JP4740748B2 - 耐火物煉瓦間の空隙検査方法 - Google Patents
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Description
冷却層130は、例えば金属製のパネル内部に冷却水を循環させるための水冷パイプが埋設された構造となっている。スタンプ材層140は、高熱伝導率の耐火物紛体、例えばカーボン粉体を高密度で圧縮して形成された層である。
なお、リング煉瓦154よりも上側に積層される朝顔煉瓦155は、低気孔率の粘土や高アルミナ煉瓦、カーボン質煉瓦などで構成されている。
この特許文献1に記載の計測法では、金属製水冷冷却パネルの露出面に超音波探触子を直接接触させる。超音波探触子は接続ケーブルにより探傷器に接続され、探傷器からの電気信号により超音波を発生して金属製水冷冷却パネル内に超音波信号を送出する。超音波信号は金属製水冷冷却パネル内を伝播し、金属製水冷冷却パネルの炉内面側で反射する。反射信号は超音波探触子で検出され、電気信号に変換されて探傷器に送られる。探傷器では、超音波の送出から反射した超音波の検出までに経過した時間を測定し、これから金属製水冷冷却パネルの厚みを計測する、という構成が採用されている。
すなわち、超音波探触子を所定の煉瓦(煉瓦Aと称す)の露出面に接触させて超音波を発信し、この煉瓦Aに当接する煉瓦(煉瓦Bと称す)との界面にて反射した超音波を超音波探触子で検出する。これにより、煉瓦A,B間に空隙が形成されていない場合は、煉瓦Aにおける煉瓦Bと当接する端面からの反射波と、煉瓦Bにおける煉瓦A,B界面と反対側の端面からの反射波との双方が超音波探触子にて検出される。一方、煉瓦A,B間に空隙が形成されている場合は、煉瓦Aにおける煉瓦Bと当接する端面からの反射波のみが超音波探触子にて検出可能であると考えられる。したがって、上記特許文献1に記載の計測法によれば、各煉瓦間の空隙の有無を非破壊にて検査することが可能と考えられる。
このため、煉瓦間の空隙厚さが例えば1mm未満であれば補修の必要がない場合でもこれを判断できず、空隙厚さの大小に関わらずに、空隙が形成されている全ての煉瓦を取り外して再度接着剤を塗布して組み込むなど、無駄な作業が増えてしまうおそれがある。結果として、高炉100の補修に長時間を費やしてしまい、高炉100の稼動停止期間が長期化されてしまうおそれがある。
予め、検査対象となる空隙を間に挟んで隣接する一対の耐火物煉瓦と同材質かつ同形状の一対のモデル煉瓦を用い、これらモデル煉瓦を当該一対の耐火物煉瓦と同様に配列させ、さらに当該モデル煉瓦間の空隙の厚さが異なる複数種のモデル構造物を準備しておくモデル構造物準備工程、
このモデル構造物準備工程後に実施され、それぞれの前記モデル構造物における前記一対のモデル煉瓦のうち一方のモデル煉瓦の露出面に、広帯域の超音波を発信可能な発信部、および、広帯域の受信波を受信可能な受信部を設置する受発信部設置工程、この受発信部設置工程後に実施され、それぞれの前記モデル構造物において、前記発信部より前記露出面から前記空隙へ向けて前記超音波を発信し、この超音波に対応する受信波を前記受信部にて受信する受発信工程、この受発信工程後に実施され、当該受信波より、それぞれの前記モデル構造物における前記一方のモデル煉瓦の前記空隙との対向面からの反射波成分を抽出する反射波抽出工程、この反射波抽出工程後に実施され、当該反射波成分に基づいて反射波スペクトルを取得し、それぞれの前記モデル構造物における前記空隙に対応した、当該反射波スペクトルにおける周波数0から所定の周波数fBまでのスペクトル値の総和であるスペクトル面積を取得するスペクトル面積取得工程、および、このスペクトル面積取得工程後に実施され、それぞれの前記モデル構造物における前記空隙の厚さと、これに対応する前記スペクトル面積との関係を示す検量線を取得する検量線取得工程、を含んだ前工程と、前記一対の耐火物煉瓦のうち一方の耐火物煉瓦の露出面に、前記発信部および前記受信部を、前記前工程における前記受発信部設置工程と同様の配置で設置する受発信部設置工程、この受発信部設置工程後に実施され、前記発信部より前記露出面から前記検査対象となる空隙へ向けて前記超音波を発信し、この超音波に対応する受信波を前記受信部にて受信する受発信工程、この受発信工程後に実施され、当該受信波より、前記一方の耐火物煉瓦における前記検査対象となる空隙との対向面からの反射波成分を抽出する反射波抽出工程、この反射波抽出工程後に実施され、当該反射波成分に基づいて反射波スペクトルを取得し、前記検査対象となる空隙に対応した、当該反射波スペクトルにおける周波数0から前記所定の周波数fBまでのスペクトル値の総和であるスペクトル面積を取得するスペクトル面積取得工程、および、このスペクトル面積取得工程後に実施され、前記検量線と、前記検査対象となる空隙に対応する前記スペクトル面積とを比較することにより、前記検査対象となる空隙の厚さを計測する比較工程、を含んだ実測工程と、を備えて構成されることを特徴とする耐火物煉瓦間の空隙検査方法である。
そして、各検量線スペクトルの形状は、煉瓦間の空隙厚さ変化に対応して様々に変化するので、煉瓦間の空隙厚さとスペクトル形状との関係を表す検量線スペクトル群を得ることができる。また、反射波スペクトルのスペクトル面積は、煉瓦間の空隙厚さ変化に対応して変化するので、煉瓦間の空隙厚さと反射波スペクトルのスペクトル面積との関係を表す検量線を得ることができる。したがって、予め前工程にて取得した検量線スペクトル群と、実測工程にて取得した対象スペクトルとを比較する、あるいは、予め前工程にて取得した検量線と、実測工程にて取得した検査対象となる空隙に対応するスペクトル面積とを比較することにより、検査対象となる空隙の厚さを計測することができる。
