JP4716329B2 - 遮熱コーティングの寿命管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、遮熱コーティングの寿命管理方法に関し、例えばガスタービン動翼等の基材表面に施工された遮熱コーティングの寿命管理方法に関するものである。
我国の電力事業の火力発電では、コンバインドサイクル発電を目的としてLNG焚きガスタービン(以下GTと称す)が多く導入されている。コンバインドサイクルの熱効率を向上させるため、これまでガスタービン入口温度(TIT)の高温化が図られており現在では、TITが1500℃に達するガスタービンが開発されている。
燃焼器、静翼、動翼などのGT高温部品は、燃焼ガス流に曝されており、耐熱性の面から厳しい環境に置かれている。GT高温部品の保守コスト削減および信頼性向上のためには、合理的な判断基準に基づいた寿命評価法の開発が重要である。
GT高温部品には、高温の燃焼ガスから基材を保護するため、部品内部の冷却とともに遮熱コーティング(TBC)が適用されており、GTの高温化・高効率化に伴い、TBCの重要性はより一層高まっている。TBCは、Ni基あるいはCo基の超合金基材表面に合金層(ボンドコート)を施工し、さらにその上に熱伝導率が小さいセラミック層(トップコート)が施工される構造となっている。
高温部品の寿命評価にとって重要な温度分布を推定する手法として、耐食コーティングのみを施したものについては耐食コーティングの組織変化を用いた温度推定手法については本出願人がすでに提案している(特許文献1参照)が、セラミック層をトップコートに施したTBC部品についての温度推定方法ではない。
一方、すでに提案されているTBC部品の温度推定手法としては、ボンドコートの高温酸化によって成長する酸化物に着目した手法(非特許文献1参照)、およびトップコートの気孔率および熱伝導率を用いた手法(特許文献2参照)がある。また、高温部品のメタル表面の酸化スケール層の厚さに基づいてメタル温度を推定する方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、何れも高温部品の温度を推定するのみであり、劣化を予測するものではなかった。
なお、高温部品の寿命管理方法としては、アルミニウムを含有するコーティングを施した高温部品について、コーティング層表層部の経時的変化を示すパラメータを用いてコーティング表層部のアルミニウム量を定量的に評価し、コーティング層の寿命を評価する方法が提案されている(特許文献4参照)。また、アルミニウムを含有するコーティングが施されたガスタービン動翼の寿命推定方法について、コーティング層と基材との間に形成される金属間化合物の厚さからその成長速度係数を求め、これから使用温度を推定して動翼の交換寿命を推定する方法が提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、何れもTBCを設けた高温部品に関するものではない。
特開2004−45342号公報 特開2003−74376号公報 特開2003−4548号公報 特開2003−106166号公報 特開2005−344607号公報 荒井正行、岩田宇一、遮熱コーティングの界面酸化層測定に基づくガスタービン燃焼器部材の温度推定、火力原子力発電、第54巻、pp. 1064-1069(2003)
本発明は、上述した事情に鑑み、TBCを備えた高温部品について劣化状況を精度よく推定して高温部品の寿命を効率的に管理できる遮熱コーティングの寿命管理方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、高温部品の基材の表面に界面酸化物形成金属含有合金からなるボンドコート層とセラミックスからなるトップコート層とを施した遮熱コーティングの寿命管理方法において、前記高温部品の加熱時間と加熱温度と当該高温部品の前記ボンドコート層中の界面酸化物形成金属の含有量の変化との相関を求め、実機で使用された高温部品の所定部位の遮熱コーティングのボンドコート層中の界面酸化物形成金属の平均含有量を計測し、この計測値と前記相関とから前記遮熱コーティングの寿命を推測することを特徴とする遮熱コーティングの寿命管理方法にある。
かかる第1の態様では、高温部品の加熱時間と加熱温度と当該高温部品のボンドコート層中の界面酸化物金属の含有量の変化との相関を求め、実機の界面酸化物形成金属の平均含有量を測定することにより、ボンドコート層の劣化を推定し、これにより遮熱コーティングの寿命、すなわち、高温部品の寿命を管理することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の遮熱コーティングの寿命管理方法において、前記計測値と前記相関とから前記遮熱コーティングの寿命を推測するステップでは、前記界面酸化物形成金属の平均含有量と加熱時間と前記相関との関係から実機で使用された高温部品の所定部位の使用温度を推定し、当該使用温度にて界面酸化物形成金属含有量が所定値となるまでの加熱時間を求めて寿命を推測することを特徴とする遮熱コーティングの寿命管理方法にある。
