JP4724955B2 - Method for producing polyester film and polyester film - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルフィルムの製造方法に関するものであり、特に熱寸法安定性に優れ、フィルム幅方向に均一な物性を有し、配向角の位置依存性が小さく、特に偏光フィルム貼り合わせ用として好適な二軸配向ポリエステルフィルムを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリエステルフィルム、特に二軸配向ポリエステルフィルムは、優れた機械的特性、耐熱性、電気的特性、耐薬品性、耐侯性を備えているため、工業的に様々な分野で広く使用されている。これらの優れた特性を生み出すため、代表的な製膜方法ではテンターを用いた逐次二軸延伸法が用いられている。この逐次二軸延伸法では、通常、フィルム長手方向に延伸し、次いでテンター内で幅方向に延伸した後に熱固定する方法がとられる。このテンター内で幅方向に延伸した後に熱固定する工程において、フィルム幅方向の物性の均一性を乱すボーイング現象が生じる。
【0003】
このボーイング現象は、長手方向に延伸したフィルムをテンター内で幅方向に延伸し熱固定する際に生じるものであって、テンター前でフィルム幅方向に油性インキで引いた直線が、テンター後には、フィルム長手方向に弓なり状に引き戻された形に変形されてしまう挙動を示すものであり、フィルム長手方向におけるポアソン比に基づく収縮力および熱収縮応力などに起因して発生するものと考えられている。このボーイング現象が生じるために、得られる二軸配向フィルムは、フィルム幅方向の中央部から離れるほど配向角(ここで配向角とは、フィルム幅方向または長手方向と主配向軸とがなす角度のうち、小さい方の角度である。)が大きくなるという配向角の位置依存性を有している。
【0004】
この配向角の位置依存性のため、強度及び寸法安定性が幅方向で異なる不都合があった。例えば、印刷加工時のずれ、蛇行、カールという不都合や、フレキシブルディスクのベースフィルムとして用いる場合、装置内でのそりなどにより記録特性が低下することである。特に、近年の光エレクトロニクス産業において、光学部材として二軸配向ポリエステルフィルムを用いるためには、その光学特性の低下の大きな原因となっているボーイング現象は、低減すべき最大の問題と考えられている。
【0005】
その代表的な光学部材用途として、現在、偏光板の検査時に偏光フィルムに貼り合わして用いられる離型フィルムの用途がある。偏光板は、通常、図1に示す如く、偏光フィルム1、その表面側に接着された表面保護フィルム2、偏光フィルム1の裏面側に密着した粘着剤層3、および、その裏面側に密着した離型フィルム4から構成される。偏光フィルム1は、沃素、二色性染料などの偏光素子をポリビニルアルコール系フィルムの如き親水性フィルムに吸着配向せしめた偏光軸と吸着軸とを有する偏光子を、その上下よりセルロース系フィルムで被覆するか、或いはアクリル系樹脂をコーティングすることによって作成されたものである。表面保護フィルム2には、ポリエステルフィルムのように、透湿性が少なく、伸び等の変形が少ない透明なプラスチックフィルムが使用される。表面保護フィルム2と偏光フィルム1は接着剤(図示省略)でもって接着されており、該接着剤には、表面保護フィルム2とは強固に接着するが、偏光フィルム1とは経日後でも容易に剥離し得るものが使用される。粘着剤層3は、偏光フィルム1を液晶セル(図示省略)に取付ける際に液晶セルと粘着し得る感圧型粘着剤等より構成される。離型フィルム4は二軸配向ポリエステルフィルム等からなる。
【0006】
この偏光板の製造に際しては、原料である偏光フィルム1には、予め光の透過率や偏光度或いはヘイズ等の光学特性を検査して合格した品を使用してはいるものの、偏光板を製造する工程で、偏光フィルムへの機械的応力の付加や異物の混入・付着等により欠陥が生じる可能性がある。このため最終製品での異物混入や欠陥検査では、クロスニコル法(吸収軸を直交させて配置した2枚の偏光フィルムの間に離型フィルムが挟まれた状態とし、透過光によって観察する方法)による人間の目視検査が行なわれている。しかしながら、従来の偏光板では、離型フィルムとして用いられている二軸配向ポリエステルフィルムが、ボーイング現象による光学的異方性をもつものであるので、フィルム幅方向の中央部から離れた位置からのフィルムを離型フィルムに用いた場合には、偏光フィルムに欠陥がなくても光漏れが多くなるため、検査性が低くなるという問題があった。
【0007】
上述したボーイング現象による悪影響の大きなフィルムを偏光板の離型フィルムに適用した場合、次の理由によりクロスニコル法での検査性が低くなる。クロスニコル法は、図2に示すように、2枚の偏光フィルム(偏光子5と検光子7)をその吸収軸が直交するように配置し、その間にフィルム6が挟まれた状態とし、検光子7側からの白色光による透過光を観察することによって検査する方法であるが、偏光板製品の検査では、図2の偏光子5とフィルム6との代わりに偏光板製品を配置し、その偏光フィルム1、離型フィルム4がそれぞれ偏光子5、フィルム6の位置となるようにする。一方、偏光板メーカーが偏光板製品を製造する場合、偏光フィルム1の吸収軸、偏光軸が、それぞれ離型フィルム4の長手方向、幅方向(離型フィルムを切り出した元のフィルム製品の長手方向、幅方向である)と重なるように貼り合わせるため、離型フィルム4の主配向軸と偏光フィルム1の偏光軸との位置関係は常に一定となるはずである。
【0008】
しかし、ボーイング現象による悪影響を受けたフィルム製品の場合、フィルム幅方向の位置によって配向角がかなり異なっている。即ち、フィルム幅方向の中央部の配向角は小さいが、中央部から離れた位置(両端部近傍など)における配向角は大きい。従って、フィルム幅方向の中央部から切り出したフィルムを離型フィルムとして用いた場合には、その配向角が小さいため、離型フィルム4の主配向軸と偏光フィルム1の偏光軸との位置関係はほぼ設定どおりとなり、クロスニコル法での偏光板製品の目視検査において、十分な検査性を得ることができる。他方、フィルム幅方向の両端部に近い部分から切り出したフィルムを離型フィルムとして用いた場合には、その配向角が大きいため、離型フィルム4の主配向軸と偏光フィルム1の偏光軸との位置関係が設定からかなりずれてくる。このため、クロスニコル法での偏光板製品の目視検査において、離型フィルムの配向角に起因する色相変化及び光の透過現象が生じ、偏光フィルム1の異物混入や欠陥を正確に検査し難いとの不都合が生じ、検査性が低下する。
【0009】
この検査性の低下の問題を引き起こすボーイング現象を抑制するための対策は、従来から種々検討されてきている。
【0010】
例えば、特公昭39−29214号公報には、加熱ロールを用いた熱処理方法が提案されている。また、特公昭42−9273号公報および特開平7−314552号公報には、フィルム幅方向に温度勾配を与えながら熱処理する方法、特開昭62−18327号公報および特開昭62−183328号公報には、フィルムの両端部を強制的に加熱して熱処理する方法がそれぞれ提案されている。
【0011】
また、特開昭50−73978号公報には、幅延伸機(テンター)内での延伸工程と熱処理工程の間にニップロールにより幅延伸後のフィルムを熱処理する方法が提案されており、特公昭63−24459号公報には、ニップロールによってフィルムの中央部を強制的に前進させる方法が提案されている。そして、特許2936688号公報および特開平6−262675号公報などには、幅延伸工程と熱処理工程の間に冷却工程を設けたものが提案されている。
【0012】
