JP4715066B2 - 無線通信システム、移動体端末、プログラム、およびデータ転送方法 - Google Patents

無線通信システム、移動体端末、プログラム、およびデータ転送方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自律分散ネットワークを実現するための無線通信システム、移動体端末、プログラム、およびデータ通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、従来の移動体通信では、基地局、有線バックボーン等のインフラストラクチャが必要で、端末間での通話は、これらのインフラストラクチャを介して行われていた。図10に、移動体通信の通信方法の一例を示す。
図10において、符号101、102は、携帯電話等の移動体端末、103、104は基地局、105,106は交換局を示す。移動体端末101と102との間で通信を行う場合、移動体端末101は、基地局103と無線で通信し、基地局103は、有線で交換局105、交換局106を経由して基地局104と通信を行う。基地局104と移動体端末102とは無線で通信を行い、これにより、移動体端末101および102間で通信が可能となる。
【0003】
このように、従来、移動体端末101,102同士の通信を行うには、基地局103,104、および交換局105,106等が必要とされており、このため、設備費や設備維持費が多額となり、その結果、通信費も大きなものとなってしまっていた。そこで、これらの設備を使用せず、端末同士でデータの送受信を行い、これによって遠く離れた端末同士間においてもデータの送受信を可能とするような、移動体端末における無線通信による自律分散ネットワーク(端末間通信ネットワーク、AdHocネットワークなどとも言われている)の研究が近年進められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、移動体通信においてこうした自律分散ネットワークを動的に構築しようとする場合、各移動体端末が移動していること、その結果、移動体端末位置が判明しにくいことなどの理由により、ルーティング(経路制御)アルゴリズムを構築することが困難となる。
例えば、単純にデータを送信して、宛先の端末へ送るようにした場合、データが同心円状に広がり、必要のないデータ送信が多くなって通信効率が悪くなってしまう。また、TCP/IPの経路制御アルゴリズムを、移動体端末における自律分散ネットワークに適用しようとすると、各端末に経路制御テーブルが必要となったり、経路制御テーブルが安定するまでに時間がかかったりする。したがって、移動体端末のように動的ルーティングが必要で、なるべくコンパクトに(少ないリソースで効率的に)、かつ迅速に、柔軟にルーティングを実現する必要がある環境の下では、TCP/IPのような経路制御アルゴリズムは適さない。
【0005】
本発明は、こうした技術的課題に基づいてなされたもので、移動体端末において、無線通信による自律分散ネットワークを、少ないリソースでコンパクトに実現することができ、通信効率においても優れた通信システム等を提供することを主たる目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的のもと、本発明の無線通信システムは、移動体端末が発信したデータを、他の移動体端末が中継して、当該データの送信対象の移動体端末に対して送信を行う無線通信システムであって、前記データには、前記データを発信または中継する移動体端末と前記送信対象の移動体端末との相対位置を特定するための中継情報が付加され、前記中継情報は、前記データが中継されるごとに前記移動体端末において更新され、前記移動体端末には、自己の位置を測位する測位手段と、情報を記憶する記憶手段と、測位された前記自己の位置と前記記憶手段に記憶された前記宛先端末の行動範囲の境界を表すデータを含む位置データとに基づいて、データを送信すべき宛先端末の位置を計算する宛先端末位置計算手段と、データを送信すべき宛先端末と自己との距離を計算する距離計算手段と、前記データに、計算された前記宛先端末の位置と前記距離とを特定することができるデータを付加したものを前記中継情報として他の端末に送信する送信手段と、受信した前記データに付加された前記中継情報に基づき、当該データの有効性を判断する有効性判断手段が備えられてい
【0007】
また、この場合、中継情報には、データを発信または中継する移動体端末と、データの送信対象の移動体端末との距離を特定する情報が含まれていることが好適である。また、有効性判断手段は、中継情報を参照して、データを発信または中継する移動体端末が、このデータの送信対象の移動体端末から、データが中継されるごとに遠ざかると判断される場合に、データを無効とすることができる。
【0008】
また、本発明は、移動体端末の発明としても捉えることができる。すなわち、本発明が適用された移動体端末は、自己の位置を測位する測位手段と、データを送信すべき宛先端末の位置を計算する宛先端末位置計算手段と、データを送信すべき宛先端末と自己との距離を計算する距離計算手段と、前記データに、計算された前記宛先端末の位置と前記距離とを特定することができるデータを付加したものを他の端末に送信する送信手段と、情報を記憶する記憶手段と、を備え、前記宛先端末位置計算手段は、測位された前記自己の位置と、前記記憶手段に記憶された前記宛先端末の行動範囲の境界を表すデータを含む位置データとに基づいて、前記宛先端末の位置を計算する。
【0009】
この場合、移動体端末が、情報を記憶する記憶手段を備え、宛先端末位置計算手段は、測位された自己の位置と、記憶手段に記憶された宛先端末の位置データとに基づいて、宛先端末の位置を計算することが好適である。
また、この場合、宛先端末の位置データが、宛先端末の行動範囲の境界を表すデータを含んでいれば、宛先端末の行動範囲のうち、データを発信した移動体端末から遠いところを、宛先端末の位置として設定することによって、宛先端末の行動範囲のうちの全てをカバーするようにデータが伝播されるようにすることができる。
また、送信手段が、データに、宛先端末を特定するためのデータを更に付加することによって、データを受信した端末は、データが自己宛のものであるか否かを容易に判断することができる。
【0010】
