図1は、本発明を実施するための最良の形態に係るカラー表示装置に用いられるカラー表示素子の1画素の構造を示す図である。次に、このカラー表示素子のカラー表示動作原理について説明する。なお、本発明に係るカラー表示素子は、さまざまな形態のものが適用できるが、その表示原理について、ECB効果を有する液晶を用いた液晶表示素子を一例に挙げて説明する。
本実施の形態に係る液晶表示素子(カラー表示素子)では、図1に示すように、1画素20を複数(6つ)の副画素21〜26に分割すると共に、それぞれの副画素21〜26に、赤(R)、緑(G)、青(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のカラーフィルタを配設している。
ここで、これら全ての副画素21〜26において、液晶層のリタデーションを調節することにより、黒から白に至る無彩色の輝度変化を利用することができる。例えば、白色表示時には符号R,G,B,C,M,Yで示すカラーフィルタの色が表示されることになるので、全ての液晶層を白色表示にすると、副画素21〜23ではRGBの加法混色による白色表示となり、副画素24〜26ではYMCの加法混色による白色表示となり、その結果、画素全体としても白色表示が得られる。
一般に、RGBの加法混色のみによる白色表示は、カラーフィルタを用いない白色表示と比較して光利用効率は三分の一に減少するが、YMCの加法混色による白色表示はRGBの加法混色による白色表示に対して2倍の光利用効率を得ることができる。したがって本構成の場合には、全体としてRGBの加法混色による白色表示に対して1.5倍の光利用効率を得ることが可能である。
ここで、このようなカラーフィルタを用いてカラー表示を行う方式は、通常のマイクロカラーフィルタ方式と同じであるが、本実施の形態に係る液晶表示素子では、液晶層のリタデーションを変化させて、有彩色を表示する。
例えば、マゼンタカラーフィルタが配設された副画素25では、リタデーションが小さい領域では前述のように黒から白色となり、その場合カラーフィルタの色が観測されるので、黒から暗いマゼンタを経て明るいマゼンタにいたるマゼンタの連続階調表示が可能となる。また、リタデーションが大きい領域ではECB効果に基づく干渉色が表示されるので、赤からマゼンタを経て青に至る、いずれかの色を表示させることができる。そして、マゼンタカラーフィルタは、これら赤・マゼンタ・青の全てを表示することができるので、マゼンタカラーフィルタを通した後も赤・マゼンタ・青の表示が観測される。
一方、従来のマイクロカラーフィルタ方式の原理に基づいて純度の高い赤色を表示させようとした場合、副画素21を点灯させるしかなかったのに対し、本実施の形態の液晶表示素子では、副画素25について、ECB効果を利用した赤色表示と併用することによって明るく純度の高い赤色表示を行うことが可能となる。
さらに、同様の議論によって、副画素24についてはECB効果を利用することによって赤・黄・緑色の表示を行うことが可能となる。つまり、イエローカラーフィルタが配設された副画素24における赤色表示も組み合わせることによって、更に明るい赤色を表示することが可能となる。
なお、緑色および青色についても同様の原理に基づいて明るい原色表示が可能となる。つまり本実施の形態によると、従来のマイクロカラーフィルタ方式に対しておよそ1.5倍明るい白色表示と、明るい三原色表示とを両立させることが可能となる。
次に、このような表示原理を用いた表示可能色を具体的に述べる。
本実施の形態では、不図示の電源の制御が可能な変調手段による電圧印加によって液晶層のリタデーションを変化させて有彩色を表示する第1の副画素(群)24〜26と、カラーフィルタを有し、電圧によって明度変化範囲でリタデーションを変化させてカラーフィルタの色を表示する第2の副画素(群)21〜23とで単位画素が構成される。なお、第1の副画素(群)24〜26にはRGBと補色関係にあるYMCのカラーフィルタが、また第2の副画素(群)21〜23にはRGBのカラーフィルタがそれぞれ配設されている。
ここで、表示可能色を、図2に示すRGB色立体を用いて説明する。なお、図2に示すように、RGB色立体の各辺はR軸、G軸、B軸からなる独立ベクトルに対応している。ここで、RGBマイクロカラーフィルタ方式では、1画素を3つの副画素に分割し、これらの独立ベクトルの大きさを個別に制御することでRGB色立体内の全ての点を表現することが可能となっている。
一方、本実施の形態の液晶表示素子では、既存の液晶表示素子に一般に用いられているRGBカラーフィルタのほか、YMCカラーフィルタも利用している。この場合、YMCカラーフィルタを用いたときのRGB色立体における基本ベクトルは図3のようになり、表示可能な領域は図3のYMCの基本ベクトルからなる6面体の内側となる。
したがって、RGBYMCカラーフィルタを従来のようなモノクロ変調領域のみを用いるマイクロカラーフィルタ方式を利用した液晶表示素子として用いる場合には、表示可能な点は、図2内の任意の点から図3のベクトルを加算した任意の点(図示せず)ということができる。これによると、原色軸はRGBカラーフィルタによって得られる表示色が最大となるため、上述の通り明るく色純度の高い原色表示が得られないことが理解できる。
