JP4723782B2 - 新規なキメラ蛋白質及び該蛋白質の使用方法 - Google Patents
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Description
本件は、国立健康研究所(National Institute of Health)の承認R01 CA-74958及びR01 AI-31044に基づく支援を一部受けている。
【0002】
関連出願の記載
本願は2000年1月3日出願の米国仮特許出願第60/174258号に基づく優先権を主張する。
【0003】
発明の分野
本発明は、第1細胞に付着することができ、該細胞から第1信号をマスキング又は第1信号に干渉することができ、一方で第2の型の信号を第2細胞へ授与することのできる新規なキメラ蛋白質に関する。この蛋白質は、数多くの免疫障害及びその他疾患の治療に有用である。一方の細胞の減少(decrement)に影響を与え、他方の細胞にトランス信号(trans signal)を送る方法についても開示する。
【0004】
背景情報
免疫系には2種類の異なる細胞、つまりBリンパ球(B細胞)とTリンパ球(T細胞)がある。B細胞は抗原に出くわすと抗体を作り、多くの場合、これら抗体は保護する性質を有する。しかしながら、自己免疫疾患の場合、抗体の中には、個体の組織と反応を起こすものがある。それらの抗体が組織中に蓄積すると、炎症性反応及び組織損傷をもたらす。T細胞もまた、B細胞と同様、抗原に出くわすと活性化される。T細胞が発達するにつれて、「胸腺教育」と呼ばれるプロセスを受ける。この胸腺教育中、T細胞の95%以上は死に到る。T細胞は個体自体の組織(自己抗原)を認識し反応するT細胞受容体を有するが、このT細胞は特異的に排除される。自己反応性T細胞の中には、排除プロセスを免れるものもあるが、免疫応答を開始して自己免疫性疾患を生ずる。
【0005】
T細胞活性を調節することは、免疫病原性T細胞に関する病気の治療目標として有意義である。T細胞受容体(T cell receptor; TCR)の刺激の後のTリンパ球の宿命は、共刺激と阻害受容体の投入を一体化することによって導かれる。抗原提示細胞(antigen presenting cells; APC)の共刺激リガンドは、T細胞のコグネイト受容体分子をトリガし、T細胞の増殖、サイトカイン分泌及び分化を増進する。これに対し、阻害リガンド分子がTリンパ球のコグネイトカウンター受容体に結合すると、T細胞の不応答又は予定細胞死(programmed cell death; PCD)(アポトーシスとも称される)を誘発するので、エフェクター機能を減少させる。共刺激及び阻害受容体経路の相互作用は、共刺激遮断剤の存在下で阻害剤活性の向上を示す実験によって提案されている。
【0006】
細胞障害性Tリンパ球関連蛋白質(CTLA-4(CD152))は、活性化されたTリンパ球の表面に発現した阻害受容体分子である。APCに存在するB7-1(CD80)及び/又はB7-2(CD86)のリガンドと関与した後、CTLA-4カウンター受容体は、関連するSHP-2フォスファターゼを経て、T細胞活性を阻害する。活性化されたT細胞には、CTLA-4が、二流化物と結合したホモ二量体糖蛋白質錯体として存在する。組換え型で可溶性のCTLA-4:免疫グロブリンンG(CTLA-4:Ig)キメラ蛋白質は、T細胞表面に活性化CD28受容体に対するCD80/CD86分子の結合を競合的にブロックすることにより、阻害機能を示す。CTLA-4:Igはまた、CD28を通じてT細胞の共刺激をブロックすることにより、拒絶反応及び自己免疫疾患の動物モデルにおいて、免疫抑制活性を示す。さらにまた、細胞内T細胞のCD28を経た生存信号の伝達は、APCをCTLA-4:Igで処理することにより拮抗する。このCTLA-4:Igは、Fas依存性PCDに対する感受性を向上させる。CTLA-4と、CTLA-4:Igの作用については、米国特許第5885776号、第5885579号、第5851795号及び第5968510号に開示されている。
【0007】
アポトーシス(又はPCD)は、細胞ホメオスタシスの調節に不可欠な細胞死とは異なる形態である。免疫系において、Fas(CD95)受容体と、そのリガンドFasL(CD95L)は、免疫細胞性細胞障害などのアポトーシスの誘導、及び細胞免疫応答の調節に伴う種々のプロセスに参加する。FasLは腫瘍壊死因子のファミリー分子(superfamily)の一部であり、免疫細胞(例えば、単核白血球、NK細胞、活性化B細胞及び活性化T細胞など)の限定サブセットによって発現する。細胞表面では、FasLは、三量体錯体内のタイプII膜蛋白質として方向づけられる。膜型FasLのメタロプロテナーゼ切断によって、可溶性FasL(sFasL)の三量体が膜から解放される。FasL分子は、Fas依存性PCDをトリガする。
【0008】
分子又は分子錯体の価数(valency)は、細胞表面との関与によって増加する。組換え型sFasL分子の異なるコーディングシーケンスは、マクロ分子の凝集に影響を及ぼし、この凝集はsFasLの前アポトーシス機能に影響を及ぼす。特に、天然sFasL分子は、三量体を形成し、アポトーシスの誘導は少ない。これに対し、組換え型の全長細胞外ドメインであるsFasLポリペプチドは、もっと高いオーダの凝集物を形成し、より強力なアポトーシス活性を示す。さらにまた、ヒト293細胞の組換え体発現によって作られるsFasLの錯体は、Fas感受性細胞の溶解に架橋結合を必要とする。
【0009】
米国特許第5830469号は、ヒトFas抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体と結合蛋白質を開示しており、抗原及び抗体の幾つかは、T細胞の増殖を刺激し、抗FasCH-11モノクローナル抗体が介在する細胞の溶解を抑制し、Fasリガンドが介在する細胞の溶解をブロックするものとして報告されている。Fas・Fc融合蛋白質もまた開示されている。
米国特許第5242687号、第5601828号及び第5623056号は、細胞に結合するが、細胞によって作られる信号をマスクしないCD8コンポーネントを含む様々な融合蛋白質を開示している。
米国特許第5359046号は、MHC以外の遺伝子が制限された形で、リガンドに結合できる細胞外ドメイン、膜貫通型ドメイン、及び信号伝達経路を活性化させることのできる細胞質ドメインを含むキメラ蛋白質を開示している。同様な技術が米国特許第5686281号に開示されている。
【0010】
これらの先行技術は、免疫抑制分子を、キメラ蛋白質や細胞に移す方法についての記載はあるが、本発明のキメラ蛋白質の2つの特徴を組み合わせる蛋白質の使用についての開示は全くない。より具体的に説明すると、これまで報告されたキメラ蛋白質には、ブロッキング蛋白質と信号伝達(signaling)蛋白質の両方として機能するように設計されたものはない。そのような結果や、そのような結果が好ましいことを開示したものはなく、示唆すらされていない。これらの蛋白質を、免疫系障害その他の疾患の治療に適用することは有用である。
【0011】
発明の要旨
本発明は、新規なキメラ蛋白質を提供するもので、それらコンポーネントの蛋白質要素による固有の特徴を有しており、その特徴として、第1細胞の表面に結合する能力、第1細胞からの正常なトランス信号(trans signal)を減少させる能力及び異なるトランス信号を第2細胞へ送る能力という3つの能力を挙げることができる。第1細胞への結合は、キメラ蛋白質を細胞に局在化(localize)させる作用がある。キメラ蛋白質は、通常は第1細胞の「アンカー」分子によって送られるトランス信号に干渉し又は該信号をブロックすることができる。また、キメラ蛋白質は、それ自身のトランス信号を第2細胞へ送ることができる。このように、同じキメラ蛋白質が、第1の信号をブロック若しくはマスクするか又は該信号に干渉することできると共に、第2の信号を与えることができる。本発明のキメラ蛋白質は、その他にも、エピトーグタグ及び/又はその他蛋白質又は蛋白質以外の要素のように、追加の生物学的特性又は治療上の利点をもたらす有用な特徴を含んでおり、例えば、インビボでの組換え型蛋白質の半減期を長くし、アフィニティ・クロマトグラフィー又はその他の生化学的方法を通じて増殖を容易にし、抗体又はその他の結合要素を通じてエクスビボ及びインビボでの蛋白質の検出を容易にすることができる。本発明のキメラ蛋白質は、数多くの方法で、所望の能力を達成させることができる。例えば、阻害性の第2蛋白質を用いることにより、本発明の蛋白質を、自己免疫やアロ免疫のような免疫系障害の治療用として適したものにすることができるし、第2の蛋白質コンポーネントの中に刺激性のトランス信号伝達要素(trans signaling element)を用いることにより、本発明の蛋白質を、癌や感染性疾患のように免疫細胞の刺激が必要とされる病気の治療に適したものにすることができる。
【0012】
さらに、本発明は、本発明のキメラ蛋白質を作る方法を提供し、また、自己免疫及びアロ免疫の研究及び治療にこれら蛋白質を用いる方法を提供するものである。その他に、自己免疫及びアロ免疫疾患を研究及び治療する方法についても開示する。これらの方法は、インビボ及びインビトロの両方に適用できる。
それゆえ、本発明の目的は、一方の信号をブロックし、他方へ送るという2つの機能を具える新規なキメラ蛋白質を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、自己免疫及びアロ免疫疾患の研究及び治療用として、また、癌及び感染性疾患の研究及び治療用としてのキメラ蛋白質を提供することである。