さらに、特開昭62−43856号公報には、横方向延伸後、ガラス転移点以下に冷却し、次いで第一熱処理区間でT1(200℃〜240℃)で熱処理し、第二熱処理区間でT2(T1以下の温度)で1〜20%の横方向に延伸させながら第三熱処理区間でT3(T2未満の温度)で降温する方法が提案されている。また、その類似例として特開平1−165423号公報には、テンターで横延伸した後に、フィルムを横延伸温度以下の温度に冷却、保持し、引続き2以上に分割された温度領域で、2〜20%幅方向に伸張させながら昇温し、ついで熱固定する方法が提案されている。以上に説明してきたボーイング現象低減効果がある方法として考えられている、横延伸後の冷却工程、熱処理工程の段階的な昇温、さらに熱処理工程での横再延伸などの製造方法を全て取り入れたものが、特許2825727号公報および特許2825728号公報で提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの製造方法においても、光エレクトロニクス部材として用いられるフィルムとしてはその効果は未だ不十分であり、さらなるボーイング現象の低減が望まれていた。また、低温熱固定条件を用いて製膜してボーイング現象の低減を図る従来方法で得られたフィルムでは、粘着剤中の溶媒を加熱除去する際の熱収縮が大きいために平面性が悪く、偏光フィルムと貼り合わせるためのフィルムには使用出来ないなどの問題があった。このように、従来の製造方法では、偏光フィルムと貼り合わせるための離型フィルムに要求される低ボーイングかつ熱寸法安定性の水準を満足できるものは得られていなかった。
【0014】
そこで、本発明は、熱寸法安定性に優れ、かつ、ボーイング現象の指標であるフィルム幅方向の中央部と端部での配向角の位置依存性が従来よりも少ないポリエステルフィルムを製造することができる方法、その結果得られたポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明のポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法は、未延伸フィルムを長手方向に延伸し、次いで幅方向に延伸した後に熱固定するポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法において、長手方向の延伸は、少なくとも2回以上の延伸区間で延伸を行うものであって、長手方向に延伸する最大延伸倍率が2.5〜3.5倍である延伸区間での延伸温度が110℃以上であり、長手方向に延伸した後かつ幅方向に延伸する前のポリエチレンテレフタレートフィルムのMOR値を1.5〜2.85の範囲とし、かつ、熱固定する際に、熱固定温度180〜230℃の範囲で、幅方向に下記式(1)で定義される再延伸率が2〜15%の再延伸を与えることを特徴とする。
再延伸率(%)=[(最大フィルム幅−熱固定温度に入った時のフィルム幅)/熱固定温度に入った時のフィルム幅]×100 ・・・式(1)
このように、本発明者らは、種々のポリエステルフィルムの製造方法におけるボーイング現象への影響を研究することにより、ボーイング現象発生因子を解明し、このボーイング現象を十分に低減させ得るポリエチレンテレフタレートフィルム製造方法の発明をなすに至ったものである。
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法は、ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法と読み替える。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、更に詳細に説明をする。
【0017】
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルである。
【0018】
ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルスルホンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を挙げることができる。中でも好ましくはテレフタル酸とイソフタル酸を挙げることができる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
【0019】
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0020】
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を挙げることができ、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0021】
本発明におけるポリエステルは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法等がある。この際、必要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物を用いることもできる。
【0022】
本発明のポリエステルフィルムは、上記溶融ポリマーを押出機に供給して、T型口金等を用いてシート状に溶融押出し、その後、キャスティングドラム上で冷却固化して未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムを樹脂組成物のガラス転移点(Tg)以上の温度で延伸する方法などで得ることができる。この際の延伸の方法は、公知の如く長手方向に延伸した後に幅方向に延伸する方法で行えばよく、長手方向の延伸、幅方向の延伸を複数回組み合わせて行なってもよい。
【0023】
本発明における長手方向の延伸方法は、ボーイング現象を抑える観点から、延伸最高温度を110℃以上とし、また、少なくとも2つ以上の延伸区間で延伸されることが好ましい。一つの延伸区間における最大延伸倍率は延伸ムラを抑える観点から2.5倍以上、ボーイング現象を抑える観点から3.5倍以下が好ましい。また、他の延伸区間における延伸倍率は、ボーイング現象を抑える観点から1.5倍以下が好ましい。特に、3区間以上の延伸を行う場合は、延伸ムラを抑える観点から最小延伸倍率区間を、第一延伸区間と最終延伸区間の間に位置させることが好ましい。これらの総延伸倍率は、延伸ムラを抑える観点から2.5倍以上であり、上限はボーイング現象を抑える観点から4倍以下が好ましい。
【0024】
このようにして長手方向に延伸された段階のポリエステルフィルムは、MOR(Maximum Oriented Ratio)値が1.5以上2.85以下であることが必要である。この値は、フィルム幅方向中央部において透過マイクロ波分子配向計により測定される値であり、透過マイクロ波分子配向計は、フィルムの機械特性を大きく左右する非晶部の配向状態を測定する装置である。MOR値とは、マイクロ波透過型分子配向計で測定された透過マイクロ波強度の最大値と最小値の比(最大値/最小値)である。このMOR値は、膜厚を考慮した長手方向と幅方向のバランスを示す指標となる。すなわち、長手方向のみ延伸されたフィルムのこの値が大き過ぎる場合、第一に、通常の延伸倍率3〜5倍の幅方向の延伸を行ったときに、ポアソン比に基づき膜厚が減少したとしても偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムとして使い勝手の良い膜厚は得られ難いという問題があり、第二に、長手方向の非晶部の絡み合いが強いことによって、幅方向に延伸する際のポアソン比に基づく長手方向の収縮力が大きくなりボーイング現象が大きくなるという問題があり、これらの点からMOR値は2.85以下が必要である。一方、小さすぎると延伸ムラや熱固定時における熱収縮応力が大きくなるためにボーイング現象が大きくなるので1.5以上が必要である。
