JP4710022B2 - 曲率分布結晶レンズ、曲率分布結晶レンズを有するx線装置及び曲率分布結晶レンズの作製方法 - Google Patents

曲率分布結晶レンズ、曲率分布結晶レンズを有するx線装置及び曲率分布結晶レンズの作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、X線を用いた材料の回折による構造評価ならびに分光による分析評価を行う装置に係り、特に曲率分布結晶レンズ、曲率分布結晶レンズを有するX線装置及び曲率分布結晶レンズの作製方法に関するものである。
従来のX線用モノクロメーターでは結晶を弾性的に少し曲げ、その後研磨によって所定の回折が均一に得られるように、研磨仕上げを行うか、あるいは逆に研磨後曲げ変形している。弾性限界内で変形させた、X線用のヨハン(Johann)型やヨハンソン(Johansson)型のモノクロメーター結晶は実用化されている。しかしながら、この弾性限界内で変形させた従来のX線用のモノクロメーター結晶の作製方法では、曲率の大きな曲げができないため、大型X線装置にしか用いることができなかった。また、角度分解能と積分反射能を大幅に落とすことが許されるような場合には低降伏応力の結晶を塑性変形して用いる場合もあった。
この弾性限界内で変形させたモノクロメーター結晶は、曲率や加工方法に制限があるため、コンパクト装置、高分解能と高輝度の両立が必要なマイクロビーム回折のような用途には用いることができない。さらに、集光素子という意味でマイクロビーム生成に使われるKBミラーは、線源そのものに第3世代放射光のような高平行高輝度光が必要となり、実験室X線での使用は不可能である。小角散乱では線源強度の有効利用のため、放物面ミラー(ゲーベルミラー)、コンフォーカルミラーなども製作されているが、特殊な多層膜蒸着技術を必要とするために単体価格が1千万円近くする上に取込み可能角度が0.3度にも達しないものである。ところが代替技術がないためにこれらのミラーが国内外で数多く出荷されているのが現状である。
X線用のヨハン型やヨハンソン型のモノクロメーターは、通常切削・研磨加工の後に適当な弾性変形を加えて固定するか、加工の容易な結晶の塑性変形を行うといった方法で作製されている。しかし、弾性変形を利用した手法では弾性変形結晶の保持における変形量の経年変化の問題があり、また弾性限界内の変形にとどまるため、見込み角が極めて小さな値に制限される。また塑性変形を利用する場合には塑性変形による結晶性劣化に伴う反値幅の著しい増加と積分反射能の低下のような問題が起こる。このため、光学性能を落とさないままで大きな見込み角、すなわち集光効率を得られるような分光レンズ作製方法の開発が渇望されていた。
X線回折装置を小型化して、広く汎用的に使えるようにした装置に対する要求は根強くある。この障害となっているのは、X線用のヨハン型やヨハンソン型のモノクロメーター結晶を弾性限度内でしか作製できないために、その曲率半径を小さくできない点や研磨による精密加工を必要とする点にある。
特開平6−160600号公報 特開2003−014895号公報
したがって本発明は、これらの難点を解決し、結晶面が任意な2次元曲率分布を有するX線用のヨハン型やヨハンソン型をはじめとする曲率分布結晶レンズ・集光型モノクロメーター結晶を自在に作製できる技術を提供することを課題とする。
また本発明は、結晶の融点未満の温度、特に融点近傍温度にて、Si結晶板又はGe結晶板に全体的又は局所的に荷重を加え、当該結晶板を塑性変形させることにより所定の曲率を有するように成型した結晶レンズを研磨成型し、所定曲面分布と同時に、研磨加工による2次曲面表面を持つよう成型することを特徴とする曲率分布結晶レンズの作製方法を提供するものである。
さらに本発明は、上記曲率分布結晶レンズの作製方法により作製された曲率分布結晶レンズとして次のものを提供するものである。
(1)Si結晶板又はGe結晶板をその融点近傍の温度で塑性変形させた結晶レンズであって、表面形状に規定される表面の曲面形状に沿った結晶格子を有するとともに、2次曲面表面を有する、X線装置に用いる曲率分布結晶レンズ。
)上記曲率分布結晶レンズにより実現されるX線装置に用いられるモノクロメーター曲率分布結晶レンズ。
さらに本発明は、上記曲率分布結晶レンズの作製方法により作製された曲率分布結晶レンズとして次のものを提供するものである。
