以下、本発明を液晶プロジェクタ装置に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。尚、以下の説明においては、図1に示す液晶プロジェクタ装置の映像投射方向を前方とし、該液晶プロジェクタ装置の前面に向かって左右を規定する。
全体構成
本発明に係る液晶プロジェクタ装置は、図1に示す如く上半ケース(11)及び下半ケース(12)及びからなる扁平なケーシング(1)を具え、該ケーシング(1)の表面には、複数の操作ボタンからなる操作部(13)と、複数の警告灯からなる警告部(15)とが配備されると共に、ケーシング(1)の前面には投射窓(14)が開設され、該投射窓(14)から投射レンズ(20)が露出している。
図2に示す如く、ケーシング(1)の内部には、略L字状に伸びる合成樹脂製の光学系保持ケース(30)が配備されており、該光学系保持ケース(30)の左端部には、光源となるランプユニット(7)が取り付けられている。又、光学系保持ケース(30)の前方端部には、投射レンズ(20)と、該投射レンズ(20)を保持する筒体(21)とからなる投射レンズ装置を水平方向及び鉛直方向に往復移動させるためのレンズシフト機構(2)が取り付けられている。
図1に示す如く、ケーシング(1)の右側壁には、前記投射レンズ装置を水平方向に往復移動させるための水平操作ダイアル(24)と、該投射レンズ装置を鉛直方向に往復移動させるための垂直操作ダイアル(28)と、該投射レンズ装置を所望の位置にて固定するためのレバー部材(133)のノブ部(134)とが露出している。
図3に示す如く、光学系保持ケース(30)の左端部には、スリット状の開口(320)が開設されており、該開口(320)には、投射映像のコントラストの向上を図るべく、投射映像の入力データに応じて各色の液晶パネル(43b)(43g)(43r)に入射させるべき光量を調整する絞り装置(5)が挿入されている。
下半ケース(12)の後壁と、これに対向するランプユニット(7)の一方の側壁との間には、ランプユニット(7)を冷却するためのランプ冷却ファン(190)が設置されており、下半ケース(12)の左中央部には、排気ファン(191)がその吸気方向をランプユニット(7)に向けて設置されている。
光学系保持ケース(30)の内部には、ランプユニット(7)から発せられる白色光を3原色の光に分離する光学系(3)と、該3原色の光を3原色用の液晶パネル(43b)(43g)(43r)に照射して3原色の映像光を生成し、生成した3原色の映像光をカラー映像光に合成する映像合成装置(4)とが配備されている。
映像合成装置(4)は、立方体状の色合成プリズム(40)の3つの側面にそれぞれ、青色用液晶パネル(43b)、緑色用液晶パネル(43g)及び赤色用液晶パネル(43r)を取り付けて構成される。3枚の液晶パネル(43b)(43g)(43r)の光入射側にはそれぞれ、光学補償シートホルダ(6b)(6g)(6r)が配備されており、光学補償シートホルダ(6b)(6g)(6r)によって、各液晶パネル(43b)(43g)(43r)に対する不要な光の成分波の入射を遮断するための3枚の光学補償シート(図示省略)が保持されている。
又、映像合成装置(4)の下方には、図4に示す如く、該映像合成装置(4)を構成する複数の光学部品を冷却するための冷却装置(8)が配備されている。
以下、本発明の液晶プロジェクタ装置の各部構成につき、図面に基づいて詳細に説明する。
光学系(3)
図5に示す如く、ランプユニット(7)からの白色光は、第1インテグレータレンズ(31)、絞り機構(5)、第2インテグレータレンズ(32)、スリット板(33)、偏光ビームスプリッタ(34)及びフィールドレンズ(35)を経て、第1ダイクロイックミラー(36)に導かれる。
第1インテグレータレンズ(31)及び第2インテグレータレンズ(32)は、図9に示す如く耐熱ガラス製のフライアイレンズから構成され、ランプユニット(7)から発せられる白色光の照度分布を均一化する機能を有している。又、スリット板(33)は、アルミニウム薄板から構成され、偏光ビームスプリッタ(34)に対する不要な入射光を遮断する機能を有し、偏光ビームスプリッタ(34)は、光のP波及びS波の内、一方の成分波のみを抽出する機能を有している。
図5に示す偏光ビームスプリッタ(34)を通過した光は、フィールドレンズ(35)を経て、第1ダイクロイックミラー(36)に至る。第1ダイクロイックミラー(36)は、光の青色成分のみを反射すると共に、赤色及び緑色成分を通過させる機能を有し、第2ダイクロイックミラー(37)は、光の緑色成分を反射すると共に、赤色成分を通過させる機能を有し、フィールドミラー(38a)は、光の緑色成分を反射する機能を有している。従って、ランプユニット(7)から発せられた白色光は、第1及び第2ダイクロイックミラー(36)(37)によって、青色光、緑色光及び赤色光に分光され、映像合成装置(4)に導かれることになる。
映像合成装置(4)
図5に示す如く、映像合成装置(4)は、立方体状の色合成プリズム(40)の3つの側面にそれぞれ、青色用液晶パネル(43b)、緑色用液晶パネル(43g)及び赤色用液晶パネル(43r)を取り付けて構成される。
図3に示す如く、3枚の液晶パネル(43b)(43g)(43r)の光入射側にはそれぞれ、光学補償シートホルダ(6b)(6g)(6r)が取り付けられており、光学補償シートホルダ(6b)(6g)(6r)には、各液晶パネル(43b)(43g)(43r)に対する不要な光の成分波の入射を遮断するための3枚の光学補償シート(42b)(42g)(42r)が保持されている。
図5に示す第1ダイクロイックミラー(36)及びフィールドミラー(38c)によって反射された青色光は、青色用の入射側偏光板(41b)に導かれ、該入射側偏光板(41b)、青色用の光学補償シート(42b)、青色用液晶パネル(43b)及び青色用の出射側偏光板(44b)を経て、色合成プリズム(40)へ至る。
又、第2ダイクロイックミラー(37)によって反射された緑色光は、緑色用の入射側偏光板(41g)に導かれ、該入射側偏光板(41g)、緑色用の光学補償シート(42g)、緑色用液晶パネル(43g)及び緑色用の出射側偏光板(44g)を経て、色合成プリズム(40)へ至る。
同様に、第1ダイクロイックミラー(36)及び第2ダイクロイックミラー(37)を透過し、2枚のフィールドミラー(38a)(38b)によって反射された赤色光は、映像合成装置(4)の赤色用の入射側偏光板(41r)に導かれ、該入射側偏光板(41r)、赤色用の光学補償シート(42r)、赤色用液晶パネル(43r)及び赤色用の出射側偏光板(44r)を経て、色合成プリズム(40)へ至る。
色合成プリズム(40)に導かれた3色の映像光は、色合成プリズム(40)により合成され、これによって得られるカラー映像光が、投射レンズ(20)を経て前方のスクリーンへ拡大投射されることになる。
絞り機構(5)
図5に示す如く、光学系(3)を構成する第1インテグレータレンズ(31)と第2インテグレータレンズ(32)の間には絞り機構(5)が配備され、該絞り機構(5)は図3に示す如く、光学系保持ケース(30)の左端部に開設されたスリット状の開口(320)に挿入された状態で、該光学系保持ケース(30)に取り付けられている。
絞り装置(5)は、投射すべき映像の入力データに応じて、各色の液晶パネル(43b)(43g)(43r)に入射させるべき光量を調整することにより、投射映像のコントラストの向上を図るものである。
例えば、投射すべき映像の入力データが低輝度領域に集中している場合、即ち投射すべき映像が全体的に暗い映像である場合、絞り機構(5)によりランプユニット(7)から発せられた光の一部を遮断して、各色の液晶パネル(43b)(43g)(43r)に入射させるべき光量を通常時よりも少なく設定すると共に、入力データに対してダイナミックレンジを拡大する補正を施すことにより、投射映像のコントラストの向上を図ることが出来る。
ところで、第2インテグレータレンズ(32)を通過して各色の液晶パネル(43b)(43g)(43r)に至る光の内、第2インテグレータレンズ(32)の外周部を通過した光は、第2インテグレータレンズ(32)の中央部を通過した光に比べて、各液晶パネル(43b)(43g)(43r)の表面に対して傾斜して入射することとなるため、光漏れの原因となり易い。
そこで、第2インテグレータレンズ(32)の外周部へ入射されることとなる光を絞り機構(5)によって遮断することにより、各色の液晶パネル(43b)(43g)(43r)に生じる光漏れを防止し、これによって、投射映像のコントラストの向上を図っている。
図6及び図7に示す如く、絞り機構(5)は、それぞれ矩形状のベースプレート(51)とカバープレート(52)とを互いに接合して形成した扁平なケーシング(50)の内部に、T字状の第1絞り板(53)とL字状の第2絞り板(54)とを、該絞り機構(5)を通過する光の光軸とは直交する平面上に互いに重ね合わせて配備して構成され、カバープレート(52)には、第1絞り板(53)及び第2絞り板(54)を前記平面に沿って互いに接近離間する方向に駆動するためのモータ(55)が取り付けられている。
ベースプレート(51)及びカバープレート(52)にはそれぞれ、矩形状の開口(51a)(52a)が形成されており、図5に示す第1インテグレータレンズ(31)を通過した光は、前記両開口(51a)(52a)を通して第2インテグレータレンズ(32)に照射されることになる。
図6に示す如く、モータ(55)の出力軸には、該出力軸と一体に回転する回動部材(56)が取り付けられており、該回動部材(56)の両端部にはそれぞれ、カバープレート(52)に向けて凸部(56a)(56a)が形成されている。各凸部(56a)(56a)は、図7に示すベースプレート(51)及びカバープレート(52)に開設された一対の円弧状の溝部(51b)(51b)(52b)(52b)に係合している。又、図7に示す如く、第1絞り板(53)及び第2絞り板(54)の左端部には、矩形状の貫通孔(53a)(54a)が開設されており、両貫通孔(53a)(54a)を回動部材(56)の各凸部(56a)(56a)が貫通している。
第1絞り板(53)の上端部及び第2絞り板(54)の下端部にはそれぞれ、2つのガイド孔(53b)(53b)(54b)(54b)が、図6に示す絞り機構(5)の矩形状の外形を構成する一対の長辺に沿って開設されると共に、ベースプレート(51)の内面には、前記一対の長辺に沿ってそれぞれ2本づつ、合計4本のガイドピン(51c)(51c)(51d)(51d)がカバープレート(52)に向けて突設されている。上側の2本のガイドピン(51c)(51c)は、第1絞り板(53)の2つのガイド孔(53b)(53b)にそれぞれ係合し、下側の2本のガイドピン(51d)(51d)は、第2絞り板(54)の2つのガイド孔(54b)(54b)にそれぞれ係合している。
図9に示す如く、第2インテグレータレンズ(32)は、マトリクス状に配列された56個の矩形状のセル(32a)から構成されており、第1インテグレータレンズ(31)も第2インテグレータレンズ(32)と同様の構成を有している。図10(a)〜(c)に示す如く、第2インテグレータレンズ(32)は、該第2インテグレータレンズ(32)を構成する各セル(32a)の光学中心が、第1インテグレータレンズ(31)を構成する各セル(31a)の焦点に一致する様に配備されている。
