本発明は種々の工場やプラントの排液処理施設や下水道管路等の排水処理施設などにおいて、液体に含まれる固形状の不純物を効率よく分離するための用いられる分離装置および分離方法に関する。
工場や各種プラント設備では排水や液体から固形物を分離する処理設備が設けられている。例えば物体を洗浄した排水には微細な固形物が含まれていることが多く、フィルタ等を備えた分離装置で固形物を分離し、浄化された洗浄排水だけを系外に排出し、または再利用に供している。さらに、種々の液体生産物には製造過程で不純物としての微細な固形物が混入することがあり、その固形物を液体から分離するために同様な分離装置が設けられる。
また、都市部に敷設される下水道の雨水排水処理施設に流入する雨水などの排水は、一部は雨水貯留浸透施設などにより地中に貯留若しくは排出され、残りは河川等に放流される。そして下水道を流通する雨水の中には土砂、種々のゴミ類、紙類、落ち葉、等の固形状の不純物(以下、単に固形物という。)が混入しており、それら固形物が河川に流入することで水質汚濁、環境汚染の原因となり、また未処理のままで雨水貯留浸透施設に流入すると、施設のメンテナンスを頻繁に行う必要があり、コスト的にも不利である。特に浸透用施設では浸透機能の低下を生じる原因となり、長期間での利用が困難となる場合がある。そこで、下水道の一部に固形物を分離する排水の分離装置が設けられる。
排水から固形物を分離する装置として、排水に水平方向の旋回流(スワール)を発生させ、その旋回流により固形物を分離する旋回流方式の分離装置があり、例えばドイツのUFT社の商品名フルードセップが知られている。しかしフィルタ若しくはスクリーンを有しない分離装置は、メンテナンスは容易であるが浮遊性や細かい固形物の確実な分離・捕捉は困難である。
旋回流発生方式とスクリーン分離方式を組み合わせた分離装置が特許文献1に記載されている。特許文献1の分離槽は、平断面が円形の分離槽の下方に円筒形のスクリーンを配置し、分離槽の上方から排水を接線方向に供給することにより槽内に旋回流を発生させ、下方に配置したスクリーンで固形物を分離し、排水のみをスクリーンの外側に通過させるようになっている。
一方、浴槽水を浄化するために旋回流を利用した浄化装置が特許文献2に記載されている。特許文献2に記載の浄化装置は、ステンレス織フィルタに多孔性の焼結板からなる補強板を積層したものを容器に収容したフィルタを用いている。
この浄化装置では、浴槽からの浄化すべき浴槽水をポンプで容器の接線方向に供給することにより容器内で旋回流を生成し、固形物をフィルタで捕捉分離して清浄な浴槽水を浴槽に戻している。そしてフィルタに付着した固形物は周期的に行う逆洗操作により除去している。このように旋回流を生成しながら固形物の分離をすると、フィルタ表面に付着する固形物は旋回流の中心方向に集中して付着するようになるので、フィルタ全体としての目詰まりを抑制できるとされている。
特開平8−141326号公報
特開2005−74058号公報
従来の旋回流方式だけの分離装置、または旋回流とスクリーンを組み合わせた分離装置は、いずれも装置上部が大気開放され、常圧状態で運転する開放型になっている。このような開放型の分離装置では、例えば処理すべき液体の供給量が処理能力以上に増加すると、供給された液体の一部が処理されずに装置をオーバーフローして下流側に排出されてしまう。
開放型の分離装置における液体の処理能力は、フィルタやスクリーンの通液面積により制限されるので、処理能力を増加するためにはその通液面積を大きくしなければならず、それに伴って分離装置の設置面積やコストが増加するという問題がある。さらに、ポンプ等の加圧手段で加圧された液体が流通する系統においても液体中から固形物を分離しなければならない場合があるが、開放型の分離装置ではそのような加圧系統に適用することはできない。
一方、特許文献2ではポンプで加圧した浴槽水をフィルタに供給し、そこで旋回流を生成しながら固形物を分離しているが、柔軟な織物であるステンレス織フィルタの裏面を補強板で補強し、ステンレス織フィルタの表面に沿って旋回流を生成している。このような織物のフィルタは構造上付着した固形物は織り目に絡まりやすいので、一端付着すると剥離しにくく目詰まりしやすいとう問題がある。
そこで特許文献2では、旋回流を利用して目詰まりを抑制しているが、柔軟なステンレス織フィルタは表面が変形しやすいので、ポンプで加圧する圧力に限界がある。そのため生成する旋回流の流速も低いレベルに押さえられ、そのような低い流速の旋回流では絡まった固形物は効率よく剥離できない。その結果、付着した固形物は旋回流の移動力によりフィルタの織り目の間を徐々に旋回流の中央側に移動する程度で剥離には至らず、目詰まり防止効果は制限される。そこで特許文献2では浴槽水系統に切換弁を設けて周期的に逆洗し、固形物をフィルタから除去する操作を行っている。
しかし頻繁な逆洗操作は、逆洗水の消費量が多くなると共に、固形物の時間当たりの分離効率を低下させるので好ましくない。そこで本発明はこのような従来の液体の分離装置における問題を解決することを課題とし、そのための新しい方式の分離装置及びそれを用いた分離方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決する本発明の第1の分離装置は、液体に含まれている固形物を分離する装置において、壁とそれに形成されたウェッジワイヤスクリーンを有し、前記壁及びウェッジワイヤスクリーンの内面で囲まれた旋回流領域を有する閉鎖型の分離容器を備え、前記分離容器を構成する壁に液体の供給部が形成され、前記供給部は、加圧された液体を前記旋回流領域の周縁領域に沿って噴出させて該旋回流領域に加圧状態の旋回流を生成するように構成され、前記ウェッジワイヤスクリーンは、前記形成される旋回流の幅方向の端部に接する壁に形成されていることを特徴とするものである。
