JP4754315B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

この発明は、スミア補正方法を適用した撮像装置に関するものである。
CCDでの画像撮影において、画面内に極度な高輝度部分があった場合、CCD(Charge Coupled Device)の画素垂直転送部分に対する電荷の漏れが発生し、撮影画像に縦筋状の高輝度部分が発生する。この現象はスミアと呼ばれる。
スミアは画素自体に光が当たっているか否かに関わらず、該当画素の垂直方向に極度な高輝度部分が有る場合に発生するので、同一垂直ライン上の遮光された画素にも同様に発生する。
これを利用し、オプティカルブラック(以下、OB)領域の画素値を有効画像領域の同一垂直ライン上の画素値から差し引くことにより、スミア補正を行う方法を採用した撮像装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
但し、特許文献1に記載の撮像装置では、被写体が静止している時はスミアを的確に補正することができるが、撮影後の電荷転送中に被写体が動いた場合、即ち画角にズレが生じたような場合には、スミアが直線ではなく曲がってしまう虞があり、的確なスミア補正をすることができなかった。
そこで、電荷転送中の画角のズレによってスミアが曲がる場合の補正方法に関しては、CCDの受光素子水平行に所定の割合で間引き水平行を設定し、各水平行の画素信号からスミア補正値を算出することによって、被写体が動いても的確なスミア補正が可能な固体撮像装置が提供されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2に記載の固体撮像装置では、CCDの画素転送方式に関して、特殊な方法を使用する必要があり、一般的なCCDとの組み合わせにて使用することはできなかった。
特開2001−086413号公報 特開2005−39727号公報
従来の撮像装置は、以上のように構成されていたので、画角のズレによってスミアが直線ではなく曲がってしまうという課題があった。
また、上記スミアの曲がりを補正可能なスミア補正方式であっても、CCDの画素転送方式が特殊であり、一般的なCCDと組み合わせて使用することができないという課題があった。
この発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、CCDの画素転送方式にかかわらず、電荷転送中の画角のズレによってスミアが曲がった場合でもスミア補正可能な撮像装置を提供することを目的とする。
この発明に係る撮像装置は、撮影領域の周辺に画素を遮光したオプティカルブラック領域を設けた固体撮像素子と、
前記オプティカルブラック領域の画素値を各垂直列毎に積算平均してスミアレベル値を算出するOB画素値積算部と、
前記撮影領域の水平ライン毎に前記スミアレベル値と前記撮影領域の画素値とを比較し、前記オプティカルブラック領域の画素値と前記撮影領域の水平ライン毎の画素値との対応画素位置関係を算出する補正位置算出部と、
前記スミアレベル値と前記対応画素位置関係とに基づいて、前記撮影領域の画素値をスミア補正する画素値補正処理部とを備え、
前記補正位置算出部は、前記スミアレベル値と前記撮影領域に含まれる有効画像領域の画素値との大小関係を比較して、所定の条件を満たす前記有効画像領域の画素数を示す画素カウント値を求め、前記スミアレベル値と前記画素カウント値とに基づいて、前記対応画素位置関係を示す第1のオフセット量を算出し、
前記画素値補正処理部は、前記有効画像領域の画素値から、前記第1のオフセット量に対応する前記スミアレベル値を減算してスミア補正することを特徴とするものである。
この発明によれば、CCDの画素転送方式にかかわらず、電荷転送中の画角のズレによってスミアが曲がった場合でもスミア補正可能な撮像装置を提供することができる。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について説明する。図1は、この発明の実施の形態1係るスミア補正方法を適用した撮像装置を示す構成図である。
図1において、本撮像装置は、光学ズーム機能を備えた撮像レンズ11、カメラに入射する光量を調節するための絞り機構12、光電変換素子(固体撮像素子)であるCCD 13、アナログ信号処理部(以下、CDS/AGC)14、ADコンバータ15、デジタル信号処理部(以下、DSP:Digital Signal Processor)16、撮像したデータを記憶領域に格納するための撮像データ出力部17、スミア補正を行うスミア補正処理部20を備えている。
