JP4711029B2 - 光通信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信のための光送受信器、光受信器に関する。特に、小型で低コストの光送受信器、光受信器を提供する事を目的とする。ここでは時に光送受信器、光受信器を光通信装置と総称する。送信・受信の両機能をもつ送受信器においては、送信器側の電気・光信号が受信側に混入する可能性がある。複数の受信器を有する装置では隣接受信部の電気・光信号が受信部に混入する可能性がある。これをクロストークと言う。これは受信部ではノイズとなるので、できるだけ排除しなければならない。
【0002】
クロストークには電気的ものと光学的なものがある。送受信器を小型にするには電気的、光学的クロストークを抑制する必要がある。本発明は送信・受信部の電気的、光学的クロストークを効果的に抑制することによって小型化、低コスト化を実現できる光通信装置を提供する。
【0003】
【従来の技術】
図1はもっとも普及している光送受信器の概念図である。光源である半導体レ−ザ(LD)1も受信器であるフォトダイオード(PD)2も個別に金属ケースに納められている。LD1、PD2は光ファイバ3、4によって局側に接続されている。LD1、PD2はピン9、9によって配線基板5の適当な配線パターンに接続される。また配線基板5には送信用電子回路6と受信用電子回路7が設けられる。
【0004】
送信側と受信側の間での電気的なクロストークを防ぐため、送信用電子回路6と受信用電子回路7の間に金属遮蔽板8が設けられる。これが電子回路6、7の間をシールドする。配線基板5はいわゆるプリント基板であり、自由なグランドパターンを形成することができる。金属遮蔽板8も自由にグランドに落とす事ができる。また、この構成では、LD1とPD2がそれぞれ金属ケースに入っているため、光が外に漏れない。つまり光学的電気的クロストークを低減することができる。クロストーク抑制という点では優れた送受信器である。
【0005】
しかし、この構造では、大きさがこれ以上小さくならないし、コストが下がらないという欠点がある。PDチップ、LDチップを金属パッケージに収容したPDモジュール、LDモジュール自体が大きいし、配線基板5に、電子回路6、7を実装するから嵩高い装置になる。また金属ケースに収容したPD、LDモジュールはコスト高である。そのようなわけで図1のような装置では小型化、コスト削減に限界がある。
【0006】
これを解決するために、最近SiのV溝を使ってファイバの固定を行い、基板上にSiOを絶縁層として形成し、この上に配線用メタライズパターンを形成して、小型かつ低コストの光送受信器を構成することが考えられている。例えば次のようなレポートに提案されている。
【0007】
▲1▼ 高橋龍太、村上和也、須永義則、所武彦、小林雅彦「SFF光トランシーバ用光素子実装方法の検討」1999年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会、講演番号C−3−28、p133(1999)。
【0008】
図2にその構造を示す。平坦なSi基板10上の後半部にSiO絶縁層11を形成する。Si基板10の前半には平行な2本のファイバ固定用V溝12、13が形成される。V溝12、13に送信用光ファイバ14、受信用光ファイバ15が固定される。SiO絶縁層11には金などの電極パターン16、18、19が形成されている。これらのパターンはデバイスチップを搭載したり配線になったりする。光ファイバ14の手前のパターン18にはLDチップ22が、光ファイバ15の直前のパターン19にはPDチップ23が実装される。LD22の後ろのパターン16にはモニタPD70が搭載される。
【0009】
LD22は電流に応じた送信光を発生する。送信光は光ファイバ14の中を局側へ伝搬する。局側から送られてきた信号光(受信光)は光ファイバ15からPD23に入り光電流に変換される。さらにモニタPD70がLDの背後に設けられ、LDパワーを監視するようになっている。図2において破線26より上方が送信器、破線26より下が受信器である。
【0010】
これはSi基板10上に、ファイバ固定溝12、13、LD/PD用固定電極パターン18、19、モニタPD用固定電極パターン16などを一気に形成できる。光ファイバ、LD、PDなどの部品を調芯しなくても、精度良く部品実装できる。全体に小型化できて非常に工業的な価値のある製品となる可能性がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、送信器、受信器間が絶縁板で遮断されている図1の装置と、遮断部材のない図2を比べれば分かるように、図2では電気的なクロストークが大きい。どうやって送受信間の電気的クロストークを低減するかが課題となる。もちろん、複数の送信器を並べたときや、複数の受信機を並べたときも、各チャンネル間のクロストークが問題になる。
【0012】
しかし、もっとも深刻な問題になるのは、送信器と受信器を一つの基板に一体化するときである。送信器のLDには繰り返し周波数の高い、強いパルス電流が流れる。受信器側はインピーダンスが高い回路である。静電容量を介して送信信号の一部が受信器側にノイズとして入ってしまう。電気的な送受信器間のクロストークについて詳しく説明する。
【0013】
図2において破線26は両者の境界線である。これを送信側から信号が電気的、光学的に受信側へ漏れることによって受信側にノイズが入る。これがクロストークである。このように光ファイバが2本あって光路が別別になったものは光学的なクロストークは少ないが電気的なクロストークは重要な問題を提起する。LD22に流れる繰り返し数の高いパルス信号は電磁波となって受信器側へ飛ぶ。受信器側はLD22に流れる送信信号を受信してしまう。これは空間伝搬する電磁波によって引き起こされるクロストークである。
