JP4716108B2 - 浅層混合改良地盤における品質確認方法 - Google Patents

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Description

本発明は、浅層混合改良地盤における品質確認方法、特に、浅層混合改良地盤の改良土の強度を現場試験により確認する方法に関する。
軟弱な地盤の表層原位置土に固化材を混合攪拌し、締固めた後に養生させて固化し、浅層地盤の品質を改良することがある。このように改良した地盤(以下、「浅層混合改良地盤」あるいは単に「改良地盤」ともいう。)が目標の許容支持力を確保しているかは、健全な基礎を構築するために最も重要な品質管理項目である。一般的に、現場採取や室内配合により作成した改良土の供試体について試験を実施して得た一軸圧縮強さと改良土の強度(固化強度、せん断強度)との相関関係から、改良地盤の許容支持力を推定する。そこで、供試体の一軸圧縮強さを品質管理指標とし、改良地盤の品質を確認している(特許文献1等参照)。
財団法人日本建築センターの品質管理指針には、固化した原位置改良土のコアをコアマシン等により採取して作成した供試体(以下、「コア供試体」という。)について一軸圧縮試験を実施し、その試験結果を品質管理指標とすることが記載されている。しかしながら、改良土のコアを採取する過程にて水量や掘進圧を適切に調整し改良土の洗い流しやコアの破損などの不具合を防ぎながら良好なコアを採取するためには、熟練された作業者の多大な労力を必要とする。また、改良土のコアを採取する地点に石や礫が混入している場合、良好なコアを採取すること自体が困難となる。そのため、コア供試体を作成するには、非常に困難が伴うという問題がある。
そこで、浅層混合改良地盤に小規模建築物を構築する場合においては、コア供試体を作成する代りに、混合攪拌された直後の改良土を現場でモールドに詰めて作成した供試体(以下、「モールド供試体」ともいう。)について一軸圧縮試験を実施し、原位置改良土の強度を推定することがある。このようなモールド供試体は、セメント協会標準試験方法JCAS L−01−2003に規定された方法によって、すなわち、混合攪拌され転圧前の改良土を採取し、各層を詰めるごとに作業者がランマーにより規定回数突固めながら、4層に分けてモールドに詰め、その後養生させて作成する。
特開2005−241262号公報
しかしながら、モールド供試体は、その突固めや養生の状態が、実際の現場で締固めて養生させた改良土と著しく異なる。また、作業者によって突固め状態に差異が生じる。そのため、補正係数により補正を行ったとしても、このような供試体の一軸圧縮強さによって現場の改良土の強度を精度良く推定することができるとは言い難く、改良地盤の品質を十分に確認できていない恐れがあるという問題があった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、現場の改良土の強度を精度良く推定し、改良地盤の品質を確実に確認することができる浅層混合改良地盤における品質確認方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法は、浅層混合改良地盤の改良土に埋設された部材の引き抜き力を当該改良土の固化後に測定し、前記引き抜き力から前記改良土の強度を推定することを特徴としている。
請求項2に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法は、請求項1に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法において、前記部材は、前記改良土の転圧前に、拡幅した先端部を下方にして鉛直に埋め込まれて埋設された棒状部材であることを特徴としている。
請求項3に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法は、請求項1に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法において、前記部材は、前記改良土の転圧後に、鋭角な先端部を下方にして鉛直に打ち込まれて埋設された棒状部材であることを特徴としている。
