JP4753184B2 - 調停装置および調停方法 - Google Patents

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Description

本発明は調停装置および調停方法に関し、特にバスシステムの調停装置および調停方法に関する。
複数のマスタから1つの資源(リソース)に対する要求が競合した場合、これらの要求を調整して、マスタの資源への割当を決定することを調停(アービトレーション、Arbitration)という。
例えば、複数のマスタが存在するバスシステムの場合、ある瞬間にリソース(すなわち、バス)を使用できるのは1つのマスタに限られる。したがって、バスシステムは適当に調停を行なって、各マスタに対してバスの使用権を順次割り当てる必要がある。
従来の調停方法は、マスタに対して優先順位を固定する方法、所定の期間転送を待たされたマスタの優先順位を上げていく方法、優先順位を巡回させる方法、または、これらの方法を組み合わせた方法によって実現されている。
なお、特許文献1において、優先順位を巡回させる方法と優先順位を固定する方法のいずれか一方を選択することができる方法が開示されている。
特開2002−312309号公報
ここで、一例として、4つのマスタ(マスタ1〜マスタ4とする。)が1つのバスを共有し、これらのマスタの間でバスの使用権の競合が生じる場合を考える。
また、マスタ1による転送に続いて、マスタ4による転送が行われることによって完結する一連の転送処理を転送処理Aと呼ぶ。
優先順位を巡回させる従来の調停方法を転送処理Aに適用した場合のバスの占有状況を、図4を参照して説明する。
マスタの優先順位は「マスタ1→2→3→4→1→…」の順序で巡回させるものとする。このとき、マスタ1およびマスタ4による転送の間に、マスタ2およびマスタ3の転送による割り込みが発生する。したがって、転送処理Aの実行を完了するまでの時間が増大する。
一方、優先順位を固定する従来の調停方法を転送処理Aに適用した場合のバスの占有状況を、図5を参照して説明する。
いま、転送処理Aを考慮し、マスタ1およびマスタ4の優先順位を高く設定するものとする。このとき、フェーズ2においては転送処理Aが完了しているにも関わらず、マスタ4の転送の優先順位が高く設定されているため、マスタ2および3は転送ができなくなる。
転送許可を順に与える従来方法は、マスタに対して転送を順に許可するため、転送処理に関係のないマスタの転送の割り込みを防ぐことができない。したがって、処理時間を短縮し、処理時間を保証することが難しいという問題がある。
優先順位を固定する従来方法は、特定の転送処理に関係するマスタの優先順位のみが高く設定されることにより、かかる転送処理と関係ないマスタの転送が一切できなくなる。すなわち、特定のマスタによってバスが占有され、バスを有効に活用することができないという問題がある。
また、特許文献1に開示された方式は、これらの従来方法のいずれかを選択可能とする方法であるため、これらの問題を同時に解決することはできない。
したがって、複数のマスタによってバスの使用に競合が生じる場合において、処理時間を短縮するとともに、バスの有効利用を可能とする調停装置および調停方法を提供することが課題となる。
本発明の第1の視点に係る調停装置は、複数のマスタからの順序付けられた転送要求から成る転送処理を複数格納したテーブルと、前記複数のマスタから重複を許して抽出した2つのマスタから成る対のそれぞれについて、前記複数の転送処理において連続して転送要求が発せられる回数を、前記テーブルを参照してカウントし、前記複数のマスタのうちの1のマスタからの転送要求を処理した後に、該マスタを転送要求が先行する一方のマスタとして含む対のうちのカウント値が相対的に大きい対に含まれる他方のマスタからの転送要求を優先的に処理するように構成された制御回路を備えたことを特徴とする。
本発明の第2の視点に係る調停方法は、(a)複数のマスタからの順序付けられた転送要求から成る転送処理を複数格納したテーブルを参照して、該複数のマスタから重複を許して抽出した2つのマスタから成る対のそれぞれについて、該複数の転送処理において連続して転送要求が発せられる回数をカウントし、前記複数のマスタのうちの1のマスタからの転送要求を処理した後に、該マスタを転送要求が先行する一方のマスタとして含む対のうちのカウント値が相対的に大きい対に含まれる他方のマスタからの転送要求を優先的に処理する工程を含むことを特徴とする。
