JP4721162B2 - 低圧分岐装置及びこれに用いるヒューズの収容方法 - Google Patents

低圧分岐装置及びこれに用いるヒューズの収容方法 Download PDF

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Description

この発明は、低圧地中配線ケーブルの幹線から分岐された引込線を地上に設置された分岐箇所に引き込んで分岐するために用いる低圧分岐装置、及びこの分岐装置に用いるヒューズの収容方法に関する。
近年、配電線の地中化工事の要請が増加しており、低圧地中配線ケーブルの幹線から分岐された引込線と需要家の引込口配線(屋側配線)との接続、分岐は、家屋などの壁面に固定された分岐ボックスに地中から引込線を引込み、この分岐ボックス内で行なうようにしている場合が多い。このような引込線は、単相3線式、三相4線式による配電方式が一般的であり、例えば、図10に示されるように、低圧幹線1から分岐した引込線2の配電方式が三相4線式である場合には、電灯負荷に対して単相3線式の引込口配線4を接続し、また動力負荷に対して三相3線式の引込口配線5を接続するよう引込線2が分岐ボックス3内で分岐される。
ところが、従来用いられていた分岐ボックス3は、内部にケーブル同士を接続する金属性の接続端子バーが配設されているため、分岐ボックス3の総重量が重くなり、トタン壁などの支持力の弱い壁には固定が困難になる不都合があった。このため、従来においては、下記する非特許文献1及び2に示されるような低圧分岐装置が考えられている。
これは、需要家の側部で鋼管を立ち上げ、その先端部にジョイントボックス台座を取り付け、鋼管の管路に引込線を入線してジョイントボックス台座の上方へ引き出し、また、ジョイントボックス台座の側面に形成された通孔を介して引込口配線を挿入し、ジョイントボックス台座の上方で、引込線と引込口配線とをC型コネクタにより圧着又は圧縮接続し、接続部分に絶縁を施した上で、円筒状のジョイントボックスカバーを被せて封印を施すようにしたものである。このような構成においては、接続端子バーが不要となるので軽量化が図れ、また、家屋の壁面に分岐ボックスを直接固定する必要がなくなるので、家屋に与える影響がない等の利点を有する。
森真也,井出昌行,[低コスト屋側分岐箱の開発」,電気現場技術,電気情報社,1999年 5月,p.70−72 "屋側ジョイントボックス"、[online] 、大阪ヒューズ株式会社、[平成17年2月10日検索] 、インターネット<http://www.fuse.co.jp/fuse/fuse05_03.html >
しかしながら、上述した構成においては、引込口配線がジョイントボックス台座の側面に開口する通孔を介して挿通されるので、引込口配線が分岐ボックスから前方へ突出するなど、壁面に沿わして配線することが困難となり、見栄えが悪くなると共に、近くを通行する際に引っ掛けるなどの不都合が生じる。特に、引込口配線を挿通する通孔が側面に複数形成される場合には、側方から突出する引込口配線も様々な方向へ突出することになるので、上述した不都合は著しくなる。
また、ジョイントボックス台座には、予め決められた位置に引込口配線を挿通するための通孔が形成されているので、設置箇所の状況に合わせてジョイントボックス台座を回転させて通孔の向きを変えることはできるが、台座に対する通孔の位置は変えることができないので、通孔が複数形成される場合には、外部から通孔に至る引込口配線の最適な引き回しが行なえなくなる不都合もあった。
さらに、上述した構成においては、分岐ボックスの収容空間が細長い円柱形状に形成されているので、引込線の分岐部分にヒューズを設ける場合に対応しにくいものであった。例えば、三相4線式の配電方式にあっては、図10に示されるように、最大5ケのヒューズ(電灯負荷用ヒューズ6、動力負荷用ヒューズ7)を設ける必要があるので、ヒューズの収容スペースを十分に確保することが困難になる不都合がある。
