JP4711074B2 - 凝集反応装置 - Google Patents

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Description

本発明は凝集反応装置に係り、特に懸濁物質(SS)や油等の汚濁物質を含んだ水から汚濁物質を分離する際、凝集反応によって凝集汚泥を生成して処理する凝集反応装置に関する。
従来、用水処理や排水処理においては、凝集反応槽に処理対象とする原水(被処理水)と共に無機系または有機系の凝集剤を注入して被処理水中に含まれる懸濁物や溶解物を凝集させ、凝集フロックとして除去することが行われている。
この種の装置としては、原水(被処理水)に凝集反応を起こさせる凝集装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この凝集装置は、凝集反応槽内部に開口部を有する隔壁を複数多段に設け、かつ槽内部における生成フロックに接触ころがり運動を生起させるように回転円板を前記多段隔壁相互間で前記開口部を望むように配置して凝集反応槽の上方に設けられた開口部から原水を導くように構成したものである。
あるいは、同様な装置として竪型湿式造粒装置も知られている(例えば、特許文献2を参照)。これは、反応槽内を上下に仕切る開口部またはスリットを有する仕切り板にて複数の反応室を形成し、懸濁物質を含む懸濁液を凝集反応槽の下方に設けた流入管からその槽内に導いて旋回流を生じさせて凝集反応を起こさせ、凝集反応槽の上方に設けた流出管から槽外に排出されるよう構成したものである。
同様に凝集反応槽の下部に設けられた流入管および上部に設けられた流出管を備える水処理用撹拌装置が知られている(例えば、特許文献3を参照)。この装置も、中央に開口部を有する仕切り板で槽内を複数の反応槽に仕切ったものである。
特開昭49−9764号公報 実公昭60−24411号公報 実公昭57−60809号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載の装置のように仕切り板に設けた孔(開口部)やスリットを介して上方から下方に通水する多段凝集反応槽であって排水(処理水)とともに浮上性の高い汚濁物質が存在する場合、最上流側の反応槽内にこの汚濁物質が溜まってしまうという問題があった。このため溜まった汚濁物質が腐食して悪臭を発する問題もあった。また凝集反応槽内のpH値を計測するpHセンサは、この槽の上方に位置付けられていることが多く、それ故、pHセンサが浮上した汚濁物質の中に埋もれてしまい、pH値の検出ができず、被処理水のpH制御が困難になることもあった。
また前記特許文献2または3に記載の竪型湿式造粒装置のように原水を凝集反応槽の下方から流入させる場合は、この凝集反応槽の次段に設けられる加圧浮上槽の混合室に原水を直接供給できないという問題のほか、原水が下方から凝集反応槽に導かれているため原水の状況を目視確認することが困難であるという問題もある。
本発明は、このような従来の事情を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、凝集反応槽内で浮上する汚濁物質が凝集反応槽の上方に留まることなく、それ故、汚濁物質の腐食による悪臭を防止すると共に、被処理水のpH値が正しく検出でき、被処理水のpH制御が適切にでき、更には凝集反応槽内における原水の短絡を減少させて未凝集の懸濁物質(SS)の量を低減させて、該凝集反応槽の後段に位置する固液分離装置へ良好な処理水を提供することにある。
上述した目的を達成すべく本発明の凝集反応装置は、所定の配管により導かれた被処理水をその上方に位置付けられた原水流入口から受け入れるとともに、その下方から処理された前記被処理水を排出する水槽と、この水槽内に位置して、その内部を上下方向の複数の反応室に仕切る仕切り板と、所定の薬液配管により導かれて、前記水槽の上方に設けられた薬液投入口から該水槽内に所定の薬液を注入する薬液注入手段と、前記仕切り板で仕切られた複数の前記反応室にそれぞれ導かれた前記被処理水をそれぞれ撹拌する複数の撹拌手段とを具備した凝集反応装置であって、
