JP4701377B2 - 金属ガラス体、その製造方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、試料全体に微結晶が均一に分散した金属ガラス体、該金属ガラス体の製造方法及びその装置に関するものであり、更に詳しくは、溶融金属に電磁振動力を付与しながら凝固させることによりガラス相全体に微結晶が均一に分散した金属ガラス組織構造を有する金属ガラス体を製造することを可能とする新規金属ガラス体の製造方法、該方法によって得られる新規金属ガラス体及びその製造に関するものである。本発明は、従来、非常に大きな急冷速度が必要とされていた金属ガラスの製造技術の分野において、冷却速度に依存しない方法で、軽量で高強度で、高機能性を有する構造材料として高く期待されている金属ガラスの量産化と高品質の金属ガラス体の提供を実現する新技術を提供するものである。
一般に、金属ガラスは、例えば、マイクロマシン用の超精密部材や精密機械部品、コリオリ流量計、圧力センサー、リニア・アクチュエーター等の高精度測定機器の機能部材等への応用が期待され、その他、例えば、航空機や自動車等に対して、軽量で高強度な構造材料として高度な機能を発揮する材料としても大きく期待されている。従来、金属ガラスを製造するためには、合金溶湯をある臨界の冷却速度以上で急冷することが必須である(特許文献1〜2)。合金溶湯が、急冷されない場合には、金属ガラスにならず、金属結晶になってしまう。そのため、金属ガラスが、種々の部品に応用される実用材料として適用可能となるためには、急冷しなくても結晶にならない技術の開発が必要である。しかし、現在のところ、急冷法以外のプロセスは存在しない。したがって、金属ガラスは、冷却速度の影響を小さくするために、合金元素及びその量を制御して、急冷速度をできるだけ遅くしても金属ガラスが得られるようにすることにより、製造されているのが現状である(特許文献3〜4)。
しかし、急冷法に頼る製造方法では、金属ガラスを得るためには、合金系によっては非常に大きな急冷速度が必要となるし、そうでない合金系においても所定の急冷は必要であるため、得られる部材の大きさに制限があり、合金系によってはあまり大きなサイズのものは製造できないという問題があった。そのため、金属ガラスを種々の部材として適用し得るようにするためには、急冷速度に依存しない方法で製造できること、及びそれにより部材としてある程度大きさを持ったものが製造できること、が必要であり、当技術分野においては、それらを可能とする新しい技術を開発することが強く要請されていた。
特開2001−62548号公報 特開2000−271730号公報 特開2000−256812号公報 特開平11−131199号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、冷却速度に依存しないプロセスで金属ガラスを製造することを可能にする新しい技術を開発することを目標として鋭意研究を重ねた結果、溶融金属に電磁振動力を付与することにより所期の目的を達成し得ることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。本発明は、電磁振動力を利用して金属ガラス形成能を向上させる方法、及び該方法を利用して金属ガラスを製造する方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、従来の急冷凝固により生成した金属ガラスの組織構造と本質的に相違する特定の金属ガラス組織構造を有する新規金属ガラス体を提供することを目的とするものである。また、本発明は、上記方法により、軽量で高強度で、高機能性の金属ガラス部材及び製品を製造し、提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、ガラス形成能を有する金属又は合金の溶融金属に電磁振動力を付与しながら凝固させることにより、冷却速度に依存しない方法で、単相の金属ガラス組織構造を有する金属ガラスバルク体を製造する方法であって、直流磁場と交流電場を同時に印加して電磁振動を発生させ、溶融金属に作用させて、単相の金属ガラス組織構造を有する金属ガラスバルク体を製造することを特徴とする金属ガラス体の製造方法、である。