以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)本実施の形態によるテレビジョン受像機の全体構成
図1において、1は全体として本実施の形態によるテレビジョン受像機を示し、テレビジョン放送信号から525i信号を得、その525i信号を1080i信号又はXGA信号に変換して、その1080i信号又はXGA信号に基づく画像を表示し得るようになされている。
またこのテレビジョン受像機1においては、リモートコントローラ2を操作してズーム機能を起動することによって、図2に示すように、そのとき表示されている画像に重畳させてズーム枠3を表示させることができるようになされている。さらにテレビジョン受像機1においては、この状態でリモートコントローラ2を操作することによって、そのズーム枠3を所望位置に移動させたり、そのズーム枠3を所望の大きさに拡大又は縮小させることができ、その後リモートコントローラを操作してズームの実行命令を入力することによって、そのときのズーム枠3により指定された範囲内の画像を拡大して全画面表示させることができるようになされている。
実際上、このテレビジョン受像機1においては、ユーザ操作に応じてリモートコントローラ2から送信されるリモコン信号S1を受信するためのリモコン信号受信部10がその前面部に設けられている。そしてリモコン信号受信部10は、リモコン信号S1を受信すると、これに応じた操作信号S2をシステムコントローラ11に送出する。
システムコントローラ11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有するマイクロコンピュータ構成でなり、供給される操作信号S2に基づき必要に応じてチューナ13、スイッチャ14及び画像処理部16を制御する。
チューナ13は、システムコントローラ11の制御のもとに、アンテナ12を介して得られる各チャンネルのテレビジョン放送信号(RF変調信号)S3の中からユーザにより指定されたチャンネルのテレビジョン放送信号S3を受信すると共に、このテレビジョン放送信号S3に対して中間周波増幅処理及び検波処理等の所定の信号処理を施し、かくして得られた525i信号S4をスイッチャ14に送出する。
このときスイッチャ14には、チューナ13から与えられる525i信号S4のほか、DVDプレーヤなどの外部機器から図示しない外部入力端子を介して供給された525i信号S5が与えられる。かくしてスイッチャ14は、システムコントローラの制御のもとに、これらチューナ13からの525i信号S4及び外部機器からの525i信号S5のうちのユーザにより指定された一方を選択し、これを入力画像信号S6としてバッファメモリ15に送出する。
バッファメモリ15は、例えばFIFO(First-In First-Out)等から構成される一時保存用メモリであり、供給される入力画像信号S6を一時的に記憶保持し、その後これを画像信号処理部16に送出する。
画像信号処理部16は、システムコントローラ11の制御のもとに、525i信号でなる入力画像信号S6を、ユーザ設定に応じて、1080i信号若しくはXGA信号に変換し、又はその入力画像信号S6をその画像の一部を拡大表示(ズーム表示)するための新たな525i信号に変換する。そして画像信号処理部16は、このようにして得られた1080i信号若しくはXGA信号又は新たな525i信号を出力画像信号S7として画像信号合成部17を介してディスプレイ部18に送出する。
ディスプレイ部18は、例えばCRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ又はLCD(Liquid Crystal Display)等のフラットディスプレイにより構成され、画像信号処理部16から与えられる出力画像信号S7に基づく画像を表示する。
一方、バッファメモリ15に一時保存された入力画像信号S6は、表示最適化部19にも与えられる。また表示最適化部19には、テレビジョン放送信号S3から抽出された電子番組ガイド(EPG:Electronic Program Guide)のデータがEPG情報信号S8としてチューナ13から供給される。さらに表示最適化部19には、ユーザがリモートコントローラ2を用いて放送又はDVDなどの入力源又はチャンネルを切り換えや、ズーム位置及びズーム率を変更し又は決定するなどの何らかの操作を行ったときに、その操作内容を表す操作内容情報信号S9がシステムコントローラ11から与えられる。
そして表示最適化部は、これら525i信号S6、EPG情報信号S8及び操作内容情報信号S9に基づいて、ユーザがズームの実行命令を入力するごとに、そのときの時刻、ズーム位置及びズーム率をユーザ操作情報D1として記憶し蓄積する一方、そのときユーザが視聴していた映像音声の入力源及び当該入力源が『放送』であった場合のその番組のジャンル(スポーツ、ドラマ又はニュース等)などのその映像音声の属性をユーザ視聴情報D2として記憶し蓄積する。
さらに表示最適化部19は、そのときのズーム対象の動きの大きさ、主な色成分、色の割合、画像の複雑さ(以下、これをアクティビティと呼ぶ)、割合の高い上位2種類のアクティビティなどのズーム対象の表示画像の特徴を表す予め定められた複数種類の項目についてのパラメータ値(以下、これを特徴量と呼ぶ)をそれぞれ演算等により取得し、これら特徴量をユーザ視聴画像情報D3として記憶し蓄積する。なお、以下においては、適宜、ユーザ操作情報D1、ユーザ視聴情報D2及びユーザ視聴画像情報D3をまとめてズーム情報D4と呼ぶものとする。
このときデータ解析部20は、表示最適化部19に蓄積された過去数回分のズーム情報D4を所定のタイミングで読み出し、これらズーム情報D4に基づいて過去のズーム対象に対する所定の解析処理を実行し、かくして得られた解析結果を表示最適化部19に送出する。
かくして表示最適化部19は、この解析結果を記憶保持し、この後ユーザによるズーム機能の起動操作に応じてかかる記憶保持したデータ解析部20の解析結果と、このときEPG情報信号S8及び入力画像信号S6に基づき得られたユーザ視聴情報D2及びユーザ視聴画像情報D3とに基づいて、そのときディスプレイ部18に表示されていた画像内のユーザが所望するであろうズーム対象(ズーム位置)と、そのズーム対象に対してユーザが所望するであろうズーム率とを推定し、推定結果をズーム位置及び率推定信号S10としてシステムコントローラ11に送出する。
システムコントローラ11は、表示最適化部19からズーム位置及び率推定信号S10が与えられると、これに応じてズーム位置及び率表示部21を制御する。かくしてズーム位置及び率表示部21は、このシステムコントローラ11の制御のもとに、かかるズーム位置及び率推定信号S10に基づき得られる表示最適化部19の推定結果に応じた位置及び大きさを初期状態としてズーム枠3(図2)を表示させるための画像信号S11を生成し、これを画像信号合成部17に送出する。この結果、この画像信号S11が画像信号合成部17において画像信号処理部16から出力される出力画像信号S7と合成されてディスプレイ部18に送出され、かくしてズーム位置及び率表示部21において生成された画像信号S11に基づくズーム枠3が、表示最適化部19が推定した位置に当該表示最適化部19が推定したズーム率に応じた大きさで出力画像信号S7に基づく画像上に重畳された状態でディスプレイ部18に表示される。
またシステムコントローラ11は、この後リモコン信号受信部10から与えられる操作信号S2に基づいて、ユーザがズーム枠3の位置を移動させ又はズーム枠3の大きさを拡大若しくは縮小させるような操作を行ったことを認識すると、これに応じてズーム位置及び率表示部21を制御する。かくしてこのときズーム位置及び率表示部21は、このシステムコントローラ11の制御のもとに、ユーザ操作に応じた画像信号S11を生成して画像信号合成部17に送出する。この結果、ディスプレイ部18に表示されたズーム枠3が、ユーザによるリモートコントローラ2の操作に応動して指定された方向に移動し又は拡大若しくは縮小するように表示される。
さらにシステムコントローラ11は、ディスプレイ部18にズーム枠3が表示された状態において、リモコン信号受信部10から与えられる操作信号S2に基づいて、ユーザがズーム位置及びズーム率を決定したことを認識すると、これに応じて画像信号処理部16を制御する。かくしてこのとき画像信号処理部16は、システムコントローラ11の制御のもとに、そのとき表示されていたズーム枠3の位置及び大きさに応じて画像を拡大表示するための新たな515i信号を生成し、これを出力画像信号S7として画像信号合成部17を介してディスプレイ部18に送出する。この結果、この新たな525i信号に基づいて、ズーム位置及びズーム率を決定した瞬間のズーム枠内の範囲の画像部分がディスプレイに全画面表示される。
さらにシステムコントローラ11は、これと並行してズーム位置及び率表示部21を制御する。かくしてこのときズーム位置及び率表示部21は、このシステム制御部の制御のもとに、ズーム枠3を表示するための画像信号S11の生成を停止する。この結果、ディスプレイ部18の画面上からズーム枠3が消去される。
このようにしてこのテレビジョン受像機1においては、ズーム機能が起動されたときに、ユーザの過去のズームの利用時に取得した各種情報に基づいて、そのときユーザが所望するであろう位置に、所望するであろう大きさのズーム枠3を表示し得るようになされている。
(2)テレビジョン受像機1の詳細構成
(2−1)ズーム情報D4の取得及び蓄積に関する表示最適化部19の詳細
ここで表示最適化部19においては、図3に示すように、視聴情報取得部30、蓄積部31及びズーム位置及び率候補推定部32から構成されている。
この場合、視聴情報取得部30には、上述のようにバッファメモリ15(図1)から供給される入力画像信号S6と、チューナ13(図1)からのEPG情報信号S8と、システムコントローラ11からの操作内容情報信号S9とが与えられる。
そして視聴情報取得部30は、ユーザが視聴している映像音声の入力源と、当該入力源が『放送』であった場合のその番組のジャンルとをEPG情報信号S8及び操作内容情報信号S9に基づいて常時監視し、操作内容情報信号S9に基づいてユーザがズーム位置及びズーム率を決定したことを認識したときには、操作内容情報信号S9に基づき認識される、このときの時刻、ズーム位置及びズーム率をユーザ操作情報D1として蓄積部31に送出する。また視聴情報取得部30は、これと併せて操作内容情報信号S9に基づき認識される、そのときユーザが視聴している映像音声の入力源及びジャンルをユーザ視聴情報D2として蓄積部31に送出する。
さらに視聴情報取得部30は、このときのズーム中心を中心とする図4において斜線で示すm0×n0画素分の範囲33内において、動きの大きさ等の予め定められたいくつかの項目の各特徴量をそれぞれ取得する。
具体的に視聴情報取得部30は、入力画像信号S6に基づいて当該入力画像信号S6に基づく画像内の各画素の動きをブロックマッチング法や勾配法などによって常時算出しており、ユーザがズーム位置及びズーム率を決定した瞬間のズーム中心の点の動きの水平成分をvx、垂直成分をvyとして、次式
で与えられる当該点の動きベクトルMv(vx,vy)の大きさをそのときのズーム対象の『動きの大きさ』を表す特徴量として取得する。
また視聴情報取得部30は、各画素が輝度成分(Y)、第1の色差成分(U)及び第2の色差成分(V)で表現されているものとして、ユーザがズーム位置を決定した瞬間のズーム中心の点の画素の輝度成分、第1の色差成分及び第2の色差成分をズーム対象の『主な色成分』を表す特徴量として取得すると共に、図4について上述した斜線の範囲33内の全画素に占めるズーム中心の画素の色と類似する色の画素数の割合をズーム対象の『色の割合』を表す特徴量として算出する。
さらに視聴情報取得部30は、各画素ごとの輝度成分の分散値又は次式
で与えられる注目画素Y(x,y)とその周辺8画素Y(x+i,y+i)との間における輝度成分の差分絶対値和の平均値を各画素ごとに常時算出しており、ユーザがズーム位置を決定した瞬間のズーム中心の点の画素を注目画素とする(2)式の演算結果をそのときのズーム対象の『アクティビティ』を表す特徴量として算出する。また視聴情報取得部30は、これと併せて図4の斜線で示す範囲33内の全画素についてのアクティビティの頻度分布を作成した場合における全体に占める割合の高い上位2種類のアクティビティをそれぞれズーム対象の『上位2種類のアクティビティ』として算出する。
そして視聴情報取得部30は、このようにして得られたズーム中心を中心としたズーム対象の動きの大きさ等を表す各特徴量をユーザ視聴画像情報D3として蓄積部31に送出する。
蓄積部31においては、図5に示すように、例えばハードディスク装置やフラッシュROM等の不揮発性メモリからなる蓄積装置31Aと、同様の不揮発性メモリからなるテーブル保持部31Bとから構成されており、視聴情報取得部30から供給されるユーザ操作情報D1、ユーザ視聴情報D2及びユーザ視聴画像情報D3からなるズーム情報D4を例えば図6に示すような所定フォーマットで蓄積装置31Aに順次蓄積する。
(2−2)データ解析部20の詳細
一方、データ解析部20は、表示最適化部19の蓄積部31内の蓄積装置31Aにnサンプル分のズーム情報D4が蓄積されると、これらズーム情報D4に基づき、図7に示すデータ解析処理手順RT1に従って、ユーザが過去に設定したズーム対象(ズーム位置)及びそのズーム対象に対するズーム率を解析することにより、ズーム設定に関するユーザの傾向を検出する。
すなわちデータ解析部20は、かかる蓄積装置31Aにnサンプル分のズーム情報D4が蓄積されると、このデータ解析処理手順RT1をステップSP0において開始し、続くステップSP1において、サンプル数のカウント値iを「0」にセット(リセット)する。
