JP4752381B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、撮像装置に関し、詳しくは撮影画像のホワイトバランス調整機能を有する撮像装置に関する。
従来、撮影シーンが屋外のシーンであるか屋内のシーンであるかを判別する機能を備えたデジタルカメラにおいては、被写体の色相(RGB情報)に基づいて撮影シーンを判別し、その判別結果に応じてホワイトバランスを自動調整していた。
しかしながら、被写体の色相だけに基づいて撮影シーンの判別を行うデジタルカメラでは、撮影シーンの誤判別を起こすことがあり、誤ったホワイトバランス調整が行われて、ホワイトバランスずれによるカラーフェリアの問題を生じることがあった。
たとえば、森や林の中で植物を背景にして撮影を行った場合、屋外の撮影シーンであるにもかかわらず、デジタルカメラが屋内での撮影シーンと誤判別することがある。これは、草木等からの緑光と屋内照明に使用される白色蛍光灯の発光色の色温度(明度、色相)が近いことに起因する。すなわち、デジタルカメラは草木等からの緑光を白色蛍光灯からの光と誤判別し、白色蛍光灯の色温度にあわせたホワイトバランス調整を行うことになる。
このことを図7を用いて具体的に説明する。図7は、G/R−G/B座標上における各種光源の発光色、並びに植物の緑の色相分布を示す図である。ここで、G/RはG(緑)成分の信号強度とR(赤)成分の信号強度との比、G/BはG(緑)成分の信号強度とB(青)成分の信号強度との比であり、G/R−G/B座標は、G/Rをx軸(横軸)、G/Bをy軸(縦軸)にとった座標である。図7に示す様に、白熱灯(A光源)、昼光(5500K)、C光源(6700K)等の色相は、自然光を表す黒体ライン上に位置している。
一方、白色蛍光灯、水銀灯等の人工光の色相はG成分が強く、黒体ライン上よりも右上に離れた位置に分布している。そして、屋外における植物の緑の色相は、図7の破線で示す領域であり、屋外における植物の緑の色相が白色蛍光灯や水銀灯等の人工光の色相と酷似していることが確認される。このように、デジタルカメラは植物からの緑色光を白色蛍光灯からの光と誤って判別し、誤ったホワイトバランス調整を行ってしまうことになる。
誤ったホワイトバランス調整が行われた状態で緑色植物を背景にした人物撮影を行うと、緑色植物の色はグレー気味の色合いとなり、また、肌色はマゼンタ気味の色合いとなり、色再現性が大きく損われることになる。
したがって、撮影シーンを誤らずに精度よく判別して、最適なホワイトバランス調整が行えるデジタルカメラが求められ、これまでも撮影シーンを正確に判別させる方法が検討されてきた。
たとえば、被写体の色相と明度とに基づいて撮影シーンが屋外か屋内かを判別できるようにして、撮影シーンの誤判別を防止させる技術(例えば、特許文献1参照)がある。また、植物からの緑色光を白色蛍光灯光と誤判別する問題を解消させた技術もある(例えば、特許文献2参照)。特許文献2は、緑判別回路を設け、緑判別回路で色相データ(RGB)からR/G−B/G座標上における色相分布近似直線(回帰直線)の傾きを求め、得られた傾きに基づいて、被写体の色相が植物からの緑光によるものであるかを判別するものである。そして、色相が植物からの緑光と判別された場合、ホワイトバランスずれ補正回路によりホワイトバランス調整の度合いを屋内撮影用のホワイトバランス調整の度合いよりも弱くするものである。
この様に、撮影シーンを精度よく正確に判別し、撮影シーンに応じて適切にホワイトバランス調整が行える撮像装置の検討がなされてきた。
特開2000−224608号公報(段落0007等参照) 特開2003−264850号公報(段落0010等参照)
しかしながら、特許文献1は、比較的明るい場所での撮影の場合には正確に撮影シーンの判別が行えるが、暗い場所で撮影する場合に撮影シーンの誤判別を起こすことがあった。たとえば、外光があまり差し込まない暗い森や林の中で緑の草木を背景にして撮影を行う場合などは、屋外の撮影シーンであるにもかかわらず屋内の撮影シーンと誤判別されるおそれがあった。
また、特許文献2は、明度・色相検出回路、屋外屋内判別回路、色温度判別回路、緑判別回路、ホワイトバランスずれ補正回路などの回路を備えて、適切なホワイトバランス調整を行っており、回路や処理が複雑な分だけ装置の簡素化を困難にしていた。
本発明は、撮像装置の複雑化や高価格化を招くことなく、緑の植物を背景にした屋外の撮影シーンと白色蛍光灯等の人工光下で屋内での撮影シーンなどの色相分布が酷似している撮影シーンを精度よく判別でき、判別結果に基づいて最適なホワイトバランス調整を行って良好な色再現性が得られる撮像装置を提供することを目的とする。
上記目的は、下記の請求項1乃至5のいずれか1項に記載の発明によって達成される。
(1)
