以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態の排気浄化装置が適用される内燃機関を示した図である。図1に示した内燃機関は、2つのバンク1A、1Bを備えたいわゆるV型の内燃機関である。バンク1Aには、3つの気筒♯1〜♯3が設けられており、これら3つの気筒が気筒群2Aを構成している。一方、バンク1Bには、3つの気筒♯4〜♯6が設けられており、これら3つの気筒が気筒群2Bを構成している。一方の気筒群2Aの各気筒♯1〜♯3には、それぞれ、燃料噴射弁4A、5A、6Aが配置されている。他方の気筒群2Bの各気筒♯4〜♯6には、それぞれ、燃料噴射弁4B、5B、6Bが配置されている。また、一方の気筒群2Aは、吸気枝管7Aを介して吸気管8に接続されている。他方の気筒群2Bは、吸気枝管7Bを介して吸気管8に接続されている。また、一方の気筒群2Aは、排気枝管9Aを介して排気管10に接続されている。他方の気筒群2Bは、排気枝管9Bを介して排気管10に接続されている。
また、図示した内燃機関は、過給機11を備える。過給機11のコンプレッサ12は、一方の気筒群2Aに接続された吸気枝管7A内に配置されている。一方、過給機11の排気タービン13は、一方の気筒群2Aに接続された排気枝管9A内に配置されている。排気タービン13が配置された方の排気枝管(以下「過給吸気側の排気枝管」という)9A内には、排気タービン13下流のところに三元触媒14Aが配置されている。一方、排気タービン13が配置されていない方の排気枝管(以下「自然吸気側の排気枝管」という)9B内にも、三元触媒14Bが配置されている。また、排気管10内には、NOx触媒15が配置されている。NOx触媒15には、その温度を検出する温度センサ24が取り付けられている。
また、三元触媒14A、14B下流の排気枝管9A、9B内には、それぞれ、排気制御弁16A、16Bが配置されている。排気制御弁16A、16Bは、その開度が全開になっているときに対応する排気枝管9A、9Bの内部通路を完全に開放し、最も多くの排気ガスを該排気制御弁下流に流す。一方、排気制御弁16A、16Bは、その開度が全閉になっているときに対応する排気枝管9A、9Bの内部通路を完全に閉鎖し、該排気制御弁下流に排気ガスが流れないようにする。
さらに、排気タービン13が配置された方の排気枝管9Aの該排気タービン13上流の部分と、排気タービン13が配置されていない方の排気枝管9Bの三元触媒14B上流の部分とは、連通管17によって接続されている。また、吸気管8内には、スロットル弁18、エアフローメータ19、および、エアクリーナ20が配置されている。また、過給機11のコンプレッサ12下流の吸気管8には、該吸気管8内の圧力を検出する圧力センサ25が取り付けられている。
なお、排気制御弁16A、16Bは、内燃機関の運転状態に応じて制御される。例えば、過給機11から最大限の過給効果を得たいときには、過給吸気側の排気枝管9A内に配置されている排気制御弁(以下「過給吸気側の排気制御弁」という)16Aを全開とすると共に、自然吸気側の排気枝管9B内に配置されている排気制御弁(以下「自然吸気側の排気制御弁」という)16Bを全閉とする。これによれば、自然吸気側の排気枝管9Bが接続された気筒群(以下「自然吸気側気筒群」という)2Bから自然吸気側の排気枝管9Bに排出された排気ガスは、全て、連通管17を介して過給吸気側の排気枝管9Aに供給される。このため、過給機11から最大限の過給効果が得られる。一方、例えば、過給機11の過給効果を最小限にしたいときには、過給吸気側の排気制御弁16Aを全閉とすると共に、自然吸気側の排気制御弁16Bを全開とする。これによれば、過給吸気側の排気枝管9Aが接続された気筒群(以下「過給吸気側気筒群」という)2Aから過給吸気側の排気枝管9Aに排出された排気ガスは、全て、連通管17を介して自然吸気側の排気枝管9Bに供給される。このため、過給機11の過給効果が最小限となる。このように、排気制御弁16A、16Bの開度を適宜制御することによって、過給機11の過給効果を制御することができる。
また、三元触媒14A、14Bは、それぞれ、その温度がいわゆる活性温度以上になっているときであって、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比近傍にあるときに、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)、および、HC(炭化水素)を同時に高い浄化率で浄化する。
また、NOx触媒15は、その温度が或る温度範囲にあるときであって、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンとなっているときに、排気ガス中のNOxを吸収または吸着によって保持する。一方、NOx触媒15は、その温度がいわゆる活性温度以上になっているときであって、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比またはそれよりもリッチとなっているときに、保持しているNOxを排気ガス中の還元剤(例えば、HC)によって還元することによって浄化する。以下の説明では、NOx触媒15がNOxを保持したり浄化したりする温度範囲の下限値を「活性温度」と称し、上限値を「NOx保持・浄化上限温度」と称す。
ところで、排気ガス中には、SOx(硫黄酸化物)も含まれている。ここで、NOx触媒15は、NOxだけでなく、排気ガス中のSOxも吸着または吸収によって保持してしまう。このようにNOx触媒15がSOxを保持すると、その分、NOx触媒15が最大限に保持することができるNOxの量が少なくなってしまう。一方、NOx触媒15の温度(以下「NOx触媒温度」という)が或る温度(この温度は、NOx触媒15の活性温度よりも高い)に達しており且つNOx触媒15に流入する空燃比が理論空燃比またはそれよりもリッチな空燃比になっていると、NOx触媒15からSOxが放出される。そこで、NOx触媒15に保持されているSOxの量が或る一定の量に達したときに、NOx触媒15からSOxを放出させる処理(以下「S被毒再生制御」という)を行う。
すなわち、第1実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御では、一方の気筒群において混合気の空燃比を理論空燃比よりもリッチ空燃比とした燃焼(以下「リッチ燃焼」という)を行わせると共に、他方の気筒群において混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーン空燃比とした燃焼(以下「リーン燃焼」という)を行わせるリッチ・リーン燃焼制御を行う。このとき、リッチ燃焼における混合気のリッチ度合とリーン燃焼における混合気のリーン度合とは、NOx触媒に流入する排気ガスの平均空燃比が理論空燃比またはそれよりもリッチな空燃比となるように制御される。これによれば、リッチ燃焼が行われる気筒群から排出される排気ガス中には、多くのHC(炭化水素)が含まれており、リーン燃焼が行われる気筒群から排出される排気ガス中には、多くの酸素が含まれている。そして、これらHCと酸素とがNOx触媒において反応して熱を発生し、NOx触媒温度を上昇させることになる。その後、NOx触媒温度がSOxを放出させる温度(以下「SOx放出温度」という)に達すると、このとき、NOx触媒15に流入する排気ガスの平均空燃比が理論空燃比またはそれよりもリッチな空燃比となっているので、NOx触媒15からSOxが放出される。