続いてデータ解析部21は、ステップSP2に進んで、かかる蓄積装置31Aから1サンプル分のデータ、すなわち1回分のズーム情報D4を読み込み、この後ステップSP3に進んで、この読み込んだズーム情報D4のうちのユーザ視聴情報D2に基づいて、そのサンプルの入力源及びジャンルと、そのとき得られた各項目の特徴量の組合せパターン(以下、これを特徴量組合せパターンと呼ぶ)とをそれぞれ分類(判定)し、該当する入力源及びジャンルの該当する特徴量組合せパターンに対するカウント値を「1」だけカウントアップする。
ここで、このような1サンプル分のデータの分類処理は、図8に示すデータ分類処理手順RT2に従って行われる。実際上、データ解析部21は、データ解析処理手順RT1のステップSP3(図7)に進むと、このデータ分類処理手順RT2をステップSP10において開始し、続くステップSP11〜ステップSP13において、そのサンプルの入力源、ジャンル及び特徴量組合せパターンを順次階層的に分類する。
この際、ステップSP13における特徴量組合せパターンの分類は、そのサンプルの各項目の特徴量について、その特徴量が当該特徴量について予め定められたいくつかの区分のうちのどの区分に属するかをそれぞれ判定し、その区分の組合せパターンに基づいて判断するようにして行われる。
例えば『動きの大きさ』という項目の特徴量が一定間隔でS1個の区分に分割されている場合、動きの大きさを|Mv|として、各区分はそれぞれTHMv(0)≦|Mv|<THMv(1)、THMv(1)≦|Mv|<THMv(2)、……、THMv(S1−1)≦|Mv|<THMv(S1)(ただし、THMv(0)=0)のように固定の閾値THMv(0)〜THMv(s)を用いて定義される。従って、対象とするサンプルの『動きの大きさ』という項目の特徴量を閾値THMv(0)〜THMv(s)と比較することによって、当該サンプルの『動きの大きさ』という項目の特徴量が属する区分を判定することができる。特徴量がスカラー量である場合にも、同様にその特徴量が属する区分を判定することができる。
またある項目の特徴量が2次元以上であっても、同じ次元の閾値を用いることで同様にその項目の特徴量が属する区分を判定することができる。例えば3次元のベクトル値で与えられる『主要な色成分』という項目の特徴量の各成分Y、U及びVがそれぞれ一定間隔でSY個、SU個又はSV個の範囲に分けられている場合、『主要な色成分』という項目では特徴量が各成分の分割数を乗算した次式
で与えられるS2個の区分に分けられることになる。
この場合には、対象とするサンプルの『主要な色成分』という項目の特徴量を構成する各成分の値を、それぞれその成分について予め一定間隔で定められたSY個の固定の閾値THCol(Y)(0)〜THCol(Y)(SY)(ただし、THCol(Y)(0)=0)、SU個の固定の閾値THCol(U)(0)〜THCol(U)(SU)(ただし、THCol(U)(0)=0)又はSV個の固定の閾値THCol(V)(0)〜THCol(V)(SV)(ただし、THCol(V)(0)=0)と比較することによって各成分がそれぞれ属する範囲を判定し、さらにこれら判定した各成分の範囲の組合せが上述したS2個の区分のうちのどの区分に該当するかを判断することによって、当該サンプルの『主要な色成分』という項目の特徴量が属する区分を判定することができる。
そして項目の番号をm、番号がmの項目の特徴量の区分数をd(m)とすると、特徴量組合せパターンの総数は、次式
となるため、対象とするサンプルの各項目の特徴量の区分をそれぞれ判定し、その組合せパターンがこのD個の特徴量組合せパターンのうちのいずれに該当するかを判断することで、そのサンプルの特徴量組合せパターンを分類することができる。
かくしてデータ解析部21は、ステップSP13において、サンプルの各項目の特徴量の区分をそれぞれ判定し、得られたそのサンプルの各項目の特徴量の区分の組み合せパターンに基づいて当該サンプルの特徴量組合せパターンを分類する。
またデータ解析部21は、この後ステップSP14に進んで、該当する入力源及びジャンルの該当する特徴量組合せパターンのカウント値を「1」だけカウントアップする一方、これと併せてそのときまでに同じカテゴリに分類された全てのサンプルにおけるズーム率の合計値を算出する。
そしてデータ解析部21は、この後ステップSP15に進んでこのデータ分類処理手順RT2を終了してデータ解析処理手順RT1(図7)に戻り、この後このデータ解析処理手順RT1のステップSP4に進んで、サンプル数のカウント値が「n」となったか否かを判断する。さらにデータ解析部21は、このステップSP4において否定結果を得るとステップSP2に戻って、この後ステップSP4において肯定結果を得るまでステップSP2〜ステップSP4のループを繰り返す。このようにしてデータ解析部21は、かかる蓄積装置31A(図5)に蓄積されたn回分のサンプルに基づいて、入力源及びジャンルごとの特徴量組合せパターンの頻度分布を検出する。
さらにデータ解析部21は、この後かかる蓄積装置31Aに蓄積されたn回分のサンプルに対する上述のような分類処理を終了することによりステップSP4において肯定結果を得ると、ステップSP5に進んで、かかる入力源及びジャンルごとの各特徴量組合せパターンのカウント値に基づいて、入力源及びジャンルごとに出現頻度が高い上位k種類の特徴量組合せパターンをそれぞれ選択する。またデータ解析部19は、選択した各特徴量組合せパターンについて、ステップSPにおいて算出しているその特徴量組合せパターンに分類された全てのサンプルにおけるズーム率の合計値をその出現頻度で除算することにより、当該特徴量組合せパターンにおける平均的なズーム率(以下、これを平均ズーム率と呼ぶ)を算出する。
そしてデータ解析部21は、かかる選択結果に基づいて、例えば図9に示すような、入力源及びジャンルごとに出現頻度の高い上位k種類の特徴量組合せパターンの各項目の特徴量及びその特徴量組合せパターンの平均ズーム率を、出現頻度の高い特徴量組合せパターンの順番で、かつ出現頻度の高いものほど高い優先度(図では優先度が高いほど数値が小さい)を対応付けて記述した特徴量テーブル34を作成する。なお、図9において、iは入力源の種類、jはジャンル、pは優先度、mは項目(特徴量)の番号をそれぞれ示し、F(i,j,m,p)はその項目の特徴量の大きさ(スカラー又はベクトル)を示す。
そしてデータ解析部21は、この後このようにして得られた特徴量テーブル34のデータを表示最適化部19の蓄積部31のテーブル保持部31Bに書き込み、この後ステップSP6に進んでこのデータ解析処理手順RT1を終了する。
またデータ解析部21は、この後表示最適化部19のかかる蓄積装置31Aに1サンプル分のズーム情報D4が蓄積されるごとに、そのズーム情報D4を読み込み、このサンプルのデータ分類及び該当する特徴量組合せパターンのカウント値のカウントアップを累積的にデータ解析処理手順RT1のステップSP3と同様に行う。
さらにデータ解析部21は、この後このようにして得られた入力源及びジャンルごとの各特徴量組合せパターンの累積的なカウント値に基づいて、データ解析処理手順RT1のステップSP5と同様に、入力源及びジャンルごとに出現頻度が高い上位k種類の特徴量組合せパターンをそれぞれ選択し、これら選択した入力源及びジャンルごとのk種類の特徴量組合せパターンに関する図9について上述した新たな特徴量テーブル34を作成し、そのデータを表示最適化部19のかかるテーブル保持部31B(図5)に書き込む。
このようにしてデータ解析部は、表示最適化部19の蓄積部31の蓄積装置31Aに蓄積された過去のズーム情報D4に基づいてユーザが過去に選択したズーム対象(ズーム位置)及びそのズーム対象に対するズーム率をリアルタイムで順次解析し、解析結果に基づく特徴量テーブル34を作成する一方、その後のユーザによるズーム操作に応じて当該特徴量テーブル34を適宜更新し得るようになされている。
(2−3)ズーム位置及び率候補推定処理に関する表示最適化部19の詳細
他方、表示最適化部19のズーム位置及び率候補推定部32は、システムコントローラ11から供給される操作内容情報信号S9に基づいてユーザがリモートコントローラ2を用いてズーム機能の起動操作を行ったことを認識すると、蓄積部31のテーブル保持部31Bに記憶保持された特徴量テーブル34と、このとき得られる入力画像信号S6及びユーザ視聴情報D2とに基づいて、現在ユーザが視聴している画像内のユーザが選択するであろうズーム対象(ズーム位置)と、そのズーム対象に対してユーザが所望するであろうズーム率とを推定する。
この場合このようなズーム位置及びズーム率候補の推定処理は、ユーザによりズーム機能の起動操作が行われた瞬間の1フレーム分の画像内で、その部分における特徴量組合せパターンが特徴量テーブル34中のいずれかの特徴量組合せパターンと類似する箇所が存在するかどうかを探索するようにして行われる。
実際上、ズーム位置及び率候補推定部32は、図10に示すように、図4について上述した視聴情報取得部30(図3)がズーム対象についての『動きの大きさ』及び『主要な色成分』等の画像情報を取得する範囲33と同じ大きさ(m0×n0画素)の範囲35を1回分の探索範囲として設定し、この探索範囲について、視聴情報取得部30が特徴量を検出する画像情報と同じ項目の各特徴量を、視聴情報取得部30から供給される入力画像信号S6に基づき当該視聴情報取得部30と同様の処理によりそれぞれ検出する。
またズーム位置及び率候補推定部32は、そのとき得られた特徴量の組み合わせが特徴量テーブル34に登録されたいずれかの特徴量組合せパターンと類似するかを優先度の高いものから順番に比較しながら順次判定する。
そしてズーム位置及び率候補推定部32は、このような判定処理を、探索範囲を画像の左上から水平方向にlh画素分、垂直方向にlv画素分ずつずらしながら画像全面に渡って水平方向の走査を順次行い、かくして得られた探索結果に基づいてユーザが所望するであろうズーム対象(ズーム位置)及びズーム率を推定する。
ここで、このようなズーム位置及び率候補の推定処理は、図11に示すズーム位置及び率推定処理手順RT3に従って行われる。
すなわちズーム位置及び率候補推定部32は、システムコントローラ11から与えられる操作内容情報信号S9に基づいて、ユーザがズーム機能の起動操作を行ったことを認識すると、このズーム位置及び率候補推定処理手順RT3をステップSP20において開始し、続くステップSP21において、ユーザ視聴情報D2を取得し、当該ユーザ視聴情報D2に基づいて現在ユーザが視聴している映像音声の入力源及びジャンルを検出する。
続いてズーム位置及び率候補推定部32は、ステップSP22に進んで、探索位置として画像内の左上を初期設定すると共に、特徴量テーブル34内の比較対象とすべき特徴量組合せパターンの優先度として「1」を初期設定する。
続いてズーム位置及び率候補推定部32は、ステップSP23に進んで、そのとき設定されている探索位置(この段階では初期設定されている画像の左上)を中心としたm0×n0画素分の探索範囲について、視聴情報取得部30(図3)が特徴量を取得する各項目(動きの大きさ、主な色成分、色の割合、アクティビティ、上位2種類のアクティビティ)と同じ項目の各特徴量をそれぞれ視聴情報取得部30と同様の処理を実行するようにして検出する。
またズーム位置及び率候補推定部32は、続くステップSP24において、特徴量テーブル34に登録された該当する入力源及びジャンルの上位k種類の特徴量組合せパターンのうち、そのとき設定されている優先度(この段階では初期設定されている「1」)の特徴量組合せパターンのデータ(その特徴量組合せパターンを構成する各項目の特徴量)をそれぞれ読み出す。
そしてズーム位置及び率候補推定部32は、この後ステップSP25に進んで、ステップSP23において検出した各項目の特徴量の組合せパターンがステップSP24において特徴量テーブル34から読み出した特徴量組合せパターンと類似するか否かを判断する。
この場合ズーム位置及び率候補推定部32は、このような特徴量組合せパターン同士の類比を判断する手法として、各特徴量について、その探索位置で検出されたある項目の特徴量(以下、これを検出特徴量と呼ぶ)を次式
とし、特徴量テーブルから読み出した対応する項目の特徴量(以下、これを参照特徴量と呼ぶ)を次式
として、各項目について次式
で与えられる演算を実行することにより、検出特徴量と参照特徴量との距離Distance(i,j,m,p)を項目ごとにそれぞれ算出する。ただし、(5)式において、nは特徴量の成分の次元数、mは特徴量の番号をそれぞれ表し、(6)式においてiは入力源、jはジャンル、pは優先度を表す。
そしてズーム位置及び率候補推定部32は、このようにして得られた項目ごとの距離Distance(i,j,m,p)について、その大きさがその項目について経験的に予め定められた閾値THDistance(i,j,m,p)以下であるか否かを項目ごとにそれぞれ判定する。
そしてズーム位置及び率候補推定部32は、かかる判定の結果、算出した距離Distance(i,j,m,p)が閾値THDistance(i,j,m,p)以下である項目の数が予め定められた所定数以上であった場合には、その探索位置において検出した各項目の特徴量の組合わせパターンが特徴量テーブル34に登録されている特徴量組合せパターンのうちの現在比較対象としている特徴量組合せパターンと類似すると判断する。
かくしてこのときズーム位置及び率候補推定部32は、ステップSP26に進んで、図12に示すように、特徴量テーブル34におけるその参照特徴量の組合せパターンの優先度と、そのときの探索位置と、特徴量テーブル34に登録されているその特徴量組合せパターンでの平均ズーム率と、評価値とを候補リスト36に登録する。なお、この場合における評価値とは、距離Distance(i,j,m,p)が閾値THDistance(i,j,m,p)以下であった特徴量の数である。