従って、図10(a)〜(c)に示す如く、第1インテグレータレンズ(31)の各セル(31a)からは、第2インテグレータレンズ(32)の対応する各セル(32a)の光学中心ヘ向かう四角錐状の光束(300)が出射され、絞り機構(5)の設置位置における各光束(300)の断面形状は矩形状を呈することになる。
図7に示す如く、第1絞り板(53)及び第2絞り板(54)の互いに対向する端面には、それぞれ凹部(53c)(54c)が形成されている。両凹部(53c)(54c)はそれぞれ、第1インテグレータレンズ(31)の各セル(31a)から第2インテグレータレンズ(32)の各セル(32a)へ至る複数の光束(300)の間の格子状の境界線に沿う階段状に形成されている。
両絞り板(53)(54)の凹部(53c)(54c)は、図8(a)〜(e)に示す如く、両絞り板(53)(54)のスライド動作に応じて開口(51a)(52a)から露出し、第1インテグレータレンズ(31)を通過した光は、両凹部(53c)(54c)によって包囲された光通過窓(57)を通して、第2インテグレータレンズ(32)に至ることになる。
図8(a)乃至図8(e)は、両絞り板(53)(54)の凹部(53c)(54c)の端面が、第1インテグレータレンズ(31)の各セル(31a)から第2インテグレータレンズ(32)の各セル(32a)へ至る複数の光束(300)の間の格子状の境界線上に位置した状態(以下、理想遮光状態という)を示している。
又、図9(a)〜(e)は、絞り機構(5)が図8(a)〜(e)に示す理想遮光状態に設定されたとき、第2インテグレータレンズ(32)に照射される光の領域をハッチングで示している。図10(a)〜(c)は、絞り機構(5)が図8(a)、図8(c)及び図8(e)に示す各状態に設定されたとき、該絞り機構(5)によって、第1インテグレータレンズ(31)の各セル(31a)から第2インテグレータレンズ(32)の各セル(32a)へ至る全ての光束(300)の内、複数の光束(300)が遮光された状態を示している。
図8(a)〜(e)に示す如く、モータ(55)が時計回りに回転すると、第1絞り板(53)は右方向へスライドすると共に、第2絞り板(54)は左方向へスライドし、この結果、第1絞り板(53)と第2絞り板(54)とが互いに接近することになる。これにより、開口(51a)(52a)から露出する第1絞り板(53)及び第2絞り板(54)の面積が大きくなる。
一方、モータ(55)が反時計回りに回転すると、第1絞り板(53)は左方向へスライドすると共に、第2絞り板(54)は右方向へスライドし、この結果、第1絞り板(53)と第2絞り板(54)とが互いに離間することになる。これにより、開口(51a)(52a)から露出する第1絞り板(53)及び第2絞り板(54)の面積が小さくなる。
上述の如く、開口(51a)(52a)から露出する第1絞り板(53)及び第2絞り板(54)の面積は、モータ(55)の回転角に応じて変化するので、モータ(55)の回転角を制御することによって、図8(a)に示す第1の理想遮光状態と図8(e)に示す第5の理想遮光状態との間で、第2インテグレータレンズ(32)に対する光の照射領域を変化させることが出来る。
図8(a)に示す第1の理想遮光状態において、回動部材(56)は、モータ(55)によって反時計回りの限界位置まで回動している。この状態においては、図9(a)及び図10(a)に示す如く、第2インテグレータレンズ(32)を構成する56個の全てのセル(32a)に光が照射される。
一方、図8(e)に示す第5の理想遮光状態において、回動部材(56)は、モータ(55)によって時計回りの限界位置まで回動している。この状態においては、図9(e)及び図10(c)に示す如く、第2インテグレータレンズ(32)の中央部を構成する4個のセル(32a)にのみ光が照射されることになる。
又、図8(b)に示す第2の理想遮光状態においては、図9(b)に示す如く、第2インテグレータレンズ(32)の最外周に配列された12個のセル(32a)を除く44個のセル(32a)に光が照射されることになる。
同様に、図8(c)に示す第3の理想遮光状態においては、図9(c)及び図10(b)に示す如く、第2インテグレータレンズ(32)の中央部を中心として略十字状に配列された28個のセル(32a)にのみ光が照射され、図8(d)に示す第4の理想遮光状態においては、図9(d)に示す如く、第2インテグレータレンズ(31)の中央部を中心として略十字状に配列された12個のセル(32a)にのみ光が照射されることになる。
ここで、絞り機構(5)が、図8(a)〜(e)に示す第1乃至第5の理想遮光状態の間の中間状態に設定された場合、即ち、第1絞り板(53)及び第2絞り板(54)が、第1インテグレータレンズ(31)の各セル(31a)から第2インテグレータレンズ(32)の各セル(32a)へ至る全ての光束(300)の内、少なくとも1つの光束(300)の一部の領域の光の通過を遮断して残りの領域の光の通過を許容する状態に遷移した場合には、投射映像に色ムラが発生することがある。
本発明の絞り機構(5)においては、光の通過を許容する光通過窓(57)を規定する両絞り板(53)(54)の互いに対向する凹部(53c)(54c)は、第1インテグレータレンズ(31)の各セル(31a)から第2インテグレータレンズ(32)の各セル(32a)へ向かう複数の光束(300)の間の格子状の境界線に沿う階段状に形成されているため、両絞り板(53)(54)の往復動作の過程で、両絞り板(53)(54)の凹部(53c)(54c)の端面が前記格子状の境界線上に至る毎に、前記中間状態から、第1乃至第5の理想遮光状態の内、何れかの1つの理想遮光状態に遷移することになる。
これにより、両絞り板(53)(54)の往復動作の過程で、両絞り板(53)(54)が理想遮光状態に設定される頻度が従来よりも増大し、この結果、色ムラの発生が従来よりも抑制される。
又、両絞り板(53)(54)の凹部(53c)(54c)が、第1インテグレータレンズ(31)の各セル(31a)から第2インテグレータレンズ(32)の各セル(32a)へ至る複数の光束(300)の間の格子状の境界線に沿う階段状に形成されているため、両絞り板(53)(54)を水平方向に接近離間させる1方向のスライド機構から絞り機構(5)を構成することが出来、これによって、2方向のスライド機構が必要であった従来に比べて、絞り機構(5)の簡略化を図ることが出来る。
光学補償シートホルダ(6b)(6g)(6r)
図3に示す如く、光学系保持ケース(30)には、映像合成装置(4)を色合成プリズム(40)の3つの側面に対向する3つの端縁に、光学補償シートホルダ(6b)(6g)(6r)が取り付けられており、各光学補償シートホルダ(6b)(6g)(6r)には、図5に示す光学補償シート(42b)(42g)(42r)がそれぞれ保持されている。各光学補償シート(42b)(42g)(42r)は、図5に示す如く、各色用の入射側偏光板(41b)(41g)(41r)と各色用の液晶パネル(43b)(43g)(43r)の間に配備されている。
各光学補償シート(42b)(42g)(42r)は、その内部に液晶分子を有し、該液晶分子の遅相軸の方向が各液晶パネル(43b)(43g)(43r)を構成する液晶分子の配向方向に対して平行になるように各光学補償シート(42b)(42g)(42r)を取り付けることにより、各液晶パネル(43b)(43g)(43r)に対する不要な光の成分波の入射を遮断する機能を発揮する。これによって、各液晶パネル(43b)(43g)(43r)に生じる光漏れや色ムラを防止することが出来る。
尚、3つの光学補償シートホルダ(6b)(6g)(6r)は、同一の構成を有しているので、以下青色用の光学補償シートホルダ(6b)についてのみ説明し、緑色及び赤色用の光学補償シートホルダ(6g)(6r)についての説明は省略する。
図11に示す如く、光学補償シート(42b)は、光学補償シートホルダ(6b)によって、該光学補償シート(42b)を通過する光の光軸(図中1点鎖線で示す)に直交する面内で回動自在、且つ該光軸とは直交する平面に平行な回転軸を中心に回動自在に保持されており、後述の如く、2本のビス(64a)(64b)の締結位置を調整することによって、光学補償シート(42b)の取り付け姿勢を調整できる様になっている。
尚、各光学補償シート(42b)(42g)(42r)の取り付け姿勢の調整は、液晶プロジェクタ装置の出荷前の調整工程にて行なわれる。
図11及び図12に示す如く、光学補償シートホルダ(6b)は、光学補償シート(42b)を保持する矩形状の枠体(61)と、該枠体(61)を回動可能に保持すると共に、光学保持ケース(30)に取り付けられるべき固定部材(62)と、前記枠体(61)と係合するスライド部材(63)とから構成される。
図12に示す如く、枠体(61)には、一対の円柱状の軸部(61a)(61a)が、青色用の液晶パネル(43b)の2本の対角線の内、1本の対角線に対して略平行となる様に突設されると共に、該枠体(61)の左上方の角部には、階段状の突片(61b)が上方に向けて突設されている。光学補償シート(42b)は、枠体(61)の中央部に開設された開口(61c)に嵌め込まれている。
固定部材(62)は、前記枠体(61)を保持する矩形状の保持部(62a)と、光学保持ケース(30)の上壁(310)に沿う取り付け部(62b)とを有し、保持部(62a)の中央部には、矩形状の開口(62c)が開設されると共に、該開口(62c)の周囲には、青色用の液晶パネル(43b)の2本の対角線の内、1本の対角線と略平行な直線上に、前記枠体(61)の軸部(61a)(61a)を枢支する一対の枢支部(66a)(66b)が、光学補償シート(42b)を通過する光の進行方向に向けて突設されている。一対の枢支部(66a)(66b)の内、一方の枢支部(66a)には、枠体(61)の軸部(61a)が貫通する貫通孔が形成されると共に、他方の枢支部(66b)はL字状を呈している。
又、保持部(62a)の下側の両端部には、一対の板バネ部(67a)(67b)が下方に向けて形成されると共に、保持部(62a)の左下端部には、半円状の凹部(65)が形成されている。
光学保持ケース(30)の側壁(311)には、光学補償シート(42b)を通過する光の光軸方向に向けて、一対の脚部(314a)(314b)が突設されており、両脚部(314a)(314b)には、保持部(62a)の両板バネ部(67a)(67b)が挿入されるべき溝部(315a)(315b)が形成されており、光学補償シートホルダ(6b)が光学保持ケース(30)に取り付けられた状態で、各板バネ部(67a)(67b)は溝部(315a)(315b)の対向面間に挟持されることになる。
更に、左側の溝部(315a)の内部には、円柱状の軸部(316)が前記光軸に対して平行に形成されており、該軸部(316)には保持部(62a)の凹部(65)が嵌まることになる。
固定部材(62)の取り付け部(62b)には、スライド部材(63)を固定するためのビス(64a)が貫通するビス孔(68)と、固定部材(62)を光学保持ケース(30)の上壁(310)に固定するためのビス(64b)が貫通する第1の長孔(69a)と、光学保持ケース(30)の上壁(310)に突設された一対のピン(312a)(312b)が貫通する第3の長孔(69b)とが開設されている。一対のピン(312a)(312b)は、光学補償シート(42b)を通過する光の光軸とは直交する左右方向に互いに離間して並設されており、第1の長孔(69a)及び第3の長孔(69b)は、左右方向に長い形状を呈している。