さらに、第1実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御では、上記リッチ・リーン燃焼制御中、自然吸気側気筒群2Bから排出される排気ガスに対する排気抵抗(以下「自然吸気側排気抵抗」という)が過給吸気側気筒群2Aから排出される排気ガスに対する排気抵抗(以下「過給吸気側排気抵抗」という)に等しく或いは少なくとも近づくように両排気制御弁16A、16Bの開度を制御するS被毒再生開度制御を行う。すなわち、自然吸気側の排気制御弁16Bの開度が、例えば、図2に示したように、過給吸気側の排気制御弁16Aの開度よりも小さくなるように両排気制御弁16A、16Bの開度を制御する。これによれば、自然吸気側の排気枝管9B内に配置された三元触媒(以下「自然吸気側の三元触媒」という)14Bの過熱が抑制される。すなわち、例えば、自然吸気側の排気制御弁16Bの開度が過給吸気側の排気制御弁16Aの開度に等しい場合、自然吸気側排気抵抗は、過給吸気側排気抵抗よりも低い。この場合、過給吸気側気筒群2Aから排出される排気ガスの少なくとも一部が連通管17を介して自然吸気側の排気枝管9Bに流入することになる。そして、この場合、自然吸気側の三元触媒14Bには、HCを多く含んだ排気ガスと酸素を多く含んだ排気ガスとが流入し、これらHCと酸素とが該三元触媒14Bにおいて反応して熱を発生し、該三元触媒14Bの温度を上昇させ、該三元触媒14Bを過熱させてしまう可能性がある。しかしながら、上述したように、リッチ・リーン燃焼制御中、自然吸気側排気抵抗が過給吸気側排気抵抗に等しく或いは少なくとも近づくように自然吸気側の排気制御弁16Bの開度を制御すれば、過給吸気側気筒群2Aから排出された排気ガスが連通管17を介して自然吸気側の排気枝管9Bに流入することが抑制される。このため、自然吸気側の三元触媒14Bの過熱が抑制されるのである。
図3は、第1実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御を実行するルーチンの一例を示している。図3のルーチンは、NOx触媒15に保持されているSOxの量が予め定められた量に達したときに実行される。図3のルーチンでは、始めに、ステップ10において、S被毒再生制御の実行が許可される条件(以下「S被毒再生許可条件」という)が成立しているか否かが判別される。ここで、S被毒再生許可条件とは、例えば、車速が所定速度以上であり、内燃機関の負荷(以下「機関負荷」という)が所定値以上であり、機関回転数が所定値以上であり、気筒内に吸入される空気の量が所定量以上であることである。
ステップ10において、S被毒再生許可条件が成立していると判別されたときには、ステップ11に進んで、各気筒群2A、2Bにおける燃料噴射量QR、QLが設定される。すなわち、NOx触媒15に流入する排気ガスの平均空燃比が理論空燃比またはそれよりもリッチな空燃比となるように、リッチ燃焼させる気筒群における燃料噴射量QRが設定されると共に、リーン燃焼させる気筒群における燃料噴射量QLが設定される。ここでの燃料噴射量QR、QLは、例えば、機関回転数および機関負荷に基づいてマップ等から算出することによって設定される。
次いで、ステップ12において、リッチ燃焼させる気筒群における点火時期TRが設定されると共に、リーン燃焼させる気筒群における点火時期TLが設定される。ここでの点火時期TR、TLは、例えば、機関回転数および機関負荷に基づいてマップ等から算出することによって設定される。次いで、ステップ13において、自然吸気側の排気制御弁16Bの開度Dnaが設定されると共に、過給吸気側の排気制御弁16Aの開度Dturboが設定される。このとき、開度Dnaは、少なくとも、開度Dturboよりも小さく、この開度Dturboは、例えば、最大開度である。
次いで、ステップ14において、S被毒再生開度制御が実行される。すなわち、ステップ15では、自然吸気側の排気制御弁16Bがその開度がステップ14で設定された開度Dnaとなるように制御されると共に、過給吸気側の排気制御弁16Aがその開度がステップ14で設定された開度Dturboとなるように制御される。次いで、ステップ15において、S被毒再生噴射・点火制御が実行される。すなわち、ステップ15では、ステップ11で設定された燃料噴射量QRの燃料をリッチ燃焼させる気筒群における燃料噴射弁から噴射し、ステップ12で設定された点火時期TRでリッチ燃焼させる気筒群において点火栓により燃料に点火すると共に、ステップ11で設定された燃料噴射量QLの燃料をリーン燃焼させる気筒群における燃料噴射弁から噴射し、ステップ12で設定された点火時期TLでリーン燃焼させる気筒群において点火栓により燃料に点火する。
次いで、ステップ16において、ステップ10でS被毒再生許可条件が成立してから経過した時間、すなわち、実質的にS被毒再生制御が開始されてから経過した時間Trが予め定められた時間Tthを超えた(Tr>Trth)か否かが判別される。ここで、予め定められた時間Trthは、NOx触媒15から全て或いは殆ど全てのSOxを放出させるのに十分な時間に設定されている。ステップ16において、Tr>Trthであると判別されたときには、ステップ17以降が実行される。一方、ステップ16において、Tr≦Trthであると判別されたときには、Tr>Trthであると判別されるまで、ステップ15が繰り返し実行される。
ステップ17では、通常開度制御が実行される。すなわち、S被毒再生制御が行われていないとき、すなわち、内燃機関が通常の運転状態にあるときには、内燃機関の運転状態に応じて排気制御弁16A、16Bの開度を制御する通常開度制御が行われる。ステップ17では、この通常開度制御が実行される。
次いで、ステップ18において、ストイキ噴射・点火制御が実行される。すなわち、ステップ18では、両気筒群2A、2Bにおいて混合気の空燃比を理論空燃比とした燃焼(以下「ストイキ燃焼」という)が行われるように各気筒群における燃料噴射量を制御し、各気筒群2A、2Bにおいて予め定められた点火時期(例えば、燃料の燃焼から出力されるトルクが最も大きくなる点火時期)に点火栓により燃料に点火する。次いで、ステップ19において、ステップ16でTr>Trthであると判別されてから経過した時間、すなわち、ステップ17およびステップ18が実行されている時間Tsが予め定められた時間Tsthを超えた(Ts>Tsth)か否かが判別される。ここで、Ts>Tsthであると判別されたときには、ルーチンが終了する。一方、Ts≦Tsthであると判別されたときには、Ts>Tsthであると判別されるまで、ステップ17およびステップ18が繰り返し実行される。
このように、ステップ18およびステップ19においてストイキ噴射・点火制御を実行することにより、NOx触媒15のNOx保持能力およびNOx浄化能力を早期に回復させることができる。すなわち、ステップ17が実行された直後は、NOx触媒温度は、SOx放出温度以上になっており、この温度は、NOx触媒15がNOxを保持したり浄化したりすることができる温度範囲の上限値(NOx保持・浄化上限温度)よりも高くなっている。したがって、NOx触媒15にNOx保持能力やNOx浄化能力を発揮させるためには、NOx触媒温度をNOx保持・浄化上限温度にまで低下させる必要がある。ここで、ステップ18およびステップ19においてストイキ噴射・点火制御を実行すると、NOx触媒15に流入する排気ガスの温度が低くなる。このため、NOx触媒15の温度を素早く低下させてNOx保持・浄化上限温度にまで素早く低下させることができる。したがって、NOx触媒15のNOx保持能力およびNOx浄化能力を早期に回復させることができるのである。
また、ステップ18およびステップ19においてストイキ噴射・点火制御を実行することにより、NOx触媒15から流出してしまうNOxを少なくすることができる。すなわち、S被毒再生制御が行われていないとき、すなわち、内燃機関が通常の運転状態にあるときには、基本的に、両気筒群2A、2Bにおいてリーン燃焼が行われる。そして、この場合、ストイキ燃焼が行われる場合に比べて各気筒内で発生するNOxが多くなる。一方、上述したように、ステップ17が実行された直後は、NOx触媒温度は、SOx放出温度以上になっており、NOx保持・浄化上限温度よりも高くなっている。したがって、ステップ17が実行された直後に内燃機関を通常の運転状態にしてしまうと、NOx触媒温度がNOx保持・浄化上限温度にまで低下していないにも係わらず、NOx触媒15に多くのNOxが流入し、NOx触媒15から多くのNOxが流出してしまう。しかしながら、ステップ17が実行された後にステップ18およびステップ19を実行すれば、ストイキ噴射・点火制御が一定の時間に亘って実行される。これによれば、NOx触媒温度がNOx保持・浄化上限温度にまで低下していないとしても、NOx触媒15に流入するNOxが少ない。このため、NOx触媒15から流出するNOxが少なくなるのである。もちろん、ステップ19で使用される予め定められた時間TsthをNOx触媒温度がNOx保持温度にまで低下する時間に設定しておけば、図3のルーチンが終了して内燃機関が通常の運転状態とされて両気筒群2A、2Bにおいてリーン燃焼が行われたとしても、NOx触媒温度がNOx保持・浄化上限温度にまで低下しているので、NOx触媒から流出するNOxは全く或いはほとんどない。