前記仕切り板は、この仕切り板の辺部近傍に設けられて、該仕切り板で仕切られた上下に隣接する前記反応室を連絡して該仕切り板を貫通し、その上端部に水面近傍または上方に隣接する仕切り板の近傍に開口する連通管を備えることを特徴としている。
上述の凝集反応槽装置は、原水(被処理水)をその槽の上方に位置付けられた反応槽に導き、下方に位置付けられた反応槽から凝集処理水を得る。また原水は、反応槽にこの原水を導く配管(原水導入管)によって凝集槽の上方から導かれた後、凝集槽内で水平方向に向きを変えた吐出口から排出される。この吐出口の中心位置の高さは凝集槽内で蓄えられる処理水の水面と略同じ高さに位置付けられ、上方の反応室における被処理水の凝集処理が不十分な状態で下方の反応室に直接流れ込む、いわゆる短絡を防ぐ。
好ましくは前記撹拌手段は、前記水槽における水平面の略中央の位置から垂直方向に延伸されて前記仕切り板を貫き、前記各反応室をそれぞれ貫通する棒体と、この棒体に取り付けられて、その長手方向を軸心としてこの棒体を回転駆動させる駆動部と、前記棒体にそれぞれに取り付けられて、前記反応室毎に前記棒体の軸心から前記水槽の壁面方向に延伸された板状の撹拌翼とを具備し、
前記水槽は直方体形状をなし、前記反応室の上側を仕切る仕切り板に取り付けられた連通管と、当該反応室の下側を仕切る仕切り板に取り付けられた連通管とが、前記水槽の対角に位置するように配置されていることを特徴としている。
また隣り合う前記反応室の上流側に位置する反応室は、その下流側に位置する反応室に対して等しいまたは多い枚数の前記撹拌翼を備えて提供される。
好ましくは前記撹拌手段は、前記上流側に位置する反応室において、四枚の前記撹拌翼が前記棒体の回転方向に対して互いに略90度異なる位相差をなして前記棒体に取り付けられることが望ましい。
また前記撹拌手段は、前記下流側に位置する反応室において、二枚の前記撹拌翼が前記棒体の回転方向に対して互いに略180度異なる位相差をなして前記棒体に取り付けられて提供される。
好ましくは前記撹拌手段は、前記下流側に位置する反応室および隣接する反応室において、二枚の前記撹拌翼が前記棒体の回転方向に対して互いに略180度異なる位相差をなして前記棒体に取り付けられ、前記下流側に位置する反応室に設けられた二枚の前記撹拌翼と隣接する反応室に設けられた二枚の前記撹拌翼とは、延伸方向が互いに90度の位相差をなして前記棒体に取り付けられることが望ましい。
上述の凝集反応槽は、原水が槽内に導かれる吐出口に近い反応室、つまり上方に位置する反応槽内の撹拌翼が下方の反応槽に設けられた撹拌翼より翼の枚数が多く、撹拌翼によって撹拌される被処理水に生じる乱流強度が大きい。一方、下方に位置する反応槽内には、上方の反応槽よりも翼の数が少ない撹拌翼が設けられているので、撹拌によって生じる被処理水の乱流強度が弱くなり緩速撹拌を行ったことと同様に作用する。このため被処理水に急速撹拌を行った後に緩速撹拌を行ったことと同様に作用し、粒径が大きく良好な凝集フロックが生成される。
また上述の凝集反応槽は、下方の反応室の被処理水が上方の反応室に逆流する、いわゆる逆混合や、上方の反応室における被処理水の凝集処理が不十分な状態で下方の反応室に流れ込む、いわゆる短絡が起こりにくく反応率が高くなる。このため本発明の凝集反応槽は、被処理水中における未凝集の懸濁物質(SS)等の量が減少し、処理水の水質を良好にさせる。
本発明の凝集反応装置によれば、複数の反応室を区画している仕切り板の辺部近傍に設けられた連通管を備え、仕切り板で仕切られた上下に隣接する反応室を連絡して仕切り板を貫通し、その上端部に水面近傍または上方に隣接する仕切り板の近傍に開口している。また本発明の凝集反応装置は、原水(被処理水)を凝集槽内に導く配管(原水導入管)の端部に設けられた吐出口の中心位置の高さが凝集槽内で蓄えられる処理水の水面と略同じ高さに位置付けられているので、複数の反応室に仕切られた凝集反応槽内での短絡が起こりにくく、原水の凝集処理率を向上させることができる。更にこの吐出口は、凝集反応槽の上方に位置付けられているので、凝集反応槽内に流れ込む原水(被処理水)の状態を目視するが可能であり、また原水のサンプリングが容易である。
