JP4727700B2 - 画像診断支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、コンピュータ画像処理を用いて医用画像から病巣候補とされる陰影等を抽出し、抽出された病巣の候補とされる陰影を識別可能に表示する画像診断支援装置に関する。
従来、CT装置やMRI装置で撮影された画像の陰影をコンピュータを用いて解析し、その陰影の中から病巣候補を絞り込んで医者に提示し、医者の判断を仰ぐという診断支援が行われている。陰影の中から病巣候補を絞り込むものとして、肺野の医用画像を例にしたものが種々報告されている。その中の一つとして、肺野の医用画像の中から細長い血管陰影と円形に近い癌陰影を識別する方法として、例えば"クオイトフィルタ"が非特許文献1で報告されている。肺野の医用画像には、癌などの陰影のほか、血管、血管の断面、気管支の断面などが混在して写っているので、これらの画像の中から癌候補と思われる陰影を抽出して医者に提示することが望ましい。
1999年11月第9回コンピュータ支援画像診断学会大会論文集21ページ
しかしながら、実際の陰影は大きさも形も様々であり、陰影の識別能力をあげるにはパラメータの調節に多くの労力を要し、使いにくいものであった。大きさや形の異なる陰影を統一的に扱える方法があれば、コンピュータプログラムを作成するのも容易となり、識別能力をあげるためのパラメータの調節も容易となる。また、簡単な処理で陰影の中から病巣候補を絞り込むことができれば、コンピュータの演算時間も少なくて済み、早く正確な病巣候補を抽出することができるようになる。また、抽出された病巣候補を医者に瞬時に表示することが可能となるので望ましい。
本発明の目的は、CT画像、MR画像、超音波画像及び過去画像と現在画像の差画像等を含めた医用画像から病巣候補などをコンピュータを用いて自動的に判別する際に、大きさや形の異なる陰影を統一的に扱うことができ、コンピュータ演算に要する時間も短時間で済む画像診断支援装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、抽出された病巣候補と思われる陰影を容易かつ瞬時に識別可能に表示することのできる画像診断支援装置を提供することにある。
本願に係る画像診断支援装置は、医用画像に多値化処理を施して多値化画像を作成する多値化手段と、前記多値化手段によって作成された前記多値化画像から陰影の形状を認識し、前記形状に基づいて前記医用画像から得られる前記医用画像の濃度を用いて病巣候補陰影を抽出する抽出手段とを備えたものである。この発明では、多値化手段によって医用画像を多値化し、その多値化画像に基づいて陰影の形状を認識し、その形状を基準にして元の医用画像から得られる濃度を用いて、血管、血管の断面、気管支の断面などのような病巣ではない陰影を効率的に削除し、結果として病巣確信度の高い病巣候補陰影だけを抽出するようにした(図2のステップS84)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記医用画像の中から判別対象となる陰影の種類に応じた画素値範囲に属する画素だけを抽出して判別対象医用画像を作成する画像作成手段を設け、前記多値化手段は、前記判別対象医用画像に所定の画像処理を施して多値化画像を作成し、前記抽出手段は前記多値化手段によって作成された前記多値化画像に基づいて、又は前記多値化画像及び前記判別対象用医用画像とに基づいて少なくとも1つ以上の判別処理を実行して病巣の候補とされる病巣候補陰影を抽出するものである。陰影には、小陰影、大陰影、すりガラス状陰影、高濃度陰影などの種類があり、これらの各陰影は医用画像中において所定の画素値範囲に特徴的に現れることが経験的に知られている。例えば、小陰影や大陰影の場合には画素値(CT値)としては、−800〜0の範囲に、すりガラス状陰影は−800〜−400の範囲に、高濃度陰影は−400〜0の範囲に、それぞれ顕著に現れる。この発明では、画像作成手段がこの陰影の種類毎に、医用画像の中から所定範囲の画素値に属するものだけを抽出し、新たな判別対象医用画像を作成し、判別対象医用画像に基づいて多値化手段及び抽出手段が病巣候補陰影の抽出処理を行うようにした(図9)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像を、判別対象となる陰影の大きさに応じてそれぞれ拡大した画像、縮小した画像、そのままの画像に対して前記判別処理を実行するものである。病巣候補陰影(病巣陰影という場合もある)には小陰影、大陰影、すりガラス状陰影又は高濃度陰影などのようにその大きさ自体がさまざまなものが存在する。これらの陰影に対して判別処理を行う場合、各陰影の大きさに対応したパラメータを用いて、各陰影に対して同じような判別処理を行っている。ところが陰影自体が小さい場合や大きい場合には、パラメータ自体を小さくしたり、大きくしたりしなければならず、同じ処理を行った場合の精度が低下する。この発明では、陰影が小さかったり大きかったりした場合、それを拡大又は縮小して、最も効率的に判別処理を行うことのできる範囲の大きさの陰影に変換し、それに対して判別処理を行うようにした(図10)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記判別処理の中の少なくとも1つ以上を組み合わせて構成された複数の組合せ処理を前記医用画像のスライス厚に応じて選択し、選択された組合せ処理を前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像に対して実行するものである。医用画像は、癌などの陰影のほか、血管、血管の断面、気管支の断面などが混在して写っている。医用画像のスライス厚が異なると、その陰影の中の特定の陰影が明確になったり不明確になったりする。例えば、スライス厚が小さい場合には血管に対応する陰影が極端に減少し認識しにくくなるが、スライス厚が大きくなると血管の陰影が明確に現れるようになる。従って、スライス厚が小さい場合には血管の陰影が病巣陰影かを判別するための処理が必要となるが、スライス厚が大きい場合には明確に血管の陰影を判別することができるので、この場合にはそのような判別処理は必要ない。そこで、この発明では、スライス厚の小さい場合の陰影判別に必要な判別処理を含む組合せ処理と、これを含まない組合せ処理とを設け、それをスライス厚に応じて選択するようにした(図11)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点とする所定長の半径を前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影上で回転させて前記半径と交わる前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影の画素値をサンプリングし、前記画素値に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。通常の医用画像から陰影を識別し、その中心を求めることは非常に困難である。この発明では、多値化画像に基づいて陰影を識別し、その中心を検出するようにした。多値化画像は、CT画像内の陰影(特に陰影の境界付近)を抽出したり、陰影を強調表示することができるので、これ以降の判別処理を容易にすることができる。多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心が検出されたら、次は、陰影中心付近を基準点として所定長の半径を回転させて多値化画像、医用画像又は判別対象用医用画像中の陰影の画素値を順次サンプリングし、そのサンプリング画素値に基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かの種々の判別処理を行うことができる。所定長の半径を回転させることによって、大きさも形も異なる種々の陰影に対し、統一的かつ容易に処理を行うことができる。例えば、サンプリングした1ループの画素の平均値が、所定の基準値以下になった場合又は陰影中心付近の画素値に対して所定の比率以下になった場合には処理を終了することができ、陰影の画素値をサンプリングする際の範囲を最小限にすることができる(図12)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記半径を渦巻き状又は同心円状に回転させて前記画素値をサンプリングし、前記画素値に基づいて前記回転によって形成される各ループ毎の代表値を求め、前記代表値を予め記憶されている基準値と比較判定して前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。この発明では、所定長の半径を渦巻き状又は同心円状に回転させて画素値をサンプリングしているので、大きさも形も異なる種々の陰影に対し、統一的かつ容易に処理することができる。また、病巣候補陰影と正常陰影とでは各ループの代表値のループ毎の変化状態が異なるため、予め病巣陰影について取得した基準値と各ループの代表値とを比較判定することによって、その陰影が病巣候補陰影であるか否かの判別を容易に行うことができる(図18)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点とする所定長の半径を前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影上で回転させて前記半径と交わる前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影の画素値をサンプリングし、前記回転によって形成される各ループの隣接するループ同士の前記画素値の相関を求め、前記相関に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。この発明では、病巣候補陰影と正常陰影とでは各ループ間の相関が異なるため、ある陰影について取得した各ループ間の相関からその陰影が病巣候補陰影か否かを判別している(図13)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定の角度ηをなす二直線を前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影上で回転させて、前記二直線と交わる前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影の画素値をそれぞれサンプリングし、前記二直線に対応する前記画素値に基づいて前記陰影の異方性を求め、前記異方性に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。この発明では、陰影中心又は重心付近を基準点として所定の角度ηすなわち実質90度の二方向の直線を回転させて画素値をサンプリングし、二直線上の画素値の相関に基づいて又は、中心又は重心付近から陰影の境界までの二直線の距離の比に基づいて、陰影の異方性を求め、この異方性に基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別している(図20,23)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点とする所定長の半径を前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影上で回転させて前記半径と交わる前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影の画素値をサンプリングし、前記画素値が前記回転に応じて急激に変化する時の角度を少なくとも2カ所検出し、前記少なくとも2カ所の角度に位置する半径間の仰角を求め、前記仰角と予め記憶されている基準値とを比較判定して前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。陰影が壁面の近くに存在する場合、回転する半径が壁面を通過するとき、その半径と交わる陰影の画素値が急激に変化し、その変化点は2カ所現れる。従って、陰影が壁面に接している場合にはこの2カ所の半径間の仰角が基準値よりも大きくなるので、その陰影は病巣候補陰影と判別される。一方、陰影が壁面内部にある場合には、半径間の仰角は基準値よりも小さくなるので、その陰影は病巣候補陰影ではないと判別される(図25)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を前記多値化画像中の陰影上で回転させて前記直線と前記多値化画像中の陰影との交わる部分の最小値及び最大値の少なくとも一方を求め、前記基準点を通って前記最小値の直線にほぼ直交するような直交直線の延長線上であって前記陰影から所定距離だけ外側に位置する前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の第1及び第2の画素値及び前記最小値の直線の延長線上であって前記陰影から所定距離だけ外側に位置する前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の第3及び第4の画素値、前記基準点を通って前記最大値の直線にほぼ直交するような直交直線の延長線上であって前記陰影から所定距離だけ外側に位置する前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の第5及び第6の画素値及び前記最大値の直線の延長線上であって前記陰影から所定距離だけ外側に位置する前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の第7及び第8の画素値、又は前記最小値及び最大値の直線の延長線上であって前記陰影から所定距離だけ外側に位置する前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の第9〜第12の画素値をサンプリングし、前記第1〜第4の画素値、前記第5〜第8の画素値、又は前記第9〜第12の画素値に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。医用画像に多値化画像処理を施し、所定値よりも細い血管部分の陰影を取り除くことによって、残った部分の陰影が病巣陰影と思われるような陰影になる。そこで、このような血管断面陰影を病巣候補から外すために、回転する直線と陰影の交わる部分の最小値及び最大値から陰影の長径と短径を求め、長径と短径の延長線上であって陰影から所定距離だけ外側に位置する画素値をサンプリングする。血管断面陰影の場合は、長径の外側に位置する画素値と短径の外側に位置する画素値とが明確に異なる値を示すが、病巣陰影の場合は、両画素値がほとんど同じ値を示すので、これに基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することができる(図27)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点とする所定長の半径を前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影上で回転させて前記半径と交わる前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影の画素値をサンプリングし、前記画素値に基づいて濃度波形を作成し、前記濃度波形のピークを示す角度にある半径を少なくとも2カ所検出し、前記検出された半径の隣り合うもの同士のなす角度の二等分線を求め、前記検出された半径上における前記画素値の総和と前記二等分線上における前記画素値の総和に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。血管断面陰影の場合は、血管の中央付近の濃度値が高く、外側に向かうに従って画素値は低くなる。従って、回転する半径上の画素値に基づいて濃度波形を作成すると、濃度波形のピークを示す角度と血管の長手方向とがほぼ一致し、血管断面陰影の場合はそのピークが2カ所検出される。検出された半径の隣り合うもの同士の成す角度の二等分線を求め、この二等分線上の画素値の総和と半径上の画素値の総和を比較する。血管断面陰影の場合は、二等分線上の画素値の総和は半径上の画素値の総和より十分小さく、病巣候補陰影の場合は、両者の総和はほぼ等しくなるので、これに基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することができる(図29)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点とする所定長の半径を前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影上で回転させて前記半径と交わる前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影の画素値をサンプリングし、前記画素値に基づいて濃度波形を作成し、前記濃度波形のピークを示す半径を少なくとも2カ所検出し、前記検出された半径上における前記画素値の平均値と、前記検出された半径以外の半径上における前記画素値の平均値とに基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。この場合も、請求項11の発明と同様に、回転する半径上の画素値に基づいて濃度波形を作成すると、濃度波形のピークを示す角度と血管の長手方向とがほぼ一致し、血管断面陰影の場合はそのピークが2カ所検出される。半径上における画素値の平均値と、その半径以外の半径上における画素値の平均値を求め、両者を比較する。血管断面陰影の場合は、半径以外の半径上における画素値の平均値は半径上の画素値の平均値よりも十分小さく、病巣候補陰影の場合は、両平均値はほぼ等しくなるので、これに基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することができる(図30)。
本願に係る画像診断支援装置は、医用画像に所定の画像処理を施して多値化画像を作成する多値化手段と、前記多値化手段によって作成された前記多値化画像に基づいて少なくとも1つ以上の判別処理を実行して病巣の候補とされる病巣候補陰影を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された前記病巣候補陰影を前記医用画像中に識別可能に表示する表示手段とを備えたものである。これは、請求項1に係る画像診断支援装置によって抽出された病巣候補陰影をマーカーで囲んだりして識別可能に表示するものである。なお、病巣候補陰影は病巣である確率(病巣確信度)を求めることができるので、マーカーを表示する際に、その大きさや太さをその病巣確信度に応じて表示したり、病巣確信度の高い順に赤、黄、青などのように色分け表示したり、フラッシュ表示してもよい。また、病巣候補陰影自体を色分け表示やフラッシュ表示してもよい。
本願に係る画像診断支援装置は、医用画像に所定の画像処理を施して多値化画像を作成する多値化手段と、前記多値化手段によって作成された前記多値化画像及び前記医用画像とに基づいて少なくとも1つ以上の判別処理を実行して病巣の候補とされる病巣候補陰影を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された前記病巣候補陰影を前記医用画像中に識別可能に表示する表示手段とを備えたものである。これは、前記画像診断支援装置によって抽出された病巣候補陰影をマーカーで囲んだりして識別可能に表示するものである。前記の場合と同様に種々の表示態様が可能である。
本願に係る画像診断支援装置は、前記医用画像の中から判別対象となる陰影の種類に応じた画素値範囲に属する画素だけを抽出して判別対象医用画像を作成する画像作成手段を設け、前記多値化手段は、前記判別対象医用画像に所定の画像処理を施して多値化画像を作成し、前記抽出手段は前記多値化手段によって作成された前記多値化画像に基づいて、又は前記多値化画像及び前記判別対象用医用画像に基づいて、少なくとも1つ以上の判別処理を実行して病巣の候補とされる病巣候補陰影を抽出するものである。これは、前記画像診断支援装置に対応したものであり、画像作成手段がこの陰影の種類毎に、医用画像の中から所定範囲の画素値に属するものだけを抽出し、新たな判別対象医用画像を作成し、多値化手段及び抽出手段が判別対象医用画像に基づいて病巣候補陰影の抽出処理を行うものであり、多値化手段及び抽出手段によって抽出された病巣候補陰影をマーカーで囲んだりして識別可能に表示するものである。前期の場合と同様に種々の表示態様が可能である。
本願に係る画像診断支援装置は、前記表示手段が、前記判別処理によって前記病巣候補陰影と判別された陰影を、前記判別処理の一つの処理が終了する毎に、前記医用画像中に又は前記医用画像とは別の領域に表示するものである。このように各判別処理によって病巣候補陰影と判別された処理途中の各画像を表示することによって、医者はCT画像のどの部分が順次病巣候補陰影として順次絞られていくのかその課程を逐次観察することができ、医者はより多くの情報を得ることができる(図31)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記表示手段が、前記病巣候補陰影付近の拡大画像を、前記医用画像中に又は前記医用画像とは別の領域に表示するものである。このよう病巣候補陰影付近の拡大画像を表示することによって、医者はより正確に病巣陰影候補を観察することができる(図38)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記表示手段が、前記病巣候補陰影の前記医用画像中における位置に応じてその表示の順番を制御して前記医用画像を表示するものである。これは、病巣候補陰影が抽出された場合に、病巣候補陰影の医用画像中における位置に応じた順番で表示するようにしたものである。表示する方法としては、具体的に、抽出された順番に表示したり、医用画像の左上から左下に向かって順番に表示したり、左上から右上に向かって順番に表示したり、最初に表示された病巣候補陰影に対して最も距離の小さな病巣候補陰影を順番に表示したり、左上から左下に向かって順番に反時計回りに渦を巻くように表示したり、予め登録された順番に表示したりすることができる。これによって、医者として関心の高い順番に病巣候補陰影を表示することができる(図41,42)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記表示手段が、前記医用画像中に前記抽出された前記病巣候補陰影を囲むようなマーカーを合成して表示し、前記病巣候補陰影の複数をそれぞれ囲むようにマーカーが互いに重複する場合には、その重複部分を消去して表示するものである。これによって、マーカーが重なりあって関心領域そのものや関心領域の周囲が見にくくなるという不具合を解消することができる(図36)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、抽出された前記病巣候補陰影の病巣確信度を検出し、前記表示手段が、前記病巣確信度に基づいて前記マーカーの表示形態を変えて表示するものである。これは病巣候補陰影の病巣確信度に基づいてマーカーの大きさ、色、太さ、点滅表示などの表示形態を変え、病巣確信度が高いほどマーカーがより注目されるように表示するものである。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記仰角と予め記憶されている基準値とを比較判定して前記陰影が病巣候補陰影であると判別した場合に、その陰影と壁面との接触長を求め、前記接触長に基づいて前記陰影が病巣陰影であるか又は病巣の随伴物陰影であるかを判別するものである。前記の判別によって陰影が壁面に接しているか否かが分かる。陰影が壁面部分に位置していても、壁面と陰影との接している距離が長い場合、その陰影は病巣候補陰影ではない場合が多く、逆に壁面と陰影との接している距離が短い場合、その陰影は病巣候補陰影であることが知られている。また、癌などの陰影ではないが、癌などの陰影に付随して胸膜などの壁面に接するような細長い陰影すなわち随伴物陰影が存在し、この随伴物陰影に接するように癌などの病巣候補陰影が存在することが知られている。そこで、ここでは、陰影と壁面との接触長を求め、この接触長に基づいて陰影が病巣候補陰影があるか又は病巣候補陰影の随伴物陰影であるか否かを判別している(図44,56)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影上で回転させて、前記直線と前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影と交差する直線部分の長さを求め、角度と前記直線部分の長さとの関係を示す曲線をフーリエ展開し、このフーリエ展開の結果に基づいて、前記陰影が病巣陰影であるか否かを判別するものである。病巣候補陰影などはその外観形状が単純なので、角度と直線部分の長さとの関係を示す曲線をフーリエ展開した場合に、低次の周波数成分が多く含まれ、高次の周波数成分は少ないという結果を示す。一方、血管断面陰影などの場合は、フーリエ展開の結果、高次の周波数成分のフーリエ係数が大きくなる傾向が強い。そこで、このフーリエ展開の結果に基づいて陰影が病巣候補陰影があるか否かを判別している(図45)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影上で回転させて、前記直線と前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影と交差する直線部分の長さの最小値を求め、前記最小値の自乗で前記陰影の面積を除算し、その除算値に基づいて、前記陰影が病巣陰影であるか否かを判別するものである。直線部分の長さの最小値をrとした場合、陰影の形状が円形の場合の面積はπr2、正方形の場合の面積4r2、正方形の2倍の面積の長方形の場合には8r2となる。これらの各面積を長さの最小値rの自乗r2で除算すると、その除算値は円形の場合はπ、正方形の場合は4、長方形の場合は8となる。従って、この除算値に基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別している(図46)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影上で回転させて、前記直線と前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影と交差する直線部分の長さの最小値を求め、前記最小値に基づいて切断長を求め、前記切断長を用いて前記陰影に接する細長い陰影を除去するものである。通常、CT画像に2値化画像処理を施し、所定値よりも細い血管部分の陰影を取り除くという処理を行なっているが病巣候補陰影と血管陰影とが重なっている場合には、血管陰影を除去することができない場合がある。そこで、ここでは、陰影の最小半径に基づいて切断長を求め、陰影に接する細長い血管陰影を除去するようにした(図47)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として前記陰影の形状に即した閉曲線を描き、前記閉曲線が前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影と交わる場合の短曲線長又は交わらない場合の短曲線長と、その短曲線長の個数を求め、前記短曲線長と前記個数との関係に基づいて、前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。血管に結合したすりガラス状の病巣候補陰影は外周に向かって多数の突出部を有しているので、陰影の形状に即した閉曲線を描いた場合、陰影とその閉曲線とが互いに交わる部分と交わらない部分とが交互に現れる。この交差部分又は非交差部分の長さ(ランレングス)とその個数を求め、その特性曲線を作成する。すると、病巣候補陰影とそうでない陰影とで分布に違いが現れるので、それに基づいて陰影が病巣候補陰影であるか、そうでないかを判別している。なお、陰影の形状に即した閉曲線として、円を用いたり、陰影の外周に沿って形状の閉曲線を用いたりすることが好ましい(図50,51)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影上で回転させて、前記直線と前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影と交差する直線部分の長さを縦軸とし、角度を横軸とする曲線を描き、その曲線の底部の位置を検出し、その底部同士を所定の曲線で補間することによって前記閉曲線を描くものである。