本発明のこれらの目的及び他の目的については、以下の説明及び請求の範囲の記載から明らかになるであろう。
【0014】
発明の詳細な記述
本発明は、第1細胞に結合する機能を有し、この結合機能を通じて該細胞から発生する信号に干渉する第1蛋白質と、第2細胞へ異なる信号を送る第2蛋白質とを具えるキメラ蛋白質に関するものである。ここで、「干渉(interference)」とは、通常は第1細胞から送られるトランス信号の減少のことである。望ましい実施例において、第1蛋白質は、第1細胞から送られる信号を直接ブロック又はマスクするもので、ここでは「アンカー」細胞として記載することもある。本発明のキメラ蛋白質は、アンカー細胞に対して定量的に付着することができる。すなわち、アンカー細胞に結合するキメラ蛋白質の量は、放射性同位元素又はその他物質でラベルされたキメラ蛋白質の量を測定することによって評価される。アンカー細胞に結合するキメラ蛋白質の最大量は、キメラ蛋白質が結合するアンカー細胞に存在する蛋白質又はその他分子の量によって決定される。
【0015】
第1蛋白質は、特定の型又は集団(population)のアンカー細胞を標的とすることができるように選択される。同様に、第2蛋白質は、蛋白質からのトランス信号を受ける特定の型又は集団の細胞を標的とすることができるように選択される。様々な表面分子が、蛋白質及び糖脂質を含む第1及び第2細胞で標的とされることができる。本発明の自由度及び有用性は、様々な細胞型を標的とするキメラ蛋白質の機能に由来するだけではない。個々の細胞の表面分子表現型は、それら分子や細胞の環境変化(例えば、代謝、増殖及び/又は分化状態における指令の変遷)の結果、時間と共に変化するから、与えられた第1細胞(アンカー細胞)及び第2細胞が特定表面の分子形態を表示するとき、キメラ蛋白質はこれら細胞に選択的に結合するように設計される。従って、本発明のキメラ蛋白質は、異なる細胞型を区別できるだけでなく、同じ細胞型が異なる細胞状態にある場合も区別することができるので、一時的選択性(temporal selectivity)と空間選択性(spatial selectivity)を組み合わせることができる。
【0016】
本発明のキメラ蛋白質は、使用者の必要性及び要望に応じて、多くの方法により、様々な機能目的を達成することができるように構成される。この目的のために、キメラ蛋白質は2以上の蛋白質コンポーネントを含むように構成される。例えば、蛋白質は2以上のトランス信号伝達コンポーネントを含むことができ、各コンポーネントは、同じものでも異なるものでもよい。また、エピトーグタグを含んでもよい。さらにまた、安定性を向上させ、アフィニティ・クロマトグラフィー又はその他の生化学的方法を通じて増殖を容易にし、抗体又はその他結合要素を通じてエクスビボ及びインビボでの蛋白質の検出を容易にし、ロイシンジッパー等の要素を通じてその他分子との関与を可能とし、プロテアーゼの如き物質による切断を可能ならしめる等の特別な特性を付与することのできる他の蛋白質又は蛋白質以外の要素を含むことができる。本発明のキメラ蛋白質の第1及び第2の蛋白質コンポーネントは、I型又はII型の膜蛋白質に由来することができる。これらの蛋白質は、そのアミノ末端が細胞膜の細胞外又は細胞内のどちらかの側にある。さらにまた、第1及び第2の蛋白質コンポーネントは、天然可溶性の蛋白質に由来することもできる。
【0017】
どんな細胞も、アンカー細胞、及びトランス信号を受ける第2細胞として標的にされることができる。また、第1及び第2蛋白質は、特定の病気を治療するために、又は所望される特定の目的のために、適当な細胞型を標的にするよう構成することができる。例えば、第1細胞/第2細胞の組合せとして、抗原提示細胞(APC)/T細胞、T細胞/T細胞、T細胞/B細胞、内皮細胞/造血細胞、癌細胞/癌細胞、正常細胞/癌細胞、癌細胞/正常細胞などの組合せを挙げることができる。なお、これらの組合せは単なる代表例であって、第1細胞/第2細胞の可能性のある組合せの全てを網羅している訳ではないことは認識されるべきである。
【0018】
蛋白質が細胞の表面に結合できるのであれば、第1蛋白質としてどんな蛋白質を用いることができる。この結合機能により、細胞から発生する特定のトランス信号は減少する。本発明の一実施例では、トランス信号の減少が起こるのは、通常は第2細胞のカウンター受容体と接触する接触サイトにあるアンカー細胞のトランス信号伝達蛋白質の中で、これら蛋白質構造要素の直接マスキング又は「競合的ブロッキング(competitive blocking)」によるものである。本発明の他の実施例では、トランス信号の減少は、間接的機構によって起こる。この機構として、正常なトランス信号を介在する蛋白質の「アロステリック阻害」によってトランス信号が減少する例を挙げることができる。この例では、キメラ蛋白質の第1蛋白質がアンカー細胞のトランス信号伝達蛋白質のサイト(このサイトは、第2細胞のカウンター受容体と直接接触するサイトとは区別される)に結合する。幾つかの天然トランス信号伝達分子は実際には多分子錯体であるので、本発明のキメラ蛋白質の第1蛋白質は、多分子錯体の一方の蛋白質又は他方の分子コンポーネントに結合することができ、この結合を通じて、本発明の他の実施例における錯体の他方の分子コンポーネントからのトランス信号と干渉する。本発明のさらに他の実施例において、本発明のキメラ蛋白質の第1蛋白質は、アンカー細胞内の信号伝達経路(signaling pathway)をトリガすることができる。このように、本発明のキメラ蛋白質の第1蛋白質の固有の特徴は、直接的及び/又は間接的な数多くの機構のどれかを介して天然トランス信号を減少又は排除することであり、前記機構の例として、競合的遮断物質(competitive blockade)、アロステリック阻害、機能性多分子のトランス信号伝達錯体の破壊、細胞内信号伝達による第1信号の機能修飾(functional modification)などを挙げることができる。
【0019】
第1蛋白質は、様々な細胞型又は異なる機能状態の細胞からの多くのトランス信号におけるどの信号も減少させることができるように選択される。一実施例において、第1蛋白質は、APC表面の共刺激物質(costimulator)をブロックする。望ましい共刺激ブロッカーとして、CTLA-4、CD27及びICOSの如き共刺激受容体分子を挙げることができる。CTLA-4は、B7共刺激物質に結合し、これによって該共刺激物質をブロックすることが知られている。B7共刺激物質として、APCのB7-1(CD80)及びB7-2(CD86)を挙げることができる。CD27は、共刺激物質CD70に結合する。ICOSは、共刺激物質B7-hに結合する。他の実施例において、第1蛋白質は、細胞表面の阻害分子をブロックする。阻害分子の望ましいブロッカーとして、Fas、DcR3、Fasの天然可溶性類似体を挙げることができ、これらは、阻害Fasリガンドが、第2細胞のFas受容体への結合に干渉する。
【0020】
第1蛋白質は、トランス信号伝達分子に対する、天然の細胞表面カウンター受容体に限定されるものではない。可溶性サイトカインもまた、本発明のキメラ蛋白質における第1蛋白質として用いることができる。第1蛋白質の例として、腫瘍成長因子−ベータ(TGF-β)、ミューラー阻害物質(MIS)、肝細胞成長因子(HGF)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これに関連して説明すると、サイトカインは、キメラ蛋白質を適当なアンカー細胞(関連するサイトカイン受容体を意味する)に向けるだけではなく、アンカー細胞内の信号伝達経路を同時にトリガし、その信号伝達レパートリーと共に、代謝、増殖及び/又は分化状態を変化させる。それゆえ、一実施例において、第1蛋白質は癌細胞のサイトカイン受容体に対して作用する。TGF-beta受容体は、様々な種類の癌細胞に存在するから、癌細胞に対して望ましい標的である。卵巣癌に対しては、例えばTGF-beta受容体が細胞増殖の低下をトリガすることができる。また他の望ましい標的として、肝細胞成長因子受容体があり、これは悪性神経膠腫の他に、乳癌や卵巣癌にも存在する。
【0021】
例えば、免疫グロブリンIgG1分子の免疫グロブリン(scFv)のFv領域を含む単一ポリペプチド鎖誘導体もまた第1蛋白質として用いることができる。scFvの具体例として、サイトカイン及びその他受容体(例えばHER-2/neu)、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、CD33並びにAIRM1に対して特異性を有するものを挙げることができる。HER-2/neu受容体は、乳房や卵巣の上皮癌に存在するため、癌細胞に対して望ましい他の標的である。CEAは、大腸癌などの胃腸腫瘍に多く発現し、それによる免疫阻害特性を有する。PSAは殆んどの上皮前立腺癌によって多く発現する。CD33とAIRM1は、骨髄単球性系統の細胞に発現したシアロアドヘジンファミリーである。慢性骨髄白血病細胞のCD33又はAIRM1を抗体でライゲーション(ligation)すると、細胞の増殖と生存は減少する。
【0022】
