JP4750293B2 - 人工呼吸器用気体圧送ポンプ及びそれに用いられるブラシレスモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工呼吸器用気体圧送ポンプ及びそれに用いられるブラシレスモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、直流モータからブラシや整流子などの機械的な接触部を取り除き、それらの代わりに電子的な整流機構を採用した無整流子モータ(いわゆるブラシレスモータ)が広く知られている。
【0003】
一般に、このタイプのモータでは、内部に収容したロータを、界磁マグネットと電機子コイルとの磁気的相互作用に基づいて回転駆動させるという構成が採用されている。また、ロータの荷重は、ラジアル磁気軸受及びスラスト磁気軸受という2種の非接触式軸受により支承されるようになっている。
【0004】
ところで、近年ではこのようなブラシレスモータを人工呼吸器のような医療機器における回転駆動手段として利用することが提案されている。ここで、従来の人工呼吸器用気体圧送ポンプの構成について説明する。
【0005】
従来の人工呼吸器用気体圧送ポンプは、ポンプケーシングとモータケーシングとを備えている。ガス吸入口とガス吐出口とを有するポンプケーシング内には、複数の羽根を有する気体圧送ポンプが回転可能に収容されている。モータケーシングには、先端側にて開口するロータ挿入孔が形成されている。モータケーシングの先端側はポンプケーシングの側面中央部に対して取り付けられている。ロータ挿入孔内にはロータが回転可能に挿入されている。ロータを構成する回転軸の先端側は、モータケーシングから突出するとともに、気体圧送ポンプに連結されている。回転軸の周囲にはラジアル磁気軸受を構成する複数の界磁マグネットが配設されている。モータ内には、2組のスラスト磁気軸受が設けられている。そのうち先端側のスラスト磁気軸受は、一対のマグネットを対向配置することによって構成されている。一方のマグネットは、ロータ先端側に設けられたブッシュに取り付けられている。他方のマグネットは、モータケーシング側において前記ブッシュの先端側に設けられたマグネット保持部に取り付けられている。即ち、従来においては、先端側のスラスト磁気軸受を構成する一対のマグネットが、ロータ軸線方向に沿って並ぶように配設されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような人工呼吸器用気体圧送ポンプにおいては、患者が咳き込むと、細菌やウィルスがポンプケーシング内に入り込み、さらにはモータ内にまで入り込んでしまうことが予想される。そのため、一定期間ごとに装置を洗浄したり、オートクレーブにより滅菌消毒するという作業を実施する必要がある。
【0007】
この場合、2つのケーシングを分解して個別に洗浄、滅菌消毒するばかりでなく、モータ自体についても分解してモータケーシングからロータを取り出した状態でそれらを個別に洗浄、滅菌消毒することが望ましい。
【0008】
しかしながら、従来のモータ構造では、先端側のスラスト磁気軸受を構成するモータケーシング側マグネット及びその保持部が、ロータ挿入孔においてロータ側マグネットよりも前方側に位置している。それゆえ、当該モータケーシング側マグネット及びその保持部が邪魔になり、ロータをロータ挿入孔から簡単に取り出すことができなかった。
【0009】
また、仮に簡単に分解可能なモータ構造を実現できたとしても、マグネットがモータケーシング外に露出することになるため、慎重に取り扱わないと、マグネットが破損する可能性があった。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータケーシングとロータとを簡単に分解することができ、洗浄や滅菌消毒を確実に行うことができる人工呼吸器用気体圧送ポンプ及びそれに用いられるブラシレスモータを提供することにある。
【0011】