これに対してズーム位置及び率候補推定部32は、ステップSP25において、距離Distance(i,j,m,p)が閾値THDistance(i,j,m,p)以下である項目の数がかかる所定数よりも少なかった場合には、その探索位置において検出した各項目の特徴量の組合せパターンが特徴量テーブル34に登録されている各特徴量組合せパターンのうちの現在比較対象としている特徴量組合せパターンと類似しないと判断してステップSP27に進む。
そしてズーム位置及び率候補推定部32は、ステップSP27に進むと、特徴量テーブル34に登録された該当する入力源・ジャンルの上位k種類の特徴量組合せパターン全てについて同様の処理を行ったか否かを判断し、否定結果を得ると、特徴量テーブル34内の比較対象とすべき特徴量組合せパターンの優先度を1つ下げた後にステップSP24に戻り、この後ステップSP27において肯定結果を得るまでステップSP24〜ステップSP27について同様の処理を繰り返す。このようにしてズーム位置及び率候補推定部32は、特徴量テーブル34に登録された該当する入力源・ジャンルの上位k種類の全ての特徴量組合せパターンについて、その探索位置において取得した各項目の特徴量の組合わせパターンと類似するものが存在するか否かを検証する。
そしてズーム位置及び率候補推定部32は、やがてその探索位置におけるかかる検証処理を終了することによりステップSP27において肯定結果を得ると、ステップSP28に進んで、全ての探索位置において(画像の全面に渡って)かかる処理を終了したか否かを判断する。
そしてズーム位置及び率候補推定部32は、このステップSP28において否定結果を得ると、探索位置を水平方向にlh画素分だけずらし又は垂直方向にlv画素分ずらす設定を行った後にステップSP23に戻り、この後ステップSP28において肯定結果を得るまでステップSP23〜ステップSP28について同様の処理を繰り返す。
さらにズーム位置及び率候補推定部32は、やがて全ての探索位置において(画像全体に渡って)同様の処理を終えることによりステップSP28において肯定結果を得ると、ステップSP29に進んで、上述のような処理によって候補リスト36に登録された、特徴量テーブル34内の上位k種類の特徴量組合せパターンのいずれかと類似する特徴量の組合せパターンが得られたいくつかの探索位置の中から1つの探索位置を、ユーザが所望するであろうズーム位置の推定結果として選択する。
この場合、上述のように『評価値』は、距離Distance(i,j,m,p)が閾値THDistance(i,j,m,p)以下である(換言すれば類似と判断された)特徴量の数を表すため、この値が大きいほど過去にユーザが決定したズーム対象と類似するものがその探索範囲内に表示されているということができる。
そこでズーム位置及び率候補推定部32は、かかる候補リスト36に登録された探索位置の中からなるべく優先度が高くかつ評価値が高い探索位置を選択する。例えば図12の例では、優先度が最も高い「1」である候補が3つ存在するが、このときのこれら3つの各候補の評価値eval1〜eval3が次式
の関係がある場合には、最も評価値が高い探索位置(x2,y2)が選択されることとなる。
かくしてズーム位置及び率候補推定部32は、このように探索位置を1つ選択すると、その探索位置及びこれに対応する平均ズーム率をそれぞれズーム位置及びズーム率としたズーム位置及び率推定情報をシステムコントローラ11に送出し、この後ステップSP30に進んでこのズーム位置及び率候補推定処理手順RT3を終了する。
このようにして表示最適化部19は、データ解析部20の解析結果と、このとき得られたユーザ視聴情報D2及びユーザ視聴画像情報D3とに基づいて、そのときディスプレイ部18に表示されていた画像内のユーザが所望するであろうズーム対象(ズーム位置)と、そのズーム対象に対してユーザが所望するであろうズーム率とを推定し得るようになされている。
なおこの実施の形態の場合、ズーム位置及び率候補推定部32は、データ解析部20により特徴量テーブル34のデータが蓄積部31のテーブル保持部31Bに格納される間での間は、ズーム位置及びズーム率の推定結果としてデフォルト値(例えばズーム位置については画面中心、ズーム率については等倍)をズーム位置及び率推定情報としてシステムコントローラ11に送出するようになされている。
(2−4)画像信号処理部16の詳細
次に、画像信号処理部16の詳細を説明する。画像信号処理部16は、図13に示すように、バッファメモリ15(図1)に記憶されている入力画像信号S6より、出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素(注目画素)の周辺に位置する複数の画素データを選択的に取り出して出力する第1〜第3のタップ選択回路40〜42を有している。
第1のタップ選択回路40は、予測に使用する画素(「予測タップ」と称する)のデータを選択的に取り出すものである。第2のタップ選択回路41は、空間クラス分類に使用する画素(「空間クラスタップ」と称する)のデータを選択的に取り出すものである。第3のタップ選択回路42は、動きクラス分類に使用する画素(「動きクラスタップ」と称する)のデータを選択的に取り出すものである。なお、空間クラスを複数フィールドに属する画素データを使用して決定する場合には、この空間クラスにも動き情報が含まれることになる。
また、画像信号処理部16は、第2のタップ選択回路41で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(複数個)のレベル分布パターンを検出し、このレベル分布パターンに基づいて空間クラスを検出し、そのクラス情報を出力する空間クラス検出回路43を有している。
空間クラス検出回路43では、例えば、空間クラスタップのデータを、8ビットデータから2ビットデータに圧縮するような演算が行われる。そして、空間クラス検出回路43からは、空間クラスタップのデータにそれぞれ対応した圧縮データが空間クラスのクラス情報として出力される。本実施の形態においては、ADRC(Adaptive Dynamic Range Coding)によって、データ圧縮が行われる。なお、情報圧縮手段としては、ADRC以外にDPCM(予測符号化)、VQ(ベクトル量子化)等を用いてもよい。
本来、ADRCは、VTR(Video Tape Recorder)向け高性能符号化用に開発された適応再量子化法であるが、信号レベルの局所的なパターンを短い語長で効率的に表現できるので、上述したデータ圧縮に使用して好適なものである。ADRCを使用する場合、空間クラスタップのデータの最大値をMAX、その最小値をMIN、空間クラスタップのデータのダイナミックレンジをDR(=MAX−MIN+1)、再量子化ビット数をPとすると、空間クラスタップのデータkiに対して、次式
の演算により、圧縮データとしての再量子化コードQiが得られる。ただし、(9)式において、[ ]は切り捨て処理を意味している。空間クラスタップのデータとして、Na個の画素データがあるとき、i=1〜Naである。
また、画像信号処理部16は、第3のタップ選択回路42で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(複数個)より、主に動きの程度を表すための動きクラスを検出し、そのクラス情報を出力する動きクラス検出回路44を有している。
この動きクラス検出回路44では、第3のタップ選択回路42で選択的に取り出される動きクラスタップのデータからフレーム間差分が算出され、さらにその差分の絶対値の平均値に対してしきい値処理が行われて動きの指標である動きクラスが検出される。すなわち、動きクラス検出回路44では、次式
によって、差分の絶対値の平均値AVが算出される。第3のタップ選択回路42で、例えばクラスタップのデータとして、6個の画素データm1〜m6とその1フレーム前の6個の画素データn1〜n6が取り出されるとき、(10)式におけるNbは6である。
そして、動きクラス検出回路44では、上述したように算出された平均値AVが1個または複数個のしきい値と比較されて動きクラスのクラス情報MVが得られる。例えば、3個のしきい値th1,th2,th3(th1<th2<th3)が用意され、4つの動きクラスを検出する場合、AV≦th1のときはMV=0、th1<AV≦th2のときはMV=1、th2<AV≦th3のときはMV=2、th3<AVのときはMV=3とされる。
また、画像信号処理部16は、空間クラス検出回路43より出力される空間クラスのクラス情報としての再量子化コードQiと、動きクラス検出回路44より出力される動きクラスのクラス情報MVに基づき、作成すべき出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素(注目画素)が属するクラスを示すクラスコードCLを得るためのクラス合成回路45を有している。
このクラス合成回路45では、次式
によって、クラスコードCLの演算が行われる。なお、(11)式において、Naは空間クラスタップのデータの個数、PはADRCにおける再量子化ビット数を示している。
また、画像信号処理部16は、レジスタ50〜53と、係数メモリ54とを有している。後述する後処理回路48は、出力画像信号S7として、1080i信号を出力する場合と、XGA信号を出力する場合と、525i信号を出力する場合とで、その動作を切り換える必要がある。レジスタ50は、後処理回路48の動作を指定する動作指定情報を格納するものである。後処理回路48は、レジスタ50より供給される動作指定情報に従った動作をする。
レジスタ51は、第1のタップ選択回路40で選択される予測タップのタップ位置情報を格納するものである。第1のタップ選択回路40は、レジスタ51より供給されるタップ位置情報に従って予測タップを選択する。タップ位置情報は、例えば選択される可能性のある複数の画素に対して番号付けを行い、選択する画素の番号を指定するものである。以下のタップ位置情報においても同様である。
レジスタ52は、第2のタップ選択回路41で選択される空間クラスタップのタップ位置情報を格納するものである。第2のタップ選択回路41は、レジスタ52より供給されるタップ位置情報に従って空間クラスタップを選択する。
ここで、レジスタ52には、動きが比較的小さい場合のタップ位置情報Aと、動きが比較的大きい場合のタップ位置情報Bとが格納される。これらタップ位置情報A,Bのいずれを第2のタップ選択回路41に供給するかは、動きクラス検出回路44より出力される動きクラスのクラス情報MVによって選択される。
すなわち、動きがないか、あるいは動きが小さいためにMV=0またはMV=1であるときは、タップ位置情報Aが第2のタップ選択回路41に供給され、この第2のタップ選択回路41で選択される空間クラスタップは、複数フィールドに跨るものとされる。また、動きが比較的大きいためにMV=2またはMV=3であるときは、タップ位置情報Bが第2のタップ選択回路41に供給され、この第2のタップ選択回路41で選択される空間クラスタップは、図示せずも、作成すべき画素と同一フィールド内の画素のみとされる。
なお、上述したレジスタ51にも動きが比較的小さい場合のタップ位置情報と、動きが比較的大きい場合のタップ位置情報が格納されるようにし、第1のタップ選択回路40に供給されるタップ位置情報が動きクラス検出回路44より出力される動きクラスのクラス情報MVによって選択されるようにしてもよい。
レジスタ53は、第3のタップ選択回路42で選択される動きクラスタップのタップ位置情報を格納するものである。第3のタップ選択回路42は、レジスタ53より供給されるタップ位置情報に従って動きクラスタップを選択する。
さらに、係数メモリ54は、後述する推定予測演算回路46で使用される推定式の係数データを、クラス毎に、格納するものである。この係数データは、525i信号を1080i信号またはXGA信号に変換し、あるいはその525i信号をその画像の一部を任意の倍率で拡大表示するための新たな525i信号に変換するための情報である。係数メモリ54には上述したクラス合成回路45より出力されるクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給され、この係数メモリ54からはクラスコードCLに対応した係数データが読み出され、推定予測演算回路46に供給されることとなる。
また、画像信号処理部16は、情報メモリバンク55を有している。この情報メモリバンク55には、レジスタ50に格納するための動作指定情報と、レジスタ51〜53に格納するためのタップ位置情報が予め蓄えられている。
ここで、レジスタ50に格納するための動作指定情報として、情報メモリバンク55には、後処理回路48を1080i信号を出力するように動作させるための第1の動作指定情報と、後処理回路48をXGA信号を出力するように動作させるための第2の動作指定情報と、後処理回路48を525i信号を出力するように動作させるための第3の動作指定情報とが予め蓄えられている。
ユーザはリモートコントローラ2を操作することで、1080i信号を出力する第1の変換方法か、XGA信号を出力する第2の変換方法か、さらには525i信号を出力する第3の変換方法かを選択できる。なお、第3の変換方法を選択するとき、ユーザは、さらに表示画像の倍率(すなわち上述のズーム率)を指定できる。情報メモリバンク55にはシステムコントローラ11よりその変換方法の選択情報が供給され、この情報メモリバンク55よりレジスタ50にはその選択情報に従って第1、第2または第3の動作指定情報がロードされる。
また、情報メモリバンク55には、レジスタ51に格納するための予測タップのタップ位置情報として、第1の変換方法(1080i)に対応する第1のタップ位置情報と、第2の変換方法(XGA)に対応する第2のタップ位置情報と、第3の変換方法(525i)に対応する第3のタップ位置情報が予め蓄えられている。この情報メモリバンク55よりレジスタ51には、上述した変換方法の選択情報に従って第1、第2または第3のタップ位置情報がロードされる。