また本発明の凝集反応装置は、仕切り板で仕切られた複数の反応室において、凝集反応槽の上方に位置する反応室に設けられた撹拌翼の枚数が下方に位置する反応室内の撹拌翼の枚数より多いので、上方に位置する反応室内の被処理水に生じる乱流強度が大きくなる。一方、下方に位置する反応室内は、上方の反応室よりも撹拌翼の枚数が少ないため、撹拌によって生じる被処理水の乱流強度が弱くなる。それ故、緩速撹拌と同様の効果を得ることができる。このため被処理水に急速撹拌を行った後に緩速撹拌を行ったことと同様の効果を得ることができ、粒径が大きく良好な凝集フロックを生成することが可能である。
このため本発明の凝集反応装置は、浮上汚濁物質が各反応槽内に留まることなく、良好な凝集処理水とともに次工程(例えば、加圧浮上装置等の固液分離装置)へ供給することができる。したがって凝集反応槽内での悪臭の発生を抑えることができる。また次工程の固液分離装置で、処理水と共に流れ出た浮上物質を浮上分離槽等で容易に分離できる等の実用上多大なる効果を奏する。
以下、本発明の凝集反応装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
尚、図1〜図4は本発明に係る凝集反応装置の一実施形態を示すものであるが、これらの図によって本発明が限定されるものではない。
さて、本発明の凝集反応装置の一実施形態を示す図1〜図4において10は、凝集反応槽(水槽)である。この凝集反応槽10には、その上方から凝集反応槽10内に原水(被処理水)を導く配管(原水導入管)1が設けられる。そして凝集反応槽10の下方には、この凝集反応槽10内にて処理された被処理水を取り出して次段の加圧浮上装置32等の固液分離装置(例えば、沈殿装置等)へ排出する排出路2が設けられている。
原水導入管1は、凝集反応槽10の上方から下向きに曲げられて、凝集反応槽10内で水平向きになるように曲げられている(図3および図4(a)FF’断面を参照)。そしてその端部には、原水(被処理水)を凝集反応槽10内に吐出させる吐出口1aが設けられている。この吐出口1aの開口部は、凝集反応槽10内に導かれて、この凝集反応槽10内において凝集処理中に蓄えられる被処理水の水面の位置と略等しい高さに位置付けられる。この開放部は、その中央部における位置の高さが被処理水の水面の位置と略等しい高さであることが望ましい(図4(b)のFF’断面の位置)。
また凝集反応槽10は、この凝集反応槽10の内部に位置して、凝集反応槽10内を上下方向の複数の反応室11a,11b,11cにそれぞれ仕切る仕切り板12a,12bを備える。これら仕切り板12a,12bには、この仕切り板12a,12bの辺部近傍に設けられて、該仕切り板12a,12bで仕切られた上下に隣接する反応室11a,11b,11cを連絡してこの仕切り板12a,12bを貫通し、その上端部に水面近傍または上方に隣接する仕切り板の近傍に開口する連通管16a,16bを備える。
上流側の連通管16aの上端は、凝集反応槽10における凝集反応作動中に一時的に蓄えられる被処理水の水面よりも低い一方、連通管16aの下端は、仕切り板12aの直下に達する。一方、下流側(二段目以降を含む)の連通管16bの上端および下端は、それぞれ仕切り板12bの上端および下端に位置付けられる。
これらの連通管16a,16bは、仕切り板12a,12bでそれぞれ仕切られた複数の反応室11a,11b,11cを連通して凝集反応槽10に導かれた原水(被処理水)を上流側(初段)の反応室11aから次段(第二段)の反応室11bを介して終段の反応室11cに導き、各反応室a,11b,11cにて生じる短絡または逆混合を防ぐ役割を担う。
尚、隣接する仕切り板12a,12bに設ける連通管16a,16bは、凝集反応槽10内での被処理水の経路が長くなることが短絡防止の観点から好ましい。例えば凝集反応槽が直方体形状をなす場合、連通管16a,16bは、対角に位置するように配置する。
尚、凝集反応槽10は、仕切り板の枚数を多くして多数の反応室を有する多段構成にするほど処理水の質が向上する反面、構造が複雑になる。したがって反応室は2〜5室構成がよい。好ましくは凝集反応槽10は、二枚の仕切り板12a,12bを用いて三つの反応室11a,11b,11cの三層構成にすると構造が複雑にならず望ましい。
