JP4054900B2 - 継ぎ杭の支持力算定方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、継ぎ杭の支持力算定方法に関する。
【0002】
本発明は、支持力が比較的小さい、あるいは軟弱な施工地盤において、既製杭の継ぎ杭を構成する下杭の支持力が既知の評定試験等による公認の算定式により算定でき、継ぎ杭を構成する上杭の周面摩擦力による支持力に関して、下杭のような既知の公認の算定式が利用できない構成の杭基礎の場合に、特に有効である。また、通常の既製杭の周面摩擦力の評価試験においても勿論利用できる。
【0003】
【従来の技術】
(1) 一般に、既製杭を杭穴内に埋設して構築する基礎杭では、既製杭の先端が支持地盤に達し、支持地盤(基礎杭の下端)で発揮される先端支持力と、支持地盤から地上までの周面摩擦力を加味して、その杭基礎の全体で発揮できる支持力を算定していた。
【0004】
この場合、いわゆる認定工法では、特定構造の既製杭を使用して適用を受けた認定に際して支持力算定式が認められている。従って、認定工法では、この算定式を用いて、既製杭の杭径、杭長、地盤特性(N値等)を入力することにより、容易にその既製杭を使用した場合の支持力が算出できた。
【0005】
また、認定を受けていない場合であっても、過去の施工現場における載荷試験の結果を利用して、地盤特性等を補正することにより、容易に支持力を算定できる場合もあった。
【0006】
それ以外の場合には、基礎杭を構築する現場毎に載荷試験を行い、支持力を確認しなければならなかった。また、設計により算出した支持力の妥当性を実際に確認する為に載荷試験を行う場合もあった(非特許文献1)。
【0007】
(2) しかし、載荷試験では、試験対象の既製杭を地盤に埋設し、その試験対象の既製杭の周囲に反力手段として他の既製杭を埋設し、試験対象の既製杭上に加圧手段(一般に油圧式ジャッキ)を設置し、各既製杭及び加圧手段を鉄骨梁で連結して各既製杭等に測定装置(荷重計、変位計、歪み計等)を取り付けて、試験装置を組み立てなければならなかった(非特許文献1)。更に、試験対象の既製杭1本に対して、最低でも計画最大荷重の120%程度に耐えうる反力手段を用意している(非特許文献1)。
【0008】
(3) また、杭穴の底に膨張手段を設置して、試験対象である既製杭を埋設することにより、既製杭の支持力を周面摩擦力と先端支持力とに分離する発明も提案されていた(特許文献1)。この発明では、地上から膨張手段の上部又は下部に加圧流体を伝達して、加圧流体の伝達に応じて、表面摩擦力又は先端支持力を測定する方法であった。また、試験対象の既製杭の下端に、支持具を介在させて、軸方向に作動するジャッキを取り付けて、載荷試験をする方法も提案されていた(特許文献2)。
【0009】
【特許文献1】
特公平6−58270号
【0010】
【特許文献2】
特開平9−61266号
【0011】
【非特許文献1】
社団法人土質工学会,「現場技術者のための土と基礎シリーズ1杭基礎の調査・設計から施工まで」,平成5年5月25日,p.371−383
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
(1) 継ぎ杭の全体に対して、載荷試験をする場合には、実大杭の施工を行い(実際に施工される構造・大きさの継ぎ杭の施工を行い)、荷重の大きさにもよるが、鉛直載荷試験装置の組み立て・試験技術者なども投入されるため、一般的には載荷重1トン当たり1万円前後の費用がかかり、試験荷重としての計画最大荷重は設計支持力の3倍かけることが普通であり、杭径や杭長及び地盤によって変化はするが、通常杭の長期許容支持力は30t〜200t程度が多く、載荷荷重をこの3倍掛けることを考えれば、載荷試験にはいかに膨大な費用がかかることがわかる。工事の規模がある程度大きくないと、載荷試験を実施することも難しいのが現状である。
