JP4751955B1 - 有機電界発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板上2に、陽極3及び陰極9からなる一対の電極と、該一対の電極間に発光層6を有し、該発光層6と該陰極9の間に少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、該発光層6に両電荷輸送性材料である特定構造のカルバゾール化合物を含有し、該発光層6と該陰極9の間の少なくとも一層の有機層に、高い電子移動度を有すると考えられる特定構造のトリフェニレン誘導体を含有する、有機電界発光素子10。
【選択図】図1
Description
これに関連して、正孔(ホール)輸送性及び電子輸送性の両方の性質を有する両電荷輸送性材料の開発が行われており、例えば、特許文献1には、アリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアルキレン基と、窒素含有ヘテロ芳香族環とを有する材料が記載されている。また特許文献2には、両電荷輸送性材料をホスト材料や電子輸送材料として使用することが記載されている。
その他にも、有機電界発光素子に使用可能な材料の開発が行われており、例えば、特許文献3は、有機電界発光素子に使用可能なトリフェニレン誘導体に関する発明であり、トリフェニレン誘導体をホスト材料や電子輸送材料として使用することを記載している。
また、有機電界発光素子を用いたディスプレイの駆動方式として、アクティブマトリクス方式やパッシブマトリクス方式が挙げられる。特に、薄膜トランジスタと組み合わせて駆動する系においては、画素ごとに逆バイアスをかける時間・タイミングを設定できるので好ましい。また、特許文献4には駆動中に素子に逆バイアスを加えると素子の耐久性が上がるとされているが、まだ不十分である。従って、駆動中に素子に逆バイアスを印加する駆動法においても、高い耐久性を有する素子が求められている。
すなわち、本発明の目的は、駆動電圧が低く、耐久性が向上した有機電界発光素子の提供にあり、特にパルス電圧を印加する駆動法のように、逆バイアスをかける駆動をした際に、耐久性の向上が顕著である有機電界発光素子の提供にある。
また、本発明の別の目的は有機電界発光素子を含む発光装置、表示装置及び照明装置を提供することである。
<1>
基板上に、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に発光層を有し、該発光層と該陰極の間に少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、
該発光層に下記一般式(3)で表される化合物を含有し、
該発光層と該陰極の間の少なくとも一層の有機層に、下記一般式(E−1)、ETM1、ETM2、又はETM4で表される炭化水素化合物を含有する有機電界発光素子。
一般式(3)中、X4 は水素原子が結合した炭素原子であり、X 5 は窒素原子であり、X4及びX5を含む環はピリミジンである。L’は、単結合又はフェニレン基を表す。R1〜R5はそれぞれ独立にフッ素原子、又はピリミジル基を表す。n1〜n5はそれぞれ独立に0又は1を表し、p’は1又は2を表し、q’は1を表す。
一般式(E−1)中、R 11 、R 14 、R 15 、R 18 、R 19 及びR 22 は水素原子を表す。R 12 、R 13 、R 16 、R 17 、R 20 及びR 21 はそれぞれ独立に水素原子、又はアルキル基、フェニル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよいフェニル基、若しくはナフチル基を表す。ただし、R11〜R22が全て水素原子になることはない。
<2>
前記炭化水素化合物が下記一般式(E−2)で表される炭化水素化合物である、上記<1>に記載の有機電界発光素子。
一般式(E−2)中、複数のAr1は同一であり、アルキル基で置換されていてもよいフェニル基、又はナフチル基を表す。
<3>
前記炭化水素化合物が下記一般式(E−3)、ETM1、ETM2、又はETM4で表される炭化水素化合物である、上記<1>に記載の有機電界発光素子。
一般式(E−3)中、Lは以下のいずれかの構造で表される2価又は3価の連結基を表す。*はトリフェニレン環との結合位置を表す。nは2又は3を表す。
<4>
前記炭化水素化合物が下記一般式(E−4)、ETM1、ETM2、又はETM4で表される炭化水素化合物である、上記<1>に記載の有機電界発光素子。
一般式(E−4)中、複数存在する場合のAr2は同一であり、Ar2は、メタ位が炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はトリフェニレニル基で置換されたフェニル基を表す。
p及びqはそれぞれ独立に0又は1を表すが、pとqが同時に0になることはない。p及びqが0を表す場合、Ar2は水素原子を表す。
<5>
薄膜トランジスタと接続して、アクティブマトリクス駆動が可能な、上記<1>〜<4>のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
<6>
上記<1>〜<4>のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
<7>
上記<1>〜<4>のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
<8>
上記<1>〜<4>のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
なお、本発明は、上記<1>〜<8>に関するものであるが、参考のため、その他の事項(例えば下記〔1〕〜〔11〕に記載の事項等)についても記載した。
該発光層に下記一般式(1)で表される化合物を含有し、
該発光層と該陰極の間の少なくとも一層の有機層に、下記一般式(E−1)で表される炭化水素化合物を含有する有機電界発光素子。
〔2〕前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である、上記〔1〕に記載の有機電界発光素子。
〔3〕前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である、上記〔2〕に記載の有機電界発光素子。
〔4〕前記一般式(E−1)で表される炭化水素化合物が下記一般式(E−2)で表される炭化水素化合物である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
〔5〕前記一般式(E−1)で表される炭化水素化合物が下記一般式(E−3)で表される炭化水素化合物である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
p及びqはそれぞれ独立に0又は1を表すが、pとqが同時に0になることはない。p及びqが0を表す場合、Ar2は水素原子を表す。
〔7〕前記一般式(E−4)において、Ar2がフェニル基を表し、該フェニル基のメタ位がアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、又はこれらを組み合わせてなる基で置換されている、上記〔6〕に記載の有機電界発光素子。
〔8〕薄膜トランジスタと接続して、アクティブマトリクス駆動が可能な、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
〔9〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
〔10〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
〔11〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
(置換基群A)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ネオペンチルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、4−メチルフェニル、2,6−ジメチルフェニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、ホスホリル基(例えばジフェニルホスホリル基、ジメチルホスホリル基などが挙げられる。)が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、シアノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、前記 置換基群Bから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Bから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Bから選択される基を挙げることができる。
