JP4721238B2 - 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、およびコンピュータ読取可能な記録媒体 - Google Patents
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Description
本発明は、撮像された撮像画像の画像データに基づいて撮影対象の位置を取得するための画像処理装置に関するものである。
携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)などの各種機器に、画像表示部として液晶パネルを備えた画像表示装置(以下、「液晶表示装置」と呼ぶ。)が幅広く利用されている。特に、PDAでは、古くからタッチセンサを備えることにより、直接指などを液晶パネルに接触させることによって情報を入力するタッチ入力が可能となっている。また、携帯電話やその他の機器においても、タッチセンサを備える液晶表示装置が普及してきている。
このようなタッチセンサを備える液晶表示装置の一例が、特開2006−244446号公報(特許文献1)に開示されている。
上記従来の液晶表示装置は、主としてエッジ検出回路、接触判定回路及び座標計算回路を備えている。エッジ検出回路は、撮影された画像のエッジを検出して、エッジ画像を得るようになっている。
また、接触判定回路は、エッジ検出回路によって得られたエッジ画像を用いて物体が表示画面に接触したか否かを判定するようになっている。この接触判定回路は、エッジ毎にその移動方向(エッジの座標の時間変化)を調べ、互いに逆方向に移動するエッジがある場合に物体が表示画面に接触したと判定するようになっている。これは、物体が接触しない限りはエッジが互いに逆方向に移動することはないという原理を利用したものである。具体的には、逆方向への移動量が所定の閾値以上の場合に接触したと判定することで、判定の精度を高めるようになっている。
さらに、座標計算回路は、物体が接触したと判定されたときに、エッジの重心を物体の座標位置として計算するようになっている。これにより、物体が接触する前に座標位置を計算しないようにして、位置算出の精度の向上を図ることを可能としている。
また、タッチセンサを備える液晶表示装置の他の例が、特開2008−250949号公報(特許文献2)、特開2008−250950号公報(特許文献3)、特開2008−250951号公報(特許文献4)に開示されている。
上記特許文献2〜4に記載の液晶表示装置は、主として画素値勾配を特定する手段、モデルパターンと照合する合致度算出手段、合致度から指示位置を特定する指示位置特定手段とから、撮像対象の指示位置を特定するようになっている。
しかしながら、上記従来の液晶表示装置では、パネルに物体がタッチしているか否かの検出と、当該物体の座標位置を特定することを可能としているが、当該物体のパネルに対する近接度合いを特定することはできない。すなわち、当該物体がパネルに接触した場合にのみ、検出されたタッチ座標(位置)が出力される。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、撮像対象とパネルとの接触状態のみでなく、近接状態をも検出することを可能とすることにある。その結果、従来よりも柔軟な応答処理を実行可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの局面に従うと、パネルを介して撮像された撮像画像の画像データに基づいて、画素毎の画素値の勾配量を算出する勾配量算出手段と、画素毎の画素値の勾配量に基づいて、パネルと撮像対象とが近接且つ非接触状態であることを特定する近接特定手段とを備える、画像処理装置が提供される。
好ましくは、画像処理装置は、パネルと撮像対象とが接触状態であることを特定する接触特定手段をさらに備える。接触特定手段と近接特定手段とは、所定範囲内の画像値を有する画素に関して状態の特定を行う。接触特定手段と近接特定手段とは、画像データ中に含まれる画素値の勾配量、画素値の勾配方向、所定範囲の少なくともいずれかについて、互いに異なる基準に基づいて状態の特定を行う。
好ましくは、画像処理装置は、撮像対象に関するモデルパターンを記憶するメモリと、画像データ上の注目画素毎に、当該画素の画素値と複数の隣接画素の画素値とから勾配方向を特定する勾配方向特定手段と、注目画素の周囲で所定数の画素を含む照合領域とモデルパターンとの照合を行うことによって、照合領域に含まれる勾配方向と、モデルパターンに含まれる勾配方向とが一致する画素数から、照合領域とモデルパターンとの合致度を算出する合致度算出手段とをさらに備える。
好ましくは、勾配方向特定手段は、画素毎の勾配方向を特定する際に、画素の画素値、または画素の画素値と複数の隣接画素の画素値とに基づいて、当該画素値が所定範囲外である場合に画素の勾配方向を無方向と特定する。接触特定手段と近接特定手段とは、勾配方向特定手段による勾配方向の特定のために、画素の勾配方向を無方向と特定するための互いに異なる所定範囲を設定する。
好ましくは、画像処理装置は、勾配量が第1閾値以上である第1エッジ画素を特定する第1エッジ特定手段をさらに備える。接触特定手段と近接特定手段とは、第1エッジ特定手段による第1エッジ画素の特定のために、互いに異なる第1閾値を設定する。
好ましくは、画像処理装置は、第1エッジ画素のうち、勾配量が第1閾値よりも大きい第2閾値以上である第2エッジ画素を特定する第2エッジ特定手段と、第1エッジ画素数と第2エッジ画素数との比率及び合致度算出手段により算出された合致度に基づいて、撮像対象による指示位置を特定する位置特定手段とをさらに備える。接触特定手段と近接特定手段とは、第2エッジ特定手段による第2エッジ画素の特定のために、互いに異なる第2閾値基準を設定する、または、位置特定手段による指示位置の特定のために、第1エッジ画素数と第2エッジ画素数との比率を用いるか否かをそれぞれに設定する。
好ましくは、メモリは、複数種類のモデルパターンを記憶する。合致度算出手段は、モデルパターンに含まれる画素の勾配方向と一致する照合領域に含まれる画素の個数と、当該一致した画素の勾配方向の種類の組み合わせとに基づいて、合致度を算出する。接触特定手段と近接特定手段とは、合致度算出手段による合致度の算出のために、互いに異なる種類のモデルパターン、または互いに異なる組み合わせを設定する。
好ましくは、メモリは、異なる大きさのモデルパターンを記憶する。接触特定手段と近接特定手段とは、合致度算出手段による合致度の算出のために、互いに異なる大きさのモデルパターンを設定する。
好ましくは、画像処理装置は、合致度算出手段が算出した合致度が最大となる注目画素の位置に基づいて、撮像対象による撮像画像上の指示位置を特定する位置特定手段をさらに備える。
好ましくは、接触特定手段は接触特定の際に、パネル上の接触位置情報を特定する。近接特定手段は近接特定の際に、パネル上の近接位置情報を特定する。画像処理装置は、接触特定手段と近接特定手段とがそれぞれ特定した位置情報を統合する情報統合手段をさらに備える。
好ましくは、情報統合手段は、接触位置情報と近接位置情報とが近傍である場合に、近接位置情報を削除して接触位置情報を残すことによって位置情報を統合する。
この発明の別の局面に従うと、プロセッサを備える画像処理装置における画像処理方法が提供される。画像処理方法は、プロセッサが、パネルを介して撮像された撮像画像の画像データに基づいて、画素毎の画素値の勾配量を算出するステップと、プロセッサが、画素毎の画素値の勾配量に基づいて、パネルと撮像対象とが近接且つ非接触状態であることを特定するステップとを備える。
この発明の別の局面に従うと、プロセッサを備える画像処理装置で実行される画像処理プログラムが提供される。画像処理プログラムは、プロセッサに、パネルを介して撮像された撮像画像の画像データに基づいて、画素毎の画素値の勾配量を算出するステップと、画素毎の画素値の勾配量に基づいて、パネルと撮像対象とが近接且つ非接触状態であることを特定するステップとを実行させる。
この発明の別の局面に従うと、上記の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体が提供される。
この発明の別の局面に従うと、パネルを介して撮像された画像に対して画像処理を行なう画像処理装置が提供される。画像は画素毎に画素値を含む。画像処理装置は、画素毎の画素値の勾配量を算出する勾配量算出手段と、画素の中から勾配量が第1の閾値以上である第1の画素を抽出する第1の抽出部と、画素の中から勾配量が第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上である第2の画素を抽出する第2の抽出部と、第1の画素の数と第2の画素の数とに基づいて、パネルに物体が接触しているか、パネルの近傍に物体が位置するかを判断する判断部とを備える。
好ましくは、画像処理装置は、画素毎の画素値の勾配方向を特定する勾配方向特定手段と、勾配方向に基づいて、物体に対応するパネル上の位置を算出する位置算出手段とをさらに備える。
好ましくは、画像処理装置は、物体に対応する画像に関する画素毎の勾配方向を示すモデルパターンを記憶するメモリと、勾配方向特定手段によって特定された勾配方向と、モデルパターンの勾配方向との合致度を算出する合致度算出手段とを備える。判断部は、合致度が第3の閾値以上である場合に判断を実行し、合致度が第3の閾値未満である場合に物体がパネルの近傍に位置しないと判断する。
好ましくは、勾配方向特定手段は、画素値が所定範囲外である画素の勾配方向を無方向と特定する。
本発明によれば、撮像対象とパネルとの近接状態を検出することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部分には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
<画像処理装置の外観>
図1は、本実施の形態に係る画像処理装置100の外観を示した図である。画像処理装置100は、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型のパーソナルコンピュータ、携帯型電話機、電子辞書などの表示機能を有する携帯型デバイスとして構成される。ただし、後述するように、画像処理装置100は、1つの光センサ内蔵液晶パネル240を備えるものであってもよい。
図1は、本実施の形態に係る画像処理装置100の外観を示した図である。画像処理装置100は、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型のパーソナルコンピュータ、携帯型電話機、電子辞書などの表示機能を有する携帯型デバイスとして構成される。ただし、後述するように、画像処理装置100は、1つの光センサ内蔵液晶パネル240を備えるものであってもよい。
図1を参照して、本実施の形態に係る画像処理装置100は、第1の筐体100Aと第2の筐体100Bとを含む。第1の筐体100Aと第2の筐体100Bとは、ヒンジ100Cにより折畳み可能に接続されている。第1の筐体100Aは、光センサ内蔵液晶パネル140を備える。第2の筐体100Bは、光センサ内蔵液晶パネル240を備える。このように、画像処理装置100は、光センサ内蔵液晶パネルを2つ備える。
<画像処理装置の動作概要>
図2は、本実施の形態に係る画像処理装置100の動作概要を説明するためのイメージ図である。以下では図2(a)〜(l)に基づき、画像処理装置100の液晶パネルの各画素に内蔵されたフォトダイオードによって撮像される撮像対象の例として、「指の腹」の例を挙げ、それぞれの撮像画像(又は画像データ)の特徴の概要について説明する。
図2は、本実施の形態に係る画像処理装置100の動作概要を説明するためのイメージ図である。以下では図2(a)〜(l)に基づき、画像処理装置100の液晶パネルの各画素に内蔵されたフォトダイオードによって撮像される撮像対象の例として、「指の腹」の例を挙げ、それぞれの撮像画像(又は画像データ)の特徴の概要について説明する。
まず、図2(a)は、液晶パネル240面から離れている指99の腹の撮像画像の撮像の様子を示す概要図であり、図2(b)は、液晶パネル240面から離れている指99の腹の撮像画像の撮像の図2(a)と異なる視点からの様子を示す概要図であり、図2(c)は、液晶パネル240面から離れている指99の腹の撮像画像の特徴を示す概要図であり、図2(d)は、液晶パネル240面から離れている指99の腹の撮像画像の断面特徴を示す概要図である。
すなわち、図2(b)に示すように、液晶パネル240の表面から離れたところに、人差し指99がある場合について考える。この場合、図2(c)の撮像画像は、全面が真っ暗な画像となる。なお、各画素における画素値の勾配方向(以降、単に「勾配方向」とも言う)は、全面が真っ暗であるため、特定できず、無方向になる傾向を示している。(ここでは、勾配方向は暗い部分から明るい部分に向かう向きを正としている。)
次に、人差し指99が液晶パネル240に近づいてきた場合について説明する。図2(e)は、液晶パネル240面に近接(非接触)している指99の腹の撮像画像の撮像の様子を示す概要図であり、図2(f)は、液晶パネル240面に近接(非接触)している指99の腹の撮像画像の撮像の図2(e)と異なる視点からの様子を示す概要図であり、図2(g)は、液晶パネル240面に近接(非接触)している指99の腹の撮像画像の特徴を示す概要図であり、図2(h)は、液晶パネル240面に近接(非接触)している指99の腹の撮像画像の断面特徴を示す概要図である。
次に、人差し指99が液晶パネル240に近づいてきた場合について説明する。図2(e)は、液晶パネル240面に近接(非接触)している指99の腹の撮像画像の撮像の様子を示す概要図であり、図2(f)は、液晶パネル240面に近接(非接触)している指99の腹の撮像画像の撮像の図2(e)と異なる視点からの様子を示す概要図であり、図2(g)は、液晶パネル240面に近接(非接触)している指99の腹の撮像画像の特徴を示す概要図であり、図2(h)は、液晶パネル240面に近接(非接触)している指99の腹の撮像画像の断面特徴を示す概要図である。
すなわち、図2(f)に示すように、液晶パネル240の表面に、人差し指99の腹が近接(非接触)した場合について考える。この場合、図2(g)の撮像画像は、バックライトが撮像対象(指99の腹)に反射して得られる画像であり、白い円形状がぼやけたような画像となる。ここで、図2(g)の撮像画像は、指99が液晶パネル240面に接触していないため、後述する図2(k)に比べて相対的に暗くて、よりぼやけた画像となる。なお、各画素における勾配方向は、図2(k)と同様に、おおよそ、撮像画像におけるエッジ部分からエッジ部分に囲まれた領域の中心付近に向かう傾向を示している。なお、ここでは、勾配方向は暗い部分から明るい部分に向かう向きを正としている。
本実施の形態に係る画像処理装置100は、このように、液晶パネル240の表面に、人差し指99の腹が近接(非接触)した場合においても、指99が液晶パネル240に近接している旨を出力したり、液晶パネル240の当該指99の位置に対応する座標を出力することができるものである。
次に、人差し指99が液晶パネル240に接触した場合について説明する。図2(i)は、液晶パネル240面に接触している指99の腹の撮像画像の撮像の様子を示す概要図であり、図2(j)は、液晶パネル240面に接触している指99の腹の撮像画像の撮像の図2(i)と異なる視点からの様子を示す概要図であり、図2(k)は、液晶パネル240面に接触している指99の腹の撮像画像の特徴を示す概要図であり、図2(l)は、液晶パネル240面に接触している指99の腹の撮像画像の断面特徴を示す概要図である。
すなわち、図2(j)に示すように、液晶パネル240の表面に、人差し指99の腹が接触した場合について考える。この場合、図2(k)の撮像画像は、バックライトが撮像対象(指99の腹)に反射して得られる画像であり、白い円形状がぼやけたような画像となる。なお、各画素における勾配方向は、おおよそ、撮像画像におけるエッジ部分からエッジ部分に囲まれた領域の中心付近に向かう傾向を示している。(ここでは、勾配方向は暗い部分から明るい部分に向かう向きを正としている。)
以上のような、各勾配方向の分布は、例えば、指のように表面が柔らかく、面に接触することにより接触面が円形になる場合、または先が丸いペンのように表面が固くても接触面が円形になるような場合には、撮像画像におけるエッジ部分からエッジ部分に囲まれた領域の中心付近に向かう傾向を示す。また、接触面がその他の形状であっても、撮像画像におけるエッジ部分からエッジ部分に囲まれた領域の中に向かうか、或いは、エッジ部分に囲まれた領域の中からその領域の外側に向かうかのいずれかの傾向を示す。さらに、これらの傾向は、撮像対象の状況等に応じて、大きく変わることは無い。したがって、勾配方向は、パターンマッチングに適した量と考えられる。
以下、このような機能を実現するための画像処理装置100の具体的な構成について詳述する。
<ハードウェア構成>
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る画像処理装置100の具体的構成の一態様について説明する。図3は、本実施の形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る画像処理装置100の具体的構成の一態様について説明する。図3は、本実施の形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
本実施の形態に係る画像処理装置100は、第1ユニット1001と、第2ユニット1002とを含む。第2ユニット1002は、画像処理装置100から着脱可能に第1ユニット1001に接続されている。第1ユニット1001は、本体装置101と、表示装置102とを含む。第2ユニット1002は、表示装置103と、本体装置104とを含む。
第1の筐体100Aは、表示装置102を含む。第2の筐体100Bは、本体装置101を含む。また、第2の筐体100Bは、第2ユニット1002を含む。
(第1ユニットについて)
本体装置101は、CPU(Central Processing Unit)110と、RAM(Random Access Memory)171と、ROM(Read-Only Memory)172と、メモリカードリーダライタ173と、外部通信部174と、マイク175と、スピーカ176と、操作キー177と、電源スイッチ191と、電源回路192と、電源検出部193と、USB(Universal Serial Bus)コネクタ194と、アンテナ195と、LAN(Local Area Network)コネクタ196とを含む。各構成要素(110,171〜177,193)は、相互にデータバスDB1によって接続されている。メモリカードリーダライタ173には、メモリカード1731が装着される。
本体装置101は、CPU(Central Processing Unit)110と、RAM(Random Access Memory)171と、ROM(Read-Only Memory)172と、メモリカードリーダライタ173と、外部通信部174と、マイク175と、スピーカ176と、操作キー177と、電源スイッチ191と、電源回路192と、電源検出部193と、USB(Universal Serial Bus)コネクタ194と、アンテナ195と、LAN(Local Area Network)コネクタ196とを含む。各構成要素(110,171〜177,193)は、相互にデータバスDB1によって接続されている。メモリカードリーダライタ173には、メモリカード1731が装着される。