これにより、例えば、高炉の補修に際して、縦積煉瓦下空隙の厚さを非破壊で計測できるので、補修作業が効率化され、高炉の補修時間を短縮化できる。結果として、高炉の稼動停止期間を短縮できるという効果を得ることができる。
以下に、本発明の第1実施形態について図面に基づいて説明する。図2は、本発明の第1実施形態における空隙検査システムを示す模式図である。
なお、図2には、図1に示す高炉100における炉敷煉瓦151および縦積煉瓦152が示されており、これら煉瓦間には接着剤としてのモルタル156が介在している。そして、図中Aは、炉敷煉瓦151および縦積煉瓦152の間に形成された空隙の一例を示すものであり、モルタルが充填されていない空間となっている。
図2において、1は空隙検査装置であり、この空隙検査装置1は、図1に示すような高炉100における炉敷煉瓦151と縦積煉瓦152との間の空隙A(検査対象となる空隙)を検査する。このような空隙検査装置1は、発信部2と、受信部3と、制御装置4とを備えて構成されている。
すなわち、制御装置4は、後述する前工程における、受発信工程と、反射波抽出工程と、検量線スペクトル取得工程と、検量線スペクトル群取得工程とを実施する。また、制御装置4は、後述する実測工程における、受発信工程と、反射波抽出工程と、対象スペクトル取得工程と、比較工程とを実施する。
なお、制御装置4は、表示装置41を備えており、当該比較工程にて、検量線スペクトル群および対象スペクトルを表示装置41に比較可能に表示する。
ここで、空隙検査装置1を使用する場合の高炉100の状態について説明する。
図1に示す高炉100の改修は、主として、鉄皮120と、冷却層130と、スタンプ材層140と、煉瓦層150とを取り除き、新たに、鉄皮120と、冷却層130と、スタンプ材層140と、煉瓦層150とを構築することにより行う。なお、鉄皮120は流用し、解体しない場合もある。
例えば、高炉100を基礎上に設置した状態で改修作業を行う場合、高炉100近傍に据え付けた大型クレーン(図示せず)を用い、炉体の上部から炉底部まで順次解体しながら、炉頂から解体した部材を外部に取り出す。そして、全く逆の手順で炉頂から炉内部に新たな部材を搬入して新たなスタンプ材層140および煉瓦層150を構築する。
また、例えば、高炉100そのものを複数のブロックに解体して基礎上から搬出し、該基礎以外の場所にて予め構築した新たな複数のブロックを現場に搬入して組み合わせる、いわゆるブロック工法により改修作業を行う場合もある。
次に、本実施形態に係る耐火物煉瓦間の空隙検査方法、すなわち、上記した空隙検査装置1を用いて、高炉100における炉敷煉瓦151と縦積煉瓦152との間の空隙Aを検査する方法について説明する。
本実施形態に係る耐火物煉瓦間の空隙検査方法は、大きく分けて、予め炉敷煉瓦151と縦積煉瓦152とを模したモデル構造物を用いて検量線スペクトル群を取得しておく前工程と、実際の高炉100における炉敷煉瓦151と縦積煉瓦152との間の空隙Aを検査する実測工程とを備えて構成される。
前工程では、モデル構造物準備工程と、受発信部設置工程と、受発信工程と、反射波抽出工程と、検量線スペクトル取得工程と、検量線スペクトル群取得工程とを順に実施する。
なお、上述したように、この前工程における受発信工程、反射波抽出工程、検量線スペクトル取得工程および検量線スペクトル群取得工程については、制御装置4にて実施される。
すなわち、本実施形態におけるモデル構造物とは、図1に示す高炉100にて実際に使用される複数の炉敷煉瓦151および縦積煉瓦152をモデル煉瓦とし、これを実際に使用される状態で組み合わせた構造物である。さらに、特定位置の縦積煉瓦152(モデル煉瓦)およびこれに当接する炉敷煉瓦151(モデル煉瓦)間に、任意の厚さΔwの空隙を形成したものである。このような空隙の厚さΔwは、例えば0〜4.0mmの範囲で調整され、本実施形態では、例えばΔw=0、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0の6種類のモデル構造物を準備する。
図3は、発信部から発信される超音波を示す図であり、(A)は周波数とスペクトル値との関係を示し、(B)は時間と信号強度との関係を示す。
受発信工程では、それぞれのモデル構造物において、発信部2より露出面から空隙Aへ向けて超音波W1を発信し、この超音波W1に対応する受信波W2を受信部にて受信する。
図4は、各モデル構造物において受信部にて受信された受信波を示す図であり、図中左側は周波数とスペクトル値との関係を示し、図中右側は時間と信号強度との関係を示す。図5は、各モデル構造物における一方の煉瓦の空隙との対向面からの反射波成分を示す図であり、図中左側は周波数とスペクトル値との関係を示し、図中右側は時間と信号強度との関係を示す。
反射波抽出工程では、受発信工程にて受信部3が受信した受信波W2より、それぞれのモデル構造物における一方のモデル煉瓦の空隙との対向面、すなわち、それぞれのモデル構造物における縦積煉瓦152に対応するモデル煉瓦の下面(図2中下面)からの反射波成分を抽出する。
以下、このような縦積煉瓦152に対応するモデル煉瓦の下面からの反射波成分、および、縦積煉瓦152における検査対象となる空隙Aとの対向面(図2下面)からの反射波成分をAjと定義して説明する。なお、jは空隙の厚さΔwに対応する数字であり、例えば空隙の厚さΔwが0の場合はj=1とし、Δwが0.5の場合はj=2、Δwが1.0の場合はj=3、、、などとする。
なお、このような加算平均法としては、例えば、「超音波によるコンクリートの内部探知1〜4、日本工業出版、検査技術1999年5〜8月号」に開示された従来の技術を採用することができる。