また、本発明は、データを受信する受信手段と、自己の位置を測位する測位手段と、受信したデータに含まれる宛先端末の位置情報から、宛先端末と自己との距離を計算する距離計算手段と、受信したデータに含まれる当該データの伝播履歴情報に基づいて、宛先端末との距離が、当該データを過去に送信した端末に比較して近づいているか否かを判断する距離判断手段と、距離判断手段の判断結果に基づき、受信したデータの他の端末に対する転送可否を判断する転送可否判断手段とを備えた移動体端末の発明としても捉えることができる。
このような構成により、宛先端末との距離が近づくように、他の移動体端末にデータを転送していくことが可能となる。
【0011】
この際、距離判断手段は、受信したデータが過去に複数の端末において転送されたものである場合に、過去の所定回数の転送時において、端末と宛先端末との距離が、徐々に縮小しているか否かを更に判断することが望ましい。これにより、一回の転送のみで、宛先端末との距離が短縮しているか否かを判断すると誤判断が多い場合にも、正確な判断を実行することができる。
【0012】
また、移動体端末が、受信したデータに含まれる宛先端末を特定するための情報に基づき、このデータが自己宛のものであるか否かを判断する宛先端末判断手段をさらに備えるようにしてもよい。さらに、受信したデータが自己宛のものであると判断された場合に、データの発信元の端末に向けて、受信確認のデータを送信する受信確認送信手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0013】
また、本発明は、プログラムの発明としても捉えることができる。すなわち、本発明が適用されたプログラムは、記憶手段に記憶された宛先端末の位置データを読み取る第一の機能と、測位手段から自己の位置データを読み取る第二の機能と、読み取った自己および宛先端末の位置データから、宛先端末の位置を特定する第三の機能と、特定した宛先端末の位置を、送信すべきデータに付加してデータの送信を行う第四の機能とをコンピュータに実行させることを特徴としている。
この際、宛先端末の位置データが、宛先端末の行動範囲の中心位置および行動半径であり、第三の機能では、自己の位置が宛先端末の行動範囲の外部にある場合に、宛先端末の位置を、中心位置と自己の位置とを結ぶ直線と、中心位置を中心とし行動半径を半径とする円との交点のうち遠い方として特定することが好適である。
一方、自己の位置が宛先端末の行動範囲の内部にある場合には、宛先端末の位置を、中心位置と自己の位置とを結ぶ第一の直線および自己の位置を通り第一の直線に直交する第二の直線と、中心位置を中心とし行動半径を半径とする円との交点として特定することが好適である。
【0014】
さらに、本発明は、複数の移動体端末にデータを転送するデータ転送方法の発明としても捉えることができる。すなわち、本発明が適用されたデータ転送方法は、転送すべきデータにこのデータを特定するための特定情報を付加しておき、移動体端末では、データを受信する際に、そのデータに付加された特定情報を受信履歴として記録しておくとともに、その後に、記録した特定情報と同一の特定情報が付加されたデータの受信を無効とすることを特徴としている。
つまり、受信履歴を参照して、同一のデータの受信を無効とし、これにより、同一のデータが、同じ移動体端末間でやりとりされるデータ伝播のループを避けることができるのである。
この場合、移動体端末では、データの受信を無効とした場合に、データの送信元の当該移動体端末に対して、無効通知を送信し、送信元の移動体端末では、この無効通知に基づいて、他の移動体端末にデータを送信し直すようにすれば、データ伝播のループにより、データ受信が無効とされた後も確実に他の移動体端末にデータを転送することができる。また、移動体端末では、受信履歴に記録された特定情報と異なる特定情報が付加されたデータを受信した場合に、データの送信元の移動体端末に対して、有効通知を送信し、送信元の移動体端末では、有効通知を受信するまで、データの送信を繰り返すようにしてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における無線通信システムの全体構成を概念的に示す図であり、図2は、図1に示した無線通信システムにおいて使用される移動体端末の構成を示すブロック図である。
本実施の形態の無線通信システムは、基地局や交換局等を介在せずに、移動体端末同士の通信を何度も行い、遠く離れた端末同士で通信を行うものである。すなわち、図1中において、移動体端末1Aから移動体端末1Gに通信を行う場合には、移動体端末1Aは、近傍の移動体端末1Cへ、この移動体端末1Cは、その近傍の別の移動体端末1Dへと次々とデータ送信を行っていき、最終的にデータの宛先である移動体端末1Gに対して移動体端末1Aから送信されたデータが送信される。
【0016】
また図2に示すように、各移動体端末1(1A,1B,…)は、全体の制御を行うCPU10を有し、このCPU10に、入力装置11、表示装置12、記憶装置(記憶手段)13、被変調波を送受信するアンテナ(受信手段)14、変復調を行うRF信号処理部(受信手段)15、フレーミング、デフレーミング等を行うベースバンド信号処理部(受信手段)16が接続された構成となっている。さらに、このCPU10には、GPSアンテナ(測位手段)18とGPS受信器(測位手段)19とが接続されている。GPS受信器19は、GPSアンテナ18を介してGPS(Global Positioning Systems)によるGPS被変調波を受信し、これにより、自己の位置を測位することが可能なものであり、定期的に自己の位置の測位を行うとともに、測位したデータをCPU10の要求によりCPU10に出力するようになっている。また、CPU10では、測位された自己の位置を測位データの履歴として記憶装置13に記録するようになっている。後述するように、これによって、各移動体端末1は、移動体端末1の所持者の行動範囲(移動体端末1の行動範囲)を、過去の測位データの履歴から把握することができるようになっている。
【0017】
次に、本実施の形態における無線通信システムの動作を説明する。この無線通信システムにおける動作の概略は、以下のようになる。
▲1▼ 各移動体端末1では、自己の行動範囲データを所定の手段であらかじめ設定しておく。
▲2▼ データを発信する移動体端末1(以下、自端末1xという。図1参照)では、まず、データの送信対象の移動体端末1(以下、宛先端末1yという。図1参照)の行動範囲データを取得しておく。
