以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は、本発明による統合出力制御装置10の一実施例を示すシステム構成図である。統合出力制御装置10は、マイクロコンピュータによって構成され、図1に示すように、アプリ管理部11、状態管理部12、画面・音声管理部14、画面・音声合成部16、入力インターフェイス18、及び外部インターフェイス20を有する。
統合出力制御装置10には、出力装置50が接続される。出力装置50は、車室内に設けられる液晶ディスプレイ等の映像出力装置や、スピーカー等の音声出力装置を含む。出力装置50は、後述の如く画面・音声合成部16から供給される映像出力データや音声出力データを出力・再生する。
統合出力制御装置10には、外部インターフェイス20を介して、各種情報を提供する各種情報機器(外部機器)30(30A,30B,...30N)が接続される。各種情報機器30は、ナビゲーション装置及びオーディオビジュアル装置等のような、各種のメディア情報を生成するメディア系情報機器のほか、車両状態情報を生成する情報機器(電子制御ユニットである各種ECUを含む。)を含む。車両状態情報とは、ユーザに報知すべき警報又はアドバイスを含み、例えばライトの各種点灯状態や、カメラ等で撮像される車両周囲の状態、バッテリや燃料の残量状態等々を含む。
外部インターフェイス20は、複数の情報機器30に対して共通に構成され、好ましくは統合出力制御装置10を介して情報出力を行う全ての情報機器30に対して共通に構成される。即ち、複数の情報機器30からのイベント情報が、外部インターフェイス20を介して、状態管理部12へと供給されるとともに、複数の情報機器30から供給される実際の映像や音のデータが、外部インターフェイス20を介して、画面・音声合成部16へと供給される。これにより、統合出力制御装置10と多様な情報機器30との接続性の自由度が高くなる。状態管理部12は、外部インターフェイス20を介して入力されるイベント情報に基づいて、どの情報機器30にどのようなイベントが発生したかを把握する。
統合出力制御装置10には、入力インターフェイス18を介して各種入力装置40(40A,40B,...40N)が接続される。各種入力装置40は、出力装置50を構成するタッチパネル式ディスプレイ上で実現可能なタッチスイッチ、タッチバッド、ハードスイッチ、ジョイスティック、ハプティック、キーボードやマウス等を含む。各種入力装置40は、音声認識によりユーザからの指示入力を受けるものであってよく、無線通信を介して遠隔位置からユーザからの指示入力を受けるものであってもよい。
入力インターフェイス18は、複数の入力装置40に対して共通に構成され、好ましくは統合出力制御装置10に接続される全ての入力装置40に対して共通に構成される。即ち、入力インターフェイス18は、複数の入力装置40からの入力データを一手に受付け、当該入力データを所定のデータ形式(フォーマット)に変換して、状態管理部12に供給する。これにより、統合出力制御装置10と多様な入力装置40との接続性の自由度が高くなる。状態管理部12は、入力インターフェイス18を介して入力される入力信号に基づいて、どの入力装置40からどのような入力(要求)があったか(イベント)を把握する。
状態管理部12及び画面・音声管理部14には、定義情報を保持する定義情報記憶部13が接続される。定義情報記憶部13は、好ましくは、書き換え可能なメモリ(例えばハードディスクやEEPROM)で構成される。定義情報は、例えばHTMLやXMLのような言語で記述されてよい。
図2は、定義情報の最小単位の定義を概念的に表す図である。最小単位の定義は、ビヘイビアを定義したビヘイビア情報を必須として含み、必要に応じて、ビヘイビアに関連する音声レイアウト情報及び画面レイアウト情報とを含む。ビヘイビア情報、音声レイアウト情報及び画面レイアウト情報の全てを含む場合、定義情報は、この3種類の情報を一セットとして構成される。