撮影画像の画像データを複数のブロックに分割し、分割された各ブロックのR、G、Bデータに基づいて各ブロックの色相データを生成する色相データ生成手段と、
前記色相データ生成手段で生成された各ブロックの色相データが、撮影シーン毎に予め設定された複数種の基準色相データ範囲に入るブロックの個数を計数するブロック計数手段と、
前記色相データ生成手段で生成された各ブロックの色相データのうちG成分のデータと、このデータの輝度データとで構成される色相データGPWの分布のばらつきを表すコントラストを求める色相コントラスト演算手段と、
前記ブロック計数手段で計数されたブロックの個数と、前記色相コントラスト演算手段で求められた色相のコントラスト情報に基づいて、撮影シーンを判別する撮影シーン判別手段と、
前記撮影シーン判別手段で判別された判別結果に基づいて、前記画像データに対してホワイトバランス調整を行うホワイトバランス調整手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
(2)
前記色相データ生成手段が生成する各ブロックの色相データをGPWとしたときに、
該色相データが下記式を満足することを特徴とする前記(1)に記載の撮像装置。
式:GPW=G/((α×R+β×G+γ×B)/(α+β+γ))
(式中、α、β、γは任意の係数とする。)
(3)
前記色相コントラスト演算手段により求められる色相のG成分の色相データGPWのコントラストが、隣接するブロック間の色相データGPWの差の絶対値の総和であることを特徴とする前記(1)に記載の撮像装置。
(4)
前記色相コントラスト演算手段は、前記ブロック計数手段により計数されたブロックの色相データGPWに基づいて、色相のコントラストを求めるものであることを特徴とする前記(3)に記載の撮像装置。
(5)
前記色相データ生成手段は、前記分割された各ブロックのR、G、Bデータに仮のホワイトバランス調整を行い、生成された画像データに基づいて各ブロックの色相データGPWを生成することを特徴とする前記(1)に記載の撮像装置。
請求項1乃至請求項4に記載の本発明によれば、色相データ生成手段で生成された各ブロックの緑らしさを示す色相データが、撮影シーン毎の緑らしさ度合いに応じて予め設定された複数種の基準色相データ範囲に入るブロックの個数、および色相データ生成手段で生成された各ブロックの色相データより求められた色相のコントラスト情報に基づいて、撮影シーンを判別する様にしているので、色相分布が酷似している屋外において緑の植物を背景にした場合のシーンであるのか、屋内において白色蛍光灯下でのシーンであるのか、あるいは水銀灯下でのシーンであるのかを精度よく判別することができる様になる。
請求項2に記載の本発明によれば、色相データ生成手段で生成される各ブロックの緑らしさを示す色相データは、1次元データで表されるので、撮影シーンの判別処理が簡素化される様になる。
請求項5に記載の本発明によれば、色相データ生成手段は、分割された各ブロックのR、G、Bデータに仮のホワイトバランス調整を行い、生成された画像データに基づいて、各ブロックの色相データを生成する様にしている。すなわち、装置毎の画像データのばらつきを抑えて色相データを生成する様にしているので、撮影シーンを精度よく判別することができる様になる。
本発明に係る撮像装置の具体的な実施形態としては、デジタルカメラが代表的であるが、この他にカメラ付きの携帯電話機や、デジタルビデオカメラ等も含まれる。
図1を用いて、本発明に係る撮像装置の代表的な実施形態の1つであるデジタルカメラの外観を説明する。図1(a)は、本発明に係るデジタルカメラ1の側面図、図1(b)は背面図である。図1(a)に示す様に、デジタルカメラ1は、カメラ本体部2、およびレンズユニット3から構成される。
レンズユニット3は、図示しないマクロズームからなる撮影レンズ、絞り、およびシャッタ等から構成される。
カメラ本体部2は、LCD(Liquid Crystal Display;液晶表示素子)からなるLCDモニタ211、EVF(Electronic View Finder;電子ビューファインダ)210、およびデジタルカメラ1を図示しないパーソナルコンピュータに接続する外部接続端子を有しており、後述するCCDエリアセンサ241で取り込まれた画像信号に所定の信号処理を施し、LCDモニタ211やEVF210への画像表示や、後述するメモリカード283などの記録媒体への画像記録、あるいはパーソナルコンピュータへの画像の転送といった処理を行う。
図1(a)に示す様に、カメラ本体部2の上面には、必要時にホップアップされる内蔵フラッシュ212が設けられている。
また、図1(b)に示す様に、カメラ本体部2の背面の略中央部には撮影画像の表示や記録画像の再生表示、またはメニュー画面や、各種状態表示等のGUI表示を行うLCDモニタ211とEVF210が設けられている。
