JP4724823B2 - 希少糖の神経細胞における保護作用を利用する予防薬、治療薬、特定保健用食品 - Google Patents

希少糖の神経細胞における保護作用を利用する予防薬、治療薬、特定保健用食品 Download PDF

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本発明は、細胞死抑制剤や、かかる細胞死抑制剤を有効成分とする細胞死に起因する神経変性疾患、プリオン病等、予防および/または治療薬関する。
様々な病気の進行や増悪に、生体が生存していく上で不可欠な細胞の細胞死が関わっている(非特許文献1)。細胞死がその進行増悪の原因となっている神経疾患としては、例えば、アルツハイマー病、脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン 病、ハンチントン病、網膜色素変性症や緑内障、小脳変性、新生児黄疸などの神経変性疾患、筋ジストロフィー、脳卒中等による脳虚血およびその後の遅発性神経細胞死(DND)、クロイツフェルト・ヤコブ病などのプリオン病などを挙げることができる。
さまざまな神経疾患において、神経細胞死が起こることが原因となっている。
細胞死は、細胞の種類により様々な生理的な物質、例えばインターロイキンなどのサイトカインやグルココルチコイドなどのホルモン、グルタミン酸やNMDAなどの神経興奮性アミノ酸やFasリガンドに代表されるような膜蛋白質などで引き起こされることが知られており、また逆に細胞によっては特定の成長因子などの欠損によっても引き起こされる。さらに種々の細胞に共通の細胞死誘発剤としては、過酸化水素などの活性酸素種発生剤、SNPなどのNO発生剤、熱、放射線などがあげられ、他にも細胞死の誘導活性をもつ化合物が数多く報告されている。最近の研究によると、細胞死シグナルの伝達系はその上流では多彩な情報伝達系が関与しているが、そのほとんどはミトコンドリアに収斂し、さらに下流では一連のシステインプロテアーゼであるカスパーゼやヌクレアーゼが活性化し、各種蛋白質や核酸の分解がおこることが明らかになってきている(非特許文献2)。
また、細胞死抑制剤として現在までに知られているものとしては、細胞の種類に応じて、各種成長因子、栄養因子、ホルモン等の生理的抑制剤、N−アセチルシステイン等の抗酸化剤、カスパーゼ類の修飾ペプチド型の阻害剤などが知られている。この中で、一部のペプチド性の成長因子や神経栄養因子などが化学療法後の造血細胞回復や神経変性疾患や外傷による神経細胞死を防ぐ治療に用いられている例はあるものの(非特許文献3〜5)、抗酸化剤やカスパーゼ類の阻害剤は細胞レベルの実験に用いられるにとどまっている。
現在、酸化ストレスが主要な原因の1つであると考えられている中枢神経変性疾患としてパーキンソン病(PD)がよく知られている。PDは神経伝達物質であるドーパミンを産生する中脳の黒質神経細胞が著しく脱落・変性し、ドーパミンが減少することにより運動機能の低下や錐体外路症状などが引き起こされる病気である。すなわちドーパミンを神経伝達物質として産生する神経細胞が特異的に変性しアポトーシス死に陥り脱落し、その結果線条体においてドーパミンの濃度が低下する。幾つかの研究で、酸化ストレスにより過剰に生じた活性酸素種(ROS)が原因となっていることが明らかになった。(非特許文献6−8)そして、抗酸化作用を持つ物質が神経細胞の変性を抑える働きがあることも判明している(非特許文献9,10)。
PD発症のメカニズムの研究には、酸化剤である6-hydroxydopamine(6-OHDA)をラットの黒質緻密層に注入し、ドーパミン神経細胞を特異的に破壊する動物モデルが使われており、6-OHDAによってアポトーシスが誘発され細胞死を招くことが知られている(非特許文献11,12)。
Science 267, 1456, 1995 Cell 91, 443, 1997 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90, 7951, 1993 Nature 367, 368, 1994 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89, 11249, 1992 Kosel et al. (1999) Biol. Chem. 380, 865-870 Metodiewa et al. (2000) Neurotox. Res. 1, 197-233 Di Matteo et al. (2003) Curr. Drug Target CNS Neurol. Disord. 2, 95-107 Jung-Hee, et al. (2001) Mutation Res. 496, 181-190 Guangjun et al. (2002) Arch. Bioche. Biophys. 397, 84-90 Hartley et al. (1994) J. Neurochem.63, 1987-1990 Walkinshaw et al. (1994) Neuroscience 63, 975-987