また、本発明の別の目的は、分解時であっても破損しにくく取扱性に優れた人工呼吸器用気体圧送ポンプ及びそれに用いられるブラシレスモータを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、気体圧送ポンプを収容するポンプケーシングと、モータケーシングの先端側にて開口するロータ挿入孔内に取り出し可能にロータを挿入したブラシレスモータとを備え、ロータ回転軸の先端側に前記気体圧送ポンプが一体回転可能に連結され、前記モータケーシング側に設けた第1磁性部材とロータ先端側に設けた第2磁性部材とにより先端側のスラスト磁気軸受が構成された人工呼吸器用気体圧送ポンプにおいて、前記第1磁性部材は、その内周面が前記ロータ挿入孔の内周面とほぼ面一となるように前記ロータ挿入孔の開口部内周面に設けた嵌着段部に嵌着されて、前記第2磁性部材の外周側となる位置に設けられていることを特徴とする人工呼吸器用気体圧送ポンプをその要旨とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第1磁性部材は環状マグネットであり、その環状マグネットは前記嵌着段部に嵌着されているとした。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記第2磁性部材は環状マグネットであり、その環状マグネットの外径寸法は前記気体圧送ポンプの外径寸法よりも小さくなるように設定されているとした。
【0015】
請求項4に記載の発明では、モータケーシングの先端側にて開口するロータ挿入孔内にロータが回転可能且つ取り出し可能に挿入され、前記モータケーシング側に設けた第1磁性部材とロータ先端側に設けた第2磁性部材とにより先端側のスラスト磁気軸受が構成され、ロータ回転軸の先端側に気体圧送ポンプが連結可能な人工呼吸器用ブラシレスモータにおいて、前記第1磁性部材は、その内周面が前記ロータ挿入孔の内周面とほぼ面一となるように前記ロータ挿入孔の開口部内周面に設けた嵌着段部に嵌着されて、前記第2磁性部材の外周側となる位置に設けられていることを特徴とする人工呼吸器用ブラシレスモータをその要旨とする。
【0016】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1,4に記載の発明によると、第1磁性部材がロータ軸線方向に沿って配置されていないことから、第1磁性部材が第2磁性部材の邪魔にならず、ロータをロータ挿入孔から簡単に取り出すことが可能となる。このため、モータケーシングとロータとを分解した状態で、それらを個別に洗浄、滅菌消毒することができる。勿論、この構成であると、分解後に再度簡単に組み立てることも可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明によると、第1磁性部材である環状マグネットが嵌着段部に嵌着されることにより、当該環状マグネットがモータケーシング側に確実に保持される。また、この構造であると、ロータの取り出し時において当該環状マグネットにロータが当接しにくくなり、環状マグネットが破損しにくくなる。
【0018】
請求項3に記載の発明によると、上記の寸法関係を設定したことにより、第2磁性部材である環状マグネットに比べて気体圧送ポンプのほうが、ロータの径方向に張り出した状態となっている。ゆえに、モータを分解してモータケーシングからロータを取り出してそれを載置した場合、気体圧送ポンプの外周部が載置面に対して接触し、第2磁性部材である環状マグネットは何ら接触しなくなる。従って、環状マグネットが破損しにくくなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の人工呼吸器を具体化した実施形態について図1〜図5に基づき詳細に説明する。
【0020】
図1に示されるように、この人工呼吸器用気体圧送ポンプ1は、大まかにいって気体圧送ポンプ部2とブラシレスモータ3とによって構成されている。
気体圧送ポンプ部2を構成するポンプケーシング4は、その内部にポンプ収容空間5を備えている。複数の部材からなるポンプケーシング4には、ポンプ収容空間5に連通するガス吸入口6及びガス吐出口7がそれぞれ突設されている。ガス吸入口6には図示しないチューブの一端が連結されており、そのチューブの他端は酸素ガスや麻酔ガスの供給源に対して連結されている。ガス吐出口7には図示しない別のチューブの一端が連結されており、そのチューブの他端は患者の口に取り付けられたマウスピースに対して連結されている。ポンプ収容空間5の中には、図2に示すような複数の羽根8aを有する円盤状の気体圧送ポンプ8が回転可能に収容されている。そして、この気体圧送ポンプ8が所定方向に回転することにより、酸素ガスや麻酔ガスがガス吸入口6側からガス吐出口7側へと圧送されるようになっている。