なお、第2細胞に例えばトランス信号などの信号を送ることができ、その信号がキメラ蛋白質の第1蛋白質コンポーネントによって変化したトランス信号とは区別されるものであれば、前記と同様、第2蛋白質として適当などんな蛋白質を用いることができる。第2蛋白質は、阻害信号を送る蛋白質、活性化信号を送る蛋白質、又は第2細胞の数多くの生物学的特性(例えば、代謝、増殖又は分化状態)を変える蛋白質であってよい。阻害蛋白質の望ましい例として、Fasリガンド(FasL)を挙げることができる。FasLは、活性化されたT細胞のFas受容体に結合し、これによって該受容体をトリガするものとして知られている。阻害蛋白質の他の例として、TRAIL、TWEAK、CAR、CD40、CD8、PP14、BAFF/TALL-1/THANK/BLys、PD-1及びRCAS1を示すことができる。活性化蛋白質の望ましい例として、B7-1(CD80)を示すことができる。これは、活性化トランス信号をT細胞へ送達するのに用いられる。活性化蛋白質の他の例として、B7-2(CD86)、B7-h、CD40L(CD154)、CD30L、OX-40L(CD134L)、4-1BBL(CD137L)、CD70、ICAM-1、ICAM-2、LFA-3(CD58)、HSA(CD24)、LIGHT、SLAM、リンホトキシン、及び周知の数多くのケモカインの任意の一種を挙げることができる。分化蛋白質因子の例として、TRANCE、c-KitL/SCF、IL-3、及びGM-CSFがある。これらの例は、大部分が、免疫系及び造血系に関連する蛋白質から引き出されるものであり、本発明のキメラ蛋白質の中の第2蛋白質として示すことのできる蛋白質の極く一部を表しているにすぎない。
【0023】
本発明の望ましいキメラ蛋白質はCTLA-4・FasLである。FasL配列を有するCTLA-4の遺伝学的キメラ化と組換え体発現により、キメラCTLA-4・FasL"トランス信号変換蛋白質"が得られ、これは、CTLA-4とFasLの両方に起因する構造的及び機能的特性を呈する。細胞が関与した可溶性キメラFasLポリペプチドの有効性を比較すると、細胞表面に関わった後の機能について有意的な向上が認められる。CTLA-4・FasLで前処理した細胞は、Fas依存性エフェクタ機能を仲介する能力を獲得する。病原性T細胞の機能をなくすには、CTLA-4・FasLキメラ蛋白質を用いて、APCによるT細胞のB7共刺激を同時にブロックして主細胞の生存と活性化経路に干渉し、T細胞のFas介在の信号伝達をトリガすることによって行なうことができ、幾つかの場合に予定細胞死がもたらされる。CTLA-4・FasLは、このように、外因性送達によるFasLの発現と、混合細胞集団内のCD80又はCD86を発現する細胞の選択的なコーティングを行なう手段を提供する。さらにまた、CTLA-4・FasLの具体例は、II型膜蛋白質(この場合はFasL)の機能誘導が本発明のキメラ蛋白質に対して特に適していることを示している。
【0024】
本発明の蛋白質は、数多くの形態で存在することができる。例えば、直線状又は枝分かれしたポリペプチドの形態であってよい。直線状キメラ蛋白質は、組換えDNA技術によって作ることができる。例えば、キメラ転写カセットの組立ては、制限エンドヌクレアーゼサイトのオーバラップ、又はポリメラーゼ鎖反応(PCR)に基づくスプライス・バイ・オーバーラップ・エクステンション(splice-by-overlap-extension)[Horton,et al.,Gene,77:61-68(1989)]の方法によって行なうことができる。具体的方法は以下の実験の中に含められている。
【0025】
分枝ポリペプチドのキメラ蛋白質の生成は、テンプレート組織化合成ペプチド(TASP)の技術[Mutter,Trends Biochem.Sci.13:260-265(1988)]によって行なうことができる。このプロセスにより、ペプチド単位は別個に合成され、化学結合試薬を用いて、コアペプチドの如き多機能担体に共有結合される。例えば、グラシジンSの環状デカペプチド類似体は、その中に2つの逆平行ベータシートセグメント(lys-ala-lys)が2つのベータターンによってリンクされており、これをコアペプチドとして用いることができる。第1及び第2蛋白質を、4リジン側鎖のイプシロンアミノ基に付着させるのに、セグメントの固体化(segment condensation)の方法を用いることができる。
【0026】
本発明の蛋白質は、化学結合のような橋架け結合された2以上の別個の蛋白質として存在することもできる。例えば、2以上の蛋白質コンポーネントは、例えばジチオビス(スクシニミジルプロプリオネート)(DSP)の如き化学架橋試薬を用いて、分枝構造の中で直接互いに共有結合されることができる。この方法により、例えば第1及び第2蛋白質を直接結合させることができる。直線状のポリペプチドと比べて、分枝状のキメラ蛋白質は、例えばLFA-1をICAM-1、-2及び-3に結合するときのような低アフィニティの相互作用に非常に適している。また、分枝状ポリペプチド錯体を一体化させるのと同時に、トランス信号伝達蛋白質の混合物を施すことができる。理論的には、2以上のトランス信号伝達コンポーネントがもたらす相乗効果により、錯体の全体的性能の向上が期待される。
【0027】
本発明のキメラ蛋白質は、前述したように、1又は2以上の数多くの他のコンポーネントを含めることにより、特に、免疫学的研究、動物モデル、診断学及び治療学の分野において、本発明のキメラ蛋白質の有用性を高めることができるであろう。例えば、蛋白質はエピトープタグを含むように設計することができる。エピトープタグは、特にラボラトリー環境において、本発明の蛋白質の精製(purification)を容易にし、細胞上又は細胞集団内の蛋白質の局在化を進め、蛋白質の生物学的活性を高める。例えば、第1蛋白質又は第2蛋白質の一次配列は、遺伝子工学的手法により、種々蛋白質の生化学的分離を促進するためにエピトープタグを含むように変えることができる。この配列を変えるには、隣接する2以上のヒスチジン残留物を挿入することが有用である。この場合、ペプチドのアミノ又はカルボキシ末端に挿入することができる。ポリヒスチジンのエピトープタグを、前述の直線状ポリペプチドキメラ蛋白質に対するリンカーペプチドの中へ挿入することもできる。枝分かれしたポリペプチドの場合、ヒスチジンはコアペプチドの中へ挿入することができる。ヒスチジン残留物の挿入は、スプライス・バイ・オーバラップ・エクステンション法を用いて容易に行なうことができ、ヒスチジンをエンコードするCAT及びCACトリプレットコドンがPCRプライマーのコード配列の適当な位置に挿入される。ヒスチジン修飾蛋白質は、ニッケル・セファロース・クロマトグラフィー法によって、効率的に量的に分離される。また、特定の化学結合試薬に対する反応性アミノ酸の挿入のように、他の一次配列修飾を行なうこともできる。或いはまた、イムノアフィニティーのように従来の多くの生化学的分離法を用いることもできる。その他方法の例として、蛋白質の架橋を許容するFlagエピトープ、マーカー配列及び視覚化配列を挙げることができる。例えば、二量体又は三量体錯体を安定化させるために、ロイシンジッパーを含めることができる。
【0028】
本発明はまた、患者の病気を治療する方法に関するもので、本発明のキメラ蛋白質を患者に対して有効量投与することことを含んでいる。ここで、「患者(patient)」とは、動物界のメンバーを意味し、ヒトに限定されるものではない。免疫調節作用を有するキメラ蛋白質に関して、本発明の方法は一般的に、少なくとも最小の免疫応答を検出できる患者に適用することができる。本発明の方法を用いて、例えば、癌(卵巣癌、乳癌、大腸癌、多形性膠芽腫、前立腺癌、白血病など)、ウイルス感染症(HBV、HCV、HTLV-1、HTLV-II、EBV、HSV-1、HSV-II、KSHVなどにによる慢性ウイルス感染症)、並びに自己免疫及びアロ免疫疾患(関節炎、喘息、移植片対宿主病、臓器拒絶反応、乾せん(psoriasis)、全身エリマトーデス、アトピー性アレルギー、炎症性腸疾患、多発性硬化症、アレルギー性皮膚炎、シューグレン症候群、進行性全身硬化症、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性糖尿病、自己免疫性肝臓病、骨髄異形性症候群など)の如く、様々な病気の治療を行なうことができる。なお、病気はこれらに限定されるものではない。「病気(illness)」とは、癌、ウイルス、自己免疫又はアロ免疫のあらゆるものの状態を意味する。
【0029】
本発明に用いられる具体的な第1蛋白質及び第2蛋白質は、治療する病気に応じて異なる。例えば、癌又はウイルス感染症の治療の場合、第2蛋白質として、免疫細胞応答を刺激するものが一般的に用いられる。病原性免疫応答が存在する免疫系障害を治療する場合、阻害作用を有する第2蛋白質が用いられる。このように、癌とウイルス性疾患に対しては、キメラ蛋白質が一般的に用いられ、阻害信号は、活性化免疫性トランス活性化信号に変換される。充実性腫瘍の場合、腫瘍母地内の腫瘍細胞は、このようにして「免疫原性腫瘍細胞」に変換され、インシチュー生成の癌ワクチン細胞として機能することができる。ここで、免疫活性化する第2蛋白質コンポーネントは、異なる抗腫瘍免疫エフェクタに作用する。このエフェクタとして、蛋白質、T細胞(ヘルパーT細胞、細胞障害性T細胞など)、天然キラー細胞、及び樹状細胞(腫瘍抗原を再処理し提示するために、バイスタンダー抗原提示細胞として機能することができる)を挙げることができる。これに対し、自己免疫及びアロ免疫疾患の場合、キメラ蛋白質の作用により、活性化信号は、阻害作用を有する免疫トランス信号に変換される。この場合、免疫阻害作用を有する第2蛋白質コンポーネントは、T細胞、B細胞、天然キラー細胞、抗原提示細胞などの異なる病原性免疫エフェクタに作用する。
【0030】