なお、情報メモリバンク55に、第3の変換方法に対応する第3のタップ位置情報として、表示画像のズーム率に対応したタップ位置情報を予め蓄えておき、第3の変換方法が選択された場合に、併せて指定されたズーム率に対応したタップ位置情報を情報メモリバンク55よりレジスタ51にロードするようにしてもよい。このことは、後述するレジスタ52,53へのタップ情報のロードにおいても同様である。
また、情報メモリバンク55には、レジスタ52に格納するための空間クラスタップのタップ位置情報として、第1の変換方法(1080i)に対応する第1のタップ位置情報と、第2の変換方法(XGA)に対応する第2のタップ位置情報と、第3の変換方法(525i)に対応する第3のタップ位置情報とが予め蓄えられている。第1、第2および第3のタップ位置情報は、それぞれ動きが比較的小さい場合のタップ位置情報と、動きが比較的大きい場合のタップ位置情報とからなっている。この情報メモリバンク55よりレジスタ52には、上述した変換方法の選択情報に従って第1、第2または第3のタップ位置情報がロードされる。
また、情報メモリバンク55には、レジスタ53に格納するための動きクラスタップのタップ位置情報として、第1の変換方法(1080i)に対応する第1のタップ位置情報と、第2の変換方法(XGA)に対応する第2のタップ位置情報と、第3の変換方法(525i)に対応する第3のタップ位置情報とが予め蓄えられている。この情報メモリバンク55よりレジスタ53には、上述した変換方法の選択情報に従って第1、第2または第3のタップ位置情報がロードされる。
また、情報メモリバンク55には、各クラスの係数種データが予め蓄えられている。この係数種データは、上述した係数メモリ54に格納するための係数データを生成するための、位相情報をパラメータとする生成式の係数データである。
後述する推定予測演算回路46では、予測タップのデータxiと、係数メモリ54より読み出される係数データWiとから、次式
で与えられる推定式によって、作成すべき画素データyが演算される。第1のタップ選択回路40で選択される予測タップが10個であるとき、(12)式におけるnは10となる。
そして、この推定式の係数データWi(i=1〜n)は、例えば次式
で示されるように、位相情報h,vをパラメータとする生成式によって生成される。情報メモリバンク55には、この生成式の係数データである係数種データw10〜wn9が、クラス毎に、記憶されている。この係数種データの生成方法については後述する。
また、画像信号処理部16は、各クラスの係数種データおよび位相情報h,vの値とを用い、(13)式によって、クラス毎に、位相情報h,vの値に対応した推定式の係数データWi(i=1〜n)を生成する係数生成回路56を有している。この係数生成回路56には、情報メモリバンク55より、各クラスの係数種データがロードされると共に、後述する位相情報発生回路59で発生される出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素の水平方向、垂直方向の位相情報h,vが供給される。この係数生成回路56で生成される各クラスの各位相情報h,vに対応した係数データWi(i=1〜n)は、上述した係数メモリ54に格納される。
また、画像信号処理部16は、システムコントローラ11より供給される、変換方法の選択情報および倍率の指定情報に対応した入力画像信号S6と出力画像信号S7における垂直方向、水平方向の各フィールドにおける画素数の対応関係情報n/mに基づいて、出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素の水平方向、垂直方向の位相情報h,vを発生させる位相情報発生回路59を有している。この位相情報発生回路59は例えばROMテーブルで構成される。
この位相情報発生回路59で発生される各画素の水平方向、垂直方向の位相情報h,vは、それぞれ画素番号(タップ番号)と関連付けられて、係数生成回路56に供給される。なお、位相情報発生回路59からは、入力画像信号S6の奇数、偶数のフィールドのそれぞれに対応して位相情報h,vが発生される。
例えば、第1の変換方法(1080i)が選択される場合、垂直方向に関してn/m=9/4であり、水平方向に関してn/mは9/4である(図26参照)。そのため、入力画像信号S6としての525i信号の4×4の画素ブロックに対して出力画像信号S7としての1080i信号の9×9の画素ブロックが対応したものとなる。この場合、出力画像信号S7を構成する単位画素ブロックは9×9の画素ブロックということになる。
この場合、位相情報発生回路59では、この9×9の単位画素ブロック内の各画素について、上述した525i信号の4×4の画素ブロック内の画素のうち、垂直方向に最も近い位置にある画素(最短画素)までの距離を求めて位相情報vとすると共に、水平方向に最も近い位置にある画素(最短画素)までの距離を求めて位相情報hとする。本実施の形態においては、525i信号の垂直方向の画素間隔が16、水平方向の画素間隔が8とされて、上述の位相情報h,vが求められる。これは、第2、第3の変換方法が選択される場合も同様である。
ここで、位相情報vに関しては、9×9の単位画素ブロック内の対象画素が最短画素より上方に位置するときは負の値とされ、逆にその対象画素が上述の最短画素より下方に位置するときは正の値とされる。また、位相情報hに関しては、その対象画素が最短画素より左方に位置するときは負の値とされ、逆にその対象画素が最短画素より右方に位置するときは正の値とされる。これは、第2、第3の変換方法が選択される場合も同様である。
このように、第1の変換方法(1080i)が選択される場合、位相情報発生回路59では、奇数、偶数のフィールドのそれぞれに対応して、9×9の単位画素ブロックを構成する81個の画素のそれぞれついての位相情報h,vが発生される。
また例えば、第2の変換方法(XGA)が選択される場合、垂直方向に関してn/m=16/5であり、水平方向に関してn/mは8/5である(図29参照)。そのため、入力画像信号S6としての525i信号の5×5の画素ブロックに対して出力画像信号S7としてのXGA信号の8×16の画素ブロックが対応したものとなる。この場合、出力画像信号S7を構成する単位画素ブロックは8×16の画素ブロックということになる。
この場合、位相情報発生回路59では、この8×16の単位画素ブロック内の各画素について、上述した525i信号の5×5の画素ブロック内の画素のうち、垂直方向に最も近い位置にある画素(最短画素)までの距離を求めて位相情報vとすると共に、水平方向に最も近い位置にある画素(最短画素)までの距離を求めて位相情報hとする。
このように、第2の変換方法(XGA)が選択される場合、位相情報発生回路59では、奇数、偶数のフィールドのそれぞれに対応して、8×16の単位画素ブロックを構成する128個の画素のそれぞれついての位相情報h,vが発生される。
また例えば、第3の変換方法(525i)が選択される場合、指定された表示画像のズーム率(画像サイズ)に応じて垂直方向および水平方向に関するn/mが一意的に決まる。垂直方向に関してn/m=nv/mv、水平方向に関してn/m=nh/mhであるとすると、入力画像信号S6としての525i信号のmh×mvの画素ブロックに対して出力画像信号S7としての525i信号のnh×nvの画素ブロックが対応したものとなる。この場合、出力画像信号S7を構成する単位画素ブロックはnh×nvの画素ブロックということになる。
この場合、位相情報発生回路59では、このnh×nvの単位画素ブロック内の各画素について、上述した入力画像信号S6としての525i信号のmh×mvの画素ブロック内の画素のうち、垂直方向に最も近い位置にある画素(最短画素)までの距離を求めて位相情報vとすると共に、水平方向に最も近い位置にある画素(最短画素)までの距離を求めて位相情報hとする。
このように、第3の変換方法(525i)が選択される場合、位相情報発生回路59では、奇数、偶数のフィールドのそれぞれに対応して、nh×nvの単位画素ブロックを構成する各画素についての位相情報h,vが発生される。
また、画像信号処理部16は、係数生成回路56で生成される各クラスの各位相情報h,vの係数データWi(i=1〜n)に対応した正規化係数Sを、次式
によって演算する正規化係数生成回路57と、ここで生成された正規化係数Sを、クラス毎に格納する正規化係数メモリ58を有している。正規化係数メモリ58には上述したクラス合成回路45より出力されるクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給され、この正規化係数メモリ58からはクラスコードCLに対応した正規化係数Sが読み出され、後述する正規化演算回路47に供給されることとなる。
また、画像信号処理部16は、第1のタップ選択回路40で選択的に取り出される予測タップのデータxiと、係数メモリ54より読み出される係数データWiとから、出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素のデータを演算する推定予測演算回路46を有している。
この推定予測演算回路46では、出力画像信号S7を構成する画素データが単位画素ブロック毎に生成される。すなわち、この推定予測演算回路46には、第1のタップ選択回路40より単位画素ブロック内の各画素(注目画素)に対応した予測タップのデータxiと、係数メモリ54よりその単位画素ブロックを構成する各画素に対応した係数データWiとが供給され、単位画素ブロックを構成する各画素のデータは、それぞれ個別に上述した(12)式の推定式で演算される。
例えば、推定予測演算回路46では、第1の変換方法(1080i)が選択されている場合には、単位画素ブロックを構成する81個の画素のデータが同時的に生成され、第2の変換方法(XGA)が選択されている場合には、単位画素ブロックを構成する128個の画素のデータが同時的に生成され、さらに第3の変換方法(525i)が選択されている場合には、単位画素ブロックを構成する(nh×nv)個(nh,nvは、表示画像の指定ズーム率によって変化する)の画素データが同時的に生成される。
また、画像信号処理部16は、推定予測演算回路46より順次出力される出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素のデータy1〜yP(Pは単位ブロックを構成する画素の個数)を、正規化係数メモリ58より読み出され、それぞれの生成に使用された係数データWi(i=1〜n)に対応した正規化係数Sで除算して正規化する正規化演算回路47を有している。上述せずも、係数生成回路56で係数種データより生成式で推定式の係数データを求めるものであるが、生成される係数データは丸め誤差を含み、係数データWi(i=1〜n)の総和が1.0になることは保証されない。そのため、推定予測演算回路46で演算される各画素のデータy1〜yPは、丸め誤差によってレベル変動したものとなる。上述したように、正規化演算回路47で正規化することで、その変動を除去できる。
また、画像信号処理部16は、正規化演算回路47で正規化されて順次供給される単位画素ブロック内の画素のデータy1′〜yP′を、第1〜第3の変換方法によって特定されるフォーマットで出力して、出力画像信号S7を得る後処理回路48を有している。すなわち、この後処理回路48からは、第1の変換方法が選択されている場合には1080i信号が出力され、第2の変換方法が選択されている場合にはXGA信号が出力され、さらに第3の変換方法が選択されている場合には525i信号が出力される。この後処理回路48の動作指定情報は、上述したようにレジスタ50より供給される。
次に、画像信号処理部16の動作を説明する。バッファメモリ15(図1)に記憶されている入力画像信号S6としての525i信号より、第2のタップ選択回路41で、作成すべき出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素(注目画素)の周辺に位置する空間クラスタップのデータ(画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第2のタップ選択回路41では、レジスタ52より供給される、ユーザによって選択された変換方法、および動きクラス検出回路44で検出される動きクラスに対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
この第2のタップ選択回路41で選択的に取り出される空間クラスタップのデータは空間クラス検出回路43に供給される。この空間クラス検出回路43では、空間クラスタップのデータとしての各画素データに対してADRC処理が施されて空間クラス(主に空間内の波形表現のためのクラス分類)のクラス情報としての再量子化コードQiが得られる((9)式参照)。
また、バッファメモリ15に記憶されている入力画像信号S6としての525i信号より、第3のタップ選択回路42で、作成すべき出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素(注目画素)の周辺に位置する動きクラスタップのデータ(画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第3のタップ選択回路42では、レジスタ53より供給される、ユーザによって選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
この第3のタップ選択回路42で選択的に取り出される動きクラスタップのデータは動きクラス検出回路44に供給される。この動きクラス検出回路44では、動きクラスタップのデータとしての各画素データより動きクラス(主に動きの程度を表すためのクラス分類)のクラス情報MVが得られる。