【0013】
更に、荷重の大きさに応じて、載荷試験装置の規模も大きくなり、組み立て解体・試験などに貴重な現場工期を消費することになり、工事全体の工期の遅れを来す問題点もあった。
【0014】
(2) また、支持力を、周面摩擦力と先端支持力とに分離できれば、上杭のみを載荷試験して、上杭の周面摩擦力のみを測定することにより、継ぎ杭全体の支持力も算定できるはずであるが、前記従来の特許文献1の方法では、大規模な装置を要し、現実的には実施することは困難であった。
【0015】
また、後者の特許文献2の方法では、浮力による高止まり等を防止する目的でなされており、表面摩擦力と先端支持力とを分離するための工夫については記載はなく、現実に分離することはできなかった。
【0016】
即ち、特許文献2の図4にあるように、上部杭の外側面部のソイルセメント12が下杭まで連続して充填され固化層となっており、上下杭の周面支持力が分離できない問題点がある。また、上下杭間のジャッキ部にソイルセメント12が付着あるいは充填されているので、ジャッキでの測定値にソイルセメント12の圧縮強度が付加されており上杭自身の周辺摩擦力による正確な支持力が求め難いものとなっていた。
【0017】
何れの発明でも、セメントミルクなどが充填された場合には、膨張手段やジャッキの周りのセメントミルクが固化するので、現実には実施が難しい。
【0018】
(3) とりわけ、下杭を周面に突起を有するいわゆる節杭とし、上杭をストレート状の杭を採用した継ぎ杭の場合、上杭によって発揮される周面摩擦力を計算上無視した場合には、不経済となる。
【0019】
即ち、上杭の耐震性能を上げるためには、上杭として、外側に鋼管を巻いたコンクリート杭がどうしても必要な場合がある。この場合、鋼管の外側に更に同等の節を形成することは困難であり、また節杭では、構造上このような耐震性能を持つことができないからである。
【0020】
よって、上杭としてこのような耐震性能の高い杭を使用する場合には、地震時における水平力を杭1本当たり大きくとることができ、逆に言えば、長期鉛直荷重はこれに比例して大きくなる。従って、このような杭の構成では、高い鉛直支持力が必要となって、上杭の摩擦力はもちろん、これでも不足する場合は、下杭を延長する等の方策を考える必要があった。
【0021】
【課題を解決するための手段】
然るにこの発明では、試験対象の既製杭の下端に反力吸収手段を取り付けて載荷試験を行うことができるようにしたので、前記問題点を解決した。
【0022】
即ち、この発明は、
(1) 下杭と上杭とを連結してなる継ぎ杭を埋設する杭構造に適用する支持力の算定方法であって、
(2) 前記杭構造は、水硬性充填物が満たされた杭穴内に、前記継ぎ杭を埋設し、前記継ぎ杭の外周面と杭穴壁との間に水硬性充填物の固化層を介在させて構成し、
(3) 前記下杭の発揮する支持力を既存の計算式から算出し、前記上杭の発揮する支持力を、前記杭構造の構築現場又は同様な地盤強度を有する地盤で、前記上杭のみの載荷試験を行い、前記上杭の周面摩擦力のみを計測算出する。
(4) 算出した周面摩擦力及び先端支持力による下杭の支持力と、前記載荷試験での上杭の周面摩擦力による支持力とを合わせて、前記継ぎ杭の杭構造全体の支持力を算出することを特徴とした継ぎ杭の支持力算定方法。
【0023】
また、前記において、上のみの載荷試験は、該上杭の下面に高い圧縮性を有する材料からなる反力吸収手段を取り付け固定し、前記上杭を、水硬性充填物が満たされた杭穴内に埋設して行うことを特徴とする継ぎ杭の支持力算定方法。
【0024】
また、前記において、載荷試験での既製杭の予想沈下距離Lとする場合、