この際、単にヒューズの収容空間を大きくするために分岐ボックスの径を大きくし、複数のヒューズを無造作に収容したのでは、ジョイントボックス台座にカバーの脱着がスムーズに行えなくなったり、ヒューズ本体の取り付け、交換などの作業が困難になる不都合がある。
本発明は、上述した不都合を解消するためになされたものであり、引込口配線が分岐ボックスの側方へ突出する不都合を回避し、また、引込口配線が挿通する通孔の位置を現場の状況に合わせて選択することで通孔に至る引込口配線の最適な引き回しが可能となる低圧分岐装置を提供することを主たる課題としている。
また、多数のヒューズの収容スペースを確保し、スムーズなカバー部材の脱着や、ヒューズの容易な取り付け・交換作業が可能となる低圧分岐装置及びヒューズの収容方法を提供することをも課題としている。
上記課題を達成するために、本発明にかかる低圧分岐装置は、低圧地中配線ケーブルの幹線から分岐された引込線を分岐する低圧分岐装置であって、
地表に立設された鋼管と、この鋼管の上端部に固定された分岐ボックスとを有し、前記分岐ボックスを、底部を有するベース部材と、このベース部材に着脱可能に上方から取り付けられるカバー部材とにより構成し、前記ベース部材には、その底部の後端部に壁面に固定するための壁面固定用部材が設けられ、
前記鋼管は、その上端部が前記ベース部材の前記壁面固定用部材よりも前方側において該壁面固定用部材に近接して取り付けられると共に前記底部の左右の中心線上に取り付けられ、前記ベース部材の底部には前記鋼管の取付部位よりも外側の位置に通孔の形成を可能にする複数のノックアウト部を設け、
任意の前記ノックアウト部を除去して形成された通孔を介して引込口配線を挿通可能とし、前記鋼管に入線された前記引込線を前記分岐ボックス内において前記引込口配線と直接又はヒューズを介して接続可能とし、
前記引込線と前記引込口配線との間に介在される前記ヒューズは、その両端部に接続ケーブルが設けられ、一方の接続ケーブルは前記引込線に接続され、他方の接続ケーブルは前記引込口配線に接続され、それぞれの前記接続ケーブルは、前記ヒューズが該接続ケーブルの先端部よりも外側に配置されるようU字状に折り返されていることを特徴としている。
ここで、従来の分岐ボックス内に設けられていた金属性接続端子バーを不要にし、引込線と引込口配線との接続部分、引込線とヒューズとの接続部分、及びヒューズと引込口配線との接続部分をかしめ金具による圧着又は圧縮にて接続し、軽量化を図るようにするとよい。
したがって、上述した構成によれば、分岐ボックスの底部の左右の中心線上に鋼管を取り付け、この取り付け部分を中心としてその周囲に複数のノックアウト部を設け、任意のノックアウト部を除去して引込口配線を挿通可能とする通孔を形成するようにしたので、引込口配線を分岐ボックスの前方へ突出させることなく引き回すことが可能となり、また、底部の上方にヒューズを収容する空間を十分に確保することが可能となる。さらに、任意のノックアウト部を除去して形成された通孔を介して引込口配線を挿通可能とするので、分岐ボックスの取り付け箇所の状況に合わせて、引込口配線を挿通させる通孔の位置を決めることが可能となる。
また、分岐ボックスは、前記ノックアウト部が形成された底部を有するベース部材とこのベース部材に上方から着脱可能に取り付けられるカバー部材とにより構成されているので、カバー部材を取り外すことにより、引込線や引込口配線の接続作業、ヒューズの交換作業などが容易となる。
さらに、上述の構成においては、分岐ボックスのベース部材に、壁面に固定するための壁面固定用部材が立設されているので、分岐ボックスを鋼管の先端部に固定する構成を原則としつつ、設置箇所の状況に応じて、分岐ボックスを家屋の壁面に固定することも可能となる。