そして、制御装置4は、広帯域受信波関数Gj(t)および時系列波抽出関数TGCj(t)を上記式(1)に代入することにより、例えば図5右側に示すように反射波成分Ajに対応する反射波関数GAj(t)を取得する。つまり、広帯域受信波関数G1(t)〜G6(t)に対して時系列波抽出関数TGCj(t)をn回積算することにより、広帯域受信波関数G1(t)〜G6(t)のうち起生時刻thj近傍の成分のみが残り、反射波成分Ajである反射波関数GA1(t)〜GA6(t)が抽出されたことになる。なお、図5右側に示す反射波関数GA1(t)〜GA6(t)は、上記式(1)中のnの値を420として得たものである。
図6は、第1周波数フィルター関数X1(f)および第2周波数フィルター関数X2(f)を示す図である。図7は、検量線スペクトル群および対象スペクトルを比較可能な状態で示した図である。
検量線スペクトル取得工程では、反射波抽出工程にて取得した反射波関数GAj(t)に基づいて反射波スペクトルFAj(f)を取得し、この反射波スペクトルFAj(f)からそれぞれのモデル構造物における空隙に対応した検量線スペクトルFBj(f)を取得する。
第1周波数フィルター関数X1(f)は、0≦周波数f≦fmaxにおいてsin((π/2)×(f/fmax))で表される三角関数と、周波数f>fmaxにおいて0となる関数とからなる(fmax=2fDj)。
第2周波数フィルター関数X2(f)は、0≦周波数f≦fmaxにおいてcos((π/2)×(f/fmax))で表される三角関数と、周波数f>fmaxにおいて0となる関数からなる(fmax=2fDj)。
このようなfD値は、発信部2および受信部3の位置、煉瓦材質、煉瓦形状、煉瓦サイズ、検査対象の耐火物煉瓦の全体の煉瓦層における位置などの諸条件の組み合わせに応じて異なってくる。そして、このfD値を中心にして上記式(3)に基づいて検量線スペクトルFBj(f)を抽出することにより、探知目標からの反射波を特定することが可能となる。
検量線スペクトル群取得工程では、制御装置4は、それぞれのモデル構造物における空隙に対応した検量線スペクトルFB1(f)〜FB6(f)をそれぞれ重ね合わせた検量線スペクトル群FBを取得する。
このため、検量線スペクトル群FBは、煉瓦間の空隙厚さΔwとスペクトル形状との関係を表すものとなり、検査対象となる空隙Aの後述する対象スペクトルFBj(f)との比較により、当該空隙Aの厚さΔwが測定可能となる。
特に、空隙の厚さΔwが0〜3.0mmの範囲で、検量線スペクトルFB1(f)〜FB5(f)の形状に明確な差が生じているので、検査対象となる空隙Aの厚さΔwがこの範囲にある場合、高い精度で当該空隙Aの厚さΔwが測定可能となる。したがって、空隙の厚さΔwが0〜3.0mmの範囲で多数種のモデル構造物を準備しておけば、より精密に煉瓦間空隙の厚さΔwを測定することが可能となる。なお、空隙の厚さΔwが3.0mmよりも大きくなると、スペクトル形状に大差がなくなり、検査対象となる空隙Aの厚さΔwを測定し得ない。
以上にて前工程が完了する。
実測工程では、受発信部設置工程と、受発信工程と、反射波抽出工程と、対象スペクトル取得工程と、比較工程とを順に実施する。
なお、上述したように、この実測工程における受発信工程、反射波抽出工程、対象スペクトル取得工程および比較工程については、制御装置4にて実施される。また、この実測工程における受発信部設置工程、受発信工程、反射波抽出工程および対象スペクトル取得工程は、上述した前工程における受発信部設置工程、受発信工程、反射波抽出工程および検量線スペクトル取得工程のそれぞれと同様の構成であるため、説明を簡略化する。
受発信工程では、制御装置4は、発信部2より縦積煉瓦152の上面から検査対象となる空隙Aへ向けて超音波W1(図2参照)を発信させ、この超音波W1に対応する受信波W2(図2参照)を受信部3にて受信させる。
反射波抽出工程では、当該受信波W2より、縦積煉瓦152における検査対象となる空隙Aとの対向面(図2下面)からの反射波成分Ajを抽出する。
対象スペクトル取得工程では、当該反射波成分Ajである反射波関数GAj(t)に基づいて反射波スペクトルFAj(f)を取得し、この反射波スペクトルFAj(f)より、検査対象となる空隙Aに対応した図7に示すような対象スペクトルFBj(f)を取得する。
比較工程では、検量線スペクトル群FBと対象スペクトルFBj(f)とを比較することにより、検査対象となる空隙Aの厚さΔwを計測する。
具体的には、制御装置4は、図7に示すように、対象スペクトルFBj(f)を検量線スペクトル群FB上に重ね合わせて表示装置41に表示させ、検量線スペクトル群FBと対象スペクトルFBj(f)とを比較可能な状態にする。そして、利用者は、表示装置41に表示された検量線スペクトル群FBと対象スペクトルFBj(f)とを比較して、複数の検量線スペクトルFB1(f)〜FB6(f)のうち、対象スペクトルFBj(f)と波形が最も近似する検量線スペクトルに基づいて、検査対象となる空隙Aの厚さΔwを計測する。
これにより、高炉100における複数の縦積煉瓦152のそれぞれの下面に存在する空隙Aの有無を確認するだけでなく、さらに当該空隙Aの厚さΔwを測定することが可能となる。
次に、第1実施形態の効果を確認するための実施例について、図面に基づいて説明する。図8は、本実施例にて使用したモデル構造物を模式的に示したもので、(A)は側面図であり、(B)は平面図である。なお、図8では、空隙検査装置1のうち発信部2および受信部3のみを示し、その他の構成要素は図示省略している。
本実施例において使用した空隙検査装置およびモデル構造物について説明する。
空隙検査装置には、株式会社エッチアンドビーシステム社製のUCM2000を使用する。当該装置は図2に示す空隙検査装置1と同様の構成となっている。この装置における発信部2および受信部3(図8参照)は、それぞれ直径70mmの略円柱状に形成された探触子であり、それぞれ2.5〜625kHzの広帯域の超音波を発信・受信可能である。
各炉敷煉瓦151Aは、熱伝導率が30kW/mのカーボン煉瓦であり、厚さ140mm、縦寸法600mm、横寸法1200mmの長方形板状に形成されている。これら4枚の炉敷煉瓦151Aは、図8(B)に示す状態で並列させて、それぞれの対向する端部同士にて十字状の目地151Bが形成されている。
