JP4738700B2 - カチオン性多糖類及びケイ酸塩を包含する吸収製品 - Google Patents
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Description
(技術分野)
本発明は、シリカとともにカチオン性多糖類、好ましくはキトサン材料を包含する、使い捨て吸収製品などの製品に関する。
【0002】
(発明の背景)
悪臭は多数の生物及び無生物を発生源として環境中に存在する。こうした臭気の感知を避ける又は最小限にするための多数の製品及び物品が入手可能である。特に、人体によって発生する、又は発汗、尿、糞便、経血、おりものなどの体液から発生する悪臭を対象とした臭気抑制材料の提供が望まれている。
例えば、吸収製品などの物品は、尿、経血及び発汗などの体液を吸収するために人間が着用するように設計されている。吸収製品の例としては、生理用ナプキン、パンティライナ、使い捨ておむつ、失禁パッド、タンポン、発汗パッド、胸当てなどが挙げられる。
使用中、吸収製品は、例えば揮発性脂肪酸(イソ吉草酸など)、アンモニア、アミン(トリエチルアミンなど)、硫黄含有化合物(メルカプタン類、硫化物など)、アルコール、ケトン及びアルデヒド(フルアルデヒドなど)など、不快な臭気を発する様々な化合物を捕捉することが知られている。これらの化合物は体液中に存在することもあれば、体液がいったん婦人用パッドなどの吸収製品に吸収されてから、化学反応及び/又は液体分解作用によって発生することもある。また、体液は通常、腐敗性分解、酸分解、タンパク質分解、脂質分解などの分解作用によって、悪臭を発する副産物を生成することができる微生物及び/又は酵素を含む。使用中に吸収パッドが発する不快な臭気は、着用者に恥ずかしい思いをさせることがある。
【0003】
当該技術分野において、上記の不快臭のいくつかを抑制する様々な悪臭抑制材料が開示されてきた。事実、マスキング即ち香料で悪臭を隠したり、体液に既に存在する臭気や分解後に発生する臭気を吸収したり、臭気の生成を防止したりする種々な技術的アプローチを用いた解決法が提供されてきた。
先行技術が注目したもののほとんどは、臭気吸収技術に認められる。この種の化合物の例には、活性炭、粘土、ゼオライト、シリカ、デンプン、シクロデキストリン、イオン交換樹脂及びこれらの様々な混合物が挙げられ、例えば欧州特許第A−348,978号、欧州特許第A−510,619号、WO91/12029号、WO91/11977号、WO89/02698号及び/又はWO91/12030号に記載がある。これらの臭気抑制剤の全ては、悪臭化合物及びその前駆体を物理的に抑制剤に吸収し、それによって吸収製品などの製品から臭気が出るのを妨げるという作用によって、臭気を抑制すると考えられている。しかし、こうした作用は臭気そのものの生成を防止するものでなく、臭気の感知をすべて防ぐわけではないので、完全に有効なわけではない。従来技術が注目したもののいくつかは、抗菌剤の使用に関するものであり、このなかにはキトサン及びキチンを基材とする材料が挙げられる。例えば、WO99/32697号は、キトサン及びキチンを基材とするポリマーが、ポリプロピレンのような疎水性素材の表面にコーティングされた場合、高い抗菌作用を示すことを開示している。
【0004】
これらの材料がある程度体液に起因する臭気を抑制するとしても、広範囲にわたる悪臭化合物に対する臭気抑制の点では更なる改善が求められている。
WO99/61079号が示すように、この方向性の研究が現在進行中である。例えば、WO99/61079号は、使い捨ておむつ、トレーニング用パンツ、生理用ナプキン及びタンポンなどの製品において、トリグリセリド及びポリグリコシドを用いて、キトサン又はアルギン酸塩などの天然ポリマー及び界面活性剤で処理した合成ポリマーなどの組成物及び基材の悪臭吸収特性を強めるための臭気減少方法を開示している。
しかし、使い捨て吸収製品などの製品の第一目標である流体の吸収及び保持力に加えて、臭気抑制力を上げるための解決策が依然として求められている。
従って、広範囲にわたる悪臭に対して優れた臭気抑制を示す製品、特に使い捨て吸収製品を提供することが本発明の目的である。更に詳細には、こうした製品の流体吸収及び流体保持のような流体処理特性を損なうことなく、この利点を提供することが本発明の目的である。
【0005】
上記の目的が、製品、好ましくは使い捨て吸収製品の臭気抑制系として、カチオン性多糖類とシリカを組合せて臭気抑制系とすることで達成されることが分かってきている。
吸収製品など、典型的には体液と接触する製品中で、シリカ及びカチオン性多糖類(好ましくはキトサン材料)を組合せることで、臭気抑制の点で相乗的効果が得られることが、驚くべきことに明らかになってきた。事実、吸収製品に体液が接触したとき、これら2つの成分区分のうちの一方(シリカ又はカチオン性多糖類のどちらか一方)だけを同じ総量で使用した場合の臭気の減少と比べて、この組合せでは臭気の減少が多くなる。更に、シリカをキトサン材料などのカチオン性多糖類に加えることによって、キトサン材料の流体処理特性も上がることが明らかになってきている。事実、本発明の製品、典型的には使い捨て吸収製品は、カチオン性多糖類、即ちキトサン材料の表面にシリカを包含することによって、シリカが存在しない同製品に比べて高い流体吸収性及び流体保持性を示す。
実際に、本明細書における物品にカチオン性多糖類とシリカを併用することで、これらの臭気抑制作用を結合することができ、それによって悪臭全体の感知を相乗的に減らし、あるいは防ぐことができる。
いかなる理論にも縛られずに述べれば、カチオン性多糖類、好ましくはキトサン材料は、複数の作用によって体液に起因する悪臭成分の臭気抑制を果たすと考えられている。
【0006】
第一に、多糖類の臭気吸収及び保持特性は、イオン化が可能なカチオン性官能基からなるポリマー構造の存在による。これらの基は通常アンモニウム基で、その大部分がポリマーが乾燥している場合は塩であるが、体液と接触すると解離し再利用される。ポリマー鎖は解離状態にある場合、ポリマー鎖に結合する一連の官能基を有し、この官能基は同じ電荷(例えば−NH3 ++H3N−)を有するために互いに反発する。これにより、ポリマー構造は膨脹し、陰性に荷電した悪臭分子を更に吸収することが可能になる。重要なことに、カチオン性多糖類、特にキトサン材料の臭気吸収特性は、吸収される臭気分子の粒径ではなく、その帯電性と関係する。
第二に、陽性に荷電した多糖類のカチオン基は、体液中の陰性に荷電したアニオン基、例えばタンパク質のカルボキシル基又は短鎖の酸(例えば酪酸)のような構造体を有するヒドロキシル基と相互に作用する。これにより、カチオン性多糖類とアニオン基を有するこうした分子との間に、3次元網が形成される(体液のゲル化)。このゲル化により、ほとんどの悪臭分子(脂質や酸など)が取り込まれ、悪臭が抑制される。
【0007】
第三に、更に重要なことに、カチオン性多糖類、特にアミノ多糖類(好ましくはキトサン材料)は抗菌剤として働くと考えられている。事実、陽性に荷電するカチオン基を有する多糖類は、微生物の細胞壁の陰性に荷電した表面に干渉し、それによってこれら微生物の生育を阻害し、死滅させさえする。また、カチオン性多糖類は酵素の陰性に荷電した表面にも干渉し、それによって細菌活性のように悪臭成分の形成の一因になりかねない酵素活性を不活化させる。更に、キトサン材料などのカチオン性多糖類は、脂質及び/又はミネラルなど微生物の栄養分のいくつかと結合させることで、間接的な抗菌作用に基づき効力を発する。
有益なことに、シリカの存在は、カチオン性多糖類、即ちキトサン材料の臭気抑制特性を促進させる。事実、シリカの存在は、カチオン性多糖類、典型的にはキトサン材料のカチオン特性を高め、それによって抗菌活性、臭気吸収、ゲル化特性が高められる。いかなる理論にも縛られずに述べれば、酸性であるシリカ(シリカ材料のpHは3〜5である)は、キトサン材料などのカチオン性多糖類のアミノ基をプロトン化し、それによってキトサン材料の陽性に荷電したアンモニウム基(−NH3 +)の数を増やし、キトサン材料のカチオン性を強めると考えられている。
【0008】
有益なことに、キトサン材料などのカチオン性多糖類の存在は、シリカの臭気吸収効果を促進させる。シリカはそれ自体で臭気吸収剤である。特にトリメチルアミン、尿素などのアミノ含有化合物に対して有効である。理論に縛られることなく述べれば、本明細書におけるカチオン性多糖類、典型的にはキトサン材料は酵素及び細菌の成長を抑制し、結果として体液内で発生する酵素及び細菌活性に起因する悪臭化合物の量を抑制すると推測されている。つまり、カチオン性多糖類は悪臭化合物の生成を減少させるか、防ぎさえするため、抑制するべき悪臭の総量が減少する。これにより、シリカが、活性物質量が少なくても作用できるようになる。実際に、これによって、臭気吸収剤としてのシリカを、より効果的かつ持続的に使用することができるようになる。更に言えば、本明細書においてカチオン性多糖類と共に使用するとき、シリカが飽和点に達するのは、同じ条件でカチオン性多糖類が存在せず単独で使用する場合と比べて、使用期間を延長した後、典型的には体液と接触している吸収製品(パンティライナ、パッド)の着用期間を延長した後と考えられる。有益なことに、シリカは、ヘッドスペース(吸収製品と泌尿生殖器表面との間の空間)に存在する臭気、即ち体液から抜け出し、カチオン性多糖類と接触することのない揮発性悪臭化合物を吸収することによって、カチオン性多糖類の悪臭低減作用を助けもする。
吸収製品中に、キトサン材料などのカチオン性多糖類をシリカとともに使用することで、高い体液吸収力及び保持力も提供される。事実、シリカはカチオン性多糖類、特にキトサン材料がそれに対応する塩に変換するのを促進し、それによってカチオン性多糖類が流体を吸収し、流体に存在するアニオン性分子(タンパク質、脂質など)と三次元網を形成する力を高める。
【0009】
本発明の実施態様において、製品は、架橋シリカ−カチオン性多糖類、好ましくは架橋シリカ−キトサンを包含する。好ましくは、用いる架橋剤はそれ自体で臭気抑制効果も提供することのできるものである。本明細書に用いるのにきわめて好ましい架橋剤は、クエン酸などの多塩基性酸である。架橋シリカ−カチオン性多糖類、特に架橋シリカ−キトサンを使用することによって、長期持続性の臭気抑制特性が提供され、特に長期持続性の抗菌効果が提供されることが確認されている。
架橋シリカ−カチオン性多糖類においては、架橋剤が静電的相互作用又は共有結合(例えば、エステル化)によって、カチオン性多糖類とシリカを結合させる。いかなる理論にも縛られずに述べれば、この架橋によって、キトサン材料などのカチオン性多糖類が不溶性になり、それに従い、後に体液と接触した場合のこれらの材料の耐洗浄性が低下する。更に、体液と接触した場合、緩徐な解離が起こり、シリカ、キトサン材料及び架橋剤の緩徐な持続放出性が得られる。この緩徐な解離により、吸収製品中に体液が増えるに従って臭気抑制活性物質が放出され、長期にわたって臭気抑制力が提供される。
【0010】
本明細書における好ましい実施態様では、使い捨て吸収製品は、孔あきポリマーフィルムトップシートを有する。このトップシートは臭気防止に関する利点を更に高めるのに役立つ。
本明細書におけるもう1つの好ましい実施態様では、使い捨て通気性吸収製品は、通気性バックシートを有する。これは臭気防止に関する利点を更に高めるのに役立つ。本明細書における更に好ましい実施態様では、使い捨て吸収製品は、通気性バックシートと孔あきポリマーフィルムトップシートの両方を有する。