本発明のキメラ蛋白質は、免疫調節そのものをはるかに超える治療用として用いることができる。例えば、キメラ蛋白質を用いて、血栓症を治療するために内皮細胞と血小板との間の信号伝達を変更したり、骨髄異形成症候群のような造血疾患を治療するために骨髄間質細胞/他の髄質要素及び造血前駆体(プロジェニター)との間の信号伝達を変更したり、増殖性阻害及び/又は腫瘍細胞糖の細胞死を誘導するために、所定の腫瘍の腫瘍細胞間の信号伝達を変更することができる。一般的には、各疾患について、キメラ蛋白質候補の小ライブラリを作り、適当なエクスビボ及びインビボモデルにおいて比較評価を行ない、相対的な効果及び毒性を決定する。例えば、自己免疫性疾患の場合、キメラ蛋白質(つまり「トランス信号変換蛋白質」)の中には、数多くのT細胞アポトーシス誘導物質の任意の1つに結合された数多くの共刺激受容体(不溶解性)の任意の1つを有するものが含まれている。
【0031】
本発明の望ましい方法は、治療用キメラ蛋白質を必要とする患者に対して該蛋白質を投与することを含むものであるが、他の治療様式として、前記患者に対して、本発明の治療用キメラ蛋白質をエンコードする遺伝子配列を投与することを含んでいる。「遺伝子配列(genetic sequence)」とは、所定蛋白質並びに関連する調節塩基配列及びその他の非コード配列を含むポリヌクレオチドを意味する。cDNAクローンの形態をした遺伝子配列は、広範囲の遺伝子について商業的に入手可能である。また、商業的にもその他の調達源からも入手が容易でないcDNAクローンの場合、それらのヌクレオチドシーケンスの知識を用いて、逆転写酵素ポリメラーゼ鎖反応法により、それらのcDNAを複製し、関連する遺伝子配列をプライマーに組み込むことはできる。この遺伝子治療法は、外因性遺伝子配列を患者の細胞に組み込んだ後、蛋白質を内生的に生成するものであるから、治療剤の投与を繰り返して行なう必要のある患者に特に適している。
【0032】
当該分野において、治療遺伝子を患者に投与する様々な方法が広く知られている。これらの方法は、治療遺伝子を送達するベクターの宿主、関連遺伝子に付加される転写及び翻訳調節要素、これらベクターを作製し使用する方法、遺伝子及びベクターを患者に投与する方法、治療遺伝子の効果と毒性を監視する方法を包含している。望ましい実施例では、本発明のキメラ蛋白質をエンコードする遺伝子配列の筋肉に注射する。一旦患者の筋肉細胞に注入されると、エンコードされた蛋白質が生成され、全身に分泌する。自己免疫の治療において、このような筋肉内遺伝子治療を用いることは、文献[Chang,J.Gene Medicine,1:415-43(1999) and Pccirillo,J.Immunology,161:3950-3956(1998)]に記載されている。他の実施例では、キメラ蛋白質をエンコードする遺伝子配列を、例えば炎症関節のような炎症部の如き患部に直接局部注入を行なう。文献[Lubberts,J.Immunology,163:4546-4556(1999)]は、実験動物におけるコラーゲン誘導関節炎を治療するために、治療遺伝子を膝関節に直接間接内注入行なうことを記載している。
また、エンコードされた蛋白質を調節するために、トランスフェクトされた遺伝子の発現を調節するための誘導プロモータは当該分野で知られている。それらの誘導プロモータは、経口投与される薬剤で調節することができる点において特に有用である。本発明の遺伝子配列は、肝臓、肺、皮膚などのその他器官へ送達されることができる。
或いはまた、数多くのトランスフェクション方法の任意の1つを用いて、エクスビボの細胞の中へ導入することもできる。トランスフェクトされたこれら細胞は、当該分野で広く知られた方法に基づいて、治療細胞として患者へ投与することができる。このように、実験的な変形性関節症の治療のために、トランスフェクトされた細胞を治療細胞として用いることは、文献[Pelletier, Arthritis and Rheumatism, 40:1012-1019(1997)]に記載されており、ここでは、トランスフェクトされた滑膜細胞は、患部の関節に戻すために再び注入される。これについては、文献[Yasuda,J.of Clinica Investigation,102:1807-1814(1998)]においても、自己免疫性糖尿病の治療を、トランスフェクトされた島細胞で行なうことが記載されている。
【0033】
さらに他の実施例において、第1(アンカー)細胞から生じるトランス信号を減少させ、異なるトランス信号を第2細胞へ与えることは、一緒に機能する2以上のキメラ蛋白質又は非キメラ蛋白質を用いて行なうことができる。望ましい実施例において、第1のキメラ蛋白質は第1細胞に結合し、それによって、細胞から生じる第1トランス信号を減少させる。第2のキメラ蛋白質は第1キメラ蛋白質に結合し、一旦第1細胞の第1キメラ蛋白質に結合すると、異なるトランス信号を第2細胞へ送る能力を授ける。この実施例において、第1キメラ蛋白質は、第2キメラ蛋白質を特定の細胞へ引き寄せる「標識(beacon)」として機能する。第1キメラ蛋白質は、2以上の機能部を具えており、1つは前記蛋白質を第1細胞に固着する(そして第1トランス信号を減少させる)ことであり、別のものは第2キメラ蛋白質が特異的に結合するサイトを提供することである。第2キメラ蛋白質もまた、2以上の機能部を具えており、1つは第2キメラ蛋白質を細胞表面が固着された第1キメラ蛋白質に向けることであり、他のものは第2トランス信号をもう1つの細胞へ送る能力である。
【0034】
第1及び第2のキメラ蛋白質の患者への投与は、同時に(例えば、分子結合コンポーネント又は別個の注入コンポーネントとして)行なうことができるし、1つずつ順番に行なうこともできる。第1及び第2キメラ蛋白質の重要な機能は、前述したキメラ蛋白質の第1及び第2蛋白質コンポーネントの具体例の中から選択される。各キメラ蛋白質の追加のコンポーネントは、第1キメラ蛋白質と第2キメラ蛋白質を結合する、対の(paired)認識ユニットである。このような認識ユニットは、当該分野で広く知られた様々な対認識ユニットの中から選択されることができ、例えば、エピトープタグと、該タグ(例えば、自己再生機能を有するロイシンジッパー)に特異性のscFvを挙げることができる。
【0035】
さらに他の実施例において、第1トランス信号を減少さる機能と第2トランス信号を提供する機能の2つの機能は、互いに直接相互作用しないが各々が第1細胞に独立して結合する2以上の異なる蛋白質を用いて達成される。蛋白質の少なくとも1つは、アンカー細胞からの信号をマスクするか又は該信号と干渉する能力を有しており、蛋白質の少なくとも1つはトランス信号を第2細胞へ送る能力を有している。また、前述したどの第1及び第2蛋白質コンポーネントも、この実施例の蛋白質として用いることができる。
【0036】
それゆえ、本発明はまた、第1細胞からの第1トランス信号を減少させ、該第1細胞からの第2トランス信号を付与する2以上の分子コンポーネントを患者に投与する治療方法を提供するものである。ここで、「分子コンポーネント(molecular components)」は、キメラ蛋白質と、キメラ蛋白質以外の非キメラ蛋白質の両方を意味する。前述したように、分子コンポーネントが両方ともキメラ蛋白質であるとき、第1のコンポーネントはアンカー細胞に結合し、第2のコンポーネントは第1コンポーネントに結合する。分子コンポーネントの両方が非キメラ蛋白質であるとき、互いに結合せず、各々が直接アンカー細胞に結合する。
【0037】
様々なキメラ蛋白質並びに各蛋白質によって治療される病気及び臨床症候群の例を以下に説明する。なお、以下の例は全てを網羅しているのではなく、キメラ蛋白質の種類と、本発明に基づいて治療される病気の種類についての単なる一例にすぎないことは理解されるべきである。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
前述したように、本発明の蛋白質の有効量が患者の治療に用いられる。同じように、本発明の蛋白質をエンコードする遺伝子配列は、有効量の蛋白質を生じさせるのに十分な量が投与される。ここで用いられる「有効量(effective amount)」は、1回又は2回以上の用量で送達され、患者に所望の結果をもたらすのに必要なキメラ蛋白質の量を意味する。ここで、所望の結果とは、一般的には、治療される病気に応じて、免疫応答の刺激又は免疫応答の抑制のことである。例えば癌治療での有効量とは、腫瘍の成長から患者を保護する量、又は腫瘍を排除できないまでも低減させることのできる量である。自己免疫、アロ免疫又はウイルス症の治療での有効量とは、治療される疾患の1又は2以上の症状をなくすことはできないまでも緩和することのできる量である。従って、「有効量」とは、既に病気に掛かっている患者の治療に有用な治療学的に有効な量であってよく、患者の病気の広がり又は再発を予防するのに予防的に有効な量であってよい。また、この有効量は、治療される病気の種類、病気の重症度、治療される患者のサイズ、患者の免疫応答能力などのファクターに応じて異なる。各患者に対する有効量の決定は、当該分野の専門家が成し得る範囲内である。一般的に、有効量の決定は、標準のエクスビボ細胞系での能力を評価し、臨床前及びインビボ臨床の評価を行なうことによってなされ、体重1kg当たり約0.005〜0.5mgである。
【0042】
投与は、例えば注射等のように、当該分野で公知の手段によって行なうことができる。キメラ蛋白質又は非キメラ蛋白質又はこれら蛋白質をエンコードする遺伝子配列は、本発明の方法に基づく投与を行なうために適当な薬学的担体の中に含めることができる。「適当な薬学的担体(suitable pharmaceutical carrier)」として、あらゆる溶剤、分散用媒体、コーティング、抗菌剤、抗真菌剤、等張・吸収遅延剤などを挙げることができる。薬学用としてこのような媒体及び作用剤は当該分野において広く知られている。本発明は、どの媒体又は作用剤を用いることも含んでおり、キメラ蛋白質との適合性問題はない。生理食塩水は適当な担体といえる。