なお、前記引込み口配線は前記通孔に取り付けられたブッシングを介して挿通され、前記引込み口配線と前記ブッシングとは収縮チューブにて固定するとよい。通孔は分岐ボックスの底部に形成されるので、ブッシングを介して引込口配線を挿通させても引込口配線が自重により垂れ下がってくる不都合が想定されるが、上述のような構成とすることで引込口配線を収縮チューブによりブッシングに固定して引込口配線の垂れ下がりを防ぐことが可能となる。また、塵埃や小動物の進入を防ぐために、ブッシングと引込口配線との間の隙間を収縮チューブにより無くすことが好ましい。尚、収縮チューブは、常温収縮チューブであっても熱収縮チューブであってもよい。
また、上述した構成を得るために、上述した低圧分岐装置に用いるヒューズを収容ボックスに収容する場合に、ヒューズがその両端部に設けられた接続ケーブルの先端部より外側に配置されるよう、接続ケーブルの一方をU字状に折り返して引込線に接続し、また、接続ケーブルの他方をU字状に折り返して引込口配線に接続して分岐ボックスに収容するとよい。
このような構成においては、それぞれのヒューズの取付位置をほぼ同じ高さに合わせることができ、また、ヒューズが接続ケーブルの先端部より外側にあるので、ヒューズ本体の取り付けや交換等の作業が行ないやすくなる。また、接続ケーブルが、U字状に曲げられているので、後述するように、分岐ボックスをベース部材とこのベース部材に着脱可能に取り付けられるカバー部材とにより構成する場合には、カバー部材の引っかかりを回避することが可能となる。
以上述べたように、請求項1に係る発明によれば、分岐ボックスの底部の左右の中心線上に鋼管を取り付け、この鋼管の取付部位を中心としてその周囲に複数のノックアウト部を設け、任意のノックアウト部を除去して形成された通孔を介して引込口配線を挿通可能としたので、引込口配線を分岐ボックスの前方へ突出させることなく家屋の壁面に沿って配線することが可能となる。このため、見栄えがよくなると共に、近くを通行する際に引込口配線を引っ掛ける不都合もなくなる。また、複数のノックアウト部が形成された底部の上方にヒューズの収容スペースを確保することが可能となり、また、引込口配線が挿通する箇所を現場の状況に合わせて選択することが可能となり、通孔に至る引込口配線の最適な引き回しを行うことが可能となる。
また、ヒューズを収納するにあたり、ヒューズの一方に設けられた接続ケーブルを引込線に接続し、ヒューズの他方に設けられた接続ケーブルを引込口配線に接続し、それぞれの接続ケーブルをU字状に折り返してヒューズが接続ケーブルの先端部より外側に配置されるように分岐ボックスに収容されるので、それぞれのヒューズの取付位置をほぼ同じ高さに合わせることができると共に、側方からヒューズにアクセスしやすくなり、ヒューズの取替え等の作業が行ないやすくなる。
さらに、分岐ボックスが、ノックアウト部が形成された底部を有するベース部材とこのベース部材に着脱可能に取り付けられるカバー部材とにより構成されるので、カバー部材を取り外すことにより、引込線や引込口配線の接続作業、ヒューズの交換作業などが行なえ、現場での作業が容易となる。
特に、ヒューズが接続ケーブルの先端部より外側に配置されるよう該接続ケーブルがU字状に折り返される前述の構成を採用する場合には、カバー部材の脱着時に接続ケーブルの引っ掛かりを回避することが可能となり、スムーズなカバー部材の脱着が可能となる。
さらにまた、分岐ボックスのベース部材に、壁面固定用部材を設けるようにしたので、必要に応じて分岐ボックスを家屋等の壁面に固定することも可能となる。
尚、引込口配線を前記通孔に取り付けられたブッシングを介して挿通し、引込み口配線とブッシングとを収縮チューブにて固定するようにすれば、引込口配線の垂れ下がりを防ぐことが可能となる。
