JP4725186B2 - 発光装置 - Google Patents
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Description
「本発明の発光素子1は、図2に示されるように、一般的な砲弾型の形態をなし、マウントリード2の上部カップ内には、GaN系発光ダイオード等からなる半導体発光素子4が、その上が、本発明の蛍光体をエポキシ樹脂やアクリル樹脂等のバインダーに混合、分散させ、カップ内に流し込むことにより形成された蛍光体含有樹脂部5で被覆されることにより固定されている。一方、半導体発光素子4とマウントリード2、及び半導体発光素子4とインナーリード3は、それぞれ導電性ワイヤー6、6で導通されており、これら全体がエポキシ樹脂等によるモールド部材7で被覆、保護されてなる。」
また、特許文献5においては、蛍光体以外に無機粒子を拡散剤、フィラーなどの目的で添加することが開示され、次のような記載がある。
(フィラー)更に、本発明において、蛍光体に加えてフィラーを含有させても良い。具体的な材料は拡散剤と同様であるが、拡散剤と中心粒径が異なり、5μm〜100μmのものが好ましい。このような粒径のフィラーを透光性樹脂中に含有させると、光散乱作用により発光装置の色度バラツキが改善される他、透光性樹脂の耐熱衝撃性を高めることができる。これにより高温下での使用においても、半導体発光素子と外部電極とを電気的に接続しているワイヤーの断線や前記半導体発光素子底面とパッケージの凹部底面と剥離等を防止することができる信頼性の高い発光装置が得られる。更には樹脂の流動性を長時間一定に調整することが可能となり所望とする場所内に封止部材を形成することができ歩留まり良く量産することが可能となる。また、フィラーは蛍光体と類似の粒径及び/又は形状を有することが好ましい。ここで本明細書では、類似の粒径とは、各粒子のそれぞれの中心粒径の差が20%未満の場合をいい、類似の形状とは、各粒径の真円との近似程度を表す円形度(円形度=粒子の投影面積に等しい真円の周囲長さ/粒子の投影の周囲長さ)の値の差が20%未満の場合をいう。このようなフィラーを用いることにより、蛍光体とフィラーが互いに作用し合い、樹脂中にて蛍光体を良好に分散させることができ色斑が抑制される。
例えば、蛍光体及びフィラーは、共に中心粒径が15μm〜50μm、より好ましくは20μm〜50μmとすることができる。このように粒径を調整することにより、各粒子間に好ましい間隔を設けて配置させることができる。これにより光の取り出し経路が確保され、フィラー混入による光度低下を抑制しつつ指向特性を改善させることができる。」
特許文献6には、このうち、第1の発光体から離れた位置に蛍光体及び増量剤粒子の集合体が位置する例が開示されている。
本発明はこのような知見をもとに達成されたものであり、以下を要旨とする。
(1/3)≦Kp/Kf≦3 [1]
QDp=(D75p−D25p)/(D75p+D25p)
(ただし、D75p,D25pは蛍光体の体積基準粒度分布曲線において、それぞれ積算値が25%,75%の時の粒径値である。)
QDf=(D75f−D25f)/(D75f+D25f)
(ただし、D75f,D25fは増量剤の体積基準粒度分布曲線において、それぞれ積算値が25%,75%の時の粒径値である。)
(10) 前記蛍光体の母体結晶が、CaAlSiN 3 であることを特徴とする(1)〜(9)に記載の発光装置。
本発明における粒径は、この体積基準粒度分布曲線において積算値が50%のときの粒径値、即ち、メジアン径であり、D50と表記する。また、積算値が25%及び75%の時の粒径値をそれぞれD25、D75と表記し、蛍光体のD50,D25,D75をそれぞれD50p,D25p,D75pと記載し、増量剤のD50,D25,D75をそれぞれD50f,D25f,D75fと記載する。
(1/3)≦Kp/Kf≦3 [1]
一般的に、媒体中の粒子に着目すると、粒子はストークスの法則に従い下記式[2]で与えられる速度で媒体中を沈降する。
v=k(ρ0p−ρ0)D2/η0 [2]
ここでkは定数、vは粒子の沈降速度、ρ0pは粒子の密度、ρ0は媒体の密度、Dは粒子の直径、η0は媒体の粘度である。
更に好ましくはKp/Kfは
(1/2)≦Kp/Kf≦2
であり、最も好ましくは
Kp/Kf=1
である。
本発明において、蛍光体及び増量剤としては、粒径(メジアン粒径)D50p、D50fが1〜50μmの範囲のものが好適に使用される。D50p,D50fが1μm未満であると、蛍光体にあっては、表面の低発光部分の粒子全体に対する割合が多くなり、発光効率が悪くなる。D50p,D50fが50μmを超えると色むらになったり、膜厚を厚くする必要がでてくる。より好ましい粒径はD50p,D50fは3〜30μmである。
