JP4731980B2 - ステロール類の晶析方法およびそのシステム - Google Patents
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Description
晶析操作としては、溶液を徐々に冷却することにより結晶を析出させる冷却晶析法、溶媒を蒸発させることにより結晶を析出させる蒸発晶析法、あるいは溶液に精製対象となる溶質の溶解度が低い溶媒を添加する貧溶媒晶析法などが知られている。また、晶析に用いられる装置としては、冷却用のジャケットと撹拌装置を備えたバッチ式の晶析槽のほか、塔型晶析装置を用いる連続式の晶析方法が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
(1)本発明のステロール類の晶析方法は、
(a)ステロール類を含有する有機溶媒溶液を塔型晶析装置の装置下部より連続的に供給し、(b)前記塔型晶析装置の上部に設けた冷却部にて前記ステロール類を結晶化させて沈降させ、(c)前記装置下部からその結晶化させたステロール類を回収する、ステロール類の晶析方法において、さらに、(d)ステロール類が結晶化した後の前記有機溶媒溶液を前記塔型晶析装置の上部に設けた流出部から流出させ、(e)前記流出させた有機溶媒溶液の少なくとも一部を水と接触混合させた後、再度前記塔型晶析装置内に導入することを特徴とする。
(2)本発明の前記有機溶媒は、さらに、比重0.9以下の非水溶性の有機溶媒であることを特徴とする。
(3)本発明の前記有機溶媒は、さらに、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはこれらの混合物であることを特徴とする。
(4)本発明の前記流出した有機溶媒溶液を接触させる水は、さらに、40〜80℃の温水であることを特徴とする。
(5)本発明の前記流出した有機溶媒のうち、装置内に戻す液量の割合は、さらに、流出液量の3%〜30%であることを特徴とする。
(6)本発明の晶析システムは、(a)装置下部に設けられた、ステロール類を含有する有機溶媒溶液を連続的に供給するための供給部、(b)装置上部に設けられた、前記ステロール類を結晶化させて沈降させるための冷却部、(c)装置下部に設けられた、前記結晶化させたステロール類を回収するための回収部、(d)装置上部に設けられた、ステロール類が結晶化した後の前記有機溶媒溶液を前記装置から流出させる流出部、を備えた塔型晶析装置を含んでおり、前記晶析システムは、さらに、(e)装置の外部に接続された、前記流出させた有機溶媒溶液の少なくとも一部を水と接触混合させた後に再度、前記装置内に導入する外部還流部を備えたことを特徴とする。
(7)本発明の前記(e)外部還流部は、さらに、
(e−1)前記混合物の温度を制御する温度制御部および/または、
(e−2)前記混合物を装置内に導入する流量を制御する流量制御部、
を含むことを特徴とする。
本発明で用いるステロール類としては、コレステロール、デスモステロール、7−デヒドロコレステロール、α−シトステロール、β−シトステロール、ジヒドロ−β−シトステロール、γ−シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、22−ジヒドロエルゴステロール等が挙げられる。以下の説明では、本発明の「ステロール類」の一実施形態としてエルゴステロールを例示する。
本発明で用いられる塔型晶析装置の一例を図1に示す。エルゴステロールを含有する有機溶媒溶液は、装置下部に備えられた本発明の「供給部」の一実施形態としてのノズル1より供給される。供給された液は上部に設けられた冷却部2を通過する際に冷却され、エルゴステロールが析出、沈降する。冷却部2は、冷却用のジャケットを備えている。冷却水は、冷却水入口18から流入してジャケット内を通過し、冷却水出口16より流出する。エルゴステロール析出のための冷却は、冷却水による方法に限らず、その他の電気的な方法等を利用することも可能である。冷却部2については壁面への結晶の付着を防止するために、必要に応じてかきとり板付きの撹拌装置を備えることもできる。撹拌機は、撹拌機モーター10によって制御される。
本発明の有機溶媒としては、結晶が装置内を沈降する際に精製度を高め、かつその形状をろ過性の良い凝集結晶とするために適切なものを使用することができる。有機溶媒の例として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、またはこれらの混合物が挙げられる。適切な有機溶媒は、例えば晶析の対象となるステロール類、必要な精製度、または必要な結晶の形状等に基づいて選択することできる。
混合槽6において、流出した有機溶媒溶液と接触させる水は、低温であると有機溶媒に十分に水を含有させることができないと同時に、混合槽内で溶液中のエルゴステロールが析出するという問題を生じる。一方、高温であるとより多く有機溶媒に水を含有させ、装置内に戻すことができるが、装置内の水分量が多くなりすぎるとエルゴステロールの結晶形状が針状に変化してしまう問題を生じる。また、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの非水溶性の有機溶媒は水と共沸点を持つ。ヘキサンでは約61℃、ヘプタンでは約79℃、オクタンでは約90℃である。共沸点を越えると、混合槽内の水が蒸発により失われるため、好ましくない。従って、混合槽内で有機溶媒と接触させる水は40〜80℃の温水であることが好ましいが、より好ましい値は溶媒により異なる。例えばヘキサンの場合は上記の共沸点より低い、40〜60℃がより好ましい値となる。
温度60℃、濃度3g/Lのエルゴステロール/ヘキサン溶液を内径40mm、高さ630mm、上端冷却部長さ210mmの塔型晶析装置に連続的に供給し、エルゴステロールの晶析をおこなった。晶析装置の操作は、冷却部ジャケット(冷却部2)温度2℃、晶析装置の撹拌機モーター撹拌回転速度60rpm、ノズル1からの液供給速度10ml/分、平均滞留時間約60分でおこなった。上部ノズル5から流出した液は、混合槽6にて40℃の温水と接触混合させた。混合槽6内には、所望の晶析操作中に無くならない程度の十分な量の水を蓄積させておくものとするが、必要に応じて混合槽6内に水を追加してもよい。この接触混合により、エルゴステロール/ヘキサン溶液は水を溶解する。溶解する水分量は、エルゴステロール/ヘキサン溶液の飽和溶解度に基づいて決定されうる。
(HPLC測定条件)
カラム:ナカライテスク COSMOSIL 5C18−MS
250mm×4.6mmI.D.