この動き情報MVと上述した再量子化コードQiはクラス合成回路45に供給される。このクラス合成回路45では、これら動き情報MVと再量子化コードQiとから、作成すべき出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック毎にその単位画素ブロック内の各画素(注目画素)が属するクラスを示すクラスコードCLが順次得られる((11)式参照)。そして、このクラスコードCLは、係数メモリ54および正規化係数メモリ58に読み出しアドレス情報として供給される。
係数メモリ54には、位相情報発生回路59で発生された出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素の位相情報h,vに対応した各クラスの推定式の係数データWi(i=1〜n)が係数生成回路56で生成されて格納される。また、正規化係数メモリ58には、上述したように係数生成回路56で生成された各クラスおよび各位相情報の係数データWi(i=1〜n)に対応した正規化係数Sが正規化係数生成回路57で生成されて格納される。
係数メモリ54に上述したようにクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給されることで、この係数メモリ54からクラスコードCLに対応した各位相情報における係数データWiが読み出されて推定予測演算回路46に供給される。また、バッファメモリ15に記憶されている入力画像信号S6としての525i信号より、第1のタップ選択回路40で、作成すべき出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素(注目画素)の周辺に位置する予測タップのデータ(画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第1のタップ選択回路40では、レジスタ51より供給される、ユーザによって選択された変換方法に対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。この第1のタップ選択回路40で選択的に取り出される予測タップのデータxiは推定予測演算回路46に供給される。
推定予測演算回路46では、予測タップのデータxiと、係数メモリ54より読み出される各位相情報における係数データWiとから、作成すべき出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素のデータy1〜yPが同時的に演算される((12)式参照)。そして、この推定予測演算回路46より順次出力される出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素のデータy1〜yPは正規化演算回路47に供給される。
正規化係数メモリ58には上述したようにクラスコードCLが読み出しアドレス情報として供給され、この正規化係数メモリ58からはクラスコードCLに対応した正規化係数S、つまり推定予測演算回路46より出力されるデータy1〜yPの演算に使用された係数データWiに対応した正規化係数Sが読み出されて正規化演算回路47に供給される。正規化演算回路47では、推定予測演算回路46より出力されるデータy1〜yPがそれぞれ対応する正規化係数Sで除算されて正規化される。これにより、係数種データを用いて生成式((13)式参照)で推定式((12)式参照)の係数データを求める際の丸め誤差によるデータy1〜yPのレベル変動が除去される。
このように正規化演算回路47で正規化されて順次出力される単位画素ブロック内の各画素のデータy1′〜yP′は後処理回路48に供給される。この後処理回路48では、データy1′〜yP′が第1〜第3の変換方法によって特定されるフォーマットで出力され、出力画像信号S7として、第1の変換方法が選択されている場合には1080i信号が出力され、第2の変換方法が選択されている場合にはXGA信号が出力され、さらに第3の変換方法が選択されている場合には525i信号が出力される。
上述したように、係数生成回路56で、情報メモリバンク55よりロードされる各クラスの係数種データおよび位相情報発生回路59で発生される位相情報h,vの値とを用い、クラス毎に、位相情報h,vの値に対応した推定式の係数データWiが生成され、これが係数メモリ54に格納される。そして、この係数メモリ54より、クラスコードCLに対応して読み出される各位相情報における係数データWiを用いて推定予測演算回路46で、出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素のデータy1〜yPが演算される。したがって、1080i信号やXGA信号へのフォーマット変換、さらには種々の画像サイズへの変換を行う場合に大量の係数データを格納しておくメモリを不要とできる。
上述したように、情報メモリバンク55には、係数種データが、クラス毎に、記憶されている。この係数種データは、予め学習によって生成されたものである。
まず、この生成方法の一例について説明する。(13)式の生成式における係数データである係数種データw10〜wn9を求める例を示すものとする。ここで、以下の説明のため、次式
のように、ti(i=0〜9)を定義する。
この(15)式を用いると、(13)式は、次式
のように書き換えられる。
最終的に、学習によって未定係数wxyを求める。すなわち、クラス毎に、生徒信号の画素データと教師信号の画素データとを用いて、二乗誤差を最小にする係数値を決定する。いわゆる最小二乗法による解法である。学習数をm、k(1≦k≦m)番目の学習データにおける残差をek、二乗誤差の総和をEとすると、(12)式および(13)式を用いて、Eは次式
で表される。ここで、xikは生徒画像のi番目の予測タップ位置におけるk番目の画素データ、ykはそれに対応する教師画像のk番目の画素データを表している。
最小二乗法による解法では、(17)式のwxyによる偏微分が0になるようなwxyを求める。これは、次式
で示される。
以下、次式
のように、Xipjq、Yipを定義すると、(18)式は、行列を用いて次式
のように書き換えられる。
この方程式は一般に正規方程式と呼ばれている。この正規方程式は、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)等を用いて、wxyについて解かれ、係数種データが算出される。
図14は、上述した係数種データの生成方法の概念を示している。教師信号としてのHD信号(1050i信号)から生徒信号としてのSD信号(525i信号)を生成する。
図15は、525i信号と1050i信号の画素位置関係を示している。ここで、大きなドットが525i信号の画素であり、小さなドットが1050i信号の画素である。また、奇数フィールドの画素位置を実線で示し、偶数フィールドの画素位置を破線で示している。
このSD信号の位相を垂直方向に8段階、水平方向に4段階にシフトさせて、8×2=16種類のSD信号SD1〜SD16を生成する。図16は、垂直方向への8段階の位相シフト状態V1〜V8を示している。ここでは、SD信号の垂直方向の画素間隔は16であり、下方向が正の方向とされている。また、「o」は奇数フィールドを、「e」は偶数フィールドを表している。
V1の状態はSD信号のシフト量が0とされたものであり、この場合、HD信号の画素は、SD信号の画素に対して、4,0,−4,−8の位相を持つようになる。V2の状態はSD信号のシフト量が1とされたものであり、この場合、HD信号の画素は、SD信号の画素に対して、7,3,−1,−5の位相を持つようになる。V3の状態はSD信号のシフト量が2とされたものであり、この場合、HD信号の画素は、SD信号の画素に対して、6,2,−2,−6の位相を持つようになる。V4の状態はSD信号のシフト量が3とされたものであり、この場合、HD信号の画素は、SD信号の画素に対して、5,1,−3,−7の位相を持つようになる。
V5の状態はSD信号のシフト量が4とされたものであり、この場合、HD信号の画素は、SD信号の画素に対して、4,0,−4,−8の位相を持つようになる。V6の状態はSD信号のシフト量が5とされたものであり、この場合、HD信号の画素は、SD信号の画素に対して、7,3,−1,−5の位相を持つようになる。V7の状態はSD信号のシフト量が6とされたものであり、この場合、HD信号の画素は、SD信号の画素に対して、6,2,−2,−6の位相を持つようになる。V8の状態はSD信号のシフト量が7とされたものであり、この場合、HD信号の画素は、SD信号の画素に対して、5,1,−3,−7の位相を持つようになる。
図17は、水平方向への4段階の位相シフト状態H1〜H4を示している。ここでは、SD信号の水平方向の画素間隔は8であり、右方向が正の方向とされている。
H1の状態はSD信号のシフト量が0とされたものであり、この場合、HD信号の画素は、SD信号の画素に対して、0,−4の位相を持つようになる。H2の状態はSD信号のシフト量が1とされたものであり、この場合、HD信号の画素は、SD信号の画素に対して、3,−1の位相を持つようになる。H3の状態はSD信号のシフト量が2とされたものであり、この場合、HD信号の画素は、SD信号の画素に対して、2,−2の位相を持つようになる。さらに、H4の状態はSD信号のシフト量が3とされたものであり、この場合、HD信号の画素は、SD信号の画素に対して、1,−3の位相を持つようになる。
図18は、上述したように垂直方向に8段階、水平方向に4段階にシフトさせて得られた32種類のSD信号に関し、SD信号の画素を中心にした場合のHD信号の画素の位相を示している。すなわち、SD信号の画素に対して、HD信号の画素は、図中の●で示す位相を持つようになる。
図14に戻って、上述したように垂直方向に8段階、水平方向に4段階にシフトさせて得られた合計32種類のSD信号とHD信号との間で学習を行って係数種データを生成する。
図19は、上述した概念で係数種データを生成する係数種データ生成装置60の構成を示している。この係数種データ生成装置60は、教師信号としてのHD信号(1050i信号)が入力される入力端子61と、このHD信号に対して水平および垂直の間引き処理を行って、入力信号としてのSD信号を得るSD信号生成回路62Aと、このSD信号の位相を垂直方向に8段階、水平方向に4段階にシフトさせて、合計32種類のSD信号SD1〜SD32を得るための位相シフト回路62Bとを有している。この位相シフト回路62Bには、垂直方向および水平方向への位相シフト値を指定するパラメータH,Vが入力される。この位相シフト回路62Bは、例えばsinx/xの特性のフィルタで構成されるが、その他の位相シフトが可能な別のフィルタを用いてもよい。他のフィルタ例として、オーバーサンプリングフィルタから欲しい位相だけ抜き出す方法等が挙げられる。
また、係数種データ生成装置60は位相シフト回路62Bより出力されるSD信号SD1〜SD32より、HD信号(1050i信号)に係る注目画素の周辺に位置する複数のSD画素のデータを選択的に取り出して出力する第1〜第3のタップ選択回路153〜155を有している。
これら第1〜第3のタップ選択回路63〜65は、上述した画像信号処理部16の第1〜第3のタップ選択回路40〜42と同様に構成される。これら第1〜第3のタップ選択回路63〜65で選択されるタップは、タップ選択制御回路66からのタップ位置情報によって指定される。また、タップ選択制御回路66には後述する動きクラス検出回路68より出力される動きクラスのクラス情報MVが供給される。これにより、第2のタップ選択回路64に供給されるタップ位置情報が動きが大きいか小さいかによって異なるようにされる。
また、係数種データ生成装置60は、第2のタップ選択回路64で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)のレベル分布パターンを検出し、このレベル分布パターンに基づいて空間クラスを検出し、そのクラス情報を出力する空間クラス検出回路157を有している。この空間クラス検出回路67は、上述した画像信号処理部16の空間クラス検出回路43と同様に構成される。この空間クラス検出回路67からは、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データ毎の再量子化コードQiが空間クラスを示すクラス情報として出力される。
また、係数種データ生成装置60は、第3のタップ選択回路65で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)より、主に動きの程度を表すための動きクラスを検出し、そのクラス情報MVを出力する動きクラス検出回路68を有している。この動きクラス検出回路68は、上述した画像信号処理部16の動きクラス検出回路44と同様に構成される。この動きクラス検出回路68では、第3のタップ選択回路65で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)からフレーム間差分が算出され、さらにその差分の絶対値の平均値に対してしきい値処理が行われて動きの指標である動きクラスが検出される。
また、係数種データ生成装置60は、空間クラス検出回路67より出力される空間クラスのクラス情報としての再量子化コードQiと、動きクラス検出回路68より出力される動きクラスのクラス情報MVに基づき、HD信号(1050i信号)に係る注目画素が属するクラスを示すクラスコードCLを得るためのクラス合成回路69を有している。このクラス合成回路69も、上述した画像信号処理部16のクラス合成回路45と同様に構成される。
また、係数種データ生成装置60は、入力端子61に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路63で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路69より出力されるクラスコードCLと、垂直方向および水平方向への位相シフト値のパラメータH,Vとから、各クラス毎に、係数種データw10〜wn9を得るための正規方程式((21)式参照)を生成する正規方程式生成部70を有している。