ビヘイビアとは、ある機能の状態におけるアクション(状態遷移や振る舞い)を表す。また、機能とは、例えばナビゲーション装置により実現される目的地設定機能や目的地案内機能等のアプリケーションである。例えば、目的地設定機能では、目的地入力から目的地検索、目的地確定といったように複数の状態(それに伴う状態遷移)が発生する。
ビヘイビア情報は、当該ビヘイビアに関連するパラメータ(イベント、状態、アクション等)、当該ビヘイビア情報に従属する音声レイアウト情報及び画面レイアウト情報の格納場所(又は名称)の他、当該ビヘイビアに関連する情報機器30及び入力装置40、出力装置50に関する情報を含んでよい。
音声レイアウト情報は、ある状態に対する音声の構成(音声の出力態様)を定義した情報である。音声レイアウト情報は、後述の如く出力装置50の使い方(出力可能な複数のスピーカーのうちの各音声出力に割り当てられるスピーカー)に関する定義の他、音声自体の特徴、例えば、音声を構成する音声要素、当該音声要素の属性、音声の特徴(音質、ピッチ等)、使用言語(日本語、英語等)等に関する定義を含む。
画面レイアウト情報は、ある状態に対するUI(ユーザインターフェース)等の画面構成(映像の出力態様)を定義した情報である。画面レイアウト情報は、後述の如く出力装置50の使い方(ディスプレイの全画面のうちの各映像出力に割り当てられる画面領域)に関する定義の他、映像自体の特徴、例えば表現(形状表示)、画面の特徴(スキン)、表示言語(リソース)等に関する定義を含む。表現(形状表示)とは、半透明やシャドウ等の多彩な3D表示、スケーラブルな2D表示、空間特殊表現(フォグ、スペキュラー、アンチエイリアス)等を含む。また、画面レイアウト情報は、タッチパネル式のディスプレイ上で実現されるタッチスイッチの機能・位置に関する定義を含む。
図3は、定義情報の階層構造を概念的に表す図である。定義情報は、サービス(単独のアプリケーション及び複数のアプリケーションの組み合わせを含む)毎に系統分けしてそれぞれ階層構造(ツリー構造)にされる。具体的には、定義情報は、サービス毎に、図2に示した最小単位の定義を下位層の定義として有し、それらの組み合わせを上位層の定義として有する。例えば、最下位の定義は、情報機器30毎に設定される定義であってよく、或いは、ビヘイビア毎に設定される定義であってよい。最上位の定義は、複数の情報機器30の連携(アプリケーションの組み合わせ)に関する定義であってよく、或いは、複数の情報機器30により協働的に実現されるビヘイビアの連携態様の定義であってよい。従って、最上位の定義では、統合出力制御装置10による制御下にある全ての情報機器30の考えられる全ての連携態様が定義され、それよりも下位の定義により、各組み合わせにおいて考えられる全てのビヘイビアが定義されることになる。
このように本実施例では、上述のような定義情報を導入することで、複数の情報機器30からの情報の出力態様を、統合出力制御装置10により一括的に管理することができる。これにより、複数の情報機器30のそれぞれに対して、個別の表示制御装置及び情報出力装置を付与する必要が無くなる。また、定義情報の更新や変更等が容易になり、多様な情報機器30からの情報を統合して出力するときの出力態様の自由度を高めることが可能である。また、複数の情報機器30の連携機能を階層構造で定義することで、情報機器30の追加や変更に伴うアプリケーションの追加や変更等に対しても、定義情報全体を作り直す必要が無く、該当部分だけの修正や追加等により機動的に対応可能となる。
図4は、あるサービスIに関して定義される定義情報を模式的に表した図である。このサービスIは、2つの情報機器30Aと情報機器30Bの連携により実現されるものとする。この場合、サービスIに係る定義情報は、図4に示すように、上位層で、サービスIにおける統合的なビヘイビア情報Iとそれに関連する画面レイアウト情報I及び音声レイアウト情報Iを有し、下位層で、サービスIに関連する情報機器30Aのビヘイビア情報Aとそれに関連する画面レイアウト情報A及び音声レイアウト情報Aと、サービスIに関連する情報機器30Bのビヘイビア情報Bとそれに関連する画面レイアウト情報B及び音声レイアウト情報Bとを有する。即ち、下位層では、サービスIを実現するために必要な情報を提供する各々の情報機器30に対する個別の定義情報が定義され、上位層では、サービスIを統合的に実現するために情報機器30の情報をどのように用いるかが定義される。