本方法は、(1)単相の金属ガラス組織構造を有し、かつ微結晶がガラス相全体に均一に分散した金属ガラス体であって、該微結晶が、ナノオーダーからマイクロオーダーまでの範囲で制御された大きさを有する金属ガラスバルク体を製造すること、(2)少なくとも1000Hzの電流周波数帯域において、電磁振動発生下で金属ガラス体を製造すること、(3)少なくとも2Tの磁場強度において、電磁振動発生下で金属ガラス体を製造すること、(4)電流周波数を増加することにより、金属ガラス形成能を向上させること、(5)凝固前の液体状態で電磁振動を印加することにより、金属ガラスの形成能を向上させること、(6)電磁振動印加後の無振動保持時間を短くすること、(7)電磁振動の印加電流強度を増加することにより、金属ガラスの形成能を向上させること、(8)金属が、ガラス形成能を有する合金系であること、(9)合金組成を選択し、電磁振動力条件及び温度条件を調整することにより、金属ガラスの機能性と微結晶による強度、靭性、及び/又は耐破断性の性質を制御したコンポジット材料を製造すること、を好ましい態様としている
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、溶融金属に電磁振動力を付与させながら凝固させることにより、金属ガラスを製造すること、及び該方法で作製した特定の金属ガラス組織構造を有する新しい金属ガラス体を提供することを特徴とするものである。本発明では、好適には、金属ガラス化が容易な金属及び合金が対象とされ、本発明は、ガラス形成能を有する合金系の全てに適用されるが、例えば、マグネシウム基合金、鉄基合金等が例示されるが、これらに限定されるものではなく、金属ガラス化が可能なものであればその種類は特に制限されない。マグネシウム系としては、例えば、Mg6510Cn25(Y:0〜30、Cu:0〜40)、鉄系としては、(Fe0.6Co0.4)72Si20Nbが例示される。その他の具体例として、マグネシウム系では、Mg−Ca,Mg−Ni,Mg−Cu,Mg−Zn,Mg−Y,Mg−Ca−Al,Mg−Ca−Li,Mg−Ni−Ln,Mg−Cu−La,Mg−Cu−Y,
Mg−Ni−Y,Mg−Cu−Ce,Mg−Cu−Nd,Mg−Zn−Si,Mg−Al−Zn,Mg−Ni−Si,Mg−Cu−Si,Mg−Ni−Si,Mg−Ca−Si,Mg−Ni−Ge,Mg−Cu−Ge,Mg−Zn−Ge等が、また、鉄系では、(Fe0.8Co0.2)74Si20Nb,Fe−Al−P,Fe−Al−C,Fe−Al−B,Fe−Si−B−Nb,Fe−
Si−B−Zr,(Fe0.775Si0.100.125)98Nb,(Fe0.75Si0.1
0.15)99Zr,(Fe0.75Si0.100.15)96Nb,Fe−Co−Ni−P−C−B,Fe−Si−B,Fe−P−C,Fe−Co−Si−B,Fe75Si1015,Fe72Si18Nb,Fe70Si20Nb,Fe68Si20Nb,Fe70Si20Nb,Fe68Si20Nbが例示される。マグネシウム系、鉄系以外の合金系として、Ln(ランタン)系、Zr(ジルコニウム)系、Pd(パラジウム)系、Co(コバルト)系、Ni(ニッケル)系、Ti(チタン)系、Al(アルミニウム)系、Cu(銅)系、Nd(ネオジウム)系、Pr(プラセオジウム)系、Pt(白金)系が例示される。また、本発明では、電磁振動力として、直流磁場と交流場の同時印加により発生する電磁振動力が用いられるが、これに制限されるものではなく、これと同効のものであれば同様に使用することができる。本発明は、冷却速度に依存しない方法で金属ガラスの製造を可能とするために、直流磁場と交流電場を同時に併用することにより、電磁振動力を発生させ、その下で溶融金属を凝固させることを主要な特徴としている。
また、本発明では、電流周波数を増加することにより、金属ガラス形成能を向上させることが可能となる。また、本発明では、凝固前の液体状態で電磁振動を印加すること、液体状態での電磁振動休止時間を短くすること、すなわち、液体状態での電磁振動印加後の無振動保持時間を短くすることにより、金属ガラスの形成、製造が容易となる。更に、電磁振動の印加電流強度の増加による電磁振動力の増加により、金属ガラスの形成能を向上させることが可能となる。従来の急冷凝固法により作製した金属ガラスの組織構造は、単相のガラス相からなっているが、本発明の方法で作製した金属ガラス体の組織構造は、微結晶がガラス相全体に均一に分散した構造を有している点で、両者は本質的に相違しているので、これらの金属ガラス組織構造を確認することにより、本発明の金属ガラス体を、従来法による金属ガラスと明確に区別(判別)することができる。このように、本発明の方法で作製した金属ガラス体は、従来法による金属ガラスには見られない特定の金属ガラス組織構造を有している。