特に、ブッシングと引込口配線との間の隙間を収縮チューブで無くすようにすれば、分岐ボックス内への塵埃や小動物の侵入を防ぐことも可能となる。
以下、この発明の最良の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
図1及び図2において、本発明に係る低圧分岐装置を、三相4線式の配電方式を用いて需要家に電力を供給する場合に適用した構成例、即ち、低圧幹線から分岐された引込線を、電灯負荷に対して単相3線式により電力を供給し、動力負荷に対して三相3線式により電力を供給するよう2つに分岐する場合に適用した構成例が示されている。
この低圧分岐装置は、地表に立設された鋼管10と、この鋼管10の上端部に固定された分岐ボックス3とを有して構成されている。分岐ボックス3は、ベース部材11とこのベース部材11に着脱可能に取り付けられるカバー部材12とにより構成され、内部に収容空間αが形成されている。
ベース部材11は、図3にも示されるように、底部11aと、この底部11aの後端部に一体に形成されて分岐ボックス3の家屋等の壁面Wへの付設を可能にする壁面固定用部材11bと、この壁面固定部材11bと平行に底部11aに形成されたリブ11cと、底部周縁の前方から後方にかけて下方へ垂下するように設けられた垂下部11dとを有して構成されている。
ベース部材11の底部11aには、その左右の中心線β上に上方及び下方へ環状壁12a,12bを突設させることにより円筒状に形成された鋼管装着部13が一体に形成され、この鋼管装着部13に鋼管10を下方から内嵌させるようにしている。この例において鋼管装着部13は、壁面固定部材11bに近接する底部11aの後部に設けられており、環状壁12aはリブ11cに連続して形成されている。鋼管装着部13に内嵌される鋼管10は、下方へ突設した環状壁12bに周囲の複数箇所で螺合されたネジ14を締め付けることで固定されている。
また、鋼管10の取付部位である鋼管装着部13を中心としてその周囲に通孔の形成を可能にする複数のノックアウト部15(15a,15b,15c,15d)が設けられている。このノックアウト部15は、予定された大きさの通孔が形成されるよう、底部11aの所定箇所に所定の径の環状溝を形成してその部分を打ち抜きやすく肉薄にしたもので、この例においては、鋼管装着部13の周囲の4箇所(鋼管装着部13の左右の2箇所と鋼管装着部13より前方に位置する左右の2箇所の計4箇所)に形成されている。
そして、図4に示されるように、所望のノックアウト部(1箇所又は複数箇所、必要により全箇所のノックアウト部)15を打ち抜くことで通孔16を形成し、この通孔16を介して引込口配線4,5が挿入されるようになっており、鋼管10に入線されて上端から引き出された引込線2と通孔16を介して挿入された引込口配線4,5とを収容空間αにおいて直接又はヒューズ6(6a,6b),7(7a,7b,7c)を介して接続するようにしている。
具体的には、例えば、電灯負荷用の引込口配線4を挿通させる通孔16aをノックアウト部15bを打ち抜いて形成し、動力負荷用の引込口配線5を挿通させる通孔16bをノックアウト部15cを打ち抜いて形成し、それぞれの引込口配線4,5を対応する通孔16a,16bを介して挿入する。
そして、図2(a)に示されるように、接地線を除く引込線2の1つを、動力負荷用ヒューズ7aの一端に設けられた接続ケーブル17a-1に接続し、接地線を除く引込線2の残りの2つを、それぞれ動力負荷用ヒューズ7b,7cの一端に設けられた接続ケーブル17b-2,17b-3と電灯負荷用ヒューズ6b,6aの一端に設けられた接続ケーブル18a-2,18a-1に接続するようにしている。また、動力負荷用の引込口配線5を、それぞれ動力負荷用ヒューズ7a,7b,7cの他端に設けられた接続ケーブル17b-1,17a-2,17a-3に接続し、接地線を除く電灯負荷用の引込口配線4を、それぞれ電灯負荷用ヒューズ6a,6bの他端に設けられた接続ケーブル18b-1,18b-2に接続している。尚、引込線2の接地線2aと引込口配線4の接地線4aとは直接接続されている。
