JP4711341B2 - コージェネレーションシステム及びその運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば家庭用のコージェネレーションシステム(例えば、燃料電池コージェネレーションシステムやガスエンジンコージェネレーションシステム等)における運転を高効率且つ適正に実行するための技術に関する。
ここで、家庭用コージェネレーションシステムにおいて、例えば電気及び熱を発生する装置が燃料電池であれば、燃料電池で発生した熱を貯湯手段(例えば貯湯槽)に蓄熱する方式が採用されている。係る方式を採用した場合には、貯湯手段の蓄熱量が限界に達した場合(熱的に、いわゆる「満タン」となった場合)に、燃料電池の運転は続行することができなくなる。
電力負荷が所定値未満である場合にも、コージェネレーションシステムにおける電気及び熱を発生する装置は運転を続行することが困難であり、停止する。また、停止及び起動の回数が増加することは、コージェネレーションシステムにおける電気及び熱を発生する装置の寿命を短縮化することに直結する。従って、電力負荷が所定値未満である事態と、電気及び熱を発生する装置が停止してしまうような事態は出来る限り回避したい。
しかし、従来の家庭用コージェネレーションシステムでは、電力負荷が所定置未満となってしまう事態や、電気及び熱を発生する装置が停止してしまうような事態を回避することが困難であった。
これに加えて、燃料電池コージェネレーションシステムの場合には、給湯需要が存在しない時に蓄熱しても、蓄熱された温水(貯湯タンク内の温水)の温度が低下してしまうので、その分、非効率となる。そのため、貯湯のタイミングを適宜調節して、給湯需要時に高温の温水を利用したいという要請が存在する。
従来技術では、係る要請に応えることは出来ない。
その他の従来技術として、図8の特性図で示すように、最大電力負荷の一部Whを電力負荷が低い時間帯Txに移動して、電力負荷の平準化を図り、且つ、最大電力負荷(電力負荷のピーク)を低減させる技術も存在する(特許文献2参照)。
しかし、係る従来技術では、コージェネレーションシステムにおける電気及び熱を発生する装置は、制御の対象とはしていない。
特開2003−129904号公報 特開2002−369383号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、電力負荷が小さいためにコージェネレーションシステムにおける電気及び熱を発生する装置(例えば、燃料電池装置、発電機と組み合わせたガスエンジン等)の効率が低下したり、停止してしまう事態を回避することが出来て、しかも、熱回収と給湯需要のタイムラグに起因する放熱ロスを克服することが出来る様なコージェネレーションシステム及びその運転方法の提供を目的としている。
本発明のコージェネレーションシステム(例えば、家庭用コージェネレーションシステム)(1)は、発電及び発熱を行うコージェネレーション装置(例えば、燃料電池、発電機と組み合わされたガスエンジン等の燃焼機関、その他)(2)と、電力を消費する電力負荷(例えば、家庭用電気機器)(3)と、熱を消費する給湯負荷(例えば、風呂4、温水使用機器)と、コージェネレーション装置(2)の運転制御を行う制御装置(コントロールユニット10)とを有しており、前記電力負荷(3)は制御装置(10)と情報ネットワーク(5)を介して(情報的に)接続しており、制御装置(コントロールユニット10)は、電力負荷(3)を稼働時間(帯)が変更可能な電力負荷と変更不可能な電力負荷とに分類し、(稼働時間或いは稼働時間帯が)変更可能な電力負荷の稼働時間(帯)を変更した場合の負荷パターンのシミュレーションを行い、当該電力負荷(3)の稼働時間(帯)変更の是非を判定する制御を行う様に構成されていることを特徴としている(請求項1)。
或いは、前記制御装置(コントロールユニット10)は、最初に、全ての(稼働時間或いは稼働時間帯が)変更可能な電力負荷(3)の稼働時間(帯)を、風呂張り直前の時間へ変更する制御を行う様に構成されているのが好ましい(請求項5)。
