JP4738582B2 - 光電変換素子用基板、その製造方法およびそれを用いた光電変換素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、太陽電池に代表される光電変換素子に有用な基板およびその製造方法、ならびにその基板を用いた光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
光電変換素子には、常により高い光電変換効率が要求されて続けており、その達成手段として、透過もしくは反射する光を屈折または散乱させて光電変換層における光路を延長することにより光電変換効率を高めるいわゆる光り閉じ込め効果を利用する技術が知られている。この光閉じ込め効果は、透過または反射する光を表面凹凸を設けた薄膜で屈折または散乱させることにより発揮される。したがって、その薄膜の凹凸形状により、光閉じ込め効果は大きく左右されることになる。
【0003】
また、光閉じ込め効果は薄膜の厚さや透過率または光の波長などによって最適条件が変動するため、薄膜の表面凹凸について、その最適形状が一概に決定されるわけではない。しかし、一般的には、光を屈折または散乱できる最小の大きさで、均一、かつ、緻密な表面凹凸が好ましいと考えられている。
【0004】
そこで、基板表面に均一な凹凸を成形する技術が種々開発されており、たとえば特開昭62−44573号公報には、つぎの方法が記載されている。化学気相成長法(CVD法)によりガラス板上に二酸化ケイ素の薄膜を成形する際に、薄膜の原料ガスを部分的に急激に反応させて二酸化ケイ素粒子を生成させ、この粒子を薄膜中に混入させて表面凹凸を成形する。この方法では、ケイ素含有気体(モノシラン)、酸化性ガス(酸素)および分離用ガス(窒素)が、それぞれ個別に用意されたノズルから供給され、ガラス板上の空間でモノシランと酸素とが反応して二酸化ケイ素の薄膜および粒子が生成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開昭62−44573号公報に記載の方法により製造された二酸化ケイ素の薄膜の表面形状は、大きさの異なる凸部が不均一に存在し、また巨大凸部が点在するものであって、均一、かつ、緻密という上記光閉じ込め効果の一般的好適条件を充たしているとは言えなかった。そのため、この薄膜を備えたガラス基板を光電変換素子に用いても、光閉じ込め効果は十分に発揮されなかった。
【0006】
この発明は、以上のような問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、基板に酸化スズを主成分とする薄膜を形成する場合において、光の屈折または散乱に有効な大きさの凸部を均一、かつ、緻密に成形する方法を提供することにある。さらには、その方法により製造された基板を用いて光閉じ込め効果を有効に発揮する光電変換素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の光電変換素子用ガラス基板の製造方法は、フロート法におけるスズ浴に浮いたガラスリボンに原料ガスを吹き付けて薄膜を形成する化学気相成長法(CVD法)でキャリアガスにヘリウムガスを、スズ原料にジメチルスズジクロライドを用い、薄膜を成形する際の基板の温度が550〜650℃において酸化スズを主成分とする薄膜を成形する光電変換素子用ガラス基板の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
酸化スズを主成分とする薄膜の成形には、化学気相成長法(CVD法)を用いる。CVD法において、酸化スズを主成分とする薄膜を公知の成形条件で成形すると、結晶核が随時生成して薄膜中に混入する。そして、酸化スズを主成分とする薄膜は結晶成長しながら堆積するため、それぞれの結晶核が随時放射状もしくはランダムな一方向に成長する。そのため、薄膜成形初期から成長した結晶と後期に発生した結晶が混在することになり、薄膜の表面凹凸が不均一化する。また、この薄膜の表面には、ドーム状すなわち頂上部が滑らかな凸部が観察される。
【0013】