カメラ本体部2の上面には、図1(b)に示す様に、シャッタボタン201と、シャッタボタン201の近くには、デジタルカメラ1の動作モードを設定するモード設定ダイアル203が設けられている。モード設定ダイアル203で設定されるデジタルカメラ1の動作モードには、「静止画撮影モード」、「動画撮影モード」、「再生モード」等がある。
例えば、静止画撮影モードは、撮影待機状態から露光制御のプロセスを経て撮影にいたる写真撮影を行うモードであり、再生モードは、メモリカード283に記録された撮影画像をLCDモニタ211やEVF210に再生表示するモードである。
また、カメラ本体部2の背面上部には、図1(b)に示す様に、メインスイッチ202と、メインスイッチ202の近くには、電子ズームのズーム倍率を設定するための電子ズームボタン209が設けられている。
また、カメラ本体部2の背面下部には、図1(b)に示す様に、LCDモニタ211にメニューを表示するためのメニューボタン207と、メニューボタン207の近くには、LCDモニタ211に画像を表示するためのクイックビューボタン208が設けられている。
さらに、カメラ本体部2の背面の略中央部には、各種設定を行うための選択/決定ボタン206が設けられている。選択/決定ボタン206は、各種設定の選択を行うためのジョグダイアル(十字キー)204と、ジョグダイアル(十字キー)204で選択された設定を確定するための決定ボタン205から構成される。
次に、デジタルカメラ1の制御系について図2を用いて説明する。図2は、本発明に係るデジタルカメラ1の制御系のブロック図である。なお、図2では、図1に示した部材と同じ部材には同一の番号を付与した。
CCDエリアセンサ241(以下、CCD241と略称する。)は、R(赤)光、G(緑)光、B(青)光の各色透過フィルタをピクセル単位(画素単位)で市松模様状に配置させたカラーエリア撮像センサで、レンズユニット3により結像された被写体光像を、R(赤)光、G(緑)光、B(青)光の各色成分の画像信号(各画素単位で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換するものである。
タイミングジェネレータ246は、後述する基準クロック発生部279から送信される基準クロックに基づいてCCD241の駆動制御信号を生成するものである。タイミングジェネレータ246で生成される駆動制御信号には、例えば、CCD241における露出開始、および終了タイミングを制御する積分開始/終了のタイミング信号、各画素の受光信号の読出制御信号(水平同期信号、垂直同期信号、転送信号等)等のクロック信号が挙げられ、これらのクロック信号がCCD241に供給されるとCCD241では各クロック信号に対応した駆動制御が行われる。
信号処理回路242は、CDS回路243、AGC回路244より構成され、これらの構成部を介して画像信号に所定の処理が行われる。以下、信号処理回路242で行われる画像信号への所定の処理について説明する。
CDS(相関二重サンプリング)回路243は、CCD241から読み出された画像信号より読出し時に発生するノイズの低減や、OBクランプ動作による暗ノイズの補正を行うものである。
AGC(自動利得制御)回路244は、CDS回路243で処理された画像信号のゲイン調整を行うものである。
A/D変換器245は、AGC回路244から入力された画像信号を構成する各画素信号をデジタル信号に変換するものである。A/D変換器245は、基準クロック発生部279から入力されるA/D変換用クロックに基づき、アナログ信号の各画素信号を例えば14ビットのデジタル信号に変換する。
この様に、CCD241で読み出された画像信号は、信号処理回路242、およびA/D変換器245で所定の処理が施されて、デジタル画像信号に変換される。デジタル化された画像信号は、画像処理CPU261に取り込まれて所定の処理が行われる。
画像処理CPU261は、マイクロコンピュータからなり、デジタルカメラ1で行われる画像信号処理動作を統括的に制御するものである。以下、画像処理CPU261で行われるデジタル画像信号への処理について説明する。
最初に、画像処理CPU261に取り込まれた画像信号は、CCD241から出力される画像信号の読出しに同期して画像メモリ281に書き込まれる。すなわち、画像処理CPU261で行われる処理に使用されるデジタル画像信号は、画像メモリ281にいったん記録したものを画像メモリ281から取り出し、各ブロックにおける処理に使用される。
画像処理CPU261は、図2に示す様に、画像処理部262、ホワイトバランス制御部271、基準クロック発生部279より構成され、これらの構成部を介して画像信号に所定の処理が行われる。以下、画像処理CPU261で行われる画像信号への所定の処理について説明する。