状態管理部12は、定義情報のビヘイビア情報に基づいて、関連する情報機器30及び入力装置40の状態を統合的に管理する。画面・音声管理部14は、状態管理部12から供給される画面レイアウト情報及び音声レイアウト情報に基づいて、出力装置50にて出力される映像及び音声の出力態様を統合的に管理する。
図5は、異なる2つのサービスI及びサービスIIにおける定義情報の利用態様を概念的に示す図である。本例では、サービスIIは、3つの情報機器30A,情報機器30C,情報機器30Nの連携により実現されるものとする。この場合、サービスIIに係る定義情報は、図5に示すように、上位層で、サービスIIにおける統合的なビヘイビア情報IIとそれに関連する画面レイアウト情報II及び音声レイアウト情報IIを有し、下位層で、サービスIIに関連する情報機器30Aのビヘイビア情報Aとそれに関連する画面レイアウト情報A及び音声レイアウト情報Aと、サービスIIに関連する情報機器30Cのビヘイビア情報Cとそれに関連する画面レイアウト情報C及び音声レイアウト情報Cと、サービスIIに関連する情報機器30Nのビヘイビア情報Nとそれに関連する画面レイアウト情報N及び音声レイアウト情報Nとを有する。このように、異なるサービスにおいては、それぞれのサービスに応じた定義情報が選択的に利用される。
図6は、図5で示した定義情報に基づいて画面・音声合成部16により実現される画面レイアウトの一例を示す図である。ここで、画面構成Aは、情報機器30Aが出力する情報(映像ないし画像)を画面レイアウト情報Aに従って構成することで得られる最小画面構成単位を表し、同様に、画面構成Bは、情報機器30Bが出力する情報(映像ないし画像)を画面レイアウト情報Bに従って構成することで得られる最小画面構成単位を表す。画面構成Iは、下位層の画面構成(画面構成A及び画面構成B)を上位層の画面レイアウト情報Iに従って構成することで得られる最大画面構成単位を表す。最大画面構成単位は、出力装置50(ディスプレイ)の全画面に対応する。尚、情報機器30Aのみが情報提供を行うアプリケーションの場合には、画面構成Aが画面構成Iとなる。
画面レイアウト情報Iによれば、画面構成Aは、図6の上側に示すように、出力装置50(ディスプレイ)の画面の第2象限の領域に割り当てられ、画面構成Bは、その他の全領域に割り当てられる。この例では、画面レイアウト情報Iは、出力装置50(ディスプレイ)の画面における各情報の出力領域(相対的なレイアウト)に関して主に定義し、その下位層で定義された画面レイアウト情報A及び画面レイアウト情報Bは、それぞれの出力領域における映像出力自体(表現等)に関して主に定義していることになる。
同様に、画面レイアウト情報IIによれば、図6の下側に示すように、画面構成Aが出力装置50(ディスプレイ)の画面の背後に出力され、画面構成Cが画面の下側中央部に出力され、画面構成Nが画面の上側1/3の領域に出力される。このように、本実施例によれば、画面レイアウト情報を適切に適宜することで、複数の情報機器30が出力する映像を、限られた画面内に効率的に統合表示することができる。
尚、画面レイアウトにおいて各情報装置30(各画面構成)に割り当てられる表示出力領域は、当該各情報装置30が提供する情報の性質や相対的な重要度等に基づいて決定される。また、あるアプリケーションに係る画面レイアウトは、必ずしも時間軸上で固定である必要はなく、例えばナビゲーション装置の出力する地図表示上に、カメラが撮像する移動体を重畳表示するようなアプリケーションでは、重畳表示される移動体の画像の位置は移動体の動きに応じて変化されることになる。また、各情報装置30が提供する情報は、複数の情報出力が統合的に表示される関係上、縮小されてもよく、或いは、主要な局部のみが出力されてもよい。また、複数の情報出力は、一方を半透過にして他方と同一領域内に表示させてもよい。これらの各種出力態様についても、画面レイアウト情報にて定義される。