これと、陰影の形状に即した閉曲線をどのようにして描くかを具体的にしたものである(図52)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記陰影を通過する所定方向の少なくと一つの直線と交わる前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の画素値をサンプリングし、前記画素値に基づいて前記直線上における各画素の正負の濃度勾配を求め、前記正の濃度勾配が連続する場合の画素数を正のランレングスとし、前記負の濃度勾配が連続する場合の画素数を負のランレングスとして、前記正及び負のランレングスとそれらの個数を求め、前記正及び負のランレングスと前記個数との関係に基づいて、前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。一般に、病巣候補陰影でないものは、陰影内の濃度の等高線は一つのピークを有するような単純なものとなり、病巣候補陰影の場合は、逆に複数のピークを有するような複雑なものとなる。従って、このような陰影について濃度勾配を求めると、病巣候補陰影でない場合は正又は負の濃度勾配が比較的連続しているので長いランレングスのものが多く発生し、病巣候補陰影の場合は正又は負の濃度勾配が連続していないので短いランレングスのものが多く発生する。そこで、ここでは、これらの正及び負のランレングスとその個数との関係に基づいて、陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別している(図53)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影の画素値の分散値又は標準偏差値を求め、前記分散値又は標準偏差値に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。一般に、病巣候補陰影でないものは、陰影内の濃度の等高線は一つのピークを有するような単純なものとなり、病巣候補陰影の場合は、逆に複数のピークを有するような複雑なものとなる。従って、これらの陰影内の各画素の濃度の分散値又は標準偏差値を求め、それに基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別している(図58,59)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影上で回転させて前記直線と交わる前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影の画素値をサンプリングし、所定の角度の前記直線と交わる前記画素値の分散値又は標準偏差値をそれぞれ求め、前記分散値又は標準偏差値に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。陰影内の各画素の濃度の分散値を求める場合の具体例に関するものであり、陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を回転させて、所定の角度における直線と交わる画素値の分散値又は標準偏差値を求めるようにした。このようにして求められた分散値又は標準偏差値は、病巣候補陰影の場合は、その各角度で種々の値を示し、病巣候補陰影でない場合には各角度であまり変化しない単純な値を示すようになるので、この分散値又は標準偏差値に基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することができる。なお、各角度毎の分散値又は標準偏差値のさらに分散値又は標準偏差値を求め、それに基づいて陰影の判別を行なってもよい(図58)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影を複数領域に分割し、各領域における前記画素値の分散値又は標準偏差値をそれぞれ求め、前記分散値又は標準偏差値に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。これも、陰影内の各画素の濃度の分散値を求める場合の具体例に関するものであり、陰影をその中心を挟んで上下に二分割したり、中心を挟んで4分割したり、所定方向に等間隔で分割したりして、各分割領域における画素値の分散値又は標準偏差値を求めるようにした。このようにして求められた分散値又は標準偏差値に基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することができる。なお、各分割領域毎の分散値又は標準偏差値のさらに分散値又は標準偏差値を求め、それに基づいて陰影の判別を行なってもよい(図59)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影の外側の所定領域における画素値の陰影外分散値又は陰影外標準偏差値をそれぞれ求め、前記陰影外分散値又は陰影外標準偏差値に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。これは、陰影の外周に沿った所定領域の分散値又は標準偏差値を陰影外分散値又は陰影外標準偏差値と定義し、これに基づいて陰影の判別を行なうようにしたものである。血管断面陰影の場合、その陰影の外周に沿った所定領域には切断処理によって除去された血管断面陰影が存在するので、その場合の陰影外分散値又は陰影外標準偏差値は比較的大きな値となる。一方、病巣候補陰影の場合、その陰影の外周に沿った所定領域には他の陰影などが存在しないことが多いので、その場合の陰影外分散値又は陰影外標準偏差値は比較的小さな値となる。そこで、ここでは、この陰影外分散値又は陰影外標準偏差値に基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別している。なお、陰影外分散値又は陰影外標準偏差値だけに基づいて判別してもよい。また、前記で求めた陰影内の各画素の濃度の分散値又は標準偏差値と、陰影外分散値又は陰影外標準偏差値との間の差分値などに基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別してもよい(図60)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、抽出された前記病巣候補陰影と壁面との接触長を求め、前記接触長に基づいて前記陰影が病巣の随伴物陰影であるかを否か判別し、前記表示手段が、前記病巣の随伴物陰影の周囲を前記マーカーで囲むように表示するものである。癌などの陰影に付随して胸膜などの壁面に接するような細長い陰影すなわち随伴物陰影が存在することをマーカーなどで表示することによって、そのマーカーで囲まれた付近に病巣候補陰影が存在することを操作者(医師)に知らせることができる(図56〜58)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記表示手段が、前記病巣候補陰影の前記医用画像中におけるポインティングデバイスの操作位置に応じてその表示の順番を制御して前記操作位置の近くに前記病巣候補陰影を有する前記医用画像を表示するようにしたものである。これは、病巣候補陰影の医用画像の表示中にマウスカーソルなどで、その医用画像中の所定の位置が操作された場合に、その操作位置の近くに病巣候補陰影を有する医用画像を瞬時に表示するようにしたものである。これによって、医師は関心の高い領域に存在する病巣候補陰影を任意に表示することができるようになる(図61)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影上で回転させて、前記直線と前記多値化画像、前記医用画像又は前記判別対象用医用画像中の陰影と交差する直線部分の長さの最大値を求め、前記最大値の直線に対してほぼ平行な帯状の延長線を設定し、前記帯状の延長線上に位置する画素メモリに所定値を加算する処理を前記陰影の数だけ繰り返し実行し、前記画素メモリの前記加算処理の結果に基づいて病巣候補陰影の位置を抽出するものである。悪性の癌陰影の周辺にはスピキュラと呼ばれる針状又は線状の陰影が放射状に複数本現れることが知られている。これは、陰影の長手方向に沿って帯状の直線を設定し、その帯状直線が複数重なる箇所が存在する場合には、その陰影の集まりは悪性の癌陰影の周辺に現れたスピキュラ陰影であると判断し、病巣候補陰影を抽出するようにしたものである(図64)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記医用画像のスライス厚方向に隣接する2枚の前記多値化画像中に存在する陰影同士を比較し、前記陰影同士が所定の割合以上で重なるか否かに基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。胸部(肺野)の医用画像は放射状に広がるように延びた血管の一部を捉えている場合がある。血管が放射状に延びている場合、所定のスライス厚の断層像の隣り合う陰影同士を比較すると、それが血管断面陰影であるか否かを判別することができる。血管断面陰影同士の場合は所定の割合よりも小さい重なり部分を有することが多い。逆に、病巣候補陰影の場合は所定の割合以上の重なり部分を有することが多い。従って、ここでは、この重なり部分の割合に基づいて陰影が病巣候補陰影であるか血管断面陰影であるかの判定を行なうようにした(図66)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、互いに直交するアキシャル画像、サジタル画像、コロナル画像の少なくとも2組の画像を用いて、それぞれ病巣候補陰影を抽出し、それぞれの画像で抽出された病巣候補陰影の存在位置に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。アキシャル画像、サジタル画像、コロナル画像は互いに直交する3組の医用画像である。この中の少なくとも2組の医用画像を用いて病巣候補陰影を抽出する。抽出された陰影の存在位置に相関がある場合にその陰影は病巣候補陰影の可能性が高い。逆に、一方の医用画像では病巣候補陰影として抽出され、他方の医用画像では抽出されない場合がある。このような場合はその陰影は病巣候補陰影ではないと判別される。2組の画像よりも3組の画像を用いて判別した方がより病巣候補陰影を抽出する確信度は高くなることは言うまでもない(図67)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記陰影が病巣候補陰影であると判別された場合に前記病巣候補陰影の座標位置と、前記病巣候補陰影に関する情報をメモリに記憶するものである。2組の画像によって病巣候補陰影と判別された場合、その病巣候補陰影に3次元座標を特定することができるので、その座標位置と、陰影の面積や長さなどに関する情報などをメモリに記憶する。メモリの内容を読み出すことによって、マーカーの表示処理などが容易になる(図68)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記表示手段が、互いに異なる時点で撮影された前記医用画像からそれぞれ抽出された病巣候補陰影を、その撮影時点の区別が付くような表示態様のマーカーでそれぞれ囲むように表示するものである。過去に撮影され、抽出された病巣候補陰影と、今回撮影された医用画像に基づいて検出された病巣候補陰影とを、それぞれ異なる形状又は色などのマーカーで囲むように表示するようにしたものである(図69)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記表示手段が、前記抽出された前記病巣候補陰影の長軸方向に対して楕円の長軸方向が一致するような楕円形状のマーカーを、前記病巣候補陰影を囲むように表示するものである。これは、陰影の形状に沿ってマーカーを表示することによって、陰影を容易に認識できるようにしたものである(図70)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記表示手段が、前記病巣候補陰影の複数をそれぞれ囲むようにマーカーが互いに重複する場合には、その重複部分を消去して表示するものである。これは、マーカーが重なり合って関心領域そのものや関心領域の周囲が見にくくなるという不具合を解消するものである(図36,図70)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記表示手段が、前記マーカーで囲まれた領域をコントラスト強調又はガンマ処理強調を行い、前記病巣候補陰影を鮮明に表示するものである。病巣候補陰影をマーカーで囲んだだけでは病巣候補陰影の存在箇所が分かりにくい場合があるので、マーカーで囲まれた領域のCT画像に対してコントラストを強調したり、CT値にガンマ処理を施したりして、病巣候補陰影をより鮮明に強調表示するようにした(図71)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記表示手段が、前記病巣候補陰影が存在する医用画像と、前記病巣候補陰影が存在しない医用画像とで、動画像表示における表示時間を異ならせて表示するものである。これは、画像に病巣候補陰影が存在するか否かに応じて画像の表示時間を変化させるものである。具体的には、病巣候補陰影が存在する画像を時間的に長く表示し、病巣候補陰影が存在しない画像を標準時間又はそれよりも短い時間で表示する(図72)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記表示手段が、医師による読影が終了していない医用画像に対しては、前記識別可能な表示を行なわないものである。これは、コンピュータによる判別結果を医師の診断前に提示すると、診断の先入観になるおそれがあるので、医師の読影が終了する前にマーカーなどの識別可能な表示を行なわないようにしたものである(図73,図78)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記表示手段が、前記マーカーの表示を行なわない非表示モードが選択された場合には、前記マーカーを非表示にすると共に画面上に現在非表示モード中であることを表示し、前記非表示モードに入ってから所定時間が経過した場合には前記マーカーを自動的に表示するものである。通常、マーカーを表示したり、非表示にしたりできるが、その際にマーカーの存在する画像の場合には、マーカーが非表示のなった場合でも、所定時間が経過することによってマーカーを強制的に表示するようにした(図74)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記中心又は重心から前記陰影の縁部までの距離を前記陰影の全周囲に渡って求め、全周囲に渡って求められた距離の分散値又は標準偏差値を求め、前記分散値又は標準偏差値に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。一般に、病巣候補陰影が円形に近い場合は癌陰影(異常陰影)である可能性が高く、長方形に近いときは血管陰影(正常陰影)である可能性が高いことが分かっている。これは、病巣候補陰影の形状について統計処理を利用して判別するようにした。統計処理は、病巣候補陰影を示す領域の重心点を求めるとともにその重心点からその領域の縁部までの距離をその領域の全周囲に亘って求める。求められた距離の分散値又は標準偏差値を演算し、その分散値又は標準偏差値に基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かの判定を行なっている(図76)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記陰影の水平方向における縁から縁までの距離について分散値又は標準偏差値を求め、前記陰影の垂直方向の縁から縁までの距離について分散値又は標準偏差値を求め、前記分散値又は標準偏差値に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。これは、陰影の形状について統計処理を利用して判別するようにしたものであり、陰影の水平方向及び垂直方向における縁から縁までの距離の分散値又は標準偏差値に基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かの判定を行なっている(図77)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記陰影領域の面積を求めると共に前記陰影領域の縁部に形成される凹部領域の面積を求め、前記陰影領域の面積と前記凹部領域の面積との比率を求め、求められた比率に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。これは、陰影の全面積と陰影の縁部分にできた凹部分の面積との面積比に基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かの判定を行なうものである(図80〜図82)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記陰影領域の縁部に内接する円の面積と、前記円によって分割された前記陰影の分割領域の面積とを求め、前記円の面積と前記陰影の分割領域の面積との比率を求め、求められた比率に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。これは、陰影内に形成される内接円又は内接多角形の面積と、この内接円又は内接多角形によって分割された陰影の面積との面積比に基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かの判定を行なうものである(図84,図85)。
本願に係る画像診断支援装置は、前記抽出手段が、前記陰影領域の縁部に外接する円の面積を求め、前記円の面積と前記陰影の面積との比率を求め、求められた比率に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別するものである。これは、陰影外に形成される外接円の面積と、陰影の面積との面積比に基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かの判定を行なうものである。なお、前記で求められた面積を適宜組み合わせて、それらの面積比を用いて判定を行なうようにしてもよい(図84(B))。
本願に係る画像診断支援装置は、病巣候補画像若しくは画像付帯情報を表示するための第1の表示領域と、病巣候補が検出されない非検出画像若しくは画像付帯情報を表示するための第2の表示領域と、病巣候補の判別が不可能な判別不能画像若しくは画像付帯情報を表示するための第3の表示領域とを前記表示手段の画面上に設けたものである。これは、病巣候補陰影の抽出及び絞り込みの結果に応じて、各画像を非検出画像、判定不能画像、候補画像のように区分して、表示するようにしたものである。ここで画像付帯情報とは、画像の患者名、患者IDなどのように画像を特定する情報や、陰影が陽性、疑陽性、陰性であるというような識別情報のことである。従って、このような画像付帯情報をそれぞれの表示領域に、非検出画像、判定不能画像、候補画像と同時に又は個別に表示するようにしてもよい(図33,図83)。
本発明の画像診断支援装置によれば、コンピュータで医用画像から病巣候補などを自動判別する際に、大きさや形の異なる陰影を統一的に扱うことができ、コンピュータ演算も短時間で済むという効果がある。また、本発明の画像診断支援装置によれば、抽出された病巣候補と思われる陰影を容易かつ瞬時に識別可能に表示することができるという効果がある。
以下添付図面に従って本発明に係る画像診断支援装置の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明が適用される画像診断支援装置全体のハードウエア構成を示すブロック図である。この画像診断支援装置は、例えばX線CT装置等で被検体の対象部位について収集した複数の断層像(CT画像など)に基づいて、抽出された病巣候補陰影等を表示したり、抽出された病巣候補陰影等の中から確信度の高いものを絞り込んで表示した。また、これらの処理の途中における画像を表示したりするものである。この画像診断支援装置は、各構成要素の動作を制御する中央処理装置(CPU)40と、装置の制御プログラムが格納された主メモリ42と、複数の断層像データ及びプログラム等が格納された磁気ディスク44と、表示用の画像データを一時記憶する表示メモリ46と、この表示メモリ46からの画像データに基づいて画像を表示する表示装置としてのCRTディスプレイ48と、画面上のソフトスイッチを操作するマウス50及びそのコントローラ52と、各種パラメータ設定用のキーやスイッチを備えたキーボード54と、スピーカ58と、上記各構成要素を接続する共通バス56とから構成される。この実施の形態では、主メモリ42以外の記憶装置として、磁気ディスク44のみが接続されている場合を示しているが、これ以外にフロッピディスクドライブ、ハードディスクドライブ、CD-ROMドライブ、光磁気ディスク(MO)ドライブ、ZIPドライブ、PDドライブ、DVDドライブなどが接続されていてもよい。さらに、図示していない通信インターフェイスを介してLAN (ローカルエリアネットワーク)やインターネット、電話回線などの種々の通信ネットワーク上に接続可能とし、他のコンピュータとの間で画像データのやりとりを行えるようにしてもよい。また、画像データのやりとりは、X線CT装置やMRI装置などの被検体の断層像が収集可能な医用画像診断装置を上記LAN等と接続して行ってもよい。
以下、図1の画像診断支援装置の動作例について図面を用いて説明する。図2は、画像診断支援装置が実行するメインフローの一例を示す図である。図1のCPU40は、このメインフローに従って動作する。図3は、このメインフローによってCT画像がどのように処理されるのかを示す図である。図4は、CRTディスプレイ48上の表示画面の一例を示す図である。このメインフローは、操作者が図4の表示画面上の患者名の欄に病巣候補抽出及び表示処理の対象となる患者名を入力し、演算ボタンをクリックすることによって起動するものである。以下、このメインフローの詳細をステップ順に説明する。
[ステップS80]
CPU40は、CT装置によって撮影された患者のCT画像の中から図4の患者名に対応する患者のCT画像20(図3(a1))を磁気ディスク44から読み込む。
[ステップS81]
CPU40は、読み込まれたCT画像の中から診断対象臓器に対して多値化処理を施し、図3(b1)に示すような多値化画像を生成する。この多値化処理の詳細については後述する。
[ステップS82]
診断対象臓器の部位又は臓器の種類に対応した最適な検出処理を行うために、CPU40は、その部位又は臓器の種類等を判断して、ステップS83に進むか、ステップS83に進むかの判断を行う。
[ステップS83]
CPU40は、図3(b1)の多値化画像に対して種々の画像処理を施し、病巣候補陰影を絞り込み、病巣の候補とされる陰影すなわち異常陰影22を検出する。この異常陰影検出処理は、元のCT画像を使わずに、ステップS81で生成された多値化画像だけに基づいて異常陰影22を検出するものである。その詳細については後述する。この実施の形態のように、多値化画像に基づいて異常陰影検出処理を行うことによって、コンピュータ演算などに要する時間を短縮化したり、演算処理の負担を軽減することができる。
[ステップS84]
CPU40は、図3(a1)のCT画像及び図3(b1)の多値化画像に対して種々の画像処理を施し、病巣候補陰影を絞り込み、病巣の候補とされる陰影すなわち異常陰影22を検出する。
なお、ステップS83及びステップS84における異常陰影検出処理の途中経過を示す判別中画像24は、図4に示すようにCRTディスプレイ48上で図3(a1)のCT画像20の横に並列的に表示される。なお、図4に示される合成ボタンがクリックされるとそれに応じて判別中画像24がCT画像20に合成されて表示される。なお、判別中画像24は、多値化画像のデータの処理過程に従って(すなわち、病巣候補陰影の抽出段階に応じて)順次表示内容が変わるようになっている。異常陰影検出処理によって検出された異常陰影の抽出数が所定数よりも多い時は、判定不能を表示して終了することもある。また、その結果は随時磁気ディスクに記録される。この異常陰影検出処理の詳細については後述する。
[ステップS85]
CPU40は、前記ステップS83又はステップS84で異常陰影と判定されたものを病巣部として残し、そうでないものを削除する。
[ステップS86]
CPU40は、図4の三次元画像構成ボタン3Dがクリックされているか否か、すなわち三次元画像構成フラグが「1」か「0」かを判定し、「1」(yes)の場合にはステップS87に進み、「0」(no)の場合にはステップS88に進む。なお、三次元画像構成フラグは、操作者が必要に応じて任意に図4の三次元画像構成ボタンをクリックすることによって「1」又は「0」に設定できるようになっている。
[ステップS87]
ステップS87の処理は、ステップS86でyesと判定した場合に実行されるものである。CPU40は、異常陰影付近の複数枚のCT画像から三次元画像の構成処理を開始する。なお、この三次元画像の構成処理は、ステップS88の処理と並列的に実行されるようになっているが、この三次元画像の構成処理が終了した後にステップS88に進み、ステップS88の処理を実行するようにしてもよい。
[ステップS88]
CPU40は、異常陰影を容易に特定することができるように図3(a1)のCT画像中に色情報を付加して表示したり、その異常陰影をマーカーMで囲むようにして表示したり、原画像(CT画像)中に着色された抽出病巣部やマーカーなどを表示する合成処理を行なう。図3(a2)には、マーカーMで異常陰影を囲んだ場合の合成画像の一例が表示されている。
[ステップS89]
CPU40は、多機能画像表示ボタンがオンされたか否かの判定を行い、オンされた(yes)場合にはステップS8Aに進み、オンされていない(no)場合にはステップS8Bに進む。
[ステップS8A]
多機能画像表示ボタンがオン状態にあるので、CPU40は、ステップS87で構成された三次元画像などを表示する。
[ステップS8B]
CPU40は、別患者の画像に対して同様の病巣候補抽出表示処理を行う旨の指示が操作者によって行われたか否かの判定を行い、別患者の画像を表示する(yes)と判定した場合には、ステップS80に戻り、同様の処理を繰り返し実行し、別患者の画像を表示しない(no)と判定した場合には、ステップS8Cに進む。
[ステップS8C]
CPU40は、図4の終了ボタンのオン操作が操作者によって行われたか否かを判定を行い、オンされていない(no)と判定した場合にはステップS89に戻り、通常の画像表示または多機能画像表示を継続し、オンされた(yes)と判定した場合には処理を終了する。
図2のステップS81の多値化画像処理は、図3に示すようなCT画像20に基づいて行われる。この多値化画像処理は、図3に示すように、図3(a1)に示すような元のCT画像20の標準偏差等を計算した結果に対して、所定の閾値処理を施して多値化するものである。図5及び図6は、図2のステップS81の診断対象臓器の多値化画像処理の詳細を示すフローチャート図である。ここでは、多値化画像処理の中の最も基本的な2値化画像処理について説明する。従来、陰影を強調表示するための画像処理方法の一つに、各CT画像間の差をとる方法がある。例えば、画像サイズ512×512の隣り合う2枚のCT画像間で、同じアドレス(x,y)の画素のCT値の差をとり、このCT値の差をメモリのアドレス(x,y)に格納し、これにより陰影を強調した強調画像を得るようにしている。また、標準偏差値(分散値を含む)を用いる方法などもある。これらの方法は、陰影の境界付近を特に強調表示するものではなく、また、陰影の境界(縁)を抽出したり、陰影のみを抽出するものではない。そこで、この実施の形態では、CT画像内の陰影(特に陰影の境界付近)を抽出したり、陰影を強調表示することのできる多値化画像処理を採用している。図7は、この多値化画像処理を原理的に説明するための図である。以下、このメインフローの詳細をステップ順に説明する。
[ステップS11]
CPU40は、所定形状の特定領域をCT画像上の初期位置に設定する。すなわち、CPU40は、図7に示すように、例えば10×10画素程度の正方形状の特定領域(小領域)12A及び12BをCT画像20(被検体の断層像)内に設定し、それを左上隅の初期位置に設定する。この小領域12A,12Bの中心位置の座標が(X,Y)である場合、その座標(X,Y)はそれぞれ(0,0)に設定される。なお、図7において、小領域12Aは、陰影15の内部に設定され、小領域12Bは、陰影16の境界(縁)を跨がるように設定されている。この小領域の大きさは、10×10画素に限定されるものではなく、例えば、正方形以外の長方形や菱形、円形であってもよい。また、中心位置と重心位置が異なる場合は、重心位置を優先させるが、場合によって選択できるようにしてもよい。