本発明は、好ましくはパンティライナ、婦人用ナプキン、失禁パッド、おむつ、タンポン、陰唇間パッド、発汗パッド、外傷パッド、胸当て、ヒト又は動物用排泄物処理用具などの使い捨て吸収製品に関する。本発明に好適なその他の製品には、衣類、包帯、温熱パッド、にきび用パッド、冷却パッド、圧縮ガーゼ、外傷パッド/包帯剤など、体に接触又は近接して着用するように設計した製品、含浸した拭き取り布/ティッシュなどの体の洗浄製品(例えば幼児用拭き取り布、女性衛生用拭き取り布など)、靴の中敷、下着への挿入物品などの発汗吸収製品、トイレ砂などの動物用製品も含まれる。
【0011】
(発明の概要)
本発明は、シリカとともにカチオン性多糖類を包含する、使い捨て吸収製品などの製品に関する。
また、本発明は、カチオン性多糖類、好ましくはキトサン材料をシリカとともに包含する臭気抑制系と排泄物及び/又は流体を接触させ、排泄物及び/又は体液に起因する臭気を抑制する方法を網羅するものであり、高い臭気抑制及び/又は長期持続性の臭気抑制を提供するための、着用者の体に密着又は近接させるのに好適な吸収製品において、架橋シリカ−カチオン性多糖類、好ましくは架橋シリカ−キトサン材料を使用することについて網羅するものである。
【0012】
(発明の詳細な説明)
本明細書において、「製品」とはカチオン性多糖類及びシリカを包含することのできる、あらゆる三次元的固形材料を指す。「使い捨て」という用語は、洗濯することを意図しない、あるいは他に物品として復元または再使用することを意図しない物品を本明細書で説明するために使用する(つまり、1回使用後に捨てられることを意図し、好ましくはリサイクルし、堆肥にするか、あるいは環境に適した方法で捨てることを意図する)。「吸収製品」という用語は、流体及び/又は排泄物、特に体液/体からの排泄物を受け入れる及び/又は吸収及び/又は含有及び/又は保持することのできるあらゆる製品をきわめて広い意味で本明細書で説明するために用いる。
【0013】
本発明に基づく好ましい製品は、体が排出した流体/排泄物を吸収するために着用者の体に接触させて着用するように設計した使い捨て吸収製品を含み、例えば、パンティライナ、生理用ナプキン、生理用ナプキン、失禁用インサート又はパッド、おむつ、タンポン、陰唇間パッド又はインサート、胸当て、ヒト又は動物用排泄物処理用具などを含む。典型的にはこれらのヒトの尿又は糞便処理用具は、孔を有する袋と孔の周囲にフランジがあり、このフランジは着用者の泌尿器及び/又は肛門の領域と好ましくは接するように留めるためのものである。当業界で周知の尿又は糞便処理用具は、いずれも本明細書に用いるのに好適である。このような処理用具は、例えばWO99/00084〜99/00092に記述されている。本発明に好適なその他の物品には、体に接触又は近接させて配置するように設計したその他の物品(例えば、衣類、包帯、温熱パッド、にきび用パッド、冷却パッド、圧縮ガーゼ、外傷パッド又は包帯剤など)、発汗を吸収する物品(例えば、靴の中敷、下着への挿入物、発汗パッドなど)、体を洗浄するための物品(例えば、含浸した拭取り布又はティッシュ(例えば、幼児用拭取り布、女性衛生用拭取り布)など)、動物用の物品(例えば、トイレ砂など)も含まれる。
本明細書における「体液及び/又は排泄物」という用語は、自然に又は例えば皮膚切断の場合のように事故によって生じる、発汗、尿、経血、糞便、膣分泌物などのヒト又は動物の体が生産するあらゆる流体/排泄物を意味する。
【0014】
シリカ
本発明によれば、製品は必須成分としてシリカを包含する。
シリカ、つまり二酸化珪素(SiO2)は多様な結晶形及び部分非晶形で存在しているが、いずれの形も本明細書に用いるのに好適である。特に、表面積が大きい又は凝集形態のシリカが好ましい。シリカモレキュラーシーブは、本明細書において使用するシリカの定義には該当しないものとみなす。本明細書に用いるのに好適なシリカは、重量で1〜100%のSiO2を含むシリカである。
本明細書に用いるのに好適なシリカは、例えば、Grace GmbHから入手できるSilica gel 123(登録商標)又はSyloblanc 82(登録商標)である。
また、本発明に基づいて使用するシリカは、Ia及びIIa族の金属元素のケイ酸塩、即ちケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムといった金属ケイ酸塩を含む。
【0015】
本発明によれば、製品は典型的には5〜300gm2、更に好ましくは10〜250gm2、最も好ましくは15〜200gm2の純度100%に基づいて、シリカ又はこれらの混合物を包含する。
いかなる理論にも縛られずに述べれば、シリカは、典型的には吸収製品中で接触する体液中に存在する悪臭化合物、特にトリメチルアミン及び/又は尿素などのアミノ含有化合物を吸収するだけでなく、ヘッドスペースに存在する悪臭化合物も吸収することによって、体液/排泄物に起因する臭気を抑制すると推測される。
更に、シリカは酸性であるため(典型的にはpHが3〜5)、臭気抑制剤としても働く。通常、シリカは体液をほぼ中性に維持することができ、それによって、アンモニア及びアミンなど、いくつかの不快な臭気の原因となるアルカリ性臭気成分の生成を抑制する。
有益なことに、シリカは酸性であるため、カチオン性多糖類のアミノ基をプロトン化することができ、それによってカチオン性多糖類の陽性に荷電したアンモニウム基(−NH3 +)を増やし、カチオン性多糖類のカチオン特性を強める。つまり、シリカの存在はカチオン性多糖類、即ちキトサン材料の臭気抑制特性を高め、経血などの体液に起因する臭気を相乗的に低減させるとともに、カチオン性多糖類の流体処理特性を高める。
【0016】
カチオン性多糖類
本発明によれば、製品はその必須成分としてカチオン性多糖類又はその混合物を包含する。
本明細書に用いるのに好適なカチオン性多糖類は、カチオン性官能基の存在により、陽性に荷電した多糖類である。本明細書で用いるのに好適な多糖類としては、天然及び半合成のカチオン性多糖類が挙げられる。好適なカチオン性多糖類の例としては、塩基の形で存在する、一級、二級、又は三級アミン基又は四級アンモニウム基が挙げられる。好ましくは、四級アンモニウム基が存在するのがよい。こうしたカチオン性多糖類は、本明細書でアミノ多糖類とも呼ばれる。本明細書に用いるカチオン性多糖類は、多糖類ヒドロキシル基と反応することのできる基を少なくとも1つ含む四級アンモニウム化合物を余分に有する、セルロースなどの繊維性多糖類であってよい。こうしたカチオン性多糖類に関しては、WO92/19652号及びWO96/17681号に記載があり、これらは参照として本明細書に組み込まれている。本明細書においてきわめて好ましいのは、アミノ多糖類、即ちキチンを基材とする材料、キトサン材料及びこれらの混合物である。
【0017】
本明細書で使用する時「キトサン材料」とは、キトサン、修飾キトサン及びキトサン塩を指す。
キトサンは、天然多糖類であるキチンが部分的又は完全に脱アセチル化したものである。更に言えば、キトサンは、キチン(ポリ−β(1,4)−N−アセチル−D−グルコサミン)を脱アセチル化することによって調製されることが多いアミノ多糖類である。
キチンは、キノコ類の細胞壁や昆虫及び甲殻類の固い殻など、自然界に広く存在する。エビ、ロブスター、カニなどの魚介類を扱う産業からの廃棄物は、典型的には約10〜約15%のキチンを含むため、明らかに入手しやすい供給源である。自然状態では、一般にキチンは甲殻類の甲羅又は腱から取れるような、細かいフレーク又は短い繊維素材にのみ認められる。一般には、セルロース誘導体の供給体である綿のように、溶解及び再沈殿又は復元を必要とせずに有用な形状の物品を形成する供給源はない。
更に具体的に言えば、キチンはムコ多糖であり、以下に記載する化学式を有するポリ−N−アセチル−D−グルコサミンであって、
【0018】
【化1】
【0019】
xは重合度を示す。xは、正確に決定することはできないが、通常約30〜約50,000であると考えられている。
キトサンは単独かつ具体的な化学物質ではなく、製造条件によって左右される多様な組成物中に存在する。可溶性アミン塩を生成するのに十分なだけ脱アセチル化した場合には、キトサンをキチンと同じように定義することができる。キトサンはD−グルコサミンのβ−(1−4)多糖類であり、セルロースのC−2ヒドロキシル基がキトサンでは一級アミン基であること以外は、セルロースと同じ構造を有する。キトサンは、多数の遊離アミン基によって、ポリマー弱塩基になる。キトサン溶液は一般に、天然ゴム溶液のように粘度が高い。
本明細書で用いるキトサンは、好適には比較的純度の高いものである。純粋なキトサンの製造方法はよく知られている。一般には、キチンを粉状に挽き、酢酸などの有機酸で脱塩する。次に、水酸化ナトリウムなどで塩基処理してタンパク質及び脂質を除去した後、40%水酸化ナトリウムなどの濃縮塩基で処理してキチンを脱アセチル化する。得られたキトサンを、望ましいpHになるまで水で洗浄する。
【0020】
アミノ多糖類、特にキトサンの特性は、その高分子電解質及び重合炭水化物の性状と関連する。即ち、キトサンは一般に水、pHが6.5以上のアルカリ溶液又は有機溶媒には不溶である。一般に、ギ酸、酢酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸及びクエン酸などの有機酸の希釈液には容易に溶解し、例えば硫酸は除き、鉱酸の希釈液にも容易に溶解する。一般にキトサンを溶解するのに要する酸の量は、おおよそアミノ基と化学量論的に比例する。キトサン材料中に存在するアミノ基のpKaは6.0〜7.0であるため、きわめて低濃度の酸又はほとんど中性に近い溶液中でプロトン化することができ、このバイオポリマーはカチオン性の性状を有するようになる。このカチオン性状が、キトサン材料の多くの利点の基本になる。更に一般的には、キトサン材料のようなカチオン性多糖類は、タンパク質(例えば微生物及び/又は酵素のタンパク質の陰性に荷電した細胞壁構築に干渉することで、抗菌剤として働いたり、経血などの体液中に存在するタンパク質と反応することで、こうした流体のゲル化剤として働いたりする)のように、又は、本明細書において任意成分として存在することのできるアニオン性吸収性ゲル化材料(本明細書の好ましい実施態様において、カチオン性多糖類の臭気抑制特性を高め、電解質含有溶液の存在下でも優れた吸収特性を提供する)のように、高い電荷密度を有し、陰性に荷電した表面と相互作用することができる直鎖の高分子電解質であると考えることができる。
【0021】
本明細書で用いるのに好ましいキトサン材料は、脱アセチル化(D.A.)度が75%以上、好ましくは80〜約100%、更に好ましくは90〜100%、最も好ましくは95〜約100%である。この脱アセチル化度は、脱アセチル化されたアミン基の割合に相当する。この特性は水素結合と直接関連するが、この水素結合はバイオポリマー中に存在し、その構造、溶解度及び最終的にはその反応性に影響を与える。脱アセチル化度は、滴定、色素吸着法、分光法、赤外線分光法、核磁気共鳴分光法によって測定する。
脱アセチル化度は、キトサン材料のカチオン性状に影響する。脱アセチル化度を上げることによって、キトサン材料のカチオン特性も増大し、そのため抗菌特性、吸収力、ゲル化性能も向上する。
【0022】
