加熱冷却機構のハードウエア的な装置構成における熱時定数τthermalを算出する。次いで、熱時定数τthermalの温度Tsource設定値のステップ状変化[(Tsource−T)t=0]に対する依存性を決定し、その依存性に基づき、任意に設定する温度Tsource設定値のステップ状変化[(Tsource−T)t=0]における熱時定数τthermalを推定する。その後、該任意に設定する温度Tsource設定値のステップ状変化[(Tsource−T)t=0]における液温度の時間的推移を、(Tsource−T)=(Tsource−T)t=0×exp[−t/τthermal]の近似式に従って予測し、所望の液温度に達するまでの所要時間を予測する。この予測される所要時間を、各「昇温/降温工程」における保持時間とすることもできる。
本発明の第一の形態にかかるPCR反応液の温度制御装置では、前記温度サイクル過程の各工程に要する時間の間、加熱冷却部における、液収納部材の外部と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceを、各工程における温度Tsourceの設定値;T1、T4、T2、T5、T3、T6にそれぞれ保持し、各工程の切換え時に、温度Tsourceの設定値がステップ的に変更する方式を採用している。その際、温度Tsourceの設定値のステップ的な変更に対して、実際に、液収納部材の外部と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceも速やかに追従して変更させるため、図1に例示する装置構成では、ペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5を用いた加熱冷却器8を利用している。このペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5に代えて、各工程における温度Tsourceの設定値;T1、T4、T2、T5、T3、T6に対応する温度を有する熱媒体(気体または液体)利用して、熱交換(温度制御)を行う装置構成を選択することもできる。図3に例示する装置構成では、熱交換(温度制御)方式として、それぞれ所定温度に保持されている熱媒体(気体または液体)を貯えている温浴層143から、所望温度の熱媒体(気体または液体)を、循環用ポンプ141を用いて、加熱冷却用チャンバ8内を、所定の流速で循環させることで、熱交換(温度制御)を行う構成を採用している。温度Tsourceの設定値のステップ的な変更に対応して、循環される熱媒体(気体または液体)の種類(温度)の変更は、電磁弁142、143の切換えによってなされる。電磁弁の切換えに伴い、別種の温度に保持されている熱媒体(気体または液体)が、加熱冷却用チャンバ8内部を流される結果、加熱冷却用チャンバ8全体の温度が、速やかに、この熱媒体(気体または液体)の温度へと変化する。かかる熱交換(温度制御)方式では、加熱冷却用チャンバ8内を循環させる熱媒体(気体または液体)の流速を十分大きくすることで、液収納部材の外部と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceをより速やかに変更することが可能となり、好ましい装置構成の一つである。
本発明の第二の形態にかかるPCR反応液の温度制御装置では、反応液温度Tの制御における加熱冷却手段として、所定の温度Tsourceに保持されている複数種の領域を順次通過する流路を設け、反応液を所定流量で前記流路内を流通させることで、反応液温度Tを順次変更する装置構成を採用している。すなわち、所定の温度Tsourceに保持されている領域を反応液が通過する間に、かかる領域の流路内壁と接触する間に熱交換が進行し、その結果、反応液温度Tは、該領域に設定される温度と一致することに伴い、反応液温度Tの変更、制御が行われる。そのハードウエア的構成として、図4−(a)に模式的に示すように、複数の領域に区分される周回的流路が設けられているカートリッジ部1と、該カートリッジ部1の周回的流路54に対する、前段の流路53、後段の流路55とが連結されてなる反応液流路と、カートリッジ部1に設ける、区分された複数の領域(61〜68)について、各領域の温度を独立に制御する加熱冷却器8、前段の流路53に設ける前段加熱冷却器51、後段の流路に設ける後段加熱冷却器52とからなる装置構成である。
該カートリッジ部1の周回的流路54は、カートリッジ部1に設ける区分された複数の領域を順次通過しつつ、複数回の周回を達成できるスパイラル状に流路が配置されている。この一回の周回の間に、PCR反応工程における温度サイクルの一サイクルに相当する反応液の温度変化が達成されるように、区分された複数の領域の温度を設定する。図4−(a)に模式的に示すカートリッジ部1は、8区分に分割されており、各区分に設定される温度sourceは、
温度サイクルの過程を、該反応液温度Tを
denatureに保持する「ディネーチャ工程」、
denature→Tannealingへと変化させる「降温工程」、
annealingに保持する「アニーリング工程」、
annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」、
extensionに保持する「エクステンション工程」
extension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」の6つの工程に区分する際、
各工程に相当する、各流路区分に設ける加熱冷却部温度Tsourceの設定値を、
「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1
「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4
「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2
「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5
「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3
「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6に選択する。
すなわち、PCR反応工程中の反応液温度Tの推移に対応させ、上述する本発明の第一の形態と同様に、本発明の第二の形態では、
1=Tdenature、T2=Tannealing、T3=Textensionであり、
4 2 、T5≧T3、T6≧T1の範囲であって、
少なくとも、T4 2 、T5≠T3、T6≠T1のいずれか一つの条件を満足する値に設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムが選択される。
この反応液温度Tを制御するための熱交換機構でも、反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は、流路の構成部材を介する熱伝導過程によって行う。この熱伝導過程により授受される、単位時間当たりの熱量(dQ/dt)は、流路の構成部材と加熱冷却部との接触面積Sに比例するため、その接触面積Sを相対的に広くすることが望ましい。また、反応液温度Tと、所定の温度Tsourceに設定されている加熱冷却部表面との間の温度差;(Tsource−T)が同じである場合、前記熱伝導過程の熱流流路となる反応液流路の構成部材の内部温度勾配(dT/dz)を大きくする上では、熱流流路となる該構成部材の厚さ(Tz)を可能な範囲で薄くすることが好ましい。さらに、単位時間当たりに流路を移動する反応液の液量V自体が同じ場合、この反応液内部に生じる温度分布を低減するため、前記熱伝導過程の熱流流路となる構成部材からなる反応液流路における、流路内液厚さ(Tliquid)を可能な範囲で薄くすることが好ましい。例えば、反応液流路の断面形状は、底面と比較し、液厚さ(Tliquid)を、相対的に薄くする、偏平な矩形形状とすることが望ましい。
図4−(b)に模式的に示すように、カートリッジ部1に設ける周回的流路に対して、その流路領域の直下に加熱冷却器8が配置され、流路3の底部と加熱冷却器8表面との間の温度勾配(温度差)に伴い、かかる接触面を介する熱伝導過程により、熱量の授受がなされる。周回的流路の各区分を通過するに要する時間(通過時間)は、反応液の流量と、各区分における流路領域の容積[断面積×流路長さ]により決定される。スパイラル状に形成される周回的流路において、各周回における、対応する区分を通過するに要する時間(通過時間)を同じ時間とするため、各周回における、対応する区分に形成される流路領域の容積[断面積×流路長さ]が同じくなるように、各周回の流路断面サイズを設計する。すなわち、スパイラル状に形成される周回的流路では、外周部側と中心部側の異なる周回の流路では、対応する区分における流路長さが異なっている。従って、この流路長さの変化(減少)と反比例させて、流路の断面積を変更(増加)することが必要となる。
PCR反応工程中、2回目以降の温度サイクルにおいては、前段の温度サイクルの終了時、反応液温度は、「エクステンション工程における反応温度」Textensionとなっており、その後、区分領域61を通過する「第一の昇温工程」の間に、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureへと昇温される。一方、初回の温度サイクルでは、当初室温(例えば、20℃)であった反応液温度を、「初回の昇温工程」の間に「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureまで上昇させる必要がある。すなわち、2回目以降の温度サイクルにおける「第一の昇温工程」における温度上昇量(Tdenature−Textension)と比較し、初回目の温度サイクルにおける「初回の昇温工程」における温度上昇量(Tdenature−20℃)は、有意に大きくなる。2回目以降の温度サイクルにおける「第一の昇温工程」における温度上昇量(Tdenature−Textension)を達成する上で最適に設計されている、区分領域61の通過過程では、この「初回の昇温工程」における温度上昇量(Tdenature−20℃)を達成することは、原理的に困難である。そのため、図4−(a)に例示する装置構成では、前段の流路53に設ける前段加熱冷却器51において、この初回目の温度サイクルにおける「初回の昇温工程」における温度上昇量(Tdenature−20℃)を達成した上で、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureに温度制御されている区分領域62の先端より、カートリッジ部1に設ける周回的流路54と連結し、カートリッジ部1へ導入する構成を採用している。
スパイラル状に形成される流路構成を選択する結果、スパイラル状に配置される周回的流路54において、それぞれの区分内に隣接して配置される各周回の流路を流れる反応液温度Tを比較すると、前記する初回の周回を含めて、各周回の流路相互間には実質的に温度差が存在しないものとなる。すなわち、各周回の間に、一温度サイクルに相当する反応液温度Tの変化がなされ、その周回数は、温度サイクルの回数に相当するものとなる。
本発明の第二の形態においても、PCR反応における温度サイクルで選択する、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature、「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing、「エクステンション工程における反応温度」Textensionは、上記本発明の第一の形態と同様に選択することが好ましい。従って、温度サイクルの過程を、該反応液温度Tを