1/5≦D50p/D50f≦5、
特に
1/3≦D50p/D50f≦3、
とりわけ
1/2≦D50p/D50f≦2
であることが好ましい。D50p/D50fが1に近いことは、蛍光体の粒径と増量剤の粒径とが近似していることを意味する。
QDp=(D75p−D25p)/(D75p+D25p)
(ただし、D75p,D25pは蛍光体の体積基準粒度分布曲線において、それぞれ積算値が25%,75%の時の粒径値である。)
QDf=(D75f−D25f)/(D75f+D25f)
(ただし、D75f,D25fは増量剤の体積基準粒度分布曲線において、それぞれ積算値が25%,75%の時の粒径値である。)
本発明において、蛍光体の密度ρpと媒体の密度ρとの差(ρp−ρ)と、増量剤の密度ρfと媒体の密度ρとの差(ρf−ρ)との比(ρp−ρ)/(ρf−ρ)は、
1/10≦(ρp−ρ)/(ρf−ρ)≦10
特に
1/5≦(ρp−ρ)/(ρf−ρ)≦5
であることが好ましい。この密度比が1に近いことは、蛍光体と増量剤の密度が近似していることを意味する。
本発明の発光装置の第2の発光体に含まれる蛍光体としては、第1の発光体の蛍光体である半導体発光素子からの光のうち、波長420〜500nmの光によって励起されて蛍光を発する蛍光体であればいずれも使用できる。
半導体発光素子からの励起光に対して耐久性の高い蛍光体としては、窒化物蛍光体又は酸窒化物蛍光体が挙げられる。
サイアロン蛍光体は、例えば、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ユーロピウム(Eu2O3)を所定のモル比に混合し、1気圧(0.1MPa)の窒素中において1700℃の温度で1時間保持してホットプレス法により焼成して製造される(特許文献1参照)。このプロセスで得られるEuイオンを付活したα−サイアロンは、波長450〜500nmの青色光で励起されて波長550〜600nmの黄色の光を発する蛍光体となることが報告されている。
具体的なイットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光体としては、YAlO3:Ce、Y3Al5O12:Ce(YAG:Ce)やY4Al2O9:Ce、更にはこれらの混合物などが挙げられる。
(2−x−y)SrO・x(Ba,Ca)O・(1−a−b−c−d)SiO2
・aP2O5bAl2O3cB2O3dGeO2:yEu2+
(式中、0<x<1.6、0.005<y<0.5、0<a,b,c,d<0.5)
(2−x−y)BaO・x(Sr,Ca)O・(1−a−b−c−d)SiO2
・aP2O5bAl2O3cB2O3dGeO2:yEu2+
(式中、0.01<x<1.6、0.005<y<0.5、0<a,b,c,d<0.5)
ここで、好ましくは、a、b、cおよびdの値のうち、少なくとも一つが0.01より大きい。
Me(3−x−y)MgSi2O3:xEu,yMn
(式中、0.005<x<0.5、0.005<y<0.5、Meは、Baおよび/又はSrおよび/又はCaを示す。)
アルカリ土類金属珪酸塩の製造のために、選択した組成に応じて出発物質アルカリ土類金属炭酸塩、二酸化珪素ならびに酸化ユーロピウムの化学量論的量を密に混合し、かつ、蛍光体の製造に常用の固体反応で、還元性雰囲気のもと、温度1100℃および1400℃で所望の蛍光体に変換する。この際、0.2モル未満の塩化アンモニウム又は他のハロゲン化物を添加することが好ましい。また、必要に応じて珪素の一部をゲルマニウム、ホウ素、アルミニウム、リンで置換することもできるし、ユーロピウムの一部をマンガンで置換することもできる。
また、蛍光体は、媒体への分散性の改善等のために表面処理を施しても良い。例えば、Ca3(PO4)2コートを蛍光体に施すことにより後述する媒体への分散性を高めることができる。
本発明において、蛍光体、増量剤、及び媒体は、前記[1]式を満たすことにより、増量剤が媒体中でできる限り蛍光体と同一挙動をとることが好ましい。
また、蛍光体としては、一般的には上述のような無機材料よりなるものが多く使用されているが、有機系の蛍光体も開発されてきており、かかる蛍光体の使用時には無機材料以外に樹脂類も増量剤として使用することができる。
このような増量剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
前述の如く、第1の発光体からの光や第2の発光体からの光は通常四方八方に向いているが、第2の発光体の蛍光体を媒体中に分散させると、光が媒体の外に出る時にその一部が反射されるので、ある程度光の向きを揃えられる。従って、効率の良い向きに光をある程度誘導可能となるので、第2の発光体として、前記蛍光体の粉を媒体中へ分散したものを使用するのが好ましい。また、蛍光体を媒体中に分散させると、第1の発光体からの光の第2の発光体への全照射面積が大きくなるので、第2の発光体からの発光強度を大きくすることができるという利点も有する。