反力吸収手段は、杭穴底と既製杭の下面との間に、距離L以上の空間を確保することができるような、高い圧縮性を有する材料とすることを特徴とした既製杭の周面摩擦力の算定方法である。更に、中空部を有する既製杭の下面を、該既製杭を杭穴内の中央に納めるガイド付きの底板で塞いだ既製杭を使用し、前記杭穴内に充填した水硬性充填物が既製杭の中空部に入らないように、前記既製杭を埋設し、かつ、反力吸収手段が、前記杭穴内の底部の泥土蓄積層より上方に位置できるように、前記既製杭を埋設する既製杭の周面摩擦力の算定方法である。
【0025】
前記における反力吸収手段は、試験対象の既製杭の下面側にセメントミルク等の充填物が浸入せず、かつ試験対象の既製杭の下端が地盤と接続されないようにして、既製杭に反力が生じないようにするための手段である。例えば、可能な限り高い圧縮性を有し、不透水性を有する材料であり、可能な限り比重が小さく、かつ安価に使用できることが望ましく、例えば、発泡スチロールのブロックや、柔軟な袋に流動性を有する材料(液体、発泡スチロール粒等の細粒状の樹脂材料等)を詰めた物を使用することができる。
【0026】
また、既製杭の下面に簡単に取り付けることができ、かつ既製杭を埋設中に外れないことも必要である。尚、取付は既製杭の下端板に固定できる底板等を介して行うことが望ましい。
【0027】
また、前記における水硬性充填物とは、いわゆる杭周固定液又は根固め液のような、セメント等の水硬性材料を基材としたセメントミルクやソイルセメントであり、既製杭の外面と杭穴壁との間に充填される材料である。
【0028】
【発明の実施の形態】
(1) 既製杭1の下面に、ほぼ同一外径の円柱状の発泡スチロール20を固定する。この場合、既製杭1の下端板に底板21を溶接又はボルト等により固定して杭中空部を閉塞し、底板2の下面に発泡スチロール20を固着することが望ましい。地盤に、試験対象のコンクリート製の既製杭1を埋設する(図1(b))。この際、実際に使用する工法と同一の工法で、埋設することが望ましい。ここでは、杭穴12を掘削し、杭周固定液を充填してあるので、既製杭1の外周面及び発泡スチロール20の外面は固化した杭周固定液層14が形成されている。
【0029】
この場合、杭穴12を予め穿設するか否かは任意であり、杭穴12を穿設しない場合には、押し込み、回転押し込み、軽打による場合等任意であり、また、これらを併用することもできる。但し、発泡スチロール10が変形しない方策を採る必要がある。
【0030】
(2) 既製杭1に対して、通常と同様に、杭の載荷試験を行う。この場合、引抜荷重に対しては、既製杭1の外周面4での摩擦で抵抗するので、発揮される周面摩擦力の大きさのみを測定できる。
【0031】
(3) また、鉛直荷重に対して、既製杭1の外周面4での摩擦で抵抗する。また、既製杭は下方に押し込まれ、距離L程度沈下した場合であっても、発泡スチロール20の変形により、杭穴底13からの反力を吸収できる(図1(c))。従って、既製杭1の下端面で発揮される下端支持力を無視できる。
【0032】
尚、既製杭の降下量Lの寸法としては、載荷試験での測定範囲である数mm〜数十mm程度、または、杭軸部外径の最大寸法の10%程度が考えられる。よって、これ以上の沈下を、変形で許容できる寸法の発泡スチロール20を採用する。
【0033】
(4) よって、その地盤で既製杭の外周面が発揮する周面摩擦力のみを測定できる。
【0034】
【実施例1】
図面に基づきこの発明の実施例を説明する。
【0035】
[1]適用する継ぎ杭10
【0036】
(1) 上杭1と下杭6とを接合して一体の継ぎ杭10として使用する場合に適用する(図1(a))。下杭6として、軸部(外径D)7で、節(環状のリブ)8、8を有するコンクリート製の既製杭を使用する。上杭1として、軸部の外径Dのストレート状のコンクリート製の既製杭を使用する。