図7は、図5で示した定義情報に基づいて画面・音声合成部16により実現される音声レイアウトの一例を示す図である。ここで、音声構成Aは、情報機器30Aが出力する情報(音声)を音声レイアウト情報Aに従って構成することで得られる最小音声構成単位を表し、同様に、音声構成Bは、情報機器30Bが出力する音声を音声レイアウト情報Bに従って構成することで得られる最小音声構成単位を表す。音声構成Iは、下位層の音声構成(音声構成A及び音声構成B)を上位層の音声レイアウト情報Iに従って構成することで得られる最大音声構成単位を表す。最大音声構成単位は、出力装置50(スピーカー)の全数に対応する。
音声レイアウト情報Iによれば、音声構成Aは、図7の上側に示すように、情報機器30Aが出力する情報(音声)が右前のスピーカーから出力され、音声構成Bは、その他のスピーカーに出力されると共に、右前のスピーカーから出力される。この場合、右前のスピーカーからは、音声構成A及び音声構成Bが合成して出力される。尚、この例では、音声レイアウト情報Iは、出力装置50(複数のスピーカー)に対する各情報出力の割り当て方に関して主に定義し、その下位層で定義された音声レイアウト情報A及び音声レイアウト情報Bは、それぞれの音声出力自体(音質、ピッチ等)に関して主に定義している。
同様に、音声レイアウト情報IIによれば、図7の下側に示すように、音声構成Aが前側のスピーカーから出力され、音声構成Nが後側のスピーカーから出力される。尚、情報機器30Cは映像のみを出力する機器であり、音声は出力されない。このように、本実施例によれば、音声レイアウト情報を適切に適宜することで、複数の情報機器30が出力する音声を統合的に出力することができる。
尚、音声レイアウトにおいて各情報装置30(各音声構成)に割り当てられるスピーカーは、当該各情報装置30が提供する情報の性質や相対的な重要度等に基づいて決定される。例えば、運転者に対する情報を提供する情報装置30に対して運転者側のスピーカーが割り当てられてよい。
図8は、統合出力制御装置10の処理シーケンスの概要を示す図である。定義情報記憶部13には、XMLのような言語で記述された上述の定義情報が格納されているとする。但し、定義情報は、解釈(パース)後のバイナリデータにより保持されてもよい。尚、本例では、状態管理部12の上位側に、アプリ管理部11が存在するものとする(図1参照)。このアプリ管理部11の以下で説明する機能の全部又は一部は、状態管理部12により実現されてもよい。
先ず、アプリ管理部11は、上述の如く各種情報機器30や入力装置40から入力される各種イベントに応じて、当該イベント発生状態(サービス)に応じた系統のビヘイビア情報を特定する。アプリ管理部11は、特定したビヘイビア情報を起動するようビヘイビア起動依頼を状態管理部12に送る。
状態管理部12は、アプリ管理部11からのビヘイビア起動依頼に応じて、定義情報記憶部13に保持される定義情報の中の当該特定のビヘイビア情報を参照する。尚、アプリ管理部11から指定されたビヘイビア情報が定義情報記憶部13にバイナリデータにて保持されていない場合には、状態管理部12は、XMLのような言語で記述されたビヘイビア情報を解釈(パース)し、バイナリデータにて作業メモリ内に保持する。状態管理部12は、ビヘイビア情報を参照して、当該ビヘイビア情報に関連(従属)する画面レイアウト情報及び音声レイアウト情報を起動するよう画面レイアウト起動依頼及び音声レイアウト起動依頼を、画面・音声管理部14に送る。
画面・音声管理部14は、状態管理部12からの画面レイアウト起動依頼及び音声レイアウト起動依頼に応じて、定義情報記憶部13に保持される定義情報の中の当該画面レイアウト情報及び音声レイアウト情報を参照する。画面・音声管理部14は、音声レイアウト情報及び画面レイアウト情報を解析(パース)し、パース後の各レイアウト情報をツリー構造にて作業メモリ内に保持する。