また第2の分離装置は、上記第1の分離装置において、前記分離容器は直方体に形成され、直方体の壁の一辺に供給部が形成され、供給部が形成される壁に対向する壁側には傾斜部または円弧部を有する誘導体が設けられ、前記供給部は、前記誘導体方向に加圧された液体を噴出させることにより、液体が前記誘導体の傾斜部または円弧部で方向転換して旋回流を生成するように構成され、前記スクリーンは前記誘導体を挟む壁の一方または両方に形成されているものである。
また第3の分離装置は、上記第2の分離装置において、前記分離容器にはその内部を第1室と第2室に区分する区分体が設けられ、区分体に開口部が形成され、第1室に前記旋回流領域が設けられると共に供給部が形成され、前記ウェッジワイヤスクリーンは第1室に形成されるか又は第1室および第2室の少なくとも一部に形成され、第2室には前記開口部から流入する固形物の堆積部が設けられているものである。
また第4の分離装置は、上記第1ないし第3のいずれかの分離装置において、前記分離容器の外側に排出室が設けられ、分離容器の液体がスクリーンを通過して排出室に噴出するように構成されているものである。
また第5の分離装置は、上記第1ないし第3のいずれかの分離装置において、前記分離容器が複数備えられ、各分離容器の供給部に液体を分配して供給する分配管が設けられ、各分離容器の外側に共通の排出室が設けられ、各分離容器の液体がウェッジワイヤスクリーンを通過して排出室に噴出するように構成されているものである。
また本発明の第1の分離方法は、液体に含まれている固形物を分離する方法において、請求項1ないし請求項5のいずれかの分離装置を用い、前記供給部から加圧された液体を前記旋回領域の周縁領域に沿って噴出させて該旋回領域に加圧状態の旋回流を生成し、前記ウェッジワイヤスクリーンで固形物を分離した液体を分離容器の外側に噴出することを特徴とするものである。
また第2の分離方法は上記第1の分離方法において、前記旋回流は上下方向または水平方向の旋回流であることを特徴とするものである。
また第3の分離方法は上記第1の分離方法において、前記旋回流は水平方向の旋回流であり、前記分離容器は上壁、下壁および周壁を有し、上壁にのみ前記ウェッジワイヤスクリーンが形成され、そのウェッジワイヤスクリーンが上側になるように分離容器を配置して固形物を分離することを特徴とするものである。
また第4の分離方法は上記第1の分離方法において、前記旋回流は上下方向と水平方向の間にある傾斜方向の旋回流であり、前記分離容器は上壁、下壁、周壁および固形物の排出部を有し、上壁にのみ前記ウェッジワイヤスクリーンが形成され、そのウェッジワイヤスクリーンが上側になるように分離容器を傾斜して配置し、且つ、前記排出部が傾斜方向の下端部分を構成するようにした状態で固形物を分離し、分離容器の内部に堆積した固形物を前記排出部から排出することを特徴とするものである。
本発明の第1の分離装置は、液体に含まれている固形物を分離する装置において、壁とそれに形成されたウェッジワイヤスクリーンを有し、前記壁及びウェッジワイヤスクリーンの内面で囲まれた旋回流領域を有する閉鎖型の分離容器を備え、前記分離容器を構成する壁に液体の供給部が形成され、前記供給部は、加圧された液体を前記旋回流領域の周縁領域に沿って噴出させて該旋回流領域に加圧状態の旋回流を生成するように構成され、前記ウェッジワイヤスクリーンは、前記形成される旋回流の幅方向の端部に接する壁に形成されていることを特徴とする。
本発明の第1の分離装置に使用されるウェッジワイヤスクリーンは、断面が楔状の複数のウェッジワイヤを互いに平行に配列して形成されるものであるが、ステンレス等の金属や硬質プラスチックのような硬質な材料で作られるので、剛性が高く容易に変形しない。そのため分離容器に供給する液体の圧力を高め、高速の旋回流を生成することが可能になる。またウェッジワイヤスクリーンは繊維状のフィルタと異なり織り目を持たず、多数の平行なスリットを液体が通過するようになっているので、固形物が付着しても絡まりが少なく剥離もし易い。
そこで上記のように、ウェッジワイヤスクリーンを用い、高速な旋回流を生成させるようにすると、ウェッジワイヤスクリーンに付着した固形物は効率よく剥離されて目詰まりの抑制効果が著しく高まる。そのため逆洗操作を必要とする場合が仮に生じたとしても、その間隔を大幅に長くできる。
また、供給する液体の圧力を高くすると、それに比例してスクリーンを通過する液体量が増加し、旋回流の回転速度も高くなるが、開放型の分離装置のような液体のオーバーフロー現象は発生しない。したがって、スクリーンの通液面積を大きくしなくても、供給する液体の圧力を高くすることにより液体の処理量を増加できるという利点がある。
なお、ウェッジワイヤスクリーンはウェッジワイヤの配列間隔(スリット間隔)を小さくすることにより、微細な固形状の不純物でも効率よく分離できる。また前記のように硬質材料で作られているので破損等のおそれがなく、分離容器内及び外部での高圧水等による清掃も可能である。