CDS/AGC 14は、CCDの変調された撮像信号からリセットノイズを除去し、ベースバンドの撮像信号に変換するCDS(Correlated Double Sampling)と、CCDの撮像信号量を最適に保つための撮像信号に対するアンプゲイン機能AGC(Auto Gain Control)を有している。
更に、スミア補正処理部20は、OB領域の画素値を積算平均し、発生するスミアレベルを算出するOB画素値積算部21、OB領域の画素値と有効画像領域の画素値との大小関係から、ライン毎のOB領域の画素値と撮影領域(有効画像領域と無効画像領域)の画素値との対応画素位置関係を決定する補正位置算出部22、補正位置算出部22によって決定された位置関係に基づき、OB領域画素値を用いて有効画像領域の画素値を補正する画素値補正処理部23を備えている。
次に、動作について説明する。先ず、撮像レンズ11は、絞り機構12を通して撮影対象からの光をCCD13の受光面に結像させる。
CCD 13は、赤(R)、緑(G)、青(B)の光にそれぞれ感応する3種の画素を交互にマトリクス状に数十万配列して成り、画素毎に受けた光を電荷に変換して蓄積し、蓄積電荷をアナログ信号として出力する。
CDS/AGC 14は、CCD13からのアナログ出力信号を2重相関サンプリング(CDS)し、ゲイン制御(AGC)を行う。
ADコンバータ15は、アナログ信号処理部14から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する。
スミア補正処理部20は、ADコンバータ15でデジタル信号化された画像データが入力される。スミア補正処理部20では、ADコンバータ15から入力された画像データのうち、OB領域に関するデータ(以下、OB領域データ)をOB画素値積算部21に入力する。また、有効画像領域に関するデータ(以下、有効画像領域データ)を補正位置算出部22及び画素値補正処理部23に入力する。
OB画素積算部21では、OB領域の画素値を積算平均し、発生するスミアレベルの算出を行う。図2は、一般的なCCDより出力される画像のOB領域、及び有効画像領域の位置関係、及びスミアの発生状態の一例を示したものである。図2に示した通り、一般的なCCD出力画像では中央部に有効画像領域が存在し、その周囲に画素出力値の保証されない無効画素領域、更にその周囲に遮光された画素の画素値が出力されるOB領域が存在している。
図3は、図1中のOB積算部21における画素値積算の方法について図示したものである。基本的にスミアはOB領域、有効画素領域の区別に関係なく、垂直ライン状に画素値が増加する現象として現れるため、OB領域内に関しても垂直方向に画素値を積算し、平均値を算出することによって各水平画素位置に対応したスミアレベルを算出することができる。OB領域の画素は遮光されており、スミア発生箇所を除いては被写体の照度にかかわらず画素値がほぼ一定レベルとなるため、OB領域の画素値から算出したスミアレベル値は、被写体の明暗による影響を受けない純粋なスミア発生強度を示す値として使用することが可能である。
図3に示す通り、OB積算部21は、OB領域のうち有効画像領域と垂直方向位置が一致する(同一垂直ライン上に位置する)部分であるOB積算参照領域に関して、垂直方向に画素値を積算平均し、各水平画素位置に対応するスミアレベル値として記録しておく。
補正位置算出部22は、一水平ライン分の有効画像領域データが入力される度に、OB積算部21で格納されているスミアレベル値と、有効画像領域の画素値とを一画素ずつ比較する処理を行う。
図4は、図1中の補正位置算出部22において行われる処理を図示したものである。図4において、A(n)はOB積算部21で格納されているスミアレベル値のうちOB積算参照領域左端からn画素目の画素の画素値、B(n)は処理時点で入力されている有効画像領域データのうち有効画像領域左端からn画素目の画素の画素値を示している。
また、補正位置算出部22は、一水平ライン分の有効画像領域データを処理する度に、OB領域の画素値と撮影領域の画素値との対応画素位置関係を示すオフセット量を算出、更新する。処理時点で設定されているオフセット量を図4に示すaとしておく。