denatureに保持する「ディネーチャ工程」、
denature→Tannealingへと変化させる「降温工程」、
annealingに保持する「アニーリング工程」、
annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」、
extensionに保持する「エクステンション工程」
extension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」の6つの工程に区分する際、各工程に相当する、各流路区分に設ける加熱冷却部温度Tsourceの設定値は、上記の上記本発明の第一の形態における各工程における加熱冷却部温度Tsourceの設定値;
「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1
「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4
「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2
「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5
「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3
「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6と同様に選択することが好ましい。すなわち、本発明の第一の形態において、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature、「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing、「エクステンション工程における反応温度」Textensionならびに、各工程における加熱冷却部温度Tsourceの設定値として、好適な範囲は、本発明の第二の形態においても、好適な範囲となる。
本発明の第二の形態にかかるPCR反応液の温度制御装置では、例えば、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature=94℃、「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing=55℃、「エクステンション工程における反応温度」Textension=72℃の温度サイクル条件を設定した際、その設定に対応させて、各温度サイクルにおける「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1は、T1=Tdenature=94℃、「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2は、T2=Tannealing=55℃、「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3は、T3=Textension=72℃と選択する。その際、例えば、「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6を、T6=105℃、「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4を、T4=45℃、「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5を、T5=83℃と、さらに、「初回の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T7を、T7=T6=105℃、それぞれ選択すると好適である。勿論、「最終 降温工程」における温度Tsourceの設定値は、室温(例えば、20℃)とする。
かかる温度制御プログラムにおいて、各温度サイクルにおける「ディネーチャ工程」の保持時間t1(tdenature)は、反応液温度Tが、T=T1±1℃=(94℃±1℃)の範囲に保持される時間、「アニーリング工程」の保持時間t2(tannealing)は、反応液温度Tが、T=T2±1℃=(55℃±1℃)の範囲に保持される時間、「エクステンション工程」の保持時間t3(textension)は、反応液温度Tが、T=T3±1℃=(72℃±1℃)の範囲に保持される時間として、それぞれ定義される。この「ディネーチャ工程」の保持時間t1(tdenature)、「アニーリング工程」の保持時間t2(tannealing)、「エクステンション工程」の保持時間t3(textension)は、各工程に相当する、各流路区分を反応液が移動するに要する時間に相当する。すなわち、当該流路区分を反応液が移動するに要する時間が目標値となるように、反応液の流速(単位時間当たりの反応液流量)に基づき、各流路区分の流路距離を選択する。
一方、「第一の昇温工程」における反応液温度Tの温度推移は、(T6−T)=(T6−Textension)×exp[−t/τthermal]と近似的に表され、T=T1±1℃=(94℃±1℃)に達するまでに要する時間を、「第一の昇温工程」の保持時間t6として設定し、反応液の流速(単位時間当たりの反応液流量)に基づき、当該流路区分の流路距離を選択する。同様に、「降温工程」における反応液温度Tの温度推移は、(T−T4)=(Tdenature−T4)×exp[−t/τthermal]と近似的に表され、T=T2±1℃=(55℃±1℃)に達するまでに要する時間を、「降温工程」の保持時間t5として設定し、「第二の昇温工程」における反応液温度Tの温度推移は、(T5−T)=(T5−Tannealing)×exp[−t/τthermal]と近似的に表され、T=T3±1℃=(72℃±1℃)に達するまでに要する時間を、「第二の昇温工程」の保持時間t5として設定し、反応液の流速(単位時間当たりの反応液流量)に基づき、それぞれ対応する流路区分の流路距離を選択する。
なお、この「ディネーチャ工程」の保持時間t1(tdenature)、「アニーリング工程」の保持時間t2(tannealing)、「エクステンション工程」の保持時間t3(textension)を変更する際には、例えば、図6に例示するように、反応液の流速(単位時間当たりの反応液流量)に基づき、それぞれ対応する流路区分の流路距離を変更する。次いで、再度、「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6、「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4、「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5を選択した上で、その条件に適合する「第一の昇温工程」の保持時間t6、「降温工程」の保持時間t5、「第二の昇温工程」の保持時間t5の設定を行い、反応液の流速(単位時間当たりの反応液流量)に基づき、それぞれ対応する流路区分の流路距離を変更する。
その他、PCR反応では、アニーリング工程において、鋳型となる一本鎖DNAに対して、PCR用プライマーを結合させる際、例えば、該リバース・プライマーの塩基配列と相補的な部位以外に、リバース・プライマーがミスフィット・ハイブリダイズして、その後、核酸鎖の伸長がなされると、5’末端にリバース・プライマー由来の塩基配列を有し、その3’末端側には、鋳型となる一本鎖DNAの塩基配列に相補的な部分を有している「目的外」の増幅産物が得られる。この「目的外」の増幅産物は、その3’末端側には、フォワード・プライマーの結合部位を持ち、5末端にリバース・プライマー由来の塩基配列を具えており、その後、この「目的外」の増幅産物を鋳型として、PCR増幅が進行する。所謂、「非特異的な増幅」によるバックグランド(非特異的バンド)の発生を引き起こす。また、アニーリング工程において、リバース・プライマーとフォワード・プライマーとの間で、プライマー二量体(プライマーダイマー)の形成が起こると、結果的に、鋳型となる一本鎖DNAに対する、PCRプライマーの結合効率を低下させ、増幅効率の低下を引き起こすこともある。これらのプライマーの「非特異的な結合」は、温度が低い程、その発生頻度は増すので、仮に、上記「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4まで、反応液温度Tが低下しても、前記のプライマーの「非特異的な結合」の影響が顕著とならないように、設定値T4を選択することが好ましい。
以下に、具体的な形態を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。下記の具体的な形態は本発明にかかる最良の形態の一例を示すが、本発明はこれら具体的形態に限定されるものではない。
(具体例1)
図1、図2を参照して、具体例1のPCR反応液の温度制御装置について説明する。具体例1のPCR反応液の温度制御装置において、そのハードウエア的構成として、図1に示す従来型の生化学反応カートリッジ1とペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5を用いた加熱冷却器8とからなる装置構成を選択している。PCR反応液は、生化学反応カートリッジ1における反応液チャンバ2内に、流路3より送入される。この反応液チャンバ2内において、PCR反応を行った後、PCR増幅産物を含む反応液は、流路4を介して、流出される。
PCR反応液として、鋳型DNA、PCR用プライマーDNA、DNAポリメラーゼ、ならびに、DNA鎖の伸長に利用されるdNTPを所定の比率で予め混合した溶液が利用される。PCR反応では、例えば、フォワード・プライマーDNAとリバース・プライマーDNAとからなるPCR用プライマー対を利用して、「ディネーチャ工程」→「アニーリング工程」→「エクステンション工程」のサイクルを複数回繰り返し、前記PCR用プライマー対を両末端とする二本鎖DNA断片を増幅産物として調製する。
その際、鋳型DNAが、二本鎖DNA分子である場合、前記PCR反応サイクルにおいて、「ディネーチャ工程」の反応液温度は、少なくとも、二本鎖DNA分子である鋳型DNAを熱変性し、一対の一本鎖DNAとすることが可能な「熱変性温度」を選択する。加えて、増幅反応を達成するためには、得られる増幅産物;PCR用プライマー対を両末端とする二本鎖DNA断片も熱変性させ、一対の一本鎖DNA断片とした上で、次段の反応サイクルにおいて、鋳型DNA鎖として利用する。従って、「ディネーチャ工程」の反応液温度は、得られる増幅産物;PCR用プライマー対を両末端とする二本鎖DNA断片も熱変性させ、一対の一本鎖DNA断片とすることが可能な「熱変性温度」を選択する。従って、二本鎖DNA分子型の鋳型DNAと、PCR用プライマー対を両末端とする二本鎖DNA断片のうち、核酸長のより長い二本鎖DNAが熱変性し、一対の一本鎖DNAとすることが可能な「熱変性温度」を、「ディネーチャ工程」の反応液温度として選択する。
但し、DNA鎖の伸長反応に利用されるDNAポリメラーゼは、耐熱性に優れるが、該酵素タンパク質の熱変性が引き起こされると、その酵素活性は、失活する。従って、このDNAポリメラーゼ酵素活性の失活を伴う、酵素タンパク質の熱変性が起こる温度に達しない範囲に、「ディネーチャ工程」の反応液温度を選択する必要がある。具体的には、DNAポリメラーゼの熱変性は、多くの場合、105℃を超えると加速度的に進行するため、このDNAポリメラーゼの耐熱性が保証される温度:105℃を超えない範囲に、「ディネーチャ工程」の反応液温度を選択する必要がある。また、反応液自体は、緩衝液成分を含む水溶液であり、含有されている緩衝成分に起因する沸点上昇に伴い、その沸点は、100℃を超えている。但し、反応液の沸点は、105℃を大きく超えることは極稀であり、沸騰状態に達することを回避する上では、反応液温度が、100℃を僅かに超える温度以上に加熱される事態を回避することが好ましい。