【0037】
この場合、上杭1と下杭6を何れも節部8、8を有する継ぎ杭10の場合に(図3(a))、所定強度(N値等で特定)の地盤に埋設した構造の基礎杭では、通常、予め載荷試験がなされており、継ぎ杭10の長さに応じた支持力算定式が用意されている。
【0038】
(2) この場合、下杭6を節杭、上杭1をストレート杭とした場合については、載荷試験が成されていないので、本来的には、継ぎ杭10の状態(図1(a))で載荷試験を行い支持力を確認する必要があった。継ぎ杭10の状態での載荷試験をしない場合には、従来では、下杭6の長さのみで算出した周面摩擦力及び先端支持力で、この継ぎ杭10の全体の支持力を算定して、上杭1により発揮される不確かな周面摩擦力を無視する取扱いとしていた。
【0039】
下杭6の節8、8の外径Dに応じて掘削された杭穴12に、継ぎ杭10を埋設した場合には、杭穴12の側壁と上杭1の外面とが一定距離(少なくとも節8の高さ分以上である5〜10cm程度)があるが、通常、杭穴12内に杭周固定液等の充填材を介在させるので、上杭1の周面摩擦力は無視できない値となる。従って、上杭1の周面摩擦力を積極的に利用することが望ましい。
【0040】
[2]載荷試験装置35及び試験方法
【0041】
(1) 試験対象の上杭1の埋設予定位置の周囲に、所定間隔を空けて基準杭19、19を埋設して、その上部を地面から露出させておく。また、上杭1の埋設予定位置の一側に2本ずつ反力杭18A、18B、他側に夫々2本づつ反力杭18C、18Dを埋設する。反力杭18A〜18Dは、1本の上杭1が負担すべき支持力(鉛直荷重)に対して2〜3倍の支持力を発揮できるようなものを使用する。
【0042】
尚、埋設予定位置は、継ぎ杭10の構築現場内の同様な地盤強度の位置が望ましいが、同様な地盤強度を有する地盤であれば、継ぎ杭10の構築現場以外でも可能である。
【0043】
(2) また、支持力の影響を極力減らす為に、先端上杭1の下面3に、底板21を固定して上杭1の中空部5を塞ぐ。更に、底板21の下面に、上杭1の外径Dと同一の外径Dを有する略円柱形の発泡スチロール20の上面を密着固定して、試験杭とする。上杭1の長さに対応した杭穴12を掘削すると共に杭周固定液を充填し、杭穴12内に上杭1を沈設する。この際、上杭1の上端部を所定長さだけ地面から突出させておく。また、上杭1の下面3は、底板21と発泡スチロール20により塞がれて、上杭1の中空部5に杭周固定液が入り込むことはない。また、発泡スチロール20は上杭1と同径であるので、上杭1の下面3にも杭周固定液が入り込むこともなく、発泡スチロール20に杭周固定液が浸透することもない。
【0044】
従って、杭周固定液が固化したならば、発泡スチロール20は、高圧縮性を維持した状態で、外側面(外周)側及び下面側に固化した杭周固定液層に囲まれた状態となる。
【0045】
また、前記における略円柱状の発泡スチロール20の高さLは、発泡スチロールの圧縮性にもよるが、例えば、20倍程度の体積に発泡した発泡スチロール20の場合(上下方向に「高さL/20」まで、圧縮可能)、2分の1以内程度まで圧縮される範囲で使用することが望ましい。従って、最大の鉛直荷重を付加した場合に、予想される上杭1の沈下距離をLとした場合、L=2×L、程度とする。
【0046】
また、前記において、杭周固定液を充填した杭穴12の底13に、杭周固定液と分離した泥土が堆積する場合がある。従って、泥土の堆積を考慮して、発泡スチロール20の下面と杭穴12の底13との間は距離L(L=50〜100cm程度)空けることがのぞましい(図1(a)(b))。これにより、堆積した泥土は発泡スチロール20の下方に留まり、上杭1の外周面4に泥土が至ることがなく、少なくとも上杭1の外周面4は杭周固定液層で満たされるので、正確な周面摩擦力の測定ができる。この場合、発泡スチロール20の外周は、泥土の層又は杭周固定液層のいずれがあっても測定に支障がない。