一般にキトサン材料は広範囲にわたる分子量を有することができる。幅広い分子量のキトサン材料は、本発明に用いるのに好適であり、典型的には本発明に用いるキトサン材料は、分子量がグラムモルあたり1,000〜10,000,000g、更に好ましくは2,000〜1,000,000gである。分子量とは、重量平均分子量を指す。キトサン材料の重量平均分子量を計測する方法は、当業界において知られている。典型的な方法には、例えば光散乱法、固有粘度及びゲルろ過クロマトグラフィーがある。一般に、キトサン材料の分子量を示すのに最も都合がよいのは、25℃においてブルックフィールド粘度計で計測した1.0重量パーセント水溶液におけるその粘度である。キトサン材料の粘度は、対応するキトサン塩の粘度を1.0重量パーセント酢酸水溶液を用いて計測することで、間接的に計測するのが一般的である。本発明に用いるのに好適なキトサン材料は、好適には25℃における1.0重量パーセント水溶液中の粘度が、約1mPa(1センチポアズ)〜約80,000mPa(80,000センチポアズ)、更に好適には約30mPa(30センチポアズ)〜約10,000mPa(10,000センチポアズ)、更に好適には50mPa(50センチポアズ)〜約1,000mPa(1,000センチポアズ)、最も好適には100mPa(100センチポアズ)〜約500mPa(500センチポアズ)であるのがよい。
【0023】
キトサン材料のpHは、キトサン材料の調製法に影響を受ける。本明細書で用いるのに好ましいキトサン材料は酸性であり、典型的にはpHが4〜6、更に好ましくは4〜5.5、更に好ましくは4.5〜5.5であるのがよい。きわめて好ましいpH値は皮膚のpHに相当する約5である。本明細書で使用する時、キトサン材料のpHとは、pH計で測定した1%キトサン溶液(キトサン材料1gを蒸留水100gに溶解した溶液)のpH値である。
キトサン材料のカチオン特性、即ちその抗菌力、吸収力及びゲル化力は、酸性度が高くなるほど増大する。ただし、酸性度が高すぎると、皮膚の安全性を害する。このため、本発明に用いるのにきわめて好ましいキトサン材料は、pHが4.5〜5.5であって、それにより片面には臭気抑制特性と流体捕捉特性との最良のバランスを、残る片面には皮膚との適合性を提供するものである。
本明細書に用いるのに特に好適なアミノ多糖類としては、アミノ多糖類塩、特にキトサン塩が挙げられる。キトサン塩のようなアミノ多糖類を生成するためには、様々な酸を用いることができる。本明細書に用いるのに好適な酸は、水溶性であるか部分的に水溶性であり、アミノ多糖類のアンモニウム塩を生成するのに十分なだけ酸性であって、アミノ多糖類の加水分解を起こすほど酸性ではなく、脱アセチル化アミノ多糖類の反応部位がプロトン化するのに十分な量存在する酸である。
【0024】
好ましい酸は、以下に記載する化学式で示すことができる。
R−(COOH)n
nは1又は2又は3であり、Rは炭素、水素及び任意的には酸素、窒素及びイオウのうち少なくとも1つからなるモノ−又は二価の有機ラジカルであるか、単純にヒドロキシル基である。好ましい酸は、炭素、水素、酸素及び窒素からなるモノ−及びジカルボン酸(本明細書で後述する際はアミノ酸とも呼ぶ)である。こうした酸は、人体に接触させるか近接させて用いる場合に、生物学的に許容されやすいため、本明細書で用いるのにきわめて望ましい。上に記載の酸に加えて、実例となる酸には、クエン酸、ギ酸、酢酸、N−アセチルグリシン、アセチルサリチル酸、フマル酸、グリコール酸、イミノ二酢酸、イタコン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、ニコチン酸、2−ピロリドン−5−カルボキシル酸、サリチル酸、スクシンアミド酸、コハク酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタル酸、マロン酸、ピルビン酸、スルホニル二酢酸、安息香酸、エポキシコハク酸、アジピン酸、チオ二酢酸及びチオグリコール酸がある。アミノ多糖類とこれらの酸のいずれかとを反応させて生成したアミノ多糖類塩、特にキトサン塩であれば、いかなるものでも本明細書で使用するのに好適である。
【0025】
無機酸によって生成されるキトサン塩の例には、キトサン塩酸塩、キトサン臭化水素酸塩、キトサンリン酸塩、キトサンスルホン酸塩、キトサンクロロスルホン酸塩、キトサンクロロ酢酸塩及びこれらの混合物が挙げられるが、これに限定されない。 有機酸によって生成されるキトサン塩の例には、キトサンギ酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン乳酸塩、キトサングリコール酸塩、キトサンマロン酸塩、キトサンエポキシコハク酸塩、キトサン安息香酸塩、キトサンアジピン酸塩、キトサンクエン酸塩、キトサンサリチル酸塩、キトサンプロピオン酸塩、キトサンニトリロ三酢酸塩、キトサンイタコン酸塩、キトサンヒドロキシ酢酸塩、キトサン酪酸塩、キトサンイソブチル酸塩、キトサンアクリル酸塩及びこれらの混合物が挙げられるが、これに限定されない。また、例えば無機酸と有機酸のいずれもを用いるなど、酸の混合物を用いてキトサン塩を生成するのも好適である。
【0026】
本明細書に用いるのに好ましいアミノ多糖類塩、特にキトサン塩は、アミノ多糖類とアミノ酸を反応させて生成したものである。アミノ酸は、酸とアミノ官能基のいずれをも含む分子である。アミノ酸の使用は、アミノ多糖類アミノ酸塩が皮膚適合性に優れていることから、きわめて好ましい。事実、アミノ酸のほとんどが皮膚上に自然な形で存在し、従って非刺激性である。ピロリドンカルボン酸のキトサン塩は、有効な保湿剤であり、皮膚に対して非刺激性である。こうしたキトサン材料は、再湿潤が予期しないほど少なかった場合及び/又は製品が誤用された場合に好適である。
本明細書に用いるアミノ酸には、直鎖及び/又はシクロアミノ酸のいずれもが含まれる。本明細書に用いるアミノ酸の例には、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリンフェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、グリシン、セリン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリンなどが挙げられるが、これに限定されない。特に好適なシクロアミノ酸の例は、以下に記載する化学式のようなピロリジン−2−オンのカルボン酸である、ピロリドンカルボン酸である。
【0027】
【化2】
【0028】
こうしたアミノ多糖類塩の調製方法を記載したWO98/07618号が参照として組み込まれている。
本明細書に用いるのに好適なその他のアミノ多糖類材料としては、修飾アミノ多糖類、特に修飾キトサンが挙げられる。
本明細書に用いる修飾キトサン又はキチンは、グルカンの鎖が側基を持つあらゆるキトサン又はキチンである。こうした修飾キトサンの例には、カルボキシメチルキトサン、メチルピロリジノンキトサン、グリコールキトサンなどが挙げられる。メチルピロリドンキトサンに関しては、例えば米国特許第5,378,472号に記載があり、これは参照として本明細書に組み込まれている。水溶性グリコールキトサン及びカルボキシメチルキトサンに関しては、例えばWO87/07618号に記載があり、これは参照として本明細書に組み込まれている。
本明細書に用いるのに特に好適な修飾キトサンには、水溶性共有結合キトサン誘導体又は、親電子有機試薬とキトサン塩を接触させることによって得られるイオン結合キトサン誘導体が挙げられる。こうした水溶性キトサン誘導体に関しては、欧州特許第A−737,692号に記載があり、これは参照として本明細書に組み込まれている。
【0029】
キトサン誘導体の調製に用いるのに好適な親電子有機試薬は、1分子当たり2〜18個の炭素原子又はそれ以上の炭素原子を含み、典型的には1分子当たり2〜10個の炭素原子を含む。更に、親電子有機試薬は反応性基を含み、この基は求核原子と共有結合を形成できる。典型的な親電子有機試薬には、例えば、ラウリル、クロロ硫酸ナトリウム、ジメチル硫酸塩、クロロエタン硫酸ナトリウム、モノクロロ酢酸、アルキルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルトリメトキシシラン、1,2−エポキシドデカンなどの、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、グリシドール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、メチルクロライド、エチルクロライド、無水イサトイン酸、無水コハク酸、無水オクテニルコハク酸、無水酢酸、γ−ブチロラクトン、β−プロピオラクトン、1,3−プロパンスルトン、アクリルアミド、グリシジルトリメチル塩化アンモニウム、グリシジルジメチル塩化アルキルアンモニウムが挙げられる。親電子有機試薬の好ましい種類の1つには、エポキシド基、少なくとも1つの酸性基、好ましくは2つの酸性基を含み、1分子当たり3〜18個、好ましくは3〜6個の炭素原子を有する親電子有機試薬がある。その他の好ましい親電子有機試薬には、シス−親電子有機試薬及びトランス−親電子有機試薬があるが、特に好ましいのはシス−親電子有機試薬である。親電子有機試薬は、キトサンの遊離アミン又は未修飾ヒドロキシル基のいずれかと反応してよい。キトサンのアミノ基が一般にヒドロキシル基よりも強い求核性部位であることは知られている。その結果、弱い求電子原子は、キトサンのヒドロキシル基よりもアミン基と容易に反応する。
【0030】
好ましくは、親電子有機試薬の有効量をキトサン上に置換して、キトサン誘導体の望ましい特性、即ち水溶性という特性を得る。典型的には、本明細書に用いるのに好適なのは、グルコサミンモノマー単位1モル当たり、親電子有機試薬のモル置換度が0.03〜10モルであるキトサン誘導体(修飾キトサン)である。モル置換度(MS)という用語は、キトサン上に置換される親電子有機試薬のグルコサミンモノマー単位1モル当たりのモル数を意味する。
更に、親電子有機試薬のほかに、ヒドロキシアルキルエーテル基(例えばヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピルエーテル基)、カルボキシアルキルエーテル基(例えばカルボキシメチル基)、アミド基(例えばスクシニル基)、エステル基(例えばアセテート基)又はアミノ基(例えば3−(塩化トリメチルアンモニウム)−2−ヒドロキシルプロピル又は3−(塩化ジメチルオクタデシルアンモニウム)−2−ヒドロキシプロピルエーテル基)などのその他の置換基が加わった修飾キトサンも調製することができる。これらのその他の置換基は、親電子有機試薬との反応前又は反応後に導入するか、キトサン塩と親電子有機試薬及びその他の誘導体化試薬とを反応させるのと同時に導入してよい。
【0031】
典型的には、こうした共有結合キトサン誘導体は次のような工程を経て得ることができる。(a)キトサン塩(例えば既に記載のいずれか)を有効量の水性腐食媒質中で分散させ、遊離アミン基を含む中和キトサンを生成する。(b)親電子有機試薬を泥状物中に加える。(c)キトサン上における親電子有機試薬の置換を促進するのに有効な温度及び期間で泥状物を維持して共有結合キトサン誘導体を生成し、共有結合キトサンを水性媒質に溶解させる。キトサン誘導体は、塩、即ちイオン結合体からも、共有結合体からも調製することができる。こうしたキトサン誘導体の調製法に関しては、欧州特許第A−737,692号に詳細な記載があり、これは参照として本明細書に組み込まれている。
好適なキトサンは多数の業者から購入できる。市販されているキトサン材料の代表的なものは、例えばVanson Companyから購入できるものである。本明細書に用いるのに好ましいキトサン塩は、脱アセチル化度が85%以上で、水への溶解度が1%(25℃、1気圧下で蒸留水100gに1gが溶解する)、pHが4.5、粘度が100〜300cpsであるキトサンピロリドンカルボン酸塩である。キトサンピロリドンカルボン酸塩は、Kytamer(登録商標)PCという名前でAmerchol Corporationが市販している。