次に、第2実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御について説明する。図4に、第2実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御が適用される内燃機関を示した。この内燃機関では、過給機11がウエストゲートバルブ21を備える。ウエストゲートバルブ21は、排気タービン13上流の排気枝管9Aと排気タービン13下流であって三元触媒14A上流の排気枝管9Aとを接続するバイパス通路22内に配置されている。図4に示したように、ウエストゲートバルブ21が全閉とされているときには、排気ガスがバイパス通路22を通って流れることはない。一方、図5に示したように、ウエストゲートバイパス21が開弁されているときには、排気ガスがバイパス通路22を通って排気タービン13上流の排気枝管9Aから排気タービン13下流の排気枝管9Aに流れる。なお、図4および図5に示した内燃機関の残りの構成は、図1に示したものと同じである。
そして、第2実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御においては、第1実施形態の排気浄化装置のリッチ・リーン燃焼制御と同じ制御を行い、一方の気筒群においてリッチ燃焼を行わせると共に、他方の気筒群においてリーン燃焼を行わせる。さらに、第2実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御では、上記リッチ・リーン燃焼制御中、自然吸気側排気抵抗が過給吸気側排気抵抗に等しく或いは少なくとも近づくようにウエストゲートバルブの開度を大きくし、好ましくは、全開とする。これによれば、過給吸気側気筒群2Aから排出される排気ガスのうち、連通管17を介して自然吸気側の排気枝管9Bに流入する排気ガスの量が少なくなるので、第1実施形態と同じ理由から、自然吸気側の三元触媒14Bの過熱が抑制される。
なお、第2実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御において、ウエストゲートバルブ21を全開としても、自然吸気側排気抵抗が過給吸気側排気抵抗に等しくならない場合、自然吸気側の排気制御弁16Bの開度を制御することによって、自然吸気側排気抵抗を過給吸気側排気抵抗に等しくし或いはより近づけるようにしてもよい。
図6は、第2実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御を実行するルーチンの一例を示している。図6のルーチンは、NOx触媒15に保持されているSOxの量が予め定められた量に達したときに実行される。図6のルーチンでは、始めに、ステップ20において、S被毒再生許可条件(これは、図3のルーチンに関連して説明したS被毒再生許可条件と同じものである)が成立しているか否かが判別される。
ステップ20において、S被毒再生許可条件が成立していると判別されたときには、ステップ21に進んで、各気筒群2A、2Bにおける燃料噴射量QR、QLが設定される。すなわち、NOx触媒15に流入する排気ガスの平均空燃比が理論空燃比またはそれよりもリッチな空燃比となるように、リッチ燃焼させる気筒群における燃料噴射量QRが設定されると共に、リーン燃焼させる気筒群における燃料噴射量QLが設定される。ここでの燃料噴射量QR、QLは、例えば、機関回転数および機関負荷に基づいてマップ等から算出することによって設定される。
次いで、ステップ22において、リッチ燃焼させる気筒群における点火時期TRが設定されると共に、リーン燃焼させる気筒群における点火時期TLが設定される。ここでの点火時期TR、TLは、例えば、機関回転数および機関負荷に基づいてマップ等から算出することによって設定される。次いで、ステップ23において、S被毒再生ウエストゲートバルブ開度制御が実行される。すなわち、ステップ23では、過給を必要としない運転領域においては、ウエストゲートバルブ21が全開とされる。次いで、ステップ24において、S被毒再生噴射・点火制御が実行される。すなわち、ステップ24では、ステップ21で設定された燃料噴射量QRの燃料をリッチ燃焼させる気筒群における燃料噴射弁から噴射し、ステップ22で設定された点火時期TRでリッチ燃焼させる気筒群において点火栓により燃料に点火すると共に、ステップ21で設定された燃料噴射量QLの燃料をリーン燃焼させる気筒群における燃料噴射弁から噴射し、ステップ22で設定された点火時期TLでリーン燃焼させる気筒群において点火栓により燃料に点火する。
次いで、ステップ25において、ステップ20でS被毒再生許可条件が成立してから経過した時間、すなわち、実質的にS被毒再生制御が開始されてから経過した時間Trが予め定められた時間Tthを超えた(Tr>Trth)か否かが判別される。ここで、予め定められた時間Trthは、図3のルーチンのステップ16における予め定められた時間Trthと同じものである。ステップ25において、Tr>Trthであると判別されたときには、ステップ26以降が実行される。一方、ステップ25において、Tr≦Trthであると判別されたときには、Tr>Trthであると判別されるまで、ステップ24が繰り返し実行される。なお、ステップ25では、経過時間を判別に使用しているが、触媒温度を計測または推測し、その温度が所定値を超えるまでステップ24を繰り返し実行してもよい。
ステップ26では、通常ウエストゲートバルブ開度制御が実行される。すなわち、S被毒再生制御が行われていないとき、すなわち、内燃機関が通常の運転状態にあるときには、内燃機関の運転状態に応じてウエストゲートバルブ21の開度を制御する通常ウエストゲートバルブ開度制御が行われる。ステップ26では、この通常ウエストゲートバルブ開度制御が実行される。
次いで、ステップ27において、ストイキ噴射・点火制御(これは、図3のルーチンのステップ18のストイキ噴射・点火制御と同じものである)が実行される。次いで、ステップ28において、ステップ25でTr>Trthであると判別されてから経過した時間、すなわち、ステップ26およびステップ27が実行されている時間Tsが予め定められた時間Tsthを超えた(Ts>Tsth)か否かが判別される。ここで、予め定められた時間Tsthは、図3のルーチンのステップ19における予め定められた時間Tsthと同じものである。ステップ28において、Ts>Tsthであると判別されたときには、ルーチンが終了する。一方、Ts≦Tsthであると判別されたときには、Ts>Tsthであると判別されるまで、ステップ26およびステップ27が繰り返し実行される。
次に、第3実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御について説明する。図7に、第3実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御が適用される内燃機関を示した。この内燃機関では、連通管17内に連通制御弁23が配置されている。図7に示したように、連通制御弁23が開弁されているときには、排気ガスが連通管17を通って流れることができる。一方、図8に示したように、連通制御弁23が全閉とされているときには、排気ガスが連通管17を通って流れることはできない。なお、図7および図8に示した内燃機関の構成は、図1に示したものと同じである。