【0021】
次に、ブラシレスモータ3の構成について説明する。
図1に示されるように、本実施形態のブラシレスモータ3は、固定側であるモータケーシング11と、回転側であるロータ12とを備えている。モータケーシング11を構成するケーシング本体13は略筒状であって、ロータ挿入孔15を備えている。ケーシング本体13の後端部には、中央に凹部14aを有するエンドプレート14が固着されている。その結果、ロータ挿入孔15は先端側(図1では左端側)のみが開口し、後端側(図1では右端側)が閉塞された状態となっている。このロータ挿入孔15は開口部が他の部分に比べて若干狭くなっている。なお、ケーシング本体13の先端側は、ポンプケーシング4の左端側中央部に設けられた取付穴に嵌入された状態で取り付けられる。
【0022】
ロータ挿入孔15内にはロータ12が回転可能な状態で挿入されている。ロータ12を構成する動力伝達用シャフト16の先端部は、ロータ挿入孔15の開口部から突出して、ポンプケーシング4のポンプ収容空間5内に至っている。そして、回転軸としての動力伝達用シャフト16の先端部には、気体圧送ポンプ8がナット17を用いて一体回転可能に連結されている。
【0023】
ロータ挿入孔15内において動力伝達用シャフト16の周囲には、環状をなす一対のブッシュ18a,18bが所定間隔を隔てて固定されている。これらのブッシュ18a,18bの間には、界磁マグネット19が保持されている。両ブッシュ18a,18bは、界磁マグネット19の軸方向への磁束の漏洩を防止するために、磁性体によって形成されている。
【0024】
図3に示されるように、界磁マグネット19は、シャフト16の周囲において4個の永久磁石片20を円筒状に組み合わせることによって構成されている。また、界磁マグネット19を構成している各々の永久磁石片20は、隣接する磁極が互いに異極同士となるように交互に配置された状態となっている。
【0025】
図1に示されるように、両ブッシュ18a,18bの相対向する側の外周部には、それぞれ嵌着段部21が環状に切欠き形成されている。これらの嵌着段部21間には、炭化珪素焼結体等のセラミックス材料によって形成された筒状カバー22が嵌め込まれている。そして、この筒状カバー22によって、界磁マグネット19の外周面が包囲された状態となっている。
【0026】
図1に示されるように、筒状カバー22の外側には、包囲部材としてのスリーブ23が配置されている。このスリーブ23は、炭化珪素焼結体を材料として円筒状に形成されている。炭化珪素焼結体以外にも、例えばアルミナ、窒化珪素、サイアロン等のようなセラミック焼結体を材料として用いることもできる。また、スリーブ23は、エンドプレート14に形成された嵌着段部24と、ケーシング本体13に形成された嵌着段部25との間に支持されている。また、筒状カバー22の外周面と対向して配置されるスリーブ23の内周面は、接触摺動性をよくするために滑らかに研磨加工されている。
【0027】
図1に示されるように、ケーシング1の内側に配置された円筒状のヨーク26とスリーブ23との間には、空間27が形成されている。スリーブ23には、前記空間27側とロータ12側とをつなぐ複数の通気孔28が透設されている。エンドプレート14には空気導入孔29が透設されている。この空気導入孔29には、図示しないエアホースを介して図示しない気体圧送ポンプが接続されている。従って、気体圧送ポンプから送り出される高圧空気は、エアホース、空気導入孔29、空間27及び通気孔28を経て、ロータ12とスリーブ23とがなす間隙に供給される。
【0028】
つまり、ロータ12は、気体圧送ポンプから供給される空気の圧力により、スリーブ23内において非接触状態に保持される。このとき、ロータ12とスリーブ23の内周面との間には所定のクリアランスが保たれる。即ち、本実施形態においては、前述した筒状カバー22とスリーブ23とによって、実質的にラジアル空気軸受けが構成されている。
【0029】