それぞれのヒューズ6(6a,6b),7(7a,7b,7c)は、図5に示されるように、その両端部に設けられた接続ケーブル17a(17a-1,17a-2,17a-3),17b(17b-1,17b-2,17b-3),18a(18a-1,18a-2),18b(18b-1,18b-2)の先端部より外側に配置されており、一方の接続ケーブル(17a-1,17b-2,17b-3, 18a-1,18a-2)はU字状に折り返されて引込線2に接続され、また、他方の接続ケーブル(17b-1,17a-2,17a-3, 18b-1,18b-2)はU字状に折り返されて引込口配線4又は5に接続されている。したがって、ヒューズ6(6a,6b),7(7a,7b,7c)は、ベース部材11の周縁に沿って並設されている。
ケーブル同士の接続(引込線2と接続ケーブルとの接続、接続ケーブルと引込口配線4又は5との接続、引込線2の接地線2aと引込口配線4の接地線4aとの接続)は、例えば、図6に示されるように、C型コネクタから成るかしめ金具19により導線同士を圧着又は圧縮し、その表面に図示しない絶縁材(絶縁テープ等)を被せて絶縁するようにしている。
また、通孔16a,16bを介して挿通される引込口配線4,5は、通孔16a,16bに取り付けられたブッシング20を介して挿通されるようになっている。ここで、ブッシング20は、図7に示されるように、例えば、合成樹脂により形成された基体20aを通孔16a,16bの下方から挿入し、この基体20aの上端部に形成された雄螺子部20bに固定用リング20cを上方から螺合させることにより通孔16a,16bの内周縁に係合させるもので、基体20aには、下方へ延びる常温収縮チューブ21が予め外装されている。常温収縮チューブ21は、例えば、特開2001−126786号公報に示されるようなもので、引込口配線4,5を挿通させた後に内部のインナーコア21aを除去して収縮させることで引込口配線4,5に密着し、引込口配線4,5をブッシング20に固定すると共にブッシング20と引込口配線4,5との間の隙間を閉塞するようにしている。
尚、カバー部材12は、引込線2、引込口配線4,5、ヒューズ6,7、及び接続ケーブル17a,17b,18a,18bを覆うように上方から被せられ、ベース部材11の壁面固定用部材11bとリブ11cとの間の間隙に嵌合されると共にベース部材11の垂下部11dに図示しない固定手段(ネジ等)によって着脱可能に固定される。
上述の構成において、図1に示されるように、需要家の電灯負荷用の電力量計22と動力負荷用の電力量計23とが離れて設けられ、その間に分岐ボックス3を設置するスペースが確保されている場合には、電力量計22と電力量計23との間に鋼管10を立設させ、分岐ボックス3のベース部材11に設けられた鋼管装着部13に鋼管10を挿入し、ベース部材11の背面が家屋の壁面Wと対峙するように鋼管10を環状壁12bに設けられたネジ14を締めて鋼管装着部13に固定する。
分岐ボックス3の底部11aには、鋼管装着部13の周囲に複数のノックアウト部15が設けられ、任意の箇所を打ち抜くことが可能となっているので、前述した如く、例えば、電灯負荷用の電力量計22に近いノックアウト部15bを打ち抜いて通孔16aを形成し、この通孔16aに収縮チューブ21を取り付けたブッシング20を固定した上で電灯負荷用の引込口配線4(単相3線)を挿通し、収縮チューブ21を収縮させてブッシング20に引込口配線4を固定する。また、動力負荷用の電力量計23に近いノックアウト部15cを打ち抜いて通孔16bを形成し、この通孔16bに収縮チューブ21を取り付けたブッシング20を固定した上で動力負荷用の引込口配線5(三相3線)を挿通し、収縮チューブ21を収縮させてブッシング20に引込口配線5を固定する。
