JP4731437B2 - コンデンサーマイクロホンユニットおよびコンデンサーマイクロホン - Google Patents

コンデンサーマイクロホンユニットおよびコンデンサーマイクロホン Download PDF

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本発明は、コンデンサーマイクロホンユニットおよびコンデンサーマイクロホンに関するもので、特に、内部品とユニットケース間の空気室の共振防止構造に特徴を有するものである。
コンデンサーマイクロホンユニットは、一般に、振動板、振動板の外周部を保持する振動板保持体、振動板に対向して配置される固定電極、固定電極と振動板の間に介在するスペーサなどからなる内部品と、これらの内部品を一体的に保持するユニットケースを備えてなる。上記内蔵部品の外周は円筒面をなし、円筒形をなすユニットケースの内周側に上記内蔵部品が収納され、ユニットケースからその前後方向に適切な圧力を加えることによって、内部品をユニットケース内に固定している。内部品をユニットケース内に収納してコンデンサーマイクロホンユニットを組み立てるためには、内部品の外周面とユニットケースの内周面との間に隙間が生じる。
上記隙間はなるべく狭いほうが内部品相互およびユニットケースと内部品との偏心をなくすために望ましいが、ユニットケースへの内部品の組み込み作業が困難になる。したがって、上記隙間は組立の作業性を考慮して適切な値に設計されるが、この隙間すなわち空気室の存在は、以下に述べる理由によってマイクロホンの特性に大きな影響をもたらす。すなわち、コンデンサーマイクロホンユニットでは、固定電極の背後に空気室を設けることによって無指向性成分を得ている。ところが、この固定電極の背後の空気室が、上記内蔵部品とユニットケースとの間の隙間によって音響的につながると、コンデンサーマイクロホンユニットの指向周波数応答が劣化する。特に、固定電極に回転防止用の切り欠きが形成されていると、この切り欠き部を通して固定電極後背部の空気室と上記隙間とが音響的につながり、指向周波数応答が劣化する。
コンデンサーマイクロホンユニットの前面側にフロントメッシュを取り付けたものがあるが、フロントメッシュを取り付けても、取り付けなくても、上記内蔵部品とユニットケースとの間の隙間の後端が閉止されているので、この隙間が空気室として動作し、漏洩による音響質量と共振する。
以上説明した従来技術を、図面とともにより具体的に説明する。図5において、符号1は有底円筒形のユニットケースを示しており、ユニットケース1の底部に相当する部分には複数の孔が形成され、これらの孔は前部音響端子11となっている。ユニットケース1内には、ユニットケース1の内底部側から順に、フロントメッシュ3、振動板保持体4、振動板5、スペーサ6、固定電極7、絶縁座8、音響抵抗9、音響抵抗押さえ10が配置されている。ユニットケース1の開放された後端部内周には雌ねじ12が形成され、この雌ねじ12にロックリング20の外周に形成された雄ねじがねじ込まれている。ロックリング20は上記内部品をユニットケース1の内底面に向かって押圧し、ユニットケース1内に上記内部品を一体的に固定している。
上記フロントメッシュ3はステンレス鋼製の細線を布状に形成したもので、上記前部音響端子を11内側から覆っている。振動板5はフィルム状の素材からなる円形の部材である。図5において上側が前面となっていて、振動板5の外周縁部がリング状の振動板保持体4の後ろ側の面に固着されて振動板組立体が形成されている。この振動板組立体は振動板5が固定電極7側に位置するように配置され、振動板5と固定電極7との間には薄いリング状のスペーサ6が介在し、振動板5と固定電極7との間にスペーサ6の厚さに相当する間隙が形成されている。
固定電極7は、図6に示すように全体として円板形で、振動板5と固定電極7との間に生じている間隙を外部に連通させるための複数の孔71が形成されるとともに、外周部に固定電極7を位置決めするための切り欠き72が形成されている。絶縁座8は前後の面に円形の凹陥部が形成され、前側の凹陥部は大径の凹陥部とこれよりも小径の凹陥部からなる2段の凹陥部となっていて、大径の凹陥部に固定電極7が位置決めされて固定されている。絶縁座8の上記小径の凹陥部は固定電極7の背後の空気室81となっていて、この空気室81は固定電極7の孔71と連通している。絶縁座8はその中心を前後に貫く中心孔を有し、この中心孔には、絶縁座8の前側から引き出し端子となるねじ14が挿入され、ねじ14は音響抵抗9および音響抵抗押さえ10を貫いている。音響抵抗押さえ10の後面側から突出したねじ14には皿座金15が挿入され、さらにナット16がねじ込まれることにより、皿座金15の介在のもとに音響抵抗押さえ10が音響抵抗9を絶縁座8に圧着している。絶縁座8は上記空気室81に連通する孔83を有し、音響抵抗押さえ10は絶縁座8の上記孔83と重なる孔を有していて、この孔は後部音響端子101を構成し、この後部音響端子101を塞ぐようにして上記音響抵抗9が存在している。