請求項に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法は、請求項2又は3に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法において、前記棒状部材は、凹凸する側面を備えることを特徴としている。
請求項1に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法によれば、浅層混合改良地盤の改良土に埋設された部材の引き抜き力を当該改良土の固化後に測定し、引き抜き力から改良土の強度を推定する。そのため、改良土の強度と相関関係を有する引き抜き力を現場にて固化した改良土に埋設された部材を用いて測定するので、現場とは異なる突固めや養生の状態にて作成したモールド供試体から推定する場合と比べて、現場における改良土の強度をより精度良く推定することが可能になり、改良地盤の品質をより正確に確認することができる。また、固化前の改良土に引き抜き力を測定する部材を埋設するので、該部材を容易に埋設することができるとともに、該部材と密着して改良土が固化するため、改良土の特性を反映した引き抜き力を測定することができ、改良土の強度を精度良く推定することが可能となる。
請求項2に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法によれば、前記部材は、改良土の転圧前に、拡幅した先端部を下方にして鉛直に埋め込まれて埋設された棒状部材であるので、該部材を引き抜く際に改良土がコーン状に破断しながら引き抜かれる。そのため、測定した引き抜き力は改良土の付着力に相当すると考えることが可能となり、改良土の特性を直接反映した引き抜き力を測定することができ、改良土の強度をより精度良く推定することが可能となる。また、拡幅した先端部を下方に備えた棒状部材の引き抜き力は、拡幅した先端部を備えない棒状部材の引き抜き力と比較して、その値が大きくなるため、引き抜き力をより精度良く測定することができるので、改良土の強度をより精度良く推定することが可能となる。
請求項3に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法によれば、前記部材は、改良土の転圧後に、鋭角な先端部を下方にして鉛直に打ち込まれて埋設された棒状部材であるので、該部材が改良土の転圧の際に邪魔になることがないため、部材を改良土から上方に突出させて埋設することが可能になる。そのため、部材を改良土に埋め込み埋設した場合に比べて、固化後に部材上方の改良土を掘削する必要がなくなり、引き抜き力を測定する作業を簡易化することができる。
請求項に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法によれば、前記棒状部材は、凹凸する側面を備えるので、棒状部材と改良土の付着面積がより増加することにより、付着力が大きくなるので、引き抜き力をより精度良く測定することができ、改良土の強度をより精度良く推定することが可能となる。
本発明に係る浅層混合改良地盤の品質確認方法は、浅層混合改良地盤(以下、単に「改良地盤」ともいう。)の改良土に埋設された棒状部材(部材)の引き抜き力を当該改良土の固化後に測定し、該引き抜き力から改良土の強度を推定するものである。
以下、該発明による第1の実施形態に係る改良地盤の品質確認方法の各工程について図面に基づき説明する。本改良地盤の品質確認方法は、図1(a)から図1(c)に示すように、浅層混合改良地盤の固化前の改良土10に棒状部材20を埋設する工程と、改良土10を養生して固化させる工程と、改良土10が固化した後に棒状部材20を引き抜き試験機30(図2参照。)と接続して引き抜き力(引き抜き耐力)を測定する工程と、測定した引き抜き力から改良土10の強度を推定して品質を確認する工程と、からなっている。まず、図1(a)に示すように、セメント系固化材(以下、単に「固化材」という。)を用いた浅層改良工法において、混合攪拌を行って形成した改良土10に転圧前に棒状部材20を埋設する工程を行う。