しかし、薄膜成形途中での結晶核の生成を抑制すれば、薄膜成形初期に発生した結晶核から選択的に結晶成長が始まるため、薄膜の表面には均一、かつ、緻密な凸部が形成される。なお、この場合の凸部の外形は、直線的すなわち多角錘または台地状となることが知られている。したがって、上述の光閉じ込め効果の一般的好適条件からすれば、結晶核が薄膜成形途中で生成しないようにすることが好ましいように思われる。しかし、結晶核の生成を抑制した場合は、結晶成長も抑制されることになり、個々の凸部が小さくなり、光を十分に屈折または散乱させることができなくなる。
【0014】
そこで、酸化スズを主成分とする薄膜の成形において、結晶核を生成させずに結晶成長速度を速める製造条件について鋭意実験を繰り返した結果、本発明者らはつぎの知見を見い出すに至った。すなわち、CVD法においてキャリアガスにヘリウムを用いると、上記目的が達成される。なお、通常は、キャリアガスには窒素を使用する(たとえば、特開昭62−44573号公報の分離ガス)。
【0015】
キャリアガスにヘリウムを用いた場合に、薄膜成形途中で結晶核が生成しない理由および結晶成長速度が速くなる理由は明らかではないが、本発明者らはつぎのように思量している。ヘリウムガスは、分子量が小さいため分子運動速度が速く、原料ガスとの衝突回数が多い。そのため、原料ガス同士が気相中で反応して結晶核に成長することを阻害する。一方で、薄膜の成形段階では、ヘリウムガスは原料ガスと共に基板/薄膜表面に吹き付けられるが、分子量の小さいヘリウムガスが選択的に上昇して排出される。そのため、原料ガスが基板/薄膜の表面付近に溜まり易くなり、結晶成長が促進される。すなわち、ヘリウムガスには、基板/薄膜表面付近での原料ガスの濃度を高く維持する機能がある。さらに、ヘリウムガスは化学的安定性が極めて高いため、原料ガスとの間に化学的相互作用が働かず、薄膜の結晶成長を阻害しない。
【0016】
このようにヘリウムガスを用いると、薄膜の結晶成長速度が向上するため、結晶成長段階での基板の温度を低く設定することができる。具体的には、基板温度を550〜650℃に設定しても、十分な結晶成長速度を確保することができる。したがって、ヘリウムガスを用いることにより、製造時の基板の温度管理が容易になり、不良品が発生し難くなる。また、薄膜形成におけるエネルギー消費量を抑えることができる。
【0017】
酸化スズを主成分とする薄膜としては、酸化スズ薄膜のほかに、インジュウムをドープした酸化スズ(ITO)、または酸化チタン、フッ素もしくは塩素をドープした酸化スズの薄膜が例示される。これらのドープ成分は、とくに限定されるものではないが、酸化スズの結晶成長を著しく阻害するものでないことが条件とされる。このように酸化スズに異なる成分をドープすると、薄膜に新たな特性を付与することができる。たとえば、酸化チタンをドープすると、薄膜の可視光透過率が高まり、またフッ素をドープすると、赤外線反射率が向上する。
【0018】
この薄膜の原料ガスには、つぎのものを使用することができる。たとえば、四塩化スズ、モノブチルスズトリクロライド、ジメチルスズジクロライド(DMT)、ジブチルスズジクロライド、ジオクチルスズジクロライドなどである。これらの化合物の中では、有機スズ化合物(有機スズ塩化物)、とくにモノブチルスズトリクロライド、ジメチルスズジクロライドが好ましい。また、ITOの薄膜を成形する場合は、ジメチルインジウムクロライドが好ましい。なお、原料ガスには、酸素または酸化物が適量含まれている必要があり、酸化物としてたとえば水蒸気、一酸化炭素、二酸化窒素およびオゾンなどを使用することができる。また、上述のドープ成分として、フッ化水素、塩素または塩化水素を原料ガスに添加してもよい。
【0019】
この薄膜の形成される基板の種類はとくに限定されるものではなく、従来から光電変換素子用基板として用いられてきたガラス基板やステンレス鋼板など透過光型または非透過光型のどちらの基板でも用いることができる。また、この薄膜は、前記基板上に直接成形する場合に限らず、基板上に中間層を設けた後に成形されてもよい。さらに、酸化スズを主成分とする薄膜は透明導電膜として機能しうるため、この薄膜を光電変換層を挟み込むようにその両側に成形してもよい。透過光型/非透過光型のいずれの基板を用いる場合でも、この薄膜は、光の入射側に形成されることが好ましい。光の入射側に形成されることにより、光閉じ込め効果がより有効に発揮されるようになる。