本発明のコージェネレーションシステム(1)の運転方法は、
(負荷パターン決定手段12により)負荷パターンを決定する工程(S2)と、
(負荷分類手段13により)電力負荷(3)を稼働時間(帯)が変更可能な電力負荷(3)と変更不可能な電力負荷(3)とに分類する工程(S3)と、
(シミュレーション手段14により)(稼働時間或いは稼働時間帯が)変更可能な電力負荷(3)の稼働時間(帯)を変更した場合のシミュレーションを行う工程(S10)と、
(稼働時間或いは稼働時間帯が)変更可能な電力負荷(3)の稼働時間(帯)を変更した場合のシミュレーションから、変更後にさらに変更可能な電力負荷(3)があるかを判定する判定工程(S14)、とを有していることを特徴としている(請求項2)。
上述する構成を具備する本発明によれば、移動可能な負荷(3)を、負荷(3)が許容最低負荷未満に低下する時間帯に移動して、当該時間帯における電力負荷(3)をコージェネレーション装置(2)の許容最低負荷未満まで低下することを防止している。
また、負荷を移動することにより、コージェネレーションシステム(1)が高効率運転が可能な領域で動かせるようになった。その結果、許容最低稼動負荷未満まで負荷(3)が低下して燃料電池(2)が不必要に停止してしまう回数を、減少することが出来る様になった。
さらに、移動可能な負荷(3)を、家庭用の最大の負荷である「風呂張り」の直前にもって来る様に構成しているので、蓄熱手段においては短時間に一気に蓄熱され、且つ、蓄熱が「風呂張り」(給湯需要が最大となる)直前であるため、「風呂張り」までの(貯湯槽からの)放熱量が少なくて済む。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図3を参照して第1実施形態を説明する。尚、第1実施形態は、稼働時間の変更が可能な電力負荷を、最低稼動出力(例えば300W)を確保し、且つ、残りの負荷を浴槽への湯張り前に移動させる制御に関する実施形態である。
図1において、全体を符号1で示すコージェネレーションシステムは、熱と電気を発生するコージェネレーション装置(例えば燃料電池)2と、家庭(住居6)内において電力を消費する電力負荷3と、熱を消費する給湯負荷(例えば風呂4)と、制御手段であるコントロールユニット10とを備えている。
燃料電池2と電力負荷3とは給電ラインLeで接続され、燃料電池2と風呂4とは給湯ラインLhで接続されている。また、コントロールユニット10と電力負荷3とは情報ネットワーク(例えばインターネットやローカルエリアネットワーク(LAN)等の通信ライン)5で接続されている。
家庭内の電力負荷としては、例えば、照明、自動炊飯器、電気及び電子調理器、冷蔵庫、洗濯機(洗濯乾燥機を含む)、衣類乾燥機、食器洗い乾燥機、製氷機、充電器、空調機、温水便座、室用の換気用機器、室用の除湿用機器、等がある。
上記家庭内の電力負荷3には、その稼動時間(帯)を変更できないものと、変更可能なものとが存在する。
稼働時間(帯)が変更可能な負荷としては、例えば、洗濯機(洗濯乾燥機を含む)、衣類乾燥機、食器洗い乾燥機、製氷機、充電器、温水便座、非居室の換気用の機器、除湿用の機器、定常運転時のエアコン等がある。
ここで、「定常運転時のエアコン」は、住居6内に複数のエアコンが稼動しており、部屋の温度が安定している状態(定常状態)であって、エアコンがON−OFFして当該「部屋の温度が安定している状態」を維持している場合における当該エアコンを意味している。この場合、エアコンのON−OFFのタイミングを多少ずらしても、当該エアコンが設けられている部屋の温度が安定している状態(定常状態)は崩れないので、稼働時間(帯)が変更可能である。
図2を参照して、コントロールユニット10の詳細構成を説明する。コントロールユニット10は、分析手段11と、負荷パターン決定手段12と、負荷分類手段13と、シミュレーション手段14と、判定手段15とから構成されている。