一方、本発明の液晶表示素子では、上述した通り、ECB効果に基づく着色現象を利用することによって、補色系カラーフィルタ副画素においても原色表示が出来ることが特徴である。これを色立体上で表現すると、例えば黄色(Y)副画素では、黄色の連続階調のみならず赤色と緑色が表示できることになるので、色立体上でとりうる点は、図4の直線Yおよび点Ry,点Gyとなる。これにより、本液晶表示素子では、図5のように、これら点Ry,点Gyを起点としたRGB立方体をえがく領域を表現することが可能となる。
同様の議論の繰り返しによって、色立体中の任意の点を埋めることが可能となる。この点について以下に詳述する。
今、本液晶表示素子によって得られる白色表示の最大輝度を1とすると、この1という明るさは、例えば青の波長域では、シアンの青成分、マゼンタの青成分、青カラーフィルタの合計によって得られる。同様の考え方を緑、赤に当てはめることが出来る。
つまり、RGBカラーフィルタ画素によって得られる色立体は、1辺の長さが最大輝度の1/3であって、それぞれの辺は連続的な値をとることができるような立体を表している。RGBカラーフィルタ画素によって実現できる色立体上の座標について示す。
次いで、YMCカラーフィルタについて考える。
上述したように黄色(Y)副画素では黄色、赤、緑を表示することが可能である。ここで表示される明るさは、同様の議論によって1/3となることがわかる。そこで黄色(Y)副画素において得られる表示色について、それぞれの得られる明るさを(R,G,B)座標を用いて、黄色(1/3,1/3,0)、緑(0,1/3,0)、赤(1/3,0,0)とする。なお、黄色については0〜1/3の任意の値をとることができるが、ここでは簡単のため最大値のみを考える。
同様に、マゼンタ(M)副画素ではマゼンタ(1/3,0,1/3)、青(1/3,0,0)、赤(1/3,0,0)が得られ、シアン(C)副画素ではシアン(1/3,1/3,0)、青(1/3,0,0)、緑(0,1/3,0)が得られる。またYMCのうち複数の画素を同時に点灯させることによって、複数色の加法混色された表示色を得ることができる。
上述のようにRGBカラーフィルタ画素によって、1辺が1/3の立方体中の任意の点については全て表すことが可能である。したがって原点(0,0,0)および(2/3,2/3,2/3)を頂点とする立方体の中で、図6に示すような1/3間隔の格子点がYMCカラーフィルタ画素によって全て表現できれば、加法混色によって1辺が1の色立体の全てを埋め尽くすことが可能となる。
そこでYMCカラーフィルタによって、上記格子点を得るための組み合わせの一例を表2及び表3に示す。
上記のような組み合わせを用い、YMCカラーフィルタの表示色を適宜調整することによって、全ての格子点を実現することが可能となる。なお上記はあくまでも一例であって、例えば(1/3,0,1/3)を実現するためにマゼンタ(M)副画素にてマゼンタを表示する方法のほかに、黄色(Y)副画素にて赤色、シアン(C)副画素にて青色表示させる方法も考えられるので、適宜状況に応じて最適な組み合わせを選択すればよい。
また上記例ではYMC画素による表示色として、階調色を用いずに格子点上の点を用いて説明したが、状況に応じてYMC画素の中間調色を用いても良い。
以上述べた組み合わせによって、完全に色立体中の任意の点を表現することができるので、フルカラーを実現することが可能となる。
また、例えば黄色カラーフィルタにおける表示色について、黄色(Y)副画素にて赤色表示させたい場合には、液晶層のリタデーション量をカラーフィルタを用いなくても赤色表示させるような同系色になるよう電圧を制御することで可能であるが、例えば液晶層としてマゼンタ色などを表示するなど、系統色の異なる表示色に駆動電圧を制御しても良い。この場合、液晶層の表示色と黄色のカラーフィルタとの減法混色によって赤色を得ることができる。
ところで、上記構成をとる場合、6色のカラーフィルタを基板上に形成することが必要となり、プロセスが困難となる。そこで下記の構成を採用することによって、明るい多色表示を得ることが可能となる。
(1)補色系カラーフィルタのいずれか、もしくは全て省略する構成
(2)RCGMの4つのカラーフィルタを用いる構成
(3)YMCのカラーフィルタを積層させる構成
ここで、(1)の構成の場合、YMCカラーフィルタ画素については中間色を用いないでもフルカラー表示できる、つまり補色の中間調を表示する必要がないことから、これら補色系カラーフィルタを配設せず、ECB効果に基づく着色現象のみによっても同様の表示色を得ることができる。これによってカラーフィルタプロセス負荷の低減しつつ、フルカラー表示を実現することが可能となる。また、YMCのうちいずれか1つもしくは2つを用いてもよい。これによっても、カラーフィルタプロセス負荷は低減し、カラーフィルタの効果によって色純度の高いフルカラー表示を実現することが可能となる。
(2)の構成は、一つの画素を4つの副画素に分割する方法であり、色立体中でのとりうる表示色の考え方は上述したものと同様に考えればよい。この構成によると、BとYのカラーフィルタが省略されているので青色の連続階調表示や上述の黄色画素による表示が出来ないことになってしまうので、フルカラー表示は不可能である。しかし人間の目の視感度特性は青色に対しては鈍感という特性を有しているので、こうした構成でも、ディザなどの画像処理を施すことによって自然な表示が出来るようになる。特に高精細表示素子においては有効である。これによってカラーフィルタプロセスを4回で済ませることが可能となる。