[ステップS12]
CPU40は、小領域内の濃度値(CT値)の平均値AVを求める。求められた平均値AVは、図7の小領域12Aのように陰影15内に存在する場合は高い値を示し、小領域が陰影に跨がっていない場合は低い値を示し、小領域12Bのように陰影16に跨がっている場合はこれらのほぼ中間の値を示す。
[ステップS13]
CPU40は、小領域内において、濃度値がその平均値AV以上である画素の座標の平均値p(xp,yp)、及び濃度値がその平均値AVよりも小さな画素の座標の平均値m(xm,ym)をそれぞれ求める。図7の小領域12Aの場合には、平均値pA,mAは、小領域12Aのほぼ中心付近となり、両者の座標位置はほぼ一致する。一方、小領域12Bの場合には、平均値pBは、陰影16と小領域12Bの重なり部分のほぼ中心付近となり、平均値mBは陰影16と小領域12Bの重ならない部分のほぼ中心付近となり、両者の座標は離れたものとなる。
[ステップS14]
CPU40は、平均値pの座標(xp,yp)と平均値mの座標(xm,ym)との間の距離Dを求める。図7の小領域12Aの場合は、平均値pA,mAは同じ値なので、距離Dは「0」となる。小領域12Bの場合は、平均値pBと平均値mBとは離れているので、それに対応した距離DBとなる。すなわち、この距離Dは、小領域が陰影の縁付近に位置している場合に大きくなり、小領域が陰影に跨がっていない場合には小さな値となる傾向がある。
[ステップS15]
上述の傾向をより顕著にするために、このステップS15では、CPU40は、ステップS14で求められた距離Dに基づいて、小領域の中心座標(X,Y)におけるモーメントMとしてM=g・f(D)を求める。このモーメントMは、(X,Y)に関連した値とする。例えば、小領域内において、濃度値が前記平均値AV以上である画素数をNpとし、濃度値が平均値AVよりも小さな画素数をNmとしたとき、次式に基づいて求められた各モーメントM1〜M3をステップS15のモーメントMとして定義する。
モーメントM1は、M1=Np×Nm×Dとする。
モーメントM2は、M2=Nor×Dとする。
(Norは、Np,Nmのうちの大きい方とする。)
モーメントM3は、M3=従来の分散値×Dとする。
(但し、Dは約1〜3の値のб乗としてもよい。)
一般に、Dを含む演算は有効である。また、後述する判別処理においても、病巣領域に対するDを含む演算結果を判別に用いることができる。
[ステップS16]
CPU40は、小領域を画像のX方向に移動させるために小領域の中心座標Xに1を加える。
[ステップS17]
CPU40は、小領域の中心座標Xの値が最大(小領域が画像の右端を越えた位置)か否かを判定し、最大(yes)であると判定した場合にはステップS17に進み、最大でない(no)と判定した場合にはステップS12に戻り、中心座標Xの値が最大になるまでステップS12〜ステップS17の処理を繰り返す。
[ステップS18]
CPU40は、前記ステップS17で小領域の中心座標Xが最大であると判定されたので、小領域を画像の左端に戻すために、中心座標Xを初期値(通常は0)に戻す。
[ステップS19]
CPU40は、小領域を画像のY方向に移動させるために小領域の中心座標Yに「1」を加える。
[ステップS20]
CPU40は、小領域の中心座標Yの値が最大(小領域が画像の下端を越えた位置)か否かを判定し、最大(yes)であると判定した場合には処理を終了し、結合子Aを介して図6のステップS21に進み、最大でない(no)と判定した場合にはステップS12に戻り、Yが最大になるまでステップS12〜ステップS20の処理を繰り返す。このようにして、CPU40は、小領域をCT画像20の左上から右下まで走査して、その中心座標位置におけるモーメントMを順次算出する。
このようにして求められたモーメントMを使用し、各CT画像20上から陰影又は陰影の境界付近に位置する画素を抽出する方法について図6に示すフローチャートにしたがって説明する。
[ステップS21]
CPU40は、CT画像20の各画素が陰影又は陰影の境界であるのか否かを判定するための閾値として操作者のキーボード入力による定数、又は磁気ディスク44等に予め記憶されている定数を読み込み、それを定数として指定する。
[ステップS22]
CPU40は、判定対象となる画素(被判定画素)をCT画像20の左上隅の初期位置に設定するために、その座標(X,Y)をそれぞれ(0,0)に設定する。
[ステップS23]
CPU40は、被判定画素の座標(X,Y)を中心とする小領域について、図5のステップS15で求めたモーメントMを読み出す。
[ステップS24]
CPU40は、読み出されたモーメントMがステップS21で指定された定数より大きいか否かを判定し、大きい(yes)と判定した場合はステップS25に進み、小さい(no)と判定した場合はステップS26にジャンプする。
[ステップS25]
CPU40は、ステップS24でモーメントMが定数より大きいと判定されたということは、その座標(X,Y)に対応する被判定画素が、陰影又は陰影の境界に該当することを意味するので、このステップではその座標(X,Y)を抽出し、メモリ(主メモリ42又は磁気ディスク44)に格納する。すなわち、CPU40は、ステップS24でモーメントMが定数より大きい(yes)と判定した場合には、その座標(X,Y)に2値化のうちのハイレベル「1」をセットし、逆にステップS24でモーメントMが定数より小さい(no)と判定した場合には、その座標(X,Y)に2値化のうちのローレベル「0」をセットする。このようにして各座標はローレベル「0」又はハイレベル「1」のいずれかに一方にセットされ、2値化されていく。このように各座標を2値化することによって各座標を1ビットで表現することができるようになるので、以後の処理を単純化することができる。
[ステップS26]
CPU40は、被判定画素の座標をX方向に移動させるために座標Xに1を加える。
[ステップS27]
CPU40は、被判定画素の座標Xの値が最大(画像の右端を越えた位置)か否かを判定し、最大(yes)であると判定した場合にはステップS28に進み、最大でない(no)と判定した場合にはステップS23に戻り、Xが最大になるまでステップS23〜ステップS26の処理を繰り返す。
[ステップS28]
CPU40は、前記ステップS27で被判定画素の座標Xが最大であると判定したので、被判定画素を左端に戻すために、座標Xを「0」とし、被判定画像をY方向に移動させるためにその座標Yに1を加える。
[ステップS29]
CPU40は、被判定画素の座標Yが最大(画像の下端を越えた位置)か否かを判定し、最大(yes)であると判定した場合には処理を終了し、最大でない(no)と判定した場合にはステップS23に戻り、Yが最大になるまでステップS23〜ステップS28の処理を繰り返す。
このようにして、CPU40は、被判定画素をCT画像20の左上から右下まで走査して、それが陰影又は陰影の境界であるのか否かの判定を行う。以上の処理によって、定数よりも大きなモーメントMを有する小領域の中心点(X,Y)すなわち陰影又は陰影の境界である画素の座標点がメモリ(主メモリ42又は磁気ディスク44)に順次格納される。なお、図5及び図6では、ローレベル「0」及びハイレベル「1」の2値化について説明したが、ステップS21で定数を複数指定することによって、任意の数に多値化することができる。例えば、定数をC1,C2,C3の3個指定し、モーメントMが定数C1よりも小さい場合、定数C1以上で定数C2よりも小さい場合、定数C2以上で定数C3よりも小さい場合、定数C3以上の場合のいずれに該当するかを判定することによって、CT画像を4値化することができる。4値化した場合、一つの画素は2ビットで表現されることになる。なお、これ以外の数に多値化する場合も同様に複数の定数を指定し、それも基づいて多値化することができる。
図8は、上述した陰影又は陰影の境界に位置する画素を抽出する方法によってどのように陰影が抽出されるかの概念を示す図である。図8(A)に示すように陰影の中心付近が最もCT値が高く、半径方向に行くに従って徐々にCT値が減少するような、円状の陰影を有するCT画像21に対して、上述の処理を実行することによって、メモリには、図8(B)に示すような陰影の境界がはっきりとした多値化画像の陰影22が格納されると共にCRTディスプレイ48上に表示されるようになる。また、ステップS21で指定する定数を大きくすることによって、図8(C)に示すような陰影の境界23の強調されたリング状の陰影が抽出される。従って、ステップS21で指定する定数を種々変化することによって、陰影の境界だけを抽出したり、陰影全体を抽出したりすることができる。また、このようにして抽出した陰影の境界等を強調表示することもできる。
上述の多値化画像処理によって生成された多値化画像を用いて、図2のステップS83の異常陰影検出処理が行われる。また、この多値化画像と元画像であるCT画像20とを用いて、図2のステップS84の異常陰影検出処理が行われる。ステップS83のように多値化画像だけを用いて異常陰影検出処理を行う場合には、2値化画像とこれよりも大きな多値化画像(例えば8値化画像又は16値化画像)を用いて行うことが望ましい。これ以降の説明では、2値化画道とCT画像20を用いて異常検出処理を行う場合について説明する。なお、図2のステップS83のように多値化画像だけを用いて異常陰影検出処理を行う場合には、CT画像20を多値化画像に読み替えることによって同様に対応することができることは言うまでもない。
図9は、異常陰影検出処理のメインフローを示す図である。図9の異常陰影検出処理は、小陰影、大陰影、すりガラス状陰影、高濃度陰影などの陰影の種類を示すパラメータに応じて、所定のCT値(画素値)の範囲に属する画素だけを医用画像の中から抽出して判別対象用の医用画像を作成するものである。すなわち、陰影には、小陰影、大陰影、すりガラス状陰影、高濃度陰影などの種類がある。これらの各陰影は医用画像中において所定の画素値範囲に特徴的に現れることが経験的に確認されている。例えば、小陰影や大陰影の場合は画素値(CT値)としては、−800〜0の範囲に、すりガラス状陰影の場合は−800〜−400の範囲に、高濃度陰影の場合は−400〜0の範囲に、それぞれ顕著に現れる。そこで、この実施の形態では、この陰影の種類に対応して、医用画像の中から所定範囲の画素値に属するものだけを抽出し、新たな判別対象医用画像を作成し、それに基づいて病巣候補陰影の抽出処理を行うようにした。また、すりガラス状陰影の場合は肺野辺縁に病巣が発生することが多いので、処理方法を中枢部と辺縁部に分けて行なうことが有効である。
小陰影検出処理は、CT画像20の中からCT値が−800〜0の範囲に属する画素によって構成される判別対象医用画像中の陰影に対して異常陰影検出処理を行う。大陰影検出処理は、CT値が−800〜0の範囲に属する画素によって構成される判別対象医用画像中の陰影に対して異常陰影検出処理を行う。ガラス状陰影検出処理は、CT値が−800〜−400の範囲に属する画素によって構成される判別対象医用画像中の陰影に対して異常陰影検出処理を行う。高濃度陰影検出処理は、CT値が−400〜0の範囲に属する画素によって構成される判別対象医用画像中の陰影に対して異常陰影検出処理を行う。なお、図2のステップS81の多値化画像抽出処理を、この判別対象医用画像に基づいて行い、その結果得られた多値化画像を用いて図2のステップS83及びステップS84の異常陰影検出処理を行うようにしてもよい。従って、以下の説明の中でCT画像と呼ぶときは、この判別対象医用画像及び多値化画像のことを含むものとし、画素値や濃度値と呼ぶ場合には、多値化された画像における画素値を含むものとする。
図10は、これらの各陰影検出処理の詳細を示す図である。図9の異常陰影検出処理で実行される各陰影処理は、陰影の大きさを判定するステップS41,S44,S46で用いられる所定値Ra,Rbが異なる他は、ほぼ共通の処理である。陰影の大きさには、陰影を構成する画素数を用いる。病巣陰影には小陰影、大陰影、すりガラス状陰影又は高濃度陰影などのようにその大きさ自体がさまざまなものが存在する。これらの陰影に対して判別処理を行う場合、各陰影の大きさに対応したパラメータを用いて、各陰影に対して同じような処理が実行される。ところが陰影自体が小さい場合や大きい場合、又は陰影の現れる場所が異なる場合には、同じパラメータで同じ判別処理を行なったのでは、精度が低下するという問題がある。そこで、陰影の大きさに合わせてパラメータを小さくしたり、大きくしたりすることが必要である。この実施の形態では、陰影が所定値Raよりも小さかった場合は、その陰影画像を拡大し、逆に所定値Rbより大きかった場合は、その陰影画像を縮小し、最も効率的に判別処理を行うことのできる大きさの陰影に変換し、変換後の陰影に対して判別処理を行うようにした。以下、この陰影検出処理の詳細をステップ順に説明する。
[ステップS41]
CPU40は、検出対象となる陰影の大きさ(ここでは画素数)が所定値Raよりも小さいか否かを判定し、小さい(yes)と判定した場合にはステップS42に進み、小さくない(no)と判定した場合にはステップS44にジャンプする。
[ステップS42]
ステップS41で陰影の大きさが小さいと判定されたので、CPU40は、ステップS43の第1判別処理で用いられるパラメータに対応した大きさに陰影画像を拡大する。この場合、各画素間の画素値は補間処理にて求められる。
[ステップS43]
CPU40は、ステップS42で拡大された陰影に対して第1判別処理を実行する。
[ステップS44]
CPU40は、検出対象となる陰影の大きさが所定値Ra以上であり、所定値Rb以下であるか否か、すなわち所定範囲内の大きさの陰影であるか否かを判定し、所定範囲内である(yes)と判定した場合にはステップS45に進み、所定範囲内でない(no)と判定した場合にはステップS46にジャンプする。
[ステップS45]
CPU40は、ステップS44の4定範囲内の大きさの陰影に対して第2判別処理を実行する。
[ステップS46]
CPU40は、各CT値によって抽出された陰影の大きさが所定値Rbよりも大きいか否かを判定し、大きい(yes)と判定した場合にはステップS47に進み、大きくない(no)と判定した場合には終了して、図9の次の陰影検出処理に進む。
[ステップS47]
CPU40は、ステップS46で陰影の大きさが所定値Rbよりも大きいと判定したので、ステップS48の第3判別処理で用いられるパラメータに対応した大きさに陰影画像を縮小する。
[ステップS48]
CPU40は、ステップS47で縮小された陰影に対して第3判別処理を実行し、図9の別の陰影検出処理(大陰影検出処理、すりガラス状陰影検出処理又は高濃度陰影検出処理)に進む。なお、陰影の大きさとして画素数を用いたが、陰影の最大直径や最小直径などを用いてもよい。この場合には、上記所定値Raとして最小直径を約7mmとし、所定値Rbとして最大直径を約21mmとするとよい。
図11は、図10のステップS43,S45,S48の第1〜第3判別処理の詳細を示すフローチャート図である。この第1〜第3判別処理は、ステップS72,S74,S76の各判定サブルーチンで用いられる種々のパラメータが異なる他はほぼ共通の処理である。なお、第1判別処理は、図10の陰影検出処理のステップS42によって拡大された画像に対して実行される。第2判別処理は、図10の陰影検出処理のステップS44によって陰影の大きさが所定範囲内であると判定された画像に対して実行される。第3判別処理は、図10の陰影検出処理のステップS47によって縮小された画像に対して実行される。第1〜第3判別処理は、CT画像のスライス厚さに応じて判定サブルーチンの組み合わせを変更するものである。医用画像は、癌などの陰影のほか、血管、血管の断面、気管支の断面などが混在して写っている。医用画像のスライス厚が異なると、その陰影の中の特定の陰影が明確になったり不明確になったりする。例えば、スライス厚が小さい場合には、血管に対応する陰影が極端に減少して認識しにくくなる。スライス厚が大きくなると、血管の陰影が明確に現れるようになる。従って、スライス厚が小さい場合には、陰影が血管陰影であるか、又は病巣候補陰影であるかの判別を行なう必要がある。逆に、スライス厚が大きい場合には、明確に血管の陰影を判別することができるようになるので、判別処理は必要ない。また、図44に示すように陰影が肺壁に結合している場合などは、陰影の存在する場所に応じて処理を変えるのが望ましい。そして、複数の専用の判定サブルーチンで処理して、最後にそれらの論理和をとることになる。この実施の形態では、スライス厚の小さい場合の陰影判別に必要な判別処理E1,F1を含む第1の組み合わせ処理と、これを含まない第2及び第3の組み合わせ処理を設け、これらをスライス厚Sa,Sbに応じて適宜選択するようにした。以下、この第1〜第3判別処理の詳細をステップ順に説明する。
[ステップS71]
CPU40は、CT画像20のスライス厚が所定値Sa(例えば10mm)よりも大きいか否かを判定し、大きい(yes)と判定した場合には次のステップS72に進み、小さい(no)と判定した場合にはステップS73にジャンプする。
[ステップS72]
CPU40は、判定サブルーチンA1〜F1の組み合わせからなる第1の組み合わせ処理を実行する。
[ステップS73]
CPU40は、CT画像20のスライス厚が所定値Sa以下であり、所定値Sb(例えば5mm)以上であるか否か、すなわち所定範囲内の厚さであるか否かを判定し、所定範囲内である(yes)と判定した場合にはステップS74に進み、所定範囲内でない(no)と判定した場合にはステップS75にジャンプする。
[ステップS74]
CPU40は、判定サブルーチンA2〜D2の組み合わからなる第2の組み合わせ処理を実行する。この第2の組み合わせ処理では、判定サブルーチンE1,F1に対応する判定処理は実行されない。判定サブルーチンE1,F1は、陰影が血管に対応する陰影であるか否かを判別する処理なので、スライス厚が小さい場合には血管に対応する陰影が極端に減少して認識できなくなるため、ここではそれに関する判定サブルーチンは実行しないようにした。なお、CPU40は、ステップS72と同様に判定サブルーチンE2,F2を実行してもよいことは言うまでもない。
[ステップS75]
CPU40は、CT画像20のスライス厚が所定値Sbよりも小さいか否かを判定し、小さい(yes)と判定した場合には次のステップS76に進み、大きい(no)と判定した場合には処理を終了し、図10のステップS44又はS46に進む。
[ステップS76]
CPU40は、判定サブルーチンA3〜D3の組み合わからなる第3の組み合わせ処理を実行する。この第3の組み合わせ処理では、判定サブルーチンE1,F1に対応する判定処理は実行されない。これも前述と同様に判定サブルーチンE1,F1が血管に対応する陰影かどうかを判別する処理なので、ここではそれに関する判定サブルーチンは実行しないようにした。なお、CPU40は、ステップS72と同様に判定サブルーチンE3,F3を実行してもよいことは言うまでもない。
図11のステップS72,S74,S76で実行される判定サブルーチンA1〜A3について説明する。図12は、判定サブルーチンA1〜A3の詳細を示すフローチャート図である。図13は、この判定サブルーチンA1〜A3の処理の様子を概念的に示す図であり、図13(a)はCT画像上に仮想的に設定されるループの様子を示す図であり、図13(b)は仮想的に設定された各ループごとの画素値の様子を示すグラフである。一般に、陰影の中心位置から半径rのループ上に位置する陰影の濃度の相関は、例外はあるものの、病巣陰影の方が血管断面陰影よりも大きいという傾向を示す。これを陰影判別処理に用いるために、微小半径drだけ離れた隣接するループ間の陰影の濃度変化の相関を求めるようにした。すなわち、陰影の濃度そのものは、陰影の中心付近と縁付近とでは、大きく異なることが分かっているので、隣接するループ同士の濃度値の相関を求めただけでは両者の正確な相関を求めることができない。この実施の形態では、陰影の濃度変化の相関を求めるようにした。なお、陰影の中心位置付近は、図3(b1)の多値化画像に基づいて決定し、決定された陰影の中心を図3(a1)のCT画像20に適用して、各ループ上の濃度を求める。なお、図2のステップS83の場合には、CT画像20に代えて、2値以外の多値化画像の多値情報を用いて行うことになる。以下、この判定サブルーチンA1〜A3の詳細をステップ順に説明する。
[ステップS1]
CPU40は、陰影をサーチする際の半径rを初期値として設定する。図13(a)では、例えば、半径rとして、10×10画素程度の正方形状の小領域の約1.5倍相当の値が設定される。
[ステップS2]
CPU40は、陰影中心付近を基準に半径rを1度ずつ回転し、角度θ=0〜360度の範囲の各画素値をサンプリングして記録する。なお、全ループの濃度平均を同じにするために、ループ毎に一定値を加算しておくとよい。
[ステップS3]
CPU40は、半径rに微小半径drを加えた半径r+drを次のループの半径rとする。図13では、例えば、微小半径drとして前記小領域の約1.2倍相当の値が設定される。
[ステップS4]
CPU40は、半径rが最大値であるか否かを判定し、最大値でない(no)場合には、ステップS2にジャンプし、半径rが最大値(yes)の場合にはステップS5に進む。なお、最大半径は、例えば抽出対象の病巣の大きさ等や第1〜第3判別処理の種類に応じて予め設定されたものが用いられる。
[ステップS5]
CPU40は、所定の判定式に基づいた演算を行う。例えば、CPU40は、図13(a)に示すように、0〜360度の範囲にわたって点P(r,θ)と点P'(r',θ)におけるの画素間の濃度差を求め、その差の絶対値の和を求める。すなわち、CPU40は、隣接するループ間の陰影の相関を、次式(1)に基づいて求める。
Σ|隣接するループ上の同一角度の画素間の濃度差|・・・式(1)
前述したように隣接するループ間での陰影の相関は、病巣陰影の方が血管断面陰影よりも大きいため、上式(1)の演算結果は病巣陰影の方が血管断面陰影よりも小さくなる傾向がある。このことは、図13(b)の各曲線に基づいて判断しても明白である。すなわち、ループ=1の曲線(実線)と、ループ=2の曲線(点線)とでは、濃度変化が近似しており、相関が非常に大きいと言える。一方、ループ=2の曲線(点線)と、ループ=3の曲線(一点鎖線)とでは、濃度変化が全く異なっており、相関は小さいと言える。なお、隣接するループ間の相関を求める演算式は、上式(1)に限定されるものではない。
一方、同一ループ内での陰影変化の大きさも、例外はあるが、病巣陰影の方が血管断面陰影よりも小さい。これを陰影判別に用いるために、CPU40は、図13(a)に示すように、0〜360度の範囲にわたって点P(r,θ)と点P"(r,θ')の画素間の濃度差を求め、その差の絶対値の和を求める。すなわち、CPU40は、同一ループの隣接する画素間の相関を、次式(2)に基づいて求める。
Σ|同一ループでの隣接する画素間の濃度差|・・・式(2)
前述したように同一ループ内での陰影変化の大きさも、例外はあるが、病巣陰影の方が血管断面陰影よりも小さいため、上式(2)の演算結果は、病巣陰影の方が血管断面陰影よりも小さくなる傾向がある。このことは、図13(b)の各曲線に基づいて判断しても明白である。すなわち、ループ=1の曲線(実線)とループ=2の曲線(点線)は、濃度変化が小さく、一方、ループ=3の曲線(一点鎖線)は濃度変化が大きいと言える。なお、同一ループの隣接する画素間の相関を求める演算式は、上式(2)に限定されるものではない。
この実施の形態では、上式(1)と上式(2)とを組み合わせた以下に示す判定式(3)を用いる。
Figure 0004727700
但し、A:隣接するループi,i+1上の同一角度の画素間の濃度差
B:同一ループiでの隣接する画素間の濃度差
この式(3)の演算結果は、病巣陰影の方が血管断面陰影よりも小さくなるという傾向がある。従って、式(3)による演算結果が一定値よりも大きい陰影は、病巣候補から外すという判定ができる。なお、病巣候補陰影と正常陰影を区別する閾値(式(3)の定数)は、実験的に求められ、予め磁気ディクス44等に記録されているものが、必要時に読み出されて利用されるものとする。
また、式(3)では、絶対値を求めた後に総和を求めているが、総和を求めた後で絶対値を求めるという、以下に示す判定式(4)使用してもよい。
Figure 0004727700
[ステップS6]
CPU40は、ステップS5の判定式(3)又は(4)による演算結果が一定値よりも大きいか否かを判定し、大きい(yes)と判定した場合は、ステップS7に進み、小さい(no)と判定した場合は終了し、次のサブルーチンB1〜B3に進む。
[ステップS7]
CPU40は、ステップS6の判定の結果、すなわち、判定式(3)又は(4)による演算結果が一定値よりも大きい(演算結果>一定値)と判定した場合の陰影を病巣候補陰影から外し、次のサブルーチンB1〜B3に進む。
上述の判定サブルーチンA1〜A3では、図3(b1)の多値(2値)化画像に基づいて陰影の中心を決定し、その陰影の中心をCT画像20に適用し、その中心から同心円状の複数ループにおける濃度を求めることによって陰影が病巣候補陰影であるか否かの判定を行う場合について説明した。この判定方法は、一例であり、これ以外にも種々の変形が考えられる。以下その変形例について説明する。
図14及び図15は、濃度を求める画素を陰影の中心位置から渦巻き上にサーチする方法の概念を示す図である。図14(a)に示すように、陰影の濃度を求めるための対応画素を、陰影2の中心付近を基準点にし、その基準点から陰影2の辺縁に向かって時計回りに回転するループL1,L2,L3に沿って渦巻き状にサーチして特定する。すなわち、CPU40は、1回目のループL1では、実線の矢印で示す順番でサーチし、2回目のループL2では、点線の矢印で示す順番でサーチし、3回目のループL3以降(図示せず)でも同様にしてサーチして、対応画素を特定する。なお、サーチの開始点とサーチ方向には限定がなく、図14(b)に示すように陰影2の辺縁から陰影の中心付近に向かってループL1,L2,L3のように同心円状にサーチしてもよい。また、1ループ中のサーチ順番にも限定がなく、図15(a)に示すようにループL2について、Df→Ff→Fb→Dbとサーチし、続いてCf→Bf→Bb→Cbとサーチしてもよい。なお、上記サーチ順を示す大文字のアルファベットはCT画像20のy座標を示し、小文字のアルファベットはx座標を示している。更に、図15(b)に示すように回転しながら連続的に半径を大きくし、その通過点をサーチ点の画素としてもよい。
図16は、図14及び図15のサーチ方法によるサンプリング点を概念的に示すと共にそのサンプリグ点のデータを「0」,「1」のパターンで示す図である。すなわち、図16(a−1)〜(c−1)上で、黒丸は各陰影3〜におけるサンプリング点を示す。なお、陰影3〜5は、図16(b−1)の2値化画像に対応したものであり、陰影上の画素値は「1」であり、それ以外は「0」である。また、黒丸に付された番号は、サーチの順番を示している。このサーチ順に従ってサンプリングされた、陰影3〜5の画素の濃度値をグラフとして表したものが図16(a−2)〜(c−2)に示すものである。各サンプリング点の濃度値は、図16(a−2)〜(c−2)から明らかなように、「0」,「1」によって構成されたパターンとなる。CPU40は、このパターンに基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かの判別を行う。例えば、図16(a−2)のように、サンプリング点の濃度値が「1」である状態が連続して1から9まで存在する場合には、その陰影は病巣陰影候補と判別される。図16(b−2)のように、サンプリング点の濃度値が「1」である状態が連続して1から8まで存在しているが、その後に濃度値が「0」の状態が9から13まで連続している場合には、その陰影は病巣陰影候補ではないと判別される。また、図16(c−2)のように、濃度値が「1」の状態と「0」の状態が短い周期で繰り返される場合には、その陰影は病巣陰影候補ではないと判別される。なお、これらの判断は予め実際の病巣陰影に基づいて学習した値を用いて判別することが好ましい。