分析手段11と、負荷パターン決定手段12と、負荷分類手段13には、前記ネットワーク5から電力負荷3に関する情報が入力される。
分析手段11は、図示しない記憶手段に記憶されているデータを参照しつつ、住居6内における個々の電力負荷3の負荷状況を分析する。具体的には、稼働時間或いは稼動時間帯、消費電力、他の電力負荷における消費との関連等を検出する。
係る検出或いは分析は、コントロールユニット10と電力負荷3とが情報ネットワーク5で結ばれていることで可能になる。
負荷パターン決定手段12は、住居6内における個々の電力負荷3の負荷状況と、分析手段11における分析結果(稼働時間或いは稼動時間帯、消費電力、他の電力負荷における消費との関連等)に基づいて、図1で示す実施形態が設置されている住居6における1日の負荷パターンを決定する。
係る負荷パターンとしては、例えば、後述する図5、図6が該当する。
負荷分類手段13は、住居6内の電力負荷3を、電力需要が生じる時間帯(稼動時間帯)を移動出来る電力負荷3と、電力需要が生じる時間帯(稼動時間帯)を移動できない電力負荷3とに判別する。
ここで、電力需要が生じる時間帯を移動出来る電力負荷3と、移動できない電力負荷3の判別にあたって、「電力需要が生じる時間帯を移動出来る電力負荷3」としては、例えば、空調機、照明、冷蔵庫、食器洗浄乾燥機等、消費する電気エネルギー(消費電力)が大きな機器を優先的に選択することが望ましい。
そして、機器の消費電力が大きければ、その稼働時間(帯)を移動することによる効果が大きいので、機器の稼働時間(帯)を移動する操作を少なくして、所期の作用効果を奏することが出来るからである。
照明を「電力需要が生じる時間帯を移動出来る電力負荷3」に選択した場合には、稼働時間(帯)を移動する労力が多大であるのに対して、稼働時間(帯)を移動して得られる作用効果が少ない。
照明の稼働時間(帯)を移動すると仮定した場合には、照明は住居6内に多数あるので、稼働時間(帯)移動に必要な操作労力が大きい。それに対して、照明の消費電力は小さいので、照明の稼働時間(帯)を移動しても、それによる作用効果は小さい。
食器洗浄機における乾燥や、洗濯機における乾燥等、各種の「乾燥」を実行する機器は大きなエネルギーを消費する(電力負荷が大きい)。従って、その稼働時間(帯)を移動して得られる作用効果が大きい。
移動出来る負荷の選択については、コージェネレーションシステムの設置に際して予め決定しておく場合もあるし、居住しているユーザーにインタビューして決めることも出来る。換言すれば、移動できる電力負荷の選択の手法については、多様である。
シミュレーション手段14は、稼働時間(帯)を移動できる電力負荷3について、その稼動時間帯を変更した場合のシミュレーションを行う。そして、シミュレーション手段14における当該シミュレーションの結果に基づいて、当該シミュレーションの是非(当該電力負荷の稼働時間帯変更の是非)を、判定手段15で判定する。
判定手段15において、「問題無し」と判定されたシミュレーションの結果に対応して、新たな負荷パターンが決定され、該新たな負荷パターンを実行するべく、コージェネレーション装置2の運転計画が決定される。係る運転計画の決定については、コントロールユニット10内の図示しない手段で行うことも出来るし、或いは、コージェネレーション装置(燃料電池2)側で行っても良い。
図1及び図2の実施形態においては、先ず電力負荷3の負荷パターンを決定し、次に、稼働時間(帯)を移動できる電力負荷3の決定を行う。
稼働時間(帯)を移動できる電力負荷3について、その稼働時間(帯)は、原則として、一日の一次エネルギーの総額が一番小さくなるところに移動する。具体的には、図1〜図3の第1実施形態においては、電力負荷3が許容最低稼動負荷を下回っており、コージェネレーション装置2が停止してしまう様な時間帯に、稼働時間(帯)を移動できる電力負荷3の稼働時間(帯)を移動する。