CPU110は、プログラムを実行する。操作キー177は、画像処理装置100の使用者による指示の入力を受ける。RAM171は、CPU110によるプログラムの実行により生成されたデータ、または操作キー177を介して入力されたデータを揮発的に格納する。ROM172は、データを不揮発的に格納する。また、ROM172は、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどのデータの書込みおよび消去が可能なROMである。
外部通信部174は、他の画像処理装置と通信を行なう。具体的には、外部通信部174は、USBコネクタ194を介して、たとえば第2ユニット1002と通信を行なう。また、外部通信部174は、アンテナ195を介して、たとえば第2ユニット1002と無線通信を行なう。さらに、外部通信部174は、LANコネクタ196を介して、他の画像処理装置との間で有線通信を行なう。
なお、本体装置101は、Bluetooth(登録商標)以外の無線通信により、他の画像処理装置と通信を行なってもよい。たとえば、外部通信部174は、図示しない無線LANアンテナを介して、LANに接続された他の画像処理装置との間で無線通信を行なってもよい。あるいは、図示しない赤外線ポートを介して、他の画像処理装置との間で無線通信を行なってもよい。
電源スイッチ191は、画像処理装置100を起動させるためのスイッチである。
電源スイッチ191がオンすると、電源回路192は、電源検出部193を介して、データバスDB1に接続されている各構成要素と表示装置102とに電力を供給する。また、電源スイッチ191がオンすると、電源回路192は、電源検出部193を介することなく、外部通信部174に電力を供給する。
電源スイッチ191がオンすると、電源回路192は、電源検出部193を介して、データバスDB1に接続されている各構成要素と表示装置102とに電力を供給する。また、電源スイッチ191がオンすると、電源回路192は、電源検出部193を介することなく、外部通信部174に電力を供給する。
電源検出部193は、電源回路192からの出力を検出する。また、電源検出部193は、当該検出した出力に関する情報(たとえば、電圧値や電流値)を、CPU110に送る。
USBコネクタ194は、第1ユニット1001を第2ユニット1002に接続するために用いられる。なお、本体装置101は、USBコネクタ194に加えて他のUSBコネクタを備えていてもよい。
第1ユニット1001は、USBコネクタ194を介して、第2ユニット1002にデータを送信する。また、第1ユニット1001は、USBコネクタ194を介して、第2ユニット1002からデータを受信する。さらに、第1ユニット1001は、USBコネクタ194を介して、第2ユニット1002に電力を供給する。
アンテナ195は、第1ユニット1001と、他の通信装置(たとえば第2ユニット1002)との間における、Bluetooth(登録商標)の規格に沿った通信に用いられる。LANコネクタ196は、画像処理装置100をLANに接続するために用いられる。
表示装置102は、ドライバ130と、光センサ内蔵液晶パネル140(以下、液晶パネル140と称する)と、内部IF178と、バックライト179と、画像処理エンジン180とを含む。
ドライバ130は、液晶パネル140およびバックライト179を駆動するための駆動回路である。ドライバ130に含まれる各種の駆動回路については、後述する。
液晶パネル140は、液晶ディスプレイの機能と光センサの機能とを備えたデバイスである。つまり、液晶パネル140は、液晶を用いた画像の表示と、光センサを用いたセンシングとを行うことができる。液晶パネル140の詳細については、後述する。
内部IF(Interface)178は、本体装置101と表示装置102との間で、データの遣り取りを仲介する。
バックライト179は、液晶パネル140の裏面に配置された光源である。バックライト179は、当該裏面に対して均一な光を照射する。
画像処理エンジン180は、ドライバ130を介して液晶パネル140の動作を制御する。ここで、当該制御は、内部IF178を介して本体装置101から送られてくる各種データに基づいて行われる。なお、当該各種データはコマンドを含む。上記コマンドは、上記光センサによりセンシングを指示するセンシングコマンドなどを含む。また、画像処理エンジン180は、液晶パネル140から出力されるデータを処理し、処理したデータを内部IF178を介して本体装置101に送る。さらに、画像処理エンジン180は、ドライバ制御部181と、タイマ182と、信号処理部183とを含む。
ドライバ制御部181は、ドライバ130に対して制御信号を送ることによりドライバ130の動作を制御する。また、ドライバ制御部181は、本体装置101から送られてくるコマンドを解析する。そして、ドライバ制御部181は、当該解析の結果に基づいた制御信号をドライバ130に送る。ドライバ130の動作の詳細については、後述する。
タイマ182は、時刻情報を生成し、信号処理部183に対して時刻情報を送る。
信号処理部183は、上記光センサから出力されるデータを受け取る。ここで、上記光センサから出力されるデータはアナログデータであるため、信号処理部183は、まず当該アナログデータをデジタルデータに変換する。さらに、信号処理部183は、当該デジタルデータに対して、本体装置101から送られてくるコマンドの内容に応じたデータ処理を行う。そして、信号処理部183は、上記データ処理を行った後のデータと、タイマ182から取得した時刻情報とを含んだデータ(以下、応答データと称する)を本体装置101に送る。また、信号処理部183は、後述するスキャンデータを連続して複数格納できるRAM(図示せず)を備えている。
信号処理部183は、上記光センサから出力されるデータを受け取る。ここで、上記光センサから出力されるデータはアナログデータであるため、信号処理部183は、まず当該アナログデータをデジタルデータに変換する。さらに、信号処理部183は、当該デジタルデータに対して、本体装置101から送られてくるコマンドの内容に応じたデータ処理を行う。そして、信号処理部183は、上記データ処理を行った後のデータと、タイマ182から取得した時刻情報とを含んだデータ(以下、応答データと称する)を本体装置101に送る。また、信号処理部183は、後述するスキャンデータを連続して複数格納できるRAM(図示せず)を備えている。
なお、タイマ182は、必ずしも画像処理エンジン180に備えられている必要はない。たとえば、タイマ182は、表示装置102内における、画像処理エンジン180の外部に備えられていてもよい。あるいは、タイマ182は、本体装置101に備えられていてもよい。また、マイク175およびスピーカ176は、画像処理装置100が常に備える構成ではなく、画像処理装置100の実施例によっては、マイク175およびスピーカ176のいずれかあるいは両方を有さない構成であってもよい。
ここで、表示装置102は、システム液晶を含んでいる。なお、システム液晶とは、液晶パネル140の周辺機器を当該液晶パネル140のガラス基板上に一体形成することにより得られるデバイスである。本実施の形態では、ドライバ130(バックライト179を駆動する回路を除く)と、内部IF178と、画像処理エンジン180とが、液晶パネル140のガラス基板上に一体形成されている。なお、表示装置102が、必ずしもシステム液晶を用いて構成されている必要はなく、ドライバ130(バックライト179を駆動する回路を除く)と、内部IF178と、画像処理エンジン180とが、上記ガラス基板以外の基板に構成されていてもよい。
(第2ユニットについて)
第2ユニット1002は、第1ユニット1001から電力の供給を受ける。具体的には、後述するUSBコネクタ294と第1ユニット1001のUSBコネクタ194とを接続することにより、第2ユニット1002は、第1ユニット1001の電源回路192から電力の供給を受ける。
第2ユニット1002は、第1ユニット1001から電力の供給を受ける。具体的には、後述するUSBコネクタ294と第1ユニット1001のUSBコネクタ194とを接続することにより、第2ユニット1002は、第1ユニット1001の電源回路192から電力の供給を受ける。
本体装置104は、CPU210と、RAM271と、ROM272と、外部通信部274と、電源検出部293と、USBコネクタ294と、アンテナ295と、信号強度検出部297とを含む。各構成要素(210,271,272,274,293)は、相互にデータバスDB2によって接続されている。
CPU210は、プログラムを実行する。RAM271は、CPU210によるプログラムの実行により生成されたデータを揮発的に格納する。ROM272は、データを不揮発的に格納する。また、ROM272は、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどのデータの書込みおよび消去が可能なROMである。
外部通信部274は、他の画像処理装置との間で通信を行なう。具体的には、外部通信部274は、USBコネクタ294を介して、たとえば第1ユニット1001と通信を行なう。また、外部通信部274は、アンテナ295を介して、たとえば第1ユニット1001と通信を行なう。
なお、本体装置104は、Bluetooth(登録商標)以外の無線通信により、他の画像処理装置(たとえば、第1ユニット1001)と通信を行なってもよい。たとえば、外部通信部274は、図示しない赤外線ポートを介して、他の画像処理装置との間で無線通信を行なってもよい。
信号強度検出部297は、アンテナ295を介して受信した信号についての強度を検出する。そして、信号強度検出部297は、検出した強度を外部通信部274に送る。
USBコネクタ294は、第2ユニット1002を第1ユニット1001に接続するために用いられる。
第2ユニット1002は、USBコネクタ294を介して、第1ユニット1001にデータを送信する。また、第2ユニット1002は、USBコネクタ294を介して、第1ユニット1001からデータを受信する。さらに、第2ユニット1002は、上述したように、USBコネクタ294を介して、第1ユニット1001から電力の供給を受ける。なお、第2ユニット1002は、第1ユニット1001から供給された電力を、図示しないバッテリに蓄電する。
アンテナ295は、第2ユニット1002と、たとえば第1ユニット1001との間における、Bluetooth(登録商標)の規格に沿った通信に用いられる。
電源検出部293は、USBコネクタ294を介して給電された電力を検出する。また、電源検出部293は、当該検出した電力についての情報を、CPU210に送る。
また、本体装置104は、赤外線通信を行なうための機能を備えていてもよい。
表示装置103は、ドライバ230と、光センサ内蔵液晶パネル240(以下、「液晶パネル240」と称する)と、内部IF278と、バックライト279と、画像処理エンジン280とを含む。画像処理エンジン280は、ドライバ制御部281と、タイマ282と、信号処理部283とを含む。
表示装置103は、ドライバ230と、光センサ内蔵液晶パネル240(以下、「液晶パネル240」と称する)と、内部IF278と、バックライト279と、画像処理エンジン280とを含む。画像処理エンジン280は、ドライバ制御部281と、タイマ282と、信号処理部283とを含む。
表示装置103は、表示装置102と同様な構成を有する。つまり、ドライバ230、液晶パネル240、内部IF278、バックライト279、および画像処理エンジン280は、表示装置102における、ドライバ130、液晶パネル140、内部IF178、バックライト179、画像処理エンジン180と同じ構成をそれぞれ有する。ドライバ制御部281、タイマ282、および信号処理部283は、表示装置102における、ドライバ制御部181、タイマ182、信号処理部183と同じ構成をそれぞれ有する。したがって、表示装置103に含まれる各機能ブロックについての説明は、繰り返さない。
ところで、画像処理装置100における処理は、各ハードウェアおよびCPU110により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ROM172に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、メモリカード1731その他の記憶媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、メモリカードリーダライタ173その他の読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信部174または通信IF(図示せず)を介してダウンロードされた後、ROM172に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU110によってROM172から読み出され、RAM171に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU110は、そのプログラムを実行する。
図3に示される画像処理装置100の本体装置101を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、RAM171、ROM172、メモリカード1731その他の記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、画像処理装置100の本体装置101のハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
なお、記憶媒体としては、メモリカードに限られず、CD−ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを格納する媒体でもよい。
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
<光センサ内蔵液晶パネルの構成および駆動について>
次に、液晶パネル140の構成と、当該液晶パネル140の周辺回路の構成とについて説明する。図4は、液晶パネル140の構成と、当該液晶パネル140の周辺回路とを示した図である。
次に、液晶パネル140の構成と、当該液晶パネル140の周辺回路の構成とについて説明する。図4は、液晶パネル140の構成と、当該液晶パネル140の周辺回路とを示した図である。
図4を参照して、液晶パネル140は、画素回路141と、光センサ回路144と、走査信号線Giと、データ信号線SRjと、データ信号線SGjと、データ信号線SBjと、センサ信号線SSjと、センサ信号線SDjと、読出信号線RWiと、リセット信号線RSiとを含む。なお、iは、1≦i≦mを満たす自然数であり、jは1≦j≦nを満たす自然数である。
また、図3に示した表示装置102のドライバ130は、液晶パネル140の周辺回路として、走査信号線駆動回路131と、データ信号線駆動回路132と、光センサ駆動回路133と、スイッチ134と、アンプ135とを含む。
走査信号線駆動回路131は、図3に示すドライバ制御部181から制御信号TC1を受ける。そして、走査信号線駆動回路131は、制御信号TC1に基づき、各走査信号線(G1〜Gm)に対して、走査信号線G1から順に予め定められた電圧を印加する。より詳しくは、走査信号線駆動回路131は、単位時間毎に走査信号線(G1〜Gm)の中から1つの走査信号線を順次選択し、当該選択した走査信号線に対して後述するTFT(Thin Film Transistor)142のゲートをターンオンできるだけの電圧(以下、ハイレベル電圧)を印加する。なお、選択されていない走査信号線に対しては、ハイレベル電圧を印加することなく、ローレベル電圧を印加したままとする。
データ信号線駆動回路132は、図3に示すドライバ制御部181から画像データ(DR,DG,DB)を受ける。そして、データ信号線駆動回路132は、3n個のデータ信号線(SR1〜SRn,SG1〜SGn,SB1〜SBn)に対して、上記単位時間毎に、1行分の画像データに対応する電圧を順次印加する。
なお、ここでは、いわゆる線順次方式と呼ばれる駆動方式を用いて説明したが、駆動方式はこれに限定されるものではない。
画素回路141は、1つの画素の輝度(透過率)を設定するための回路である。また、画素回路141は、マトリクス状にm×n個配されている。より詳しくは、画素回路141は、図4の縦方向にm個、横方向にn個配されている。
画素回路141は、Rサブピクセル回路141rと、Gサブピクセル回路141gと、Bサブピクセル回路141bとからなる。これら3つの回路(141r,141g,141b)は、それぞれ、TFT142と、画素電極と対向電極とからなる1組の電極対143と、図示しないコンデンサとを含む。
なお、n型のトランジスタとp型のトランジスタとを作れるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を実現できること、キャリア(電子または正孔)の移動速度がアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(a-Si TFT)に比べて数百倍早いことなどから、表示装置102では、TFT142として多結晶シリコン薄膜トランジスタ(p-Si TFT)が用いられる。なお、TFT142は、n型チャネルの電界効果トランジスタであるとして説明する。ただし、TFT142がp型チャネルの電界効果トランジスタであってもよい。
Rサブピクセル回路141r内のTFT142のソースはデータ信号線SRjに接続されている。また、当該TFT142のゲートは走査信号線Giに接続されている。さらに、当該TFT142のドレインは、電極対143の画素電極に接続される。そして、画素電極と対向電極との間には、液晶が配される。なお、Gサブピクセル回路141gおよびBサブピクセル回路141bについても、各TFT142のソースが接続されるデータ信号線が異なる以外は、Rサブピクセル回路141rと同じ構成である。このため、これら2つの回路(141g,141b)についての説明は、繰り返さない。
ここで、画素回路141における輝度の設定について説明する。まず、走査信号線Giに上記ハイレベル電圧を印加する。当該ハイレベル電圧の印加により、TFT142のゲートがターンオンする。このようにTFT142のゲートがターンオンした状態で、各データ信号線(SRj,SGj,SBj)に対して、それぞれ指定された電圧(1画素分の画像データに対応する電圧)を印加する。これにより、当該指定された電圧に基づいた電圧が画素電極に印加される。その結果、画素電極と対向電極との間に電位差が生じる。この電位差に基づいて、液晶が応答し、画素の輝度は予め定められた輝度に設定される。なお、当該電位差は、上記図示しないコンデンサ(補助容量)によって、次のフレーム期間において走査信号線Giが選択されるまで保持される。
光センサ駆動回路133は、図3に示すドライバ制御部181から制御信号TC2を受ける。
そして、光センサ駆動回路133は、制御信号TC2に基づき、単位時間毎にリセット信号線(RS1〜RSm)の中から1つの信号線を順次選択し、当該選択した信号線に対して、予め定められたタイミングで通常よりもハイレベルな電圧VDDRを印加する。なお、選択されていないリセット信号線に対しては、選択されたリセット信号線に印加した電圧よりも低い電圧VSSRを印加したままとする。たとえば、電圧VDDRを0Vに、電圧VSSRを−5Vに設定すればよい。