スライド部材(63)は、固定部材(62)の取り付け部(62b)に沿う平板部(63a)と、該平板部(63a)の1つの角部から下方に向けて突設されたU字状の挟持部(63b)とを有し、平板部(63a)には、光学補償シート(42b)を通過する光の光軸方向に長い第2の長孔(69c)が開設され、該第2の長孔(69c)には、スライド部材(63)を固定部材(62)の取り付け部(62b)に固定するためのビス(64a)が貫通することになる。又、挟持部(63b)には、枠体(61)の突片(61b)が挟持されることになる。
光学補償シートホルダ(6b)の取り付け姿勢は、ビス(64b)を緩めた状態で、光学保持ケース(30)の左側の脚部(314a)に設けられた軸部(316)を中心として、光学補償シートホルダ(6b)を光学補償シート(42b)を通過する光の光軸に対する直交する面内で回動させる第1の調整操作と、ビス(64a)を緩めた状態で、光学補償シートホルダ(6b)のスライド部材(63)を前記光軸方向に沿ってスライドさせることにより、枠体(61)を一対の軸部(61a)(61a)を中心として回動させ、光学補償シート(42b)の表面を前記光軸に直交する平面に対して傾斜させる第2の調整操作とを用いて調整される。
図13(a)〜(c)は、前記第1の調整操作により、光学補償シートホルダ(6b)の取り付け姿勢を調整した状態を示している。
図11に示す如く、光学補償シートホルダ(6b)の固定部材(62)の第3の長孔(69b)には、光学保持ケース(30)の一対のピン(312a)(312b)が貫通しているので、ビス(64b)を緩めることによって、第1の長孔(69a)の範囲内で、光学補償シート(42b)を通過する光の光軸とは直交する左右方向の光学補償シートホルダ(6b)のスライド操作が可能となる。
又、図13(a)〜(c)に示す如く、光学補償シートホルダ(6b)の固定部材(62)の凹部(65)は、光学保持ケース(30)の左側の脚部(314a)に設けられた軸部(316)に係合しているため、光学補償シートホルダ(6b)の前記左右方向のスライド操作によって、該光学補償シートホルダ(6b)は、該軸部(316)を中心として、前記光軸に対して直交する面内で回動することになる。
図13(a)は、ビス(64b)が光学補償シートホルダ(6b)の第1の長孔(69a)の右端にて締結された状態(以下、第1締結状態という)を示しており、図13(c)は、ビス(64b)が光学補償シートホルダ(6b)の第1の長孔(69a)の左端にて締結された状態(以下、第2締結状態という)を示している。又、図13(b)は、ビス(64b)が光学補償シートホルダ(6b)の第1の長孔(69a)の中央にて締結された状態(以下、第3締結状態という)を示している。
図13(a)〜(c)に示す如く、前記第1の調整操作によれば、光学補償シートホルダ(6b)の取り付け姿勢を前記第1の締結状態と第2の締結状態との間で調整することが可能となる。
図14(a)〜(c)は、前記第2の調整操作により、光学補償シートホルダ(6b)の取り付け姿勢を調整した状態を示している。
図11に示す如く、光学補償シートホルダ(6b)のスライド部材(63)は、該スライド部材(63)の第2の長孔(69c)を貫通するビス(64a)によって固定部材(63)に締結されており、ビス(64a)を緩めることにより、第2の長孔(69c)の範囲内で、前記光軸に沿うスライド部材(63)のスライド操作が可能となる。
スライド部材(63)の挟持部(63b)には、枠体(61)の突片(61b)が挟持されているので、枠体(61)の突片(61b)は、スライド部材(63)と共に前記光軸に沿って移動する。これにより、枠体(61)は、光学補償シート(42b)の1本の対角線に沿って形成された一対の軸部(61a)(61a)を中心として回動し、該枠体(61)に固定された光学補償シート(42b)の表面が、前記光軸に直交する平面に対して傾斜することになる。
図14(a)は、ビス(64a)がスライド部材(63)の第2の長孔(69c)の前端にて締結された状態(以下、第4締結状態という)を示している。第4締結状態において、突片(61b)が突設された枠体(61)の左上端部は、枠体(61)の右下端部よりも前記光軸に沿って前方側に突出している。
一方、図14(c)は、ビス(64a)が第2の長孔(69c)の後端にて締結された状態(以下、第5締結状態という)を示している。第5締結状態において、枠体(61)の左上端部は、枠体(61)の右下端部よりも前記光軸に沿って後方側へ後退している。
又、図14(b)は、ビス(64a)が第2の長孔(69c)の中央にて締結された状態(以下、第6締結状態という)を示している。第6締結状態において、枠体(61)に固定された光学補償シート(42b)の表面は、前記光軸に対して略垂直となる。
図14(a)〜(c)に示す如く、前記第2の調整操作によれば、光学補償シートホルダ(6b)の取り付け姿勢を前記第4締結状態と第5締結状態との間で調整することが可能となる。
光学補償シートホルダ(6b)の取り付け姿勢の調整は、液晶プロジェクタ装置の出荷前に行なわれる。具体的には、該液晶プロジェクタ装置を用いて調整画像を投射させ、該調整画像の黒色と白色のコントラストが鮮明になるように、前記第1及び第2の調整操作を用いて光学補償シートホルダ(6b)の取り付け姿勢を調整する。
前記第1の調整操作によれば、光学補償シート(42b)の取り付け姿勢を前記光軸に直行する面内にて回動自在に調整することができるので、前記光軸方向からみた光学補償シート(42b)内の液晶分子の遅相軸を、図5に示す液晶パネル(43b)の液晶分子の配向方向と略平行に設定することが出来る。
又、前記第2の調整操作によれば、光学補償シート(42b)の表面の前記光軸に直交する平面に対する傾斜角度を自在に調整することが出来るので、図5に示す液晶パネル(43b)内の液晶分子の前記光軸方向の遅相軸に対して、光学補償シート(42b)の見かけ上の遅相軸を一致させることが出来る。
更に、前記第2の調整操作によれば、液晶パネル(43b)の一方の対角線に略平行な回転軸を中心として、光学補償シート(42b)の表面を前記光軸に対して傾斜させることが出来る。即ち、液晶パネル(43b)の一方の対角線に対して、光学補償シート(42b)の表面を傾斜させることが出来るので、光学補償シートホルダ(6b)の取り付け姿勢の調整が従来よりも容易となる。
更に又、図11に示す如く、光学補償シート(42b)は枠体(61)に固定され、該枠体(61)が前記回転軸を中心として回動自在に固定部材(62)に枢支されているため、前記第2の調整操作による調整時に、枠体(61)及び光学補償シート(42b)に無理な力が作用することはない。これにより、枠体(61)及び光学補償シート(42b)に反りや撓みが生じることはなく、この結果、従来よりもコントラストが鮮明で、且つ色ムラ等のない均一な投射映像が得られることになる。
レンズシフト機構(2)
図2に示す如く、投射レンズ(20)と該投射レンズを保持する筒体(21)とによって投射レンズ装置が構成され、該投射レンズ装置は、レンズシフト機構(2)によって保持されて、光学系保持ケース(30)の前方端部に取り付けられている。
レンズシフト機構(2)は、カラー映像光の明るさが大きく低下しない一定の範囲内で、前記投射レンズ装置を水平方向及び鉛直方向に往復移動させるためのものである。
該レンズシフト機構(2)を具えたプロジェクタ装置によれば、プロジェクタ装置をスクリーンに対して適当な位置に設置した後、該レンズシフト機構(2)によりスクリーンに対する映像表示位置の調整を行なうことが出来るので、スクリーンに対する映像表示位置の調整が、従来よりも容易となる。
図15及び図16に示す如く、レンズシフト機構(2)は、固定ベース(120)と、投射レンズ装置が取り付けられる可動部材(125)と、該可動部材(125)を鉛直方向に駆動する垂直駆動機構(23)と、可動部材(125)を水平方向に駆動する水平駆動機構(22)とから構成される。
図17及び図19に示す如く、固定ベース(120)は、金属製の背面ケース(121)の前面に金属製の前面プレート(122)を螺着して構成される。背面ケース(121)及び前面プレート(122)の中央部にはそれぞれ、円形の開口(121a)(122b)が形成されており、両開口(121a)(122b)に筒体(21)が挿入されることになる。
可動部材(125)は、垂直可動板(123)と水平可動板(124)とを互いに密着させて構成され、固定ベース(120)の内部に設置されている。垂直可動板(123)及び水平可動板(124)は略矩形状を呈し、両可動板(123)(124)の中央部には、筒体(21)が挿入されるべき円形の開口(123c)(124c)がそれぞれ形成されている。
図17に示す如く、筒体(21)の外周面には、矩形状のフランジ部(21a)が形成されており、筒体(21)は、水平可動板(124)と垂直可動板(123)の間にフランジ部(21a)が挟持された状態で、可動部材(125)に取り付けられることになる。
図19に示す如く、垂直可動板(123)の前面には、水平可動板(124)に向けて4本の垂直ガイドピン(123a)(123a)(123b)(123b)が突設されている。水平可動板(124)には、鉛直方向に長い長孔状の2つのガイド孔(124b)(124b)が開設されており、各ガイド孔(124b)(124b)に垂直可動板(123)の下側の2本の垂直ガイドピン(123a)(123a)が貫通することになる。又、水平可動板(124)の背面には、鉛直方向に長い長穴状の2つのガイド溝(124d)(124d)が凹設されており、各ガイド溝(124d)(124d)に垂直可動板(123)の上側の2本の垂直ガイドピン(123b)(123b)が係合することになる。
水平可動板(124)の右端部には、水平方向に伸びるラック部(126)が形成されており、該ラック部(126)には、図18に示す水平駆動機構(22)を構成する最終段のピニオン(27b)が噛合することになる。又、図19に示す如く、水平可動板(124)の前面には、上側の両端部に2本の水平ガイドピン(124a)(124a)が前面プレート(122)へ向けて突設されると共に、前面プレート(122)には、水平方向に長い長孔状の2つのガイド孔(122a)(122a)が開設されており、両ガイド孔(122a)(122a)を水平可動板(124)の2本の水平ガイドピン(124a)(124a)がそれぞれ貫通することになる。
図17及び図18に示す如く、水平駆動機構(22)は、ユーザが操作すべき水平操作ダイアル(24)と、該水平操作ダイアル(24)の回転運動を水平可動板(124)の直線運動に変換するための複数の伝達ギア(24a)(25)(26)(27)から構成される。図1に示す如く、水平操作ダイアル(24)の一部がケーシング(1)の右側壁から露出している。
図18に示す如く、水平操作ダイアル(24)は、鉛直方向に沿う回転軸を中心として回転可能に配備され、該水平操作ダイアル(24)の裏面には、平歯車(24a)が設けられている。該平歯車(24a)は、鉛直方向に沿う回転軸を中心として回転する第1伝達ギア(25)の平歯車(25a)に噛合している。又、該平歯車(25b)には、鉛直方向に沿う回転軸を中心として回転する第2伝達ギア(26)の平歯車(26a)が噛合している。第2伝達ギア(26)のウォーム(26b)には、前記投射レンズ装置の光軸に沿う回転軸を中心として回転する第3伝達ギア(27)の一端に形成されたウォームホイール(27a)が噛合し、第3伝達ギア(27)のピニオン(27b)に水平可動板(124)のラック部(126)が噛合している。
