JP4749323B2 - 粒子数計測システム - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの排出ガスに含まれるPM等の固体粒子数を計測する粒子数計測システムにおける検定方法等に関するものである。
エンジンからの排出物質の1つである粒子状物質(PM:Particulate Matters)の測定方法としては、フィルタを用いてPMを捕集し、そのPM質量を図るフィルタ質量法が周知である。ところで、PM排出量が微量となり、フィルタ重量法では精度面で厳しい状況となってきている。そのような状況のもと、フィルタ重量法の代替法として開発されたものが、排出ガス中のPMの数を計測する手法である。その具体的なシステム構成としては、例えば粒子数計測装置の前段に、エンジンの排出ガスをエア等で希釈する希釈ユニットを設け、その希釈した排出ガスの一部を当該粒子数計測装置に導いて、その中に含まれる粒子数をカウントするようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
従来、このようなシステムにおいて、初期調整や点検を行う場合、粒子数計測装置を前記システムから切り離し、粒子数計測装置が線形性よく正しく動作しているかどうかをチェック、すなわち検定するようにしている。
特開2006−194726号公報
しかしながら、このように粒子数計測装置単体を検定するにしても、そのためには、この粒子数計測装置をシステムから切り離したうえで、さらに標準粒子発生器やその粒子を含んだガスを所望の流量比率で分割するフローデバイダなどを別途取り付けなければならないことから、簡単に検定できるとは到底言えない。
さらに、全体システムとして考えた場合、希釈ユニットの希釈比が間違っていたり流路系にガス漏洩箇所があったりするなど、粒子数測定の検定に影響を及ぼし得る部分は多々有り、上述した粒子数計測装置のみの検定では十分とは言えない。そのため、その他の機器や部位も同様に検定を行うとすると、全体として検定にかかる手間や時間は相当なものとなる。
本発明はかかる不具合に鑑み、システムが正常であれば、既知数の粒子を導入した場合には希釈比に応じて粒子数が反比例的に変化する点に着目してなされたものであって、この種の粒子数計測システムにおいて、システム全体の検定を簡便に行うことのできる検定方法等を提供することをその主たる所期課題としたものである。
すなわち、本発明にかかる粒子数計測システムの検定方法は、エンジンの排出ガスを導入するための排出ガス導入ポートと、希釈ガスを導入するための希釈ガス導入ポートと、内部に導入された排出ガスに希釈ガスを所定比で混合することによりその排出ガスを希釈する希釈ユニットと、希釈された排出ガス中の固体粒子数を計測する粒子数計測装置と、を備えた粒子数計測システムに用いられるチェック方法であって、前記排出ガス導入ポートに粒子発生器を接続するとともに、前記希釈ユニットを制御してその希釈比を変化させ、前記粒子数計測装置によってその変化毎の固体粒子数を計測し、希釈比と固体粒子数とが所定関係を保っているか否かを判断するようにしたものである。
また、本発明に係る粒子数計測システムは、エンジンからの排気ラインに接続される排出ガス導入ポートと、希釈ガスを導入するための希釈ガス導入ポートと、内部に導入されたエンジンの排出ガスに希釈ガスを所定比で混合してその排出ガスを希釈する希釈ユニットと、希釈された排出ガス中の固体粒子数を計測する粒子数計測装置と、前記排出ガス導入ポートに排気ラインと切替可能に接続される、一定数の粒子を発生する粒子発生器と、その粒子発生器を前記排出ガス導入ポートに接続した場合に、前記希釈ユニットを制御してその希釈比を変化させるとともに、変化させる都度前記粒子数計測装置で測定した固体粒子数を受信し、希釈比と固体粒子数とが所定関係を保っているか否かを判断可能に出力する情報処理装置と、を備えていることを特徴とする。
より好ましくは、システムにおける配管等での漏れをチェックできる漏洩チェック機構を備えているものが挙げられる。