糖は一般的に酸化ストレスに対する抗酸化作用を持ちうる物質であるが、その構造の違いにより、作用の程度が違うと考えられている。希少糖の中でも特にD-プシコースやD-アロースは通常の糖であるエピマーのD-フルクトース、D-グルコースに比べ、抗酸化活性が高いとの報告もあり、これらの希少糖の持つ抗酸化作用に着目し、活性酸素などの酸化ストレスに対する細胞保護効果について検討する必要があると考えた。
本発明は希少糖からなる細胞死抑制剤や、かかる細胞死抑制剤を有効成分とする細胞死に起因する神経変性疾患プリオン病等の各種疾病の予防および/または治療薬または特定保健用食品を提供することにある。
細胞死を抑制することができる細胞死抑制物質は、細胞死に起因する多くの疾病等の有効な治療または症状の進行、悪化を停止もしくは抑制する医薬となり得ると考え、希少糖について細胞死抑制効果を検討した。希少糖には、強い活性酸素産生抑制作用があることが明らかになった。また活性酸素消去作用もあることが判明した。活性酸素の産生を抑制するとともに、消去作用もあることから理想的な抗酸化剤と考えられる。(Murata et al. (2003) J. Biosci. Bioeng. 96, 89-91)。その結果、希少糖が神経細胞の変性と細胞死抑制効果を有することを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明は、以下の(1)の神経細胞死抑制剤を要旨とする。
(1)D-プシコース、または、D-プシコースおよびD-アロースを有効成分とする黒質のドーパミン作動性神経細胞の酸化傷害抑制剤
本発明は、以下の(2)、(3)の神経細胞死抑制剤もしくは脳神経細胞保護剤を要旨とする。
)上記(1)に記載の黒質のドーパミン作動性神経細胞の酸化傷害抑制剤からなる神経細胞死抑制剤もしくは脳神経細胞保護剤
アルツハイマー病、脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy, SMA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、ハンチントン病、網膜色素変性症、緑内障および小脳変性からなる群から選ばれる神経変性疾患、新生児核黄疸、筋ジストロフィー、脳虚血またはその後の遅発性神経細胞死(DND)、プリオン病、または脳神経組織(中枢神経、末梢神経)移植時の該移植脳神経組織の機能不全の予防および/または治療薬である上記(2)に記載の神経細胞死抑制剤もしくは脳神経細胞保護剤
本発明は、以下の()の脳神経組織(中枢神経、末梢神経)細胞培養用の培地を要旨とする。
)上記()の酸化傷害抑制剤を含有することを特徴とする脳神経組織(中枢神経、末梢神経)細胞培養用の培地。
本発明は、希少糖のもつ活性酸素の産生抑制作用と、消去作用を利用して、神経細胞が変性しアポトーシス死に陥ることから保護することで、パーキンソン病を初めとする各種神経変性疾患やプリオン病の発生を予防し、またすでに発症している場合には進行を抑制し、さらに治療を目的とする医薬品、特定保健用食品などへの応用を可能にする。
すなわち、本発明は希少糖からなる細胞死抑制剤や、かかる細胞死抑制剤を有効成分とする細胞死に起因する神経変性疾患およびプリオン病等の各種疾病の予防および/または治療薬、または特定保健用食品を提供することができる。
「希少糖」とは、自然界に微量にしか存在しない単糖と定義づけることができる。本発明においても前記定義に基づく希少糖であり、好ましくはアルドースであるD-アロース、またはケトースであるD-プシコースである。自然界に多量に存在する単糖は、D-グルコース、D-フラクトース、D-ガラクトース、D-マンノース、D-リボース、D-キシロース、L-アラビノースの7種類あり、それ以外の単糖は全て希少糖である。また、糖アルコールは単糖を還元してできるが、自然界にはD-ソルビトールが比較的多いが、それ以外のものは量的には少ないので、これらも本発明に従う希少糖と定義される。これらの希少糖は、これまで入手が困難であったが、自然界に多量に存在する単糖から希少糖を生産する方法が開発されつつあり、その技術を利用して製造することができる。
希少糖のうち、現在大量生産ができているD-アロースとD-プシコースという二つの希少糖について説明する。
本発明で用いられるD-アロース(D-アロヘキソース)は、アルドース(アルドヘキソース)に分類されるアロースのD体であり、融点が178℃の六炭糖(C6H12O6)である。
そして、このD-アロースの製法としては、D-アロン酸ラクトンをナトリウムアマルガムで還元する方法による製法や、また、シェイクワット・ホセイン・ブイヤン等による「ジャーナル・オブ・ファーメンテーション・アンド・バイオエンジニアリング(Journal of Fermentation and Bioengineering)」第85巻、539乃至541頁(1998年)において記載されている、L-ラムノース・イソメラーゼを用いてD-プシコースから合成する製法がある。