2値化画像における陰影の形状を、濃度の大きさに変換する方法について説明する。図17は、この変換方法の概念を示す図である。図17(a)に示すように、点10をサーチの開始点とした場合と、点12をサーチの開始点とした場合とでは、画素値がゼロの点をサーチするまでのループ回数は、点12をサーチの開始点とした場合の方が多い。従って、このループ回数に比例した値をその陰影の濃度とすることにより、2値化画像の陰影形状を濃度値に変換することができる。なお、上述の実施の形態では、サーチの開始点(陰影の中心)として、陰影の重心位置を採用しているが、図17(b)に示すように陰影の縦方向の陰影長の約2分の1の点列(図中の丸印○)を結ぶ曲線と、横方向の陰影長の約2分の1の点列(図中の三角印△)を結ぶ曲線との交点14を、その陰影の中心とすることもできる。また、サーチの開始点は、陰影の重心位置の他に陰影に内接する円の中心でもよい。ようするに、サーチの開始点は陰影の中心付近であればよい。このようにして変換された濃度に基づいて各判定サブルーチンを実行するようにしてもよい。
また、抽出領域の周囲を見ることが可能なので、特定CT値より大きな値をとる領域が周囲にあるかどうかの判定にも使用可能である。
図18は、陰影が病巣候補陰影(癌陰影)又は正常陰影のいずれであるかを判別する方法を示す図である。図18(a)に示すグラフは、渦巻き状又は同心円状にサーチしたときのループ回数を横軸に示し、ループ毎のサンプリング点の濃度の平均値を縦軸に示している。濃度の平均値は、図16に示すような2値化画像に基づいて求められる。なお、元のCT画像に基づいて求めて、それを正規化してもよい。一般的に、濃度は陰影の中心付近が高く、周辺にいくに従って低くなる傾向にあるので、図18(a)のグラフに示すようにループ回数が点n1,n2,n3,n4・・・、又は点N1,N2,N3,N4・・・のように増加するに従って濃度の平均値は徐々に減少するような傾向を示す。なお、図18において、点n1,n2,n3,n4・・・で示される曲線16は、癌陰影に関するものであり、点N1,N2,N3,N4・・・で示される曲線18は、血管断面陰影に関するものである。これから明らかなように病巣候補陰影である癌陰影16の方が、血管断面陰影18よりもループ回数が増加するに従って減少する割合が小さいことが分かる。従って、実際の癌陰影を予め用いて曲線データを多数測定し、その測定結果を予め磁気ディスク等に基準データとして格納しておき、この基準データに基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かの判定を行うようにする。
図19は、病巣陰影と正常陰影の存在するCT画像の一例を示す図である。図19に示すような陰影16a,18a,18bを判別する場合、CPU40は、各陰影16a,18a,18bの中心付近から渦巻き状にサーチし、ループ毎の濃度平均値を求める。CPU40は、濃度平均値の各データと図18の各基準データとを比較し、基準データの何れか一つと一致するか否かの判定を行う。例えば陰影16aの濃度平均値のデータが図18の曲線16と一致した場合、その陰影16aは癌陰影の候補として医者に提示される。陰影18a,18bの濃度平均値のデータは、図18の曲線18とほぼ一致し、どの基準データにも一致しない。このような場合には、その陰影18a,18bは病巣候補陰影から削除され、医者には提示されない。なお、基準データと一致するかどうかの判定は、次式(5)を使用する。
Σ|Ni−ni|<一定値 ・・・式(5)
上式(5)を満足するとき、二つの曲線は一致するとみなす。ただし、Niは、ループ番号iの実際にサーチしたサンプリング点の濃度平均値であり、niは、ループ番号iの癌陰影の濃度平均値(基準データ)である。なお、上記絶対値をб(б=1〜2)乗してもよい。なお、判定式はこれに限定されず、次式(6)を用いてもよい。
П|Ni−ni|<一定値 ・・・式(6)
また、上述の例は、既知の癌陰影について調べたが、血管断面等の正常陰影の基準データを準備し、この基準データと一致すれば、癌候補としないという手法を用いてもよい。更に、ループ回数とループ毎の濃度平均値のグラフの曲線の形状フィッティングに限らず、ループ回数とループ毎の最大値のグラフの曲線の形状フィッティングによって陰影を判別するようにしてもよい。
図11のステップS72,S74,S76で実行される判定サブルーチンB1〜B3について説明する。図20は、陰影の異方性に基づいて陰影を判別する判定サブルーチンB1〜B3の詳細を示すフローチャート図である。図21及び図22は、この判定サブルーチンB1〜B3の処理の様子を概念的に示す図である。図21は病巣陰影の場合を示し、図22は血管断面陰影の場合を示す。以下、この判定サブルーチンB1〜B3の詳細をステップ順に説明する。
[ステップS30]
CPU40は、角度θを、例えば、θ=0度に初期化する。角度θ=0は図21(a)及び図22(a)では、陰影の中心位置Mから右水平方向に向かう矢印で示される線である。
[ステップS31]
CPU40は、角度θのα軸上であって陰影の中心Mから半径rに位置する陰影の濃度分布Vrと、角度θ+90度のβ軸上であって半径rに位置する陰影の濃度分布V90rを求める。
[ステップS32]
図21(a)の場合、α軸及びβ軸上における半径rの位置は共に陰影の内側にあるので、その濃度分布Vr及びV90rは等しい値となる。一方、図22(a)の場合、α軸上における半径rの位置は陰影の外側にあり、半径β軸上における半径rの位置は陰影の内側にあるので、その濃度分布Vr及びV90rは著しく異なった値となる。従って、CPU40は、これらの値を比較判定することによって、陰影が病巣候補陰影であるか否かを判定する。すなわち、このステップS32では、CPU40は、角度θのα軸上の半径rに位置する濃度分布Vrと、角度θ+90度のβ軸上の半径rに位置する濃度分布V90rとを次式(7)に代入して陰影の異方性(又は相関)を求める。
Figure 0004727700
上式(7)では、絶対値をとった後に加算処理を行なっている。加算処理を行なった後に絶対値をとるような式を、異方性を表す式として用いることもできる。図21では、半径rが正の値の場合について示してあるが、半径rは負の値でもよい。図21(b)及び図22(b)の半径r1上だけに限定して相関をとってもよい。この場合は長さが異なるので平均値の相関をとることになる。更に、上式(7)によって求めた90度異方性(θ)の角度θを、0〜360度の範囲にわたって変化させ、次式(8)に示す異方性を求めてもよい。
Figure 0004727700
また、上式(8)の代わりに、次式(9)に示す異方性を求めてもよい。
Figure 0004727700
[ステップS33]
CPU40は、ステップS32で求めた異方性(又は相関)が、過去に求めた最大異方性(又は最小相関)よりも大きいか否かを判定し、最大異方性(又は最小相関)よりも大きい(yes)と判定した場合には、ステップS34に進み、最大異方性(又は最小相関)以下(no)と判定した場合には、ステップS35にジャンプする。なお、今回の処理が最初であって最大異方性(又は最小相関)が存在しない場合もCPU40はステップS34に進む。
[ステップS34]
CPU40は、ステップS33で求めた異方性(又は相関)を最大異方性(又は最小相関)とし、その値を更新する。
[ステップS35]
CPU40は、角度θに微小角度δを加え、角度θを角度(θ+δ)とする。なお、微小角度δは、例えば、1度とするが、これ以外の値でもよい
[ステップS36]
CPU40は、0〜360度の全角度θにわたって異方性(又は相関)の演算が終了したか否かを判定し、終了した(yes)と判定した場合はステップS37に進み、終了してない(no)と判定した場合にはステップS31に戻り、角度θが360度に達するまで同様の処理を繰り返す。
[ステップS37]
CPU40は、最大異方性が所定の値より大きいか(最小相関は所定の値よりも小さいか)否かを判定し、大きい(相関の場合は小さい)と判定した場合はステップS38に進み、小さい(相関の場合は大きい)と判定した場合は次のサブルーチンC1〜C3に進む。なお、各ステップにおける判定比較定数は、X線CT装置の撮影時の条件(スライス厚さ、管電流等)に応じて決定される値であり、自動的に選択されるようにしてもよい。
[ステップS38]
CPU40は、最大異方性が所定の値より大きい(最小相関が所定の値より小さい)とステップS37で判定されたので、その陰影を病巣候補陰影から外し、次のサブルーチンC1〜C3に進む。癌陰影などのような実際の病巣陰影について、前述の異方性を算出した場合、異方性の値は小さい(相関の場合は大きい)という傾向がある。従って、この判定サブルーチンB1〜B3によって病巣候補陰影以外の陰影を効果的に除去することが可能となる。すなわち、実際の病巣陰影の場合は、図21(a)に示すようにほぼ円形に近い形状を示す場合が多く、図21(b)に示すように角度θの半径r1に位置する陰影の濃度分布Vr1と、角度θ+90度の半径r1に位置する陰影の濃度分布V90r1との濃度差は比較的小さく、異方性も小さくなる傾向がある。一方、血管断面陰影の場合は、図22(a)に示すように細長く、図22(b)に示すように角度θの半径r1に位置する陰影の濃度分布Vr1と、角度θ+90度の半径r1に位置する陰影の濃度分布V90r1との濃度差は比較的大きく、異方性も大きくなる傾向がある。従って、CPU40は、上式(8)又は(9)によって求められる異方性を示す値により病巣陰影と血管陰影とを容易に判別することができる。
なお、上式(7)では、濃度分布V90rと濃度分布Vrとの差の絶対値を使用しているが、本発明はこれに限らず、その絶対値をδ(δ=2〜4)乗してもよい。また、上式(8)又は(9)の演算結果は一般に大きな値になるため、所定の定数を掛けて取り扱いやすい小さな数値に丸めてもよい。更に、相関角度90度は判定に最も効果的な角度であるが、本発明は90度に限定されず、90度±30度の範囲の適当な角度を相関角度とし、その異方性を求めてもよい。更にまた、上式(8)又は(9)の演算結果(例えば、90度異方性)を用いて、更に標準偏差値などを計算し、判別に用いることも可能である。また、本発明は、実質90度の二方向の陰影濃度の相関を求めるものであればよく、上式(8)又は(9)に限定されるものではなく、上式(7)を判定に用いてもよい。
図11のステップS72,S74,S76で実行される判定サブルーチンC1〜C3について説明する。図23は、陰影の長径と短径の比に基づいて陰影を判定する判定サブルーチンC1〜C3の詳細を示すフローチャート図である。図24は、この判定サブルーチンC1〜C3の処理の様子を概念的に示す図である。上述の判定サブルーチンB1〜B3では、実質90度の二方向の陰影濃度分布の異方性を用いて陰影を判定していたが、ここでは実質90度の二方向の陰影の長さの比を用いて陰影を判定する。以下、この判定サブルーチンC1〜C3の詳細をステップ順に説明する。
[ステップS50]
CPU40は、回転中心を陰影濃度の中心付近に位置づける。すなわち、CPU40は、図24(a)に示すように所定長の半径のα軸及びβ軸の回転中心を陰影の中心Mに設定する。一般に病巣陰影の場合、その濃度分布に複数のピークが現れることが多いので、陰影の中心付近を、これら複数のピークの平均位置として設定する。なお、前述のように陰影を2値化した2値化画像の陰影に基づいてその重心位置を中心座標としてもよいし、図17(b)で求めたような位置を中心座標としてもよい。
[ステップS51]
CPU40は、角度θを、例えばθ=0度に初期化し、実質90度の二方向の陰影の長さの比の最大比を、例えば「1」に初期化する。角度θ=0は、図24では、陰影の中心Mから右水平方向に向かう矢印で示されるものである。
[ステップS52]
CPU40は、半径Rを、0近傍の微小半径R0に、第1の記録フラグ1及び第2の記録フラグ2をそれぞれ「0」に初期化する。
次のステップS53〜S58の処理によって、CPU40は、図24(a)に示すように、陰影の基準となる中心Mからある角度θのα軸上の半径r1と、角度θ+90度のβ軸上の半径r2とを求める。ここで、半径r1,r2は、それぞれ原点Mから陰影の境界までの距離であり、この境界は、例えば、図24(b)に示すように濃度曲線α1,β1の値が原点の濃度値の約T%となる最初の位置とすることによって求める。なお、T%の値は、適宜設定することができ、ここではT=75%としてある。パーセントの代わりにCT値や多値化画像の値そのものを用いてもよいことは言うまでもない。
[ステップS53]
CPU40は、第1の記録フラグ1が「0」であり、かつ、α軸方向の半径Rの画素の濃度値が所定値以下であるか否かを判定し、所定値以下(Yes)と判定した場合にはステップS54に進み、所定値以下でない(No)と判定した場合にはステップS55にジャンプする。なお、この所定値は、陰影の原点の濃度値に前述のTを乗じた値である。すなわち、このステップでは、CPU40は、半径Rの画素が陰影の境界(縁)であるか否かを判定している。
[ステップS54]
ステップS53でα軸方向の半径Rの画素の濃度値が所定値以下であると判定されているので、この半径Rが原点Mから陰影の境界までの距離を示すことになる。従って、CPU40は、この半径Rを半径r1とし、第1の記録フラグ1に「1」をセットし、半径r1を確定する。
[ステップS55]
CPU40は、第2の記録フラグ2が「0」であり、かつ、β軸方向の半径Rの画素の濃度値が所定値以下であるか否かを判定し、所定値以下(Yes)と判定した場合にはステップS56に進み、所定値以下でない(No)と判定した場合にはステップS57にジャンプする。
[ステップS56]
前記ステップS55でβ軸方向の半径Rの画素の濃度値が所定値以下であると判定されているので、この半径Rが原点Mから陰影の境界までの距離を示すことになる。従って、CPU40は、この半径Rを半径r2とし、第2の記録フラグ1に「1」をセットし、半径r2を確定する。
[ステップS57]
CPU40は、半径Rに微小距離εを加算し、半径Rを半径(R+ε)にする。すなわち、CPU40は、半径Rを微小距離εだけインクリメント処理する。
[ステップS58]
CPU40は、半径Rが所定の最大値(例えば、判定対象とする陰影の最大半径)か否かを判定し、最大値でない(No)と判定した場合にはステップS53に戻り、最大値である(Yes)と判定した場合にはステップS59に進む。CPU40は、ステップS54〜S58の処理を繰り返すことにより、角度θのα軸上の半径r1と、角度θ+90度のβ軸上の半径r2とを求めることができる。なお、ここでは、半径Rの大きさに基づいてステップS53〜S58のループを抜ける場合を説明したが、このステップS58に代えて、第1の記録フラグ1及び第2の記録フラグ2が共に「1」であるか否かに応じてループを抜けるようにしてもよい。
[ステップS59]
CPU40は、半径r1と半径r2の比:r1/r2を求める。なお、ここでは比=r1/r2としているが、比の大きさは1以上となるようにするので、半径r1と半径r2の小さい方を分子とし、大きい方を分母として比を求めることとする。
[ステップS60]
CPU40は、ステップS59で求められた比が、最大比よりも大きいか否かを判定し、大きい(Yes)と判定した場合にはステップS61に進み、小さい(No)と判定した場合にはステップS62にジャンプする。
[ステップS61]
ステップS59で求められた比が最大比よりも大きいので、CPU40は、その比を最大比とする。なお、ステップS51で最大比として定義された値「1」が予め設定されているので、最初に求められた比は最大比として記録されることになる。
[ステップS62]
CPU40は、角度θに微小角度δを加え、角度θを角度(θ+δ)にする。なお、微小角度δは、例えば、1度とするが、これ以外の値でもよい。
[ステップS63]
CPU40は、ステップS62における角度θが360度になったか否かを判定し、角度θが360度未満(No)と判定した場合にはステップS52にジャンプし、角度θ=360(Yes)と判定した場合にはステップS64に進む。これによって、角度θを0〜360度にわたって変化させた場合の半径r1と半径r2の最大比が求められる。
[ステップS64]
CPU40は、最大比が所定の定数より大きいか否かを判定し、大きい(Yes)と判定した場合にはステップS65に進み、小さい(No)と判定した場合には次の判定サブルーチンD1〜D3に進む。
[ステップS65]
ステップS64で最大比が所定の定数より大きいと判定されたので、CPU40は、その陰影を病巣候補陰影から外し、次の判定サブルーチンD1〜D3に進む。このように角度θを、0〜360度の範囲にわたって変化させ、その時に得られる半径r1、半径r2の比の最大比が所定の定数よりも大きい場合には、CPU40は、その陰影を病巣候補陰影から外す。これは、病巣陰影の場合は異方性が小さく、ほぼ円形に近いため、半径r1と半径r2の比は所定の定数よりも小さい場合が多いからである。なお、図21(b)、図22(b)及び図24(b)では、α軸上の正方向の異方性のみ示しているが、負方向の異方性の場合も本発明には含まれる。
上述の実施の形態では、実質90度の二方向の陰影濃度分布や実質90度の二方向の陰影の長さの比を用いて異方性(相関)を求める場合について説明したが、これ以外の方法を用いて異方性を求めてもよい。例えば、図22(a)に示すα軸とβ軸を時計の短針と長針のように動作させて異方性(相関)を求めてもよい。この場合、α軸を短針、β軸を長針とすると、α軸が1回転する間にβ軸は数百回程度回転することになる。図22(a)では、α軸とβ軸は直交するように描かれているが、この角度を任意角度ηとしてもよい。まず、角度θを決め、α軸方向の濃度分布を求め、次に角度ηを変えてβ軸方向の濃度分布を求め、両濃度分布の異方性(相関)を求めると、α軸とβ軸の両方が血管陰影上に重なった場合、異方性は小さくなり、α軸とβ軸に沿った画素値自体は大きな値で、画素値の分布は平坦となる。一方、陰影が円形であれば、このような特徴は見られず、α軸とβ軸に沿った画素値自体が大きな値となり、分布は平坦となる。従って、異方性が小さい場合を見つけることができた場合、その時の角度ηが血管の分岐角度であると推定することができる。例えば、図22(a)では、角度ηが約180度と約45度の場合に異方性が小さくなり、陰影は血管であると推定され、病巣候補陰影から外すことができるようになる。
図11のステップS72,S74,S76で実行される判定サブルーチンD1〜D3について説明する。図25は、判定サブルーチンD1〜D3の詳細を示すフローチャート図である。図26は、この判定サブルーチンD1〜D3の処理の様子を概念的に示す図であり、図26(a)はCT画像の一例を示す図である。図26(b)はこのCT画像を2値した場合の2値化画像の一例を示す図である。図26(c),(d)はこの2値化画像の一部を拡大して示し、どのように判定サブルーチンD1〜D3による判定が行われるのかを示す図である。図26(a)に示すようなCT画像に図5及び図6の2値化画像処理を施すことによって、図26(b)に示すような2値化画像の中に病巣候補と思われる陰影261,262が抽出される。この陰影261,262は大きさや形状も同じなので、上述の判定では区別することが困難である。ところが、陰影262は、陰影の壁面部分に現れたものであり、癌陰影の可能性が高い。陰影261は、陰影の内部側に現れたものであり、病巣陰影の可能性は低い。そこで、この判定サブルーチンD1〜D3では、陰影が壁面部分に位置するか否かを判定し、それに基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かの判別を行なうことにした。陰影が壁面の近くに存在する場合、回転する半径が壁面を通過するとき、その半径と交わる陰影の画素値が急激に変化し、その変化点は2カ所現れる。従って、陰影が壁面に接している場合にはこの2カ所の半径間の仰角が基準値よりも大きくなるので、その陰影は病巣候補陰影と判別される。一方、陰影が壁面内部にある場合には、半径間の仰角は基準値よりも小さくなるので、その陰影は病巣候補陰影ではないと判別される。以下、この判定サブルーチンD1〜D3の詳細をステップ順に説明する。
[ステップS91]
CPU40は、陰影をサーチする際の半径rを初期値に設定する。この処理における半径rは陰影の大きさに応じた値とする。例えば、判別対象となる陰影の最大直径の約1.5倍程度を半径rの初期値とする。
[ステップS92]
CPU40は、半径rの動径を角度θ=0からθ=360度まで約5度ずつ回転させて、各角度における陰影の中心から半径rに位置する陰影の濃度分布V0〜V355を求め、これらの濃度分布V0〜V355に所定の演算を施す。そして、CPU40は、半径rの動径が陰影の境界と2カ所以上で交わる場合、その2個の動径の角度θ1,θ2から最大角Θを求める。ここで、角度θ1,θ2は次のようにして決定する。ある角度θにおける濃度分布Vθからその角度よりも、5度だけ大きい角度(θ+5)における濃度分布V(θ+5)を減算し、その減算値が正の値であり、その絶対値が所定値よりも大きい場合には、その大きい方の角度(θ+5)をθ1とする。図26(c),(d)では動径rθ1が角度θ1の動径に該当する。一方、濃度分布Vθから濃度分布V(θ+5)を減算し、その減算値が負の値であり、その絶対値が所定値よりも大きい場合には、その小さい方の角度θをθ2とする。図26(c),(d)では動径rθ2が角度θ2の動径に該当する。このようにして角度θ1と角度θ2の動径が求まったら、角度θ1の動径rθ1が角度θ2の動径rθ2に対して時計回りに成す角度を最大角Θとする。なお、この最大角Θの求めかたは一例であり、他の方法で求めてもよいことは言うまでもない。また、動径を5度ずつ回転させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、1度〜10度の範囲で適宜変更してもよいことは言うまでもない。
[ステップS93]
CPU40は、ステップS93で求められた最大角Θが所定の一定値よりも大きいか否かを判定し、大きい(yes)と判定した場合には次の判定サブルーチンE1〜E3に進み、小さい(no)と判定した場合にはステップS94に進む。ここで、一定値は90度とする。壁面部分に現れた病巣陰影の場合には、最大角Θは180度近傍となるからである。従って、このような場合には、その陰影は病巣候補陰影して残され、次の判定サブルーチンの処理対象となる。
[ステップS94]
ステップS93の判定によって最大角Θが所定の一定値よりも小さいと判定されたので、CPU40は、その陰影を病巣候補陰影から外し、次のサブルーチンE1〜E3に進む。癌陰影などの病巣陰影は壁面部分に現れ、通常の陰影は壁面部分には現れない場合が多いので、この処理によって壁面部分に存在しない陰影は、効率的に病巣候補陰影から除去されることになる。
図11のステップS72で実行される判定サブルーチンE1について説明する。図27は、判定サブルーチンE1の詳細を示すフローチャート図である。図28は、この判定サブルーチンE1の処理の様子を概念的に示す図である。図28(a)は図5及び図6の2値化画像処理を施すことによって生成された血管断面陰影に対する処理を示し、図28(b)は病巣陰影に対する処理を示す。CT画像に図5及び図6の2値化画像処理を施し、所定値よりも細い血管部分の陰影を取り除くことによって、残った部分の陰影は図28(a)に示すような病巣陰影と思われるような陰影となる。従って、図28(a)のような血管断面陰影は病巣候補から外されなければならない。そこで、この判定サブルーチンE1では、このような血管断面陰影を抽出し、それを取り除くようにした。すなわち、このような血管断面陰影を病巣候補から外すために、回転する直線と陰影の交わる部分の最小値及び最大値から陰影の長径と短径を求め、長径と短径の延長線上であって陰影から所定距離だけ外側に位置する画素値をサンプリングする。血管断面陰影の場合は、長径の外側に位置する画素値と短径の外側に位置する画素値とが明確に異なる値を示す。病巣陰影の場合は、両画素値がほとんど同じ値を示すので、これに基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することができる。以下、この判定サブルーチンE1の詳細をステップ順に説明する。
[ステップS101]
CPU40は、動径を回転させながら、動径最小時の角度Θを求める。まず、CPU40は、所定長の直線の中点を陰影濃度の中心付近に位置づけ、その直線の中点を回転中心として角度θ=0からθ=360度まで約1度ずつ回転させる。このときに、CPU40は、その直線が各角度において陰影と交わる長さを動径として順次算出し、その動径が最小値のときの角度Φを求める。なお、この処理は多値化画像の陰影に対して行われる処理である。回転角度は1度に限らず、これ以外の角度でもよい。
[ステップS102]
この処理は、多値化画像処理の施される前のCT画像に対して行われる処理である。CPU40は、角度Φの動径の延長上であって、所定距離outRだけ陰影の外側に位置する2点の濃度値(CT値)v1,v2を求め、角度Φの動径に直交する動径の延長上であって、所定距離outRだけ陰影の外側に位置する2点の濃度値(CT値)v3,v4を求める。
[ステップS103]
CPU40は、前のステップS102で求められた各濃度値を次式(10)又は(11)に代入する。
v3+v4>((v1+v2)+定数) ・・・式(10)
v3+v4>((v1+v2)×定数) ・・・式(11)
CPU40は、上式(10)又は(11)を満足する(yes)と判定した場合にはステップS104に進み、満足しない(no)と判定した場合には処理を終了し、次の判定サブルーチンF1に進む。図28(a)に示すような血管断面陰影の場合には、角度Φの動径の延長上であって、所定距離outRだけ陰影の外側に位置する2点の濃度値v1,v2は極めて小さな値となる。逆に角度Φの動径に直交する動径の延長上であって、所定距離outRだけ陰影の外側に位置する2点の濃度値v3,v4は血管断面陰影上に位置するため比較的大きな値となる。従って、図28(a)に示すような血管断面陰影の場合は、上式(10)又は(11)を満足する。一方、図28(b)に示すような病巣陰影の場合には、濃度値v1〜v4はほぼ同じような値となるので、上式(10)及び(11)を満足しない。
[ステップS104]
ステップS103の判定によって上式(10)又は(11)を満足すると判定されたので、CPU40は、その陰影を病巣候補陰影から外し、次のサブルーチンF1に進む。この処理によって図5及び図6の多値化画像処理によって生成された病巣陰影と思われるような血管断面陰影が病巣候補陰影から効果的に除去されることになる。なお、上述のステップS102では、濃度値v3,v4を角度Φの動径に直交する動径の延長上であって、所定距離outRだけ陰影の外側に位置する2点から求めたが、ステップS101の結果、動径が最大値のときの角度φを用いて、その角度φの動径の延長上であって、所定距離outRだけ陰影の外側に位置する2点から濃度値v3,v4を求めるようにしてもよい。また、上述の実施の形態では、最小値の動径に基づいて濃度値v1,v2を求めているが、最大値の動径に基づいて濃度値v1,v2を求め、この最大値の動径に直交する動径に基づいて濃度値v3,v4を求めるようにしてもよい。
図11のステップS72で実行される判定サブルーチンF1について説明する。図29は、判定サブルーチンF1の詳細を示すフローチャート図である。図30は、この判定サブルーチンF1の処理の様子を概念的に示す図であり、図30(a)は図5及び図6の多値化画像処理を施すことによって生成された血管断面陰影に対する処理を示し、図30(b)はこの血管断面陰影に対する処理の課程で発生する濃度分布の様子を示す。この判定サブルーチンF1も前述の判定サブルーチンE1と同様に血管断面陰影を抽出し、それを取り除く処理である。以下、この判定サブルーチンE1の詳細をステップ順に説明する。
[ステップS111]
CPU40は、陰影をサーチする際の半径rを初期値に設定する。例えば、半径rは、陰影の大きさが所定値Raよりも小さいときに行われる、図10の第1判別処理の場合には約7mm、陰影の大きさが所定値Ra以上で所定Rb以下のときに行われる、図10の第2判別処理の場合には約20mm、陰影の大きさが所定値Rbよりも大きいときに行われる、図10の第3判別処理の場合には約30mmに設定される。この値は種々変更可能なパラメータ値である。
[ステップS112]
CPU40は、陰影中心付近を基準に半径rで1度ずつ回転し、角度θが0〜360度の範囲における各画素値をサンプリングし、図30(b)に示すような濃度波形を作成する。図30(b)は、図30(a)のような血管断面陰影に対して陰影中心から半径rの位置における濃度値をサンプリングした結果を示している。
[ステップS113]
CPU40は、ステップS113で作成された濃度波形に基づいて濃度ピークを示す角度を抽出する。例えば、濃度波形を微分し、微分値が「0」の場合の角度を濃度ピークを示す角度として抽出する。血管断面陰影の場合は、血管の中央付近の濃度が最大値を示すので、濃度ピークを示す角度と血管の長手方向とはほぼ一致する。図30(a),(b)の場合には、濃度ピークを示す角度Θはα=10度,β=170度,γ=210度の3箇所存在する。