前記二本鎖DNA分子型の鋳型DNAと、PCR用プライマー対を両末端とする二本鎖DNA断片のうち、核酸長のより長い二本鎖DNAが熱変性し、一対の一本鎖DNAとすることが可能な「熱変性温度」は、その塩基配列、核酸長に依存するが、通常、90℃〜100℃の範囲に「ディネーチャ工程」の反応液温度を選択することが望ましい。
「アニーリング工程」の反応液温度は、熱変性により得られる一本鎖DNAである鋳型DNAに対して、プライマーDNAがその相補的塩基配列部分に「完全フィット」ハイブリット体を形成するが、目的外の領域に「ミス・フィット」ハイブリット体を形成することを回避可能な温度とする。具体的には、プライマーDNAの塩基配列、塩基長に依存する、プライマーDNAの「メルティング温度」よりは低いが、数塩基の「ミス・フィット」を有する塩基配列に対する「ミス・フィット」ハイブリット体の「メルティング」が起こる温度よりは有意に高い温度範囲に、「アニーリング工程」の反応液温度を選択する。
一方、「エクステンション工程」の反応液温度は、「アニーリング工程」の反応液温度よりは高いが、一本鎖DNAである鋳型DNAに対して、プライマーDNAがその相補的塩基配列部分に形成している「完全フィット」ハイブリット体の「メルティング」は進行しない温度範囲に選択する必要がある。
プライマーDNAの塩基長は、鋳型DNAの塩基長より有意に小さいため、「完全フィット」ハイブリット体を形成している、プライマーDNAの「メルティング温度」は、二本鎖DNA分子型の鋳型DNAの「熱変性温度」よりも有意に低い。具体的には、プライマーDNAの「メルティング温度」は、通常、少なくとも、上記の90℃よりも低い温度となり、80℃を大きく超えない範囲となる。一方、数塩基の「ミス・フィット」を有する塩基配列に対する「ミス・フィット」ハイブリット体は、通常、45℃を超える温度になると、その「メルティング」が加速度的に進行する。従って、少なくとも、45℃〜80℃の範囲において、「アニーリング工程」の反応液温度と、「エクステンション工程」の反応液温度とを、「エクステンション工程」の反応液温度≧「アニーリング工程」の反応液温度の条件を満足するように選択する。具体的には、「アニーリング工程」の反応液温度は、45℃〜60℃の範囲に、「エクステンション工程」の反応液温度は、65℃〜80℃の範囲にそれぞれ選択することが望ましい。
PCR反応の一連の工程では、先ず、鋳型DNA、PCR用プライマーDNA、DNAポリメラーゼ、ならびに、DNA鎖の伸長に利用されるdNTPを所定の比率で予め混合した溶液(PCR反応液)を室温(例えば、20℃)で、生化学反応カートリッジ1の反応液チャンバ2内に流路3より送入する。次いで、反応液チャンバ2内の反応液温度を、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに従って、所定サイクル数の変化させて、増幅産物として、PCR用プライマー対を両末端とする二本鎖DNA断片を調製する。最終段の増幅反応が終了した時点で、「エクステンション工程における反応温度」Textensionから室温(例えば、20℃)へ降温した後、前記増幅産物を含むPCR反応液を、反応液チャンバ2から流路4を介して流出させ、回収する。
反応液チャンバ2内の反応液温度を「昇温/降温」する際、目的の反応液温度に到達し、安定化するまでの期間は、「昇温/降温」操作に伴う「過渡的な(待ち)時間帯」となっている。具体的には、図1に示す従来型の生化学反応カートリッジとペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5を用いた加熱冷却器8とからなる装置構成では、加熱冷却器8として、外部への熱放出に利用される放熱器6を付設した、ペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5が使用されている。例えば、反応開始前、生化学反応カートリッジ1の反応液チャンバ2全体は、室温(例えば、20℃)とされており、開始前の状態では、加熱冷却器8のペルチェ・ユニット5は、生化学反応カートリッジ1の裏面とは、分離されているが、その後の「昇温/降温」がなされる各工程に移行する際、加熱冷却器8のペルチェ・ユニット5は、生化学反応カートリッジ1裏面の反応液チャンバ2の直下に、熱伝導による良好な熱量の授受が可能な緻密な接触がなされるように配置される。この生化学反応カートリッジ1と加熱冷却器8との接触は、図1中に記号Aで示す、加熱冷却器8の着脱操作によって行う。なお、該着脱操作自体は、PCR反応装置に付設される、着脱機構を利用して実施される。また、一連の温度サイクルが終了後、室温(例えば、20℃)へ降温された時点で、生化学反応カートリッジ1から加熱冷却器8は離脱される。生化学反応カートリッジ1裏面の反応液チャンバ2の直下に位置するペルチェ・ユニット5自体の温度をモニターするため、ペルチェ素子の表面付近に温度センサ7が内蔵されている。
この温度センサ7によりモニターされる、ペルチェ・ユニット5の表面近傍温度は、ペルチェ・ユニット5の温度設定を行う温度指令値の変更に伴って、ペルチェ素子自体の放熱・吸熱動作により、前記温度指令値の変更に速やかに追従する温度変化を示す。一方、反応液チャンバ2内のPCR反応液温度は、ペルチェ・ユニット5の表面近傍温度が変化した際、生化学反応カートリッジ1裏面側に生成する温度差(温度勾配)により、熱伝導過程により輸送される熱量によって、反応液全体の温度の「昇温/降温」がなされる。従って、原理的には、ペルチェ・ユニット5の表面近傍温度の変化と比較しても、反応液チャンバ2内のPCR反応液温度の変化は、さらに時間的な遅れをもって、緩やかに追従するものとなる。
本具体例1において目標とする、一連のPCR反応工程における反応液温度の推移を纏めると、表1に示すものとなる。
Figure 0004756880
本具体例1においては、表1に示す反応液温度の推移(目標)のうち、「初回 昇温過程」、「昇温過程 1」、「降温過程」、「昇温過程 2」における「過渡的な(待ち)時間帯」を短縮するため、これら「昇温/降温」操作の際、生化学反応カートリッジ1裏面側に生成する温度差(温度勾配)をより大きくすることで、熱伝導過程により輸送される単位時間当たりの熱量を増す手法を採用している。具体的には、ペルチェ・ユニット5の表面近傍温度を制御するため、このペルチェ・ユニット5の温度設定を行う温度指令値として、「初回 昇温過程」の温度指令値(Ti-heat-up)をTi-heat-up>Tdenature、「昇温過程 1」の温度指令値(Theat-up-1)をTheat-up-1>Tdenature、「降温過程」の温度指令値(Tcool-down)をTcool-down<Tannealing、「昇温過程 2」の温度指令値(Theat-up-2)をTdenature>Theat-up-2>Textensionと、それぞれ設定する、温度指令プログラムを採用している。すなわち、PCR反応工程全体の加熱冷却器8に対する温度指令プログラムは、表2に示す形態となる。
Figure 0004756880
その際、仮に、PCR反応液温度が「初回 昇温過程」の温度指令値(Ti-heat-up)に達した際にも、DNAポリメラーゼ酵素活性の失活を伴う、酵素タンパク質の熱変性が起こる温度に達しない範囲に、Ti-heat-upを選択することが望ましい。具体的には、前記「初回 昇温過程」の温度指令値(Ti-heat-up)は、105℃≧Ti-heat-up>Tdenatureを満足するように選択する。また、「昇温過程 1」の温度指令値(Theat-up-1)も、105℃≧Ti-heat-up>Tdenatureを満足するように選択する。
一方、PCR反応液温度が、仮に「昇温過程 2」の温度指令値(Theat-up-2)に達した際にも、一本鎖DNAである鋳型DNAに対して、プライマーDNAがその相補的塩基配列部分に形成している「完全フィット」ハイブリット体の「メルティング」は進行しない温度範囲に、Theat-up-2を選択する必要がある。具体的には、前記「昇温過程 2」の温度指令値(Theat-up-2)は、85℃≧Theat-up-2>Textensionを満足するように選択する。
加えて、PCR反応液温度が、仮に「降温過程」の温度指令値(Tcool-down)に達した際にも、数塩基の「ミス・フィット」を有する塩基配列に対する「ミス・フィット」ハイブリット体の形成は抑制される温度範囲に、Tcool-downを選択することが望ましい。具体的には、前記「降温過程」の温度指令値(Tcool-down)は、45℃≦Tcool-down<Tannealingを満足するように選択する。
「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature=94℃、「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing=55℃、「エクステンション工程における反応温度」Textension=72℃の温度サイクル条件を設定した際、その設定に対応させて、各温度サイクルにおける「ディネーチャ工程」の温度指令値は、Tdenature=94℃、「アニーリング工程」の温度指令値は、Tannealing=55℃、「エクステンション工程」の温度指令値は、Textension=72℃を選択する。さらに、例えば、「初回 昇温過程」の温度指令値(Ti-heat-up)をTi-heat-up=105℃、「昇温過程 1」の温度指令値(Theat-up-1)をTheat-up-1=105℃、「降温過程」の温度指令値(Tcool-down)をTcool-down=45℃、「昇温過程 2」の温度指令値(Theat-up-2)をTheat-up-2=80℃と、それぞれ選択すると好適である。
図2に、前記の各温度指令値の選択に基づく、温度指令プログラムと、その温度指令プログラムに因って、得られるPCR反応液温度の時間的推移を示すダイアグラム図として、対比させて示す。図2−(a)には、温度指令プログラムと、温度センサ7によりモニターされる、ペルチェ・ユニット5の表面近傍温度の時間的推移とが示され、図2−(b)には、反応液チャンバ2内のPCR反応液温度の時間的推移が示される。
かかる温度指令プログラムにおいて、各温度サイクルにおける「ディネーチャ工程」の保持時間(tdenature)は、反応液温度Tが、T=94℃±1℃の範囲に保持される時間、「アニーリング工程」の保持時間(tannealing)は、反応液温度Tが、T=55℃±1℃の範囲に保持される時間、「エクステンション工程」の保持時間(textension)は、反応液温度Tが、T=72℃±1℃の範囲に保持される時間として、それぞれ定義される。
一方、別途、「初回 昇温過程」の温度指令値(Ti-heat-up)をTi-heat-up=105℃に設定して、反応液チャンバ2内の反応液温度が105℃に達するまでの、過渡的な温度推移を測定すると、図2−(b)中に示す、温度推移カーブ21のようなものとなる。この温度推移カーブ21上において、反応液温度Tが、T=94℃±1℃の範囲(例えば、93℃)に達するまでの所要時間を求め、「初回 昇温過程」の保持時間(ti-heat-up)を設定している。すなわち、反応液温度Tが、T=94℃±1℃の範囲(例えば、93℃)に達するまでの間は、生化学反応カートリッジ1裏面側に生成する温度差(温度勾配)をより大きくすることで、熱伝導過程により輸送される単位時間当たりの熱量を増すが、それ以降は、温度差(温度勾配)を実質的に零とすることで、反応液温度Tは、そのまま、T=94℃±1℃の範囲に保持された状態に移行する。