【0025】
幅方向の延伸倍率においては、偏光板フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムとして、主配向軸をフィルム幅方向の向きとするために3.5倍以上が好ましい。また、その延伸温度は、ボーイング現象を抑える観点からともに、95℃以上が好ましい。
【0026】
横方向延伸の後に行う熱固定では、熱固定温度180〜230℃の範囲において幅方向に下記式(1)で定義される再延伸率が2〜15%の再延伸を与えることが必要である。
再延伸率(%)=[(最大フィルム幅−熱固定温度に入った時のフィルム幅)/熱固定温度に入った時のフィルム幅]×100 ・・・式(1)
ここで、最大フィルム幅とは、テンター内の熱固定ゾーンにおいてフィルム幅方向を把持した両端のクリップ間の距離の最大値であり、熱固定温度に入った時のフィルム幅とは、幅方向の延伸温度以上である熱固定ゾーンの180〜230℃の熱固定温度を有する熱固定ゾーンに入った時の両端のクリップ間の距離である。
【0027】
この横方向の再延伸時における再延伸率は、ポアソン比の収縮力を逆手にとることによってボーイング現象を直線に戻すという観点から、2%以上が必要である。しかし、この再延伸率が大き過ぎると、ボーイング現象は少なくなるものの、非晶鎖の配向が強くなるため、偏光フィルムと貼り合わせて用いるために要求される熱寸法安定性の条件(150℃で10分間の熱処理条件で測定されるフィルム長手方向、幅方向の熱収縮率がともに3%以下)が悪くなるような不都合が生じてくるので、15%以下とすることが必要である。
【0028】
また、熱固定温度は、偏光フィルムと貼り合わせて用いるために要求される熱寸法安定性の条件(150℃で10分間の熱処理条件で測定されるフィルム長手方向、幅方向の熱収縮率がともに3%以下)を満足させるために、180〜230℃の範囲が必要であり、より好ましくは200℃以上230℃以下である。さらに、フィルム幅方向の熱寸法安定性を向上させるために、幅方向の再延伸の後にフィルム幅方向に弛緩率が2〜10%の弛緩を行いながら熱固定することが好ましい。弛緩率とは、最大フィルム幅とテンター出口におけるフィルム幅の変化率[(最大フィルム幅−テンター出口)/最大フィルム幅]である。
【0029】
また、未延伸フィルムをまず長手方向に延伸し、次いで幅方向に延伸した後に、熱固定するポリエステルフィルムの製造方法において、幅方向延伸後に、一旦ガラス転移点(Tg)以下に冷却して、次いで熱固定を行ってもよい。
【0030】
さらにまた、長手方向に延伸した後かつ幅方向に延伸する前のポリエステルフィルムは、95℃でのフィルム長手方向、幅方向のヤング率が、それぞれ12kg/mm2以下、2.2kg/mm2以下であり、かつ結晶化度が7%以下の物性を満足することが好ましい。長手方向に延伸されたポリエステルフィルムが幅方向に延伸される際に、ポアソン比に基づく長手方向の収縮力の程度によってボーイング現象が左右されると考えられるため、この収縮力を抑えるには有限要素法による弾塑性構成則に基づいた計算結果及び実験結果から、長手方向に延伸されたポリエステルフィルムの長手方向、幅方向の95℃におけるヤング率が、それぞれ1.2kg/mm2以下、2.2kg/mm2以下であることが好ましい。また、結晶化度は高すぎると、前述の観点同様、ボーイング現象が大きくなるため7%以下が好ましい。
【0031】
本発明法により得られたポリエステルフィルムを偏光フィルム貼合せ用ポリエステルフィルムとして用いる場合は、離型処理を施すことが剥離性の点で好ましい。かかる離型処理としては、特に限定されないが、シリコーンコーティング処理が好ましい。中でも、硬化シリコーン樹脂塗膜を形成する処理が好ましい。この硬化シリコーン樹脂塗膜は、硬化性シリコーン樹脂を含む塗液をフィルムの少なくとも片面に塗布し、乾燥、硬化により形成することができる。さらに、この用途に用いられるポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート製のフィルムであることが好ましい。また、この用途に用いる場合のポリエステルフィルムの厚みは、離型フィルムとしての使い勝手のよさから、10μm以上60μm以下とすることが好ましい。
【0032】
[特性の測定方法]
本発明及び以下の実施例において、フィルムの特性は以下の方法で測定したものである。
【0033】
(1) MOR値:
フィルム幅方向の中央部分を10×10cmの寸法で切り出したものを測定サンプルとし、マイクロ波分子配向計を用いてMOR値を測定した。マイクロ波分子配向計としては、KSシステムズ(株)製(現 王子計測機器(株))の分子配向計MOA-2001(周波数4GHz)を用いた。
【0034】
(2)ヤング率:
フィルムの幅方向の中央部から、フィルム長手方向(MD)、幅方向(TD)にそれぞれ、1.5×15cmのサンプルを切り出した。ヤング率は、引張試験機(オリエンテック社製“テンシロン”UCT−100)により、試験長5cmで把持したサンプルを95℃の炉の中に15秒間保持した直後に、速度20cm/minで引っ張り、応力-歪み曲線を記録し、MP−200Sデータ処理プログラムにより求めた。
【0035】
(3)結晶化度:
結晶化度は、密度勾配管を用いてサンプルの比重を測定し、以下の(2)式を用いて求めた。0.12は、完全結晶と完全非晶との比重差を意味し、完全結晶の密度1.445g/cc、完全非晶の密度1.335g/ccとから求めた値である。
結晶化度(%)=[(比重−1.335)/0.12]×100 ・・・(2)
(4)ポリエステルフィルムの配向角:
ボーイング現象の発生の程度を比較するために、製造したポリエステルフィルムの配向角を、フィルム幅方向の中央部(相対位置0)及び相対位置0.6から切り出したサンプル(長手方向4.0cm×幅方向3.5cm)について測定した。なお、相対位置は、フィルム幅中央部からフィルム幅方向両端部に向けての距離をフィルム幅の半分(フィルム半値幅)で割って無次元化した値であり、例えば、フィルム幅中央が相対位置0、フィルムの左右両端が相対位置1で表示される。配向角は自動複屈折計(新王子製紙(株)製KOBRA−21ADH)を用いて測定し、相対位置0.6における値は、左右のサンプルの配向角のうちの大きい方の値を採用した。
【0036】
(5)熱収縮率:
フィルム幅中央部から1×10cmのサンプルを切り出し、ギアオーブン(TABAI社製GHPS−222)で150℃、10分間の条件で熱処理した。その前後におけるフィルム長手方向と幅方向の長さをそれぞれ万能投影機(77−7ニコン社製E04)で正確に測長することにより、熱収縮率を求めた。
【0037】
(6)クロスニコル下での光漏れ:
フィルム幅の相対位置0.6から切り出したフィルムサンプルについて、図2に示すようなクロスニコル下で、白色光源(白色光源とは、スペクトル分布が可視光領域にほぼ全体に広がっており、肉眼で白色に見える光源のことである。)による光漏れの影響の程度を、目視により以下の基準で判定した。すなわち、図2に示すクロスニコル法による目視検査において、5は偏光子、6はフィルム、7は検光子、8は白色光源、9は検査する人の目である。なお、偏光子5と検光子7は、図1に示す偏光フィルム1に相当するものであり、フィルム6として測定サンプルをセットして評価した。
○ :偏光板検査に支障をきたさない程度の光漏れ
△ :偏光板検査に多少支障をきたすが延伸ムラなどが確認できる程度の光漏れ
× :偏光板検査に支障をきたすほどの光漏れ