図5に示す例において、フロントメッシュ3、振動板保持体4、振動板5、スペーサ6および絶縁座8を含む内蔵部品の組み込み作業性を考慮して、これら内蔵部品の外周面とユニットケース1の内周面との間には、適宜の隙間25が生じるように設計されている。この隙間25からなる空気室の存在が、固定電極7の背後の空気室81と音響的につながり、コンデンサーマイクロホンユニットの指向周波数応答を劣化させる要因となる。特に、図5、図6に示す例のように、固定電極7に回転防止用の切り欠き72が形成されていると、この切り欠き部72を通して固定電極7の背後の空気室81と上記隙間25とが音響的につながり、指向周波数応答が劣化する。
図7乃至図10は、上記従来例の問題点をより具体的に示す。図7に、各部の音響的な要素を示す。これらの要素は以下のとおりである。
mf:前部音響端子の質量
rf:フロントメッシュの音響抵抗
sf:振動板の前側の空気室18のスチフネス
m0,s0,r0:振動板の音響インピーダンス
m0:振動板の音響質量
s0:振動板のスチフネス
r0:振動板の音響抵抗
s1:振動板の背後の空気室81のスチフネス
r1:後部の音響抵抗
mLs,rLs:固定電極の切り欠き72からの漏洩インピーダンス
mLs:漏洩音響質量
rLs:漏洩音響抵抗
ss:隙間25からなる空気室のスチフネス
mLf,rLf:フロントメッシュ3から隙間25に漏洩するインピーダンス
mLf:フロントメッシュ3から隙間25に漏洩する音響質量
rLf:フロントメッシュ3から隙間25に漏洩する音響抵抗
図9は上記ss,mLs,rLs,mLf,rLfを示すモデル図で、ssはユニットケース1の内周側の隙間25からなる空気室のスチフネス、mLf,rLfはフロントメッシュ3から隙間25に漏洩するインピーダンス、mLs,rLsは固定電極の切り欠き72から隙間25に漏洩するインピーダンスをそれぞれ示している。
上記従来例の音響的な等価回路を図8に示す。図8において、音響入力をP1、音響出力をP2とすると、P1,mf,rf,mo,so,r0,r1,P2,P1の順に直列接続され、rf,moの接続点とP1,P2の接続点の間にsfが介在し、r0,r1の接続点とP1,P2の接続点の間にs1が介在している。また、rf,moの接続点とP1,P2の接続点の間には、直列に接続されたmLf,rLf,ssが介在し、r0,r1の接続点とrLf,ssの接続点の間には、直列に接続されたmLs,rLsが介在している。
図8の上側に示されているP1,mf,rf,mo,so,r0,r1,P2,P1の直列接続とsf,s1を含む部分Aが、本来の正常な、すなわち隙間25からなる空気室への音響的な漏洩がない場合の等価回路である。しかしながら、フロントメッシュ3および固定電極の切り欠き62から隙間25に音響的な漏洩が生じることにより、図8の下側に示されているmLf,rLf,ss,mLs,rLsを含む共振回路Bが存在する。この共振回路Bは本来あってはならない回路であって、共振回路Bが存在することにより、指向周波数応答特性を劣化させる要因となる。
図10は上記従来例の指向周波数応答特性を示す。マイクロホンユニットの正面からの角度を0°、背後からの角度を180°、真横からの角度を90°として表している。図10において、ピークが現れているところはmLs,rLsによるもの、谷状の落ち込みが現れているところはmLf,rLfによるものである。
このように、隙間25からなる空気室への音響的な漏洩によって指向周波数応答特性が劣化する。