▲3▼ ユーザが作成した送信すべきデータに、自端末1xの位置、宛先端末1yの位置に関するデータや、その他のデータを付加したものを、自端末1xから発信する。
▲4▼ 自端末位置および宛先端末位置に基づいてルーティングを行う。この場合、自端末1xから送信すべきデータは、自端末1xと推定された宛先端末1yの位置との間の領域を含む所定の領域にある移動体端末1(以下、中継端末1zという。図1参照)が受信するとともに転送する(中継する)。また、送信されたデータが自己の端末宛のものであれば、それを、受信データとして表示装置に表示する。
▲5▼ 中継端末1zでは、受信データの有効性を確認するとともに、有効であると判断された場合に、他の移動体端末1に対して、受信データを送信し、無効であると判断された場合には、受信データを破棄する。(無駄なデータのやりとりをなくす)。
以下、上記▲1▼〜▲5▼について、詳細に説明する。
【0018】
[▲1▼:各移動体端末1における行動範囲の決定]
移動体端末1同士でデータ通信を行うには、データを発信する自端末1xとデータの送信先である宛先端末1yとの位置を決定しておく必要があるが、まず、その前提として、移動体端末1ごとに行動範囲を予め把握しておく。
ここでは、自己の行動範囲が円状の領域であると仮想的に考え、自己の行動範囲の中心(xo,yo)(x:緯度、y:経度)と、行動範囲の半径rとの二つのデータを、記憶装置13に自己位置データとして記憶しておくことによって、自己の行動範囲を常に把握しておくようにする。
自己位置データ(行動範囲の中心(xo,yo)、および行動半径r)は、ユーザが自宅や勤務先の位置を参照して手動で入力するようにしても良いが、以下のように、記憶装置13に記憶された測位履歴データから自動的に算出するようにしても良い。
すなわち、測位履歴データが、(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3),…,(xn,yn)であるとすると、行動範囲の中心(xo,yo)は、次の式で表すことができる。
【数1】
Figure 0004715066
また、測位履歴データのうち、行動範囲の中心(xo,yo)から最も離れた位置にある測位データを(xf,yf)とすると、行動範囲の半径rは、次の式で表すことができる。
【数2】
Figure 0004715066
このような式により、移動体端末1では、測位履歴データから、自己位置データ(行動範囲の中心(xo,yo)および行動範囲の半径r)を常に演算して記録しておき、データの送信を行うたびに、逐次、自己位置データを読み出して利用するようにする。
なお、この場合、イリーガルデータ、すなわち、遠隔地等に行ったときに測位されたデータなどの他のデータから大きく離れたデータを削除するようなアルゴリズムを、自己位置データの算出に採用してもよい。
【0019】
[▲2▼:宛先端末1yの行動範囲の取得]
上述の自己位置データの記録を、全ての移動体端末1において行うこととすれば、全ての移動体端末1について、その行動範囲が自己位置データとして保持されていることとなる。したがって、自端末1xから宛先端末1yにデータ通信を行うにあたり、宛先端末1yの位置を特定するために、宛先端末1yの行動範囲に関するデータ(以下、宛先端末位置データという)をあらかじめ取得しておく。
宛先端末位置データを取得するには、自端末1xと宛先端末1yとの間で、通常通信(基地局を介在した通信)を利用して、互いの自己位置データを交換しあう方法や、予め互いの自己位置データを交換しあって記録しておく方法がある。前者の方法を用いる場合には、最新の測位情報や移動速度を元に、適切な宛先端末1yの位置を得ることができるが、後者の場合には、あらかじめ記録された宛先端末1yの自己位置データを元に、宛先端末1yの位置を推測する必要がある。
なお、このように取得した宛先端末位置データは、宛先に関連づけたリスト(データベース)として、記憶装置13に記憶しておくこととし、データ送信を開始する際に、宛先リストから宛先を選択すると、これに関連づけられた宛先端末位置データが自動的に記憶装置13からCPU10に読み込まれるようにしておく。
【0020】
[▲3▼:自端末1xからのデータ送信]
上述のように宛先端末1yの行動範囲を取得すれば、宛先端末1yの行動範囲から宛先端末1yの位置を仮想的に特定し、その位置にある宛先端末1yに向けて、自端末1xからデータ送信を行うことができる。
図3は、自端末1xからデータ送信を行う際にCPU10において行われる処理を示すフローチャートである。なお、この処理は、記憶装置13に格納されたプログラムがCPU10に読み込まれることにより行われる。
自端末1xでは、まず、入力装置11において、送信すべきデータを作成し(ステップS1)、次に、上述の宛先リストからユーザがデータを送信すべき宛先を選択することにより、宛先端末位置データを選択する(ステップS2(第一の機能))。さらに、CPU10がGPS受信器19より、自端末1xの位置データ、すなわち自端末位置(xj,yj)を取得する(ステップS3(第二の機能))。
【0021】
さらに、CPU10が、宛先端末1yの位置を、宛先端末位置データに基づいて計算する(ステップS4(宛先端末位置計算手段))。この場合の計算手順は以下のようになる。
ここでは、まず、自端末位置(xj,yj)が、宛先端末1yの自己位置データから求められる行動範囲の外部にあるか内部にあるかで場合分けを行う。これには、ステップS3において取得された自端末位置(xj,yj)と、ステップS2において選択された宛先端末位置データに含まれる宛先端末1yの行動範囲の中心(xo,yo)との間の距離が、宛先端末1yの行動範囲の半径rよりも大きいか小さいかを判断し、大きい場合、自端末位置は、宛先端末1yの行動範囲外にあると判断し、小さい場合、自端末位置(xj,yj)は、宛先端末1yの行動範囲内にあると判断する。
【0022】
自端末位置(xj,yj)が、a)宛先端末1yの行動範囲の外部にある場合、およびb)内部にある場合の宛先端末1yの位置の計算手順は、それぞれ以下のようになる。
a)自端末位置が宛先端末1yの行動範囲の外部にある場合