縦積煉瓦152A〜152Cは、熱伝導率が30kW/mのカーボン煉瓦であり、それぞれ高さ1600mm、縦幅寸法600mm、横幅寸法750mmの四角柱状に形成されている。これら縦積煉瓦152A〜152Cは、複数の炉敷煉瓦151Aの上に縦置きされ、それぞれの下端面の中心が目地151Bの長手部分に沿っている。それぞれの縦積煉瓦152A〜152Cの下端面と、炉敷煉瓦151Aの上面との間にはモルタル156が塗布されている。
図8に示すモデル構造物150Aにおいて、縦積煉瓦152A〜152Cおよび炉敷煉瓦151A間の空隙厚さΔwの探知を行う上で、炉敷煉瓦151Aの目地151Bによる測定結果への影響の有無を検討した。
測定は、空隙厚さΔw=0mmの縦積煉瓦152Aおよび炉敷煉瓦151A間界面と、空隙厚さΔw=0.5mmの縦積煉瓦152Bおよび炉敷煉瓦151A間の空隙Aに対して行った。発信部2および受信部3は、縦積煉瓦152A,152Bのそれぞれの上面に4対ずつ配置し、図8(B)に示すように該上面の中心から放射状に広がる状態に設けている。そして、測定は、縦積煉瓦152A,152B上面の中心点を間に挟んで対向する発信部2および受信部3間にて、すなわち、図8(B)中破線I〜IVに示す4つの測定位置における発信部2および受信部3間にて行った。なお、当該対向する発信部2および受信部3の中心間距離dは、それぞれ150mmとした。図9に、空隙厚さΔw=0mmの場合(j=1)における受信部が検知した各受信波を示し、図10に、空隙厚さΔw=0.5mmの場合(j=2)における受信部が検知した各受信波を示す。
また、図9では、測定位置I〜IVにおいて、それぞれの受信波の波形には殆ど差異が見受けられない。これより、縦積煉瓦−炉敷煉瓦間の空隙厚さΔw=0mmの場合、目地151Bからの影響は受けないことが分かった。
また、図10では、測定位置I〜IVにおいて、それぞれの受信波の波形には殆ど差異が見受けられない。したがって、縦積煉瓦−炉敷煉瓦間の空隙厚さΔw=0.5mmの場合も、目地151Bからの影響は受けないことが分かった。
次に、縦積煉瓦下空隙の有無の検知に及ぼす、発信部2および受信部3の中心間距離dの影響について、図11に示すモデル構造物150Aを用いて検討した。図11は、本実施例にて使用したモデル構造物を模式的に示した平面図であり、(A)は発信部および受信部を縦積煉瓦上面の長手辺と平行する状態に設置した場合を示し、(B)は発信部および受信部を縦積煉瓦上面の対角線上に設置した場合を示す。なお、図11に示すモデル構造物150Aは、図8に示すモデル構造物150Aと同様であり、発信部および受信部の配置のみが異なるものである。
つまり、縦積煉瓦下空隙の有無の探知では、発信部2および受信部3の中心間距離dを小さくしていくにしたがって良好な結果が得られ、特に発信部2および受信部3の中心間距離dを125mm程度とすることが好ましいことが分かった。
次に、縦積煉瓦下の空隙厚さΔwの探知に及ぼす、発信部2および受信部3の中心間距離dの影響について検討した。
一方、距離dが375mmよりも小さい場合(実施例2−1〜2−3)、および、距離dが500mmよりも大きい場合(実施例2−6〜2−8)は、生成した検量線スペクトルFB1(f)〜FB6(f)において、空隙厚さΔwの変化に伴ってスペクトル形状が明確に変化しておらず、検量可能なレベルに達していなかった。特に、距離d=700,800mmの場合(実施例2−7,2−8)は、発信部2および受信部3の双方ともに縦積煉瓦側面に近くなるため、側面からの妨害波が大きくなり良好な結果を得ることができなかったものと考えられる。
これより、発信部2および受信部3の中心間距離dが375〜500mmであれば、縦積煉瓦下空隙の厚さΔwを良好に計測でき、特に距離dが500mm前後であれば、より好適に縦積煉瓦下空隙の厚さΔwを計測できることが分かった。
上述したように、第1実施形態に係る耐火物煉瓦間の空隙検査方法では、以下の効果を奏することができる。
これにより、縦積煉瓦152の上面に発信部2および受信部3を設置して、検査対象となる空隙Aに対応する対象スペクトルFBj(f)を取得するので、非破壊にて耐火物煉瓦間の空隙検査を実施することができる。
そして、各検量線スペクトルFB1(f)〜FB6(f)の形状は煉瓦間の空隙厚さΔwの変化に対応して様々に変化するので、煉瓦間の空隙厚さΔwとスペクトル形状との関係を表す検量線スペクトル群FBを得ることができる。したがって、予め前工程にて取得した検量線スペクトル群FBと、実測工程にて取得した対象スペクトルFBj(f)とを比較することにより、検査対象となる空隙Aの厚さΔwを計測することができる。
これにより、例えば、高炉100の補修に際して、縦積煉瓦152下の空隙の厚さを非破壊で計測できるので、補修作業が効率化され、高炉100の補修時間を短縮化できる。結果として、高炉100の稼動停止期間を短縮できるという効果を得ることができる。
このように、広帯域受信波関数Gj(t)に対して時系列波抽出関数TGCj(t)をn回積算することにより、広帯域受信波関数Gj(t)のうち起生時刻thj近傍の成分のみを残すことができる。したがって、制御装置4による演算処理にて、反射波成分Ajである反射波関数GAj(t)を簡易に取得できる。このため、演算処理速度を高速化できるので、一連の実測工程を短時間で実施でき、結果として、高炉100の補修時間を短縮化できる。
このため、制御装置4は、一方のモデル煉瓦あるいは縦積煉瓦152における上面から下面までの距離hと、発信部2および受信部3の中心間距離dと、一方のモデル煉瓦あるいは縦積煉瓦152中における超音波の速度vとを上記式(2)に代入するだけで、反射波成分Ajの起生時刻thjを簡易に取得できる。このため、演算処理速度を高速化できるので、一連の実測工程を短時間で実施でき、結果として、高炉100の補修時間を短縮化できる。