該発光層に後述の一般式(1)で表される化合物を含有し、
該発光層と該陰極の間の少なくとも一層の有機層に、後述の一般式(E−1)で表される炭化水素化合物を含有する。
本発明の有機電界発光素子の駆動電圧が低下し、耐久性が向上する理由は定かではないが、両電荷輸送性材料である特定構造のカルバゾール化合物の発光層における使用と、高い電子移動度を有すると考えられる特定構造のトリフェニレン誘導体の発光層と陰極の間の有機層(好ましくは、電子輸送層)における使用とを組み合わせることが、素子の駆動電圧の低下、及び耐久性の向上に寄与していると考えられる。現在の有機電界発光素子は、燐光素子においてホールブロック層が設けられている場合が多いことから、ホール輸送層や発光層にホール移動度の高い材料が使われていると考えられる。そこで、電子移動度が高い電子輸送層を用い、電子も輸送する材料を発光層に用いることでキャリアバランスが改善されるものと考えられる。
以下、一般式(1)で表される化合物について説明する。
Czは、置換若しくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアリール基である。
アリールカルバゾリル基及びカルバゾリルアリール基におけるアリール基は、炭素数6〜30が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ナフタセニル基、ピレニル基、フルオレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられ、これらのうち、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基がより好ましい。
アリールカルバゾリル基及びカルバゾリルアリール基におけるカルバゾール環(カルバゾリル基)上でのアリール基の置換位置は、特に限定されないが、化学的安定性やキャリア輸送性の観点から、アリール基がカルバゾール環の2位、3位、6位、7位又は9位に置換していることが好ましく、カルバゾール環の3位、6位又は9位に置換していることがより好ましく、カルバゾール環の9位(N位)に置換していることが最も好ましい。
Czがアリールカルバゾリル基の場合、特に限定されないが、化学的安定性やキャリア輸送性の観点から、アリールカルバゾリル基のカルバゾール環の2位、3位、6位、7位又は9位(N位)でLと連結することが好ましく、カルバゾール環の3位、6位位又は9位(N位)でLと連結することがより好ましく、カルバゾール環の9位(N位)でLと連結することが最も好ましい。
具体的には、Czはフェニル基に1つ又は2つのカルバゾリル基が9位(N位)で置換してなる基が好ましく、該カルバゾリル基の3位及び6位がフッ素原子で置換されていてもよい。
また、Czとしてはカルバゾリルアリール基であることが好ましい。
窒素含有ヘテロ芳香族6員環又は窒素含有ヘテロ芳香族6員環を含む窒素含有ヘテロ芳香族環としては、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、アザインドリジン、インドリジン、プリン、プテリジン、β−カルボリン、ナフチリジン、キノキサリン、ターピリジン、ビピリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、イミダゾピリジン等が挙げられ、これらのうち、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジンがより好ましく、ピリジン、ピリミジン、ピラジンが更に好ましく、ピリミジンが最も好ましい。
なお、一般式(1)においてp+qが3以上を表す場合、Lは、前記アリーレン基からp+q-2個の任意の水素原子を除したp+q価の基、シクロアルキレン基からp+q-2個の任意の水素原子を除したp+q価の基、又はp+q価の芳香族ヘテロ環基を表す。
Lが有する置換基としては、前記置換基群Aとしてあげたものが適用でき、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ピリジル基、ピリミジル基、チエニル基、フルオロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフェニルシリル基、トリメチルシリル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、ブチル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、フルオロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基であり、更に好ましくはメチル基、フェニル基、フルオロ基である。
アリーレン基としては、炭素数6〜30のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ビレニレン基、クリセニレン基、フルオランテニレン基、パーフルオロアリーレン基等が挙げられ、これらのうちフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、パーフルオロアリーレン基が好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基がより好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基が更に好ましい。
シクロアルキレン基としては、炭素数5〜30のシクロアルキレン基が好ましく、例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基などが挙げられ、これらのうちシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が好ましく、シクロへキシレン基がより好ましい。
ヘテロ芳香族環としては、炭素数2〜30のヘテロ芳香族環が好ましく、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基等が挙げられ、これらのうち、ピリジニル基、キノリル基、インドリル基、カルバゾリル基が好ましく、ピリジニル基、カルバゾリル基がより好ましい。
Lとしては、単結合、フェニレン基、ビフェニレン基、シクロへキシレン基、シクロへキシレン基、ピリジニル基、カルバゾリル基が好ましく、単結合、フェニレン基、ビフェニレン基がより好ましく、単結合、フェニレン基が更に好ましい。
一般式(2)中、Cz、L、p及びqの定義は、一般式(1)におけるCz、L、p及びqと同様であり、好ましいものも同様である。
Ar1、Ar2はそれぞれ独立に置換又は無置換のアリール基、アリーレン基、又は芳香族へテロ環基である。
アリール基は置換又は無置換の炭素数6〜30のものが好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ビレニル基、クリセニル基、フルオランテニル基、パーフルオロアリール基等が挙げられ、これらのうちフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、パーフルオロアリール基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基がより好ましく、フェニル基、ビフェニル基が更に好ましい。
アリーレン基としては置換又は無置換の炭素数6〜30のものが好ましく、具体例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるLの説明で挙げたものと同様である。芳香族へテロ環基としては、置換又は無置換の炭素数2〜30のものが好ましく、具体例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるLの説明で挙げたものと同様である。これらに置換基が結合する場合、置換基の具体例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるCz、Aの置換基として挙げたものと同様である。
