JP4750925B2 - 限流器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、限流器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電力回路で短絡事故が発生すると、極めて大きな短絡電流が流れる。短絡電流は、遮断機によって遮断されるが、数十msは短絡電流が流れてしまうため、大きな電磁力と多量のジュール熱が発生し、電力機器や電路が大きな機械的・熱的損傷を受ける。このような事故発生時の短絡電流を抑えて、遮断機の責務を軽減する事故時限流器(限流器)の開発が、望まれている。また、このような限流器は、各種送配電系統の安定化に帰する効果が極めて大きく、系統の複雑化が進む今日、限流器の早期実現が期待されている。
【0003】
限流器には多くの方式のものが提案されているが、本発明者等も、ミアンダ形状を有する超電導バルク材料を用いた超電導−常伝導転移型で抵抗型の限流器を提案している。例えば、QMGと呼ばれるY系のバルク超電導材料をミアンダ形状に加工し、これに限流動作時のバイパス回路としてNiCrの板を接続すると同時に、異常電流が流れた瞬間に、超電導材料に磁場を印加するための小型マグネットを取付けた限流器を提案し、性能評価を行っている(第61回1999年度秋期低温工学・超電導学会講演概要集P.181)。
【0004】
また、特開2000-32654号公報には、REBa2Cu3O7-x(ここでREはY、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種類以上の元素を示す)相中にRE2BaCuO5が微細分散した酸化物超電導体を用いた超電導−常伝導転移型限流素子 のc軸方向に、異常電流検出時に外部磁場を印加し、クエンチを助長することで、均質でかつ高速の限流動作が得られる限流器も提案している。
このように、限流素子である超電導材料に磁場を印加することで、異常電流検出時に、良好な限流特性が得られることが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
異常電流検出後の酸化物超電導材料への磁場印加は、より均質な常伝導転移をもたらし、素子の損傷を防止する他、より高速の限流動作を導き、超電導限流器には極めて有効であるが、さらに有効性を増すために、次のような課題が挙げられる。
1)より強い磁場の印加
2)磁場の印加速度の高速化
3)より効率の高い印加方法
4)より損傷を受け難いバイパス回路の付与
上記1)と2)は、相矛盾する関係に有る。すなわち、より強い磁場を発生させるために、コイルの巻き数を増やすと、インダクタンスが増大し、磁場が立ち上がるまでの時間が長くなってしまう。そこで、より効率のよい磁場の印加方法や、より損傷を受け難いバイパス回路の付与が、重要な技術課題となる。
【0006】
本発明は、このような課題を解決し、電流容量の大きい超電導体を用いた、応答が早く、かつ溶断せずに、均一にクエンチを発生させる、限流器を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)少なくとも限流素子と、該限流素子に磁場を印加する機構と、前記限流素子に発生する自己磁界の通電方向垂直断面の磁場印加機構との対面方向の磁界成分と前記磁場印加機構の磁界成分の方向とを、少なくとも正常通電時には逆方向に調整するか、もしくは異常通電時には同一方向に調整する調整機構とを有してなることを特徴とする限流器、
(2)前記限流素子が酸化物超電導体であることを特徴とする(1)記載の限流器、
(3)前記磁場印加機構が電磁石であることを特徴とする(1)記載の限流器、
(4)前記電磁石がヨークと通電コイルとを有してなることを特徴とする(3)記載の限流器、
(5)前記ヨークが積層構造を有してなることを特徴とする(4)記載の限流器、
(6)前記通電コイルが超電導体からなることを特徴とする(5)記載の限流器、
(7)前記限流器が、通電電流の電流量、極性、位相の少なくとも1つを検知する機構を有してなることを特徴とする(1)記載の限流器、
(8)さらに前記検知機構からの信号に応じて前記調整機構の磁界成分の方向を反転させる切替機構を有してなることを特徴とする(7)記載の限流器、
(9)前記限流器が磁場シールド体を有してなることを特徴とする(1)〜(8)の何れかに記載の限流器、