(1)高降伏応力の結晶板を塑性変形させた結晶レンズであって、表面の曲面形状に沿った結晶格子を有する曲率分布結晶レンズ。
(2)高降伏応力の結晶板を塑性変形させた結晶レンズであって、表面の曲面形状に沿った結晶格子を有するとともに、2次曲面表面を有する曲率分布結晶レンズ。
(3)上記結晶板の素材として、Si、Ge、SiGe、及びGaAs等の化合物半導体、MgO、Al、SiO等の酸化物、LiF、NaCl等のハロゲン化物のいずれか1つよりなる結晶を用いる曲率分布結晶レンズ。
(4)上記結晶板は、その表面に、Si、Ge、SiGe、GaAs等の化合物半導体、MgO、Al、SiO等の酸化物、LiF、NaCl等のハロゲン化物のいずれか1つ又は2つ以上よりなる薄膜結晶を堆積したものである曲率分布結晶レンズ。
(5)上記曲率分布結晶レンズにより実現されるX線装置に用いられるモノクロメーター曲率分布結晶レンズ。
本発明によれば次のような効果が得られる。
Si等の高降伏応力の結晶を使用する場合、通常は、バルク状の単結晶又は多結晶を板状のウェハー結晶に切り出して、種々の加工を施している。これは、結晶は硬くかつ脆くて曲げることができないと信じられていたため、曲率を持ったウェハー結晶を使用するという発想がなかったためである。本発明では、高温加圧法を用いて結晶板をレンズ状に塑性加工し、表面形状に規定される表面の曲面形状に沿った結晶格子を持った結晶レンズを任意な曲率、形状や大きさに成型できるため、研磨成型がほとんど不要な、小型のX線用曲率分布結晶レンズ・モノクロメーターが作製できる。しかも、光学性能を落とさないままで大きな見込み角、すなわち集光効率を得られるような分光レンズが得られる。
これにより、小型X線回折装置の実現が可能となり、特に結晶材料としてSi、Ge半導体結晶を用いることにより、最適な回折条件・結晶面及び結晶面方位を任意に選ぶことも可能になる。またコスト面でも加工・成型が簡単なため、従来技術よりも再現性、光学性能、分光性能に関する多品種生産性の点で格段に有利になる。
本発明によれば次のような効果が得られる。
Si等の高降伏応力の結晶を使用する場合、通常は、バルク状の単結晶又は多結晶を板状のウェハー結晶に切り出して、種々の加工を施している。これは、結晶は硬くかつ脆くて曲げることができないと信じられていたため、曲率を持ったウェハー結晶を使用するという発想がなかったためである。本発明では、高温加圧法を用いて結晶板をレンズ状に塑性加工し、表面の曲面形状に沿った結晶格子を持った結晶レンズを任意な曲率、形状や大きさに成型できるため、研磨成型がほとんど不要な、小型のX線用曲率分布結晶レンズ・モノクロメーターが作製できる。しかも、光学性能を落とさないままで大きな見込み角、すなわち集光効率を得られるような分光レンズが得られる。
これにより、小型X線回折装置の実現が可能となり、特に結晶材料としてSi、Ge、SiGe、及びGaAs等の化合物半導体結晶、MgO、Al、SiO等の酸化物、LiF、NaCl等のハロゲン化物よりなる結晶を用いることにより、最適な回折条件・結晶面及び結晶面方位を任意に選ぶことも可能になる。またコスト面でも加工・成型が簡単なため、従来技術よりも再現性、光学性能、分光性能に関する多品種生産性の点で格段に有利になる。
さらに本発明の結晶レンズやモノクロメーターを用いることにより、2次元集光の効果により、光源サイズと同程度(数ミクロン〜数10ミクロン)のX線照射がスリットなどによる強度ロスがなく実現可能になるため、従来のものと比べてその効率は最大2桁改善される。
一次元集光の場合(円筒ヨハンソン、円筒ヨハン)、粉末回折など回折への応用などにおいて、2次元集光より効率は落ちるものの、X線源として高出力発生装置を使えるため、測定強度としてはより強力な実験が可能となる。この場合も通常のスリット系と比較すると一桁程度の強度上昇が見込める。さらに、従来の湾曲多層膜ミラーによる光学系と比較した場合、作製の容易さ、最大取込み角の大きさ(最大10倍程度)などから、価格、性能とも圧倒的に有利なX線集光光学系を実現できる。