画像処理部262は、図2に示す様に、例えば、黒レベル補正部263、画素補間部264、解像度変換部265、ホワイトバランスゲイン乗算部266、ガンマ補正部267、マトリックス演算部268、シェーディング補正部269、画像圧縮部270等から構成される。画像処理部262は、画像メモリ281より取り出したデジタル画像信号に周知の画像信号処理を施すものである。そして、これらの部位で所定の処理を施されたデジタル画像信号は、再度、画像メモリ281に格納される。
ホワイトバランス制御部271は、図2に示す様に、ブロックデータ生成部272、色相データ生成部273、ブロック計数部274、色相コントラスト演算部275、撮影シーン判別部276、ホワイトバランスゲイン演算部277から構成される。ホワイトバランス制御部271は、画像メモリ281より取り出したデジタル画像信号(画像データ)より撮影シーンを判別し、判別した撮影シーンに応じて最適なホワイトバランスゲインを求めるものである。ホワイトバランス制御部271は、例えば、撮影シーンが緑の植物を背景にした屋外のシーンか、あるいは白色蛍光灯や水銀灯などの人工光の下でのシーンかを判別するなど、撮影シーンの判別を行うものである。
以下、ホワイトバランス制御部271の各部位で行われる処理について、図3を用いて説明する。図3は、色相データ生成の流れを示す模式図である。ここでは、緑の植物を背景にした屋外のシーンと白色蛍光灯などの人工光のもとでの屋内のシーンとを正確に判別する例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ここで、図3の(a)から(e)にかけての各図を説明する。図3(a)は、画像データを複数のブロックに分割した時の画像データの配列を示すものである。(b)は(a)の画像データからR、G、B毎に各色を抽出した画像データの配列を示すものである。(c)は(b)の画像データに仮のホワイトバランス調整を施した画像データの配列を示すものである。(d)は(c)の画像データから求めた輝度データの配列を示すものである。さらに、(e)は(d)の輝度データから求めた色相データの配列を示すものである。
最初に、ブロックデータ生成部272は、画像メモリ281より読み出した画像データを複数のブロックに分割し、分割した各ブロックにおけるR成分、Gr成分、Gb成分、B成分を各色成分毎に積算してブロック毎の画像データを生成する。
ブロック毎の画像データは、図3(a)に示す様に、たとえば、横20×縦15の300ブロックから構成され、1つのブロックはR成分、Gr成分、Gb成分、B成分を各色成分毎に積算して生成した4種の画像データから構成される。
次に、ブロックデータ生成部272は前述の4種の色成分からなるブロック毎の画像データからR成分、Gr成分、Gb成分、B成分毎に各色成分を抽出して、図3(b)に示す様に、各色成分毎の画像データR、G、Bを生成する。ここで、R列のGrとB列のGbは、ブロック毎に両者を加算平均してGとする。
最後に、ブロックデータ生成部272は、前述の各色成分毎の画像データR、G、Bに対して仮のホワイトバランスゲインを乗じて、図3(c)に示す仮のホワイトバランス調整が施された画像データR′、G、B′を生成する。仮のホワイトバランスゲインとしては、例えば、代表的な光源である昼光に対してデジタルカメラ毎に予め求められたゲインを用いる。これは、CCD241から取り込まれた画像データのデジタルカメラ毎のばらつきを抑えるために行うものである。
色相データ生成部273は、最初にブロックデータ生成部272で生成された画像データR′、G、B′に基づき、図3(d)に示す様に、輝度データを生成する。具体的には、輝度データをW、また、α、β、γを所定係数(例えばα、β、γをそれぞれ56、184,16とする。)とすると、色相データ生成部273は、下記(式1)で表される輝度データWを生成する。
W=(α×R′+β×G+γ×B′)/(α+β+γ) (式1)
次に、色相データ生成部273は、Gデータと、輝度データWを用いて、図3(e)に示す様に、色相データを生成する。具体的には、色相データをGPWとすると、色相データ生成部273は、下記(式2)で表される色相データGPWを生成する。
GPW=G/W (式2)
色相データGPWは、(式2)で表される様に、G成分の強度、すなわち「緑らしさ」を示すものである。すなわち、ブロックデータ生成部272、および色相データ生成部273は、本発明に係わる撮像装置における色相データ生成手段として機能するものである。
ここで、色相データGPWの、撮影シーンによる代表的な分布を図5を用いて説明する。図5(a)は、屋外において緑の植物を背景にした場合の撮影シーンにおける色相データGPWの3次元座標上の分布を示す図である。図5(b)は、屋内において白色蛍光灯下での撮影シーンにおける色相データGPWの3次元座標上の分布を示す図である。