また仕切り板12a,12bでそれぞれ仕切られた複数の反応室11a,11b,11cには、各反応室11a,11b,11cに導かれた被処理水を撹拌する複数の撹拌手段13がそれぞれ設けられている。この撹拌手段13は、凝集反応槽10内に導かれて蓄えられる被処理水がなす水面の略中央の位置から垂直方向に延伸されて仕切り板12a,12bを貫き、各反応室11a,11b,11cをそれぞれ貫通する棒体13aと、この棒体13aに取り付けられて、その長手方向を軸心として該棒体13aを回転駆動させる駆動部14と、棒体13aにそれぞれ取り付けられて、前記棒体13aが貫通する反応室11a,11b,11c毎に棒体13aの軸心から凝集反応槽10の壁面方向に延伸された平板状の撹拌翼13b,13c,13dを備える。
例えば凝集反応槽10の高さが950mm、幅、奥行きとも800mmであるとすれば、撹拌翼13b,13c,13dの幅は、30mm〜200mm程度、好ましくは50mm〜80mmが望ましい。あるいは撹拌翼13b,13c,13dの幅は、各反応室11a,11b,11cの高さに対して3%〜40%程度、好ましくは8%〜30%が望ましい。尚、撹拌翼13b,13c,13dの厚みは、3mm〜10mm程度、好ましくは4.5mm〜7mmが望ましい。
また隣り合う反応室の上流側に位置する反応室は、下流側の反応室より少なくとも等しい枚数の撹拌翼を備える。好ましくは上流側に位置する反応室ほど撹拌翼の枚数を増やすことが望ましい。例えば、図2に示すように凝集反応槽10を二枚の仕切り板12a,12bによって三つの反応室11a,11b,11cを備える構成とした場合、最も上流側(初段)の反応室11aには、四枚の撹拌翼13bを備えた撹拌手段13とし、次段(第二段)および終段の反応室11b,11cには、それぞれ二枚の撹拌翼13c,13dの構成とする。
このように上流側に位置する反応室11aの撹拌翼13bの枚数を増やして、上流側ほど被処理水に与える乱流強度を大きくする一方、下流側の反応室11b,11c内の撹拌翼13c、13dの枚数を少なくして、被処理水に与える乱流強度を弱くする。
尚、初段の反応室11aが四枚の撹拌翼13bを備える場合、棒体13aの回転方向に対して互いに略90度異なる位相差をなして取り付けることが望ましい(図3および図4(c)のAA’断面を参照)。
また下流側の反応室11b,11cに位置する撹拌手段13が、二枚の撹拌翼13bを備える場合、棒体13aの回転方向に対して互いに略180度異なる位相差をなして取り付けることが好ましい(図3および図4(e)のCC’断面および図4(g)EE’断面を参照)。
特に図2に示すように第二段および終段の反応室11b,11cがそれぞれ備える撹拌翼13c,13dは、各反応室11b,11cにそれぞれ設けられた二枚の撹拌翼13c,13dが棒体13aの回転方向に対して互いに略180度異なる位相差をなして棒体13aに取り付けられているとき、隣接する反応室11b,11cにそれぞれ設けられた撹拌翼13c,13dの延伸方向が互いに90度の位相差をなすよう棒体13aに取り付ける(図3および図4(e)のCC’断面および図4(g)EE’断面を参照)。
撹拌手段13の回転速度は、5〜10min−1または撹拌翼13b,13c,13dの翼端における速度が0.2〜4m/sが好ましく、より好ましくは回転速度が10〜40min−1または撹拌翼13b,13c,13dの翼端における速度が0.4〜1.6m/sが望ましい。
また前述した原水導入管1および吐出口1aの取り付け位置は、凝集反応槽10を上方から視野した図4(b)の断面FF’に示すように撹拌翼13bが、この図において時計回りに回転する旋回流が生じる場合、撹拌翼13bによる旋回流の接線方向と一致するようにして原水が吐出口1aから凝集反応槽10内に吐出されるようにする。