[ステップS114]
CPU40は、各角度における半径r上のCT値の総和を求める。図30では濃度ピークを示す角度は、角度α、β、γの3つであるから、CPU40は、それぞれの角度α、β、γにおける半径r上のCT値の総和を求める。角度αの半径上のCT値の総和はsum(α)、角度βの半径上のCT値の総和はsum(β)、角度γの半径上のCT値の総和はsum(γ)となる。
[ステップS115]
CPU40は、隣り合う半径のなす角度の二等分線を求め、その二等分線上のCT値の総和を求める。図30の場合、濃度ピークを示す角度は、角度α,β,γの3つなので、それぞれの角度に隣り合う半径の二等分線は、角度αと角度βの間にできる二等分線αβと、角度βと角度γの間にできる二等分線βγと、角度γと角度αの間にできる二等分線γαとなる。CPU40は、これらの各二等分線αβ,βγ,γα上のCT値の総和を求める。二等分線αβ上のCT値の総和はsum(αβ)、二等分線βγ上のCT値の総和はsum(βγ)、二等分線γα上のCT値の総和はsum(γα)となる。
[ステップS116]
CPU40は、前記ステップS114及びS115で求められた各総和が以下に示す所定条件を満足するか否かの判定を行い、満足する(yes)と判定した場合には次のステップS117に進み、満足しない(no)と判定した場合には処理を終了し、図11のステップS73に進む。ここでは所定条件として次の3つのいずれか一つを用いる。
(所定条件1)
sum(αβ)×定数<sum(α)
sum(αβ)×定数<sum(β)
sum(βγ)×定数<sum(β)
sum(βγ)×定数<sum(γ)
sum(γα)×定数<sum(γ)
sum(γα)×定数<sum(α)
以上の全ての条件式を満足する場合に所定条件1は満足されたものと判定される。
(所定条件2)
sum(αβ)+定数<sum(α)
sum(αβ)+定数<sum(β)
sum(βγ)+定数<sum(β)
sum(βγ)+定数<sum(γ)
sum(γα)+定数<sum(γ)
sum(γα)+定数<sum(α)
以上の全ての条件式を満足する場合に所定条件2は満足されたものと判定される。
(所定条件3)前述の所定条件以外の変形例である。
平均(α〜β)+定数<平均(α)
平均(α〜β)+定数<平均(β)
平均(β〜γ)+定数<平均(β)
平均(β〜γ)+定数<平均(γ)
平均(γ〜α)+定数<平均(γ)
平均(γ〜α)+定数<平均(α)
以上の全ての条件式を満足する場合に所定条件3は満足されたものと判定される。ここで、平均(α〜β)とは、角度αから角度βまでの扇形に含まれるCT値の平均値のことであり、平均(α)とは角度αの半径r上のCT値の平均値のことである。従って、この場合には、平均値を求める処理を新たに加える必要がある。なお、ステップS116では、これらの各所定条件1〜3を全て満足するか否かを判定してもよいことは言うまでもない。
[ステップS117]
CPU40は、ステップS116の判定の結果、所定条件を満足すると判定した場合の陰影を病巣候補陰影から外し、ここでの処理を終了して図11のステップS73に進む。
以上のようにして、各判定サブルーチンによって、図3(b1)〜(b3)に示すような病巣候補陰影22以外の陰影が順次削除され、最終的に図3(b3)に示すように病巣候補陰影22だけが残る。この病巣候補陰影22が、絞り込まれた最終の画像(図3(b3))であり、元のCT画像20(図3(a1))と合成されて、図3(a2)に示すような最終的な合成画像がCRTディスプレイ48上に表示される。図3(a2)に示す画像上では、円形のマーカーMによって病巣候補陰影22が囲まれており、病巣候補陰影22に操作者の注意が行くようになっている。なお、病巣候補陰影22だけをカラー表示したり、塗りつぶして表示してもよい。また、病巣候補陰影22を順次絞り込んでいく抽出処理途中の画像の数は、図3(b1)〜(b3)に示した数よりも実際にはより多く表示される。図3ではその一部のみが示されているに過ぎない。
図31は、図3の表示画面の変形例であり、CT画像とビットメモリ上の処理途中の画像とを合成表示する場合を示す図である。すなわち、図3では、病巣候補陰影22を順次絞り込んでいく抽出処理途中の画像を順次表示しているが、図31では元のCT画像20と、図3(b1)〜(b3)に示すような処理途中の各画像とを合成し、その合成画像26を順次表示している。このように合成画像を表示することによって、操作者(医者)はCT画像20のどの部分が順次病巣候補陰影として絞られていくのかその課程を逐次観察することができる。なお、病巣候補陰影の抽出及び絞り込みの方法は、この実施の形態に限定されず、例えば、図32に示すように各陰影a,bの平均座標a’,b’を求め、その平均座標a’,b’が陰影a,bから外れたもの(図32の例では陰影b)は、病巣候補陰影から外すという方法がある。また、クオイトフィルタ、ハマラビノス距離、ユークリッド距離などを用いて、病巣候補陰影の絞り込みを行うようにしてもよい。また、病巣候補画像を操作者(医師)に提示する場合には、各画像に非検出画像、判定不能画像、候補画像である旨を示す情報を付加して磁気ディスク44に格納し、操作者(医師)からの指示に従って図33に示すような非検出画像と判定不能画像と候補画像とをウインドウ毎に分類して表示するようにしてもよい。また、上記ウインドウには画像をそれぞれ表示しているが、その画像の患者名、患者IDなどのように画像を特定する画像付帯情報をリスト表示してもよい。さらに、候補画像の中に、病巣候補陰影が病巣として認定できる陽性のものである、陽性に近い性質(疑陽性)のものである、または病巣ではない陰性のものであるというような、病巣候補陰影の性質を識別するための情報を画像付帯情報として表示するようにしてもよい。このような画像付帯情報の表示例は図83に示してある。
次に、上述の各陰影判別の処理を実行する場合にCRTディスプレイ48上に表示される画面の一例について説明する。図34は上述の各判定サブルーチンの処理に必要なパラメータを設定する画面を示す図である。なお、陰影の大きさや、陰影の濃度の状態に依存した最適パラメータがあるので、「小病巣」ボタン、「大病巣」ボタン、「すりガラス病巣」ボタン、「高濃度病巣」ボタンをマウスカーソルを選択すると、その最適パラメータが設定される。図34の画面を用いてパラメータの設定が終了すると、図示していない病巣候補抽出表示装置が図2のメインフローに従って陰影の種別毎に設定したパラメータを用いて順次又は並列的に処理し、小陰影、大陰影、すりガラス陰影、及び高濃度陰影を検出し、図3に示すようにCT画像の断層像に検出された陰影を画像合成し、その合成画像をCRTディスプレイ48上に表示する。
次に、病巣候補陰影などの関心領域をマーカー(円)で囲んで読影注意箇所を促す表示方法について説明する。図35に示すように、CT画像、MRI画像、超音波画像などの医用画像30上の病巣候補陰影(図示せず)を円31、32、33で囲む場合、複数の病巣候補陰影が近接していると、円が重なり合って病巣候補陰影そのものや病巣候補陰影の周囲が見にくくなることがある。この実施の形態では、図36(a)に示すように複数円31、32、33を重複表示する代わりに、図36(b)に示すような円弧34、35、36の集まりとして表示する。すなわち、病巣候補陰影p1,p2,p3を中心とする円31、32、33が互いに重複する場合には、その重複部分の円弧を消去し、図36(b)に示す複数円弧34、35、36の集合体のように描く。なお、病巣候補陰影は一般に小さいため、円の直径は病巣候補陰影の直径の約10倍程度とするのが好ましい。
図37は、上述の複数円の重複部分を消去して複数円弧の集合体を生成する処理を示すフローチャート図である。すなわち、このフローチャートは、図36(a)の円33上の点q3を、図36(b)の円弧36上の点q3として描く場合の処理の詳細を示す。
[ステップS90]
CPU40は、病巣候補陰影p3を中心とする円33上の点q3に関して、他の何れかの病巣候補陰影(図36(a)上では病巣候補陰影p1,p2)を中心とする円31、32内に入るか否かを判定し、入る(yes)と判定した場合にはステップS91に進み、入らない(no)と判定した場合にはステップS92に進む。
[ステップS91]
CPU40は、前のステップS90で他の円と重複することが判明したので、ここでは点q3を描かないで処理を終了する。
[ステップS92]
CPU40は、ステップS90で他の円と重複しないことが判明したので、ここでは点q3を描いて処理を終了する。CPU40は、病巣候補陰影p3を中心とする円33を描く場合には、円上の全ての点について上記ステップS90〜92の処理を行う。病巣候補陰影p1,p2を中心とする円31、32を描く場合も同様である。
また、病巣候補陰影の抽出過程において、例えば、図12のステップS5の判定式(1),(2)を逆比例させて、その病巣候補陰影が病巣である確率(病巣確信度)を求めることができる。そこで、上記円を表示する際に、円の大きさを病巣確信度や陰影の大きさに比例させることにより、病巣確信度を反映させることができる。なお、円の大きさに限らず、円を病巣確信度に比例して太く表示したり、大きく表示したり、また、色分け表示(病巣確信度の高い順に赤、黄、青など)したり、フラッシュ表示するようにしてもよい。更に、マーカーは円形には限定されず、矩形や楕円形などでもよい。また、病巣自身が抽出された場合にも病巣候補陰影自体を色分け表示やフラッシュ表示、ブザー、音声で注意喚起を行ってもよい。
次に、病巣候補陰影の抽出されたCT画像を前記マーカーと共に操作者(医者)に表示する場合の表示方法について説明する。図38は、病巣候補陰影をマーカーで囲んで示した検出結果画面と、そのマーカー部分を拡大して示した拡大画面とを画面中に同時に表示した場合の一例を示す図である。図から明らかなように、検出結果画面は、図3(a2)又は図31(a2)の画面であり、拡大画面はこの検出結果画面中のマーカー部分を所定倍率で拡大して表示したものである。このように拡大表示することによって、捜査者(医者)はより正確に病巣陰影候補を観察することができる。図38に示した画面は標準画面であり、画面左端に一列に並んでいる表示モード選択ボタンによって、種々の表示モードを選択することができるようになっている。この表示モード選択ボタンは、標準表示モード、よこ順表示モード、たて順表示モード、距離順表示モード、渦巻順表示モード及び登録順表示モードの6種類のモードにそれぞれ割り当てられたアイコンで構成される。なお、図示していないが、マーカを表示/消去するためのボタンも存在するがそれについては省略してある。
標準モードは、図39に示すように病巣候補陰影の抽出処理の行われた画像の順番に表示するものであり、例えば、画像a〜dの順番に抽出処理が行われた場合は、その順番通りに表示するモードである。画面の切替えは、図38の右下にある画面切替えボタンによって行われる。なお、下向き三角形の表示された画面切替えボタンは次画面表示ボタンであり、上向き三角形の表示された画面切替えボタンは前画面表示ボタンである。なお、画像cには病巣陰影候補が二カ所存在するので、このような場合には、マーカー表示切替えボタンが表示されるようになっている。また、拡大画面の表示倍率を適宜変更することのできる倍率変更ボタンも表示されるがここでは省略してある。
よこ順表示モードは、図40(a)に示すようにCT画像を縦横に16分割し、左上から左下に向かって順番に番号を付し、その番号の小さい順に病巣候補陰影を表示するようなモードである。従って、図39のような病巣候補陰影抽出画像は、図41に示すように左上から左下に向かって順番に病巣候補陰影が表示されるようになる。このとき、図39の画像cについては、図41の最上段と最下段に示すように別々に表示される。
たて順表示モードは、図40(b)に示すようにCT画像を縦横に16分割し、左上から右上に向かって順番に番号を付し、その番号の小さな順に病巣候補陰影を表示するようなモードである。従って、図39のような病巣候補陰影抽出画像は、図42に示すように左上から右上に向かって順番に病巣候補陰影が表示されるようになる。なお、画像aと画像dのように病巣候補陰影がほぼ同じ分割位置にある場合には、抽出処理の順番に表示するものとする。
距離順表示モードは、最初に表示される病巣候補陰影に対して最も距離の小さな病巣候補陰影を有する画像を順番に表示するモードである。渦巻順表示モードは、図43に示すように、CT画像を縦横に40分割し、左上から左下に向かって順番に反時計回りに渦を巻くように順番に番号を付し、その番号の小さな順に病巣候補陰影を表示するようなモードである。登録順表示モードは、予め操作者によって表示順の登録された順番に表示するモードである。なお、上述の縦横の分割数などは一例であり、これ以外の分割数でもよいことは言うまでもない。また、渦巻順表示モードの場合、外側から順番に表示するようにしたが、中央付近から外側に向かって順番に表示してもよい。また、渦巻きの方向も時計回り、反時計回りいずれの方向でもよい。さらに、円などのマーク内は、CT値が異なるので、見やすくするためにマーク内を関心領域として表示レベル、表示ウィンドウを合わせて表示用変換テーブルを計算しなおして変更し、表示してもよい。
なお、図25の判定サブルーチンD1〜D3では、陰影が壁面部分に位置するか否かを判定し、それに基づいて陰影判別していたが、陰影が壁面部分に位置していても、壁面と陰影との接している距離が長い場合、その陰影は病巣候補陰影ではない可能性が高い。逆に壁面と陰影との接している距離が短い場合、その陰影は病巣候補陰影である可能性が高い。そこで、図25の判定サブルーチンD1〜D3の変形例として、CPU40は、判定サブルーチンD1〜D3の処理によって陰影が壁面部分に位置すると判定した場合、さらにその陰影と壁面部分との接触長が所定長よりも小さいか否かを判定し、小さいと判定した場合にはそれは病巣陰影候補と判別し、逆に大きいと判定した場合にはそれは病巣候補から除外するようにした。
図44は、陰影が壁面部分に位置すると判定した場合に、陰影と壁面部分との接触長によってその病巣候補陰影と判別されるかどうかの具体例を示す図である。図44(a)に示すように、CT画像中には陰影441,442が壁面部分に接するように存在する。図44(a)に示すようなCT画像に図5及び図6の多値化画像処理及び所定の判別処理を施すことによって、図44(b)に示すような多値化画像の中に病巣候補と思われる陰影441,442,443が抽出される。この陰影441,442は共に壁面部分に接しており、陰影443は接していないので、陰影443は図25の判定サブルーチンによって除外されるが、陰影441,442は区別することができない。ところが、陰影442は壁面部分と接する距離が陰影442よりも小さいので、病巣陰影である可能性が高い。そこで、陰影441,442がそれぞれ壁面部分に接する距離を検出し、それが所定値よりも小さいか否かを判定し、それに基づいて陰影が病巣陰影であるかどうかを判別することにした。従って、陰影441は壁面内部に接する距離が所定値よりも大きいので、その陰影441は病巣候補陰影ではないと判別される。一方、陰影442は壁面部分に接している距離が所定値よりも十分に小さいので、その陰影442は病巣候補陰影と判別され、図44(c)に示すように、陰影442だけが病巣候補陰影として最終的に抽出されるようになる。
また、図45(a)において、CPU40は、陰影451の中心付近を回転中心として角度θを0度から360度まで約1度ずつ所定長の半径を回転させる。このときに、CPU40は、その半径が各角度において陰影の縁と交わる長さrを求める。CPU40は、この長さrに基づいて、図45(b)のように、角度θを横軸とし、半径の長さrを縦軸とする曲線を描き、その曲線をフーリエ展開する。CPU40は、このフーリエ展開された結果に基づいて、図45(c)のように、横軸を周波数fとし、縦軸をフーリエ係数Cとする折れ線グラフを作成する。CPU40は、この折れ線グラフに基づいて陰影が病巣陰影であるかどうかを判別する。すなわち、この折れ線グラフにおいて、周波数f0の時のフーリエ係数はC0、周波数f1の時のフーリエ係数はC1、周波数f2の時のフーリエ係数はC2のようになっている。そこで、CPU40は、各フーリエ係数をCiと表し、各周波数をfiと表し、これらの積の絶対値|fi×Ci|を求め、さらにその総和Σ|fi×Ci|を求め、それをフーリエ係数Ciの絶対値|Ci|の総和Σ|Ci|で除することによって被判別値ffを算出する。この被判別値ffは次式にようになる。
ff=Σ|fi×Ci|/Σ|Ci|
CPU40は、この被判別値ffが所定値よりも小さいか否かに応じて陰影が病巣候補陰影であるかどうかを判別する。陰影が図45(a)に示すような血管断面陰影451の場合には、フーリエ展開の結果、高次の周波数成分のフーリエ係数が大きくなる。逆に、陰影が病巣候補陰影のような場合には、フーリエ展開の結果、低次の周波数成分が多く含まれ、高次の周波数成分は少なくなる。従って、CPU40は、被判別値ffの値に基づいてその陰影が病巣候補陰影であるのか血管断面陰影であるのかを判別することができる。なお、この被判別値ffに代えて、特定の|fi×Ci|を被判別値としてもよい。
図46は、判定サブルーチンのさらに別の実施例を示す図である。図46(a)において、陰影461の中心付近を回転中心として角度θ=0からθ=360度まで約1度ずつ所定長の半径を回転させる。このときに、その半径が各角度において陰影と交わる長さを求める。求められた長さの最小値をrとする。すなわち、陰影461の短径rを求める。この短径rで陰影461の面積(構成画素数)Sを除算する。すなわち、S/r2 を求める。この値と所定値を比較して、陰影が病巣陰影であるかどうかを判別する。すなわち、図46(b)に示すように、陰影462が円形の場合には、S/r2 の値はπとなる。図46(c)に示すように陰影463が正方形の場合にはS/r2 の値は4となる。また、図46(d)に示すように陰影464が正方形の2倍の面積の長方形の場合にはS/r2 の値は8となる。従って、図46(d)のような長方形上の陰影464は病巣候補陰影から除外されなければならない。従って、S/r2 の値が8よりも小さいときには、それは病巣候補陰影とし、逆にS/r2 の値が8以上のときにはそれは病巣候補陰影から除外される。なお、これらの値は一例であり、実際はこれとは異なる数値を所定値として用いることもある。なお、上記の短径rとして、陰影の面積Sをその陰影の最大径rmで除した値rを実効短径rとして用いてもよい。
なお、上述の実施の形態では、CT画像に図5及び図6の2値化画像処理を施し、所定値よりも細い血管部分の陰影を取り除くという処理を行なっている。この処理は、横(X軸)又は縦(Y軸)方向において所定の画素数以下の陰影を抽出し、それを削除するというものである。この条件に該当しない比較的大きな血管陰影は取り除かれることがなかった。このような血管部分の陰影であっても図28(a)に示すような細長いものは、図27の判定サブルーチンE1によって効果的に取り除かれることになっている。ところが、図47(a)に示すように、比較的大きな病巣候補陰影470と血管陰影471,472とが重なっている場合には、この血管陰影471,472を取り除くことができない場合があった。そこで、この実施の形態では、図48の切断処理によって図47のような血管陰影471,472を切断除去するようにした。
まず、CPU40は、最初のステップS481で、CT画像に図5及び図6の2値化画像処理を施し、所定値よりも細い血管部分の陰影を取り除く。この処理の後、CPU40は、ステップS482で、図47(a)の陰影に対して仮の重心位置を求める。重心位置の求め方は前述の種々の方法を用いて行なう。CPU40は、ステップS483で、動径473を矢印476の方向に回転させながら、その陰影における動径の最小長Rminを求める。最小長Rminが求まったら、CPU40は、ステップS484で、この最小長Rminに定数を乗じた値を切断長Lとする。従って、切断長L=Rmin×定数となる。切断長Lが求まったら、CPU40は、ステップS485でこの切断長Lに基づいて血管部分の陰影の切断を行なう。血管部分の陰影の切断は、図47(b)に示すようにして行なわれる。まず、CPU40は、横(X軸)方向又は縦(Y軸)方向において切断長Lに対応した画素数の判定領域474,475を設定し、その陰影470〜472が判定領域474,475よりも小さいか否かの判定を行なう。
図47(b)の場合、切断長Lの画素数は約12画素であるとする。横方向の判定領域474の場合、画素x1の画素値は「1」であり、画素xcの画素値は「0」なので、この判定領域474は切断の対象とはならずに、画素x1〜xcはそのまま残される。一方、縦方向の判定領域475の場合、画素y1及び画素ycの画素値は共に「0」なので、この判定領域475に位置する陰影471は切断の対象となり、画素y1〜ycの画素値は「0」に変換される。CPU40は、以上の切断処理を陰影470〜472の周囲について実行する。これによって図47の陰影の中から血管陰影471,472が切断され、病巣候補陰影470のみが残されるようになる。なお、切断長Lを決定する際の定数としては0.5〜1.5の範囲とするのが好ましい。図47では定数が1の場合について説明した。また、この定数の設定は図49(A)に示すように、割合設定ボタンをマウスカーソルでクリックすることによって適宜変更できるようにしてもよい。さらに、図49(B)に示すように動径の最小長Rminを横軸に切断長を縦軸にして、所定の関数処理に基づいて切断長を求めるようにしてもよい。
図50は、判定サブルーチンの第1の変形例を示す図である。図50の判定サブルーチンは、図27の判定サブルーチンE1や図29の判定サブルーチンF1、さらに前述の各判定サブルーチンに代えて又はこれらと並列的に行なわれるものである。図50(A)は、CT画像に図5及び図6の2値化画像処理を施した場合の一例を示す図である。図50(B)はこの二値化画像処理の施された画像の円501で囲まれた部分を拡大して示し、この判定がどのようにして行われるのかを示す図である。医用画像の中には、図50(A)に示すような2値化画像の中で血管に結合したすりガラス状の病巣候補陰影が存在することがある。この陰影は図示のように血管に結合しているため、図50(B)に模式的に示すように陰影がその外周に向かって多数の突出部を有しているような形状をしている。従って、このような陰影は上述の判定ではなかなか判別することができない。
そこで、CPU40は、上述と同様に仮の重心位置を求める。CPU40は、その重心位置を中心として動径を回転させながら、その陰影における動径の最小長を求める。この最小長が求まったら、CPU40は、その最小長に所定の値(画素数に相当する値であり、例えば1〜5画素分)を加算したものを半径とする円502を描く。CPU40は、この円502と陰影とが重なる部分の円弧の長さ(ランレングス)とその個数を集計する。例えば、図50(B)の場合、交点p1と交点p2との間の円弧p1p2のランレングスは「3」、交点p3と交点p4との間の円弧p3p4のランレングスは「1」、交点p5と交点p6との間の円弧p5p6のランレングスは「2」というように各円弧のランレングスを求める。CPU40は、円502についてランレングスの測定とその個数の集計が終了したら、次は、円502にさらに所定の値を加算したものを半径とする円503を描き、それについても同様に円弧のランレングスとその個数の集計を行なう。図50では、円503と陰影との交点として、交点q1,q2のみが示してある。
CPU40は、このようにして円の半径を徐々に大きくしていき、その円弧のランレングスとその個数を集計する。図51は、この集計結果を示す図であり、図51(A)はランレングスをアドレスとする計数メモリの概略を示し、図51(B)はその計数メモリの内容であるランレングスを横軸に、その個数を縦軸として表した特性曲線を示す。図51(A)の場合、ランレングスが「1」の円弧は15個、ランレングスが「2」の円弧は53個というような値を計数メモタは示す。これに対応する特性曲線が図51(B)の特性曲線511である。このように、病巣候補陰影の場合は、陰影の外側に向かって突出する部分が非常に多いので、ランレングスの短い円弧が極端に多く存在し、ランレングスの長い円弧は少ないという特徴を示す。一方、病巣候補陰影でない場合には、特性曲線512のような形状を示し、病巣候補陰影の場合とは逆にランレングスの短い円弧も長い円弧もほぼ変わらずに存在するというような特徴を示す。従って、CPU40は、この特性曲線のピークの位置(ランレングスの値)を用いて陰影を判別することによってその陰影が病巣候補陰影であるか否かの判定を行なうことができる。また、CPU40は、特性曲線の分布の形状すなわち半値幅513,514などを用いて陰影の判定を行なってもよい。さらに、CPU40は、ランレングスの値をニューラルネットなどの入力とし、その出力を用いて陰影の判定を行なってもよい。また、上述の実施の形態では、病巣候補陰影と円とが重なる場合の円弧長をランレングスとしたが、重ならない場合の円弧長、さらに両者を組み合わせたものをランレングスとしてもよい。また、CT値がしきい値より大きいか小さいか、濃度勾配がしきい値より大きいか小さいかでランレングスを求めてもよい。
なお、図50では、ランレングスとその個数を計数するのに、円を用いたが、次のようにその陰影の形状に即した閉曲線を作成し、それに基づいてランレングスとその個数を計数するようにしてもよい。すなわち、図52(A)のような陰影520の場合、CPU40は、その中心付近を回転中心として角度θを0度から360度まで約1度ずつ所定長の半径を回転させる。このときに、CPU40は、その半径が各角度において陰影の縁と交わる長さRを求める。なお、CPU40は、半径と陰影の縁との交点が複数存在する場合には、半径の小さい方を選択する。CPU40は、角度θを横軸とし、このようにして算出された半径の長さRを縦軸とする曲線を描く。この曲線は、図52(B)のようになる。この曲線は頂点と底部とが交互に繰り返されるような曲線となる。従って、CPU40は、各底部の位置(角度θ)を求め、それを陰影上に反映する。この底部の位置は陰影上において離散したものである。そこで、CPU40は、これらの各底部同士をスプライン曲線などで補間処理することによって、図52(A)に示すような閉曲線521を作成する。CPU40は、閉曲線521が求まったら前述の図50の場合と同様にして、この閉曲線521と陰影520との重なり部分の短曲線の長さ(ランレングス)とその個数を集計する。CPU40は、閉曲線521についてランレングスの測定とその個数の集計が終了したら、次は、閉曲線521の半径R(θ)にさらに所定の値dRを加算することによって形成される閉曲線522を描き、その閉曲線522についても同様に短曲線のランレングスとその個数の集計を行なう。このようにしてCPU40は、所定の値dRを徐々に大きくしていき、その閉曲線上における短曲線のランレングスとその個数を順次集計する。これによって、図51と同様な計数メモリと特性曲線が得られるので、前述の場合と同様にして陰影が病巣候補陰影であるか否かの判定を行なうことができる。また、上述の実施の形態では、病巣候補陰影と曲線とが重なる場合の短曲線の長さをランレングスとしたが、同様に重ならない場合の短曲線の長さ、さらに両者を合成したものをランレングスとしてもよい。また、CT値がしきい値より大きいか小さいか、濃度勾配がしきい値より大きいか小さいかでランレングスを求めてもよい。
以上の説明では、閉曲線上にかけるランレングスも判別の特徴量にしていたが、閉曲線上にかける陰影濃度のフーリエ変換を利用することもできる。