以後、新たなイベントの発生に伴うアプリケーションないしサービスの変更等によって、アプリ管理部11から状態管理部12に対して新たなビヘイビア起動依頼がなされるまで、状態管理部12及び画面・音声管理部14は、現在作業メモリ内に保持している各データに基づいて、現在のアプリケーションにおける各種管理を実行・継続する。画面・音声管理部14は、画面・音声合成部16に対して、音声レイアウト情報及び画面レイアウト情報に従ったレイアウトで映像出力データ及び音声出力データを生成するように指示する。画面・音声合成部16は、この指示に応じて、対応する各情報機器30から得られる映像データ及び音声データを合成・加工等して、指示されたレイアウトの映像出力データ及び音声出力データを生成する。このようにして生成された映像出力データ及び音声出力データは、出力装置50(ディスプレイ及びスピーカー)を介して出力される(図6及び図7参照)。
図9は、外部データを用いて定義情報を変更する際の統合出力制御装置10の処理シーケンスの一例を示す図である。定義情報の変更は、定義情報の更新(バージョンアップ)や修正が必要となった場合や、ユーザの要望があった場合や、新たな情報機器30が接続された場合等に、実行される。
先ず、アプリ管理部11から、所望の定義情報を特定した定義情報取得依頼が外部センタに送信される。外部センタは、インフラ施設であり、全国各地に設置されてもよい。外部センタには、最新の定義情報(多数の情報機器体系に対応する多数の定義情報)が集中的に生成・管理されている。外部センタは、適当な認証等のセキュリティを確保した上で、車両側からの定義情報取得依頼に応じて、特定の定義情報をアプリ管理部11に供給する。尚、この外部センタと車両側のアプリ管理部11との情報のやり取りは、統合出力制御装置10にバス等により接続される無線通信部19により実現される。
外部センタから定義情報を取得すると、アプリ管理部11は、当該取得した定義情報により、管理する定義情報を更新して、定義情報記憶部13に格納する。以後、アプリ管理部11等は、定義情報記憶部13に格納された新たな定義情報に基づいて、出力装置50にて実現されるべき出力態様(画面レイアウト及び音声レイアウト)を制御する。
このように本実施例によれば、外部センタから必要な定義情報をダウンロードすることで、定義情報の更新や変更等を容易に行うことができ、多様な情報機器30からの各種情報を同時に出力するときの出力態様の自由度が高まり、また、接続される情報機器30の変更や仕様変更等に対しても機動的に対応することができる。
尚、本実施例において、外部センタからアプリ管理部11への定義情報の供給は、プッシュ型やプル型など如何なる態様であってもよく、例えば、外部センタにおいて定義情報が更新される毎に、自動的にアプリ管理部11に新たな定義情報が供給(例えばブロードキャストによる配信)されてもよく、或いは、更新があった旨のみがアプリ管理部11に送信され、その後のユーザの要求により生成されるアプリ管理部11からの定義情報取得依頼に応じて、アプリ管理部11に新たな定義情報が供給されるといった態様でもよい。また、外部センタからの新たな定義情報の取得は、携帯可能な記憶媒体(例えばカード型記憶媒体等)を介して実現されてもよい。この場合、外部センタからの新たな定義情報は、情報提供端末を備えるキオスク(kiosk)にて記憶媒体にダウンロードされてもよく、或いは、インターネット等を介してユーザの情報端末のハードディスク等に取り込まれ、そこから記憶媒体にダウンロードされてもよい。いずれの場合も、最終的には、記憶媒体にロードされた定義情報は、当該記憶媒体を統合出力制御装置10に接続することで、統合出力制御装置10の定義情報記憶部13に書き込まれる。
図10は、内部蓄積データを用いて定義情報を変更する際の統合出力制御装置10の処理シーケンスの一例を示す図である。ここでは、定義情報の変更は、ユーザデータベース15が利用される。ユーザデータベース15には、ユーザの生年月日や性別等のユーザプロファイル、ユーザの嗜好や好み等を表す情報(学習結果を含む)、ユーザの運転操作態様の履歴等の各種ユーザ情報が格納されている。