また第2の分離装置では、上記第1の分離装置において、分離容器の形状を直方体に形成し、その直方体の壁の一辺に供給部を形成し、供給部が形成される壁に対向する壁側に傾斜部または円弧部を有する誘導体を設け、供給部は誘導体方向に加圧された液体を噴出させてその傾斜部または円弧部で方向転換して旋回流を生成するように構成し、誘導体を挟む壁の一方または両方にウェッジワイヤスクリーンを形成することができる。
このように分離容器を直方体に形成し、誘導体を設けることにより、旋回流領域における旋回流の生成がより容易且つ確実に維持できるので、液体の処理容量が大きく変動しても効率よく固形物の分離ができる。また、誘導体を挟む壁の両方にスクリーンを形成する場合は、両方にウェッジワイヤスクリーンより均等に液体が噴出し、旋回流領域の中央部に旋回流が生成する。そのため一方のウェッジワイヤスクリーンに固形物の付着が偏ることがない。
また第3の分離装置では、上記第2の分離装置における分離容器を直方体に形成した場合において、分離容器の内部を第1室と第2室に区分する区分体を設け、その区分体に開口部を形成し、第1室には旋回流領域を設けると共に供給部を形成し、ウェッジワイヤスクリーンを第1室に形成するか又は第1室および第2室の少なくとも一部に形成し、第2室には前記開口部から流入する固形物の堆積部を設けることができる。
このように分離容器を第1室と第2室に区分すると、第1室で固形物の分離を行い、第2室で分離した固形物の堆積を行うことができる。すなわち、第1室ではウェッジワイヤスクリーンによる固形物の分離と、旋回流の形成によるウェッジワイヤスクリーンからの固形物の剥離が行われ、第1室で分離された固形物は、区分体に形成された開口部から第2室に誘導されて落下(もしくは排出)する。そのためウェッジワイヤスクリーンで分離された固形物が主たる分離領域である第1室の内部を長時間旋回流に乗って滞留する割合が小さくなり、結果として剥離された固形物が第1室におけるスクリーンの表面に再付着する可能性も大幅に低下するので、高い分離効率を長期間維持することができる。
また第4の分離装置では、上記第1ないし第3のいずれかの分離装置において、分離容器の外側に排出室を設け、分離容器の液体がウェッジワイヤスクリーンを通過して排出室に噴出するように構成することができる。このような排出室を設けると、分離装置を液体の処理系統の管路に挿入する場合、処理系統の上流側の管路に分離容器を接続し、処理系統の下流側の管路に排出室を接続することができる。
さらに、第5の分離装置では、上記第1ないし第3のいずれかの分離装置において、分離容器を複数備え、各分離容器の供給部に液体を分配して供給する分配管を設け、さらに各分離容器の外側に共通の排出室を設け、各分離容器の液体がウェッジワイヤスクリーンを通過して排出室に噴出するように構成することができる。このように分離容器を複数備えることにより、液体の処理能力を要求に応じて増加減することができる。また共通の分配管と排出室を設けることにより、分離装置を液体の処理系統に挿入する場合、処理系統の上流側を分配管に接続し、処理系統の下流側を排出室に接続することができるので、接続形態を単純化できる。
また本発明の第1の分離方法では、上記第1ないし第5のいずれかの分離装置を用い、その供給部から加圧された液体を前記旋回領域の周縁領域に沿って噴出させて該旋回領域に加圧状態の旋回流を生成し、ウェッジワイヤスクリーンで固形物を分離した液体を分離容器の外側に噴出することを特徴とする。本分離方法によれば、旋回流によりウェッジワイヤスクリーンに付着した固形物を剥離することができるため、長期間ウェッジワイヤスクリーンの閉塞を起こすことなく液体から固形物を効率よく分離できる。また供給する液体の圧力を高くすることにより、ウェッジワイヤスクリーンの通液面積を大きくしなくても液体の処理量を開放型の分離装置より大幅に増加できる。
また第2の分離方法では、上記第1の分離方法において、前記旋回流は上下方向または水平方向の旋回流であることを特徴とする。液体や固形物の種類や性質により、または分離容器の設置場所の制約等から、上下方向の旋回流を生成するほうが好ましい場合と、水平方向の旋回流を生成するほうが好ましい場合があるが、本発明の分離装置は分離容器の配置を変えるだけでそれらの要望に対応できる。
また第3の分離方法では、上記第1の分離方法において、前記旋回流は水平方向の旋回流であり、前記分離容器は上壁、下壁および周壁を有し、上壁にのみ前記ウェッジワイヤスクリーンが形成され、そのウェッジワイヤスクリーンが上側になるように分離容器を配置して固形物を分離することを特徴とする。このようにすると、旋回流に乗って循環する比較的比重の大きい固形物が分離容器の底付近に堆積しやすくなる。またウェッジワイヤスクリーンが上部にのみ形成されていると、ウェッジワイヤスクリーンに固形物が付着しにくくなり、固形物が付着した場合にはその固形物の剥離も容易になる。
また第4の分離方法では、上記第1の分離方法において、前記旋回流は上下方向と水平方向の間にある傾斜方向の旋回流であり、前記分離容器は上壁、下壁、周壁および固形物の排出部を有し、上壁にのみ前記ウェッジワイヤスクリーンが形成され、そのウェッジワイヤスクリーンが上側になるように分離容器を傾斜して配置し、且つ、前記排出部が傾斜方向の下端部分を構成するようにした状態で固形物を分離し、分離容器の内部に堆積した固形物を前記排出部から排出することを特徴とする。
