JP4704677B2 - 冷暖房制御装置 - Google Patents
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Description
冷房暖房設備等の制御対象をON−OFF制御、すなわち2位置制御するとき、縦軸を制御量PV、横軸を時間とする座標系において、制御量PVは一定のサイクルで連続する滑らかな波形を描くように上下動する。このような制御量PVの変化をリミットサイクルといい、このリミットサイクルが描く波形をリミットサイクル波形という。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
このような事態を防ぐために、可能な限り昇温器の出力を小さく絞り込み、温度の上昇を抑制することで、リミットサイクルを発生させることも考えられる。しかしながら、住居用の冷暖房器は、一定時間のサイクルタイム内で出力0%の状態と100%の状態とを時分割で割り振ることにより、中間的な出力状態を達成するように設定されている場合が多い。例えば、10分間のサイクルタイムにおいて、冷暖房器を出力0%の状態で3分間運転し、出力100%の状態で7分間運転したとすると、その10分間における冷暖房器の出力は70%ということになる。
したがって、リミットサイクルのような不特定のサイクルで温度を上下動させる操作は、住居用の冷暖房機器の温度制御に適用することはできない。また、時分割操作では、オートチューニングに適したきれいなリミットサイクル波形を発生させることができない。結論として、従来の方法では、住居用の冷暖房器を想定した場合に、PIDパラメータをオートチューニングで適切な値を求めることが不可能だった。
そこで、本発明は上述したような課題を解決するためになされたものであり、住居用等の冷暖房器等の空気調和設備においても、PIDパラメータを適切な値に調整できるオートチューニング機能を有する冷暖房制御装置を提供することを目的とする。
また、本発明によれば、オートチューニング時に昇温器または降温器を100%の出力で交互に動作させるので、従来のように常温放置による温度下降や温度上昇を待つ必要がない。
図1は、第1の実施の形態にかかる冷暖房制御装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかる冷暖房制御装置は、暖房として機能する昇温器と冷房として機能する降温器とを有する冷暖房器の動作を制御することにより、冷暖房器により熱処理が施された空気を住居等の被制御空間に供給し、この被制御空間の温度制御を図るものである。このような冷暖房制御装置は、CPU等の演算装置と、メモリ、HDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置と、外部との情報の送受を行うI/F装置を備えたコンピュータまたはコントローラーと、このコンピュータまたはコントローラーにインストールされたプログラムとから構成される。すなわちハードウェア装置とソフトウェアとが協働することによって、上記ハードウェア資源がプログラムによって制御され、後述する設定値SP入力部11と、制御量PV検出部12と、切換温度記憶部13と、リミットサイクル発生部14と、最上昇温度記憶部15と、最降下温度記憶部16と、操作量切換経過時間記憶部17と、第1のPIDパラメータ算出部18と、第2のPIDパラメータ算出部19と、PID制御演算部20と、操作量MV出力部21とが実現される。
制御量PV検出部12は、被制御空間の気温等の制御量PV検出し、PID制御演算部20に入力する。
切換温度記憶部13は、冷暖房器を停止した状態で到達する平衡温度Tmを操作量MVの切換温度として記憶し、リミットサイクル発生部14に入力する。
リミットサイクル発生部14は、制御量PVと平衡温度Tmに基づいてリミットサイクルのオートチューニングを行う。すなわち、リミットサイクル発生部14は、制御量PVが平衡温度Tmを超えると降温器を動作させ、制御量PVが平衡温度Tmを下回ると昇温器を動作させる指示を操作量MV出力部21に出すことにより、制御量PVに基づくリミットサイクル波形を発生させる。
最降下温度記憶部16は、制御量PVに基づくリミットサイクル波形において、最新の極小値に相当する最降下温度T2を記憶する。
操作量切換経過時間記憶部17は、リミットサイクルにおいて、操作量MVを切り換えたときから制御量PV上下動の最上昇温度T1または最降下温度T2が測定されるまでの経過時間である操作量切換経過時間Thを記憶する。
第2のPIDパラメータ算出部19は、操作量切換経過時間Thに基づいて、積分時間Tiおよび微分時間Tdを算出する。
PID制御演算部20は、設定値SPおよび制御量PVに基づいて、冷暖房器の運転を制御する操作量MVを算出する。また、オートチューニングの際に、第1のPIDパラメータ算出部18および第2のPIDパラメータ算出部19が算出した昇温器側比例帯Pbh、降温器側比例帯Pbc、積分時間Tiおよび微分時間Tdに基づいて操作量MVを算出する。
操作量MV出力部21は、PID制御演算部から入力される操作量MVまたはリミットサイクル発生部14から入力される操作量MVに基づいて、冷暖房器の運転を制御する信号を生成し、その冷暖房器に出力する。この冷暖房器としては、エアハンドリングユニット、ファンコイルユニット、パッケージエアコン等の公知の熱源設備が用いられる。
プロセスゲインをKp、プロセス時定数をTp、プロセスむだ時間をLpとすると、制御対象Pの伝達関数は、下式(1)で表すことができる。
