JP4702299B2 - ロボットハンド - Google Patents
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Description
そこで、特許文献1には、把持位置のずれを生じることなく重量及び摩擦係数が未知の対象物を把持して持ち上げる物体把持制御方法が開示されている。
このような対象物を取り扱う際には、把持力よりも、対象物に接触する物体接触面の摩擦特性がより重要となり、従来は、摩擦特性を変化させるために、ロボットハンドの指先のパーツを交換したり、指先にキャップ等をしなければならなかった。
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、種々の対象物を容易に取り扱うことができるロボットハンドを提供することを目的とする。
また、摩擦特性変化手段が、物体接触面を超音波振動させることにより物体接触面上の液体を除去してもよい。
この発明のロボットハンドは、自走式ロボットに用いることができる。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係るロボットハンドを示す。基部ブロック1に駆動源となる振動アクチュエータVを介して可動部2が連結されている。振動アクチュエータVは、基部ブロック1の上に配置された振動子3と、振動子3の上に配置され且つ振動子3に接する面とは反対側に凹部4が形成された固定子5と、固定子5の凹部4内にほぼ下半部が収容された略球体状の回転子6とを有している。回転子6に可動部2が固定されており、可動部2と固定子5とが可撓性の保持部材7で互いに移動自在に連結されている。
可動部2の外面の一部は、このロボットハンドによって取り扱おうとする対象物(図示せず)と接する物体接触面Pを構成しており、この物体接触面Pに液体供給口8が開口している。
ここで、説明の便宜上、基部ブロック1から回転子6に向かってZ軸が延び、Z軸に対して垂直方向にX軸が、Z軸及びX軸に対して垂直にY軸がそれぞれ延びているものとする。
可動部2の壁部には、シリンダ9内に通じる貫通孔14が形成され、この貫通孔14に可動部2の外側からキャップ15が脱着可能に嵌合されている。
固定子5の凹部4は、回転子6の直径より小さな内径を有する小径部17と、回転子6の直径より大きな内径を有する大径部18とからなり、これら小径部17及び大径部18との境界部にXY平面上に位置する環状の段差19が形成されている。回転子6はこの凹部4内の段差19に当接した状態で回転可能に支持されている。また、可動部2と固定子5とを連結する保持部材7によって回転子6が固定子5の段差19に対して加圧接触されている。
第2の圧電素子部32の一対の圧電素子板32b及び32dは、2分割されることなく全体がZ軸方向(厚み方向)に膨張あるいは収縮の変形挙動を行うように分極されており、圧電素子板32bと圧電素子板32dは互いに裏返しに配置されている。
第3の圧電素子部33の一対の圧電素子板33b及び33dは、X軸方向に2分割された部分が互いに逆極性を有してそれぞれZ軸方向(厚み方向)に膨張と収縮の反対の変形挙動を行うように分極されており、圧電素子板33bと圧電素子板33dは互いに裏返しに配置されている。
ロボットハンドの駆動に先立って、予め、キャップ15が貫通孔14から外され、貫通孔14を介してシリンダ9内に水が供給され、再びキャップ15が貫通孔14に嵌合されているものとする。
同様に、駆動回路20から第1の圧電素子部31の電極板31cと第2の圧電素子部32の電極板32cとの双方に位相を90度シフトさせた交流電圧をそれぞれ印加すると、Y軸方向のたわみ振動とZ軸方向の縦振動とが組み合わされて回転子6と接触する固定子5の段差19にYZ面内の楕円振動が発生し、摩擦力を介して回転子6がX軸回りに回転する。
さらに、駆動回路20から第1の圧電素子部31の電極板31cと第3の圧電素子部33の電極板33cとの双方に位相を90度シフトさせた交流電圧をそれぞれ印加すると、X軸方向のたわみ振動とY軸方向のたわみ振動とが組み合わされて回転子6と接触する固定子5の段差19にXY面内の楕円振動が発生し、摩擦力を介して回転子6がZ軸回りに回転する。
これにより、水の表面張力に起因して物体接触面Pの摩擦係数が変化し、対象物に対して所望の取り扱いを行うことが可能となる。例えば、可動部2の物体接触面Pを本のページ上に接触させてページめくりをしたり、ビニール袋に接触させてビニール袋を開く等の動作を正確に行うことができるようになる。
このように、物体接触面Pに水分を供給することで、物体接触面Pの摩擦特性を変化させて種々の対象物を取り扱うことが可能となる。
なお、水の代わりにアルコール、アセトン、エタノール等を使用することもできる。ロボットハンドの周辺温度等により物体接触面Pに残留したアルコール等が短時間で揮発する場合には、アルコール等の除去のために物体接触面Pに超音波振動を発生させなくてもよい。
さらに、液体貯留部としてのシリンダ9と供給手段としてのスライドアクチュエータ13を可動部2の内部に収容したが、固定子5あるいは基部ブロック1の近傍または内部にこれらを配置し、連通路となる供給管10を可動部2まで延ばして液体供給口8に連結してもよい。
図6に、この発明の実施の形態2に係るロボットハンドの可動部21の内部構造を示す。この可動部21は、図2に示した実施の形態1における可動部2において、物体接触面Pを臨む壁部を多孔質部材22から構成すると共に、この多孔質部材22を一面とするチャンバ23を可動部21の内部に形成し、シリンダ9からの供給管10をチャンバ23に連通したものである。