かかる第2の態様では、界面酸化物形成金属の平均含有量の計測値と加熱時間と相関とから、使用温度を推定し、これにより前記遮熱コーティングの寿命を推測する。
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様に記載の遮熱コーティングの寿命管理方法において、前記計測値と前記相関とから前記遮熱コーティングの寿命を推測するステップでは、前記ボンドコート層中の界面酸化物形成金属の平均含有量が、前記基材中の界面酸化物形成金属の含有量と同等になるまでを寿命として推測することを特徴とする遮熱コーティングの寿命管理方法にある。
かかる第3の態様では、ボンドコート層中の界面酸化物形成金属含有量が、基材中の界面酸化物形成金属の含有量と同等になるまでを寿命として推測し、これを遮熱コーティングの寿命、すなわち、高温部品の寿命として管理する。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様に記載の遮熱コーティングの寿命管理方法において、実機相当の組成を有するコーティング試験片の加熱試験により、加熱時間と加熱温度と前記界面酸化物形成金属の平均含有量との相関を求めることを特徴とする遮熱コーティングの寿命管理方法にある。
かかる第4の態様では、実機相当の組成を有するコーティング試験片の加熱試験により、予め加熱温度と加熱時間と界面酸化物形成金属の平均含有量との相関を求めておき、これにより遮熱コーティングの寿命、すなわち、高温部品の寿命を管理する。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様に記載の遮熱コーティングの寿命管理方法において、前記高温部品がガスタービン高温部品であり、前記界面酸化物形成金属がアルミニウムであることを特徴とする遮熱コーティングの寿命管理方法にある。
かかる第5の態様では、ボンドコート層のアルミニウム低下層の厚さとボンドコート層中のアルミニウムの平均含有量との相関を求め、実機のアルミニウム低下層の厚さを測定することにより、ボンドコート層の劣化を推定し、これにより遮熱コーティングの寿命、すなわち、高温部品の寿命を管理する。
本発明は、加熱温度と加熱時間とボンドコート層中の界面酸化物金属の含有量の変化との相関に着目し、実機の界面酸化物形成金属の平均含有量を測定することにより、ボンドコート層の劣化を推定し、これにより遮熱コーティングの寿命、すなわち、高温部品の寿命を高精度で管理することができるという効果を奏する。
以下、本発明を一実施形態を参照しながら詳細に説明する。
図1には、本発明の遮熱コーティングの寿命管理方法のフローの概略を示す。図1に示すように、まず、ボンドコート層中のAl含有量と加熱温度と加熱時間との相関を求める(ステップS10)、次いで、実機で使用された高温部品の所定部位のAl含有量を計測し(ステップS20)、ステップS20で求めたAl含有量の計測値と、ステップS10で求めたAl含有量と加熱温度と加熱時間との相関とから遮熱コーティングの寿命を推測する(ステップS30)。
ここで、ステップS10におけるボンドコート層中のAl含有量と加熱温度と加熱時間の相関は、実機相当のコーティング試験片を用いての加熱試験により求める。
また、本発明におけるAl含有量は、ボンドコートにおける厚さ方向及び面方向の平均含有量をいい、例えば、後述するように、EPMA分析のAl検出強度の平均値より算出することができる。なお、Al含有量の測定はEPMA分析に限定されるものではなく、超音波や渦電流を用いて計測することもできる。
以下、ガスタービンの動翼を対象とし、実機相当の加熱試験からボンドコート層中のAl含有量と加熱温度と加熱時間の相関を求める方法を例として本発明を説明する。
(試験片の作製)
基材材質は、代表的なGT動翼材料であるInconel738LCとし、その組成を下記表1に示す。基材は、直径10mm×長さ20mmの円筒形とし、加熱試験後、長さの中心で切断し、その断面を観察した。
下記表2にTBC試験片におけるコーティングの概略を示す。トップコートの材質はイットリア部分安定化ジルコニア(YSZ、8wt%Y23−ZrO2)であり、大気プラズマ溶射(APS)によって厚さ約200μmに施工した。また、ボンドコートの材質はCoNiCrAlY (Co−32Ni−21Cr− 8Al−0.5Y (wt%))であり、減圧プラズマ溶射(LPPS)によって厚さ約100μmに施工した。また、ボンドコート施工後には、真空中にて1120℃×2hおよび845℃×24hの熱処理を施した。