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0039】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレートのペレットを180℃で2時間乾燥した後、280℃に加熱された押出機に供給し、溶融してTダイからシート状に押出し、25℃のキャスティングドラムで冷却固化した後、まず長手方向に延伸した。長手方向延伸では、120℃に加熱したロールとラジエーションヒーターによってフィルムを加熱して、第1延伸区間で1.1倍、続く第2延伸区間で3倍延伸した。続いてテンタにて幅方向に95℃で4.14倍延伸し、さらに該テンタの後続する熱固定ゾーンの最大温度230℃で、幅方向に再延伸率3.8%で再延伸しつつ熱処理し、次いで、110℃で3.4%の弛緩熱処理をすることにより、厚み46μmのポリエステルフィルムを得た。長手方向のみ延伸した時点でのフィルム、及び熱固定を終えて製造されたフィルムの物性を表1に示した。
【0040】
[実施例2]
実施例1において、長手方向の延伸温度を110℃に変え、他は実施例1と同様にして、厚み46μmのポリエステルフィルムを得た。長手方向のみ延伸した時点でのフィルム、及び熱固定を終えて製造されたフィルムの物性を表1に示した。
【0041】
[実施例3]
長手方向の延伸前までは実施例1と同様にして製造した未延伸フィルムを、加熱したロールとラジエーションヒーターによってフィルムを加熱して、第1延伸区間で120℃で1.14倍、続く第2延伸区間で120℃で1.07倍、続く第3延伸区間で112℃で2.8倍に長手方向に延伸し、続いてテンタにて幅方向に110℃で4.3倍延伸し、さらに該テンタの後続する熱固定ゾーンの最大温度202℃で、幅方向に再延伸率4.2%で再延伸しつつ熱処理をすることにより、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。長手方向のみ延伸した時点でのフィルム、及び熱固定を終えて製造されたフィルムの物性を表1に示した。
【0042】
[比較例1]
実施例1において、長手方向の延伸温度を90℃に変え、他は実施例1と同様にして、厚み46μmのポリエステルフィルムを得た。長手方向のみ延伸した時点でのフィルム、及び熱固定を終えて製造されたフィルムの物性を表1に示した。
【0043】
[比較例2]
実施例1において、長手方向の延伸温度を100℃に変え、他は実施例1と同様にして、厚み46μmのポリエステルフィルムを得た。長手方向のみ延伸した時点でのフィルム、及び熱固定を終えて製造されたフィルムの物性を表1に示した。
【0044】
[比較例3]
実施例3において、熱固定ゾーンの最大温度を202℃に変え、フィルム幅方向への再延伸をすることなく、他は実施例3と同様にして、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。長手方向のみ延伸した時点でのフィルム、及び熱固定を終えて製造されたフィルムの物性を表1に示した。
【0045】
表1に示す結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られたポリエステルフィルムは、熱寸法安定性に優れ、フィルム幅方向の位置による物性が均一化され低ボーイングであった。即ち、相対位置0.6でのフィルムでも光漏れの程度が小さく、偏光フィルム貼合せ用ポリエステルフィルムとして好適なものであった。これに対し、本発明外の方法により製造されたポリエステルフィルムは、フィルム幅方向の位置による物性均一性が劣り、相対位置0.6でのフィルムは光漏れの程度が大きく、偏光フィルム貼合せ用フィルムとして不適当なものであった。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】
本発明のポリエステルフィルムの製造方法によると、熱寸法安定性に優れ、かつ、ボーイング現象の指標であるフィルム幅方向の中央部と端部での配向角の位置依存性が少なく、フィルム幅方向の位置による物性が均一化されたポリエステルフィルムを製造することができる。従って、フィルム幅方向の両端に近い部分からでも偏光板の目視検査への悪影響が殆どない離型フィルムをとることができ、偏光フィルム貼合せ用ポリエステルフィルムを効率よく製造することができる。このように、本発明法により得られるフィルムは、光エレクトロニクス部材用途に適しており、特に、偏光板の離型フィルム用として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 偏光板の構成の概略を示す斜視図である。
【図2】 クロスニコル法によってフィルムの光漏れを目視検査する場合の相対的位置関係を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1:偏光フィルム
2:表面保護フィルム
3:粘着剤層
4:離型フィルム
5:偏光子
6:フィルム
7:検光子
8:白色光源
9:検査する人の目[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing a polyester film, which is particularly excellent in thermal dimensional stability, has uniform physical properties in the film width direction, and has little positional dependency on the orientation angle, and is particularly suitable for laminating polarizing films. The present invention relates to a method for producing such a biaxially oriented polyester film.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, polyester films, especially biaxially oriented polyester films, have excellent mechanical properties, heat resistance, electrical properties, chemical resistance, and weather resistance, and thus have been widely used in various industrial fields. Yes. In order to produce these excellent properties, a sequential biaxial stretching method using a tenter is used in a typical film forming method. In this sequential biaxial stretching method, usually, a method of stretching in the longitudinal direction of the film and then stretching in the width direction in a tenter and then heat setting is employed. In the step of heat setting after stretching in the width direction in the tenter, a bowing phenomenon that disturbs the uniformity of physical properties in the film width direction occurs.