第1の展開形態の調停装置は、前記制御回路が、前記マスタから重複を許して選択した第1および第2のマスタであって前記テーブルにおいて連続して転送要求を発する頻度が所定の回数以上であるマスタの組合せについて、前記第1のマスタによる転送要求を処理した直後に前記第2のマスタによる転送要求を優先的に処理するように構成されたことを特徴とする。
第2の展開形態の調停装置は、前記テーブルに格納された前記複数の転送処理に対する更新要求を入力し、更新要求に基づいて前記テーブルを更新するように構成されたテーブル更新回路を備えたことを特徴とする。
第3の展開形態の調停装置は、前記テーブルが、転送要求が実際に処理されたマスタの順序を格納するように構成されたことを特徴とする。
第4の展開形態の調停方法は、前記処理工程(a)において、前記マスタから重複を許して選択した第1および第2のマスタであって前記テーブルにおいて連続して転送要求を発する頻度が所定の回数以上であるマスタの組合せについて、前記第1のマスタによる転送要求を処理した直後に前記第2のマスタによる転送要求を優先的に処理することを特徴とする。
第5の展開形態の調停方法は、(b)前記テーブルに格納された前記複数の転送処理に対する更新要求を入力し、更新要求に基づいて前記テーブルを更新する工程を含むことを特徴とする。
第6の展開形態の調停方法は、(c)前記テーブルに転送要求が実際に処理されたマスタの順序を格納する工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る調停装置または方法によって、テーブルに格納された転送処理に応じて、バスの要求を発するマスタを予測し、かかるマスタに優先的にバスを割り当てるように調停することで、処理時間の短縮を図ることができる。
また、優先的なバスの割り当てを一時的にすることで、特定のマスタのみによって、バスが占有されることを防ぎ、バスの効率的な利用を可能とする。
本発明の実施形態に係る調停装置は、複数のマスタが同一バスを使用する場合の調停装置であって、マスタの転送要求の順序を記録したテーブルに基づいて、現在、リソースを使用しているマスタの次にリソースの使用を要求するマスタに対する優先順位を一時的に引き上げる。このように、特定の転送処理に関与する一群のマスタに対して、他のマスタよりも優先的にリソースを使用させることによって処理時間の短縮を図る。
図1は、本発明の実施形態に係る調停装置の構成図である。
調停装置は、図1を参照すると、テーブル更新回路10、テーブル20、制御回路30および転送許可生成回路40を備える。
テーブル更新回路10は、テーブル変更要求に基づいて、テーブル20を更新する。
テーブル20は、所定の転送処理において、転送要求を発するマスタの順序を格納している。
制御回路30は、マスタ1〜nの優先順位を保持しており、テーブル20、マスタ1〜nからの転送要求、転送許可生成回路40から取得した現在のバスの使用状況を参照して、マスタ1〜nの優先順位を決定する。
転送許可生成回路40は、制御回路30によって決定された優先順位に基づいて、マスタ1〜nに転送許可を行う。
このように、本実施形態に係る調停装置においては、テーブル20の情報に基づいて所定の転送処理に関与するマスタを認識して、かかるマスタに対する転送許可の優先度を引き上げることによって、処理時間の短縮を図る。
また、処理中に他のマスタによる転送の割り込みを防ぎ、処理時間を一定に保つことにより、処理時間を保証することができる。
次に、図1の調停装置の動作を、図2および図3を参照して、説明する。
ここでは、一例として、4つの転送処理A〜Dをテーブル20に格納した場合について説明する。
転送処理Aは「マスタ1→4」、転送処理Bは「マスタ2→3→1」、転送処理Cは「マスタ3→1→4→2→2」、転送処理Dは「マスタ4→2→3→4」の順で、転送要求(バスの使用要求)を発するものとする。
このとき、テーブル20には、図2(A)に示すように、転送処理A〜Dを単位として、転送要求の順序のデータが格納される。
いま、マスタ1〜4から重複を許して2つのマスタからなる組を選び出す方法は、16通り考えられる。
図2(A)を参照し、転送処理A〜Dにおいて、これらの各組について連続して転送要求が発せられた回数を数え上げると、図2(B)のようになる。
例えば、マスタ1の直後にマスタ4による転送要求が発せられた回数は2回である(図2(B)の右上のマス参照)。図2(A)を参照すると、転送処理Aおよび転送処理Cにおいて、それぞれ1回ずつ「マスタ1→4」の順で転送要求が生じていることが分かる。
制御回路30は、マスタ1の転送要求を入力した場合、テーブル20を参照し、テーブル20に格納された転送処理A〜Dにおいて、マスタ1の転送後にはマスタ4の転送要求が発生するものと予測する。