(3)の構成について、図7を用いて説明する。一つの原色は二つの補色を積層して減法混色することによって得ることができる。そして、図7はRGBを得るためのYMCの積層構成を示している。これを利用すると、6つのカラーフィルタを三種類のカラーフィルタ材料のみで実現することができる。このとき、図8のような構成とし、カラーフィルタをY→M→Cの順に形成することによって、プロセスも従来どおり3回で済むことになり、コストアップにはならない。もちろんこの考え方に基づいて上記(2)の4つの副画素のカラーフィルタを形成しても良い。
以上述べたように、本実施の形態に係る液晶表示素子は、明るい白色表示と明るい原色表示を低コストで実現することが可能となる。その結果、従来のRGBカラーフィルタのみによって三原色を表示する方式と比べて光利用効率の高い素子が得られる。したがって、本液晶表示素子を、反射型液晶表示素子として、ペーパーライクディスプレイまたは電子ペーパーに用いることが出来る。
一方、本構成の液晶表示素子は、液晶層の透過率が高いので、従来方式のものと同一の輝度を得るために必要なバックライト消費電力が少なくて済み、低消費電力化という観点から透過型液晶表示素子としても好適に用いられる。
さらに、液晶を利用した高速応答性があるので、本液晶表示素子は動画表示にも用いることが出来る。従来、テレビ用途の液晶表示素子に関して、鮮明な動画特性を実現するために、1フレーム期間内でバックライトの消灯期間を設ける『擬似インパルス駆動』と称されている駆動方法が特開2001−272956などに提案されているが、消灯期間を設ける分だけの輝度低下が生じてしまうのが課題となっている。しかし、こうした用途に対しても本液晶表示素子のように応答速度が速く、かつ透過率の高い液晶表示素子を適用することにより、上記の課題を解決することが出来る。また、高い光利用効率が求められる投射型表示素子にも好適に用いられる。
次に、ECB効果による着色現象を原色以外のリタデーション値においても利用する方法について説明する。
例えば、図5では、黄色副画素ではECB効果による着色現象によって緑と赤を表示させる例を説明したが、ECB効果による着色現象では図10に示すように各表示色の間において、連続的に色調を変化させることができている。つまり、上記説明で述べた原色表示以外にも使用可能な有彩色は多く存在しており、こうした表示色を用いることで上記説明におけるフルカラー表示のバリエーションを増やすことが可能となる。
以上述べた手法によって、高い光利用効率を維持したまま、フルカラーに相当するような非常に多くの色を表示すること(多色表示)が可能となる。
また、本発明は液晶層の液晶分子が電圧無印加時には基板面に略垂直に配向し、電圧印加時には略垂直の配向から傾斜してリタデーションを変化させるVAモードの他、以下に述べるいろいろな液晶表示モードに適用できる。
OCB(Opically Compensated Bend)モードは、液晶層の液晶分子が電圧印加によってベンド配向と略垂直配向との間にて配向状態を変化させることでリタデーションを変化させるので、本発明を適用できることはVAモードと同様である。
本発明ではリタデーション変化による表示色を利用するために、視野角による色調変化を考慮しなければならない。しかし昨今のLCD開発の進歩は著しく、RGBカラーフィルタ方式を用いたカラー液晶ディスプレイでは視野角依存性の問題はほとんど解決しているといっても過言ではない。例えばOCBモードではベンド配向による自己補償効果によって、視野角の変化に伴うリタデーション変化を抑制することが報告されている。
また、STNモードも位相差フィルム開発の進展によって視野角特性は大きく改善されている。これらOCBやSTNモードもリタデーション量を適宜設定することによってECB効果に基づく着色現象を得ることができるため、本発明の構成を適用することが可能である。特にOCBモードでは、先に述べた応答速度に関して大幅に改善することが出来るために、高速性が必要となる用途では好適に用いられる。
一方、MVA(Multidomain Virtical Alignment)モードは非常に良好な視野角特性を示すモードとして既に商品化され、広く使用されている。その他、PVA(Patterned Virtical Alignment)モードと称されるモードも広く使用されている。
これらの垂直配向モードは、表面に凹凸をつけたり(MVA)、電極形状を工夫したり(PVA)して電圧印加時の液晶分子傾斜方向を、少なくとも光軸の異なる2つのダイレクタ方向に傾斜するように制御することで、広い視野角特性を実現している。そして、これらは電圧によってリタデーション量を変化させるモードであるために、本発明の構成を適用することが可能である。こうすることで高い透過率(もしくは反射率)、広い視野角、広い色空間を同時に満足する液晶表示素子を実現することが可能となる。
また上記と同様の電圧無印加時に垂直配向状態をとる配向モードとしてCPA(Continuous Pinwheel Alignment)モードが提案されている。(シャープ技報:第80号・2001年8月 p.11参照)
このモードも上記PVA方式と同様に、電極形状を工夫することによって電圧印加時の液晶分子の傾斜方向を制御する方式である。この方式では電圧印加時にはサブピクセル中心部から放射状に液晶分子が傾斜する配向状態となることで広視野角化を実現している。そして、このCPAモードについても電圧によってリタデーション量を変化させるモードであるために、本発明の構成を適用することが可能である。