このようにすると、旋回流に乗って循環する比較的比重の大きい固形物が分離容器の底付近に堆積しやすくなり、その堆積した固形物は傾斜に沿って下方に移動して集中するので、そこから固形物を容易に外部へ排出することができる。またウェッジワイヤスクリーンが上部にのみ形成されていると、ウェッジワイヤスクリーンに固形物が付着しにくくなり、固形物が付着した場合にはその固形物の剥離も容易になる。
次に図面に基づいて本発明の最良の実施形態を説明する。図1は本発明の分離装置の第1実施例を示す図であり、(a)は(b)のA−A断面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
分離装置1は内部に旋回流領域Sを設けた閉鎖型の分離容器2を備えている。分離容器2は例えばステンレス板等の金属板またはプラスチック板で作られた上壁2a、下壁2b、周囲壁2cで囲まれた直方体とされ、直方体を構成する周囲壁2cの一辺(図1(b)の左側の周壁2c)に加圧された液体を供給するための供給部3が形成されている。供給部3には例えば工場の排水管路の上流側配管(図示せず)が接続される。なお本発明でいう「閉鎖型の分離容器2」とは、供給部3から供給した加圧状態の液体が後述するスクリーン5を除いて外部に噴出しないように閉鎖された構造を有する分離容器2を意味する。
供給部3が形成される周囲壁2cに対向する周囲壁2c側(図1(b)の右側の周壁2c側)には、上壁2aから周囲壁2cに直線状に傾斜して延長する傾斜部を有する第1の誘導体4と、周囲壁2cから下壁2bに直線状に傾斜して傾斜する傾斜部を有する第2の誘導体4aが設けられている。これら誘導体4,4aは分離容器2と同様な材料で作られるが、傾斜部の代わりに円弧状に傾斜して延長する円弧部を有するものでもよい。さらに前記傾斜部および円弧部は、その延長方向の直交する断面形状が直線状に限らす、V型または円弧型に形成されたものでもよい。このようなV型または円弧型に形成すると、直線状の場合より旋回流の流速が旋回方向に直交する幅方向に対して均一になるので好ましい。
なお、誘導体4、4aの少なくとも一方は、場合によっては省略することもできる。
供給部3は加圧された液体を旋回流領域Sの接線方向に噴出する(具体的には旋回流領域における周縁領域Saに沿って噴出する)ことにより、旋回流領域Sに矢印のような旋回流が生成するように構成されている。ここで旋回流領域Sは分離容器2の壁の内面によって形成されるが、その周縁領域Saは旋回流領域Sを取り囲む分離容器2の壁の内面から内側方向に或る程度の幅を持った帯状の領域である。本実施例では図1(b)に示す上壁2aの内面に沿った領域が周縁領域Saであり、供給部3はその周縁領域Saに沿って水平方向に液体を噴出するようになっている。
分離容器2の外側に排出室6が設けられる。排出室6は例えばステンレス板等の金属板またはプラスチック板で作られた周囲壁6cと下壁6bを有する直方体に形成され、その上部は着脱自在な蓋体6aで覆われている。排出室6の周壁6cの一辺に排出部7が形成されており、その排出部7には例えば工場の排水管路の下流側配管(図示せず)が接続される。
図1(a)に示すように、分離容器2の周壁2cは平断面が横長の方形に形成されるが、その長軸側の誘導体4を挟む壁の両方にウェッジワイヤスクリーン5がそれぞれ形成されている。言い換えれば、旋回流の幅方向の両端に接する壁にウェッジワイヤスクリーン5がそれぞれ形成されている。ウェッジワイヤスクリーン5は微細な固形物K、例えば平均粒径が10ミクロン〜1mm程度の固形物Kを分離する場合にも適している。次にウェッジワイヤスクリーン5について具体的に説明する。
図2(a)は図1のウェッジワイヤスクリーン5を前方から見た斜視図であり、図2(b)はそれを斜め上方から見た斜視図である。ウェッジワイヤスクリーン5はステンレス等の金属、またはガラス繊維やカーボン繊維入りの硬質なプラスチックで作られ高い剛性を有する。
ウェッジワイヤスクリーン5は断面楔状の複数のウェッジワイヤ5aを平行に配列して構成され、例えば各ウェッジワイヤ5a間に10μm〜1mm程度の微小なスリット5bが形成されている。そして各ウェッジワイヤ5aは複数の支持棒5cに点溶接等により固定される。ウェッジワイヤスクリーン5に形成される各スリット5bは例えば10μm〜1mm程度の固形物Kの通過を阻止し、スリット幅よりも小さい固形物Kを含む液体だけを通過させる。なお図1の例では、ウェッジワイヤスクリーン5は図1(b)に示すように、各ウェッジワイヤ5aの軸方向が分離容器2の上下方向に一致するように設けられる。
図3は図2に示すウェッジワイヤスクリーン5を構成するウェッジワイヤ5aとスリット5bの部分拡大断面図である。断面が楔状のウェッジワイヤ5aは所定間隔で互いに平行に配列しており、その頭部5dの面が前記旋回流領域の周縁の面を形成する。その頭部5dの面から垂直方向に延長する楔の軸線Mは、矢印Lで示す旋回流領域Sの周縁領域Saに沿った方向に対して傾斜している。そして矢印Lの方向と頭部5dの面との角度αは3度〜8度、通常5度程度に設定される。しかしこの傾斜角度は0度とすることもできる。