具体的には、改良対象となる軟弱な地盤の改良範囲に所定配合量の固化材を散布し、表層部の地盤、すなわち地表面から浅い所定深さまでの地盤を掘削しながら、掘削された土砂と固化材とを混合攪拌し、改良土10を形成する。そして、改良土10の天端から作業員がスコップ等で棒状部材20を埋設するための穴11を掘る。棒状部材20は、鉛直方向に凹凸する側面を備えた棒状の部材であり、拡幅した拡幅部21を一方の先端に、引き抜き試験機との接続部22を他方の先端に備えている。このような棒状部材20として、例えば、全長に渡って横ふし(横リブ)が鉄筋軸に沿ってねじ山のように螺旋状に配置されたねじふし鉄筋の下端に、当該ねじふし専用の長ナットを拡幅部21として組み付けたものを好適に用いることができる。また、棒状部材20は、例えば、その直径が10乃至50mm、接続部22を除く全長Lが100乃至500mm、拡幅部21の直径が20乃至100mm、拡幅部22の全長L1が30乃至100mmのものを用いることができる。ここでは、棒状部材20として、ねじふし鉄筋の一種であるねじふしPC(プレスコンクリート)鋼棒(JIS G 3109に規定。)の下端に長ナットを組み付けたものを用いる。このPC鋼棒は、その母材丸鋼の基本直径が26mm、ねじふしの高さが1.9mm、幅が6.4mm、ピッチが13mm、接続部22を除く全長Lが200mm及び350mmであり、長ナットは、その対辺長が40mm、全長が50mmである。作業員は、片手で棒状部材20を、拡幅部21を下方にして鉛直に穴11の中に保持しながら、他方の手でスコップ等を用い棒状部材20の周りを原位置土によって埋め戻す。このとき、棒状部材20の接続部22に図示しない布などを巻き付け覆っておき埋め戻した改良土10と直に接しないようにする。また、棒状部材20の上端は、改良土10の天端から突出して次工程における転圧の際に邪魔にならないように、改良土10の天端から10乃至100mm程度、ここでは50mm程度の深さに位置するように埋める。さらに、図示しないが、棒状部材20の上端にワイヤロープ等の紐状部材を固定しておき、穴11を埋め戻した後に改良土10の天端から紐状部材の一部を露出させておくことが好ましい。これにより、転圧の際に紐状部材が邪魔になることなく転圧を良好に行うことができるとともに、改良土10の中に埋設された棒状部材20の所在を容易に判別することができる。
次に、棒状部材20を埋設した改良土10を転圧し養生させて固化させる工程を行う。具体的には、棒状部材20を埋設した改良土10に対して、バックホウ等の重機、振動ハンドローラ、タンピングランマーなどの締固め機を用いて転圧を行い、均一に締固める。そして、所定期間そのまま改良土10を養生させて固化させる。これにより、地耐力の向上した改良地盤が形成される。
次に、図1(b)に示すように、棒状部材20の上端の接続部22を露出させて引き抜き試験機30(図2参照。)と接続し、改良土10から棒状部材20を引き抜く際の引き抜き力を引き抜き試験機30を用いて測定する工程を行う。
具体的には、まず、作業員がスコップ等を用いて改良土10を掘り起こし、棒状部材20の上端の接続部22を露出させる穴12を掘る。このとき、改良土10に埋もれた棒状部材20の上端が改良土10の天端から、例えば30乃至200mm、ここでは100mmの所定深さとなるように穴12を掘る。これにより、所定長さL2、例えば100乃至500mm、ここでは前記長さLと同じ250mm及び400mmの棒状部材10が改良土20に埋もれた状態となる。穴12は、上方に向かって広げながら掘る。なお、接続部22が前記図示しない布等に覆われて改良土10に埋設されているので、接続部22への改良土10の固着が防止されるため、接続部22付近の穴12が掘り易く、接続部22の状態を良好に保つことができるまた、改良土10の天端から棒状部材20に固定した紐状部材を突出させた場合には、この紐状部材を目印に棒状部材20の埋設位置を容易に判別することができ、適切な位置に確実に穴12を掘ることができる。