図1〜図3に示されるように、スリーブ23の外周面上には、3個の電機子コイル30が円周方向に沿って等間隔に配設されている。また、スリーブ23の外周面上の中央部かつ前記電機子コイル30の巻回領域内には、3つのホール素子31が円周方向に沿ってほぼ等間隔に設けられている。各ホール素子31は、電源接続端子、アース端子及び信号端子を備えている。各々の端子は、図3に示されるように、スリーブ23の外周面上にメタライズされた配線を介して、同種のもの同士で電気的に接続されている。各電機子コイル30の巻端部も、スリーブ23の外周面上にメタライズされた別の配線によって互いに電気的に接続されている。
【0030】
各ホール素子31は、ロータ12を構成している各永久磁石片20が回転するときの磁極の変化を検出するためのものである。これらのホール素子31からの検出結果に基づいて、各電機子コイル30への通電量及び通電方向などが制御されるようになっている。このとき、各電機子コイル30によって順次発生される磁界と、ロータ12の界磁マグネット19との相互作用に基づいて、ロータ12が回転制御される。
【0031】
なお、エンドプレート14には、図示しない複数のコネクタピンが立設されている。これらのコネクタピンの基端部は、スリーブ23の外周面上の配線と電気的に接続されている。各コネクタピンの先端部は、コネクタ側に同じ数だけ設けられた図示しないピン孔に対して嵌脱可能となっている。このため、コネクタ装着時においては、コネクタピンを介して、ブラシレスモータ3側と図示しない制御ユニット側とが電気的に接続された状態となる。
【0032】
次に、本実施形態のブラシレスモータ3において特徴なスラスト軸受構造について説明する。
このブラシレスモータ3は、先端側のスラスト磁気軸受41と、後端側のスラスト磁気軸受42とを備えている。
【0033】
図1に示されるように、先端側のスラスト磁気軸受41は、第1磁性部材である大径の環状マグネット43と、第2磁性部材である小径の環状マグネット44とによって構成されている。小径の環状マグネット44は、ブッシュ18bの先端側に設けられた環状の嵌着段部45に嵌着されている。大径の環状マグネット43は、ケーシング本体13においてロータ挿入孔15の開口部内周面に設けられた環状の嵌着段部46に嵌着されている。従って、大径の環状マグネット43は、小径の環状マグネット44の外周側となる位置に設けられている。別の言い方をすると、大径の環状マグネット43は、小径の環状マグネット44を包囲するように配置されている。従って、大径の環状マグネット43の内周面は、小径の環状マグネット44の外周面に対向した状態で配置されている。なお、大径の環状マグネット43の内周面は、ロータ挿入孔15において嵌着段部46がある部分の内周面とほぼ面一であり、何らロータ中心軸方向に突出していない状態となっている。
【0034】
両環状マグネット43,44同士は、異なる磁極が向き合うように配設されている。従って、両環状マグネット43,44間には磁気的な吸引力が働き、この吸引力によって動力伝達用シャフト16のスラスト方向への移動が規制されるようになっている。
【0035】
ここで、図1,図2に示されるように、大径の環状マグネット43の外径寸法は、気体圧送ポンプ8の外径寸法よりも小さくなるように設定されていることがよい。また、大径の環状マグネット43は、気体圧送ポンプ8と近接して配置されていることがよい。本実施形態において具体的には、大径の環状マグネット43の外径寸法は、気体圧送ポンプ8の外径寸法の1/3〜1/4程度に設定されている。また、小径の環状マグネット44は、気体圧送ポンプ8から数mm乃至数十mm程度離れた位置、つまり極めて近接した位置に配置されている。
【0036】
環状マグネット43の内径は、少なくとも環状マグネット44の外径よりも大きい必要がある。本実施形態においてより具体的には、環状マグネット43の内径は、環状マグネット44及び筒状カバー22の外径よりも大きい必要がある。
【0037】