【0032】
典型的には、使い捨て吸収製品のような製品は、カチオン性多糖類又はその混合物を0.5〜500gm-2、好ましくは1〜200gm-2、更に好ましくは3〜100gm-2、最も好ましくは4〜50gm-2包含する。
本明細書における好ましい実施態様において、カチオン性多糖類及びシリカは、カチオン性多糖類対シリカの重量比が、0.1〜50、好ましくは0.5〜30、更に好ましくは約1で存在する。事実、この範囲内で最適な臭気抑制及び最適な流体処理が得られる。
【0033】
任意の成分
本発明に基づく製品は、好ましくは、こうした製品の特性を更に高めるためにその他の成分を更に包含する。
【0034】
任意の架橋剤
きわめて好ましい任意の成分は、架橋剤又はその混合物である。
本明細書に用いるのに好適な架橋剤は、アミノ多糖類、典型的にはキトサン材料上にある活性基と反応することができる少なくとも2つの官能基又は基を有するあらゆる有機化合物である。こうした活性基の例には、カルボン酸(−COOH)、アミノ(−NH2)又はヒドロキシル(−OH)基が挙げられるが、これに限定されない。こうした好適な架橋剤の例には、ジアミン、ポリアミン、ジオール、多価アルコール、酸、ポリオキシド、ジアルデヒド、ポリアルデヒド、ジエポキシドなどが挙げられるが、これに限定されない。詳細には、架橋剤は、グルタールアルデヒド、カルボキシメチルセルロース、ポリ(エチレングリコール)ジグリシダルエーテル及びビス(ポリオキシエチレンビス(グリシジルエーテル))及びこれらの混合物から成る群から選択されてよい。
【0035】
その他の好適な架橋剤は、多塩基性酸である。本明細書に用いるのに非常に好適な多塩基性酸としては、アミノカルボン酸、アミノポリカルボン酸、ジカルボン酸及びポリカルボン酸が挙げられる。本明細書において架橋剤として有用な、こうした多塩基性酸の例としては、グルタミン酸、アスパラギン酸、ピロリン酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、グルタル酸、イタコン酸、リンゴ酸、マロン酸、メサコン酸、メチルコハク酸、シュウ酸、o−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸、コハク酸、α酒石酸、及びメソ−酒石酸が挙げられる。好ましくは、架橋剤は、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、グルタル酸、イタコン酸、リンゴ酸、コハク酸及びこれらの混合物から成る群から選択される。
このほか、好適な架橋剤には、Cu2+、Al3+、Fe3+、Ce3+、Ce4+、Ti4+、Zr4+及びCr3+など、カチオン性多糖類塩、即ちキトサン塩と配位結合を形成することができる2+以上の金属イオンが挙げられる。好適な金属イオン架橋剤には、一般に未占有のd軌道を有する遷移元素の架橋剤が挙げられる。好適な金属イオン架橋剤には、CuSO4、ZrCl4、FeCl3、Ce(SO4)3、及びCe(NH4)4(SO4)4・2H2O、及び既知の金属イオン化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。こうした金属イオン架橋剤は、キトサン塩とともに用いられた場合にキトサン塩とキレートを形成すると考えられている。
【0036】
カチオン性多糖類、即ちキトサン材料の陽イオンは、前記材料の抗菌特性、流体処理特性及びゲル化特性を得るのに必須であるため、本明細書では陽イオンと反応する架橋剤は使用しないのが好ましい。本明細書で特に好適な架橋剤は、上に記載の通り、キトサン材料などのカチオン性多糖類のヒドロキシル基をエステル化する酸、特にジカルボン酸及びポリカルボン酸である。こうした架橋剤の存在は、カチオン性多糖類、即ちキトサン材料の臭気抑制特性及び流体処理特性を損なうものではなく、こうした特性を高めさえする。
本明細書で架橋カチオン性多糖類を使用する実施態様において、架橋剤の好適な量は、架橋カチオン性多糖類を調製するために用いるカチオン性多糖類(例えばキトサン材料)の乾燥総重量に対して、0.001〜30重量%、更に詳細には0.02〜20重量%、更に詳細には0.05〜10重量%、最も好ましくは0.1〜5重量%である。
【0037】
本明細書の好ましい実施態様において、用いる架橋剤は、アミノ多糖類上にある活性基、即ちカルボン酸(−COOH)、アミノ(−NH2)、又はヒドロキシル(−OH)基だけでなく、シリカ上にある活性基、即ちヒドロキシル(−OH)基と反応することのできる、少なくとも2つの官能基又は基を有するものである。
架橋カチオン性多糖類−シリカ、即ち架橋キトサン−シリカを形成するのに好適な架橋剤は、多塩基性酸、典型的には5.5未満のpKa(例えばpKa1及びpKa2)を少なくとも2つ有する多塩基性酸である。こうした酸は1分子当たり2つ以上の置換可能な水素原子を有することができ、pKamは5.5未満であり、mは2以上の整数である。本明細書に用いるのにきわめて好適な多塩基性酸は、アミノカルボン酸、アミノポリカルボン酸、ジカルボン酸、及びポリカルボン酸である。本明細書において架橋剤として有用なこうした多塩基性酸の例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピロリン酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、グルタル酸、イタコン酸、リンゴ酸、マロン酸、メサコン酸、メチルコハク酸、シュウ酸、o−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸、コハク酸、α酒石酸及びメソ−酒石酸が挙げられる。好ましくは、架橋剤はブタンテトラカルボン酸、クエン酸、又はこれらの混合物である。きわめて好ましいのはクエン酸である。
【0038】
本明細書の実施態様のうち、本発明に基づく多糖類及びシリカの供給源として架橋カチオン性多糖類−シリカが用いられる場合において、架橋剤の好適な量は、架橋カチオン性多糖類−シリカを調製するためにシリカとともに用いるカチオン性多糖類の乾燥総重量に対して、0.05〜70重量%、更に厳密には0.1〜50重量%、更に厳密には0.5〜40重量%、最も好ましくは1〜35重量%である。
有益なことに架橋シリカ−カチオン性多糖類、即ち架橋シリカ−キトサンは、長期持続性の臭気抑制特性及び/又は長期持続性の流体処理特性を提供することができる。事実、吸収製品に架橋シリカ−キトサンを使用することで、体液に対する有効な臭気抑制特性及び/又は流体処理特性が提供され、ユーザーによる製品の着用時間が長くなり、典型的には製品中の体液(典型的には経血)が古くなる及び/又は製品中への体液の排泄が持続しても、これらを維持することができるようになる。
【0039】
いかなる理論にも縛られずに述べれば、架橋シリカ−カチオン性多糖類は、経血などの体液と接触することで、緩徐に解離すると推測される。例えば、クエン酸によって多糖類−シリカが架橋された場合、エステルがキトサンとクエン酸との間のエステル結合、並びに後に体液排泄物が吸収パッドに吸収された場合のクエン酸とシリカの間のエステル結合は、加水分解される。これにより、体液排泄物が多くなるにつれ、個々の臭気抑制活性物質が放出され、それによって、吸収製品の使用時間が長くなっても有効な臭気抑制特性が維持される。
架橋シリカ−カチオン性多糖類を使用することの更なる利点は、シリカ及びカチオン性多糖類粉末の混合物を用いた場合と比べて、製品の製造時、処理時及び/又は使用時に起こりうる粉末の漏れを低減させることである。有益なことに、2種類の粉末を用いる代わりに1種類の粉末を用いることは、製造方法の簡易化につながり、従って製造コストが下がる。
【0040】
本発明で用いる架橋多糖類−シリカの製造方法には、当該技術分野の業者に知られているあらゆる既知の架橋方法が挙げられる。典型的には、架橋剤を蒸留水中でカチオン性多糖類と混合する方法がある。これは、典型的には20〜50℃、好ましくは約40℃で、10分〜10時間、典型的には約1時間熱することによって行うことができる。その後、この溶液にシリカを加えることができ、数時間(1〜15時間)、典型的には1晩攪拌しつづける。こうして得た溶液を濾過し、1〜8時間、典型的には5時間、100℃で乾燥させる。
一般に、架橋触媒は必要ないが、本発明のカチオン性多糖類塩の架橋を補助するために役立つこともある。こうした架橋触媒は、カチオン性多糖類の総重量に対して、0.01〜3重量%、好適には0.1〜1重量%の量で使用することができる。クエン酸が架橋剤として使用される場合の好適な架橋触媒は、次亜リン酸ナトリウムである。
【0041】
任意の吸収性ゲル化材料
本発明に従い、製品は任意の成分として、吸収性ゲル化材料(「超吸収体」とも呼ばれる)を包含する。
本明細書に用いるのに特に好ましい吸収性ゲル化材料は、アニオン性吸収性ゲル化材料、即ち主に陰性に荷電する吸収性ゲル化材料である。こうした吸収性ゲル化材料は、超吸収特性を有し、官能基がアニオン性、即ちスルホン基、硫酸基、リン酸基又はカルボキシル基である材料であればいずれのものでもよい。好ましくは、この官能基はカルボキシル基である。本明細書に用いるのに特に好ましいアニオン性吸収性ゲル化材料は、合成アニオン性吸収性ゲル化材料である。本明細書で合成アニオン性吸収性ゲル化材料が好ましいのは、同じ吸収製品に使用された場合、圧力下でも、アニオン性多糖類のような天然アニオン性吸収性ゲル化材料に比べて、臭気及び流体吸収性に優れているためである。
【0042】
一般に、官能基はわずかに架橋したアクリル系ポリマーに結合する。例えば、ベースポリマーは、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、エチレン無水マレイン酸、コポリマー、ポリビニルエーテル、ポリビニルスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン及びポリビニルモルホリンであってよい。これらのモノマーのコポリマーも使用することができる。特殊なベースポリマーには、架橋ポリアクリレート、加水分解アクリロニトリルグラフト化デンプン、デンプンポリアクリレート及びイソブチレン無水マレイン酸コポリマーが挙げられる。
【0043】
このような材料は水分(例えば、尿、血液など)に接触するとヒドロゲルを形成する。ヒドロゲル形成性の吸収性ゲル化材料のうち、非常に好ましい種類のひとつはポリ酸、特にポリアクリル酸を基材に有するものである。この種のヒドロゲル形成性ポリマー材料は、水又は体液などの流体(即ち液体)と接触すると、こうした流体を吸収することで、ヒドロゲルを形成する。これらの好ましい吸収性ゲル化材料は、一般に、実質的には水溶性で、わずかに架橋しており、部分的に中和されているヒドロゲル形成ポリマー材料であり、重合が可能で不飽和の酸含有モノマーから形成される。このような材料において、不飽和の酸含有モノマーから形成されたポリマー成分は、ゲル化剤全体を構成することができる。あるいは、デンプン又はセルロースのような他の種類のポリマー部分にグラフトすることもできる。アクリル酸グラフト化デンプン材料は後述の種類の材料である。以上より、好ましい吸収性ゲル化材料には、加水分解アクリロニトリルグラフト化デンプン、アクリル酸グラフト化デンプン、ポリアクリレート、無水マレイン酸を基材とするコポリマー、及びこれらの組み合せが含まれる。特に好ましい吸収性ゲル化材料はポリアクリレート及びアクリル酸グラフト化デンプンである。