図53及び図54は、判定サブルーチンの第2の変形例を示す図である。図53及び図54の判定サブルーチンは、図27の判定サブルーチンE1や図29の判定サブルーチンF1、さらに前述の各判定サブルーチンに代えて又はこれらと並列的に行なわれるものである。図53は、CT画像に図5及び図6の2値化画像処理を施すことによって生成された血管断面陰影に対する処理を示し、図54は病巣陰影に対する処理を示す。CT画像に図5及び図6の2値化画像処理を施し、所定値よりも細い血管部分の陰影を取り除いても、図53に示すような病巣陰影と思われるような血管断面陰影530が残ることがある。従って、図53のような血管断面陰影530は病巣候補から除外されなければならない。そこで、この判定サブルーチンの変形例では、このような血管断面陰影530を抽出し、それを取り除くようにしてある。すなわち、このような血管断面陰影530を病巣候補から外すために、陰影内の濃度分布に着目した。すなわち、図53のような血管断面や肝臓などの陰影530の場合は、その陰影内の濃度の等高線が図53(A)に示すように一つのピークを有するような単純な形を示す。これに対して図54(A)に示すように病巣候補陰影540の場合は、陰影内に複数のピークを有するような複雑な等高線を示す。そこで、CPU40は、この陰影について、図53(B),(C)及び図54(A),(B)に示すように、左から右へ向かうX軸方向と上から下へ向かうY軸方向においてそれぞれ隣り合う画素のCT値同士の濃度勾配、差分、微分その他の処理によって取得される各画素の正又は負が連続する長さ(ランレングス)を求める。例えば、CPU40は、図53(B)に示すように、X軸方向の直線領域531上の陰影について、左側から順番に各画素の濃度勾配を演算する。図53(B)の陰影530に対応するCT画像などの原画像における濃度をf[y][x]とした場合、その画素の濃度勾配g[y][x]は、次式のように、前後の画素の差分によって求められる。
g[y][x]=f[y][x+1]−f[y][x−1]
このようにして、直線領域531に対する濃度勾配の演算が終了すると、CPU40は、この直線領域を順次Y軸方向にシフトさせて濃度勾配を演算する。図53(B)にはX軸方向の直線領域531,532の場合の濃度勾配が模式的に示してある。図53(C)にはY軸方向の直線領域533,534の場合の濃度勾配が模式的に示してある。CPU40は、このような濃度勾配に基づいて、各直線領域の正負のランレングスを求める。例えば、直線領域531の場合、正のランレングスは「11」、負のランレングスは「4」、直線領域532の場合、正のランレングスは「7」、負のランレングスは「7」、直線領域533の場合、正のランレングスは「6」、負のランレングスは「6」、直線領域532の場合、正のランレングスは「6」、負のランレングスは「5」である。このようにしてCPU40は、陰影530の全体について正負のランレングスを集計する。CPU40は、図54(A),(B)のように病巣候補陰影540に対しても同様にして、各直線領域について濃度勾配を求め、さらにその濃度勾配に基づいて正負のランレングスを集計する。図54の直線領域541の場合、正のランレングスは「5」と「2」、負のランレングスは「3」と「4」、直線領域542の場合、正のランレングスは「5」と「2」、負のランレングスは「2」と「4」、直線領域543の場合、正のランレングスは「6」と「1」と「1」、負のランレングスは「3」と「2」と「3」、直線領域544の場合、正のランレングスは「5」と「2」と「2」、負のランレングスは「2」と「2」と 「3」である。このように病巣候補陰影の方がランレングスの長さは短く、その個数も多いことが分かる。
図54(C)は、図53の陰影530と図54の病巣候補陰影540についてそれぞれ算出されたランレングスとその個数との関係を示す。図54(C)の曲線から明らかなように、病巣候補陰影の場合はランレングスの値が比較的小さい方にピークを有し、血管断面陰影などの場合はランレングスの値が比較的大きい方にピークを有するという傾向を示す。従って、この傾向を利用して、CPU40は、図53のような血管断面陰影を効率的に除去することが可能となる。なお、この変形例では、濃度勾配を前後の画素の差分によって求める場合について説明したが、画素の濃度を所定のしきい値と比較して、その大小に応じて「+」又は「−」の濃度勾配を決定するようにしてもよい。このしきい値として、その陰影の全範囲における濃度の平均値を用いてもよい。なお、上述の実施の形態では、X軸方向及びY軸方向の濃度勾配を算出する場合について説明したが、任意の一方向について求めてもよいし、X軸方向、Y軸方向、これらと45度を成す方向などのように複数の方向について、濃度勾配を求めるようにしてもよい。
図25の判定サブルーチンD1〜D3では、陰影が壁面部分に位置するか否かを判定し、さらに図44では、その陰影と壁面部分との接触長によってその陰影が病巣候補陰影であるか否かの判定を行なう場合について説明した。ところが、図55(A)に示すように、CT画像中に壁面部分に接するような陰影551,552が存在する場合がある。陰影551は、壁面内部に接する距離が所定値よりも十分に大きいので、病巣候補陰影ではないと判定される。ところが、陰影552は、癌などの陰影ではないが、癌に付随する癌随伴陰影(胸膜陥入)であり、その特徴は胸膜に対して垂直な細長い陰影である。従って、陰影552は、病巣候補陰影からは除外される可能性が非常に高いものである。ところが、このような癌随伴陰影の近傍には、図55(a)に示すように陰影552の先端部に接するように、ぼんやりと病巣の候補とされる陰影553が存在することが知られている。このような癌随伴陰影553は上述の処理ではなかなか抽出しにくいものである。そこで、この実施の形態では、このような癌随伴陰影552を抽出し、その癌随伴陰影552を大きめのマーカー(円又は楕円など)で囲むように表示することによって、その癌随伴陰影552の近傍に病巣行為陰影が存在することを知らせるようにした。この実施の形態では、図56の癌付随物検出処理を実行して癌随伴陰影を検出する。
以下、この癌付随物検出処理の詳細をステップ順に説明する。
[ステップS551]
まず、図55(b)に示すような多値化画像の中に病巣候補と思われる陰影550〜552が抽出されるので、CPU40は、これらの陰影550〜552が壁面部分に接しているか否かを判定し、接している(yes)と判定した場合は次のステップS552に進み、接していない(no)と判定した場合はステップS554に進み、該当する陰影を削除する。陰影550は接していないので、ステップS554の陰影削除処理によって病巣候補から除外される。
[ステップS552]
次に、CPU40は、陰影が胸膜の壁面部分に接する割合、すなわち接触長が所定値よりも小さいか否かを判定し、所定値よりも小さい(yes)と判定した場合は次のステップS553に進み、大きい(no)と判定した場合はステップS554に進み、該当する陰影を削除する。陰影551の場合は、壁面部分との接触長が所定値よりも大きいのでステップS554の陰影削除処理によって病巣候補から除外される。陰影552の場合は、壁面部分と接する距離が陰影551よりも十分に小さいので、次のステップS553の処理に進む。
[ステップS553]
CPU40は、該当する陰影の中から癌随伴陰影を抽出する。すなわち、壁面内部に接する割合が所定値よりも小さい陰影は、図44の陰影442や図55の陰影552が該当する。このような陰影の中で、癌随伴陰影は、病巣候補陰影とは判断されないくらい細長いものである。従って、CPU40は、壁面内部に接する割合が所定値よりも小さく、病巣候補陰影から除外されるようなものを癌随伴陰影として抽出するようにした。これによって、図55(c)に示すように陰影552は癌随伴陰影として抽出される。一方、、図44の陰影442は病巣候補陰影として抽出される。
[ステップS554]
CPU40は、ステップS551及びステップS552で共にnoと判定した場合の陰影を削除する。
[ステップS555]
CPU40は、図57に示すようにステップS553で抽出された癌随伴陰影すなわち検出付随物を含むように大きめのマーカー570(円又は楕円など)を原画像上に重ねて表示する。なお、このマーカー570の大きさは右下に表示されているスケール設定ボタンによって適宜変更可能となっている。医師は、このようなマーカー570によって囲まれた箇所を詳細に目視することによって、病巣陰影が存在するかどうかの検討を行なうことができる。
図58〜図60は、判定サブルーチンの第3の変形例を示す図である。図58〜図60の判定サブルーチンは、図27の判定サブルーチンE1や図29の判定サブルーチンF1、さらに前述の各判定サブルーチンに代えて又はこれらと並列的に行なわれるものである。まず、CPU40は、CT画像に図5及び図6の2値化画像処理を施し、仮の重心位置を求める。重心位置の求め方は前述の種々の方法を用いて行なう。CPU40は、仮の重心位置を中心として所定長の半径581を矢印583の方向に角度θを0度から360度まで約5度ずつ回転させる。回転させる割合は5度以外の適当な値でもよい。CPU40は、回転させながら、その半径上に位置する陰影のCT値の分散値又は標準偏差値SD(θ)を求める。
このようにして求めたものが図58(B),(C)に示すようなグラフとして表される。図58(B)の分散値又は標準偏差値SD(θ)は、図54に示すような病巣候補陰影540に対応するものである。図58(C)の分散値又は標準偏差値SD(θ)は、図53に示すような血管断面陰影530に対応するものである。病巣候補陰影540の場合は、前述のように複数のピークを有するような複雑な等高線を示す。分散値又は標準偏差値SD(θ)もその複雑な等高線に対応して図58(B)に示すように角度毎に種々の複雑な値となる。一方、血管断面陰影530の場合は、一つのピークを有するような単純な等高線を示す。分散値又は標準偏差値SD(θ)も図58(C)のように各角度であまり変化しない単純な値となる。従って、CPU40は、図58(B),(C)のような分散値又は標準偏差値SD(θ)のグラフに基づいて、その陰影が病巣候補陰影であるか、血管断面陰影であるかの判定を行なうことができる。
なお、CPU40は、図58(B),(C)の分散値又は標準偏差値SD(θ)について、さらにその分散値又は標準偏差値を求め、それが所定値より大きいか小さいかに応じて病巣候補陰影であるか、又は血管断面陰影であるかの判定を行なうようにしてもよい。また、CPU40は、図59に示すように、それぞれの陰影を分割し、その分割領域における各分散値又は標準偏差値を求めるようにしてもよい。図59(A)の場合は、CPU40は、陰影をその中心を通る水平線で上下に分割し、上側の陰影のCT値の分散値又は標準偏差値SD−Uを求め、下側の陰影のCT値の分散値又は標準偏差値SD−Dを求め、さらに両方の分散値又は標準偏差値を特微量として陰影の判別に用いる。なお、CPU40は、上下両方の分散値又は標準偏差値SD−U,SD−Dの差分値、又は差分値の絶対値などを特微量としてもよい。図59(B)の場合は、CPU40は、陰影をその中心を通る水平線及び垂直線で4象限に分割し、各象限のCT値の分散値又は標準偏差値SD−1〜4を求め、さらにこれらの分散値又は標準偏差値SD−1〜4の分散値又は標準偏差値を特微量として陰影の判別に用いる。図59(C)の場合は、CPU40は、陰影を垂直方向に等間隔に分割し、各分割領域のCT値の分散値又は標準偏差値SD1〜7を求め、さらにこれらの分散値又は標準偏差値SD1〜7の分散値又は標準偏差値を特微量として陰影の判別に用いる。なお、CPU40は、陰影を水平方向に等間隔に分割したり、任意の方向に等間隔に分割してもよい。
図58及び図59は、陰影が病巣候補陰影であるか血管断面陰影であるのかの判定を、CPU40が陰影の分散値又は標準偏差値を用いて、行なっている場合を示している。図60に示すように、CPU40は、陰影の分散値又は標準偏差値と、その陰影の外周に沿った所定領域の分散値又は標準偏差値とを用いて、陰影を判定するようにしてもよい。すなわち、図60に示すように陰影の外周が動径R(θ)で定義される場合に、この動径R(θ)から所定距離dRだけ外側の領域R(θ)〜R(θ)+dR内の分散値又は標準偏差値との差分値を特微量とすることによって、図60(A)のような血管断面陰影と図60(B)のような病巣候補陰影とを判別することができる。図60(A)のような血管断面陰影の場合は、領域R(θ)〜R(θ)+dRは血管断面陰影を横切っているので、分散値又は標準偏差値は比較的大きな値となる。図60(B)のような病巣候補陰影の場合は、領域R(θ)〜R(θ)+dRの大部分は陰影の存在しない部分を横切るので、分散値又は標準偏差値は比較的小さな値となる。従って、CPU40は、陰影内の分散値又は標準偏差値と、領域R(θ)〜R(θ)+dRの分散値又は標準偏差値との差分を特微量として、病巣候補陰影と血管断面陰影とを判定することができる。また、この特微量又は領域R(θ)〜R(θ)+dRの分散値又は標準偏差値に対して、それぞれしきい値を設定して、CPU40は、判別するようにしてもよい。さらに、この特微量又は領域R(θ)〜R(θ)+dRの分散値又は標準偏差値を、マハラノビス距離、ユークリッド距離、ニューラルネットワークなどの入力値として使用し、CPU40は、その結果を用いて判別するようにしてもよい。
上述の実施の形態では、病巣候補陰影の抽出されたCT画像をマーカーと共に操作者(医者)に表示する場合の表示方法として、図38に示すように病巣候補陰影をマーカーで示した検出結果画面と、そのマーカー部分を拡大して示した拡大画面とを画面中に同時に表示する方法、図39〜図43に示すような種々のモードで表示する方法についての説明がある。ここでは、操作者(医師)が任意にその表示したい箇所をマウスカーソルなどで選択した場合に、CPU40は、その選択された箇所に近い順番で病巣候補陰影を表示してもよい。以下、この病巣候補陰影表示処理の詳細が図61及び図62に従って説明される。
[ステップS621]
CPU40は、図38の標準画面上の表示モード選択ボタンによって選択された表示モードに従って、図39、図41又は図42のようにマーカーと断層像の合成画像を順次表示する。
[ステップS622]
CPU40は、表示中の合成画像上の任意の位置でマウスがクリックされたか否かの判定を行なう。判定結果がyesの場合は、次のステップS623に進み、判定結果がnoの場合はステップS621に戻る。ステップS621では、表示モードに従った合成画像の表示が続行される。すなわち、これは、図61(A)のようにマウスポインタ611が合成画像上の所定の位置にあるときに、マウスのボタンがクリックされたか否かの判定を行なうことである。
[ステップS623]
ステップS622でマウスがクリックされたと判定されたので、CPU40は、マウスポインタの位置から半径Dの円内に病巣候補陰影が存在するか否かの判定を行なう。すなわち、図61(A)の場合、マウスポインタ611を中心とする半径Dの点線円内に病巣候補陰影が存在するか否かの判定が行なわれる。
[ステップS624]
ステップS623の判定によって、マウスポインタを中心とする半径Dの円内に病巣候補陰影が存在しない判定されたので、CPU40は、「病巣候補陰影は存在しない」と表示する。現在の表示をこのまま継続するか否かを選択するための継続ボタンと、表示を終了させるための終了ボタンが画面上に表示されているので、CPU40は、この終了ボタンがマウスでクリック操作されたか否かの判定を行なう。判定結果がyesの場合(終了ボタンがクリックされた場合)は、CPU40は、処理を終了し、判定結果がnoの場合(継続ボタンがクリックされた場合)は、CPU40は、ステップS621に戻る。
[ステップS625]
ステップS623の判定によって、マウスポインタを中心とする半径Dの円内に病巣候補陰影が存在すると判定されたので、CPU40は、その病巣候補陰影に関する断層画像とマーカーとの合成された画像を順次表示する。図61(A)の場合は、図39の画像a及び画像cの病巣候補陰影が半径Dの点線円内に存在する陰影に該当する。図41及び図42の画像b及び画像cの病巣候補陰影が半径Dの点線円内に存在する陰影に該当する。従って、図61(B)のように、半径Dの円内に、存在する病巣候補陰影の画像が順次表示されるようになる。図61(B)では、図41及び図42の画像bが表示されている。なお、図示していないが、画面上に「NEXTボタン」が表示されるので、それがクリックされると、次の画像cが表示される。なお、特殊な場合として、半径Dが画像より大きく設定されており、マーカー表示の無い状態でマウスがクリックされると、それに応じて該当するマーカーが全て表示される場合もある。
[ステップS626]
表示中の合成画像上の任意の位置でマウスがクリックされたか否かの判定を行う。判定結果がyesの場合(クリックされた場合)には、前のステップS623に戻り、判定結果がnoの場合には、ステップS625に戻る。ステップS625では、病巣候補陰影の表示が続行される。このステップは、さらにマウスポインタによって他の場所がクリックされた場合に、そのマウスポインタを中心とする半径Dの円内に病巣候補陰影が存在するか否かに応じて同様の処理を行なう。なお、同じ場所がクリックされた場合には、前述の「NEXTボタン」がクリックされた場合と同様に、次の画像cが表示される。なお、このような表示を行なうために、抽出された病巣候補陰影が画像上でどこに位置するのかを示すx座標及びy座標の情報を所定のメモリ空間上に記憶している。
図63及び図64は、判定サブルーチンの第4の変形例を示す図である。図63及び図64の判定サブルーチンは、図27の判定サブルーチンE1や図29の判定サブルーチンF1、さらには前述の各判定サブルーチンに代えて又はこれらと並列的に行なわれるものである。図63(A)は、悪性の癌陰影630の周辺にスピキュラと呼ばれる針状又は線状の陰影631〜639が複数現れている場合のCT画像の一部を示す図である。
癌陰影630は比較的低濃度の陰影であり、見分けが困難である。これに対して陰影631〜639は高濃度の陰影であり、見分け安いが、血管の陰影と間違い易いという欠点を有する。図63(A)に示すようなスピキュラを含むCT画像に図5及び図6の2値化画像処理を施すと、低濃度の癌陰影630は抽出されずに、図63(B)に示すように針状又は線状の陰影631〜639のみが抽出される。このようなスピキュラ陰影631〜639は、血管部分の陰影と間違われて取り除かれることがあった。従って、図63(B)に示すような陰影631〜639がスピキュラ陰影であるか否かを判断することが必要である。そこで、この実施の形態では、このようなスピキュラ陰影と血管陰影とを識別し、スピキュラ陰影の場合にはその陰影重心位置を求め、マーカーで表示できるようにした。
まず、CPU40は、CT画像に図5及び図6の2値化画像処理を施し、仮の重心位置を求める。重心位置の求め方は前述の種々の方法を用いて行なう。CPU40は、仮の重心位置を中心として直線を回転させ、回転する直線と陰影の交わる部分が最大となる直線すなわち陰影の長径を求め、この長径と陰影の縁とが交わる部分(2点)を求める。図64(A)は、各陰影631〜639について、それぞれの長径を求め、その長径と陰影との交点を求めた状態を示す図である。図から明らかなように、各陰影631〜639にはそれぞれ2個の交点が求まることになる。陰影631には交点631A,631Bが存在し、陰影632には交点632A,交点632Bが存在する。陰影633〜639についても同様に、交点633A〜639A,633B〜639Bが存在する。
このようにして求められた各交点631A〜639A,631B〜639Bを、CPU40は、図64(B)に示すような画素メモリ空間上に配置し、各交点631A〜639A,631B〜639Bをそれぞれ結ぶ所定幅の帯状直線631C〜639Cを、ゼロクリアされた画素メモリ空間上に割り当てる。CPU40は、これらの帯状直線631C〜639Cに対応する画素に対して、それぞれ帯状直線631C〜639C毎に「1」を累算する。すなわち、CPU40は、帯状直線631Cの通過領域に対応する画素メモリに対して「1」を累算し、帯状直線632Cの通過領域に対応する画素メモリに対して「1」を累算する。以下同様に、CPU40は、帯状直線633C〜639Cの通過領域に対応する画素メモリに対してもそれぞれ「1」を累算する。これによって帯状直線631C〜639Cの通過領域に該当する箇所の画素メモリの値が大きくなる。
図64(B)の場合、円640で囲まれた部分を直線631C〜639Cが集中的に通過するようになるので、この部分の画素メモリの値は大きくなる。そこで、CPU40は、画素メモリ上の値が例えば4以上になった箇所を抽出し、そこをスピキュラ陰影の重心位置とする。なお、画素メモリの値が4以上となる箇所が近接している場合には、値の高い方を重心位置とする。この重心位置が求まったら、CPU40は、そこを中心に図63(B)に示すようにマーカー641を表示する。これによって、血管陰影と間違われるようなスピキュラ陰影を有する悪性の癌陰影について病巣候補陰影としての表示を行なうことができるようになる。
図65及び図66は、図27の判定サブルーチンE1、図29の判定サブルーチンF1の変形例を示すものであり、血管断面陰影を抽出し、それを取り除くための処理方法を示す図である。図65及び図66の処理は、図27の判定サブルーチンE1や図29の判定サブルーチンF1と並列的に行なってもよい。通常、胸部(肺野)のCT画像は放射状に広がるように延びた血管の一部を捉えている場合がある。そこで、この実施の形態では、血管が放射状に延びるという特徴に基づいて、CPU40は血管断面陰影を抽出し、それを取り除くようにした。すなわち、ここでは図65に示すように血管が放射状に延びている場合、CPU40は、所定のスライス厚の断層像の隣り合うもの同士を比較することによってそれが血管断面陰影であるか否かを判断している。
図65に示すように放射状に延びた血管群に対しては、図に示すような平面651〜653に対応した断層像がそれぞれ撮影されることになる。平面651に対しては血管断面陰影651A,651Bが図66(A)に示すような断層像として撮影される。平面652に対しては、血管断面陰影652A,652Bが図66(B)に示すような断層像として撮影される。平面653に対しては、血管断面陰影653A,653B,653Cが図66(C)に示すような断層像として撮影される。このように、放射状に延びる血管群の断層像においては、血管断面陰影の位置と大きさが順次変化している。そこで、CPU40は、隣接する断層像を重ね合わせ、そのときに陰影の位置と大きさの変化の様子に基づいてその陰影が血管断面陰影であるか否かの判定を行なう。
図66(D)は隣り合う平面651と平面652に対応する断層像、すなわち図66(A)と図66(B)とを重ね合わせたものである。図66(E)は隣り合う平面652と平面653に対応する断層像、すなわち図66(B)と図66(C)とを重ね合わせたものである。なお、分かりやすくするために、図66(B)の血管断面陰影652A,652Bは、図66(D)及び図66(E)では点線で表示してある。図66(A)に示すように、血管断面陰影651Aと血管断面陰影652Aは部分的に重なっている。また、血管断面陰影651Bと血管断面陰影652Bも部分的に重なっている。このように両断層像の陰影が部分的に重なっている場合には、両者は放射状に延びた血管の一部を示す血管断面陰影であるとして削除される。図66(E)の血管断面陰影652Aと血管断面陰影653Aの場合も両者が部分的に重なっているので、両陰影は血管断面陰影として削除される。図66(E)の血管断面陰影652Bと血管断面陰影653B,653Cの場合、血管断面陰影653B,653Cは血管断面陰影652Bから分岐したものであり、血管断面陰影653Bは血管断面陰影652Bに対して部分的に重なっているが、血管断面陰影653Cは血管断面陰影652Bとは重なっていない。従って、この場合、血管断面陰影652Bと血管断面陰影653Bは血管断面陰影として削除の対象となるが、血管断面陰影653Cは削除の対象とはならない。なお、図66(F)に示すように、血管断面陰影652A,652Bと陰影661,662とが互いに所定の割合より多く重なっている場合には、両者は病巣候補陰影として削除されずに、他の判定の対象とされる。なお、この割合は、各陰影毎に算出し、重なり部分の面積を陰影の面積で除したもののうち、大きい方の値を採用することとする。すなわち、血管断面陰影652Aと陰影661の場合、重なり部分の面積を血管断面陰影652の面積で除した場合と、重なり部分の面積を陰影661の面積で除した場合とでは、その割合が異なるので、面積の小さな陰影661で除したものを採用する。なお、両者の重なりの割合はパラメータとして任意に設定可能である。
なお、X線CT装置などでは、全方向の投影データを使用できずに断層像を再構成しなければならないことがあり、これをパーシャルボリューム効果と呼ぶ。このパーシャルボリューム効果による陰影を誤って検出したかどうかの判定にも、隣接画像との相関をとるのは有効である。パーシャルボリューム効果の場合は、隣には高濃度の陰影が写っているので、前期検出した領域と隣接画像の対応領域(同じ位置)で、あらかじめ設定した特定のCT値より大きな値をとる画素の割合を判定に利用できる。
図67及び図68は、判定サブルーチンの第5の変形例を示す図である。図67及び図68の判定サブルーチンは、互いに直交する3組の医用画像(アキシャル画像、サジタル画像、コロナル画像)を用いて、それぞれ異常陰影を検出し、検出された陰影の存在位置に相関がある場合にその陰影は病巣候補陰影として表示又は記録するようにしたものである。図67(A)は、アキシャル画像に対応するアキシャルプレートの概念を示す。図67(B)は図67(A)のアキシャルプレートに対応したアキシャル画像の一例を示すものである。図67(C)は、サジタル画像に対応するサジタルプレーン及びコロナルプレーンの概念を示す。図67(C)において、サジタルプレーンは実線で、コロナルプレーンは点線でそれぞれ示してある。図67(D)は、図67(C)のサジタルプレーンに対応したサジタル画像の一例を示すものである。なお、コロナルプレーンに対応したコロナル画像については省略してある。
CPU40は、アキシャル画像及びサジタル画像の2種類の画像に基づいて前述の判定サブルーチンを実行する。その結果、例えば、図67(B)のアキシャル画像上では病巣候補陰影671,672が検出され、図67(D)のサジタル画像上では病巣候補陰影673が検出されたとする。図68は、検出された病巣候補陰影671〜673に関する位置情報などのデータを記憶したメモリの内容を示すものである。メモリに記憶されているデータは、陰影の総数と、各陰影に関する情報から構成されている。病巣候補陰影671〜673に関する情報は、陰影の位置座標(X,Y,Z)、面積、最長の長さ、最短の長さ及びその他の情報などで構成されている。病巣候補陰影671のアキシャルプレーン上における位置座標は(X1,Y1)、病巣候補陰影672のアキシャルプレーン上における位置座標は(X2,Y2)である。また、病巣候補陰影673のサジタルプレーン上における位置座標は(Z1,Y1+δ)である。
ここでは、アキシャルプレーン上ではZ軸方向の座標が明確ではなく、サジタルプレーン上ではX軸方向の座標が明確ではないものとする。このような場合に、病巣候補陰影671の位置座標(X1,Y1)と病巣候補陰影673の位置座標(Z1,Y1±δ)とを比較すると、両者の間では互いにY軸方向の座標が近似していることになる。病巣候補陰影671と病巣候補陰影673との間のY軸方向の差分はδである。この差分δが所定値△よりも小さい場合には、両陰影671,673は、同じ位置座標であり、互いに同じ病巣候補陰影であると判断され、残される。逆に、差分δが所定値△以上の場合は、両陰影は異なる位置座標のものであると判断され、病巣候補陰影から削除される。また、病巣候補陰影672の位置座標(X2,Y2)に対応するものは、サジタルプレーン上には存在しないので、この場合は病巣候補陰影672は偽物と見做され、削除される。なお、ここでは、位置座標が同じか否かで判断するようにしたが、位置座標が同じと見做された場合、その陰影の「面積」、「最長の長さ」や「最短の長さ」などに基づいて両者が同じものであるか否かの判断を行なうようにしてもよい。
図69は、病巣候補陰影の抽出されたCT画像とマーカーとを操作者(医者)に表示する場合に、過去に撮影され、抽出された病巣候補陰影を併せて表示するようにしたものである。図69(A)は、今回撮影されたCT画像に基づいて検出された病巣候補陰影とマーカーとを表示する画面の一例を示す図である。図69(B)は、例えば一年前に撮影され、その時に抽出された病巣候補陰影に対応したマーカを図69(A)の画像上に同時に重ね合わせて表示した場合の画面の一例を示すものである。図69(B)では、過去に抽出された病巣候補陰影に対応するマーカが四角形で示される。また、画面の左上には円形マーカ691,692が今回のものであることを示す図形や文字が表示され、画面の左下には四角形マーカ693が過去(前回)のものであることを示す図形や文字が表示される。過去に撮影され、抽出された病巣候補陰影の座標や大きさなどの特徴は、図68のような形式で磁気ディスクなどに記録してあるので、それに基づいて過去の病巣候補陰影に対応したマーカーを表示すればよい。例えば、1年毎にCT画像を撮影し、癌の検出処理を行なった場合、今年の検出結果と去年の検出結果を重ねて表示すれば、去年存在しなかった箇所に今年新たに陰影が現れたばあい、その陰影は癌である可能性が高いということを医師に認識させることができる。なお、前回の撮影日などをマーカーに関連付けて表示するようにしてもよい。また、撮影日が複数存在する場合には、その撮影日毎にマーカーの色や形状などの表示態様を変化させてもよい。