Ar1、Ar2は、好ましくはそれぞれ独立に、カルバゾリル基で置換されていてもよいフェニル基又はピリジル基であり、カルバゾリル基で置換されていてもよいフェニル基であることがより好ましい。
X1、X2、X3は、それぞれ独立に、窒素原子又は水素原子若しくは置換基が結合した炭素原子を表す。X1、X2、X3のうち、0〜2個が窒素原子である場合が好ましく、0〜1個が窒素原子である場合がより好ましく、1個が窒素原子である場合が最も好ましい。X1、X2、X3のいずれかに窒素原子が含まれる場合、X1及びX3のいずれか一方が窒素原子であることが好ましい。一般式(2)におけるX1〜X3を含む環がピリジン又はピリミジンを表すことが好ましく、ピリミジンを表すことがより好ましい。炭素原子に結合する置換基の具体例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるCz、Aの置換基として挙げたものと同様である。また、一般式(2)においてLの連結位置は特に限定されないが、化学的安定性やキャリア輸送性の観点からAr1の炭素原子と連結することが好ましい。
X4、X5はそれぞれ独立に窒素原子又は水素原子若しくは置換基が結合した炭素原子を表す。X4又はX5のいずれか一方は窒素原子であり、他方は水素原子若しくは置換基が結合した炭素原子であることが好ましく、一方は窒素原子であり、他方は水素原子が結合した炭素原子であることがより好ましい。一般式(3)におけるX4及びX5を含む環がピリジン又はピリミジンを表すことが好ましく、ピリミジンを表すことがより好ましい。炭素原子に結合する置換基の具定例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるCz、Aの置換基として挙げたものと同様である。
L’の定義は、前述の一般式(1)におけるLと同様であり、好ましい基もLと同様である。L’は、一般式(3)中の含窒素ヘテロ芳香族構造においてベンゼン環と連結している。
R1〜R5はそれぞれ独立に置換基を表す。置換基の具体例は前述の一般式(1)におけるCz、Aの置換基として挙げたものと同様である。R1〜R6として好ましくは、フッ素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、アダマンチル基、シアノ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリフルオロメチル基、カルバゾリル基であり、より好ましくは、フッ素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、ピリジル基、シアノ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリフルオロメチル基、カルバゾリル基であり、更に好ましくはフッ素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、シアノ基、シリル基、トリフェニルシリル基、トリフルオロメチル基、カルバゾリル基であり、更に好ましくはフッ素原子、t−ブチル基、フェニル基、シアノ基、トリフェニルシリル基、カルバゾリル基である。R1〜R5が複数のとき、複数のR1〜R5はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
R3はピリジル基、ピラジル基、又はピリミジル基であることが好ましく、ピリミジル基であることがより好ましい。該ピリジル基、ピラジル基、又はピリミジル基は更に置換基を有してもよく、該置換基としてはアルキル基、アリール基が好ましく、アリール基がより好ましく、フェニル基であることが最も好ましい。
n1〜n5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。それぞれ0〜2であることが好ましく、0〜1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
p’、q’はそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。それぞれ1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例中のPhはフェニル基を表す。
例えば、上記例示化合物A4は、m−ブロモベンゾアルデヒドを出発原料に用い、国際公開第05/085387号パンフレット段落[0074]−[0075](45頁、11行〜46頁、18行)に記載の方法で合成することができる。上記例示化合物A45の化合物は、3,5−ジブロモベンゾアルデヒドを出発原料に用い、国際公開第03/080760号パンフレットの46頁、9行〜46頁、12行に記載の方法で合成することができる。また、上記例示化合物A77の化合物は、N−フェニルカルバゾールを出発原料に用い、国際公開第05/022962号パンフレットの137頁、10行〜139頁、9行に記載の方法で合成することができる。
合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
本発明では、高温駆動時の色度変化をより抑えるために、一般式(1)で表される化合物を発光層に加え、発光層に隣接する層のいずれかに含有されることが好ましい。また、一般式(1)で表される化合物を発光層及び隣接する層の両層に含有させてもよい。
一般式(1)で表される化合物の発光層中の含有量は、本発明の一般式(1)で表される化合物を発光層の全質量に対して0.1〜99質量%含ませることが好ましく、1〜97質量%含ませることがより好ましく、10〜97質量%含ませることがより好ましい。
下記一般式(E−1)で表される炭化水素化合物(以下単に「炭化水素化合物」と称する場合がある)について説明する。
一般式(E−1)で表される炭化水素化合物は炭素原子と水素原子のみからなり、化学的安定性の点で優れるため、駆動耐久性が高く、高輝度駆動時の各種変化がおきにくいという効果を奏する。
フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい、フェニル基であることが特に好ましい。
Lとして好ましくは、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はトリフェニル基で置換されていてもよいフェニル基、ナフチル基、又はこれらを組み合わせて成るn価の連結基である。
以下にLの好ましい具体例を挙げるがこれらに限定されるものではない。なお具体例中*でトリフェニレン環と結合する。
また、Ar2がフェニル基を表し、該フェニル基のメタ位がアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、又はこれらを組み合わせてなる基で置換されていることが好ましく、Ar2は、メタ位が炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、又はこれらを組み合わせてなる基で置換されたフェニル基であることが特に好ましい。
基(Arx)において、Ara〜Ardとしては、ベンゼン環、トリフェニレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることが更に好ましい。
na、nb、ncのうち、1〜3つが1であることが好ましい。
合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
炭化水素化合物が含有される発光層と陰極の間の発光層に隣接する有機層は電荷ブロック層又は電子輸送層であることが好ましく、電子輸送層であることがより好ましい。
本発明の素子について詳細に説明する。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に発光層を有し、該発光層と該陰極の間に少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、発光層に前紀一般式(1)で表される化合物を含有し、該発光層と該陰極の間の少なくとも一層の有機層に前記一般式(E−1)で表される炭化水素化合物を含有する。
発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明若しくは半透明であることが好ましい。