次に、図11に示す従来のコンデンサーマイクロホンユニットの例について説明する。この例は図5に示す従来例から、フロントメッシュをなくした構成になっている。その他の構成は図5に示す例と同じであるから、同じ構成部分には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図11に示す例では、フロントメッシュがないため、前記隙間25からなる空気室にフロントメッシュから音響的な漏洩が生じることはなく、図12に示すように、固定電極の切り欠き72からの漏洩インピーダンスmLs,rLsのみが生じる。したがって、音響的な等価回路は、図15に示すように、P1,mf,rf,mo,so,r0,r1,P2,P1の直列接続とsf,s1を含む本来の正常な部分に、mLs,rLs,ssが付加された回路になっている。図11に示す例では、図8に示すmLf,rLfは存在しない。しかしながら、図11に示す例では、固定電極の切り欠き72から隙間25からなる空気室に向かう音響的な漏洩が生じることによって指向周波数応答特性が劣化する。図13は指向周波数応答特性の一例を示しており、ある周波数以上になるとそれ以降レベルが落ちている。図14は他の指向周波数応答特性の例で、ある周波数領域でピークが現れている。いずれにせよ、指向周波数応答特性が劣化する。
なお、本発明に関連のある従来例として、金属ケースと、振動膜の前面と背面に加わる音圧差により動作する差動型マイクロホンと、マイクロホンを収納し前部と背部に凹部を有する絶縁体と、絶縁体前面の凹部と金属ケースの天面により構成した前気室と、絶縁体背部の凹部と作動型マイクロホンの出力を接続したプリント基板により構成した背気室と、前気室と背気室の間を結ぶ音孔と、を備えたマイクロホンユニットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特公平6−71353号公報
特許文献1記載の発明は、電話機など通信用として帯域を制限する必要のある場合に適したマイクロホンに関するもので、コンデンサーマイクロホンユニットにおいて指向周波数応答特性を改善しようとする本願発明とは目的が異なり、また、前気室と背気室の間を結ぶ音孔を有するものの、この音孔は、本願発明のように、内蔵部品の外周面とユニットケースの内周面との間に存在する空気室の前後を開放するものではないから、構成も異なる。
本発明は、図5以下について説明したような従来のコンデンサーマイクロホンユニットの問題点を解消することにある。すなわち、ユニットケースの内周面と内蔵部品の外周面との間に生じる隙間が、音響的な空気室として動作しないように、換言すれば、この空気室の共振を防止することができる構造にすることにより、指向周波数応答特性を改善することができるコンデンサーマイクロホンユニットおよびコンデンサーマイクロホンを提供することを目的とする。
本発明にかかるコンデンサーマイクロホンユニットは、音波を受けて振動する振動板、この振動板の保持体、振動板に対向する固定電極、固定電極を受ける絶縁座を含む内蔵部品と、この内蔵部品を収納するユニットケースを備え、内蔵部品の外周面とユニットケースの内周面との間に空気室が存在するコンデンサーマイクロホンユニットであって、内蔵部品の前端とユニットケースの間にフロントメッシュが挟み込まれ、このフロントメッシュを通して空気室の前端が開放され、絶縁座の後端が内蔵部品の後端になっていて、ユニットケースの後端部内周にねじ込まれたロックリングと絶縁座の後端との間にリング状のリアメッシュが挟み込まれ、このリアメッシュを通して空気室の後端が開放されていて、フロントメッシュとリアメッシュは低インピーダンスであることを最も主要な特徴とする。
本発明にかかるコンデンサーマイクロホンは、本発明にかかるコンデンサーマイクロホンユニットをマイクロホンケースに組み込んだものである。
内蔵部品の外周面とユニットケースの内周面との間に間隙が生じるように寸法設定しておけば、マイクロホンユニット組立の作業性が良好になる。上記間隙は空気室を形成することになり、この空気室が音響容量として作用すると指向周波数応答特性が劣化する。しかし、本発明は、上記音響室の前後を開放したことによって音響容量として機能せず、上記空気室の音響的な共振を防止することができる。もって、上記空気室の存在による指向周波数応答特性の劣化を避けることができ、良好な指向周波数応答特性を得ることができる。
以下、本発明の実施例について図1ないし図4を参照しながら説明する。なお、前述の従来例の構成と同じ構成部分には同じ符号を付している。