ここで、一水平ライン分の有効画像領域データに対して、A(n)とB(n+a)を比較し、A(n)>B(n+a)となる画素数をカウントする。
また同時に、この演算を右方向または左方向に一画素ずらした画素値に関しても同様に行う。具体的には、右方向に一画素ずらした場合にはA(n)>B(n+a+1)となる画素数のカウントを行い、左方向に一画素ずらした場合にはA(n)>B(n+a−1)となる画素数のカウントを行う。
それぞれの場合にカウントされた画素数をN(a),N(a+1),N(a−1)とし、3つの値のうちN(a)が最小値となった場合は、次の水平ラインに関してもオフセット量としてaを使用する。同様に、N(a+1)またはN(a−1)が最小値となった場合は、それぞれ(a+1)または(a−1)を次の水平ラインのオフセット量とする。
上記の方法で算出されたオフセット量a(または(a+1),(a−1))は、補正位置算出部22内部で記録され、次水平ライン処理の際に参照される。
ここで、OB領域の画素値A(n)から算出したスミアレベルは被写体の明暗による影響を受けない純粋なスミア発生強度を示す値となっているため、スミアの発生位置にずれが生じていなければ、有効画像領域画像データの画素値B(n)は常に対応するOB領域のスミアレベルより大きくなり、N(a)=0となるはずである。
よって、N(a)≠0となり、N(a),N(a+1),N(a−1)のうちのいずれかが最小値となる場合には、スミアの発生位置にずれが生じ、画像データとスミアレベルとの対応関係に齟齬が生じていると判断できる。
従って、この場合には、オフセット量aの値を更新することにより、次水平ラインにおいても適切な画像データとスミアレベルとの対応位置関係を維持することが可能である。
なお、ここではオフセット量aの値に関して特に制限を設けない場合について記載したが、何らかの外部的要因により、有効画像領域の画像データとOB領域のスミアレベルとの対応位置関係を正しく検出できない場合に備え、オフセット量aの値には予め上限値及び下限値を定め、それ以上には変化しないよう制限しておいてもよい。
このような制限を設けることにより、画像データとスミアレベルとの対応位置関係を正しく検出できない場合でも、画像データとスミアレベル参照位置のずれが大きくなることによる極端な誤補正が発生することを避けることが可能である。
画素値補正処理部23は、OB画素積算部21で記録されているスミアレベル値、及び補正位置算出部22で記録されているOB領域の画素値と撮影領域の画素値との対応画素位置関係を示すオフセット量を参照し、スミアを補正するための画素値補正処理を行う。
画素値補正処理部23における画素値補正処理は、有効画像領域データから、OB積算部21で格納されているスミアレベル値を減算することによって行う。即ち、A(n)をOB積算部21で格納されているスミアレベル値のうちOB積算参照領域左端からn画素目の画素の画素値とし、B(n)を処理時点で入力されている有効画像領域データのうち有効画像領域左端からn画素目の画素の画素値とし、aを補正位置算出部22で格納されているオフセット量とすると、補正後の画素値B’(n)を求める演算式は、下記の数式(1)の通りとなる。

B’(n)=B(n)−A(n−a) (1)

なお、同様にオフセット量がaの場合で、有効画像領域左端から(n+a)番目の画素の画素値B(n+a)の補正後の画素値B’(n+a)は、数式(1)から下記のように求められる。

B’(n+a)=B(n+a)−A(n)
数式(1)で示される演算は、スミアレベル値と画素値から補正画素値を求める方法の一例を示した物である。ここで、スミアレベル値による補正に一定の係数を適用し、補正の強度を調整するような制御を行うことも可能である。この場合の演算式は下記の数式(2)の通りとなる。

B’(n)=B(n)−K×A(n−a) (K:定数) (2)
また、上記補正の係数Kを画素値、及びスミアレベルの関数とし、それぞれの値に応じて補正強度を調整するような制御とすることもできる。この場合に演算式は下記の数式(3)の通りとなる。

B’(n)=B(n)−K(B(n),A(n−a))×A(n−a) (3)
(K(x,y):x,yを引数とする関数)
以上のように、この実施の形態1によれば、一水平ライン分の有効画像領域データが入力される度に、スミアレベル値と有効画像領域データとの比較を行うことにより、OB領域の画素値と撮影領域の画素値との対応画素位置関係を示すオフセット量を算出しているため、スミアが直線上に発生していない場合でも、適切にスミア補正を行うことが可能である。