又、垂直駆動機構(23)は、ユーザが操作すべき垂直操作ダイアル(28)と、該垂直操作ダイアル(28)の回転運動を垂直可動板(124)の直線運動に変換するための複数の伝達ギア(28a)(29)(130)(131)、回動板(127)及び連結板(128)から構成される。図1に示す如く、垂直操作ダイアル(28)の一部がケーシング(1)の右側壁から露出している。
垂直操作ダイアル(28)は、前記光軸に沿う回転軸を中心として回転可能に配備され、該垂直操作ダイアル(28)の裏面には、平歯車(28a)が設けられている。平歯車(28a)は、前記光軸に沿う回転軸を中心として回転する第4伝達ギア(29)の一端の平歯車(29a)に噛合している。第4伝達ギア(29)の他端のフェイスギア(29b)には、第5伝達ギア(130)の一端に形成されたかさ歯車(130a)が噛合している。第5伝達ギア(130)のウォーム(130b)には、前記光軸に沿う回転軸を中心として回転する第6伝達ギア(131)の一端のウォームホイール(131a)が噛合している。そして、第6伝達ギア(131)の他端の平歯車(131b)が、図17及び図19に示す回動板(127)の扇形ギア部(127a)に噛合している。
図19に示す如く、回動板(127)の中央部には、軸孔(127b)が開設されており、回動板(127)は、該軸孔(127b)を貫通する支持ピン(132)によって、該支持ピン(132)を中心に回動可能に、固定ベース(120)の前面プレート(122)に取り付けられている。回動板(127)の右端には、扇形ギア部(127a)が形成されると共に、回動板(127)の左端には貫通孔(127c)が開設され、回動板(127)は、貫通孔(127c)を貫通する連結ピン(129)によって、連結板(128)に連結されている。
連結板(128)の左右両端部にはそれぞれ、ビス孔(128a)(128a)が開設されており、連結板(128)は、両ビス孔(128a)(128a)を貫通する2本のビスが、前面プレート(122)の開口(122b)から露出する垂直可動板(123)の下側の2本の垂直ガイドピン(123a)(123b)の先端に締結され、該垂直可動板(123)の下端部に固定されている。
又、連結板(128)の中央部には、水平方向に長い長孔状の係合孔(128b)が開設され、該係合孔(128b)を連結ピン(129)が貫通している。従って、連結板(128)と回動板(127)とは、係合孔(128b)の範囲内で、連結板(128)の回動板(127)に対する水平方向の相対移動が可能に互いに連結されることになる。
ユーザが水平操作ダイアル(24)を時計回りに回転させると、水平操作ダイアル(24)の回動力は、上述の水平駆動機構(22)を構成する複数の伝達ギア(24a)(25)(26)(27)を介して、図15に示す水平可動板(124)のラック部(126)に伝達される。
そして、水平可動板(124)は、該水平可動板(124)の各水平ガイドピン(124a)が前面プレート(122a)の水平ガイド孔(122a)にガイドされて、左方向へスライドすることになる。
ここで、垂直可動板(123)は、連結板(127)の係合孔(128b)の範囲内で、回動板(127)に対する水平方向の相対移動が可能であり、更に、垂直可動板(123)の下側の2本の垂直ガイドピン(123a)(123a)の水平可動板(124)の垂直ガイド孔(124b)(124b)との係合、及び図19に示す上側の2本の垂直ガイドピン(123b)(123b)と水平可動板(124)の垂直ガイド溝(124d)(124d)との係合によって、垂直可動板(123)の水平可動板(124)に対する水平方向の相対移動が規制されているので、垂直可動板(123)及び該垂直可動板(123)に取り付けられた投射レンズ装置は、図15に示す如く水平可動板(124)と共に水平方向にスライドすることになる。
同様に、ユーザが水平操作ダイアル(24)を反時計回りに回転させると、水平可動板(124)、垂直可動板(123)及び投射レンズ装置は、右方向へスライドすることになる。
尚、図15中、1点鎖線は、水平可動板(124)及び垂直可動板(123)が左方向の限界位置までスライドした状態を示し、2点鎖線は、水平可動板(124)及び垂直可動板(123)が右方向の限界位置までスライドした状態を示している。又、実線は、水平可動板(124)及び垂
直可動板(123)が、水平方向の中心位置にある状態を示している。該中心位置においては、最も明るい投射映像が得られ、水平可動板(124)及び垂直可動板(123)が中心位置から左右方向に離間するにつれて、投射映像の明るさは、僅かに低下することになる。
図15に示す如く、水平可動板(124)及び垂直可動板(123)が水平方向の中心位置にあるとき、連結ピン(129)は、前記投射レンズ装置の重心を通り且つ鉛直方向に伸びる直線上に位置している。
ユーザが垂直操作ダイアル(28)を時計回りに回転させると、垂直操作ダイアル(28)の回動力は、図18に示す垂直駆動機構(23)を構成する複数の伝達ギア(28a)(29)(130)(131)を介して、図16に示す回動板(127)の扇形ギア部(127a)に伝達される。そして、回動板(127)は支持ピン(132)を中心として反時計回りに回動し、これに伴って、回動板(127)の左端は下方に移動することになる。
ここで、回動板(127)の左端には、連結ピン(129)を介して連結板(128)が連結されており、該連結板(128)は垂直可動板(128)に固定されている。従って、回動板(127)の反時計回りの回動に伴って、垂直可動板(128)及び該垂直可動板(128)に取り付けられた前記投射レンズ装置は、垂直可動板(128)の下側の2本の垂直ガイドピン(123a)(123a)が水平可動板(124)の垂直ガイド孔(124b)(124b)にガイドされると共に、図19に示す上側の2本の垂直ガイドピン(123b)(123b)が水平可動板(124)の垂直ガイド溝(124d)(124d)にガイドされて、水平可動板(124)に対して下方に相対移動する。
一方、ユーザが垂直操作ダイアル(28)を反時計回りに回転させると、回動板(127)は支持ピン(132)を中心として時計回りに回動し、これに伴って、回動板(127)の左端は上方に移動することになる。これによって、垂直可動板(128)及び前記投射レンズ装置は、水平可動板(124)に対して上方に相対移動する。
尚、図16中、1点鎖線は、垂直可動板(123)が上方向の限界位置までスライドした状態を示し、2点鎖線は、垂直可動板(123)が下方向の限界位置までスライドした状態を示している。又、実線は、垂直可動板(123)が鉛直方向の中心位置にある状態を示している。該中心位置においては、最も明るい投射映像が得られ、垂直可動板(123)が中心位置から上下方向に離間するにつれて、投射映像の明るさは僅かに低下することになる。
上記本発明のレンズシフト機構(2)によれば、垂直駆動機構(23)を構成する回動板(127)と、前記投射レンズ装置が取り付けられた垂直可動板(123)とが、連結ピン(129)によって前記投射レンズ装置の重心を通り且つ鉛直方向に伸びる直線上にて互いに連結されているので、前記投射レンズ装置の鉛直方向のシフト操作時に、該投射レンズ装置の自重によって垂直可動板(123)に作用する回動力を最小限に抑制することが出来る。これにより、前記投射レンズ装置のスムーズな鉛直駆動が可能となる。
又、レンズシフト機構(2)は、図20及び図21に示す如く、前記投射レンズ装置を所望の位置にて固定するためのロック機構(140)を具えている。該ロック機構(140)は、液晶プロジェクタ装置の設置時に、レンズシフト機構(2)を用いて、液晶プロジェクタ装置から投射される映像の位置を前方のスクリーンに合わせて調整した後、前記投射レンズ装置の位置を固定するためのものであり、該ロック機構(140)によれば、液晶プロジェクタ装置或いはスクリーンを移動させない限り、その後の再調整は不要となる。
ロック機構(140)は、図21に示す如く、前記投射レンズ装置の光軸に沿ってスライド可能なレバー部材(133)と、該レバー部材(133)のスライド操作に応じて、水平操作ダイアル(24)の平歯車(24a)に係脱可能に噛合する水平ロック部材(137)と、垂直操作ダイアル(28)の平歯車(28a)に係脱可能に噛合する垂直ロック部材(136)と具えている。レバー部材(133)は、図20に示す如く、固定ベース(120)に締結された取り付け板(139)に取り付けられており、図中に実線で示すロック解除位置と2点鎖線で示すロック位置との間で、前記光軸に沿ってスライド可能となっている。又、図1に示す如く、レバー部材(133)のノブ部(134)が、ケーシング(1)の右側壁から露出している。
レンズシフト機構(2)を用いた映像投射位置の調整時には、レバー部材(133)は前記ロック解除位置に設定される。調整完了後、レバー部材(133)のノブ部(134)を操作して、レバー部材(133)を前記ロック位置までスライドさせることにより、図21に示す水平ロック部材(137)及び垂直ロック部材(136)が、レンズシフト機構(2)を構成する水平操作ダイアル(24)及び垂直操作ダイアル(28)の平歯車(24a)(28a)に噛合して、両操作ダイアル(24)(28)の回転操作が不能となる。これにより、前記投射レンズ装置を所望の位置に固定することが出来る。
映像投射位置の再調整が必要な場合には、レバー部材(133)のノブ部(134)を操作して、レバー部材(133)を前記ロック解除位置までスライドさせることにより、図21に示す水平ロック部材(137)及び垂直ロック部材(136)が、レンズシフト機構(2)を構成する水平操作ダイアル(24)及び垂直操作ダイアル(28)の平歯車(24a)(28a)から離間して、両操作ダイアル(24)(28)の回転操作が可能となる。
図22(a)及び図22(b)は、レバー部材(133)が前記ロック位置及びロック解除位置に設定された状態における、レバー部材(133)と垂直ロック部材(136)の相対位置関係を示している。
図22(a)及び図22(b)に示す如く、垂直ロック部材(136)は略L字状を呈し、前記光軸に沿う回転軸(136b)を中心として回動可能に図20に示す取り付け板(139)に取り付けられている。垂直ロック部材(136)の一端には、ギア部(136a)が形成されている。
垂直ロック部材(136)の回転軸(136b)には、トーションバネ(141)が巻装されており、該トーションバネ(141)の一端が取り付け板(139)に係止されると共に、他端が垂直ロック部材(136)のギア部(136a)の背面に掛けられている。トーションバネ(141)の弾性復帰力により、垂直ロック部材(136)には反時計回りの回動力が作用し、該回動力によって、垂直ロック部材(136)のギア部(136a)は、垂直操作ダイアル(28)の平歯車(28a)に接近する方向に常に付勢されている。