しかる後に、ヒューズ6,7の両端部に設けられた接続ケーブル17a,17b,18a,18bをU字状に折り返して、ヒューズ6,7が接続ケーブルの先端部より外側に配置されるよう一方の接続ケーブルを引込線2にかしめ金具19で圧着又は圧縮接続し、また、他方の接続ケーブルを引込口配線4又は5にかしめ金具19で圧着又は圧縮する。さらに、引込線2の接地線2aと引込口配線4の接地線4aとをかしめ金具19で圧着又は圧縮して直接接続する。
そして、上述の接続作業が完了した後に、かしめ金具19で圧着又は圧接した箇所等を絶縁テープや絶縁キャップ等で絶縁処理し、しかる後にベース部材11の上方に配された引込線2や引込口配線4,5、ヒューズ6,7などを必要により結束帯25で束ね、その上でカバー部材12を被せてカバー部材12の下端部をベース部材11の垂下部11dに所定の固定手段により固定すればよい。
したがって、上述した構成によれば、分岐ボックス3を鋼管10の上端部に固定するようにしたので、分岐ボックス3を直接建物の壁面に固定する必要が無くなり、家屋の壁面に影響を与えることが無くなる。また、分岐ボックス3の底部11aに、その左右の中心線上で鋼管10を取り付け、この鋼管10の取付部位を中心としてその周囲に複数のノックアウト部15を設けたので、底部11aの上方にヒューズを収容する十分な大きさの収容空間αを確保することが可能となり、また、ケーブル同士の接続がかしめ金具による圧着又は圧縮にて行なわれるので、金属性の端子接続用バーを省略することが可能となり、軽量化を図ることが可能となる。
特に、底部11aに形成される通孔を鋼管10の取付部位を中心としてその周囲に設けられた任意のノックアウト部15を除去して形成し、その通孔を介して引込口配線4,5を挿通可能としたので、引込口配線4,5を挿通する箇所を現場の状況に合わせて選択することが可能となり、分岐ボックス3に至る引込口配線4,5の最適な引き回しを行うことが可能となる。また、引込口配線4,5を分岐ボックス3の前方へ突出させることなく家屋の壁面に沿って配線することが可能となるので、見栄えがよくなると共に、近くを通行する際に引込口配線を引っ掛ける不都合もなくなる。
さらに、上述の構成によれば、分岐ボックス3は、通孔16a,16bが形成された底部11aを有するベース部材11とこのベース部材11に着脱可能に取り付けられるカバー部材12とにより構成されるので、カバー部材12を取り外すことで引込線2や引込口配線4,5の接続作業、ヒューズの交換作業等を行なうことが可能となり、現場での作業が容易となる。
特に、前述の構成においては、ヒューズの一方に設けられた接続ケーブルをU字状に折り返して引込線に接続し、また、ヒューズの他方に設けられた接続ケーブルをU字状に折り返して引込口配線に接続し、ヒューズ6,7が接続ケーブル17a,17b,18a,18bの先端部より外側に配置されているので、ヒューズ6,7の位置をほぼ同じ高さで分岐ボックス3の外周縁に沿って配設することが可能となり、ヒューズの取り付けや交換等の作業が行ない易いものとなる。
即ち、図8に示されるように、ヒューズ6,7が、ヒューズ本体61,71と、このヒューズ本体61,71が取り付けられ、接続ケーブル17a,17b,18a,18bが接続されたヒューズホルダ62,72と、このヒューズホルダ62,72を収容するように接続ケーブル上を移動可能に設けられたヒューズケース63,73a,73bとを有して構成される場合には、それぞれの接続ケーブル17a,17b,18a,18bがU字状に折り返されているので、ヒューズ本体61,71の取り付け作業や交換作業を行なう際にヒューズケース63,73a,73bを接続ケーブルに沿って移動させやすくなり、接続ケーブル17a,17b,18a,18bを大きく動かすことなくヒューズ本体61,71の取り付けや交換作業を行うことが可能となる。また、接続ケーブル17a,17b,18a,18bが、U字状に折り返されているので、カバー部材12の脱着時に接続ケーブル17a,17b,18a,18bの引っかかりを回避することも可能となる。