そして、第3実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御においては、第1実施形態の排気浄化装置のリッチ・リーン燃焼制御と同じ制御を行い、一方の気筒群においてリッチ燃焼を行わせると共に、他方の気筒群においてリーン燃焼を行わせる。さらに、第3実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御では、上記リッチ・リーン燃焼制御中、図8に示されているように、連通制御弁23を全閉とする。これによれば、過給吸気側気筒群2Aから排出される排気ガスが連通管17を介して自然吸気側の排気枝管9Bに流入することがないので、第1実施形態と同じ理由から、自然吸気側の三元触媒14Bの過熱が抑制される。
図9は、第3実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御を実行するルーチンの一例を示している。図9のルーチンは、NOx触媒15に保持されているSOxの量が予め定められた量に達したときに実行される。図9のルーチンでは、始めに、ステップ30において、S被毒再生許可条件(これは、図3のルーチンに関連して説明したS被毒再生許可条件と同じものである)が成立しているか否かが判別される。
ステップ30において、S被毒再生許可条件が成立していると判別されたときには、ステップ31に進んで、各気筒群2A、2Bにおける燃料噴射量QR、QLが設定される。すなわち、NOx触媒15に流入する排気ガスの平均空燃比が理論空燃比またはそれよりもリッチな空燃比となるように、リッチ燃焼させる気筒群における燃料噴射量QRが設定されると共に、リーン燃焼させる気筒群における燃料噴射量QLが設定される。ここでの燃料噴射量QR、QLは、例えば、機関回転数および機関負荷に基づいてマップ等から算出することによって設定される。
次いで、ステップ32において、リッチ燃焼させる気筒群における点火時期TRが設定されると共に、リーン燃焼させる気筒群における点火時期TLが設定される。ここでの点火時期TR、TLは、例えば、機関回転数および機関負荷に基づいてマップ等から算出することによって設定される。次いで、ステップ33において、S被毒再生CV開度制御が実行される。すなわち、ステップ23では、連通制御弁23が全閉とされる。次いで、ステップ34において、S被毒再生噴射・点火制御が実行される。すなわち、ステップ34では、ステップ31で設定された燃料噴射量QRの燃料をリッチ燃焼させる気筒群における燃料噴射弁から噴射し、ステップ32で設定された点火時期TRでリッチ燃焼させる気筒群において点火栓により燃料に点火すると共に、ステップ31で設定された燃料噴射量QLの燃料をリーン燃焼させる気筒群における燃料噴射弁から噴射し、ステップ32で設定された点火時期TLでリーン燃焼させる気筒群において点火栓により燃料に点火する。
次いで、ステップ35において、ステップ30でS被毒再生許可条件が成立してから経過した時間、すなわち、実質的にS被毒再生制御が開始されてから経過した時間Trが予め定められた時間Tthを超えた(Tr>Trth)か否かが判別される。ここで、予め定められた時間Trthは、図3のルーチンのステップ16における予め定められた時間Trthと同じものである。ステップ35において、Tr>Trthであると判別されたときには、ステップ36以降が実行される。一方、ステップ35において、Tr≦Trthであると判別されたときには、Tr>Trthであると判別されるまで、ステップ34が繰り返し実行される。
ステップ36では、通常CV開度制御が実行される。すなわち、S被毒再生制御が行われていないとき、すなわち、内燃機関が通常の運転状態にあるときには、内燃機関の運転状態に応じて連通制御弁23の開度を制御する通常CV開度制御が行われる。ステップ36では、この通常CV開度制御が実行される。
ついで、ステップ37において、ストイキ噴射・点火制御(これは、図3のルーチンのステップ18のストイキ噴射・点火制御と同じものである)が実行される。次いで、ステップ38において、ステップ35でTr>Trthであると判別されてから経過した時間、すなわち、ステップ36およびステップ37が実行されている時間Tsが予め定められた時間Tsthを超えた(Ts>Tsth)か否かが判別される。ここで、予め定められた時間Tsthは、図3のルーチンのステップ19における予め定められた時間Tsthと同じものである。ステップ38において、Ts>Tsthであると判別されたときには、ルーチンが終了する。一方、Ts≦Tsthであると判別されたときには、Ts>Tsthであると判別されるまで、ステップ36およびステップ37が繰り返し実行される。
次に、第4実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御について説明する。第4実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御が適用される内燃機関は、図1に示した内燃機関である。第4実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御においては、S被毒再生制御を実行すべきであると判定されたとき、第1実施形態の排気浄化装置のリッチ・リーン燃焼制御およびS被毒再生開度制御を行う前に、まず、NOx触媒温度を上昇させる。すなわち、過給吸気側気筒群2Aから排出された排気ガスのうち、連通管17および自然吸気側の排気枝管9Bを介してNOx触媒15に流入する排気ガスの量ができるだけ多くなるように、特に、好ましくは、過給吸気側気筒群2Aから排出された排気ガスの全てが連通管17および自然吸気側の排気枝管9Bを介してNOx触媒15に流入するように、両排気制御弁16A、16Bの開度を制御するS被毒再生前開度制御を行う。すなわち、少なくとも、過給吸気側の排気制御弁16Aの開度を小さくし、或いは、自然吸気側の排気制御弁16Bの開度を大きくし、或いは、過給吸気側の排気制御弁16Aの開度を小さくすると共に自然吸気側の排気制御弁16Bの開度を大きくし、特に、好ましくは、過給吸気側の排気制御弁16Aを全閉とする(もちろん、過給吸気側の排気制御弁16Aを全閉とする場合、自然吸気側の排気制御弁16Bを全開としてもよい)。これによれば、熱容量が大きい排気タービンを通過する排気ガスの量が少なくなり、その結果、NOx触媒15にもたらされる排気ガスの熱量が多くなるので、NOx触媒温度が上昇することになる。
そして、その後、NOx触媒温度がSOx放出温度に達したときに、第1実施形態の排気浄化装置のリッチ・リーン燃焼制御と同じ制御を行うと共に、第1実施形態の排気浄化装置のS被毒再生開度制御と同じ制御を行う。或いは、NOx触媒温度がSOx放出温度に達していなくても、そのときの内燃機関の運転状態(特に、機関回転数および機関負荷)において最大限に上昇させることができるNOx触媒温度に達しているときにも、第1実施形態の排気浄化装置のリッチ・リーン燃焼制御と同じ制御を行うと共に、第1実施形態の排気浄化装置のS被毒再生開度制御と同じ制御を行う。すなわち、例えば、内燃機関が低負荷低回転の運転状態にあるときには、過給吸気側気筒群2Aから排出された排気ガスのうち、連通管17および自然吸気側の排気枝管9Bを介してNOx触媒15に流入する排気ガスの量を多くしたとしても、NOx触媒温度をSOx放出温度にまで上昇させることができないことがある。この場合に、NOx触媒温度がSOx放出温度に達するまで、上記リッチ・リーン燃焼制御およびS被毒再生開度制御の実行を待機していると、長期間に亘って実質的なS被毒再生制御が実行されないことになる。そこで、第4実施形態では、NOx触媒温度がSOx放出温度に達していなくても、そのときの内燃機関の運転状態において最大限に上昇させることができるNOx触媒温度に達していれば、上記リッチ・リーン燃焼制御およびS被毒再生開度制御を行うのである。
なお、上述したS被毒再生前開度制御の実行中、両気筒群2A、2Bにおいて混合気の空燃比を理論空燃比とした燃焼(ストイキ燃焼)を行わせ、或いは、少なくとも、自然吸気側の気筒群2Bにおいてストイキ燃焼を行わせるようにしてもよい。