カラム温度:35℃
移動相:メタノール
送液速度:1.0ml/min
検出器:UV検出器 検出波長282nm
(実施例2)
実施例2では、上部ノズル5から流出した液と接触混合させる温水の温度を50℃としたほかは、実施例1と同様にしてエルゴステロールの晶析をおこなった。約1時間連続運転後、上部ノズル5の液出口のエルゴステロール濃度をHPLCで測定したところ、0.62g/Lであり、この時点での回収率は79%(=100×(3−0.62)/3)と計算された。さらに2時間連続運転後、液出口のエルゴステロール濃度を測定したところ、0.84g/Lであり、72%(=100×(3−0.84)/3)のエルゴステロールが回収されていることがわかった。さらに30分後、液出口のエルゴステロール濃度を測定したところ、0.86g/Lであり、安定的に運転されていることが確認できた。なお、得られた結晶は凝集結晶であった。
比較例1として、上部ノズル5から流出した液を装置に戻さないほかは、実施例1と同様にしてエルゴステロールの晶析をおこなった。約1時間連続運転後、上部ノズル5の液出口のエルゴステロール濃度をHPLCで測定したところ、1.01g/Lであり、この時点での回収率は66%(=100×(3−1.01)/3)と計算された。さらに2時間連続運転後、上部ノズル5の液出口のエルゴステロール濃度を測定したところ、1.23g/Lであり、回収率は59%(=100×(3−1.23)/3)と低かった。さらに30分後、上部ノズル5の液出口のエルゴステロール濃度を測定したところ、1.32g/Lとなっており、回収率は56%(=100×(3−1.32)/3)まで低下していた。得られた結晶は形状がはっきりせず、溶液を白濁させた。
2 冷却部
3 スラリー出口ノズル
4 固液分離装置
5 液出口ノズル
6 混合槽
7 ポンプ
10 撹拌機モーター
12 溶液
14 水
16 冷却水出口
18 冷却水入り口
20 撹拌機モーター
Claims (7)
- (a)ステロール類を含有する有機溶媒溶液を塔型晶析装置の装置下部より連続的に供給し、
(b)前記塔型晶析装置の上部に設けた冷却部にて前記ステロール類を結晶化させて沈降させ、
(c)前記装置下部からその結晶化させたステロール類を回収する、
ステロール類の晶析方法において、さらに、
(d)ステロール類が結晶化した後の前記有機溶媒溶液を前記塔型晶析装置の上部に設けた流出部から流出させ、
(e)前記流出させた有機溶媒溶液の少なくとも一部を水と接触混合させた後、再度前記塔型晶析装置内に導入すること、
を特徴とするステロール類の晶析方法。 - 有機溶媒が比重0.9以下の非水溶性の有機溶媒であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 有機溶媒がヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
- 流出した有機溶媒溶液と接触させる水が40〜80℃の温水であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 流出した有機溶媒のうち、装置内に戻す液量の割合が流出液量の3%〜30%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- ステロール類を晶析するための塔型晶析装置を含む晶析システムであって、
塔型晶析装置は、
(a)装置下部に設けられた、ステロール類を含有する有機溶媒溶液を連続的に供給するための供給部、
(b)装置上部に設けられた、前記ステロール類を結晶化させて沈降させるための冷却部、
(c)装置下部に設けられた、前記結晶化させたステロール類を回収するための回収部、
(d)装置上部に設けられた、ステロール類が結晶化した後の前記有機溶媒溶液を前記装置から流出させる流出部、
を備えており、
前記晶析システムは、さらに、
(e)装置の外部に接続された、前記流出させた有機溶媒溶液の少なくとも一部を水と接触混合させた後に再度、前記装置内に導入する外部還流部、
を備えたことを特徴とする晶析システム。 - 請求項6における前記(e)外部還流部は、さらに、
(e−1)前記混合物の温度を制御する温度制御部および/または、
(e−2)前記混合物を装置内に導入する流量を制御する流量制御部、
を備えたことを特徴とする晶析システム。
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