スライドアクチュエータ13の作動によりシリンダ9からチャンバ23内に水が供給されると、水は多孔質部材22内を浸透して物体接触面Pへと出てくる。したがって、実施の形態1と同様に、物体接触面Pの摩擦係数を変化させて種々の対象物を取り扱うことが可能となる。
図7に、この発明の実施の形態3に係るロボットハンドの可動部24の内部構造を示す。この可動部24は、図2に示した実施の形態1における可動部2において、シリンダ9とピストン11とスライドアクチュエータ13の代わりに液体貯留室25を配設し、この液体貯留室25と液体供給口8とを供給管10で連通したものである。
図3に示した駆動回路20で振動子3を駆動することにより、回転子6を介して可動部24内の液体貯留室25に超音波振動を発生させると、液体貯留室25内に貯留されていた水が振動のエネルギーを受けて蒸発し、水蒸気が供給管10を介して液体供給口8から外部へ放出される。放出された水蒸気は、外気により冷却されて物体接触面P上に結露する。したがって、実施の形態1及び2と同様に、物体接触面Pの摩擦係数を変化させて種々の対象物を取り扱うことが可能となる。
また、液体貯留室25に超音波振動を発生させて水を蒸発させたが、その代わりに液体貯留室25に発熱素子を配置し、発熱素子から発せられる熱によって水を蒸発させることもできる。
上記の実施の形態1〜3では、物体接触面P上の液体量、例えば水分量を調整することにより物体接触面Pの摩擦係数を変化させたが、物体接触面Pに超音波振動を発生させることで物体接触面Pに作用する摩擦力を変化させることもできる。
例えば図1に示した可動部2の物体接触面Pを図示しない対象物に接触させた状態で、駆動回路20で振動子3を駆動することにより、回転子6を介して物体接触面Pに超音波振動を発生させると、物体接触面Pと対象物の表面との接触部における垂直抗力が微小時間内で変化し、物体接触面Pと対象物との間に作用する摩擦力も変化することとなる。
したがって、種々の対象物を取り扱うことが可能となる。
図8に、この発明の参考形態2に係るロボットハンドの可動部の物体接触面Pの断面構造を示す。この物体接触面Pには、非対称の断面を有する多数の凹凸27が形成されている。この凹凸27の断面の非対称性に起因して、図示しない対象物に対し、Aの方向へ物体接触面Pが移動する際には、凹凸27の多数の頂部が引っ掛かるために大きな摩擦力が発生し、逆にBの方向へ物体接触面Pが移動する際には、凹凸27の斜面部分で滑りが生じるために摩擦力は小さくなる。
そこで、駆動回路20により振動子3を駆動して可動部の物体接触面Pを図8のAの方向へ移動させるか、Bの方向へ移動させるかを選択することにより、対象物に対する物体接触面Pの摩擦特性を変化させることが可能となる。
図9に、この発明の実施の形態4に係るロボットハンドを示す。このロボットハンドは、図1に示した実施の形態1のロボットハンドにおいて、可動部2の代わりに回転子6に第1節41、第2節42及び第3節43を順次直列に連結し、最先端に位置する第3節43の外面に物体接触面Pと液体供給口8を形成したものである。また、図2に示したシリンダ9、供給管10、ピストン11及びスライドアクチュエータ13が第3節43の内部に内蔵されている。第1節41と第2節42は図示しない連結機構を介して互いに連結され、第2節42と第3節43も図示しない連結機構を介して互いに連結されており、回転子6の回転に応じて第1節41、第2節42及び第3節43が所定の動きをするように構成されている。
この実施の形態4のロボットハンドは、より人間の手の指に近い動きをすることができ、種々の対象物を容易に取り扱うことができる。
さらに、実施の形態4のロボットハンドを複数本並べて多肢ハンドを構成することができる。
また、この実施の形態4を実施の形態2、3及び参考形態1、2に適用して、それぞれ第1節41、第2節42及び第3節43を有するロボットハンドを構成してもよい。
上述した実施の形態1〜4及び参考形態1、2のロボットハンドは、それぞれ自走式ロボットに搭載して使用することができる。
Claims (6)
- 対象物と接する物体接触面の摩擦特性を変化させる摩擦特性変化手段を備えたロボットハンドにおいて、
前記摩擦特性変化手段は、前記物体接触面上の液体量を調整することにより前記物体接触面の摩擦係数を変化させることを特徴とするロボットハンド。 - 前記摩擦特性変化手段は、
液体を貯留する液体貯留部と、
前記液体貯留部と前記物体接触面とを連通する連通路と、
前記液体貯留部内の液体を前記連通路を介して前記物体接触面に供給する供給手段と
を含む請求項1に記載のロボットハンド。 - 前記供給手段は、前記液体貯留部内の液体の蒸気を前記物体接触面に供給し、前記物体接触面上で結露させる請求項2に記載のロボットハンド。
- 前記摩擦特性変化手段は、前記物体接触面を超音波振動させることにより前記物体接触面上の液体を除去する請求項1〜3のいずれか一項に記載のロボットハンド。
- 前記物体接触面が形成された可動部と、
前記可動部を駆動するための振動アクチュエータと
をさらに備え、前記摩擦特性変化手段は、前記振動アクチュエータを用いて前記物体接触面を超音波振動させる請求項4に記載のロボットハンド。 - 自走式ロボットに用いられる請求項1〜5のいずれか一項に記載のロボットハンド。
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