尚、上述した凝集反応槽10は、直方体形状として説明したものであるが、水平面の断面が円形または楕円形状等の円筒形状であってもよい(特に図示せず)。その場合は前述した仕切り板12a,12bを凝集反応槽10の断面形状に一致させて複数の反応室11が形成されるようにすると共に、隣接する仕切り板に設ける連通管16a,16bは、凝集反応槽10内での被処理水の経路が長くなるように配置する。もちろんこの場合は、撹拌翼13bが回転するとき凝集反応槽10の壁面に接触することなく回動できるようにすることは言うまでもない。
ちなみに吐出口1aの下流側、すなわち旋回流の下流側には、凝集反応槽10内に導かれた原水に凝集反応を起こさせる凝集剤を投入する凝集剤投入口20、凝集反応槽10内で凝集反応を起こしている被処理水のpHを計測するpHセンサ21、このpHセンサ21が検出したpH値を測定するpH測定装置22、pH測定装置22が検出したpH値が適切なpH値になるようにアルカリ薬剤および酸性薬剤を凝集反応槽10内にそれぞれ投入するアルカリ剤投入口23および酸性剤投入口24を備える。
尚、凝集剤投入口20から投入される凝集剤は、PACのほか、硫酸バンド、硫酸第二鉄などを用いる。例えば凝集剤にPACを用いる場合、この凝集剤は、PACタンク25に保持されて、凝集制御装置の制御部26から凝集ポンプ27が駆動されて凝集反応槽10に注入される薬注量が制御される。
また、本発明の凝集反応装置は、凝集反応槽10内のpH値を所定の値にするため、凝集反応槽10内にアルカリ性薬剤または酸性薬剤を注入するべく、これらの薬剤を保持するアルカリ剤タンク28および塩酸タンク29を備える。そして、pH測定装置22が測定したpH値は、制御部26に与えられて、この制御部26の指示によってアルカリ剤注入ポンプ30または塩酸注入ポンプ31が選択駆動され、アルカリ剤タンク28および塩酸タンク29に蓄えられた酸性薬液(塩酸)が凝集反応槽10に薬注されてpH値の調整がなされる。
また上述のように構成された本発明の凝集反応槽10の次段には、固液分離装置として例えば加圧浮上装置32等が接続される。この加圧浮上装置32は、本発明の凝集反応装置とは異なるため略述するが凝集反応槽10にて凝集反応された被処理水に含まれるフロックを分離する役割を担っている。この加圧浮上装置32は、槽内に蓄えられた処理水を取り出して、空気を混入させて高圧の加圧水を生成して凝集反応槽10と加圧浮上装置32とを連結する排出路2に気液混合流を送り込む加圧水製造装置33を備える。
そして前段の凝集反応槽10にて凝集反応がなされた被処理水に含まれる水の比重より小さいフロック(スカム等)は、加圧浮上装置32に蓄えられる被処理水の水面近傍に位置付けられたスカム取り出し装置34によって槽外へ排出され、浮上スラッジとして排出される。一方、加圧浮上装置に導かれた被処理水に含まれる比重の大きなスラッジは、沈降スラッジとして槽外に排出される。
しかして加圧浮上装置32にてスラッジが取り出された処理水は、次段の水位調整装置40にて水位が調整されて後工程へ送られる。
尚、凝集反応槽10全体の体積に対する原水(被処理水)の滞留時間は3〜15分程度が望ましい。
かくして上述したように構成された本発明の凝集反応装置によれば、連通管16a,16bを備える複数の仕切り板12a,12bによって凝集反応槽10内に複数の反応室11a,11b,11cを設けているので、凝集反応槽10内での反応が多段反応となり、原水の凝集処理率を向上させることが可能である。また吐出口1aは、凝集反応槽10の上方に位置付けられているので、凝集反応槽10内に流れ込む原水(被処理水)の状態を目視するが可能であり、また原水のサンプリングを容易に行うことも可能である。
特に本発明の凝集反応装置は、仕切り板12a,12bで仕切られた複数の反応室11a,11b,11cにおいて、凝集反応槽10の上方に位置する反応室(例えば、初段の反応室11a)に設けられた撹拌翼13bの枚数が下方に位置する反応室(例えば、第2段および終段の反応室11b,11c)内の撹拌翼13bの枚数より多いので、上方に位置する反応室内の被処理水に生じる乱流強度が大きくなり、被処理水に急速撹拌を行ったことと同様に作用する。それ故、粒径が大きく良好な凝集フロックを得ることができる。