【0020】
ガラス基板を用いる場合、この薄膜の成形方法は、フロート法におけるスズ浴に浮いたガラスリボンに原料ガスを吹き付け成形するいわゆるオンライン成形でもよいし、ガラスリボンを徐冷成形して適当な大きさに切断し、そのガラス板を再度加熱して原料ガスを吹き付け薄膜を成形するいわゆるオフライン成形でもよい。オンライン成形は同一品種の大量生産に適しており、一方オフライン成形は小ロット品の個別生産に適している。なお、ガラス基板には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が構成成分として多量に含まれており、これらアルカリ成分は酸化スズを主成分とする薄膜中に拡散し易く、そして薄膜中に拡散するとその電気抵抗値を高めることが知られている。そのため、ガラス基板を用いる場合は、基板上に予め中間層を設けておくことが好ましい。この中間層には、化学的安定性と高い透過率が要求されることから、二酸化ケイ素を主成分とするものが好適である。
【0021】
酸化スズを主成分とする薄膜を成形した後、その表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、そこに存在する凸部が薄膜成形途中で生成した結晶核を中心に結晶成長したものか、薄膜形成初期に生成した結晶核を中心に結晶成長したものかを判別することができる。
【0022】
上述のようにキャリアガスにヘリウムを用いた場合、光の屈折または散乱に有効に作用しうる凸部が均一、かつ、緻密に成形される。この場合の薄膜の表面をSEMで観察すると、輪郭が直線的で頂上部が明確な多角錘もしくは直方体のような角張った台地状の凸部が隙間なく緻密に形成されている様子が確認できる。ここで、前記凸部が光の屈折または散乱に有効に作用しうるものあるかを判別する基準として、その高さが100nm以上であることを採用する。これは、太陽光の主波長域が300〜800nmであることに由来する。すなわち、太陽電池においては高さ100nm未満の凸部は、前記主波長域とオーダーが異なるため、これらの波長域の光を屈折または散乱させる作用が弱く、素通りさせてしまうと考えられるからである。したがって、光閉じ込め効果を有効に発揮させるためには、凸部の高さは、少なくとも太陽光の主波長域と同じオーダーである必要があると考えられる。
【0023】
さらに、ここで高さ100nmの凸部の確認方法について明確に定義する。薄膜の表面形状には当然に場所によるバラツキがあり、またこのような微細形状の測定では測定方法によってその結果が異なることは周知の事実であるから、不要な疑義を予め払拭するためである。前記凸部の確認は、測定サンプルを傾斜30°の撮影台に乗せ、倍率×20,000で真上から撮影したSEM写真に基づいて行う。以下、後述する「実施例1」で製造した図1および「比較例1」で製造した図2を例に具体的に説明する。なお、図1および図2それぞれの(a)が倍率×20,000、(b)が倍率×45,000のSEM写真である。倍率×20,000の焦点の合った部分すなわち図1(a)であれば、写真の中心(対角線の交わる点)を通る平行線を基準として、左端、中央および右端の3カ所に1μm□(1×1μm)相当の枠を書き込む。そして、それぞれの枠内に存在する高さ100nm以上の多角錘または台地状の凸部の数を数える。この際、枠線にかかる凸部に関しては、その面積の半分以上が枠内に入っているときに限り、凸部としてカウントする。また、多角錘の高さは、左右両辺の最も低い位置同士を結びこれを基準線とし、頂点から前記基準線に引いた垂線の長さに基づいて判断する。一方、台地状の高さは、多角錘と同様に基準線を引き、複数の頂点からそれぞれ基準線に引いた垂線の中で最も長いものに基づいて判断する。この凸部の数は平均値を判断の基準とするため、上記1μm□相当の測定枠を少なくとも3カ所設ける必要がある。