さらに近年では、特開2002-17392号公報に記載されている。D-プシコースを含有する溶液にD-キシロース・イソメラーゼを作用させて、D-プシコースからD-アロースを生成する製法が発明されている。
本発明の例えば細胞死抑制物質に用いるD-アロースは、前記製法、或いはその他の製法のいずれによって得られたものでもよいが、前記特開2002-17392号公報に記載されている製法によれば、大量生産が期待されるため、より容易に入手することができるようになることが期待される。しかし、これまでの製造法は、D-アロースの分離回収に関して完全に満足できるものではなく、従って工業的製造をするには未だ不経済な作業を必要としている。D-アロースを分離回収することに関する従来技術の不利な点「最もエネルギーの必要な過程」を克服すること、すなわち、効率よく分離回収する方法を提供すること、ならびに、高純度D-アロースの製造に関して技術的に実行可能な連続的製造法を提供することを目的として、D-アロースの結晶化法による分別法とその大量生産への応用について別途出願中である(特願平2003-95828号)。当該高純度D-アロースの分離回収法は、D-プシコースの一部分をD-アロースに変換した酵素反応産物である例えば35%D-プシコースと15%D-アロースの混合溶液からD-アロースを回収するに際し、D-アロースのエタノールおよび/またはメタノールに難溶性の性質を利用してD-アロースを結晶化させ、該D-アロースの結晶を分離することを特徴とする。上記の方法において、D-プシコースを酵素反応でD-アロースに変換する際に用いる酵素は「L-ラムノースイソメラーゼ」が例示される。L-ラムノースイソメラーゼは、上記1998年の文献で発表された公知酵素であり、Pseudomonas stutzerii 由来の酵素を好ましいものとして例示される。菌株 Pseudomonas stutzerii LL172a は、上記文献に記載された公知菌であり、香川大学農学部生物資源食糧化学科の何森健研究室に保存されている。財団法人発酵研究所から同一のPseudomonas stutzerii は得られる。Pseudomonas stutzerii IFO 3773, Pseudomonas stutzerii IFO 13596 が同一の活性を持っていると思われる。L-ラムノースイソメラーゼは各種の微生物から容易に入手が可能であり、L-ラムノースが存在する培養条件の時に、誘導的に生産される。通常、L-ラムノースイソメラーゼ産生能を有する微生物を培養して得ることができる。例えば、L-ラムノースイソメラーゼは各種の微生物をL-ラムノースを炭素源として培養すると、L-ラムノースが誘導剤となって菌体内に生産される。酵素を大量に構成的に産生する変異株を用いることは、L-ラムノースなどの高価な炭素源を必要としないので特に有利である。得られた培養菌体からL-ラムノースイソメラーゼを抽出したもの、または菌体そのものを用いる。L-ラムノースイソメラーゼは、使用目的に応じて、必ずしも高純度に精製されたものでなくてもよく、粗酵素であっても用いることができる。粗酵素の具体的例としては、上記のL-ラムノースイソメラーゼ産生能を有する微生物自体を、また、その培養物や部分精製した培養物を用いることができる。本発明では特定の固定化法による固定化酵素または固定化菌体の形態で用いることにより、送液圧力が低く安定で長期間連続使用可能なリアクターを構築することができる。
上記の高純度D-アロースを連続的に製造する方法によって、D-アロースの分離と同時に脱塩、脱イオン、そして濃縮、結晶化が行え、従来、すべて別々の工程で行っていた分離方法をワンステップに統合処理できる。したがって、短時間に大量の処理が可能である。
本発明で用いられるD-プシコースは、希少糖に属するケトヘキソースに分類されるプシコースのD体であり六炭糖(C6H12O6)である。このようなD-プシコースは、自然界から抽出されたもの、化学的またはバイオ的な合成法により合成されたもの等を含めて、どのような手段により入手してもよい。比較的容易には、例えば、エピメラーゼを用いた手法(特開平6-125776号公報等参照)により調製されたものでもよい。得られたD-プシコース液は、必要により、例えば、除蛋白、脱色、脱塩などの方法で精製され、濃縮してシラップ状のD-プシコース製品を採取することができ、更に、カラムクロマトグラフィーで分画、精製することにより99%以上の高純度の標品も容易に得ることができる。このようなD-プシコースは単糖としてそのまま利用できるほか、必要に応じて各種の誘導体として用いることも期待される。
細胞死抑制作用について説明する(段落番号0005参照)。
神経変性疾患に関与していると言われる細胞死は、カスパーゼと呼ぶタンパク質分解酵素が原因と考えられる。活性化したカスパーゼが、タンパク質を切断する役割を担い、細胞死を導く。神経変性疾患では、カスパーゼによらない過度の細胞死が原因で痴呆症やパーキンソン病が発病するとの報告もある。こうした細胞死を抑制するものとして現在までに知られているものとしては、細胞の種類に応じて、各種成長因子、栄養因子、ホルモン等の生理的抑制剤、N−アセチルシステイン等の抗酸化剤、カスパーゼ類の修飾ペプチド型の阻害剤などが知られている。この中で、一部のペプチド性の成長因子や神経栄養因子などが化学療法後の造血細胞回復や神経変性疾患や外傷による神経細胞死を防ぐ治療に用いられている例はあるものの(非特許文献3〜5)、抗酸化剤やカスパーゼ類の阻害剤は細胞レベルの実験に用いられるにとどまっている。