屋外において緑の植物を背景にした場合の撮影シーンにおける色相データGPWは、図5(a)に示す様に、全体的にGPWの値が大きく、さらにデータが大きくばらついて分布し、コントラストが大である。一方、屋内において白色蛍光灯下での撮影シーンにおける色相データGPWは、図5(b)に示す様に、全体的にGPWの値が小さく、また、データのばらつきも小さいことより、コントラストは小である。この様に、撮影シーンによって値が大きく異なる色相データGPWの特性を用いて、後述する撮影シーンの判別を行うものである。
ブロック計数部274は、撮影シーン毎に予め複数種の基準色相データ範囲を設定しておき、色相データ生成部273で生成された各ブロックの色相データGPWが、撮影シーン毎に予め設定された複数種の基準色相データ範囲に入るブロックの個数を計数する。具体的には、前述の様に屋外において緑の植物を背景にした場合の撮影シーンと色相分布が酷似している白色蛍光灯、水銀灯等の人工光下での撮影シーンの色相データ範囲として、例えば、下記(式3)、(式4)に示す範囲を設定しておく。
260<GPW<330 (式3)
330<GPW<360 (式4)
ここで(式3)に示す色相範囲を、白色蛍光灯下での撮影シーンにおける色相データ範囲、また、(式4)に示す色相範囲を、水銀灯灯下での撮影シーンにおける色相データ範囲とする。そして、ブロック計数部274は、色相データ生成部273で生成された各ブロックの色相データGPWにおいて、(式3)、(式4)の範囲に入るブロックの個数をそれぞれ数える。ここで、色相データが(式3)を満たすブロックの個数をFLn、また、色相データが(式4)を満たすブロックの個数をHGnとする。すなわち、ブロック計数部274は、本発明に係わる撮像装置におけるブロック計数手段として機能するものである。
色相コントラスト演算部275は、それぞれ(式3)、(式4)を満たすブロックにおいて、隣接するブロック間の色相データの差の絶対値を総和することにより、撮影シーン毎の色相のコントラスト情報を求める。色相コントラスト演算部275の具体的な動作について、図4を用いて説明する。図4は、色相データGPWの配列を示す模式図である。ここで、iを任意のブロックのブロック番号とし、例えば、隣接するGPWiからGPWi+nまでのn+1個のブロックの色相データが、(式3)を満たし、隣接するブロック間の色相データの差の絶対値の総和をSFLとすると、色相コントラスト演算部275は、下記(式5)で表される、色相のコントラスト情報SFLを求める。
SFL=|GPWi−GPWi+1|+|GPWi+1−GPWi+2|+・・・+|GPWi+n-1−GPWi+n| (式5)
また、(式4)を満たすブロックについてのコントラスト情報をSHGとすると、色相コントラスト演算部275は、(式5)と同様にして、色相のコントラスト情報SHGを求める。なお、(式3)、(式4)をそれぞれ満たし、隣接するブロックからなるブロック群が、複数存在する場合は、ブロック群毎に求めた色相のコントラスト情報の総和を、SFL、SHGとする。
この様にして、白色蛍光灯下での撮影シーンにおける色相のコントラスト情報SFL、および、水銀灯下での撮影シーンにおける色相のコントラスト情報SHGが求められる。すなわち、色相コントラスト演算部275は、本発明に係わる撮像装置における色相コントラスト演算手段として機能するものである。
撮影シーン判別部276は、(式3)、(式4)の範囲に入るブロックの個数についての閾値N、及び色相のコントラスト情報についての閾値Sを予め設定しておき、設定した閾値Nとブロック計数部274で数えたブロックの個数FLn、HGn、並びに設定した閾値Sと色相コントラスト演算部275で求めた色相のコントラスト情報SFL、SHGとをそれぞれ比較し、比較した結果に基づいて、撮影シーンが、屋外において緑の植物を背景にした場合のシーンであるのか、屋内において白色蛍光灯下でのシーンであるのか、あるいは水銀灯下でのシーンであるのか、を判別する。すなわち、撮影シーン判別部276は、本発明に係る撮像装置における撮影シーン判別手段として機能するものである。
ホワイトバランスゲイン演算部277は、ブロックデータ生成部272で生成された画像データR、G、B、および撮影シーン判別部276で判別された判別結果に基づいて、R、BのホワイトバランスゲインRg、Bgを求め、求めたホワイトバランスゲインRg、Bgを画像処理部262中のホワイトバランスゲイン乗算部266に送出する。
そして、ホワイトバランスゲイン乗算部266は、画像メモリ281より画像データを読み出し、読み出した画像データR、Bにホワイトバランスゲイン演算部277から送出されたホワイトバランスゲインRg、Bgをそれぞれ乗算して、ホワイトバランス調整を行う。すなわち、ホワイトバランスゲイン演算部277、および、ホワイトバランスゲイン乗算部266は、本発明に係る撮像装置におけるホワイトバランス調整手段として機能するものである。