Figure 0004716329
Figure 0004716329
(加熱試験)
加熱試験は、横型管状電気炉(炉心管内径φ70mm)を用いて行った。試験に先立って炉内の温度分布を測定し、試験片を設置する範囲では測定温度の最大値と最小値の差が約2〜3℃程度になっており、温度分布にほとんど偏りがないことを確認した。また、試験片表面温度と炉内雰囲気温度がほぼ平衡に達することも確認した。
加熱試験雰囲気は大気とし、温度条件は900℃、950℃、1000℃、1050℃に設定した。昇温速度は200℃/hとし、定格温度に到達後は等温で保持した。降温は200℃/hで500℃程度まで下げ、その後は常温に至るまで炉冷とした。加熱時間は、定格温度に保持した時間と定義し、最長3000時間まで行った。試験片はある一定の加熱時間ごとに取り出し、試験片を切断・研磨し、組織分析を行った。観察部分は、長さの中心付近の断面である。組織分析は、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)および電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて行った。
(加熱試験におけるボンドコート層の組織変化の観察)
図2は、光学顕微鏡で観察した大気中950℃の加熱試験におけるTBC試験片断面の様相を示す。図に示すように、基材11表面にボンドコート12及びトップコート13が順次形成された試験片において、試験前後でトップコート13およびボンドコート12の厚さはほとんど変化していないことが確認された。なお、この観察は、一つの試験片について長さ約500μmの視野を4箇所撮影し、それぞれの視野の中で3箇所ずつトップコートおよびボンドコートの厚さを測定した結果によるものである。すなわち一つの試験片について12箇所測定した結果、トップコート厚さおよびボンドコート厚さの変化に有意差は認められなかった。
図3は、光学顕微鏡で観察した大気中950℃の加熱試験におけるボンドコートの組織変化の様相を示す。図より、試験前のボンドコート12は、白色の組織に黒色の組織が析出する2相組織の様相を呈している。試験後には、ボンドコート12の外面(トップコート13との界面近傍)において2相組織が消失し、白く写る層状の領域(後述する外面Al低下層15に相当する)が観察される。また、時間の経過とともに外面の層状の領域が内部へ成長し、2相組織の領域は小さくなっている。
図4は、SEMによって観察した950℃の加熱試験におけるトップコート13とボンドコート12の界面の様相を示す。試験後では、トップコート13とボンドコート12との界面に酸化物層が成長している。これは、ボンドコート12が酸化によって成長する界面酸化層14(TGOと称す)である。また、試験時間の増加とともに界面酸化層14の厚さは大きくなっている。
以下では、このような微視構造を有するTBCの元素分布について、ボンドコート12を中心に検討する。
図5は、ボンドコート12の2相組織のEPMA面分析結果を示す。試験前および950℃×500h後の試験片の組織を比較して示す。試験前後にかかわらず、(Co,Cr)相に(Ni,Al)相が析出している様相を呈している。すなわち、図3において白く写っていた相は(Co,Cr)相に対応し、黒く写っていた相は(Ni,Al)相に対応していると考えられる。
図6は、トップコート13とボンドコート12との界面付近のEPMA面分析結果を示す。試験前および950℃×500h後の試験片の組織を比較して示す。試験後のボンドコート12の外面には、Alが顕著に検出されていることから、界面酸化層14は主にAlの酸化物であると考えられる。
また、界面酸化層14と2相組織との間に、Al含有量の低下した層状の領域が観察される。この層は、図3に示した試験後のボンドコート外面近傍で観察された白色の層に対応していると考えられる。この層をこれより「外面Al低下層15」と称することとする。これは、界面酸化層14を形成するため、ボンドコート中のAlがボンドコート12の外面に拡散し、ボンドコート12外面近傍においてAlが豊富な相が消失することによって生じた組織であると考えられる。EPMAによる分析により、この層ではAl含有量が約4wt%に低下していた。
図7は、ボンドコート12と基材11との界面付近のEPMA面分析結果を示す。試験前および950℃×500h後の試験片の組織を比較して示す。試験前後を比較すると、AlおよびCoがボンドコート12から基材11へ拡散していることわかる。