図1において、符号1は有底円筒形のユニットケースを示しており、ユニットケース1の底板に相当する部分が前板19となっていて、前板19には複数の孔が形成され、これらの孔は前部音響端子11となっている。ユニットケース1内には、ユニットケース1の前側から順に、フロントメッシュ3、振動板保持体4、振動板5、スペーサ6、固定電極7、絶縁座8などからなる内蔵部品が配置されている。ユニットケース1の開放された後端部内周には雌ねじ12が形成され、この雌ねじ12にロックリング20の外周に形成された雄ねじがねじ込まれている。ロックリング20は上記内部品をユニットケース1の前板19の内面に向かって押圧し、ユニットケース1内に上記内部品を位置決めして一体的に固定している。この状態では、ロックリング20はユニットケース1と実質一体の部材となっている。
上記フロントメッシュ3は、例えばステンレス鋼製の細線を布状に形成したもので、前記従来例におけるフロントメッシュと異なって、音響インピーダンスは低く設定されている。フロントメッシュ3は、内蔵部品の一つである振動板保持体4の前端とユニットケース1の前板19の内面との間に挟み込まれ、上記前部音響端子11を内側から覆っている。振動板5はフィルム状の素材からなる円形の部材で、音波を受けることによって振動する。図1において上側が前面となっていて、振動板5の外周縁部がリング状の振動板保持体4の後ろ側の面に固着されて振動板組立体が構成されている。この振動板組立体は振動板5が固定電極7側に位置するように配置され、振動板5と固定電極7との間には薄いリング状のスペーサ6が介在し、振動板5と固定電極7との間にスペーサ6の厚さに相当する間隙が形成されている。
固定電極7は、図6について説明したように全体として円板形で、振動板5と固定電極7との間に生じている間隙を後ろ側から外部に連通させるための複数の孔71が形成されている。また、図6について説明した例のように、外周部に固定電極を位置決めするための切り欠きが形成されていても差し支えない。絶縁座8は前後の面に円形の凹陥部が形成され、前側の凹陥部は大径の凹陥部とこれよりも小径の凹陥部からなる2段の凹陥部となっていて、大径の凹陥部に固定電極7が位置決めされて固定されている。絶縁座8の上記小径の凹陥部は固定電極7の背後の空気室81となっていて、この空気室81は固定電極7の孔71と連通している。絶縁座8はその中心を前後に貫く中心孔を有し、この中心孔には、絶縁座8の前側から引き出し端子となるねじ14が挿入され、ねじ14は音響抵抗9および音響抵抗押さえ10を貫いている。音響抵抗押さえ10の後面側から突出したねじ14には皿座金15が挿入され、さらにナット16がねじ込まれることにより、皿座金15の介在のもとに音響抵抗押さえ10が音響抵抗9を絶縁座8に圧着している。絶縁座8は上記空気室81に連通する孔83を有し、音響抵抗押さえ10は絶縁座8の上記孔83と重なる孔を有していて、この孔は後部音響端子101を構成し、この後部音響端子101を塞ぐようにして上記音響抵抗9が存在している。
図1に示す例において、フロントメッシュ3、振動板保持体4、振動板5、スペーサ6および絶縁座8を含む内蔵部品の組み込み作業性を考慮して、これら内蔵部品の外周面とユニットケース1の内周面との間には、適宜の隙間25が生じるように設計されている。この隙間25が、固定電極7の背後の空気室81と音響的につながると、前述のようにコンデンサーマイクロホンユニットの指向周波数応答を劣化させる要因となる。特に、図6に示すように、固定電極7に回転防止用の切り欠き72が形成されていると、この切り欠き部72を通して固定電極7の背後の空気室81と上記隙間25とが音響的につながり、指向周波数応答が劣化することは既に説明したとおりである。
しかし、図1に示す本願発明の実施例では、上記隙間25からなる空気室が音響容量として作用しないように、以下のように構成が工夫されている。すなわち、隙間25の前端側は前記フロントメッシュ3により外気に向かって開放され、隙間25の後端側もリアメッシュ50により外気に向かって開放されている。リアメッシュ50は、前記ロックリング20と絶縁座8との間に挟み込まれているリング状の部材で、フロントメッシュ3と同様の素材からなり、音響インピーダンスは低く設定されている。絶縁座8の後端は内蔵部品の後端となっていて、この絶縁座8の後端とユニットケース1の後端部内周にねじ込まれたロックリング20とによってリアメッシュ50が挟み込まれている。フロントメッシュ3もリアメッシュ50も音響インピーダンスが低く、実質的には隙間25の前後端が開放されているのと同視することができる。