(10)前記限流素子が、REBa2Cu3O7-x(ここでREはY、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種類以上の元素を示す)相中にRE2BaCuO5が微細分散した酸化物超電導体からなる超電導−常伝導転移型限流素子であって、前記酸化物超電導体表面にAu、Pt、Cuから選ばれる非磁性金属とAgとの合金からなる皮膜を有してなる限流素子であることを特徴とする(1)〜(9)の何れかに記載の限流器、
(11)前記限流素子がミアンダ形状であることを特徴とする(10)記載の限流器、
(12)前記限流素子の通電方向垂直断面の磁場印加機構との対面方向が前記酸化物超電導体の結晶のc軸方向であることを特徴とする(10)又は(11)記載の限流器、
である。
【0008】
【発明の実施の形態】
焼損しにくいバイパス回路を限流素子に付与することは、磁場印加機構と同様に限流器を設計する上で重要である。 REBa2Cu3O7-x(ここでREはY、Pr、Nd、Sm 、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種類以上の元素を示す)相中 に、RE2BaCuO5が微細分散した酸化物超電導体を用いた超電導−常伝導転移型限 流素子が、実質的にミアンダ形状であり、かつその板面の法線がREBa2Cu3O7-xのc軸方向である限流素子において、超電導材料の表面にAgを蒸着し、溶断防止のためのバイパス回路を付与することの有効性は、前述の第61回1999年度秋期低温工学・超電導学会講演概要集P.181、または、特開2000-32654号公報に記載され ている通りである。
【0009】
これに対し本発明においては、超電導材料の表面に、比抵抗の大きなAgと非磁性金属との合金の皮膜を作製することで、超電導材料と銀合金との接触抵抗を十分に低く保つことができる。さらに、常伝導転移したときの抵抗値を一定とした場合、純銀製の皮膜に比べ、比抵抗が大きくなった分だけ、厚くすることができる。すなわち、限流動作時に、一定の発熱がバイパス用皮膜で生じた場合、皮膜内での温度上昇が低くなり、超電導材料に与える熱衝撃を低減することができる。
【0010】
超電導相であるREBa2Cu3O7-x相のRE元素は、Yを含む希土類元素中で、超電導 相である123結晶相を1種類で構成する元素として、Y、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luに限定される。ただし、他の金属元素が10at%程度の置換 または添加されていたとしても、123結晶相を構成できる場合があり、このよう な場合も含まれる。
【0011】
一般に、交流損失は、限流素子である超電導体の断面の厚さが大きいほど、大きくなってしまう傾向にある。本発明の限流器は、後述するように、超電導体の断面形状を厚くしても、自己磁界を打ち消すことができるため、特に、限流素子の断面形状に関し、厚さを低く押さえる必要はなく、任意に選べる。0.5mm以上 の厚さを有する超電導限流素子に銀合金の皮膜をつけても、交流損失を低く抑え、その上、熱衝撃低減の効果が得られる。
【0012】
次に、酸化物超電導体は、一般に、c軸方向にCu(銅)-O(酸素)からなる面が積層された構造を有しており、Cu-O面内に通電電流を流した場合、最も高い臨界電流密度が得られる。このため、通電方向はCu-O面と平行になる。また、このような結晶構造上の理由から、c軸方向への磁場印加が、最も大きな臨界電流密度の低下をもたらす。すなわち、限流素子である超電導体を常伝導転移させるには、c軸方向が最も有効な磁場印加方向と言える。
【0013】
そして、従来の限流器として図1に示されるものが用いられている。図1では、磁界印加用電磁石が発生する磁界と超電導材料との位置関係を示し、超電導体中の通電方向に対する垂直断面を示す。しかしながら、従来行われていたように、一本の通電中の限流素子にc軸方向に磁場を印加した場合、図1のように、Cu-O面を流れる通電電流によって発生する自己磁界と印加磁界が相互作用し、通電 素子の一方の端部では、印加磁界が自己磁界によって強められるが、もう一方の端部では、印加磁界が自己磁界によって弱められる。自己磁界が、印加磁界に比べて十分小さい場合は、このことはあまり問題にならないが、限流素子の臨界電流密度が大きくなる条件で限流器を設計すると、当然、自己磁界も大きくなり、問題となる。また一方、強力磁界を瞬時に印加することには、前述した通り限界があり、高い電流密度の超電導体を用いた場合、異常電流の大きさも大きくなるため、自己磁界と印加磁界の大きさは近づき、通電素子の一方の端部で、印加磁場が自己磁界によって弱められるという問題が起こってくる。