また、補正位置算出部22で算出するオフセット量aの値に制限範囲を設けることにより、画像データとスミアレベルとの対応位置関係を正しく検出できない場合でも、画像データとスミアレベル参照位置のずれが大きくなることによる極端な誤補正が発生することを避けることが可能である。
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1は、スミアレベル値と有効画像領域の画素値との大小関係を比較して所定の条件を満たす画素をカウントした数(以下、画素カウント値)により、一水平ライン毎の画像データとスミアレベルとの対応画素位置関係を更新していくものである。
それに対して、実施の形態2は、画素カウント値の値自体にも注目し、補正処理に反映させるようにしたものである。なお、実施の形態2に係る撮像装置の構成については図1と同様である。
次に、動作について説明する。動作についても、実施の形態1と相違する部分についてのみ説明する。
図1の補正位置算出部22において、実施の形態1と同様に、スミアレベル値と有効画像領域の画素値との大小関係を比較し、所定の条件を満たす画素数をカウントした値、N(a),N(a+1),N(a−1)を求める。
ここでN(a),N(a+1),N(a−1)のうちで最小値となる値をNMINとすると、NMINが一定以上の値となっている場合には、スミアが途中で消えているか、特性が大きく変化している可能性がある。このような場合には、誤補正を避けるために、該当ラインでの補正処理強度を弱める必要がある。
そこで、実施の形態2では、補正位置算出部22において、オフセット量aと共に、画素カウント値の最小値であるNMINを水平ライン毎に格納しておくものとする。
画素値補正処理部23は、補正処理の強度を調整する係数として、NMIN,A(n−a),B(n)を引数とする関数の出力値を使用する。この場合に演算式は下記の数式(4)の通りとなる。

B’(n)=B(n)−K(NMIN,A(n−a),B(n))×A(n−a) (4)
(K(x,y,z):x,y,zを引数とする関数)
このような処理を行うことにより、NMINの値が一定値より大きい場合に該当水平ラインでの補正処理強度を弱めたり、係数Kを0にして補正自体を行わないようにすることが可能である。
以上のように、この実施の形態2によれば、画素カウント値の最小値であるNMINについても水平ライン毎に記録、参照する動作を行うため、NMINの値の大きさに応じて適切にスミア補正強度を調整する制御を行うことが可能である。
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3について説明する。実施の形態1、2では、スミアレベル値と有効画像領域の画素値との比較を行い、その大小関係のみから画素カウント値を求めていた。
それに対して、実施の形態3では、画素カウント時の判定式にもオフセット量を持たせるようにしたものである。なお、実施の形態3に係る撮像装置の構成については図1と同様である。
次に、動作について説明する。動作についても、実施の形態1と相違する部分についてのみ説明する。
図1の補正位置算出部22において、画素カウント時のオフセット量をTと定め、(A(n)+T)>B(n+a)となる画素数、(A(n)+T)>B(n+a+1)となる画素数、(A(n)+T)>B(n+a−1)となる画素数をそれぞれカウントする。
なお、オフセット量Tを加算する対象は、上式に示すスミアレベル値のみではなく、有効画像領域の画素値であってもよい。
それぞれの場合にカウントされた画素数をN(a),N(a+1),N(a−1)とし、その後は実施の形態1、2と同様にそれぞれの値に応じた水平ラインのオフセット量aの算出を行う。
OB領域及び有効画像領域の画素値は、CCDの特性によりノイズ成分が加算/減算される場合がある。このような処理を行うことにより、ノイズ成分による画素カウント値の変動と、それに伴う水平ラインのオフセット量aの誤算出を防ぐことが可能である。
以上のように、この実施の形態3によれば、画素カウント時の判定式にオフセット量を設定しているため、CCDのノイズ成分によりOB領域、及び有効画像領域の画素値が変動するような場合においても、安定した水平ラインのオフセット量aの算出を行うことが可能である。
実施の形態4.