図1は、本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示している。
図1に示される本発明に係る有機電界発光素子10は、支持基板2上において、陽極3と陰極9との間に発光層6が挟まれている。具体的には、陽極3と陰極9との間に正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、正孔ブロック層7、及び電子輸送層8がこの順に積層されている。
前記有機層の層構成としては、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明電極上に又は前記背面電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機層は、前記透明電極又は前記背面電極上の前面又は一面に形成される。
有機層の形状、大きさ、及び厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
有機電界発光素子の素子構成、基板、陰極及び陽極については、例えば、特開2008−270736号公報に詳述されており、該公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
本発明における有機層について説明する。
本発明の有機電界発光素子において、各有機層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式成膜法、転写法、印刷法、スピンコート法、バーコート法等の溶液塗布プロセスのいずれによっても好適に形成することができる。本発明の素子において、発光層、該発光層と陰極の間の有機層、及び前記陽極と前記陰極の間に存在するその他の有機層のうちいずれか少なくとも1層が溶液塗布プロセスにより形成されたことが好ましい。
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
本発明における発光材料としては、燐光性発光材料、蛍光性発光材料等いずれも用いることができる。
本発明における発光層は、色純度を向上させるためや発光波長領域を広げるために2種類以上の発光材料を含有することができる。発光材料の少なくとも一種が燐光発光材料であることが好ましい。
本発明における発光材料は、更に前記ホスト材料との間で、1.2eV>△Ip>0.2eV、及び/又は1.2eV>△Ea>0.2eVの関係を満たすことが駆動耐久性の観点で好ましい。ここで、△Ipは、ホスト材料と発光材料のIp値の差を、△Eaはホスト材料と発光材料のEa値の差を意味する。
前記発光材料の少なくとも一種が白金錯体材料又はイリジウム錯体材料であることが好ましく、イリジウム錯体材料であることがより好ましい。
蛍光発光材料、燐光発光材料については、例えば、特開2008−270736の段落番号〔0100〕〜〔0164〕、特開2007−266458の段落番号〔0088〕〜〔0090〕に詳述されており、これらの公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
炭素原子でPtに結合するQ1、Q2、Q3及びQ4としては、アニオン性の配位子でも中性の配位子でもよく、アニオン性の配位子としてはビニル配位子、芳香族炭化水素環配位子(例えばベンゼン配位子、ナフタレン配位子、アントラセン配位子、フェナントレン配位子など)、ヘテロ環配位子(例えばフラン配位子、チオフェン配位子、ピリジン配位子、ピラジン配位子、ピリミジン配位子、ピリダジン配位子、トリアジン配位子、チアゾール配位子、オキサゾール配位子、ピロール配位子、イミダゾール配位子、ピラゾール配位子、トリアゾール配位子及び、それらを含む縮環体(例えばキノリン配位子、ベンゾチアゾール配位子など))が挙げられる。中性の配位子としてはカルベン配位子が挙げられる。
窒素原子でPtに結合するQ1、Q2、Q3及びQ4としては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としては含窒素芳香族ヘテロ環配位子(ピリジン配位子、ピラジン配位子、ピリミジン配位子、ピリダジン配位子、トリアジン配位子、イミダゾール配位子、ピラゾール配位子、トリアゾール配位子、オキサゾール配位子、チアゾール配位子及びそれらを含む縮環体(例えばキノリン配位子、ベンゾイミダゾール配位子など))、アミン配位子、ニトリル配位子、イミン配位子が挙げられる。アニオン性の配位子としては、アミノ配位子、イミノ配位子、含窒素芳香族ヘテロ環配位子(ピロール配位子、イミダゾール配位子、トリアゾール配位子及びそれらを含む縮環体(例えはインドール配位子、ベンゾイミダゾール配位子など))が挙げられる。
酸素原子でPtに結合するQ1、Q2、Q3及びQ4としては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としてはエーテル配位子、ケトン配位子、エステル配位子、アミド配位子、含酸素ヘテロ環配位子(フラン配位子、オキサゾール配位子及びそれらを含む縮環体(ベンゾオキサゾール配位子など))が挙げられる。アニオン性の配位子としては、アルコキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、アシルオキシ配位子、シリルオキシ配位子などが挙げられる。
硫黄原子でPtに結合するQ1、Q2、Q3及びQ4としては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としてはチオエーテル配位子、チオケトン配位子、チオエステル配位子、チオアミド配位子、含硫黄ヘテロ環配位子(チオフェン配位子、チアゾール配位子及びそれらを含む縮環体(ベンゾチアゾール配位子など))が挙げられる。アニオン性の配位子としては、アルキルメルカプト配位子、アリールメルカプト配位子、ヘテロアリールメルカプト配位子などが挙げられる。
リン原子でPtに結合するQ1、Q2、Q3及びQ4としては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としてはホスフィン配位子、リン酸エステル配位子、亜リン酸エステル配位子、含リンヘテロ環配位子(ホスフィニン配位子など)が挙げられ、アニオン性の配位子としては、ホスフィノ配位子、ホスフィニル配位子、ホスホリル配位子などが挙げられる。
Q1、Q2、Q3及びQ4で表される基は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適宜適用できる。また置換基同士が連結していても良い(Q3とQ4が連結した場合、環状四座配位子のPt錯体になる)。
錯体の安定性及び発光量子収率の観点から、L1、L2及びL3として好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基であり、より好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、イミノ基であり、更に好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基であり、更に好ましくは、単結合、メチレン基、フェニレン基であり、更に好ましくは単結合、ジ置換のメチレン基であり、更に好ましくは単結合、ジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、ジイソブチルメチレン基、ジベンジルメチレン基、エチルメチルメチレン基、メチルプロピルメチレン基、イソブチルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基、シクロペンタンジイル基、フルオレンジイル基、フルオロメチルメチレン基である。
L1は特に好ましくはジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基であり、最も好ましくはジメチルメチレン基である。
L2及びL3として最も好ましくは単結合である。
A401〜A414はそれぞれ独立にC−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。
Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。