図4に示すように、自端末位置(xj,yj)と、宛先端末1yの行動範囲の中心(xo,yo)を通る直線L1を考え、この直線L1と宛先端末1yの行動範囲の外縁がなす円R1(宛先端末1yの行動範囲の中心(xo,yo)を中心とし、半径rであるような円)との交点A(xa,ya)、交点B(xb,yb)を求める。そして、これら交点A(xa,ya)、交点B(xb,yb)のうち、自端末位置(xj,yj )から遠い方の交点、つまり、交点B(xb,yb)を宛先端末位置(xt,yt)として特定する。ここで、自端末位置(xj,yj )から遠い方の交点を宛先端末位置(xt,yt)として特定するようにしたのは、データ送信の目標としての宛先端末位置(xt,yt)を、宛先端末1yの行動範囲を包含するような領域にデータが送信されるように設定する必要があるためである。
【0023】
b)自端末位置が宛先端末1yの行動範囲の内部にある場合
この場合には、図5に示すように、自端末位置(xj,yj)と宛先端末1yの行動範囲の中心(xo,yo)を通る直線L1と、宛先端末1yの行動範囲の外縁がなす円R2との交点a(xa,ya)、交点b(xb,yb)を求めるとともに、直線L1と直交し、かつ、自端末位置(xj、yj)を通る直線L2と円R2との交点c(xc,yc)、交点d(xd,yd)を求める。
そして、これらの交点を宛先端末位置(xt,yt)((xta,yta)、(xtb,ytb)、(xtc,ytc)、(xtd,ytd))として設定する。この場合、宛先端末位置(xt,yt)が4点設定されることになる。このようにデータ送信の目標としての宛先端末位置(xt,yt)を複数設定するのは、データが送信される領域が、宛先端末1yの行動範囲(円R2の内部の範囲)をほぼ全てカバーするようにするためである。
【0024】
このようにして、宛先端末位置(xt,yt)を求めたら、次に、自端末位置(xj,yj)と宛先端末位置(xt,yt)との間の距離Dを計算し(ステップS5(距離計算手段))、これに基づいて、伝播履歴(中継情報)に関するデータを作成する(ステップS6)。この伝播履歴は、過去数回の中継(転送)における中継端末1z(自端末1x)と宛先端末1yとの距離を記録したものであり、送信データに付随して送信され、送信データが中継される度に更新される。データの送信元である自端末1xにおいては、伝播履歴となるデータが自端末位置(xj,yj)および宛先端末位置(xt,yt)間の距離Dのみであるために、ここでは、距離Dのみを伝播履歴に関するデータとして設定する。このような伝播履歴を設定するのは、データが数回中継された場合に、中継端末1zと宛先端末1yとの距離が徐々に短縮しているか否かを調べることによって、データ送信が有効な方向、つまり、宛先端末1yに近づく方向に行われているかを判断するためである。
【0025】
さらに、自端末1xでは、送信データに伝播履歴、自端末位置(xj,yj)、自端末ID、宛先端末位置(xt,yt)、宛先端末ID、データIDをデータとして付加する(ステップS7(送信手段、第四の機能))。後述するように、これらのデータのうち、自端末位置(xj,yj)および自端末IDは、宛先端末1yまたは中継端末1zから、データの送信が有効であったかまたは無効であったかを返信するために用いられ、宛先端末IDは、データを受信した移動体端末1が、そのデータが自分宛のものか否かを判断するために用いられる。さらに、データIDは、中継端末1zにおいて、データのアイデンティティを記録しておくことによって、同一のデータが、何回も同じところを巡回していないかどうかを調べるために用いられる。
また、自端末1xの位置が宛先端末1yの行動範囲の内部にある場合には、上述のように、宛先端末位置(xt,yt)が4カ所設定されることとなるが、この場合には、送信データおよび付加データのうち、宛先端末位置(xt,yt)のみが異なるものが、計4組設定されることとなる。
そして、ステップS7の処理を行ったら、送信データに上述のデータを付加した状態のものを送信する(ステップS8(送信手段、第四の機能))。自端末1xの位置が宛先端末1yの行動範囲の内部にある場合には、4組のデータが作成されるため、データ送信を4回行うこととする。これにより、送信処理を終了する。
【0026】
[▲4▼:中継端末1zにおけるルーティング動作および宛先端末1yにおける受信動作]
次に、中継端末1zが、自端末1xから送信された送信データを中継(転送)する動作と、宛先端末1yが送信データを受信する動作とについて説明する。
中継端末1zおよび宛先端末1yにおけるこれらの動作は、図6に示すフローチャートによって表すことができる。なお、この動作は、記憶装置13に格納されたプログラムがCPU10に読み込まれることにより行われる。
図6中に示すように、まず、中継端末1zまたは宛先端末1yは、自端末1xから送信されたデータを受信する(ステップS11)。次に、CPU10は、このデータに付加された宛先端末IDを基に、送信データが自分宛のものであるか否かを判断する(ステップS13(宛先端末判断手段))。このステップS13で、送信データが自分宛のデータであると判断された場合には、受信を確認した旨のデータを自端末1xに向けて送信するとともに(ステップS15(受信確認送信手段))、送信されたデータを表示装置12に表示する(ステップS17)。この場合、データの転送は行わない。
【0027】
また、ステップS13において、送信されたデータが自己の端末宛のデータでないと判断した場合には、移動体端末1は、中継端末1zとして機能する必要がある。これには、まず、データを受け取った移動体端末1と宛先端末1yとの間の距離を、上述の▲3▼の方法によって計算する(ステップS19)。そして、このデータを伝播履歴データに対して付加することによって伝播履歴データを更新する(ステップS21)。この場合、伝播履歴データに、所定回数以下の履歴データが記録されている場合には、単に伝播履歴データに今回計算したデータを付加し、また、所定回数以上の履歴が記録されている場合には、伝播履歴データの中で最も古いデータを削除するとともに、今回算出されたデータを記録する。
次に、ステップS21で更新された伝播履歴データを基に、送信されたデータが有効なデータか否かを判断する(ステップS23(有効性判断手段))なお、データの有効無効の意味するところについては後述する。