そして、棒状部材20を真っ直ぐ鉛直上方に引き上げるよう、棒状部材20の接続部22を露出させた穴12の上方に図2に示す引き抜き試験機30を設置し、該引き抜き試験機30の引き抜き治具31と棒状部材20とを接続部材(継手)40を介して接続する。引き抜き試験機30は、図2に示すように、引き抜き治具31、油圧ジャッキ32、ロードセル(荷重計)33、図示しない変位計、設置架台34などを備えている。引き抜き治具31は、長尺の部材であり、棒状部材20と接続するための接続部31aを下端部に備えている。引き抜き治具31は、ここでは、ねじふし鉄筋の一種であるねじふしPC鋼棒であり、その下端部が接続部31aとなる。油圧ジャッキ32は、棒状部材20に接続された引き抜き治具31を鉛直上向きに引き上げる装置である。油圧ジャッキ32は、ここでは、その中央部に鉛直に貫通孔が設けられ、この貫通孔を挿通する引き抜き治具31をクランプ等の把持手段にて固定して、把持手段を図示しない油圧ポンプの作動力により引き上げるセンターホール型油圧ジャッキである。ロードセル33は、棒状部材20の引き抜き力を測定する荷重測定器であり、油圧ジャッキ32の上方に付設されている。ロードセル33は、ここでは、その中央部に鉛直に貫通孔が設けられ、この貫通孔を挿通する引き抜き治具31と油圧ジャッキ32との間に取り付けられた鉛直方向の荷重を測定するセンターホール型荷重計である。変位計は、棒状部材20の鉛直方向の変位量を測定するものであり、ここでは、引き抜き治具31の任意点の原始位置から鉛直方向の移動量を測定する。設置架台34は、棒状部材20の引き抜き力を正確に測定するために油圧ジャッキ32やロードセル33を適切な位置に設置するための台であり、引き上げられた接続部材40等が干渉しないように、改良土10の天端から所定の間隔を設けて、油圧ジャッキ32等を設置している。また、改良土10がコーン状に破断して棒状部材20にともに引き抜かれることを考慮して、破断するおそれのある改良土10の範囲(図中の2点鎖線。)を避けるように角材等からなる支柱34aが設置されており、これらの支柱34aによって設置架台34が支えられている。また、設置架台34は、油圧ジャッキ32をその上に設置してその反力を支える反力座を兼ねた設置板34bを上面に備えている。
接続部材40は、図1(b)に示すように、棒状部材20と引き抜き試験機30の引き抜き治具31とを接続する部材である。接続部材40は、ここでは、棒状部材20の接続部22に付されたねじふし専用の長ナット41と、引き抜き治具31に接続部31aに付されたねじふし専用の長ナット42とを、鉛直に直線状に並べて溶接等により接合したものである。このような接続部材40を用いることによって、引き抜き治具31から棒状部材20に鉛直方向の荷重をスムーズに伝達し、棒状部材20と引き抜き治具31との鉛直方向の変位を同一とすることが可能となる。
棒状部材20と引き抜き治具31とが鉛直に直線状に(長手方向同軸上に)位置するように接続部材40を介して剛に接続する。そして、前記図示しない油圧ポンプを作動させて油圧ジャッキ32により引き抜き治具31を一定速度で鉛直上方に引き上げ、棒状部材20に引き抜き力を付与する。このとき、引き抜き力(鉛直方向の荷重)をロードセル33により、変位量を変位計により、それぞれ測定する。そして、これらの引き抜き力と変位を図示しない記録部にて、例えば、図3に示すような、変位と荷重との関係を示すグラフとして記録する。引き抜き治具31を引き抜くと、図1(c)に示すように、コーン状に破断した改良土10が付着した棒状部材20が引き抜かれる。
次に、測定した引き抜き力から改良地盤の強度を推定し、その品質を確認する工程を行う。棒状部材20を引き抜く過程において、微小な初動を示す変位を記録した時に、改良土10の土粒子間の付着が、剥がされ始められたとみなされるので、この時の引き抜き力の値が、改良土粒子間の付着力(摩擦力と粘着力を含む)の最小値、すなわち付着が最も弱い部分の付着力を示すと推測される。一方、最大の値を記録した引き抜き力(極限引き抜き力)が、改良土粒子間の付着力の最大値、すなわち付着が最も強い部分の付着力を示すと推測される。