なお、CPAモードにおいて、液晶の透過率を高めるためにカイラル材を添加した液晶材料を用いたリバースTN方式を用いることによって、複屈折性と旋光性を併用することが出来るために光利用効率が高くなる(上記文献参照)。このカイラル材添加についても、本発明の構成にて適用することが可能である。
ただし、本発明の構成において、反射型液晶であってかつ円偏光板を使用する場合にはCPAモードにおいてカイラル材を添加しなくとも良好な反射率を得ることが可能である。これについて以下に説明する。
円偏光板、液晶層、反射板という3つの層が積層された構成を考えると、まず液晶層に複屈折がない場合、例えば液晶層が垂直配向状態になっている場合には、外部からの入射光は、まず円偏光板を通過し、偏光状態に変調を受けないまま反射し、その反射光は再び円偏光板を通過して外界に向かって光は進行する。ここで、光は円偏光板を2回通過することになるために、特に円偏光条件を満たす波長領域では光が外界に出てくることは無い。つまり電圧無印加状態において垂直配向であるCPAモードは上記構成においてノーマリブラック構成である。
ここで、電圧を印加した場合には放射状に液晶分子が傾斜することから、方位角方向に対して全ての方向に傾斜することになる。前記文献のように透過型であって液晶層に直線偏光が入射される場合には、液晶の分子軸方向と偏光板の偏光方向とが一致するときに光利用効率の低下につながるが、液晶層に対して円偏光が入射されるような構成の場合には、液晶が傾斜する分子軸方向によらずに等しく偏光が変調される。
以上の原理によって、本発明の構成において円偏光板を用いた反射型表示モードであってCPAモードを適用する場合には、上記文献に記載のようにカイラル材を添加してもよいし、必ずしもカイラル材を添加しなくてもよい。
ところで、上記従来の技術の中で説明したが、半透過型液晶表示素子に使用される断面構成は透過部と反射部の光利用効率を両方とも最大化するために、透過部のセル厚を反射部のセル厚の2倍になるように層間絶縁膜を設ける構成となっており、これは公知となっている。そして、本液晶表示素子においても上記公知の構成を採用することは可能である。
しかし一方、本液晶表示素子において、上記構成を実現しようとした場合、複屈折による着色を利用した表示原理に基づいているために、ツイステッドネマティック(TN)型液晶素子など、それを用いない液晶表示素子よりも厚いセル厚が必要となる。つまり前記層間絶縁膜の厚みが通常の半透過型液晶表示素子と比べて大きい構成が必要とされる。
そこで、反射モードの部分には既述した表示モード、透過モードの部分ではRGBのカラーフィルタを用い、液晶層は黒から白にかけて連続的に透過率を変化させるという、一般に用いられているマイクロカラーフィルタ方式を採用する。つまり反射モードはECB効果による着色を利用したフルカラーモード、透過モードは赤・緑・青ともにカラーフィルタによるカラー表示とすることで、光利用効率の高い半透過型液晶を実現することが可能となる。本液晶表示素子はもともとRGBの原色を透過するカラーフィルタを有しているので、半透過型としてこのような構成を採用しても大きなコストアップにつながることはない。
なお、本実施の形態の液晶表示素子の駆動には、直接駆動方式、単純マトリクス方式、アクティブマトリクス方式のいずれの方式も用いることが出来る。また用いる基板はガラスでもよいしプラスチックでもよい。透過型の場合には一対の基板両方とも光透過性のものが必要であるが、反射型の場合には反射層の支持基板として光を透過しないものを用いてもよい。また使用する基板として可撓性を有するものを用いても良い。
また反射型にする場合には、反射板として鏡面反射板を用い液晶層の外側に散乱板を設けるような、いわゆる前方散乱板方式や、反射面の形状を工夫して指向性を設けたいわゆる指向性反射板など、各種反射板を用いることが出来る。また本実施の形態では一例として垂直配向モードを例示したが、他にも平行配向モード、HAN型モード、OCBモードなど電圧印加によるリタデーション変化を利用するモードであればいずれのモードにも適用することが可能である。
また、本実施の形態では主として電圧無印加時に黒表示となるようなノーマリブラックの構成を例示して説明した。この構成は円偏光板および電圧無印加時に基板面内方向に複屈折を持たない表示層を積層することによって実現出来るのであるが、この構成において円偏光板を通常の直線偏光板などに置き換えることによって電圧無印加時に白色表示となるようなノーマリホワイトの構成にしてもよい。
あるいはこれらいずれかの構成に一軸性位相差板などを積層することによって、電圧無印加時に有彩色表示させるような構成にしてもよい。この場合は電圧を印加することによって積層した一軸性位相差板のリタデーション量をキャンセルする方向に液晶分子配列を変形させることで黒や白の表示を得ることができる。
また本発明は、ひとつの画素で明度変調と色相変調が実現可能な素子であれば適用可能であるため、STNモードなどのねじれ配向状態となっている液晶モードやゲストホストモード、選択反射モードなど、様々なモードを適用することが可能である。