図1に示されるように、後端側のスラスト磁気軸受42は、第3磁性部材である大径の環状マグネット47と、第4磁性部材である小径の環状マグネット48とによって構成されている。小径の環状マグネット48は、ブッシュ18aから突出するロータ12の基端部に装着されている。大径の環状マグネット47は、エンドプレート14の凹部14aに設けられた環状の嵌着段部49に嵌着されている。従って、大径の環状マグネット47は、小径の環状マグネット48の外周側となる位置に設けられている。別の言い方をすると、大径の環状マグネット47は、小径の環状マグネット48を包囲するように配置されている。従って、大径の環状マグネット47の内周面は、小径の環状マグネット48の外周面に対向した状態でかつ所定間隔を保持した状態で配置されている。環状マグネット47の内径は、少なくとも環状マグネット48の外径よりも大きい必要がある。
【0038】
両環状マグネット47,48同士は、異なる磁極が向き合うように配設されている。従って、両環状マグネット47,48間には磁気的な吸引力が働き、この吸引力によって動力伝達用シャフト16のスラスト方向への移動が規制されるようになっている。
【0039】
上記のように構成された人工呼吸器用気体圧送ポンプ1の動作について簡単に述べる。
ロータ12は、各電機子コイル30に通電制御を行うことにより回転を開始する。このとき、ロータ12のスラスト方向の荷重は、二対の環状マグネット43,44及び47,48の磁気的吸引力によって受承される。ロータ12のラジアル方向の荷重は、筒状カバー22とスリーブ23との間に導入される加圧空気によって受承される。従って、ロータ12は、モータケーシング11内の各部材と接触することなく高速にかつ安定して回転することができる。そして、ロータ12の回転力は、動力伝達用シャフト16を介して伝達され、気体圧送ポンプ8を回転駆動させる。その結果、酸素ガスや麻酔ガスがガス吸入口6側からガス吐出口7側へと圧送され、当該ガスが患者の口を介して気道内に供給される。
【0040】
次に、メインテナンス時において人工呼吸器用気体圧送ポンプ1は以下のようにして分解される。まず、ポンプケーシング4を構成する部材を分割して取り外し、気体圧送ポンプ部2とブラシレスモータ3とを分離させる。これにより気体圧送ポンプ8が外部に露出する。次いで、図4に示されるように、ロータ12を気体圧送ポンプ8が付いたままの状態でロータ先端方向(同図の矢印参照)にスライドさせる。その結果、ロータ12をロータ挿入孔15の開口部を介してモータケーシング11の外部に簡単に取り出すことができる。この後、回転側である気体圧送ポンプ8付きのロータ12と、固定側であるモータケーシング11とを個別に洗浄するとともに、さらにオートクレーブにより滅菌消毒を行う。この作業を経ることにより、装置内部に入り込んで付着した異物、細菌、ウィルスが確実に除去される。なお、本実施形態の人工呼吸器用気体圧送ポンプ1は、上記の分解作業と反対の手順を経ることにより、簡単に組み立てることができ、再び使用可能な状態となる。
【0041】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)この人工呼吸器用気体圧送ポンプ1では、第1磁性部材である大径の環状マグネット43が、ロータ挿入孔15の開口部内周面において、第2磁性部材である小径の環状マグネット44の外周側となる位置に設けられている。即ち、従来構造のように、先端側のスラスト磁気軸受41を構成する一対の環状マグネット43,44が、ロータ軸線方向に沿って並ぶように配設されているわけではない。従って、モータケーシング11側の環状マグネット43が、ロータ12側の環状マグネット44の邪魔にならない。ゆえに、ロータ12をロータ挿入孔15から簡単に取り出すことが可能となる。このため、モータケーシング11とロータ12とを分解した状態で、それらを個別に洗浄、滅菌消毒することができる。よって、洗浄、滅菌消毒を確実に行うことができる。勿論、この構成であると、分解後に再度簡単に組み立てることも可能となる。
【0042】
(2)この人工呼吸器用気体圧送ポンプ1では、第1磁性部材である環状マグネット43が、ロータ挿入孔15の開口部内周面に設けられた嵌着段部46に嵌着されている。従って、当該環状マグネット43がモータケーシング11側に対し、位置ズレすることなく確実に保持させることができる。また、この構造であると、ロータ挿入孔15の内周面から環状マグネット43の内周面が殆ど突出しない状態とすることができる。このため、ロータ12の取り出し時において当該環状マグネット43にロータ12の構成部材が当接しにくくなる。ゆえに、環状マグネット43が破損しにくくなる。よって、マグネット43の破損を避けるべく、取り出し時にロータ12を慎重に取り扱う必要がなく、従来に比べて取扱性に優れたブラシレスモータ3を実現することができる。