また、別途、反応液温度Tが、T=72℃±1℃の範囲に保持される状態から、「昇温過程 1」の温度指令値(Theat-up-1)をTheat-up-1=105℃に設定して、反応液チャンバ2内の反応液温度が105℃に達するまでの、過渡的な温度推移を測定すると、図2−(b)中に示す、温度推移カーブ24のようなものとなる。この温度推移カーブ24上において、反応液温度Tが、T=94℃±1℃の範囲(例えば、93℃)に達するまでの所要時間を求め、「昇温過程 1」の保持時間(theat-up-1)を設定している。すなわち、反応液温度Tが、T=94℃±1℃の範囲(例えば、93℃)に達するまでの間は、生化学反応カートリッジ1裏面側に生成する温度差(温度勾配)をより大きくすることで、熱伝導過程により輸送される単位時間当たりの熱量を増すが、それ以降は、温度差(温度勾配)を実質的に零とすることで、反応液温度Tは、そのまま、T=94℃±1℃の範囲に保持された状態に移行する。加えて、別途、反応液温度Tが、T=55℃±1℃の範囲に保持される状態から、「昇温過程 2」の温度指令値(Theat-up-2)をTheat-up-2=80℃に設定して、反応液チャンバ2内の反応液温度が80℃に達するまでの、過渡的な温度推移を測定すると、図2−(b)中に示す、温度推移カーブ23のようなものとなる。この温度推移カーブ23上において、反応液温度Tが、T=72℃±1℃の範囲(例えば、71℃)に達するまでの所要時間を求め、「昇温過程 2」の保持時間(theat-up-2)を設定している。すなわち、反応液温度Tが、T=72℃±1℃の範囲(例えば、71℃)に達するまでの間は、生化学反応カートリッジ1裏面側に生成する温度差(温度勾配)をより大きくすることで、熱伝導過程により輸送される単位時間当たりの熱量を増すが、それ以降は、温度差(温度勾配)を実質的に零とすることで、反応液温度Tは、そのまま、T=72℃±1℃の範囲に保持された状態に移行する。
同様に、別途、反応液温度Tが、T=94℃±1℃の範囲に保持される状態から、「降温過程」の温度指令値(Tcool-down)をTcool-down=45℃に設定して、反応液チャンバ2内の反応液温度が45℃に達するまでの、過渡的な温度推移を測定すると、図2−(b)中に示す、温度推移カーブ22のようなものとなる。この温度推移カーブ22上において、反応液温度Tが、T=55℃±1℃の範囲(例えば、56℃)に達するまでの所要時間を求め、「降温過程」の保持時間(tcool-down)を設定している。すなわち、反応液温度Tが、T=55℃±1℃の範囲(例えば、56℃)に達するまでの間は、生化学反応カートリッジ1裏面側に生成する温度差(温度勾配)をより大きくすることで、熱伝導過程により輸送される単位時間当たりの熱量を増すが、それ以降は、温度差(温度勾配)を実質的に零とすることで、反応液温度Tは、そのまま、T=55℃±1℃の範囲に保持された状態に移行する。
上述する温度指令値、保持時間の選択手法に従って、「初回 昇温過程」の温度指令値(Ti-heat-up)と保持時間(ti-heat-up)、「昇温過程 1」の温度指令値(Theat-up-1)と保持時間(theat-up-1)、「降温過程」の温度指令値(Tcool-down)と保持時間(tcool-down)、「昇温過程 2」の温度指令値(Theat-up-2)と保持時間(theat-up-2)を、それぞれ選択すると、「昇温/降温」操作に付随する「過渡的な(待ち)時間帯」の短縮を図る上でより好適である。少なくとも、「初回 昇温過程」ならびに「昇温過程 1」において、反応液温度が90℃を超えた後、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature=94℃に安定化するまでの、「待ち時間」を短縮する上で有効である。すなわち、各温度サイクルにおいて、反応液中に含まれるDNAポリメラーゼが90℃を超えた高温に曝される時間を最小限に抑制することができ、PCR反応全体のサイクル数を増す際、DNAポリメラーゼ酵素活性の熱的な失活に由来する増幅効率の低下を抑制する効果をもたらす。
(具体例2)
図3を参照して、具体例2のPCR反応液の温度制御装置について説明する。具体例2のPCR反応液の温度制御装置において、そのハードウエア的構成として、図3に示す従来型の生化学反応カートリッジと加熱・冷却に所定温度の熱媒体(気体または液体)の熱交換システムを採用する加熱冷却器8とからなる装置構成を選択している。PCR反応液は、生化学反応カートリッジ1における反応液チャンバ2内に、流路3より送入される。この反応液チャンバ2内において、PCR反応を行った後、PCR増幅産物を含む反応液は、流路4を介して、流出される。
一方、加熱冷却器8は、所定温度の熱媒体(気体または液体)を利用して、熱交換(温度制御)を行う加熱冷却用チャンバ8であり、生化学反応カートリッジ1裏面の反応液チャンバ2の直下に位置する加熱冷却用チャンバ8自体の表面近傍の温度をモニターするため、表面付近に温度センサ7が内蔵されている。その熱交換(温度制御)方式は、それぞれ所定温度に保持されている熱媒体(気体または液体)を貯えている温浴層143から、所望温度の熱媒体(気体または液体)を、循環用ポンプ141を用いて、加熱冷却用チャンバ8内を、所定の流速で循環させることで、熱交換(温度制御)を行う構成とされている。循環される熱媒体(気体または液体)の種類(温度)の変更は、電磁弁142、143の切換えによってなされる。電磁弁の切換えに伴い、別種の温度に保持されている熱媒体(気体または液体)が、加熱冷却用チャンバ8内部を流される結果、加熱冷却用チャンバ8全体の温度が、速やかに、この熱媒体(気体または液体)の温度へと変化する。
一方、反応液チャンバ2内のPCR反応液温度は、加熱冷却用チャンバ8の表面近傍温度が変化した際、生化学反応カートリッジ1裏面側に生成する温度差(温度勾配)により、熱伝導過程により輸送される熱量によって、反応液全体の温度の「昇温/降温」がなされる。従って、原理的には、加熱冷却用チャンバ8の表面近傍温度の変化と比較すると、反応液チャンバ2内のPCR反応液温度の変化は、さらに時間的な遅れをもって、緩やかに追従するものとなる。
図1に示す、ペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5を用いた加熱冷却器8では、外部への熱放出に利用される放熱器6を付設した、ペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5が使用されている。すなわち、このペルチェ・ユニット5自体の表面近傍の温度は、ペルチェ素子から供給される加熱用熱量、あるいは、ペルチェ素子により吸熱され、最終的に放熱器6により放散される熱量によって、その温度制御がなされる。従って、ペルチェ素子から供給される加熱用熱量、あるいは、ペルチェ素子により吸熱される熱量に依存して、ペルチェ・ユニット5自体の表面近傍の温度の応答特性は規定されている。すなわち、ペルチェ・ユニット5の温度設定を行う、温度指令値をステップ状に変更した際、ペルチェ・ユニット5自体の表面近傍温度は若干の時間的な遅れをもって、前記温度指令値のステップ状変化に追従することになる。
それに対して、図3に示す加熱・冷却に所定温度の熱媒体(気体または液体)の熱交換システムを採用する加熱冷却器8では、循環される熱媒体(気体または液体)の種類(温度)を切換えると、速やかに加熱冷却用チャンバ8の表面近傍温度も変化する。すなわち、循環される熱媒体(気体または液体)の種類(温度)を切換えることで、加熱冷却用チャンバ8の表面近傍温度をステップ状に変更することが可能である。循環される熱媒体(気体または液体)の流量を十分にとると、ペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5を用いた加熱冷却器8と比較して、格段に速やかに、加熱冷却用チャンバ8の表面近傍温度を所望の温度へと変更することが可能である。
ペルチェ素子を利用する加熱冷却ユニット(ペルチェ・ユニット)5を用いた加熱冷却器8のように、加熱冷却器8自体の温度変化の遅れは無いので、全体的には、PCR反応液温度変化の遅れは、加熱冷却用チャンバ8の表面と生化学反応カートリッジ1裏面側との間での熱交換に起因する、原理的に最小限の時間的な遅れとすることが可能である。換言すると、従来型の生化学反応カートリッジ1を利用する装置構成としては、本具体例2のPCR反応液の温度制御装置は、「昇温/降温」操作に付随する「過渡的な(待ち)時間帯」の短縮を図る上で、より一層好適な装置構成である。
なお、図3に示す、本具体例2のPCR反応液の温度制御装置においても、PCR反応工程全体の加熱冷却器8に対する温度設定プログラムは、先に表2に示したものと同様の形態となる。その際、「初回 昇温過程」の温度指令値(Ti-heat-up)と保持時間(ti-heat-up)、「昇温過程 1」の温度指令値(Theat-up-1)と保持時間(theat-up-1)、「降温過程」の温度指令値(Tcool-down)と保持時間(tcool-down)、「昇温過程 2」の温度指令値(Theat-up-2)と保持時間(theat-up-2)を、それぞれ選択する手法は、上記具体例1に記載した手法に準ずる手法を利用することが、「昇温/降温」操作に付随する「過渡的な(待ち)時間帯」の短縮を図る上でより好適である。
なお、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature=94℃、「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing=55℃、「エクステンション工程における反応温度」Textension=72℃の温度サイクル条件を設定した際、その設定に対応させて、各温度サイクルにおける「ディネーチャ工程」の温度指令値は、Tdenature=94℃、「アニーリング工程」の温度指令値は、Tannealing=55℃、「エクステンション工程」の温度指令値は、Textension=72℃を選択する。さらに、例えば、「初回 昇温過程」の温度指令値(Ti-heat-up)をTi-heat-up=105℃、「昇温過程 1」の温度指令値(Theat-up-1)をTheat-up-1=105℃、「降温過程」の温度指令値(Tcool-down)をTcool-down=45℃、「昇温過程 2」の温度指令値(Theat-up-2)をTheat-up-2=80℃と、それぞれ選択すると好適である。
本具体例2においては、上記の各温度指令値に相当するものは、各工程において、加熱冷却用チャンバ8内を循環させる熱媒体(気体または液体)の種類(温度)であり、各温度サイクルにおける「ディネーチャ工程」用の熱媒体(気体または液体)の温度(Tdenature)は、Tdenature=94℃、「アニーリング工程」用の熱媒体(気体または液体)の温度(Tannealing)は、Tannealing=55℃、「エクステンション工程」用の熱媒体(気体または液体)の温度(Textension)は、Textension=72℃を選択する。また、例えば、「初回 昇温過程」用の熱媒体(気体または液体)の温度(Ti-heat-up)をTi-heat-up=105℃、「昇温過程 1」用の熱媒体(気体または液体)の温度(Theat-up-1)をTheat-up-1=105℃、「降温過程」用の熱媒体(気体または液体)の温度(Tcool-down)をTcool-down=45℃、「昇温過程 2」用の熱媒体(気体または液体)の温度をTheat-up-2=80℃と、それぞれ選択すると好適である。図3には、これら6種の温度に保持された熱媒体(気体または液体)の循環供給系を備えた装置構成を模式的に示してある。