以下、この発明の実施の形態4について説明する。実施の形態1〜3では、補正位置算出部22で算出するオフセット量aの値は、一水平ライン毎に変動が可能となるように制御していた。
それに対して、実施の形態4では、所定数の水平ライン間隔でのみ、オフセット量aの変化を認めるような制御を行うものである。なお、実施の形態4に係る撮像装置の構成については図1と同様である。
次に、動作について説明する。動作についても、実施の形態1と相違する部分についてのみ説明する。
図1の補正位置算出部22において、オフセット量aと共に、水平ライン数のカウンタ値vを格納しておくものとする。vの値は一水平ラインの処理が終わる毎に1ずつインクリメントされる。また、オフセット量aの算出を行うためのvの閾値を予め定めておき、vが所定の閾値以下の場合は、該当ラインにおけるオフセット量aの算出は行わないものとする。
また、オフセット量aの算出を行った結果、その値が変更されなかった場合にはvの値はそのままインクリメントされるが、変更された場合にはvの値をクリアして0に戻すものとする。
OB領域の画素値と撮影領域の画素値との対応画素位置関係に一画素未満のずれが生じているような場合には、補正位置算出部22における画素カウント値N(a),N(a+1),N(a−1)の各値のうち、二つの値がほぼ同一レベルの値となり、各水平ライン毎に頻繁にオフセット量aが入れ替わるような動作となる場合がある。
従って、オフセット量aの値が変更された場合に、所定数の水平ラインをスミア補正処理する間は再びオフセット量aの変更が行われなくすることにより、各水平ライン毎に頻繁にオフセット量aが入れ替わるような動作を抑制することができる。
以上のように、この実施の形態4によれば、変化を許容するライン間隔(vの閾値)を定めておき、一度画像データとスミアレベルとの対応位置関係に関するオフセット量aが変化した場合は、それ以降で所定数の水平ラインをスミア補正処理する間、オフセット量aの変更を認めないようにすることで、水平ライン間でのオフセット量aの変化を安定させることができる。その結果、スミア補正結果画像に不自然な補正跡が残るような現象を防ぐことが可能である。
実施の形態5.
以下、この発明の実施の形態5について説明する。実施の形態1〜4では、補正位置算出部22でオフセット量aを算出するための判定条件として、処理時点で入力されている水平ラインの画素値とOB領域のスミアレベル値の比較による画素カウント値のみを使用していた。
それに対して、実施の形態5では、処理時点から数ライン前までの判定結果を保存しておき、オフセット量aの算出に使用するものである。なお、実施の形態5に係る撮像装置の構成については図1と同様である。
次に、動作について説明する。動作についても、実施の形態1と相違する部分についてのみ説明する。
図1の補正位置算出部22において、過去に処理したラインそれぞれについての、算出オフセット量を格納しておくものとする。
具体的には、処理済のライン数をxとし、これから処理する水平ラインの有効画像領域データから算出されるオフセット量をa(0)、現時点より一ライン前の水平ラインにより算出されたオフセット量をa(1)とする。即ち、現在のライン(0)から過去xラインまでの算出オフセット量をそれぞれ、a(0)〜a(x)の値にそれぞれ格納する。
そして、補正位置算出部22では、a(0)〜a(x)までの値の度数分布を求め、最も度数の多い値を次の水平ラインのオフセット量として使用する。
CCDのノイズや欠陥画素等によって局所的にOB領域の画素値と撮影領域の画素値との対応画素位置関係が崩れるような場合に、処理時点で入力されている水平ラインの画素値とOB領域のスミアレベル値との比較を行うと、上記の局所的な対応画素位置関係の乱れの影響を受けてしまう虞がある。その結果、乱れの発生している水平ライン周辺では、正しくスミア補正を行うことができない場合がある。