中枢神経変性疾患について説明する。交通事故による外傷や細菌感染などの明らかな原因がないのに神経細胞が死んでいく現象を神経変性(neurodegeneration)、あるいはこのような変化がみられる病気を神経変性疾患 と呼ぶ。痴呆を主とするアルツハイマー病、運動障害が主な症状とするパーキンソン病は最も頻度の高い疾患である。神経変性疾患の分類を以下に示す。
1)大脳の変性疾患
a.老人性の脳
b.老人性痴呆型アルツハイマー病 senile dementia of alzheimer type
c.ピック病 pick
d.パーキンソン症候群 parkinsonism
・パーキンソン病 Parkinson disease
・症候性パーキンソニズム
e.進行性核上性麻痺 progressive supranuclear palsy,PSP
f.ハンチントン舞踏病 Huntington disease
g.シドナム舞踏病 Sydenham's chorea
h.白質の変性疾患 leukodystrophy
・異染性脳白質ジストロフィーmetachromaticleukodystrophy, MLD
・副腎脳白質ジストロフィー,副腎白質ジストロフィーadrenoleukodystrophy, ALD
・Canavan病 spongy degeneration of the cerebral white matter
2)神経系蓄積疾患 neuronal storage disease
3)脊髄小脳変性症 spinocerebellar degeneration,SCD
a.多系統萎縮症 mutiple system atrophy,MSA
・Shy-Drager症候群 Shy-Drager syndrome,SDS
・線条体黒質変性症 striatonigral degeneration
・オリーブ橋小脳萎縮症 olivopontocerebellar atrophy,OPCA
b.遺伝性脊髄小脳変性疾患 hereditary spinocerebellar degeneration
・Machado-Joseph病,MJD
・Friedreich失調症 Friedreich ataxia
・歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 DRPLA
c.皮質性小脳萎縮症,晩発性皮質性小脳萎縮症 cortical cerebellar
atrophy,late cortical cerebellar atrophy,LCCA
4)脊髄変性疾患,運動ニューロン変性疾患
a.筋萎縮性側索硬化症,進行性球麻痺 amyotrophic lateral sclerosis, ALS
・進行性球麻痺 progressive bulbar palsy
b.脊髄性筋萎縮症 spinal muscular atrophy, SMA
・乳児脊髄性進行性筋萎縮症 Werdnig-Hoffmann disease
・Kugelberg-Welander症候群
c.亜急性連合性脊髄変性症 subacute combined degeneration of spinal cord
d.球脊髄性筋萎縮症,Kennedy症候群 bulbospinal muscular atrophy,BSMA
プリオン病について説明する。
プリオンとは、purionProteinaceous infections particle(蛋白質感染粒子)のことで、ウイルスよりもさらに小さい異常型タンパク質のことである。プリオンは赤痢菌やコレラ菌のように外から体内に侵入したものでなく、体内のニューロンで作られて、その細胞膜表面に存在するタンパク質である。正常なプリオンタンパク質(PrPC)には病原性はないが、何らかの原因でこれが変異プリオンタンパク(PrPSC)質に変わると、周囲のPrPCを次々と(PrPSC)に変えることによってプリオン病を引き起こす。
プリオン病には以下のものがある。
(1)ヒト:
1.[クールー]:(パプアニューギニアの山岳に住むフォア族が食人儀式を止めてから、クールー病の発生が見られなくなった。)
2.[クロイツフェルト・ヤコブ病(CJ病)]
3.[ゲルストマン・ストイスラー・シャインカー病(GSS病)]
4.[致死性家族性不眠症]
(2)動物:
1.スクレイピー(ヒツジ、ヤギ)
2.ウシ海綿状脳症=「狂牛病(BSE)」
3.ミンク脳症
4.慢性羸痩病(シカ)
本発明の詳細を実施例で説明する。本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[参考例]
糖濃度と浸透圧との関係