改良土10の摩擦力は粘着力に比べて小さいので、改良土10の粘着力はほぼ付着力に等しいと考えることができる。そして、一軸圧縮強度は、摩擦力を無視して求めた圧縮強度であり、せん断強度と相関関係がある。従って、測定した引き抜き力は、一軸圧縮強度と相関関係があるとみなすことができる。そこで、本実施形態において測定した引き抜き力と一軸圧縮強度とのデータを、同じ改良土10について十分に蓄積し、これらの相関関係を求めておく。これにより、引き抜き力から改良土10の一軸圧縮強度を精度良く推定することが可能になる。さらに、改良土10の一軸圧縮強度を推定することにより、改良地盤の極限支持力を公知の各種算出方法により推定することができる。このように、原位置試験によって得られた値に基づいて推定するため、改良地盤の強度を精度良く推定することが可能となる。
なお、引き抜き力を測定するために引き抜かれる部材は棒状部材20に限定されることはなく、例えば、図示しないが、球状部材であってもよい。球状部材であれば、棒状部材20のように精度良く鉛直に改良土10に埋設する必要がないので、埋設作業が容易化する。このような球状部材を改良土10に埋設する場合には、所定位置に印を付した紐状部材を球状部材に固定しておき、紐状部材を鉛直に真っ直ぐ伸ばしたときに印が改良土10の天端高さと一致するように目視にて確認し埋設することにより、球状部材を所定深さに確実に埋設することができる。あるいは、紐状部材の所定位置に長尺の棒を固結しておき、この棒を穴周囲の改良土10の天端に載置することにより、球状部材を所定深さに確実に埋設することが容易に可能になる。
以下、前記発明による第2の実施形態に係る改良地盤の品質確認方法の各工程について図面に基づき説明する。なお、前記第1の実施形態と同じ点に関しての説明は省略する。まず、図4(a)に示すように、固化材を用いた浅層改良工法において、混合攪拌を行って形成した改良土10の転圧直後に棒状部材50を埋設する。
具体的には、改良対象となる軟弱な地盤の改良範囲に固化材を散布し、表層部の地盤を掘削しながら、掘削された土砂と固化材とを混合攪拌し改良土10を形成し、転圧する。そして、転圧直後の改良土10の天端から作業員がハンマー等で棒状部材50を打ち込んで鉛直に埋設する。棒状部材50は、鉛直方向に凹凸する側面を備えた棒状の部材であり、鋭角部51を一方の先端に、前記引き抜き試験機30(図2参照。)との接続部52を他方の先端に備えている。このような棒状部材50として、例えば、全長に渡って横ふしが配置されたねじふし鉄筋の一方の先端を鋭角としたものを好適に用いることができる。また、棒状部材50は、例えば、その直径が10乃至50mm、鋭角部51と接続部52を除く全長Lが100乃至500mm、鋭角部51の長さL1が20乃至50mmのものを用いることができる。ここでは、棒状部材50として、ねじふし鉄筋の一種であるねじふしPC鋼棒の下端を鋭角に削り出したものを用いる。このPC鋼棒は、その母材丸鋼の基本直径が26mm、ねじふしの高さが1.9mm、幅が6.4mm、ピッチが13mm、全長が250mm及び400mmであり、鋭角部51の長さL1が30mmである。作業員は、片手で棒状部材50を、鋭角部51を下方にして鉛直に保持しながら、他方の手でハンマー等を用いて改良土10に鉛直に打ち込む。棒状部材50の接続部52を含む所定長さだけ改良土10の天端から上方に突出するまで打ち込む。これにより、棒状部材50は、所定長さL2、例えば、100乃至500mm程度、ここでは前記全長Lと同じ250mm及び400mmだけ確実に改良土10に埋め込まれて埋設される。
次に、棒状部材50を埋設した改良土10を養生させて固化させる工程を行う。所定期間そのまま改良土10を養生させ固化させる。これにより、地耐力の向上した改良地盤が形成される。
次に、図4(b)に示すように、棒状部材50を引き抜き試験機30(図2参照。)と接続し、改良土10から棒状部材50を引き抜く際の引き抜き力を引き抜き試験機30を用いて測定する工程を行う。
具体的には、まず、棒状部材50を真っ直ぐ鉛直上方に引き上げるように、棒状部材50の上方に前記引き抜き試験機30を設置し、該引き抜き試験機30の引き抜き治具31と棒状部材50とを前記接続部材40を介して接続する。棒状部材50と引き抜き治具30とが鉛直に直線状に(長手方向同軸上に)位置するように接続部材40を介して剛に接続する。そして、前記図示しない油圧ポンプを作動させて油圧ジャッキ32により引き抜き治具31を一定速度で鉛直上方に引き上げ、棒状部材50に引き抜き力を付与する。このとき、引き抜き力(鉛直方向の荷重)をロードセル33により、変位量を変位計により、それぞれ測定する。そして、これらの引き抜き力と変位を図示しない記録部にて、例えば、図5に示すような、変位と荷重との関係を示すグラフとして記録する。図4(c)に示すように、引き抜き治具31を引き抜くと、改良土10はほとんど付着せずに棒状部材50のみが引き抜かれる。