A401〜A406として好ましくはC−Rであり、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。A401〜A406がC−Rである場合に、A402、A405のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子であり、特に好ましくは水素原子、フッ素原子である。A401、A403、A404、A406のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子であり、特に好ましく水素原子である。
L41は、前記一般式(C−1)中のL1と同義であり、また好ましい範囲も同様である。
A407〜A414がC−Rを表す場合に、A408、A412のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、ペルフルオロアルキル基、アルキル基、アリール基、フッ素原子、シアノ基であり、特に好ましくは、水素原子、フェニル基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基である。A407、A409、A411、A413のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、シアノ基であり、特に好ましく水素原子、フェニル基、フッ素原子である。A410、A414のRとして好ましくは水素原子、フッ素原子であり、より好ましくは水素原子である。A407〜A409、A411〜A413のいずれかがC−Rを表す場合に、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。
炭素原子でPtに結合するYとしてはビニル配位子が挙げられる。窒素原子でPtに結合するYとしてはアミノ配位子、イミノ配位子が挙げられる。酸素原子でPtに結合するYとしては、アルコキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、アシルオキシ配位子、シリルオキシ配位子、カルボキシル配位子、リン酸配位子、スルホン酸配位子などが挙げられる。硫黄原子でPtに結合するYとしては、アルキルメルカプト配位子、アリールメルカプト配位子、ヘテロアリールメルカプト配位子、チオカルボン酸配位子などが挙げられる。
Yで表される配位子は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適宜適用できる。また置換基同士が連結していても良い。
例えば、配位子、又はその解離体と金属化合物を溶媒(例えば、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキサイド系溶媒、水などが挙げられる)の存在下、若しくは、溶媒非存在下、塩基の存在下(無機、有機の種々の塩基、例えば、ナトリウムメトキシド、t−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウムなどが挙げられる)、若しくは、塩基非存在下、室温以下、若しくは加熱し(通常の加熱以外にもマイクロウェーブで加熱する手法も有効である)得ることができる。
〔一般式(T−1)で表される化合物〕
一般式(T−1)で表される化合物について説明する。
Eは炭素原子又は窒素原子を表す。
Qは窒素を1つ以上含む5員又は6員の芳香族複素環又は縮合芳香族複素環である。
該環Qにおいて、EとNを結ぶ線は一本の線で表されているが、結合種は問わず、それぞれ単結合でも二重結合でも良い。
RT3、RT4、RT5及びRT6は隣り合う任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Tを有していてもよい。
RT3’とRT6は、−C(RT)2−C(RT)2−、−CRT=CRT−、−C(RT)2−、−O−、−NRT−、−O−C(RT)2−、−NRT−C(RT)2−及び−N=CRT−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよい。
RTはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Tを有していてもよい。
置換基Tはそれぞれ独立に、フッ素原子、−R’、−OR’、−N(R’)2、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)2、−CN、−NO2、−SO2、−SOR’、−SO2R’、又は−SO3R’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、配位子を表す。mは1〜3の整数、nは0〜2の整数を表す。m+nは3である。)
シクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基Tを挙げることができる。RT3’、RT3、RT4、RT5、RT6で表されるシクロアルキル基として、好ましくは環員数4〜7のシクロアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数5〜6のシクロアルキル基であり、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
RT3’、RT3、RT4、RT5、RT6で表されるアルケニル基としては好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、1−プロペニル、1−イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。
RT3’、RT3、RT4、RT5、RT6で表されるアルキニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル、プロパルギル、1−プロピニル、3−ペンチニルなどが挙げられる。
以下に、(X−Y)で表される配位子の例を具体的に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
RT3、RT4、RT5及びRT6は隣り合う任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は更に置換基Tを有していてもよい。
RT3’とRT6は、−C(RT)2−C(RT)2−、−CRT=CRT−、−C(RT)2−、−O−、−NRT−、−O−C(RT)2−、−NRT−C(RT)2−及び−N=CRT−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよい。
RTはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Tを有していてもよい。
置換基Tはそれぞれ独立に、フッ素原子、−R’、−OR’、−N(R’)2、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)2、−CN、−NO2、−SO2、−SOR’、−SO2R’、又は−SO3R’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、配位子を表す。mは1〜3の整数、nは0〜2の整数を表す。m+nは3である。)
RT4’は水素原子、アルキル基、アリール基、フッ素原子が好ましく、水素原子がより好ましい。
RT5’及びRT6’は水素原子を表すか、又は互いに結合して縮合4〜7員環式基を形成することが好ましく、該縮合4〜7員環式基は、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであることがより好ましく、アリールであることが更に好ましい。
RT4’〜R T6’における置換基Tとしてはアルキル基、アルコキシ基、フッ素原子、シアノ基、アルキルアミノ基、ジアリールアミノ基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
RT7〜RT10は、RT3〜RT6と同義であり、好ましい範囲も同様である。RT7’〜R T10’は、RT3’〜RT6’と同義であり、好ましい範囲も同様である。
RT3、RT4、RT5及びRT6は隣り合う任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は更に置換基Tを有していてもよい。
RT3’、RT4’、及びRT5’は隣り合う任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は更に置換基Tを有していてもよい。