この実験は高濃度の糖を使うことで、細胞外の浸透圧が高くなるため、それによる障害がおこる可能性があるかどうかを、実際に浸透圧を測定することで予測した。測定結果を表1および図12に示す。その結果、50mM程度であれば問題ないと推察した。
《6-OHDAを投与したPC12細胞に対する希少糖の細胞保護効果の検討1》
[目的]
本発明者らは、希少糖の医薬品等への利用開発を目指すとともに希少糖の細胞での作用機序について解明するために研究を進めている。糖は一般的に酸化ストレスに対する抗酸化作用を持ちうる物質であるが、その構造の違いにより、作用の程度が違うと考えられている。希少糖の中でも特にD-プシコースやD-アロースは通常の糖であるエピマーのD-フルクトース、D-グルコースに比べ、抗酸化活性が高いとの報告もあり、これらの希少糖の持つ抗酸化作用に着目し、活性酸素などの酸化ストレスに対する細胞保護効果について検討を行った。
現在、酸化ストレスが主要な原因の1つであると考えられている中枢神経変性疾患としてパーキンソン病(PD)がよく知られている。PDは神経伝達物質であるドーパミンを産生する中脳の黒質神経細胞が著しく脱落・変性し、ドーパミンが減少することにより運動機能の低下や錐体外路症状などが引き起こされる病気である。PD発症のメカニズムの研究には、酸化剤である6-hydroxydopamine(6-OHDA)をラットの黒質緻密層に注入し、ドーパミン神経細胞を特異的に破壊する動物モデルが使われており、6-OHDAによってアポトーシスが誘発され細胞死を招くことが知られている。しかし、in vivoの複雑な系ではこのメカニズムの解明は困難を伴うことも多い。
そこで今回本発明者らはPDのin vitro での実験モデルとして、ドーパミンなどのカテコールアミン産生腫瘍であるラット由来の「PC12」細胞に6−OHDAを作用させ、同時にD-プシコースやD-アロース等を添加することにより、希少糖が6-OHDAに対する細胞保護効果があるかどうか検討した。
[方法]
細胞保護効果(細胞生存率の測定):MTT assay
96ウェルマイクロプレートに1.0×104cells/cm2のPC12細胞を24時間培養後、50mMのD-グルコース、D-プシコース、D-アロース、D-フラクトース等を添加するものと添加しないものに分けた。更に糖添加より3時間後、200μM 6−OHDAを添加した。6−OHDA添加24時間後、細胞生存率の測定指示薬としてMTTを添加し、マイクロプレートリーダーで波長570nmにおいて吸光度を測定することによって細胞生存率を測定した。測定結果を図1に示した。
[結果]
50mMのD-プシコース、D-フルクトース、D-アロース、D-グルコースを添加したところ、200μM 6-OHDAのみの添加時には、その毒性によって約45%の細胞が生存しているのに対し、50mM D-プシコースとの同時添加では75%近い細胞の生存が認められ、顕著な差が認められた(図1参照)。
有意差検定の結果、50mM D-プシコースとの同時添加では0.001>Pとなり、有意に差があることも確認した。また、50mM D-フルクトースとの同時添加でも0.001>Pとなり、細胞保護とは逆に効果があることがわかった。
また、D-アロースの同時添加では、検定の結果0.01>Pであった。
[考察]
細胞生存率測定の結果より、6−OHDA存在下でのD-プシコースまたはD-アロース添加PC12細胞においては添加なしの細胞に比べ有意な細胞生存が見られ、細胞保護効果が認められた。特にD-プシコースにおいて顕著な効果が確認された。この詳細な機序は不明であるが、報告されている6−OHDAの作用機序を考えると、希少糖による抗酸化作用の可能性が示唆される
《6-OHDAを投与したPC12細胞に対する希少糖の細胞保護効果の検討2》
[方法]
1. 細胞生存率の測定:MTT assay
(1)6-OHDA処理PC12細胞における糖添加の影響
96ウェルマイクロプレートに1.0×104cells/cm2のPC12細胞を24時間培養後、50mMのD-プシコースおよびD-フラクトースを添加するものと添加しないものに分けた。更に糖添加より3時間後、200μM 6-OHDAを添加した。6-OHDA添加24時間後、細胞生存率の測定指示薬としてMTTを添加し、マイクロプレートリーダーで波長570nmにおいて吸光度を測定することによって細胞生存率を測定した。
(2)6-OHDA処理PC12細胞におけるD-プシコースの濃度依存性
D-プシコース濃度を5〜100mMの範囲で添加し、上記と同様の方法で測定した。
(3)6-OHDA処理PC12細胞におけるGSH存在下での糖添加の影響
0.5mM および1.0mM のGSHを6-OHDA添加直前に添加し、上記と同様の方法で測定した。
2.アポトーシスの検出
(1)TUNEL(terminal deoxynucleotidyl transferase mediated dUTP nick end-lableling)染色
8チャンバーのスライドにMTTと同様の条件で細胞を培養および薬剤処理した。培養終了後、細胞を固定し、DeadEnd Fluorometric TUNEL System(promega)にてTUNELassayを行い、蛍光顕微鏡下でアポトーシスを検出した。また、各スライドにおいて少なくとも4視野以上で全細胞およびアポトーシス細胞を計測し、アポトーシス率を算出した。