制御回路30は、転送許可生成回路40からマスタ1の転送許可報告を入力した場合、マスタ4の優先度を一時的に引き上げる。
さらに、制御回路30は、転送許可生成回路40からマスタ4の転送許可報告を入力すると、マスタ4の優先度を元に戻す。
転送許可生成回路40は、制御回路30による優先度に基づいて調停を行う。
以上の動作の様子を、図3に示す。すなわち、マスタ1の次に、マスタ4の転送が行われ、マスタの優先順位を巡回させる従来の調停方法(図4)と比較し、転送処理Aの処理時間を短縮することができる。
すなわち、マスタ1の転送とマスタ4の転送の間に他のマスタ2、3による転送の割り込みを防ぐことができる。
また、他のマスタによる転送の割り込みがないため、転送処理Aの実行時間を保証することもできる。
他の実施形態として、上記のテーブル20に、次のような改良を加えることができる。
図1および図2に示した例では、転送処理A〜Dにおけるバスの使用要求の順序を転送処理A〜Dが実行される前に、テーブル20に登録する必要がある。
一方、マスタ1〜4が、実際にバスを利用して転送を行った順序の履歴をテーブル20に記録しておいて、この履歴に基づいて、バスの使用要求を発するマスタの予測を行うようにしてもよい。
このとき、転送処理の開始前において、テーブル20を更新する手間を省略することができる。
また、テーブルに格納される情報として、マスタによるバス使用順序のみならず、読み出しまたは書き込み(リード/ライト)等、データの転送方向についてもテーブルに記録、保持することで、さらに、効率よく転送を制御するようにしてもよい。
本発明の実施形態に係る調停装置の構成図である。 本発明の実施形態に係る調停装置におけるテーブルの一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る調停装置の動作を説明するための図である。 マスタの優先順位を巡回させる従来の調停方法を説明するための図である。 マスタの優先順位を固定する従来の調停方法を説明するための図である。
符号の説明
10 テーブル更新回路
20 テーブル
30 制御回路
40 転送許可生成回路

Claims (6)

  1. 複数のマスタからの順序付けられた転送要求から成る転送処理を複数格納したテーブルと、
    前記複数のマスタから重複を許して抽出した2つのマスタから成る対のそれぞれについて、前記複数の転送処理において連続して転送要求が発せられる回数を、前記テーブルを参照してカウントし、前記複数のマスタのうちの1のマスタからの転送要求を処理した後に、該マスタを転送要求が先行する一方のマスタとして含む対のうちのカウント値が相対的に大きい対に含まれる他方のマスタからの転送要求を優先的に処理するように構成された制御回路を備えたことを特徴とする調停装置。
  2. 前記テーブルに格納された前記複数の転送処理に対する更新要求を入力し、更新要求に基づいて前記テーブルを更新するように構成されたテーブル更新回路を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の調停装置。
  3. 前記テーブルが、転送要求が実際に処理されたマスタの順序を格納するように構成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の調停装置。
  4. (a)複数のマスタからの順序付けられた転送要求から成る転送処理を複数格納したテーブルを参照して、該複数のマスタから重複を許して抽出した2つのマスタから成る対のそれぞれについて、該複数の転送処理において連続して転送要求が発せられる回数をカウントし、前記複数のマスタのうちの1のマスタからの転送要求を処理した後に、該マスタを転送要求が先行する一方のマスタとして含む対のうちのカウント値が相対的に大きい対に含まれる他方のマスタからの転送要求を優先的に処理する工程を含むことを特徴とする調停方法。
  5. (b)前記テーブルに格納された前記複数の転送処理に対する更新要求を入力し、更新要求に基づいて前記テーブルを更新する工程を含むことを特徴とする、請求項に記載の調停方法。
  6. (c)前記テーブルに転送要求が実際に処理されたマスタの順序を格納する工程を含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の調停方法。
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