状態管理部12は、ユーザからの要請があった場合等に、ユーザデータベース15内のユーザ情報を参照して、定義情報を生成・変更する。例えば予め用意した雛形(テンプレート)にユーザデータベース15内のユーザ情報(ユーザの嗜好や好み等)を代入して、定義情報の可変部分を生成してもよい。又は、図10に示すように、状態管理部12は、ユーザデータベース15内のユーザ情報を参照して、定義情報記憶部13に格納された定義情報における上位層の部分(各下位層との関連付け)を変更してもよいし、下位層の部分(所定の情報機器30からの情報の個別の出力態様)を変更してもよい。或いは、状態管理部12は、ユーザインターフェースを介して対話式又は直接的に入力されるユーザからの入力情報(変更指示)に基づいて、定義情報記憶部13に格納された定義情報における上位層の部分(各下位層との関連付け)を変更してもよいし、下位層の部分を変更してもよい。
このように本実施例によれば、ユーザの好み等に応じて定義情報の更新やカスタマイズ等を容易に行うことができ、接続される情報機器30の変更や仕様変更等に対しても機動的に対応することができる。
次に、具体的な実施例として、駐車支援サービスが実行される過程における各種処理の流れについて説明する。駐車支援サービスは、後方カメラの映像の出力による後方視界支援制御、エンジンやブレーキ、ステアリング等を用いた車両制御(走る、止まる、曲がる)、及び、ユーザインターフェースにより駐車位置設定制御の3つのアプリケーションからなる。本例では、音楽再生というオーディオ装置による情報出力がなされている最中に、駐車支援サービスが開始される場合を想定する。
音楽再生中、ユーザが車を駐車しようとしてギアをリバース(バック)に入れると、当該ギアの変更(バックへの移行)のイベント(以下、リバースイベント)が、外部インターフェイス20を介して状態管理部12に入力される。このとき、状態管理部12は、音楽再生アプリという唯一のアプリケーションを実行している状態であったため、現在の作業メモリ内の定義情報において当該リバースイベントに関する定義が存在しない。このため、状態管理部12は、アプリケーションの変更を伝えるべく、当該リバースイベントをアプリ管理部11に通知する。
アプリ管理部11は、リバースイベントの通知を受けて、定義情報記憶部13内においてリバースイベントが定義されたビヘイビア情報を特定する。リバースイベントが定義されたビヘイビア情報は、駐車支援サービスに関して定義される定義情報に含まれるので、アプリ管理部11は、駐車支援サービスを開始すべく実行アプリケーションの切り替えを実現する。即ち、アプリ管理部11は、当該特定したビヘイビア情報が起動されるように、ビヘイビア起動依頼を状態管理部12に送信する。
状態管理部12は、アプリ管理部11からのビヘイビア起動依頼に応じて、当該ビヘイビア情報に関連(従属)する画面レイアウト情報及び音声レイアウト情報を起動するよう画面レイアウト起動依頼及び音声レイアウト起動依頼を、画面・音声管理部14に送る。画面・音声管理部14は、状態管理部12からの画面レイアウト起動依頼及び音声レイアウト起動依頼に応じて、定義情報記憶部13に保持される定義情報の中の当該画面レイアウト情報及び音声レイアウト情報を参照する。
これにより、状態管理部12及び画面・音声管理部14は、方視界支援アプリ、車両制御アプリ及び駐車位置設定アプリに関する定義情報を参照して、以後の各種イベントに対応することが可能となる。尚、このリバースイベントの発生により新たに起動されるアプリケーションは、後方視界支援アプリ、車両制御アプリ及び駐車位置設定アプリである。本例では、駐車支援サービス中においてもそれ以前から実行されていた音楽再生アプリは継続して実行されることとする。従って、状態管理部12及び画面・音声管理部14等は、次の4つの各定義情報に基づいて各種指示を生成することになる。
後方視界支援アプリに関する定義情報は、カメラ映像(3Dオーサリング)のオン/オフの各状態に関するビヘイビア情報を含み、全画面を描画エリアとする画面レイアウト情報を含む。