【0043】
(3)この人工呼吸器用気体圧送ポンプ1では、小径の環状マグネット44の外径寸法は、気体圧送ポンプ8の外径寸法よりも小さくなるように設定されている。また、小径の環状マグネット44は、気体圧送ポンプ8に極めて近接した位置に配置されている。ゆえに、環状マグネット44に比べて気体圧送ポンプ8のほうが、ロータ12の径方向に張り出した状態となっている。
【0044】
ゆえに、モータ3を分解してモータケーシング11からロータ12を取り出してそれを載置した場合、図5に示されるように、気体圧送ポンプ8の外周部が載置面に対して接触し、環状マグネット44は何ら接触しなくなる。従って、環状マグネット44が破損しにくくなる。よって、マグネット44の破損を避けるべく、取り出した後のロータ12を慎重に取り扱う必要がなくなる。ゆえに、従来に比べて取扱性に優れたブラシレスモータ3を実現することができる。
【0045】
(4)さらに、この人工呼吸器用気体圧送ポンプ1では、後端側のスラスト磁気軸受42を構成する環状マグネット48を、ブッシュ18aではなく、相対的に小径のシャフト16に対してじかに固定している。従って、より小径の環状マグネット48を用いることができる。しかも、環状マグネット48の外径寸法はブッシュ18aの外径寸法よりも小さくなるように設定されるとともに、両者48,18aが極めて近接して配置されている。従って、図5に示されるように、分解時においてブッシュ18aの外周部が載置面に対して接触し、環状マグネット48は何ら接触しなくなる。このため、環状マグネット48が破損しにくくなる。よって、マグネット48の破損を避けるべく、取り出した後のロータ12を慎重に取り扱う必要がなくなる。ゆえに、従来に比べて取扱性に優れたブラシレスモータ3を実現することができる。
【0046】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 後端側のスラスト磁気軸受42については、それを構成する一対の環状マグネット47,48を、ロータ軸線方向に沿って並ぶように配設してもよい。後端側については、このような構成を採ったとしても、ロータ12の取り出し時にマグネット47等が特に邪魔にならないからである。具体的には、ほぼ同径の環状マグネット47,48を用い、両者47,48の側面同士が対向するように配置する。この場合、ロータ12側の環状マグネット48をブッシュ18aに嵌着し、モータケーシング11側の環状マグネット47をエンドプレート14に固定する。
【0047】
・ 第1〜第4磁性部材であるマグネット43,44,47,48は、必ずしも全体として環状かつ1つ部材でなくてもよく、複数の磁石片を環状に配置してなるものであってもよい。また、これらのマグネット43,44,47,48として、永久磁石を用いてもよいほか、電磁石を用いることも許容される。
【0048】
・ 先端側のスラスト磁気軸受41において、ロータ挿入孔15の内周面に嵌着段部46を設けずに、そのまま接着剤等により環状マグネット43を取り付けることも許容される。
【0049】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1) 請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、前記スラスト磁気軸受を構成する第1磁性部材及び第2磁性部材同士は、異なる磁極が向かい合った状態で配置されていること。従って、この技術的思想1に記載の発明によれば、両磁性部材間に磁気的吸引力が働くことによって、ロータのスラスト方向への移動が規制される。
【0050】