RT3’とRT6は、−C(RT)2−C(RT)2−、−CRT=CRT−、−C(RT)2−、−O−、−NRT−、−O−C(RT)2−、−NRT−C(RT)2−及び−N=CRT−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよい。
RTはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Tを有していてもよい。
置換基Tはそれぞれ独立に、フッ素原子、−R’、−OR’、−N(R’)2、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)2、−CN、−NO2、−SO2、−SOR’、−SO2R’、又は−SO3R’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、配位子を表す。mは1〜3の整数、nは0〜2の整数を表す。m+nは3である。)
RT4’は水素原子、アルキル基、アリール基が好ましく、水素原子又はアリール基がより好ましい。該アリール基として、好ましくは炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基であり、より好ましくは炭素数6〜20のアリール基である。該アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、ターフェニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、トリル基などが挙げられ、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリフェニレニル基、アントリル基、又はターフェニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基がより好ましい。
RT3’、RT4’、及びRT5’は隣り合う任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は更に置換基Tを有していてもよい。
RT3’とRT6は、−C(RT)2−C(RT)2−、−CRT=CRT−、−C(RT)2−、−O−、−NRT−、−O−C(RT)2−、−NRT−C(RT)2−及び−N=CRT−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよい。
RTはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Tを有していてもよい。
置換基Tはそれぞれ独立に、フッ素原子、−R’、−OR’、−N(R’)2、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)2、−CN、−NO2、−SO2、−SOR’、−SO2R’、又は−SO3R’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
Wは、水素原子若しくは置換基Tが結合した炭素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。
(X−Y)は、配位子を表す。mは1〜3の整数、nは0〜2の整数を表す。m+nは3である。)
RTC1〜RTC4の好ましい範囲はRT3の好ましい範囲と同様であり、水素原子、アルキル基、アリール基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
Wは置換基Tを有する炭素原子であることが好ましく、該置換基Tとしてはアルキル基が好ましく、該アルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基であり、より好ましくはメチル基である。
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよい。また、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
本発明に用いられるホスト材料は、前記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。一般式(1)で表される化合物は、正孔(ホール)と電子の両電荷を輸送可能な化合物であり、一般式(E−1)で表される炭化水素化合物と組み合わせることで、前述の本発明の効果が得られる。
ホスト材料は電子輸送材料及び正孔輸送性材料を挙げることができ、電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料と正孔輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。
例えば、ピロール、インドール、カルバゾール(例えばCBP(4,4’−ジ(9−カルバゾリル)ビフェニル)、3,3’−ジ(9−カルバゾリル)ビフェニル))、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体及びそれらの誘導体(置換基や縮環を有していてもよい)等を挙げることができる。
電荷輸送層とは、有機電界発光素子に電圧を印加した際に電荷移動が起こる層をいう。具体的には正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層又は電子注入層が挙げられる。好ましくは、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層又は発光層である。塗布法により形成される電荷輸送層が正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層又は発光層であれば、低コストかつ高効率な有機電界発光素子の製造が可能となる。また、電荷輸送層として、より好ましくは、正孔注入層、正孔輸送層又は電子ブロック層である。
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料、電子輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
電子注入層、電子輸送層については、例えば、特開2008−270736、特開2007−266458に詳述されており、これらの公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
電子注入層には電子供与性ドーパントを含有することが好ましい。電子注入層に電子供与性ドーパントを含有させることにより、電子注入性が向上し、駆動電圧が低下する、効率が向上するなどの効果がある。電子供与性ドーパントとは、ドープされる材料に電子を与え、ラジカルアニオンを発生させることが可能な材料であれば有機材料、無機材料のうちいかなるものでもよいが、例えば、テトラチアフルバレン(TTF)、テトラチアナフタセン(TTT)、リチウム、セシウムなどが挙げられる。
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、本発明における一般式(1)で表される化合物のほか、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(Aluminum (III)bis(2−methyl−8−quinolinato)4−phenylphenolate(BAlqと略記する))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCPと略記する))等のフェナントロリン誘導体、トリフェニレン誘導体、カルバゾール誘導体等が挙げられる。
前記トリフェニレン誘導体は例えば国際公開第05/013388号、国際公開第06/130598号、国際公開第09/021107号に記載されている。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する有機化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
電子ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
保護層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0169〕〜〔0170〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