投与の容易性及び用量の均一性のために、投薬ユニットの形態の非経口組成物を調製することが有利である。ここで用いられる投薬ユニットは、治療される患者に対して単位量を投与するのに適した、物理的に分離したユニットを意味する。各ユニットは、薬学的担体に関する所望の効果を生じさせるために、所定量のキメラ蛋白質又は該蛋白質をエンコードする遺伝子配列、或いは有効量のキメラ蛋白質又は該蛋白質をエンコードする遺伝子配列を含んでいる。本発明の投薬ユニットの仕様は、具体的なキメラ蛋白質及び該蛋白質が達成する具体的効果に応じて直接決めることができる。
【0043】
本発明はまた、前述した病気の研究のために動物モデルを作る方法に関するものである。例えば、本発明のキメラ蛋白質と共に用いられることができる動物の自己免疫性疾患の育成セットがある。これらの動物モデルとして、自然発生(例えば糖尿病NODマウス)するか又は形質転換によって導入された遺伝子突然変異の結果として、自己免疫が自発的に起こるものが挙げられる。その他の動物モデルとして、病原性物質の導入を通じて人工的に自己免疫が誘導されるものが挙げられる。
【0044】
実施例
以下の実験は本発明の例示であって、いかなる意味でも発明を限定するものと解するべきでない。
実験1
[プラスミドの構造とトランスフェクション]
2種類の標的ドメインを、可溶性FasLをエンコードする配列で遺伝学的にキメラ化した。ヒトCTLA-4からの細胞外ドメイン配列と、ヒトbeta-2-ミクログロブリン(B2M)である。FasLをCTLA-4・FasL内でCTLA-4でキメラ化すると、FasLのプロアポーシス活性がもたらされ、さらにAPCに固有のB7-1/B7-2(CD80/CD86)に結合することができる。可溶性のB2M・FasL蛋白質は、対照(control)として用いた。sFasLを含有するキメラ蛋白質を発現させるために、組換え型発現プラスミドを作製し、発現細胞株は、トランスフェクトされた293ヒト胎児腎細胞から選択した。
【0045】
ヒトFasLのcDNAsについては、既に文献[Takahashi(1994)]に記載されている。合成オリゴヌクレオチドの購入先は、Genosys,Inc.(The Woodlands, TX)である。DNAプライマーは、ヒトB2Mの停止コドンをHindIII制限サイト置換するように設計されている。B2Mのアミノ酸−20乃至90をエンコードするヒトB2M配列を生成するためのDNAプライマーは、5'-TTGGGGTACCATGTCTCGCTCCGTGGC-3'、及び5'-AAAGGATCCAAGCTTTCCATGTCTCGATCCCACTT-3'である。PCRは、製造者[Siratagene,La Jolla,CA]の仕様によるPfuDNAポリメラーゼで実行され、DNAテンプレートとして、pB2M/REP12β(入手先:H. Meyerson, University Hospitals of Cleveland)を用いた。精製と酵素制限(enzymatic restriction)の後、360bp Kpn I-HindIIIDNAのフラグメントを、エピソームの発現ベクターpCEP9β[Invitrogen,Lajolla,CA]の各サイトにサブクローン化し、pB2MX/CEP9βを生成する。
ヒトFasLのアミノ酸127乃至281をエンコードする配列の増幅が可能なDNAプライマーは、5'-ATCAAGCTTGGAGAAGCAAATAGGC-3'と、5'-TTTTGGATCCTTAGAGCTTATATAAGCCGAA-3'である。精製と酵素消化の後、480 bp HindIII-BamHI DNAのフラグメントを、pB2MX/CEP9βとpCEP9βの各サイトにサブクローン化し、夫々、pB2M・FasL/CEP9βとpXFasL/CEP9βを生成する。合成オリゴヌクレオチド5'-AGCTTAGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTTCTGACTACAAGGACGACGA-3'と、5'-AGCTACCTCCTCCAGATCCTCCTCCCTTGTCATCGTCGTCCTTGTAGT-3'を部分的にオーバーラップし、両側にリンカー配列(GGGS)2DYKDDDDK(GGGS)2があるFlagエピトープタグをエンコードし、pB2M・FasL/CEP9βのHindIIIサイトにサブクローン化し、pB2M・Flag-FasL/CEP9βを生成する。全ての構造体は、塩基配列の決定によって確認した。pCTLA-4・FasL/CEP9βの生成は、pXFasL/CEP9βのスタッファー断片配列を、オンコスタチンM信号配列及びphCTLA-4:IgG1/REP7βから移動したヒトCTLA-4細胞外配列をエンコードするHindIIIインサートと置換することにより行なった。これは文献[Brunschwig,(1995)]に記載されている。トランスフェクトされた細胞株の生成は、エピソームの発現プラスミドを、リポフェクチンを有する293細胞[Life Technologies,Bethesda,MD]の中へ導入することにより行なった。安定細胞株の選択は、pCTLA-4・FasL/CEP9β、pB2M・Flag-FasL/CEP9β又はpB2M/REP12βを含むトランスフェクタント細胞株について、G418[Life Technologies,Bethesda,MD]を0.4mg/mL補充したD10の中で行なった。多くのコロニーの中から、組換え型ポリペプチド発現をスクリーニングした。トランスフェクタント細胞株による組換え型sFasL含有蛋白質の分泌を、市販のFasL ELISA[MBL,Cambridge,MA]によって計量したところ、100-1000ng/mLであった。
【0046】
[細胞の培養]
ATCC[Bethesda, MD]から入手した細胞株として、Jurkat形質転換ヒトT細胞、293酵素腎細胞、及びRaji&Daudi形質転換B細胞株がある。EBV形質転換B細胞のJYは、Francis V. Chisari(Scripps Institute)から入手した。全ての細胞は、5%CO2を供給する湿雰囲気の培養器の中に維持した。RPMI-1640及び高グルコースDMEM媒体、抗生物質、グルタミン並びにウシ胎児血清(FBS)は、BioWhittaker(Bethesda,MD)から入手した。RPMI-1640に、ペニシリン100μg/ml、ストレプトマイシン/ストレプトマイシン100U/mL、グルタミン2mM、熱処理で不活性化されたFBS(R10)10%加え、その中でJurkat細胞を培養した。DMEMに、ペニシリン/ストレプトマイシン100μg/ml、グルタミン2mM、熱処理で不活性化されたFBS(R10)10%加え、その中で293細胞を培養した。ペニシリン/ストレプトマイシン及びLグルタミンを含有するCellGro Free媒体[Mediatech]の中で5〜6日間細胞を培養し、調整された媒体(conditioned)を作った。細胞培養液上清を遠心分離(400×gで6分)して細胞残渣を取り除き、22ミクロンの殺菌済み注射器フィルターを通して濾過した。清浄化された上清を42℃で2か月間、活性を実質的に損なうことなく貯蔵した。市販のsFasL ELISA[MBL,Cambridge,MA]を用いて、試料中のsFasL含有蛋白質を計量した。
【0047】
[ウエスタンブロッティング法及びゲル濾過クロマトグラフィー]
FasLとCTLA-4分子は両方とも、それらの自然形態で、多量体錯体を形成する。天然FasLは、共有結合されていないホモ三量体として存在し、CTLA-4は二硫化物結合ホモ二量体として存在する。CTLA-4・FasLが多量体錯体を形成するかどうかを調べるために、免疫ブロット法による実験を行なった。2種類のCTLA-4・FasLトランスフェクタント細胞株クローンから上清試料を、置換剤(メルカプタノール)の存在下及び不存在下で調製し、沸騰させ、SDSゲル電気泳動を行ない、FaSL特異性抗血清を用いて免疫ブロットした。
【0048】
より具体的には、清浄化された細胞培養液上清を、Centricon-10超濾過装置[Amicon,Beverly,MA]を用いて、15〜30倍に濃縮した。濃縮されたCTLA-4・FasLを、予め較正されたSuperdex-200カラムに1×PBS投入した。0.5mLフラクションを集めて、細胞障害性検定法を用いて機能的な分析を行なった。活性CTLA-4・FasL分子を含むフラクションを50倍に濃縮し、化学架橋剤ジチオビス[スクシニミジルプロプリオネート](DSP,Pierce)で共培養し、1M Tris、pH7.5でクエンチした。SDS-PAGE分析用試料は、Laemmli試料緩衝液(2-メルカプトエタノールが入っているものと入っていないもの)の中で調製し、10%アクリルアミドSDS-PAGEゲルの中へ投入する前に、沸騰させた。電気泳動の後、ゲルをImmobilonP膜[Millipore, Beverly, MA]にブロットし、5%のmilk/PBSでブロックし、抗ヒトFasL抗血清(anti-C20)[Santa Cruz Biological]でプローブした。十分に洗浄した後、ブロットをホースラディッシュ・ペルオキシラーゼ(HRP)と共有結合した抗ウサギ抗血清[BioRad,Richmond]でインキュベートし、化学発光サブストレート[New England Nuclear,Boston,MA]で処理した後、X線フィルムに露出した。
【0049】