車両制御アプリに関する定義情報は、制御開始、制御中、制御停止の各状態に関するビヘイビア情報を含み、制御操作を開始するユーザインターフェース(ボタン等)の配置(レイアウト)に関する画面レイアウト情報を含み、開始案内、制御中警告、停止案内に関する音声レイアウト情報(本例では全て運転者側のスピーカーのみ)を含む。
駐車位置設定アプリに関する定義情報は、自車画像表示開始、駐車位置設定中、設定完了(確定)の各状態に関するビヘイビア情報を含み、駐車位置設定(調整)用等のユーザインターフェースの配置、及び、描画される自車画像の合成位置(描画エリア) に関する画面レイアウト情報を含む。
音楽再生アプリに関する定義情報は、再生中、停止中、一時停止中の各状態に関するビヘイビア情報を含み、全画面を描画エリアとする画面レイアウト情報を含み、各状態における音声レイアウト情報(本例では全スピーカー)を含む。
この場合、後方視界支援アプリに関する画面レイアウト情報と、音楽再生アプリに関する画面レイアウト情報とは、全画面を描画エリアとするものであり、互いに背反するが、画面・音声管理部14は、画面レイアウト情報に付与された優先順位に従って、後方視界支援アプリに関する画面レイアウト情報を優先させる(但し音楽の再生は継続)。また、車両制御アプリに関する定義情報は、駐車位置設定アプリの設定完了(確定)イベント発生後に有効となることが定義されている。この結果、リバースイベントが発生した直後の初期状態では、図11に示すように、後方視界支援アプリによるカメラ映像(3Dオーサリング)のオン状態が実現され、後方カメラの映像が出力装置50のディスプレイの画面全体に表示される。また、駐車位置設定アプリの自車画像表示開始が実現され、自車画像が、初期の駐車位置(デフォルト位置又は画像や超音波センサ等に基づく推定位置)に重畳表示される。
駐車位置設定アプリの駐車位置設定中の状態では、ディスプレイの画面上には、駐車位置設定(調整)用のユーザインターフェースが更に表示される。ユーザは、ディスプレイ上に表示される駐車位置設定用ボタンを操作する。この操作イベントに応じて、目標駐車位置を表す自車画像がディスプレイの画面上で移動される。ユーザは、自車画像が所望の位置に移動された時点で、ディスプレイ上に表示される設定完了ボタンを操作する。この操作イベントに応じて、駐車位置設定アプリが終了して、制御操作を開始するユーザインターフェース(ボタン)が表示される(車両制御アプリが有効化される)。ユーザが、ディスプレイ上に表示される制御開始ボタンを操作すると、当該開始イベントを受けて、車両制御アプリが開始される。
この車両制御アプリでは、周辺障害物との関係による警報を含む各種案内メッセージが出力される。上記の各音声レイアウト情報によれば、この音声メッセージは、開始案内、制御中警告、停止案内の全ての状態で運転者側のスピーカーから出力されることが定義されており、音楽再生は全スピーカーから出力されることが定義されている。このため、画面・音声管理部14は、音声レイアウト情報に付与された優先順位に従って、車両制御アプリを音楽再生アプリに対して優先させる。具体的には、画面・音声管理部14は、車両制御アプリにおける音声メッセージの発生イベントが生ずると、画面・音声合成部16に指示を与え、現在運転者側のスピーカーから出力されている音楽再生の出力レベルを低下させ、運転者側のスピーカーから当該音声メッセージを出力させる。尚、車両制御アプリの期間中、運転者側のスピーカーから出力されている音楽再生の出力レベルを継続的に低下させてもよいし、完全に無くしてもよい。これらの出力態様については、音楽再生アプリの音声レイアウト情報に定義されていてよい。
車両が設定した駐車位置に到着すると、車両制御終了を知らせる音声メッセージが生成され、画面・音声管理部14は、当該音声メッセージを、上述の如く運転者側のスピーカーから出力させる。この車両制御終了イベントは、アプリ管理部11に送信される。アプリ管理部11は、車両制御終了イベントを受けると、上述のリバースイベントを受けて実行開始した駐車支援サービスを終了する。即ち、アプリ管理部11は、次のサービスを指定する。この場合は、音楽再生アプリが単独で開始される。この結果、音楽再生アプリに関する定義情報に従って、出力装置50のディスプレイの画面全体に、音楽再生に係る映像(楽曲名等)が表示され、全てのスピーカーから再生音楽が出力されることになる。