次に、測定した引き抜き力から改良地盤の強度を推定し、その品質を確認する工程を行う。棒状部材50を引き抜く過程において、微小な初動を示す変位を記録した時に、棒状部材50と改良土10との付着が剥がされたとみなされるので、この時の引き抜き力の値が、棒状部材50と改良土10との付着力(摩擦力と粘着力を含む)の付着力を示すと推測される。前記第1の実施形態とは異なり、微小な変位を示してからすぐに改良土10から棒状部材50が引き抜かれるので、有意に得られる引き抜き力の値は1つのみである。
棒状部材50と改良土10との付着力と、改良土10の土粒子間の付着力との間には、相関関係があると考えることができる。そこで、本実施形態において測定した引き抜き力と一軸圧縮強度とのデータを、同じ改良土について十分に蓄積し、これらの相関関係を求める。これにより、引き抜き力から改良土10の一軸圧縮強度を精度良く推定することが可能になる。さらに、改良土10の一軸圧縮強度を推定することにより、改良地盤の極限支持力を公知の各種算出方法により推定することができる。このように、原位置試験によって得られた値に基づいて推定するため、改良地盤の強度を精度良く推定することが可能となる。なお、前記球状部材に紐状部材を固定して埋設した場合には、穴12を掘ることなく、改良土10の天端から露出した紐状部材を引き抜き治具31に接続して、球状部材を引き抜き試験機30によって鉛直上方に引き上げればよい。
本発明の別に係る浅層混合改良地盤の品質確認方法は、浅層混合改良地盤の改良土に鉛直に埋設された棒状部材が押し込まれて該棒状部材の下方に埋設された収容部材に収容される際の押し込み力を当該改良土の固化後に測定し、押し込み力から改良土の強度を推定するものである。該発明による第3の実施形態に係る改良地盤の品質確認方法の各工程について図面に基づき説明する。本改良地盤の品質確認方法は、は、図6(a)から図6(c)に示すように、浅層混合改良地盤の固化前の改良土10に棒状部材60及び収容部材70とを埋設する工程と、改良土10を養生して固化させる工程と、改良土10が固化した後に棒状部材60を押し込み試験機80と接続して棒状部材60の押し込み力(押し込み耐力)を測定する工程と、測定した押し込み力から改良地盤の強度を推定して品質を確認する工程と、からなっている。
まず、固化材を用いた浅層改良工法において、混合攪拌を行って形成した改良土10に転圧前に棒状部材60及び収容部材70を埋設する工程を行う。
具体的には、改良対象となる軟弱な地盤の改良範囲に固化材を散布し、表層部の地盤を掘削しながら、掘削された土砂と固化材とを混合攪拌し、改良土60を形成する。そして、改良土10の天端から作業員がスコップ等で棒状部材60及び収容部材70を埋設するための穴13を掘る。棒状部材60は、収容部材70に収容された収容部61を一方の先端に、引き抜き試験機80との接続部62を他方の先端に備えている。そして、棒状部材60は、少なくとも収容部61及び接続部62を除く部分が、鉛直方向に凹凸する側面を備えており、当該部分が収容部材70に収容可能となっている。このような棒状部材60として、例えば、全長に渡って横ふしが配置されたねじふし鉄筋を好適に用いることができる。また、棒状部材60は、例えば、その直径が10乃至50mm、収容部61及び接続部62を除く全長Lが100乃至500mmのものを用いることができる。ここでは、棒状部材60として、ねじふし鉄筋の一種であるねじふしPC鋼棒を用いる。このPC鋼棒は、その母材丸鋼の基本直径が26mm、ねじふしの高さが1.9mm、幅が6.4mm、ピッチが13mm、全長Lが250mm及び400mmである。一方、収容部材70は、棒状部材60の所定長さL1の収容部61を収容可能なものであり、棒状部材60が移動して収容部材70に収容される際に、摩擦抵抗が少なく滑らかに、かつ収容部材70内に改良土10が入り込まずに収容可能なものであることが好ましい。