図8には、一例として、1000℃×1000h後のボンドコート12の微視組織の様相を示す。これは、界面酸化層14形成および基材11へ相互拡散によって、ボンドコート12中のAl含有量が減少し、その結果、Alを豊富に含む(Ni,Al)相がボンドコート12中から消失したことを示すものであると考えられる。
上述したように、ボンドコート12の耐酸化性にとって重要なAl含有量は、トップコート13とボンドコート12との界面方向への拡散、および基材11への拡散によって減少していく。そこで、酸化時間とボンドコート12中のAl含有量との関係について検討した。
図9は、ボンドコート12中の主要な元素の分布を示す。図9(a)は試験前、図9(b)は950℃×500h後の試験片に関する分析結果である。図は、ボンドコート12の外面付近から基材11との界面付近までコーティング厚さ方向に電子ビーム(ビーム径1μm)を0.5μm間隔で走査し、元素の検出強度と測定位置の関係を示したものである。このうちAlに注目すると、加熱試験後の試験片では、界面酸化層14の直下にAl検出強度が小さい領域があるが、これは外面Al低下層15が外面近傍に存在しているからである。このように、ボンドコート12中のAlの分布は一様ではない。よって、本願発明では、ボンドコート12中のAl含有量は、ボンドコート12中のAl検出強度の平均値より算出した。さらに、ボンドコート12の外面から界面までの走査を一つの試験片について4ヵ所行い、その平均値を各試験片のAl含有量とした。
図10は、ボンドコート12中のAl含有量変化を示す。いずれの温度条件においても、酸化時間の経過とともにAl含有量は減少する傾向を示した。また、温度が高いほどAl含有量の減少速度は大きくなった。しかし、1050℃については、500h以降、Al含有量が4wt%以下になると減少が飽和する傾向を示した。これは、ボンドコート12中のAl含有量が基材11と同程度に近づいたため、拡散が飽和しつつあることが原因であると考えられる。
図11は、図10の縦軸をAl含有量の減少量とし、横軸に示した時間を時間の平方根に取り直して図示したものである。図11に示すように、ボンドコート12中のAl含有量の減少量は、酸化時間の平方根の増加に伴い、直線的に増加する傾向があることが明らかになった。すなわち、Al含有量cの変化Δcは、Al含有量の初期値をc0、酸化時間をt(h)とすると、両者の関係は以下の式で表すことができる。
Figure 0004716329
図12は、Al含有量減少速度定数kのアレニウスプロットを示す。図12に示すように、Al含有量減少速度定数kの対数は、温度Tの逆数と直線的な関係にあり、以下のようなアレニウスの関係で表すことができる。
Figure 0004716329
式(1)および(2)を、温度Tについて書き直すと、以下の式となる。
Figure 0004716329
式(3)より、ボンドコート外面付近の温度を推定することができる。すなわち、実機で使用した高温部品を切り出し、Al含有量を測定し、使用時間がわかっていれば、温度を算出することができる。
(遮熱コーティングの寿命の推定)
このように相関を求めた後、実機で使用された高温部品の所定部位のAl含有量を計測することにより、Al含有量と加熱温度と加熱時間との相関とAl含有量の計測値とから、遮熱コーティングの寿命を推測することができる。
次に、ボンドコート12中のAl含有量と加熱温度と加熱時間と、Al含有量の計測値との関係を用いた遮熱コーティングの寿命の予測手法について説明する。
図13には、予測手法の一例のフローの概略を示す。まず、実機部品から測定したAl含有量の計測値と、上述した式(3)から、測定部位の温度を推定する(ステップS21)。
次いで、任意のAl含有量cs、例えば、基材11のAl含有量と一致するAl含有量csに達するまでの時間を式(1)から求め、現在までの部品の使用時間tp差し引けば、ボンドコート12の耐酸化性が劣化するまでの時間を求めることができ、これより寿命を推定することができる(ステップS22)。
以下に任意のAl含有量csになるまでの時間tlを求める式を示す。
Figure 0004716329
ボンドコート中のAl含有量は、基材とほぼ同程度になると、耐酸化性の低下が懸念される。このことから、ボンドコート中のAl含有量の約半分の値は、ボンドコートの耐酸化性低下を判断する指標の一つになると考えられる。このように、基材中のAlの含有量と同等になるまでをボンドコート、すなわち、遮熱コーティングの寿命として推定してもよいし、例えば、安全を見て、基材中のAl含有量の1.2倍などとしてもよく、又は基材の濃度とは関係なく、初期のボンドコート中のAl含有量の40〜60%などの量を寿命としてもよい。