従って、過去数ライン分の算出オフセット量の履歴を参照し、最も度数分布の高い値を次の水平ラインのオフセット量として使用することにより、局所的なOB領域の画素値と撮影領域の画素値との対応画素位置関係の乱れの影響を受けない安定性の高いスミア補正を行うことができる。
なお、ここでa(0)からa(x)までの値の度数分布を求める際には、より処理時点に近いラインでの判定結果を優先するため、a(0)が最も大きく、a(x)に近づくにつれて徐々に重みが低くなっていくような重み付き度数分布を採用してもよい。
以上のように、この実施の形態5によれば、水平ラインの画素値とOB領域のスミアレベル値との比較による画素カウント値に関して、処理時点から数ライン前までの判定結果を保存しておき、該当結果が最も多く発生しているオフセット量を次ラインのオフセット量として適用するため、局所的なCCDのノイズや欠陥画素等によって発生するオフセット量の誤判定とそれに伴う誤補正を防止することが可能である。
この発明の実施の形態1係るスミア補正方法を適用した撮像装置を示す構成図である。 一般的なCCDより出力される画像のOB領域、及び有効画像領域の位置関係、及びスミアの発生状態の一例を示したものである。 図1中のOB積算部21における画素値積算の方法について図示したものである。 図1中の補正位置算出部22において行われる処理を図示したものである。
符号の説明
11 撮像レンズ、12 絞り機構、13 CCD(光電変換素子)、14 CDS/AGC(アナログ信号処理部)、15 ADコンバータ、16 DSP(デジタル信号処理部)、17 撮像データ出力部、20 スミア補正処理部、21 OB画素値算出部、22 補正位置算出部、23 画素値補正処理部。

Claims (5)

  1. 撮影領域の周辺に画素を遮光したオプティカルブラック領域を設けた固体撮像素子と、
    前記オプティカルブラック領域の画素値を各垂直列毎に積算平均してスミアレベル値を算出するOB画素値積算部と、
    前記撮影領域の水平ライン毎に前記スミアレベル値と前記撮影領域の画素値とを比較し、前記オプティカルブラック領域の画素値と前記撮影領域の水平ライン毎の画素値との対応画素位置関係を算出する補正位置算出部と、
    前記スミアレベル値と前記対応画素位置関係とに基づいて、前記撮影領域の画素値をスミア補正する画素値補正処理部とを備え、
    前記補正位置算出部は、前記スミアレベル値と前記撮影領域に含まれる有効画像領域の画素値との大小関係を比較して、所定の条件を満たす前記有効画像領域の画素数を示す画素カウント値を求め、前記スミアレベル値と前記画素カウント値とに基づいて、前記対応画素位置関係を示す第1のオフセット量を算出し、
    前記画素値補正処理部は、前記有効画像領域の画素値から、前記第1のオフセット量に対応する前記スミアレベル値を減算してスミア補正することを特徴とする撮像装置。
  2. 前記画素値補正処理部は、前記画素カウント値を引数とする関数を前記スミアレベル値に乗算して、前記有効画像領域の画素値をスミア補正することを特徴とする請求項記載の撮像装置。
  3. 前記補正位置算出部は、前記スミアレベル値または前記有効画像領域の画素値に第2のオフセット量を加算した値を用いて、前記画素カウント値を求めることを特徴とする請求項または請求項記載の撮像装置。
  4. 前記補正位置算出部は、所定数の水平ラインをスミア補正処理する間は、前記第1のオフセット量を変動させないように制御することを特徴とする請求項から請求項のうちのいずれか1項記載の撮像装置。
  5. 前記補正位置算出部は、所定数の水平ラインに関するそれぞれの第1のオフセット量の度数分布から最も度数の高い値を新たな第1のオフセット量とすることを特徴とする請求項から請求項のうちのいずれか1項記載の撮像装置。
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