本発明の分離装置1は液体に含まれている固形物Kを分離するものであるが、例えば工場排水の上流側の管路に分離容器2を接続し、ウェッジワイヤスクリーン5から噴出する液体を直接排水路に排出するときは、分離容器2を排水路の上方の空間に配置することができ、その場合には排出室6を設ける必要はない。また工場排水の上流側の管路に分離容器2を接続し、分離容器2を下流側の排水溜めに直接浸漬して使用する場合も排出室6を設ける必要はない。すなわち本発明に係る分離容器2は、排出室内、空中または液中のいずれにも配置可能である。
次に図1の分離装置1により液体に含まれる固形物Kを分離する方法を説明する。分離装置1をポンプで加圧された下水道や工場排水の管路に挿入して設置する場合を例に説明すると、分離容器2の供給部3を管路の上流側の配管に接続し、排出室6の排出部7を管路の下流側の配管に接続する。
例えばポンプ等で数Kg/cm2 程度に加圧された排水等の液体が分離容器2の供給部3に連続的に供給されると、供給部3から液体が旋回流領域Sの接線方向に噴出(具体的には分離容器2の上側の周縁領域Saに沿って水平に噴出)する。噴出した液体は旋回領域Sの上側を水平に移動し、上側の誘導体4によって下方に方向転換され、さらに下側の誘導体4aによって再び水平方向に転換され、旋回領域の下側を供給部3が形成された周壁2cに向かって水平に移動し、次いで該周壁2cに沿って上昇する。この液体の移動により旋回領域Sに矢印のような液体の旋回流が生成する。
旋回する液体の一部はウェッジワイヤスクリーン5を通過して排出室6に噴出し、次いで排出部7から管路の下流側に排出する。一方、固形物Kはウェッジワイヤスクリーン5で阻止されて分離する。分離した固形物Kは一時的にウェッジワイヤスクリーン5に付着するが、旋回流によってウェッジワイヤスクリーン5から効率よく剥離され、旋回流領域S中を液体と共に循環する。比較的比重の大きい固形物Kは早急に分離容器2の下方に沈降して底部に堆積していく。一方、微細な固形物Kは沈降しにくい傾向があるので、かなり長期間旋回流領域を循環する。しかし微細な固形物Kの絶対量は小さいので分離容器2における分離作用に大きな支障は起きない。分離容器2内の固形物Kの堆積量が許容レベルに達した時点で分離操作を中止し、堆積した固形物Kを外部に取り出す。
上記のように供給部3から連続して加圧された液体を旋回流領域Sに連続的に供給すると、その供給量に見合う量の液体がウェッジワイヤスクリーン5から排出室6に噴出し、液体の供給が継続している間は旋回流領域Sに一定速度の旋回流が連続的に生成する。供給する液体の圧力を高くすると、それに比例してウェッジワイヤスクリーン5からの噴出量が増加するので、液体の供給量も増加し、旋回流の速度が上昇する。一方、ウェッジワイヤスクリーン5からの液体の噴出量に比例してウェッジワイヤスクリーン5に付着する固形物Kの時間当たりの量も増加するが、旋回流の流速増加によりウェッジワイヤスクリーン5から固形物Kを剥離する能力も大きくなるので、両者のバランスが崩れることはない。
上記の説明では、供給部3が上側になるように分離容器2を配置しているが、分離容器2は図1と上下逆向きに配置、横向きに配置、または傾斜して配置することもできる。上下逆向きに配置すると、液体は供給部3から分離容器2の下側に水平に噴射され、図1の場合と逆の上下方向の旋回流が生成する。また横向きに配置すると水平方向の旋回流が生成し、傾斜して配置すると、傾斜の程度にもよるが、上下方向の旋回流と水平方向の旋回流の中間的な傾斜方向の旋回流が生成する。しかし、いずれの旋回流の形態を選択しても、固形物Kの分離作用は効率よく行われる。
図4は本発明の分離装置の第2実施例を模式的に示す図であり、(a)は(b)のC−C断面図で、(b)は(a)のD−D断面図である。この分離装置1が第1実施例と異なる部分は、分離容器2の内部構造のみで、そのほかは同様に構成される。従って第2実施例の分離装置1は分離容器2のみを模式的に示しており、同じ部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
直方体に形成された分離容器2には、その内部を第1室9と第2室10に区分する板状の区分体11が設けられ、供給部3が形成される周囲壁2cに近い部分の区分体11に開口部12が形成されている。第1室9に旋回流領域Sが設けられると共に供給部3が形成され、供給部3が形成される周囲壁2cに対向する周囲壁2c側(図4(b)の右側の周壁2c側)には、上壁2aから周囲壁2cに傾斜する傾斜部を有する誘導体4が設けられている。一方、第2室10の内部空間を利用して固形物Kの堆積部13が設けられている。
誘導体4を挟む両壁にウェッジワイヤスクリーン5がそれぞれ形成され、それらウェッジワイヤスクリーン5は第1室9の上端から第2室10の底面まで延長されている。区分体11は例えばステンレス板等の金属板またはプラスチック板で作られ、その一方の端部は図示のように上方に円弧状に湾曲され、該部分は円弧部を有する誘導体4aを構成している。
次に第2実施例の分離装置1により液体に含まれる固形物Kを分離する方法を説明する。第1実施例と同様に、例えばポンプ等で数Kg/cm2 程度に加圧された排水等の液体が分離容器2の供給部3に連続的に供給されると、供給部3から液体が旋回流領域Sの上方の周縁領域Saに沿って水平に噴出(接線方向に噴出)する。噴出した液体は旋回領域Sの上側を水平に移動し上方の誘導体4によって下方に方向転換され、さらに下側の誘導体4aによって再び水平方向に転換され、旋回領域の下側を供給部3が形成された周壁2cに向かって水平に移動し、次いで該周壁2cに沿って矢印のように上昇する。この液体の移動により旋回領域Sに矢印のような液体の旋回流が生成する。