本発明では、例えば、保持容器に試料の金属材料を固定し、これを、例えば、外部ヒータで加熱溶解した後、超伝導マグネット等により電磁振動を所定時間印加し、同時に冷却手段で冷却して凝固させることにより金属ガラス体を形成することができる。この場合、電磁振動力として、例えば、磁場2〜10T、電磁振動電流3〜10A、電磁振動周波数100〜5000Hzが例示されるが、これらは、金属材料の種類等に応じて最適条件に任意に設定することができる。
従来の急冷凝固による方法では、試料のサイズが大きくなると、試料の表面部と内部とで冷却速度に違いが生じ、試料全体に微結晶を均一に分散させることは不可能であるが、本プロセスでは、電磁振動発生下で金属ガラスを形成するので、電磁振動により表面部と内部との冷却速度が同じになり、微結晶を試料全体に均一分散させることが可能となる。即ち、本発明では、電磁振動力を金属ガラス体を構成する液体状態にある金属原子に個別に作用させることが可能であるため、液体状態から固体状態に変化して凝固する際に、原子が配列のし直しをすることを抑制し、液体状態の配置を保ったまま固体状態に変化させることが可能となる。これにより、微結晶がガラス相全体に均一に分散した金属ガラス組成構造体を有する金属ガラス体を得ることが可能となる。
また、本発明では、微結晶の大きさも電磁振動条件(電流周波数、電磁振動力等)により金属ガラスの形成能を制御できることから、ナノオーダーからマイクロオーダーまで制御することが可能であり、それにより、微結晶が、ナノオーダーからマイクロオーダーまでの範囲で制御された大きさを有する上記金属ガラス体を製造し、提供することが可能となる。また、本発明の金属ガラス体では、分散させる微結晶は、合金組成を選ぶことにより任意の組成成分の微結晶を分散させることが可能である。所定の組成の微結晶を均一に分散させた金属ガラスは、金属ガラス単体よりも高強度を発揮するコンポジット材料として好適に使用することが可能である。本発明で使用する金属ガラス体の製造装置としては、試料の保持容器、金属材料の加熱溶融手段、電磁振動発生及び印加手段、溶融金属を冷却する冷却手段、温度計測及び制御手段を構成要素とする金属ガラス体製造装置、電磁振動発生手段が、超伝導マグネットであることを特徴とする前記の装置が例示されるが、これらに制限されるものではなく、また、上記各手段の具体的構成は任意に設計することができる。
本発明は、溶融金属に電磁振動を付与しながら凝固させることにより、冷却速度に依存しない方法で、金属ガラスを製造することを特徴とするものである。本発明では、溶融金属に電磁振動力を付与しながら凝固させることにより、ナノオーダーからマイクロオーダーの微結晶がガラス相全体に均一に分散した金属ガラス組織構造を有する金属ガラス体が製造される。この場合、電磁振動力の条件及び温度条件を調整することにより、ナノオーダーからマイクロオーダーの範囲で制御された微結晶を生成させることができるが、冷却速度を調整することにより、単相の金属ガラスを生成することも可能である。従来の急冷凝固法では、単相の金属ガラスを製造した後、更に、これを熱処理して微結晶を析出させることで微結晶を生成させることができるが、それには、別途、熱処理工程が必要とされることから工程が複雑になるが、本発明では、そのような熱処理工程は不要である。
本発明の方法は、ガラス形成能力を有する合金系の全てに適用されるが、その際に、合金の組成を選択し、更に、微結晶の大きさを調整することにより、金属ガラスの固有の機能に微結晶による高強度、高靭性等の性質を複合化したコンポジット材料を作製することが可能となる。即ち、本発明のコンポジット材料では、例えば、微結晶の組成、大きさ及び微結晶の量の選択により、強度、靭性、耐破断性等を調整することが可能となり、また、ガラス相の選択により、例えば、耐食性、磁気特性、耐熱性等の機能性を調整することが可能となり、しかも、これらを一段の工程で実施することが可能である。本発明の方法により得られる金属ガラス体の組織構造は、微結晶がガラス相全体に均一に分散した金属ガラス組織構造、あるいはナノ又はマイクロ結晶がセル状にガラス相全体に均一に分散した組織構造、を有するものとして定義される。本発明の金属ガラス体は、必要に応じて、例えば、ガラス安定温度域である過冷却液体領域で所定の形状、構造の部材に加工され、同一の組織構造を有する金属ガラス部材として製品化することができる