【0044】
好ましい吸収性ゲル化材料のポリマー成分の本質がどのようなものでも、このような材料は一般的にわずかに架橋していると考えられる。架橋により、これらの好ましいヒドロゲル形成性吸収材料は基本的に水不溶性になる。また、架橋により、ゲルボリューム及びこれらの架橋により形成されたヒドロゲルの抽出可能なポリマー特性がある程度決まる。好適な架橋剤は当業界で周知であり、例えば、(1)重合可能な二重結合を少なくとも2つ有する化合物、(2)重合可能な二重結合を少なくとも1つ、酸含有モノマー材料と反応する官能基を少なくとも1つ有する化合物、(3)酸含有モノマー材料と反応する官能基を少なくとも2つ有する化合物、(4)イオンの架橋結合で得られる多価金属化合物が挙げられる。上記の種類の架橋剤は、米国特許第4,076,663号(Masuda ら、1978年2月28日発行)で詳細に記述されている。好ましい架橋剤は、多価アルコールを有する不飽和モノ−又はポリ−カルボン酸のジ−又はポリ−エステル、ビスアクリルアミド及びジ−又はトリ−アリルアミンである。特に好ましい架橋剤は、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリアリルアミンである。架橋剤は一般的に、好ましいゲル化材料の約0.001〜5モル%を構成することができる。更に好ましくは、架橋剤は本明細書において使用するゲル化材料の 約0.01〜3モル%を構成することができる。
【0045】
本明細書において使用する好ましい吸収性ゲル化材料は、吸収製品に排出される流体を吸収する能力が比較的高いものである。この能力は、前記吸収性ゲル化材料の「ゲルボリューム」を参照することで判断することができる。ゲルボリュームは、与えられたいずれかの吸収性ゲル化剤緩衝剤が吸収した合成尿の量によって定義されることができ、ゲル化剤1g当たりの合成尿のグラム数として表される。
合成尿(以下の Brandt らの文献を参照)におけるゲルボリュームは、試験に使用する合成尿約20に対して約0.1〜0.2の割合で乾燥した吸収性ゲル化材料の懸濁液を形成することにより測定することができる。この懸濁液を、膨張が平衡になるように、室温で約1時間ゆるやかに撹拌しながら保持する。その後、懸濁液中のゲル化剤の重量比率及び、形成したヒドロゲルから排除した液量の懸濁液の総量に対する割合を用いて、ゲルボリューム(吸収性ゲル化材料1g当たりの合成尿のグラム数)を算出する。本発明において有用な好ましい吸収性ゲル化材料は、吸収性ゲル化材料1g当たり、合成尿約20〜70g、より好ましくは約30〜60gのゲルボリュームを有することができる。
【0046】
最も好ましい吸収性ゲル化材料の別の特性は、前記材料中に存在する抽出可能なポリマー材料のレベルに関連する。抽出可能なポリマーのレベルは、抽出平衡に達するように、長時間(例えば、少なくとも16時間)合成尿溶液に好ましい吸収性ゲル化材料の試料を接触させ、その後、形成したヒドロゲルを上澄み液からろ過し、最後にろ液のポリマー含量を測定することにより決定することができる。本明細書において好ましい吸収性ゲル化剤緩衝剤の抽出可能なポリマー含量を決定するために使用する特定の方法は、米国特許第4,654,039号(Brandt、Goldman、及びInglin、1987年3月31日発行)、米国再発行特許第32,649号に記載されている。本明細書における吸収製品において特に有用な吸収性ゲル化材料は、合成尿における平衡抽出物含量が、重量において吸収性ゲル化材料の約17%以下、好ましくは約10%以下である。
【0047】
わずかに架橋したヒドロゲル形成性の吸収性ゲル化材料のうち好ましいものは、一般的に部分的に中和した形で使用すると考えられる。本明細書に記載の目的上、このようなゲル化材料は、ポリマー形成に用いられるモノマーの少なくとも25モル%、好ましくは少なくとも50モル%が塩生成カチオンで中和した酸性基含有モノマーであるとき、部分的に中和しているとみなす。好適な塩生成陽イオンには、アルカリ金属、アンモニウム、置換アンモニウム及びアミンが含まれる。ポリマー形成に使用され、中和した酸含有モノマーであるモノマー総量の割合は、「中和度」として用いられる。典型的には、市販の吸収性ゲル化材料の中和度は、おおよそ25〜90%である。
以上に記述した吸収性ゲル化材料は、典型的には独立した粒子の形で使用する。このような吸収性ゲル化材料の望ましい形状は、どのような形状であっても良い(例えば、球状又は半球状、立方体、棒状多面体など)。また、最小寸法に対する最大寸法の比率が大きい形状(針及び薄片のような形状)も本明細書において用いることができる。塊状の吸収性ゲル化材料の粒子も使用することがある。
【0048】
吸収性ゲル化材料の粒子のサイズは、幅広い範囲で変えることができる。産業衛生上の理由から、約30ミクロンより小さい平均粒子サイズは望ましくない。また、最小粒子径が約2ミリ以上であると、吸収製品にごつごつ感が生じ、消費者に与える美学的見地から望ましくない。更に、流体吸収率は粒度の影響を受けることがある。大きな粒子は吸収率を大いに減少させる。本明細書に用いるのに好ましいのは、実質的に全ての粒径が約30ミクロン〜約2mmである吸収性ゲル化材料粒子である。本明細書で使用する時「粒径」とは、個々の粒子の最小径の加重平均値を指す。
本発明に基づく製品、特に使い捨て吸収製品中の吸収性ゲル化材料粒子の量は、典型的には5〜250gm-2、好ましくは7〜150gm-2、更に好ましくは10 〜100gm-2である。
アニオン性吸収性ゲル化材料は、本発明の利点を更に高めるように、好適には本明細書のカチオン性多糖類及びシリカの表面に使用する。事実、アニオン性吸収性ゲル化材料は、典型的には酸性であるため、カチオン性多糖類のカチオン特性、即ち臭気抑制特性及び流体処理特性を高めると考えられている。
【0049】
有益なことに、吸収製品内で、本明細書に記載したようなアニオン性吸収性ゲル化材料、即ち合成アニオン性吸収性ゲル化材料(典型的には中和度が25〜90%)を、カチオン性多糖類、特にキトサン材料の表面に加えることによって、水だけでなく経血などの電解質含有溶液に対する優れた流体吸収能力が得られる。
更に、吸収製品内で、本明細書に記載したようなアニオン性吸収性ゲル化材料、即ち合成アニオン性吸収性ゲル化材料(典型的には中和度が25〜90%)を、カチオン性多糖類、特にキトサン材料の表面に使用することによって、流体吸収時に高いゲル化力が得られる。更に言えば、この組合せは、負荷条件下の吸収能力を向上させ、再湿潤及び濡れを低減させ、従って快適性を高める。
有益なことに、アニオン性合成吸収性ゲル化材料が本発明の臭気抑制系(即ち、カチオン性多糖類及びシリカ)の表面に存在することで、最適な流体吸収及び、典型的には体液に起因する悪臭に対する最適な臭気抑制が得られる。
【0050】
任意のpH緩衝剤
本明細書の製品は、更にpH緩衝剤又はその混合物を任意成分として包含することができる。
こうしたpH緩衝剤の存在は、本明細書によるシステムの臭気抑制及び流体処理特性を維持することにつながる。本明細書に記載のpH緩衝剤は、シリカがカチオン性多糖類、特にキトサン材料のカチオン特性を更に高め、本発明の製品のユーザーによる着用が長時間にわたった場合にこれらの特性を維持するのを助けると考えられている。こうしたpH緩衝剤の存在は、シリカ及びカチオン性多糖類が架橋されない状態で使用される場合に特に好適である。
本明細書で使用する時「pH緩衝剤」とは、溶液に加えられた場合、酸又はアルカリの添加によってもその溶液の水素イオン濃度が変化しないようにすることができるあらゆる化合物を指す。
本明細書に用いるのに好ましいpH緩衝剤は、pHが3.5〜6.5の酸性のpH緩衝剤である。即ち、本明細書で用いるpH緩衝剤は、(調整剤が1種類のみであれば)pKaが、又は少なくともひとつの調整剤のpKaが3.5〜6.5、好ましくは4〜6、更に好ましくは5〜6である弱酸と、その共役塩基を包含する。
【0051】
pKaは、下記の公式によって求める。
pKa=−logKa
Kaは水中における弱酸の解離定数であり、下記の公式によって求める。
[A-][H+]/[HA]=Ka
HAは酸であり、A-は共役塩基である。
本明細書で使用する時「共役塩基」とは、本明細書における弱酸(HA)に対応する塩基(A-)を指す。この共役塩基は、本明細書に記載の弱酸にアルカリ性物質を加えることによって得ることができる。本明細書に用いるのに好適なアルカリ性物質は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び/又は水酸化リチウム及び/又はナトリウム及び/酸化カリウムなどのアルカリ金属オキシドといった苛性アルカリである。好ましいアルカリ性物質は苛性アルカリであり、さらに好ましくは水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである。あるいは、共役塩基はそれ自体市販されているものであってもよく、本明細書に記載の弱酸に直接添加してもよい。
典型的には、本明細書によれば弱酸(HA)及びその共役塩基(A-)は下記の公式に従って均衡状態にある。
【0052】
【数1】
【0053】
典型的には、本明細書におけるpH緩衝剤は、本明細書に記載の弱酸及びその共役塩基からなり、弱酸とその共役塩基の重量比は好ましくは0.1:1〜10:1、更に好ましくは0.2:1〜5:1である。きわめて好ましい弱酸とその共役塩基の比率は1であり、これが最適な緩衝作用をもたらす組合せである。
好ましくは、本明細書で用いる任意のpH緩衝剤は、pKaに対するpHがpH=pKa−1からpH=pKa+1までの媒質を緩衝するために用いられる。例えば、クエン酸/クエン酸塩は、pHが3.74〜5.74の媒質(pKa2=4.74)を緩衝するのに特に好適である。発汗、経血及び尿などの体液排泄物は、初期のpHが5〜6.5である。吸収製品内で体液が古くなるにつれ、そのpHは微生物の分解作用によって徐々にアルカリ性になる傾向を有する。体液は、酸性のpH緩衝剤によって酸性になり、緩衝される。
本明細書に用いるのに好適で、少なくともpKaの1つが3.5〜6.5である弱酸には、クエン酸(pKa1=3.06、pKa2=4.74)、シュウ酸(pKa2=4.19)、酒石酸(pKa1=2.99、pKa2 =4.34)、フタル酸(pKa1=2.89、pKa2=5.41)、酢酸(pKa=4.74)、安息香酸(pKa=4.20)、グルタル酸(pKa1=4.34、pKa2=5.22)、アジピン酸(pKa1=4.4、pKa2=5.28)及び/又は炭酸(pKa=3.8)が挙げられる。
【0054】
本明細書に用いるのに特に好適なpH緩衝剤は、クエン酸/水酸化ナトリウム、クエン酸/クエン酸ナトリウム、クエン酸/クエン酸カリウム、シュウ酸/シュウ酸ナトリウム、酒石酸/酒石酸水素カリウム、シュウ酸/テトラシュウ酸カリウム二水和物、フタル酸/フタル酸カリウム、フタル酸/フタル酸ナトリウム、酢酸/酢酸ナトリウム、安息香酸/安息香酸ナトリウム、グルタル酸/グルタル酸ナトリウム、アジピン酸/アジピン酸ナトリウム、炭酸/炭酸ナトリウム及びこれらの混合物である。本明細書に用いるのに好ましいpH緩衝剤は、クエン酸/クエン酸ナトリウム、クエン酸/クエン酸カリウム、クエン酸/水酸化ナトリウム、シュウ酸/シュウ酸ナトリウム、酒石酸/酒石酸水素カリウム、シュウ酸/テトラシュウ酸カリウム二水和物であり、最も好ましくはクエン酸/クエン酸ナトリウム、クエン酸/水酸化ナトリウム及び/又はクエン酸/クエン酸カリウムである。本明細書に用いるのにきわめて好ましいpH緩衝剤は、クエン酸及び水酸化ナトリウムである。