図10は、第4実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御を実行するルーチンの一例を示している。図10のルーチンは、NOx触媒15に保持されているSOxの量が予め定められた量に達したときに実行される。図10のルーチンでは、始めに、ステップ40において、S被毒再生許可条件(これは、図3のルーチンに関連して説明したS被毒再生許可条件と同じものである)が成立しているか否かが判別される。
ステップ40において、S被毒再生許可条件が成立していると判別されたときには、ステップ41に進んで、S被毒再生前開度制御が実行される。すなわち、ステップ41では、過給吸気側の排気制御弁16Aが全閉とされると共に、自然吸気側の排気制御弁16Bが全開とされる。次いで、ステップ42において、通常噴射・点火制御が実行される。すなわち、S被毒再生制御が行われていないとき、すなわち、内燃機関が通常の運転状態にあるときと同じように、燃料噴射弁4A、5A、6A、4B、5B、6Bから燃料が噴射されると共に点火栓によって燃料が点火される。
次いで、ステップ43において、NOx触媒温度TnがSOx放出温度Tnthを超えた(Tn>Tnth)か否かが判別される。ここで、Tn>Tnthであると判別されたときには、ステップ45に進む。一方、Tn≦Tnthであると判別されたときには、ステップ44に進んで、NOx触媒温度Tnがそのときの内燃機関の運転状態において最大限に上昇させることができるNOx触媒温度Tnlimに達している(Tn≧Tnlim)か否かが判別される。ここで、Tn≧Tnlimであると判別されたときには、ステップ45に進む。一方、Tn<Tnlimであると判別されたときには、ステップ42およびステップ43が繰り返される。
そして、ステップ45では、図3のルーチンのステップ11〜ステップ19の制御が実行される。
次に、第5実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御について説明する。第5実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御が適用される内燃機関は、図4に示した内燃機関である。第5実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御においては、S被毒再生制御を実行すべきであると判定されたとき、第1実施形態の排気浄化装置のリッチ・リーン燃焼制御およびS被毒再生開度制御を行う前に、まず、NOx触媒温度を上昇させる。すなわち、第5実施形態の排気浄化装置が適用される内燃機関では、大部分の運転状態において、各気筒においてリーン燃焼が行われている。ここで、S被毒再生制御を実行すべきであると判定されたとき、両気筒群2A、2Bにおいて混合気の空燃比を理論空燃比とした燃焼(ストイキ燃焼)を行わせる。これによれば、各気筒群2A、2Bから排出される排気ガス中のNOxの量が少なくなる。
そして、これと共に、内燃機関が過給機11によって過給した状態で空気を各気筒に供給する状態(以下「過給吸気状態」という)にあることを要求されているか否かを判定する。ここで、内燃機関が過給吸気状態にあることを要求されていない、すなわち、内燃機関が過給機11によって過給した状態で空気を各気筒に供給するのではなく、自然状態で空気を各気筒に供給すること(以下「自然吸気状態」という)にあることが要求されていると判定された場合、過給吸気側の排気制御弁16Aを全閉とすると共に、自然吸気側の排気制御弁16Bを開弁しておく(好ましくは、自然吸気側の排気制御弁16Bを全開とする)。これによれば、両気筒群2A、2Bから排出された排気ガスが、全て、自然吸気側の排気枝管9Bを介してNOx触媒15に流入する。すなわち、NOx触媒15に流入する排気ガスとして、熱容量の大きい過給機11の排気タービン13を通ってNOx触媒15に流入する排気ガスはない。したがって、NOx触媒15に流入する排気ガスの温度が比較的高いので、NOx触媒温度を素早く上昇させることができる。もちろん、このとき、排気タービン13を通過する排気ガスがないのであるから、内燃機関に要求されている自然吸気状態も達成されている。なお、その後、NOx触媒温度がSOx放出温度に達したときには、上記リッチ・リーン燃焼制御を行うと共に上記S被毒再生開度制御を行う。また、内燃機関が過給吸気状態にあることが要求されていると判定された場合、少なくとも、過給吸気側の排気制御弁16Aを開弁しておくと共に、ウエストゲートバルブ23を全閉とする。
図11は、第5実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御を実行するルーチンの一例を示している。図11のルーチンは、NOx触媒15に保持されているSOxの量が予め定められた量に達したときに実行される。図11のルーチンでは、始めに、ステップ50において、S被毒再生許可条件(これは、図3のルーチンに関連して説明したS被毒再生許可条件と同じものである)が成立しているか否かが判別される。
ステップ50において、S被毒再生許可条件が成立していると判別されたときには、ステップ51に進んで、ストイキ噴射・点火制御が実行される。すなわち、ステップ51では、両気筒群2A、2Bにおいてストイキ燃焼が行われるように各気筒群における燃料噴射量を制御し、各気筒群2A、2Bにおいて予め定められた点火時期(例えば、燃料の燃焼から出力されるトルクが最も大きくなる点火時期)に点火栓により燃料に点火する。
次いで、ステップ52において、内燃機関が過給吸気状態にあることが要求されていないか否かが判別される。ここで、内燃機関が過給吸気状態にあることが要求されていないと判別されたときには、ステップ53に進んで、S被毒再生前ECV開度制御が実行される。すなわち、ステップ53では、過給吸気側の排気制御弁16Aを全閉とすると共に、自然吸気側の排気制御弁16Bを全開とする。次いで、ステップ54において、NOx触媒温度TnがSOx放出温度Tnthを超えた(Tn>Tnth)か否かが判別される。ここで、Tn>Tnthであると判別されたときには、ステップ56に進む。一方、Tn≦Tnthであると判別されたときには、ステップ55に進んで、NOx触媒温度Tnがそのときの内燃機関の運転状態において最大限に上昇させることができるNOx触媒温度Tnlimに達している(Tn≧Tnlim)か否かが判別される。ここで、Tn≧Tnlimであると判別されたときには、ステップ56に進む。一方、Tn<Tnlimであると判別されたときには、ステップ53およびステップ54が繰り返される。そして、ステップ56では、図3のルーチンのステップ11〜ステップ19の制御が実行される。
一方、ステップ52において、内燃機関が過給吸気状態にあることが要求されていると判別されたときには、ステップ57に進んで、S被毒再生前ECV・ウエストゲートバルブ開度制御が実行される。すなわち、ステップ57では、過給吸気側の排気制御弁16を全開とすると共にウエストゲートバルブ23を全閉とし、自然吸気側の排気制御弁16を全閉とする。これによれば、両気筒群2A、2Bから排出される排気ガスの全てが排気タービン13を通ることになるので、内燃機関に要求されている過給吸気状態が達成される。
次に、第6実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御について説明する。第6実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御が適用される内燃機関は、図4に示した内燃機関である。第6実施形態のS被毒再生制御においては、S被毒再生制御を実行すべきであると判定されたとき、第1実施形態の排気浄化装置のリッチ・リーン燃焼制御およびS被毒再生開度制御と同じ制御を行う。そして、NOx触媒15に保持されているSOxの量が予め定められた量(好ましくは、零)にまで減少したとき、これらリッチ・リーン燃焼制御およびS被毒再生開度制御を終了して、以下の制御を行う。