【0014】
送信器からの大電流クロストークが微弱信号を受信する受信器のノイズとなる。複数の受信器間でもクロストークはあるが弱い。ところが送信器・受信器の間のクロストークは起こり易い。したがって、以下では特に重大な問題となる光送受信器を例にとって説明する。
【0015】
普通に考えれば、クロストークを抑制するには送信器部分と受信器部分での電磁波を遮断すればよい。そのためには送信器と受信器の間に金属板を立てて、これをSiO上に形成したグランド用メタライズに接続すればよいと考えられる。それは例えば、
【0016】
▲2▼ 石井園美、野村剛彦、伊澤敦、岩瀬正幸、「MT−RJ Optical Sub Assemblyのクロストーク解析」2000年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会、講演番号SC−3−7,p352(2000)
によって提案されている。これはPDだけの受信器、LDだけの送信器部分の二等分線(破線26)にそってSi基板上面を切り欠き帯状の金属板を立てたものである。図1と同様のことで金属板によって空間を伝搬する電磁波を吸収するようにしている。
【0017】
その発想の基礎になるものは、送信部から受信部へ電磁波として送信信号が飛び、それがクロストークを起こすのだから電磁波を遮断すればよい、という発想である。強力な電波、電流を発生する駆動用ICはこの装置には存在しない。微弱な電磁波をも感知する増幅器も存在しない。駆動用ICと増幅器の不在が電気的クロストークの問題を軽減している。同じSi基板に駆動用ICと増幅器がある場合に強いクロストークが初めて深刻な問題を投げかけるのである。▲2▼はそのような構造ではないから真の問題が何であるか?未だ分かっていないと言えよう。
【0018】
▲2▼の提案している金属板によって電磁波の伝搬を防ぐ、というのは常套的な手段である。▲2▼もその常識にそった改良を述べているにすぎない。図1に示すプリント基板の中央に金属遮蔽板8を設けたというのと大同小異である。
【0019】
しかし図1の場合の基板はプリント基板であって基板自体はエポキシ樹脂などの絶縁体である。図2の表面実装の場合、基板はSi基板であり絶縁体でない。だから空間伝搬する電磁波だけでなく、基板を伝わる電流もクロストークを引き起こす。基板自体にそのような根本的な相違がある。だから図2の装置において境界線26に金属板を立てるだけではクロストーク克服のためには十分でない。
【0020】
つまり平面実装において用いられるSiO/Si基板に特有の問題がある。Si基板はエッチングによってV溝を正確に形成できるなどの利点があり、酸化するとSiO絶縁体になるという便利さがある。しかしプリント基板と違い、Si基板は電気を通すので図1の装置にはない欠点がある。
【0021】
[仮想例]
電気的クロストークの問題をより尖鋭に考えるために次の仮想例を想定する。受信部にはPDと増幅器が含まれ、送信部にはLDと駆動用ICが含まれるものとする。実際にはこのような公知技術は存在しないが、本発明の直面する問題を明確にするために、この装置の欠点を考察しよう。
図3は、この仮想例の光ファイバコアとPD又は光ファイバとLDの断面を表す縦断面図である。これらの光素子(LD又はPD)の後ろに電気的素子27(駆動用IC又は増幅器のこと)がある。図3の横に拡大断面を示す。これはSi基板10の上に絶縁層29があり、電極パターン28があって、その上に電気的素子27が搭載されているということである。Si基板10は半導体であるが導電性がかなり高くて電流を流すことができる。Si基板10と電気的素子27の間には絶縁層29(例えばSiO)があって直流電流は遮断できる。しかし静電容量があるから高周波電流は流れてしまう。だから強いLDのパルス信号が、LD−絶縁層−Si基板−絶縁層−PDという経路を経てPDに伝搬する。これが電気的クロストークを生ずる。
【0022】
図4は横方向にSi基板を切った仮想例の断面を示す。境界線26の右が送信側、左が受信側とする。パターン16の上にLD駆動用IC24が、その横のパターン17にPD信号を増幅する増幅器25が設けられる。電極パターン16、17、20、21とSi基板10の間にはSiO絶縁層11がある。絶縁層11は薄いので電極パターン20、16、17、21とSi基板の間に等価的な容量C1、C2、C3、C4を形成する。
【0023】
Si基板10は導体のようなものであり電流が通る。だから容量の間には、等価的な抵抗R1、R2、R3が存在する。矢印のように送信側の駆動用IC24の信号、パターン20の駆動信号が、容量、抵抗を経て、受信側の増幅器25まで伝達される。これがもう一つの電気的なクロストークである。
【0024】
高い繰り返しのパルス信号であるから、容量のインピーダンス1/jωCが小さくて、ここでは減衰しない。Si基板の抵抗も低いから減衰量はわずかである。送信器・受信器間の距離が大きいと抵抗R3を大きくできる。しかし全体を小型のモジュールとするためには送信器・受信器間の距離を広くできない。つまり抵抗R3、R2、R1は小さい値の抵抗になる。受信器側は増幅率の大きいインピーダンスの高い増幅器ICを持っている。だから送信器側の電気信号が容量、抵抗を通じて受信器側へと伝わる。このようにSi基板を電流として伝わることによるクロストークの存在は本発明者が初めて気付いたものである。
【0025】
前記の▲2▼の改良は基板の上を飛ぶ電磁波による送受信器間の結合を防ぐことができるが、基板の下を通る電流による送受信器間の結合については無効である。
【0026】