この様にして、ホワイトバランス制御部271は、画像メモリ281より取り出したデジタル画像信号(画像データ)より撮影シーンが、屋外において緑の植物を背景にした場合のシーンであるのか、屋内において白色蛍光灯下でのシーンであるのか、あるいは水銀灯下でのシーンであるのかを判別し、判別した撮影シーンに応じて最適なホワイトバランスゲインを求めるものである。なお、撮影シーン判別動作の詳細については後述する。
次に、基準クロック発生部279は、デジタルカメラ1の駆動制御に使用される基準クロックを生成し、これを各回路に供給する回路である。本発明における基準クロックの具体例としては、タイミングジェネレータ246に使用される基準クロックや、A/D変換器245に使用されるA/D変換用クロックなどが挙げられ、基準クロック発生部279でこれらのクロックを生成する。
LCDモニタ211は、CCD241で取り込まれた画像信号の表示や、GUI表示を行う。
LCD駆動回路285は、画像処理CPU261により画像メモリ281から読み出された画像信号を一時記憶するバッファメモリ(VRAM)を備えており、該画像信号をフィールド画像としてLCDモニタ211に画像表示させる。
カメラ制御CPU291は、マイクロコンピュータからなり、後述のスイッチ群295の各スイッチ操作によるスイッチ信号に基づき、カメラ本体部2、及びレンズユニット3の各部材の駆動をシーケンシャルに制御してデジタルカメラ1の撮影動作を統括制御する。
この様に、デジタルカメラ1では、画像処理CPU261においてCCD241より取り込まれた画像信号に前述した様な信号処理を行い、これらの処理を行った画像信号を画像メモリ281に記録するようになっている。
本発明に係るデジタルカメラ1は、モード設定ダイアル203で設定したモードの下でCCD241より取り込まれた画像信号を画像メモリ281に記録、あるいは、LCDモニタ211やEVF210に表示する。
撮影待機状態(例えば、モード設定ダイアル203で「静止画撮影モード」に設定した状態)では、画像信号が例えば1/30秒毎等の所定間隔でCCD241より信号処理回路242、A/D変換器245を経て画像処理CPU261取り込まれている。取り込まれた画像信号は、前述の様に、画像処理CPU261中の画像処理部262の黒レベル補正部263からシェーディング補正部269にかけての部位で所定の信号処理が施され、その後、デジタル画像信号として画像メモリ281に記録される。そして、画像メモリ281に記録された画像信号を読み出し、読み出された画像信号をLCD駆動回路285やEVF駆動回路286を介してフィールド画像としてLCDモニタ211やEVF210で画像表示する。
また、画像記録時は、設定された記録解像度の画像とするために画像信号を画像処理CPU261中の画像処理部262の画像圧縮部270で圧縮処理し、得られた圧縮画像はメモリカードドライバ282を介してメモリカード283に記録される。
再生モード(モード設定ダイアル203で「再生モード」に設定した状態)では、メモリカード283より読み出された画像信号は、画像処理CPU261で所定の信号処理が施され、LCD駆動回路285やEVF駆動回路286を介してLCDモニタ211やEVF210に表示する
なお、図2中のスイッチ群295は、図1のシャッタボタン201、メインスイッチ202、モード設定ダイアル203、選択/決定ボタン206、メニューボタン207、クイックビューボタン208、電子ズームボタン209等に対応するスイッチである。
ここで、本発明に係るデジタルカメラ1で行われる、撮影シーン判別動作の流れを図6に示すフローチャート、および図3を用いて詳細に説明する。図6に示すフローチャートは、たとえば、ブロックデータ生成部272で生成された画像データR、G、Bより求められたG/R、G/Bが、前述の図7に示す破線の領域に存在する様な場合の撮影シーン判別動作の流れを示すものである。
最初に、デジタルカメラ1を、モード設定ダイアル203で静止画撮影モードに設定すると(ステップS1)、画像処理CPU261に取り込まれた画像信号(画像データ)は、CCD241から出力される画像信号(画像データ)の読出しに同期して画像メモリ281に書き込まれる。
次に、ブロックデータ生成部272は、画像メモリ281より読み出した画像データを、例えば、横20×縦15の300ブロックから構成される複数のブロックに分割し、分割した各ブロックにおけるR成分、Gr成分、Gb成分、B成分を各色成分毎に積算して図3(a)に示す様に、ブロック毎に4種の画像データを生成する。そしてブロックデータ生成部272は、前述の4種の色成分からなるブロック毎の画像データからR成分、Gr成分、Gb成分、B成分毎に各色成分を抽出して、図3(b)に示す様に、各色成分毎の画像データR、G、Bを生成する(ステップS2)。ここで、R列のGrとB列のGbは、ブロック毎に両者を加算平均してGとする。