(2) モータケーシングの先端側にて開口するロータ挿入孔内にロータが回転可能に挿入され、前記モータケーシング側に設けた第1磁性部材とロータ先端側に設けた第2磁性部材とにより先端側のスラスト磁気軸受が構成され、前記モータケーシング側に設けた第3磁性部材とロータ後端側に設けた第4磁性部材とにより後端側のスラスト磁気軸受が構成され、ロータ回転軸の先端側に気体圧送ポンプが連結可能な人工呼吸器用ブラシレスモータにおいて、前記第1磁性部材は、前記ロータ挿入孔の内周面において前記第2磁性部材の外周側となる位置に設けられ、前記第3磁性部材は、前記ロータ挿入孔の内周面において前記第4磁性部材の外周側となる位置に設けられていることを特徴とする人工呼吸器用ブラシレスモータ。
【0051】
(3) 技術的思想2において、前記後端側のスラスト磁気軸受を構成する第4磁性部材はロータ回転軸に固定された環状マグネットであり、その環状マグネットの外径寸法は前記ロータ回転軸に設けられた後端側ブッシュの外径寸法よりも小さくなるように設定されていること。従って、この技術的思想3に記載の発明によれば、分解時に第4磁性部材である環状マグネットが破損しにくくなる。
【0052】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、モータケーシングとロータとを簡単に分解することができ、洗浄や滅菌消毒を確実に行うことができる人工呼吸器用気体圧送ポンプを提供することができる。
【0053】
請求項2,3に記載の発明によれば、分解時であっても破損しにくく取扱性に優れた人工呼吸器用気体圧送ポンプを提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、モータケーシングとロータとを簡単に分解することができ、洗浄や滅菌消毒を確実に行うことができる人工呼吸器用ブラシレスモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施形態の人工呼吸器の概略断面図。
【図2】実施形態において、気体圧送ポンプ、ロータ及びスリーブの分解斜視図。
【図3】図1のA−A線における断面図。
【図4】実施形態のモータを分解するときの様子を示す概略断面図。
【図5】取り出されたロータを載置したときの様子を示す概略図。
【符号の説明】
1…人工呼吸器、3…人工呼吸器用ブラシレスモータ、4…ポンプケーシング、8…気体圧送ポンプ、11…モータケーシング、12…ロータ、15…ロータ挿入孔、16…ロータ回転軸としての動力伝達用シャフト、41…先端側のスラスト磁気軸受、43…第1磁性部材としての環状マグネット、44…第2磁性部材としての環状マグネット、46…嵌着段部。
Claims (4)
- 気体圧送ポンプを収容するポンプケーシングと、モータケーシングの先端側にて開口するロータ挿入孔内に取り出し可能にロータを挿入したブラシレスモータとを備え、ロータ回転軸の先端側に前記気体圧送ポンプが一体回転可能に連結され、前記モータケーシング側に設けた第1磁性部材とロータ先端側に設けた第2磁性部材とにより先端側のスラスト磁気軸受が構成された人工呼吸器用気体圧送ポンプにおいて、
前記第1磁性部材は、その内周面が前記ロータ挿入孔の内周面とほぼ面一となるように前記ロータ挿入孔の開口部内周面に設けた嵌着段部に嵌着されて、前記第2磁性部材の外周側となる位置に設けられていることを特徴とする人工呼吸器用気体圧送ポンプ。 - 前記第1磁性部材は環状マグネットであり、その環状マグネットは前記嵌着段部に嵌着されていることを特徴とする請求項1に記載の人工呼吸器用気体圧送ポンプ。
- 前記第2磁性部材は環状マグネットであり、その環状マグネットの外径寸法は前記気体圧送ポンプの外径寸法よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の人工呼吸器用気体圧送ポンプ。
- モータケーシングの先端側にて開口するロータ挿入孔内にロータが回転可能且つ取り出し可能に挿入され、前記モータケーシング側に設けた第1磁性部材とロータ先端側に設けた第2磁性部材とにより先端側のスラスト磁気軸受が構成され、ロータ回転軸の先端側に気体圧送ポンプが連結可能な人工呼吸器用ブラシレスモータにおいて、
前記第1磁性部材は、その内周面が前記ロータ挿入孔の内周面とほぼ面一となるように前記ロータ挿入孔の開口部内周面に設けた嵌着段部に嵌着されて、前記第2磁性部材の外周側となる位置に設けられていることを特徴とする人工呼吸器用ブラシレスモータ。
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