【0047】
(3) 続いて、上杭1の上面2に台座22、ジャッキ23、台座24を順に載せる。また、一側の反力杭18A、18Bの上面に取付治具25、25を夫々固定し、両反力杭18A、18Bの取付治具25、25間に取付梁26を架設固定する。他側の反力杭18C、18Dでも同様に取付治具25、25、取付梁26を固定する。
【0048】
続いて、上杭1の上方の台座24上に、主梁27の中心の下面を載せ、主梁27の一端部28を反力梁18A、18B間に、他端部29を反力梁18C、18D間に位置させ、主梁27の下面と各取付梁26、26とを固定する。
【0049】
続いて、主梁27の両端部28、29上に、各取付梁26、26と並行に、副梁30を夫々載置し、各副梁30の上面で、反力杭18A〜18Dの直上の位置に、固定材31、31を夫々載置する。各固定材31と取付治具25との間に引張材(ワイヤ)32の両端部を固定して、反力杭18A〜18D、取付用治具25、取付梁26、主梁27、副梁30、固定材31、引張材32を一体に固定する。ここで、引張材32は、副梁30及び取付梁26の両側に配置される。
【0050】
基準梁19と上杭1との間に変位計33を取付、その他必要な取得データに応じて、荷重計、ひずみ計等の計測機器を所定位置に取り付ける。
【0051】
以上のようにして、載荷試験装置35を構成する(図2(a)(b)、図1(b))。
【0052】
(4) 続いて、通常の試験方法に従って、ジャッキ23で上杭1に荷重して、結果を計測する。ここでの試験荷重は、継ぎ杭10の全体の支持力(上杭1の周面摩擦支持力+下杭6の周面摩擦支持力+下杭6の先端支持力)に比して、2分の1〜3分の1程度で十分可能である。なぜなら上杭1の周面摩擦支持力は、単純に杭長に比例し、かつ地盤は、一般に堆積年代により地表に近いほど軟弱なため、杭長の比よりかなり小さいと考えられるからである。
【0053】
この場合、上杭1に下方に向けた荷重をした際に、上杭1は外周面4のみで杭周固定液層14を介して杭穴12に埋設されており、上杭1が下方に移動した場合であっても、発泡スチロール20が変形する(図1(b)(c))。従って、上杭1の下面3に、固化した杭周固定液層14から反力を受けることがない。また、上杭1に引抜力を作用させた場合には、上杭1は外周面4のみで杭周固定液層14を介して地盤に埋設されているので、引抜力に対する支持力は周面摩擦力のみによるものである。また、この際、発泡スチロール20の外周面は杭周固定液層に付着するが、発泡スチロール20は独立気泡の集合体であるので、発泡スチロールの変形作用に影響を与えない。
【0054】
従って、載荷試験で、得られた上杭1による支持力は、上杭1の周面摩擦力による支持力となる。
【0055】
(5) 前記における主梁27、取付治具25、取付梁26、副梁30、固定材31、引張材32等の構成は、ジャッキ23による荷重を上杭1及び反力杭18A〜18Dに、有効に伝達できれば、その構成は任意であり、従来の載荷試験装置で使用される他の構成を採用することもできる(図示していない)。
【0056】
また、前記実施例において、反力杭18A〜Dの全部又は一部は、構築現場で実際に埋設された継ぎ杭10を使用することもできる(図示していない)。
【0057】
この場合、上杭1が負担すべき周面摩擦力は、構築現場で実際に埋設された継ぎ杭10が負担する先端支持力を含む支持力の2分の1以下であるので、構築現場で実際に埋設された継ぎ杭10を反力杭として使用した場合であっても、継ぎ杭10に悪影響が生じることはないので、無駄なく現場施工及び載荷試験ができる。