(2)DNA fragmentationの検出
15cm2ディッシュにMTTと同様の濃度で細胞を培養後、200μM 6-OHDA添加した。6-OHDA添加8時間後に細胞を回収し、PBSで洗浄した。 Cell lysis bufferに細胞を溶解し、DNA抽出を行った。抽出したDNAサンプルをアガロース電気泳動しSYBR greenで染色後、UV下でDNA fragmentationを検出した。
3.細胞内Total グルタチオン量の測定
24時間細胞培養後に終濃度50mMのD-プシコースを添加し、3時間後に終濃度200μMの 6-OHDAを添加した。6-OHDA添加、3,6,24時間後に細胞を回収し、サンプルを調製した。GSH量の測定にはTotal Glutathione Quantification Kit(同仁)を使用した。
[結果]
1.細胞保護効果(細胞生存率の測定)
図2に実験に供したD-プシコースとD-フラクトースの構造式および関係を示した。
MTT測定による結果を図3に示す。50mMのD-プシコース、フルクトースを添加したところ、200μM 6-OHDAのみの添加時には、その毒性によって約45%の細胞が生存しているのに対し、50mM D-プシコースとの同時添加では75%近い細胞の生存が認められ、顕著な差が確認された(図3参照)。
有意差検定の結果、50mM D-プシコースとの同時添加ではP<0.001となり、有意に差があることも確認した。また、50mM D-フラクトースとの同時添加でもP <0.001となり、細胞保護とは逆に効果を示すことが確認された。
更に、D-プシコースについて濃度の影響を検討した。添加濃度は0,5,10,25,50,75,100mMの各濃度で試験した(図4参照)。
結果、50mMがP<0.001となり最も有意差があった。また、75,100mMでは、反対に細胞生存率が減少した。この試験結果より、50mMで最も効果を発揮することがわかった。
2.アポトーシス抑制効果について
6-OHDA誘導によるアポトーシスを検出した。アポトーシスの特徴として、DNAが180〜200bpの整数倍に断片化するDNA fragmentationという現象がある。このDNA fragmentationをin situで検出するTUNEL assayを行った(図5)。
未処理細胞(A)ではほとんど細胞が光っていないのに対し、6-OHDA処理細胞(B)ではTUNELでラベルされたTUNELポジティブ(≒アポトーシス)細胞が光っているのが観察された。
また、D-プシコース存在下(C)ではTUNELポジティブ細胞が減少し、D-フラクトースでは増加していることが判明した。
全細胞とアポトーシス細胞をカウントすることにより、アポトーシス率を算出した(図6)。その結果、アポトーシス率は6-OHDA添加は約40%であったのに対し、D-プシコースは約23%と減少していた。また、D-フラクトースは55%と増加していた。更に有意差検定の結果、D-プシコースは6-OHDAに対してp<0.05、D-フラクトースに対してp<0.0005とアポトーシスを有意に抑制していることが分かった。
以上の結果はMTT測定による細胞保護効果の結果と一致し、これを支持するものであった。
また、DNA fragmentationをアガロース電気泳動でも確認し、6−OHDAによりアポトーシスが実際に誘導されていることを確認した(図7)。
3.細胞内および細胞外でのGSHへの影響
上記1.および2.の実験結果よりD-プシコースに細胞保護効果およびアポトーシス抑制効果があることが判明した。次に細胞内での糖の作用を調べるために、以下の実験を行った(図8参照)。
まず、D-プシコースが抗酸化以外に作用しているかどうか確認するために、抗酸化剤であるグルタチオン(GSH)を同時に添加して細胞保護効果の試験条件と同様にMTT測定を行った。
その結果、200μM 6-OHDA処理PC12細胞において0.5、1mM GSH添加ではほぼ100%前後の生存率の回復は確認できた。また、GSH存在時には50mM D-プシコースの有無に関らず生存率が無変化であった。しかし、50mM D-フラクトース添加では今までの結果と同様に生存率が減少し、GSH+D-フラクトース添加時では濃度依存的に生存率が上昇したものの生存率の回復が抑制される結果となった。
酸化ストレスに対して、細胞内では様々な応答があり、その一つに細胞内グルタチオン(GSH)量の変化がある。これより次に、200μM 6-OHDA処理PC12細胞内GSH量を経時的に測定した。結果を図11に示す。
その結果、6-OHDA添加3時間後では6-OHDA 添加サンプルは全てGSH量が減少していた。
また、24時間後では6-OHDA添加サンプルは全てGSH量は上昇し、特にD-プシコースで顕著であった。
[考察]
上記1.の細胞生存率測定の結果より、6−OHDA存在下でのD‐プシコース添加PC12細胞においては添加なしの細胞に比べ有意な細胞生存が見られ、細胞保護効果が認められた。