一般的な表示用では大電力が投入されることは少ないが、照明用途など大電力が投入される発光装置では、媒体の耐熱性が必要となり、また素子の発熱を効率よく除去する必要性をから、熱伝導度の高いものが好ましい。エポキシ樹脂は、このような耐熱性、熱伝導度の要求を満たす上でも好適である。
本発明の発光装置の第2の発光体のおける蛍光体及び増量剤の媒体に対する重量割合は、合計で通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%である。この範囲よりも蛍光体及び増量剤の割合が多すぎるとこれらの粉体の凝集により発光効率が低下することがあり、少なすぎると媒体による光の吸収や散乱のため発光効率が低下することがある。
本発明において、波長約350〜約500nmの光を発生する半導体発光素子を使用した第1の発光体の半導体発光素子としては、窒化物系半導体を発光層とする半導体発光素子、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等の半導体発光素子を用いることができる。
発光装置中で蛍光体及び増量剤がいかなる分散状態又は集合状態であることが適切であるかは、前述の如く、発光装置の設計方針により異なるが、第1の発光体から離れた位置に蛍光体及び増量剤の集合体が位置するケース、蛍光体及び増量剤が媒体中で均一に分散していることが必要なケース、第1の発光体、即ちLEDチップ上に蛍光体及び増量剤が層状に形成されるケースなどが一般に知られている。本発明の増量剤は媒体中で蛍光体と同じ挙動をするためいずれの方法にも適用できる。
図1〜3は本発明の発光装置の実施の形態を示す模式的な断面図である。ただし、図1〜3において、断面を示すハッチは、各部材を明確にするために省略してある。図1〜3において同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
いずれの場合においても、本発明では、蛍光体と増量剤とが媒体中で同等の挙動をとるため、蛍光体と増量剤とが離れることなく、同様の領域に同様の分散状態で均一に分散している。
図2,3の発光装置10A,10Bのその他の構成は図1の発光装置10と同様である。
このような本発明の白色発光装置は、バックライト照明又は一般照明目的のために適している。
なお、以下の実施例及び比較例において、作製された発光装置の評価、第2の発光体の形成に用いた材料の物性値の測定方法は次の通りである。
発光装置を室温において電流2.5mAで駆動させて、色斑の有無を目視で確認し、下記基準で評価した。
×:色斑あり
〇:色斑許容範囲
◎:色斑なし
粒径:温度25℃、湿度70%の環境下において、濃度が0.05重量%であるヘキサ
メタリン酸ナトリウム水溶液に試料物質を分散させ、レーザ回折式粒度分布測定
装置(堀場製「LA−300」)により粒径0.03〜700μmの範囲を測定し
た。この体積基準粒度分布曲線において積算値が50%のときの粒径値をメジア
ン径D50と表記する。
屈折率:液体は株式会社アタゴ製「RX−7000α」を使用して25℃で測定した。
固体については、GOSとガラスは、光工学ハンドブック(朝倉書店)より、
その他は、密度汎関数摂動法を用いて算出した。
粒度分布:粒径の測定と同様にして、体積基準粒度分布曲線において積算値が25%及
び75%の時の粒径値をそれぞれD25、D75と表記し、QD=(D75−D25
)/(D75+D25)を算出した。
透過率:大塚電子製「MCPD−7000」を使用して測定し、硫酸バリウムを標準値
としたときの透過率を用いた。なお、ここでの透過率は、1/(反射率)を表
す。
蛍光体ペースト作成:エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EX」)と脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学製「セロキサイド2021P」、エポキシ樹脂に対して100重量%)を混合して樹脂液とした。硬化剤液として、硬化剤(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、新日本理化製「MH−700」)と硬化促進剤(テトラブチルホスホニウムO,O−ジエチルホスホロジチオアート、和光純薬製、硬化剤に対して1重量%)を混合した。樹脂液に対して硬化剤液を110重量%、蛍光体(CaAlSiN3:Eu)を樹脂液と硬化剤の総和に対して5重量%、更に、増量剤粒子(Gd2O2S)を蛍光体と同体積量加えて十分混合後、脱泡し、蛍光体ペーストとした。なお、用いた蛍光体は、波長450nmの光を吸収して、波長660nmの蛍光を発光するものである。