このように構成した本発明によれば、排出ガス導入ポートに粒子発生器を接続し、あとは、通常動作時でも行っている希釈比の変更を行うだけで、その他、特に専用の機器を用いることなく、簡便にシステム全体としての動作検定を行える。そして、その結果が異常であるときだけ、各部の動作確認を行えばよいので、従来のように、検定の際には、正常であるかどうかに拘わらず、粒子数計測装置を切り離すなどして、大変な作業を必要としていたのと比べれば、検定作業の大幅な効率化を図ることができることとなる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に、本実施形態に係る粒子数計測システム100の全体概要を示す。この粒子数計測システム100は、排出ガス導入ポートPT1から内部に設けたメイン流路TLにエンジンの排出ガスを導びいて、それに希釈や気化等を施した後、メイン流路TLの最終端部に設けた粒子数計測装置3で前記排出ガス中の固体粒子であるPMを測定するものである。
以下にこの粒子数計測システム100について詳述する。
前記排出ガス導入ポートPT1は、図示しないエンジンからの排気ラインに接続されており、この排出ガス導入ポートPT1に、例えばエンジンからの直接の排出ガスもしくは全流希釈トンネルや分流希釈トンネルで希釈された排出ガスが導かれるように構成している。なお、以下で排出ガスというときは、上述したような希釈された排出ガスも含む意味で用いることとする。
この排出ガス導入ポートPT1から内部に導入された排出ガスは、ダスト除去器CLを経て、一部はバイパス路BLから排出され、その残りが、直列に設けた複数段(2段)の希釈ユニット21、22に導かれて希釈ガスであるエアによって希釈される。なお、エアは、希釈ガス導入ポートPT2からレギュレータRGを介してアキュムレータACに一旦蓄積され、このアキュムレータACから内部エア流路ALを経て、メイン流路TLの各所に供給されるように構成してある。
各希釈ユニット21、22は、上流から流入する排出ガスのうちの一部をバイパス路BL1、BL2に分けて流すフロースプリッタFS1、FS2と、メイン流路TLと内部エア流路ALとの接続点又はその下流近傍に設けた混合器MX1、MX2と、その混合器MX1、MX2に導入される被希釈ガスである排出ガスの質量流量を測定するための流量測定機構211、221と、混合器MX1、MX2に同じく導入されるエアの質量流量を制御するエア流量制御部MFC1、MFC2と、被希釈ガスである排出ガスの質量流量を可変させる排出ガス流量制御部MFC3、MFC4と、を備えている。そして、この希釈ユニット21、22に流れ込んでくる排出ガスの流量を、前記流量測定部211、221で測定するとともに排出ガス流量制御部MFC3、MFC4で制御して、所望の希釈比を実現するように構成されている。
なお、前記流量測定機構211、221は、流体抵抗となるオリフィス部O1、O2と、そのオリフィス部O1、O2の差圧を測定する圧力センサP12、P22と、上流側の絶対圧を測定する圧力センサP11、P21と、流体の温度を調整する温調器TC1、TC2とを備えており、オリフィス部O1、O2の上下流の圧力情報及び温調器TC1、TC2からの温度情報に基づいて、別に設けた情報処理装置5(特に図2参照)が、混合器MX1、MX2に導入される排出ガスの質量流量を算出できるように構成されたものである。情報処理装置5は、CPU、メモリ、入力手段、ディスプレイ等を備え、メモリに格納した所定プログラムにしたがってCPUや周辺機器が協働して動作する汎用乃至専用のいわゆるコンピュータである。
各流量制御部MFC1〜MFC4は、前記情報処理装置5から目標流量データを与えられると、内部に設けた流量センサ(図示しない)で測定される実流量が、目標流量データの値(以下、目標流量とも言う)となるように、内部のバルブ(図示しない)を調整してローカルで流量制御するものである。この目標流量は、前記情報処理装置5によって、希釈比から算出される。
さて、前述した2段の希釈ユニット21、22で希釈された排出ガスの一部が粒子数計測装置3に導かれる。この実施形態での粒子数計測装置3は、アルコールやブタノールなどの有機ガスを過飽和状態で混入させて排出ガス中のPMを大きな径に成長させ、成長したPMをレーザ光によって計数するタイプのものである。この粒子数計測装置3で測定された計数データは、前記情報処理装置5に出力されて適宜処理される。