このステップS23で、データが有効であると判断された場合には、データを他の移動体端末1に向けて送信する(ステップS25)。一方、データが無効であると判断された場合には、データ転送を行わず、データを破棄する(ステップS27)。なお、ステップS25において送信されたデータ、あるいはステップS27において破棄されたデータは、表示装置12には表示しない。
【0028】
次に、図6に示したフローチャートでのデータを受信する際のステップ(ステップS11)における、動作の詳細を説明する。
移動体端末1間でデータ通信を行う際には、データ伝播のループが問題となる。これを避けるには、受信(送信)したデータと同じデータを送信しないことや、こうしたデータを送った相手端末からのデータ受信を制限することが考えられるが、本実施の形態では、受信データの履歴を利用し、同じデータを受信しないようにすることによって、データ伝播のループを避けるようにする。ここで、受信データの履歴は、受信したデータおよび宛先端末位置のIDを記憶装置13に記憶することにより、各移動体端末1においてデータベースとして作成されるものである。
【0029】
中継端末1z(または宛先端末1y)がデータを受信する際の手順は、図7のフローチャートに示すようになる。
すなわち、移動体端末1がデータを受信すると(ステップS1101)、記憶装置13に記憶された受信データの履歴を参照して、既に同じデータを受信済みかどうかを判断する(ステップS1103)。受信済みのデータであった場合には、受信したデータを破棄し(ステップS1105)、このデータを送信した中継端末1zに対してこのデータ通信が無効であったことを通知する(ステップS1107)。
一方、ステップS1103において、受信したデータが初めて受信したデータであると判断された場合には、受信データのデータIDおよび宛先端末位置を記憶装置13の受信データ履歴に追加して、受信データ履歴を更新する(ステップS1109)。そして、このデータを送信した中継端末1zに対して、このデータ通信が有効であったことを通知する(ステップS1111)。
なお、ステップS1107およびステップS1111において行われるデータ通信の無効または有効通知は、後述するように、中継端末1zが他の移動体端末1にデータを送信する際に利用される。
【0030】
[▲5▼:中継端末1zにおける受信データの有効性確認動作および中継端末1zからのデータ送信動作]
次に、中継端末1zが受信データの有効性を確認する際の動作、すなわち、図6におけるステップS23の動作の詳細について説明する。
ここでは、データを受信した中継端末1zと宛先端末1yとの距離が、これ以前にデータを中継した中継端末1zと宛先端末1yとの距離よりも大きくなるような状態が、予め設定された最大連続回数NG回(例えば3回)続いた場合には、データ転送が誤った方向に行われていると考えられるから、この場合には、データを無効と判断する。なお、この判断は、データに付加された伝播履歴を利用して行う。ここで、伝播履歴は、最新の伝播履歴をdr[1]とし、保持している中で一番古い伝播履歴dr[n]として、dr[1],dr[2]、dr[3]、…dr[n]が記憶装置13に記憶されたものとされているとする。定数nは、バッファとして、伝播履歴をいくつ保持するか、つまり、過去何回の転送(中継)におけるデータを保持するかを表している。
【0031】
受信データの有効性を確認するには、図8のフローチャートに示すように、まず、中継端末1zと宛先端末1yとの距離が、前のデータ(古いデータ)より後のデータ(新しいデータ)の方が大きい場合にカウントアップされるカウンタxと、伝播履歴drのうち、幾つ目のデータを検査するかについてカウントするためのカウンタiとを設定し、カウンタxに0を、iに1を代入する(ステップS2301)。次に、カウンタiが定数nよりも小さいかどうかを判断する(ステップS2303)。このカウンタiが、定数nより大きいと判断される場合には、n個全ての伝播履歴drについて既に検査が行われ、伝播履歴drのうち検査すべきデータが無いことを意味するから、この場合には、データを有効であると判断する(ステップS2305)。
【0032】
一方、定数nよりもカウンタiが小さい場合には、i番目の伝播履歴dr[i]を一つ前の伝播履歴dr[i+1]と比較する(ステップS2307)。ステップS2307においてi番目の伝播履歴の方が大きい場合には、カウンタxに「1」を加算し(ステップS2309)、小さい場合にはカウンタxに「0」を代入して(ステップS2311)、次のステップS2313に進む。
ステップS2313では、カウンタiに1を加算し、次に、カウンタxと最大連続回数NGとを比較する(ステップS2315)。最大連続回数NGより、カウンタxの方が小さい場合には、ステップS2303以前の状態に戻り、以下の処理を継続する。また、最大連続回数NGより、カウンタxの方が大きい場合には、受信データを無効と判断する(ステップS2317)。以上のような処理を行うことによって、最大連続回数NG以上、中継端末1zと宛先端末1yとの間の距離が拡大していく場合の受信データを無効とする判断を行うことができるのである。
【0033】
次に、中継端末1zからデータを送信する際の動作(図6のステップS25における動作)の詳細について説明する。
この動作は、以下のような項目を考慮して行われる。すなわち、中継端末1zから送信データを送信しても必ず成功するとは限らず、上述のように、データ伝播のループなどで失敗することも考えられる。ここで、中継端末1zは、確実にデータ転送を行うため、一台以上の端末に転送を行う必要があるが、確実に転送できたときの送信回数を把握し、無駄な転送を防ぎ、なおかつ、確実に転送を行う必要がある。また、データの中継はタイムリーに行われるとは限らず、周りに移動体端末1がない場合や、環境が悪い場合には、すぐにデータを転送することができない。こうしたことから、本実施の形態では、移動体端末1が送信すべきデータを一定時間保持するとともに、データ送信を行う回数を把握するようにしている。
【0034】
具体的には、図9のフローチャートに示すように、まず、中継端末1zから同一のデータを何回を送信したかを表すカウンタnを設定しておき、このカウンタnに0を代入し(ステップS2501)、次に、このカウンタnが、同一のデータを中継端末1zから最大何回送信するかを設定した定数Nと比較する(ステップS2503)。そして、定数Nよりカウンタnの方が大きい場合には、すでに、送信すべき回数分データを送信し終わったと判断して終了する。一方このステップS2503においてカウンタnが定数Nより小さい場合には、データを保持している時間が、あらかじめ定められた定数Tより小さいかどうか判断する(ステップS2505)。この定数Tは、一つの中継端末1z(または自端末1x)で、同じデータをどのくらいの時間保持すべきかを定めた定数である。なお、定数Nおよび定数Tは、あらかじめ記憶装置13に記憶されたものとされている。