また、光センサ駆動回路133は、制御信号TC2に基づき、単位時間毎に読出信号線(RW1〜RWm)の中から1つの信号線を順次選択し、当該選択した信号線に対して、予め定められたタイミングで通常よりもハイレベルな電圧VDDを印加する。なお、選択されていない読出信号線に対しては、上記電圧VSSRを印加したままとする。たとえば、VDDの値を8Vに設定すればよい。
なお、電圧VDDRを印加するタイミング、および電圧VDDを印加するタイミングについては、後述する。
光センサ回路144は、フォトダイオード145と、コンデンサ146と、TFT147とを含む。なお、以下では、TFT147がn型チャネルの電界効果トランジスタであるとして説明する。ただし、TFT147がp型チャネルの電界効果トランジスタであってもよい。
フォトダイオード145のアノードは、リセット信号線RSiに接続されている。一方、フォトダイオード145のカソードは、コンデンサ146の一方の電極に接続されている。また、コンデンサ146の他方の電極は、読出信号線RWiに接続されている。なお、以下では、フォトダイオード145とコンデンサ146との接続点をノードNと称する。
TFT147のゲートは、ノードNに接続されている。また、TFT147のドレインは、センサ信号線SDjに接続されている。さらに、TFT147のソースは、センサ信号線SSjに接続されている。光センサ回路144を用いたセンシングの詳細については、後述する。
スイッチ134は、センサ信号線(SD1〜SDn)に対して、予め定められた電圧を印加するか否かを切り換えるために設けられたスイッチである。スイッチ134の切り換え動作は、光センサ駆動回路133により行われる。なお、スイッチ134が導通状態となった場合にセンサ信号線(SD1〜SDn)に印加される電圧については、後述する。
アンプ135は、各センサ信号線(SS1〜SSn)から出力された電圧を増幅する。なお、増幅された電圧は、図3に示した信号処理部183に送られる。
なお、画素回路141を用いて画像を液晶パネル140に表示させるタイミングと、光センサ回路144を用いてセンシングするタイミングとについては、画像処理エンジン180が制御する。
図5は、液晶パネル140とバックライト179との断面図である。図5を参照して、液晶パネル140は、アクティブマトリクス基板151Aと、対向基板151Bと、液晶層152とを含む。対向基板151Bは、アクティブマトリクス基板151Aに対向して配されている。液晶層152は、アクティブマトリクス基板151Aと対向基板151Bとに挟まれている。バックライト179は、アクティブマトリクス基板151Aに関し液晶層152と反対側に配されている。
アクティブマトリクス基板151Aは、偏光フィルタ161と、ガラス基板162と、電極対143を構成する画素電極143aと、フォトダイオード145と、データ信号線157と、配向膜164とを含む。さらに、図5には示していないが、アクティブマトリクス基板151Aは、図4に示した、コンデンサ146と、TFT147と、TFT142と、走査信号線Giとを含む。
また、アクティブマトリクス基板151Aにおいては、バックライト179側から、偏光フィルタ161、ガラス基板162、画素電極143a、および配向膜164が、この順に配されている。フォトダイオード145とデータ信号線157とは、ガラス基板162の液晶層152側に形成されている。
対向基板151Bは、偏光フィルタ161と、ガラス基板162と、遮光膜163と、カラーフィルタ(153r,153g,153b)と、電極対143を構成する対向電極143bと、配向膜164とを含む。
また、対向基板151Bにおいては、液晶層152側から、配向膜164、対向電極143b、カラーフィルタ(153r,153g,153b)、ガラス基板162、および偏光フィルタ161が、この順に配されている。遮光膜163は、カラーフィルタ(153r,153g,153b)と同一の層に形成されている。
カラーフィルタ153rは、赤色の波長の光を透過させるフィルタである。カラーフィルタ153gは、緑色の波長の光を透過させるフィルタである。カラーフィルタ153bは、青色の波長の光を透過させるフィルタである。ここで、フォトダイオード145は、カラーフィルタ153bに対向する位置に配されている。
液晶パネル140は、外光やバックライト179などの光源により発せられた光を遮ったり又は当該光を透過させたりすることによって、画像の表示をする。具体的には、液晶パネル140は、画素電極143aと対向電極143bとの間に電圧を印加することにより液晶層152の液晶分子の向きを変化させ、上記光を遮ったり、あるいは透過させる。ただし、液晶だけでは光を完全に遮ることができないため、特定の偏光方向の光のみを透過させる偏光フィルタ161を配置している。
なお、フォトダイオード145の位置は、上記の位置に限定されるものではなく、カラーフィルタ153rに対向する位置やカラーフィルタ153gに対向する位置に設けることも可能である。
ここで、光センサ回路144の動作について説明する。図6は、光センサ回路144を動作させる際のタイミングチャートを示した図である。図6において、電圧VINTは、光センサ回路144内のノードNにおける電位を示している。また、電圧VPIXは、図4に示したセンサ信号線SSjからの出力電圧であって、アンプ135によって増幅される前の電圧を示している。
以下では、光センサ回路144をリセットするためのリセット期間と、光センサ回路144を用いて光(赤外線や可視光などを含む。)をセンシングするためのセンシング期間と、センシングした結果を読み出す読出期間とに分けて説明する。
まず、リセット期間について説明する。リセット期間においては、リセット信号線RSiに印加する電圧を、ローレベル(電圧VSSR)からハイレベル(電圧VDDR)へと瞬間的に切り換える。一方、読出信号線RWiに印加する電圧は、ローレベル(電圧VSSR)のままとする。このように、リセット信号線RSiに上記ハイレベルの電圧を印加することにより、フォトダイオード145の順方向(アノード側からカソード側)に電流が流れ始める。その結果、ノードNの電位である電圧VINTは、以下の式で示す値となる。なお、式(1)では、フォトダイオード145における順方向の電圧降下量をVfとしている。
VINT=VSSR+|VDDR−VSSR|−Vf
それゆえ、ノードNの電位は、図6に示すとおり、電圧VDDRよりもVfだけ小さな値となる。
それゆえ、ノードNの電位は、図6に示すとおり、電圧VDDRよりもVfだけ小さな値となる。
ここで、電圧VINTは、TFT147のゲートをターンオンさせる閾値以下であるため、センサ信号線SSjからの出力はない。このため、電圧VPIXは変化しない。また、コンデンサ146の電極間には、上記電圧VINT分の差が生じる。このため、コンデンサ146には、当該差に応じた電荷が蓄積される。
次に、センシング期間について説明する。リセット期間に続くセンシング期間においては、リセット信号線RSiに印加する電圧は、ハイレベル(電圧VDDR)からローレベル(電圧VSSR)へと瞬間的に切り換わる。一方、読出信号線RWiに印加する電圧は、ローレベル(電圧VSSR)のままとする。
このように、リセット信号線RSiに印加する電圧をローレベルに変化させることにより、ノードNの電位は、リセット信号線RSiの電圧および読出信号線RWiの電圧よりも高くなる。このため、フォトダイオード145においては、カソード側の電圧がアノード側の電圧よりも高くなる。つまり、フォトダイオード145は、逆バイアスの状態となる。このような逆バイアスの状態において、光源からの光をフォトダイオード145が受光すると、フォトダイオード145のカソード側からアノード側へと電流が流れ始める。その結果、図6に示すとおり、ノードNの電位(つまり、電圧VINT)は時間の経過とともに低くなる。
なお、このように電圧VINTが低下し続けるため、TFT147のゲートはターンオンした状態にはならない。それゆえ、センサ信号線SSjからの出力はない。このため、電圧VPIXは変化しない。
次に、読出期間について説明する。センシング期間に続く読出期間においては、リセット信号線RSiに印加する電圧をローレベル(電圧VSSR)のままとする。一方、読出信号線RWiに印加する電圧は、ローレベル(電圧VSSR)からハイレベル(電圧VDD)へと瞬間的に切り換わる。ここで、電圧VDDは、電圧VDDRよりも高い値である。
このように、読出信号線RWiにハイレベルの電圧を瞬間的に印加することにより、図6に示すとおり、コンデンサ146を介してノードNの電位が引き上げられる。なお、ノードNの電位の上昇幅は、読出信号線RWiに印加する電圧に応じた値となる。ここで、ノードNの電位(つまり、電圧VINT)が、TFT147のゲートをターンオンさせる閾値以上まで引き上げられるため、TFT147のゲートがターンオンする。
この際、TFT147のドレイン側に接続されたセンサ信号線SDj(図4参照)に予め一定電圧を印加しておけば、TFT147のソース側に接続されたセンサ信号線SSjからは、図6のVPIXのグラフに示すとおり、ノードNの電位に応じた電圧が出力される。
ここで、フォトダイオード145が受光する光の量(以下、受光量と称する)が少ないと、図6のVINTのグラフに示す直線の傾きが緩やかになる。その結果、電圧VPIXは、受光量が多い場合に比べて高くなる。このように、光センサ回路144は、フォトダイオード145の受光量に応じて、センサ信号線SSjに出力する電圧の値を変化させる。
ところで、上記においては、m×n個存在する光センサ回路のうち、1つの光センサ回路144に着目して、その動作を説明した。以下では、液晶パネル140における各光センサ回路の動作について説明する。
まず、光センサ駆動回路133は、n個のセンサ信号線(SD1〜SDn)の全てに対して、予め定められた電圧を印加する。次に、光センサ駆動回路133は、リセット信号線RS1に対して、通常よりもハイレベルな電圧VDDRを印加する。なお、他のリセット信号線(RS2〜RSm)および読出信号線(RW1〜RWm)については、ローレベルの電圧を印加したままの状態とする。これにより、図4における1行目のn個の光センサ回路が、上述したリセット期間に入る。その後、1行目のn個の光センサ回路は、センシング期間に入る。さらに、その後、1行目のn個の光センサ回路は、読出期間に入る。
なお、n個のセンサ信号線(SD1〜SDn)の全てに対して予め定められた電圧を印加するタイミングは、上記のタイミングに限定されず、少なくとも読出期間前に印加されるタイミングであればよい。
1行目のn個の光センサ回路の読出期間が終了すると、光センサ駆動回路133は、リセット信号線RS2に対して、通常よりもハイレベルな電圧VDDRを印加する。つまり、2行目のn個の光センサ回路のリセット期間に入る。リセット期間が終了すると、2行目のn個の光センサ回路は、センシング期間に入り、その後は、読出期間に入る。
以降は、上述した処理が、順に、3行目のn個の光センサ回路、4行目のn個の光センサ回路、…m行目のn個の光センサ回路に対して行われる。その結果、センサ信号線(SS1〜SSn)からは、1行目のセンシング結果、2行目のセンシング結果、…、m行目のセンシング結果が、この順に出力される。
なお、表示装置102においては、上記のように行毎にセンシングが行われるとともに、行毎にセンシング結果が液晶パネル140から出力される。このため、以下では、液晶パネル140から出力される1行目からm行目までのm行分の電圧に関するデータに対して、信号処理部183が上述したデータ処理を行った後のデータを、「スキャンデータ」と称する。つまり、スキャンデータとは、スキャン対象物(たとえば、ユーザの指99)をスキャンすることにより得られる画像データを指す。また、当該スキャンデータに基づいて表示された画像を、「スキャン画像」と称する。さらに、以下では、センシングを「スキャン」と称する。
また、上記においては、m×n個の光センサ回路全てを用いてスキャンを行う構成を例に挙げたが、これに限定されるものではない。予め選択された光センサ回路を用いて、液晶パネル140の表面の一部の領域に関してスキャンを行うことも構成としてもよい。
以下では、画像処理装置100が、両構成のいずれの構成をも採れるものとする。さらに、当該構成間の切り換えは、操作キー177を介した入力などに基づく本体装置101から送られてくるコマンドにより行われるものとする。なお、液晶パネル140の表面の一部の領域に関してスキャンを行う場合、画像処理エンジン180が、スキャン対象領域の設定を行う。なお、当該領域の設定を、操作キー177を介してユーザが指定できる構成としてもよい。
このように、液晶パネル140の表面の一部の領域に関してスキャンを行う場合には、画像の表示に関し、以下のような利用の態様がある。1つ目は、上記一部の領域(以下、スキャン領域と称する)以外の表面の領域において、画像を表示させる態様である。2つ目は、上記スキャン領域以外の表面の領域において、画像を表示させない態様である。いずれの態様とするかは、本体装置101から画像処理エンジン180に送られてくるコマンドに基づく。
図7は、液晶パネル140とバックライト179との断面図であって、スキャンの際にフォトダイオード145がバックライト179からの光を受光する構成を示した図である。画像処理装置100は、可視光のみを発するバックライト179を装備してもよいし、可視光のみを発するバックライト179と赤外線のみを発するバックライトとを装備してもよいし、可視光と赤外線とを発するバックライト179を装備してもよい。
図7を参照して、ユーザの指99が液晶パネル140の表面に接触している場合、バックライト179から発せられた光の一部は、当該接触している領域ではユーザの指99(略平面)にて反射される。そして、フォトダイオード145は、当該反射された光を受光する。
また、指99が接触していない領域においても、バックライト179から発せられた光の一部は、ユーザの指99にて反射される。この場合においても、フォトダイオード145は、当該反射された光を受光する。ただし、当該領域においては液晶パネル140の表面に指99が接触していないため、指99が接触している領域よりも、フォトダイオード145の受光量は少なくなる。なお、バックライト179から発せられた光のうち、ユーザの指99に到達しない光のほとんどについては、フォトダイオード145は受光できない。
ここで、バックライト179を、少なくともセンシング期間においては点灯させておくことにより、光センサ回路144は、ユーザの指99により反射した光の光量に応じた電圧をセンサ信号線SSjから出力することができる。このように、バックライト179の点灯と消灯とを制御することにより、液晶パネル140では、指99の接触位置、指99の接触している範囲(指99の押圧力によって定まる)、液晶パネル140の表面に対する指99の方向などに応じて、センサ信号線(SS1からSSn)から出力される電圧が変化することになる。
以上により、表示装置102は、指99によって光が反射されることにより得られる像(以下、反射像とも称する)をスキャンすることができる。そして、画像処理エンジン180は、CPU110からのコマンドの内容を解析し、当該解析の結果に従った画像データ(つまり、応答データ)をCPU110に送り返す。
なお、指99以外のスキャン対象物としては、スタイラスペンなどが挙げられる。
ところで、本実施の形態においては、画像処理装置100の表示装置として液晶パネルを例に挙げて説明しているが、液晶パネルの代わりに有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの他のパネルを用いてもよい。
ところで、本実施の形態においては、画像処理装置100の表示装置として液晶パネルを例に挙げて説明しているが、液晶パネルの代わりに有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの他のパネルを用いてもよい。
<表示装置103について>
表示装置103の動作は、表示装置102の動作と同様、CPU210からのコマンドに応じて制御される。表示装置103は表示装置102と同様な構成を有する。それゆえ、表示装置103が表示装置102と同じコマンドをCPU210から受け付けた場合、表示装置103は表示装置102と同様の動作を行う。このため、表示装置103の構成や動作についての説明は繰り返さない。なお、CPU110が、実行中のアプリケーションに基づいて、表示装置103を直接制御してもよい。
表示装置103の動作は、表示装置102の動作と同様、CPU210からのコマンドに応じて制御される。表示装置103は表示装置102と同様な構成を有する。それゆえ、表示装置103が表示装置102と同じコマンドをCPU210から受け付けた場合、表示装置103は表示装置102と同様の動作を行う。このため、表示装置103の構成や動作についての説明は繰り返さない。なお、CPU110が、実行中のアプリケーションに基づいて、表示装置103を直接制御してもよい。
なお、表示装置102の液晶パネル140のサイズと表示装置103の液晶パネル240のサイズとは、同じであってもよいし又は異なっていてもよい。また、液晶パネル140の解像度と液晶パネル240の解像度とは、同じであってもよいし又は異なっていてもよい。
<表示装置102の変形例について>
本実施の形態では、画像処理装置100が、液晶パネル140と液晶パネル240といったそれぞれに光センサを内蔵した液晶パネルを備える構成について説明するが、一方の液晶パネルのみが光センサを内蔵している構成であってもよい。さらに、画像処理装置100は、1つの筐体あるいは1つのユニットから構成されてもよい。
本実施の形態では、画像処理装置100が、液晶パネル140と液晶パネル240といったそれぞれに光センサを内蔵した液晶パネルを備える構成について説明するが、一方の液晶パネルのみが光センサを内蔵している構成であってもよい。さらに、画像処理装置100は、1つの筐体あるいは1つのユニットから構成されてもよい。
図8は、画像処理装置150のハードウェア構成を表すブロック図である。本変形例に係る画像処理装置150は、画像処理装置100と同様、第1の筐体100Aと、第2の筐体100Bとを含む。また、図8を参照して、画像処理装置150は、第1ユニット1001Aと、第2ユニット1002とを含む。第1ユニット1001Aは、本体装置101と、表示装置102Aとを含む。第2ユニット1002は、本体装置104と、表示装置103とを含む。
表示装置102Aは、光センサを内蔵しない液晶パネル(つまり、表示機能のみを有する液晶パネル)を含む。画像処理装置150は、第1ユニット1001Aが光センサを内蔵しない液晶パネルを含む点で、第1ユニット1001が光センサを内蔵した液晶パネル240を含む画像処理装置100と異なる。このような画像処理装置150は、第2ユニット1002の表示装置103を用いて上述したセンシングを行なう。
また、第1ユニット1001は、光センサを内蔵した液晶パネル140の代わりに、たとえば抵抗膜方式や静電容量方式のタッチパネルを備えてもよい。
また、本実施の形態では、表示装置102がタイマ182を備え、表示装置103がタイマ282を備える構成として説明するが、表示装置102と表示装置103とが1つのタイマを共有する構成としてもよい。