還元剤の不存在下で、CTLA-4・FasLクローンに由来する試料について、約45kDaの弱帯域及び70-90kDaの強帯域を観察した。還元剤を追加すると、70-90kDa分子種は消滅し、約45kDa種は増加した。対照293細胞上清試料については、有意的なFasL免疫反応性は認められなかった。
【0050】
CTLA-4・FasL錯体の化学量論分子量を求めるために、トランスフェクト細胞調整媒体の蛋白質を、同種二機能性の還元性架橋剤DSPで架橋結合し、FasL特異性抗血清を用いて、免疫ブロット法により分析した。より具体的には、CTLA-4・FasLを含む上清試料を、溶媒のみの中、又はDMSOにDSPを溶解した溶媒の中で、室温で30分間予め培養した。反応は、1M Tris、pH7.5でクエンチさせた。試料は、SDSゲル電気泳動の処理を行なった。免疫ブロット法は前述した通りである。高分子量の90kDa及び約180−200kDaのCTLA-4・FasL分子種の免疫検出は、DSP架橋結合の後増加した。架橋結合されたCTLA-4・FasL錯体の部分還元は、二量体錯体(約90kDa)及び三量体錯体(180−200kDa)と一致する帯域と同様、約45kDaの帯域であることを示した。同様な化学架橋実験において、約40kDa B2M・FasL単量体もまた、約120kDaの三量体を形成することが示した。ゲル濾過クロマトグラフィーを、独立した方法として採用し、CTLA-4・FasL三量体錯体の分子量を測定した。ピークのカラムフラクションを固相検定法により決定し、約180−200kDaで溶離した。ピークフラクションの化学結合の後、抗FasL免疫ブロット法により、90kDa及び180−200kDa CTLA-4・FasL錯体であることがわかった。化学的架橋結合及びゲル濾過分析は共に、CTLA-4・FasL錯体が二硫化物の分子間橋架け結合を含んでいることを示し、三量体の化学両論分子量であることを示している。
【0051】
[フローサイトメトリー]
B2M・FasL又はCTLA-4・FasLのどちらかを含む培養液上清の種々の希釈液を用いて、氷の上で30分間、細胞を予め培養した。細胞をペレットにし、FACS緩衝液(1×PBS/0.5%BSA/0.02%アジ化ナトリウム)で2回洗浄し、10μg/mLの一次抗体を用いて30−45分間、氷の上で培養した。ヒトFasL(CD95L、クローンNOK-1)に対して特異性の抗体を、Pharmingen (La Jolla,CA)から購入した。マウスIgG1(Dako)を対照として用いた。次に、細胞を、FITC共役結合したヤギF(ab')2抗マウスIgG[Boerhinger Mannheim]を用いて30−45分間、氷の上で培養した。洗浄後、蛍光標識した細胞を、FACScanで処理し、ヨウ化プロピジウムを含まない集団を、LYSISIIソフトウエアパッケージ[Becton-Dickinson,Mountain View,CA]で分析した。細胞障害性検定法により、CTLA-4・FasLとB2M・FasLキメラ蛋白質のアポトーシス活性を決定した。
【0052】
CTLA-4・FasL及びB2M・FasL蛋白質が作動体機能を示すかどうかを決定するために、蛋白質含有細胞培養液についてFas感受性JurkatT細胞のアポトーシス誘導を調べた。アポトーシスは、放射性DNA断片化検出法により測定した。
【0053】
検定は、Matzinger(1991)の方法に少し修正を加えて、3回行なった。指数関数的に増殖したJurkat細胞を、R10の3H-チミジン[ICN,Costa Mesa,CA]3マイクロキューリー/mLを用いて、37℃で4−5時間ラベル付けし、ペレットにし、2回洗浄した。細胞を、2×105/mLで再び懸濁させて、この細胞懸濁液0.1mLを各ウエルに加えた。清浄化された上清はCTLA-4・FasL又はB2M・FasLを含有しており、これをR10に希釈し、この細胞懸濁液0.1mLを、丸底96ウエルの培養プレートの各ウエルに加えた。架橋結合剤として、0.5μg/mLの抗Flag抗体を、指示された試料に加えた。所定量のCTLA-4・FasL又はB2M・FasLを有する細胞の前培養を、氷の上で1時間を行ない、次に、遠心分離(400×gで6分)を行ない、R10で2回洗浄した。cell-cell killingアッセイのために、前処理した104個のエフェクタ細胞を各ウエルに加えた。培養液を37℃で一晩中培養し、放射性同位体でラベル付けされたDNAをガラスフィルターに採取し、シンチレーション計数を行なった。ブロッキングの実験では、Jurkat細胞(抗Fas、クローンZB4、Coulter Immunotech)又はキメラ蛋白質含有上清(抗FasL)のどちらかと共に、抗体を予め培養した。Fas依存性溶解率(percent Fas-dependent specific lysis)=100×{(自然放出−実験放出)/(自然放出)}である。最大の致死(killing)は、検定法に応じて40−70%であった。可溶性CTLA-4・FasL蛋白質は、Jurkat細胞に対する細胞障害能力は低いが、CD80/CD86陽性Daudi細胞(図1A参照)で共培養することにより増強される。既知量のCTLA-4・FasL蛋白質を含有する上清をウエルに滴定し、図1Aのx軸に示している。図1A中、Daudi細胞を加えないものを白丸、Daudi細胞を加えたものを黒四角で示している。図に示されるように、CTLA-4・FasLは、Jurkat細胞の用量依存性致死作用をを有しており、1−100ng/mlである。
【0054】
Daudi Burkittのリンパ腫B細胞をえたことにより、中レベルのCD80と他レベルのCD86を構造的に発現し、アポトーシスの検出限界を、CTLA-4・FasLについて0.1ng/mLまで低下させる。これにより、CTLA-4・FasLの細胞障害活性は約60倍高められる。他の2種類のEBV形質転換B細胞株YJとRajiについても、CD80及びCD86発現形態はDaudi細胞と同様であり、CTLA-4・FasL分子によって細胞障害性を増強したが、B2M・FasLによる細胞障害性の増強は認められなかった(データを図示せず)。加えるDaudi細胞の数を増すと、CTLA-4・FasLについて細胞障害活性も増加した。さらに、ウエルに加えたDaudi細胞の数を滴定すると、Jurkat細胞死は用量依存性の増加を示した(図1B参照)。Jurkat細胞に対する添加Daudi細胞の比をx軸に示しており、図1B中、0.6ng/mLのCTLA-4・FasLを黒四角、1ng/mLのB2M・FasLを黒丸、媒体のみを白丸で示している。
【0055】
FasとFasLの拮抗的モノクローナル抗体によるCTLA-4・FasL細胞障害性の阻害を、図1Cに示している。CTLA-4・FasLは、放射性同位体でラベル付けされたJurkat細胞を加える前に、10μg/mlのFasL特異性抗体(抗FasL(NOK-1)又はアイソタイプ整合(matched)対照抗体(Leu2a)を用いて、37℃で1時間、予め培養した。抗Fasブロッキングについても、CTLA-4・FasL、2ng/mLの存在下で共培養する前に、拮抗的抗体ZB4を、放射線同位体でラベル付けされたJurkat細胞と共に予め培養した。図1C中、灰色棒線は抗FasL抗体、黒色棒線は抗Fas抗体、ハッチング入り棒線は対照抗体、白色棒線は添加なしの抗体を示している。図示の如く、CTLA-4・FasL媒介細胞障害性は抗FasL及び抗Fasモノクローナル抗体ブロッキング剤に感受性であり、このキメラ蛋白質によるJurkat細胞アポトーシスに対するFasL及びFasの要件と一致する(図1C参照)。
【0056】
B2M・FasLは、図1Dに示されるように、Jurkat細胞の細胞溶解(cytolysis)に対して架橋結合を必要とする。B2M・FasLのウエルへの滴定をx軸に示しており、Jurkat細胞の細胞障害性を検定した。37℃で16−20時間培養した後、ファイバーグラスフィルターに採取し、シンチレーションカウンターで計数し、溶解率を計算し、y軸上に示している。図1D中、B2M・FasL+抗Flagの存在下で培養した試料を黒丸、B2M・FasL+Daudi細胞の場合を白四角、B2M・FasL単独の場合を白丸で示している。取消線は標準偏差値1を示している。図示の如く、B2M・FasL単独の場合、0.1−100ng/mLの範囲では、架橋エピトープタグされた特異性抗体の存在下を除いて、Jurkat細胞に有意的な致死は認められなかった。それゆえ、CD80/CD86陽性細胞は、Jurkat細胞におけるトランス位置のFes受容体を通じて信号伝達するためのCTLA-4・FasL分子の能力を高める。
【0057】
実験2
[CTLA-4・FasLトランスエフェクタ活性の媒介における細胞−細胞接触の役割]
例えばCTLA-4・Igのように、可溶性CTLA-4ポリペプチド誘導体はCD80及び/又はCD86を発現する細胞に結合する。CTLA-4・FasL分子のCD80/CD86陽性細胞に対する結合がJurkat細胞アポトーシスを増強するかどうかを調べるために、CTLA-4・FasLのDaudi細胞及びJurkat細胞に対する結合能力を検定した。CD80/CD86陽性Daudi細胞を、CTLA-4・FasL含有細胞上清と共に前培養し、FasL特異性モノクローナル抗体又はアイソタイプ整合対照抗体を用いて間接的な免疫蛍光検査及びフローサイトメトリーの処理を施した。より具体的に説明すると、前培養は、0℃で30−45分間行なった。2回洗浄した後、細胞を、10mg/mlの抗FasL抗体(NOK-1,J)又はアイソタイプ整合対照抗体(対照,E)と共に、37℃で30−40分間培養した。2回洗浄した後、細胞を、FITC共役結合ヤギ抗マウスIgGと共に培養した。洗浄後、取得データをFACScanフローサイトメータに実行し、データをCELLQUESTソフトウエアで分析した。図2Aのx軸に示される各CTLA-4・FasL濃度に対する平均蛍光強度をy軸上にプロットした。CTLA-4・FasL(図2Aの上側)の量を増やして前処理した後、細胞表面のFasLでは用量依存性の増加が観察され、染色は約100mg/mLで飽和した。Jurkat細胞におけるCTLA-4・FasLのFasへの結合分析でも、同じように、CTLA-4エピトープに30−300ng/mLの用量依存性の増加が観察された(図2Aの下側)。これらの結果は、CTLA-4・FasLの二重結合活性と一致しており、CTLA-4の部位はCD80/CD86分子に結合し、FasLドメインはFas受容体に結合する。