つまり基板をなすSiは完全な絶縁物ではなく、半導体である。つまり幾らか電流を通す。絶縁層(SiO)は高周波電流を通す。絶縁層(SiO)11を挟んだコンデンサC1〜C4と、中途半端な抵抗R1〜R3を有するSi半導体基板10の組み合わせで、金属遮蔽板の下をノイズが自在にくぐり抜けるのである。▲2▼は基板上部の電磁波結合を遮断できるが、基板下部の電流結合には全く効力がない。▲2▼の創作者は基板下部のR、Cを通る電流結合には気付いていないようである。
【0027】
実際にはSi基板は導電性があり基板下部の電流結合が大きい。本発明者は、▲2▼のようにSi基板の中心線26にそって浅い溝を掘り金属板を立てるだけでは不十分だ、ということに気付いた。基板下部の電流結合に着眼し、これを克服するように工夫を凝らすべきである、と思う。
【0028】
仮想例の構造において、二本の光ファイバの延長線上にLD、PD及び駆動用IC24、増幅器25が設けられる。光ファイバ間が狭くなると、送信部駆動用ICと受信部の増幅器が接近してくる。光ファイバ間隔と、IC・増幅器間隔は比例して狭くなる。すると電磁波による上方混信も、電流による下方混信(クロストーク)もともに増大してくる。
【0029】
特に最近は、ファイバ間隔が狭くなってきており、例えば先行例では、6.25mmとか、4.5mmとか、極最近では1mm以下に狭くなっている。さらには、0.125mmという目標が立てられている。そのように、送受信間が近接しつつあり、その趨勢はなお続きそうである。ますますクロストーク抑制は焦眉の問題となりつつある。本発明の目的は、送受信間、あるいは複数の受信器間の電気的クロストークを効果的に抑制する機構を提供することである。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明は、Si基板上の受信部や送信部を分ける境界線に沿って適数の開口部を設けて、リードフレームのベースメタルにSi基板を張り合わせ、開口部に嵌入する脚部を持つ導電体遮蔽板を差し込んで、Si基板の下のベースメタルに遮蔽板の脚部を接合させる。
【0031】
遮蔽板は送信部、受信部の間にあってLD光を遮断する。だから本発明の遮蔽板は光学的クロストークの排斥という優れた効果がある。光学的ノイズの排除は分かりやすい作用であり、これ以上説明する必要はないだろう。電気的ノイズについてはやや難しいので説明する。
【0032】
リードフレームのベースメタルはグランドであるから、遮蔽板はグランドにつながれる。つまり受信部、送信部はグランド電位の遮蔽板やベースメタルによって仕切られるということになる。グランド電位部材によって、受信部の全体を囲むのではないが、受信部の底部と側面を囲む。だから隣接する送信部や受信部からの電気的なノイズを遮断することができる。
【0033】
遮蔽板の役割は三つある、ということに注意すべきである。光を遮断、電磁波を遮断、電流を遮断するという3つの作用である。光の点は容易にわかるから、電磁波、電流について述べる。
【0034】
基板より上方に突出した部分は送信部から受信部へ、或いは受信部から受信部へと電磁波によってノイズが空間伝搬するのを防ぐ。基板内部に埋設される部分は電流によって受信部へ伝搬される信号を遮断する。基板を伝わる電流によるノイズを遮断するために遮蔽板を基板の中の方へと差し込むようにしている。それによって図4のような基板中の等価抵抗R2が遮蔽板によって切断されたようになる。R2がグランド電位の遮蔽板で切断されるからR2が無限大になる。だから電流によるノイズをカットすることができる。
【0035】
電磁波ノイズと電流ノイズの両方を遮断するのである。空中伝搬する電磁波ノイズだけなら前記の公知技術▲2▼と同じことである。本発明はそれに留まらず基板中を伝わる電流によるノイズをも効果的に抑制できる。それが優れた新規な特徴である。
【0036】
以上が本発明の骨子である。本発明の実施を容易にする要因が従来の表面実装技術に内在している。それは本発明にとって好都合なことである。それを述べよう。
【0037】
表面実装の場合、Si基板はグランド強化のために、リードフレームのベースに導電性樹脂で固定されることが多い。リードフレームをプラスチックモールドして素子として仕上げるようになっている。リードフレームは不可欠であり、リードフレームのベースメタルにSi基板を接着するのは通常なされている。そういう好都合なバックグランドがある。
【0038】
Si基板はベースメタルに接合されるので本発明はそのベースメタルを利用する。Si基板に受信部、送信部の境界に沿って穴をあけ、穴に遮蔽板の脚を差し込んで脚先をベースメタルに接着させ、遮蔽板をグランドとする。だから新たに加わる工程は、Si基板の境界線にそって開口部を穿つこと、遮蔽板を差し込むこと、遮蔽板の脚をベースメタルに接合することだけである。
【0039】
そもそもなぜ、Si基板を用いるかというと、半導体のフォトエッチング技術を使って狭い間隔でも精度良くファイバ固定溝を形成することができ、これに合わせてLD/PDも精度良く配置できるからである。
【0040】
ということは、位置決めの機能がしっかり存在すれば、必ずしも、全面がフラットな板でなくてもよいということである。そこで本発明は、送信部、受信部の境界に当たるSi基板のあちこちの部位に開口部を設けて遮蔽板を通し脚をベースメタルに導通させてグランドを強化する。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明は、送信器と受信器を同一のSi基板の上に実装した送受信モジュールにおいて最も有効である。送信器は強い電流、電磁波を発生し、受信部はインピーダンスが高く感受性が高くてノイズに弱いからである。しかし、複数の受信器を同一のSi基板に並べた複数受信器のモジュールの場合にも本発明は有効である。受信器とそれ以外の何らかのノイズ源を含む装置の全てに本発明を適用することができる。
【0042】