このように、制御装置4は、反射波スペクトルFAjに対して、第1周波数フィルター関数X1(f)をn1回積算し、かつ、第2周波数フィルター関数X2(f)をn2回積算するだけで、fD値を中心とする狭帯域成分波である検量線スペクトルFBj(f)を容易に抽出することできる。このため、一方のモデル煉瓦あるいは縦積煉瓦152における空隙との対向面からの反射波成分Ajや、他方のモデル煉瓦あるいは炉敷煉瓦151における空隙との対向面からの反射波成分を容易に特定することができる。したがって、演算処理速度を高速化できるので、一連の実測工程を短時間で実施でき、結果として、高炉100の補修時間を短縮化できる。
これにより、一方のモデル煉瓦あるいは縦積煉瓦152における空隙との対向面からの反射波成分Ajや、他方のモデル煉瓦あるいは炉敷煉瓦151における空隙との対向面からの反射波成分などを明確化することができる。また、受信波W2におけるその他のノイズ成分を平準化することができる。したがって、煉瓦間空隙の厚さ測定を高精度で実施することができる。
高熱伝導率のカーボン煉瓦を冷却層130にて高効率で冷却するには、煉瓦間の空隙を1mm以下に抑える必要がある。この点、検量線スペクトル群FBでは、空隙の厚さΔwが0〜3.0mmの範囲にて各スペクトル形状が明確に異なるため、空隙の厚さΔwが0〜1.0mmの範囲で厳密に検査対象となる空隙Aの厚さΔwを測定できる。これにより、高炉100の補修に際して、確実に計測したい煉瓦間空隙の厚さを高精度で計測できる。また、カーボン煉瓦は低気孔率かつ均質な煉瓦であるので、受信部3にて検知された受信波に煉瓦内部の気孔などにより発生するノイズが少なく、測定を良好に実施できる。
したがって、本実施形態によれば、高炉100の補修に際して、煉瓦間空隙の検査を効率良く実施でき、補修作業が効率化され、高炉100の補修時間を短縮化できる。結果として、高炉100の稼動停止期間を短縮できるという効果を得ることができる。
ここで、リフトアップ工法により高炉100の補修作業を行う場合など、炉床部160が含まれたブロックを移動する際に炉敷煉瓦151と縦積煉瓦152との間に空隙が形成され、当該空隙の検査を要する場合がある。
この点、本実施形態によれば、炉敷煉瓦151および縦積煉瓦152間の空隙Aを、非破壊にて高精度で検査できるので、設置した煉瓦を傷つけることなく、補修する必要のある煉瓦のみを選別できる。また、縦積煉瓦152の下面側に設置された炉敷煉瓦151の目地が検査結果に影響を及ぼすこともないので、炉敷煉瓦151の目地位置を考慮することなく、縦積煉瓦152上の任意の位置に発信部2および受信部3を設置して空隙検査を行うことができる。
したがって、上記のようにして空隙検査を実施して、この検査結果を踏まえて煉瓦間空隙を補修すれば、効率良く補修作業を行うことができ。結果として、冷却層130にて炉敷煉瓦151、縦積煉瓦152、中埋煉瓦153を効率良く冷却できるようになるので、高炉100の高寿命化を図ることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本発明の第2実施形態は、スペクトル面積と空隙の厚さとの関係を表す検量線を利用して煉瓦間空隙の厚さを計測するものであり、この点において、検量線スペクトル群FBを利用して煉瓦間空隙の厚さを計測する第1実施形態と異なる。このため、以下において、前記第1実施形態と同様の構成については説明を適宜省略する。
第2実施形態における空隙検査装置1は、図2に示す第1実施形態における空隙検査装置1と、制御装置4を除いて、同様の構成となっている。
制御装置4は、後述する前工程における、受発信工程と、反射波抽出工程と、スペクトル面積取得工程と、検量線取得工程とを実施する。また、制御装置4は、後述する実測工程における、受発信工程と、反射波抽出工程と、スペクトル面積取得工程と、比較工程とを実施する。
なお、本実施形態における空隙検査装置1を使用する高炉100の状態としては、上記した第1実施形態と同様に、図2に示すものが例示できる。
次に、本実施形態に係る耐火物煉瓦間の空隙検査方法、すなわち、上記した空隙検査装置1を用いて、高炉100における炉敷煉瓦151と縦積煉瓦152との間の空隙Aを検査する方法について、図面に基づいて説明する。
本実施形態に係る耐火物煉瓦間の空隙検査方法は、大きく分けて、予め炉敷煉瓦151と縦積煉瓦152とを模したモデル構造物を用いて検量線Sを取得しておく前工程と、高炉100における炉敷煉瓦151と縦積煉瓦152との間の空隙Aを検査する実測工程とを備えて構成される。
前工程では、モデル構造物準備工程と、受発信部設置工程と、受発信工程と、反射波抽出工程と、スペクトル面積取得工程と、検量線取得工程とを順に実施する。
なお、上述したように、この前工程における受発信工程、反射波抽出工程、スペクトル面積取得工程および検量線取得工程については、制御装置4にて実施される。また、この前工程におけるモデル構造物準備工程、受発信部設置工程および受発信工程については、上記した第1実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
反射波抽出工程では、受発信工程にて受信部3が受信した受信波W2より、それぞれのモデル構造物における一方のモデル煉瓦の空隙との対向面、すなわち、それぞれのモデル構造物における縦積煉瓦152に対応するモデル煉瓦の下面(図2中下面)からの反射波成分Ajを抽出する。