本発明により、(1)微結晶がガラス相全体に均一に分散した金属ガラス組織構造を有する金属ガラス体を提供することができる、(2)溶融金属に電磁振動力を付与することにより金属ガラス形成能力を向上させることができる、(3)冷却速度に依存しない方法で上記金属ガラス体を製造することができる、(4)軽量で高強度な金属部材の製造が可能となる、(5)得られる部材の大きさに制限がなく、大型サイズの部材の作製が可能となる、(6)金属ガラス形成能の向上化により、適用金属材料の範囲を拡大できる、(7)従来、金属ガラスの製法は、急冷速度に依存していたので、大きなバルク状の素材が得られなかったが、本プロセスにより、冷却速度の影響を受けにくくなったため、大きなバルク状の素材が得られる、(8)これにより、今までは、小さな形状の製品、即ち、マイクロマシンの部品やセンサー類の微小部品等としての利用しかできなかった金属ガラスが、一般的な構造材料としての利用が可能になる、(9)本発明の金属ガラス体は、具体的には、例えば、輸送機器においては、自動車の足回り部品(アッパーアーム、ロアーアーム等)、エンジン周りの動弁系のスプリング等の可動部品、航空機のストラットカバー等の部品、情報電子機器においては、例えば、収納ケース、ヒートシンク等への利用が可能である、という格別の効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本実施例では、保持容器にMo箔を用いた電磁振動プロセスを説明する。
1)方法
保持容器にMo箔を用いた電磁振動付与機構を作製し、この保持容器に試料としてMg6510Cu25(2φ、12mm)合金を入れ、これを外部ヒータで加熱し、550℃,2minで溶解した後、電磁振動を10秒印加し、電磁振動を印加しながら水を吹きかけることにより水冷し、金属ガラス形成能に及ぼす電磁振動力の影響を調べた。
2)結果
その結果、図1(a)の組織写真及び図2(a)のXRD図に示すように、電磁振動電流:5A,1000Hz,磁場:10T、で電磁振動を印加した条件では、金属ガラス単相が得られることが判明した。
磁場を1Tにし、電磁振動力を弱めると、図1(b)の組織写真に示すように、金属ガラス相が大幅に減少し、結晶相の核が大量に観察された。また、図2(b)のXRD図では、金属ガラス相のブロードなピークの他に、結晶相からの鋭いピークが観察された。磁場を0Tにし、電磁振動力を印加しないと、図1(c)の組織写真に示すように、粗大な結晶相のみが観察され、また、図2(c)のXRD図では、結晶相からの鋭いピークのみが観察された。これらのことより、電磁振動力は、金属ガラス形成能を向上させることが判明した。
本実施例では、保持容器にアルミナ管を用いた電磁振動プロセスを説明する。
1)方法
保持容器にMo箔より冷却速度が遅くなるアルミナ管(外径3φ,内径2φ)を用い、この保持容器に試料としてMg6510Cu25(2φ、12mm)合金を入れ、これを外部ヒータで加熱し、550℃,2minで溶解した後、電磁振動を10秒印加し、電磁振動を印加しながら水を吹きかけることにより水冷し、より冷却速度が遅くなるアルミナ管を保持容器に用いた場合の金属ガラス形成能に及ぼす電磁振動力の影響を調べた。
2)結果
電磁振動力を磁場:10T、電磁振動電流:5Aと固定し、電磁振動周波数を100Hz、1000Hz、5000Hzと変化させた時の組織写真を図3に示す。図3(a)に示すように、電磁振動周波数が100Hzでは、金属ガラス相は観察されず、結晶相のみが観察された。図3(b)に示すように、電磁振動周波数が1000Hzでは、金属ガラス相中に結晶相の核が大量に観察された。また、図3(c)より、電磁振動周波数が5000Hzでは、金属ガラス単相が得られることが判明した。これらのことより、電磁振動周波数がより高いほうが、金属ガラス形成能を向上させる能力が高いことが判明した。