グランド部材は、リードフレームのベースメタルと境界線にそう遮蔽板である。これは最低限必要な部材である。それ以外にも遮蔽板を追加してクロストーク削減をよりいっそう徹底することも可能である。追加遮蔽板としては、例えば境界遮蔽板の上に取り付けた屋根型遮蔽板が有効である。屋根型遮蔽板は主に空間を電磁波として伝搬するノイズの遮断に効果的である。
【0043】
さらに境界遮蔽板とは反対側において受信部、送信部を囲むような外殻遮蔽板を設けてもよい。それは外部ノイズをカットするのに有効である。隣接送信部から外に出て外部で反射した電磁波を遮断するという効果もある。つまり遮蔽板に関して
【0044】
(1)境界遮蔽板…受信部、送信部などの境界に立てられベースメタルに接地
【0045】
(2)屋根型遮蔽板…境界遮蔽板や、外殻遮蔽板の上に載せられ受信部、送信部の屋根となる
【0046】
(3)外殻遮蔽板…受信部、送信部などの外殻に立てられベースメタルに接地
【0047】
の3種類が区別されよう。その内(1)は本発明において必須である。これは電磁ノイズ、電流ノイズの両方をカットするという優れた作用がある。(2)、(3)は電磁ノイズ(電波:電磁波)を遮断するのに有効であるが本発明では必須でない。(1)と(2)だけの場合はT字型のシールド構造、あるいはΓ型のシールド構造となる。(3)の外殻遮蔽板は、矩形状の囲みを作り、より安定な骨格を形成する。
【0048】
遮蔽板は導電性の板部材であればよい。たとえば、鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミ(Al)、コバール(Kovar)、真鍮などを用いることができる。
Si基板にうがつ開口部の形状は遮蔽板の脚部の形状と雌雄の関係にある。遮蔽板の脚部が櫛の歯状であれば、Si基板開口は帯状穴を点在させたものとなる。遮蔽板の脚部が丸棒状であればSi基板の開口は丸穴を点在させたものとなる。遮蔽板の脚部が広い帯状であれば、開口部は長い帯状の穴となる。
【0049】
【実施例】
[実施例1(櫛歯状脚部をもつ遮蔽板;光ファイバタイプ)]
図5、図6によって第1の実施例を説明する。図5はリードフレームの外周部を省略した平面図と遮蔽板の側面図、図6は電気的素子(増幅器、駆動用IC)を通る面で切断した縦断面図である。図5において右側には境界遮蔽板を図示している。平面図の一部でないから注意すべきである。リードフレームというのは金属の薄い板を打ち抜きによって作製した部材で様々の形状の物がある。概して言えば中心にベースメタルがあり、それから多数のリードピンが放射状に出ており外周部にはそれらを束ねる四角枠がある、といった形状である。中心分のベースメタルにSi基板を載せた状態で全体を樹脂モールドして製品とする。だから平面図を描くとリードピンが放射状に伸びた部分が続くのであるが図5はその部分を省略した平面図となっている。
【0050】
薄い矩形状のSi基板30が基台となる。Si基板30の後方半分程度を酸化或いはスパッタリングによって形成したSiO絶縁層31によって覆う。Si基板30の前半部には平行2本のV溝32、33が異方性エッチングによって穿たれている。このV溝32、33に光ファイバ34、35を挿入固定する。光ファイバ34は送信光用、光ファイバ35は受信光用の光ファイバである。Si基板後半の絶縁層31によって被覆された部分に印刷あるいはリソグラフィによって電極パターン36〜39と配線パターン40、41が形成される。
【0051】
送信光用光ファイバ34の延長上の電極パターン38にはLD42が取り付けられる。その背後の電極パターン36には駆動用IC44が設けられる。
受信光用光ファイバ35の延長上の電極パターン39にはPD43が取り付けられる。その背後の電極パターン37には増幅器45が設けられる。図5において中心線から左が送信部B、右が受信部Cである。中心線が両部分の境界線となる。境界線に沿ってSi基板面に細い長方形状の開口部46が複数個穿たれる。開口部46はSi基板の全厚みを貫く穴である。つまり開口部46は全て貫通穴である。
【0052】
LD42の下面の電極パターン38と駆動用IC44の上面電極はワイヤ63によって接続される。LD42の上面電極と配線パターン40がワイヤ61によって接続される。配線パターン40と駆動用IC44の上面電極はワイヤ62によってつながれる。
【0053】
PD43の下面の電極パターン39と増幅器45の上部電極がワイヤ66によって接続され、PD43の上面電極はワイヤ64で配線パターン41につながれる。パターン41はワイヤ65によって増幅器45の上部電極と接続される。
【0054】
送信部B、受信部Cを隔てるため境界線に立てる部材が境界遮蔽板47である。遮蔽板は空間を伝搬する電磁波を遮断するための高さを持っている。遮蔽板47は脚部48を境界線上の開口部46に差し込むことによって固定される。間欠的に穿たれた開口部46に対応して境界遮蔽板47は櫛歯状脚部48を有する。
【0055】
脚部48の櫛の歯のピッチは、開口部46のピッチに等しい。櫛の歯の山の長さは開口部46の一つの穴の長さに等しい。遮蔽板47の厚みは、開口部46の幅にほぼ等しい。開口部46の穴の数は、遮蔽板47脚部の櫛歯の数に等しいか、それ以上である。また遮蔽板47の櫛の歯の高さはSi基板の厚みにほぼ等しい。
【0056】
だからSi基板の裏面にリードフレームのベースメタル51をはりつけた状態で、開口部46に脚部48を全部差し込むと脚部48の下端はリードフレームのベースメタル51に届く。そこで脚部48をベースメタルに半田付け、鑞づけなどによって接着する。ベースメタル51はグランド電位に保持されるので、遮蔽板47もグランド電位になる。
【0057】
本発明は少なくとも1枚の遮蔽板を境界線上に設けるということを条件とする。LD42から出た光の一部は、光ファイバ端やその他の部材などで散乱されPD43に入る可能性があるが、それを遮蔽板が防ぐ。これは光学的クロストークの遮蔽である。それはわかりやすい本発明の直接の効果である。