球面結晶モノクロメーターの結晶面分布の実測例である。 対称(a)、非対称(b)配置による2次元ヨハンソン集光回折結晶への適用例である。 図1の球面結晶モノクロメーターを用いた試料位置収束型蛍光分析装置ならびに試料位置収束型回折装置の構成例である。 2次元集光集中型の高位置分解能回折装置を示す図である。 集光型の単結晶解析装置及び試料と検出器の関係を示す図である。 高強度散漫散乱測定装置を示す図である。 線状ビームを用いた高強度回折装置を示す図である。 微小焦点X線発生装置と高精度2次元集光モノクロメーター、スリット系の構成による高拡大率X線顕微鏡装置を示す図である。 通常焦点型点焦点X線発生装置と非対称カット結晶、円筒ヨハンソンによる散乱回折測定装置の構成例を示す図である。 Si(100)単結晶板を半球状に加工する上下ボートを示す図である。 半球状のSi単結晶板の写真である。 結晶板の厚さと加圧時の温度をパラメータとして示した加圧試験の結果を示す図である。 Si(111)単結晶曲率分布結晶レンズの写真である。
図10は、高降伏応力の結晶であるSi(100)単結晶を半球状に加工する上下ボートを示す。この上下ボートは、上下2個のカーボン製ボートからなり、下部ボートには半球状の窪み(凹)が形成され、上部ボートには下部ボートの窪みに少し余裕をもってちょうど嵌り込む半球状の突起(凸)が形成されている。
次にこれらのボートを用いた、半球形状Si単結晶板の作製方法について説明する。
上部ボートの下面と下部ボートの上面に、離型材を塗布し、高温で一旦アニールする。その後、この処理を施した上部ボートと下部ボートの間に、Si単結晶板を挟み、縦型炉の中に配置した。このSi単結晶板の全面又は一部の面に、汚染防止や熱による表面劣化を防ぐため、離型剤等の熱に強く不純物の少ない表面保護膜を塗ってもよい。この縦型炉には、金属製の押し棒が炉の上部に配置してあり、この押し棒を外部から制御することにより、このカーボン製の上部ボートの上面に圧縮応力(荷重)をかけて、Si単結晶板に必要な力をかけることができるようになっている。
このようにセットした上部ボート、下部ボートとSi単結晶板を、水素雰囲気中でSiの融点の近くまでの適宜の温度に昇温する。この適宜の温度に到達した時、金属棒を炉内で下げ、上部ボートの上面を押して200Nの荷重をかけた。これにより、Si単結晶板にも圧縮力がかかり、半球状の形状をした上部ボートと下部ボートの間で、高温加圧により変形し、半球状の形状をしたSi単結晶板が得られた。圧縮力(荷重)をかけていた時間は0分から1分の間である。その後、炉を急速に冷却して、加工されたSi単結晶板が熱により変性することを防いだ。
図11は、このようにして得られた半球状のSi単結晶板の写真を示す。
図12は、半球状凸部を有する上部ボートと半球状凹部を有する下部ボートとの組み合わせにより、Si(100)単結晶板に200Nの圧縮応力を加えた場合に、結晶板の厚さと加圧時の温度をパラメータとした加圧試験の結果を示す図である。横軸はSi単結晶板の厚さ、縦軸は塑性変形された半球状凸部の高さである。図12において、○印は塑性変形したもの、△印は一部融解したもの、×印はクラックが入り破壊したものを示す。
同図より厚さ0.33mmの結晶板では1120℃以上で、これ以上厚い結晶板では1200℃以上で塑性変形可能であることがわかる。また塑性変形された半球状凸部の高さも高温になるほど高くなっている。塑性変形に伴う転移の数値も高温になるほど減少することが別の実験で確かめられている。
さらに高温領域をみていくと、厚さ0.33mmの結晶板について、Siの融点である1414℃より40℃低い1374℃及び30℃低い1384℃の温度で、完全な半球状の凸部が得られている。なお、1394℃以上では加圧時にSi単結晶板の一部融解が始まる。
以上の実験結果より次のようなことがいえる。
結晶の融点未満の温度にて、Siのような高降伏応力の結晶板に全体的又は局所的に荷重を加え、当該結晶板を塑性変形させることにより、所定の曲率を有する曲率分布結晶レンズを作製することができる。さらに結晶の融点近傍温度にて、Siのような高降伏応力の結晶板に全体的又は局所的に荷重を加え、当該結晶板を塑性変形させることにより、所定の曲率を有する完全な曲率分布結晶レンズを作製することができる。
ここで結晶の融点未満の温度とは、結晶板の塑性変形が始まる温度(Siの場合1120℃)から加圧時に一部融解が始まる温度直前までの加熱温度をいい、また結晶の融点近傍温度とは、完全な半球状の凸部が得られる加熱温度、すなわち所定の曲率を有する完全な曲率分布結晶レンズを作製することができる加熱温度をいい、Siの場合には、当該結晶の融点以下40℃の温度から加圧時に一部融解が始まる温度直前までの加熱温度をいう。