また下方に位置する反応室内では、上方の反応室よりも撹拌翼の枚数が少ないため、撹拌によって生じる被処理水の乱流強度が弱くなり、緩速撹拌と同様の効果を得ることができる。このため本発明の凝集反応装置は、下方の反応室の被処理水が上方の反応室に逆流する、いわゆる逆混合が起こりにくく高い反応率を得ることができる。このため本発明の凝集反応装置は、浮上汚濁物質が各反応槽内に留まることなく、処理水ともに次工程(例えば、加圧浮上装置等の固液分離装置)へ供給することができ、それ故、凝集反応槽内での悪臭の発生を抑えることができる。また次工程の固液分離装置で、処理水と共に流れ出た浮上物質を浮上分離槽等で分離できる。
尚、本発明の凝集反応装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることが可能である。
本発明の一実施形態に係る凝集反応槽を用いた汚泥凝集処理システムの要部概略構成を示す図。 図1に示す凝集反応槽の概略構成を示す斜視図。 図1に示す凝集反応槽を横から見た断面図。 図3に示す凝集反応槽の断面図。
符号の説明
1 原水導入管
1a 吐出口
2 排出路
10 凝集反応槽
11a,11b,11c 反応室
12a,12b 仕切り板
13 撹拌手段
13a 棒体
13b,13c,13d 撹拌翼
14 駆動部
16a,16b 連通管

Claims (6)

  1. 所定の配管により導かれた被処理水をその上方に位置付けられた原水流入口から受け入れるとともに、その下方から処理された前記被処理水を排出する水槽と、
    この水槽内に位置して、その内部を上下方向の複数の反応室に仕切る仕切り板と、
    所定の薬液配管により導かれて、前記水槽の上方に設けられた薬液投入口から前記水槽内に所定の薬液を注入する薬液注入手段と、
    前記仕切り板で仕切られた複数の前記反応室にそれぞれ導かれた前記被処理水をそれぞれ撹拌する複数の撹拌手段と
    を具備した凝集反応装置であって、
    前記仕切り板は、この仕切り板の辺部近傍に設けられて、前記仕切り板で仕切られた上下に隣接する前記反応室を連絡して前記仕切り板を貫通し、その上端部は水面近傍または上方に隣接する仕切り板の近傍に開口する連通管を備えることを特徴とする凝集反応装置。
  2. 前記撹拌手段は、前記水槽における水平面の略中央の位置から垂直方向に延伸されて前記仕切り板を貫き、前記各反応室をそれぞれ貫通する棒体と、
    この棒体に取り付けられて、その長手方向を軸心としてこの棒体を回転駆動させる駆動部と、
    前記棒体にそれぞれに取り付けられて、前記反応室毎に前記棒体の軸心から前記水槽の壁面方向に延伸された板状の撹拌翼とを具備し、
    前記水槽は直方体形状をなし、前記反応室の上側を仕切る仕切り板に取り付けられた連通管と、当該反応室の下側を仕切る仕切り板に取り付けられた連通管とが、前記水槽の対角に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の凝集反応装置。
  3. 隣り合う前記反応室の上流側に位置する反応室は、その下流側に位置する反応室に対して等しいまたは多い枚数の前記撹拌翼を備えることを特徴とする請求項2に記載の凝集反応装置。
  4. 前記撹拌手段は、前記上流側に位置する反応室において、四枚の前記撹拌翼が前記棒体の回転方向に対して互いに略90度異なる位相差をなして前記棒体に取り付けられることを特徴とする請求項3に記載の凝集反応装置。
  5. 前記撹拌手段は、前記下流側に位置する反応室において、二枚の前記撹拌翼が前記棒体の回転方向に対して互いに略180度異なる位相差をなして前記棒体に取り付けられることを特徴とする請求項4に記載の凝集反応装置。
  6. 前記撹拌手段は、前記下流側に位置する反応室および隣接する反応室において、二枚の前記撹拌翼が前記棒体の回転方向に対して互いに略180度異なる位相差をなして前記棒体に取り付けられ、
    前記下流側に位置する反応室に設けられた二枚の前記撹拌翼と隣接する反応室に設けられた二枚の前記撹拌翼とは、延伸方向が互いに90度の位相差をなして前記棒体に取り付けられることを特徴とする請求項に記載の凝集反応装置。
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