【0024】
上述のキャリアガスにヘリウムを使用する方法によれば、その薄膜の表面には、高さ100nm以上の凸部が1μm□あたり平均20個以上確実に形成される。
【0025】
この酸化スズを主成分とする薄膜を備えた基板は、公知の手段により光電変換層と導電膜とを形成され、光電変換素子として利用される。そして、この光電変換素子は、光閉じ込め効果を有効に発揮する。
【0026】
【実施例】
以下、実施例によりこの発明をさらに具体的に説明する。ただし、以下の実施例に限定するものではない。
【0027】
〔酸化スズを主成分とする薄膜の成形方法〕
図3に記載の装置を用いて、ガラスリボン上にオンライン成形により酸化スズを主成分とする薄膜を成形した。図3は、フロート法によるシート状ガラスの製造装置の上流部分を簡略的に図示したものである。まず、ケイ砂などの通常のガラス原料を熔融窯11で加熱熔融し、その熔融ガラスを熔融スズ15で充たされた浴12中に導く。今回は、ガラスリボンに厚さ4mmのソーダライムガラスを使用する。ガラスはスズより比重が小さいため、浴中ではガラスリボン10は熔融スズ上に浮く。浴の内部は、窒素ガス98体積%と水素ガス2体積%との混合ガスで充たされ、大気圧よりもやや高圧に維持される。熔融スズ上に浮いたガラスリボンは、徐冷ライン13の方向に引っ張られ、その途中でコータ16a〜cにより、中間層(下地膜)および薄膜を形成される。コータ16は3機設けられており、上流側のコータ16aでは中間層(第一下地膜)として酸化スズの膜を、中央のコータ16bでは中間層(第二下地膜)として二酸化ケイ素の膜を、そして下流側のコータ16cでは酸化スズを主成分とする薄膜(光電変換素子では、透明導電膜として機能する)を成形する。前記の2層の下地膜は、ガラス中のアルカリ成分が透明導電膜中に拡散することを防ぐために設けるものである。コータ16a〜cの機械的構造はすべて同じであり、その内部構造を図4に簡略的に図示する。図4において、供給ノズル21から原料ガスとキャリアガスの混合ガスがガラスリボン10に向かって吹き付けられており、この混合ガスはガラスリボン上を伝わりながら排気口22に向かって流れる。このときガラスリボンは相当な高温状態にあり、その熱を利用して上記中間層(下地膜)および薄膜(透明導電膜)が形成(結晶成長)される。なお、図4中の「H」はガラスリボン表面とコータとの間隔すなわち空間高さを示すものであり、この「H」の最適値は供給する混合ガスの流量および排気流量との関係で適宜調整しながら見い出す必要がある。また、この図では、ガラスリボンは左から右に流れている。
【0028】
(実施例1)
コータ16aの直前でガラスリボンの表面温度が600℃となるように調整し、コータ16aの供給ノズルからDMT、酸素および窒素からなる混合ガスを500L/minの割合で供給した。このコータの排気バイアス(排気流量/供給流量)は1.2、空間高さHは8mmとした。こうして、ガラスリボンのトップ面に、厚さ約23nmの酸化スズの中間層(第一下地膜)を成形した。
つづいて、中央のコータ16bから、モノシラン、エチレン、酸素からなる混合ガスを500L/minで供給した。このコータの排気バイアスは2.0、空間高さHは12mmに設定した。そして、厚さ25nmの二酸化ケイ素からなる中間層(第二下地膜)を成形した。
さらに、下流側のコータ16cからDMT、酸素、水蒸気、フッ化水素およびキャリアガスとしてのヘリウムからなる混合ガスを500L/minで供給した。ここで、この混合ガスにおける各成分の流量は、つぎの通りである。DMT:175g/min、酸素:250L/min、水蒸気:150g/min、フッ化水素:1.2g/minおよびヘリウム:160L/minである。また、このコータの排気バイアスは2.5、空間高さHは6mmに設定した。そして、膜厚が約600nmのフッ素をドープした酸化スズの薄膜を成形した。
【0029】
このガラスリボンを徐冷した後、適当な大きさに切断してサンプルとした。このサンプルを傾斜30°の撮影台に乗せ、その表面形状を鉛直方向からSEMを用いて写真撮影した。その写真を図1に示す。