【0035】
ここで、定数Tよりデータ保持時間の方が大きい場合には、データを破棄して終了する(ステップS2507)。また、データ保持時間が定数Tを越えていない場合にはデータの送信準備をする。すなわち、ここでは、データ送信先(データ送信が可能な移動体端末1)を探索し(ステップS2509)、このような移動体端末1が見つからない場合、ステップS2505以前の状態に戻り、以下の処理を繰り返す。また、データ送信先が見つかったら、データを送信し(ステップS2511)、また、送信先からデータ送信が有効であったか無効であったかを表す通知を受信する(ステップS2513)。なお、この通知は、送信先の移動体端末1において、図7のステップS1107およびステップS1111の処理により通知が行われるものである。
【0036】
次に、受信した通知が有効であることを表すものであるか否かを判断し(ステップS2515)、有効であった場合には、カウンタnに「1」を加算し(ステップS2517)、ステップS2503以下の処理を繰り返す。一方、ステップS2515において、有効でないと判断された場合には、カウンタnに1を加算することなく、ステップS2503以前の状態に戻り、ステップS2503以下の処理を繰り返す。
このような処理を行うことにより、データ送信が送信先の移動体端末1で有効であると判断されるまで、データ送信を所定時間T内で、最大N回継続することができ、これによって、データ送信に必要な環境や条件等が整っていない場合においても、有効なデータ送信先を見いだすことが可能となる。
【0037】
以上述べた無線通信システムおよびこれに用いられる移動体端末1等においては、転送されるデータに、過去に当該データを発信または転送した自端末1xまたは中継端末1zと、宛先端末1yとの距離を特定するための伝播履歴が付加され、この伝播履歴が、データが中継されるごとに移動体端末1において更新され、移動体端末1では、受信したデータに付加された伝播履歴に基づき、データの有効性を判断するようになっている。したがって、GPS受信器19によって把握した自己の位置等とに基づき、自己の端末が、過去にデータを中継した移動体端末1よりも宛先端末1yに近づいているか否かを判断し、近づいている場合のみに、データが有効であると判断することができる。これによって、データが中継されるごとに遠ざかると判断される場合に、データを無効とすることができ、無駄なデータの送信を最小限として通信効率を向上させるとともに、システムを少ないリソースでコンパクトに実現することができる。
【0038】
また、自端末1xにおいては、宛先端末1yの位置データを記憶装置13に記憶しておき、記憶装置13から宛先端末1yの位置データを読み取るとともに、GPS受信器19から自己の位置データを読み取り、さらに、読み取った自己および宛先端末1yの位置データから、宛先端末1yの位置を特定し、さらに、特定した宛先端末1yの位置を、送信すべきデータに付加してデータの送信を行うようになっている。したがって、中継端末1zが、データに付加された宛先端末1yの位置データを読み取って中継端末1zと宛先端末1yとの距離を計算するとともに、自端末1xまたは過去にデータを中継した中継端末1zに比較して、中継端末1zが宛先端末1yに近づいているか否かを判断し、その判断結果に基づき、受信したデータの他の端末に対する転送可否を判断することができる。これにより、容易に宛先端末1yに向けてデータを送信することができる。
【0039】
また、この際、宛先端末1yの位置データが、宛先端末1yの行動範囲の中心位置(xo,yo)および行動半径rであり、自端末1xは、自己の位置が宛先端末1yの行動範囲の外部にある場合に、宛先端末1yの位置を、中心位置(xo,yo)と自己の位置とを結ぶ直線L1と、中心位置(xo,yo)を中心とし行動半径rを半径とする円R1との交点のうち遠い方として特定し、一方、自己の位置が宛先端末1yの行動範囲の内部にある場合には、宛先端末1yの位置を、中心位置(xo,yo)と自己の位置とを結ぶ第一の直線L1および自己の位置を通り第一の直線L1に直交する第二の直線L2と、中心位置(xo,yo)を中心とし行動半径rを半径とする円R2との交点として特定するようになっているために、宛先端末1yの行動範囲のうち、自端末1xから遠いところを、宛先端末1yの位置として設定することにより、宛先端末1yの行動範囲のうちの全てをカバーするような位置にデータを伝播可能とすることができる。
【0040】
また、自端末1xがデータを送信する際に、送信すべきデータに、宛先端末1yを特定するための宛先IDを更に付加することによって、送信データを受信した端末は、データが自己宛のものであるか否かを容易に判断することができ、効率のよいデータ送信が可能となる。さらに、宛先端末1yでは、受信したデータが自己宛のものであると判断された場合に、自端末1xに向けて受信確認のデータを送信するようになっているので、データ送信が成功したか否かを確認することが可能となり、使用性がよい。
【0041】
さらに、自端末1xでは、送信すべきデータにデータIDおよび宛先端末位置を付加しておき、他の移動体端末1では、送信されたデータを受信する際に、そのデータに付加されたデータIDを受信履歴として記録しておくとともに、その後に、記録したデータIDおよび宛先端末位置と同一のデータIDおよび宛先端末位置が付加されたデータの受信を無効とするようになっているため、同一のデータが、同じ移動体端末1間でやりとりされるデータ伝播のループを避け、データ通信の効率性を確保することができる。
【0042】
しかも、移動体端末1では、データの受信を無効とした場合に、そのデータの送信元の移動体端末1に対して、無効通知を送信し、送信元の移動体端末1では、この無効通知に基づいて、他の移動体端末1にデータを送信し直すようになっているので、データ伝播のループによりデータ受信が無効とされた後も、確実に他の移動体端末1にデータを転送することができ、データ通信の存続性を維持することができる。さらに、移動体端末1では、受信履歴に記録されたデータIDと異なるデータIDが付加されたデータを受信した場合に、データの送信元の移動体端末1に対して有効通知を送信し、送信元の移動体端末1では、有効通知を受信するまで、データの送信を繰り返すようになっているので、無駄なデータ送信を防ぐととも、データ通信を確実に行うことができる。