P=Kpexp(−Lps)/(1+Tps) ・・・(1)
Ah=2.0LpdPVmax=(Kp/Tp)Lp(AU−AL) ・・・(2)
Ah=0.75(Kp/Tp)Lp(AU−AL) ・・・(3)
Pb=100.0KpLp/(ApTp) ・・・(4)
Ti=AiLp ・・・(5)
Td=AdLp ・・・(6)
Pb=100.0KpLp/(1.2Tp)=100.0Ah/{0.9(AU−AL)} ・・・(7)
Ti=2.0Lp=2.0Th ・・・(8)
Td=0.42Lp=0.42Th ・・・(9)
ここで、冷暖房器を停止した状態で到達する平衡温度Tmを操作量MVの切換温度として冷暖房器をON−OFFすることによりリミットサイクルを発生させ、このリミットサイクルの最上昇温度T1および最降下温度T2を測定すると、上下動幅Ahは、T1−T2という関係になる。
また、リミットサイクル発生時には、降温器と昇温器を交互にON−OFFさせるので、比例帯は、冷暖房の比例帯の平均値Pbmが得られる。
さらに、住居用の冷暖房器などの場合、降温器と温度センサの距離は昇温器と温度センサの距離とほぼ同等なので、冷房側と暖房側で計測されるべきプロセスむだ時間Lpは、無視できる程度の誤差範囲内に収まる。
Pbm=100.0KpLp/(1.2Tp)=100.0Ah/{0.9(MVh+MVc)}=Ah/1.8 ・・・(10)
Ti=2.0Lp=2.0Th ・・・(11)
Td=0.42Lp=0.42Th ・・・(12)
α=(T1−Tm)/(T1−T2)=(T1−Tm)/Ah ・・・(13)
β=(Tm−T2)/(T1−T2)=(Tm−T2)/Ah ・・・(14)
Pbh=2.0αPbm=2.0αAh/1.8=(T1−Tm)/0.9 ・・・(15)
Pbc=2.0βPbm=2.0βAh/1.8=(Tm−T2)/0.9 ・・・(16)
なお、平衡温度Tmに到達するために冷暖房器を停止した状態にしておく時間は、プロセス時定数Tpの2〜3倍が目安になる。住居用の冷暖房器などは夜間の2、3時間が好ましい。
まず、オートチューニングを行うために冷暖房制御装置を起動すると(ステップS301)、切換温度記憶部13は、その起動時の平衡温度Tmを、操作量MVの切換温度として記憶する(ステップS302)。
リミットサイクル発生部14は、制御量PV検出部12から入力される制御量PVと、切換温度記憶部13に記憶された平衡温度Tmに基づき、昇温器または降温器のどちらを動作させるか、その操作量MVを設定する。ここで、Tm−PV>0.0の場合、リミットサイクル発生部14は、MV=MVh=100.0と設定し、昇温器を動作させる。一方、Tm−PV≦0.0の場合、リミットサイクル発生部14は、MV=MVc=100.0と設定し、降温器を動作させる。
Er=Tm−PV>0.0 ・・・(17)
Er=Tm−PV<0.0 ・・・(18)
検出された最上昇温度T1および最降下温度T2は、それぞれ最上昇温度記憶部15および最降下温度記憶部16にそれぞれ記憶される。
ここで、操作量MVを切り換えた時点とは、制御量PVと、平衡温度Tmとが一致した時点を意味する。具体的には、図2または図4において、制御量PVの曲線と、平衡温度Tmの直線との交点を意味する。
Th=0.5(Th1+Th2) ・・・(19)
なお、本実施の形態は、上述した第1の実施の形態にさらに停止保持処理部51を設けたものである。したがって、第1の実施の形態と同等の構成要素については同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
Claims (3)
- 被制御空間の制御量を検出する制御量検出手段と、
検出された制御量とこの制御量に対して設定された設定値とから、昇温器と降温器とを有する冷暖房器の操作量をPIDパラメータに基づくPID制御演算により算出するPID制御演算手段と、
オートチューニング時に、前記冷暖房器の昇温器と降温器とを交互に動作させて前記制御量のリミットサイクル波形を発生させ、このリミットサイクル波形から前記制御量の最上昇温度および前記制御量の最降下温度並びに前記昇温器または前記降温器の運転時間である操作量切換経過時間を検出するリミットサイクル発生手段と、
前記最上昇温度、前記最降下温度、前記操作量切換経過時間に基づき、前記PIDパラメータを算出し、前記PID制御演算手段に設定するPIDパラメータ算出手段と、
前記制御量が前記冷暖房器を停止した状態で到達する前記被制御空間の平衡温度を前記昇温器と前記降温器の切換温度として記憶する切換温度記憶手段と
を備えた冷暖房制御装置であって、
前記リミットサイクル発生手段は、前記制御量が前記切換温度記憶手段に記憶された前記平衡温度を超えると前記降温器を動作させ、前記制御量が前記平衡温度を下回ると前記昇温器を動作させる
ことを特徴とする冷暖房制御装置。 - 前記リミットサイクル発生手段は、前記昇温器または前記降温器を100%の出力で動作させる
ことを特徴とする請求項1記載の冷暖房制御装置。 - オートチューニングを開始する前に、前記冷暖房器を所定時間停止させ、この所定時間の経過後、前記リミットサイクル発生手段に前記オートチューニングを開始させる停止保持処理手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2記載の冷暖房制御装置。
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