同様に、上記2.のアポトーシスの検出では、6−OHDA存在下でのD‐プシコース添加PC12細胞において添加なしの細胞に比べ有意なアポトーシス抑制が確認された。このことより、D-プシコースは細胞保護効果や、更にアポトーシス抑制効果があることがあることが推察される。また、報告されている6−OHDAの作用機序を考えると、D-プシコースによる抗酸化作用の可能性が示唆される。
次に、6-OHDA存在下で抗酸化剤であるGSHを添加し、D-プシコースの作用を検証した。GSHの存在により6-ODHA添加サンプルはほぼ100%の生存率に回復していることから、6-OHDA による細胞への障害が酸化によるものであることを再確認した。更に、GSH存在下ではD-プシコースの有無に関らず生存率が変化しなかったことから、D-プシコースは抗酸化以外には作用していないことが考えられる。
また、酸化ストレスに対応する細胞内応答の指標として細胞内GSH量の測定をした。6-OHDA添加3時間後では6-OHDA添加サンプルは全てGSH量が減少していたが、これは細胞内還元型GSHが酸化物と反応して酸化型GSSGに変化し、抗酸化に作用したためと考えられる。更に、24時間後では6-OHDA添加サンプルは全てGSH量が上昇しており、D-プシコース添加において顕著に増加していた。これは今までの報告例とも合致する現象であり、特にD-プシコースにおいて顕著であったことから次のことが考えられる。細胞は酸化ストレスに対応するために一時的に細胞内の還元型GSHを酸化型GSSGに変化させることで細胞を保護しようとする。しかし、それ以上に細胞にとってシビアな(酸化ストレスが強い)環境下では、生産レベル等を促進することで細胞内GSH量を増加させ、酸化ストレスによるアポトーシスから細胞自身を保護しているのではないかと考えられる。特にD-プシコースではこのGSH生産レベルの活性が促進され、他の6-OHDA添加サンプルとのこのGSH量の差がアポトーシス抑制および細胞保護効果に繋がっていると考えられる。
近年、その抗酸化能や様々な知見から、GSH自身や脳内のGSHレベルを増加させるようなGSH代謝に関連分子にPDへの治療薬としての可能性が高まってきている。今回の細胞保護効果やGSHレベル促進の結果より、D-プシコースに神経疾患の治療に対する神経保護物質としての可能性が示唆される。
《Parkinson病モデルラットにおける希少糖による細胞保護効果》
[目的]
パーキンソン病は黒質線条体のドーパミンニューロンの変性を主体とする疾患であり、パーキン遺伝子、α―synucleinの異常やフリーラジカルの影響が考えられている。パーキンソンモデル動物として6-OHDAによる線条体破壊ラットがよく使われているが、このモデルの細胞障害機序としても6-OHDAによるフリーラジカル産生が示唆されている。他の実験系の結果から希少糖はフリーラジカルの産生抑制作用があることが示されており、6-OHDA投与によって作成したパーキンソンモデルにおける細胞保護効果について検討した。
[方法]
(1)6-OHDAによる黒質線条体破壊:オスのSprague-Dawley(SD)ラット(体重250g前後)をペントバルビタールで麻酔後に定位脳手術装置に固定する。このラットの片側黒質線条体(A=-5.3 mm, L=1.6 mm, V=7.5 mm)にドーパミンニューロンを破壊するために6−OHDA(5 mg/ml)を27ゲージのステンレスカニューレを介してマイクロインジェクターで注入する。
(2)希少糖の頚静脈投与:これらのラットに対して(術前5分前と術後3分に)希少糖(Allose(200mg/kg)またはPsicose (200mg/kg))を頸静脈内投与するものと生理食塩水(コントロール)を投与するグループを作成し、希少糖投与によって6−OHDAによるドーパミンニューロン破壊やラット運動機能にどのような影響があるか実験を行った。
(3)免疫組織染色:ラットを麻酔し、PBSさらに4%パラフォルムアルデヒド(in PBS)で灌流固定する。その後、脳を取り出し、一晩パラフォルムアルデヒドで固定した後に、30%ショ糖で浸透圧調節を行う。この脳組織からクリオスタットで厚さ20マイクロメートルの切片を作成する。脳切片を抗チロシン水酸化酵素(Tyrosine Hydroxylase:TH)抗体によって免疫染色し、ドーパミンニューロンの変性程度を調べる。
(4)運動機能評価:パーキンソンモデルラットに対して、アポモルフィン(1mg/kg BW)を投与し、ローテーションテストを行う。ラットの回転運動を記録する装置によって60分間の回転数を記録する。
[結果]
(1)免疫組織染色:
免疫組織染色によりドーパミンニューロンの変性程度を調べた結果を図9に示す。
A. 生理食塩水静脈内投与群:生理食塩水を静脈内投与したラットでは6-OHDA投与側(右側)の抗TH抗体による染色が著明に低下していた。
B. Allose静脈内投与群:Alloseを投与したラットにおいては生理食塩水投与群に比べて6-OHDA投与側(右側)での抗TH抗体による染色が見られた。