図70及び図71は、マーカーの表示態様の変形例を示す図である。上述の実施の形態では、マーカーの形状を円形又は楕円形で表示する場合を説明したが、図70(A)では、病巣候補陰影700の最長の長さを示す長径701の方向と楕円形マーカー702の長軸703の方向とを一致させて、病巣候補陰影700を囲むように楕円形マーカー702を表示するようにした。陰影の形状に沿ってマーカーが表示されるので、認識が容易になる。なお、楕円形マーカー702の長軸及び短軸の長さとして、病巣候補陰影700の長径701及び病巣候補陰影の実効短径(陰影の面積をその陰影の最大長径で除した値)に所定係数を乗じたものを用いてもよい。図70(B)は、図36(b)に示すマーカーを円弧の集まりとして表示した場合と同じように、楕円形マーカの場合もを楕円弧704,705の集まりとして表示する場合の一例を示すものである。この変形例では、病巣候補陰影p4,p5を中心とする楕円704,705が互いに重複する場合に、その重複部分の楕円弧部分を消去し、図示のような複数楕円弧704,705の集合体のように描くようにした。図71(A)のように病巣候補陰影をマーカー711で囲んで表示しただけでは病巣候補陰影の存在箇所が分かりにくい場合がある。そこで、図71(B)に示すように、この変形例では、マーカー711で囲まれた領域のCT画像に対してコントラストを強調したり、CT値にガンマ処理を施したりして、病巣候補陰影がより鮮明に強調表示されるようにした。
図72は、病巣候補陰影の抽出されたCT画像と病巣候補陰影の抽出されなかったCT画像を順番に動画像表示する場合の変形例を示す図である。前述の実施の形態では、病巣候補陰影の抽出されたCT画像を種々の表示モードで表示する場合について説明したが、ここでは、病巣候補陰影の抽出の有無に関係なく、CT画像をその撮影順に5枚〜10枚/秒程度の速度で順次表示する動画像表示方法の表示態様に変形を加えるようにした。以下、この動画像表示方法の処理の詳細を図72のフローチャートを用いて説明する。
[ステップS721]
CPU40は、最初のCT画像を表示する。
[ステップS722]
CPU40は、表示中のCT画像に異常箇所すなわち病巣候補陰影が存在するか否かを判断する。判断結果がyesの場合は、CPU40は、ステップS723に進み、判断結果がnoの場合は、CPU40は、ステップS724に進む。
[ステップS723]
現在表示中の画像に異常箇所(病巣候補陰影)が存在すると判断されたので、CPU40は、ディレイタイムを大きくする。ディレイタイムとは、動画像表示中における1枚の画像表示に要する時間のことである。ディレイタイムが大きくなると、その異常箇所(病巣候補陰影)の存在する画像の表示時間が標準の表示時間よりも十分長く表示されるようになる。これによって、医師は異常箇所(病巣候補陰影)の存在する画像を時間的に余裕を見て、集中して観察することができるようになる。なお、一つのCT画像中に異常箇所(病巣候補陰影)が複数存在する場合には、その異常箇所(病巣候補陰影)の数に応じてディレイタイムの値を決定するようにしてもよい。
[ステップS724]
現在表示中の画像に異常箇所(病巣候補陰影)が存在しないと判断されたので、CPU40は、ディレイタイムを小さくする。ディレイタイムが小さくなることによって、通常の画像表示よりも早く表示が終了するようになる。なお、ディレイタイムを小さくしないで、標準のディレイタイムで表示するようにしてもよい。ステップS723及びステップS724におけるディレイタイムの値は任意に設定可能とする。
[ステップS725]
ディレイタイムに相当する時間だけCT画像が表示されたので、CPU40は、次の画像の表示を開始する。
[ステップS726]
CPU40は、ステップS725で表示された画像が最後の画像か否かの判断を行なう。判断結果がyesの場合(最後の画像の場合)は処理を終了し、判断結果がnoの場合(最後の画像でない場合)はCPU40はステップS722に戻り、最後の画像が表示されるまで上述の処理を繰り返す。なお、ここでは、病巣候補陰影が存在しない場合を短時間で表示する場合について説明したが、ほんとに病巣陰影が存在しないかどうかの確認をするために、標準表示時間よりも長い時間表示するようにしてもよい。
図73は、本発明に係る画像診断支援装置による診断結果を表示する場合の表示処理の一例を示す図である。CT装置などで撮影された医用画像に基づいて診断を行なう場合、二人の医師がそれぞれ並行して独立に読影を行い、その後にその読影結果を持ち寄り、両方の医師が最終的に異常あり又は異常なしの総合判定を行なっている。この総合判定の結果が異常ありの場合には、その患者に対して精密検査が行なわれることになる。一方、総合判定の結果が異常なしの場合には、医師が自ら画像診断支援装置を用いて診断に誤りがないかなどのチェックを行なっていた。すなわち、画像診断支援装置はあくまでも医師の判断を補助するものであり、医師による読影済の医用画像に対して異常の有無を検出するものでなければならない。従って、この実施の形態では、医師の読影が終了する前にマーカーを表示したりすることがないような表示処理を採用した。以下、この表示処理の詳細を図73のフローチャートを用いて説明する。
[ステップS731]
CPU40は、マーカーが表示されていない元のCT画像をそのまま表示する。
[ステップS732]
CPU40は、ステップS731の表示が終了したCT画像に対して表示済を記録する。例えば、図68に示すようなその他の情報の欄に表示済を示すフラグを付加する。
[ステップS733]
CPU40は、画面上の表示終了アイコンがマウスでクリック操作されたか否かの判定を行なう。判定結果がyesの場合(操作された場合)はCPU40は、表示処理を終了し、判定結果がnoの場合(操作されていない場合)はCPU40はステップS734に進む。
[ステップS734]
CPU40は、マーカーを表示するためのアイコン(マーカー表示アイコン)がマウスでクリック操作されたか否かの判定を行なう。判定結果がyesの場合(操作された場合)は、CPU40は、ステップS735に進み、判定結果がnoの場合(操作されていない場合)は、CPU40はステップS733に戻り、表示終了アイコン又はマーカ表示アイコンが操作されるまで処理を繰り返す。
[ステップS735]
CPU40は、全てのCT画像がステップS731の処理によって表示され、かつ、ステップS732の処理によって表示済が記録してあるか否かの判定を行なう。判定結果がyesの場合はステップS737に進み、判定結果がnoの場合はステップS736に進む。
[ステップS736]
ステップS735の処理で全てのCT画像が表示済みであると判定されたので、CPU40は、マーカーの付加された画像を順次表示する。CPU40は、マーカーの付加された画像の表示は、病巣候補陰影が抽出されたマーカー付きのCT画像だけを所定の順番で表示するようにしてもよいし、マーカー付きのCT画像もそうでないCT画像も順番に表示するようにしてもよい。
[ステップS737]
ステップS735の処理で全てのCT画像が表示済みでないと判定されたので、CPU40は、「医師による読影が済んでいない画像があります。」との画面を表示し、マーカー付きのCT画像の表示を行なわない旨を操作者(医師)に知らせ、ステップS731に戻る。これによって、読影済みでないCT画像に対して医師による読影が行なわれる。また、医師による読影が行なわれることによってマーカー付きのCT画像が表示されるようになる。
図74は、本発明に係る画像診断支援装置による診断結果を表示する場合の表示処理の別の一例を示す図である。図73では、医師による読影済の医用画像に対して病巣候補陰影の有無を検出し、病巣候補陰影に対してマーカーを付加して表示する場合について説明した。ここでは、マーカー付きのCT画像からマーカーを除去する場合の表示方法について説明する。図74(A)はマーカー付きのCT画像の表示画面の一例を示す図である。画面上には、マーカーの非表示モードを選択する非マークアイコン、次の画面を表示させるための次画面アイコン、表示を終了させるための終了アイコンが左側に表示されている。図74(B)に示すように、非表示アイコンがマウスでクリック操作されると、今まで表示されていたマーカーの表示が消え、非表示状態となり、画面下側に非表示状態であることを示す「非マークモードです」という文字が表示される。さらに、この実施の形態では、図74(B)の非マークモードが所定時間経過した場合には、図74(C)に示すように、元のマーカ付きのCT画像に復帰するようになっている。この所定時間は予めパラメータとして設定可能である。なお、非マークアイコンの上側にマーク表示アイコンを設け、非マークモードとマークモードを操作者が任意に切り換えることができるようにしてもよい。また、図71に示すように病巣候補陰影の強調表示及び非強調表示を切り換えることのできるアイコンを設けてもよい。
図9の異常陰影検出処理では、小陰影、大陰影、すりガラス状陰影、高濃度陰影などの陰影の種類に応じて機能的には並列であっても時間的には順番に処理を行なう場合について説明したが、各処理を時分割処理や複数のコンピュータを用いて並列的に実行するようにしてもよい。図75は、図9の異常陰影検出処理のメインフローの変形例を示す図である。図75の異常陰影検出処理は、陰影の種類に応じた各処理を並列的に実行するものである。ステップS751のすりガラス型陰影処理は、図9のすりガラス状陰影処理に対応する。ステップS752の充実型陰影処理は、図9に示された小陰影検出処理、大陰影検出処理及び高濃度陰影検出処理の3つの処理に対応する。ステップS753の肺壁密着型陰影処理は、図25、図26及び図44に示された判定サブルーチンに対応する。ステップS754のスピキュラ型陰影処理は、図63及び図64に示された処理に対応する。ステップS755の血管密着型陰影検出処理は、図50〜図53に示された処理に対応する。ステップS756の合成処理では、ステップS751〜ステップS755の各処理によって抽出された結果を合成する。この抽出結果は、図68に示すような陰影の座標位置、面積、最長長さ、最短長さ及びその他の情報などである。従って、ステップS757の表示・格納処理では、抽出された結果に基づいて上述のようなマーカー付きのCT画像を表示したり、抽出結果をメモリや磁気ディスクに格納したりする。
図76及び図77は、判定サブルーチンの第6の変形例を示す図である。図76及び図77に示された判定サブルーチンは、図27の判定サブルーチンE1や図29の判定サブルーチンF1、さらに前述の各判定サブルーチンに代えて又はこれらと並列的に行なわれるものである。この判定サブルーチンは、異常陰影検出処理に分散値又は標準偏差値を利用するものである。図76は、異常陰影検出処理の分散値又は標準偏差値を利用する方式の原理を示す図である。図77は、病巣でないと思われる陰影をどのようにして抽出するのか、その一例を説明するための図である。
病巣候補陰影が円形に近い場合は癌陰影(異常陰影)である可能性が高く、長方形に近いときは血管陰影(正常陰影)である可能性が高いことが分かっている。そこで、このように病巣候補陰影の形状に従った統計処理を利用して判別することとする。この統計処理では、病巣候補陰影を示す領域の重心点を求めるとともにその重心点からその領域の縁部までの距離をその領域の全周囲に亘って求める。求められた距離の分散値又は標準偏差値を演算し、その分散値又は標準偏差値に基づいて陰影が病巣候補陰影であるか否かの判定を行なう。つまり、図76(A)に示すように、抽出された病巣候補陰影が略円形領域である場合、その領域の中心点から縁部までの距離Rは、その円形の半径R0に等しいので、この場合の分散値Daは0となる。
図76(B)に示すように、抽出された病巣候補陰影が正方形である場合、その正方形領域の例えば重心点を中心点とし、その中心点から半径R0の円を描く。この時、半径R0の大きさは、図76(B)に示すように、正方形領域の内側に接するような円の半径よりもやや大きく、正方形領域の外側に接するような円の半径よりも小さくする。すなわち、半径R0の大きさは、中心点から陰影の縁までの距離の最大値と最小値との間に設定する。図76(B)の場合についても同様にして、その分散値Dbを求める。
また、図76(C)に示すように、抽出された病巣候補陰影が長方形である場合、その長方形領域の中心点から半径の距離R0の円を描く。この時、半径R0の大きさは、図76(C)に示すように、長方形領域の短辺に接するような円の半径よりも小さくし、長方形領域の長辺に接するような円の半径よりも大きくする。すなわち、前述の正方形領域の場合と同様に、半径R0の大きさは、中心点から陰影の縁までの距離の最大値と最小値との間に設定する。図76(C)の場合について、その分散値Dcを求める。
図76(B)及び図76(C)の場合における分散値Db,Dcの関係は、Db<Dcとなる。図76(D)は、上述の原理を、実際の血管陰影に適用した場合の具体例を示す図である。分散値Dは、D=(Σ(R−R0)2)/Nと定義される。ここで、Rは病巣候補陰影の中心点から陰影領域の縁までの距離である。R0はその中心点からの円の半径の大きさであり、集合演算の平均値に相当するものである。Nは病巣候補陰影の画素の総数である。また、Σは、病巣候補領域の縁部までの距離をその領域の全周囲に渡る総和を意味している。
図77は、分散値又は標準偏差値を求める場合の変形例を示すものである。図77では、病巣候補陰影の水平方向における縁から縁までの距離LXについて分散値DXを求め、続いて垂直方向の縁から縁までの距離LYについて分散値DYを求める。そして、それぞれの分散値DX,DYと陰影の形状を示す所定値との大小関係に基づいて、図77(A)に示すような癌陰影と、図77(B)に示すような血管陰影とを判別するようにした。なお、分散値をそのまま用いてもよいが、分散値の平方根である標準偏差値を用いても判別できることはいうまでもない。また、病巣候補陰影の縁を抽出する方法として、陰影にしきい値処理等を用いる方法、濃淡のある陰影では特定の濃度等高線を用いる方法、ラプラシアン処理[MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY V01.16No.3 May 1998 209−214p参照]を用いる方法の何れを用いてもよく、さらに、それらを適宜組み合わせてもよい。
図78は、本発明に係る画像診断支援装置による診断結果を表示する場合の表示処理の変形例を示す図である。図79は、図78の表示処理に伴う表示画面の一例を示す図である。図73の説明でも述べたように、CT装置などで撮影された医用画像に基づいて医師が診断を行なう場合、コンピュータによる判別結果を医師の診断前に提示すると、診断の先入観になるおそれがあるので、医師の診断前には本発明のプログラムが実行されないようにプロテクトをしておくことが望ましい。以下、この表示処理の詳細を図78のフローチャートを用いて説明する。
[ステップS781]
CPU40は、この実施の形態に係る画像診断支援装置の実行処理プログラムを起動するための起動ボタンがマウスクリック操作されたか否かを判定する。判定結果がyesの場合(起動された場合)はステップS782に進み、判定結果がnoの場合は起動ボタンが操作されるまで、このステップの処理を繰り返す。
[ステップS782]
CPU40は、画像をCRT48に表示した記録(表示済みのフラグ)が存在するか否かを判定し、判定結果がyesの場合(存在する場合)はステップS784に進み、判定結果がnoの場合(存在しない場合)はステップS783に進む。これは、CRT48に表示した記録があることで、医師が診断したと見なすものである。さらに正確には、医師による読影記録を参照し、それに基づいて判定を行なうようにしてもよい。この場合、CPU40は、読影記録がある(yes)と判定した場合にはステップS784に進み、読影記録がない(no)と判定した場合にはステップS783に進む。
[ステップS783]
CPU40は、医師が診断してない画像の表示が行なわれようとしているので、エラーメッセージを表示して、ステップS781に戻る。このエラーメッセージは、図79(A)、図79(B)に示すようなエラーメッセージを表示すればよい。図79(A)では、「エラー:医師による読影後のみ起動が可能です。」というエラーメッセージが断層像の下側に表示されている。図79(B)では、「注意:診断記録がある場合のみ起動が可能です。」というエラーメッセージが段像像の下側に表示されている。
[ステップS784]
CPU40は、実行処理プログラムを起動する。
[ステップS785]
CPU40は、実行処理プログラムに基づいて病巣候補陰影を演算によって求め、その結果を表示する。その表示した情報を必要に応じて磁気ディスク等に記録する。演算結果の表示は、図79(C)に示すように、例えば1枚目の断層像に円で囲まれた異常箇所が1箇所あることと、さらに別の断層像のものも含めて全部で何箇所に異常箇所が発見されたのかその数値を示すものとする。図79(C)では、全部で異常箇所が3箇所であることが示されている。
図80〜図82は、判定サブルーチンの第7の変形例を示す図である。図80〜図82に示された判定サブルーチンは、図27の判定サブルーチンE1や図29の判定サブルーチンF1、さらに前述の各判定サブルーチンに代えて又はこれらと並列的に行なわれるものである。この判定サブルーチンは、異常陰影検出処理に、陰影の面積及びこの陰影に関する面積の比を利用するものである。図80は、病巣候補陰影全体の全面積と陰影の縁部分にできた凹部分の面積との面積比を求める場合の一例を示す図である。図81は、血管陰影の分岐部分がどのようにして抽出されるのか、その過程の一例を示す図である。図82は、図80の面積比を求める場合の手順の一例を示すフローチャート図である。図83は、図80の処理に伴う表示画面の一例を示す図である。
図81(A)に示すようなCT画像の輝度の高低を識別することによって、図81(B)に示すような抽出領域が得られる。この抽出領域を血管陰影として識別するために、この抽出領域をしきい値処理などで二値化する。この二値化処理によって図80(A)に示すような二値化された血管領域が抽出される。一方、図80(B)は、がん等の陰影を二値化した場合を示す。図80(B)に示すがん等の陰影は、図80(A)に示す血管領域の陰影などと比較すればその違いが容易に理解できるものであり、円形に近い形をしていることが理解できる。図80(A)に示す血管陰影の場合、凹部分のそれぞれの面積s1a,s1b,s1cの総和の面積s1と陰影の全面積s2との面積比SRを用いて病巣候補陰影を判別する。面積比SRは、面積s1と面積s2との比を単純に示した比率式:SR=s1/s2によって求めてもよいし、面積s1と面積s2の合計値と面積s2との比を示す比率式:SR=s2/(s1+s2)によって求めてもよい。また、図80(B)に示すがん等の陰影の場合、凹部分の面積s10と陰影の全面積s20の面積比SR=s10/s20を用いて病巣候補陰影を判別する。図80(C)は、凹部分の面積を求める方法が示されている。以下、凹部の面積を求める処理の詳細を図82のフローチャートを用いて説明する。
[ステップS821]
CPU40は、図80(C)に示すように、陰影の輪郭線上の二点p1,p2を対として、両方の点を直線で選ぶ。ここで対として選ばれるのは最初の1回のみである。
[ステップS822]
二点p1,p2間を結ぶ直線上を一方の点p1から他方の点p2に向かって一定長づつ移動するような点pを想定する。CPU40は、点pが一定長移動する毎に、点pが抽出領域(s2)上に存在するか否かの判定を行なう。判定結果がyesの場合(点pが抽出領域(s2)上に存在する場合)はステップS824に進み、判定結果がnoの場合はステップS823に進む。
[ステップS823]
点pが抽出領域(s2)上に存在しないので、CPU40は、その部分に特定値(例えば「5」)を記録する。
[ステップS824]
CPU40は、点p1,p2間を結ぶ直線上を点pが移動したかどうかを判定し、判定結果がnoの場合(移動が終了していない場合)はステップS822に戻り、判定結果がyesの場合(移動が終了している場合)は、ステップS825に進む。ステップS822〜ステップS824の処理によって、点pが点p1から点p2まで移動しながら抽出領域(s2)以外の領域に特定値(例えば5)が記録される。
[ステップS825]
CPU40は、点p1を固定点、点p2を移動点とした場合は、移動点p2が抽出領域の全ての輪郭線上を移動したか否かの判定を行なう。CPU40は、点p2を固定点、点p1を移動点とした場合は、移動点p1が抽出領域の全ての輪郭線上を移動したか否かの判定を行なう。判定結果がnoの場合(移動点の移動が終了していない場合)はステップS821に戻り、次の二点間について同様の処理を行なう。判定結果がyesの場合は、ステップS826に進む。
[ステップS826]
CPU40は、特定値(例えば5)の記録された領域の面積(s1)を求める。この面積s1が凹部分の面積となる。
[ステップS827]
CPU40は、面積s1と抽出領域の面積s2との面積比RSを求める。
[ステップS828]
CPU40は、面積比RSが予め設定された一定値よりも大きいか否かの判定を行なう。判定結果がyesの場合(大きい場合)はステップS829に進み、判定結果がnoの場合(小さいか又は等しい場合)はステップS82Aに進む。
[ステップS829]
ステップS828で面積比RSが一定値よりも大きいと判定されたので、抽出された陰影は血管陰影の可能性が高い。従って、CPU40は、その陰影を病巣候補陰影から削除する。
[ステップS82A]
ステップS828で面積比RSが一定値以下だと判定されたので、抽出された陰影は病巣候補陰影の可能性が高い。従って、CPU40は、その陰影を病巣候補陰影として座標位置などの情報を保存する。
次に、病巣候補陰影が病巣として認定できる陽性のものであるか、陽性に近い性質(疑陽性)のものであるか、または病巣ではない陰性のものであるというように、病巣候補陰影の性質を識別して表示することは、医者の読影を支援することになり、好ましい。そこで、以下の実施の形態では、抽出された病巣候補と思われる陰影の性質を、容易かつ瞬時に識別可能に表示することのできる画像診断支援装置について説明する。
図83は、面積比RSに基づいて陰影が病巣として認定できる陽性のものである、陽性に近い性質(疑陽性)のものである、または病巣ではない陰性のものであるというように、病巣候補陰影の性質を識別するための情報を画像付帯情報として表示する場合の一例を示す図である。図83の表示画面中において、左側のウィンドウには、面積比RSの判定対象となる陰影を有するCT画像が横軸に対応し、その陰影の面積比RSが縦軸に対応するグラフが表示され、右側のウィンドウには、その判定の対象となるCT画像が表示されている。グラフ中の白抜き丸印(○)は抽出された陰影についての演算結果を示し、面積比RSの大きさに対応した位置にそれぞれ表示されている。最初は全てが丸印(○)で表示され、陽性かどうかは未決定状態である。マウスでグラフの下側の三角印(▲)を移動させることによって、グラフ上の任意の白抜き丸印(○)を選択することができる。三角印(▲)によって選択された白抜き丸印(○)は黒塗り円(●)に変化する。これと同時に、選択された黒塗り円(●)に対応するCT画像が右側ウィンドウに表示される。従って、このCT画像を観察した操作者(医師)は、その陰影が陽性であるか陰性であるかの判定を行い。陰性だと判定した場合には、下側の「偽」アイコンをマウスクリック操作する。これによって、黒塗り円(●)は四角印(□)に変化する。一方、操作者(医師)がその陰影を陽性であると判定した場合には、「陽性」アイコンをマウスクリック操作する。これによって、黒塗り円(●)は×印に変わる。このときに、×印の中で最も高い面積比RSが判別しきい値となる。この判別しきい値に基づいて、しきい値が決定される。しきい値は、判別しきい値に定数(例えば、1.1)を乗じた値とする。すなわち、しきい値=判別しきい値×定数となる。なお、定数は、四角印(□)の分布を求めて、その標準偏差値を使って求めてるようにしてもよい。なお、しきい値が決定した場合、このしきい値に基づいて白抜き丸印(○)の判定を行なう。この場合、しきい値判定によって四角印(□)又はX印となったものについては、色を変えて表示したり、点線で表示したりして、しきい値に基づいて判定されたことを認識可能に表示するようにしてもよい。ここでは、図83のような表示画像を図33の判定不能画像又は候補画像として表示するようにしてもよい。この場合、未決定状態の白抜き丸印(○)を判定不能画像側に画像付帯情報として表示し、陽性と認定されたX印を候補画像側に画像付帯情報として表示してもよい。
また、図84及び図85は面積比の求め方の変形例を示す図である。まず、図84(A)に示すように陰影の輪郭線に対して3点で内接する円を作成し、その円によって分割された陰影の各領域の面積s1〜s3の合計値と、円の面積s10との面積比RSを求める。この面積比RSは、RS=(s1+s2+s3)/s10に基づいて算出される。次に陰影の輪郭線に対して3点で外接する円を作成し、その円の面積s10と陰影の面積s2との面積比RSを求める。この面積比RSはRS=s2/s10に基づいて算出される。
図85(A)では、血管陰影の隣接線に内接する多角形(図では三角形)を作成し、その多角形によって分割された陰影の各領域の面積t1〜t3の合計値と、多角形の面積t0との面積比RSを求める。この面積比RSは、RS=(t1+t2+t3)/t0に基づいて算出される。図85(B)は、病巣候補陰影に内接する多角形(図では五角形)を作成し、その多角形によって分割された陰影の各領域の面積t1〜t5の合計値と、多角形の面積T0との面積比RSを求める。この面積比RSは、RS=(t1+t2+t3+t4+t5)/T0に基づいて算出される。面積比を求めるために、上述の面積t0〜t3、T0〜T5以外に、陰影の外側に形成される凹部分のそれぞれの面積s1a,s1b,s1c,s10を適宜用いてもよい。さらに、凹部分には別の特徴がある。すなわち、血管の分岐部の凹部分を求めると三つの分離した領域が得られる場合がある。これを利用して、血管分岐部を削除することができる。
この実施の形態では、2値化画像の輪郭縁を利用する場合について説明したが、2値化画像の輪郭縁は多値画像陰影の等濃度線に対応しているので、二値化せずに、等濃度線に対して同様の処理を行なうことも可能である。この特徴量の大きさをそのまま判定に用いてもよいが、他の特徴量と共にニューラルネットワークへの入力信号とし、このニューラルネットワークからの出力信号を判定に用いてもよい。また、分散値を利用する方式と面積比を利用する方式とを被検体の適用する部位などによって好適な方式を選択する手段、例えば選択メニューなどをマウスで選択できるようにして、医者の診断支援ソフトの操作性を向上させることができる。
また、分散値を利用する方式と面積比を利用する方式とを組み合わせることによって、より精度良く癌陰影と血管陰影が識別されることとなり、診断支援ソフトの信頼性を向上させることができる。また、陰影の抽出において、胸膜を含むような特殊な陰影を求める場合には、図86に示すように、特殊性を考慮した処理が必要となる。図86は、胸膜を含むような特殊な陰影を求める場合の一例を示す図である。図86(A)に示すようなCT画像には、炎症等による陰影861、血管等の陰影552、胸膜に垂直な陰影553がそれぞれ存在する。図86(A)のCT画像を2値化すると、図86(B)に示されるようになる。さらに、図86(C)に示されるように、胸膜の輪郭865だけを取り出し、各陰影861〜863と胸膜の輪郭865との関係を見ると、通常の血管陰影861は胸膜の輪郭865に接していないという条件で削除できる。さらに、炎症による幅広な陰影862と、胸膜の輪郭865に垂直に接する陰影863とは、胸膜の輪郭に接する長さがそれぞれ異なることで区別できる。CT画像に対して、特定範囲のしきい値を指定し、画像を強調することによって、図86(C)のような輪郭865を抽出することができる。輪郭865を抽出することができたら、今度は抽出された輪郭865を切断孤立させ、胸膜の輪郭865と各陰影861〜863との結合状況による個別判別を行う。これによって、各陰影と胸膜の輪郭との関係から、陰影の種類を判別することができる。
上記の種々の特徴量を用いて病巣候補にすべきかどうかの判定をする場合、途中に統計的処理やニューラルネットなどの処理を採用したとしても、最終的にはしきい値処理などの正確なパラメータを決定する必要がある場合がある。このような場合の常套手段としては、毎日得られる画像から逆にパラメータをより正確にしていく、いわゆる"学習"によることはいうまでもない。
また、本発明により、従来にない病巣陰影を判別するための特徴量とその特徴量を利用した処理手順を提供することができる。
