JP4707063B2 - 歯周病用光治療器 - Google Patents
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Description
そして、最近、この歯周病の治療法として、光を用いた治療が提案されている。
まず、この光治療器は、薬液を注入するためのプローブと光照射のためのプローブの2種を切換え可能な構造(以下、「切換えプローブ」ともいう。)、あるいは、薬液を注入するためのプローブと光照射のためのプローブが一体化した構造(以下、「一体化プローブ」ともいう。)であるところ、このような複雑な構造の光治療器はレーザ光を導光するプローブの交換が困難であり、また、製造コストが高価となる、という問題があり、また、一体化プローブのものを使用する場合には、患者が変わるたびにプローブ全体の殺菌をする必要があり、さらに、切換えプローブのものを使用する場合には、薬液を注入後に光照射のためのプローブに切換えて取り替える必要があり、使用上の利便性が低い、という問題もある。
一方、一般に殺菌作用が得られる光としては紫外線が挙げられるが、紫外線レーザは人体皮膚の炎症を引き起こすなど人体皮膚にとって有害な光であって、歯周病治療に用いることはできない。
当該樹脂製中空管の内部の流水路に満たされた水によるコア部と、当該樹脂製中空管自体によるクラッド部とにより、導光路が形成されていることを特徴とする。
また、プローブの流水路を導光路のコア部として使用する構成の歯周病用光治療器によれば、1つのプローブによって特定波長域の光の照射処理(以下、「光照射処理」ともいう。)と光照射箇所の冷却処理との両方の処理を行うことができるため、治療中にプローブの取換えなどの煩雑な作業を行う必要がなく、高い利便性が得られる。
また、プローブがハンドピースに着脱自在に設けられた構成の歯周病用光治療器によれば、プローブの殺菌などの作業を簡単に行うことができ、さらに、プローブを使い捨てとすることにより、感染に対して高い安全性を得ることができる。
樹脂製中空管14は、例えば長さが10〜50mmであり、外径φが0.2〜1.5mm、内径φが0.05〜1.0mmである。
なお、上記の樹脂製中空管14を形成するためのテフロンAF(登録商標)の400nmの光の屈折率(n)は、1.32である。
このような金属としては、例えばステンレス、ニッケル、銅、アルミニウム、金、銀、パラジウム、クロム、チタンなどを挙げることができる。
なお、この金属製中空管15の小径先端部分15Aは、曲げガイドとして構成されている。
この例の歯周病用光治療器においては、導水路26Aは、図2(b)に示されるように、4本設けられており、それぞれの導水路26Aがハンドピース12の基端部から先端部に向かって伸びている。
このような半導体レーザまたは発光ダイオードとしては、例えばGaN系半導体よりなるものを挙げることができる。
まず、図4に示されるように、プローブ11の先端開口部11Aを患者の歯21と歯肉22との間に形成される歯周ポケット20に挿入し、次いで、貯水部29から押圧ポンプ(図示せず)により導水管26および導水路26Aを介して流水路Fに水Wが供給されると共に、電源25が投入されて光源13から特定波長域の光Lが放射された状態とされる。
プローブ11においては、光源13からの光Lが、集光レンズ17によって集光され、樹脂製中空管14内に入射されて樹脂製中空管14内壁によって全内部反射によって伝播されることにより導光されて先端開口部11Aから出射され、同時に、流水路Fを流通した水Wが先端開口部11Aから放水され、これにより患部が冷却されながら光照射処理が行われて歯周ポケット20内の歯周病菌が殺菌される。
上記の条件において光照射処理を行うことにより、通常、2〜3日間、歯周病菌の増殖抑制の効果が持続する。このため、2〜3日間隔で光照射処理を行うことにより、長期間にわたって歯周病菌の増殖が抑制された状態を維持することができる。
また、プローブ11の流水路Fを導光路のコア部として使用する構成であるために、1つのプローブ11によって特定波長域の光Lの照射と光照射箇所の冷却との両方の処理を行うことができるため、治療中にプローブの取換えなどの煩雑な作業を行う必要がなく、高い利便性が得られる。
また、プローブ11がハンドピース12に着脱自在に設けられているために、プローブ11の殺菌などの作業を簡単に行うことができ、さらに、プローブ11を使い捨てとすることにより、感染に対して高い安全性を得ることができる。
例えば、光源は半導体レーザやレーザダイオードよりなることに限定されず、ランプよりなる構成であってもよい。
このようなランプは、波長400〜420nmの範囲の光を放射するランプであって、このようなランプとしては、例えば金属として水銀(Hg)が封入されたガス放電灯に波長透過フィルターを設けることにより、404.77nm、407.9nm、410.8nm、410.92nmのHgの輝線のみを透過させて利用される状態のものを挙げることができる。