【0058】
Daudi細胞を、媒体のみ又はCTLA-4・FasLを含有させて、37℃で1時間、前培養した。3回洗浄した後、細胞を計数し、ウエルの中へ入れて、放射性DNA断片化検定を行なった。溶解率(percent specific lysis)の結果をx軸にプロットしている。機能検定の試験において、CTLA-4・FasLで前処理したDaudi細胞は、前処理していないDaudi細胞と比べて、用量依存性のJurkat細胞PCDを誘導した(図2A参照)。B2M・FasLでDaudi細胞を前培養しても、Jurkat細胞の細胞溶解の結果に有意的な差は認められなかった(データは示さず)。
【0059】
CTLA-4・FasLでコートされたDaudi細胞の細胞溶解に細部−細胞接触は必要かどうかを決定するために、膜分離実験を行なった。Daudi細胞は、媒体単独で、又はB2M・FasL若しくはCTLA-4・FasLを加えて、氷の上で1時間、前培養した。3回洗浄した後、細胞の計数結果は0.25×106であった。24ウエルプレートの中に、ポアサイズ3ミクロンのTranswell半透過性膜の下方に0.5×106Jurkat細胞と共に入れた。0.5×106のJurkat細胞を膜の上方にも加えた。37℃で16時間培養した後、細胞を採取し、フローサイトメトリーの処理を施した。全PI陰性のCD3ブライトに対して、PI陰性CD3ブライトのアネキシンVブライトの割合を、図2Cのx軸にプロットしている。20時間培養した後、Jurkat細胞のアポトーシスを、結合された蛍光色素結合アネキシンVをフローサイトメトリー検出法により監視した。Jurkat細胞PCDは、CTLA-4・FasLでコートされたDaudi細胞の存在下でのみ有意差が観察された。膜の下方で、CTLA-4・FasLの前処理が施されたDaudi細胞を加えても。膜の上方から採取したJurkat細胞にどんな効果ももたらさなかった。これは。細胞−細胞接触に対する要件と一致する(図2C、上パネル)。予想されたように、対照Daudi細胞又はB2M・FasL処理済みのDaudi細胞について、Jurkat細胞アポトーシスには何の効果も観察されなかった。
【0060】
実験3
CTLA-4・FasLについて、細胞分裂誘起抗CD3抗体に対するヒト末梢血T細胞のポリクローナル増殖の阻害能力を調べた。96個のウエル付きU底組織培養プレートの中で、2人の異なるドナーから単離したばかりのヒト末梢血単核細胞(PBMC)2×105 PBMC/ウエルを、免疫アフィニティにより精製された異なる量のCTLA-4・FasLが存在しない場合と存在する場合において、1ng/mlのCD3特異性抗体(OKT3)と共に培養した。検定は3回行なった。2人の異なるドナーから単離したばかりのヒト末梢血単核細胞を、免疫アフィニティにより精製された異なる量のCTLA-4・FasLが存在しない場合と存在する場合において、1ng/mlのCD3特異性抗体(OKT3)と共に培養した。比較のために、10000ng/mlのCTLA-4・Igと組換え型ヒトの可溶性FasLを平行培地の中へ滴定した。36時間後、さらに3日間24時間間隔で、培養地ウエルを3Hチミジンでパルスし、活性的に分割するT細胞のDNAをラベル付けした。20時間後、放射線同位体でラベル付けされたDNAをファイバーグラスフィルターに採取し、シンチレーション計数を行なった。図3Aに示されるように、10ng/mlのCTLA-4・FasL(黒四角)は、細胞分裂誘起抗CD3モノクローナル抗体によって刺激されたヒト末梢血T細胞の増殖を強く阻害した。比較のために準備した、10000ng/mlのCTLA-4・Ig(白丸)は、約50%の阻害を示し、100ng/mlのsFasL(黒三角)は殆んど阻害を示さなかった。増殖のピーク(3日目)にて、CTLA-4・FasL、CTLA-4・Ig、sFasLの量を変えて、ポリクローナルT細胞応答の阻害を調べた。図3Bに示されるように、CTLA-4・FasL(黒四角)は、CTLA-4・Ig(白丸)やsFasL(黒三角)よりも阻害能力が大きかった。Flagタグ付けされたsFasLと、Flagエピトープ特異性抗体との抗体介在架橋結合により、Fas感受性Jurkat細胞のアポトーシスが増すので、抗CD3に対するポリクローナル増殖応答に対しても同様な効果があるかどうかを調べた。このため、0.5μg/mlの抗体を、sFasLの量を種々変えて、幾つかの検定用ウエルの中へ加えた。図3C(左側)に示されるように、Flag−エピトープ特異性の抗体(sFasL+抗Flag、黒三角)を含んだ場合、sFasL単独(白三角)と比べて、sFasLの最も高い濃度(1000ng/ml)のときにのみ阻害は増加した。図3Cに示されるように、CTLA-4・IgとsFasLの組合せ(抗Flag架橋の如何に拘わらず)は、増殖性阻害に追加の効果を示した。10000ng/mlのCTLA-4・Igと1000ng/mlのsFasLの組合せに抗Flag抗体架橋結合したものが最大の阻害を示した。このように、CTLA-4・FasLは、個々のドメインコンポーネントであるCTLA-4・IgとsFasLが単独の場合、又は組み合わせた場合よりも大きな阻害能力を示した。
【0061】
実験4
CTLA-4・FasLについて、破傷風トキソイドの特異性抗原に応答するヒト末梢血T細胞の増殖の阻害能力を調べた。96個のウエル付きU底組織培養プレートの中で、単離したばかりのヒト末梢血単核細胞(PBMC)2×105 PBMC/ウエルを、免疫アフィニティにより精製された異なる量のCTLA-4・FasLが存在しない場合と存在する場合において、500ng/mlの破傷風トキソイドと共に培養した。検定は3回行なった。6日後、培養地を3Hチミジンでパルスし、活性的に分割するT細胞のDNAをラベル付けした。20時間後、放射線同位体でラベル付けされたDNAをファイバーグラスフィルターに採取し、シンチレーション計数を行なった。図4に示されるように、CTLA-4・FasLは、破傷風トキソイドの特異性抗原によって刺激されたヒト末梢血T細胞の増殖を阻害した。このように、CTLA-4・FasLは、T細胞のポリクローナル活性だけでなく、特異性抗原に対するT細胞の応答を阻害するのにも有用である。
【0062】
実験5
CTLA-4・FasLについて、アロ抗原に応答するヒト末梢血T細胞の増殖応答を阻害する能力を調べた。一次刺激検定において、アロ抗原提示細胞、ヒトEpstein-Barrウイルスの形質変換されたヒトBリンパ芽球状細胞株(EBV-LCL)を、放射線処理し、精製されたばかりのヒトPBMCと100ng/mlのCTLA-4・FasLを含有する培地へ加えた。検定は、96個のウエル付きU底プレートの中で3回行ない、プレートには、105 PBMCと放射線ラベル付けされた2×104のEVB-LCLが含まれている。培地を4日間培養し、EVB-LCLに対するT細胞増殖応答を3Hチミジンでパルスすることによって測定し、放射線同位体でラベル付けされたDNAをファイバーグラスフィルターの中へ採取し、シンチレーション計数を行なった。図5に示されるように、CTLA-4・FasLの存在は、媒体単独の場合と比べて、ヒト末梢T細胞の一次アロ抗原応答を有意的に低下させた。一次刺激検定と平行して、末梢血単核細胞、放射線ラベル付けされたEBV-LCL、及び30ng/mlのCTLA-4・FasLを同じ割合で含むT25フラスコの中で、ラージスケール(10ml)のバルク培養を行なった。7日後、細胞をフラスコから採取し、2回洗浄し、新鮮な媒体の中で再び培養した。更なる3日間はCTLA-4・FasLを欠いている。一次アロ抗原刺激を開始してから10日後、遠心分離によって細胞を収集し、2回洗浄し、二次刺激検定を行なうために、放射線ラベル付けされたEVB-LCLと共に96個のウエル付きプレートの中へ入れた。これらの二次刺激の間、CTLA-4・FasLを追加しなかった。同じように、図5に示されるように、CTLA-4・FasLは、同じアロ抗原に対するヒト末梢血T細胞の二次応答を低減した。このように、CTLA-4・FasLは、アロ抗原に対する一次応答と二次応答の両方を阻害するのに有用であり、宿主対移植片病及び移植片対宿主病のアロ抗原T細胞応答の治療用として適している。
【0063】
実験6
単離したばかりのマウスBALB/cの脾細胞を、免疫アフィニティにより精製された異なる量のCTLA-4・FasLが存在する場合と存在しない場合において、細胞分裂誘起抗CD3抗体と共に培養した。検定は、96個のウエル付きU底プレートの中で3回行ない、プレートには、2×105の脾細胞と33ng/mlの抗マウスCD3抗体(2C11)が含まれている。24時間後、培地を3Hチミジンでパルスし、活性的に分割するT細胞のDNAをラベル付けした。20時間後、放射線同位体でラベル付けされたDNAをファイバーグラスフィルターに採取し、シンチレーション計数を行なった。図6に示されるように、CTLA-4・FasLは、抗CD3抗体によって刺激されたBALB/cT細胞の増殖を阻害した。マウスT細胞は、ヒトT細胞と同様、CTLA-4・FasLによる阻害を受けることができる。