電磁振動電流を5A,5000Hzと固定し、磁場を10T,5T,2Tと変化させることにより電磁振動力を変化させた時の組織写真の変化を図4に示す。図4(a)に示すように、磁場が10Tでは、金属ガラス単相が得られ、図4(b)に示すように、磁場を5Tにして電磁振動力を弱めても、金属ガラス単相が得られるが、磁場を2Tにて更に電磁振動力を弱めると、図4(c)の組織写真に示すように、金属ガラス相が大幅に減少し、結晶相の核が大量に観察されることから、結晶相が出現することが判明した。このことからも、電磁振動力は、金属ガラス形成能を向上させることがわかる。
本実施例では、Mg系以外の合金系での効果の確認を行った。
1)方法
Mg6510Cu25合金以外の金属材料においてもこのプロセスが有効であることを確認するために、Mg合金よりも融点が800℃ほど高い(Fe0.6Co0.472Si20Nb合金について、同様の実験を行い、本プロセスの効果を確認した。電流周波数範囲:10Hz以上、磁場強度範囲:1テスラ以上、電流強度範囲:1×10A/m以上。
結果
その結果、図5に示されるように、電磁振動を印加しない場合には、黒色で識別される結晶が多数生成しているが、電磁振動(5A,5,000Hz,10T)を印加した場合には、結晶が減少し、ガラス化が促進していることがわかった。このことより、マグネシウム系合金以外の金属材料においても電磁振動プロセスによる金属ガラスの生成が有効であることがわかる。
本実施例では、Mg系合金での電流周波数の増加による金属ガラス形成能の向上について調べた。
1)方法
Mg6510Cu25合金の電磁振動(20A、10T)によるガラス化し易さに及ぼす、電流周波数(5,000Hz、50,000Hz)の影響を調べた。
結果
4mmφの試料は2mmφの試料に較べて、径が2倍に大きくなることにより、冷却速度が遅くなるため、ガラス化し難くなる。しかし、このような場合でも、図6に示されるように、電磁振動力を利用したプロセスでは、電流周波数を増加することで容易にガラス化することがわかった。このことより、電磁振動プロセスによる金属ガラスの生成方法では、冷却速度による影響を、電磁振動力や電磁振動周波数でカバーできることがわかる。
本実施例では、急冷凝固材との組織構造の違いについて調べた。
方法
高分解能FE−TEM(電解放射型透過電子顕微鏡)で、両ガラスの構造を解析し、格子像も確認した。
結果
その結果、両者に違いのあることが判明した。従来の急冷凝固法により生成した金属ガラスの組織構造は、単相のガラス相からなっているが、本発明のプロセスによる金属ガラス体の組織構造は、微結晶がガラス相全体に均一に分散した金属ガラス組織構造を有している点に違いがある。本組織を確認することにより、本発明のプロセスで造られた金属ガラス体であることが確認されるので、この手法を利用することにより、本発明の金属ガラス体と、従来の急冷凝固法による金属ガラスとを容易に区別(判別)することができる。即ち、本発明のプロセスで得られる金属ガラス体の特徴は、均一に微結晶が分散した金属ガラス構造を有していることである。図7に、微結晶がセル状になってガラス相全体に均一に分散した金属ガラス体の組織構造を示す。図8に、マイクロオーダーの微結晶が均一に分散した金属ガラス体の一例を示す。
本実施例では、凝固前の液体状態での電磁振動印加時間の効果について調べた。
1)方法
Mg6510Cu25合金のガラス化し易さを、水冷して凝固開始させる前に、加熱度約100℃の溶融状態で電磁振動(5A,5000Hz,10T)を印加する時間の影響を調べた。
2)結果
その結果、図9に示されるように、水冷前の電磁振動印加時間が0秒の時は、その後の冷却に伴いほぼ完全に結晶化した。磁振動印加時間が2.5秒の時は、結晶は生成するが、その量は非常に少なくなった。電磁振動印加時間が10秒の時は、全く結晶化が起こらず、完全に金属ガラスとなった。このことより、凝固前の液体状態での電磁振動印加時間の増加が、金属ガラスの形成能を向上させることがわかる。
本実施例では、液体状態での電磁振動印加後の無振動保持時間の影響について調べた。
1)方法
Mg6510Cu25合金のガラス化し易さを、加熱度約100℃の溶融状態で10秒間電磁振動(5A,5000Hz,10T)を印加し、その後、水冷して凝固開始させるまでの間、電磁振動を与えない休止時間の影響を調べた。
2)結果