また、本実施の形態では、画像処理装置100を折畳型の機器として説明するが、画像処理装置100は必ずしも折畳型に限定されるものではない。たとえば、画像処理装置100は、第1の筐体100Aが第2の筐体100Bに対してスライドする構成のスライド式の機器であってもよい。
本実施の形態に係る画像処理装置100は、上記のように構成されているため、第2ユニット1002が、USBコネクタ194,294を介して第1ユニット1001に着脱自在になっている。
そして、本実施の形態に係る画像処理装置100は、たとえば電源投入時において、以下のような機能を発揮することができる。まず、ユーザが第1ユニット1001の電源スイッチ191を押下すると、第1ユニット1001は電源回路192からの電力を利用することによってBIOS(Basic Input/Output System)を起動させる。
第2ユニット1002は、USBコネクタ194,294を介して第1ユニット1001から電力を取得する。第2ユニット1002は、当該電力を利用することによって、第1ユニット1001との間でデータを送受信することができる。このとき、第2ユニット1002のCPU210は、USBコネクタ194,294からの電力を使用することによって、液晶パネル240にOS(Operation System)の種類を選択可能に表示させることができる。
ユーザは、液晶パネル240を介して、起動したいOSを選択する。CPU210は、ユーザの選択に応じ、USBコネクタ194,294を介して第1ユニット1001へと、起動すべきOSを指定するコマンド(たとえば、図10に示す「第1のOS」コマンド)を送信する。第1ユニット1001は、当該コマンドに応じて、OSを起動する。
また、たとえば、第2ユニット1002は、アンテナ295を介して外部の携帯電話などとの間でデータの送受信を行う。第2ユニット1002のCPU210は、アンテナ295を介して、外部の携帯電話から写真画像データや対応するサムネイルデータを取得して、当該写真画像データや対応するサムネイルデータをRAM271などに格納する。CPU210は、RAM271からサムネイルデータを読み出して、液晶パネル240に写真のサムネイル画像を選択可能に表示させる。
そして、外部からの選択命令に応じて、CPU210は、液晶パネル240に写真画像を表示させる。あるいは、CPU210は、USBコネクタ294を介して、写真画像を液晶パネル140あるいは表示装置102Aに表示させる。
<1.画像処理装置100の機能構成>
図9は、本実施の形態に係る画像処理装置100のCPU210あるいはCPU110が実現する機能構成を示すブロック図である。まず、図9及び図2(a)〜(l)に基づいて、本発明の一実施形態である画像処理装置100の構成及び撮像画像の例について説明する。
図9は、本実施の形態に係る画像処理装置100のCPU210あるいはCPU110が実現する機能構成を示すブロック図である。まず、図9及び図2(a)〜(l)に基づいて、本発明の一実施形態である画像処理装置100の構成及び撮像画像の例について説明する。
まず、画像処理装置100の構成の概要及び画像処理装置100の撮像原理について説明する。上述したように、画像処理装置100は、表示機能を有しており、複数の画素から構成される液晶パネル240(ディスプレイ)及び該液晶パネル240に光を照射するバックライト279を有する。そして、画像処理装置100の液晶パネル240は、各画素内に光センサ回路144(撮像センサ)を内蔵し、光センサ回路144によって液晶パネル240の表面に近接してきた外部の物体(撮像対象)を撮像することによって、画像データ(撮像センサによって撮像された画像データ)をCPU210に受け渡すことができる。
なお、液晶パネルは、複数の画素のうち所定数の画素のそれぞれに撮像センサとしての光センサ回路144が内蔵されているものであっても良い。ただし、光センサ回路144による撮像画像の解像度の観点から、上述したように、光センサ回路144はすべての画素に内蔵されていることが好ましい。ただし、撮像センサとしては、フォトダイオードを利用するものに限られず、光電効果を動作原理とし、液晶パネル240などの各画素に内蔵できるものであれば他のセンサ回路であっても良い。
以上の構成により、画像処理装置100は、液晶パネル240本来の画像を表示する表示機能に加え、液晶パネル240の表面に近接してきた外部の物体(撮像対象)の画像を撮像する撮像機能を有する。それゆえ、画像処理装置100のユーザは、液晶パネル240の表面に対するタッチ入力が可能である。
画像処理装置100は、撮像された撮像画像の画像データを用いて、撮像対象による撮像画像上の指示位置と、液晶パネル240面に対する撮像対象の距離(近接度合い)に関する情報とを特定する機能を有する。画像処理装置100は、低解像度化部2、画素値縦勾配量算出部3a、画素値横勾配量算出部3b、エッジ抽出部4、勾配方向・無方向特定部5、照合効率化部6、一致画素数算出部7、モデルパターン・比較用一致パターン格納部8、パターン合致度算出部9、スコア算出部10、位置特定部11と、第2エッジ抽出部15、接触位置特定部16、近接位置特定部17、情報統合部18を備えるものである。
なお、低解像度化部2、画素値縦勾配量算出部3a、画素値横勾配量算出部3b、エッジ抽出部4、方向特定部5、照合効率化部6、一致画素数算出部7、パターン合致度算出部9、スコア算出部10、位置特定部11と、第2エッジ抽出部15、接触位置特定部16、近接位置特定部17、情報統合部18は、CPU210あるいはCPU110が、メモリ(RAM271、RAM171、ROM272、ROM172)に記憶されているプログラムを実行することによって実現されるモジュールやオブジェクトであっても良いし、ハードウェアのロジック回路であってもよい。また、複数のモジュールによって1つのブロックが実現されてもよいし、1つのモジュールによって複数のブロックが実現されてもよい。なお、モデルパターン・比較用一致パターン格納部8は、メモリ(RAM271、RAM171、ROM272、ROM172)によって実現される。
低解像度化部2は、撮像された撮像画像の画像データ(画像処理エンジン280からの画像データ)を低解像度化するものである。
画素値縦勾配量算出部3a及び画素値横勾配量算出部3bは、画像データ上の画素ごとに、注目画素の画素値と複数の隣接画素の画素値とから注目画素の画素値の縦方向勾配量及び横方向勾配量を算出するものである。具体的には、Sobel(ソベル)オペレータ、Prewitt(プリウイット)オペレータなどのエッジ抽出オペレータを用いれば良い。
例えば、Sobelオペレータについて説明すると、各画素の画素位置x(i,j)における局所的な縦方向勾配Sy及び横方向勾配Sxは、次式(1)のように求められる。
Sx=xi+1,j-1−xi-1,j-1+2xi+1,j−2xi-1,j+xi+1,j+1−xi-1,j+1
Sy=xi-1,j+1−xi-1,j-1+2xi,j+1−2xi,j-1+xi+1,j+1−xi+1,j-1 …(1)
ここで、xi,jは画素位置x(i,j)における画素値を表し、iは水平方向における画素の位置を、jは垂直方向における画素の位置をそれぞれ表す。ここに、i及びjは正の整数である。
Sy=xi-1,j+1−xi-1,j-1+2xi,j+1−2xi,j-1+xi+1,j+1−xi+1,j-1 …(1)
ここで、xi,jは画素位置x(i,j)における画素値を表し、iは水平方向における画素の位置を、jは垂直方向における画素の位置をそれぞれ表す。ここに、i及びjは正の整数である。
ここで、式(1)は、次式(2)・(3)の3×3のSobelオペレータ(行列演算子Ax及びAy)を、画素位置x(i,j)を注目画素とする3×3画素に適用することと等価である。
なお、縦方向勾配Sy及び横方向勾配Sxに基づけば、画素位置x(i,j)における勾配の大きさABS(S)及び勾配方向ANG(S)は、次のように与えられる。なお、以下では、演算子としての縦方向勾配Sy及び横方向勾配Sxを各画素に適用することによって得られた縦方向勾配量及び横方向勾配量をそれぞれ、便宜上縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sxと記載する場合がある。
ABS(S)=(Sx2+Sy2)1/2 …(4)
ANG(S)=tan-1(Sy/Sx) …(5)
第1エッジ抽出部4は、縦勾配量算出部3a及び横勾配量算出部3bが算出した各画素の縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sxの算出結果から、撮像画像のエッジ部分の画素である第1エッジ画素を抽出(特定)する。
ANG(S)=tan-1(Sy/Sx) …(5)
第1エッジ抽出部4は、縦勾配量算出部3a及び横勾配量算出部3bが算出した各画素の縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sxの算出結果から、撮像画像のエッジ部分の画素である第1エッジ画素を抽出(特定)する。
ここで、第1エッジ画素とは、画像データを構成する各画素のうち、明るさが急激に変化する部分(エッジ)における画素である。具体的には、縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sxのそれぞれ、又は、勾配の大きさABS(S)が所定の第1閾値以上である画素のことである。
なお、この第1エッジ画素を抽出する目的は、方向特定部5が、抽出された複数の第1エッジ画素については勾配方向を特定し、第1エッジ画素以外の画素については一律無方向と看做して特定するようにする点にある。
パターンマッチングにおいて重要な情報は、エッジ部分の第1エッジ画素における勾配方向である。
したがって、あまり重要でない画素における勾配方向を一律無方向と看做すことで、パターンマッチングの効率化をさらに向上させることができる。また、以下で説明する撮像対象による撮像画像上の指示位置を検出する際のメモリ容量を少量化し、処理時間を短縮化することを可能とし、指示位置の検出処理のコストをさらに削減することができる。
方向特定部5は、上述したように、縦勾配量算出部3a及び横勾配量算出部3bが算出した縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sxから、画素ごとの勾配方向ANG(S)と、縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sxのそれぞれ、又は、勾配の大きさABS(S)が第1閾値未満である無方向とのいずれかを特定するものである。
ここでは、無方向を第1閾値未満であると定義しているが、第1閾値以下と定義しても良い。
あらかじめ無方向を設定しておくことで、ノイズ等により不要な多数の勾配方向が発生することを抑制することができる。また、エッジ近傍の勾配方向に照合対象を絞りこむことが可能となり、照合の効率化を図ることができる。
なお、方向特定部5は、第1エッジ抽出部4によって特定された複数の第1エッジ画素の勾配方向を特定し、第1エッジ画素以外の画素を無方向と看做して特定することが好ましい。パターンマッチングにおいて重要な情報は、エッジ部分の第1エッジ画素における勾配方向であると言える。
したがって、パターンマッチングにおいてあまり重要でない画素における勾配方向を一律無方向と看做すことで、パターンマッチングの効率化をさらに向上させることができる。
ここで、勾配方向ANG(S)は、0rad〜2πradの範囲で変化する連続量であるから、本実施の形態においては、これを例えば8方向に量子化したものを勾配方向としてパターンマッチングに使用する特徴的な量(以下、「特徴量」と呼ぶことがある。)とする。
なお、より精度の高いパターンマッチングを行なうために、16方位等に量子化しても良い。具体的な方向の量子化の詳細な手順については後述する。また、方向の量子化とは、勾配方向ANG(S)が所定の範囲内にある方向を一律にある特定の方向の勾配方向であると看做して取り扱うことを言う。
照合効率化部6は、注目画素の周囲で所定の画素数を含む領域である照合領域と、あらかじめ定められたモデルパターンとの照合(以下、「パターンマッチング」と呼ぶこともある。)を行なう場合に、照合領域とモデルパターンとの照合の効率化を行なう。
一致画素数算出部7は、例えば、照合領域と、モデルパターンとの照合を行って、照合領域に含まれる勾配方向と、モデルパターンに含まれる勾配方向とが一致する画素数(以下、「一致画素数」と呼ぶ。)を算出する。
モデルパターン・比較用一致パターン格納部8は、モデルパターンと、比較用一致パターンとを格納する。比較用一致パターンは、照合領域に含まれる画素ごとの勾配方向とモデルパターンに含まれる画素ごとの勾配方向との一致パターンを分析することによってあらかじめ定めたパターンである。上述したように、モデルパターン・比較用一致パターン格納部8は、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系等を用いることができる。
パターン合致度算出部9は、照合領域に含まれる画素ごとの勾配方向とモデルパターンに含まれる画素ごとの勾配方向との一致パターンと、あらかじめ定められた比較用一致パターンとが類似する度合いを示すパターン合致度を算出する。
画素値の勾配はベクトル量であり、大きさ(勾配の大きさABS(S))と向き(勾配方向ANG(S))とを持つものである。ここで、特に、勾配方向(向き)は、例えば8方向に量子化したりすることによって、1つの画素がとり得る状態を8(無方向を含めると9)という極めて少ない状態に離散化することでき、さらにそれぞれの状態には、方向が異なるという識別が容易な特徴を持たせる事ができる。
また、勾配方向は、上述したような傾向がある。また、これらの傾向は、撮像対象の状況等に応じて、大きく変わることは無い。したがって、勾配方向は、パターンマッチングに適した量である。
スコア算出部10は、一致画素数算出部7が算出した一致画素数、及びパターン合致度算出部9が算出したパターン合致度から、照合領域とモデルパターンとのマッチングの度合いを示す合致度を算出する。なお、スコア算出部10は、一致画素数算出部7が算出した一致画素数、及びパターン合致度算出部9が算出したパターン合致度のいずれか1つを使用するよう構成しても良い。
また、スコア算出部10は、照合領域内において合致する勾配方向の種類数が、あらかじめ定められた規定種類数以上の場合に、合致度を算出するようにしても良い。
上述のように、勾配方向は、おおよその傾向がある。また、これらの傾向は、撮像対象の状況等に応じて、大きく変わることは無い。よって、例えば、勾配方向の種類数が8方向の場合、パターンマッチングで一致する勾配方向の種類数は8に近いものとなるはずである。したがって、上記の照合領域内において合致する勾配方向の種類数が、あらかじめ定められた規定種類数以上の場合に、合致度を算出するようにすれば、指示位置の検出処理のメモリ容量を少量化すること及び処理時間を短縮化することを可能とし、指示位置の検出処理のコストをさらに削減させることができる。
さらに、スコア算出部10は、自身が算出した合致度が所定の値以上である場合には、後述する第2エッジ抽出部15から、その合致度に対応する照合領域についての、第1エッジ抽出部4により抽出された第1エッジ画素数及び第2エッジ抽出部15により抽出された第2エッジ画素数を取得する。
ここで、第2エッジ画素は、第1エッジ抽出部4により抽出される第1エッジ画素と同様、画像データを構成する各画素のうち、明るさが急激に変化する部分(エッジ)における画素である。そして、この第2エッジ画素は、第1エッジ抽出部4により先に抽出された第1エッジ画素のうち、縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sxのそれぞれ、又は、勾配の大きさABS(S)が第1閾値よりも大きい第2閾値以上である画素のことである。
そして、スコア算出部10は、第1エッジ画素のうち第2エッジ画素が占める割合が所定の値を超えているか否かを判断し、超えているとの判断結果に基づいて自身が算出した合致度を位置特定部11に出力する。一方、スコア算出部10は、超えていないとの判断に基づいて自身が算出した合致度は、位置特定部11に利用されることが回避されることになる。
要は、スコア算出部10が、自身が算出する合致度のうち、それぞれに対応する、第1エッジ画素のうち第2エッジ画素が占める割合が所定の値を超えているものに限り、位置特定部11に出力するように構成されていればよい。
位置特定部11は、スコア算出部10が算出した合致度が最大となる画素(以下、「ピーク画素」と呼ぶ。)の位置から、撮像対象による撮像画像上の指示位置を特定する。位置特定部11は、ピーク探索部12と、座標算出判定部13と、座標算出部14と、を有している。
ピーク探索部12は、注目画素の周囲で所定の画素数を含む探索領域(以下、「第1領域」と呼ぶ場合がある。)内で、スコア算出部10が算出した合致度が最大値をとる画素であるピーク画素を探索する。
座標算出判定部13は、探索領域の画素数よりも少ない所定の画素数を有すると共に、探索領域内に完全に包含される小領域(以下、「第2領域」と呼ぶ場合がある。)内に、ピーク探索部12が発見したピーク画素が存在することを判定した場合に、座標算出部14に撮像対象による撮像画像上の指示位置を算出させる。
座標算出部14は、ピーク探索部12が発見したピーク画素を中心とする所定の画素数を含む領域であるピーク画素領域内の、画素ごとの合致度を用いて、撮像対象による撮像画像上の指示位置を算出するものである。
第2エッジ抽出部15は、縦勾配量算出部3a及び横勾配量算出部3bが算出した各画素の縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sxの算出結果から、撮像画像のエッジ部分の画素である第2エッジ画素を抽出(特定)する。
画像処理装置100の表示画面に近接して来る外部の物体である指99の腹、スタイラスペン等が液晶パネル140の表面に実際に接触した場合、当該表面に直接接触した指99のエッジにおける明るさの変化幅、つまり、そのエッジ強さは、当該表面に近接するものの直接は接触しないエッジと比較して、大きくなる傾向にある。例えば、表面に接触した指99と表面から離れている指99とでは、指99の周囲のエッジの強さ、つまり、指99と背景との画素値の差は異なるものとなる。表面に接触している指99の撮像画像は指99と背景との境界がはっきりするため、そのエッジは強いが、表面に接触していない指99は撮像画像は指99と背景との境界がぼけるため、そのエッジは弱くなる。
そこで、第2エッジ抽出部15は、第1エッジ抽出部4により抽出された第1エッジ画素のうち、第1閾値よりも大きい第2閾値以上である、縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sx、または勾配の大きさABS(S)を持つ、第2エッジ画素を抽出する。
そして、第1エッジ画素のうち第2エッジ画素が占める割合が所定の値を超えていれば表示画面に近接する外部の物体が実際に表示画面に接触しているものとする。このことが第2エッジ画素を抽出する目的である。
接触位置特定部16は、低解像度化部2、第1エッジ抽出部4、第2エッジ抽出部15、一致画素数算出部7、パターン合致度算出部9を制御して、撮像対象が液晶パネル240面に接触している位置を特定する。
近接位置特定部17は、低解像度化部2、第1エッジ抽出部4、第2エッジ抽出部15、一致画素数算出部7、パターン合致度算出部9を制御して、撮像対象が液晶パネル240面に近接(非接触)している位置を特定する。