次に、ブロックデータ生成部272は、前述の各色成分毎の画像データR、G、Bに対して仮のホワイトバランスゲインを乗算し、図3(c)に示す様に、仮のホワイトバランス調整が施された画像データR′、G、B′を生成する(ステップS3)。
次に、色相データ生成部273は、ブロックデータ生成部272で生成された画像データR′、G、B′に基づいて、図3(d)に示す様に、前述の(式1)で表される輝度データWを生成する(ステップS4)。そして、色相データ生成部273は、Gデータと、輝度データWを用いて、図3(e)に示す様に、前述の(式2)で表される色相データGPWを生成する(ステップS5)。
次に、ブロック計数部274は、白色蛍光灯、水銀灯等の人工光下での撮影シーンの色相データ範囲として、例えば、それぞれ前述の(式3)、(式4)に示す範囲を設定しておく。そして、ブロック計数部274は、色相データ生成部273で生成された各ブロックの色相データGPWにおいて、(式3)、(式4)の範囲に入るブロックの個数をそれぞれ数えて、色相データが(式3)を満たすブロックの個数をFLn、また、色相データが(式4)を満たすブロックの個数をHGnとする(ステップS6)。
次に、色相コントラスト演算部275は、それぞれ(式3)、(式4)を満たすブロックにおいて、隣接するブロック間の色相データの差の絶対値を総和することにより、前述の(式5)で表される撮影シーン毎の色相のコントラスト情報SFL、SHGを求める(ステップS7)。この様にして、白色蛍光灯下での撮影シーンにおける色相のコントラスト情報SFL、および、水銀灯下での撮影シーンにおける色相のコントラスト情報SHGが求められる。
次に、撮影シーン判別部276は、(式3)、(式4)の範囲に入るブロックの個数についての閾値N、及び色相のコントラスト情報についての閾値Sを予め設定しておき、設定した閾値Nとブロック計数部274で数えたブロックの個数FLn、および設定した閾値Sと色相コントラスト演算部275で求めた色相のコントラスト情報SFL、とをそれぞれ比較する。そして比較した結果、FLnが閾値Nより多く、同時にSFLが閾値Sより小さい場合は(ステップS8;Yes)、撮影シーン判別部276は、撮影シーンが屋内における白色蛍光灯下でのシーンであると判定する(ステップS9)。
一方、FLnが閾値Nより少なく、またはSFLが閾値Sより大きい場合は(ステップS8;No)、撮影シーン判別部276は、設定した閾値Nとブロック計数部274で数えたブロックの個数HGn、および設定した閾値Sと色相コントラスト演算部275で求めた色相のコントラスト情報SHG、とをそれぞれ比較する。そして比較した結果、HGnが閾値Nより多く、同時にSHGが閾値Sより小さい場合は(ステップS10;Yes)、撮影シーン判別部276は、撮影シーンが水銀灯下でのシーンであると判定する(ステップS11)。
また、HGnが閾値Nより少なく、またはSHGが閾値Sより大きい場合は(ステップS10;No)、撮影シーン判別部276は、撮影シーンが、屋外において緑の植物を背景にした場合のシーンであると判定する(ステップS12)。
この様にして、撮影シーン判別部276で撮影シーンが、屋外において緑の植物を背景にした場合のシーンであるのか、屋内において白色蛍光灯下でのシーンであるのか、あるいは水銀灯下でのシーンであるのかを判別されると、ホワイトバランスゲイン演算部277は、ブロックデータ生成部272で生成された画像データR、G、B、および撮影シーン判別部276で判別された判別結果に基づいて、R、BのホワイトバランスゲインRg、Bgを求め(ステップS13)、求めたホワイトバランスゲインRg、Bgを画像処理部262中のホワイトバランスゲイン乗算部266に送出する。
そして、ホワイトバランスゲイン乗算部266は、画像メモリ281より画像データを読み出し、読み出した画像データR、Bにホワイトバランスゲイン演算部277から送出されたホワイトバランスゲインRg、Bgをそれぞれ乗算して、ホワイトバランス調整を行う。
この様にして、画像メモリ281より取り出したデジタル画像信号(画像データ)より撮影シーンが、屋外において緑の植物を背景にした場合のシーンであるのか、屋内において白色蛍光灯下でのシーンであるのか、あるいは水銀灯下でのシーンであるのかを判別し、判別した撮影シーンに応じて最適なホワイトバランス調整が行われる。
この様に、本発明に係る撮像装置では、色相データ生成部273で生成された各ブロックの緑らしさを示す色相データが、撮影シーン毎の緑らしさ度合いに応じて予め設定された複数種の基準色相データ範囲に入るブロックの個数、および色相データ生成手段273で生成された各ブロックの色相データより求められた色相のコントラスト情報に基づいて、撮影シーンを判別する様にしているので、色相分布が酷似している屋外において緑の植物を背景にした場合のシーンであるのか、屋内において白色蛍光灯下でのシーンであるのか、あるいは水銀灯下でのシーンであるのかを精度よく判別し、判別した撮影シーンに応じて最適なホワイトバランス調整を行うことができる様になる。