なお、各温度に対応させ、独立に温度設定された6個の温浴槽を有する装置構成以外に、例えば、少なくとも、105℃と45℃の2個の温浴槽を設け、この二つの温浴槽から、所定の流量比率で熱媒体(気体または液体)を同時に供給し、加熱冷却用チャンバ8内に導入するまでの間に予め均一に混合すると、その混合熱媒体(気体または液体)の温度は、前記流量比率に対応して、45℃〜105℃の間の任意に温度とすることも可能である。この種の混合熱媒体(気体または液体)を利用して、独立に温度設定された6個の温浴槽を有する装置と同等の温度応答性を示す、加熱冷却器8を構成することも可能である。
(具体例3)
図4を参照して、具体例3のPCR反応液の温度制御装置について説明する。具体例3のPCR反応液の温度制御装置では、PCR反応工程における温度サイクルに従って、反応液温度を変更する手段として、所定の温度に保持されている複数種の領域を順次通過する流路を設け、反応液を所定流量で前記流路内を流通させることで、反応液温度を順次変更する装置構成を利用している。すなわち、所定の温度に保持されている領域を反応液が通過する間に、かかる領域の流路内壁と接触する間に熱交換が進行し、その結果、反応液温度は、該領域に設定される温度と一致することに伴い、反応液温度の変更、制御が行われる。
具体例3のPCR反応液の温度制御装置において、そのハードウエア的構成として、図4−(a)に模式的に示すように、複数の領域に区分される周回的流路が設けられているカートリッジ部1と、該カートリッジ部1の周回的流路54に対する、前段の流路53、後段の流路55とが連結されてなる反応液流路と、カートリッジ部1に設ける、区分された複数の領域(61〜68)について、各領域の温度を独立に制御する加熱冷却器8、前段の流路53に設ける前段加熱冷却器51、後段の流路に設ける後段加熱冷却器52とからなる装置構成を選択している。
該カートリッジ部1の周回的流路54は、カートリッジ部1に設ける区分された複数の領域を順次通過しつつ、複数回の周回を達成できるスパイラル状に流路が配置されている。この一回の周回の間に、PCR反応工程における温度サイクルの一サイクルに相当する反応液の温度変化が達成されるように、区分された複数の領域の温度が設定されている。図4−(a)に模式的に示すカートリッジ部1は、8区分に分割されており、各区分に設定される温度は、表3に示すように、PCR反応工程中の反応液温度の推移と対応している。
Figure 0004756880
図4−(b)に模式的に示すように、カートリッジ部1に設ける周回的流路は、流路領域の直下に加熱冷却器8が配置され、流路3の底部と加熱冷却器8表面との間の温度勾配(温度差)に伴い、かかる接触面を介する熱伝導過程により、熱量の授受がなされる。周回的流路の各区分を通過するに要する時間(通過時間)は、反応液の流量と、各区分における流路領域の容積[断面積×流路長さ]により決定される。スパイラル状に形成される周回的流路において、各周回における、対応する区分を通過するに要する時間(通過時間)を同じ時間とするため、各周回における、対応する区分に形成される流路領域の容積[断面積×流路長さ]が同じくなるように、各周回の流路断面サイズを設計する。その際、図4−(b)に模式的に示すように、流路3の底部と加熱冷却器8表面との接触面を介して授受される熱量が、流路内を流れる反応液の上端部まで容易に伝達されるとうに、底辺は広く、高さが低い、偏平な矩形形状の断面形状を選択することが望ましい。スパイラル状に形成される周回的流路では、外周部側と中心部側の異なる周回の流路では、対応する区分における流路長さが異なっている。従って、この流路長さの変化(減少)と反比例させて、流路の断面積を変更(増加)することが必要となる。
PCR反応工程中、2回目以降の温度サイクルにおいては、前段の温度サイクルの終了時、反応液温度は、「エクステンション工程における反応温度」Textensionとなっており、その後、区分領域61を通過する「昇温過程 1」の間に、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureへと昇温される。一方、初回の温度サイクルでは、当初室温(例えば、20℃)であった反応液温度を、「初回 昇温過程」の間に「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureまで上昇させる必要がある。すなわち、2回目以降の温度サイクルにおける「昇温過程 1」における温度上昇量(Tdenature−Textension)と比較し、初回目の温度サイクルにおける「初回 昇温過程」における温度上昇量(Tdenature−20℃)は、有意に大きくなる。2回目以降の温度サイクルにおける「昇温過程 1」における温度上昇量(Tdenature−Textension)を達成する上で最適に設計されている、区分領域61の通過過程では、この「初回 昇温過程」における温度上昇量(Tdenature−20℃)を達成することは、原理的に困難である。そのため、図4−(a)に例示する装置構成では、前段の流路53に設ける前段加熱冷却器51において、この初回目の温度サイクルにおける「初回 昇温過程」における温度上昇量(Tdenature−20℃)を達成した上で、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureに温度制御されている区分領域62の先端より、カートリッジ部1に設ける周回的流路54と連結し、カートリッジ部1へ導入する構成を採用している。
以上に説明する流路構成を選択する結果、スパイラル状に形成される周回的流路54において、それぞれの区分内に隣接して配置される各周回の流路を流れる反応液温度を比較すると、前記する初回の周回を含めて、各周回の流路相互間には実質的に温度差が存在しないものとなる。
あるいは、前段の流路53とスパイラル状に形成される周回的流路54との連結を、「昇温過程 1」における温度Theat-up-1に温度制御されている区分領域61の先端において行い、前段の流路53に設ける前段加熱冷却器51において、反応液温度を「エクステンション工程における反応温度」Textensionと等しくなるまで予熱する、「予熱過程」を設ける装置構成を選択することも可能である。
図4に例示する装置構成は、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature=94℃、「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing=55℃、「エクステンション工程における反応温度」Textension=72℃の温度サイクル条件を設定する際、好適に利用可能な一例である。前記設定に対応させて、各温度サイクルにおける「ディネーチャ工程」用区分領域62の加熱冷却器の温度指令値は、Tdenature=94℃、「アニーリング工程」用区分領域64の加熱冷却器の温度指令値は、Tannealing=55℃、「エクステンション工程」用区分領域66〜68の加熱冷却器の温度指令値は、Textension=72℃を選択する。さらに、例えば、「初回 昇温過程」用加熱冷却器51の温度指令値(Ti-heat-up)をTi-heat-up=94℃、「昇温過程 1」用区分領域61の加熱冷却器の温度指令値(Theat-up-1)をTheat-up-1=105℃、「降温過程」用区分領域63の加熱冷却器の温度指令値(Tcool-down)をTcool-down=45℃、「昇温過程 2」用区分領域65の加熱冷却器の温度指令値(Theat-up-2)をTheat-up-2=83℃と、それぞれ選択すると好適である。
図4に例示する装置構成では、「エクステンション工程」における核酸鎖伸長反応を行う反応時間は、「エクステンション工程」用区分領域66〜68に設ける流路を反応液が通過する時間textensionで制御されている。例えば、伸長される核酸鎖の塩基長が増すと、「エクステンション工程」における核酸鎖伸長反応を行う反応時間をさらに延長することが必要となる。図5に例示する装置構成は、同じく「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature=94℃、「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing=55℃、「エクステンション工程における反応温度」Textension=72℃の温度サイクル条件を設定する際、「エクステンション工程」における核酸鎖伸長反応を行う反応時間をさらに延長する反応条件に対応する構成である。前記反応条件設定に対応させて、各温度サイクルにおける「ディネーチャ工程」用区分領域72、73の加熱冷却器の温度指令値は、Tdenature=94℃、「アニーリング工程」用区分領域75の加熱冷却器の温度指令値は、Tannealing=55℃、「エクステンション工程」用区分領域77〜86の加熱冷却器の温度指令値は、Textension=72℃を選択する。さらに、例えば、「初回 昇温過程」用加熱冷却器51の温度指令値(Ti-heat-up)をTi-heat-up=94℃、「昇温過程 1」用区分領域71の加熱冷却器の温度指令値(Theat-up-1)をTheat-up-1=105℃、「降温過程」用区分領域74の加熱冷却器の温度指令値(Tcool-down)をTcool-down=36℃、「昇温過程 2」用区分領域65の加熱冷却器の温度指令値(Theat-up-2)をTheat-up-2=83℃と、それぞれ選択すると好適である。その結果、「エクステンション工程」における核酸鎖伸長反応を行う反応時間は、「エクステンション工程」用区分領域77〜86に設ける流路を反応液が通過する時間textensionとなり、図4に示す構成と比較し、大幅に延長されている。
図5に例示する装置構成における「降温過程」用区分領域74を通過する時間は、図4に例示する装置構成における「降温過程」用区分領域63を通過する時間と比較すると、相対的に短く設定されている。対応させて、図4に例示する装置構成における「降温過程」用区分領域63の加熱冷却器の温度指令値Tcool-down=45℃と比較し、この図5に例示する装置構成における「降温過程」用区分領域74の加熱冷却器の温度指令値(Tcool-down)を、Tcool-down=36℃とより低く設定する。この変更により、図5に例示する装置構成においても、「降温過程」における温度変化は、速やかに進み、「アニーリング工程」用区分領域75の先端に達した時点で、反応液温度Tは、T=55±1℃の範囲となっている。
上述するように、カートリッジ部1に設ける、スパイラル状に形成される周回的流路54の区分領域総数を変更し、「昇温過程 1」用の区分領域に設ける流路の流路長さが相対的に変化する際には、少なくとも、この「昇温過程 1」における温度上昇量(Tdenature−Textension)を達成する上で最適になるように、「昇温過程 1」用区分領域の加熱冷却器の温度指令値(Theat-up-1)と、その通過時間(theat-up-1)を選択する。その選択段階において、決定される反応液流量において、残る「昇温過程 2」と「降温過程」とにおいて、所望する速やかな温度変更に適する、「昇温過程 2」用区分領域の加熱冷却器の温度指令値(Theat-up-2)と「降温過程」用区分領域の加熱冷却器の温度指令値(Tcool-down)を、それぞれ選択する。
(具体例4)
(温度指令プログラム条件の設定、ならびに、制御操作実行用プログラムのフローチャート)
図1に例示するハードウエア構成のPCR反応液の温度制御装置において、PCR反応工程全体の加熱冷却器に対する温度指令プログラム条件の設定と、該温度指令プログラムに従って、PCR反応液の温度制御を実施する際に用いる、制御操作実行用プログラムの一例を以下に説明する。