情報統合部18は、接触位置特定部16及び近接位置特定部17から出力される、接触位置情報と近接位置情報を統合して、指示位置(以降、ポインティング位置とも言う。)並びに、指示距離(以降、ポインティング距離とも言う。)を出力する。接触位置特定部16及び近接位置特定部17から出力される位置情報は、接触位置の近傍に同時に近接位置も得られる場合があり、近傍位置を示す接触位置と近接位置とを統合することが好ましい。なぜなら、出力される位置情報と距離情報とを用いて動作する画像処理装置100を構築する際に、同じような位置で同時に接触かつ近傍(非接触)と出力されると、混乱が生じるからである。
<2.画像処理装置における各種処理手順>
次に、本実施の形態に係る画像処理装置100における各種処理手順について説明する。
次に、本実施の形態に係る画像処理装置100における各種処理手順について説明する。
なお、<2.画像処理装置における全体的な処理手順>において説明すること以外の構成は、<1.画像処理装置の構成>と同じである。また、説明の便宜上、<1.画像処理装置の構成>の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。なお、以下適宜項目を設けるが、この場合においては、上記なお書き以下の同様の説明は繰り返さない。
(1.全体的な処理手順)
図10は、画像処理装置100における全体的な処理手順を示すフローチャートである。
図10は、画像処理装置100における全体的な処理手順を示すフローチャートである。
ステップS101では、図9の接触位置特定部16が接触位置を特定し、S102に進む。
ステップS102では、図9の近接位置特定部17が接触位置を特定し、S103に進む。
ステップS103では、図9の情報統合部18が、接触位置特定部16が出力する接触位置情報と、図9の近接位置特定部17が出力する近接位置情報とから、近傍に位置する接触と近接(非接触)の各情報を統合して出力し、処理を終了する。
ここで、近傍に位置する接触と近接(非接触)の各情報を統合した後に出力される情報は、位置情報とポインティング距離(「接触状態であること」あるいは「近接かつ非接触状態であること」)である。ステップS103における情報統合処理過程の詳細については後述する。
(2.位置特定過程)
図11は、位置特定過程における処理手順を示すフローチャートである。より詳細には、図11は、画像処理装置100の接触位置特定部16並びに近接位置特定部17が、第1エッジ抽出部4、第2エッジ抽出部15、一致画素数算出部7、パターン合致度算出部9を制御して、撮像対象が液晶パネル240面に接触または近接している位置を特定する動作の概要を示すフローチャートである。
図11は、位置特定過程における処理手順を示すフローチャートである。より詳細には、図11は、画像処理装置100の接触位置特定部16並びに近接位置特定部17が、第1エッジ抽出部4、第2エッジ抽出部15、一致画素数算出部7、パターン合致度算出部9を制御して、撮像対象が液晶パネル240面に接触または近接している位置を特定する動作の概要を示すフローチャートである。
ステップS201では、接触位置特定部16または近接位置特定部17の制御の別に応じて、接触位置特定過程であるか、近接(非接触)位置特定過程であるかを判定し、接触位置特定過程であれば、S202に進み、接触位置特定過程でなければ(または近接位置特定過程であれば)、S203に進む。
ステップS202では、接触位置特定部16が、第1エッジ抽出部4、第2エッジ抽出部15、一致画素数算出部7、パターン合致度算出部9を制御するための動作条件を設定する。
ステップS203では、近接位置特定部17が、第1エッジ抽出部4、第2エッジ抽出部15、一致画素数算出部7、パターン合致度算出部9を制御するための動作条件を設定する。
なお、動作条件設定の詳細並びに具体例については、後述する。
ステップS204では、図9の低解像度化部2が画像データを低解像度化し、S205に進む。例えば、320×240画素の画像データであれば、160×120画素(低解像度化率1/2)、又は80×60画素(低解像度化率1/4)等のようにバイリニア縮小させる。ここで、バイリニア縮小とは、例えば2×2の各画素が持つ画素値の平均値をとり、2×2画素のデータを、該平均値を持った1×1画素のデータに置き換えることにより、全体として1/4の情報圧縮を行なうことを言う。
ステップS204では、図9の低解像度化部2が画像データを低解像度化し、S205に進む。例えば、320×240画素の画像データであれば、160×120画素(低解像度化率1/2)、又は80×60画素(低解像度化率1/4)等のようにバイリニア縮小させる。ここで、バイリニア縮小とは、例えば2×2の各画素が持つ画素値の平均値をとり、2×2画素のデータを、該平均値を持った1×1画素のデータに置き換えることにより、全体として1/4の情報圧縮を行なうことを言う。
なお、高速処理の観点からは、できるだけ低解像度化することが好ましいが、必要なエッジ情報等を得るためには、例えば320×240画素(150dpi)の画像データの場合であれば、80×60画素(低解像度化率1/4)を低解像度化の限度とすることが好ましい。また、高精度処理の観点からは、低解像度化を全く行なわないか、低解像度化するとしても、160×120画素(低解像度化率1/2)に留めることが好ましい。
以上の画像データの低解像度化により、パターンマッチングの処理コストやメモリ容量の少量化、及び処理時間の短縮化を図ることがきる。
S205では、縦勾配量算出部3a及び横勾配量算出部3bが、画像データ上の画素ごとに、縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sxを算出してから、方向特定部5が、画素ごとの勾配方向と無方向とのいずれかを特定するまでの過程(勾配方向・無方向特定過程)を経た上で、S206に進む。
S206では、照合効率化部6で、照合領域と、モデルパターンとの照合を行なう場合に、照合領域とモデルパターンとの照合の効率化を図るか否か、つまり、照合効率化の要否を選択する。照合効率化を行なう場合(Yes)には、S207に進み、照合効率化部6で照合効率化を行った上でS208に進み、照合効率化を行なわない場合(No)にはS212に進み、照合効率化部6は何もせず、そのままの情報(画像データ、但し、低解像度化部2で、低解像度化している場合には、低解像度化後の画像データ)でS208に進む。
S208では、一致画素数算出部7が、照合領域とモデルパターンとの照合を行って、一致画素数を算出し、パターン合致度算出部9が、パターン合致度を算出してから、スコア算出部10が、一致画素数算出部7が算出した一致画素数、及び、パターン合致度算出部9が算出したパターン合致度から、合致度を算出するまでの過程(パターンマッチング過程)を経た上で、S209に進む。
S209では、接触位置特定部16または近接位置特定部17からの動作条件設定に従い、スコア算出部10が、第2エッジ画素に基づく接触・非接触特定過程を経るか否かを判定し、接触・非接触特定する場合、S210に進み、接触・非接触特定しない場合、S211に進む。
S210では、第2エッジ抽出部15が、第2エッジ画素を抽出してから、スコア算出部10が、自身が算出した合致度を位置特定部11に出力するまでの過程(接触・非接触判定過程)を経た上で、S211に進む。
S211では、位置特定部11が、スコア算出部10が算出した合致度が最大となる画素(以下、「ピーク画素」と呼ぶ。)の位置から、撮像対象による撮像画像上の指示位置を特定して、ポインティング位置特定過程を終了する。
以下では、勾配方向・無方向特定過程、照合効率化、パターンマッチング過程、接触・非接触特定過程、ポインティング位置特定過程及び情報統合過程における画像処理装置100の各動作について説明する。
(3.勾配方向・無方向特定過程)
図9、図12、図13(a)及び図13(b)に基づいて、勾配方向・無方向特定過程における画像処理装置100の動作について説明する。
図9、図12、図13(a)及び図13(b)に基づいて、勾配方向・無方向特定過程における画像処理装置100の動作について説明する。
図12は、画像処理装置100における勾配方向・無方向特定過程の処理手順を示すフローチャートである。図13(a)は、勾配方向・無方向特定過程において参照される第1のテーブルを示すイメージ図である。図13(b)は、勾配方向・無方向特定過程において参照される第2のテーブルを示すイメージ図である。
図12のフローチャートでは、まず、縦勾配量算出部3a及び横勾配量算出部3bがそれぞれ、縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sxを算出することから処理をスタートする。
S301では、接触位置特定部16または近接位置特定部17からの動作条件設定に従い、方向特定部5が、画素値に基づいて勾配方向・無方向を特定するか否かを判定し、画素値に基づいて勾配方向・無方向特定する場合、S302に進み、画素値に基づく処理をしない場合、S312に進む。
S312に進んだ場合には、方向特定部5は、対象となっている画素、つまり、第1エッジ画素以外の画素を無方向と設定(特定)し、次の画素へ進んで、S301に戻る。
S302では、第1エッジ抽出部4が、各画素における画素値Vが、閾値Tv以上か否かを判定し、V≧Tvならば(Yes)、S302に進み、V<Tvならば(No)、S312に進む。なお、本実施の形態では、各画素における画素値Vについて判定しているが、判定対象画素として、近傍(例えば3×3領域)の画素を用いて判定してもよい。例えば、近傍を含む9画素のうち、1つでも閾値Tv以上の画素があればS302に進む、としてもよい。また、本実施の形態では、閾値が画素値の下限を示す場合について説明しているが、入力画像の性質(明暗を示す画素値の大小など)に応じて上限値で閾値判定したり、あるいは、画素値の上下限値を閾値判定するようにしてもよい。
S303では、第1エッジ抽出部4が、各画素における勾配の大きさABS(S)が第1閾値以上か否かを判定し、ABS(S)≧第1閾値ならば(Yes)、S303に進み、ABS(S)<第1閾値ならば(No)、S312に進む。なお、本実施の形態では、ABS(S)=Sx×Sx+Sy×Syとして計算しているが、この量は、上式(4)における厳密な意味で勾配の大きさと異なる。しかし、実装上はこのように勾配の大きさを定義しても問題は無い。
S312に進んだ場合には、方向特定部5は、対象となっている画素、つまり、第1エッジ画素以外の画素を無方向と設定(特定)し、次の画素へ進んで、S301に戻る。なお、S304に進んだ場合には、対象となっている画素は、無論、第1エッジ画素である。
S304では、方向特定部5が、横方向勾配量Sxが0以外であるか否かを判定し、Sx≠0ならば(Yes)S305に進み、Sx=0ならば(No)S308に進む。
S305では、方向特定部5は、横方向勾配量Sxが正の値をとるか否かを判定し、Sx>0ならば(Yes)S306に進み、方向特定部5は、図13(a)のテーブルにしたがって、該当画素について、勾配方向ANG(S)に応じて量子化された勾配方向を設定する。
一方、Sx>0でないならば(NO)S307に進み、方向特定部5は、図13(b)のテーブルにしたがって、該当画素について、勾配方向ANG(S)に応じて量子化された勾配方向を設定する。
次に、S308では、方向特定部5は、縦方向勾配量Syが0以外か否かを判定し、Sy≠0ならば(Yes)S309に進み、Sy=0ならば(No)S312に進み、該当画素を無方向と設定し、次の画素へ進んでS301に戻る。
S309では、方向特定部5は、縦方向勾配量Syが正の値をとるか否かを判定し、Sy>0ならば(Yes)S310に進み、該当画素の勾配方向を上向きに設定して、S301に戻る。
一方、方向特定部5は、Sy<0ならば(No)S311に進み、該当画素の勾配方向を下向きに設定して、次の画素へ進んでS301に戻る。
以上の工程は、すべての画素の勾配方向・無方向の設定が終わるまで繰り返される。
パターンマッチングにおいて重要な情報は、エッジ部分の画素である第1エッジ画素における勾配方向である。したがって、上記の動作により、あまり重要でない第1エッジ画素以外の画素における勾配方向を一律無方向と看做すことで、パターンマッチングの効率化をさらに向上させることができる。また、撮像対象による撮像画像上の指示位置の検出を可能としてメモリ容量を少量化すること及び処理時間を短縮化することを可能とし、指示位置の検出処理のコストをさらに削減させることができる。
パターンマッチングにおいて重要な情報は、エッジ部分の画素である第1エッジ画素における勾配方向である。したがって、上記の動作により、あまり重要でない第1エッジ画素以外の画素における勾配方向を一律無方向と看做すことで、パターンマッチングの効率化をさらに向上させることができる。また、撮像対象による撮像画像上の指示位置の検出を可能としてメモリ容量を少量化すること及び処理時間を短縮化することを可能とし、指示位置の検出処理のコストをさらに削減させることができる。
(4.照合効率化過程)
次に、画像処理装置100における照合効率化過程について説明する。
次に、画像処理装置100における照合効率化過程について説明する。
図9に示す照合効率化部6は、照合領域を、複数の同一画素数の分割領域に分割すると共に、分割領域ごとに、分割領域に含まれる画素ごとの勾配方向及び無方向の情報を、分割領域に含まれる勾配方向及び無方向の情報に置き換えることで、照合領域とモデルパターンとの照合の効率化を図る。
また、スコア算出部10は、照合効率化部6によって照合の効率化が行なわれた照合領域とモデルパターンとの照合を行なって、照合領域内のそれぞれの分割領域に含まれる勾配方向と、モデルパターンにおける勾配方向との一致数を、合致度として算出する。
上述のように、勾配方向は、おおよその傾向がある。また、これらの傾向は、撮像対象の状況等に応じて、大きく変わることは無い。したがって、分割領域の画素数をあまり大きくしなければ、該分割領域内における勾配方向の画素の位置は、勾配方向を用いたパターンマッチングにおいてあまり重要な情報ではない。
そこで、分割領域ごとに、分割領域に含まれる画素ごとの勾配方向及び無方向の情報を、分割領域に含まれる勾配方向及び無方向の情報に置き換えることにより、パターンマッチングの照合精度を維持しつつ、照合効率化が可能となる。また、この効率化に伴い、撮像対象による撮像画像上の指示位置の検出処理に要するコストを削減することもできる。
以上より、パターンマッチングの照合精度を維持しつつ、照合効率化を可能とし、撮像対象による撮像画像上の指示位置の検出処理に要するコストを削減することができる画像処理装置100を提供することができる。
図14は、照合効率化を示すイメージ図である。図14(a)及び図14(b)に基づき、画像処理装置100における照合効率化の具体例について説明する。
まず、図14(a)に示すように、画像データの各画素における勾配方向の分布の特徴は、中央にほぼ円形状である、無方向の画素の領域があり、その回りをとり囲むようにして該無方向の領域に向かう向きの勾配方向を持つ画素が多数分布している。
次に、図14(b)は、図14(a)の画像データについて照合効率化を行った後の様子を示す概要図である。
図14(a)に示すように、14×14画素の領域(照合領域)を、複数の2×2画素の領域(分割領域)に分割すると共に、2×2画素の領域ごとに、2×2画素の領域に含まれる画素ごとの勾配方向及び無方向の情報を、2×2画素の領域に含まれる勾配方向及び無方向の情報に置き換えることで、14×14画素の領域とモデルパターン(モデルパターンの例については後に詳しく説明する。)との照合の効率化が行われる。
たとえば、図14(a)に示す14×14画素の領域を分割した複数の2×2画素領域のうち、上から2つめ、左から1つめの2×2画素の領域には、左上の画素が「無方向」、右上の画素が「右下向き(勾配方向)」、左下の画素が「右向き(勾配方向)」、及び右下の画素が「右下向き(勾配方向)」となっている。この2×2画素の領域について各勾配方向の存在位置に関する情報を省略したものが、図14(b)の上から2つめ、左から1つめのブロック(以下、便宜上「画素」と呼ぶ場合がある。)である。他のブロックも同様にして生成することができる。結果として、図14(a)に示す14×14画素領域は、合計7×7=49個の2×2画素領域に分割される。
次に、図15に基づき、照合領域と照合されるモデルパターン8aの具体例について説明する。図15は、照合効率化前の画像データと照合されるモデルパターン8aの一例を示す概要図である。また、図15のモデルパターンは、図14(a)に示す14×14画素の領域とパターンマッチングを行なう場合を想定したものである。また、撮像対象としては、指腹を想定している。モデルパターン8aは、メモリ(RAM271、RAM171、ROM272、ROM172)に格納される。
ところで、図15のモデルパターンは、13×13画素のモデルパターンとなっている。この場合、図14(a)に示す14×14画素の領域と全画素数が異なっているが、この例のように照合領域とモデルパターンとの画素数は必ずしも一致しなくても良い。
また、奇数×奇数(13×13)としているのは、中心の画素が1つとなるようにするためである。この中心の画素を画像データ上の着目画素にあわせて1画素ずつ、ずらせてパターンマッチングを行なう。
この場合の一致画素数は、1画素ごとに照合されて算出されるので、13×13=169画素の照合が必要となる。
次に、図16は、照合効率化後の画像データと照合されるモデルパターン8bの一例を示す概要図である。図16のモデルパターンは、図14(b)の照合効率化後の照合領域とのパターンマッチングを想定したものである。この例のように、照合領域とモデルパターンとデータ形式は必ずしも同一でなくても良い。この例では、2×2画素の領域を1画素(与えられる勾配方向は1つ)と看做してモデルパターンを簡略化することにより、さらなる照合の効率化を図っている。モデルパターン8bも、メモリ(RAM271、RAM171、ROM272、ROM172)に格納される。
図17は、照合効率化後の画像データと照合されるモデルパターン8cの他の例を示す概要図である。図17のモデルパターン8cは、図16のモデルパターン8bと比較して、2×2画素分が1つの領域に纏められている点において同じであるが、該1つの領域ごとに、2つの勾配方向(又は無方向)の自由度が与えられている点で異なる。このように、モデルパターン8b,8cを工夫することにより、照合の効率化を図りつつ、照合精度を高めることができる。
図18〜図20は、照合効率化後の画像データと照合されるモデルパターン8b,8d,8eの他の例を示す概要図であり、図18のモデルパターン8bは図16のモデルパターン8bと同一である。図19のモデルパターン8dは、図18のモデルパターン8bと比べて、相対的に大きなサイズの指99のパターンを検出するためのモデルである。また、図20のモデルパターン8eは、図18のモデルパターン8bと比べて、さらに相対的に大きなサイズの指99のパターンを検出するためのモデルである。このように、モデルパターンのサイズを複数用意することによって、検出対象となる白丸状の画像の大きさに関して、種々の大きさに対応することが可能となる。
(5.パターンマッチング過程)
次に、画像処理装置100におけるパターンマッチングの過程について説明する。まず、パターンマッチング過程におけるスコア算出部10の具体的なスコア(合致度)算出方法について説明する。