ところで、これまでの説明においては、液晶のECB効果を中心に詳述してきた。しかしながら本発明の基本となる考え方は、一部の画素ではモノクロ表示モードにカラーフィルタを適用したカラー表示を行うとともに、他の画素では色相変化しうる表示モードを利用する点にある。したがって、上述のECB効果を用いた構成に限らず、上記のような表示が可能であれば、あらゆるカラー表示装置に適用することが可能となる。
その例として、
(1)機械的な変調によって干渉層の空隙距離を変化させるカラー表示装置、
(2)着色粒子を移動させることによって表示・非表示を切り替えるカラー表示装置、があり、以下、このようなカラー表示装置について説明する。
(1)は例えばSID97Digest p.71に記載のような構成であって、基板との空隙の距離を変化させることによって干渉色の表示・非表示の切り替えを行っている。ここでは変形可能なアルミ薄膜が外部からの電圧制御によって基板に接近したり離れたりすることでオン・オフの切り替えを行っている。また、このときの発色原理は干渉を利用したものであるために、上述した液晶のECBを利用した干渉による発色とまったく同じ議論が成立する。
したがって、このようなカラー表示素子である空隙距離変調素子においても、電圧などの外部制御可能な変調手段によって光学的性質を変化させることができ、かつ素子がとりうる最大明度と最小明度との間を変調手段によって明度変化させることができる変調領域と、素子がとりうる複数の色相を変調手段によって変化させることができる変調領域とを有していることになる。
そして、このような素子に対してその単位画素を複数の副画素に分割し、そのうち複数の副画素の少なくとも一つは、色相変化に基づく変調領域を用いたカラー表示を行う事ができる第1の副画素(群)と、カラーフィルタ層を有した第2の副画素(群)からなることによって、既述したカラー液晶素子と全く同様にして、高い光利用効率及び多色表示が可能なカラー表示素子が実現可能となる。
(2)は例えば、特開平11−202804号公報などに記載の粒子移動型表示素子が好適に利用される。この例は電気泳動特性を利用して、コレクト電極及び表示電極間での電圧印加によって透明な絶縁性液体中で着色帯電泳動粒子を基板面と水平に移動させることによって表示・非表示の切り替えを行うものである。
またこれを応用し、2種類のカラー粒子を用いる構成としてもよい。つまり、観察者から見て互いにほぼ重畳する位置に配置される2つの表示電極と、2つのコレクト電極と、互いに異なる帯電極性および呈色を示し、少なくとも何れか一方が透光性である2種類の粒子とを備え、2種類の帯電粒子が全てコレクト電極に集合した状態、又は全て表示電極に配置された状態、又は何れか1方の粒子が表示電極に配置され他方の粒子がコレクト電極に集合した状態、又はこれらの中間状態、を形成可能な駆動手段とを含む単位セルとなるような構成にすることもできる。
ここで、単位セル中における2種類の泳動粒子色の組み合わせが例えば青と赤である構成を考える。この場合において白表示とする場合には、2種類とも粒子全てがコレクト電極に集合した状態となるよう駆動し、表示電極が全て露出した状態とすればよい。また赤もしくは青の単色表示の場合には、単位セルにおいて所望の単色粒子のみを表示電極に配置することによって単色を表示すればよい。
例えば青表示の場合は、青粒子を表示電極に配置し光吸収層を形成し、赤の粒子をコレクタ電極に集めればよい。一方黒表示の場合は、全ての粒子を表示電極に配置し光吸収層を形成することによって、第1電極、第2電極に形成された赤粒子、青粒子のそれぞれの吸収層を通過するため減法混色によって黒色となる。中間調表示の場合は、黒表示時の一部分の粒子だけを表示電極に配置すればよい。これによって、単位セルは赤・青の有彩色間での色相の変調、および白・黒・中間調の表示による明度の変調を行うことができる。
このように、変調手段によって明度を変化させる明度変化範囲と、変調手段によって色相を変化させる色相変化範囲とを有する媒体を用いる一方、単位画素を副画素に分割すると共に、画素を色相変化に基づく変調領域を用いてカラー表示を行う第1の副画素(群)と、カラーフィルタ層が配設された第2の副画素(群)とによって構成することにより、既述したカラー液晶素子と全く同様にして、高い光利用効率及び多色表示が可能なカラー表示素子が実現可能となる。
(実施例)
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
なお、本実施例においては、共通の素子構造として下記のものを用いる。
液晶層は、基本的な構成は、垂直配向処理を施した2枚のガラス基板の間に液晶材料として誘電率異方性Δεが負である液晶材料(メルク社製、型名MLC−6608)を充填して形成する。なお、このとき実施例に応じてリタデーションが最適となるようにセル厚を変化させるものとする。
用いる基板構造として、一方の基板にTFTが配置されたアクティブマトリクス基板を用い、もう一方の基板にはカラーフィルタが配置された基板を用いている。このときの画素形状やカラーフィルタ構成は実施例に応じて変化させるものとする。なお、カラーフィルタの厚みは特に指定のない限りは1ミクロンとする。
また、TFT側の画素電極にはアルミ電極を用い、反射型の構成とする。なおこのとき実施例に応じてTFT側の画素電極にITO電極を用いた透過型の画素を併用した半透過型の構成も用意する。