その結果として、コージェネレーション装置2が停止する回数が減少するので、コージェネレーション装置2の寿命が長くなる。
以下、図3を主に参照しつつ、第1実施形態において、コージェネレーション装置2の運転計画策定の手順について説明する。
先ず、ステップS1では、分析手段11によって現状の電力負荷3を分析し、ステップS2で負荷パターン決定手段12によって負荷パターンを決定する。
ステップS3では、負荷分類手段13によって、稼働時間の変更可能な負荷3と変更が不可能な負荷3とを分類する。次のステップS4では、電力負荷がコージェネレーション装置2の最低稼動負荷以上となる時間帯の何れかより、稼働時間(帯)を移動可能な負荷を選定する。そして、ステップS5では、選択した負荷の稼働時間を風呂張り時間の前へ変更する。
ここで、「風呂張り」は、一般家庭における最大の給湯負荷或いは給湯需要である。
次のステップS6では、コントロールユニット10は、選択した負荷(稼働時間を変更された負荷)の変更前の時間帯における電力需要は、変更後においてもコージェネレーション装置2の最低稼動負荷以上か否かを判断する。
当該変更後における電力需要がコージェネレーション装置2の最低稼動負荷未満であれば(ステップS6がNO)、ステップS7に進み、当該変更後における電力需要がコージェネレーション装置2の最低稼動負荷以上であれば(ステップS6がYES)、ステップS10に進む。
ステップS7では、同一時間帯に変更可能な負荷が他にあるか否かを判断し、他にあれば(ステップS7がYES)、風呂張り時間前に変更された前記負荷を最初の時間帯(変更前の時間帯)に戻し、当該時間帯から別の負荷を選択して(ステップS8)、ステップS5に戻る(図3における符号「A」参照)。
一方、同一時間帯に変更可能な負荷が他に無ければ(ステップS7がNO)、ステップS9で、風呂張り時間前に変更された負荷を最初の時間帯(変更前の時間帯)に戻す。そして、当該最初の時間帯(変更前の時間帯)とは別の時間帯から、稼働時間を変更する電力負荷を選択する。
当該別の時間帯から、変更可能な負荷を再度選択した後、制御はステップS5に戻る(図3における符号「A」参照)。
ステップS10では、コントロールユニット10はシミュレーション手段14によって変更後の負荷をシミュレーションし、電力需要がコージェネレーション装置2の最低稼動負荷以下となる回数(n)を決定する(ステップS11)。
次のステップS12では、コントロールユニット10の判定手段15は、電力需要がコージェネレーション装置2の最低稼動負荷となる回数(n)が、規定値以下であるか否かを判断する。
回数n(電力需要がコージェネレーション装置2の最低稼動負荷となる回数)が規定値以下でない場合(ステップS12がNO)は、ステップS13で、変更可能な負荷を、電力需要がコージェネレーション装置2の最低負荷未満となる時間帯に移動した後に、ステップS10に戻り、ステップS10以降を繰り返す。
前記回数nが規定値以下の場合(ステップS12がYES)は、ステップS14に進む。
ステップS14では、コージェネレーション装置2の最低稼動負荷以上の電力需要がある時間帯で、稼働時間の変更可能な負荷が残っているか否かを判断する。
コージェネレーション装置2の最低稼動負荷以上の電力需要がある時間帯に変更可能な負荷が残っていれば(ステップS14がNO)、ステップS15で残存している変更可能な負荷を選択して、ステップS5まで戻り、ステップS5以降を繰り返す。
一方、コージェネレーション装置2の最低稼動負荷以上の電力需要がある時間帯に稼動時間が変更可能な負荷が残っていなければ(ステップS14がYES)、変更後のコージェネレーション装置2の運転パターンを新規の運転計画(運転パターン)として決定して(ステップS16)、制御を終了する。
図5、図6は、第1実施形態において、図3で説明した運転計画策定の前後において、24時間における給湯需要、電力需要、発電量、蓄熱量の変化を示すグラフである。