レバー部材(133)が前記ロック位置に設定された場合、レバー部材(133)は図20中2点鎖線で示す如く、前記光軸に沿って後方側に位置している。この状態において、レバー部材(133)の先端部(133a)は、図22(a)に示す如く垂直ロック部材(136)から離間している。垂直ロック部材(136)のギア部(136a)は、トーションバネ(141)の付勢力によって、垂直操作ダイアル(28)の平歯車(28a)に噛合し、この結果、垂直操作ダイアル(28)の回転操作が不能となる。
一方、レバー部材(133)が前記ロック解除位置に設定された場合、レバー部材(133)は図20中に実線で示す如く、前記光軸に沿って前方側に位置している。この状態において、図22(b)に示す如く、レバー部材(133)の先端部(133a)が垂直ロック部材(136)の一端に当接し、これによって、垂直ロック部材(136)は、トーションバネ(141)の付勢力に抗して反時計回りに回動することになる。
この結果、垂直ロック部材(136)の他端に形成されたギア部(136a)が、垂直操作ダイアル(28)の平歯車(28a)から離間し、この結果、垂直操作ダイアル(28)の回転操作が可能となる。
又、図23(a)及び図23(b)は、レバー部材(133)が前記ロック位置及びロック解除位置に設定された状態における、レバー部材(133)と水平ロック部材(137)の相対位置関係を示している。
図23(a)及び図23(b)に示す如く、水平ロック部材(137)は略L字状を呈し、鉛直方向に沿う回転軸(137b)を中心として回動可能に、図20に示す取り付け板(139)に取り付けられている。水平ロック部材(137)の一端には、ギア部(137a)が形成されている。
水平ロック部材(137)の回転軸(137b)には、トーションバネ(141)が巻装されており、該トーションバネ(141)の一端が取り付け板(139)に係止されると共に、他端が水平ロック部材(137)のギア部(137a)の背面に掛けられている。トーションバネ(141)の弾性復帰力により、水平ロック部材(137)には反時計回りの回動力が作用し、該回動力によって、水平ロック部材(137)のギア部(137a)は、水平操作ダイアル(24)の平歯車(24a)に接近する方向に常に付勢されている。
レバー部材(133)が前記ロック位置に設定された場合、レバー部材(133)は図20中2点鎖線で示す如く、前記光軸に沿って後方側に位置している。この状態において、レバー部材(133)の先端部(133b)は、図23(a)に示す如く水平ロック部材(137)から離間している。水平ロック部材(137)のギア部(137a)は、トーションバネ(141)の付勢力によって、水平操作ダイアル(24)の平歯車(24a)に噛合し、この結果、水平操作ダイアル(24)の回転操作が不能となる。
一方、レバー部材(133)が前記ロック解除位置に設定された場合、レバー部材(133)は図20中に実線で示す如く、前記光軸に沿って前方側に位置している。この状態において、図22(b)に示す如く、レバー部材(133)の先端部(133b)が水平ロック部材(137)の一端に当接し、これによって、水平ロック部材(137)は、トーションバネ(141)の付勢力に抗して時計回りに回動することになる。
この結果、水平ロック部材(137)の他端に形成されたギア部(137a)が、水平操作ダイアル(24)の平歯車(24a)から離間し、この結果、水平操作ダイアル(24)の回転操作が可能となる。
従って、上記本発明の液晶プロジェクタ装置によれば、1つのレバー部材(133)のスライド操作によって、2つの操作ダイアル(24)(28)を同時に回転操作不能或いは回転操作可能に設定することが出来るロック機構(140)を、簡易な構成で実現することが出来る。
更に、レンズシフト機構(2)は、前記投射レンズ装置が、水平操作ダイアル(24)の操作によって図15中に実線で示す水平方向の中心位置に至ったとき、水平操作ダイアル(24)に対して一定のクリック感を与えるための第1のクリック感付与機構(150)と、前記投射レンズ装置が、垂直操作ダイアル(24)の操作によって図16中に実線で示す鉛直方向の中心位置に至ったとき、垂直操作ダイアル(24)の操作に対して一定のクリック感を与えるための第2のクリック感付与機構(151)とを具えている。
図24(a)及び図24(b)に示す如く、第1のクリック感付与機構(150)は、水平駆動機構(22)を構成する第1伝達ギア(25)の側面に凹設された第1の渦巻き状溝(150a)と、該第1伝達ギア(25)の回転に伴って、第1の渦巻き状溝(150a)上を摺動する第1の回動部材(135)と、該第1の回動部材(135)の回転軸(135a)に巻装されたトーションバネ(153)とから構成される。
第1の回動部材(135)は、該第1の回動部材(135)の一端に設けられた鉛直方向に沿う回転軸(135a)を中心として回動可能に、図20に示す取り付け板(139)に取り付けられている。
第1の回動部材(135)の他端には、第1伝達ギア(25)に向けて突出する凸部(135b)が形成されており、該凸部(135b)が第1の渦巻き状溝(150a)に係合している。又、第1の回動部材(135)には、トーションバネ(153)の弾性復帰力により、回転軸(135a)を中心とする時計回りの回動力が作用しており、これによって、凸部(135b)は、第1の渦巻き状溝(150a)の内周側の壁面に向けて付勢されている。
従って、ユーザが水平操作ダイアル(24)を回転させ、これによって、第1伝達ギア(25)が回転すると、第1の回動部材(135)の凸部(135b)は、第1の渦巻き状溝(150a)の内周側の壁面に摺接しつつ、該第1の渦巻き状溝(150a)上を摺動することになる。
水平操作ダイアル(24)の回転によって、前記投射レンズ装置が、図15中に実線で示す水平方向の中心位置に至ると、図24(b)に示す如く、第1の回動部材(135)の凸部(135b)は、トーションバネ(153)の付勢力によって、第1の渦巻き状溝(150a)の内周側の壁面に凹設された凹部(150b)に係合する。
そして、第1の回動部材(135)の凸部(135b)が、第1の渦巻き状溝(150a)の凹部(150b)に係合する際の衝突によって、水平操作ダイアル(24)の操作に対して一定のクリック感が与えられることになる。又、この状態から水平操作ダイアル(24)を更に回転させるには、トーションバネ(153)の付勢力に抗して、第1の回動部材(135)の凸部(135b)を第1の渦巻き状溝(150a)の凹部(150b)から離脱させなければならず、これによって、水平操作ダイアル(24)の回転操作に対して一定の抵抗力が付与されることになる。
図25(a)及び図25(b)に示す如く、第2のクリック感付与機構(151)は、垂直駆動機構(23)を構成する第4伝達ギア(29)の側面に凹設された第2の渦巻き状溝(151a)と、該第4伝達ギア(29)の回転に伴って、第2の渦巻き状溝(151a)上を摺動する第2の回動部材(138)と、該第2の回動部材(138)に時計回りの回動力を付与するコイルバネ(155)とから構成される。
第2の回動部材(138)は略L字状を呈し、前記光軸方向に沿って伸びる回転軸(138a)を中心とする回動可能に、図15及び図16に示す取り付け板(139)に取り付けられている。又、コイルバネ(155)は、第2の回動部材(138)の一端と取り付け板(139)との間に張架されている。
図25(a)及び図25(b)に示す如く、第2の回動部材(138)の他端には、第4伝達ギア(29)に向けて突出する凸部(138b)が形成されており、該凸部(138b)が第2の渦巻き状溝(151a)に係合している。又、第2の回動部材(138)には、コイルバネ(155)の弾性復帰力により、回転軸(138a)を中心とする時計回りの回動力が作用しており、これによって、凸部(138b)は、第2の渦巻き状溝(151a)の内周側の壁面に向けて付勢されている。
従って、ユーザが垂直操作ダイアル(28)を回転させ、これによって、第4伝達ギア(29)が回転すると、第2の回動部材(138)の凸部(138b)は、第2の渦巻き状溝(151a)の内周側の壁面に摺接しつつ、該第2の渦巻き状溝(151a)上を摺動することになる。
垂直操作ダイアル(28)の回転によって、前記投射レンズ装置が、図16中に実線で示す鉛直方向の中心位置に至ると、図25(b)に示す如く、第2の回動部材(138)の凸部(138b)は、コイルバネ(155)の付勢力によって、第2の渦巻き状溝(151a)の内周側の壁面に凹設された凹部(151b)に係合する。
そして、第2の回動部材(138)の凸部(138b)が、第2の渦巻き状溝(151a)の凹部(151b)に係合する際の衝突によって、垂直操作ダイアル(28)の操作に対して一定のクリック感が与えられることになる。又、この状態から垂直操作ダイアル(28)を更に回転させるには、コイルバネ(155)の付勢力に抗して、第2の回動部材(138)の凸部(138b)を第2の渦巻き状溝(151a)の凹部(151b)から離脱させなければならず、これによって、垂直操作ダイアル(28)の回転操作に対して、一定の抵抗力が付与されることになる。
上記本発明の液晶プロジェクタ装置によれば、ユーザは、レンズシフト機構(2)による映像投射位置の調整時に、両操作ダイアル(24)(28)のクリック感によって、投射映像の明るさが最大となる水平方向及び鉛直方向の中心位置を認識することが出来る。これにより、水平方向及び鉛直方向の中心位置を基準として、映像投射位置を調整することが出来、この結果、映像投射位置の調整が従来よりも容易となる。
ランプユニット(7)
図2に示す如く、光源となるランプユニット(7)は、光学系保持ケース(30)の左端部に取り付けられている。
図26に示す如く、ランプユニット(7)は、楕円面状の反射面を有するリフレクタ(71)を矩形状の枠体(72)に接合して構成され、図34に示す如く、リフレクタ(71)の焦点位置には、光源となるランプバルブ(170)が配備されている。ランプバルブ(170)は、円柱状のガラス管(171)の内部に発光体を封止して構成され、該発光体が封入された発光部(172)は球状を呈している。
図26及び図27に示す如く、枠体(72a)は矩形状の開口(72a)を有し、該開口(72a)には、凹レンズ(80)が嵌め込まれている。
図35(a)に示す如く、凹レンズ(80)は光出射側の表面に凹面(80a)を有し、図35(b)に示す如く、凹レンズ(80)の光入射側の表面には、中央部にのみ凹部(80b)が形成されている。
図3に示す如く、ケーシング(1)の左後端部には、ランプユニット(7)を冷却するためのランプ冷却ファン(190)が配備されている。ランプユニット(7)のランプ冷却ファン(190)側の側部には、図26及び図27に示す如く、ランプ冷却ファン(190)から取り込まれた空気を図34に示すランプバルブ(170)に向けて導入するための3つの空気導入口(74a)(73)(74b)が形成されている。又、ランプユニット(7)の反対側の側部には、3つの空気導入口(74a)(73)(74b)から導入された空気を排出するための空気排出口(75)が形成されている。
ところで、ランプユニット(7)は、長期使用によりその性能が劣化するため、ユーザ交換部品となっている。このため、簡単に取り付け/取り外しが出来る様なランプユニット(7)の取り付け構造が必要となる。
又、仮に、ランプユニット(7)が光学系保持ケース(30)に対して傾斜して取り付けられた場合には、投射映像の明るさが低下してしまうため、ランプユニット(7)の取り付け/取り外しを簡単に行なうことが出来、然もランプユニット(7)を光学系保持ケース(30)に対する所定位置に確実に位置決めすることが出来るランプユニット(7)の取り付け構造が必要となる。