[0003]
This bowing phenomenon occurs when a film stretched in the longitudinal direction is stretched in the width direction in the tenter and heat-set, and a straight line drawn with oil-based ink in the film width direction before the tenter is, after the tenter, It shows the behavior of being deformed into a shape pulled back in the shape of a bow in the longitudinal direction of the film, and is considered to be caused by shrinkage force and thermal shrinkage stress based on the Poisson's ratio in the longitudinal direction of the film. . Due to the occurrence of this bowing phenomenon, the resulting biaxially oriented film has an orientation angle (the orientation angle is the angle between the film width direction or the longitudinal direction and the main orientation axis as the distance from the central portion in the film width direction increases. Among them, the smaller angle) has a positional dependence of the orientation angle.
[0004]
Due to the position dependency of the orientation angle, there is a disadvantage that strength and dimensional stability differ in the width direction. For example, there are inconveniences such as misalignment, meandering and curling at the time of printing, and when used as a base film of a flexible disk, the recording characteristics are deteriorated due to warpage in the apparatus. In particular, in the recent optoelectronics industry, in order to use a biaxially oriented polyester film as an optical member, the bowing phenomenon, which is a major cause of the deterioration of its optical properties, is considered the biggest problem to be reduced. .
[0005]
As a typical optical member application, there is a use of a release film that is used by being bonded to a polarizing film at the time of inspection of a polarizing plate. As shown in FIG. 1, the polarizing plate is usually adhered to the polarizing
[0006]
In the production of this polarizing plate, the polarizing
[0007]
When the above-described film having a large adverse effect due to the bowing phenomenon is applied to the release film of the polarizing plate, the inspection property by the crossed Nicols method is lowered for the following reason. In the crossed Nicols method, as shown in FIG. 2, two polarizing films (
[0008]
However, in the case of a film product that has been adversely affected by the bowing phenomenon, the orientation angle varies considerably depending on the position in the film width direction. That is, the orientation angle at the center in the film width direction is small, but the orientation angle at a position away from the center (such as near both ends) is large. Therefore, when the film cut out from the central part in the film width direction is used as a release film, the orientation angle is small, so the positional relationship between the main orientation axis of the
[0009]
Various countermeasures for suppressing the bowing phenomenon that causes the problem of deterioration of the testability have been studied.
[0010]
For example, Japanese Patent Publication No. 39-29214 proposes a heat treatment method using a heating roll. Japanese Patent Publication No. 42-9273 and Japanese Patent Application Laid-Open No. 7-314552 disclose a method of performing heat treatment while applying a temperature gradient in the film width direction, Japanese Patent Application Laid-Open No. 62-18327 and Japanese Patent Application Laid-Open No. 62-183328. Have proposed a method of forcibly heating and heat-treating both ends of a film.
[0011]
Japanese Laid-Open Patent Publication No. 50-73978 proposes a method of heat-treating a film after width stretching with a nip roll between a stretching step and a heat treatment step in a width stretching machine (tenter). Japanese Patent No. -24459 proposes a method of forcibly advancing the central portion of the film by nip rolls. Japanese Patent No. 2936688 and Japanese Patent Application Laid-Open No. 6-262675 propose a cooling process provided between the width extending process and the heat treatment process.
[0012]
Further, JP-A-62-43856 discloses that after stretching in the transverse direction, the glass transition point is cooled to below the temperature, then heat treatment is performed at T1 (200 ° C. to 240 ° C.) in the first heat treatment section, and T2 is performed in the second heat treatment section. A method has been proposed in which the temperature is lowered at T3 (temperature less than T2) in the third heat treatment section while being stretched in the lateral direction of 1 to 20% at (temperature of T1 or lower). In addition, as a similar example, Japanese Patent Application Laid-Open No. 1-165423 discloses a temperature region in which a film is cooled and held at a temperature equal to or lower than the transverse stretching temperature after transverse stretching with a tenter, and subsequently divided into two or more. A method has been proposed in which the temperature is raised while stretching in the 20% width direction, and then heat setting is performed. All of the manufacturing methods such as the cooling process after transverse stretching, the stepwise temperature increase in the heat treatment process, and the transverse re-stretching in the heat treatment process, which are considered as methods for reducing the bowing phenomenon described above, have been incorporated. This is proposed in Japanese Patent Nos. 2825727 and 2825728.
[0013]
[Problems to be solved by the invention]
However, even in these manufacturing methods, the effect is still insufficient as a film used as an optoelectronic member, and further reduction of the bowing phenomenon has been desired. In addition, in the film obtained by the conventional method for reducing the bowing phenomenon by forming a film using low temperature heat setting conditions, the flatness is poor because the heat shrinkage when the solvent in the adhesive is removed by heating is large, There was a problem that it could not be used for a film for laminating with a polarizing film. Thus, in the conventional manufacturing method, the thing which can satisfy the level of the low bowing and the thermal dimensional stability which are requested | required of the release film for bonding with a polarizing film was not obtained.
[0014]
Therefore, the present invention can produce a polyester film that has excellent thermal dimensional stability and has less position dependency of the orientation angle at the center and end in the film width direction, which is an indicator of the bowing phenomenon. It is an object to provide a polyester film obtained as a result of the method.