旋回する液体の一部はウェッジワイヤスクリーン5を通過し、固形物Kはウェッジワイヤスクリーン5で阻止されて分離する。分離した固形物Kは一時的にウェッジワイヤクリーン5に付着するが、旋回流によってウェッジワイヤスクリーン5から剥離され、旋回流領域S中を液体と共に循環する。循環する固形物Kは区分体11に設けた開口部12から液体の一部と共に第2室10に矢印のように落下もしくは移動する。そのため主たる分離機能を有する第1室9における固形物Kの循環量(滞留量)は第1実施例より少なくなり、分離装置1の連続運転期間もそれに応じて長くできる。
第2室10にもウェッジワイヤスクリーン5が形成されているので、前記のように第1室9の液体の一部が開口部12から流入し、第2室10のウェッジワイヤスクリーン5から外部に噴出する。その際、第2室10内には開口部12からウェッジワイヤスクリーン5への液体の流れにより旋回流が形成され、その旋回流の作用により第2室10に移動した固形物Kは堆積部13の中央領域に集中して堆積する。
図5は本発明の分離装置の第3実施例を模式的に示す図であり、(a)は(b)のE−E断面図で、(b)は(a)のF−F断面図である。この分離装置1が図4に示す第2実施例と異なる部分は、分離容器2に形成されるウェッジワイヤスクリーン5の部分だけで、そのほかは同様に構成される。従って、第2実施例と同じ部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
直方体に形成された分離容器2には、その内部を第1室9と第2室10に区分する板状の区分体11が設けられ、区分体11に開口部12が形成されている。第1室9に旋回流領域Sが設けられると共に供給部3が形成され、供給部3が形成される周囲壁2cに対向する周囲壁2c側(図4(b)の右側の周壁2c側)には、上壁2aから周囲壁2cに傾斜する傾斜部を有する誘導体4が設けられている。一方、第2室10の内部空間を利用して固形物Kの堆積部13が設けられている。
誘導体4を挟む周壁2cの一方だけにウェッジワイヤスクリーン5が形成され、そのウェッジワイヤスクリーン5は第1室9の上端から第2室10の底面まで延長されている。このようなウェッジワイヤスクリーン5の形成形態であっても、加圧された液体を供給部3に連続的に供給すると、供給部3から液体が旋回流領域Sの上方の端面Saに沿って水平に噴出する。噴出した液体は旋回領域Sの上部を水平に移動し上方の誘導体4によって下方に方向転換され、さらに下方の誘導体4aによって再び水平方向に転換され、旋回領域の下部を供給部3が形成された周壁2cに向かって水平に移動し、次いで該周壁2cに沿って矢印のように上昇する。この液体の移動により旋回領域Sに矢印のような液体の旋回流が生成する。そしてウェッジワイヤスクリーン5から液体の一部が外部に噴出して固形物Kが分離される。
上記第2実施例と第3実施例では、いずれもウェッジワイヤスクリーン5の下端が第2室10の底部まで延長されている。ウェッジワイヤスクリーン5の下縁部を区分体11より下方の第2室10まで延長すると、前記のように第2室10のウェッジワイヤスクリーン5部分から液体が噴出するので、第1室9の液体を開口部12から第2室10側に吸い込む力が発生し、この吸い込み力は第2室10におけるウェッジワイヤスクリーン5の流出量に比例して大きくなる。そのためウェッジワイヤスクリーン5の下縁部を第2室10の底部まで延長すると、第1室9内を旋回流に乗って循環する固形物Kの第2室10側への落下率は最も大きくなる。
しかしウェッジワイヤスクリーン5の下端の位置の選択はこれに限らず、第2室10の中間高さまで又は第1室9の底部(区分体11の位置)まで延長することもできる。ウェッジワイヤスクリーン5の下縁部を第2室10の中間高さまで延長した場合は、第2室10のウェッジワイヤスクリーン5部分から噴出する液体の量は底部まで延長した場合より少なくなるが、第1室9から下第2室10に落下した固形物Kが第2室10内を自然旋回する力も弱くなり、固形物Kは堆積部13に効率よく堆積する。そのため、堆積部13から固形物Kを外部に回収することが容易になる。
一方、ウェッジワイヤスクリーン5の下縁部を第1室10まで延長せず第1室9の底部までに留める場合は、第1室9から第2室10への液体流通は起こらない。そのため第1室9から開口部12を経て第2室10への固形物Kの落下率も小さくなるが、第2室10の堆積部13に固形物Kがより安定して堆積するので、堆積部13から固形物Kを外部に回収することが更に容易になる。
図6は本発明の分離装置の第4実施例を模式的に示す図であり、(a)は(b)のG−G断面図、(b)は(a)のH−H断面図、(c)は(b)の左側面図、(d)は(b)の右側面図である。第4実施例の分離装置は、第1実施例で使用している分離容器2をカートリッジ型としたものであり、そのほかは同様に構成される。従って第1実施例と同じ部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