本発明のプロジェクタ装置において、図29に示す如く、光学系保持ケース(30)内に配備された前記光学系(3)の光軸に直交する平面に沿ってランプユニット(7)をスライドさせることにより、該ランプユニット(7)の光学系保持ケース(30)の左端部に対する着脱が可能となっている。
光学系保持ケース(30)の左端部の上壁及び下壁には、ランプユニット(7)を位置決めするための2つの位置決め孔(330a)(330b)及び2本の位置決めピン(331)(331)が設けられている。2つの位置決め孔(330a)(330b)及び2本の位置決めピン(331)(331)は、ランプユニット(7)から出射される光の光軸に対して直交する方向に所定の間隔を隔てて並設されている。
図28及び図29に示す如く、ランプユニット(7)の枠体(72)の上面には、光学系保持ケース(30)の2つの位置決め孔(330a)(330b)に嵌まる2本の嵌合ピン(76)(76)が、上方に向けて突設されると共に、図26及び図27に示す如く、枠体(72)の下端部には、2つの嵌合孔(77)(77)が開設され、両嵌合孔(77)(77)に図29に示す光学系保持ケース(30)の2本の位置決めピン(331)(331)が嵌め込まれることになる。
尚、各嵌合ピン(76)の外径は5mm、位置決め孔(330a)(330b)の内径は5.1mm、位置決めピン(331)の外径は4mm、嵌合孔(77)の内径は4.1mmである。
又、図29及び図30に示す如く、光学系保持ケース(30)の左端部には、板金製の矩形枠状の板バネ部材(340)が取り付けられている。図30に示す如く、板バネ部材(340)は、上側の両端部に開設されたフック孔(341)(341)が、光学系保持ケース(30)の両側壁の内面に突設されたフック部(333)(333)に係合すると共に、下側の両端部に設けられたL字状の屈曲部(346)(346)が、光学系保持ケース(30)の下端部に凹設されたスリット溝(335)に挿入された状態で、光学系保持ケース(30)の左端部に取り付けられている。
板バネ部材(340)は、光学系保持ケース(30)の左端部の端面(334)に当接する第1平坦部(345)と、該第1平坦部(345)からランプユニット(7)に向けて突出した第2平坦部(344)と、第1平坦部(345)と第2平坦部(344)の間を繋ぐ傾斜部(342)(343)とを有している。
ランプユニット(7)を光学系保持ケース(30)に取り付ける場合には、図29に示す如く、光学系保持ケース(30)の下方側から、ランプユニット(7)の枠体(72)に形成された2本の嵌合ピン(76)(76)を光学系保持ケース(30)の2つの位置決め孔(330a)(330b)に挿入する。
図26、図27及び図29に示す如く、枠体(72)の2本の嵌合ピン(76)(76)の先端部(76a)(76a)には、テーパ加工が施されており、これによって、2本の嵌合ピン(76)(76)は先細形状を呈している。更に、図32(a)及び図32(b)に示す如く、光学系保持ケース(30)の2つの位置決め孔(330a)(330b)の内、一方の位置決め孔(330a)は、前記光軸方向とは直交する方向に長い長孔形状を呈しているので、枠体(72)の2本の嵌合ピン(76)(76)を光学系保持ケース(30)の2つの位置決め孔(330a)(330b)に容易に挿入することが出来る。
図32(a)は、枠体(72)の2本の嵌合ピン(76)(76)の先端部(76a)(76a)が、光学系保持ケース(30)の2つの位置決め孔(330a)(330b)に挿入された状態を示しており、図33(a)は、この状態における板バネ部材(340)の変形状態を示している。この状態において、枠体(72)の端面(72b)は、板バネ部材(340)の第2平坦部(344)に摺接しているに過ぎず、板バネ部材(340)に変形は生じていない。
この状態から更にランプユニット(7)を挿入すると、ランプユニット(7)の先端部が光学系保持ケース(30)の上壁の下面に当接して、ランプユニット(7)が受け止められると共に、図29に示すランプユニット(7)の枠体(72)の下端部に形成された2つの嵌合孔(77)(77)が、図29及び図30に示す光学系保持ケース(30)の2本の位置決めピン(331)(331)に嵌合し、図28に示す如く、ランプユニット(7)が光学系保持ケース(30)の左端部に取り付けられることになる。
図31及び図32(b)は、ランプユニット(7)が光学系保持ケース(30)の左端部に取り付けられた状態を示しており、図33(b)は、この状態における板バネ部材(340)の変形状態を示している。
この状態において、枠体(72)の端面(72b)は、図31及び図33(b)に示す如く、板バネ部材(340)の第2平坦部(344)を押圧し、これによって板バネ部材(340)は、枠体(72)の端面(72b)と光学系保持ケース(30)の端面(334)の間で狭圧され、板バネ部材(340)には、弾性変形が生じることになる。
この板バネ部材(340)の弾性復帰力によって、ランプユニット(7)は、光学系保持ケース(30)から離間する方向に押圧される。ここで、嵌合ピン(76)は円柱状を呈し、第1位置決め孔(330b)は円形を呈しているので、両者の係合による芯出し効果によって、嵌合ピン(76)は、その中心軸と第1位置決め孔(330b)の中心とが前記光軸に平行な一直線上に並ぶ位置に移動することになる。
この結果、ランプユニット(7)は、図32(b)に示す如く、前記光軸に沿う方向においては、枠体(72)の各嵌合ピン(76)(76)の外周面が光学系保持ケース(30)の各位置決め孔(330a)(330b)のランプユニット(7)側の端縁に当接した位置、前記光軸に直交する方向においては、下側の嵌合ピン(76)の中心軸と下側の位置決め孔(330b)の中心とが光軸に平行な一直線上に並んだ位置に位置決めされることになる。
上述のランプユニット(7)の取り付け構造によれば、ランプユニット(7)の交換をユーザが容易に行なうことが可能であり、且つランプユニット(7)を高い精度で装置に組み付けることが出来る。
ところで、図34に示すランプバルブ(170)の発光時に、ランプバルブ(170)の鉛直方向上側の温度は下側の温度よりも高くなり、ランプバルブ(170)の上下で温度差が生じることが知られている。この上下の温度差は、ランプバルブ(170)の発光部(172)で最大となる。ランプバルブ(170)の性能を十分に引き出すためには、ランプバルブ(170)の温度を一定の温度以下に維持すると共に、前記上下の温度差が一定の範囲内に収まるようにランプバルブ(170)を冷却する必要がある。
図39(a)は、液晶プロジェクタ装置が、図1に示す設置姿勢にて設置された場合におけるランプユニット(7)内の空気の流れを示している。
図39(a)に示す如く、ランプ冷却ファン(190)から取り込まれた空気をランプバルブ(170)に向けて導入するための3つの空気導入口(74a)(73)(74b)の内、第1空気導入口(74a)及び第2空気導入口(74a)は、ランプバルブ(170)の中心軸を通り且つランプユニット(7)の側壁と直交する平面を挟んで両側に形成され、ランプバルブ(170)の発光部(172)に向けて開口している。第3空気導入口(73)は、第1空気導入口(74a)と第2空気導入口(74a)との間に形成され、ランプバルブ(170)のガラス管(171)の先端に向けて開口している。
従って、図3に示すランプ冷却ファン(190)から取り込まれた空気は、第1空気導入口(74a)と第2空気導入口(74a)との間に介在するランプユニット(4)の側壁の一部によって強制的に分流され、第1空気導入口(74a)から導入された空気は、ランプバルブ(170)の発光部(172)の上側を流れ、第2空気導入口(74b)から導入された空気は、ランプバルブ(170)の発光部(172)の下側を流れることになる。又、第3空気導入口(73)から導入された空気は、ランプバルブ(170)の先端に向かって流れることになる。
ところで、本発明の液晶プロジェクタ装置は、本発明の液晶プロジェクタ装置は、取り付け金具により、図1に示す底面を取り付け面として天井やスクリーンに対向する垂直壁に取り付けることが可能となっている。
又、本発明の液晶プロジェクタ装置は、設置姿勢に拘わらずスクリーンには正常な向きで映像を映し出すことが出来る様に、投射すべき画像を180度回転させる機能及び上下に反転させる機能を有している。
天井から吊り下げて設置した場合、液晶プロジェクタ装置の姿勢は、図1に示す設置姿勢とは天地逆転することとなるため、投射画像を180度回転させる。
又、スクリーンに対向する垂直壁に取り付ける場合、液晶プロジェクタ装置は、図1に示す投射レンズ(20)を鉛直方向上側或いは下側に向けた状態で設置される。そして、投射レンズ(20)から投射される映像光の光軸に対して、45度の傾斜角度でミラーを配置することにより、映像を前方に向けて投射することが出来る様になっている。投射レンズ(20)を鉛直方向下側に向けて設置した場合には、投射画像を上下に反転させる。
図39(b)は、液晶プロジェクタ装置が、天井から吊り下げられた状態におけるランプユニット(7)内の空気の流れを示している。
この設置状態において、図3に示すランプ冷却ファン(190)から取り込まれた空気は、第1空気導入口(74a)と第2空気導入口(74a)との間に介在するランプユニット(4)の側壁の一部によって強制的に分流され、第1空気導入口(74a)から導入された空気は、ランプバルブ(170)の発光部(172)の下側を流れ、第2空気導入口(74b)から導入された空気は、ランプバルブ(170)の発光部(172)の上側を流れることになる。又、第3空気導入口(73)から導入された空気は、ランプバルブ(170)の先端に向かって流れることになる。
図39(c)及び図39(d)は、液晶プロジェクタ装置が前記垂直壁に取り付けられた状態におけるランプユニット(7)内の空気の流れを示している。
この設置状態において、図3に示すランプ冷却ファン(190)から取り込まれた空気は、第1空気導入口(74a)と第2空気導入口(74a)との間に介在するランプユニット(4)の側壁の一部によって強制的に分流され、第1空気導入口(74a)及び第2空気導入口(74b)から導入された空気は、ランプバルブ(170)の発光部(172)の左右両側を流れることになる。又、第3空気導入口(73)から導入された空気は、ランプバルブ(170)の先端に向かって流れることになる。
従って、上述の4通りの何れの設置姿勢においても、図3に示すランプ冷却ファン(190)から取り込まれた空気が、ランプバルブ(170)の発光部(172)の鉛直方向下側の面に垂直の角度で吹き付けられることはない。これにより、温度の低いランプバルブ(170)の発光部(172)の鉛直方向下側が過冷却状態となることが防止され、この結果、装置の設置姿勢に拘わらず、ランプバルブ(170)の発光部(172)の鉛直方向上側と鉛直方向下側との温度差を一定範囲内に収めることが出来る。