以上説明したように、TBC試験片を用いて高温加熱試験を行い、TBCボンドコート中のAl含有量を把握し、Al含有量と加熱温度と加熱時間との相関を求め、次いで、実機で使用された高温部品の所定部位のAl含有量を計測し、Al含有量の計測値と、Al含有量と加熱温度と加熱時間との相関とから遮熱コーティングの寿命を推測することができることが明らかとなった。
また、以上説明した実施形態では、タービンで使用される高温部品を例としてボンドコート中に含有される界面酸化物形成金属がAlであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ボイラなどで使用される高温部品にも適用でき、この場合の界面酸化物形成金属としてはクロム(Cr)が考えられ、この場合にも本発明が適用できる。
本発明の遮熱コーティングの寿命管理方法によると、例えば、タービンの高温部材である動翼について、例えば、2年毎の定期点検時に予備動翼のボンドコート中のAl含有量を測定することにより、今後どれくらいの寿命があるかを推定することができ、動翼の交換時期を高度に管理することができる。
本発明の遮熱コーティングの寿命管理方法のフローの概略を示す図である。 本発明の実施形態の加熱試験(大気中950℃)におけるTBC試験片断面の様相を示す図である。 本発明の実施形態の加熱試験(大気中950℃)におけるボンドコートの組織変化挙動を示す図である。 本発明の実施形態の加熱試験(大気中950℃)におけるトップコートとボンドコートとの界面の様相を示す図である。 本発明の実施形態の加熱試験におけるボンドコートのEPMA面分析結果を示す図である。 本発明の実施形態の加熱試験におけるトップコートとボンドコートとの界面付近のEPMA面分析結果を示す図である。 本発明の実施形態の加熱試験におけるボンドコートと基材との界面付近の面分析結果を示す図である。 本発明の実施形態の加熱試験における1000℃1000h後のボンドコート微視組織の様相を示す図である。 本発明の実施形態の加熱試験におけるボンドコート中の元素分布を示す図である。 本発明の実施形態の加熱試験におけるボンドコート中のAl含有量変化挙動を示す図である。 本発明の実施形態の加熱試験におけるAl含有量減少量と酸化時間の平方根の関係を示す図である。 本発明の実施形態の加熱試験におけるAl含有量減少速度のアレニウスプロットを示す図である。 本発明の実施形態におけるボンドコート中の寿命予測手法の一例のフローを示す図である。
符号の説明
11 基材
12 ボンドコート
13 トップコート
14 界面酸化層
15 外面Al低下層

Claims (5)

  1. 高温部品の基材の表面に界面酸化物形成金属含有合金からなるボンドコート層とセラミックスからなるトップコート層とを施した遮熱コーティングの寿命管理方法において、
    前記高温部品の加熱時間と加熱温度と当該高温部品の前記ボンドコート層中の界面酸化物形成金属の含有量の変化との相関を求め、実機で使用された高温部品の所定部位の遮熱コーティングのボンドコート層中の界面酸化物形成金属の平均含有量を計測し、この計測値と前記相関とから前記遮熱コーティングの寿命を推測することを特徴とする遮熱コーティングの寿命管理方法。
  2. 請求項1記載の遮熱コーティングの寿命管理方法において、
    前記計測値と前記相関とから前記遮熱コーティングの寿命を推測するステップでは、前記界面酸化物形成金属の平均含有量と加熱時間と前記相関との関係から実機で使用された高温部品の所定部位の使用温度を推定し、当該使用温度にて界面酸化物形成金属含有量が所定値となるまでの加熱時間を求めて寿命を推測することを特徴とする遮熱コーティングの寿命管理方法。
  3. 請求項1又は2記載の遮熱コーティングの寿命管理方法において、
    前記計測値と前記相関とから前記遮熱コーティングの寿命を推測するステップでは、前記ボンドコート層中の界面酸化物形成金属の平均含有量が、前記基材中の界面酸化物形成金属の含有量と同等になるまでを寿命として推測することを特徴とする遮熱コーティングの寿命管理方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の遮熱コーティングの寿命管理方法において、
    実機相当の組成を有するコーティング試験片の加熱試験により、加熱時間と加熱温度と前記界面酸化物形成金属の平均含有量との相関を求めることを特徴とする遮熱コーティングの寿命管理方法。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の遮熱コーティングの寿命管理方法において、
    前記高温部品がガスタービン高温部品であり、前記界面酸化物形成金属がアルミニウムであることを特徴とする遮熱コーティングの寿命管理方法。
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