【0058】
本発明はそれに加えて電気的なクロストークの排除という作用をもっている。境界遮蔽板47は、送信部Bから受信部Cへ向かう電磁波、電流の両方を遮断する。つまり境界遮蔽板47は、受信部Cが送信部Bの電気的影響を受けないように保護している。遮蔽板が電磁波を遮蔽するというのは図6の断面図を見ればよく分かる。電流を遮断するということもわかる。図6では遮蔽板47の脚部48を含む面で切断したものを示すからSi基板を流れる電流が遮蔽板を通らないということは直観的に理解できよう。これについては後にもう一度説明する。
【0059】
これだけでも良いのであるが、この実施例ではさらにこれとは異なる2種類の遮蔽板を追加している。図6の縦断面図を見るとわかるが、境界遮蔽板47と平行で同じ高さの外殻遮蔽板49、49を設けている。これはSi基板30の外側のベースメタル51の面に半田付けや鑞付けすることによって保持している。
【0060】
受信部Bと送信部Cの分離という点では外殻遮蔽板49の作用はあまり重要でない。境界遮蔽板47と外殻遮蔽板49だけでも良いのである。それはそうなのであるが、ここではさらに境界遮蔽板47と外殻遮蔽板49の上に屋根遮蔽板50を乗せている。これらは半田付けなどによって強固に結合される。外殻遮蔽板49は電磁的遮蔽というだけでなく屋根遮蔽板50を安定に保持するという構造材、補強材としての役割をも持っている。
【0061】
図6に見るように、送信部Bは側方上方の三方を遮蔽板49、50、47によって囲まれる。下方は金属製のベースメタル51によって囲まれる。つまり送信部Bは四方を金属の遮蔽部材によって包囲されている。前後は抜けているのであるが、内部に接着剤などを充填する必要があり、前後方向に空間が連通するようにしなければならない。
【0062】
このような空間的な遮蔽構造が光学的なクロストークに直接の効果があるのは明白である。LDからの散乱光や迷光が空間を伝搬してPDに至る可能性は遮蔽板のために著しく低減する。Si基板は1.3μm光、1.55μm光に透明であるが、Si基板の大半は遮蔽板の脚部によって遮蔽されるのでSi基板内部を通る散乱光をも遮断できる。光学的クロストークの他に電気的クロストークがある。本発明の機構は電気的クロストークの排除においても効果がある。これは光学的なものに比較して分かりにくいので特に詳しく説明する。
【0063】
送信部Bの駆動用IC44やLD42は強い電磁波と電流を発生する。電磁波は空間伝搬するものであるが、四方の遮蔽部材によって阻まれ外部に出ない。交流電流は中央の境界遮蔽板によって遮断される。電磁波の遮断のために四方を囲むというのはよくなされるが、中央の遮蔽板47は電流をも遮断しており、これが斬新な機構となっている。
【0064】
受信部Cは、側方と上方を遮蔽板50、49、47によって囲まれる。底部はベースメタル51で囲まれる。つまり、これも四方を金属の遮蔽部材によって包囲されている。これには送信部や外部からの電磁波(電波)から受信部Cを保護する作用がある。受信部Cにも接着剤を充填する必要があり、遮蔽部材は前後が開いている。
【0065】
図7はそのような効果を説明するための縦断面図である。送信部Bと受信部Cの間に遮蔽板47がありSi基板30の下底にベースメタル51がある。ベースメタル51、遮蔽板47は電気的に接続されグランド電位となっている。Si基板と素子、パターン間には静電容量が形成される。Si基板内部にも等価抵抗R1、R2、R3を想定できる。しかし等価抵抗R2は中央の遮蔽板47によって遮断されている。つまりR2の抵抗値は無限大となる。だから送信部Bから受信部Cへの交流電流によるノイズを遮蔽板がカットすることができる。
【0066】
図7は、脚部を含んだ部位の断面図であり、実施例1は櫛歯状脚部をもつから歯のない部分ではSi基板は左右連続する。しかし、その場合でも境界線では電位はほぼ0になり電流は流れにくい。電流抑制効果はかなり大きいものである。通過電流を完全に除去するには後に述べる実施例3を利用するとよい。
【0067】
ノイズの問題は定量的理論的な議論が難しい。経験的、実験的に定めるしかない。Si基板は導体であるから、その裏面にグランドであるベースメタルを付けているのでSi基板もグランド電位の筈である。だから図4の仮想例のようにSi基板を流れる交流電流によってノイズが送信部から受信部へ伝達されるということ自体が分かりにくい。これは本発明者が初めて指摘した問題である。
【0068】
Si基板は導体でグランド電位だということに間違いはないが、Siは半導体であり金属に比べ抵抗が高い。だから安定な信頼できるグランドではない。不安定な頼りないグランドだということができる。抵抗が高いためにSi基板の底面がたとえベースメタルに接触していたとしてもSi基板表面には電場勾配ができ電流が流れてしまう。だから図4の仮想例のような等価回路が成立する。本発明は図7のように遮蔽板で電流を切るからSi基板中の電流によるノイズをも効果的に防ぐことができる。
【0069】
そのような送受信モジュールの製造方法を述べる。厚さ1mmのSi基板30の後半部に、絶縁用のSiO層(厚さ1μm前後)31を酸化法、スパッタリング法などによって形成する。異方性エッチングによってファイバ固定のV溝32、33を穿つ。LD42、PD43あるいは電子回路素子44、45を実装するメタライズパターン36〜41を印刷法、蒸着法によって形成する。さらに、超音波加工で、遮蔽板固定用開口部(短冊穴)46を複数個形成しておく。この上に、光ファイバ34、35以外の部品(LD42、PD43、駆動用IC44、増幅器45)をSi基板30上に実装してゆく。
【0070】