図2は、図1に示す実施例における隙間25とその前後の開放端の音響的なモデル図である。図2に示すように、隙間25からなる空気室のスチフネスをss、隙間25に通じる前側において、フロントメッシュ3から隙間25に漏洩するインピーダンスをmLf,rLf、隙間25に通じる後側において、リアメッシュ50から隙間25に漏洩するインピーダンスをmLb,rLbとする。また、図7に示した従来例と同様に、各部の音響的な要素を以下のとおり定義する。
mf:前部音響端子の質量
rf:フロントメッシュの音響抵抗
sf:振動板の前側の空気室18のスチフネス
m0,s0,r0:振動板の音響インピーダンス
m0:振動板の音響質量
s0:振動板のスチフネス
r0:振動板の音響抵抗
s1:振動板の背後の空気室81のスチフネス
r1:後部の音響抵抗
mLs,rLs:固定電極の切り欠き72からの漏洩インピーダンス
mLs:漏洩音響質量
rLs:漏洩音響抵抗
ss:隙間25からなる空気室のスチフネス
mLf,rLf:フロントメッシュ3から隙間25に漏洩するインピーダンス
mLf:フロントメッシュ3から隙間25に漏洩する音響質量
rLf:フロントメッシュ3から隙間25に漏洩する音響抵抗
上記音響的な要素からなる図1に示す実施例の等価回路を図3に示す。図3において、音響入力をP1、音響出力をP2とすると、P1,mf,rf,mo,so,r0,r1,P2,P1の順に直列接続され、rf,moの接続点とP1,P2の接続点の間にsfが介在し、r0,r1の接続点とP1,P2の接続点の間にs1が介在している。また、rf,moの接続点とP1,P2の接続点の間には、直列に接続されたmLf,rLf,ssが介在し、r0,r1の接続点とrLf,ssの接続点の間には、直列に接続されたmLs,rLsが介在し、r1,P2の接続点とrLf,ssの接続点の間には、直列に接続されたmLb,rLbが介在している。
しかしながら、隙間25からなる空気室の前後は実質的に開放され、この空気室のスチフネスssは無視できる程度に小さく音響容量を実質的に持たないため、図3の等価回路におけるssに至る回路が遮断されているのと実質的に同じ結果となる。そのため、mLf,rLfの直列接続、mLs,rLsの直列接続、およびmLb,rLbの直列接続は存在しないものと同一視することができ、図3の上側に示す、本来あるべき正常な等価回路構成となる。
以上のとおり、図1に示す実施例によれば、組立作業性を改善するために、内蔵部品の外周面とユニットケースの内周面との間に隙間25を形成し、これによって指向周波数応答が劣化する可能性のあるコンデンサーマイクロホンユニットにおいて、上記隙間25の前後端を開放することにより、隙間25の音響容量を小さくし音響的な空気室として作用しないようにした。その結果、隙間25の共振がなくなり、指向周波数応答特性線図において、突出したピークや急激な落ち込みあるいは谷状の落ち込みのない良好な指向周波数応答特性を得ることができる。
また、図1に示す実施例によれば、フロントメッシュ3の介在のもとに内蔵部品がユニットケース1の前板19の内面に押圧され、また、リアメッシュ50の介在のもとにロックリング20が絶縁座8を前方に向かって押圧している。フロントメッシュ3およびリアメッシュ50は、前述のように、例えばステンレス鋼からなる細線を織り、あるいは織らないで板状にまとめたもので、弾力性がある。そのため、ロックリング20を強く締めすぎたとしても、フロントメッシュ3およびリアメッシュ50が余分な押圧力を吸収して、内蔵部品を適度な押圧力でユニットケース1内に固定する。また、ロックリング20の締め付け力が弱かったとしても、フロントメッシュ3およびリアメッシュ50が圧縮されていればその反発力で内蔵部品がユニットケース1内に固定される。よって、振動板保持体4に不均一な応力が働いて振動板5が歪む、というような不具合を避けることができ、振動板保持体4とユニットケース1との電気的な接続が不安定になる、というような不具合を避けることができる。
次に、図4に示す第2の実施例について説明する。この実施例が図1に示す第1の実施例と異なる点は、第1の実施例におけるリアメッシュ50を使用しない代わりに、絶縁座8の後端外周縁部に、上記隙間25からなる空気室に連通する開口84を形成したものである。開口84は、絶縁座8の後端部の一部を外周側から半径方向内側に向かって切り込むことによって形成されていて、半径方向内側に向かう切り込み量がロックリング20の半径方向の幅寸法よりも大きくなっている。よって、ロックリング20の内周面よりも内周側に開口84の一部が位置して、上記空気室が外に向かって開放している。そのほかの構成は、フロントメッシュ3も含めて図1に示す第1の実施例と同じであるから、説明は省略する。