すなわち、NOx触媒15に流入する排気ガスのうち過給機11を通った排気ガスの割合ができるだけ多くなるように過給吸気側の排気制御弁16Aの開度を大きくする(好ましくは、全開とする)と共に自然吸気側の排気制御弁16Bの開度を小さくする(好ましくは、全閉とする)。これによれば、NOx触媒15に流入する排気ガスのうち過給機11を通った排気ガスの割合が多くなる。ここで、過給機11を通ってNOx触媒15に流入する排気ガスの温度は、連通管17を介してNOx触媒に流入した場合に比べて低くなる。したがって、その分、NOx触媒15に流入する排気ガスの温度が低くなり、NOx触媒温度がより早期にNOx保持・浄化上限温度に達することになる。
また、内燃機関が過給吸気状態にあることが要求されていない、すなわち、自然吸気状態にあることが要求されているときには、ウエストゲートバルブ23の開度を大きくする(好ましくは、全開とする)と共に過給吸気側の排気制御弁16Aの開度を大きくし(好ましくは、全開とし)、自然吸気側の排気制御弁16Bの開度を小さくする(好ましくは、全閉とする)。これによれば、排気ガスの少なくとも一部が過給機11のバイパス通路22を通ることになる。ここで、バイパス通路22を通ってNOx触媒15に流入する排気ガスの温度は、連通管17を介してNOx触媒に流入した場合に比べて低くなる。したがって、その分、NOx触媒15に流入する排気ガスの温度が低くなり、NOx触媒温度がより早期にNOx保持・浄化上限温度に達することになる。そして、このとき、ウエストゲートバルブ23が開弁しているので、排気タービン13を通る排気ガスはなく(或いは、排気タービン13を通る排気ガスの量は極めて少なく)、内燃機関に要求されている自然吸気状態が達成されていると言える。
一方、内燃機関が過給吸気状態にあることが要求されていると判定された場合、過給吸気側の排気制御弁16Aの開度を大きくする(好ましくは、全開とする)と共にウエストゲートバルブ23の開度を小さくし(NOx触媒15に流入する排気ガスの温度をできるだけ低くするという観点からは、好ましくは、全閉とし)、自然吸気側の排気制御弁16Bの開度を小さくする(NOx触媒15に流入する排気ガスの温度をできるだけ低くするという観点からは、好ましくは、全閉とする)。これによれば、排気ガスの多くが過給機11の排気タービン13を通ることになる。ここで、排気タービン13を通ってNOx触媒15に流入する排気ガスの温度は、バイパス通路23や連通管17を通ってNOx触媒15に流入した場合に比べて大幅に低くなる。したがって、その分、NOx触媒15に流入する排気ガスの温度が低くなり、NOx触媒温度がより早期にNOx保持・浄化上限温度に達することになる。なお、このとき、排気ガスの多くが排気タービン13を通過するので、内燃機関に要求されている過給吸気状態が達成されていると言える。
図12は、第6実施形態の排気浄化装置のS被毒再生制御を実行するルーチンの一例を示している。図12のルーチンは、NOx触媒15に保持されているSOxの量が予め定められた量に達したときに実行される。図12のルーチンでは、始めに、ステップ60において、S被毒再生許可条件(これは、図3のルーチンに関連して説明したS被毒再生許可条件と同じものである)が成立しているか否かが判別される。
ステップ60において、S被毒再生許可条件が成立していると判別されたときには、ステップ61に進んで、S被毒再生制御が実行される。ここでのS被毒再生制御では、図3のステップ11〜ステップ19が実行される。次いで、ステップ62において、ストイキ噴射・点火制御が実行される。すなわち、ステップ62では、両気筒群2A、2Bにおいてストイキ燃焼が行われるように各気筒群における燃料噴射量を制御し、各気筒群2A、2Bにおいて予め定められた点火時期(例えば、燃料の燃焼から出力されるトルクが最も大きくなる点火時期)に点火栓により燃料に点火する。
次いで、ステップ63において、内燃機関が過給吸気状態にあることが要求されていないか否かが判別される。ここで、内燃機関が過給吸気状態にあることが要求されていないと判別されたときには、ステップ64に進んで、S被毒再生後ECV・ウエストゲートバルブ開度制御Iが実行される。すなわち、ステップ64では、自然吸気側の排気制御弁16Bを全開としたままで、過給吸気側の排気制御弁16Aを全開とすると共にウエストゲートバルブ23を全開とする。一方、ステップ63において、内燃機関が過給吸気状態にあることが要求されていると判別されたときには、ステップ66に進んで、S被毒再生後ECV・ウエストゲートバルブ開度制御IIが実行される。すなわち、ステップ66では、過給吸気側の排気制御弁16Aを全閉とすると共に、自然吸気側の排気制御弁14Bを全開とする。
そして、ステップ65において、NOx触媒温度TnがNOx保持・浄化上限温度Tnmax以下である(Tn≦Tnmax)か否かが判別される。ここで、Tn≦Tnmaxであると判別されたときには、ルーチンが終了する。一方、Tn>Tnmaxであると判別されたときには、ステップ62以降のステップが適宜実行される。
なお、上述したリッチ・リーン燃焼制御において、リッチ燃焼させる気筒群における点火時期をリーン燃焼させる気筒群における点火時期よりも遅く(遅角)する、特に、リッチ燃焼させる気筒群における点火時期を上記基準点火時期よりも遅く(遅角)すると共に、リーン燃焼させる気筒群における点火時期を上記基準点火時期よりも早く(進角)するようにすると、各気筒群における燃焼から出力されるトルクが均一化させるという点で有利である。
また、上述したリッチ・リーン燃焼制御において、リッチ燃焼させる気筒群を過給吸気側気筒群2Aとしても自然吸気側気筒群2Bとしてもよい(すなわち、リーン燃焼させる気筒群を過給吸気側気筒群2Aとしても自然吸気側気筒群2Bとしてもよい)。しかしながら、特に、リッチ燃焼させる気筒群を過給吸気側気筒群2Aとし、リーン燃焼させる気筒群を自然吸気側気筒群2Bとしてもよく、この場合、自然吸気側の三元触媒14Bの過熱が抑制される。すなわち、リッチ燃焼した気筒群から排出される排気ガスの温度は、比較的高い。このため、リッチ燃焼させる気筒群を自然吸気側気筒群2Bとすると、高温の排気ガスがそのまま自然吸気側の三元触媒14Bに流入し、該三元触媒14Bが過熱されるおそれがある。しかしながら、リッチ燃焼させる気筒群を過給吸気側気筒群2Aとすれば、高温の排気ガスは、自然吸気側の三元触媒14Bには流入しないので、自然吸気側の三元触媒14Bの過熱が抑制されるのである。なお、リッチ燃焼させる気筒群を過給吸気側気筒群2Aとした場合、過給吸気側気筒群2Aから高温の排気ガスが排出されることになるが、この排気ガスは、過給機11の排気タービン13を通過してから過給吸気側の三元触媒14Aに流入する。ここで、排気タービン13は熱容量が比較的大きいので、排気ガスが排気タービン13を通過するとき、排気ガスの温度が低くなる。したがって、過給吸気側気筒群2Aにおいてリッチ燃焼させたとしても、過給吸気側の三元触媒14Aには比較的低温の排気ガスしか流入しないことになり、過給吸気側の三元触媒14Aが過熱するおそれはない。
なお、上述したリッチ・リーン燃焼制御では、一方の気筒群ではリッチ燃焼のみを行わせ、他方の気筒群ではリーン燃焼のみを行わせているが、両気筒群においてリッチ燃焼とリーン燃焼とを交互に行わせるようにしてもよい。すなわち、一方の気筒群においてリッチ燃焼を行わせると共に他方の気筒群においてリーン燃焼を行わせ、その後、リッチ燃焼を行わせていた気筒群においてリーン燃焼を行わせると共に、リーン燃焼を行わせていた気筒群においてリッチ燃焼を行わせるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、リッチ・リーン燃焼制御中に常にS被毒再生開度制御を実行しているが、例えば、リッチ・リーン燃焼制御中に自然吸気側の三元触媒14Bの温度を監視し、該三元触媒14Bの温度が予め定められた温度よりも高くなったときにS被毒再生開度制御を実行するようにしてもよい。