また上基板(カラーフィルタ基板)と偏光板との間には位相補償板として広帯域λ/4板(可視光領域で1/4波長条件をほぼ満たすことができる位相補償板)が配置されている。これにより反射型での表示の際に電圧無印加時には暗状態となり、電圧印加時には明状態となるようなノーマリブラック構成となる。
(比較例)
なお、比較のため対角12インチ、画素数600×800のECB型アクティブマトリクス液晶表示パネル(液晶表示素子)を用いる。この画素ピッチは約300μmであり、各画素は3分割され、それぞれに赤、緑、青のカラーフィルタが配置されている。また、液晶層は、±5V電圧印加時の反射分光特性の中心波長が550nm及びリタデーション量が138nmとなるよう、厚さを3ミクロンに調整される。
このときのセル構造は、図9に示すように、透明電極4,6の表面に垂直配向膜(不図示)を塗布し、電圧印加時の液晶分子の傾斜方向が偏光板1の吸収軸に対して45度となるように、垂直配向膜には基板法線から1度程度のプレチルト角をその方向に付与させる。上下の基板3,7を張り合わせてセルを作り、液晶材料として誘電率異方性Δεが負である液晶材料(メルク社製、型名MLC−6608)を注入すると、電圧を印加しないときは液晶5が基板表面に垂直に配向する。なお、同図において、2は位相補償フィルムである。
このような液晶表示素子について、電圧を様々に変化させることによって画像を表示すると、RGBそれぞれの副画素について印加電圧に応じた連続階調色が得られ、それによってフルカラー表示可能となる。しかし、このような構成の場合、反射率は、16%と低いものとなる。
(実施例1)
本実施例1においては、アクティブマトリクス基板として対角12インチ、画素数600×800のアクティブマトリクス基板を用いる。また、各画素は6つの副画素に分割され、カラーフィルタは赤(R)、緑(G)、青(B)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の6種類を用い、6回のフォトリソグラフィープロセスを繰り返すことによって6色のカラーフィルタが形成される。
液晶層の厚みは10ミクロンに調整することによって、リタデーションによって三原色表示が出来るようになる。例えば、2.82Vにて赤表示、3.15Vにて青表示、6.2Vにて緑表示である。このような液晶表示素子について、電圧を変化させることによって画像を表示させることができる。0Vから2.5Vまでは連続的に明度変調できる領域である。
全ての画素に対して2.5Vを印加すると、白色表示が得られる。このときの反射率は約25%となり、比較例に対して優位であることがわかる。また2.5V以下の電圧を全ての画素に対して印加することによって、モノクロの連続階調表示を得ることができる。
次いで赤色の表示状態について述べる。赤色はR画素に印加する電圧値を0Vから2.5Vまで変化させることによって連続的な階調量を得ることができる。また、Y画素あるいはM画素に対して2.82Vを印加することによっても赤色表示を得ることができる。あるいはY画素に3.0Vを印加して、液晶層としてはマゼンタ表示になるよう設定しても黄色カラーフィルタとの減法混色効果によって赤色表示を得ることもできる。
ここで、既述したように、YおよびM画素ともに赤表示として、R画素を最大輝度と設定することによって、赤色の最大輝度状態を得ることができる。最大輝度を1としたとき、0〜1/3までの輝度変調は、Y/Mともに黒表示として、R画素を任意に変調させる。また、1/3〜2/3の範囲の輝度変調はYもしくはM画素を赤表示とし、R画素を任意に変調させる。さらに、2/3〜1の範囲の輝度変調はY/M画素をともに赤表示とし、R画素を任意に変調させる。これによって赤色の連続階調色を得ることができる。なお他の表示色についても同様にして表示させることによって、本素子を用いて連続階調表示を得ることが可能となる。
(実施例2)
本実施例においては、アクティブマトリクス基板として、上記比較例と同じ対角12インチ、画素数600×800のアクティブマトリクス基板を用いる。また、各画素は6つの副画素に分割され、表示画素として赤表示用画素をPR、同じく緑、青、イエロー、マゼンタ、シアン画素をそれぞれPG、PB、PY、PM、PC、とする。ここで、実施例1では、それぞれ異なるカラーフィルタ材料を用いて合計6回のフォトプロセスによってカラーフィルタを得たが、本実施例では、このカラーフィルタを、以下のようにYMCの三種類のプロセスのみによって構成する。
まず、PR画素、PY画素、PG画素に対してイエローカラーフィルタを形成する。次に、PM画素、PB画素、PR画素に対してマゼンタカラーフィルタを形成する。ここで、PR画素上には既にイエローカラーフィルタが形成されているので、YとMが積層するようにカラーフィルタが形成される。次に、PG画素、PB画素、PC画素に対してシアンカラーフィルタを形成する。なお、PG画素、PB画素、にはそれぞれイエローカラーフィルタとマゼンタカラーフィルタとが形成されているので、それらに対して積層するようにシアンカラーフィルタを形成する。最後に必要に応じて平坦化処理を施す。
こうすることで、PR画素、PG画素、PB画素、PY画素、PM画素、PC画素にそれぞれ赤・緑・青・イエロー・マゼンタ・シアン色を透過させるカラーフィルタを形成させることが可能となる。実際の駆動は実施例1と同様に行うことによって、フルカラー表示を行うことが可能となる。
(実施例3)