次に、例えばFe、Cu、Al、Kovar、真鍮などの板を櫛の歯状に加工して脚部48を設けた遮蔽板47を作製する。遮蔽板47の脚部48を開口部46に挿入する。Si基板30の裏面にリードフレームのベースメタル51を導電性ペーストで固定する。このとき同時に遮蔽板47の脚部48も導電性ペーストによってベースメタル51に接合固定される。
【0071】
遮蔽板としては、境界に設ける遮蔽板47が最も効果が大きく必須である。が、より効果を高めるために、外殻遮蔽板49や屋根遮蔽板50を加えてゆくと良い。
外殻遮蔽板49は単純な矩形金属板で下底部をベースメタル51に接合する。屋根遮蔽板50は境界遮蔽板47、外殻遮蔽板49の頂部に導電性ペーストによって接合する。
【0072】
ついでV溝32、33に光ファイバ34、35を挿入し接着剤によって固定する。光ファイバ34のコアはLD42の発光部と一直線上に並ぶ。光ファイバ35のコアはPD43の受光部分と直線上に並ぶ。
【0073】
受信光Rは光ファイバ35を通りPD43に入り、ここで光電変換され増幅器45で増幅される。送信電気信号は駆動用IC44によって生成され、これがLD42に電流として与えられる。LD42は送信光信号を生成し、それが光ファイバ34を通って外部へ送信される。
【0074】
さらに、Si基板30の外側にも二条の開口部列をうがって、櫛歯状脚部を設けた外殻遮蔽板49をその外側開口部に通して固定し、下端をベースメタルに接着するようにもできる。こうすると送信部B、受信部Cを遮蔽板47、49、50、ベースメタル51によって、より狭く囲い込むことができる。クロストーク抑制効果は一層向上する。
【0075】
[実施例2(櫛歯状脚部をもつ遮蔽板;光導波路タイプ)]
実施例1は光ファイバを用いるモジュールの例であったが、本発明はSi導波路による結合の場合にも適用できる。この場合は、導波路と、相手側の光ファイバは光学コンタクトで接合される。図8、9に示す。実施例2において光ファイバがなくて、それを収容するV溝もない。その代わりに導波路が形成されている。
【0076】
Si基板に導波路を形成する方法は幾つかある。例えば、Si基板の上に全面に第1のSiO層を酸化法、スパッタリング法によって形成し、Geなどの屈折率を上げるドーパントを添加した第2のSiO層をさらに重ねて設け、リソグラフィによって光導波路となる部分だけを残し第2層の他の部分をエッチング除去する。さらに第3のSiO層を設けて全体を被覆する。第2層は屈折率の高い平行のコアとなり、第1層、第3層のSiOはクラッド層となる。そのようにして光導波路55、56を設ける。外部の光ファイバの端部を光導波路55、56の前端に接合する。
【0077】
実施例1と同様に、境界線に沿って短冊状の開口部46を断続的に穿つ。これは図8の右に書いた境界遮蔽板47の櫛歯状脚部48を差し込むための穴の列である。
【0078】
Si基板30にはいくつかの電極パターン・配線パターン36〜41を形成する。送信用光導波路55の後方のパターン38にはLD42を、受信用導波路56の後方のパターン39にはPD43を実装する。LD42の後方のパターン36には駆動用IC44を設ける。PD43後方のパターン37には増幅器45を搭載する。これらの電気的素子、電気光学的素子の電極、配線パターンなどはワイヤ61〜66によって接続される。
【0079】
以下の構造も実施例1と同様である。Siベンチ30をリードフレームのベースメタル51に接合する。境界線の開口部46に遮蔽板47の櫛の歯状脚部48を差し込み、下端をベースメタル51に接着する。これと送信部B、受信部Cの外側に金属製の外殻遮蔽板49を立て、ベースメタル51に接着する。境界遮蔽板47、外殻遮蔽板49の上に屋根遮蔽板50を接着する。遮蔽板の群は、送信部Bと受信部Cを囲み、両者を隔離する。電気的な遮蔽、光学的な遮蔽の作用がある。これによって送信部から受信部への信号の電気的、光学的まわりこみを禁止しクロストークを抑制する。
【0080】
[実施例3(複数受信部)]
実施例1、2は最も効果の大きい光送受信器を一体化した例で説明した。送信器がなく複数のレベルの異なる受信部を含む装置の場合、隣接受信部からのノイズが混入するということはありうる。本発明は受信レベルの異なる受信機を複数個並べて使用する受信専用装置にも適用できる。その組み合わせは自由である。ここでは図示を略するが、例えば図5、6、あるいは図8、9において、LD42をPDに、駆動用IC44を増幅器に置き換えたものがその例となる。
【0081】
[実施例4(帯状脚部をもつ遮蔽板;光ファイバタイプ;光学的クロストーク抑制)]
すでに述べたように光通信装置において光学的クロストークの抑制も重要である。本発明は、もう一つの光クロストークも大幅に低減するという優れた効果を発揮する。Si基板は可視光には不透明であるが、光通信に使われる1.3μm、1.55μmには透明でLDの強烈な散乱光、迷光がSi基板を通して隣接PDに入る可能性があった。境界遮蔽板47はそのような散乱光、迷光を遮断するという作用もある。散乱光、迷光であるから様々の経路をとってPDに至る可能性がある。だから外殻遮蔽板や、屋根遮蔽板も散乱光などの遮蔽に有効である。
【0082】
実施例1(図5、6)や実施例2(図8、9)の境界遮蔽板47はSi基板より上では穴のない平板であるが、脚部は櫛歯状である。歯のない部分を通してLD散乱光がPDにまで漏れるということもありうる。それをも遮断したいという場合に次のような改良が有効である。図10、11にそれを示す。
【0083】
実施例4において、Si基板30の受信部Cと送信部Bの境界線に沿って連続する細い開口部52を穿っている。右側に遮蔽板53を示すが、これは細長開口部52に対応して連続する帯状脚部54をもっている。これをSi基板の開口部52に差し込むとSi基板内部のLD・PD間の光路がほぼ完全に遮断されてしまう。図11の断面図(実施例4)では、図6の断面図(実施例1)とその差異がわからないが、境界遮蔽板53の脚部54はLD・PD間、増幅器・駆動用IC間を長く分離遮蔽している。これによってSi基板の下を潜り込んでやってくるような散乱光、漏れ光を防ぐことができる。さらに電流によるクロストークについても、図10、図11の方がより完全である。ただし薄いSi基板は弱いのであまり長い開口部を穿つことは難しい。