【0030】
図1(a)の倍率×20,000のSEM写真について、中心を通る平行線を引き、この平行線上の左端、中央および右端に1μm□相当の正方形の枠を3つ書き込んだ。そして、その枠内に存在する高さ100nm以上の凸部(多角錘および台地状突起)の個数を数えた。その結果、左端の枠には20個、中央の枠には18個、右端の枠には28個の凸部が存在していた。したがって、この薄膜表面の凸部の平均個数は1μm□あたり22個である。
【0031】
(比較例1)
実施例1において、コータ16aの直前でのガラスリボンの表面温度が670℃となるように調整し、コータ16cで用いる混合ガスを下記の通りとした以外は同様にして、フッ素をドープした酸化スズの薄膜を備えたガラス基板を製造し、サンプルを得た。DMT:135g/min、酸素:250L/min、水蒸気:150g/min、フッ化水素:1.2g/minおよびキャリアガスとして窒素125L/minである。
【0032】
このサンプルを傾斜30°の撮影台に乗せ、その表面形状を鉛直方向からSEMを用いて写真撮影した。その写真を図2に示す。
【0033】
図2(a)について、実施例1と同様に凸部の個数を数えた。その結果、左端の枠には20個、中央の枠には16個、右端の枠には19個の凸部が存在していた。したがって、この薄膜表面の凸部の平均個数は1μm□あたり18個である。
【0034】
また、図1と図2を対比観察することにより、つぎのことが判る。
実施例1のフッ素をドープした酸化スズの薄膜には、高さ100nm以上の凸部が均一、かつ、緻密に形成されており、その殆どの凸部の輪郭が直線的である。また、ドーム状の凸部は存在しない。これは、薄膜成形途中で結晶核が生成することなく、速い速度で薄膜の結晶成長が起こったことを示している。
【0035】
一方、比較例1のフッ素をドープした酸化スズの薄膜には、高さ100nm以上の凸部が点在し、それ未満の小さな凸部が無数に存在しており、凸部が不均一に形成されている。また、高さ100nm以上の凸部の半分程度がドーム状である。これは、薄膜成形途中で結晶核が生成し、その結晶核を中心として結晶成長が進んだことを示している。
【0036】
したがって、実施例1のフッ素をドープした酸化スズの薄膜を備えるガラス基板によれば、光電変換素子として利用した場合に、光閉じ込め効果が有効に発揮されることが容易に推測される。
【0037】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、つぎのような効果を奏する。
【0038】
請求項1に記載の発明によれば、オンラインCVD法でキャリアガスにヘリウムガスを、スズ原料にジメチルスズジクロライドを用い、薄膜を成形する際の基板の温度が550〜650℃において酸化スズを主成分とする薄膜を成形ので、太陽光の主波長域を効果的に屈折または散乱させる凸部を酸化スズを主成分とする薄膜の表面に均一、かつ、緻密に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造したフッ素をドープした薄膜の表面を撮影したSEM写真である。
【図2】比較例1で製造したフッ素をドープした薄膜の表面を撮影したSEM写真である。
【図3】CVD法によりガラスリボン上に薄膜を成形する装置の一例を示す図である。
【図4】図3の装置の要部拡大図である。
【符号の説明】
10 ガラスリボン
11 熔融窯
12 浴
13 徐冷ライン
15 熔融スズ
16 コータ
21 供給ノズル
22 排気口
Claims (1)
- フロート法におけるスズ浴に浮いたガラスリボンに原料ガスを吹き付けて薄膜を形成する化学気相成長法(オンラインCVD法)でキャリアガスにヘリウムガスを、スズ原料にジメチルスズジクロライドを用い、薄膜を成形する際の基板の温度が550〜650℃において酸化スズを主成分とする薄膜を成形することを特徴とする光電変換素子用ガラス基板の製造方法。
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