例えば、上述する具体例1においては、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルにおいて、「昇温過程 1」の温度指令値(Theat-up-1)をTheat-up-1>Tdenature、「降温過程」の温度指令値(Tcool-down)をTcool-down<Tannealing、「昇温過程 2」の温度指令値(Theat-up-2)をTdenature>Theat-up-2>Textensionと、それぞれ設定した上で、図2に示すように、それぞれ、各「昇温/降温過程」における反応液温度Tの温度推移24、22、23を予め測定した上で、対応する「昇温過程 1」の保持時間(theat-up-1)、「降温過程」の保持時間(tcool-down)、「昇温過程 2」の保持時間(theat-up-2)を、それぞれ選択している。
この各「昇温/降温過程」における反応液温度Tの温度推移24、22、23を予め測定する手順では、先ず、生化学反応カートリッジ1と実質的に同じ形状、同じ材質のカートリッジに対して、その反応液チャンバ2内の液温をモニターする温度センサを取り付けたダミーカートリッジを用意する。このダミーカートリッジの反応液チャンバ2内にPCR反応液と等価な比熱、熱伝導率を有する緩衝液を送入した上で、反応液チャンバ2内の温度センサでモニターされる液温が、それぞれ、「昇温過程 1」の温度指令値(Theat-up-1)、「降温過程」の温度指令値(Tcool-down)、「昇温過程 2」の温度指令値(Theat-up-2)に達するまで、各「昇温/降温過程」に相当する液温度Tの温度推移24、22、23を測定する。また、「初回 昇温過程」の温度指令値(Ti-heat-up)を設定する際、反応液チャンバ2内の温度センサでモニターされる液温が、「初回 昇温過程」の温度指令値(Ti-heat-up)に達するまで、液温度Tの温度推移21を測定する。これら液温度Tの温度推移測定用のプログラムは、図6に示す、PCR反応液加熱・冷却用の加熱冷却器の温度設定条件を選択する際に利用する温度応答特性評価時の計測操作フローチャートとして、次のステップS1〜S3で表記できる。計測操作フローチャート中、温度設定S1は、加熱冷却器の温度設定条件、各時刻における加熱冷却器の温度指令値を設定するステップである。次いで、ステップS2では、各時刻における加熱冷却器の温度指令値に基づき、ダミーカートリッジの底面と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceを制御しつつ、この加熱冷却部温度Tsourceと、ダミーカートリッジの反応液チャンバ2内における液温度Tとを、一定の時間間隔で連続的に検出する。さらに、ステップS3では、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値と、検出された加熱冷却部温度Tsourceならびに反応液チャンバ2内の液温度Tの値を、「実測データ」として蓄積する。
例えば、図2に例示するPCR反応液温度Tの制御では、制御操作実行用プログラムは、図6に示す温度制御操作フローチャートとして、次のステップS11〜S16で表記できる。先ず、ステップS11では、予め蓄積されている「実測データ」を読み出し、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルにおける、各「昇温/降温過程」における、加熱冷却器の温度指令値とその保持時間を、読み出された「実測データ」に基づき、選択する。次いで、ステップS12では、常温(例えば、20℃)の反応液に対して、「初回の温度サイクル」と「2回目〜n回目の温度サイクル」を実施する際に用いる、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値を示す「温度テーブル」(加熱冷却器に対する温度指令プログラム条件)を、前ステップS11において選択された加熱冷却器の温度指令値とその保持時間に従って設定する。ステップS13では、PCR反応において、実施する温度サイクルの回数(サイクル数)を設定する。
引き続き、ステップS14とステップS15では、「初回の温度サイクル」と「2回目〜n回目の温度サイクル」を、ステップ12において設定された「温度テーブル」に従って、ステップS14の間に、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値により加熱冷却部温度Tsourceを制御しつつ、一サイクルを実施し、ステップS15では、実施されたサイクル数が所定の温度サイクルの回数(サイクル数)Nに達したか否かを判定する。実施されたサイクル数が所定の温度サイクルの回数(サイクル数)Nに達した時点で、ステップ16へ進み、加熱冷却器の温度指令値を常温(例えば、20℃)に設定し、「最終 降温過程」に移行する。所定の時間が経過し、反応液温度Tが常温(例えば、20℃)まで冷却した時点で、制御操作実行用プログラムの一連のステップが完了される。
上述する図2に例示するような、PCR反応液温度に関して、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルにおいて、各「昇温/降温過程」に要する時間を、弊害を生じさせない範囲ないで低減する反応条件に代えて、場合によっては、図7に示すように、各「昇温/降温過程」に要する時間を管理した反応条件を使用する必要がある。
その際、例えば、図1に例示するハードウエア構成のPCR反応液の温度制御装置においては、反応液温度Tの時間変化率(dT/dt)は、dT/dt=(1/τthermal(T))×(Tsource−T)と近似的に示すことができ、目標とする反応液温度Tの時間変化率(dT/dt)の値に応じて、各時刻tにおける(Tsource−T)を制御することが必要となる。
具体的には、上記の図6に示す温度応答特性評価時の計測操作フローチャートで表記される液温度Tの温度推移測定用のプログラムを使用して、各種温度条件において、測定・蓄積される「実測データ」に基づき、数値解析を行うことで、PCR反応液の温度制御装置自体が有する、各液温度Tにおける熱時定数τthermal(T)を算出することが可能である。次に、算出された熱時定数τthermal(T)を利用して、各「昇温/降温過程」における反応液温度Tの時間推移;T=Tt=0+(dT/dt)×t、時間変化率(dT/dt)を達成する上で必要とする、各時刻tにおける(Tsource−T)を算定する。対応させて、各「昇温/降温過程」における、それぞれの時刻において、カートリッジの底面と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceが所望の温度推移を示すように、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値を選択する。
従って、図7に例示するPCR反応液温度Tの制御では、制御操作実行用プログラムは、図6に示す温度制御操作フローチャートとして、次のステップS11〜S16で表記できる。先ず、ステップS11では、予め蓄積されている「実測データ」を読み出し、前記の数値解析の手順に従って、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに対して、各「昇温/降温過程」における、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値を選択する。次いで、ステップS12では、常温(例えば、20℃)の反応液に対して、「初回の温度サイクル」と「2回目〜n回目の温度サイクル」を実施する際に用いる、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値を示す「温度テーブル」(加熱冷却器に対する温度指令プログラム条件)を、前ステップS11において選択された、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値に従って設定する。ステップS13では、PCR反応において、実施する温度サイクルの回数(サイクル数)を設定する。
引き続き、ステップS14とステップS15では、「初回の温度サイクル」と「2回目〜n回目の温度サイクル」を、ステップ12において設定された「温度テーブル」に従って、ステップS14の間に、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値により加熱冷却部温度Tsourceを制御しつつ、一サイクルを実施し、ステップS15では、実施されたサイクル数が所定の温度サイクルの回数(サイクル数)Nに達したか否かを判定する。実施されたサイクル数が所定の温度サイクルの回数(サイクル数)Nに達した時点で、ステップ16へ進み、反応液温度Tが目標とする温度推移25に従って、常温(例えば、20℃)まで冷却するように選択されている、各時刻tの加熱冷却器の温度指令値を設定し、「最終 降温過程」に移行する。所定の時間が経過し、反応液温度Tが常温(例えば、20℃)まで冷却した時点で、制御操作実行用プログラムの一連のステップが完了される。
あるいは、図7に例示するPCR反応液温度Tの制御条件を満足するように、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに対して、各「昇温/降温過程」における反応液温度Tの目標値を設定し、ダミーカートリッジの反応液チャンバ2内における液温度Tを温度センサでモニターしつつ、設定された反応液温度Tの目標値に、モニターされる液温度Tが追従するように、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値のフィードバック制御を行う手法を採用することもできる。その際、加熱冷却器8に設ける温度センサ7によって検出される、カートリッジの底面と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceの温度推移と、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値とを時系列的なデータとして蓄積する。具体的には、図6に示す計測操作フローチャートで表記される、液温度Tの温度推移測定用のプログラムは、次のステップS1〜S3で構成するものとする。
先ず、ステップS1では、前記フィードバック制御において参照する、図7に例示するような、各時刻tにおける反応液温度Tの目標値を設定する。次いで、ステップS2では、設定された反応液温度Tの目標値に対して、ダミーカートリッジの温度センサでモニターされる液温度Tが追従するように、フィードバック制御がなされている間に、加熱冷却器8に設ける温度センサ7によって、加熱冷却部温度Tsourceを一定の時間間隔で連続的に検出する。さらに、ステップS3では、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値と、検出された加熱冷却部温度Tsourceならびに反応液チャンバ2内の液温度Tの値を、「実測データ」として蓄積する。
この「実測データ」の、各時刻tにおける加熱冷却部温度Tsourceを示すような、各時刻tの加熱冷却器の温度指令値を設定すると、カートリッジの反応液チャンバ内に収納される反応液温度Tは、目標とする図7に例示する、所望の温度変化率(温度スルーレート)によって「昇温/降温過程」がなされるように温度制御がなされる。