そして、制御装置4は、広帯域受信波スペクトルFj(f)を上記式(4)に基づいて変換して、変換広帯域受信波関数G’j(t)を取得する。この変換広帯域受信波関数G’j(t)は、広帯域受信波スペクトルFj(f)におけるスペクトル値を、全周波数帯域に亘って1.0の一定値に置き換えたものである。このようにすることで、厚さΔwが異なる複数種のモデル構造物において、後工程であるスペクトル面積取得工程にて取得される反射波スペクトルFA’j(f)のスペクトル値の最大値を1.0に統一することが可能となる。これにより、反射波スペクトルFA’j(f)に基づいて得られたスペクトル面積Sjを比較可能な状態とすることが可能となる。
また、制御装置4は、上記した第1実施形態と同様に、起生時刻thjに基づいて、時系列波抽出関数TGCj(t)を取得する。この時系列波抽出関数TGCj(t)は、0≦時間t≦2thjにおいて、時間t=0,2thjで0かつ時間t=thjで1となる三角関数と、時間t>2thjにおいて0となる関数とからなる。
スペクトル面積取得工程では、反射波抽出工程にて取得した反射波成分Ajである反射波関数GA’j(t)より、上記式(6)に基づいて反射波スペクトルFA’j(f)を取得する。そして、それぞれのモデル構造物における空隙に対応した、当該反射波スペクトルFA’j(f)における周波数0から所定の周波数fBまでのスペクトル値の総和であるスペクトル面積Sjを取得する。
検量線取得工程では、それぞれのモデル構造物における空隙の厚さΔwと、これに対応するスペクトル面積S1〜S6との関係を示す図14のような検量線Sを取得する。
このため、図14に示す検量線Sは、煉瓦間の空隙厚さΔwとスペクトル面積との関係を表すものとなり、後述する検査対象となる空隙Aのスペクトル面積Sjとの比較により、当該空隙Aの厚さΔwが測定可能となる。
特に、図14に示すように、スペクトル面積S1〜S5はそれぞれの値が明確に異なるため、空隙の厚さΔwが0〜3.0mmの範囲で検査対象となる空隙Aの厚さΔwを良好に測定可能であることが分かる。さらに、スペクトル面積S1〜S3ではそれぞれの値がより明確に異なるため、空隙の厚さΔwが0〜1.0mmの範囲ではより厳密に検査対象となる空隙の厚さΔwを測定可能であることが分かる。一方、空隙の厚さΔwが3.0mmよりも大きくなると(スペクトル面積S5〜S7)、それぞれの値が同程度となり、検査対象となる空隙の厚さΔwを測定し得ないことが分かる。
実測工程では、受発信部設置工程と、受発信工程と、反射波抽出工程と、スペクトル面積取得工程と、比較工程とを順に実施する。
なお、上述したように、この実測工程における受発信工程、反射波抽出工程、スペクトル面積取得工程および比較工程については、制御装置4にて実施される。また、この実測工程における受発信部設置工程、受発信工程、反射波抽出工程およびスペクトル面積取得工程は、上述した前工程における受発信部設置工程、受発信工程、反射波抽出工程およびスペクトル面積取得工程のそれぞれと同様の構成であるため、説明を簡略化する。
受発信工程では、制御装置4は、発信部2より縦積煉瓦152の上面から検査対象となる空隙Aへ向けて超音波W1(図2参照)を発信させ、この超音波W1に対応する受信波W2(図2参照)を受信部3にて受信させる。
反射波抽出工程では、受発信工程にて受信した受信波W2より、縦積煉瓦152における検査対象となる空隙Aとの対向面(図2下面)からの反射波成分Ajを抽出する。
スペクトル面積取得工程では、当該反射波成分Ajに基づいて反射波スペクトルFA’j(f)を取得し、検査対象となる空隙Aに対応した、当該反射波スペクトルFA’j(f)における周波数0から所定の周波数fBまでのスペクトル値の総和であるスペクトル面積Sjを取得する。
比較工程では、検量線Sと、検査対象となる空隙Aに対応するスペクトル面積Sjとを比較することにより、検査対象となる空隙Aの厚さΔwを計測する。
具体的には、制御装置4は、図14に示すように、検査対象となる空隙Aに対応するスペクトル面積Sjを取得すると、当該スペクトル面積Sjと同値となるスペクトル面積値を検量線Sより検出し、当該スペクトル面積Sjに対応する空隙の厚さΔwを検量線Sより検出する。これにより、検査対象となる空隙Aの厚さΔwが制御装置4にて自動的に計測される。
上述したように、第2実施形態に係る耐火物煉瓦間の空隙検査方法では、上記第1実施形態の奏する上記(1-7-5)〜(1-7-8)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
これにより、縦積煉瓦152の上面に発信部2および受信部3を設置して、検査対象となる空隙Aに対応するスペクトル面積Sjを取得するので、非破壊にて耐火物煉瓦間の空隙検査を実施することができる。
そして、各スペクトル面積S1〜S7の値は、煉瓦間の空隙厚さΔwの増加に伴って徐々に増加するので、煉瓦間の空隙厚さΔwとスペクトル面積との関係を表す検量線Sを得ることができる。したがって、予め前工程にて取得した検量線Sと、実測工程にて取得したスペクトル面積Sjとを比較することにより、検査対象となる空隙Aの厚さΔwを計測することができる。また、このような検量線Sを利用することで、制御装置4による演算処理にて自動的に検査対象となる空隙Aの厚さΔwを検出可能となるので、作業者の作業負担を軽減できると共に作業効率を向上できる。さらに、周波数fBを適宜調整することで、測定条件に応じて最適なスペクトル面積Sjを取得することができる。
これにより、例えば、高炉100の補修に際して、縦積煉瓦152下の空隙の厚さを非破壊で計測できるので、補修作業が効率化され、高炉100の補修時間を短縮化できる。結果として、高炉100の稼動停止期間を短縮できるという効果を得ることができる。
このように、広帯域受信波スペクトルF’j(f)を上記式(4)に基づいて変換して変換広帯域受信波関数G’j(t)を取得することにより、反射波スペクトルFA’j(f)のスペクトル値の最大値は、厚さΔwが異なる複数種のモデル構造物、および、検査対象となる空隙Aと対向する縦積煉瓦152の全てにおいて、1.0に統一された状態とすることができる。これにより、反射波スペクトルFA’j(f)に基づいて得られたスペクトル面積Sjを比較可能な状態とすることができる。すなわち、検査対象となる空隙Aの厚さΔwを相対的に評価することができる。