この場合、一個のHD画素データyとそれに対応するn個の予測タップ画素データとの組み合わせで学習データが生成されるが、位相シフト回路62BへのパラメータH,Vが順次変更されていって水平および垂直の位相シフト値が段階的に変化した32種類のSD信号SD1〜SD32が順次生成されていき、これにより正規方程式生成部70では多くの学習データが登録された正規方程式が生成される。このようにSD信号SD1〜SD32を順次生成して学習データを登録することで、任意位相の画素データを得るための係数種データを求めることが可能となる。
なお、図示せずも、第1のタップ選択回路63の前段に時間合わせ用の遅延回路を配置することで、この第1のタップ選択回路63から正規方程式生成部70に供給されるSD画素データxiのタイミング合わせを行うことができる。
また、係数種データ生成装置60は、正規方程式生成部70でクラス毎に生成された正規方程式のデータが供給され、クラス毎に正規方程式を解いて、各クラスの係数種データw10〜wn9を求める係数種データ決定部71と、この求められた係数種データw10〜wn9を記憶する係数種メモリ72とを有している。係数種データ決定部71では、正規方程式が例えば掃き出し法などによって解かれて、係数データw10〜wn9が求められる。
図19に示す係数種データ生成装置60の動作を説明する。入力端子61には教師信号としてのHD信号(1050i信号)が供給され、そしてこのHD信号に対してSD信号生成回路62Aで水平および垂直の間引き処理が行われて生徒信号としてのSD信号(525i信号)が生成される。また、このSD信号が位相シフト回路62Bに供給され、このSD信号の位相が垂直方向に8段階、水平方向に4段階にシフトされて(図16,図17参照)、32種類のSD信号SD1〜SD32が順次生成されていく。
これらSD信号SD1〜SD32より、第2のタップ選択回路64で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する空間クラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第2のタップ選択回路64では、タップ選択制御回路66より供給される、動きクラス検出回路68で検出される動きクラスに対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
この第2のタップ選択回路64で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)は空間クラス検出回路67に供給される。この空間クラス検出回路67では、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データに対してADRC処理が施されて空間クラス(主に空間内の波形表現のためのクラス分類)のクラス情報としての再量子化コードQiが得られる((9)式参照)。
また、位相シフト回路62Bで得られるSD信号SD1〜SD32より、第3のタップ選択回路65で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する動きクラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第3のタップ選択回路65では、タップ選択制御回路66より供給されるタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
この第3のタップ選択回路65で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)は動きクラス検出回路68に供給される。この動きクラス検出回路68では、動きクラスタップのデータとしての各SD画素データより動きクラス(主に動きの程度を表すためのクラス分類)のクラス情報MVが得られる。
この動き情報MVと上述した再量子化コードQiはクラス合成回路69に供給される。このクラス合成回路69では、これら動き情報MVと再量子化コードQiとから、HD信号に係る注目画素が属するクラスを示すクラスコードCLが得られる((11)式参照)。
また、位相シフト回路62Bで得られるSD信号SD1〜SD32より、第1のタップ選択回路63で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する予測タップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第1のタップ選択回路63では、タップ選択制御回路66より供給されるタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
そして、入力端子61に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路63で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路69より出力されるクラスコードCLと、垂直方向および水平方向への位相シフト値のパラメータH,Vとから、正規方程式生成部70では、各クラス毎に、係数種データw10〜wn9を生成するための正規方程式((21)式参照)が生成される。
そして、係数種データ決定部71でその正規方程式が解かれ、各クラス毎の係数種データw10〜wn9が求められ、その係数種データw10〜wn9はクラス別にアドレス分割された係数種メモリ72に記憶される。
次に、係数種データの生成方法の他の例について説明する。この例においても、上述した(13)式の生成式における係数データである係数種データw10〜wn9を求める例を示すものとする。
図20は、この例の概念を示している。上述した係数種データの生成方法の一例と同様に、パラメータH,Vによって垂直方向に8段階、水平方向に4段階にシフトさせて32種類のSD信号を順次生成する。そして、各SD信号とHD信号との間で学習を行って、(12)式の推定式の係数データWiを生成する。そして、各SD信号に対応して生成された係数データWiを使用して係数種データを生成する。
まず、推定式の係数データの求め方を説明する。ここでは、(12)式の推定式の係数データWi(i=1〜n)を最小二乗法により求める例を示すものとする。一般化した例として、Xを入力データ、Wを係数データ、Yを予測値として、次式
で与えられる観測方程式を考える。この(22)式において、mは学習データの数を示し、nは予測タップの数を示している。
(22)式の観測方程式により収集されたデータに最小二乗法を適用する。この(22)式の観測方程式をもとに、次式
で与えられる残差方程式を考える。
(23)式の残差方程式から、各Wiの最確値は、次式
のe2を最小にする条件が成り立つ場合と考えられる。すなわち、次式
の条件を考慮すればよいわけである。
つまり、(25)式のiに基づくn個の条件を考え、これを満たす、W1,W2,・・・,Wnを算出すればよい。そこで、(23)式の残差方程式から、次式
が得られる。さらに、(26)式と(22)式とから、次式
が得られる。
そして、(23)式と(27)式とから、次式
の正規方程式が得られる。
(28)式の正規方程式は、未知数の数nと同じ数の方程式を立てることが可能であるので、各Wiの最確値を求めることができる。この場合、掃き出し法等を用いて連立方程式を解くことになる。
次に、各SD信号に対応して生成された係数データを使用しての係数種データの求め方を説明する。パラメータH,Vに対応したSD信号を用いた学習による、あるクラスの係数データが、kvhiとなったとする。ここで、iは予測タップの番号である。このkvhiから、このクラスの係数種データを求める。
各係数データWi(i=1〜n)は、係数種データw10〜wn9を使って、上述した(13)式で表現される。ここで、係数データWiに対して最小二乗法を使用することを考えると、残差は、次式
で表される。
ここで、tjは、上述の(15)式に示されている。(29)式に最小二乗法を作用させると、次式
が得られる。
ここで、Xjk,Yjをそれぞれ次式
のように定義すると、(30)式は次式
のように書き換えられる。この(33)式も正規方程式であり、この式を掃き出し法等の一般解法で解くことにより、係数種データw10〜wn9を算出することができる。
図21は、図19に示す概念に基づいて係数種データを生成する係数種データ生成装置60′の構成を示している。この図21において、図19と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
係数種データ生成装置60′は、入力端子61に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路63で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路69より出力されるクラスコードCLとから、クラス毎に、係数データWi(i=1〜n)を得るための正規方程式((28)式参照)を生成する正規方程式生成部80を有している。
この場合、一個のHD画素データyとそれに対応するn個の予測タップ画素データとの組み合わせで学習データが生成されるが、位相シフト回路62BへのパラメータH,Vが順次変更されていって32種類のSD信号SD1〜SD32が順次生成されていき、HD信号と各SD信号との間でそれぞれ学習データの生成が行われる。これにより、正規方程式生成部80では、各SD信号のそれぞれに対応して、クラス毎に、係数データWi(i=1〜n)を得るための正規方程式が生成される。
また、係数種データ生成装置60′は、正規方程式生成部80で生成された正規方程式のデータが供給され、その正規方程式を解いて、各SD信号にそれぞれ対応した各クラスの係数データWiを求める係数データ決定部81と、この各SD信号に対応した各クラスの係数データWiを使用して、クラス毎に、係数種データw10〜wn9を得るための正規方程式((33)式参照)を生成する正規方程式生成部82とを有している。
また、係数種データ生成装置60′は、正規方程式生成部82でクラス毎に生成された正規方程式のデータと、垂直方向および水平方向への位相シフト値のパラメータH,Vとが供給され、クラス毎に正規方程式を解いて、各クラスの係数種データw10〜wn9を求める係数種データ決定部83と、この求められた係数種データw10〜wn9を記憶する係数種メモリ72とを有している。
図21に示す係数種データ生成装置60′のその他は、図19に示す係数種データ生成装置60と同様に構成される。図21に示す係数種データ生成装置60′の動作を説明する。入力端子61には教師信号としてのHD信号(1050i信号)が供給され、そしてこのHD信号に対してSD信号生成回路62Aで水平および垂直の間引き処理が行われて生徒信号としてのSD信号(525i信号)が生成される。また、このSD信号が位相シフト回路62Bに供給され、このSD信号の位相が垂直方向に8段階、水平方向に4段階にシフトされて(図16,図17参照)、32種類のSD信号SD1〜SD32が順次生成されていく。
これらSD信号SD1〜SD32より、第2のタップ選択回路64で、HD信号(1050i信号)に係る注目画素の周辺に位置する空間クラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この第2のタップ選択回路64では、タップ選択制御回路66より供給される、動きクラス検出回路68で検出される動きクラスに対応したタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
この第2のタップ選択回路64で選択的に取り出される空間クラスタップのデータ(SD画素データ)は空間クラス検出回路67に供給される。この空間クラス検出回路67では、空間クラスタップのデータとしての各SD画素データに対してADRC処理が施されて空間クラス(主に空間内の波形表現のためのクラス分類)のクラス情報としての再量子化コードQiが得られる((9)式参照)。
また、位相シフト回路62Bで得られるSD信号SD1〜SD32より、第3のタップ選択回路65で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する動きクラスタップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第3のタップ選択回路65では、タップ選択制御回路66より供給されるタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
この第3のタップ選択回路65で選択的に取り出される動きクラスタップのデータ(SD画素データ)は動きクラス検出回路68に供給される。この動きクラス検出回路68では、動きクラスタップのデータとしての各SD画素データより動きクラス(主に動きの程度を表すためのクラス分類)のクラス情報MVが得られる。
この動き情報MVと上述した再量子化コードQiはクラス合成回路69に供給される。このクラス合成回路69では、これら動き情報MVと再量子化コードQiとから、HD信号に係る注目画素が属するクラスを示すクラスコードCLが得られる((11)式参照)。
また、位相シフト回路62Bで得られるSD信号SD1〜SD32より、第1のタップ選択回路63で、HD信号に係る注目画素の周辺に位置する予測タップのデータ(SD画素データ)が選択的に取り出される。この場合、第1のタップ選択回路63では、タップ選択制御回路66より供給されるタップ位置情報に基づいて、タップの選択が行われる。
そして、入力端子61に供給されるHD信号より得られる注目画素データとしての各HD画素データyと、この各HD画素データyにそれぞれ対応して第1のタップ選択回路63で選択的に取り出される予測タップのデータ(SD画素データ)xiと、各HD画素データyにそれぞれ対応してクラス合成回路69より出力されるクラスコードCLとから、正規方程式生成部80では、SD信号生成回路152で生成される各SD信号にそれぞれ対応して、クラス毎に、係数データWi(i=1〜n)を得るための正規方程式((20)式参照)が生成される。