次に、画像処理装置100におけるパターンマッチングの過程について説明する。まず、パターンマッチング過程におけるスコア算出部10の具体的なスコア(合致度)算出方法について説明する。
図21は、パターンマッチングを示す第1のイメージ図である。より詳細には、図21(a)は、照合効率化前の指が液晶パネル240面に接触している場合における照合領域と、モデルパターンとのパターンマッチングを説明するための概要図である。図21(b)は、その合致度算出方法の一例を示す図である。
図21(a)は、図14(a)の照合領域と、図15のモデルパターン8aとのパターンマッチングを行ったものを示している。ここで、図の中央の7行7列(以下では、横方向に並ぶ画素を「列」、縦方向に並ぶ画素を「行」と呼ぶ。また、上から行、左から列を数える。)にある1×1画素はスコアが付与される注目画素の位置である。網掛けされた部分は、照合領域とモデルパターン8aとで、勾配方向が一致している画素を示している。
図21(b)に示す一致パターンは、一致した方向の種類数を見る場合のテーブルを示している。本例では、8方向のすべてについて一致した画素が存在していることを示している。
次に、図21(b)に示す一致画素数の計算は、上記網掛けの部分を左上の1行1列の画素から、右下の13行13列の画素までの一致画素数を算出する方法の一例を示すものである。ここでは、勾配方向が与えられている画素で、モデルパターンの勾配方向と一致した画素を「1」とし、無方向及びモデルパターンの勾配方向と一致していない画素は「0」として計算している。なお、無方向と判定された画素は、最初から計算に含めない構成としても良い。ここでは、網掛けで示された一致画素数は「85」であるとの算出結果を得ている。なお、この一致画素数をスコア(合致度)として用いても良いが、以下で説明するような正規化一致画素数(合致度)を用いても良い。
次に、図21(b)に示す正規化一致画素数について説明する。この正規化一致画素数は、例えば、照合精度を高めるためモデルパターンを複数種類用意してパターンマッチングを行なう場合(例えば、21×21、13×13、及び7×7画素の3種類のモデルパターン)に、モデルパターンのサイズに依存しない量として一致画素数を正規化するものである。
ここでは、正規化一致画素数を、次式(6)で定義する。
正規化一致画素数=適当な定数×(一致画素数/モデル中の方向成分が存在する要素数) …(6)
なお、「適当な定数」は、計算の便宜等を考慮して適宜定めれば良い。ここでは、正規化一致画素数が0〜10の範囲となるように、適当な定数=10と設定している。なお、以下で説明するパターンマッチングの例においても正規化一致画素数を使用しているが、説明は繰り返さない。
正規化一致画素数=適当な定数×(一致画素数/モデル中の方向成分が存在する要素数) …(6)
なお、「適当な定数」は、計算の便宜等を考慮して適宜定めれば良い。ここでは、正規化一致画素数が0〜10の範囲となるように、適当な定数=10と設定している。なお、以下で説明するパターンマッチングの例においても正規化一致画素数を使用しているが、説明は繰り返さない。
(6)式から、図21(a)の場合の正規化一致画素数を求めると以下のようになる。
正規化一致画素数=10×(85/136)=6.25≒6
次に、図22は、パターンマッチングを示す第2のイメージ図である。より詳細には、図22(a)は、照合効率化後の指が液晶パネル240面に接触している場合における照合領域と、モデルパターンとのパターンマッチングを説明するための概要図であり、図22(b)は、その合致度算出方法の一例を示す図である。
正規化一致画素数=10×(85/136)=6.25≒6
次に、図22は、パターンマッチングを示す第2のイメージ図である。より詳細には、図22(a)は、照合効率化後の指が液晶パネル240面に接触している場合における照合領域と、モデルパターンとのパターンマッチングを説明するための概要図であり、図22(b)は、その合致度算出方法の一例を示す図である。
図22(a)は、図14(b)の照合効率化後の照合領域と、図15のモデルパターン8aとのパターンマッチングを行ったものを示している。ここで、図の中央の4行4列にある1×1画素(2×2画素に相当するものであるが、便宜上「画素」と言う。)は、スコアが付与される注目画素の位置である。網掛けされた部分は、照合領域とモデルパターン8aとで、勾配方向が一致している場合がある画素を示している。
図22(b)に示す一致パターンは、一致した方向の種類数を見る場合のテーブルを示している。本例では、8方向のすべてについて一致した画素が存在していることを示している。
次に、図22(b)に示す一致画素数の計算は、上記網掛けの部分を左上の1行1列の画素から、右下の7行7列の画素までの一致画素数を算出する方法の一例を示すものである。ここでは、例えば、1行2列では、照合領域では、勾配方向が「右下」の画素が「3つ」存在しており、一方、モデルパターンの勾配方向は、1つであるが、「右下」である。従って、この場合の一致画素数は、「3」と計算する。
他の例では、2行1列では、照合領域では、勾配方向が「右下」の画素が「2つ」と、「右」が「1つ」存在しており、一方、モデルパターン8aの勾配方向は、1つであるが、「右下」である。勾配方向は、「右下」が「2つ」一致しているが、「右」は一致していない。従って、この場合の一致画素数は、「2」と計算する。なお、ここでは、無方向と判定された画素は、最初から計算に含めない構成としている。
以上の計算をすべての画素について行なえば、網掛けで示された部分の一致画素数は「91」であるとの算出結果を得ている。なお、この一致画素数をスコア(合致度)として用いても良いが、以下で説明するような正規化一致画素数を用いても良い。
ここでは、正規化一致画素数を、次式(7)で定義する。
正規化一致画素数=適当な定数×(一致画素数/モデル中の方向成分が存在する要素数を4倍した値) …(7)
適当な定数=10と設定している。
正規化一致画素数=適当な定数×(一致画素数/モデル中の方向成分が存在する要素数を4倍した値) …(7)
適当な定数=10と設定している。
(7)式から、図22(a)の場合の正規化一致画素数を求めると以下のようになる。
正規化一致画素数=10×(91/176)=5.17≒5
図23は、パターンマッチングを示す第3のイメージ図である。より詳細には、図23(a)は、図13(b)の照合効率化後の照合領域と、図17のモデルパターン8cとのパターンマッチングを行ったものを示している。ここで、図の中央の4行4列にある1×1画素(2×2画素に相当するものであるが、便宜上「画素」と言う。)は、スコアが付与される注目画素の位置である。網掛けされた部分は、照合領域とモデルパターン8cとで、勾配方向が一致している場合がある画素を示している。
正規化一致画素数=10×(91/176)=5.17≒5
図23は、パターンマッチングを示す第3のイメージ図である。より詳細には、図23(a)は、図13(b)の照合効率化後の照合領域と、図17のモデルパターン8cとのパターンマッチングを行ったものを示している。ここで、図の中央の4行4列にある1×1画素(2×2画素に相当するものであるが、便宜上「画素」と言う。)は、スコアが付与される注目画素の位置である。網掛けされた部分は、照合領域とモデルパターン8cとで、勾配方向が一致している場合がある画素を示している。
図23(b)に示す一致パターンは、一致した方向の種類数を見る場合のテーブルを示している。本例では、8方向のすべてについて一致した画素が存在していることを示している。
次に、図23(b)に示す一致画素数の計算は、上記網掛けの部分を左上の1行1列の画素から、右下の7行7列の画素までの一致画素数を算出方法の一例を示すものである。ここでは、例えば、1行2列では、照合領域では、勾配方向が「右下」の画素が「3つ」存在しており、一方、モデルパターンの勾配方向は、2つであり、「右下」が「1つ」に「下」が「1つ」である。従って、「右下」が一致しているので、この場合の一致画素数は、「3」と計算する。
他の例では、2行1列では、照合領域では、勾配方向が「右下」の画素が「2つ」と、「右」が「1つ」存在しており、一方、モデルパターンの勾配方向は、2つであるが、「右」が「1つ」と「右下」が「1つ」である。勾配方向は、「右」が「1つ」と「右下」が「2つ」一致している。従って、この場合の一致画素数は、「3」と計算する。なお、ここでは、無方向と判定された画素は、最初から計算に含めない構成としている。
ここで、下線を引いた数字と、引いてない数字とが記載されているが、下線を引いた数字は、図22(a)の場合と比較して、一致画素数が増加しているものを示している。
この結果は、図16のモデルパターン8bよりも図17のモデルパターン8cを使用した場合の方が、より変形に強い(円形からの歪に対するロバスト性の高い)パターンマッチングが行なえることを示している。
以上の計算をすべての画素について行なえば、網掛けで示された部分の一致画素数は「119」であるとの算出結果を得ている。なお、この一致画素数をスコア(合致度)として用いても良いが、以下で説明するような正規化一致画素数を用いても良い。
(7)式から、図23(a)の場合の正規化一致画素数を求めると以下のようになる。
正規化一致画素数=10×(119/176)=6.76≒7
次に、図24〜図32に基づき、図9のスコア算出部10が、一致画素数と合致パターンとを併用して、スコア(合致度)を算出する場合について説明する。
正規化一致画素数=10×(119/176)=6.76≒7
次に、図24〜図32に基づき、図9のスコア算出部10が、一致画素数と合致パターンとを併用して、スコア(合致度)を算出する場合について説明する。
図24は、画像処理装置100におけるパターンマッチング過程の処理手順を示すフローチャートである。より詳細には、図24は、画像処理装置100が一致画素数とパターン合致度とを併用する場合について説明するためのフローチャートである。
図24のS501では、一致画素数算出部7が、一致画素数を初期化して、S502に進む。S502では、パターン合致度算出部9が一致パターンの初期化を行ってS503に進む。ここでは、勾配方向の種類数を初期化している様子を示している。すべての勾配方向が「無」と表示されているのは、このことを示している。
S503では、一致画素数算出部7とパターン合致度算出部9とが1画素ごとに(照合効率化後の画素も含む)勾配方向の照合等を行って、S504に進む。
S504では、方向が一致すれば(Yes)S505に進み、一致画素数算出部7が一致画素数に一致した方向の要素数(効率化処理なしの場合は「1」)を加えてS506に進み、一方、方向が一致する画素が全くなければ(No)S507に進む。
S506では、パターン合致度算出部9が一致した勾配方向を「有」と更新して、S507に進む。
S507では、一致画素数算出部7及びパターン合致度算出部9がモデルパターンの全要素(画素)について照合が終了した場合(Yes)にはS508に進み、照合が終了していない場合(No)にはS503に戻る。
S508では、パターン合致度算出部9が一致パターンのチェックを行ない、S509に進む。この一致パターンのチェックの詳細については、後に説明する。
S509では、パターン合致度算出部9が、モデルパターン・比較用一致パターン格納部8を参照して、「許可パターン」に該当するか否かを判定し、許可パターンに該当する場合(Yes)はS510に進む。一方、許可パターンに該当しない場合(No)はS504に戻る。
なお、パターン合致度算出部9は、「許可パターン」に該当する場合にはパターン合致度を「1」とし、「許可パターン」に該当しない場合にはパターン合致度を「0」とし、スコア算出部10は、一致画素数算出部7が算出した一致画素数にこれらの数値を掛ける構成が考えられる。
S510では、スコア算出部10が、一致画素数算出部7が算出した一致画素数から正規化一致画素数を算出してパターンマッチングのスコア(合致度)とする。
次に、図25及び図26に基づき、上記パターンマッチングにおける一致パターンのチェックの一例について説明する。
図25は、パターン合致度算出過程の一例を示すフローチャートである。図26は、パターン合致度算出過程の他の例を示すフローチャートである。
なお、ここでは、勾配方向の種類は8方向あり、勾配方向種類数の閾値(DN)を5に設定した場合について説明する。
図25に示すように、S601では、パターン合致度算出部9が、一致パターンの「有」の数が5以上の場合には、S602に進み、一致パターンの許可を行なう。
一方、パターン合致度算出部9は、一致パターンの「有」の数(勾配方向種類数)が5未満の場合には、S603に進み、一致パターンの不許可を行なう。
同様に、図26には、パターン合致度算出部9が、一致パターン中の最大連接数(連続一致数)を算出し、一致パターン中の最大連接数(連続一致数)の閾値(DN)を上記と共通の5に設定した場合が異なること以外は、S701〜S703のフローは、図25のS601〜S603のフローと同様であるので、ここでは、説明を繰り返さない。
次に、図27〜図29に基づき、一致パターンのチェックにおける第1の例を説明する。より詳細には、図27は、パターン合致度算出過程の第1の例を示す概要図である。図28は、パターン合致度算出過程の第2の例を示す概要図である。図29は、パターン合致度算出過程の第3の例を示す概要図である。
図27では、一致画素数は「24」と算出している。また、勾配方向の一致パターンは、「8」方向がすべて存在しているので、閾値の5を超えており、図25のフローでは、「許可パターン」と判定される。一方、一致パターン中の最大連接数、「有」が連接して存在する数は、「8」となり、閾値の5を超えており、図26のフローでも、「許可パターン」と判定される。したがって、図27の場合には、パターン合致度算出部9は、パターン合致度として「1」を算出し、スコア算出部10は、一致画素数算出部7が算出した、一致画素数「24」と「1」とを掛け算したのち、正規化一致画素数を算出してスコアとする。
図28では、一致画素数は「24」と算出している。また、勾配方向の一致パターンは、「6」方向が存在しているので、閾値の5を超えており、図25のフローでは、「許可パターン」と判定される。一方、一致パターン中の最大連接数、「有」が連接して存在する数は、「6」となり、閾値の5を超えており、図26のフローでも、「許可パターン」と判定される。したがって、図28の場合には、パターン合致度算出部9は、パターン合致度として「1」を算出し、スコア算出部10は、一致画素数算出部7が算出した、一致画素数「24」と「1」とを掛け算したのち、正規化一致画素数を算出してスコアとする。
図29では、一致画素数は「24」と算出している。また、勾配方向の一致パターンは、「6」方向が存在しているので、閾値の5を超えており、図25のフローでは、「許可パターン」と判定される。一方、一致パターン中の最大連接数、「有」が連接して存在する数は、「6」となり、閾値の5を超えており、図26のフローでも、「許可パターン」と判定される。なお、この例のように、一致パターンのテーブルの左端と右端とは、繋がっている(周期的境界条件)ものとして、一致パターン中の最大連接数を算出する。
以上の結果、図29の場合には、パターン合致度算出部9は、パターン合致度として「1」を算出し、スコア算出部10は、一致画素数算出部7が算出した、一致画素数「24」と「1」とを掛け算したのち、正規化一致画素数を算出してスコアとする。
次に、図30〜図32に基づき、一致パターンのチェックにおける第2の例を説明する。より詳細には、図30は、パターン合致度算出過程の第4の例を示す概要図である。図31は、パターン合致度算出過程の第5の例を示す概要図である。図32は、パターン合致度算出過程の第6の例を示す概要図である。
図30では、一致画素数は「24」と算出している。また、勾配方向の一致パターンは、「6」方向が存在しているので、閾値の5を超えており、図25のフローでは、「許可パターン」と判定される。一方、一致パターン中の最大連接数、「有」が連接して存在する数は、「4」となり、閾値の5未満であり、図26のフローでは、「不許可パターン」と判定される。
したがって、図30の場合には、図25のフローを用いた場合、パターン合致度算出部9は、パターン合致度として「1」を算出し、スコア算出部10は、一致画素数算出部7が算出した、一致画素数「24」と「1」とを掛け算したのち、正規化一致画素数を算出してスコアとする。
一方、図26のフローを用いた場合、パターン合致度算出部9は、パターン合致度として「0」を算出し、スコア算出部10は、一致画素数算出部7が算出した、一致画素数「24」と「0」とを掛け算して「0」をスコアとする。
図31では、一致画素数は「22」と算出している。また、勾配方向の一致パターンは、「4」方向が存在しているので、閾値の5未満であり、図25のフローでは、「不許可パターン」と判定される。一方、一致パターン中の最大連接数、「有」が連接して存在する数は、「2」となり、閾値の5未満であり、図26のフローでも、「不許可パターン」と判定される。
したがって、図31の場合には、パターン合致度算出部9は、パターン合致度として「0」を算出し、スコア算出部10は、一致画素数算出部7が算出した、一致画素数「22」と「0」とを掛け算して「0」をスコアとする。
図32では、一致画素数は「22」と算出している。また、勾配方向の一致パターンは、「4」方向が存在しているので、閾値の5未満であり、図25のフローでは、「不許可パターン」と判定される。一方、一致パターン中の最大連接数、「有」が連接して存在する数は、「4」となり、閾値の5未満であり、図26のフローでも、「不許可パターン」と判定される。
以上の結果、図32の場合には、パターン合致度算出部9は、パターン合致度として「0」を算出し、スコア算出部10は、一致画素数算出部7が算出した、一致画素数「22」と「0」とを掛け算して「0」をスコアとする。
以上のように、スコア算出部10は、照合領域と、モデルパターンとの照合を行って、照合領域に含まれる勾配方向と、モデルパターンに含まれる勾配方向とが一致する画素数(一致画素数)、及び、照合領域に含まれる画素ごとの勾配方向とモデルパターンに含まれる画素ごとの勾配方向との一致パターンと、あらかじめ定められた比較用一致パターンとが類似する度合いを示すパターン合致度から、スコア(合致度)を算出する。
(6.接触・非接触特定過程)
次に、画像処理装置100における接触・非接触特定過程について説明する。
次に、画像処理装置100における接触・非接触特定過程について説明する。
図33は、画像処理装置100における接触・非接触特定過程の処理手順を示すフローチャートである。
図33においては、S801では、スコア算出部10が、自身が算出した合致度が所定の値以上である場合(Yes)にはS802に進む。一方、自身が算出した合致度が所定の値以上でない場合(No)には本接触・非接触特定過程の動作が終了する。
S802では、第2エッジ抽出部15は、合致度が所定の値以上であるとのスコア算出部10の判断に基づいて、第2エッジ画素を抽出して、S803に進む。
S803では、スコア算出部10が、第2エッジ抽出部15から第1エッジ画素数及び第2エッジ画素数を取得し、第1エッジ画素のうち第2エッジ画素が占める割合が所定の値を超えているか否かを判断する。そして、所定の値を超えていれば(Yes)、スコア算出部10はS804に進む。一方、所定の値を超えていなければ(No)、スコア算出部10は、本接触・非接触特定過程の動作を終了する。