なお、図1中、符号EUは後段希釈ユニット22内に設けられたエバポレーションユニットである。符号VPmは、バイパス路BL、BL1、BL2等を負圧にするためのメインバキュームポンプであり、符号VCはその前段に設けられたバキュームチャンバである。バイパス路BL、BL1、BL2に設けられた符号CO1〜CO3は、ここを流れる流量を一定に保つ、クリティカルオリフィス等の定流量器である。粒子数計測装置3の後段に設けられた符号VPsは、この粒子数計測装置3内に排出ガスを導くためのローカルバキュームポンプである。粒子数計測装置3と並列に設けられた符号FMはフローメータであり、バルブを切り替えることで、その後段に設けたフィルタでPMを除去しエアーを測定装置に導くことができるように構成してある。符号HTは、ヒータなどの加熱手段を有する温度調節器であり、温度をある程度高めておくことにより、配管内壁へのPMの付着や凝集等を防止して、計数誤差を抑制するために設けてある。
しかしてこの実施形態では、粒子数の測定リニアリティを検定できるようにするために、単位時間あたり既知の粒子を発生する粒子発生器4を設け、その粒子発生器4を、切替バルブV1を切り替えることによって、前記排出ガス導入ポートPT1に接続できるように構成している。そして、検定のために粒子発生器4を接続した場合には、前記希釈ユニット21、22を制御してその希釈比を複数ポイントに亘って変化させ、それら各ポイントにおける固体粒子数を、前記粒子数計測装置3によって順次計数するようにしている。
具体的な検定手順は、図3のフローチャートにも概略を示すが、以下のとおりである。
まず、バルブV1を操作することで、排出ガス導入ポートPT1に粒子発生器4を接続する。粒子発生器4は、単位時間あたり一定数の粒子(すなわち粒子数計測装置3による計測が可能な径の固体粒子)を発生し、これをキャリアガスとともに排出するものである。
次に希釈比を複数ポイントに亘って段階的に変化させる。各希釈比は、例えばオペレータが情報処理装置5に入力するなどして都度与えてもよいし、予めプログラミングによって定めておいてもよい。
情報処理装置5は、最初の希釈比を設定し(ステップS1)、希釈エア流量の設定を行う。そしてその希釈エア流量の値から、前記希釈比となる排出ガスの目標流量(メイン流路TLを流れる目標流量)算出する。そして、流量測定部211、221で測定されたメイン流路TLの流量が、前記目標流量となるように排出ガス流量制御部MFC3、MFC4に指令信号を出力する(ステップS3)。このことにより、排出ガス流量制御部MFC3、MFC4でローカル制御が営まれ、所望の希釈比が実現する。
次に、情報処理装置5は、少なくともその希釈が安定する時間だけ待って、粒子数計測装置3からの計数データを受信する(ステップS4)。そして、その計数データと希釈比とを対にしてメモリに記憶する(ステップS5)。
その後、情報処理装置5は、次の希釈比設定をして、同様のことを繰り返し、各ポイントでの計数データを取得する(ステップS6、S7)。
最後に、情報処理装置5は、メモリに記憶された複数ポイントに亘る希釈比の逆数と計数データとの関係が、規定範囲内で線形性を保っているか否かを、オペレータによる判断が可能なように出力する(ステップS8)。具体的に「オペレータによる判断が可能なように出力する」態様としては、例えば、複数ポイントに亘る希釈比と計数データとの値を、そのままあるいは図4に示すように、グラフ上にプロットした態様でディスプレイ出力し、オペレータによる検定判断を可能ならしめることや、一歩進んで、情報処理装置5が所定の演算によって線形性の有無を自動判断し、その判断結果を出力することなどを挙げることができる。
この結果、線形性が保たれていれば、各希釈ユニット21、22や粒子数計測装置3が正常に動作しており、かつ、配管途中で漏れなどがないなど、システム全体としての動作確認を行える。
また、本システム100によれば、システムに検定用の粒子発生器4が予め付帯させてあるので、単にバルブV1を切り替えて情報処理装置5の検定用プログラムを動作させるだけで、簡便にシステム全体としての動作確認を行える。
さらに、その結果が異常であるときだけ、各部の動作確認を行えばよいので、従来のように、メンテナンスなどの検定のときは正常であるかどうかに拘わらず必ず粒子数計測装置3を切り離すといった大変な作業を行っていた場合と比べ、その作業を、大幅に効率化できる。