その結果、図10に示されるように、休止時間が1秒の時は、その後の水冷に伴いわずかに結晶が生成した。休止時間が9秒の時は、水冷時の結晶生成量がかなり増加した。休止時間が60秒の時は、水冷時にほぼ完全に結晶化した。このことより、液体状態での電磁振動印加後の無振動保持時間が長くなる程、金属ガラス形成能は低下することがわかる。
本実施例では、電磁振動の印加電流強度の効果について調べた。
1)方法
Mg6510Cu25合金のガラス化し易さを、過熱度約100℃の溶融状態で10秒間電磁振動(0〜10A,5000Hz,10T)を印加し、引き続いて水冷により凝固開始させ、その後10秒間電磁振動(0〜10A,5000Hz,10T)を継続した時の電流変化による電磁振動力の影響を調べた。
2)結果
その結果、図11に示されるように、電流強度の増加による電磁振動力の増加が金属ガラスの形成能を向上させることがわかった。
以上詳述したように、本発明は、金属ガラス体、その製造方法に係るものであり、本発明は、微結晶がガラス相全体に均一に分散した金属ガラス組織構造を有する新規金属ガラス体を提供することを可能とするものである。従来、金属ガラスの製法は、急冷速度に依存していたので、大きなバルク状の素材が得られなかったが、本プロセスにより、冷却速度の影響を受けにくくなったため、大きなバルク状の素材が得られる。本発明の金属ガラス体は、例えば、マイクロマシン用の超精密部材や精密機械部品、コリオリ流量計、圧力センサー、リニア・アクチュエーター等の高精度測定機器の機能部材等に利用することができ、また、航空機や自動車等に対して、軽量で高強度な構造部材として利用することができる。本発明は、電磁振動によりガラス形成能を向上させ、軽量で高強度で、高機能性の構造部材、高機能性部材として期待される金属ガラス製品の量産化技術を提供するものとして有用である。
電磁振動力による出現相の変化を示す。 電磁振動力によるXRD図の変化を示す。 電流周波数による出現相の変化を示す。 電磁振動による出現相の変化を示す。 鉄系合金の電磁振動効果を示す。 マグネシウム合金の太さ(4mmφ)に及ぼす電流周波数の影響を示す。 急冷凝固法と電磁振動法により得られた金属ガラスの組織構造を示す。 急冷凝固法と電磁振動法により得られた金属ガラスの組織構造を示す。 凝固前の液体状態での電磁振動印加時間の効果を示す。 液体状態での電磁振動印加後の無振動保持時間の影響を示す。 電磁振動の印加電流強度の効果を示す。

Claims (10)

  1. ガラス形成能を有する金属又は合金の溶融金属に電磁振動力を付与しながら凝固させることにより、冷却速度に依存しない方法で、単相の金属ガラス組織構造を有する金属ガラスバルク体を製造する方法であって、
    直流磁場と交流電場を同時に印加して電磁振動を発生させ、溶融金属に作用させて、単相の金属ガラス組織構造を有する金属ガラスバルク体を製造することを特徴とする金属ガラス体の製造方法。
  2. 単相の金属ガラス組織構造を有し、かつ微結晶がガラス相全体に均一に分散した金属ガラス体であって、該微結晶が、ナノオーダーからマイクロオーダーまでの範囲で制御された大きさを有する金属ガラスバルク体を製造する請求項1に記載の方法。
  3. 少なくとも1000Hzの電流周波数帯域において、電磁振動発生下で金属ガラス体を製造する請求項1に記載の方法。
  4. 少なくとも2Tの磁場強度において、電磁振動発生下で金属ガラス体を製造する請求項1に記載の方法。
  5. 電流周波数を増加することにより、金属ガラス形成能を向上させる請求項1に記載の方法。
  6. 凝固前の液体状態で電磁振動を印加することにより、金属ガラスの形成能を向上させる請求項1に記載の方法。
  7. 電磁振動印加後の無振動保持時間を短くする請求項6に記載の方法。
  8. 電磁振動の印加電流強度を増加することにより、金属ガラスの形成能を向上させる請求項1に記載の方法。
  9. 金属が、ガラス形成能を有する合金系である請求項1に記載の方法。
  10. 合金組成を選択し、電磁振動力条件及び温度条件を調整することにより、金属ガラスの機能性と微結晶による強度、靭性、及び/又は耐破断性の性質を制御したコンポジット材料を製造する請求項9に記載の方法。
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