そして、係数データ決定部81でその正規方程式が解かれ、各SD信号にそれぞれ対応した各クラスの係数データWiが求められる。正規方程式生成部82では、この各SD信号にそれぞれ対応した各クラスの係数データWiと、垂直方向および水平方向への位相シフト値のパラメータH,Vとから、クラス毎に、係数種データw10〜wn9を得るための正規方程式((33)式参照)が生成される。
そして、係数種データ決定部83でその正規方程式が解かれ、各クラスの係数種データw10〜wn9が求められ、その係数種データw10〜wn9はクラス別にアドレス分割された係数種メモリ72に記憶される。
このように、図21に示す係数種データ生成装置60′においても、図13の画像信号処理部16の情報メモリバンク55に記憶される各クラスの係数種データw10〜wn9を生成することができる。
なお、図13の画像信号処理部16では、係数データWi(i=1〜n)を生成するために(13)式の生成式を使用したが、例えば、次式
や、次式
などを使用してもよく、さらに次数の異なった多項式や、他の関数で表現される式でも実現可能である。
なお、図13の画像信号処理部16における処理を、例えば図22に示すような画像信号処理装置90によって、ソフトウェアで実現することも可能である。
まず、図22に示す画像信号処理装置90について説明する。この画像信号処理装置90は、装置全体の動作を制御するCPU91と、このCPU91の動作プログラムや係数種データ等が格納されたROM(read only memory)92と、CPU91の作業領域を構成するRAM(random access memory)93とを有している。これらCPU91、ROM92およびRAM93は、それぞれバス94に接続されている。
また、画像信号処理装置90は、外部記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)95と、フロッピー(登録商標)ディスク96をドライブするフロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FDD)97とを有している。これらドライブ95,97は、それぞれバス94に接続されている。
また、画像信号処理装置90は、インターネット等の通信網110に有線または無線で接続する通信部99を有している。この通信部99は、インタフェース99を介してバス94に接続されている。
また、画像信号処理装置90は、ユーザインターフェース部を備えている。このユーザインタフェース部は、リモートコントローラ111からのリモコン信号S20を受信するリモコン信号受信信号100と、LCD(liquid crystal display)等からなるディスプレイ101とを有している。リモコン信号受信回路100はインタフェース102を介してバス94に接続され、同様にディスプレイ101はインタフェース103を介してバス94に接続されている。
また、画像信号処理装置90は、入力画像信号S6としての525i信号を入力するための入力端子104と、出力画像信号S7を出力するための出力端子105とを有している。入力端子104はインタフェース316を介してバス94に接続され、同様に出力端子105はインタフェース317を介してバス94に接続される。
ここで、上述したようにROM92に処理プログラムや係数種データ等を予め格納しておく代わりに、例えばインターネットなどの通信網110より通信部99を介してダウンロードし、ハードディスクやRAM93に蓄積して使用することもできる。また、これら処理プログラムや係数種データ等をフロッピー(登録商標)ディスク96で提供するようにしてもよい。
また、入力画像信号S6としての525i信号を入力端子104より入力する代わりに、予めハードディスクに記録しておき、あるいはインターネットなどの通信網110より通信部99を介してダウンロードしてもよい。また、出力画像信号S7を出力端子105に出力する代わり、あるいはそれと並行してディスプレイ101に供給して画像表示をしたり、さらにはハードディスクに格納したり、通信部99を介してインターネットなどの通信網110に送出するようにしてもよい。
図23の画像信号処理手順RT4を参照して、図22に示す画像信号処理装置90における、入力画像信号S6より出力画像信号S7を得るため処理手順を説明する。
まず、ステップSP40で、処理を開始し、ステップSP41で、入力画像信号S6をフレーム単位またはフィールド単位で入力する。この入力画像信号S6が入力端子104より入力される場合には、この入力画像信号S6を構成する画素データをRAM93に一時的に格納する。また、この入力画像信号S6がハードディスクに記録されている場合には、ハードディスクドライブ307でこの入力画像信号S6を読み出し、この入力画像信号S6 を構成する画素データをRAM93に一時的に格納する。そして、ステップSP42で、入力画像信号S6の全フレームまたは全フィールドの処理が終わっているか否かを判定する。処理が終わっているときは、ステップSP43で、処理を終了する。一方、処理が終わっていないときは、ステップSP44に進む。
このステップSP44では、ユーザがリモートコントローラ2を操作して選択した変換方法(表示画像の倍率も含む)に対応するn/mの値を用いて、出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素の位相情報h,vを発生する。そして、ステップSP45で、単位画素ブロック内の各画素の位相情報h,vおよび各クラスの係数種データを使用して、生成式(例えば(13)式)によって、単位画素ブロック内の各画素にそれぞれ対応して、各クラスの推定式((12)式参照)の係数データWiを生成する。
次に、ステップSP46で、ステップSP41で入力された入力画像信号S6の画素データより、生成すべき出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の画素データに対応して、クラスタップおよび予測タップの画素データを取得する。そして、ステップSP47で、入力された入力画像信号S6の画素データの全領域において出力画像信号S7の画素データを得る処理が終了したか否かを判定する。終了しているときは、ステップSP41に戻り、次のフレームまたはフィールドの入力画像信号S6の入力処理に移る。一方、処理が終了していないときは、ステップSP48に進む。
このステップSP48では、ステップSP46で取得されたクラスタップの画素データからクラスコードCLを生成する。そして、ステップSP49で、そのクラスコードCLに対応した係数データと予測タップのSD画素データを使用して、推定式により、出力画像信号S7を構成する単位画素ブロック内の各画素のデータを生成し、その後にステップSP46に戻って、上述したと同様の処理を繰り返す。
このように、図23に示す画像信号処理手順RT4に沿って処理をすることで、入力された入力画像信号S6の画素データを処理して、出力画像信号S7の画素データを得ることができる。上述したように、このように処理して得られた出力画像信号S7は出力端子105に出力されたり、ディスプレイ101に供給されてそれによる画像が表示されたり、さらにはハードディスクドライブ95に供給されてハードディスクに記録されたりする。
また、処理装置の図示は省略するが、図19の係数種データ生成装置60における処理を、ソフトウェアで実現することも可能である。
図24に示す係数種データ生成処理手順RT5を参照して、係数種データを生成するための処理手順を説明する。まず、ステップSP50で、処理を開始し、ステップSP51で、学習に使われる、SD信号の位相シフト値(例えば、パラメータH,Vで特定される)を選択する。そして、ステップSP52で、全ての位相シフト値に対して学習が終わったか否かを判定する。全ての位相シフト値に対して学習が終わっていないときは、ステップSP53に進む。
このステップSP53では、既知のHD画素データをフレーム単位またはフィールド単位で入力する。そして、ステップSP54で、全てのHD画素データについて処理が終了したか否かを判定する。終了したときは、ステップSP51に戻って、次の位相シフト値を選択して、上述したと同様の処理を繰り返す。一方、終了していないときは、ステップSP55に進む。
このステップSP55では、ステップSP53で入力されたHD画素データより、ステップSP51で選択された位相シフト値だけ位相シフトされたSD画素データを生成する。そして、ステップSP56で、ステップSP55で生成されたSD画素データより、ステップSP53で入力された各HD画素データに対応して、クラスタップおよび予測タップの画素データを取得する。そして、ステップSP57で、生成されたSD画素データの全領域において学習処理を終了しているか否かを判定する。学習処理を終了しているときは、ステップSP53に戻って、次のHD画素データの入力を行って、上述したと同様の処理を繰り返し、一方、学習処理を終了していないときは、ステップSP58に進む。
このステップSP58では、ステップSP56で取得されたクラスタップのSD画素データからクラスコードCLを生成する。そして、ステップSP59で、正規方程式((21)式参照)を生成する。その後に、ステップSP56に戻る。
また、ステップSP52で、全ての位相シフト値に対して学習が終わったときは、ステップSP60に進む。このステップSP60では、正規方程式を掃き出し法等で解くことによって各クラスの係数種データを算出し、ステップSP61で、その係数種データをメモリに保存し、その後にステップSP62で、処理を終了する。
このように、図24に示す係数種データ生成処理手順RT5に沿って処理をすることで、図19に示す係数種データ生成装置60と同様の手法によって、各クラスの係数種データを得ることができる。
また、処理装置の図示は省略するが、図21の係数種データ生成装置60′における処理も、ソフトウェアで実現可能である。
図25の係数種データ生成処理手順RT6を参照して、係数種データを生成するための処理手順を説明する。まず、ステップSP70で、処理を開始し、ステップSP71で、学習に使われる、SD信号の位相シフト値(例えば、パラメータH,Vで特定される)を選択する。そして、ステップSP72で、全ての位相シフト値に対する係数データの算出処理が終了したか否かを判定する。終了していないときは、ステップSP73に進む。
このステップSP73では、既知のHD画素データをフレーム単位またはフィールド単位で入力する。そして、ステップSP74で、全てのHD画素データについて処理が終了したか否かを判定する。終了していないときは、ステップSP75で、ステップSP73で入力されたHD画素データより、ステップSP71で選択された位相シフト値だけ位相シフトされたSD画素データを生成する。
そして、ステップSP76で、ステップSP75で生成されたSD画素データより、ステップSP73で入力された各HD画素データに対応して、クラスタップおよび予測タップの画素データを取得する。そして、ステップSP77で、生成されたSD画素データの全領域において学習処理を終了しているか否かを判定する。学習処理を終了しているときは、ステップSP73に戻って、次のHD画素データの入力を行って、上述したと同様の処理を繰り返し、一方、学習処理を終了していないときは、ステップSP78に進む。
このステップSP78では、ステップSP76で取得されたクラスタップのSD画素データからクラスコードCLを生成する。そして、ステップSP79で、係数データを得るための正規方程式((28)式参照)を生成する。その後に、ステップSP76に戻る。
上述したステップSP74で、全てのHD画素データについて処理が終了したときは、ステップSP80で、ステップSP79で生成された正規方程式を掃き出し法などで解いて、各クラスの係数データを算出する。その後に、ステップSP71に戻って、次の位相シフト値を選択して、上述したと同様の処理を繰り返し、次の位相シフト値に対応した、各クラスの係数データを求める。
また、上述のステップSP72で、全ての位相シフト値に対する係数データの算出処理が終了したときは、ステップSP81に進む。このステップSP81では、全ての位相シフト値に対する係数データから、係数種データを求めるための正規方程式((33)式参照)を生成する。
そして、ステップSP82で、ステップSP81で生成された正規方程式を掃き出し法等で解くことによって各クラスの係数種データを算出し、ステップSP83で、その係数種データをメモリに保存し、その後にステップSP84で、処理を終了する。
このように、図25に示す係数種データ生成処理手順RT6に沿って処理をすることで、図21に示す係数種データ生成装置60′と同様の手法によって、各クラスの係数種データを得ることができる。
(3)本実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、このテレビジョン受像機1では、ズーム機能が起動されると、図26に示すズーム処理手順RT7に従って、まずそのときのユーザが視聴している画像の入力源及びジャンルをユーザ視聴情報として取得する(ステップSP91)。
次いで、このユーザ視聴情報D2に従って特徴量テーブル34(図9)を参照しながら、そのときユーザが見ていた画像内を探索して、特徴量テーブル34に登録されたいずれかの特徴量組合せパターンと類似する特徴量組合せパターンを有する箇所を順次検出し、その位置等を候補リスト36(図12)に順次登録する(ステップSP92)。
その後候補リスト36に登録された、いくつかの探索位置の中から1つをユーザが所望するであろうズーム位置、対応する平均ズーム率をユーザが所望するであろうズーム率と推定し、その位置にそのズーム率に応じた大きさのズーム枠3を表示する(ステップSP93)。