すなわち、図7に例示するPCR反応液温度T制御のため、制御操作実行用プログラムは、図6に示す温度制御操作フローチャートとして、次のステップS11〜S16で表記できる。先ず、ステップS11では、予め蓄積されている「実測データ」を読み出し、前記の数値解析の手順に従って、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに対して、各「昇温/降温過程」における、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値を選択する。次いで、ステップS12では、常温(例えば、20℃)の反応液に対して、「初回の温度サイクル」と「2回目〜n回目の温度サイクル」を実施する際に用いる、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値を示す「温度テーブル」(加熱冷却器に対する温度指令プログラム条件)を、前ステップS11において選択された、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値に従って設定する。ステップS13では、PCR反応において、実施する温度サイクルの回数(サイクル数)を設定する。
引き続き、ステップS14とステップS15では、「初回の温度サイクル」と「2回目〜n回目の温度サイクル」を、ステップ12において設定された「温度テーブル」に従って、ステップS14の間に、各時刻tにおける加熱冷却器の温度指令値により加熱冷却部温度Tsourceを制御しつつ、一サイクルを実施し、ステップS15では、実施されたサイクル数が所定の温度サイクルの回数(サイクル数)Nに達したか否かを判定する。実施されたサイクル数が所定の温度サイクルの回数(サイクル数)Nに達した時点で、ステップ16へ進み、反応液温度Tが目標とする温度推移25に従って、常温(例えば、20℃)まで冷却するように選択されている、各時刻tの加熱冷却器の温度指令値を設定し、「最終 降温過程」に移行する。所定の時間が経過し、反応液温度Tが常温(例えば、20℃)まで冷却した時点で、制御操作実行用プログラムの一連のステップが完了される。
なお、図7に例示するPCR反応液温度Tの制御用の目標値「温度テーブル」では、「初回の温度サイクル」における「最初のディネーチャ工程」11は、「2回目〜n回目の温度サイクル」の「ディネーチャ工程」14よりも、一般に、若干長い時間幅を設定する(Hot Start PCRなど)。
本発明にかかるPCR反応液の温度制御装置を利用することで、増幅効率の低下の主要な原因の一つである、増幅反応の熱サイクル中、DNAポリメラーゼ酵素は高温状態に曝され、熱サイクルの繰り返し回数が増すとともに、熱的に酵素活性が失活した酵素比率の増加を抑制する効果が得られる。
従来型の生化学反応カートリッジの装置構成を模式的に示す図であり、生化学反応カートリッジにおける反応液チャンバと液搬送用流路の平面形状(上方向より見た形状)、断面形状(横方向より見た形状)ならびに、該反応液チャンバ内の反応液の加熱・冷却用の加熱冷却器の配置を示す図である。 具体例1において使用される、PCR反応液加熱・冷却用の加熱冷却器の温度設定条件を表記する、温度指令値/時間間隔のダイアグラム;図2−(a)と、前記温度設定条件において達成される反応液温度の時間的変移を表示するダイアグラム;図2−(b)を模式的に示す図である。 具体例2において使用される生化学反応カートリッジの装置構成を模式的に示す図であり、生化学反応カートリッジにおける反応液チャンバと液搬送用流路の平面形状(上方向より見た形状)、断面形状(横方向より見た形状)ならびに、該反応液チャンバ内の反応液加熱・冷却用の加熱冷却器の構成と配置を示す図である。 具体例3において使用される生化学反応カートリッジの装置構成を模式的に示す図であり、それぞれ、生化学反応カートリッジ内における反応液流路の平面形状(上方向より見た形状)と、該流路における液温制御用の加熱冷却器の温度設定値を表示する平面図;図4−(a)、カートリッジ内における反応液流路の断面形状(横方向より見た形状)と液温制御用の加熱冷却器との相対配置を示す部分断片図;図4−(b)、ならびに生化学反応カートリッジ内における反応液流路と、該カートリッジに連結される液導入・搬出用流路との相対的配置を模式化した図;図4−(c)である。 具体例3において使用される生化学反応カートリッジの別の装置構成を模式的に示す図であり、生化学反応カートリッジ内における反応液流路の平面形状(上方向より見た形状)と、該流路における液温制御用の加熱冷却器の温度設定値を表示する平面図である。 具体例4において使用される、PCR反応液加熱・冷却用の加熱冷却器の温度設定条件を選択する際に利用する温度応答特性評価時の計測操作フローチャート、ならびに、前記温度応答特性評価結果に基づき選択される、加熱冷却器の温度設定条件を利用するPCR反応液の温度制御操作フローチャートを模式的に表記する図である。 公知のPCR増幅反応に使用される反応液温度の時間推移(目標値)の一例を示すダイアグラムを模式的に表記する図である。 従来例における、PCR反応液加熱・冷却用の加熱冷却器の温度設定条件を表記する、温度指令値/時間間隔のダイアグラム;図8−(a)と、前記温度設定条件において起こる反応液温度の時間的変移を表示するダイアグラム;図8−(b)を模式的に示す図である。
符号の説明
1 カートリッジ
2 反応液チャンバ
3、4 流路
5 ペルチェ・ユニット
6 放熱器
7 温度センサ
8 加熱冷却器
10〜16 各工程の一定温度保持期間
21〜25 温度推移カーブ(「昇温/降温」時の過渡的温度変化)
31〜34 「昇温/降温」時の過渡的な温度設定値
40〜41 各工程の一定温度保持期間の温度設定値
90〜96 各工程の温度設定値
53、54、55 カートリッジ内の反応液流路
141 流体状熱媒体循環用ポンプ
142 144 流体状熱媒体循環、切換え用電磁弁群
143 流体状熱媒体の加熱・保温用用温浴槽

Claims (6)

  1. DNAポリメラーゼ、鋳型DNA、プライマーDNA及びdNTPを含む反応液を、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに従って、該反応液温度Tを周期的に変化させ、PCR反応による増幅を行う際に使用されるPCR反応液の温度制御装置であって、
    該反応液の温度制御装置は、
    前記温度サイクルの過程として、各工程における反応液温度を、Tdenature>Textension≧Tannealingと選択する条件において、
    前記反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、前記反応液を保持する液収納部材と、その液収納部材の外部に接して設けられる加熱冷却部とを備え、反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は前記液収納部材を介する熱伝導過程によって行う機構を有し、
    前記熱交換機構において熱供給源、熱吸収源として機能する加熱冷却部における、液収納部材の外部と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceを制御するための加熱冷却部温度設定機構と、
    該温度サイクル過程における加熱冷却部温度Tsourceの設定条件を規定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムとを備え、
    前記温度サイクルの過程として、該反応液温度Tを
    「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureに保持する「ディネーチャ工程」、
    denature→Tannealingへと変化させる「降温工程」、
    「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealingに保持する「アニーリング工程」、
    annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」、
    「エクステンション工程における反応温度」Textensionに保持する「エクステンション工程」
    extension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」の6つの工程に区分した上、
    各工程における、前記加熱冷却部温度Tsourceの設定値を、
    「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1
    「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4
    「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2
    「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5
    「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3
    「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6、と定義する際、
    1=Tdenature、T2=Tannealing、T3=Textensionであり、
    4≦T2、T5≧T3、T6≧T1の範囲であって、
    少なくとも、T4 2 、T5≠T3、T6≠T1のいずれか一つの条件を満足する値に設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムが選択されており、
    前記反応液を保持する液収納部材は、前記温度サイクルの過程間、前記反応液が所定の流速で移動する流路を有するカートリッジであり、
    前記液収納部材の外部に接して設けられる加熱冷却部は、前記流路の構成部材に接して、流路に沿って設けられており、
    前記温度サイクルの過程として、各工程における反応液温度Tを、T denature >T extension ≧T annealing と選択する条件において、「ディネーチャ工程における熱変性温度」T denature を、90℃〜100℃の範囲に選択し、
    「第一の昇温工程」における温度T source の設定値T 6 は、「ディネーチャ工程」における温度T source の設定値T 1 に対して、105℃≧T 6 >T 1 の条件を満足する値に設定され、
    反応液温度TをT extension →T denature へと変化させる「第一の昇温工程」において、前記加熱冷却部温度T source は、「第一の昇温工程」における温度T source の設定値T 6 に基づき制御され、
    「第一の昇温工程」において、反応液温度TがT denature に達した時点で、前記加熱冷却部温度T source の設定値は、「第一の昇温工程」における温度T source の設定値T 6 から「ディネーチャ工程」における温度T source の設定値T 1 へと変移され、「ディネーチャ工程における熱変性温度」T denature に保持する「ディネーチャ工程」へ移行させ
    前記温度サイクルの過程間、流路を所定の流速で移動する前記反応液温度Tが、100℃を僅かに超える温度以上に加熱される事態を回避している
    ことを特徴とするPCR反応液の温度制御装置。
  2. DNAポリメラーゼ、鋳型DNA、プライマーDNA及びdNTPを含む反応液を、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに従って、該反応液温度Tを周期的に変化させ、PCR反応による増幅を行う際に使用されるPCR反応液の温度制御装置であって、
    該反応液の温度制御装置は、
    前記温度サイクルの過程として、各工程における反応液温度を、Tdenature>Textension≧Tannealingと選択する条件において、