本発明に係るデジタルカメラの外観模式図である。 本発明に係るデジタルカメラにおける回路ブロック構成図である。 本発明に係るデジタルカメラにおける色相データ生成の流れを示す模式図である。 本発明に係るデジタルカメラにおける色相データの配列を示す模式図である。 本発明に係るデジタルカメラにおける色相データの3次元座標上の分布を示す図である。 本発明に係るデジタルカメラにおける撮影シーン判別動作の流れを示すフローチャートである。 G/R−G/B座標上における各種光源の発光色、並びに緑の被写体の色相分布を示す図である。
符号の説明
1 デジタルカメラ
2 カメラ本体部
201 シャッタボタン
202 メインスイッチ
203 モード設定ダイアル
204 ジョグダイアル(十字キー)
205 決定ボタン
206 選択/決定ボタン
207 メニューボタン
208 クイックビューボタン
209 電子ズームボタン
210 電子ビューファインダ(EVF)
211 LCDモニタ
212 内蔵フラッシュ
241 CCDエリアセンサ
242 信号処理回路
243 CDS回路
244 AGC回路
245 A/D変換器
246 タイミングジェネレータ
247 絞り/シャッタ駆動回路
248 フォーカス/ズームモータ駆動回路
261 画像処理CPU
262 画像処理部
263 黒レベル補正部
264 画素補完部
265 解像度変換部
266 ホワイトバランスゲイン乗算部
267 ガンマ補正部
268 マトリックス演算部
269 シェーディング補正部
270 画像圧縮部
271 ホワイトバランス制御部
272 ブロックデータ生成部
273 色相データ生成部
274 色相計数部
275 色相差積算部
276 光源判別部
277 ホワイトバランスゲイン演算部
279 基準クロック発生部
281 画像メモリ
282 メモリカードドライバ
283 メモリカード
284 外部通信I/F
285 LCD駆動回路
286 EVF駆動回路
291 カメラ制御CPU
292 フラッシュ制御回路
295 スイッチ群(シャッタボタン他)
3 レンズユニット
351 フォーカス/ズームモータ
352 絞り

Claims (5)

  1. 撮影画像の画像データを複数のブロックに分割し、分割された各ブロックのR、G、Bデータに基づいて各ブロックの色相データを生成する色相データ生成手段と、
    前記色相データ生成手段で生成された各ブロックの色相データが、撮影シーン毎に予め設定された複数種の基準色相データ範囲に入るブロックの個数を計数するブロック計数手段と、
    前記色相データ生成手段で生成された各ブロックの色相データのうちG成分のデータと、このデータの輝度データとで構成される色相データGPWの分布のばらつきを表すコントラストを求める色相コントラスト演算手段と、
    前記ブロック計数手段で計数されたブロックの個数と、前記色相コントラスト演算手段で求められた色相のコントラスト情報に基づいて、撮影シーンを判別する撮影シーン判別手段と、
    前記撮影シーン判別手段で判別された判別結果に基づいて、前記画像データに対してホワイトバランス調整を行うホワイトバランス調整手段と、
    を有することを特徴とする撮像装置。
  2. 前記色相データ生成手段が生成する各ブロックの色相データをGPWとしたときに、
    該色相データが下記式を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
    式:GPW=G/((α×R+β×G+γ×B)/(α+β+γ))
    (式中、α、β、γは任意の係数とする。)
  3. 前記色相コントラスト演算手段により求められる色相のG成分の色相データGPWのコントラストが、隣接するブロック間の色相データGPWの差の絶対値の総和であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  4. 前記色相コントラスト演算手段は、前記ブロック計数手段により計数されたブロックの色相データGPWに基づいて、色相のコントラストを求めるものであることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
  5. 前記色相データ生成手段は、前記分割された各ブロックのR、G、Bデータに仮のホワイトバランス調整を行い、生成された画像データに基づいて各ブロックの色相データGPWを生成することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
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