このように本実施例よれば、サービスの変更に伴って参照する定義情報を変更し、サービスに応じて定義された定義情報に基づいて動作することができる。この例では、車両制御アプリとメディア情報再生アプリとを連携させながら、必要な情報を効率的に出力することができる。
図12は、駐車支援サービスにおいて実現されうる画像構成のその他の例を示す。尚、かかる画像構成は、上述の如くビヘイビア情報に関連付けて画面レイアウト情報に定義される。図12(A)に示す例では、画面中央部に、後方カメラの映像が出力され、画面左右側方部に、それぞれ側方カメラの映像が出力され、画面上部に、前方カメラの映像が出力されている。また、図12(B)に示す例では、ソナーセンサ(超音波測距センサ)により車両前部左右に対して障害物が所定距離内に近接することが検出されるというイベント発生時に、その旨の注意喚起が画面左上に重畳表示されている。このように、出力装置50を介して出力される情報は、ナビゲーション装置が出力する地図画像や、TVやカメラ等が出力する各種映像に限られず、画像ないし映像を介して出力されるものであれば、警報ないしアドバイスの他、ライトの点灯状態等のような車両状態を表す情報であってもよい。
図13の各図は、駐車支援サービス以外の、その他のサービスにおいて実現されうる画像構成の例を示す。
図13(A)は、安全支援サービスにおいて実現されうる画像構成(最大画面構成単位)を示す。この場合、安全支援サービスに関して定義された定義情報の画面レイアウト情報に従って、前方カメラの映像を3Dオーサリングして得られる3D地図画像又は所与の3D地図画像が画面全面に表示され、車車間通信等により得られる他車の情報が、当該他車の位置(3D地図画像)上の対応する位置)に重畳表示される。この場合、車車間通信等により自車に対して注意を要する他車が現れるというイベント発生時に、3D地図画像の上に、他車の画像が重畳表示される。
図13(B)は、リモートオペレータサービスにおいて実現されうる画像構成(最大画面構成単位)を示す。この場合、リモートオペレータサービスに関して定義された定義情報の画面レイアウト情報に従って、操作部を表示する画像が画面全面に表示され、オペレータが画面右下に表示され、オペレータにより指示される操作部を指す表示(指の表示)が、オペレータにより指示される位置に表示される。この場合、ユーザのアクセス操作に後続してリモートオペレータとの通信が確立されるというイベント発生時に、操作支援サービスが開始される。
図13(C)は、ドライビングパートナーサービスにおいて実現されうる画像構成(最大画面構成単位)を示す。この場合、ドライビングパートナーサービスに関して定義された定義情報の画面レイアウト情報に従って、地図画像が画面全面に表示され、ユーザとの対話を実現するキャラクタ(エージェント)が地図画像上に表示される。このキャラクタは、例えばユーザに対して提供すべき情報が発生するというイベント発生時に、登場するものであってよい。この際、図13(C)に示すように、キャラクタは、画面レイアウト情報に従って、提供する情報に関連する位置に、提供する情報の文字情報を含む態様で、登場してよい。
このように本実施例によれば、上述の定義情報を適切に生成することで、同一の出力装置50(ディスプレイ)上で多様なサービスを実現することができる。また、上述の如く、新たな情報機器30の接続に伴って定義情報を変更・更新することで、サービスを新たに追加することも可能である。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述した実施例では、アプリ管理部11、状態管理部12、画面・音声管理部14、画面・音声合成部16の全ての機能が統合出力制御装置10という1つのユニット内に統合されているが、アプリ管理部11、状態管理部12、画面・音声管理部14及び画面・音声合成部16のうちの任意の一部機能が他の出力制御ユニットに移管されてもよい。