また、上記式(5)に基づいて、変換広帯域受信波関数G’j(t)に対して時系列波抽出関数TGCj(t)をn回積算することにより、変換広帯域受信波関数G’j(t)のうち起生時刻thj近傍の成分のみを残すことができる。したがって、制御装置4による演算処理にて、反射波成分Ajである反射波関数GA’j(t)を簡易に取得できる。このため、演算処理速度を高速化できるので、一連の実測工程を短時間で実施でき、結果として、高炉100の補修時間を短縮化できる。
このため、制御装置4は、一方のモデル煉瓦あるいは縦積煉瓦152における上面から下面までの距離hと、発信部2および受信部3の中心間距離dと、一方のモデル煉瓦あるいは縦積煉瓦152中における超音波の速度vとを上記式(7)に代入するだけで、反射波成分Ajの起生時刻thjを簡易に取得できる。このため、演算処理速度を高速化できるので、一連の実測工程を短時間で実施でき、結果として、高炉100の補修時間を短縮化できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
すなわち、例えば、前記第2実施形態の一変形例として、変換広帯域受信波関数G’j(t)を取得せずに、広帯域受信波関数Gj(t)のまま図5に示す反射波スペクトルFAj(f)を取得し、反射波スペクトルFAj(f)よりスペクトル面積を取得する構成としてもよい。
この場合でも、上記第2実施形態と同様に、煉瓦間の空隙の厚さΔwを非破壊にて検査できる。すなわち、図5に示す反射波スペクトルFA1(f)〜FA6(f)のそれぞれのスペクトル値を、周波数f=0〜fB(fBは任意の値)の範囲で積分して、それぞれの空隙の厚さΔwに対応するスペクトル面積を取得して、スペクトル面積と空隙の厚さΔwとの関係を示す検量線を取得することができる。そして、当該検量線と対象スペクトルFBj(f)のスペクトル面積とを比較することにより、検査対象となる空隙Aの厚さΔwを計測することができる。
3…受信部
100…高炉
130…冷却層
150…煉瓦層
151…炉敷煉瓦
152…縦積煉瓦
150A…モデル構造物
151A…炉敷煉瓦(モデル煉瓦)
152A−152C…縦積煉瓦(モデル煉瓦)
160…炉床部
A…煉瓦間空隙
W1…超音波
W2…受信波
Δw…煉瓦間空隙の厚さ
GI(t)…広帯域入力波関数
FI(f)…広帯域入力波スペクトル
Gj(t)、G1(t)−G6(t)…広帯域受信波関数
Fj(f)、F1(f)−F6(f)…広帯域受信波スペクトル
GAj(t)、GA1(t)−GA6(t)…反射波関数
FAj(f)、FA1(f)−FA6(f)…反射波スペクトル
X1(f)…第1周波数フィルター関数
X2(f)…第2周波数フィルター関数
FBj(f)、FB1(f)−FB6(f)…検量線スペクトル、対象スペクトル
FB…検量線スペクトル群
GA’j(t)、GA’1(t)−GA’6(t)…反射波関数
FA’j(f)、FA’1(f)−FA’6(f)…反射波スペクトル
Sj、S1-S7…スペクトル面積
S…検量線
d…発信部と受信部との間の距離
thj、th1-th6…反射波成分の起生時刻
Claims (5)
- 複数の耐火物煉瓦を組み合わせて構成された煉瓦層にて内面が覆われた耐熱容器において、所定の耐火物煉瓦間の空隙を超音波にて検査する方法であって、
予め、検査対象となる空隙を間に挟んで隣接する一対の耐火物煉瓦と同材質かつ同形状の一対のモデル煉瓦を用い、これらモデル煉瓦を当該一対の耐火物煉瓦と同様に配列させ、さらに当該モデル煉瓦間の空隙の厚さが異なる複数種のモデル構造物を準備しておくモデル構造物準備工程、
このモデル構造物準備工程後に実施され、それぞれの前記モデル構造物における前記一対のモデル煉瓦のうち一方のモデル煉瓦の露出面に、広帯域の超音波を発信可能な発信部、および、広帯域の受信波を受信可能な受信部を設置する受発信部設置工程、
この受発信部設置工程後に実施され、それぞれの前記モデル構造物において、前記発信部より前記露出面から前記空隙へ向けて前記超音波を発信し、この超音波に対応する受信波を前記受信部にて受信する受発信工程、
この受発信工程後に実施され、当該受信波より、それぞれの前記モデル構造物における前記一方のモデル煉瓦の前記空隙との対向面からの反射波成分を抽出する反射波抽出工程、
この反射波抽出工程後に実施され、当該反射波成分に基づいて反射波スペクトルを取得し、この反射波スペクトルよりそれぞれの前記モデル構造物における前記空隙に対応した検量線スペクトルを取得する検量線スペクトル取得工程、および、
この検量線スペクトル取得工程後に実施され、それぞれの前記モデル構造物における前記空隙に対応した前記検量線スペクトルをそれぞれ重ね合わせた検量線スペクトル群を取得する検量線スペクトル群取得工程、を含んだ前工程と、
前記一対の耐火物煉瓦のうち一方の耐火物煉瓦の露出面に、前記発信部および前記受信部を、前記前工程における前記受発信部設置工程と同様の配置で設置する受発信部設置工程、
この受発信部設置工程後に実施され、前記発信部より前記露出面から前記検査対象となる空隙へ向けて超音波を発信し、この超音波に対応する受信波を前記受信部にて受信する受発信工程、
この受発信工程後に実施され、当該受信波より、前記一方の耐火物煉瓦における前記検査対象となる空隙との対向面からの反射波成分を抽出する反射波抽出工程、
この反射波抽出工程後に実施され、当該反射波成分に基づいて反射波スペクトルを取得し、この反射波スペクトルより前記検査対象となる空隙に対応した対象スペクトルを取得する対象スペクトル取得工程、および、
この対象スペクトル取得工程後に実施され、前記検量線スペクトル群と前記対象スペクトルとを比較することにより、前記検査対象となる空隙の厚さを計測する比較工程、を含んだ実測工程と、を備えて構成され、