本発明の素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
封止容器については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0171〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、ペルフルオロアルカンやペルフルオロアミン、ペルフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、直流電流、又は逆バイアス電圧を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の直流電圧又は直流電流の印加による駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書等に記載の駆動方法を適用することができる。
本発明の有機電界発光素子は、0V以下の逆バイアスの電圧を印加して駆動することが、素子の耐久性の顕著な向上のため好ましい。逆バイアスの電圧の印加方式としては、例えば発光する電圧をパルス状に印加し、それ以外の時間に逆バイアスを印加する方式が挙げられる。
ここで、パルス状とは、矩形波(立ち上がり・立ち下りが多少なまることがある)を指す。逆バイアスの電圧は0V以下で、マイナス側の印加電圧は一般的に−10V〜0V、好ましくは−5V〜0Vであるのが好ましい。マイナス側の印加電圧の絶対値が大きすぎると、素子が破壊される恐れがある。
また、Duty比(素子に発光する電圧を加えている時間の割合)は逆バイアスの電圧を加えるので100%未満となり、1%以上であるのが好ましい。Duty比が少なすぎると、必要な輝度を得るのに高い輝度が必要となり、素子の破壊の可能性がある。
周波数は一般的なディスプレイで使われている周波数と同程度で駆動するのが好ましく、50〜300Hzで駆動することが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、薄膜トランジスタと接続して、例えば、一つ一つの画素を薄膜トランジスタで選択し、画素ごとのコンデンサに輝度情報を電荷量として書き込んで素子を発光させる、アクティブマトリクス駆動が可能な有機電界発光素子であることも好ましい。
なお、薄膜トランジスタは、例えば、シリコン又は酸化物半導体を原料とし、絶縁膜・電極をつけて電界効果トランジスタとしたものである。
本発明の発光素子は、発光装置、ピクセル、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、又は光通信等に好適に利用できる。特に、照明装置、表示装置等の発光輝度が高い領域で駆動されるデバイスに好ましく用いられる。
次に、図2を参照して本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置は、前記有機電界発光素子を用いてなる。
図2は、本発明の発光装置の一例を概略的に示した断面図である。
図2の発光装置20は、基板(支持基板)2、有機電界発光素子10、封止容器16等により構成されている。
ここで、接着層14としては、エポキシ樹脂等の光硬化型接着剤や熱硬化型接着剤を用いることができ、例えば熱硬化性の接着シートを用いることもできる。
次に、図3を参照して本発明の実施形態に係る照明装置について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る照明装置の一例を概略的に示した断面図である。
本発明の実施形態に係る照明装置40は、図3に示すように、前述した有機EL素子10と、光散乱部材30とを備えている。より具体的には、照明装置40は、有機EL素子10の基板2と光散乱部材30とが接触するように構成されている。
光散乱部材30は、光を散乱できるものであれば特に制限されないが、図3においては、透明基板31に微粒子32が分散した部材とされている。透明基板31としては、例えば、ガラス基板を好適に挙げることができる。微粒子32としては、透明樹脂微粒子を好適に挙げることができる。ガラス基板及び透明樹脂微粒子としては、いずれも、公知のものを使用できる。このような照明装置40は、有機電界発光素子10からの発光が光散乱部材30の光入射面30Aに入射されると、入射光を光散乱部材30により散乱させ、散乱光を光出射面30Bから照明光として出射するものである。
一般式(E−1)で表される炭化水素化合物は、国際公開第09/021107号に記載の方法を参考に合成した。
<有機電界発光素子の作製>
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を100nm堆積し、パターニングしたもの(ジオマテック社製)を陽極として用いた。前記ITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行って、真空蒸着装置内に設置し、蒸着装置内の真空度が2.7×10-4Pa以下になるまで排気した。
続いて、上記真空蒸着装置内にて、CuPcを加熱し、膜厚10nmの正孔注入層を形成した。
有機材料の層の形成は、るつぼに有機材料を入れ、そのるつぼをフィラメント上に載せておき、真空にした後でフィラメントを加熱する方法で形成した。
次いで、上記により形成された正孔注入層の上に、下記に示す、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)をあらかじめるつぼに入れておき、ヒーターで加熱して、膜厚30nmの正孔輸送層を形成した。
引続き、上記により形成された正孔輸送層の上に、発光層に含有されるホスト材料として、下記構造式で表されるホスト材料H1と、発光材料として、下記構造式で表される緑色燐光材料Ir(ppy)3とを同時に加熱し、発光層の成膜を行った。Ir(ppy)3が発光層全体に対して5質量%含有されるよう蒸着速度を調整し、膜厚30nmの発光層を正孔輸送層の上に積層した。
更に、下記に示す化合物ETM1を蒸着し、膜厚10nmの第1電子輸送層を発光層の上に積層した。
最後に、下記に示す化合物(Alq)を蒸着し、膜厚40nmの第2電子輸送層を第1電子輸送層の上に積層した。
その後、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で第2電子輸送層の上に蒸着により成膜して電子注入層を形成し、更に、アルミニウムを100nmの膜厚で蒸着により成膜して陰極を形成した。
酸化カルシウムを主成分とする乾燥剤を用意し、これを凹部に貼り付けたガラス基板を用意した。このガラス基板の縁に紫外線硬化樹脂を載せ、先ほど作成した、素子が形成された基板と貼り合わせ、紫外線をあてて封止した。なお、陽極のITOと陰極のアルミニウムには引き出し線をつけて、電圧をかけられるようにした。
また、蒸着時は、所望の膜厚が得られるよう、水晶発振式成膜コントローラ(ULVAC社製CRTM6000)を用いてモニターした。
実施例1で作成した素子において、発光層のホスト材料、及び第1電子輸送層の材料を、下記表1中に示す材料に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜18及び比較例1〜7の有機電界発光素子を得た。
上記のように得られた各素子の性能は以下のように評価した。
(評価方法1)
電圧をDuty比50%とし、マイナス側には−5V、プラス側には10,000cd/m2で発光する電圧をかけ、120Hzでパルス駆動をした。輝度が80%になるまでの時間(LT80)(Hour)を測定した。素子の駆動には、例えばエヌエフ回路設計ブロック社のマルチファンクションシンセサイザを用いることが出来る。
前掲の材料以外の表1に示される材料の構造を以下に示す。
実施例1で作成した素子において、発光層のホスト材料H1を、下記表2中に示す材料に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例19〜28の有機電界発光素子を得た。以上のように得られた各素子の性能を、上記評価方法1に従い評価した。
前掲の材料以外の表2に示される材料の構造を以下に示す。
実施例1及び10、並びに比較例1及び5で作成した素子において、発光層の発光材料を、Ir(ppy)3から下記に示す構造のFirpicに変更した以外は、実施例1及び10、並びに比較例1及び5とそれぞれ同様にして、実施例29及び30、並びに比較例8及び9の有機電界発光素子を得た。