【0014】
酸化物超電導体に磁界を印加する機構を有する、酸化物超電導体を用いた限流器において、このような問題を解決し、酸化物超電導体のc軸方向の磁界成分に対し、超電導体の発生する自己磁界と同一方向になるように外部磁界を超電導体に印加することは、極めて有効である。具体的には、図2に示すような磁界を、限流素子に対し、印加する。これが本発明の主旨である。図2は、本発明の実施態様の一例であり、磁界印加用電磁石が発生する磁界と超電導材料との位置関係を示し、超電導体中の通電方向に対する垂直断面を示す。自己磁界と印加磁界が強め合う。
【0015】
図2のように磁界を印加するには、通電電流量が異常なレベルになったかを検知すると同時に、通電電流(すなわち自己磁界)がどちらの方向(極性)になっているかを、外部磁界磁場を印加する前に検知し、お互い強め合う方向に磁界を印加する機構を有する必要がある。もし、この機構がないと、自己磁界を打ち消す方向に、外部磁場を印加してしまう場合が生じる。また、場合によっては、極性が変わる瞬間や、印加磁場の立ち上がり時間の遅れも考慮して、通電電流の位相も検知しておくことも有効である。
【0016】
前述のように、事故発生時に起きる大電流の限流の際には、外部磁界を自己磁界として同一方向に印加することは有効である。一方、正常通電時には、超電導体中では、僅かながら交流損失が発生する。設計上、定格電流近傍で長時間通電した場合、交流損失がかなり大きくなり、冷却系の負担になる場合が生じる。この交流損失の主たる原因は、自己磁界により発生した量子化磁束が、超電導体中を出入りすることにある。したがって、印加磁界により、自己磁界を打ち消すことによって、交流損失を低減することが可能となる。このようなことは、通電電流量を検知し、極性および位相から判断して、自己磁界を打ち消すように、外部磁界を印加することで達成される。
【0017】
前述のように、定格近傍の通電容量通電時に事故が起こる可能性が有ることから、通電電流の大きさに応じ、超電導体の発生する自己磁界と反対方向から同一方向に切り替わる機構を有することが必要となる。
【0018】
次に、電磁石の磁界を外部磁界として効果的に超電導体に印加するために、金属または超電導材のシールド体を、図3のように、電磁石近傍に配置することは有効である。図3は、本発明の一実施態様を示す図で、磁界シールド板と磁界印加用電磁石が発生する磁界と超電導材料との位置関係を示し、超電導体中の通電方向に対する垂直断面を示す。
【0019】
電磁石のヨークと通電コイルについては、ヨークは渦電流損を押さえるため、積層構造が望ましい。また、コイルに超電導体を用いることによって、磁界印加時の電磁石中での発熱量を押さえることができる。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
YBa2Cu3O7-x中にY2BaCuO5が微細分散したバルク材料を用い、電流路断面積が1mm2で、有効長さが約600mmのミアンダ形状を有する限流素子を作製した。次いで、該限流素子表面に、厚さ約0.5nmのAg(80wt%)-Au(20wt%)合金の薄膜を蒸着し、酸素気流中で、一旦600℃まで昇温し、10分保持した後、400℃まで2時間で降温 し、さらに室温まで20時間かけて徐冷した。
【0021】
鉄芯と銅線からなる磁界印加装置を作製し、図2に示す位置に配置することで、最大0.5Tの磁界を超電導材料のc軸成分と平行で、かつ、超電導材料の両端で自己磁界と外部磁界が強め合うように(または弱め合うように)限流素子に印加できるようにした。そして、950A通電した時点で、外部磁界が限流素子に自己磁界と強め合うように印加されるように調整した。
【0022】
限流素子および磁界印加用電磁石は、樹脂で補強され、銅リード線に接続された後、液体窒素中で冷却された。まず、通常通電として、交流450A(p-p: peak to peak)を通電し、限流素子の端子間電圧が約1.8mV(p-p)であることを確認した 。次に、自己磁界を打ち消す方向に磁界印加用電磁石に通電したところ、限流素子の端子間電圧の抵抗成分は、0.3mV(p-p)程度にまで低下し、交流損失を大幅に低減することができた。
【0023】
続いて、事故時を想定して、限流素子がない場合の異常電流を模擬した、図4に示す電流を通電した(符号7)。位相が30度のところで、電流が急増している。次に、限流素子を挿入し、同様の通電を行い、限流特性を試験した。そのときの各位置での電流および印加磁界の時間変化を図4に示す(符号8)。なお、同図に おいて、上段には、限流素子がない場合と限流素子に磁場を印加した場合の電流の時間変化を示した。また、下段には、磁界を印加する場合のタイミングを示した。