図5、図6を参照して、図1〜図3の第1実施形態の作用効果を説明する。
図5が第1実施形態を実施する住居6における本来の電力負荷パターンであり、図6が第1実施形態により新たに設定された電力負荷パターンである。
尚、図5、図6において、A線が電力負荷(電力需要)、B線が貯湯タンクの蓄熱量、C線がコージェネレーション装置の発電量、D線が給湯需要を示す。
電力負荷稼働時間変更前の図5では、電力需要(電力負荷:A線)の多くが午前中に集中している。そして、コージェネレーション装置2の発電量(C線)は正午(12時)以降で特に17時以前では、コージェネレーション装置2の許容最低負荷Wminを割り込んでしまっている。
これに対して、電力負荷稼働時間を変更した後の状態を示す図6を参照すれば、図5において午前中に集中していた電力需要(電力負荷:A線)の一部(例えば、食器洗い機、全自動洗濯乾燥機の稼動)を午後及び夜間にシフトさせ、全体的に電力需要(電力負荷)を分散させた。
図5と図6とを比較すれば明らかな様に、図6の電力負荷パターンでは、電力負荷を移動する(分散させる)ことにより、電力負荷がコージェネレーション装置2の許容最低負荷Wmin以上となる時間が長くなり、電力負荷が許容最低負荷Wmin未満となる回数が減少している。
図6では明確には表現されていないが、短時間に一気に蓄熱する事が可能(図5と図6のB線同士の比較)となり、且つ、蓄熱が「風呂張り」(給湯需要が最大となる)直前となっているため、「風呂張り」までの(貯湯槽からの)放熱量が少なくて済む。
図4は、本発明の第2実施形態における運転計画(コージェネレーション装置2の運転計画)の決定に関する制御を示している。
具体的には、稼働時間を変更することが出来る電力負荷を全て風呂張り前の時間帯に移動させ、最低稼動出力以下になる回数nを求め、nの回数が所定値以下の場合にその運転計画を決定する実施形態である。
図1〜図3の第1実施形態では、変更(移動)可能な電力需要は、その時間帯の電力負荷がコージェネレーション装置2の最低負荷を確保出来る場合のみ、「風呂張り」の直前に移動される。
それに対して、図4の第2実施形態では、最初に、移動可能な負荷の稼働時間(帯)を、全て、「風呂張り」の直前に移動する。そして、変更後の運転についてシミュレーションを行い、コージェネレーション装置2の停止回数が規定値以下になるように、移動した電力需要の稼働時間を適宜変更させるべくシミュレーションを繰り返す。
次に、図4に基づいて、本発明の第2実施形態に係る制御(コージェネレーション装置2の運転計画決定に関する制御)について詳述する。
図4のステップS21では、コントロールユニット10の負荷分析手段11によって、現状の負荷を分析し、負荷パターン決定手段12によって負荷パターンを決定する(ステップS22)。
ステップS23では、コントロールユニット10の負荷分類手段13によって、稼働時間を変更可能な電力負荷と、変更不可能な電力負荷とに分類する。そして、稼動時間が変更可能な電力負荷を、全て、風呂張り時間前に移動し(ステップS24)、変更後の負荷をシミュレーション手段14によってシミュレーションする(ステップS25)。
次のステップS26では、シミュレーション手段14によるシミュレーション結果(ステップS25におけるシミュレーションの結果)に基いて、電力需要がコージェネレーション装置2の最低稼動負荷以下となる回数(n)を決定する。
ステップS27ではコントロールユニット10の判定手段15において、コージェネレーション装置2の最低稼動負荷以下となる回数(n)が規定値以下であるか否かを判断する。
ここで、前記回数(n)と比較される規定値は、コージェネレーション装置2の仕様、各住居における負荷パターンその他により、ケース・バイ・ケースで決定される。
コージェネレーション装置2の最低稼動負荷以下となる回数(n)が規定値を超える場合(ステップS27がNO)、ステップS28で、稼動時間が変更可能な負荷を、電力需要がコージェネレーション装置2の最低稼動負荷未満の時間帯へ移動する。