又、図36乃至図38に示す如く、ランプユニット(7)には、光漏れを防止すべく、ランプユニット(7)の周囲を覆う覆い部材(184)が取り付けられており、図37に示す如く、覆い部材(184)の片側の側壁には、ランプユニット(7)の3つの空気導入口(74a)(73)(74b)との対向位置に第1の開口(186)が開設されている。又、図37に示す如く、覆い部材(184)の反対側の側壁には、ランプユニット(7)の空気排出口(75)との対向位置に第2の開口(187)が開設されると共に、該第2の開口(187)から排出される空気の流路を構成する流路ハウジング(180)が取り付けられている。
図36及び図38に示す如く、流路ハウジング(180)の側壁には、スリット状の貫通孔(181)が、流路ハウジング(180)内を流れる空気の流れに交叉して形成されると共に、図37及び図38に示す如く、流路ハウジング(180)の終端には、多孔質体からなるエアフィルタ(182)が取り付けられている。図37に示すランプバルブ(170)は、長期使用によって破裂することがあり、ランプバルブ(170)の破裂時には、該ランプバルブ(170)内に封入されていたガスが排出されることになる。エアフィルタ(182)は、前記ガスに含まれる微粒子を吸着する機能を有しており、これによって、前記ガスに含まれる微粒子の装置外部への排出が防止される。尚、エアフィルタ(182)としては、HEPA(High Effic
iency Particulate Air)フィルタを用いている。
図40(a)は、通常使用時における、ランプバルブ(170)を冷却する空気の流れを示している。図40(a)に示す如く、ランプ冷却ファン(190)から取り込まれた空気は、ランプユニット(7)の3つの空気導入口(74a)(73)(74b)を通して、ランプユニット(7)の内部に導入される。ランプバルブ(170)を冷却して高温となった空気は、反対側の空気排出口(75)を通して、流路ハウジング(180)内の流路を流れることになる。
ここで、高温となった空気は、流路ハウジング(180)の終端へ向かうことになるが、該空気の流速はエアフィルタ(182)を通過できる程大きなものではなく、エアフィルタ(182)により通過が阻止された高温の空気は、排気ファン(191)の吸引により貫通孔(181)を通って流路ハウジング(180)の外部に排出されることになる。
これに対し、図40(b)は、ランプバルブ(170)の破裂時におけるランプバルブ(170)内に封入されていたガスの流れを示している。
前記ガスは、高圧状態でランプバルブ(170)内に封入されているので、ランプバルブ(170)の破裂の瞬間、ランプユニット(7)のリフレクタ(71)の内側及び流路ハウジング(180)の内圧は、急激に上昇することになる。これによって、前記ガスが流路ハウジング(180)内の流路に吹き出すことになる。
ここで、前記ガスは流速が大きいため、流路ハウジング(180)内の流路に沿って流れることとなり、該流路ハウジング(180)内の流路に対して交叉する方向に形成された貫通孔(181)から流路ハウジング(180)の外部へ排出される前記ガスの量は僅かなものとなる。この結果、前記ガスの大部分は、流路ハウジング(180)内の流路の終端、即ちエアフィルタ(182)へ向かって流れることとなる。
又、前記ガスは、高い圧力を有しているので、エアフィルタ(182)により通過が阻止されることはなく、該ガスがエアフィルタ(182)を通過する過程で、該ガスに含まれる微粒子は、エアフィルタ(182)に吸着されることになる。この結果、浄化されたガスが流路ハウジング(180)の終端から該流路ハウジング(180)の外部に排出されることになる。
従って、本発明のランプユニット(7)によれば、ランプバルブ(170)に対する冷却効率を損なうことなく、ランプバルブ(170)内に封入されたガスに含まれる微粒子が、ランプバルブ(170)の破裂時に装置外部へ排出されることを防止することが出来る。
上述の如く、本発明の液晶プロジェクタ装置は、図34に示すランプユニット(7)を構成するリフレクタとして、楕円面状のリフレクタ(71)を採用している。従来の液晶プロジェクタ装置においては、放物面状のリフレクタを有するランプユニットが用いられていたが、楕円面状のリフレクタ(71)を有するランプユニット(7)は、放物面状のリフレクタを有するランプユニットに比べて、ランプユニット(7)から出射される光の幅を小さくすることが出来、これによって装置の小型化を図ることが出来る。
又、本発明の液晶プロジェクタ装置は、図5に示す如く、2つのインテグレータレンズ(31)(32)を用いたインテグレータレンズ照明系を採用しているため、ランプユニット(7)から出射される光を平行光とすべく、ランプユニット(7)の前面には、図34に示す如く、光出射側の表面に凹面(80a)を有する凹レンズ(80)が取り付けられ、図35(b)に示す如く、該凹レンズ(80)の光入射側の表面には、中央部にのみ凹部(80b)が形成されている。尚、凹レンズ(80)の有効径は37mm、焦点距離は99mmである。又、凹部(80b)の有効径は10mm、焦点距離は48mmである。
図41に示す如く、ランプユニット(7)の凹レンズ(80)から出射された光は、第1インテグレータレンズ(31)を構成する各セル(31a)を通して、該各セル(31a)に対応する第2インテグレータレンズ(32)の各セル(32a)に結像され、スリット板(33)を通して偏光ビームスプリッタ(34)へ至る。
図43(a)は、計算機シミュレーションによって求めた偏光ビームスプリッタ(34)に結像されるランプユニット(7)のアーク像を示しており、図43(b)は、本発明の凹レンズ(80)の代わりに、光入射側の表面に凹部(80b)が形成されていない従来の凹レンズを用いた場合に偏光ビームスプリッタ(34)に結像されるランプユニット(7)のアーク像を示している。
照明系として、楕円面状のリフレクタ(71)を有するランプユニット(7)を用いた場合、ランプユニット(7)の発光部(172)から発せられた光は、リフレクタ(71)によって反射され、凹レンズ(80)の中心部に向けて集光される。従って、凹レンズ(80)の中央部から出射される光は、外周部から出射される光に比べて高い輝度を有することになる。
図42(a)は、本発明の第2インテグレータレンズ(32)の中央部を構成する複数のセル(32a)に結像されるアーク像(350)を示しており、図42(b)は、本発明の凹レンズ(80)の代わりに、光入射側の表面に凹部(80b)が形成されていない従来の凹レンズを用いた場合に第2インテグレータレンズ(32)の中央部を構成する複数のセル(32a)に結像されるアーク像(350)を示している。
図43(a)(b)に示す如く、偏光ビームスプリッタ(34)の中央部に結像されるアーク像は、外周部を構成する複数のセル(32a)に結像されるアーク像よりも大きなものとなり、図42(a)(b)に示す如く、アーク像(350)は、第2インテグレータレンズ(32)の中央部を構成する各セル(32a)からはみ出した状態で結像されることになる。
ランプユニット(7)のリフレクタ(71)、凹レンズ(80)及び第1インテグレータレンズ(31)によって生じる収差によって、各アーク像(350)には歪みが生じることとなり、これによって各アーク像(350)は、各セル(32a)の対角線に沿って長い略楕円形状を呈している。図42(a)(b)中、ハッチングは、スリット板(33)によって遮光される領域を示しており、各アーク像(350)のスリット板(33)のスリット孔(33a)からはみ出した領域は、スリット板(33)によって遮光されることになる。
従って、ランプユニット(7)から発せられた光の利用効率を向上させるためには、スリット板(33)によって遮断される光の量を削減することが重要であり、このためには、スリット板(33)のスリット孔(33a)の開口領域に対応する第2インテグレータレンズ(32)の各セルの領域に結像されるアーク像(350)の面積を大きくすると共に、該アーク像(350)の平均輝度を高めることが必要となる。
図42(b)に示す如く、従来の凹レンズを用いた照明系では、アーク像(350)が、第2インテグレータレンズ(32)の中央部を構成する各セル(32a)に対して第2インテグレータレンズ(32)の中心部側へ偏った位置に形成されていたため、スリット板(33)によって遮断される不要光の量が多くなり、この結果、図43(a)に示す如く、偏光ビームスプリッタ(34)の中央部に至る光の量が少なくなる問題があった。
そこで、計算機シミュレーション及び実験によって、第2インテグレータレンズ(32)の各セル(32a)に対する光の照射位置を鋭意検討した結果、第2インテグレータレンズ(32)の中央部を構成する各セル(32a)に形成されるアーク像(350)を、図42(b)に示す位置から図42(a)に示す如く第2インテグレータレンズ(32)の中心部に対して外側方向へずらすことにより、図41に示す偏光ビームスプリッタ(34)に至る光の量を大きく出来ることが判明した。
そこで、図35(b)及び図41に示す如く、凹レンズ(80)の光入射側の表面の中央部にのみ凹部(80b)を形成した。
図41に示す如く、凹レンズ(80)の中心部に入射した光は、凹レンズ(80)の凹部(80b)を通過することによって、該中心部から外側方向へ僅かに屈折されることになる。凹部(80b)及び凹面(80a)を経て、凹レンズ(80)を通過した光は、第1インテグレータレンズ(31)の中央部を構成する各セル(31a)を経て、第2インテグレータレンズ(32)の中央部を構成する各セル(32a)に結像される。凹レンズ(80)の凹部(80b)のレンズ効果によって、第2インテグレータレンズ(32)の中央部を構成する各セル(32a)に結像されるアーク像は、図42(b)に示す位置から、図42(a)に示す如く第2インテグレータレンズ(32)の中心部に対して外側方向へずれた位置に形成されることになる。
これにより、図43(b)に示す如く、偏光ビームスプリッタ(34)の中央部に至る光の量が、図43(a)に示す従来の凹レンズを用いた照明系に比べて多くなり、この結果、ランプユニット(7)から発せられた光の利用効率の向上を図ることが出来る。
又、楕円面状のリフレクタ(71)を有するランプユニット(7)を用いて照明系を構成した場合、凹レンズ(80)は必須構成部品であるため、部品点数の増加を招くことなく、ランプユニット(7)から発せられた光の利用効率の向上を図ることが出来る。更に、凹部(80b)は単純な形状であるため、凹レンズ(80)の加工は容易であり、且つ単純な形状を有する複数のセル(31a)(32a)がマトリクス状に配列された2枚のインテグレータレンズ(31)(32)を用いて光学系(3)を構成することが出来るので、従来の方法に比べて、製造コストの削減を図ることが出来る。
冷却装置(8)
図3に示す映像合成装置(4)の下方には、図4に示す如く、該映像合成装置(4)を構成する複数の光学部品を冷却するための冷却装置(8)が配備されている。
該冷却装置(8)は、下半ケース(12)の底面に設置された2つの冷却ファン(81)(81)と、両冷却ファン(81)(81)から取り込まれた外気を図5に示す各色用の液晶パネル(43b)(43g)(43r)及び入射側偏光板(41b)(41g)(41r)に向けて送り込むための流路を構成する流路ハウジング(82)とから構成される。流路ハウジング(82)の上面には、各色用の液晶パネル(43b)(43g)(43r)及び入射側偏光板(41b)(41g)(41r)に向けて、空気吐出口(82b)(82b)(82g)(82g)(82r)(82r)が形成され、両冷却ファン(81)(81)は、流路ハウジング(82)内に配備されている。