また、異常と判断された場合にしても、本システム100によれば、後述する手法により、異常個所を的確に判断して、その検定作業を効率化できる。つまり、希釈比を変化させるときは、複数(2段)の希釈ユニット21、22の希釈比を同時に変えるのではなく、いずれかひとつの希釈比のみを変えるようにする。このようにすれば、例えば、いずれか一方を動作させたときに線形性が担保できなければ、動作させた希釈ユニット21、22に異常がある可能性が高いとわかるし、いずれを動作させても線形性を保てないときは、粒子数計測装置3や配管等の異常可能性が高いとわかる。このように、なんらかの異常が生じている場合に、異常可能性の高い箇所を予め見当付けられるので、各箇所全てを闇雲にチェックするのに比べて、効率よく検定作業を行うことができるようになる。
さらにこの実施形態では、システムにおける配管等での漏れをチェックできるようにするため、外部との接続部分の全てに開閉可能なバルブV1、Vc1〜Vc4を設けて、これを手動又は情報処理装置5からの指令により開閉可能に構成した漏洩チェック機構を設けている。
そして、例えば、バルブV1、Vc1、Vc2、Vc4を閉じた状態でポンプVPmを作動させて系内部を負圧にし、最後にポンプVPmの吸入口をバルブVc3により封止すれば、いずれかの圧力センサで内部圧の経時変化をみることで、システム全体での漏れをチェックできる。なぜならば、もし漏れがなければ、圧力はそのまま保たれ、どこかにわずかでも漏れがあった場合には、圧力が徐々に上昇することになるからである。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。例えば希釈ユニットは1つでもよいし、3つ以上あっても構わない。また、前記実施形態では、検定を、ある程度情報処理装置5による自動処理で行っていたが、情報処理装置5を用いず、完全にオペレータの手動で行ってもよい。さらに、粒子数発生器を予め粒子数計測システムに付帯させてバルブ切替できるようにするのではなく、検定のときに、別途粒子数発生器を用意し、排気ラインに代えてガス導入ポートに接続するようにしてもよい。
加えて、流路系など、その構成は図示例に限られず、その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能である。
本発明の一実施形態における粒径分布装置を示す模式的概略全体図。 同実施形態における情報の流れを示す情報伝達図。 同実施形態における検定手順を示すフローチャート。 同実施形態における出力態様を示す画面一例図。
符号の説明
100・・・粒子数計測システム
PT1・・・排出ガス導入ポート
PT2・・・希釈ガス導入ポート
21、22・・・希釈ユニット
3・・・粒子数計測装置
4・・・粒子発生器
5・・・情報処理装置

Claims (3)

  1. エンジンの排出ガスを導入するための排出ガス導入ポートと、希釈ガスを導入するための希釈ガス導入ポートと、内部に導入された排出ガスに希釈ガスを所定比で混合することによりその排出ガスを希釈する希釈ユニットと、希釈された排出ガス中の固体粒子数を計測する粒子数計測装置と、を備えた粒子数計測システムに用いられるチェック方法であって、
    前記排出ガス導入ポートに粒子発生器を接続するとともに、前記希釈ユニットを制御してその希釈比を変化させ、前記粒子数計測装置によって変化に対応した固体粒子数を計測し、希釈比と固体粒子数とが所定関係を保っているか否かを判断するようにした粒子数計測システムのチェック方法。
  2. エンジンからの排気ラインに接続される排出ガス導入ポートと、
    希釈ガスを導入するための希釈ガス導入ポートと、
    内部に導入されたエンジンの排出ガスに希釈ガスを所定比で混合してその排出ガスを希釈する希釈ユニットと、
    希釈された排出ガス中の固体粒子数を計測する粒子数計測装置と、
    前記排出ガス導入ポートに排気ラインと切替可能に接続される粒子発生器と、
    その粒子発生器を前記排出ガス導入ポートに接続した場合に、前記希釈ユニットを制御してその希釈比を変化させるとともに、変化させた各ポイントにおいて前記粒子数計測装置で測定した固体粒子数を受信し、希釈比と固体粒子数とが所定関係を保っているか否かを判断可能に出力する情報処理装置と、を備えている粒子数計測システム。
  3. システムにおける配管等での漏れをチェックできる漏洩チェック機構をさらに備えている請求項2記載の粒子数計測システム。
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