そしてステップS29において、当該時間帯の電力負荷がコージェネレーション装置2の最低稼動負荷以上であるか否かを判断する。
ステップS28で電力負荷の稼動時間が移動された時間帯における電力負荷が、コージェネレーション装置2の最低稼動負荷未満であれば(ステップS29がNO)、ステップS28に戻り、別の電力負荷の稼働時間を当該時間帯に移動させる。
ステップS28で電力負荷の稼動時間が移動された時間帯における電力負荷が、コージェネレーション装置2の最低稼動負荷以上であれば(ステップS29がYES)、ステップS25まで戻る。
ステップS27において、電力負荷がコージェネレーション装置2の最低稼動負荷となる回数(n)が規定値以下である場合(ステップS27がYES)には、ステップS30に進み、ステップS27がYESである電力負荷パターンに基いて、コージェネレーション装置2の運転計画を決定する。
図示の実施形態に係るコージェネレーションシステム1によれば、移動可能な電力負荷3を、コージェネレーション装置(燃料電池)2の許容最低稼動負荷未満に低下する時間帯に移動することにより、当該時間帯における電力負荷3をコージェネレーション装置2の許容最低稼動負荷以上として、コージェネレーション装置2が停止してしまうことを防止することが出来る。
あるいは、電力負荷3をコージェネレーション装置2の許容最低稼動負荷以上とすることにより、例えば燃料電池2の様なコージェネレーション装置が停止する回数を、減少させることが出来る。
さらに、移動可能な負荷3を、家庭用の最大の負荷である「風呂張り」の直前に移動する様に構成しているので、蓄熱手段(例えば、コージェネレーション装置2に装備されている貯湯槽)で短時間に一気に蓄熱され、且つ、蓄熱が「風呂張り」(給湯需要が最大となる)直前であるため、「風呂張り」までの(貯湯槽からの)放熱量が少なくて済む。
図3で示す第1実施形態における制御と、図4で示す第2実施形態における制御では、風呂張り直前の時間帯に稼働時間を変更可能な負荷を集めてしまうので、風呂張り直前の時間帯にコージェネレーション装置2の最大出力を超えた電力負荷が生じる可能性がある。
その様な場合には、系統電力を購入することになるので、省エネルギーに寄与することが出来なくなってしまう。
図9で示す第4実施形態は、その様な自体を回避することができる制御に関するものである。
図9で示す第4実施形態の制御は、図3で示す第1実施形態における制御において、あるいは図4で示す第2実施形態における制御において、コージェネレーション装置2の運転パターンを新規の運転計画(運転パターン)として決定可能な状態となっていることが前提となる(図3のステップS14がYESの状態、或いは、図4のステップS27がYESの状態)。
図9のステップS31では、コージェネレーション装置2の新規の運転計画(運転パターン)が決定可能な状態となっているか否か、すなわち、図3のステップS14がYESの状態であるか、或いは、図4のステップS27がYESの状態であるかを判断する。
コージェネレーション装置2の新規の運転計画(運転パターン)が決定可能な状態となっていなければ(図9のステップS31がNO)、図3で示す制御あるいは図4で示す制御を続行する(ステップS31がNOのループ)。
コージェネレーション装置2の新規の運転計画(運転パターン)が決定可能な状態となっていれば(図9のステップS31がYES)、図9で示す第4実施形態の制御の前提条件が満たされた状態であり、ステップS32に進み、第4実施形態の制御、すなわち、風呂張り直前の時間帯にコージェネレーション装置2の最大出力を超えた電力負荷が生じることを防止する制御を実行する。
先ず、その時点におけるシミュレーション結果(図3のステップS14がYESの状態であるか、或いは、図4のステップS27がYESの状態であるようなシミュレーションの結果)として、風呂張り直前の時間帯において必要とされる電力が、コージェネレーション装置2の最大出力を超えているか否かを判断する(ステップS32)。