    前記反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、温度サイクルの間、前記反応液が所定の流速で移動する流路と、その流路の構成部材の外部に接して、流路に沿って設けられる加熱冷却部とを備え、流路内を移動する反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は前記流路の構成部材を介する熱伝導過程によって行う機構を有し、
    前記熱交換機構において熱供給源、熱吸収源として機能する加熱冷却部における、流路の構成部材の外部と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceを制御するための加熱冷却部温度設定機構と、
    該温度サイクル過程の間に反応液が移動する流路に沿った、各流路部分に設ける加熱冷却部温度Tsourceの設定条件を規定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムとを備え、
    前記温度サイクルの過程として、該反応液温度Tを
    「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureに保持する「ディネーチャ工程」、
    denature→Tannealingへと変化させる「降温工程」、
    「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealingに保持する「アニーリング工程」、
    annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」、
    「エクステンション工程における反応温度」Textensionに保持する「エクステンション工程」
    extension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」の6つの工程に区分した上、
    各工程において、反応液が移動する各流路部分に設ける前記加熱冷却部温度Tsourceの設定値を、
    「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1
    「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4
    「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2
    「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5
    「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3
    「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6、と定義する際、
    1=Tdenature、T2=Tannealing、T3=Textensionであり、
    4 2 、T5≧T3、T6≧T1の範囲であって、
    少なくとも、T4 2 、T5≠T3、T6≠T1のいずれか一つの条件を満足する値に設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムが選択されており、
    前記温度サイクルの過程として、各工程における反応液温度Tを、T denature >T extension ≧T annealing と選択する条件において、「ディネーチャ工程における熱変性温度」T denature を、90℃〜100℃の範囲に選択し、
    「第一の昇温工程」における温度T source の設定値T 6 は、「ディネーチャ工程」における温度T source の設定値T 1 に対して、105℃≧T 6 >T 1 の条件を満足する値に設定され、
    流路を所定の流速で移動する前記反応液は、「第一の昇温工程」において、前記反応液温度Tが、T denature に達した時点で、「ディネーチャ工程」における温度T source の設定値T 1 に基づき、加熱冷却部温度T source の制御がなされる流路部分に移動することにより、
    前記温度サイクルの間、流路を所定の流速で移動する前記反応液温度Tが、100℃を僅かに超える温度以上に加熱される事態を回避している
    ことを特徴とするPCR反応液の温度制御装置。
  3. 前記「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルにおいて、
    extension=Tannealingと選択する際、
    annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」の所要時間を零に選択し、
    対応する「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2、「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3、ならびに、「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5を、
    2=T3=Textension
    5=T3=Textensionとそれぞれ設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムが選択されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のPCR反応液の温度制御装置。
  4. 該温度サイクル過程の間に反応液が移動する流路は、
    前記「ディネーチャ工程」、「降温工程」、「アニーリング工程」、「第二の昇温工程」、「エクステンション工程」、「第一の昇温工程」の6つに区分した工程に要する時間と、
    流路沿って設ける加熱冷却部温度Tsourceの設定値;T1、T4、T2、T5、T3、T6を有する各流路部分を反応液が通過する上で要する時間とが対応するように、
    各流路部分の流路距離を選択する構造である
    ことを特徴とする請求項2または3に記載のPCR反応液の温度制御装置。
  5. 前記各流路部分を反応液が通過する上で要する時間は、
    各流路部分の流路距離と、該流路を移動する反応液の流速とを設定することで選択されている
    ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のPCR反応液の温度制御装置。
  6. DNAポリメラーゼ、鋳型DNA、プライマーDNA及びdNTPを含む反応液を、「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenature→「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealing→「エクステンション工程における反応温度」Textensionの温度サイクルに従って、該反応液温度Tを周期的に変化させ、PCR反応による増幅を行う際に使用されるPCR反応液の温度制御方法であって、
    該反応液の温度制御方法は、
    前記温度サイクルの過程として、各工程における反応液温度を、Tdenature>Textension≧Tannealingと選択する条件において、
    前記反応液温度Tを制御するための熱交換機構として、前記反応液を保持する容器と、その容器の外部に接して設けられる加熱冷却部とを備え、反応液と加熱冷却部との間における熱の授受は前記容器を介する熱伝導過程によって行う温度制御方式を用いて、
    前記熱交換機構において熱供給源、熱吸収源として機能する加熱冷却部における、容器の外部と接する部位の加熱冷却部温度Tsourceを制御するための加熱冷却部温度設定機構と、
    該温度サイクル過程における加熱冷却部温度Tsourceの設定条件を規定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムとを使用して、
    前記温度サイクルの過程として、該反応液温度Tを
    「ディネーチャ工程における熱変性温度」Tdenatureに保持する「ディネーチャ工程」、
    denature→Tannealingへと変化させる「降温工程」、
    「アニーリング工程におけるアニーリング温度」Tannealingに保持する「アニーリング工程」、
    annealing→Textensionへと変化させる「第二の昇温工程」、
    「エクステンション工程における反応温度」Textensionに保持する「エクステンション工程」
    extension→Tdenatureへと変化させる「第一の昇温工程」の6つの工程に区分した上、
    各工程における、前記加熱冷却部温度Tsourceの設定値を、
    「ディネーチャ工程」における温度Tsourceの設定値T1
    「降温工程」における温度Tsourceの設定値T4
    「アニーリング工程」における温度Tsourceの設定値T2
    「第二の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T5
    「エクステンション工程」における温度Tsourceの設定値T3
    「第一の昇温工程」における温度Tsourceの設定値T6、と定義する際、
    1=Tdenature、T2=Tannealing、T3=Textensionであり、
    4 2 、T5≧T3、T6≧T1の範囲であって、
    少なくとも、T4 2 、T5≠T3、T6≠T1のいずれか一つの条件を満足する値に設定する、一連の加熱冷却部温度指令値からなる温度制御プログラムを選択して、反応液の温度制御を行い、
    前記反応液を保持する容器は、前記温度サイクルの過程間、前記反応液が所定の流速で移動する流路を有するカートリッジであり、
    前記容器の外部に接して設けられる加熱冷却部は、前記流路の構成部材に接して、流路に沿って設けられており、
    前記温度サイクルの過程として、各工程における反応液温度Tを、T denature >T extension ≧T annealing と選択する条件において、「ディネーチャ工程における熱変性温度」T denature を、90℃〜100℃の範囲に選択し、
    「第一の昇温工程」における温度T source の設定値T 6 は、「ディネーチャ工程」における温度T source の設定値T 1 に対して、105℃≧T 6 >T 1 の条件を満足する値に設定され、
    反応液温度TをT extension →T denature へと変化させる「第一の昇温工程」において、前記加熱冷却部温度T source は、「第一の昇温工程」における温度T source の設定値T 6 に基づき制御され、
    「第一の昇温工程」において、反応液温度TがT denature に達した時点で、前記加熱冷却部温度T source の設定値は、「第一の昇温工程」における温度T source の設定値T 6 から「ディネーチャ工程」における温度T source の設定値T 1 へと変移され、「ディネーチャ工程における熱変性温度」T denature に保持する「ディネーチャ工程」へ移行させ
    前記温度サイクルの過程間、流路を所定の流速で移動する前記反応液温度Tが、100℃を僅かに超える温度以上に加熱される事態を回避している
    ことを特徴とするPCR反応液の温度制御方法。
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