[0015]
[Means for Solving the Problems]
To achieve this object, the present inventionpolyethylene terephthalateThe film production method is to stretch an unstretched film in the longitudinal direction and then heat-fix it after stretching in the width direction.polyethylene terephthalateIn the film manufacturing method,In the stretching in the longitudinal direction, stretching is performed in at least two or more stretching sections, and the stretching temperature in the stretching section in which the maximum stretching ratio for stretching in the longitudinal direction is 2.5 to 3.5 is 110 ° C. That's it,After stretching in the longitudinal direction and before stretching in the width directionpolyethylene terephthalateWhen the MOR value of the film is in the range of 1.5 to 2.85 and heat setting is performed, the redraw ratio defined by the following formula (1) in the width direction in the range of the heat setting temperature of 180 to 230 ° C. Is characterized by giving 2 to 15% redrawing.
Re-stretch rate (%) = [(maximum film width−film width when entering a heat setting temperature) / film width when entering a heat setting temperature] × 100 Formula (1)
Thus, the present inventors have made various polyester films.ofBy studying the influence of the manufacturing method on the bowing phenomenon, the factors that cause the bowing phenomenon can be clarified, and this bowing phenomenon can be sufficiently reduced.polyethylene terephthalateIt came to make invention of a film manufacturing method.
Hereinafter, the method for producing a polyester film of the present invention is read as a method for producing a polyethylene terephthalate film.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in more detail.
[0017]
The polyester used in the polyester film of the present invention is a polyester obtained by polymerization from a monomer mainly composed of an aromatic dicarboxylic acid or aliphatic dicarboxylic acid and a diol.
[0018]
Here, as the aromatic dicarboxylic acid, for example, terephthalic acid, isophthalic acid, phthalic acid, 1,4-naphthalenedicarboxylic acid, 1,5-naphthalenedicarboxylic acid, 2,6-naphthalenedicarboxylic acid, 4,4′-diphenyl Examples thereof include dicarboxylic acid, 4,4'-diphenyl ether dicarboxylic acid, 4,4'-diphenylsulfone dicarboxylic acid, and the like. Examples of the aliphatic dicarboxylic acid include adipic acid, suberic acid, sebacic acid, dodecanedioic acid and the like. Among these, terephthalic acid and isophthalic acid are preferable. These acid components may be used alone or in combination of two or more thereof, and further may be partially copolymerized with oxyacids such as hydroxybenzoic acid.
[0019]
Examples of the diol component include ethylene glycol, 1,2-propanediol, 1,3-propanediol, neopentyl glycol, 1,3-butanediol, 1,4-butanediol, and 1,5-pentanediol. 1,6-hexanediol, 1,2-cyclohexanedimethanol, 1,3-cyclohexanedimethanol, 1,4-cyclohexanedimethanol, diethylene glycol, triethylene glycol, polyalkylene glycol, 2,2-bis (4- Hydroxyethoxyphenyl) propane and the like can be mentioned. Of these, ethylene glycol is preferably used. These diol components may be used alone or in combination of two or more.
[0020]
The polyester used in the polyester film of the present invention is preferably polyethylene terephthalate, a copolymer of ethylene terephthalate and ethylene isophthalate, polybutylene terephthalate and its copolymer, polybutylene naphthalate and its copolymer, and Examples include hexamethylene terephthalate and copolymers thereof, polyhexamethylene naphthalate and copolymers thereof, and polyethylene terephthalate is particularly preferable.
[0021]
The polyester in the present invention can be produced by a conventionally known method. For example, a method in which an acid component is directly esterified with a diol component, and then the product of this reaction is heated under reduced pressure to perform polycondensation while removing excess diol component, or a dialkyl as an acid component There is a method in which an ester is used for ester exchange reaction between this and a diol component, followed by polycondensation in the same manner as described above. At this time, conventionally known alkali metal, alkaline earth metal, manganese, cobalt, zinc, antimony, germanium, and titanium compounds can be used as a reaction catalyst, if necessary.
[0022]
The polyester film of the present invention is prepared by supplying the above molten polymer to an extruder, melt-extruding into a sheet using a T-type die, etc., and then cooling and solidifying on a casting drum to form an unstretched film. Can be obtained by a method of stretching at a temperature equal to or higher than the glass transition point (Tg) of the resin composition. The stretching method at this time may be performed by a method of stretching in the longitudinal direction and then stretching in the width direction as is well known, and the stretching in the longitudinal direction and the stretching in the width direction may be combined multiple times.
[0023]
In the stretching method in the longitudinal direction in the present invention, from the viewpoint of suppressing the bowing phenomenon, it is preferable that the maximum stretching temperature is 110 ° C. or more, and the stretching is performed in at least two or more stretching sections. The maximum stretching ratio in one stretching section is preferably 2.5 times or more from the viewpoint of suppressing stretching unevenness and 3.5 times or less from the viewpoint of suppressing the bowing phenomenon. Further, the draw ratio in other draw sections is preferably 1.5 times or less from the viewpoint of suppressing the bowing phenomenon. In particular, when stretching is performed for three or more sections, the minimum stretching ratio section is preferably located between the first stretching section and the final stretching section from the viewpoint of suppressing stretching unevenness. These total draw ratios are 2.5 times or more from the viewpoint of suppressing stretching unevenness, and the upper limit is preferably 4 times or less from the viewpoint of suppressing the bowing phenomenon.
[0024]
Thus, the polyester film at the stage of being stretched in the longitudinal direction needs to have an MOR (Maximum Oriented Ratio) value of 1.5 or more and 2.85 or less. This value is a value measured by a transmission microwave molecular orientation meter at the central portion in the film width direction, and the transmission microwave molecular orientation meter is an apparatus for measuring the orientation state of the amorphous part that greatly affects the mechanical properties of the film. It is. The MOR value is a ratio (maximum value / minimum value) between the maximum value and the minimum value of the transmission microwave intensity measured by the microwave transmission type molecular orientation meter. This MOR value is an index indicating the balance between the longitudinal direction and the width direction in consideration of the film thickness. That is, if this value of the film stretched only in the longitudinal direction is too large, firstly, when stretching in the width direction at a normal stretching ratio of 3 to 5 times, the film thickness is reduced based on the Poisson's ratio. There is also a problem that it is difficult to obtain a film thickness that is easy to use as a polyester film for laminating a polarizing film, and secondly, due to the strong entanglement of the amorphous part in the longitudinal direction, the Poisson's ratio when stretching in the width direction is There is a problem that the contraction force in the longitudinal direction is increased and the bowing phenomenon is increased, and from these points, the MOR value is required to be 2.85 or less. On the other hand, if it is too small, the stretching unevenness and the heat shrinkage stress at the time of heat setting become large, so that the bowing phenomenon becomes large.