本発明が適用される病巣候補抽出及び表示装置全体のハードウエア構成を示すブロック図 病巣候補抽出表示装置が実行するメインフローを示す図 図2のメインフローによってCT画像がどのように処理されるのかを示す図 図1のCRTディスプレイ上の表示画面の一例を示す図 図2のステップS81の多値化画像処理の前半部分を示す詳細フローチャート図 図2のステップS80の多値化画像処理の後半部分を示す詳細フローチャート図 図5及び図6の多値化画像処理を原理的に説明するための図 陰影又は陰影の境界に位置する画素を抽出する方法によってどのように陰影が抽出されるかの概念を示す図 図2のステップS81の異常陰影検出処理の詳細を示すフローチャート図 図9の各ステップの陰影検出処理の詳細を示す図 図10のステップS43,S45,S48の第1〜第3判別処理の詳細を示すフローチャート図 図11のステップS72,S74,S76の判定サブルーチンA1〜A3の詳細を示すフローチャート図 図12の判定サブルーチンA1〜A3の処理の様子を概念的に示す図 濃度を求める画素を陰影の中心位置から渦巻き上にサーチする方法の概念を示す図 濃度を求める画素を陰影の中心位置から渦巻き上にサーチする別の方法の概念を示す図 図14及び図15のサーチ方法によるサンプリング点を概念的に示すと共にそのサンプリグ点のデータ「0」,「1」によって形成されるパターンを示す図 多値化画像における陰影の形状を濃度の大きさに変換する方法の概念を示す図 陰影が病巣候補陰影(癌陰影)又は正常陰影のいずれであるかを判別する方法を示す図 病巣陰影と正常陰影の存在するCT画像の一例を示す図 図11のステップS72,S74,S76の判定サブルーチンB1〜B3の詳細を示すフローチャート図 図20の判定サブルーチンB1〜B3の処理の様子を病巣陰影について概念的に示す図 図20の判定サブルーチンB1〜B3の処理の様子を血管断面陰影について概念的に示す図 図11のステップS72,S74,S76の判定サブルーチンC1〜C3の詳細を示すフローチャート図 図23の判定サブルーチンC1〜C3の処理の様子を概念的に示す図 図11のステップS72,S74,S76の判定サブルーチンD1〜D3の詳細を示すフローチャート図 図25ぼ判定サブルーチンD1〜D3の処理の様子を概念的に示す図 図11のステップS72の判定サブルーチンE1の詳細を示すフローチャート図 図27の判定サブルーチンE1の処理の様子を概念的に示す図 図11のステップS72の判定サブルーチンF1の詳細を示すフローチャート図 図29の判定サブルーチンF1の処理の様子を概念的に示す図 図3の変形例であり、CT画像とビットメモリ上の処理途中の画像とを合成表示する場合を示す図 病巣候補陰影から外される正常陰影を抽出する他の例を示す図 全画像と病巣候補画像とをウィンドウ毎に分類して表示する例を示す図 各判定サブルーチンの処理に必要なパラメータを設定する画面の一例を示す図 CT画像に複数の病巣候補陰影を囲む複数の円を表示した例を示す図 図35に示す複数の円を処理して円が互いに重複しないような円弧を描く方法を概念的に示す図 図35に示す円弧を描く場合の処理の一例を示すフローチャート図 病巣候補陰影をマーカーで示した検出結果画面とそのマーカー部分を拡大して示した拡大画面とを画面中に同時に表示した場合の一例を示す図 病巣候補陰影の抽出処理の行われた画像の順番に表示される場合の表示画面の一例を示す図 CT画像が縦横16分割された状態を示す図、図40(a)は左上から左下に向かって順番に番号が付された場合を示す図、図40(b)は左上から右上に向かって順番に番号が付された場合を示す図 左上から左下に向かって順番に病巣候補陰影が表示される場合の表示画面の一例を示す図 左上から右上に向かって順番に病巣候補陰影が表示される場合の表示画面の一例を示す図 CT画像が縦横40分割された状態を示す図 陰影が壁面部分に位置すると判定した場合に、陰影と壁面部分との接触長によってその病巣候補陰影と判別されるかどうかの具体例を示す図 判定サブルーチンの別の実施例を示す図 判定サブルーチンのさらに別の実施例を示す図 比較的大きな病巣候補陰影と血管陰影とが重なっている場合の血管陰影を切断して除去する状態の概念を示す図 図47の血管陰影の切断処理の詳細を示すフローチャート図 図48の切断長を設定する場合の具体例を示す図 判定サブルーチンの第1の変形例を示す図 図50の集計結果を示す図であり、図51(A)はランレングスをアドレスとする計数メモリの概略を示し、図51(B)はその計数メモリの内容をランレングスを横軸に、その個数を縦軸として表した特性曲線を示す図 図50の変形例を示す図 判定サブルーチンの第2の変形例の前半部を示す図 判定サブルーチンの第2の変形例の後半部を示す図 癌に付随する癌随伴陰影(胸膜陥入)を判別する場合の具体例を示す図 図55の癌随伴陰影(胸膜陥入)を検出するための癌付随物検出処理の詳細を示すフローチャート図 図56の癌付随物検出処理によって検出された癌随伴陰影をマーカーとを重ねて表示した表示画面の一例を示す図 判定サブルーチンの第3の変形例を示す図であり、半径を回転させてその半径上に位置する陰影のCT値の分散値又は標準偏差値から陰影を判別するようにしたものを示す図 図58の変形例を示す図であり、陰影を種々分割して、その分散値又は標準偏差値から陰影を判別するようにしたものを示す図 図58の変形例を示す図であり、陰影の分散値又は標準偏差値と、その陰影の外周に沿った所定領域の分散値又は標準偏差値を用いて陰影を判定するようにしたものを示す図 病巣候補陰影を表示する際にマウスポインタによって任意の陰影を表示するようにした病巣候補陰影表示の別の実施の形態を示す図 図61の病巣候補陰影表示処理の詳細を示すフローチャート図 判定サブルーチンの第4の変形例を示す図であり、悪性の癌陰影の周辺に現れるスピキュラと呼ばれる針状又は線状の陰影の概略を示す図 スピキュラと呼ばれる針状又は線状の陰影をどのようにして特定するのかその具体的様子を示す図 図27の判定サブルーチン、図29の判定サブルーチンの変形例を示すものであり、血管断面陰影を抽出し、それを取り除くための処理方法の概念を示す図 図65の処理方法の具体例を示す図 判定サブルーチンの第5の変形例を示す図であり、互いに直交する3組の医用画像(アキシャル画像、サジタル画像、コロナル画像)を用いて病巣候補陰影を抽出する場合の概念を示す図 検出された病巣候補陰影に関する位置情報などのデータを記憶したメモリの内容を示す図 病巣候補陰影の抽出されたCT画像とマーカーとを操作者(医者)に表示する場合に、過去に撮影され、抽出された病巣候補陰影を併せて表示する場合の具体例を示す図 マーカーの表示態様の変形例を示す図 病巣候補陰影をマーカーで囲んで表示しただけの場合とマーカーで囲まれた領域のCT画像を強調表示した場合の具体例を示す図 病巣候補陰影の抽出されたCT画像と病巣候補陰影の抽出されなかったCT画像を順番に動画像表示する場合の変形例を示す図 本発明に係る画像診断支援装置による診断結果を表示する場合の表示処理の一例を示す図 本発明に係る画像診断支援装置による診断結果を表示する場合の表示処理の別の一例を示す図 図9の異常陰影検出処理のメインフローの変形例を示す図 判定サブルーチンの第6の変形例を示す図であり、異常陰影検出処理の分散値を利用する方式の原理を示す図、 判定サブルーチンの第6の変形例を示す図であり、病巣でないと思われる陰影をどのようにして抽出するのか、その一例を説明するための図 本発明に係る画像診断支援装置による診断結果を表示する場合の表示処理の変形例を示す図 図78の表示処理に伴う表示画面の一例を示す図 判定サブルーチンの第7の変形例を示す図であり、病巣候補陰影全体の全面積と陰影の縁部分にできた凹部分の面積との面積比を求める場合の一例を示す図 判定サブルーチンの第7の変形例を示す図であり、血管陰影の分岐部分がどのようにして抽出されるのか、その過程の一例を示す図 判定サブルーチンの第7の変形例を示す図であり、図80の面積比を求める場合の手順の一例を示すフローチャート図 図80の処理に伴う表示画面の一例を示す図 面積比の求め方の変形例を示す第1の図 面積比の求め方の変形例を示す第2の図 胸膜を含むような特殊な陰影を求める場合の一例を示す図
符号の説明
1 CT画像、2,3,4,5,15,16 陰影、10,12,14 サーチの開始点、16 癌陰影のデータ、18 血管断面陰影のデータ、20 元のCT画像、22 病巣候補陰影、24 処理途中の画像、30 医用画像、31,32,33 円(マーカー)、40 中央処理装置(CPU)、42 主メモリ、44 磁気ディスク、46 表示メモリ、48 CRTディスプレイ、50 マウス、52 コントローラ、54 キーボード、56 共通バス、L1、L2、L3 ループ

Claims (50)

  1. 医用画像に多値化処理を施して多値化画像を作成する多値化手段と、
    前記多値化手段によって作成された前記多値化画像から陰影の形状を認識し、前記形状に基づいて前記医用画像から得られる前記医用画像の濃度を用いて病巣候補陰影を抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段によって抽出された前記病巣候補陰影を識別可能に表示する表示手段と、
    を備えたことを特徴とする画像診断支援装置。
  2. 請求項1において、前記医用画像の中から判別対象となる陰影の種類に応じた画素値範囲に属する画素を抽出して判別対象医用画像を作成する画像作成手段をさらに備え、
    前記多値化手段は、前記判別対象医用画像に所定の画像処理を施して多値化画像を作成することを特徴とする画像診断支援装置。
  3. 請求項1において、前記抽出手段は、前記多値化画像を判別対象となる陰影の大きさに応じてそれぞれの画像の拡大率あるいは縮小率を調整し、その調整した画像に対して前記病巣候補陰影を抽出することを特徴とする画像診断支援装置。
  4. 請求項1において、前記抽出手段は、前記判別処理の中の少なくとも1つ以上を組み合わせて構成された複数の組み合わせ処理を前記医用画像のスライス厚に応じて選択し、選択された組み合わせ処理を前記多値化画像に対して前記病巣候補陰影を抽出することを特徴とする画像診断支援装置。
  5. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の半径を前記多値化画像中の陰影上で回転させて、前記半径と交わる前記多値化画像中の陰影の画素値をサンプリングし、前記画素値に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  6. 請求項5において、前記半径を渦巻状又は同心円状に回転させて前記画素値をサンプリングし、前記画素値に基づいて前記回転によって形成される各ループの代表値を求め、前記代表値を予め記憶されている基準値と比較判定して前記陰影を判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  7. 請求項5において、前記多値化画像中の複数の陰影についてそれぞれ検出点付近を基準点とする所定長の半径を前記多値化画像中の陰影上で回転させて、前記半径と交わる前記多値化画像中の陰影の画素値をサンプリングし、前記回転によって形成される各ループの隣接するループ同士の前記画素値の相関を求め、前記相関に基づいて前記陰影を判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  8. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定の角度をなす二直線を前記判別対象医用画像中の陰影上で回転させて、前記二直線と交わる前記判別対象医用画像中の陰影の画素値をそれぞれサンプリングし、前記二直線に対応する前記画素値に基づいて前記陰影の異方性を求め、前記異方性に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  9. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点とする所定長の半径を前記判別対象医用画像中の陰影上で回転させて、前記半径と交わる前記判別対象医用画像中の陰影の画素値をサンプリングし、前記画素値が前記回転に応じて急激に変化する時の角度を少なくとも2カ所検出し、前記少なくとも2カ所の角度に位置する半径間の仰角を求め、前記仰角と予め記憶されている基準値とを比較判定して前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  10. 請求項9において、前記抽出手段における判別処理は、前記仰角と予め記憶されている基準値とを比較判定して前記陰影が病巣候補陰影であると判別した場合に、前記陰影と胸膜の壁面との接触長を求め、前記接触長に基づいて前記陰影が病巣陰影であるか又は癌随伴陰影であるかを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  11. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を前記多値化画像中の陰影上で回転させて、前記直線と前記多値化画像中の陰影と交差する直線部分の長さの最小値及び最大値の少なくとも一方を求め、前記基準点を通って前記最小値の直線にほぼ直交するような直交直線の延長線上であって前記陰影から所定距離だけ外側に位置する前記多値化画像中の第1及び第2の画素値及び前記最小値の直線の延長線上であって前記陰影から所定距離だけ外側に位置する前記多値化画像中の第3及び第4の画素値、前記基準点を通って前記最大値の直線にほぼ直交するような直交直線の延長線上であって前記陰影から所定距離だけ外側に位置する前記多値化画像中の第5及び第6の画素値及び前記最大値の直線の延長線上であって前記陰影から所定距離だけ外側に位置する前記多値化画像中の第7及び第8の画素値、又は前記最小値及び最大値の直線の延長線上であって前記陰影から所定距離だけ外側に位置する前記多値化画像中の第9〜第12の画素値をサンプリングし、前記第1〜第4の画素値、前記第5〜第8の画素値、又は前記第9〜第12の画素値に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  12. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点とする所定長の半径を前記多値化画像中の陰影上で回転させて前記半径と交わる前記多値化画像中の陰影の画素値をサンプリングし、前記画素値に基づいて濃度波形を作成し、前記濃度波形のピークを示す角度にある半径を少なくとも2カ所検出し、前記検出された半径の隣り合うもの同士のなす角度の二等分線を求め、前記検出された半径上における前記画素値の総和と前記二等分線上における前記画素値の総和に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  13. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点とする所定長の半径を前記多値化画像の陰影上で回転させて前記半径と交わる前記多値化画像中の陰影の画素値をサンプリングし、前記画素値に基づいて濃度波形を作成し、前記濃度波形のピークを示す半径を少なくとも2カ所検出し、前記検出された半径上における前記画素値の平均値と、前記検出された半径以外の半径上における前記画素値の平均値とに基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  14. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を前記多値化画像中の陰影上で回転させて、前記直線と前記多値化画像中の陰影と交差する直線部分の長さを求め、回転角度と前記直線部分の長さとの関係を示す曲線をフーリエ展開し、このフーリエ展開の結果に基づいて、前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  15. 請求項14において、前記抽出手段における判別処理は、前記フーリエ展開の結果から横軸を周波数とし、縦軸をフーリエ係数とする折れ線グラフを作成し、この折れ線グラフに基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるかどうかを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  16. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を前記多値化画像中の陰影上で回転させて、前記直線と前記多値化画像中の陰影と交差する直線部分の長さの最小値を求め、前記最小値の自乗で前記陰影の面積を除算し、その除算値に基づいて、前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  17. 請求項1において、前記抽出手段は、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を前記多値化画像中の陰影上で回転させて、前記直線と前記多値化画像中の陰影と交差する直線部分の長さの最小値を求め、前記最小値に基づいて切断長を求め、前記切断長を用いて前記陰影に接する細長い陰影を除去することを特徴とする画像診断支援装置。
  18. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として前記陰影の形状に即した閉曲線を描き、前記閉曲線が前記多値化画像中の陰影と交わる場合の短曲線長又は交わらない場合の短曲線長と、その短曲線長の個数を求め、前記短曲線長と前記個数との関係に基づいて、前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  19. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記陰影を通過する所定方向の少なくとも一つの直線と交わる前記医用画像中の画素値をサンプリングし、前記画素値に基づいて前記直線上における各画素の正負の濃度勾配を求め、前記正の濃度勾配が連続する場合の画素数を正のランレングスとし、前記負の濃度勾配が連続する場合の画素数を負のランレングスとして、前記正及び負のランレングスとそれらの個数を求め、前記正及び負のランレングスと前記個数との関係に基づいて、前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  20. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記多値化画像中の陰影の画素値の分散値又は標準偏差値を求め、前記分散値又は標準偏差値に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  21. 請求項20において、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を前記多値化画像中の陰影上で回転させて前記直線と交わる前記多値化画像中の陰影の画素値をサンプリングし、所定の角度の前記直線と交わる前記画素値の分散値又は標準偏差値を前記陰影判別のために求めることを特徴とする画像診断支援装置。
  22. 請求項20において、前記多値化画像中の陰影を複数領域に分割し、各領域における前記画素値の分散値又は標準偏差値を前記陰影判別のために求めることを特徴とする画像診断支援装置。
  23. 請求項20において、前記多値化画像中の陰影の外側の所定領域における画素値の陰影外分散値又は陰影外標準偏差値を前記陰影判別のために求めることを特徴とする画像診断支援装置。
  24. 請求項20において、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記中心又は重心から前記陰影の縁部までの距離の分散値又は標準偏差値を前記陰影の全周囲に渡って前記陰影判別のために求めることを特徴とする画像診断支援装置。
  25. 請求項20において、前記陰影の水平方向及び垂直方向における縁から縁までの距離の分散値又は標準偏差値を前記陰影判別のために求めることを特徴とする画像診断支援装置。
  26. 請求項1において、前記抽出手段は、前記多値化画像に基づいて陰影の中心又は重心を検出し、前記陰影の中心又は重心付近を基準点として所定長の直線を前記判別対象医用画像中の陰影上で回転させて、前記直線と前記判別対象医用画像中の陰影と交差する直線部分の長さの最大値を求め、前記最大値の直線に対してほぼ平行な帯状の延長線を設定し、前記帯状の延長線上に位置する画素メモリに所定値を加算する処理を前記陰影の数繰り返し実行し、前記画素メモリの前記加算処理の結果に基づいて病巣候補陰影の位置を抽出することを特徴とする画像診断支援装置。
  27. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記医用画像のスライス厚方向に隣接する2枚の前記多値化画像中に存在する陰影同士を比較し、前記陰影同士が所定の割合以上で重なるか否かに基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  28. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、互いに直交するアキシャル画像、サジタル画像、コロナル画像の少なくとも2組の画像を用いて、それぞれ病巣候補陰影を抽出し、それぞれの画像で抽出された病巣候補陰影の存在位置に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  29. 請求項28において、前記陰影が病巣候補陰影であると判別された場合に前記病巣候補陰影の座標位置と、前記病巣候補陰影に関する情報をメモリに記憶することを特徴とする画像診断支援装置。
  30. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記陰影領域の面積を求めると共に前記陰影領域の縁部に形成される凹部領域の面積を求め、前記陰影領域の面積と前記凹部領域の面積との比率を求め、求められた比率に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  31. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記陰影領域の縁部に内接する円又は多角形の面積と、前記円又は多角形によって分割された前記陰影の分割領域の面積とを求め、前記円又は多角形の面積と前記陰影の分割領域の面積との比率を求め、求められた比率に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  32. 請求項1において、前記抽出手段における判別処理は、前記陰影領域の縁部に外接する円の面積を求め、前記円の面積と前記陰影の面積との比率を求め、求められた比率に基づいて前記陰影が病巣候補陰影であるか否かを判別することを特徴とする画像診断支援装置。
  33. 請求項1において、前記表示手段は、前記判別処理によって前記病巣候補陰影と判別された陰影を、前記判別処理の一つの処理が終了する毎に、前記医用画像中に又は前記医用画像とは別の領域に表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  34. 請求項33において、病巣候補画像若しくは画像付帯情報を表示するための第1の表示領域と、病巣候補が検出されない非検出画像若しくは画像付帯情報を表示するための第2の表示領域と、病巣候補の判別が不可能な判別不能画像若しくは画像付帯情報を表示するための第3の表示領域とを前記表示手段の画面上に設けたことを特徴とする画像診断支援装置。
  35. 請求項1において、前記表示手段は、前記病巣候補陰影付近の拡大画像を、前記医用画像中に又は前記医用画像とは別の領域に表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  36. 請求項1において、前記表示手段は、前記病巣候補陰影の前記医用画像中における位置に応じてその表示の順番を制御して前記医用画像を表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  37. 請求項36において、前記表示手段は、前記病巣候補陰影の前記医用画像中におけるポインティングデバイスの操作位置に応じてその表示の順番を制御して前記操作位置の近くに前記病巣候補陰影を有する前記医用画像を表示するようにしたことを特徴とする画像診断支援装置。
  38. 請求項1において、前記表示手段は、前記抽出された前記病巣候補陰影を囲むようなマーカーを表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  39. 請求項38において、前記抽出手段は、抽出された前記病巣候補陰影の病巣確信度を検出し、前記表示手段は、前記病巣確信度に基づいて前記マーカーの表示形態を変えて表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  40. 請求項38において、前記表示手段は、前記病巣候補陰影の複数をそれぞれ囲むように
    マーカーが互いに重複する場合には、その重複部分を消去して表示することを特徴とする
    画像診断支援装置。
  41. 請求項38において、前記表示手段は、前記マーカーで囲まれた領域をコントラスト強調又はガンマ処理強調を行い、前記病巣候補陰影を鮮明に表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  42. 請求項38において、前記表示手段は、前記マーカーの表示を行なわない非表示モードが選択された場合には、前記マーカーを非表示にすると共に画面上に現在非表示モード中であることを表示し、前記非表示モードに入ってから所定時間が経過した場合には前記マーカーを自動的に表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  43. 請求項1において、前記抽出手段は、抽出された前記病巣候補陰影と胸膜の壁面との接触長を求め、前記接触長に基づいて前記陰影が癌随伴陰影であるか否か判別し、前記表示手段は、前記癌随伴陰影の周囲をマーカーで囲むように表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  44. 請求項1において、前記表示手段は、互いに異なる時点で撮影された前記医用画像からそれぞれ抽出された病巣候補陰影を、その撮影時点の区別が付くような表示態様のマーカーでそれぞれ囲むように表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  45. 請求項1において、前記表示手段は、前記抽出された前記病巣候補陰影の長軸方向に対して楕円の長軸方向が一致するような楕円形状のマーカーを、前記病巣候補陰影を囲むように表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  46. 請求項45において、前記表示手段は、前記病巣候補陰影の複数をそれぞれ囲むようにマーカーが互いに重複する場合には、その重複部分を消去して表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  47. 請求項45において、前記表示手段は、前記マーカーで囲まれた領域をコントラスト強調又はガンマ処理強調を行い、前記病巣候補陰影を鮮明に表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  48. 請求項45において、前記表示手段は、前記マーカーの表示を行なわない非表示モードが選択された場合には、前記マーカーを非表示にすると共に画面上に現在非表示モード中であることを表示し、前記非表示モードに入ってから所定時間が経過した場合には前記マーカーを自動的に表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  49. 請求項1において、前記表示手段は、前記病巣候補陰影が存在する医用画像と、前記病巣候補陰影が存在しない医用画像とで、動画像表示における表示時間を異ならせて表示することを特徴とする画像診断支援装置。
  50. 請求項1において、前記表示手段は、医師による読影が終了していない医用画像に対しては、前記識別可能な表示を行わないことを特徴とする画像診断支援装置。
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