尚、以上の構成は、鋼管10に分岐ボックス3を直接固定する場合であるが、このような施行が困難であり家屋の壁面Wを利用するしかないような場合には、図9に示されるように分岐ボックス3を壁面固定用部材11bを利用して家屋の壁面Wに固定するようにしていもよい。
このような構成においては、分岐ボックス3の底部11aに設けられた鋼管挿着部13を分岐ボックス3内に引込線2を導入する孔として利用し、任意のノックアウト部を打ち抜いて形成された通孔を引込口配線4,5を分岐ボックス3に挿入する孔として利用し、内部でこれら引込線2と引込口配線4,5を前述したように接続すればよい。このような構成としても、ケーブル同士の接続にはかしめ金具19が用いられ、従来用いられた金属性の端子接続用バーが使用されていないので、従来に比べて分岐ボックス3の軽量化は図られており、分岐ボックス3を壁面に付設することによる家屋への影響は少ない。
また、上述の構成においては、三相4線式の引込線を電灯負荷用の単相3線式と動力負荷用の三相3線式とに分岐させる場合について説明したが、低圧地中配線ケーブルの配電方式が単相3線式である場合に、電灯負荷用に2組の単相3線式又は単相2線式に分岐させる場合や、分岐数を3組以上にする場合などに同様の構成を採用してもよい。
さらに、上述の構成においては、左右の2箇所のノックアウト部を打ち抜いて通孔を形成した例を示したが、上記構成に限定されるものではなく、分岐ボックスが設置される箇所や周囲の障害物などを考慮して同方向の2箇所のノックアウト部を打ち抜いて通孔を形成しても、1つのノックアウト部を打ち抜いて形成された通孔を共用して電灯負荷用の引込口配線と動力負荷用の引込口配線とを挿通させるようにしてもよい。
特に、配電線と共に通信ケーブルを付設するような場合には、引込口配線を挿通させる通孔を利用して通信ケーブルを挿通させるようにしても、また、打ち抜かれていないノックアウト部を通信ケーブル専用の通孔のために利用するようにしてもよい。
また、上述の構成においては、収縮チューブとして常温収縮チューブを用いた例を示したが、熱収縮チューブを利用するようにしてもよい。
分岐ボックス3の態様においても、上述の構成例に限定されるものではなく、例えば、観音開きや右又は左開きのボックス状に形成しても、上部が開放された有底の箱体に蓋体を取り付けるものであってもよい。さらに、分岐ボックス3に開閉可能な扉部を設け、分岐ボックス内の点検作業やヒューズの交換作業を容易に行えるようにしてもよい。
さらにまた、上述の構成においては、鋼管装着部13を壁面固定用部材11bに近接した中心線β上に設け、その周囲(側方及び前方)にノックアウト部15を形成した例を示したが、中心線β上であれば、底部中程に鋼管装着部を設けて、その周囲にノックアウト部を設けても、また、底部前方に鋼管装着部を設けて、その周囲にノックアウト部を設けてもよい。
図1は本発明に係る低圧分岐装置から需要家の電力量計に配線する状態を示す構成例であり、図1(a)はその正面図、図1(b)は図1(a)のB−B線からみた側面図である。 図2は図1の低圧分岐装置に用いる分岐ボックスのベース部材の具体的構成例を示す図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は図2(a)のX−X線で切断した断面図、図2(c)は図2(a)のY−Y線から見た図である。 図3は、分岐ボックスのベース部材においてノックアウト部が打ち抜かれていない状態を示す図であり、図3(a)はその斜視図、図3(b)はその平面図である。 