S804では、スコア算出部10が、第1エッジ画素のうち第2エッジ画素が占める割合が所定の値を超えているとの自身の判断に基づいて、今回自身が算出した合致度を位置特定部11に出力する。
このようにして、図33に示す接触・非接触特定過程の動作が実行されることになる。
ここで、この動作の効果について具体例を用いて説明する。図2(c)に示したように、指99が液晶パネル240面から離れている時は、撮像画像は全面が真っ暗になるが、図2(g)及び図2(k)に示したように、指99が液晶パネル240の表面に接触または近接(非接触)した時は、指99の腹からの反射光によって白丸状の像が撮像画像中に含まれる。
ここで、この動作の効果について具体例を用いて説明する。図2(c)に示したように、指99が液晶パネル240面から離れている時は、撮像画像は全面が真っ暗になるが、図2(g)及び図2(k)に示したように、指99が液晶パネル240の表面に接触または近接(非接触)した時は、指99の腹からの反射光によって白丸状の像が撮像画像中に含まれる。
まず、指99が液晶パネル240の表面に接触している場合、すなわち図2(k)の状態を考える。この場合、第1エッジ抽出部4により抽出された第1エッジ画素の勾配方向は図34に示すような配置となる。そして、図中のA部においてパターンマッチングが行なわれることになる。また、第2エッジ抽出部15により抽出された第2エッジ画素は図35に示すような配置となる。
一方、指が液晶パネル240の表面に近接(非接触)している場合、すなわち図2(g)の状態を考える。この場合、第1エッジ抽出部4により抽出された第1エッジ画素の勾配方向は図36に示すような配置、すなわち図34と同様の配置となる場合がある。この場合、図中のB部においてパターンマッチングが行なわれてしまう可能性がある。
しかしながら、図2(g)に示す撮像画像においては、図37に示すように、第2エッジ抽出部15により第2エッジ画素が抽出されることがない。なぜなら、縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sxのそれぞれ、又は、勾配の大きさABS(S)が第2閾値以上である第2エッジ画素が第1エッジ画素のうちに存在しないからである。
したがって、仮に、非接触の指の画像データに対してパターンマッチングが行なわれたとしても、第2エッジ画素を抽出することにより、接触・非接触の特定をより精度良く行なうことができる。
(7.ポインティング位置特定過程)
次に、画像処理装置100におけるポインティング位置特定過程の処理手順について説明する。図38は、画像処理装置100におけるポインティング位置特定過程の処理手順を示すフローチャートである。
次に、画像処理装置100におけるポインティング位置特定過程の処理手順について説明する。図38は、画像処理装置100におけるポインティング位置特定過程の処理手順を示すフローチャートである。
図38を参照して、S901では、ピーク探索部12が、注目画素の周囲で所定の画素数を含む第1領域(探索領域)内で、スコア算出部10が算出した合致度が最大値をとる画素であるピーク画素を探索して、ピーク画素を発見したらS902に進む。なお、図示していないが、ピーク探索部12が、ピーク画素を発見できない場合には、注目画素を所定数(例えば、第1領域の注目画素から端の画素までの最短コース(第2領域の一辺のサイズ))ずらしてS901に戻る。
S902では、座標算出判定部13が、第1領域と共通の注目画素をもち、第1領域の画素数よりも少ない所定の画素数を有すると共に、第1領域に完全に包含される第2領域(小領域)内に、ピーク探索部12が発見したピーク画素が存在することを判定した場合には、S903に進み、座標算出判定部13は、「ピーク画素あり」と判定し、S904に進む。一方、座標算出判定部13が、第2領域(小領域)内に、ピーク探索部12が発見したピーク画素が存在しなかった場合には、S905に進み、座標算出判定部13は、「ピーク画素なし」と判定し、注目画素を所定数(例えば、第1領域の注目画素から端の画素までの最短コース(第2領域の一辺のサイズ))ずらしてS901に戻る。
以上の手順は、座標算出部14がポインティング(補間)位置を算出するまで繰り返される。
S904では、座標算出部14が、ピーク探索部12が発見したピーク画素を中心とする所定の画素数を含む領域であるピーク画素領域内の、画素ごとのスコアを用いて、撮像対象による撮像画像上の指示位置を算出して「END」となる。
なお、上述の説明では、座標算出部14がポインティング(補間)位置を算出するまで処理を繰り返す場合について説明したが、複数のポインティング(補間)位置を算出可能な構成としてもよく、この場合、画像全体に対して処理を終了するまで、第1・第2領域を移動して、図38に示すフローチャートの処理を実行すればよい。
次に、図39は、ピーク画素の有無の判定方法を示すイメージ図である。より詳細には、図39(a)は画像処理装置100における座標算出判定部13がピーク画素が無いと判定する場合を説明するための概要図であり、図39(b)は座標算出判定部13がピーク画素が有ると判定する場合を説明するための概要図である。
図39(a)に示す実線が第1領域であり、破線が第2領域である。第1領域の画素数は、9×9画素であり、第2領域の画素数は、5×5画素である。それぞれ、奇数×奇数としているのは、中央の注目画素が1画素となるようにするためである。
図39(a)の例では、第1領域内にピーク画素である「9」が存在しているが、該ピーク画素は、第2領域内には存在していない。したがって、この場合は、座標算出判定部13は、「ピーク画素なし」と判定する。
一方、図39(b)の例では、第1領域内にピーク画素である「9」が存在しており、かつ、第2領域内にも存在している。したがって、この場合は、座標算出判定部13は、「ピーク画素あり」と判定する。
なお、上述の例では、第1領域にピーク画素が存在している場合において、第2領域内にピーク画素が無い場合には、第1領域の注目画素から端の画素までの最短コース(第2領域の一辺のサイズ)である「5画素」だけ、第1領域及び第2領域を動かせば、必ず、ピーク画素が第2領域内に入ってくるように、第1領域と第2領域との画素数との差が設定されている。
次に、図40は、座標算出部14のポインティング(補間)座標(撮像対象による撮像画像上の指示位置)の算出方法を示すイメージ図である。図40(a)は画像処理装置100における撮像対象による撮像画像上における指示位置の算出のために使用されるピーク画素領域について説明するための概要図である。図40(b)は画像処理装置100におけるポインティング(補間)座標の座標算出方法を説明するための概要図である。
図40(a)は、座標算出判定部13が「ピーク座標あり」と判定した場合であり、図39(b)の場合と同じである。なお、図40(a)は第1領域及び第2領域とも破線の領域で示されている。一方、実線で示した5×5画素の領域が、ピーク画素を中心とする所定の画素数を含む領域であるピーク画素領域である。
図40(a)に示す例では、このピーク画素領域も第2領域と同様に、第1領域に完全に包含されている。この場合は、ピーク画素領域内のスコアをあらためて調べる必要が無い。このように、第2領域の端にピーク画素が存在する場合でも、ピーク画素領域が第1領域内に包含されるように構成することが好ましい。
次に、図40(b)に基づき、座標算出部14のポインティング座標算出方法について説明する。本実施の形態においては、画像データの画素数が、320×240画素である場合に、図9の低解像度化部2が、バイリニア縮小を2回行ない、さらに、照合効率化部6が、2×2画素について照合効率化を行ない、スコア画像(スコアのデータを画素ごとに付与したもの)のサイズが40×30画素になっている場合を想定している。
したがって、スコア画像の全領域を8倍に拡大したものが、画像データの全領域に相当する。したがって、補間量(スケール拡大量)=8となっている。
具体的な計算方法は、以下のとおりである。まず、ピーク画素領域における行ごとのスコアの和を計算する(図43の19、28、33、24、及び11)。
次に、ピーク画素領域における列ごとのスコアの和を計算する(図43の16、24、28、26、及び21)。また、ピーク画素領域内(5×5画素)のスコアの総和を求める(図40(b)の115)。
次に、ピーク画素領域内のスコアの値が質量分布に相当するものとして、スコア画像の全領域における重心座標を求め、スケールを8倍に拡大すると、次式(14)及び(15)の座標を得る。
次に、画素のサイズを考慮して目盛り位置の調整を行うと、ポインティング座標(X,Y)は、次式(16)となる。
以上によれば、ピーク探索部12は、第1領域(探索領域)内で探索するので、全画素数を含む画像データ領域において、ピーク画素を探索するよりも処理コストを低減、及びメモリ容量を少量化させることができる。
例えば、第1領域の画素数が小さいということは、データ画像(スコア画像)全体(=全画素)のスコアをバッファに保存しておく必要がなく、ピーク探索を実行する第1領域に必要なメモリ容量(例えば9×9画素の第1領域の場合、9ライン分のラインバッファ)があればよい、ということになる。
このように、ラインバッファで実装することにより、メモリ容量を少量化できる効果は、ピーク探索に限らず、縦横の各勾配量の一時保存や、勾配方向の一時保存等、後段処理に受け渡す際にバッファメモリが介在するような実装を行なう場合には、全て共通して言えることである。
さらに、座標算出部14は、ピーク探索部12が発見したピーク画素を中心とする所定の画素数を含む領域であるピーク画素領域内の、画素ごとのスコアを用いて、ポインティング位置を算出する。例えば、エッジ画像を用いてその重心位置からポインティング位置を求める場合、撮像画像が歪な形に変形するほど算出が困難になると考えられる。
しかし、画像処理装置100では、ピーク画素領域内の、画素ごとのパターンマッチングによるスコアを用いて、ポインティング位置を算出する。このパターンマッチングにおけるスコアの最大値近傍は、撮像画像が歪な形に変形したとしても、該最大値近傍を中心として、放射状に合致度が減少していくという、ほぼ変形前と同様の分布傾向を示すものと考えられる。
したがって、撮像画像が歪な形に変形するか否かに関係なく、所定の手順(例えば、ピーク画素領域内でスコアの重心を算出する等)で、ポインティング位置を算出することができる。それゆえ、座標位置の検出精度の維持との両立を図りつつ、ポインティング位置を算出するための画像処理量の軽減、処理コストの低減、及びメモリ容量の少量化が可能となる。
以上より、撮像対象の撮像画像へのタッチ・非タッチの検出に関係なく、1フレームの画像データのみを用いたパターンマッチングを行なうことで、ポインティング位置の検出を可能としてメモリ容量を少量化し、及び処理時間を短縮化しつつ、ポインティング位置の算出において、画像処理量の軽減とポインティング位置の検出精度の維持との両立、及びメモリ容量の少量化を実現することができる画像処理装置100を提供することができる。
また、座標算出判定部13は、第1領域と共通の注目画素をもち、第1領域の画素数よりも少ない所定の画素数を有すると共に、第1領域内に完全に包含される第2領域(小領域)内に、ピーク探索部12が発見したピーク画素が存在することを判定した場合に、座標算出部14にポインティング位置を算出させることが好ましい。
ピーク画素領域は、第2領域内に存在するピーク画素を注目画素としてその周囲に広がる領域であるので、第1領域と共通する画素が多数存在することになる。また、ピーク画素領域と第1領域との共通の画素のスコアは既に算出されているので、非共通の画素のスコアを調べれば、座標算出部14にポインティング位置を算出させることができる。
また、ピーク画素領域と第1領域とのそれぞれの画素数を調整すれば、ピーク画素領域を第1領域に包含させることも可能である。この場合、ピーク画素領域の各画素のスコアは既に判明しているので、ポインティング位置算出のためにあらためて判明していない各画素のスコアを調べる必要が無い。
以上より、ポインティング位置の算出において、さらに画像処理量の軽減及びメモリ容量の少量化を実現することができる。また、ピーク座標判定時に第1領域の外側に向けてスコアの上昇が連接している場合への対応と、ハードウェア実装等において各処理モジュールをパイプライン処理する際等に、参照すべきスコアの保持バッファ容量を少量化(例えば画像全体ではなく9ラインのみ)できる。
(8.情報統合過程)
次に、画像処理装置100における情報統合過程について説明する。図41は、画像処理装置100における情報統合過程の処理手順を示すフローチャートである。
次に、画像処理装置100における情報統合過程について説明する。図41は、画像処理装置100における情報統合過程の処理手順を示すフローチャートである。
S1001では、情報統合部18が、接触位置特定部16及び近接位置特定部17から出力される、接触位置情報及び近接位置情報を参照して、接触特定位置近傍に近接特定情報があるか否かを判定する。すなわち、接触位置特定部16及び近接位置特定部17から出力される位置情報において、接触位置の近傍に同時に近接位置も特定されているか否かを判定する。接触特定位置近傍に近接特定情報がある場合、S1002に進む。接触特定位置近傍に近接特定情報がない場合、情報統合処理過程を終了する。ただし、複数の接触特定位置情報が存在する場合、次の接触特定位置情報についてS1001からの処理を繰り返し、全ての接触特定位置情報についてS1001からS1002の処理をした後に、情報統合処理過程を終了する。
S1002では、情報統合部18が、近接特定情報を削除する。より具体的には、S1001で接触特定位置近傍に存在すると判定された近接特定情報を削除する。S1002の処理により、近傍位置を示す接触位置と近接位置とが同時に出力されることを回避することが可能となり、例えば、出力される位置情報と距離情報とを用いて動作する画像処理装置100を構築する際に、同じような位置で同時に接触かつ近傍(非接触)と出力されることによる混乱(接触で且つ非接触)を回避することが可能となる。
S1003では、情報統合部18が、接触特定情報を出力する。より具体的には、接触として特定されたポインティング位置と共に、ポインティング距離情報として「接触」状態であることを示す情報を出力する。
S1004では、情報統合部18が、近接特定情報を出力する。より具体的には、近接として特定されたポインティング位置と共に、ポインティング距離情報として「近接」状態であることを示す情報を出力する。
ここで、ポインティング距離情報としては、例えば、接触状態であれば「1」、近接状態であれば「2」というように、番号を予め規定するなどしておけばよい。
<各種条件>
次に、図42〜図45に基づいて、接触位置特定部16並びに近接位置特定部17が管理する照合条件、すなわち各処理の組み合わせ条件について説明する。接触位置特定部16は、図11におけるステップS202において接触位置特定用の各種条件を設定する。近接位置特定部17は、図11におけるステップS203において近接位置特定用の各種条件を設定する。
次に、図42〜図45に基づいて、接触位置特定部16並びに近接位置特定部17が管理する照合条件、すなわち各処理の組み合わせ条件について説明する。接触位置特定部16は、図11におけるステップS202において接触位置特定用の各種条件を設定する。近接位置特定部17は、図11におけるステップS203において近接位置特定用の各種条件を設定する。
図42〜図45において、図42は、接触位置特定部16および近接位置特定部17が管理する各処理の組み合わせ条件テーブルの一例である。図43,44,45は、接触位置特定部16並びに近接位置特定部17が管理する各処理の組み合わせ条件テーブルの他の例である。
図42〜図45に示される各処理について説明する。まず、「低解像度化」は、低解像度化部2で低解像度化処理を行う際の縮小度合いを示す。本実施の形態では、1/2、または、1/4の場合について示すが、低解像度化部2で低解像度化する際に、近接位置特定用の設定値の方が、接触位置特定用の設定値と同等またはより低解像度になるように設定すれば、1/2、または、1/4のみに限定するものではない。
次に、「接触・非接触特定」は、スコア算出部10が、スコアを算出する際に、接触・非接触特定過程を経るか否かを示す。本実施の形態では、接触・非接触特定過程を経るか否かの設定例を示すが、第2エッジ抽出部15で第2エッジを抽出する際の閾値を、接触位置特定用ではより厳しい閾値(近接位置特定用と比べて大きいエッジ勾配量を抽出)、近接位置特定用ではより緩い閾値(接触位置特定用と比べて小さいエッジ勾配量を抽出)を設定するようにしてもよい。
次に、「画素値判定」は、方向特定部5が、勾配方向を特定する際に、画素値に基づく判定を行うか否か、または、画素値判定の際に用いる閾値を示す。本実施の形態では、下限値を設定するか、または画素値判定を行わない場合について説明したが、先に説明した通り、上限値または画素値範囲を設定するようにしてもよい。この場合、近接位置特定用の設定値の方が、接触位置特定用の設定値よりも緩い基準(特徴量をより得やすい基準)となるようにすればよい。
次に、「照合効率化」は、照合効率化部6が、照合効率化を行うか否か、または、照合効率化時の縮小度合いを示す。本実施の形態では、照合効率化の度合いが1/2、または、1/4の場合について示すが、照合効率化部6で照合効率化する際に、近接位置特定用の設定値の方が、接触位置特定用の設定値と同等またはより低解像度になるように設定すれば、1/2、または、1/4のみに限定するものではない。
次に、「モデルパターン」は、一致画素数算出部7が一致画素数を算出する際に用いるモデルパターンの大きさを示す。本実施の形態では、11×11、または、15×15の場合について示すが、近接位置特定用の大きさの方が、接触位置特定用の大きさと同等またはより大きくなるように設定すれば、11×11、または、15×15のみに限定するものではない。
次に、「比較用一致パターン閾値」は、パターン合致度算出部9が、一致パターンと比較用一致パターンとの合致度合いを算出する際に用いる閾値DNを示す。本実施の形態では、5または7の場合について示すが、近接位置特定用の閾値DNの方が、接触位置特定用の閾値DNと同等またはより緩い基準(小さい閾値)となるように設定すれば、5または7のみに限定するものではない。
図42では、接触位置特定用の照合条件と、近接位置特定用の照合条件とで、「低解像度化」、「接触・非接触判定」、「画素値判定」の各処理条件が異なっている。
図43では、接触位置特定用の照合条件と、近接位置特定用の照合条件とで、「接触・非接触判定」、「画素値判定」、「照合効率化」の各処理条件が異なっている。
図44では、接触位置特定用の照合条件と、近接位置特定用の照合条件とで、「接触・非接触判定」、「画素値判定」、「モデルパターン」の各処理条件が異なっている。
図45では、接触位置特定用の照合条件と、近接位置特定用の照合条件とで、「接触・非接触判定」、「画素値判定」、「比較用一致パターン閾値」の各処理条件が異なっている。
以上の図42〜図45に示した例からわかるように、「接触・非接触判定」と「画素値判定」の処理条件については、どの例においても、接触位置特定用の照合条件と、近接位置特定用の照合条件とで異なっている。これは、接触時と非接触時とでは、接触時の方が非接触時よりも相対的に勾配量が小さく、また画素値が小さく(暗く)なる傾向があるためである。