収容部材70は、ここでは、上面のみが開放された金属円筒である。まず、作業員は、上面を上方に鉛直に収容部材70を穴13に位置させ、この収容部材70の上部に棒状部材60の収容部61が収容されるようにして棒状部材60を鉛直に穴13の中に片手で保持しながら、他方の手でスコップ等を用い棒状部材60や収容部材70の周りを原位置土によって埋め戻す。また、棒状部材60の上端は、改良土10の天端から10乃至100mm程度、ここでは50mm程度の深さに位置するように埋める。さらに、図示しないが、棒状部材60の上端にワイヤロープ等の紐状部材を固定しておき、穴13を埋め戻した後に改良土10の天端から紐状部材の一部を露出させておくことが好ましい。
次に、棒状部材60及び収容部材70を埋設した改良土10を転圧した後に、改良土10を養生させて固化させる工程を行う。所定期間そのまま改良土10を養生させて固化させることにより、地耐力の向上した改良地盤が形成される。
次に、図6(b)に示すように、棒状部材60の上端の接続部62を露出させて押し込み試験機80(図7参照。)と接続し、棒状部材60を収容部材70に押し込む際の押し込み力(押し込み耐力)を押し込み試験機80を用いて測定する工程を行う。
具体的には、まず、作業員がスコップ等を用いて改良土10を掘り起こし、棒状部材60の上端の接続部62を露出させる穴14を掘る。このとき、改良土10に埋もれた棒状部材60の上端が改良土10の天端から、例えば、30乃至200mm、ここでは100mmの所定深さとなるようにする。これにより、所定長さL2、ここでは前記長さLと同じ250mm及び400mmの棒状部材60が改良土10に埋もれて埋設された状態となる。
そして、棒状部材60を真っ直ぐ鉛直下方に押し込むように、棒状部材60の上方に押し込み試験機80を設置し、該押し込み試験機80の押し込み治具81と棒状部材60とを接続する。押し込み試験機80は、図7に示すように、押し込み治具81、油圧ジャッキ82、ロードセル(荷重計)83、油圧ジャッキ82とロードセル83とを固定する固定具84、重機85、図示しない変位計、設置架台86などを備えている。押し込み治具81は、長尺の棒状部材であり、その下端に棒状部材60と接続するため下方が開放された円筒形状の接続部81aを備えている。接続部81aに接続部62が収容されて、押し込み治具81と棒状部材60とが接続される。油圧ジャッキ82は、押し込み治具81を鉛直下向きに押し下げるものである。ロードセル83は、棒状部材60の押し込み力を測定するものであり、油圧ジャッキ82に固定具84により固定されている。変位計は、棒状部材60の鉛直方向の変位量を測定するものであり、ここでは、押し込み治具81の任意点の原始位置から鉛直方向の移動量を測定する。重機85は、油圧ジャッキ82の反力をとることが可能なものであればよく、現場に存在する施工機械等を利用することができる。重機85の下部に油圧ジャッキ82が図示しない固定具により固定されている。設置架台86は、棒状部材60の押し込み力を正確に測定するために油圧ジャッキ82、ロードセル83や重機85を適切な位置に設置するための台である。
棒状部材60と押し込み治具81とが鉛直に直線状に(長手方向同軸上に)位置するように接続する。そして、前記図示しない油圧ポンプを作動させて油圧ジャッキ82により押し込み治具81を一定速度で鉛直下方に押し下げ、棒状部材60に押し込み力を付与する。このとき、押し込み力をロードセル83により、変位量を変位計により、それぞれ測定する。そして、これらの押し込み力(鉛直方向の荷重)と変位を図示しない記録部にて、例えば、図8に示すような、変位と荷重との関係を示すグラフとして記録する。押し込み治具61を押し込むと、図6(c)に示すように、改良土10はほとんど付着せずに棒状部材60のみが押し込まれて収容部材70に収容される。