【0024】
図4に示したように電流が950Aに達してから、0.05ms以内に0.5Tが印加され、約3ms以内に限流動作がほぼ完了していることを確認した。これらの実験から、 限流素子への磁界印加により、高速で、かつ大きな限流効果を達成できることが分かった。
【0025】
(実施例2)
DyBa2Cu3O7-x中にDy2BaCuO5が微細分散したバルク材料を用い、電流路断面積が1.5mm2で、有効長さが約500mmのミアンダ形状を有する限流素子を作製した。 次いで、該限流素子表面に、厚さ約0.6nmのAg(90wt%)-Pt(10wt%)合金の薄膜を蒸着し、酸素気流中で、一旦650℃まで昇温し、10分保持した後、450℃まで2時間 で降温し、さらに室温まで20時間かけて徐冷した。
【0026】
積層鉄芯(パーメンジュール)と銅線および銅のシールド板からなる磁界印加装置を作製し、図3に示す位置に配置することで、最大0.55Tの磁界を、超電導材 料のc軸成分と平行で、かつ、超電導材料の両端で、自己磁界と外部磁界が強め合うように(または弱め合うように)限流素子に印加できるようにした。そして、1100A通電した時点で、外部磁界が、限流素子に自己磁界と強め合うように印加 されるように調整した。
【0027】
限流素子および磁界印加用電磁石は、樹脂で補強され、銅リード線に接続された後、液体窒素中で冷却された。まず、通常通電として、交流600A(p-p: peak to peak)を通電し、限流素子の端子間電圧が約1.5mV(p-p)であることを確認した 。次に、自己磁界を打ち消す方向に、磁界印加用電磁石に通電したところ、限流素子の端子間電圧の抵抗成分は、0.3mV(p-p)程度にまで低下し、交流損失を大幅に低減することができた。
【0028】
続いて、事故時を想定して、限流素子がない場合の異常電流を模擬した、図5に示す電流を通電した(符号9)。位相が90度のところで、電流が急増している。次に、限流素子を挿入し、同様の通電を行い、限流特性を試験した。そのときの各位置での電流および印加磁場の時間変化を図5に示す(符号10)。なお、同図 において、上段には、限流素子がない場合と限流素子に磁場を印加した場合の電流の時間変化を示した。また、下段には、磁場を印加する場合のタイミングを示した。
【0029】
図5に示したように電流が1100Aに達してから、0.055ms以内に0.55Tが印加さ れ、約2ms以内に限流動作がほぼ完了していることを確認した。これらの実験か ら、限流素子への磁界印加により、高速で、かつ大きな限流効果を達成できることが分かった。
【0030】
(実施例3)
YBa2Cu3O7-x中にY2BaCuO5が微細分散したバルク材料を用い、電流路断面積が2mm2で、有効長さが約600mmのミアンダ形状を有する限流素子を作製した。次いで、該限流素子表面に、厚さ約0.5nmのAg(92wt%)-Cu(8wt%)合金の薄膜を蒸着し、 酸素気流中で、一旦600℃まで昇温し、10分保持した後、400℃まで2時間で降温 し、さらに室温まで20時間かけて徐冷した。
【0031】
鉄芯と励磁コイルの役割をする超電導材料からなる磁界印加装置を作製し、図2に示す位置に配置した。図2中の2が一本の励磁用超電導線に対応する。これにより、最大0.45Tの磁界を超電導材料のc軸成分と平行で、かつ、超電導材料 の両端で、自己磁界と外部磁界が強め合うように(または弱め合うように)限流素子に印加できるようにした。そして、1250A通電した時点で、外部磁場が限流素 子に自己磁界と強め合うように印加されるように調整した。
【0032】
限流素子および磁界印加用電磁石は、樹脂で補強され、それぞれ銅リード線に接続された後、液体窒素中で冷却された。まず、通常通電として、交流750A(p-p: peak to peak)を通電し、限流素子の端子間電圧が、約2.1mV(p-p)であること を確認した。次に、自己磁界を打ち消す方向に磁界印加用電磁石に通電したところ、限流素子の端子間電圧の抵抗成分は、0.4mV(p-p)程度にまで低下し、交流損失を大幅に低減することができた。
【0033】