【0064】
実験7
アミノ酸95−281をエンコードし、TNF関連性のアポトーシスリガンド(hTRAIL)cDNA配列を生成するDNAプライマーは、5'-TAAAAAGCTTGAAACCATTTCTACAGTTCAA-3'と、5'-TAAAGGATCCGGTCAGTTAGCCAACTAAAAA-3'である。PCRは、製造者の仕様によるPfuDNAポリメラーゼで実行し、hTRAIL cDNAをエンコードするものとして知られている発現配列タグDNAサブクローン(ye16e08.r1, GenBank Acc:#T90422)を、DNAテンプレートとして用いた。精製及び酵素限定の後、フラグメント(564 bp Hind III-BamH I DNA)を、エピソームの発現ベクターpCEP9βの夫々のサイトにサブクローン化し、pX・TRAIL/CEP9βを生成した。pCTLA-4・TRAIL/CEP9βの生成は、オンコスタチンM信号とヒトCTLA-4細胞外配列をエンコードするHindIIIインサートを、phCTLA-4:IgG1/REP7βから移動させると共に、pX・TRAIL/CEP9βのHindIIIサイトにサブクローニングすることにより行なった。
【0065】
アミノ酸−20−218をエンコードし、ヒトCD27(hCD27)cDNA配列を生成するDNAプライマーは、5'-TTTTGGTACCATGGCACGGCCACATCC-3'と5'-GCACAAGCTTCTTTGGGGTGGCCAGTG-3'である。PCRは、製造者の仕様によるPfuDNAポリメラーゼで実行し、hCD27 cDNAをエンコードするものとして知られている発現配列タグDNAサブクローン(EST#yg25h11.rl, GenBank Acc# R25016.1)を、DNAテンプレートとして用いた。精製及び酵素限定の後、フラグメント(652 bp Kpn I-Hind III DNA)を、エピソームの発現ベクターpX・TRAIL/CEP9βの夫々のサイトにサブクローン化し、pCD27・TRAIL/CEP9βを生成した。
【0066】
CD27・TRAIL又はCTLA-4・TRAILを含有する細胞培養上清を、pCD27・TRAIL/CEP9β又はpCTLA-4・TRAIL/CEP9βを有するヒトの胎児腎細胞株293のリポフェクションに由来する安定トランスフェクタントから得た。
【0067】
単離したばかりのヒトPBMCを、1:300(v/v)に希釈したCD27・TRAIL又はCTLA-4・TRAILで調整された細胞培養液上清が存在する場合と存在しない場合において、細胞分裂有機抗体CD3と共に培養した。検定は、96個のウエル付きU底プレートの中で3回行ない、プレートには、2×105 PBMCと0.3ng/mlの抗CD3(OKT3)が含まれている。24時間後、さらに3日間24時間間隔で、培養液を3Hチミジンでパルスし、活性的に分割するT細胞のDNAをラベル付けした。20時間後、放射線同位体でラベル付けされたDNAをファイバーグラスフィルターに採取し、シンチレーション計数を行なった。図7に示されるように、CD27・TRAILとCTLA-4・TRAILは両方とも、3日後、ヒト末梢T細胞の増殖を強く阻害した。これらのデータは、キメラ蛋白質(CD27・TRAIL及びCTLA-4・TRAIL)の2つの追加例を導入するものであり、本発明のキメラ蛋白質の概念の一般性をさらに示している。また、前記データは、本発明によって、追加の機能性キメラ蛋白質の迅速な設計、生産及び評価がどのように可能となるかを示している。
【0068】
図1乃至図3に示されるように、Jurkat細胞PCDが、Daudi細胞の存在下で、0.1ng/mlのCTLA-4・FasLの追加によって観察された。可溶性CTLA-4・FasLの濃度が高くなると、Jurkat細胞アポトーシスを誘導するために架橋結合は必要でない。B2M・FasLの場合と比べて、架橋抗体の不存在下では有意的な細胞破壊効果は観察されなかった。実験4と実験5は、実験1乃至実験3の結果をさらに発展させたもので、ポリクローナルT細胞活性化剤を凌いで、CTLA-4・FasLが、特異性抗原(実験4)又は特異性抗原(実験5)のどちらの抗原に対しても特異性T細胞応答を阻害することを示している。実験6は、ヒトCTLA-4・FasLがマウスT細胞のキラー細胞を阻害することを示している。
【0069】
実験1乃至実験4は、第1蛋白質としての標的ドメイン配列、つまりCTLA-4細胞外ドメインを使用することにより、sFasLは、CD80/CD86標的分子の細胞表面へ結合する。このように、細胞表面の分子を標的とするために、また、II型膜蛋白質誘導体をキメラ蛋白質内の第2蛋白質コンポーネントとして用いるために、キメラ蛋白質のアミノ末端ドメインを用いることが有効であることがわかる。また、生成した新規なキメラ蛋白質CTLA-4・FasLがAPCに結合されると、共刺激ブロッキングとFasLトランスエフェクタ活性を仲介することを示している。この細胞に基づく修飾(modification)を用いて、共刺激分子のブロッキングと阻害分子の提示を同時に行なうことにより、刺激性APCを免疫阻害性APCに変換することができる。
【0070】
同様な結果が実験7でも示されており、追加の2種類の蛋白質CTLA-4・TRAIL及びCD27・TRAILは、APCに結合し、阻害性トランス信号を送る。これらの結果は、本発明の新規なキメラ蛋白質の一般性を示すものであり、この種の一連の機能性蛋白質についてさらなる実験を行なう必要性はないと考えられる。
【0071】
前述の実験は、本発明の可溶性キメラ蛋白質が、個々のドメインに由来する結合及び機能特性を有することを示している。さらにまた、実験データは、可溶性蛋白質が予定細胞死のための病原性T細胞の治療標的に有用であることを示している。
【0072】
本発明の具体的実施例を例示して説明したが、当該分野の専門家であれば、請求の範囲に規定された発明の範囲から逸脱することなく、数多くの変形をなし得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 これらの図は実験1により得られたもので、(A)はCTLA-4・FasLの細胞障害活性、(B)はCD80/CD86発現細胞の添加によるCTLA-4・FasL活性の増進、(C)はキメラ蛋白質のFasLコンポーネントのCTLA-4・FasL阻害活性の依存性、(D)は抗体架橋に必要なCTLA-4・FasLの欠乏(N2M・FasLとの比較)を示している。
【図2】 これらの図は実験2により得られたもので、(A)乃至(C)は、CTLA-4・FasLで前処理された細胞が、細胞接触依存性に基づいて、Fas感受性細胞の細胞障害性をトリガする能力を獲得することを示している。
【図3】 これらの図は実験3により得られたもので、(A)乃至(C)は、CTLA-4・FasLによる抗CD3抗体刺激に応答して、ヒト末梢血の単核細胞の増殖の用量依存性阻害を示している。
【図4】 実験4により得られたもので、CTLA-4・FasLが、破傷風抗原に対して抗原特異性の増殖性応答を阻害する能力を有することを示している。
【図5】 実験5により得られたもので、CTLA-4・FasLが、一次リンパ球と二次リンパ球が混合された共培養の中で、アロ抗原に対して特異性の増殖性応答を阻害する能力を有することを示している。
【図6】 実験6により得られたもので、CTLA-4・FasLが、抗CD3抗体刺激に応答してBalb/c脾細胞の増殖を阻害する能力を有することを示している。
【図7】 実験7により得られたもので、CTLA-4・TRAIL及びCD27・TRAILによる抗CD3抗体刺激に応答して、PBMC増殖が阻害されることを示している。
Claims (13)
- 第1細胞の少なくとも1つの表面分子に結合し、第1細胞からの第1トランス信号の減少をもたらす第1蛋白質と、
第2細胞の少なくとも1つの表面分子に結合し、第2トランス信号を第2細胞に送る第2蛋白質と、を含んでおり、
第1蛋白質は、CTLA-4及びCD27からなる群から選択され、第2蛋白質は、FasL及びTRAILからなる群から選択される、キメラ蛋白質。 - 第1蛋白質は、第1細胞のトランス信号を直接マスキングすることによって第1トランス信号を減少させる請求項1のキメラ蛋白質。
- 第1蛋白質は、第1細胞のトランス信号を間接的にマスキングすることによって第1トランス信号を減少させる請求項1のキメラ蛋白質。
- 間接マスキングはアロステリック阻害により行われる請求項3のキメラ蛋白質。
- 間接マスキングは、機能性多分子トランス信号伝達錯体の破壊によって行われる請求項3のキメラ蛋白質。
- 間接マスキングは、細胞内信号伝達による第1信号の機能修飾によって行われる請求項3のキメラ蛋白質。
- 第2蛋白質は免疫系を阻害する請求項1のキメラ蛋白質。
- エピトープタグをさらに含んでいる請求項1のキメラ蛋白質。
- エピトープタグはポリヒスチジンタグである請求項8のキメラ蛋白質。
- 第1蛋白質はCTLA-4、第2蛋白質はFasLである請求項1のキメラ蛋白質。
- 第1蛋白質はCTLA-4、第2蛋白質はTRAILである請求項1のキメラ蛋白質。
- 第1蛋白質はCD27、第2蛋白質はTRAILである請求項1のキメラ蛋白質。
- 第1蛋白質はCD27、第2蛋白質はFasLである請求項1のキメラ蛋白質。
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