【0084】
[実施例4(図10、11)と仮想例(図3、4)の受信感度の比較]
図3、4(仮想例)と図10、11(実施例4)の装置の受信感度特性を比較した。初めに共通の部分を説明する。特徴部分に由来する違いを調べるには、特徴部分以外は全て同一にすべきである。だからここでは遮蔽板部分以外は同一の構造のものを作製して比較した。
【0085】
Siベンチは幅5mm、長さ10mm、厚み1mmである。送受信光ファイバS、Rの間隔は1.25mmとした。ファイバ固定のV溝部分32、33の長さを5mm、LD/PD/Si−ICの実装部の長さを5mmとした。つまり10mm長さのSiベンチを5mmずつ半分に分けたものである。
【0086】
LDは活性層がInGaAsPの1.3μm−FD−LDである。PDは受光層がInGaAsの導波路型端面入射型PDである。LD、PDのチップサイズはいずれも300μm×300μm×150μmである。
【0087】
LDは活性層をSiベンチ側に実装し、PDは受光層側をSiベンチ側に実装した。つまり両方ともにエピダウンで取り付けている。
SiOの絶縁層の厚みは1μmである。その上に厚み2μmのAuの電極パターンを形成した。LDのドライバ(駆動用IC)は、1.2mm角のSi−ICである。PDの増幅器は1.0mm角のSi−ICである。
【0088】
図10、11(実施例4)の場合は遮蔽板53、49、50の全てを採用した。遮蔽板として厚み0.2mmの真鍮板を用いた。
【0089】
Si基板に長穴を開けるために、SiOをコ−ティングする前に、前もってエッチングによって長穴よりやや広い幅0.5mmの溝をSi基板の表裏両側から設けておいた。
【0090】
長穴(開口部52)の加工は、超音波加工による。遮蔽板53の長さは長さ10mm、高さ3mm、脚部は長さ8mm、高さ1mmとした。
【0091】
図3、4(仮想例)の場合も、図10(実施例4)の場合もLD/PD/ICの周りは全体をシリコーン系の透光性樹脂でポッティングしている。これは、LD/PDと光ファイバ間の光路の屈折率マッチングをとるためと、Si−ICの保護のためである。
【0092】
図10(実施例4)の場合は、この後、境界遮蔽板53と外殻遮蔽板49を低温半田で半田付けした。仮想例(図3、4)の場合は遮蔽板を設けなかった。
このようにして仕上がった従来タイプと本発明のタイプを156Mbpsで動作させた。
【0093】
光ファイバの出力0dBmのときに、仮想例の構造では、最小受信感度は−30dBmであった。同じ条件で実施例4のタイプでは、最小受信感度は−36dBmであった。最小受信感度が6dBmも小さくなっており本発明装置が極めて高感度であることがわかる。
【0094】
これは本発明の遮蔽構造が、空間を伝搬する電気クロストークや光クロストークを低減し、さらにグランドの強化によってこの効果が確実なものとなり、さらに基板を通る電気的、光学的クロストークも低減できるからである。
以上では、駆動用ICと増幅器を含む例で説明したが、単に発光素子と受光素子だけの場合でも配線部分は必ず存在するため、同様にクロストーク低減の効果が得られる。そして、発光素子のみと受光素子、増幅器の場合でも同様にクロストークは低減され、発光素子、駆動用ICと受光素子のみの組み合わせの場合でも同じ効果が得られる。
【0095】
【発明の効果】
精度良く光ファイバや部品を実装できるSiベンチに開口部を設けて遮蔽構造を構築しSiベンチ下のベースメタルに接続し安定なグランドとすることによって、電気(電磁波、電流)的遮蔽を完全にする。それとともに、遮蔽板は散乱光も遮断し光クロストークも大幅に低減できる。
【0096】
以上のように、本発明の送受信器では、確実に電気クロストークと光クロストークをなくすことができる。小型かつ低コストで高性能の光送受信器ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属パッケージに収容されたLDモジュール、PDモジュール、送信用電子回路素子、受信用電子回路素子をプリント基板に取り付けた従来例にかかる大型の光送受信モジュールの概略平面図。
【図2】高橋龍太、村上和也、須永義則、所武彦、小林雅彦「SFF光トランシーバ用光素子実装方法の検討」1999年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会、講演番号C−3−28、p133(1999)によって提案された2光ファイバタイプの送受信モジュール平面図。
【図3】LDの駆動用ICやPDの増幅器はSi基板に薄い絶縁層を介して接合しており静電容量を通じてSi基板とこれらの電気的素子が結合することを説明するための仮想例のSi基板、電気素子、光ファイバ、光電素子の縦断面図。
【図4】LDの駆動用ICやPDの増幅器はSi基板に薄い絶縁層を介して接合しており静電容量を通じてSi基板とこれらの電気的素子が結合し、Si基板は有限の抵抗値R1、R2、R3を有する導体として働き、送信部の駆動用IC、パターンから、受信部の増幅器、パターンへ交流電流が流れることによって電気的クロストークが起こることを説明するための仮想例のSi基板、光電素子、パターンの縦断面図。
【図5】平行2本の光ファイバ、送信部、受信部をSi基板上に設け、境界線に断続する開口部を穿った状態の実施例1の平面図と境界の開口部に差し込むべき櫛の歯状脚部を有する遮蔽板の側面図。