続いて、事故時を想定して、限流素子がない場合の異常電流を模擬した、図6に示す電流を通電した(符号11)。位相が115度のところで、電流が急増してい る。次に、限流素子を挿入し、同様の通電を行い、限流特性を試験した。このとき、通常通電時(1200A以下)には、自己磁界を打ち消す方向で、励磁電流が流れ るようにし、事故時(1200A超)には、自己磁界と同じ方向で、励磁電流が流れる ように、半導体スイッチによる切り替え機構を取り付けた。励磁電流の時間変化を図6に示す(符号13)。なお、同図において、上段には、限流素子がない場合 と限流素子に磁場を印加した場合の電流の時間変化を示した。また、下段には、磁場印加電磁石の励磁用超電導体への励磁電流の時間変化を示した。
【0034】
限流器を挿入したときの電流の時間変化を図6に示す(符号12)。電流が1200Aに達してから、0.05ms以内に0.45Tが印加され、約2ms以内に限流動作がほぼ完 了していることを確認した。これらの実験から、限流素子への磁界印加により、高速で、かつ大きな限流効果を達成できることが分かった。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、限流素子の溶断を回避し、かつ迅速な限流動作を行うように設定できることを特徴とする限流装置を提供するものであり、その工業的効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の限流器を示した図
【図2】本発明の限流器の一例で、実施例1で用いた位置関係を示す図
【図3】本発明の限流器の一例で、実施例2で用いた位置関係を示す図
【図4】実施例1における限流器の限流特性を示した図
【図5】実施例2における限流器の限流特性を示した図
【図6】実施例3における限流器の限流特性を示した図
【符号の説明】
1 巻芯を兼ねたヨーク
2 励磁コイル
3 超電導限流素子の素線
4 印加磁界の向き
5 自己磁界の向き
6 磁界シールド板
7 実施例1の限流素子がない場合の電流の変化
8 実施例1の限流素子に磁界を印加した場合の電流の変化
9 実施例2の限流素子がない場合の電流の変化
10 実施例2の限流素子に外部磁界を印加した場合の電流の変化
11 実施例3の限流素子がない場合の電流の変化
12 実施例3の限流素子に外部磁界を印加した場合の電流の変化
13 実施例3の限流素子に外部磁界を印加した場合の励磁電流の変化

Claims (12)

  1. 少なくとも限流素子と、該限流素子に磁場を印加する機構と、前記限流素子に発生する自己磁界の通電方向垂直断面の磁場印加機構との対面方向の磁界成分と前記磁場印加機構の磁界成分の方向とを、少なくとも正常通電時には逆方向に調整するか、もしくは異常通電時には同一方向に調整する調整機構とを有してなることを特徴とする限流器。
  2. 前記限流素子が酸化物超電導体であることを特徴とする請求項1記載の限流器。
  3. 前記磁場印加機構が電磁石であることを特徴とする請求項1記載の限流器。
  4. 前記電磁石がヨークと通電コイルとを有してなることを特徴とする請求項3記載の限流器。
  5. 前記ヨークが積層構造を有してなることを特徴とする請求項4記載の限流器。
  6. 前記通電コイルが超電導体からなることを特徴とする請求項4記載の限流器。
  7. 通電電流の電流量、極性、位相の少なくとも1つを検知する検知機構を有してなることを特徴とする請求項1記載の限流器。
  8. 前記検知機構からの信号に応じて前記調整機構の磁界成分の方向を反転させる切替機構を有してなることを特徴とする請求項7記載の限流器。
  9. 磁場シールド体を有してなることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の限流器。
  10. 前記限流素子が、REBa2Cu3O7-x(ここでREはY、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種類以上の元素を示す)相中にRE2BaCuO5が微細分散した酸化物超電導体からなる超電導−常伝導転移型限流素子であって、前記酸化物超電導体表面にAu、Pt、Cuから選ばれる非磁性金属とAgとの合金からなる皮膜を有してなる限流素子であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の限流器。
  11. 前記限流素子がミアンダ形状であることを特徴とする請求項10記載の限流器。
  12. 前記限流素子の通電方向垂直断面の磁場印加機構との対面方向が前記酸化物超電導体の結晶のc軸方向であることを特徴とする請求項10又は11記載の限流器。
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