前記前工程および前記実測工程のそれぞれにおける前記反射波抽出工程では、
前記受信部にて受信した受信波である広帯域受信波関数Gj(t)を取得し、
前記一方のモデル煉瓦あるいは前記一方の耐火物煉瓦における前記空隙との対向面からの反射波成分の起生時刻thjを取得し、
0≦時間t≦2thjにおいて、時間t=0,2thjで0かつ時間t=thjで1となる三角関数と、時間t>2thjにおいて0となる関数とからなる時系列波抽出関数TGCj(t)を取得し、
下記式(1)に基づいて、前記一方のモデル煉瓦あるいは前記一方の耐火物煉瓦における前記空隙との対向面からの反射波成分に対応する反射波関数GAj(t)を取得する
ことを特徴とする耐火物煉瓦間の空隙検査方法。
- 請求項1に記載の耐火物煉瓦間の空隙検査方法において、
前記前工程および前記実測工程のそれぞれにおける前記反射波抽出工程では、
前記一方のモデル煉瓦あるいは前記一方の耐火物煉瓦における前記空隙との対向面からの反射波成分の起生時刻thjは、下記式(2)に基づいて算出することを特徴とする耐火物煉瓦間の空隙検査方法
- 請求項1または2に記載の耐火物煉瓦間の空隙検査方法において、
前記前工程における前記検量線スペクトル取得工程、および、前記実測工程における前記対象スペクトル取得工程では、
前記反射波抽出工程にて抽出した前記反射波成分に基づいて反射波スペクトルFAj(f)を取得し、
この反射波スペクトルFAj(f)より、スペクトル値が最大となる周波数であるfD値を取得し、
0≦周波数f≦2fDにおいて、周波数f=0で0かつ周波数f=2fDで1となる三角関数、および、周波数f>2fDにおいて0となる関数からなる第1周波数フィルター関数X1(f)と、0≦周波数f≦2fDにおいて、周波数f=0で1、周波数f=fDで第1周波数フィルター関数X1(f)と交わり、かつ周波数f=2fDで0となる三角関数、および、周波数f>2fDにおいて0となる関数からなる第2周波数フィルター関数X2(f)とを取得し、
下記式(3)に基づいて、検量線スペクトルFBj(f)あるいは対象スペクトルFBj(f)を取得する
ことを特徴とする耐火物煉瓦間の空隙検査方法。
- 複数の耐火物煉瓦を組み合わせて構成された煉瓦層にて内面が覆われた耐熱容器において、所定の耐火物煉瓦間の空隙を超音波にて検査する方法であって、
予め、検査対象となる空隙を間に挟んで隣接する一対の耐火物煉瓦と同材質かつ同形状の一対のモデル煉瓦を用い、これらモデル煉瓦を当該一対の耐火物煉瓦と同様に配列させ、さらに当該モデル煉瓦間の空隙の厚さが異なる複数種のモデル構造物を準備しておくモデル構造物準備工程、
このモデル構造物準備工程後に実施され、それぞれの前記モデル構造物における前記一対のモデル煉瓦のうち一方のモデル煉瓦の露出面に、広帯域の超音波を発信可能な発信部、および、広帯域の受信波を受信可能な受信部を設置する受発信部設置工程、
この受発信部設置工程後に実施され、それぞれの前記モデル構造物において、前記発信部より前記露出面から前記空隙へ向けて前記超音波を発信し、この超音波に対応する受信波を前記受信部にて受信する受発信工程、
この受発信工程後に実施され、当該受信波より、それぞれの前記モデル構造物における前記一方のモデル煉瓦の前記空隙との対向面からの反射波成分を抽出する反射波抽出工程、
この反射波抽出工程後に実施され、当該反射波成分に基づいて反射波スペクトルを取得し、それぞれの前記モデル構造物における前記空隙に対応した、当該反射波スペクトルにおける周波数0から所定の周波数fBまでのスペクトル値の総和であるスペクトル面積を取得するスペクトル面積取得工程、および、
このスペクトル面積取得工程後に実施され、それぞれの前記モデル構造物における前記空隙の厚さと、これに対応する前記スペクトル面積との関係を示す検量線を取得する検量線取得工程、を含んだ前工程と、
前記一対の耐火物煉瓦のうち一方の耐火物煉瓦の露出面に、前記発信部および前記受信部を、前記前工程における前記受発信部設置工程と同様の配置で設置する受発信部設置工程、
この受発信部設置工程後に実施され、前記発信部より前記露出面から前記検査対象となる空隙へ向けて前記超音波を発信し、この超音波に対応する受信波を前記受信部にて受信する受発信工程、
この受発信工程後に実施され、当該受信波より、前記一方の耐火物煉瓦における前記検査対象となる空隙との対向面からの反射波成分を抽出する反射波抽出工程、
この反射波抽出工程後に実施され、当該反射波成分に基づいて反射波スペクトルを取得し、前記検査対象となる空隙に対応した、当該反射波スペクトルにおける周波数0から前記所定の周波数fBまでのスペクトル値の総和であるスペクトル面積を取得するスペクトル面積取得工程、および、
このスペクトル面積取得工程後に実施され、前記検量線と、前記検査対象となる空隙に対応する前記スペクトル面積とを比較することにより、前記検査対象となる空隙の厚さを計測する比較工程、を含んだ実測工程と、を備えて構成される
ことを特徴とする耐火物煉瓦間の空隙検査方法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の耐火物煉瓦間の空隙検査方法において、
前記前工程および前記実測工程のそれぞれにおける前記受発信工程では、
前記発信部にて任意の時間差で複数回超音波を発信し、各発信毎に前記超音波に対応する受信波を前記受信部にて受信し、
前記前工程および前記実測工程のそれぞれにおける前記反射波抽出工程では、
前記受信部にて受信した複数回分の受信波を加算平均して、この加算平均した受信波より、前記一方のモデル煉瓦あるいは前記一方の耐火物煉瓦における前記空隙との対向面から反射波成分を抽出する
ことを特徴とする耐火物煉瓦間の空隙検査方法。
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