【0043】
以上において、本発明の一実施の形態を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で他の構成を採用することができる。
例えば、上記実施の形態において、図6のステップS15において、宛先端末1yは受信を確認した旨のデータを、自端末1xに向けて送信するようにしているが、このステップは、無くても構わない。ただし、この場合には、自端末1xはデータ送信が成功したか否かを確認することができないこととなる。
【0044】
また、上記実施の形態は、データを一度移動体端末1でためてから、次の端末に送るようになっているが、これに限定されず、上記実施の形態を、移動体端末1同士のリアルタイム接続に用いるようにしてもよい。この場合、上記実施の形態を、最初にデータ伝送経路を確保するためのルーティングアルゴリズムとして機能させ、確保された伝送経路に基づいてルーティングデータベースを各端末において作成するとともに、このルーティングデータベースに従いデータ転送を行うことによって、移動体端末1同士のリアルタイム接続が可能となる。
また、上記実施の形態における、移動体端末1を動作させるプログラムは、以下のような記憶媒体、プログラム伝送装置の形態とすることもできる。
すなわち、記憶媒体としては、CPU10に実行させる上記したようなプログラムを、CD−ROM、DVD、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体に、コンピュータ装置が読み取り可能に記憶させれば良い。
また、プログラム伝送装置としては、上記したようなプログラムを記憶させたCD−ROM、DVD、メモリ、ハードディスク等の記憶手段と、この記憶手段から当該プログラムを読み出し、当該プログラムを実行する移動体端末1側に、インターネット、LAN等のネットワークを介し、コネクタあるいは無線通信を通じて当該プログラムを伝送する伝送手段とを備える構成とすれば良い。このようなプログラム伝送装置は、特に、等に、上記したような処理を行なうプログラムをインストールする際に好適である。
また、これ以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、移動体端末において、無線通信による自律分散ネットワークを、少ないリソースでコンパクトに実現することができる。また、この場合の通信効率を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の無線通信システムの機能を概念的に表す模式図である。
【図2】 図1に示した無線通信システムに用いられる移動体端末の構成を表すブロック図である。
【図3】 移動体端末(自端末)において、データを作成して送信する際の手順を示すフローチャートである。
【図4】 図3において、宛先端末の位置を計算する際の手順を示すための自端末および宛先端末の位置関係の模式図であって、自端末が宛先端末の行動範囲外にある場合の状態を示す図である。
【図5】 同、自端末が宛先端末の行動範囲内にある場合の状態を示す図である。
【図6】 移動体端末(中継端末、宛先端末)において、データを受信して表示または転送する際の手順を示すフローチャートである。
【図7】 図6におけるステップS11の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】 図6におけるステップS23の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】 図6におけるステップS25の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】 従来の移動体端末同士の通信方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1…移動体端末、1x…自端末、1y…宛先端末、1z…中継端末、10…CPU、11…入力装置、12…表示装置、13…記憶装置(記憶手段)、14…アンテナ(受信手段)、15…RF信号処理部(受信手段)、16…ベースバンド信号処理部(受信手段)、18…GPSアンテナ(測位手段)、19…GPS受信器(測位手段)

Claims (15)

  1. 移動体端末が発信したデータを、他の移動体端末が中継して、当該データの送信対象の移動体端末に対して送信を行う無線通信システムであって、
    前記データには、前記データを発信または中継する移動体端末と前記送信対象の移動体端末との相対位置を特定するための中継情報が付加され、
    前記中継情報は、前記データが中継されるごとに前記移動体端末において更新され、
    前記移動体端末には、自己の位置を測位する測位手段と、情報を記憶する記憶手段と、測位された前記自己の位置と前記記憶手段に記憶された前記宛先端末の行動範囲の境界を表すデータを含む位置データとに基づいて、データを送信すべき宛先端末の位置を計算する宛先端末位置計算手段と、データを送信すべき宛先端末と自己との距離を計算する距離計算手段と、前記データに、計算された前記宛先端末の位置と前記距離とを特定することができるデータを付加したものを前記中継情報として他の端末に送信する送信手段と、受信した前記データに付加された前記中継情報に基づき、当該データの有効性を判断する有効性判断手段が備えられてい
    無線通信システム。
  2. 前記有効性判断手段は、前記中継情報を参照して、前記データを発信または中継する前記移動体端末が、当該データの送信対象の移動体端末から、当該データが中継されるごとに遠ざかると判断される場合に、当該データを無効とす請求項1記載の無線通信システム。
  3. 自己の位置を測位する測位手段と、
    データを送信すべき宛先端末の位置を計算する宛先端末位置計算手段と、
    データを送信すべき宛先端末と自己との距離を計算する距離計算手段と、
    前記データに、計算された前記宛先端末の位置と前記距離とを特定することができるデータを付加したものを他の端末に送信する送信手段と、