分離容器2は細長い直方形に形成されたカートリッジ型であり、供給部3が配管や壁等に装脱着可能もしくは接続可能な形状とされる。図6では供給部3を模式的に示しているが、例えば配管に接続する場合、配管とのネジ接続もしくはフランジ結合が可能なように管状の供給部3の先端部をネジ部またはフランジ部とした取付部3aに形成する。また壁に設けた貫通孔に装着するには、管状の供給部3の壁を貫通する部分にフランジ部などを設け取付部3aを形成する。
分離容器2の基本構造は図1に示す分離容器2と実質的には同じように構成されるが、異なる部分は上述した供給部3に取付部3aを形成したこと、供給部3が形成される周囲壁2cと対向する周囲壁2c側に設ける第1の誘導体4と第2に誘導体4aが1枚の円弧状の板材で形成されていること、供給部3を形成した周囲壁2cの下方に円弧部を有する第3の誘導体4bが形成されていること、及び上壁2aの端部に固形物Kを取り出すための取出口2dが設けられ、その取出口2には蓋体が開閉自在に装着されていること、の4点である。このように分離容器2に第3の誘導体4bを追加することにより、旋回流の生成がより確実に且つ容易に行われる。なお、前記図1の分離容器2においても第3の誘導体4bを追加することができる。
図7は図6の変形例である。この分離容器2が図6の例と異なる部分は供給部3が形成された周囲壁2cとそれに対向する周囲壁2cの間隔が小さく、全体が略円形になっている点のみでそのほかは同様に構成される。従って図7の例は図6のH−H断面図のみ示しそのほかの図は省略してあり、重複する説明も省略する。
図8は本発明の分離装置の第5実施例を模式的に示す図であり、(a)は排出室6の上蓋をとった状態の平面図、(b)は(a)のF−F断面図である。第5実施例の分離装置1は、図6に示すカートリッジ型の分離容器2を共通の排出室6の内部に複数配列したものである。
排出室6には分配管14が取り付けられている。分配管14は排出室6の周壁6cに連結されたT字型の主管14aと、主管14aから平行に分岐した複数本(図8に示す例では4本)の枝管14と、各枝管14bに沿って所定間隔で形成された複数(図8に示す例では4つ)の被取付部14cを有する。なお被取付部14cには内ネジが形成されている。
複数(図8に示す例では16個)の分離容器2の取付部3aには外ネジが形成され、それら取付部3aが各被取付部14cにネジ接続される。なお図8の例では分離容器3の取付部3aが下側に位置するように配置されているが、上側または横側になるように配置することもできる。
主管14aには例えばポンプで加圧された排水管路の上流側の配管が接続され、排出室6の排出部7に排水管路の下流側の配管が接続される。主管14aに加圧された液体が供給されると、液体は主管14aから各枝管14bに分配されて各分離容器2の供給部3に供給される。各分離容器2のウェッジワイヤスクリーン5から液体が排出室6に噴出し、排出室6の液体は排出部7から下流側の管路に排出する。
分離容器2の内部に堆積する固形物Kが許容量に達した場合は、分離操作を中断して分離容器2を枝管14bから取り外し、固形物Kを外部に取り出してから再び枝管14bに取り付ける。なお、分離容器2の取り付け数は液体の所望処理容量に応じて任意に選択でき、分離容器2を取り付けない枝管14b部分には例えば閉鎖栓をネジ接続して閉鎖することができる。
図9は本発明の分離装置の第6実施例を図8に準じて模式的に示した図であり、(a)は排出室6の上蓋をとった状態の平面図、(b)は(a)のG−G断面図である。第6実施例の分離装置1も図6に示すカートリッジ型の分離容器2を共通の排出室6の内部に複数配列したものであるが、分離容器2は図8に示す第5実施例より大きなものが使用されている。
排出室6には分配管14が取り付けられ、分配管14は排出室6の周壁6cに連結されたT字型の主管14aと、主管14aから平行に分岐した複数本(図9に示す例では4本)の短い枝管14と、各枝管14bに形成された1つの被取付部14cを有する。なお被取付部14cには内ネジが形成されている。
複数(図9に示す例では4個)の分離容器2の取付部3aには外ネジが形成され、それら取付部3aが各被取付部14cにネジ接続される。図9の例も分離容器3の取付部3aが下側に位置するように配置されているが、上側または横側になるように配置することもできる。なお、第6実施例の分離装置1の作用は第5実施例の分離装置1と同様であるので、その説明は省略する。
図10は本発明の分離装置の第7実施例を模式的に示す図である。なお図10には分離装置1を構成する分離容器2のみ示されているが、図1の例に準じて排出室6を分離容器の外側に設けることもできる。
第7実施例では、分離容器2の上壁2aのみにウェッジワイヤスクリーン5が形成され、そのウェッジワイヤスクリーン5が上側になるように分離容器2を配置して固形物Kを分離するようになっている。なお分離容器2には誘導体4,4a等は設けられていないが、必要により設けることもできる。
供給部3から加圧された液体が供給されると、液体は図1の例と同様に旋回領域Sの接線方向に水平に噴出し、旋回領域Sに水平方向の旋回流が形成される。液体の一部はウェッジワイヤスクリーン5を通過して分離容器2の外側に噴出し、固形物Kはウェッジワイヤスクリーン5で阻止されて分離する。ウェッジワイヤスクリーン5に付着した固形物Kは旋回流により剥離され、旋回流に乗って旋回流領域S中を循環するが、比重差により次第に下方に沈降して底部に堆積する。その際、水平方向の旋回流により固形物Kは中央に集められた状態で堆積する。このようにウェッジワイヤスクリーン5を分離容器2の上部にのみ形成すると、ウェッジワイヤスクリーン5に固形物Kが付着しにくくなり、固形物Kが付着した場合にもその固形物Kの剥離は容易になる。