LED用のフレームカップ部に450nmの波長で発光するLED(Cree社製「C460MB」)を、銀ペーストの導電性のマウント部材を使用してマウントした。次に、Au線を使用してLEDの電極とインナーリードをボンディングした。そして、前記の蛍光体ペーストをLEDをマウントしたフレームカップに注いだ。これを110℃で2時間保持し、その後140℃で3時間保持し、エポキシ樹脂(屈折率ρ=1.51)を硬化させて発光装置を作製した。
この発光装置について色斑の有無を調べた。
表1に示す物性の蛍光体及び増量剤を表1に示す量で用いたこと以外は実施例1と同様にして発光装置を作製し、同様に評価を行った。
実施例1〜4及び比較例1,2における蛍光体、増量剤及び媒体の物性比較値と、発光装置の評価結果を表2にまとめて示す。
比較例1及び2は、増量剤を添加しない場合は、蛍光体の粒径を変化させても色斑は解消しないことを示すものである。
これに対して、実施例1は蛍光体と増量剤の物質は異なるが式[1]を満足する場合であり、色斑は許容できる範囲であった。実施例2、3及び4は増量剤として同時に使用する蛍光体の発光中心を含有しない母体結晶を含む場合であり、いずれも色斑が実用上問題ない程度に解消した。特に実施例4はD50も同一の場合であり、色斑はまったく見られなかった。
11 蛍光体
12 増量剤
13 媒体
20 LED(第1の発光体)
30 第2の発光体
40 カップ
41,42 導電性端子
43 ワイヤーボンド
Claims (10)
- 波長350nm〜500nmの光を発生する半導体発光素子を使用した第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発生する第2の発光体とを有する発光装置において、該第2の発光体が蛍光体及び増量剤を媒体中に含有する組成物よりなり、
該蛍光体の密度ρpと該媒体の密度ρとの差と蛍光体の粒径D50pの二乗との積(ρp−ρ)・D50p 2をKp、該増量剤の密度ρfと該媒体の密度ρとの差と増量剤の粒径D50fの二乗との積(ρf−ρ)・D50f 2をKfとしたとき、Kp/Kfが下記式[1]を満足し、
さらに、該増量剤が、発光中心元素を含まないこと以外は該蛍光体の母体結晶と同等のものであることを特徴とする発光装置。
(1/3)≦Kp/Kf≦3 [1] - 前記増量剤の、前記蛍光体の励起光と蛍光に対する透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
- 前記媒体が熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
- 前記媒体がエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
- 前記増量剤と前記媒体との屈折率の差が0.1以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発光装置。
- 前記蛍光体の密度ρpと前記媒体の密度ρとの差(ρp−ρ)と、前記増量剤の密度ρfと前記媒体の密度ρとの差(ρf−ρ)との比(ρp−ρ)/(ρf−ρ)が、(1/10)≦(ρp−ρ)/(ρf−ρ)≦10であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発光装置。
- 前記蛍光体の粒径D50pと前記増量剤の粒径D50fの比D50p/D50fが、1/3≦D50p/D50f≦3であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発光装置。
- 下記式で算出される前記蛍光体のQDpが0.3以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の発光装置。
QDp=(D75p−D25p)/(D75p+D25p)
(ただし、D75p,D25pは蛍光体の体積基準粒度分布曲線において、それぞれ積算値が25%,75%の時の粒径値である。) - 下記式で算出される前記増量剤のQDfが0.3以下であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の発光装置。
QDf=(D75f−D25f)/(D75f+D25f)
(ただし、D75f,D25fは増量剤の体積基準粒度分布曲線において、それぞれ積算値が25%,75%の時の粒径値である。) - 前記蛍光体の母体結晶が、CaAlSiN 3 であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の発光装置。
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