    情報を記憶する記憶手段と、
    を備え
    前記宛先端末位置計算手段は、測位された前記自己の位置と、前記記憶手段に記憶された前記宛先端末の行動範囲の境界を表すデータを含む位置データとに基づいて、前記宛先端末の位置を計算する
    移動体端末。
  4. 前記送信手段は、前記データに、前記宛先端末を特定するためのデータを更に付加することを特徴とする請求項記載の移動体端末。
  5. データを受信する受信手段と、
    受信した前記データに含まれる当該データの宛先端末の位置情報から、当該宛先端末と自己との距離を計算する距離計算手段と、
    受信した前記データに含まれる当該データの伝播履歴情報に基づいて、前記宛先端末との距離が、当該データを過去に送信した端末に比較して近づいているか否かを判断する距離判断手段と、
    前記距離判断手段の判断結果に基づき、受信したデータの他の端末に対する転送可否を判断する転送可否判断手段とを更に備えた請求項1記載の移動体端末。
  6. 前記距離判断手段は、受信した前記データが過去に複数の前記端末において転送されたものである場合に、過去の所定回数の転送時において、当該端末と前記宛先端末との距離が、徐々に縮小しているか否かを更に判断す請求項記載の移動体端末。
  7. 受信した前記データに含まれる前記宛先端末を特定するための情報に基づき、当該データが自己宛のものであるか否かを判断する宛先端末判断手段をさらに備え請求項記載の移動体端末。
  8. 受信した前記データが自己宛のものであると判断された場合に、当該データの発信元の端末に向けて、受信確認のデータを送信する受信確認送信手段をさらに備え請求項記載の移動体端末。
  9. 記憶手段に記憶された宛先端末の位置データを読み取る第一の機能と、
    測位手段から自己の位置データを読み取る第二の機能と、
    読み取った自己および宛先端末の位置データから、前記宛先端末の位置を特定する第三の機能と、
    特定した前記宛先端末の位置を、送信すべきデータに付加して当該データの送信を行う第四の機能と
    をコンピュータに実行させ
    前記宛先端末の位置データは、当該宛先端末の行動範囲の中心位置および行動半径であり、
    前記第三の機能は、前記自己の位置が前記行動範囲の外部にある場合に、前記宛先端末の位置を、前記中心位置と当該自己の位置とを結ぶ直線と、当該中心位置を中心とし前記行動半径を半径とする円との交点のうち遠い方として特定する
    プログラム。
  10. 記憶手段に記憶された宛先端末の位置データを読み取る第一の機能と、
    測位手段から自己の位置データを読み取る第二の機能と、
    読み取った自己および宛先端末の位置データから、前記宛先端末の位置を特定する第三の機能と、
    特定した前記宛先端末の位置を、送信すべきデータに付加して当該データの送信を行う第四の機能と
    をコンピュータに実行させ、
    前記宛先端末の位置データは、当該宛先端末の行動範囲の中心位置および行動半径であり、
    前記第三の機能は、前記自己の位置が前記行動範囲の内部にある場合に、前記宛先端末の位置を、前記中心位置と当該自己の位置とを結ぶ第一の直線および当該自己の位置を通り前記第一の直線に直交する第二の直線と、当該中心位置を中心とし前記行動半径を半径とする円との交点として特定する
    プログラム。
  11. 複数の移動体端末にデータを転送するデータ転送方法であって、
    転送すべき前記データを、記憶手段に記憶された宛先端末の位置データを読み取る第一の処理と、測位手段から自己の位置データを読み取る第二の処理と、読み取った自己および宛先端末の位置データから、前記宛先端末の位置を特定する第三の処理と、特定した前記宛先端末の位置を、送信すべきデータに付加して当該データの送信を行う第四の処理とによって生成し、
    前記宛先端末の位置データは、当該宛先端末の行動範囲の中心位置および行動半径であり、
    前記第三の処理は、前記自己の位置が前記行動範囲の外部にある場合に、前記宛先端末の位置を、前記中心位置と当該自己の位置とを結ぶ直線と、当該中心位置を中心とし前記行動半径を半径とする円との交点のうち遠い方として特定する
    データ転送方法。
  12. 複数の移動体端末にデータを転送するデータ転送方法であって、
    転送すべき前記データを、記憶手段に記憶された宛先端末の位置データを読み取る第一の処理と、測位手段から自己の位置データを読み取る第二の処理と、読み取った自己および宛先端末の位置データから、前記宛先端末の位置を特定する第三の処理と、特定した前記宛先端末の位置を、送信すべきデータに付加して当該データの送信を行う第四の処理とによって生成し、
    前記宛先端末の位置データは、当該宛先端末の行動範囲の中心位置および行動半径であり、
    前記第三の処理は、前記自己の位置が前記行動範囲の外部にある場合に、前記宛先端末の位置を、前記中心位置と当該自己の位置とを結ぶ直線と、当該中心位置を中心とし前記行動半径を半径とする円との交点のうち遠い方として特定する
    データ転送方法。
  13. 送すべき前記データに当該データを特定するための特定情報を付加しておき、
    前記移動体端末では、前記データを受信する際に、当該データに付加された前記特定情報を受信履歴として記録しておくとともに、その後に、記録した当該特定情報と同一の当該特定情報が付加された当該データの受信を無効とする請求項11又は12記載のデータ転送方法。
  14. 前記移動体端末では、前記データの受信を無効とした場合に、当該データの送信元の当該移動体端末に対して、無効通知を送信し、
    前記送信元の移動体端末では、前記無効通知に基づいて、他の前記移動体端末に前記データを送信し直す請求項11又は12記載のデータ転送方法。
  15. 前記移動体端末では、前記受信履歴に記録された前記特定情報と異なる当該特定情報が付加された前記データを受信した場合に、当該データの送信元の移動体端末に対して、有効通知を送信し、前記送信元の移動体端末では、前記有効通知を受信するまで、前記データの送信を繰り返すことを特徴とする請求項11又は12記載のデータ転送方法。
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