【図6】平行2本の光ファイバ、送信部、受信部をSi基板上に設け、境界線に断続する開口部を穿ったSi基板に、櫛の歯状脚部を有する境界遮蔽板を差し込みベースメタルに接着し、送信部、受信部の両側に外殻遮蔽板を立て、境界遮蔽板と外殻遮蔽板の上に屋根遮蔽板を設けた実施例1の電気的素子の部分で切断した縦断面図。
【図7】送信部と受信部の境界線の開口部に導電性の遮蔽板を差し込んでSi基板下のベースメタルに遮蔽板を接合した本発明の構造において、送信部からSi基板を伝わって流れる電流が遮蔽板によって遮断されることを示す説明用の断面図。
【図8】平行2本の光導波路、送信部、受信部をSi基板上に設け、境界線に断続する開口部を穿った状態の実施例2の平面図と境界の開口部に差し込むべき櫛の歯状脚部を有する遮蔽板の側面図。
【図9】平行2本の光導波路、送信部、受信部をSi基板上に設け、境界線に断続する開口部を穿ったSi基板に、櫛の歯状脚部を有する境界遮蔽板を差し込みベースメタルに接着し、送信部、受信部の両側に外殻遮蔽板を立て、境界遮蔽板と外殻遮蔽板の上に屋根遮蔽板を設けた実施例2の電気的素子の部分で切断した縦断面図。
【図10】平行2本の光ファイバ、送信部、受信部をSi基板上に設け、境界線に連続する長い開口部を穿った状態の実施例4の平面図と境界の開口部に差し込むべき長い帯状脚部を有する遮蔽板の側面図。
【図11】平行2本の光ファイバ、送信部、受信部をSi基板上に設け、境界線に連続する長い開口部を穿ったSi基板に、長い帯状脚部を有する境界遮蔽板を差し込みベースメタルに接着し、送信部、受信部の両側に外殻遮蔽板を立て、境界遮蔽板と外殻遮蔽板の上に屋根遮蔽板を設けた実施例4の電気的素子の部分で切断した縦断面図。
【符号の説明】
1 LD
2 PD
3 光ファイバ
4 光ファイバ
5 配線基板
6 送信用電子回路
7 受信用電子回路
8 金属遮蔽板
9 ピン
10 Si基板
11 SiO絶縁層
12 V溝
13 V溝
14 光ファイバ
15 光ファイバ
16〜21 電極パターン
22 LD
23 PD
24 駆動用IC
25 増幅器
26 境界線
27 電気的素子
28 電極パターン
29 絶縁層
30 Si基板
31 SiO絶縁層
32 V溝
33 V溝
34 光ファイバ
35 光ファイバ
36〜39電極パターン
40、41 配線パターン
42 LD
43 PD
44 駆動用IC
45 増幅器
46 開口部
47 境界遮蔽板
48 櫛歯状脚部
49 外殻遮蔽板
50 屋根遮蔽板
51 ベースメタル
52 開口部
53 境界遮蔽板
54 帯状脚部
55 送信光用光導波路
56 受信光用光導波路
61〜66 ワイヤ
70 モニタPD
B 送信部
C 受信部
S 送信光
R 受信光

Claims (9)

  1. Si基板上に、複数の光学的な結合手段と、発光素子よりなる送信部と、受光素子よりなる受信部とを設けてあり、送信部、受信部の境界に沿ってSi基板に開口部を穿ち、Si基板裏面にベースメタルを接合し、開口部に少なくとも1枚の導電性遮蔽板の脚部を差し込み下端をベースメタルに接着し、遮蔽板脚部によってSi基板を流れる電流を遮断した事を特徴とする光通信装置。
  2. Si基板上に、複数の光学的な結合手段と、発光素子、駆動用ICよりなる送信部と、受光素子よりなる受信部とを設けてあり、送信部、受信部の境界に沿ってSi基板に開口部を穿ち、Si基板裏面にベースメタルを接合し、開口部に少なくとも1枚の導電性遮蔽板の脚部を差し込み下端をベースメタルに接着し、遮蔽板脚部によってSi基板を流れる電流を遮断した事を特徴とする光通信装置。
  3. Si基板上に、複数の光学的な結合手段と、発光素子よりなる送信部と、受光素子、増幅器よりなる受信部とを設けてあり、送信部、受信部の境界に沿ってSi基板に開口部を穿ち、Si基板裏面にベースメタルを接合し、開口部に少なくとも1枚の導電性遮蔽板の脚部を差し込み下端をベースメタルに接着し、遮蔽板脚部によってSi基板を流れる電流を遮断した事を特徴とする光通信装置。
  4. Si基板上に、複数の光学的な結合手段と、発光素子、駆動用ICよりなる送信部と、受光素子、増幅器よりなる受信部とを設けてあり、送信部、受信部の境界に沿ってSi基板に開口部を穿ち、Si基板裏面にベースメタルを接合し、開口部に少なくとも1枚の導電性遮蔽板の脚部を差し込み下端をベースメタルに接着し、遮蔽板脚部によってSi基板を流れる電流を遮断した事を特徴とする光通信装置。
  5. Si基板上に、複数の光学的な結合手段と、受光素子、増幅器よりなる複数の受信部を設けてあり、複数受信部の境界に沿ってSi基板に開口部を穿ち、Si基板裏面にベースメタルを接合し、開口部に少なくとも1枚の導電性遮蔽板の脚部を差し込み下端をベースメタルに接着し、遮蔽板脚部によってSi基板を流れる電流を遮断した事を特徴とする光通信装置。
  6. 上記光学的な結合手段が、光ファイバである事を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光通信装置。
  7. 上記光学的な結合手段が、光導波路である事を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光通信装置。
  8. 上記開口部が、Si基板の受信部、送信部の境界、或いは複数受信部の境界にそって、断続的に設けた複数穴であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の光通信装置。
  9. 上記開口部が、Si基板の受信部、送信部の境界、或いは複数受信部の境界にそって、連続的に設けた帯状長穴であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の光通信装置。
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