【0058】
また、前記において、反力手段として、反力杭18A〜18Dを使用したが、グランドアンカー等従来の載荷試験装置に使用される構成であれば、他の構成とすることもできる(図示していない)。
【0059】
また、前記実施例において、底板21は上杭1と略同径の円形としたが、形状は任意である。
【0060】
また、前記実施例において、杭穴12は、節8を有する下杭6の最大外径に応じた径で掘削されるので、上杭1の外径に比して杭穴12が大径で、上杭1の外周面4と杭穴12の側壁とに大きな隙間が生じている場合には、上杭1を杭穴12の中心に配置する為にガイドを設けることが望ましい。
【0061】
例えば、底板21の外周に、等間隔放射状に、略半円径のガイド突起37、37を一体に形成することもできる(図4)。この際、発泡スチロール20の平面形状も、ガイド突起37付きの底板21に一致させる(図4(b)(c))。また、ガイド突起37の先端は杭穴12の内壁に突き刺さらず、滑り易い緩やかな形状(上記の半円形等)が望ましい。また、ガイド突起37の放射方向の突出長さは、杭穴12の径に応じた長さとすることが作業上から望ましい。
【0062】
また、前記実施例において、底板21を使用したが、上杭(既製杭)1の中空部を閉塞して、発泡スチロール20を上杭1に安定して固定することができれば、底板21を不要とすることもできる。例えば、発泡スチロール20の上面側を所定厚さだけ硬化処理して(圧縮性を除去して)、該部を底板21の代わりとすることもできる(図示していない)。
【0063】
[3]継ぎ杭10の支持力の算定
【0064】
(1) 継ぎ杭10の発揮する支持力の内、
a.上杭1が発揮する周面摩擦力による支持力を載荷試験から計測して算出する。
b.長さLの下杭6が発揮される周面摩擦力及び先端支持力を(図3(a))、地盤情報、下杭の口径等の情報を入力して、既存の認定式から算出する。
このa.b.の値を合計すれば、この上杭1と下杭6を接合した継ぎ杭10を杭周固定液が充填された杭穴12内に埋設して構成した基礎杭16の発揮する支持力を算定できる。
【0065】
(2) また、上杭、中杭、下杭、を接合してなる継ぎ杭の場合には、中杭が上杭と同一構造の場合には、中杭を上杭と同じに、中杭及び上杭の全体を上杭として、上記aの載荷試験の対象として取り扱う。また、中杭が下杭と同一構造の場合には、中杭及び下杭の全体を下杭として、上記bの認定式による対象として取り扱う。更に、中杭が上杭・下杭の何れとも異なる構造であれば、中杭のみを別途載荷試験を行い、中杭の発揮する周面摩擦力を計測算出する(図示していない)。従って、3本以上の既製杭を接合した継ぎ杭であっても本発明を適用できる。
【0066】
【発明の効果】
(1) 既製杭の下面に反力吸収手段を固定してなる既製杭を使用した、この発明の載荷試験装置によれば、既製杭の下面で生じる反力を無視できる程度に処理でき、既製杭の周面摩擦力のみを、通常の載荷試験と同様の手順で、極めて容易に測定できる。また、反力吸収手段として、地盤強度との関係から既製杭の沈下量を充分に吸収できる圧縮性を有する材料を選定すれば、先端支持力を無視し正確な周面摩擦力による支持力を計測算出できる。また、求められる測定精度を、使用する反力吸収手段の選定により、容易に調整できる。
【0067】
(2) 従って、上杭のみの載荷試験により計測算出した上杭の周面摩擦力と、下杭の認定計算式から計算した下杭の支持力(下杭の周面摩擦力、先端支持力)から継ぎ杭の支持力を容易に算定できる効果がある。
【0068】