そしてテレビジョン受像機1は、この後ズーム位置及びズーム率が決定(ズーム設定)されるのを待ち受け(ステップSP94)、この間ユーザ操作によってズーム位置又はズーム率を変更するような入力があったときにはこれに応じてズーム枠3の位置又は大きさを変更する(ステップSP95)。
テレビジョン受像機1は、やがてユーザ操作によってズーム位置又はズーム率を決定する入力があったときには、そのときの時刻、ズーム位置及びズーム率をユーザ操作情報D1、そのときディスプレイ部18に表示していた画像の入力源及びジャンルをユーザ視聴情報D2、当該画像の各種項目の特徴量をユーザ視聴画像情報D3として、表示最適化部19の蓄積装置31A(図5)に蓄積する(ステップSP96)。
この後データ解析部20によってこの蓄積装置31Aに蓄積された1回分のズーム情報D4(ユーザ操作情報D1、ユーザ視聴情報D2及びユーザ視聴画像情報)を読み出し(ステップSP97)、データ解析部20において記憶保持された各特徴量組合せパターンに対する各カウント値のうちの該当する特徴量組合せパターンに対応するカウント値がカウントアップする(ステップSP98)。さらにこの後この結果に基づいて、必要に応じて表示最適化部19に保持された特徴量テーブル34を更新する(ステップSP99)。
従って、このテレビジョン受像機1では、ユーザがリモートコントローラ2を操作してズーム機能を起動したときに、固定のデフォルト位置及び大きさでズーム枠3が表示される場合に比して、そのときユーザがズームを望む位置にユーザが望む大きさでズーム枠3が表示される可能性が高く、その分ズーム機能の起動後のズーム位置及びズーム率に対する煩雑な調整作業を軽減させることができる。
以上の構成によれば、上述のようなユーザの過去のズーム設定時のユーザ操作情報D1、ユーザ視聴情報D2及びユーザ視聴画像情報D3を順次蓄積すると共に、これらユーザ操作情報D1、ユーザ視聴情報D2及びユーザ視聴画像情報D3に基づいてズームに関するユーザの傾向を解析し、その後ズーム機能が起動されたときに、この解析結果に基づいてユーザが所望するであろう位置に所望するであろう大きさでズーム枠3を表示するようにしたことにより、ズーム機能の起動後のズーム位置及びズーム率に対する煩雑な調整作業を軽減させることができ、かくして使い勝手を格段的に向上させ得るテレビジョン受像機を実現できる。
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、ズーム機能の起動時に、ユーザが所望するであろうズーム位置及びズーム率の推定結果に基づくズーム枠3を1つだけ表示するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば候補リストに登録された各探索位置の中から複数の探索位置をユーザが所望するであろうズーム位置の推定結果として、図27に示すように、その位置及び対応するズーム率をそれぞれ初期状態として複数のズーム枠3A〜3Cを表示するようにしても良い。またこの場合において、これらズーム枠3A〜3Cを優先度をつけて表示するようにしても良い。なおこの場合における優先度は、例えば候補リストに登録された対応する探索位置の対応する評価値に基づいてつけることができる。
また上述の実施の形態においては、そのときの表示画像の特徴を表す画像情報として、ズーム対象の動きの大きさ、主な色成分、色の割合、アクティビティ、割合の高い上位2種類のアクティビティなどのパラメータ値(特徴量)を取得するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これらに加え又は代えて例えばズーム対象の動きの向きなどの他の項目のパラメータ値(特徴量)を取得するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、表示最適化部19の視聴情報取得部30が、(1)式で与えられるユーザがズーム位置及びズーム率を決定した瞬間のズーム中心の点の動きベクトルMv(vx,vy)の大きさをそのときのズーム対象の『動きの大きさ』を表す特徴量として取得するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該動きベクトルMv(vx,vy)の大きさを誤って算出する可能性があることを考慮して、例えばズーム中心の点とその周辺8点の動きベクトルMv(vx,vy)から多数決によって主要な動きを決定し、その動きベクトルMv(vx,vy)の大きさを、そのときのズーム対象の『動きの大きさ』を表す特徴量として取得するようにしても良い。このようにすることによって、ズーム対象の『動きの大きさ』として、統計的に確からしい動きの大きさを用いることができる。
また入力画像信号S6に基づく画像内の全ての画素の動きベクトルMv(vx,vy)を算出することなく、あるサンプリング間隔(水平α画素、垂直β画素、α及びβは共に整数)ごとに動きベクトルMv(vx,vy)を常時算出し、ユーザが決定したズーム中心の点がサンプル点上にある場合にはそのサンプル点の動きベクトルMv(vx,vy)、ない場合には最も近いサンプル点の動きベクトルMv(vx,vy)をそのときのズーム対象の『動きの大きさ』を表す特徴量として取得するようにしても良い。
さらに表示最適化部19の蓄積部31における蓄積装置31Aの容量が十分ある場合には、図4において斜線で示す範囲33内の全画素の動きベクトルMv(vx,vy)をそのときのズーム対象の『動きの大きさ』を表す特徴量として取得するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、表示最適化部19の視聴情報取得部30が、ユーザがズーム位置を決定した瞬間のズーム中心の点の画素の輝度成分、第1の色差成分及び第2の色差成分をズーム対象の『主な色成分』を表す特徴量として取得するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ズーム対象の『主な色成分』を表す特徴量として、次式
で計算される注目画素(例えばズーム中心の画素)及びその周辺8画素の輝度成分、第1の色差成分及び第2の色差成分の各平均値の組み合わせをズーム対象の『主な色成分』を表す特徴量として取得するようにしても良く、このようにすることによって暴れをなくすことができる。なおこの(36)式において、i、jは整数であり、(x,y)は注目画素の位置を示し、Y(x,y)、U(x,y)及びV(x,y)はそれぞれ当該画素の輝度成分、第1の色差成分又は第2の色差成分の値を示す。
また表示最適化部19の蓄積部31における蓄積装置31Aの容量が十分ある場合には、図4において斜線で示す範囲33内の全ての画素の輝度成分、第1の色差成分及び第2の色差成分をそのときのズーム対象の『主な色成分』を表す特徴量として取得するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、聴情報取得部30が、各画素ごとの輝度成分の分散値又はユーザがズーム位置を決定した瞬間のズーム中心の点の画素を注目画素とする(2)式の演算結果をそのときのズーム対象の『アクティビティ』を表す特徴量として算出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、表示最適化部19の蓄積部31における蓄積装置31Aの容量が十分ある場合には、図4において斜線で示す範囲33内の全画素のアクティビティの頻度分布の結果をそのときのズーム対象の『アクティビティ』を表す特徴量として取得するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、データ解析部20が特徴量テーブル34を作成する際に、表示最適化部19の蓄積部31における蓄積装置31Aに蓄積されたズーム情報D4(ユーザ操作情報D1、ユーザ視聴情報D2及びユーザ視聴画像情報D3)を累積的に使用して図7について上述したデータ解析処理を行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ユーザ操作情報D1に含まれるユーザがズーム位置及びズーム率を決定した瞬間の時刻の情報を用いて、最新の所定数個のズーム情報D4を用いてデータ解析処理を行うようにしても良い。このようにすることによって、ユーザの嗜好の変化に機動的に対応しながらのデータ解析処理を行うことができる。
さらに上述の実施の形態においては、表示最適化部19が、図12について上述した候補リスト36に登録された探索位置の中から1つの探索位置をユーザが所望するであろうズーム位置の推定結果として選択する際に、なるべく優先度が高くかつ評価値が高い探索位置を選択するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば優先度に応じた重み付けを掛けた評価値が全体の中で最大のものを選択するようにしても良い。なお、この場合の重みの係数としては、例えば優先度の逆比を利用するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、表示最適化部19が(7)式で与えられる演算を実行することにより、検出特徴量と参照特徴量との距離Distance(i,j,m,p)を項目ごとにそれぞれ算出し、算出した距離Distance(i,j,m,p)がその項目について予め定められた閾値THDistance(i,j,m,p)以下である項目の数が予め定められた所定数以上であった場合に、その探索位置において検出した各項目の特徴量の組合わせパターンが特徴量テーブル34に登録されている特徴量組合せパターンのうちの現在比較対象としている特徴量組合せパターンと類似すると判断するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば次式
で表される各項目0〜mの特徴量の距離Distance(i,j,m,p)の線形和を評価値Eval(i,j,p)とし、その値が経験的に得られた固定の閾値THEval(i,j,m)以下のときにその探索位置において検出した各項目の特徴量の組合わせパターンが特徴量テーブル34に登録されている特徴量組合せパターンのうちの現在比較対象としている特徴量組合せパターンと類似すると判断するようにしても良い。なおこの(37)式において、wm(m=0,1,2,……,m)は重み付け係数であり、これらの値は経験的に得られた固定値であっても良いし、特徴量が全体に占める割合をそのまま係数としても良い。
この場合、かかる評価値Eval(i,j,p)は各項目0〜mの特徴量の距離Distance(i,j,m,p)の線形和であり、小さいほど確からしいと判断することができることから、候補リスト36に登録された探索位置の中から1つの探索位置をユーザが所望するであろうズーム位置の推定結果として選択する際に、なるべく優先度が高くかつ評価値が小さい探索位置を選択するようにする。例えば図12の例では、優先度が最も高い「1」である候補が3つ存在するが、このときのこれら3つの各候補の評価値Eval1〜Eval3が(8)式の関係がある場合には、最も評価値が小さい探索位置(x0,y0)が選択されることとなる。
またこの例では優先度が高いものから選択していたのに対し、優先度に応じた重み付けを掛けた評価値が全体の中で小さいものを選択するようにしても良い。このときの重みの係数としては、例えば優先度をそのまま用いることができる。
さらに上述の実施の形態においては、データ解析部20がテレビジョン受像機1の内部に設けられ、かかるデータ解析処理をオフラインでリアルタイムにテレビジョン受像機1の内部において行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば表示最適化部19の蓄積装置31Aにある程度のズーム情報D4が蓄積された段階で蓄積部31をテレビジョン受像機1から取り出し、かかるデータ解析処理をテレビジョン受像機1の外部において行い、かくして得られた特徴量テーブル34を蓄積部31のテーブル保持部31Bに格納してから、この蓄積部31をテレビジョン受像機1に戻すようにしても良い。
また蓄積装置31Aだけでなく、表示最適化部19全体をテレビジョン受像機1から取り出し、かかるデータ解析処理をテレビジョン受像機1の外部において行い、不必要と考えられる特徴量について処理(収集及び蓄積)を削除すると共に、新たに必要と考えられる新たな特徴量についての処理を追加してから、この表示最適化部19をテレビジョン受像機1に戻すようにしても良い。
さらにテレビジョン受像機1をオンラインで外部機器と接続することによって、蓄積部31の蓄積装置31Aに蓄積されたズーム情報D4をネットワークを介して外部装置に転送できるようにテレビジョン受像機1を構築し、当該ネットワークを介して転送されるズーム情報D4に基づいて外部機器がリアルタイム又は非リアルタイムでデータ解析を行い、かくして得られた特徴量テーブル34を外部機器がネットワークを介してテレビジョン受像機1の蓄積部31のテーブル保持部31Bに書き込むことができるようにしても良い。
1……テレビジョン受像機、2……リモートコントローラ、11……システムコントローラ、16……画像信号処理部、17……画像信号合成部、18……ディスプレイ部、19……表示最適化部、20……データ解析部、21……ズーム位置及び率表示部、30……視聴情報取得部、31……蓄積部、31A……蓄積装置、31B……テーブル保持部、32……ズーム位置及び率候補推定部、34……特徴量テーブル、S6……入力画像信号、S7……出力画像信号、S8……EPG情報信号、S9……操作内容情報信号、S10……ズーム位置及び率推定信号、S11……画像信号、D1……ユーザ操作情報、D2……ユーザ視聴情報、D3……ユーザ視聴画像情報、D4……ズーム情報、RT1……データ解析処理手順、RT2……データ分類処理手順、RT3……ズーム位置及び率候補推定処理手順。