C. Psicose静脈内投与群:Psicoseを投与したラットにおいては生理食塩水投与群に比べて6-OHDA投与側(右側)での抗TH抗体による染色が見られた。
(2)行動実験:
6-OHDAと生理食塩水、AlloseまたはPsicoseを投与したラットに対して手術後10−14日後にApomorphineを腹腔内投与し、回転数測定装置によって1時間あたりの回転数を測定した。回転実験のコントロールとして6-OHDAの代わりに黒質に生理食塩水を注入し、頚静脈からも生理食塩水を投与したラットも作成した。行動実験の結果を表2〜4および図10に示す。この黒質および頚静脈に生理食塩水を投与したラットでは右(CW)および左(CCW)回転に大きな差はなかったが、6-OHDAを黒質に注入したラットではCCW方向の回転が著明に増加した。このCCW方向の回転はPsicoseまたはAllose投与群では回転運動が抑制された。
[考察]
(1)抗チロシン水酸化抗体を用いた免疫組織で6-OHDAによって黒質のドーパミン細胞数が減少したが、希少糖(D-アロースまたはD-プシコース)を頚静脈を介して投与することによって細胞数減少が抑制されることがわかった。この詳細な機序は不明であるが、6-OHDAがフリーラジカルや酸化作用によってドーパミン細胞を死滅させることを考えると希少糖のフリーラジカル除去作用や抗酸化作用が働いていることが考えられる。
(2)行動実験においても6-OHDA投与ラットでは黒質ドーパミン細胞破壊のために回転運動の片側偏位が認められたが、希少糖投与によって回転の偏位が抑制された。これは希少糖(D-アロース)による細胞保護作用によると考えられる。
(3)現在の問題点としては、すべてのラットの黒質に6−OHDAを正確に注入することはむずかしく、免疫染色の切片での確認が必要であるが切片内に気泡が発生し、バックグラウンドとなったり、原因不明の染色性の低下などまだ改善すべき点が残っている。今回の行動実験でも6-OHDA投与群と希少糖投与群では回転運動に大きな違いがあったが、免疫染色での確認が完全にできていないため、今後改善していく必要がある。
神経変性疾患やプリオン病の予防薬(剤)や治療薬(剤)は未だ有効なものが開発されていない状況である。本発明により、希少糖を含有する特定保健用食品や内服薬・注射薬などの薬品の開発が可能となる。神経変性疾患で悩む患者は多く(日本においてはパーキンソン病では5万人以上)これらの予防薬(剤)や治療薬(剤)の登場は多くの患者に福音をもたらす。またプリオン病においては、ヒトでの患者数は多くないものの、牛や羊など動物における本疾患が大きな社会問題となっており、これらの予防薬(剤)や治療薬(剤)としても大きなインパクトと需要が期待できる。
6-OHDA処理PC12細胞に対する希少糖の細胞保護効果を示す図面である。 D-プシコースとD-フラクトースの構造式および関係を示す図面である。 糖の200μM 6-OHDA処理PC12細胞に及ぼす影響を示す図面である。 プシコース濃度の200μM 6-OHDA処理PC12細胞に及ぼす影響を示す図面である。 6-OHDA誘導によるアポトーシスをTUNEL assayで検出した結果を示す図面に代わる写真である。 アポトーシスに対する糖の効果を示す図面である。 アガロース電気泳動によるDNA fragmentationの確認し、6−OHDAによりアポトーシスが実際に誘導されていることを確認を示す図面である。 CSH存在下での200μM 6-OHDA処理PC12細胞における糖の影響を示す図面である。 免疫組織染色によりドーパミンニューロンの変性程度を調べた結果を示す図面に代わる写真である。 Apomorphineの投与による回転運動の測定結果を示す図面である。 細胞内totalGSH量の経時変化(n=3)を示す図面である。 糖濃度と浸透圧の関係を示す図面である。

Claims (4)

  1. D-プシコース、または、D-プシコースおよびD-アロースを有効成分とする黒質のドーパミン作動性神経細胞の酸化傷害抑制剤。
  2. 請求項1に記載の黒質のドーパミン作動性神経細胞の酸化傷害抑制剤からなる神経細胞死抑制剤もしくは脳神経細胞保護剤。
  3. アルツハイマー病、脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy, SMA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、ハンチントン病、網膜色素変性症、緑内障および小脳変性からなる群から選ばれる神経変性疾患、新生児核黄疸、筋ジストロフィー、脳虚血またはその後の遅発性神経細胞死(DND)、プリオン病、または脳神経組織(中枢神経、末梢神経)移植時の該移植脳神経組織の機能不全の予防および/または治療薬である請求項2に記載の神経細胞死抑制剤もしくは脳神経細胞保護剤。
  4. 請求項1に記載の酸化傷害抑制剤を含有することを特徴とする脳神経組織(中枢神経、末梢神経)細胞培養用の培地。
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