図4に示す第2の実施例も、音響的な等価回路を図3のように表すことができ、第1の実施例と同様の効果を奏する。
本発明にかかるコンデンサーマイクロホンは、以上説明した各実施例にかかるコンデンサーマイクロホンユニットをマイクロホンケースに組み込むことによって構成されるもので、コンデンサーマイクロホンユニットによって得られる優れた効果を得ることができる。すなわち指向周波数応答特性の良好なコンデンサーマイクロホンを得ることができる。
本発明にかかるコンデンサーマイクロホンユニットの第1の実施例を示す縦断面図である。 上記実施例における空気室の音響要素を説明するためのモデル図である。 上記実施例の音響的な等価回路図である。 本発明にかかるコンデンサーマイクロホンユニットの第2の実施例を示す縦断面図である。 従来のコンデンサーマイクロホンユニットの一例を示す縦断面図である。 上記従来例に用いられている固定電極を示す平面図である。 上記従来例における各部の音響要素を説明するための縦断面図である。 上記従来例の音響的な等価回路図である。 上記従来例における空気室の音響要素を説明するためのモデル図である。 上記従来例の指向周波数応答特性例を示すグラフである。 従来のコンデンサーマイクロホンユニットの別の例を示す縦断面図である。 上記従来例における空気室の音響要素を説明するためのモデル図である。 上記従来例の指向周波数応答特性例を示すグラフである。 上記従来例の別の指向周波数応答特性例を示すグラフである。 上記従来例の音響的な等価回路図である。
符号の説明
1 ユニットケース
3 フロントメッシュ
4 振動板保持体
5 振動板
6 スペーサ
7 固定電極
8 絶縁座
9 後部音響抵抗
20 ロックリング
25 隙間(空気室)
50 リアメッシュ
84 開口

Claims (4)

  1. 音波を受けて振動する振動板、この振動板の保持体、上記振動板に対向する固定電極、上記固定電極を受ける絶縁座を含む内蔵部品と、この内蔵部品を収納するユニットケースを備え、上記内蔵部品の外周面と上記ユニットケースの内周面との間に空気室が存在するコンデンサーマイクロホンユニットであって、
    上記内蔵部品の前端と上記ユニットケースの間にフロントメッシュが挟み込まれ、このフロントメッシュを通して上記空気室の前端が開放され、
    上記絶縁座の後端が上記内蔵部品の後端になっていて、上記ユニットケースの後端部内周にねじ込まれたロックリングと上記絶縁座の後端との間にリング状のリアメッシュが挟み込まれ、このリアメッシュを通して上記空気室の後端が開放されていて、
    上記フロントメッシュと上記リアメッシュは低インピーダンスであることを特徴とするコンデンサーマイクロホンユニット。
  2. 内蔵部品の前端は振動板保持体の前端で、この振動板保持体の前端周縁部とユニットケースの前板内面との間にフロントメッシュが挟み込まれている請求項記載のコンデンサーマイクロホンユニット。
  3. 音波を受けて振動する振動板、この振動板の保持体、上記振動板に対向する固定電極、上記固定電極を受ける絶縁座を含む内蔵部品と、この内蔵部品を収納するユニットケースを備え、内蔵部品の外周面と上記ユニットケースの内周面との間に空気室が存在するコンデンサーマイクロホンユニットであって、
    上記空気室が音響容量を持たないように上記空気室の前後が開放され、
    上記内蔵部品の前端と上記ユニットケースの間にフロントメッシュが挟み込まれ、このフロントメッシュを通して上記空気室の前端が開放され、
    上記フロントメッシュは、低インピーダンスであり、
    上記絶縁座の後端には、上記内蔵部品の外周面と上記ユニットケースの内周面との間に存在する上記空気室を開放する開口が、上記絶縁座の後端が切り込まれていることによって形成されていることを特徴とするコンデンサーマイクロホンユニット。
  4. マイクロホンケースにコンデンサーマイクロホンユニットを組み込んだコンデンサーマイクロホンであって、コンデンサーマイクロホンユニットは請求項1乃至3のいずれかに記載されているコンデンサーマイクロホンユニットであるコンデンサーマイクロホン
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