次に、測定した押し込み力から改良地盤の強度を推定し、その品質を確認する工程を行う。棒状部材60を押し込む過程において、微小な初動を示す変位を記録した時に、棒状部材60と改良土10との付着が剥がされたとみなされるので、この時の押し込み力の値が、棒状部材60と改良土10との付着力(摩擦力と粘着力を含む)を示すと推測される。微小な変位を示してからすぐに改良土10から棒状部材60が剥離するので、1つのみの押し込み力の値が有意に得られる。
棒状部材60と改良土10との付着力と、改良土10の土粒子間の付着力との間には、相関関係があると考えることができる。そこで、本実施形態において測定した押し込み力と一軸圧縮強度とのデータを、同じ改良土10について十分に蓄積し、これらの相関関係を求める。これにより、押し込み力から改良土10の一軸圧縮強度を精度良く推測することが可能になる。さらに、改良土の一軸圧縮強度を求めることにより、改良地盤の極限支持力を公知の各種算出方法により推定することができる。このように、原位置試験によって得られた値に基づいて推定するため、改良地盤の強度を精度良く推定することが可能となる。
なお、上記の各実施形態においては、所定期間、例えば28日間を経過して改良土10が完全に固化した後に、棒状部材10,50,60の引き抜き力や押し込み力を測定している。しかしながら、改良土10が完全に固化する前に、棒状部材10,50,60の引き抜き力や押し込み力を測定してもよい。この場合には、所定期間を経過したときと、一定期間、例えば3日間や7日間を経過したときの引き抜き力や押し込み力のデータを同じ改良土10について十分に蓄積し、その相関関係を求めておく。そして、一定期間経過後の引き抜き力から、改良土10が固化したときの引き抜き力や押し込み力を推測し、改良地盤の強度を確認する。これにより、改良地盤の強度を早期に推定することができ、必要な強度を満たしていないときには再改良を行うなど、工期を短縮することが可能となる利点がある。
本発明の第1の実施形態に係る改良地盤の品質確認方法を概念的に説明する縦断面図であり、(a)は棒状部材10を埋設した状態を、(b)は引き抜き治具31を接続した状態を、(c)は棒状部材10を引き抜いた状態をそれぞれ示す。 引き抜き試験機30を概念的に説明する縦断面図である。 変位と荷重との関係を表すグラフの一例である。 本発明の第2の実施形態に係る改良地盤の品質確認方法を概念的に説明する縦断面図であり、(a)は棒状部材50を埋設した状態を、(b)は引き抜き治具31を接続した状態を、(c)は棒状部材50を引き抜いた状態をそれぞれ示す。 変位と荷重との関係を表すグラフの一例である。 本発明の第3の実施形態に係る改良地盤の品質確認方法を概念的に説明する縦断面図であり、(a)は棒状部材60及び収容部材70を埋設した状態を、(b)は押し込み治具81を接続した状態を、(c)は棒状部材60を押し込んだ状態をそれぞれ示す。 押し込み試験機80を概念的に説明する縦断面図である。 変位と荷重との関係を表すグラフの一例である。
符号の説明
10 改良土
20、50、60 棒状部材(部材)
21 拡幅部(先端部)
30 引き抜き試験機
31 引き抜き治具
40 接続部材
51 鋭角部(先端部)
70 収容部材
80 押し込み試験機
81 押し込み治具

Claims (4)

  1. 浅層混合改良地盤の改良土に埋設された部材の引き抜き力を当該改良土の固後に測定し、前記引き抜き力から前記改良土の強度を推定することを特徴とする浅層混合改良地盤の品質確認方法。
  2. 前記部材は、前記改良土の転圧前に、拡幅した先端部を下方にして鉛直に埋め込まれて埋設された棒状部材であることを特徴とする請求項1に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法。
  3. 前記部材は、前記改良土の転圧後に、鋭角な先端部を下方にして鉛直に打ち込まれて埋設された棒状部材であることを特徴とする請求項1に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法。
  4. 前記棒状部材は、凹凸する側面を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の浅層混合改良地盤の品質確認方法。
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