上記のように得られた各素子の性能は以下のように評価した。結果を表3に示す。
(評価方法2)
電圧をDuty比50%とし、マイナス側には−5V、プラス側には1,000cd/m2で発光する電圧をかけ、100Hzで駆動した。輝度が80%になるまでの時間(LT80)(Hour)を測定した。
実施例1及び10、並びに比較例1及び5で作成した素子において、発光層の発光材料を、Ir(ppy)3から下記に示す構造のREM1に変更した以外は、実施例1及び10、並びに比較例1及び5とそれぞれ同様にして、実施例31及び32、並びに比較例10及び11の有機電界発光素子を得た。
上記のように得られた各素子の性能は以下のように評価した。結果を表4に示す。
(評価方法3)
電圧をDuty比50%とし、マイナス側には−5V、プラス側には2,000cd/m2で発光する電圧をかけ、100Hzで駆動した。輝度が80%になるまでの時間(LT80)(Hour)を測定した。
<周波数を変化させたときの評価>
実施例33及び34、並びに比較例12及び13として、実施例1及び10、並びに比較例1及び5で作成した素子を、前述の評価方法1の方法で、駆動周波数を120Hzから240Hzに変えて駆動させた。輝度が80%になるまでの時間(LT80)(Hour)を測定した。
また実施例35及び36、並びに比較例14及び15として、実施例1及び10、並びに比較例1及び5で作成した素子を、前述の評価方法1の方法で、駆動周波数を120Hzから60Hzに変えて駆動させた。輝度が80%になるまでの時間(LT80)(Hour)を測定した。
以上の結果を表5に示す。
<Duty比を変化させたときの評価>
実施例37及び38、並びに比較例16及び17として、実施例1及び10、並びに比較例1及び5で作成した素子を、評価方法1の方法で、プラス側には5,000cd/m2で発光する電圧をかけ、定常駆動(Duty比を100%)に変えて駆動させた。輝度が80%になるまでの時間(LT80)(Hour)を測定した。
また実施例39及び40、並びに比較例18及び19として、実施例1及び10、並びに比較例1及び5で作成した素子を、評価方法1の方法で、プラス側には5,260cd/m2で発光する電圧をかけ、Duty比を95%に変えて駆動させた。輝度が80%になるまでの時間(LT80)(Hour)を測定した。
更に、実施例41及び42、並びに比較例20及び21として、実施例1及び10、並びに比較例1及び5で作成した素子を、評価方法1の方法で、プラス側には50,000cd/m2で発光する電圧をかけ、Duty比を10%に変えて駆動させた。輝度が80%になるまでの時間(LT80)(Hour)を測定した。
なお、プラス側に電圧をかけたときの各素子の輝度は、平均輝度が5,000cd/m2になるよう設定した。
以上の結果を表6に示す。
本発明の両電荷輸送性材料はカルバゾリル基を持つため正孔輸送性を持ち、更に含窒素複素環(ピリジン、イミダゾールなど)を持つため、電子輸送性も持つ。そのため、発光層におけるホスト材料として用いると、電子輸送層と発光層との間で電子が輸送されやすくなり、正孔輸送層のそばで電子が蓄積する傾向になると考えられる。同様に、正孔輸送層と発光層との間で正孔が輸送されやすくなり、電子輸送層のそばで正孔が蓄積する傾向になると考えられる。また、トリフェニレン誘導体のような電子輸送材料を用いると電子が多く移動してこの傾向が強くなる(すなわち、正孔輸送層のそばでの電子の蓄積量、及び電子輸送層のそばでの正孔の蓄積量が多くなる)と考えられる。
一方、本発明のような両電荷輸送性を持たない、その他のホスト材料を発光層に用いた場合では、本発明の両電荷輸送性材料と異なり、電子及び正孔の両輸送性が無いため、発光層の手前で電荷(電子、正孔)がそれぞれたまると考えられる。換言すると、電子輸送層のそばで電子が蓄積し、正孔輸送層のそばで正孔が蓄積する傾向にあると考えられる。
一般的に正孔輸送層は電子の蓄積により劣化しやすく、電子輸送層は正孔の蓄積により劣化しやすいと言われている。そのため、本発明の系は、両電荷輸送性を持たないようなホスト材料を使用した系に比べて劣化しやすいと考えられる。
ここで、本発明の系に逆バイアスをかけことにより、前述の理由で蓄積された電子及び正孔が、それぞれ電子輸送層及び正孔輸送層へと引き戻されるため、正孔輸送層のそばでの電子の蓄積と、電子輸送層のそばでの正孔の蓄積とが解消され、素子の劣化の速度が遅くなって寿命が長くなると考えられる。
<逆バイアス電圧を変えたときの評価>
実施例43及び44、並びに比較例22及び23として、実施例1及び10、並びに比較例1及び5で作成した素子を、評価方法1の方法で、逆バイアスの電圧を0V(アース)に変えて駆動させた。輝度が80%になるまでの時間(LT80)(Hour)を測定した。
また実施例45及び46、並びに比較例24及び25として、実施例1及び10、並びに比較例1及び5で作成した素子を、評価方法1の方法で、逆バイアスの電圧を−10V(アース)に変えて駆動させた。輝度が80%になるまでの時間(LT80)(Hour)を測定した。
以上の結果を表7に示す。
<薄膜トランジスタ(TFT)を用いたときの評価>
実施例47として、ガラス基板上に、移動度200cm2/Vsの電子移動度を持つ低温ポリシリコン(LTPS)でTFT、金属配線を作成した後、平坦化膜を設けた。その後、前記平坦化膜にコンタクトホールをあけ、実施例1と同様の構成を持つ有機電界発光素子を作成し、前記薄膜トランジスタを接続させた。この素子を封止し、アクティブマトリクス駆動パネルを駆動するときの1画素と同様な素子を作成した。この素子に対し、Duty比50%、マイナス側電圧−5V、輝度計測定したときに5,000cd/m2(素子は10,000cd/m2)で発光するようにし、120Hzでパルス駆動をした。輝度が80%になるまでの時間(LT80)(Hour)を測定した。
また、実施例48として、7cm2/Vsの電子移動度を持つInGaZnOx(IGZO)でTFTを作成した以外は実施例47と同様にして測定を行った。
更に、比較例26、27として、実施例47に用いた実施例1と同様の構成を持つ有機電界発光素子を、比較例1、5と同様の構成を持つ有機電界発光素子に変更した以外は、実施例47と同様にして測定を行った。
3・・・陽極
4・・・正孔注入層
5・・・正孔輸送層
6・・・発光層
7・・・正孔ブロック層
8・・・電子輸送層
9・・・陰極
10・・・有機電界発光素子
11・・・有機層
12・・・保護層
14・・・接着層
16・・・封止容器
20・・・発光装置
30・・・光散乱部材
31・・・透明基板
30A・・・光入射面
30B・・・光出射面
32・・・微粒子
40・・・照明装置
Claims (8)
- 基板上に、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に発光層を有し、該発光層と該陰極の間に少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、
該発光層に下記一般式(3)で表される化合物を含有し、
該発光層と該陰極の間の少なくとも一層の有機層に、下記一般式(E−1)、ETM1、ETM2、又はETM4で表される炭化水素化合物を含有する有機電界発光素子。
一般式(3)中、X4 は水素原子が結合した炭素原子であり、X 5 は窒素原子であり、X4及びX5を含む環はピリミジンである。L’は、単結合又はフェニレン基を表す。R1〜R5はそれぞれ独立にフッ素原子、又はピリミジル基を表す。n1〜n5はそれぞれ独立に0又は1を表し、p’は1又は2を表し、q’は1を表す。
一般式(E−1)中、R 11 、R 14 、R 15 、R 18 、R 19 及びR 22 は水素原子を表す。R 12 、R 13 、R 16 、R 17 、R 20 及びR 21 はそれぞれ独立に水素原子、又はアルキル基、フェニル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよいフェニル基、若しくはナフチル基を表す。ただし、R11〜R22が全て水素原子になることはない。 - 薄膜トランジスタと接続して、アクティブマトリクス駆動が可能な、請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
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