【0055】
こうした酸性のpH緩衝剤は、体液が古くなっても、即ち着用者の製品着用時間が長くなっても、本明細書におけるキトサン材料のカチオン性を更に高め、維持することによって、本発明に利点をもたらす。
典型的には、使い捨て吸収製品のような製品は、酸性のpH緩衝剤を0.1〜250gm-2、好ましくは1〜150gm-2、更に好ましくは10〜100gm-2、最も好ましくは30〜80gm-2包含する。
【0056】
任意の臭気抑制剤
本目的上、当業界において既知の追加的な臭気抑制剤又はその組み合せも、本明細書で使用してよい。
これらの臭気抑制剤は、典型的には抑制する臭気の種類に基づいて分類することができる。あるいは、臭気抑制剤は悪臭の感知力を減少又は防げる機構により分類することもある。また、本明細書において使用できる臭気抑制剤には、例えば、臭気化合物、又は悪臭分解物を生成する化合物と化学的に反応することで、臭気のない化合物を生み出すか、あるいは消費者に受け入れられる臭気にするものがある。
本明細書に用いるのに好適な臭気吸収剤としては、典型的には活性炭、粘土、ゼオライト、珪藻土及びシクロデキストリンが挙げられる。こうした臭気抑制剤及び抑制系に関する詳細は、本明細書に後述されており、例えば欧州特許第A−510,619号、WO91/12029号、WO91/11977号、WO91/12030号、WO81/01643号及びWO96/06589号に開示されている。本明細書に用いるのにきわめて好ましい追加の臭気抑制剤はゼオライトである。
【0057】
本明細書での好ましい実施形態において、吸収製品は、シリカ対ゼオライトの重量比が1:5〜5:1の範囲内で、好ましくは3:1〜1:3、最も好ましくは約1:1で、シリカの表面にゼオライトを包含する。この組み合わせは、幅広い臭気化合物の臭気を抑制できる点で特に有効であることが分かっている。シリカ及びゼオライトは、様々な臭気化合物に対して補足的な臭気抑制特性を有しており、更に全体的な臭気低減効果を増大させる。
好適な臭気抑制剤にはキレート化剤が挙げられ、例えば米国特許第4,356,190号に記載されているようなエチレンジアミンテトラアセテートなどのアミノカルボン酸塩、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)などのアミノホスホン酸、米国特許第3,812,044号に記載されているような多官能価置換芳香族キレート化剤及びこれらの混合物から選択してよい。理論に縛られずに述べれば、これらの材料の利点は、ある部分では、吸収された流体に存在する鉄、銅、カルシウム、マグネシウム及びマンガンイオン及びキレート形成による分解産物を除去する例外的な能力によるものと考えられている。
【0058】
代替的な臭気抑制剤は、米国特許第4,289,513号及び米国特許第3,340,875号に記載されているようなイオン交換樹脂である。
香料のようなマスク剤も、本明細書において臭気抑制剤として使用される。
典型的には、使い捨て吸収製品のような製品は、追加的な臭気抑制剤又はこれらの混合物を0.5〜600gm-2、好ましくは5〜500gm-2、更に好ましくは10〜350gm-2、最も好ましくは20〜200gm-2の含有量で包含することができる。
【0059】
吸収製品
カチオン性多糖類及びシリカは、当業界で開示されているいずれかの方法を用いて吸収製品に組み込むことができる。この方法には、例えば吸収製品のコア上に層を重ねる方法、又は吸収性コアの繊維内に混合する方法がある。
カチオン性多糖類、シリカ及び任意の吸収性ゲル化材料は、好ましくは2層のセルロースティッシュの間に組み込まれる。任意には、これらの材料からなる系は2層のセルロースティッシュの間に、例えば熱融解接着剤又はWO94/01069号に記載のあらゆる好適な接着系を用いて結合させる。
本発明の1つの実施態様において、カチオン性多糖類、シリカ及び/又は任意の吸収性ゲル化材料及び/又はその他の任意成分は、WO94/01069号又はイタリア特許第TO93A,001,028号の開示に従って、層構造に組み込まれる。イタリア特許第TO93A,001,028号は、WO94/01069号に実質的に記載されている層構造を記載しているが、本発明にも任意成分として組み込まれる繊維層(120gm-2 )間に位置する中間層に、はるかに多量の吸収性ゲル化素材を包含する点が異なる。この中間層は、熱可塑性材料として特にポリエチレン粉末を包含し、これがカチオン性多糖類、シリカ及び追加の任意成分と混合される。次に、この混合物を熱し、ポリエチレンを融解させてラミネート層同士を接着する。接着剤のラインは好ましくはラミネートの端部に配置し、ラミネートの端部が接着してカチオン性多糖類、シリカ及び任意の吸収性ゲル化材料及び/又はその他の任意成分がラミネートの外部に洩れないようにする。
【0060】
あるいは、ラミネート層及び/又は構成要素同士を接着するため、ポリエチレン粉末の代わりに従来の接着剤、例えばATO Findleyが市販しているH20−31(登録商標)という商品を使用することができる。有益なことに、この方法によってポリエチレン粉末を使用した場合に必要となる加熱工程を避けることができる。
カチオン性多糖類及びシリカは、吸収製品全体に、又はトップシートの少なくとも1層に、又はバックシートの少なくとも1層に、又はこれらの混合物に、均一又は不均一に、一緒に又は別々に分布させることができる。カチオン性多糖類及びシリカは、望ましい1つ又は複数の層の表面全体、あるいは配置する層の表面の1つ又は複数の領域(例えば、吸収製品の層の中心領域及び/又は周辺領域(端部など))、あるいはこれらの組み合せにおいて、均一又は不均一に分散させることができる。
【0061】
本発明の実施態様には、流体/排泄物の少なくとも一部がカチオン性多糖類、好ましくはキトサン材料と接触する前にこれと接触するようにシリカを配置するものもある。典型的には、シリカはトップシートに面して、又はトップシートそのもの(好ましくは二次トップシート)の中に配置し、カチオン性多糖類はシリカよりトップシートから遠い位置に配置する。本発明のある実施態様においては、シリカはトップシート層の少なくとも1層に配置し、カチオン性多糖類、典型的にはキトサン材料はコアに配置する。本明細書における別の実施態様においては、シリカはコアの中に配置し、カチオン性多糖類はバックシートに面して、又はバックシートそのもの(好ましくは二次バックシート)の中に配置する。
【0062】
吸収性ゲル化材料が存在する本明細書の好ましい実施態様において、吸収性ゲル化材料及びシリカは、体液/排泄物の少なくとも一部がカチオン性多糖類と接触する前に、前記吸収性ゲル化材料及びシリカと接触するように配置する。本明細書のきわめて好ましい実施態様において、吸収性ゲル化材料及びシリカはコアの中に配置し、カチオン性多糖類、典型的にはキトサン材料は、吸収性ゲル化材料及びシリカよりトップシートから遠い位置に配置する。例えば、吸収製品のコアとしてラミネートが使用される場合、吸収性ゲル化材料及びシリカはラミネートの2層間に均一に混合して分散させることができ、カチオン性多糖類は、いずれかの面のラミネートの下層(バックシートに面する層)に塗布することができる。これは、層の表面にカチオン性多糖類含有溶液を噴霧することで行うことができる。これを実行することは、最適な臭気抑制特性と最適な流体処理、即ち漏れや再湿潤を起こすことなく最適な臭気及び流体の吸収力及び保持力を得ることができる点で特に有益である。カチオン性多糖類はゲル化特性を有するため、バックシートに面していわゆる不透過層を形成する傾向をもち、それによってあらゆる漏れを防ぐ。
【0063】
その他の実施態様において、カチオン性多糖類及びシリカは、様々な層に共に無作為に配置することができる。即ち、カチオン性多糖類及びシリカは全てトップシート層及びコアに分布させる。
カチオン性多糖類及びシリカ、並びに存在するならば任意の吸収性ゲル化材料は、粉末、顆粒として組み込むこともできれば、例えば多糖類含有溶液及び/又はシリカ含有溶液の形状で吸収製品内部に噴霧することもできる。顆粒又は微粒子の形状で使用する場合、カチオン性多糖類(例えばキトサン材料)及びシリカ、並びに任意の吸収性ゲル化材料は、別々に顆粒状にしてから混合することもできれば、一緒に顆粒状にすることもできる。
本発明による好適な使い捨て吸収製品は、以下に記述する成分を包含する。
【0064】
吸収性コア
本発明に従って、吸収性コアは(a)好ましくは任意の第2流体分配層を含む任意の第1流体分配層、(b)流体貯蔵層、(c)貯蔵層の下に配置される任意の繊維性(「ダスティング」)層及び(d)その他の任意成分を含むことができる。本発明に従って、吸収性コアは消費者の要望に基づいていずれの厚みを有することもできる。
【0065】
a.第1及び第2流体分配層
本発明の吸収性コアの任意成分のひとつは、第1流体分配層及び第2流体分配層である。第1流体分配層は典型的にはトップシートの下に配置し、トップシートと流体を受け渡しできる状態にする。トップシートは、受け取った流体を貯蔵層へ最適に分散させるために、この第1流体分配層に移送する。この第1流体分配層を通す流体の移送は、厚みの方向だけでなく、吸収製品の長さ及び幅の方向に沿っても行われる。また、任意ではあるが、あると好ましい第2分配層は、典型的には第1分配層の下に配置し、第1分配層と流体を受け渡しできる状態にある。この第2分配層の目的は、第1分配層からの流体を直ちに受け取り、下にある貯蔵層に迅速に移送することである。これにより、下にある貯蔵層の流体保持能力を助け、利用率を高める。流体分配層は、このような分配層に典型的ないずれの材料からも構成されることができる。特に繊維性の層は濡れたときでも繊維間に毛管を保つため、分配層として有用である。
【0066】
b.流体貯蔵層
典型的には第1又は第2流体分配層の下に配置し、これらの層と流体を伝達する状態にあるのが流体貯蔵層である。流体貯蔵層は、カチオン性多糖類(及びシリカ)及び任意の通常の吸収材料を包含することができる。好ましくは、カチオン性多糖類及び任意の吸収性ゲル化材料を、好適な担体とともに包含する。
好適な担体には、一般的に吸収構造に使用する材料が含まれる。ここには天然繊維、部分加工繊維、又は合成繊維が含まれ、特に、綿毛及び/又はティッシュの形態の部分加工又は非加工のセルロース繊維が挙げられる。生理用ナプキン及びパンティライナとして使用するとき、最も好ましいのはティッシュまたはティッシュラミネートである。
本発明に従って実施する吸収構造の実施態様は、ティッシュを折り畳んで形成する2層ティッシュラミネートから構成される複数の層を有することがある。これらの層は、例えば、接着剤、機械連動機、又は水素結合バンドにより、互いに接合することができる。カチオン性多糖類(及びシリカ)及び任意の吸収性ゲル化材料は、層の間に具備することができる。
【0067】
剛化したセルロース繊維のような部分修飾セルロース繊維も使用することができる。また、合成繊維も使用することができ、ここには、酢酸セルロース、フッ化ポリビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル(オーロンなど)、酢酸ポリビニル、不溶性ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル、2成分繊維、3成分繊維、これらの混合物などから製造したものが含まれる。繊維の表面は親水性であるか、あるいは親水性に処理しているものが好ましい。また、貯蔵層は液体保持性を高めるために、パーライト、珪藻土、バーミキュライトなどのような充填材を含むこともできる。