本実施例においては、アクティブマトリクス基板として対角12インチ、画素数600×800のアクティブマトリクス基板を用いる。また、各画素は4つの副画素に分割され、カラーフィルタは赤(R)、緑(G)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4種類用い、4回のフォトリソグラフィープロセスを繰り返すことによって4色のカラーフィルタを形成する。
また、液晶層の厚みを10ミクロンに調整することによって、リタデーションによって三原色表示が出来るようになる。例えば、2.82Vにて赤表示、3.15Vにて青表示、6.2Vにて緑表示である。このような液晶表示素子について、電圧を変化させることによって画像を表示させることができる。なお、0Vから2.5Vまでは連続的に明度変調できる領域である。
例えば、赤の連続階調は、最大輝度を1としたとき、0〜1/2まではG、M、C副画素を黒表示とし、R画素での連続階調表示を行う。また、1/2から1まではM副画素にて赤色表示することで1/2の輝度を得て、R副画素での連続階調表示を行う。なお、このときG、C副画素は黒表示とする。
また、緑の連続階調は、最大輝度を1としたとき、0〜1/2まではR、M、C副画素を黒表示とし、G画素での連続階調表示を行う。また、1/2から1まではC副画素にて緑色を表示することで1/2の輝度を得て、G副画素での連続階調表示を行う。なお、このときR、C副画素は黒表示とする。
また、青の階調表示は、最大輝度を1としたとき、1/2はMまたはC副画素を青表示とすることで得られる。他の画素は黒である。最大輝度1はMおよびC画素を同時に青表示とすることで得られる。なお、このときR他の画素は黒である。これによって青表示は3階調を得ることができる。
なお、本実施例において、これらによってフルカラー表示は出来ず、特に青の階調表示能は不足しているが、人の視感度特性から、視認上でフルカラーに近い表示状態を得ることが可能となる。
(実施例4)
前記実施例3に用いる基板を12インチから3.5インチの基板へと変更し、同様の表示を行うと、視認上粒状感はほとんど観測されず、ほぼフルカラーといってよい表示を得ることが可能となる。
(実施例5)
前記実施例1に用いる画素のうち、RGBの副画素をそれぞれ2分割し、一方を実施例1と同様の反射基板、残る一方をITO電極を用いることによって、半透過型液晶表示素子が得られる。
本実施例の構成における反射部のセル厚は、実施例1と同様に10ミクロンである。一方、透過モードにおいて必要なリタデーション量を実現できるセル厚は5ミクロンである。つまり、本実施例では通常の半透過型表示素子と異なり、反射モードのほうが厚く設定される。
反射部は実施例1と同様に駆動することによってフルカラー表示可能である。一方透過部に関して、偏光板をクロスニコルに設定しておけば電圧無印加時に黒表示されるノーマリブラックモードとなる。したがって、透過部・反射部ともに10ミクロンに設定しても良い。もちろんマルチギャップ構成としても良い。いずれの場合でも、透過部反射部ともに高いコントラストを確保した上でフルカラー表示を行うことが可能となる。
(実施例6)
実施例5に用いるカラーフィルタについて、透過部のRGBカラーフィルタの厚みを1ミクロンから3ミクロンへと変更し、液晶素子を作製すると、透過部の3原色の色純度を高めることが可能となる。このとき平坦化度を適宜調整することによって、透過部のセル厚を薄めに設定することが可能となる。つまり、透過部のカラーフィルタを厚くすることによって、高い色純度と薄いセル厚を同時に実現できるので、透過部の応答速度向上に寄与することが可能となる。
(実施例7)
実施例1に用いるカラーフィルタについて、3つの副画素にRGBカラーフィルタを配設し、他の3副画素のうちのいずれか、もしくは全てカラーフィルタを用いない構成とすることによっても明るいカラー表示を得ることができる。
例えば、実施例1におけるMカラーフィルタを除き、RGBYCのカラーフィルタを有する5つの副画素と、カラーフィルタを有さない1つの副画素とからなる素子を用いる場合を考える。
この場合、カラーフィルタを有さない副画素でもECB効果による着色現象によって、0Vにて黒表示、2.82Vにて赤表示、3.0Vにてマゼンタ表示、3.15Vにて青表示を得ることが可能となる。つまり、カラーフィルタを有する副画素と同様の表示状態を得ることができるので、本構成においてもフルカラー表示は可能となる。
同様の考え方で、YやCのカラーフィルタがなくてもECB効果による着色現象によってカラー表示が出来るので、実施例1からカラーフィルタを減らすことが可能となる。
これにより、カラーフィルタ形成プロセスの負荷が軽減されるとともに、明るい表示を得ることが可能となる。
(実施例8)
本実施例においては、各画素は6つの副画素に分割され、それぞれの画素は赤・緑・青・マゼンタ色のカラーフィルタが設けられている。またマゼンタ画素は3つに分割されている。赤表示用画素をPR、同じく緑、青、マゼンタ画素をそれぞれPG、PB、PM1、PM2、PM3とする。それぞれの画素の面積比は、PR:PG:PB:PM1:PM2:PM3=1:8:1:1:2:4である。本実施例では、このカラーフィルタを、以下のようにYMCの三種類のプロセスのみによって構成する。