なおこの一部融解が始まる温度、塑性変形が始まる温度及び結晶の融点近傍温度は、加工する結晶材料により異なる。
完全な半球状の凸部を有するSi単結晶板は、必要に応じ、研磨仕上げにより球面Si結晶レンズに仕上げられる。
図1は、本発明の作製方法によって作製した曲率半径50mmの球面Si結晶レンズ(球面結晶モノクロメーター)のX線による結晶面の実測例である。図1では、レンズ中心位置に対するピークシフトを表している。Si333反射に対応した決まった2θに回折ピークを与えるθの値が結晶面の傾きによって系統的にシフトしていることがわかる。すなわちここでは、中心位置からの変位に対し、結晶面が設計球面に沿って傾斜していることを反映し、ωスキャンによるブラッグピーク位置は結晶の曲率半径に相当する角度だけのシフトを起こしている。
図1による結晶面分布の実測結果は、結晶の融点未満の温度、特に融点近傍温度にて、高降伏応力の結晶板に全体的又は局所的に荷重を加え、当該結晶板を塑性変形させることにより、任意の曲率分布を持つ完全な曲率分布結晶レンズが形成されていることを意味している。
従来方法により得られた、高降伏応力の結晶を用いた結晶レンズ、モノクロメーターでは、結晶格子は、表面の曲面形状に沿って曲がっていなかったが、この作製方法による結晶レンズ、モノクロメーターでは、半球状の凸部を構成するSi単結晶レンズは、結晶格子が歪むことなく塑性変形しているから、表面の曲面形状に沿った結晶格子を有する曲率分布結晶レンズが得られている。
Si(100)単結晶による曲率分布結晶レンズ以外にも、例えばSi(111)単結晶等他の面を利用した曲率分布結晶レンズも同様に作製することができる。
図13は、曲率分布結晶レンズの写真を示す。同図のものは、Si(111)面の結晶から得られたものである。
上下のボートの凹凸の形状を変えることにより、半球状その他任意の曲率を有する曲率分布結晶レンズを作製することができることはいうまでもない。さらに成型した結晶レンズを研磨成型し、所定曲面分布と同時に、研磨加工による2次曲面表面を持つよう成型することもできる。
また結晶板の素材として、Si以外にもGe、SiGe、及びGaAs等の化合物半導体、MgO、Al、SiO等の酸化物、LiF、NaCl等のハロゲン化物のいずれか1つよりなる結晶を用いて同様に作製することができる。
さらに上記結晶板表面に、Si、Ge、SiGe、GaAs等の化合物半導体、MgO、Al、SiO等の酸化物、LiF、NaCl等のハロゲン化物のいずれか1つ又は2つ以上よりなる薄膜結晶を、堆積させた結晶板を用いても同様に作製することができる。
本発明による曲率分布結晶レンズの用途は、コンパクト高精度又は高強度X線回折装置、高輝度走査マイクロビームX線回折/蛍光顕微鏡装置のように大きくひろがる。
また擬似円筒面、楕円面や放物面などの非球面タイプの角度分解分光結晶レンズとしても応用可能である。
次に本発明に係る曲率分布結晶レンズのX線装置への適用例を以下に紹介する。
(a)2次元集光モノクロメーターによる試料位置収束型蛍光/回折分析装置
図2に示すように光源位置A、集光位置Bに対して平面ABC内ではヨハンソン型モノクロの形状を持ち、図2のz方向については、半径Hの曲率をもつ曲面結晶を作成することにより、図3に示すように点状発生源を持つX線発生装置に対して特性X線のみを分別するモノクロメーター機能を持ち、なおかつ大立体角での取り込みと同時にX線の発生光源サイズと同等のサイズまでの集光が行える。結晶としてはSi、Ge、GaAsなどの半導体結晶などの(100)あるいは(111)、(110)面結晶及び非対称配置に対応するこれらからのオフ角をもつ単結晶などが利用可能であるが、例えばGe(111)結晶を利用するとCuKα特性X線に対して333回折線2θが約90度となり、調整が容易な構成を作れる。また、より効率を優先させる場合には111、220反射などを利用する。この集光X線により励起された蛍光はエネルギー分解検出器(SSDなど)により分析される。X線をピンホールスリットにより切り落とすことなく強い励起X線を固体・液体・環境を問わず微小領域に照射し、分析することが可能である。また、図に示すように試料の後に分析結晶を置き、モノクロの前にy及びz方向に独立なスリットを入れることにより、低角度分解能の微小領域回折計としても機能する。また、試料を固定して2θアームの分析用集光結晶を検出器に対してθ−2θの関係でスキャンさせることにより、波長分散蛍光分析器としても利用可能である。