風呂張り直前の時間帯における必要電力がコージェネレーション装置2の最大出力を超えていなければ(ステップS33がNO)、当該必要電力はコージェネレーション装置2で賄うことができるので、系統電力を購入する必要はなく、何等問題はないので、ステップS33に進む。
風呂張り直前の時間帯における必要電力がコージェネレーション装置2の最大出力を超えた場合には(ステップS33がYES)、ステップS34に進む。
ステップS34では、上述したシミュレーション(図3のステップS14がYESの状態であるか、或いは、図4のステップS27がYESの状態であるようなシミュレーションの結果)において、電力負荷が低いためにコージェネレーション装置2が高効率で運転できない状態の時間帯(高効率領域から外れている時間帯)が存在するか否かを判断する。
高効率領域から外れている時間帯が無い場合(ステップS34がNO)には、シミュレーションの結果については、改善する余地が無いので、ステップS33に進む。
ステップS33では、その時点で決定しているシミュレーションの結果には何等問題はなく、或いは、改善する必要が無いと判断されるので、図3の制御であればステップS16に進み、図4の制御であればステップS30に進み、コージェネレーション装置2の新規の運転計画(運転パターン)が決定される。
再びステップS34で、高効率領域から外れている時間帯が存在するのであれば(ステップS34がYES)、高効率領域から外れている時間帯に、風呂張り直前の時間帯における電力負荷を移動することにより、コージェネレーション装置2の稼動効率を改善することが可能である。
ステップS34がYESの場合には、その様な改善を行うために、ステップS35に進む。
ステップS35では、風呂張り直前の時間帯の電力負荷に対して必要とされる発電量と、コージェネレーション装置2の最大出力とを大幅に超過しているか、あるいは、さほど大きな差異がないのかを判断する。具体的には、ステップS35では、風呂張り直前の時間帯の電力負荷に対して必要とされる発電量と、コージェネレーション装置2の最大出力との差異が、予め設定された定数を上回っているか否かを判定する。
風呂張り直前の時間帯における電力負荷がコージェネレーション装置2の最大出力とを大幅に超過している場合には(ステップS35がYES)、高効率領域から外れている時間帯に移動する電力負荷としては、なるべく消費電力の大きい電力負荷であることが好ましい。従って、稼働時間を変更可能な負荷の内、消費電力の大きい電力負荷を適宜選択し、係る負荷を風呂張り直前の時間帯から高効率領域から外れている時間帯(ステップS34参照)に移動した場合についてのシミュレーションを行う(ステップS36)。
一方、風呂張り直前の時間帯における電力負荷とコージェネレーション装置2の最大出力との差異がさほど大きくない場合には(ステップS35がNO)、消費電力の大きい電力負荷を高効率領域から外れている時間帯に移動してしまうと、風呂張り直前の時間帯における電力負荷が小さくなってしまう可能性がある。そのため、稼働時間を変更可能な負荷であって、消費電力の小さい電力負荷を適宜選択し、係る負荷を風呂張り直前の時間帯から高効率領域から外れている時間帯に移動した場合についてのシミュレーションを行う(ステップS37)。
ステップS36、S37において、具体的にどのような電力負荷を選択するかについても、図3、図4で関連して説明したように、コージェネレーションシステム1の設置に際して予め決定しておく場合もあるし、居住しているユーザーにインタビューして決めることも出来て、多様な選択方式が採用可能である。
ステップS36あるいはステップS37でシミュレーションを実行したならば、風呂張り直前の時間帯が、高効率領域を外れたか否かを判断する(ステップS38)。