又、両冷却ファン(81)(81)の外気取り込み口には、装置内部への粉塵の侵入を防止すべく、エアフィルタ(図示省略)が取り付けられており、流路ハウジング(82)内の流路には、両冷却ファン(81)(81)から取り込まれた外気の温度を検出するための温度センサ(図示省略)が配備されている。
図44に示す如く、各冷却ファン(81)には、前記エアフィルタ(83)が取り付けられており、各冷却ファン(81)及び前記温度センサ(84)は、マイクロコンピュータ(89)に接続されている。各冷却ファン(81)は、所定回数回転する毎にオン/オフ状態が変化する信号(以下、回転数検知信号という)を出力する機能を有しており、該回転数検知信号、及び温度センサ(84)から出力される温度検出信号は、マイクロコンピュータ(89)に取り込まれる。
更に、マイクロコンピュータ(89)には、ファン駆動回路(85)と、メモリ(86)と、警告手段(88)とが接続されている。マイクロコンピュータ(89)は、温度センサ(84)から出力される温度検出信号と、各冷却ファン(81)から出力される回転数検知信号とに基づいて、各冷却ファン(81)の回転数が外気温度Tに応じた一定の回転数となる様に、各冷却ファン(81)に与えるべき駆動電圧をフィードバック制御する。ファン駆動回路(85)は、マイクロコンピュータ(89)からの指示に応じて、冷却ファン(81)を駆動する駆動電圧を制御する。
図45に示す如く、例えば、外気温度Tが所定温度T1未満の場合、各冷却ファン(81)は、所定の回転数r1にて駆動される。一方、外気温度Tが所定温度T2を超えた場合、各冷却ファン(81)は、回転数r1よりも大きな所定の回転数r2にて駆動される。又、外気温度TがT1以上T2以下の場合には、以下の数式1によって求まる所定の回転数r3にて駆動される。
(数式1): r3=(r2−r1)/(T2−T1)×(T−T1)+r1
図44に示すメモリ(86)には、所定温度T1及びT2、所定回転数r1及びr2の他、各冷却ファン(81)を所定の回転数r1にて駆動する際の基準となる基準駆動電圧V1と、各冷却ファン(81)を所定の回転数r2にて駆動する際の基準となる基準駆動電圧V2とが記憶されている。
マイクロコンピュータ(89)は、温度センサ(84)から出力される温度検出信号に基づいて外気温度Tを検知し、外気温度Tが所定温度T1よりも低いと判断した場合には、ファン駆動回路(85)に対して、基準駆動電圧V1を各冷却ファン(81)に与える様に指示し、各冷却ファン(81)は、基準駆動電圧V1にて駆動されることになる。
その後、マイクロコンピュータ(89)は、各冷却ファン(81)から出力される回転数検知信号に基づいて、各冷却ファン(81)の回転数Rfを検知し、回転数Rfが所定の回転数r1よりも小さいと判断した場合には、ファン駆動回路(85)に対して、各冷却ファン(81)に与える駆動電圧を、現在の駆動電圧V1に所定の電圧ΔVを加えた電圧(V1+ΔV)に変更する指示を与え、この結果、各冷却ファン(81)は、駆動電圧(V1+ΔV)にて駆動されることになる。
一方、回転数Rfが所定の回転数r1よりも大きいと判断した場合には、ファン駆動回路(85)に対して、各冷却ファン(81)に与える駆動電圧を、現在の駆動電圧V1から所定の電圧ΔVを差し引いた電圧(V1−ΔV)に変更する指示を与え、この結果、各冷却ファン(81)は、駆動電圧(V1−ΔV)にて駆動されることになる。又、回転数Rfが所定の回転数r1と等しいと判断した場合、各冷却ファン(81)の駆動電圧は、変更されることなく維持される。
以上のステップを繰り返すことにより、各冷却ファン(81)の回転数が、所定の回転数r1に維持されることになる。
同様に、マイクロコンピュータ(89)が温度センサ(84)から出力される温度検出信号に基づいて外気温度Tを検知し、外気温度Tが所定温度T2よりも高いと判断した場合には、ファン駆動回路(85)に対して、基準駆動電圧V2を各冷却ファン(81)に与える様に指示し、各冷却ファン(81)は、基準駆動電圧V2にて駆動されることになる。
その後、マイクロコンピュータ(89)は、各冷却ファン(81)から出力される回転数検知信号に基づいて、各冷却ファン(81)の回転数Rfを検知し、回転数Rfが所定の回転数r2よりも小さいと判断した場合には、ファン駆動回路(85)に対して、各冷却ファン(81)に与える駆動電圧を、現在の駆動電圧V2に所定の電圧ΔVを加えた電圧(V2+ΔV)に変更する指示を与え、この結果、各冷却ファン(81)は、駆動電圧(V2+ΔV)にて駆動されることになる。
一方、回転数Rfが所定の回転数r2よりも大きいと判断した場合には、ファン駆動回路(85)に対して、各冷却ファン(81)に与える駆動電圧を、現在の駆動電圧V2から所定の電圧ΔVを差し引いた電圧(V2−ΔV)に変更する指示を与え、この結果、各冷却ファン(81)は、駆動電圧(V2−ΔV)にて駆動されることになる。又、回転数Rfが所定の回転数r2と等しいと判断した場合、各冷却ファン(81)の駆動電圧は、変更されることなく維持される。
以上のステップを繰り返すことにより、各冷却ファン(81)の回転数が、所定の回転数r2に維持されることになる。
又、マイクロコンピュータ(89)が温度センサ(84)から出力される温度検出信号に基づいて外気温度Tを検知し、外気温度Tが所定温度T1と所定温度T2の間にあると判断した場合には、先ず、上述の数式1に基づいて、外気温度Tにおける各冷却ファン(81)を回転させるべき所定の回転数r3を算出する。そして、マイクロコンピュータ(89)は、所定の回転数r1及びr2、基準駆動電圧V1及びV2、算出した所定の回転数r3から、各冷却ファン(81)に与える基準駆動電圧V3を算出し、ファン駆動回路(85)に対して、該基準駆動電圧V3を各冷却ファン(81)に与える様に指示する。この結果、各冷却ファン(81)は、基準駆動電圧V3にて駆動されることになる。例えば、基準駆動電圧V3は、以下の数式2によって算出される。
(数式2): V3=(V2−V1)/(r2−r1)×(r3−r1)+V1
その後、マイクロコンピュータ(89)は、各冷却ファン(81)から出力される回転数検知信号に基づいて、各冷却ファン(81)の回転数Rfを検知し、回転数Rfが所定の回転数r3よりも小さいと判断した場合には、ファン駆動回路(85)に対して、各冷却ファン(81)に与える駆動電圧を、現在の駆動電圧V3に所定の電圧ΔVを加えた電圧(V3+ΔV)に変更する指示を与え、この結果、各冷却ファン(81)は、駆動電圧(V3+ΔV)にて駆動されることになる。
一方、回転数Rfが所定の回転数r3よりも大きいと判断した場合には、ファン駆動回路(85)に対して、各冷却ファン(81)に与える駆動電圧を、現在の駆動電圧V3から所定の電圧ΔVを差し引いた電圧(V3−ΔV)に変更する指示を与え、この結果、各冷却ファン(81)は、駆動電圧(V3−ΔV)にて駆動されることになる。又、回転数Rfが所定の回転数r3と等しいと判断した場合、各冷却ファン(81)の駆動電圧は、変更されることなく維持される。
以上のステップを繰り返すことにより、各冷却ファン(81)の回転数が、所定の回転数r3に維持されることになる。
ところで、長期使用によって、各冷却ファン(81)のエアフィルタ(83)に目詰まりが生じた場合には、冷却ファン(81)から十分な量の外気が取り込まれなくなる一方、図3に示す排気ファン(191)からは、一定量の空気が装置外部へ排出されるため、流路ハウジング(82)内の圧力が負圧となり、これによって冷却ファン(81)の回転時の負荷が小さくなる。
この場合、各冷却ファン(81)は外気温度Tによって定まる所定の回転数にて駆動されるため、回転数が上昇することはないものの、各冷却ファン(81)に与えられる駆動電圧が低下することになる。
そこで、マイクロコンピュータ(89)は、冷却ファン(81)が外気温度Tによって定まる所定の回転数にて駆動されているときに、該冷却ファン(81)に与えられた実際の駆動電圧Vfと、前記基準駆動電圧Vrefとを比較し、両者の差が一定値以上になった場合、エアフィルタ(83)に目詰まりが生じたと判断し、エアフィルタ(83)に目詰まりが生じた旨の警告を報知すると共に、ランプユニット(7)に供給する電力を遮断、若しくは通常時よりも低下させる保護動作を行なう。
図46中、冷却ファン(81)の回転数と基準駆動電圧Vrefの関係を実線で示し、冷却ファン(81)の回転数とエアフィルタ(83)に目詰まりが生じたと判断する駆動電圧との関係を一点鎖線で示している。図46に示す如く、基準駆動電圧Vrefと実際の駆動電圧との差が所定の値V4以上になったとき、警告動作及び保護動作が行なわれることになる。
図47は、エアフィルタ(83)の目詰まり検知時に、マイクロコンピュータ(89)によって実行される制御手続きを示している。
先ず、ステップS1にて、各冷却ファン(81)から出力される回転数検知信号によって各冷却ファン(81)の回転数Rfを検知し、該回転数Rfに基づいて、各冷却ファン(81)が、外気温度Tによって決まる所定の回転数にて駆動される様に、冷却ファン(81)に与える駆動電圧Vfをフィードバック制御する。
そして、ステップS2にて、各冷却ファン(81)が所定の回転数に至った際の駆動電圧Vfを検出し、ステップS3にて、前記所定の回転数に応じて定まる基準駆動電圧Vrefと駆動電圧Vfとの差が、所定値V4よりも大きいか否かを判断する ステップS3にてノーと判断された場合には、ステップS1に移行して、冷却ファン(81)に与える駆動電圧Vfのフィードバック制御を続行する。
ステップS3にてイエスと判断された場合には、ステップS4に移行して、エアフィルタ(83)に目詰まりが生じた旨の警告を報知する。例えば、警告は、図1に示す警告部(15)を構成する複数の警告灯の内、少なくとも1つの警告灯を点灯或いは点滅させることにより報知される。或いは、前方の投射スクリーン上にエアフィルタ(83)に目詰まりが生じた旨のメッセージを表示してもよい。
その後、ステップS5に移行して、熱源となるランプユニット(7)の発熱を抑制すべく、該ランプユニット(7)に供給する電力を遮断、若しくは通常時よりも低下させることにより、図5に示す各色用の液晶パネル(43b)(43g)(43r)及び入射側偏光板(41b)(41g)(41r)の温度上昇を防止する保護動作を行なった後、処理を終了する。
尚、ステップS5にて、エアフィルタの目詰まりによる冷却ファン(81)から取り込まれる外気の減少を抑制すべく、冷却ファン(81)の回転数を通常時よりも上昇させる保護動作を行なってもよい。
上述の冷却ファン(81)の駆動方法によれば、冷却ファン(81)は、外気温度Tによって決まる所定の回転数にて駆動されるので、冷却ファン(81)から取り込まれる外気の量は、冷却ファン(81)の個体差によらず略一定となる。従って、液晶プロジェクタ装置間で、冷却装置(8)の冷却効果にバラツキが生じることはなく、冷却ファン(81)の個体差によらず、常に一定の冷却効果が得られる。
又、冷却ファン(81)の実際の駆動電圧Vfと基準駆動電圧Vrefとを比較することにより、エアフィルタ(83)に目詰まりが発生したことを検出することが出来るので、従来の如く、図5に示す各色用の液晶パネル(43b)(43g)(43r)や入射側偏光板(41b)(41g)(41r)の温度を検出する温度センサは不要となる。