次に、第7実施形態の排気浄化装置について説明する。第7実施形態の排気浄化装置が適用される内燃機関は、図4に示した内燃機関である。ところで、NOx触媒15は、その温度が活性温度以上であって且つNOx保持・浄化上限温度以下であるときに、NOx浄化作用を呈する。そこで、第7実施形態の排気浄化装置では、NOx触媒温度を活性温度以上であって且つNOx保持・浄化上限温度以下となるようにNOx触媒温度を制御するNOx触媒温度制御を行う。すなわち、具体的には、NOx触媒温度がNOx保持・浄化上限温度よりも高くなっているときには、内燃機関が自然吸気状態にあることが要求されていることを条件として、ウエストゲートバルブ21の開度を大きくする(好ましくは、全開とする)と共に過給吸気側の排気制御弁16Aの開度を大きくし(好ましくは、全開とする)、自然吸気側の排気制御弁16Bの開度を小さくする(好ましくは、全閉とする)。これによれば、過給吸気側気筒群2Aから排出された排気ガスのうち過給機11のバイパス通路22を通ってNOx触媒15に流入する排気ガスの量が多くなる。ここで、排気ガスの温度は、連通管17を介して自然吸気側の排気枝管9BからNOx触媒15に流入する場合よりも、過給機11のバイパス通路22を通って過給吸気側の排気枝管9AからNOx触媒15に流入する場合の方が低い。したがって、これによれば、NOx触媒温度を低下させ、やがて、NOx保持・浄化上限温度以下にすることができる。もちろん、このとき、内燃機関に要求されている自然吸気状態も達成されている。
一方、NOx触媒温度が活性温度よりも低くなっているときには、内燃機関が自然吸気状態にあることを条件として、過給吸気側の排気制御弁16Aを全閉とし(或いは、開度を小さくするだけでもよいが、この場合、ウエストゲートバルブ21の開度を大きくすることが好ましく、全開とすることがさらに好ましい)、自然吸気側の排気制御弁16Bの開度を大きくする(好ましくは、全開とする)。これによれば、過給吸気側気筒群2Aから排出された排気ガスのうち連通管17を介して自然吸気側の排気枝管9BからNOx触媒15に流入する排気ガスの量が多くなる。ここで、排気ガスの温度は、過給機11を通って過給吸気側の排気枝管9AからNOx触媒15に流入する場合よりも、連通管17を介して自然吸気側の排気枝管9BからNOx触媒15に流入する場合の方が高い。したがって、これによれば、NOx触媒温度を上昇させ、やがて、活性温度以上にすることができる。もちろん、このとき、内燃機関に要求されている自然吸気状態も達成されている。
図13は、第7実施形態の排気浄化装置のNOx触媒温度制御を実行するルーチンの一例を示している。図13のルーチンでは、始めに、ステップ70において、内燃機関が自然吸気状態にあることが要求されているか否かが判別される。ここで、内燃機関が自然吸気状態にあることが要求されていないと判別されたときには、そのままルーチンを終了する。一方、内燃機関が自然吸気状態にあることが要求されていると判別されたときには、ステップ71に進んで、NOx触媒温度TnがNOx保持・浄化上限温度Tnmaxよりも高い(Tn>Tnmax)か否かが判別される。ここで、Tn>Tnmaxであると判別されたときには、ステップ72に進んで、ウエストゲートバルブ21を全開とし、次いで、ステップ73において、過給吸気側の排気制御弁16Aを全開とし、次いで、ステップ74において、自然吸気側の排気制御弁16Bを全閉とする。
一方、ステップ71において、Tn≦Tnmaxであると判別されたときには、ステップ75に進んで、NOx触媒温度Tnが活性温度Tnminよりも低い(Tn<Tnmin)か否かが判別される。ここで、Tn<Tnminであると判別されたときには、ステップ76に進んで、過給吸気側の排気制御弁16Aを全閉とし、次いで、ステップ77において、自然吸気側の排気制御弁16Bを全閉とする。
次に、第8実施形態の排気浄化装置のNOx触媒温度制御について説明する。第8実施形態の排気浄化装置のNOx触媒温度制御が適用される内燃機関は、図4に示した内燃機関である。第8実施形態の排気浄化装置のNOx触媒温度制御は、機関回転数が比較的小さく且つ機関負荷が比較的小さい状態を「軽負荷状態」と称し、機関回転数が比較的大きく或いは機関負荷が比較的大きい状態を「高負荷状態」と称し、それ以外の状態を「中負荷状態」と称したとき、内燃機関が中負荷状態にあるときに行われる。すなわち、内燃機関が中負荷状態にあるときに、NOx触媒温度が目標温度(これは、活性温度以上であってNOx保持・浄化上限温度以下の温度である)よりも高いときには過給機11を通って過給吸気側の排気枝管9AからNOx触媒15に流入する排気ガスの量が多くなるように各排気制御弁16A、16Bを制御し、NOx触媒温度が目標温度よりも低いときには自然吸気側の排気枝管9BからNOx触媒15に流入する排気ガスの量が多くなるように各排気制御弁16A、16Bの開度を制御する。
これによれば、NOx触媒温度が目標温度よりも高いときにはNOx触媒温度が低下せしめられ、NOx触媒温度が目標温度よりも低いときにはNOx触媒温度が上昇せしめられ、その結果、NOx触媒温度が目標温度に制御される。すなわち、NOx触媒15に流入する排気ガスの温度は、排気ガスが過給機11を通って過給吸気側の排気枝管9AからNOx触媒15に流入する場合よりも、排気ガスが自然吸気側の排気枝管9BからNOx触媒15に流入する場合の方が高い。ここで、第8実施形態によれば、NOx触媒温度が目標温度よりも高いときには、過給機11を通って過給吸気側の排気枝管9AからNOx触媒15に流入する排気ガスの量が多くされることから、NOx触媒15に流入する排気ガスの温度が相対的に低くなり、NOx触媒温度が低下せしめられる。一方、NOx触媒温度が目標温度よりも低いときには、自然吸気側の排気枝管9BからNOx触媒15に流入する排気ガスの量が多くされることから、NOx触媒15に流入する排気ガスの温度が相対的に高くなり、NOx触媒温度が上昇せしめられる。その結果、NOx触媒温度が目標温度に制御されるのである。
なお、上述したようにしてNOx触媒温度を目標温度に制御する場合、各排気制御弁16A、16Bの開度は、例えば、以下のように制御される。すなわち、NOx触媒15に流入する排気ガスの量を100%としたとき、NOx触媒温度を目標温度とするために、過給機11を通って過給吸気側の排気枝管9AからNOx触媒15に流入させるべき排気ガスの量の割合Fturboと、自然吸気側の排気枝管9BからNOx触媒15に流入させるべき排気ガスの量の割合Fnaとを次式1,2に従って算出する。
Fturbo=(Tnb−Tnna)×100/(Tnturbo−Tnna)
…(1)
Fna=100−Fturbo …(2)
ここで、Tnbは目標温度であり、Tnnaは両気筒群2A、2Bから排出される排気ガスの全てを自然吸気側の排気枝管9Bを介してNOx触媒15に流入させたときに達成されるNOx触媒温度であって、例えば、機関回転数および機関負荷に応じてマップから読み出されるものであり、Tnturboは両気筒群2A、2Bから排出される排気ガスの全てを排気タービン13および過給吸気側の排気枝管9Aを介してNOx触媒15に流入させたときに達成されるNOx触媒温度であって、例えば、機関回転数および機関負荷に応じてマップから読み出されるものである。
そして、過給機11を通って過給吸気側の排気枝管9AからNOx触媒15に流入する排気ガスの量の割合が上述したように算出された割合Fturboになると共に、自然吸気側の排気枝管9BからNOx触媒15に流入する排気ガスの量の割合が上述したように算出された割合Fnaになるように、各排気制御弁16A、16Bの開度が制御される。
図14は、第8実施形態の排気浄化装置のNOx触媒温度制御を実行するルーチンの一例を示している。図14のルーチンでは、始めに、ステップ80において、内燃機関が軽負荷状態となっている領域にあるか否かが判別される。ここで、内燃機関が軽負荷状態となっている領域にあると判別されたときには、ステップ89に進んで、ECV開度制御が実行される。すなわち、ステップ89では、自然吸気側の排気制御弁16Bが全開とされると共に、過給吸気側の排気制御弁16Aが全閉とされる。一方、ステップ80において、内燃機関が軽負荷状態となっている領域にないと判別されたときには、ステップ81に進んで、内燃機関が高負荷状態となっている領域にあるか否かが判別される。