ステップS36あるいはステップS37で選択された負荷によっては、風呂張り直前の時間帯における負荷が小さくなり過ぎて、コージェネレーション装置2が高効率で運転できる領域から外れてしまうからである。
風呂張り直前の時間帯が、高効率領域を外れていなければ(ステップS38がNO)、ステップS36あるいはステップS37で選択された負荷については問題が無かったと判断されるので、ステップS32に戻る。そして、ステップS32、S33において、ステップS38がNOと判定されたシミュレーション結果に問題が無いか否かを判定する。
風呂張り直前の時間帯が、高効率領域を外れている場合には(ステップS38がYES)、ステップS36あるいはステップS37で選択された負荷が不適当であったと判断し、当該負荷とは別の負荷を、ステップS36、S37で述べたような態様にて選択し、係る電力負荷を風呂張り直前の時間帯から、ステップS34で判定された高効率領域から外れた時間帯に移動した場合におけるシミュレーションを実行する(ステッブS39)。
そしてステップS38で、風呂張り直前の時間帯が高効率領域を外れたか否かを判断する。
図9で示す制御を行えば、風呂張り直前の時間帯における必要電力がコージェネレーション装置2の最大出力を超えたとしても、その他の時間帯(高効率領域から外れた時間帯)へ電力負荷を移動することにより、系統電力を購入する必要が無くなる。
そして、移動される電力負荷が適正に選択されるまで、図9で示す制御は続行され、最終的に図3のS16または図4のS30に戻り、コージェネレーション装置2の運転について、問題が無い計画を策定することができるのである。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定するものではないことを付記する。
本発明の実施形態の全体構成を示すブロック図。 図1における制御手段の詳細構成を示すブロック図。 第1実施形態における制御を示すフローチャート。 第2実施形態における制御を示すフローチャート。 従来における電力負荷等とコージェネレーション装置の発電量との関係を比較する特性図。 本実施形態を実施した場合における電力負荷等とコージェネレーション装置の発電量との関係を比較する特性図。 コージェネレーション装置の出力と効率との関係を示す特性図。 24時間における電力負荷の変遷の1例を示した特性図。 第3実施形態における制御を示すフローチャート。
符号の説明
1・・・コージェネレーションシステム
2・・・コージェネレーション装置/燃料電池
3・・・電力負荷
4・・・風呂
5・・・ネットワーク/通信ライン
10・・・制御手段/コントロールユニット
11・・・分析手段
12・・・負荷パターン決定手段
13・・・負荷分類手段
14・・・シミュレーション手段
15・・・判定手段
Le・・・給電ライン
Lh・・・給湯ライン

Claims (2)

  1. 発電及び発熱を行うコージェネレーション装置と、電力を消費する電力負荷と、熱を消費する給湯負荷と、コージェネレーション装置の運転制御を行う制御装置とを有しており、前記電力負荷は制御装置と情報ネットワークを介して接続しており、制御装置は、電力負荷を、稼働時間が変更可能な電力負荷と変更不可能な電力負荷に分類し、変更可能な電力負荷の稼働時間を変更した場合の負荷パターンのシミュレーションを行い、当該電力負荷の稼働時間変更の是非を判定する制御を行う様に構成されていることを特徴とするコージェネレーションシステム。
  2. 負荷パターンを決定する工程と、電力負荷を稼働時間が変更可能な電力負荷と変更不可能な電力負荷とに分類する工程と、変更可能な電力負荷の稼働時間を変更した場合のシミュレーションを行う工程と、変更可能な電力負荷の稼働時間を変更した場合のシミュレーションから、変更後にさらに変更可能な電力負荷があるかを判定する判定工程、とを有していることを特徴とするコージェネレーションシステムの運転方法。
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