[0025]
In the stretch ratio in the width direction, the polyester film for laminating the polarizing film is preferably 3.5 times or more so that the main orientation axis is in the film width direction. Further, the stretching temperature is preferably 95 ° C. or higher from the viewpoint of suppressing the bowing phenomenon.
[0026]
In the heat setting performed after the transverse stretching, it is necessary that the re-stretching rate defined by the following formula (1) is given 2-15% in the width direction in the range of the heat setting temperature of 180 to 230 ° C. .
Re-stretch rate (%) = [(maximum film width−film width when entering a heat setting temperature) / film width when entering a heat setting temperature] × 100 Formula (1)
Here, the maximum film width is the maximum value of the distance between the clips at both ends gripping the film width direction in the heat setting zone in the tenter, and the film width when entering the heat setting temperature is the width direction. It is the distance between the clips at both ends when entering the heat setting zone having a heat setting temperature of 180 to 230 ° C. of the heat setting zone that is equal to or higher than the stretching temperature.
[0027]
The redrawing ratio at the time of redrawing in the lateral direction needs to be 2% or more from the viewpoint of returning the bowing phenomenon to a straight line by taking the contraction force of the Poisson's ratio in the opposite direction. However, if the redrawing ratio is too large, the bowing phenomenon is reduced, but the orientation of the amorphous chain becomes strong. Therefore, the thermal dimensional stability condition (150 ° C.) required for use with the polarizing film is used. Inconvenience that the thermal contraction rate in the film longitudinal direction and the width direction measured under the heat treatment conditions for 10 minutes is 3% or less) is caused, so it is necessary to make it 15% or less.
[0028]
In addition, the heat fixing temperature is a condition of thermal dimensional stability required for bonding with a polarizing film (both film shrinkage in the longitudinal direction and width direction measured under heat treatment conditions at 150 ° C. for 10 minutes) 3% or less), a range of 180 to 230 ° C. is required, and more preferably 200 ° C. or more and 230 ° C. or less. Furthermore, in order to improve the thermal dimensional stability in the film width direction, it is preferable to perform heat setting while performing relaxation at a relaxation rate of 2 to 10% in the film width direction after re-stretching in the width direction. The relaxation rate is the maximum film width and the rate of change of the film width at the tenter exit [(maximum film width−tenter exit) / maximum film width].
[0029]
In the method for producing a polyester film to be heat-set after first stretching the unstretched film in the longitudinal direction and then stretching in the width direction, after stretching in the width direction, the glass film is once cooled below the glass transition point (Tg), Heat fixation may be performed.
[0030]
Furthermore, the polyester film after being stretched in the longitudinal direction and before being stretched in the width direction has a Young's modulus in the film longitudinal direction and the width direction at 95 ° C. of 12 kg / mm, respectively.2Hereinafter, 2.2 kg / mm2It is preferable that the following physical properties are satisfied. When the polyester film stretched in the longitudinal direction is stretched in the width direction, the Boeing phenomenon is considered to be influenced by the degree of longitudinal contraction force based on the Poisson's ratio. From the calculation results and experimental results based on the elastoplastic constitutive law, the Young's modulus at 95 ° C in the longitudinal direction and the width direction of the polyester film stretched in the longitudinal direction is 1.2 kg / mm, respectively.2Hereinafter, 2.2 kg / mm2The following is preferable. On the other hand, if the crystallinity is too high, the bowing phenomenon becomes large as in the above-mentioned viewpoint, so 7% or less is preferable.
[0031]
When the polyester film obtained by the method of the present invention is used as a polyester film for polarizing film lamination, it is preferable to perform a mold release treatment in terms of releasability. Such a release treatment is not particularly limited, but a silicone coating treatment is preferable. Among these, a treatment for forming a cured silicone resin coating film is preferable. This cured silicone resin coating film can be formed by applying a coating liquid containing a curable silicone resin to at least one surface of a film, followed by drying and curing. Furthermore, the polyester film used for this purpose is preferably a polyethylene terephthalate film. Moreover, it is preferable that the thickness of the polyester film in the case of using for this use shall be 10 micrometers or more and 60 micrometers or less from the ease of use as a release film.
[0032]
[Measurement method of characteristics]
In the present invention and the following examples, film properties are measured by the following methods.
[0033]
(1) MOR value:
What cut out the center part of the film width direction by the dimension of 10 * 10 cm was made into the measurement sample, and the MOR value was measured using the microwave molecular orientation meter. As the microwave molecular orientation meter, a molecular orientation meter MOA-2001 (frequency: 4 GHz) manufactured by KS Systems (currently Oji Scientific Instruments) was used.
[0034]
(2) Young's modulus:
From the central part in the width direction of the film, samples of 1.5 × 15 cm were cut out in the film longitudinal direction (MD) and the width direction (TD), respectively. Young's modulus was pulled at a speed of 20 cm / min immediately after holding a sample gripped at a test length of 5 cm in a 95 ° C. furnace for 15 seconds with a tensile tester (Orientec “Tensilon” UCT-100). A stress-strain curve was recorded and determined by the MP-200S data processing program.
[0035]
(3) Crystallinity:
The crystallinity was determined by measuring the specific gravity of the sample using a density gradient tube and using the following equation (2). 0.12 means the difference in specific gravity between the complete crystal and the complete amorphous, and is a value obtained from the density of the complete crystal of 1.445 g / cc and the density of the complete amorphous of 1.335 g / cc.
Crystallinity (%) = [(specific gravity−1.335) /0.12] × 100 (2)
(4) Orientation angle of polyester film:
In order to compare the degree of occurrence of the bowing phenomenon, a sample obtained by cutting the orientation angle of the produced polyester film from the central part (relative position 0) and relative position 0.6 in the film width direction (longitudinal direction 4.0 cm × width) Measured in the direction 3.5 cm). The relative position is a value obtained by dividing the distance from the central part of the film width toward both ends in the film width direction by half the film width (film half-value width), for example, the center of the film width is the relative position. 0, the left and right ends of the film are displayed at
[0036]
(5) Thermal contraction rate:
A sample of 1 × 10 cm was cut out from the central part of the film width and heat-treated at 150 ° C. for 10 minutes in a gear oven (TABS GHPS-222). By measuring the length in the longitudinal direction and the width direction before and after that accurately with a universal projector (E04 manufactured by 77-7 Nikon Corporation), the heat shrinkage rate was determined.