ステップ81において、内燃機関が高負荷状態となっている領域にあると判別されたときには、ステップ88に進んで、ECV・ウエストゲートバルブ開度制御IIが実行される。すなわち、自然吸気側の排気制御弁16Bが全閉とされると共に、ウエストゲートバルブ21が全閉とされた状態で過給吸気側の排気制御弁16Aが全開とされる。一方、ステップ81において、内燃機関が高負荷状態となっている領域にないと判別されたときには、ステップ82に進んで、NOx触媒温度Tnが推定される。
次いで、ステップ83において、ステップ82で推定されたNOx触媒温度Tnが目標温度Tnbに対して一定の温度αの範囲内にある(Tnb−α≦Tn≦Tnb+α)か否かが判別される。ここで、Tnb−α≦Tn≦Tnb+αであると判別されたときには、そのままルーチンを終了する。一方、Tn<Tnb−α、または、Tn>Tnb+αであると判別されたときには、ステップ84に進んで、両気筒群2A、2Bから排出される排気ガスの全てを排気タービン13および過給吸気側の排気枝管9Aを介してNOx触媒15に流入させたときに達成されるNOx触媒温度Tnturboが機関回転数および機関負荷に基づいてマップから読み込まれると共に、両気筒群2A、2Bから排出される排気ガスの全てを自然吸気側の排気枝管9Bを介してNOx触媒15に流入させたときに達成されるNOx触媒温度Tnnaが機関回転数および機関負荷に基づいてマップから読み込まれる。
次いで、ステップ85において、NOx触媒温度を目標温度とするために、過給機11を通って過給吸気側の排気枝管9AからNOx触媒15に流入させるべき排気ガスの量の割合Fturboと、自然吸気側の排気枝管9BからNOx触媒15に流入させるべき排気ガスの量の割合Fnaとが上式1,2に従って算出される。次いで、ステップ86において、過給機11を通って過給吸気側の排気枝管9AからNOx触媒15に流入する排気ガスの量の割合をステップ85で算出された割合Fturboとすると共に、自然吸気側の排気枝管9BからNOx触媒15に流入する排気ガスの量の割合をステップ85で算出された割合Fnaとする過給吸気側の排気制御弁16Aの開度Dturboおよび自然吸気側の排気制御弁16Bの開度Dnaがマップから算出される。
次いで、ステップ87において、ECV・ウエストゲートバルブ開度制御Iが実行される。すなわち、ステップ87では、ウエストゲートバルブ21が全閉とされ、過給吸気側の排気制御弁16Aの開度がステップ86で算出された開度Tturboとされ、自然吸気側の排気制御弁16Bの開度がステップ86で算出された開度Tnaとされる。
次に、第9実施形態の排気浄化装置について説明する。第9実施形態の排気浄化装置が適用される内燃機関は、図4に示した内燃機関である。第9実施形態の排気浄化装置では、内燃機関に要求される状態が自然吸気状態から過給吸気状態に移行することが予想されたときに、過給機11の過給圧を目標過給圧に制御すると共にNOx触媒温度を目標温度に制御するNOx触媒温度・過給圧制御を実行する。すなわち、内燃機関に要求される状態が自然吸気状態から過給吸気状態に移行することが予想されたときに、NOx触媒温度が目標温度よりも低い場合、ウエストゲートバルブ21を全閉としつつ過給吸気側の排気制御弁16Aを開弁し、排気ガスが排気タービン13を通って流れるようにすると共に、少なくとも、自然吸気側の排気制御弁16Bを開弁し、その開度を制御することによって過給圧を目標過給圧に制御する。より具体的には、過給圧が目標過給圧よりも高いときには、自然吸気側の排気制御弁16Bの開度を大きくし、過給圧が目標過給圧よりも低いときには、自然吸気側の排気制御弁16Aの開度を小さくする。そして、これによれば、NOx触媒15に流入する排気ガスの一部は、過給機11を通過していない排気ガスであるので、NOx触媒温度が上昇せしめられる。その結果、NOx触媒温度が目標温度に達し、或いは、少なくとも、目標温度に近づくことになる。
一方、内燃機関に要求される状態が自然吸気状態から過給吸気状態に移行することが予想されたときに、NOx触媒温度が目標温度よりも高い場合、自然吸気側の排気制御弁16Bを全閉とすると共に、過給吸気側の排気制御弁16Aを開弁し、排気ガスが排気タービン13を通って流れるようにすると共に、ウエストゲートバルブ21の開度を制御することによって過給圧を目標過給圧に制御する。より具体的には、過給圧が目標過給圧よりも高いときには、ウエストゲートバルブ21の開度を大きくし、過給圧が目標過給圧よりも低いときには、ウエストゲートバルブ21の開度を小さくする。そして、これによれば、NOx触媒15に流入する排気ガスは、全て、過給機11を通過した排気ガスであるので、NOx触媒温度が低下せしめられる。その結果、NOx触媒温度が目標温度に達し、或いは、少なくとも、目標温度に近づくことになる。
図15は、第9実施形態の排気浄化装置のNOx触媒温度・過給圧制御を実行するルーチンの一例を示している。図15のルーチンでは、始めに、ステップ90において、過給機13のコンプレッサ12下流の吸気管8内の圧力Pが負圧になっている(P<0)か否か、すなわち、内燃機関が自然過給状態にあるか否かが判別される。ここで、P≧0であると判別されたときには、そのままルーチンを終了する。一方、P<0であると判別されたときには、ステップ91に進んで、単位時間当たりの機関負荷の上昇量ΔLが予め定められた量ΔLthよりも大きい(ΔL>ΔLth)か否か、すなわち、内燃機関に要求される状態が自然吸気状態から過給吸気状態に移行すると予想されるか否かが判別される。すなわち、第8実施形態の排気浄化装置が適用される内燃機関では、機関負荷が大きくなると、内燃機関に要求される状態が過給吸気状態となるので、ステップ91では、単位時間当たりの機関負荷の上昇量に基づいて、内燃機関に要求される状態が自然吸気状態から過給吸気状態に移行するか否かを判別しているのである。
ステップ91において、ΔL≦ΔLthであると判別されたときには、そのままルーチンを終了する。一方、ΔL>ΔLthであると判別されたときには、ステップ92に進んで、S被毒再生制御の実行中であるか否かが判別される。ここで、S被毒再生制御の実行中であると判別されたときには、そのままルーチンを終了する。一方、S被毒再生制御の実行中ではないと判別されたときには、ステップ93に進んで、NOx触媒温度Tnが目標温度Tnbよりも低い(Tn<Tnb)か否かが判別される。
ステップ93において、Tn<Tnbであると判別されたときには、ステップ94に進んで、ECV・ウエストゲートバルブ開度制御Iが実行される。すなわち、ステップ94では、ウエストゲートバルブ21が全閉とされると共に過給吸気側の排気制御弁16Aが全開とされ、過給圧が目標過給圧となるように自然吸気側の排気制御弁16Bの開度が制御される。一方、ステップ93において、Tn≧Tnbであると判別されたときには、ステップ95に進んで、ECV・ウエストゲートバルブ開度制御IIが実行される。すなわち、ステップ95では、自然吸気側の排気制御弁16Bが全閉とされ、過給吸気側の排気制御弁16Aが全開とされ、吸気圧が目標吸気圧となるようにウエストゲートバルブ12の開度が制御される。
なお、上述した第7実施形態〜第9実施形態の排気浄化装置は、過給機11を通る排気ガスの量を多くすることによってNOx触媒15に流入する排気ガスの温度を低下させることを利用している。このことに関し、過給機11を通ってNOx触媒に流入する排気ガスの温度の低下をより促進するために、図16に示したように、過給吸気側の排気枝管9Aの長さを、例えば、図1に示した過給吸気側の排気枝管9Aの長さよりも長くしたり、過給吸気側の三元触媒14A下流の排気枝管9Aの管径を大きくしたり、過給吸気側の三元触媒14A下流の排気枝管9Aを複数本の管によって構成したりしてもよい。これによれば、NOx触媒温度をより確実に目標温度に制御することができる。