図4は、分岐ボックスのベース部材において一部のノックアウト部を打ち抜いた状態を示す図であり、図4(a)はその斜視図、図4(b)はその平面図である。 図5は、分岐ボックスにヒューズを収容した状態を示す図であり、図5(a)は実装状態を上方から見た図、図5(b)はヒューズのレイアウトを示す図である。 図6は、ヒューズの接続ケーブルを引込線および引込口配線に接続する接続構造を説明する図である。 図7は、ベース部材とこれに接続される部材との関係を示す斜視図である。 図8は、ヒューズ構造を示す図であり、ヒューズ本体を取り付けるヒューズホルダを収容するためのヒューズケースを接続ケーブルに沿って移動させた状態を示す図である。 図9は、本発明に係る低圧分岐装置から需要家の電力量計に配線する他の構成例を示す図である。 図10は三相4線式の引込線を電灯負荷用の単相3線と動力負荷用の三相3線とに分岐する構成例を示す図である。
1 幹線
2 引込線
3 分岐ボックス
4,5 引込口配線
6(6a,6b),7(7a,7b,7c) ヒューズ
10 鋼管
11 ベース部材
11a 底部
11b 壁面固定用部材
12 カバー部材
15(15a,15b,15c,15d) ノックアウト部
16(16a,16b) 通孔
17a(17a-1,17a-2,17a-3),17b(17b-1,17b-2,17b-3),18a(18a-1,18a-2),18b(18b-1,18b-2) 接続ケーブル
20 ブッシング
21 常温収縮チューブ
α 収容空間
β 中心線

Claims (4)

  1. 低圧地中配線ケーブルの幹線から分岐された引込線を分岐する低圧分岐装置であって、
    地表に立設された鋼管と、この鋼管の上端部に固定された分岐ボックスとを有し、前記分岐ボックスを、底部を有するベース部材と、このベース部材に着脱可能に上方から取り付けられるカバー部材とにより構成し、前記ベース部材には、その底部の後端部に壁面に固定するための壁面固定用部材が設けられ、
    前記鋼管は、その上端部が前記ベース部材の前記壁面固定用部材よりも前方側において該壁面固定用部材に近接して取り付けられると共に前記底部の左右の中心線上に取り付けられ、前記ベース部材の底部には前記鋼管の取付部位よりも外側の位置に通孔の形成を可能にする複数のノックアウト部を設け、
    任意の前記ノックアウト部を除去して形成された通孔を介して引込口配線を挿通可能とし、前記鋼管に入線された前記引込線を前記分岐ボックス内において前記引込口配線と直接又はヒューズを介して接続可能とし、
    前記引込線と前記引込口配線との間に介在される前記ヒューズは、その両端部に接続ケーブルが設けられ、一方の接続ケーブルは前記引込線に接続され、他方の接続ケーブルは前記引込口配線に接続され、それぞれの前記接続ケーブルは、前記ヒューズが該接続ケーブルの先端部よりも外側に配置されるようU字状に折り返されていることを特徴とする低圧分岐装置。
  2. 前記引込口配線は前記通孔に取り付けられたブッシングを介して挿通され、前記引込口配線と前記ブッシングとは収縮チューブにて固定されていることを特徴とする請求項1記載の低圧分岐装置。
  3. 前記ブッシングと前記引込口配線との間の隙間を前記収縮チューブにより無くしたことを特徴とする請求項2記載の低圧分岐装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の低圧分岐装置に用いられるヒューズの収容方法において、
    前記ヒューズをその両端部に設けられた接続ケーブルの先端部より外側に配置するよう前記接続ケーブルの一方をU字状に折り返して前記引込線に接続し、また、前記接続ケーブルの他方をU字状に折り返して前記引込口配線に接続したことを特徴とする低圧分岐装置のヒューズ収容方法。
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