図11は本発明の分離装置の第8実施例を図10に準じて模式的に示す図である。なお図11には分離装置1を構成する分離容器2のみ示されているが、図1の例に準じて排出室6を分離容器の外側に設けることもできる。
第8実施例も第7実施例と同様に、分離容器2の上壁2aのみにウェッジワイヤスクリーン5が形成され、そのウェッジワイヤスクリーン5が上側になるように分離容器2を配置して固形物Kを分離するようになっている。さらに分離容器2には、板状の区分体11により左側の第1室9と右側の第2室10に区分され、区分体11の下部に開口部12が形成され、第2室10の内部に固形物Kの堆積部13が設けられる。なおウェッジワイヤスクリーン5は第1室9の上側から第2室10の右端まで形成されているが、図5の例と同様にウェッジワイヤスクリーン5の形成を第1室9のみ、または第2室10の途中までとすることもできる。
第1室9における旋回流の生成と固形物Kの分離作用は第7実施例と同様である。第1位室9の旋回流に乗って循環する固形物Kは、液体の一部と共に開口部13から第2室10に移動し、その堆積部13に堆積する。
図12は本発明の分離装置の第9実施例を模式的に示す図である。なお図12には分離装置1を構成する分離容器2のみ示されているが、図1の例に準じて排出室6を分離容器の外側に設けることもできる。
第9実施例では、分離容器2の上壁2aのみにウェッジワイヤスクリーン5が形成され、そのウェッジワイヤスクリーン5が上側になるように分離容器2を配置して固形物Kを分離するようになっている。但し、分離容器8は水平に配置するのではなく、図示のように傾斜して配置している。さらに傾斜した分離容器2の下端に位置する周壁2cには開閉自在な排出部2dが設けられている。旋回流領域Sにおける旋回流の生成と固形物Kの分離作用は、第7実施例の場合と実質的に同じであるが、旋回流の旋回方向は分離容器2の傾斜に応じて傾斜する。
次に図12(a)〜(g)を参照しながら、第9実施例の分離容器2を用いて固形物Kを分離する手順を説明する。先ず(a)に示すように、供給部3から加圧された液体を供給開始する。次に(b)のように分離容器2の内部に液体が充満してくると、旋回流領域Sに傾斜方向の旋回流が生成し、ウェッジワイヤスクリーン5を通して液体の一部が外部に噴出し、固形物Kはスクリーン5に阻止されて分離される。ウェッジワイヤスクリーン5に付着した固形物Kは旋回流により剥離され、旋回流に乗って分循環する。
循環する固形物Kは比較的比重の大きいものから順に沈降し、(c)に示すように斜め下方の開口部2d付近に堆積していく。固形物Kの堆積量が許容レベルに達した時点で、(d)に示すように液体の供給を停止して分離操作を中断する。次に(e)に示すように開口部2dを開け、(f)に示すように、例えば外部から洗浄水をウェッジワイヤスクリーン5の外側から噴射しながら、堆積した固形物Kを外部に排出する。次に(g)に示すように開口部2dを閉じて固形物Kの分離操作を再開する。
本発明が適用できる液体には、例えば家屋、道路、田畑から下水道に流入する雨水や一般排水、工場排水、料理店の厨房排水、食肉加工工場の排水、あるいは工業用水なども含むことができる。またそれらの排水を再利用する際にも適用可能である。従って本発明は多くの産業における固形物K分離に夫々好ましく利用することができる。
分離装置の第1実施例を示す図であり、(a)は(b)のA−A断面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
(a)は図1のウェッジワイヤスクリーンを前方から見た斜視図であり、(b)はそれを斜め上方から見た斜視図である。
図2に示すウェッジワイヤスクリーンを構成するウェッジワイヤとスリットの部分拡大断面図である。
分離装置の第2実施例を模式的に示す図であり、(a)は(b)のC−C断面図で、(b)は(a)のD−D断面図である。
分離装置の第3実施例を模式的に示す図であり、(a)は(b)のE−E断面図で、(b)は(a)のF−F断面図である。
分離装置の第4実施例を模式的に示す図であり、(a)は(b)のG−G断面図、(b)は(a)のH−H断面図、(c)は(b)の左側面図、(d)は(b)の右側面図である。
分離装置の第4実施例の変形例である。
分離装置の第5実施例を模式的に示す図であり、(a)は排出室6の上蓋をとった状態の平面図、(b)は(a)のF−F断面図である。
分離装置の第6実施例を図8に準じて模式的に示した図であり、(a)は排出室6の上蓋をとった状態の平面図、(b)は(a)のG−G断面図である。
分離装置の第7実施例を模式的に示す図である。
分離装置の第8実施例を図10に準じて模式的に示す図である。
分離装置の第9実施例を模式的に示す図である
S 旋回流領域
Sa 周縁領域
K 固形物
1 分離装置
2 分離容器
2a 上壁
2b 下壁
2c 周囲壁
3 供給部
3a 取付部
4、4a、4b 誘導体
5 スクリーン、ウェッジワイヤスクリーン
5a ウェッジワイヤ
5b スリット
5c 支持棒
5d 頭部
6 排出室
6a 蓋体
6b 周壁
6c 周囲壁
7 排出部
9 第1室
10 第2室
11 区分体
12 開口部
13 堆積部
14 分配管
14a 主管
14b 枝管
14c 被取付部