カチオン性多糖類及び任意の吸収性ゲル材料が担体内で不均一に分散される場合でも、貯蔵層は部分的に均一であることができ、つまり、貯蔵層の寸法内で一方向または複数の方向に分配勾配を有することができる。カチオン性多糖類及び、任意には吸収性ゲル材料を部分的または全体的に包んでいる担体のラミネートにより、不均一な分散がもたらされることもある。
【0068】
c.任意の繊維性(「ダスティング」)層
本発明の吸収性コアに含まれる任意の成分には繊維性層があり、貯蔵層に隣接して、典型的にはその下に配置する。この貯蔵層の下に配置する繊維性層は、典型的には「ダスティング」層と呼ばれる。それは、この層が吸収性コアの製造中に貯蔵層内に吸収性ゲル化材料を配置するための基材を提供するためである。実際、吸収性ゲル化材料が繊維、シート、又はストリップのような巨大構造の形態である場合には、この繊維性「ダスティング」層を包含する必要はない。しかし、この「ダスティング」層は、例えば、パッドの長さに沿って流体を迅速に吸い上げるような、いくらかの追加の流体処理能力を提供している。
【0069】
d.吸収構造のその他の任意成分
本発明による吸収性コアはその他の任意成分を含むことができ、これらは通常吸収ウェブの中に配置する。例えば、補強スクリムは、吸収性コアのそれぞれの層の中、又はそれぞれの層の間に配置することができる。このような補強スクリムは、分泌液輸送に対して界面バリアを形成しないような配置のものでなければならない。通常は熱接着により構造的に完全な状態にされるが、補強スクリムは通常は吸収構造に熱接着する必要はない。
【0070】
トップシート
本発明に従って、吸収製品は必須成分としてトップシートを有する。トップシートは単一の層又は多数の層を有することができる。好ましい実施態様において、トップシートは、トップシートの着用者側表面を提供する第1層及び、その第1層と吸収構造/コアとの間にある第2層(2次トップシート)を具備する。
トップシートは全体として柔軟で柔らかな感触を有し、着用者の皮膚に刺激がないことが求められる。従ってトップシートの各層にもそれぞれこれらの性質が求められる。また、トップシートは1方向又は2方向に伸びることができる弾力特性を有することができる。本発明によれば、トップシートは、織及び不織布及びフィルムなど、この目的の為に入手可能であり、当該技術分野において既知のあらゆる材料から成形することができる。本発明の好ましい実施態様では、少なくともトップシートの一層、好ましくは上層は、疎水性で液体透過性の孔あきポリマーフィルムから構成される。好ましくは、上層は、液体を着用者に面する表面から吸収構造へ向かって移送しやすいように、孔を有するフィルム材料を備える。こうした孔あきポリマートップシートは、更に臭気抑制の利点ももたらす。下層は、存在するならば、好ましくは不織層、孔あき成形フィルム又は風成ティッシュを包含する。
【0071】
バックシート
バックシートは、主として、吸収構造中に吸収し保持された排泄物が、下着のパンツ、パンツ、パジャマ、下着などの吸収性製品に接触する物品を濡らすのを阻止する。バックシートは、好ましくは液体(例えば、経血及び/または尿)不透過性であり、好ましくは薄いプラスチックフィルムで製造するが、他の可撓性の液体不透過性材料を使用することもできる。本明細書で使用する用語「可撓性」は、柔軟で、人体の一般的な形状及び輪郭に容易に沿う材料に関して言う。バックシートは、弾力特性を有して、一または二方向に伸張可能にすることもできる。好ましい実施態様において、バックシートは、バックシートの下着側表面を提供する第1層及び、その第1層と吸収構造/コアとの間にある第2層(2次バックシート)を具備する。
バックシートは、通常、吸収構造全体にわたって広がり、好ましいサイドフラップ、サイド被覆要素、またはウィングに延びて、これらの一部または全体を形成することができる。
【0072】
バックシートは、織布材若しくは不織布材、ポリエチレン若しくはポリプロピレンの熱可塑性フィルム等のポリマーフィルム、または膜被覆不織布材等の複合材料を含むことができる。好ましくは、バックシートは、典型的には約0.012mm(0.5mil)〜約0.051mm(2.0mil)までの厚みを有するポリエチレンフィルムである。
代表的なポリエチレンフィルムは、オハイオ州シンシナティのClopay CorporationがP18−0401の名称で製造し、インディアナ州テレフォートのEthyl CorporationのVisqueen DivisionがXP−39385の名称で製造している。バックシートは好ましくはエンボス加工され、及び/又は艶消し仕上げされて、さらに衣類のような外観を提供する。更に、バックシートは、排泄物がバックシートを通過するのは防ぎ続けながら、蒸気を吸収構造から逃がすことを可能にする。即ち、通気性とすることができる。また、幾つかの層を含む通気性のバックシート、例えば、フィルムと不織布の構造を使用することもできる。通気性のバックシートは、本発明による臭気抑制の利点を更に高める一因となるため、本明細書において好ましい。本明細書において更に好ましいのは、使い捨て吸収製品が通気性バックシートと孔あきポリマーフィルムトップシートを兼ね備え、製品の臭気抑制性能を更に高めることである。
【0073】
臭気抑制試験
臭気の減少は、例えば、インビトロ(試験管内)臭気試験によって測定する。インビトロ臭気試験は、試験対象の成分を有する製品(参照製品を含む)が臭気成分含有溶液に接触したとき、これらの製品が発する臭気を専門採点者が分析する試験である。
専門採点者は、臭気の快適さ(不快さ)についての判断を、典型的には−10(最も不快度の高いレベル)〜5(最も快適)の快適(不快)度スケールを用いて表す。この方法では、試験を行った各採点者がMU(不快さ)を比較する。異なる製品から得た相対的MU臭気の値に数値が割り当てられる。例えば、試験において、別の試料より2倍の臭気の強さを感知した試料には、2倍大きい数値が割り当てられる。また、別の試料より10分の1の臭気の強さを感知した試料には、10分の1の数値が割り当てられる。各試験において、中立の快適さを示すために0が用いられ、臭気の相対的な快適さ及び不快さに対する比の割合で+及び−の数値が割り当てられる。
【0074】
インビトロ臭気試験を、経血の本質的な悪臭特性を再現した臭気成分含有溶液を用いて行ったところ、驚くべきことにこの試験において、キトサン(例えばキトソニウムピロリドンカルボン酸塩(Kytamer(登録商標))と、grace GmbHから入手可能なsilica gel 123(登録商標)の組み合わせが、これらの成分を同じ活性物質総量で単独で使用したときと比べて、相乗的に臭気の減少をもたらすことがわかった。実際に、2つの成分を組み合せた際の不快さの減少度は、各成分を同じ活性物質総量で単独で使用したときの不快さの減少度より高かった。不快さの値は、各試料について少なくとも15の試行(3製品、採点者5人)の平均値として得た値である。これらの結果は統計的に有意義であった。
あるいは、臭気の減少は、欧州特許第A−811,387号又はWO97/46191号に記述されているようなインビボ(生体内)臭気試験でも測定することができる。これらの特許文献は参照として本明細書に組み込まれている。
以下の実施態様により更に本発明を説明する。
【0075】
(実施例)
実施例A
以下の実施例で使用した女性用パッドは Procter & Gamble Company が市販している Always の製品である(Always は登録商標)。
女性用パッドはそれぞれ、穿孔カバーストックの周囲部の包装を、外部接着剤層を覆っているリリースペーパーの長手方向末端部にほぼ沿った底面で切断して開封した。次に、吸収繊維性コアの側面を、水不透過性プラスチック底面層をわずかにずらすことによって開き、繊維性コアをパッド自身の面に対して平行な面に沿ってほぼ同じ厚さになるように半分に分割した。キトサン材料及びシリカを繊維層2層の間に均一に配置した。
次に、水不溶性内部バックシートを元の位置に戻し、穿孔カバーストックの周囲部の包装を両面テープなどを用いて切断部分に沿って閉じた。
ここで用いたキトサン粉末材料は、Amerchol Corporation(Edison, New Jersey)から商品名Kytamer(登録商標) PCで購入できるキトソニウムピロリドンカルボン酸塩0.3gである。
ここで用いたシリカは、Grace GmbHから入手可能なSilica gel 123(登録商標)又はSyloblanc 82(登録商標)0.3gである。
【0076】
実施例B
実施例Aの方法に従いつつ、pH緩衝剤をキトサン材料の表面に加えることで、別のパッドを作成した。
キトサン材料2gとpH緩衝剤0.2gを蒸留水100gと混合し、キトサン及びpH緩衝剤含有溶液を調製した。溶液を室温(25℃)で一晩攪拌した。こうして得た溶液10gを繊維層の下半分に噴霧した。この繊維層をオーブンを用いて、40℃で一晩乾燥させた。シリカを繊維層2層の間に均一に配置した。その後、繊維層2層を接合し、吸収性コアを再構築した。
ここで用いたキトサン粉末材料は、Amerchol Corporationが市販しているKytamer(登録商標) PCという商品名のキトソニウムピロリドンカルボン酸塩である。
ここで用いたpH緩衝剤は、Aldrichが商品名Fixanal(登録商標)で市販している重量比が1:1のクエン酸/水酸化ナトリウム溶液(pH5)である。
ここで用いたシリカは、Grace GmbHから入手できるSilica gel 123(登録商標)又はSyloblanc 82(登録商標)0.2gである。
【0077】
実施例C
実施例Aの方法に従いつつ、ゼオライトをシリカ及びキトサン材料の表面に加えて、別のパッドを作成した。これらの3つの成分を繊維層2層の間に均一に配置した後、パッドを再構築した。
ここで用いたシリカは、Grace GmbHから入手できるSilica gel 123(登録商標)又はSyloblanc 82(登録商標)0.2gである。ここで用いたゼオライトは、Degussa AGから入手できるZeolite A, Wessalith CS、0.4gである。ここで用いたキトサン粉末材料は、Amerchol Corporationが市販しているKytamer(登録商標) PCという商品名のキトソニウムピロリドンカルボン酸塩である。
【0078】
実施例D
実施例Aの方法に従いつつ、キトサン及びシリカの単体の粉末の混合物を用いる代わりに、架橋キトサン−シリカ粉末を用いて、別のパッドを作成した。つまり、この粉末を繊維層2層の間に均一に配置した後に、パッドを再構築した。
キトサン1gとクエン酸0.5gを蒸留水100mlと混合して、架橋キトサン−シリカ粉末を調製した。この溶液を40℃で一晩加熱した。その後、シリカ1gをこの溶液に加え、室温(25℃)で一晩(10〜12時間)攪拌しつづけた。こうして得た溶液を濾紙(例えば、Schleicher & Schuell Dassel(ドイツ)が市販しているCircles 597(登録商標))を用いて濾過し、100℃で5時間乾燥させ、架橋キトサン−シリカの粉末を得た。クエン酸はFlukaが市販しているものである。ここで用いたキトサン粉末材料は、Amerchol Corporation(Edison, New Jersey)が市販しているKytamer(登録商標) PCという商品名のキトソニウムピロリドンカルボン酸塩である。ここで用いたシリカは、Grace GmbHから入手できるSilica gel 123(登録商標)又はSyloblanc 82(登録商標)である。