歯周病菌株として、一般に広く認識されているポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis ATCC 33277)を用い、血液寒天培地にて継代培養したポルフィロモナス・ジンジバリスを、0.5%yeast extract、0.05%L−cysteine、0.001%vitamin K、0.0005%hemin、0.025%resazurinを添加したBHI(Brain Heart Infusion)液体培地(以下、「BHIブロス」ともいう。)10mLにおいて37℃で24時間嫌気培養して菌液(以下、「BHIブロス培養菌液(A)」ともいう。)を得た。
そして、このBHIブロス培養菌液(A)を、一定量(1μL)血液寒天培地上に播種し、37℃で30時間嫌気培養して形成されたコロニーに、それぞれ10nm間隔で波長の異なる、波長400nm、410nm、420nm、430nm…700nmの光を照射した。各々の光は、各波長による光強度を測定した上で照射時間を調整してエネルギー密度を一定(18J/cm2 )とした。光照射処理後、37℃で嫌気培養を行い、経時的にコロニーのサイズを測定した。
波長400nmの光を照射するものを実施例1、波長410nm、420nm、430nm、…700nmの光を照射するものをそれぞれ実施例2、実施例3、比較例1、…比較例28とした。図5に、実施例1に係るものを(a)、実施例2、実施例3および比較例1に係るものをそれぞれ(b)、(c)および(d)としてその結果を示した。
特定波長域の光の照射による増殖抑制効果に対する影響因子を調べるため、発光中心波長405nmの光を放射するレーザ照射器を使用して下記の実験を行った。
BHIブロス培養菌液(A)を、BHIブロスにて100倍に希釈した後、96穴マイクロタイタープレートに1ウエル当たり100μLずつ分注し、エネルギー密度一定(15J/cm2 )となるよう、それぞれ、強度密度および照射時間が50mW/cm2で5分間、200mW/cm2 で75秒間、400mW/cm2 で38秒間の状態で光照射処理を行い、その後、37℃にて嫌気培養を行い、経時的にOD655nm値を測定し、ポルフィロモナス・ジンジバリスの増殖をモニターした。結果を図6に示す。ただし、図6においては、50mW/cm2で5分間の光照射処理に係るものを(g)、200mW/cm2 で75秒間の光照射処理に係るものを(f)、400mW/cm2で38秒間の光照射処理に係るものを(e)として示し、さらに、光照射処理を行わなかった場合のものを(h)として示した。
エネルギー密度一定ではなく、強度密度一定(50mW/cm2 )の状態で、照射時間をそれぞれ1分間、2分間、3分間、4分間、5分間として光照射処理を行うことの他は実験例1と同様にして経時的にOD655nm値を測定し、ポルフィロモナス・ジンジバリスの増殖をモニターした。結果を図7に示す。ただし、図7においては、1分間、2分間、3分間、4分間および5分間の光照射処理に係るものをそれぞれ(m)、(l)、(k)、(j)および(i)として示し、さらに、光照射処理を行わなかった場合のものを(n)として示した。
エネルギー密度一定ではなく、照射時間一定(5分間)の条件で、強度密度をそれぞれ30mW/cm2 、50mW/cm2 、100mW/cm2として光照射処理を行うことの他は実験例1と同様にして経時的にOD655nm値を測定し、ポルフィロモナス・ジンジバリスの増殖をモニターした。結果を図8に示す。ただし、図8においては、30mW/cm2、50mW/cm2 および100mW/cm2 の光照射処理に係るものをそれぞれ(q)、(p)および(o)として示し、さらに、光照射処理を行わなかった場合のものを(r)として示した。
11A 先端開口部
12 ハンドピース
12A 本体光出射部分
13 光源
14 樹脂製中空管
14A 基端部分
15 金属製中空管
15A 小径先端部分
15B 大径嵌合部分
16 ハンドピース外枠
17 集光レンズ
18 o−リング
19 光源装置
20 歯周ポケット
21 歯
22 歯肉
23 コネクタ
25 電源
26 導水管
26A 導水路
27 導電線
28 制御装置
29 貯水部
31 ハンドピース
33 プローブ
34 光ファイバ
F 流水路
L 光
W 水
Claims (5)
- 波長400〜420nmの範囲に発光中心波長を有する光源と、この光源からの光を導光して光を照射すべき患部に放射するプローブとを備え、
前記プローブは、内部が流水路として機能する、水より屈折率が低い樹脂からなる樹脂製中空管を備え、
当該樹脂製中空管の内部の流水路に満たされた水によるコア部と、当該樹脂製中空管自体によるクラッド部とにより、導光路が形成されていることを特徴とする歯周病用光治療器。 - 前記プローブは、その内部に前記光源が配設されたハンドピースに対して、着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の歯周病用光治療器。
- 前記樹脂製中空管は、フッ素樹脂よりなるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯周病用光治療器。
- 前記光源が半導体レーザまたは発光ダイオードであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の歯周病用光治療器。
- 光源を構成する半導体レーザまたは発光ダイオードの発光中心波長が405nmであることを特徴とする請求項4に記載の歯周病用光治療器。
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