[0037]
(6) Light leakage under crossed Nicols:
For a film sample cut out from a relative position 0.6 of the film width, under a crossed Nicol as shown in FIG. 2, a white light source (a white light source has a spectral distribution almost entirely spread in the visible light region. The degree of the influence of light leakage due to a light source that looks white) was visually determined according to the following criteria. That is, in the visual inspection by the crossed Nicols method shown in FIG. 2, 5 is a polarizer, 6 is a film, 7 is an analyzer, 8 is a white light source, and 9 is an eye of the person to be inspected. The
○: Light leakage that does not interfere with polarizing plate inspection
△: Light leakage to the extent that the polarizing plate inspection is somewhat hindered but stretching unevenness can be confirmed.
×: Light leakage that hinders polarizing plate inspection
[0038]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although an Example demonstrates this invention further in detail, this invention is not limited to this.
[0039]
[Example 1]
The polyethylene terephthalate pellets were dried at 180 ° C. for 2 hours, then supplied to an extruder heated to 280 ° C., melted and extruded from a T-die into a sheet, cooled and solidified with a 25 ° C. casting drum, Stretched in the direction. In longitudinal stretching, the film was heated by a roll heated to 120 ° C. and a radiation heater, and stretched 1.1 times in the first stretching section and 3 times in the subsequent second stretching section. Subsequently, the film was stretched 4.95 times in the width direction by a tenter at a temperature of 95.degree. Then, a relaxation heat treatment of 3.4% was performed at 110 ° C. to obtain a 46 μm thick polyester film. Table 1 shows the physical properties of the film produced at the time of stretching in only the longitudinal direction and the film produced after heat setting.
[0040]
[Example 2]
In Example 1, the stretching temperature in the longitudinal direction was changed to 110 ° C., and the rest was the same as in Example 1 to obtain a polyester film having a thickness of 46 μm. Table 1 shows the physical properties of the film produced at the time of stretching in only the longitudinal direction and the film produced after heat setting.
[0041]
[Example 3]
Before stretching in the longitudinal direction, an unstretched film produced in the same manner as in Example 1 was heated with a heated roll and a radiation heater, and the first stretched section followed by 1.14 times at 120 ° C. In the stretching section, 1.07 times at 120 ° C., in the third stretching section, 2.8 times in the longitudinal direction at 112 ° C., and then stretched 4.3 times in the width direction at 110 ° C. with a tenter. A heat treatment was carried out while redrawing at a maximum temperature of 202 ° C. in the heat setting zone following the tenter at a redrawing ratio of 4.2% in the width direction to obtain a polyester film having a thickness of 38 μm. Table 1 shows the physical properties of the film produced at the time of stretching in only the longitudinal direction and the film produced after heat setting.
[0042]
[Comparative Example 1]
In Example 1, the stretching temperature in the longitudinal direction was changed to 90 ° C., and the rest was the same as Example 1, and a 46 μm thick polyester film was obtained. Table 1 shows the physical properties of the film produced at the time of stretching in only the longitudinal direction and the film produced after heat setting.
[0043]
[Comparative Example 2]
In Example 1, the stretching temperature in the longitudinal direction was changed to 100 ° C., and the rest was the same as in Example 1 to obtain a polyester film having a thickness of 46 μm. Table 1 shows the physical properties of the film produced at the time of stretching in only the longitudinal direction and the film produced after heat setting.
[0044]
[Comparative Example 3]
In Example 3, the maximum temperature of the heat setting zone was changed to 202 ° C., and a polyester film having a thickness of 38 μm was obtained in the same manner as in Example 3 except that re-stretching in the film width direction was not performed. Table 1 shows the physical properties of the film produced at the time of stretching in only the longitudinal direction and the film produced after heat setting.
[0045]
As is clear from the results shown in Table 1, the polyester film obtained by the production method of the present invention was excellent in thermal dimensional stability, and the physical properties depending on the position in the film width direction were uniformed and low bowing. That is, the film at the relative position of 0.6 has a small light leakage and is suitable as a polyester film for polarizing film lamination. On the other hand, the polyester film produced by the method outside the present invention is inferior in physical property uniformity depending on the position in the film width direction, and the film at the relative position 0.6 has a large degree of light leakage. It was unsuitable as a film.
[0046]
[Table 1]
[0047]
【The invention's effect】
According to the method for producing a polyester film of the present invention, the thermal dimensional stability is excellent, and the position dependency of the orientation angle at the central part and the end part in the film width direction, which is an indicator of the bowing phenomenon, is small. A polyester film having uniform physical properties depending on the position can be produced. Therefore, a release film having almost no adverse effect on visual inspection of the polarizing plate can be obtained even from portions close to both ends in the film width direction, and a polyester film for polarizing film lamination can be efficiently produced. As described above, the film obtained by the method of the present invention is suitable for use in an optoelectronic member, and particularly suitable for a release film for a polarizing plate.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective view showing an outline of a configuration of a polarizing plate.
FIG. 2 is a schematic perspective view showing a relative positional relationship when a light leak of a film is visually inspected by a crossed Nicols method.
[Explanation of symbols]
1: Polarized film
2: Surface protective film
3: Adhesive layer
4: Release film
5: Polarizer
6: Film
7: Analyzer
8: White light source
9: Eyes of the examiner
Claims (6)
再延伸率(%)=[(最大フィルム幅−熱固定温度に入った時のフィルム幅)/熱固定温度に入った時のフィルム幅]×100 ・・・式(1)In the method for producing a polyethylene terephthalate film, in which the unstretched film is stretched in the longitudinal direction and then heat-set after being stretched in the width direction, stretching in the longitudinal direction is performed in at least two or more stretching sections, The polyethylene terephthalate film has a stretching temperature of 110 ° C. or higher in a stretching section in which the maximum stretching ratio of stretching in the longitudinal direction is 2.5 to 3.5 times, and after stretching in the longitudinal direction and before stretching in the width direction. When the MOR value is in the range of 1.5 to 2.85 and heat setting is performed, the redrawing ratio defined by the following formula (1) in the width direction is 2 in the range of the heat setting temperature of 180 to 230 ° C. A method for producing a polyethylene terephthalate film, characterized by providing -15% redrawing.
Re-stretch rate (%) = [(maximum film width−film width when entering heat setting temperature) / film width when entering heat setting temperature] × 100 Formula (1)
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