まず、PB、PG画素に対してシアンカラーフィルタを形成する。次に、PM画素、PB画素、PR画素に対してマゼンタカラーフィルタを形成する。ここで、PB画素上には既にシアンカラーフィルタが形成されているので、CとMが積層するようにカラーフィルタが形成される。次に、PG画素、PR画素に対してイエローカラーフィルタを形成する。なお、PG画素、PR画素、にはそれぞれシアンカラーフィルタとマゼンタカラーフィルタとが形成されているので、それらに対して積層するようにイエローカラーフィルタを形成する。最後に必要に応じて平坦化処理を施す。
こうすることで、3回のフォトプロセスによってPR画素、PG画素、PB画素、PM画素にそれぞれ赤・緑・青・マゼンタ色を透過させるカラーフィルタを形成させることが可能となる。実際の駆動は、WO2004/042687に記載の方法を用いて駆動を行うことによって、フルカラー表示を行うことが可能となる。
また前記平坦化処理を施すことによって配向状態の均一化にとって有利な、平坦な基板構成とすることができる。
あるいは平坦化処理を施さない場合には、マゼンタ画素はカラーフィルタ層が1層しかなく、他の赤・緑・青画素は2層からなるために、マゼンタ画素のカラーフィルタだけが薄い膜厚となる。これを用いた液晶素子では、液晶層の厚さはマゼンタが最も厚くなる。こうすることで、リタデーション量が最も多く必要なマゼンタ画素のセル厚を厚く設定することが可能となる。また、わずかにカラーフィルタごとに段差を残した平坦化処理を行うことによっても、同様の効果を得ることができる。
(実施例9)
本実施例においては、各画素は9つの副画素に分割され、それぞれの画素は赤・緑・青・マゼンタ色のカラーフィルタが設けられている。またマゼンタ画素は3つに分割されている。赤・緑・青はそれぞれ二つずつに分割されており、一方は透過型表示ができるように上下の電極両方ともITOが用いられ、残る一方は反射型表示ができるように一方の電極は反射電極が用いられている。
このときマゼンタ画素をPM1、PM2、PM3とする。また、透過型表示画素における赤表示用画素をPR_T、同じく緑、青、をそれぞれPG_T、PB_Tとし、反射型表示画素における赤表示用画素をPR_R、同じく緑、青、をそれぞれPG_R、PB_Rとする。このときそれぞれの画素の面積比は、PR_T:PG_T:PB_T:PR_R:PG_R:PB_R:PM1:PM2:PM3=1:1:1:1:8:1:1:2:4である。ここで、4種類のカラー表示を行うために、それぞれ異なるカラーフィルタ材料を用いて合計4回のフォトプロセスによってカラーフィルタを得ることが可能であるが、本実施例では、このカラーフィルタを、以下のようにYMCの三種類のプロセスのみによって構成する。
まず、PB_T、PB_R、PG_T、PG_R画素に対してシアンカラーフィルタを形成する。次に、PM画素、PB_T、PB_R画素、PR_T、PR_R画素に対してマゼンタカラーフィルタを形成する。ここで、PB_T、PB_R画素上には既にシアンカラーフィルタが形成されているので、CとMが積層するようにカラーフィルタが形成される。次に、PG_T、PG_R画素、PR_T、PR_R画素に対してイエローカラーフィルタを形成する。なお、PG_T、PG_R画素、PR_T、PR_R画素、にはそれぞれシアンカラーフィルタとマゼンタカラーフィルタとが形成されているので、それらに対して積層するようにイエローカラーフィルタを形成する。最後に必要に応じて平坦化処理を施す。
こうすることで、3回のフォトプロセスによってPR_T、PR_R画素、PG_T、PG_R画素、PB_T、PB_R画素、PM画素にそれぞれ赤・緑・青・マゼンタ色を透過させるカラーフィルタを形成させることが可能となる。実際の駆動は、WO2004/042687に記載の方法を用いて駆動を行うことによって、フルカラー表示を行うことが可能となる。またバックライトを設けることによって、半透過型表示を行うことができる。
また前記平坦化処理を施すことによって配向状態の均一化にとって有利な、平坦な基板構成とすることができる。
以上述べたように、本実施例によって明るい反射型液晶表示素子や半透過型液晶表示素子が実現可能となる。なお、本実施例中では直視型の反射型液晶表示素子および直視型の半透過型液晶表示素子を中心に述べたが、直視型の透過型液晶表示素子や投射型の液晶表示素子、拡大光学系を用いたビューファインダなどの液晶表示素子に応用することができる。
さらに本実施例では駆動基板としてTFTを用いているが、その替わりにMIMを用いたり、半導体基板上に形成したスイッチング素子を用いるといった基板構成の変更や、単純マトリクス駆動やプラズマアドレッシング駆動にしたりといった駆動方法の変形は自明になしえる。
また本実施例では垂直配向モードを中心に述べたが、既述したように平行配向モード、HAN型モード、OCBモードなど、電圧印加によるリタデーション変化を利用するモードであればいずれのモードにも適用することが可能である。またSTNモードなどのねじれ配向状態となっている液晶モードにも適用することが可能である。
さらに、ECB効果を有する液晶表示素子の替わりに機械的な変調によって干渉層の媒体としての空気の厚さである空隙距離を変化させるカラー表示素子を用いる場合でも本実施例と同様の効果が得られる。また、カラー表示装置として、実施の形態中で述べた構成に基づく媒体である複数の粒子を電圧印加によって移動させる粒子移動型表示素子を用いる場合でも本実施例と同様の効果が得られる。