上述のように、各処理部の処理条件について、近接位置特定用の照合条件が接触位置特定用の照合条件よりも緩い基準で照合するように照合条件を切り替え、または各照合条件に応じた位置特定用の各処理部(低解像度化部2、第1エッジ抽出部4、第2エッジ抽出部15、一致画素数算出部7、パターン合致度算出部9)を構築することで、接触位置と近接位置とを同時に特定することが可能となる。
次に、図46〜図49に基づいて、接触位置特定部16並びに近接位置特定部17が管理する照合条件、すなわち各処理の組み合わせ条件の他の例について説明する。図46〜図49は、接触位置特定部16並びに近接位置特定部17が管理する各処理の組み合わせ条件テーブルの図42〜図45と異なる他の例である。
なお、図42〜図49に示す条件テーブルのいずれかが、メモリ(RAM271、RAM171、ROM272、ROM172)に記憶されていてもよい。また、それらの複数が、ユーザからの選択命令や、ユーザからの条件変更命令や、CPU210あるいはCPU110によって実行されるアプリケーションなどによって、選択可能にメモリ(RAM271、RAM171、ROM272、ROM172)に記憶されていてもよい。
図46〜図49では、図42〜図45と比べて、近接位置特定用の「画素値判定」処理条件が異なっている。すなわち、図42〜図45では接触位置特定用と近接位置特定用とで「画素値判定」時の閾値を異なる値にしているが、図46〜図49では接触位置特定用と近接位置特定用とで「画素値判定」を行うか否かで異なる条件としている。
上述のように、各処理部の処理条件について、近接位置特定用の照合条件が接触位置特定用の照合条件よりも緩い基準で照合するように照合条件を切り替え、または各照合条件に応じた位置特定用の各処理部(低解像度化部2、第1エッジ抽出部4、第2エッジ抽出部15、一致画素数算出部7、パターン合致度算出部9)を構築すれば、その条件の組み合わせの詳細について限定するものではない。
ただし、上述の通り、「接触・非接触判定」と「画素値判定」の処理条件については、接触時と非接触時とでは、接触時の方が非接触時よりも相対的に勾配量が小さく、また画素値が小さく(暗く)なる傾向があるため、接触位置特定用の照合条件よりも近接位置特定用の照合条件を相対的に緩めに設定することが好ましい。
また、図42〜図49で具体的な照合条件の例をいくつか示したので、詳細な説明は繰り返さないが、第1エッジ抽出部4で、撮像画像のエッジ部分の画素である第1エッジ画素を抽出(特定)する際に、縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sxのそれぞれ、又は、勾配の大きさABS(S)が所定の第1閾値以上であることを判定する際に用いる第1閾値を、接触位置特定用の照合条件よりも近接位置特定用の照合条件を相対的に緩め(小さな値)に設定することが好ましい。
また、本実施の形態では、ポインティング距離情報として接触または近接の2段階の場合について説明したが、距離情報の段階は2段階に特定するものではなく、3段階以上の各段階を特定するようにしてもよい。この場合、例えば、近接位置特定部17をさらにもう1つまたは2つ以上設けて、「第1近接位置特定部」、「第2近接位置特定部」、「第3近接位置特定部」などのように各距離段階に応じた近接位置特定を処理を行い、より接触に近い(距離の近い)近接位置情報を優先するように、情報統合処理を行えばよい。
上述のように、近接を複数段階で特定する場合、図42〜図49を用いて説明した照合条件について、より距離の遠い近接位置特定用の照合条件ほど、解像度が粗く、画素値判定基準を緩く(閾値をより小さく)、モデルパターンをより大きく、比較用一致パターンをより緩く(閾値を小さく)するという方向で照合条件を設定すればよい。
上述したように、画像処理装置100の各ブロック、特に低解像度化部2、縦勾配量算出部3a、横勾配量算出部3b、第1エッジ抽出部4、方向特定部5、照合効率化部6、一致画素数算出部7、パターン合致度算出部9、スコア算出部10、位置特定部11、第2エッジ抽出部15、接触位置特定部16、近接位置特定部17、及び情報統合部18は、ハードウェアロジック回路によって構成してもよいし、次のようにCPU210やCPU110を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、画像処理装置100は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するためのCPU210,CPU110、上記プログラムを格納するためのROM272,172、上記プログラムを展開するためのRAM271,171、上記プログラムおよび各種データを格納するための図示しないメモリ等の記憶装置(記録媒体)等を装備している。そして、本実施の形態に係る画像処理装置100は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像処理装置100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を上記画像処理装置100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が当該記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系等を用いることができる。
また、画像処理装置100を通信ネットワークと接続可能に構成し、その通信ネットワークを介して上記プログラムコードを画像処理装置100に供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN(Integrated Services Digital Network)、VAN(value added network)、CATV通信網、仮想専用網、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high dynamic range)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
<接触・非接触特定過程の変形例>
次に、画像処理装置100における接触・非接触特定過程について説明する。
次に、画像処理装置100における接触・非接触特定過程について説明する。
図50は、画像処理装置100における接触・非接触特定過程の変形例の処理手順を示すフローチャートである。
図50においては、S1801では、スコア算出部10が、自身が算出した合致度が所定の値以上である場合(Yes)にはS1803に進む。一方、自身が算出した合致度が所定の値以上でない場合(No)には、スコア算出部10は、「外部の物体が検知できないこと」すなわち「外部の物体が液晶パネル240の近傍に存在しないこと」を出力する(ステップS1802)。スコア算出部10は、本接触・非接触特定過程を終了する。
S1803では、第2エッジ抽出部15は、合致度が所定の値以上であるとのスコア算出部10の判断に基づいて、第2エッジ画素を抽出してS1804に進む。
S1804では、スコア算出部10が、第2エッジ抽出部15から第1エッジ画素数及び第2エッジ画素数を取得し、第1エッジ画素のうち第2エッジ画素が占める割合が所定の値を超えているか否かを判断する。そして、所定の値を超えていれば(Yes)、スコア算出部10はS1806に進む。一方、所定の値を超えていなければ(No)、スコア算出部10は、「外部の物体が液晶パネル240の近傍に存在するが未だ非接触であること」を出力する(ステップS1805)。スコア算出部10は、本接触・非接触特定過程を終了する。
S1806では、スコア算出部10が、第1エッジ画素のうち第2エッジ画素が占める割合が所定の値を超えているとの自身の判断に基づいて、「外部の物体が液晶パネル240に接触していること」を出力する。
このようにして、図50に示す接触・非接触特定過程の動作が実行されることになる。なお、この場合には、情報統合過程において、情報統合部18は、スコア算出部10による判断結果に基づいて、ステップS1003およびステップS1004のいずれか1つを実行してもよい。より詳細には、スコア算出部10が「外部の物体が液晶パネル240の近傍に存在するが未だ非接触であること」を出力した場合、情報統合部18はステップS1004を実行する。一方、スコア算出部10が「外部の物体が液晶パネル240に接触していること」を出力した場合、情報統合部18はステップS1003を実行する。
あるいは、画像処理装置100は、接触・非接触特定過程に先立って、ポインティング位置特定過程を実行してもよい。この場合には、スコア算出部10が「外部の物体が液晶パネル240の近傍に存在するが未だ非接触であること」を出力する際に、すなわちステップS1805において情報統合部18が近接位置情報を出力する。一方、スコア算出部10が「外部の物体が液晶パネル240に接触していること」を出力する際に、すなわちステップS1806において情報統合部18は接触位置情報を出力する。
ここで、この動作の効果について具体例を用いて説明する。図2(c)に示したように、指99が液晶パネル240面から離れている時は、撮像画像は全面が真っ暗になるが、図2(g)及び図2(k)に示したように、指99が液晶パネル240の表面に接触または近接(非接触)した時は、指99の腹からの反射光によって白丸状の像が撮像画像中に含まれる。
まず、指99が液晶パネル240の表面に接触している場合、すなわち図2(k)の状態を考える。この場合、第1エッジ抽出部4により抽出された第1エッジ画素の勾配方向は図34に示すような配置となる。そして、図中のA部においてパターンマッチングが行なわれることになる。また、第2エッジ抽出部15により抽出された第2エッジ画素は図35に示すような配置となる。
一方、指が液晶パネル240の表面に近接(非接触)している場合、すなわち図2(g)の状態を考える。この場合、第1エッジ抽出部4により抽出された第1エッジ画素の勾配方向は図36に示すような配置、すなわち図34と同様の配置となる場合がある。この場合、図中のB部においてパターンマッチングが行なわれてしまう可能性がある。
しかしながら、図2(g)に示す撮像画像においては、図37に示すように、第2エッジ抽出部15により第2エッジ画素が抽出されることがない。なぜなら、縦方向勾配量Sy及び横方向勾配量Sxのそれぞれ、又は、勾配の大きさABS(S)が第2閾値以上である第2エッジ画素が第1エッジ画素のうちに存在しないからである。
したがって、仮に、非接触の指の画像データに対してパターンマッチングが行なわれたとしても、第2エッジ画素を抽出することにより、接触・非接触の特定をより精度良く行なうことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 低解像度化部、3a 縦勾配量算出部、3b 横勾配量算出部、4 エッジ抽出部、5 方向特定部、6 照合効率化部、7 一致画素数算出部、8 パターン格納部、8a,8b,8c,8d,8e モデルパターン、9 パターン合致度算出部、10 スコア算出部、11 位置特定部、12 ピーク探索部、13 座標算出判定部、14 座標算出部、15 エッジ抽出部、16 接触位置特定部、17 近接位置特定部、18 情報統合部、99 指、100,150 画像処理装置、100A,100B 筐体、100C ヒンジ、101 本体装置、102,102A,103 表示装置、104 本体装置、130 ドライバ、131 走査信号線駆動回路、132 データ信号線駆動回路、133 光センサ駆動回路、134 スイッチ、135 アンプ、140 光センサ内蔵液晶パネル、141 画素回路、141b,141g,141r サブピクセル回路、143 電極対、143a 画素電極、143b 対向電極、144 光センサ回路、145 フォトダイオード、146 コンデンサ、151A アクティブマトリクス基板、151B 対向基板、152 液晶層、153b,153g,153r カラーフィルタ、157 データ信号線、161 偏光フィルタ、162 ガラス基板、163 遮光膜、164 配向膜、173 メモリカードリーダライタ、174 外部通信部、175 マイク、176 スピーカ、177 操作キー、179 バックライト、180 画像処理エンジン、181 ドライバ制御部、182 タイマ、183 信号処理部、191 電源スイッチ、192 電源回路、193 電源検出部、194 コネクタ、195 アンテナ、196 コネクタ、230 ドライバ、240 光センサ内蔵液晶パネル、274 外部通信部、279 バックライト、280 画像処理エンジン、281 ドライバ制御部、282 タイマ、283 信号処理部、293 電源検出部、294 コネクタ、295 アンテナ、297 信号強度検出部、173 メモリカード。
Claims (7)
- パネルを介して撮像された撮像画像の画像データに基づいて、画素毎の画素値の勾配量を算出する勾配量算出手段と、
前記画素毎の画素値の勾配量に基づいて、前記パネルと撮像対象とが近接且つ非接触状態であることを特定する近接特定手段と、
前記パネルと前記撮像対象とが接触状態であることを特定する接触特定手段とを備え、
前記接触特定手段と前記近接特定手段とは、所定範囲内の画像値を有する画素に関して前記状態の特定を行い、
前記接触特定手段と前記近接特定手段とは、前記画像データ中に含まれる前記画素値の勾配量、前記画素値の勾配方向、前記所定範囲の少なくともいずれかについて、互いに異なる基準に基づいて前記状態の特定を行い、
前記撮像対象に関するモデルパターンを記憶するメモリと、
前記画像データ上の注目画素毎に、当該画素の画素値と複数の隣接画素の画素値とから前記勾配方向を特定する勾配方向特定手段と、
前記注目画素の周囲で所定数の画素を含む照合領域と前記モデルパターンとの照合を行うことによって、前記照合領域に含まれる勾配方向と、前記モデルパターンに含まれる勾配方向とが一致する画素数から、前記照合領域と前記モデルパターンとの合致度を算出する合致度算出手段と、
前記勾配量が第1閾値以上である第1エッジ画素を特定する第1エッジ特定手段と、
前記第1エッジ画素のうち、前記勾配量が前記第1閾値よりも大きい第2閾値以上である第2エッジ画素を特定する第2エッジ特定手段と、
第1エッジ画素数と第2エッジ画素数との比率及び前記合致度算出手段により算出された合致度に基づいて、前記撮像対象による指示位置を特定する位置特定手段とをさらに備え、
前記接触特定手段と前記近接特定手段とは、
前記第1エッジ特定手段による第1エッジ画素の特定のために、互いに異なる前記第1閾値を設定し、
前記第2エッジ特定手段による第2エッジ画素の特定のために、互いに異なる前記第2閾値基準を設定する、または、前記位置特定手段による前記指示位置の特定のために、第1エッジ画素数と第2エッジ画素数との比率を用いるか否かをそれぞれに設定する、画像処理装置。 - パネルを介して撮像された撮像画像の画像データに基づいて、画素毎の画素値の勾配量を算出する勾配量算出手段と、
前記画素毎の画素値の勾配量に基づいて、前記パネルと撮像対象とが近接且つ非接触状態であることを特定する近接特定手段と、
前記パネルと前記撮像対象とが接触状態であることを特定する接触特定手段とを備え、
前記接触特定手段と前記近接特定手段とは、所定範囲内の画像値を有する画素に関して前記状態の特定を行い、
前記接触特定手段と前記近接特定手段とは、前記画像データ中に含まれる前記画素値の勾配量、前記画素値の勾配方向、前記所定範囲の少なくともいずれかについて、互いに異なる基準に基づいて前記状態の特定を行い、
前記撮像対象に関するモデルパターンを記憶するメモリと、
前記画像データ上の注目画素毎に、当該画素の画素値と複数の隣接画素の画素値とから前記勾配方向を特定する勾配方向特定手段と、
前記注目画素の周囲で所定数の画素を含む照合領域と前記モデルパターンとの照合を行うことによって、前記照合領域に含まれる勾配方向と、前記モデルパターンに含まれる勾配方向とが一致する画素数から、前記照合領域と前記モデルパターンとの合致度を算出する合致度算出手段とを備え、
前記メモリは、複数種類の前記モデルパターンを記憶し、
前記合致度算出手段は、前記モデルパターンに含まれる画素の勾配方向と一致する前記照合領域に含まれる画素の個数と、当該一致した画素の勾配方向の種類の組み合わせとに基づいて、前記合致度を算出し、
前記接触特定手段と前記近接特定手段とは、前記合致度算出手段による前記合致度の算出のために、互いに異なる種類の前記モデルパターン、または互いに異なる組み合わせを設定する、画像処理装置。 - パネルを介して撮像された撮像画像の画像データに基づいて、画素毎の画素値の勾配量を算出する勾配量算出手段と、
前記画素毎の画素値の勾配量に基づいて、前記パネルと撮像対象とが近接且つ非接触状態であることを特定する近接特定手段と、
前記パネルと前記撮像対象とが接触状態であることを特定する接触特定手段とを備え、
前記接触特定手段と前記近接特定手段とは、所定範囲内の画像値を有する画素に関して前記状態の特定を行い、
前記接触特定手段と前記近接特定手段とは、前記画像データ中に含まれる前記画素値の勾配量、前記画素値の勾配方向、前記所定範囲の少なくともいずれかについて、互いに異なる基準に基づいて前記状態の特定を行い、
前記撮像対象に関するモデルパターンを記憶するメモリと、
前記画像データ上の注目画素毎に、当該画素の画素値と複数の隣接画素の画素値とから前記勾配方向を特定する勾配方向特定手段と、
前記注目画素の周囲で所定数の画素を含む照合領域と前記モデルパターンとの照合を行うことによって、前記照合領域に含まれる勾配方向と、前記モデルパターンに含まれる勾配方向とが一致する画素数から、前記照合領域と前記モデルパターンとの合致度を算出する合致度算出手段とを備え、
前記メモリは、異なる大きさの前記モデルパターンを記憶し、
前記接触特定手段と前記近接特定手段とは、前記合致度算出手段による前記合致度の算出のために、互いに異なる大きさの前記モデルパターンを設定する、画像処理装置。 - パネルを介して撮像された画像に対して画像処理を行なう画像処理装置であって、
前記画像は画素毎に画素値を含み、
前記画素毎の前記画素値の勾配量を算出する勾配量算出手段と、
前記画素の中から前記勾配量が第1の閾値以上である第1の画素を抽出する第1の抽出部と、
前記画素の中から前記勾配量が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上である第2の画素を抽出する第2の抽出部と、
前記第1の画素の数と前記第2の画素の数とに基づいて、前記パネルに物体が接触しているか、前記パネルの近傍に前記物体が位置するかを判断する判断部とを備える、画像処理装置。 - 前記画素毎の前記画素値の勾配方向を特定する勾配方向特定手段と、
前記勾配方向に基づいて、前記物体に対応する前記パネル上の位置を算出する位置算出手段とをさらに備える、請求項4に記載の画像処理装置。 - 前記物体に対応する画像に関する画素毎の勾配方向を示すモデルパターンを記憶するメモリと、
前記勾配方向特定手段によって特定された勾配方向と、前記モデルパターンの勾配方向との合致度を算出する合致度算出手段とを備え、
前記判断部は、前記合致度が第3の閾値以上である場合に前記判断を実行し、前記合致度が第3の閾値未満である場合に前記物体が前記パネルの近傍に位置しないと判断する、請求項5に記載の画像処理装置。 - 前記勾配方向特定手段は、画素値が所定範囲外である画素の勾配方向を無方向と特定する、請求項5または6に記載の画像処理装置。
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