即ち、通常の継ぎ杭全体を載荷試験する場合に比して、試験荷重が2分の1〜3分の1程度となり小規模で簡便な載荷試験装置とできる。また、試験用の既製杭も上杭のみであり、所要資材が半分程度で杭穴掘削・造成も同様に削減できる。従って、試験準備期間および試験期間共に大幅に短縮でき、勿論、経済的である。よって、構築現場での工期に与える影響を少なくして、構築現場での載荷試験を行うことができる。
【0069】
(3) また、試験杭の下面に底板を取り付ける等して、試験杭の中空部にセメントミルク等の水硬性充填物が入らないようにして試験杭を沈下させた場合には、先端支持力の影響を極力軽減でき、精度の高い周面摩擦力を測定できる。
【0070】
(4) とりわけ、継ぎ杭における下層も地盤が悪く下杭の支持力だけでは不足であり、上杭の周面摩擦力による支持力が、継ぎ杭全体の支持力に対して比率が高く無視できない時に特に有効であり、適切な強度の継ぎ杭を設計採用することができる。また、このような比較的支持力の小さい地盤の場合には、周面摩擦力による支持力絶対値が小さいため試験用の基礎杭の造成が容易となり経済的である。
【0071】
(5) また、試験荷重が継ぎ杭の支持力の2分の1〜3分の1程度となるので、現場で実際に埋設した継ぎ杭を、支障無く、反力手段(反力杭)として兼用して使用することができる効果がある。従って、時間的、人的及び費用的に、効率的な載荷試験及び現場施工ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、この発明の実施例を適用する継ぎ杭の正面図、(b)は載荷試験で、反力吸収手段を取り付けて埋設した状態(加重前)の上杭の正面図、(c)は同じく載荷試験による加重で沈下した状態の上杭の正面図である。
【図2】この発明の載荷試験装置で(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図3】この発明の下杭の支持力算定の基となる認定された基礎杭の正面図である。
【図4】(a)はこの発明の他の反力吸収手段及び底板の実施例の平面図で、(b)は(a)のA−A線における断面図、(c)は同じく底面図である。
【符号の説明】
1 上杭
2 上杭の上面
3 上杭の下面
4 上杭の外周面
5 上杭の中空部
6 下杭
7 下杭の軸部
8 下杭の節
10 継ぎ杭
12 杭穴
13 杭穴の底
14 杭周固定液層
16 基礎杭
17 地面
18A〜D 反力杭
19 基準杭
20 発泡スチロール(反力吸収手段)
21 底板
22、24 台座
23 ジャッキ
25 取付治具
27 主梁
30 副梁
32 引張材
33 変位計
35 載荷試験装置
37 ガイド突起

Claims (2)

  1. (1) 下杭と上杭とを連結してなる継ぎ杭を埋設する杭構造に適用する支持力の算定方法であって、
    (2) 前記杭構造は、水硬性充填物が満たされた杭穴内に、前記継ぎ杭を埋設し、前記継ぎ杭の外周面と杭穴壁との間に水硬性充填物の固化層を介在させて構成し、
    (3) 前記下杭の発揮する支持力を既存の計算式から算出し、前記上杭の発揮する支持力を、前記杭構造の構築現場又は同様な地盤強度を有する地盤で、前記上杭のみの載荷試験を行い、前記上杭の周面摩擦力のみを計測算出する。
    (4) 算出した周面摩擦力及び先端支持力による下杭の支持力と、前記載荷試験での上杭の周面摩擦力による支持力とを合わせて、前記継ぎ杭の杭構造全体の支持力を算出することを特徴とした継ぎ杭の支持力算定方法。
  2. 上杭のみの載荷試験は、該上杭の下面に高い圧縮性を有する材料からなる反力吸収手段を取り付け固定し、前記上杭を、水硬性充填物が満たされた杭穴内に埋設して行うことを特徴とする請求項1記載の継ぎ杭の支持力算定方法。
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