架橋キトサン−シリカ粉末0.5gを繊維層2層の間に均一に配置した。その後、繊維層2層を接合し、吸収性コアを再形成した。
【0079】
実施例E
実施例A、B、C及びDの方法にそれぞれ従いつつ、吸収性ゲル化材料(AGM)を、実施例A、B、C及びDで記載された成分の表面の繊維層2層の間に均一に分布させてパッドを再構築し、別のパッドを作成した。
ここで用いたAGMは、Dow Chemicalsから入手できる架橋ポリアクリル酸ナトリウムXZ 9589001、0.3gである。
【0080】
実施例F
実施例Aの方法にそれぞれ従いつつ、繊維性コアを半分に分割した後、吸収性ゲル化材料(AGM)及びシリカを、分割した繊維層の上層(即ち、トップシートの近くに配置する層)にそれぞれ均一に分布させ、キトサン材料を繊維層の下層(即ち、再構築したときパッドのバックシートの近くに配置する層)に均一に分布させて、別のパッドを作成した。次に、エアーレイドティッシュ層(低坪量の19mm×70mm)(供給元 Fripaより入手可能なコード又は商品名NCB Tissue HWS)を分割した2つの繊維層の間に配置した後、接合して吸収性コアを再形成する。繊維層2層の間にエアーレイドティッシュが存在することで、片側のAGM及びシリカともう片側のキトサン材料が直接接触するのを避けることができる。
ここで用いたAGMは、Dow Chemicalsが市販している(商品コード:XZ 9589001)架橋ポリアクリル酸ナトリウム0.3gである。
ここで用いたキトサン材料は、ニュージャージー州エジソンのAmerchol Corporationが市販しているKytamer(登録商標)PCという商品名のキトソニウムピロリドンカルボン酸塩0.3gである。
ここで用いたシリカは、Grace GmbHから入手できるSilica gel 123(登録商標)又はSyloblanc 82(登録商標)である。
【0081】
実施例G
実施例Aの方法に従いつつ、繊維性コアを半分に分割した後、キトサン含有溶液を調製して、分割した繊維層2層の下層(即ち、再形成したときパッドのバックシートの近くに配置する層)の内側に噴霧した。「内側に」とは、パッドを再構築する前に繊維層2層の間に均一に分布されるAGM及びシリカに近接する側にという意味である。
ここで用いたAGMは、Dow Chemicalsから入手できる架橋ポリアクリル酸ナトリウム(商品コード:XZ 9589001)0.3gである。ここで用いたシリカは、Grace GmbHから入手できるSilica gel 123(登録商標)又はSyloblanc 82(登録商標)である。
ここで用いたキトサン材料は、ニュージャージー州エジソンのAmerchol Corporationが市販しているKytamer(登録商標)PCという商品名のキトソニウムピロリドンカルボン酸塩0.3gである。
キトサン材料2gを蒸留水100gと混合して、キトサン含有溶液を調製した。この溶液を一晩、室温(25°C)で攪拌した。こうして得た溶液10gを、分割した繊維層の下層に噴霧した。この繊維層を一晩、40°Cのオーブンで乾燥させた。シリカ及びAGMを繊維層2層の間に均一に分布させる。その後、繊維層2層を接合し、吸収性コアを再形成した。
【0082】
実施例H
次の実施例で使用する婦人用パンティライナはProcter & Gamble(ドイツ)が製造している Always「Alldays Duo Active」を基に改良したパンティライナである。トップシートはフィルム/不織複合材料である(フィルムの供給元コードBPC 5105 CPM BP Chemical(ドイツ)。不織の供給元コードARBO TB/BI Mequinenza(スペイン))。コア材料は、55g/m2の坪量を有するエアレイされたティッシュの2層から構成されるティッシュラミネート(13.2cm×4.0cm)である( 供給元コード Unikay 303 LFとしてUnikay(イタリア)から入手可能 )。ティッシュ層2層間のラミネートは、キトサン材料とシリカを共に包含する。
バックシートは第1層及び第2層の2つの層から構成される。第1層は、吸収性ティッシュ及び第2層と接触する。第2層は、第1層及び着用者の下着と接触する。第1層は低密度ポリエチレン製の成形孔あきフィルム(CPT)である(供給元 Tredegar Film Products B.V.(オランダ)、製造コードX−1522)。第2層は不織ラミネート(13MB/16SB)から構成されている(製造元 Corovin GmbH(ドイツ)、商品名MD2005)。この不織ラミネートは16g/m2のスパンボンド及び13g/m2のメルトブロウンから構成される。バックシートの各層は、約8g/m2の坪量で広範囲に重なり合った螺旋状の接着剤により、表面全体に接合している。バックシート層を貼り付けるのに使用される接着剤は、SAVARE' SpA(イタリア)から供給している(商品コードPM17)。
【0083】
ここで用いたキトサン材料は、ニュージャージー州エジソンのAmerchol Corporationが市販しているKytamer(登録商標) PCという商品名のキトソニウムピロリドンカルボン酸塩0.2gである。ここで用いたシリカは、Grace GmbHから入手できるSilica gel 123(登録商標)又はSyloblanc 82(登録商標)0.2gである。
【0084】
実施例I
実施例Hに挙げたものに基づいて、キトサン材料及びシリカの表面にAGMを組み込んだ別のパンティライナを作成することができる。つまり、3種類の粉末を、ラミネートの2層間に均一に分布させた。ここで用いたAGMは、Dow Chemicalsが市販する(商品コードXZ 9589001)架橋ポリアクリル酸ナトリウム0.3gである。
上に実施例を示した全ての吸収製品は、経血などの体液に接触した場合に優れた臭気抑制効果及び流体処理効果を示した。
Claims (19)
- 液体透過性トップシート、バックシートおよびバックシートとトップシートの間にある吸収性コアを有する使い捨て吸収製品であって、
前記製品が、カチオン性多糖類とシリカとを組み合わせて含んでなることを特徴とする、使い捨て吸収製品。 - 前記製品が、生理用ナプキン、パンティライナ、タンポン、おむつ、失禁パッド、胸当て、発汗パッド、陰唇間パッドまたは身体洗浄製品から選択されるものである、請求項1に記載の使い捨て吸収製品。
- 前記カチオン性多糖類が、キトサン、キトサン塩、修飾キトサン、架橋キトサンおよびこれらの混合物から成る群から選択されるアミノ多糖類である、請求項1または2に記載の使い捨て吸収製品。
- 前記カチオン性多糖類が、脱アセチル化度75%以上のキトサン材料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収製品。
- 前記カチオン性多糖類が、クエン酸、ギ酸、酢酸、N−アセチルグリシン、アセチルサリチル酸、フマル酸、グリコール酸、イミノ二酢酸、イタコン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、ニコチン酸、サリチル酸、スクシンアミド酸、コハク酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタル酸、マロン酸、ピルビン酸、スルホニル二酢酸、安息香酸、エポキシコハク酸、アジピン酸、チオ二酢酸、チオグリコール酸、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリンフェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、グリシン、セリン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、イスチジン、ヒドロキシプロリン、ピロリドンカルボン酸のキトサン塩またはこれらの混合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨て吸収製品。
- 前記カチオン性多糖類またはその混合物を0.5〜500gm -2 含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使い捨て吸収製品。
- 純度100%に基づいて、シリカまたはその混合物を、5〜300gm -2 含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使い捨て吸収製品。
- 更に、ゼオライト、珪藻土、炭素、デンプン、シクロデキストリンおよびその誘導体、多孔質珪藻土、粘土、イオン交換樹脂、キレート化剤およびこれらの組合せから成る群から選択される追加の臭気抑制剤を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使い捨て吸収製品。
- 前記追加の臭気抑制剤またはその混合物を、0.5〜600gm -2 含む、請求項8に記載の使い捨て吸収製品。
- 前記追加の臭気抑制剤がゼオライトであり、シリカ対ゼオライトの重量比が、1:5〜5:1である、請求項8または9に記載の使い捨て吸収製品。
- pHが3.5〜6.5のpH緩衝剤を包含し、pKa(1つの場合)またはpKaの少なくとも1つが3.5〜6.5の弱酸およびその共役塩基を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使い捨て吸収製品。
- 前記pH緩衝剤がクエン酸/クエン酸ナトリウム、クエン酸/水酸化ナトリウムおよび/またはクエン酸/クエン酸カリウムである、請求項11に記載の使い捨て吸収製品。
- 前記酸性のpH緩衝剤を、0.1〜250gm -2 含む、請求項11または12に記載の使い捨て吸収製品。
- 更に吸収性ゲル化材料を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使い捨て吸収製品。
- 前記吸収性ゲル化材料またはその混合物の量が、5〜250gm -2 である、請求項15に記載の使い捨て吸収製品。
- 前記カチオン性多糖類およびシリカが、架橋シリカ−カチオン性多糖類として存在する、請求項1〜15に記載の使い捨て吸収製品。
- 前記カチオン性多糖類およびシリカが、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、アミノカルボン酸、アミノポリカルボン酸またはこれらの混合物から選ばれた架橋剤によって架橋されてなる、請求項16に記載の使い捨て吸収製品。
- 前記架橋剤が、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピロリン酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、グルタル酸、イタコン酸、リンゴ酸、マロン酸、メサコン酸、メチルコハク酸、シュウ酸、o−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸、コハク酸、α−酒石酸、メソ−酒石酸またはこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項17に記載の使い捨て吸収製品。
- 体からの排泄物および/または体液に起因する臭気を抑制する方法であって、
前記体の排泄物および/または体液を、カチオン性多糖類とシリカの組み合わせて含む臭気抑制系と接触させることからなることを特徴とする、方法。
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