(b)2次元集光結晶及び分光結晶による高効率高位置分解能回折装置
図4に示すようにX線光源ならびに試料位置の相対関係を設定する。これはギニエカメラと集中法を組み合わせた構成であり、試料位置でのX線の微小領域化よりも分解能を優先させる場合の構成である。前段で集光されたX線はスリット1において点光源としてスリットを通過し、この位置が集中法におけるX線焦点位置となり、集中条件を満たす試料及び検出器スリット位置による計測を行う。
(c)2次元集光結晶とエリア検出器による単結晶回折装置
点光源に対して点収束条件を満たす2次元曲面結晶を使う点では(a)と同じであるが、結晶による焦点面を検出器位置に置き、1次元又は2次元検出器による同時測定を行う。
構成概要を図5に示す。結晶の測定モードとしては、結晶回転と検出器の露出同期条件により、通常の単結晶解析、ワイゼンベルグカメラモードなどが可能となる。光源と結晶の間又は結晶と試料の間に可変スリットを入れることにより、焦点面での角度分解能を任意に変化させる。また、焦点曲面上に検出器を置くことにより、どれほど大きな取込角を利用しても原理的に検出器上で角度誤差が出ないことが特徴である。
(d)2次元集光結晶による任意角度分解能をもつ高強度散漫散乱測定装置
光源に対してスリット及び分光/集光結晶を挿入し、焦点面を検出器面とする点は(c)と同じであるが、図6に示すように、試料位置に対して検出器面を長距離あるいは焦点曲面上に置くことによって、集光取込み角を大きくしたまま散乱強度測定における角度分解能を劣化させずに測定を行なうことを特徴とする小角散乱及び散漫散乱解析の高効率測定が可能になる。
(e)1次元集光結晶による高強度回折装置
線状X線源に対して円筒型ヨハンソン型モノクロを対称又は非対称配置に置くことによって、高強度回折装置を構成することができる。図7(a)はその高強度回折装置の例を示しており、図のz方向について非対称結晶を挿入することにより、さらに輝度を上げる構成も可能である(図7(b))。簡略化した配置として研磨を行わず、円筒ヨハン結晶による集光X線装置として用いることもできる。また、この円筒結晶は蛍光X線分光結晶としても使用可能である。
(f)2次元集光モノクロメーターによる高拡大率X線顕微鏡装置
微小焦点型のX線発生装置に対し、図8のように2次元集光モノクロメーターを配置し、焦点面上に絞りを入れることによって高倍率X線顕微鏡装置を実現する。
(g)有限幅点光源の高輝度化オプティクスによる散乱回折測定装置
図9のようにある程度幅を持った点光源を見込角により一方向は狭く、もう一方向は非対称カット平板又はチャネルカットモノクロにより幅を減らし、見込み角により狭めた側を円筒タイプヨハンソン結晶により集光することによって、焦点位置でほぼ理想的に高輝度化されたX線を作る。
小角散乱装置は、(d)の場合と同様に焦点面と結晶の間に設置する。2次元集光光学系と比べ、集光能率はやや悪いが、高出力X線発生装置を利用でき、角度分解能の向上が容易である利点を持つ。

Claims (4)

  1. Si結晶板又はGe結晶板をその融点近傍の温度で塑性変形させた結晶レンズであって、表面形状に規定される表面の曲面形状に沿った結晶格子を有するとともに、2次曲面表面を有する、X線装置に用いる曲率分布結晶レンズ。
  2. 上記曲率分布結晶レンズは、曲率分布モノクロメーター結晶レンズである請求項1に記載の曲率分布結晶レンズ。
  3. X線源ならびに請求項記載の曲率分布モノクロメーター結晶レンズを含む光学部品で構成したことを特徴とするX線装置。
  4. 結晶の融点近傍温度にて、Si結晶板又はGe結晶板に全体的又は局所的に荷重を加え、当該結晶板を塑性変形させることにより所定の曲率を有するように成型した結晶レンズを研磨成型し、所定曲面分布と同時に、研磨加工による2次曲面表面を持つよう成型することを特徴とする請求項1に記載の曲率分布結晶レンズの作製方法。
JP2006532583A 2004-08-27 2005-08-25 曲率分布結晶レンズ、曲率分布結晶レンズを有するx線装置及び曲率分布結晶レンズの作製方法 Active JP4710022B2 (ja)

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